JP2005029603A - 発泡成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発泡成形体のダマ発生を防止し、製品の歩留まりを高めることができ、また、製品の低密度化を図って、弾力性能に優れた緩衝材などとして用いられる発泡成形体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】繊維質物質100重量部と、B型粘度計による20℃の粘度が100mPa・s〜120000mPa・sである水溶性高分子バインダーの水溶液360〜710重量部とを混練して混練物を製造する混練工程と、該混練工程で混練された混練物を発泡させて発泡物を製造する発泡工程と、該発泡工程で発泡された発泡物を所定の形状に成形して成形体を製造する成形工程と、該成形工程で成形された成形体を乾燥する乾燥工程とを有し、発泡成形体を製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】繊維質物質100重量部と、B型粘度計による20℃の粘度が100mPa・s〜120000mPa・sである水溶性高分子バインダーの水溶液360〜710重量部とを混練して混練物を製造する混練工程と、該混練工程で混練された混練物を発泡させて発泡物を製造する発泡工程と、該発泡工程で発泡された発泡物を所定の形状に成形して成形体を製造する成形工程と、該成形工程で成形された成形体を乾燥する乾燥工程とを有し、発泡成形体を製造する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡成形体およびその製造方法に関し、特に、古紙などの繊維質物質の再資源化に好適に用いられるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、広く使用されている発泡スチロールに代表されるプラスチック系緩衝材に代わり、環境に優しい緩衝材として、古紙を再資源化した紙系の緩衝材が注目されている。古紙の再資源化を目的として、弾力性能に優れた紙系の緩衝材を製造する方法が特許文献1に開示されており、また、前記緩衝材を製造するための、発泡体の製造方法およびその製造装置が特許文献2に開示されている。前記特許文献1および特許文献2に開示されている緩衝材は、古紙粉体、水、ゼラチンを50重量%以上含むバインダー、架橋反応促進剤および柔軟化剤を混合し、発泡させたのちに成形、乾燥させて製造するものである。
【0003】
【特許文献1】
特許第3038158号公報
【特許文献2】
特許第3017716号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1および特許文献2に開示された緩衝材の製造方法では、バインダー水溶液粘度および繊維質物質量に対するバインダー水溶液量について開示されていないが、通常、繊維に対する水分量は6,600g/繊維1kgに設定されている。従来の製造方法では、このように水分量が多いことから乾燥工程の負荷が大きく、製造効率の向上を図ることができないという課題があった。乾燥しやすくするため、水分量を減らした場合、混練工程でダマが発生して製品の歩留まりを下げ、製品の密度が大きくなって弾力性能が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、繊維質物質から発泡成形体を製造するにあたり、発泡成形体のダマ発生を防止し、製品の歩留まりを高めることができ、また、製品の低密度化を図って、弾力性能に優れた緩衝材などとして用いることができる発泡成形体およびその製造方法を提供する目的でなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る発泡成形体の製造方法は、繊維質物質と、B型粘度計による20℃の粘度が100mPa・s〜120000mPa・sである水溶性高分子バインダーの水溶液とを混練して混練物を製造する混練工程と、該混練工程で混練された混練物を発泡させて発泡物を製造する発泡工程と、該発泡工程で発泡された発泡物を所定の形状に成形して成形体を製造する成形工程と、該成形工程で成形された成形体を乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とする。
前記混練工程で前記繊維質物質100重量部に対し前記バインダーを乾燥重量で10〜60重量部混練することが好ましい。
前記混練工程で前記繊維質物質100重量部に対し前記バインダーの水溶液を360〜710重量部混練することが好ましい。
前記バインダー水溶液に、さらに架橋促進剤、柔軟化剤、離型剤、界面活性剤、抗菌剤、PH調整剤、PH緩衝剤、発泡剤、防カビ剤、着色剤、漂白剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤および充填剤の群から選ばれた少なくとも1種を添加してもよい。
本発明に係る発泡成形体は、前述の発泡成形体の製造方法により製造された発泡成形体であって、圧縮硬さが、圧縮歪み25%にて0.1〜50Ncm−2であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる繊維質物質としては、新聞紙、雑誌、ダンボールなどの古紙のほか、毛織物(羊毛くず)、パルプスラッジ、ガラス繊維などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、水溶液と混練する繊維質物質は、カッタやミルなどの乾式解繊機で細かく解繊したものを用いるのが好ましいが、あらかじめ水で泥状にしたものや水中で湿式解繊したものであってもよい。例えば、古紙を乾式解繊機で解繊する場合には、解繊機のスクリーンの目開きが1〜15mm、より好ましくは1〜5mm程度に解繊したものが採用できる。
また、前記水溶液に使用される水としては、工業用水、水道水、精製水などが適宜に使用できる。
【0008】
本発明の繊維質物質と混練されるバインダー水溶液に用いられるバインダーは、澱粉、アルギン酸塩、アラビアゴム、にかわ、ゼラチン、卵白等の天然水溶性高分子物質、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の合成水溶性高分子物質、およびポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリカプロラクトン、酢酸セルロース、ポリ乳酸等の合成樹脂エマルジョンの群から選ばれた少なくとも1つを主成分とする。
【0009】
繊維質物質とバインダー水溶液を均一混練するためには、バインダー水溶液粘度が100mPa・s〜120000mPa・s(B型粘度計、20℃)の範囲となるようバインダー水溶液中の水溶性高分子物質の濃度を調整する。バインダー水溶液粘度が100mPa・s未満では混練工程において繊維質物質の分散が不十分となり、製品中にダマが発生しやすくなる。一方120000mPa・sを超えると混練に多大な動力を要し、また成形が困難になる。
【0010】
混練工程における繊維質物質量に対するバインダー水溶液量は繊維質物質100重量部に対しバインダー水溶液量が360〜710重量部となるように調整する。バインダー水溶液量が360重量部未満の場合、混練工程での繊維質物質の分散が不十分となり、製品中にダマが発生しやすくなる。一方バインダー水溶液量が710重量部を超えると、乾燥工程負荷が大きくなり製品コストが上昇する。
【0011】
また、繊維質物質に対する水溶性高分子バインダー量は、紙などの繊維質物質100重量部に対して、乾燥重量で10〜60重量部混合するのが好ましい。10重量部よりも少ないと、繊維質物質の接着強度が低下し、製品発泡成形体強度が低下すると共に製品の表面にアバタ状の窪みが発生しやすくなる。一方、60重量部を超えると、発泡物の粘性が著しく増加し、発泡機への供給が困難となる。
【0012】
また、前記混練工程に設けられる混練機としては、例えばパドル攪拌機またはスクリュー攪拌機を設けた混練機やスクリューニーダなどを採用することができる。
【0013】
本発明の混練物に適宜に混合される添加剤としては、架橋剤(架橋促進剤)、柔軟化剤、離型剤、界面活性剤、抗菌剤、PH調整剤、PH緩衝剤、発泡剤、防カビ剤、着色剤、漂白剤、酸化防止剤、耐候剤(耐光剤)、難燃剤および充填剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよく、製品の用途にあわせて、添加剤の種類および添加量を適宜に設定して添加することにより、最適な製品を製造することができる。しかしながら、これらの添加物は、本発明において必須のものではない。
【0014】
架橋剤としては、例えばトランスグルタミナーゼに代表される架橋促進酵素、アルデヒド化合物であるホルマリン、アセトアルデヒド、グルタルアルデヒド、硫酸アルミニウムカリウム、ホウ砂、ホウ酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
通常、架橋剤の添加量は、バインダー100重量部に対して好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは4〜10重量部であり、バインダー水溶液粘度100mPa・s〜120000mPa・s(B型粘度計、20℃)の範囲内で調整する。架橋剤の添加量が1重量部よりも少ないと、添加しない場合に比べて好ましいものの、架橋による製品形状安定効果が低下し、製品発泡成形体の収縮率が大きくなる傾向がある。一方、20重量部よりも多いと、バインダー水溶液の粘度が著しく増加あるいは凝固するため、成形が困難となる。
【0015】
柔軟化剤は、成形体に弾力性を与えるために使用される。例えばグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンなど、もしくはこれらのいずれかにショ糖を加えたものが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
柔軟化剤の添加量は、繊維質物質100重量部に対して好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは15〜80重量部である。柔軟化剤添加量が5重量部未満の場合は、添加しない場合に比べて好ましいものの、製品(発泡成形体)が硬く、クッション性や緩衝性が少なくなり、また乾燥時に製品が反ったり、脆くなったりする傾向がある。一方、100重量部を超えると製品(発泡成形体)の柔軟性、クッション性は増すが、製品の密度が増加しコスト高を招き、また湿り気感のある製品となる。
【0016】
また、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(第一工業製薬(株)製の商品名ハイテノール)、アルキル硫酸ナトリウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシンなどが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。界面活性剤、特にハイテノールを添加することにより、混練物や発泡成形体の発泡度合いを高めるという効果が得られる。この場合、界面活性剤の添加量は、バインダーや繊維質物質に対して適宜定められるが、混練物中の繊維質物質100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部程度である。
界面活性剤には、液状、ペースト状、顆粒状の物があり、顆粒状の界面活性剤を、予め所定の比率で顆粒状のバインダーと混合しておき、バインダーの水溶液溶解で同時に液状にする方法も採れる。
【0017】
また澱粉、アルギン酸塩、アラビアゴム、にかわ、ゼラチン、卵白等の天然水溶性高分子物質をバインダーに用いる場合、腐敗を防止するため抗菌剤を用いることが望ましい。抗菌剤としてはソルビン酸カリウム、イソプロピルメチルフェノール、サリチル酸などが挙げられるが、特にソルビン酸カリウムが好ましい。ソルビン酸カリウムなどの抗菌剤を添加すると、得られる発泡成形体に抗菌性を付与することができる。抗菌剤の添加量は、バインダー100重量部に対し、通常、0.7〜3重量部、好ましくは1〜2重量部程度である。0.7重量部未満では、添加しない場合に比べて好ましいものの、得られる発泡成形体を環境悪下の湿式状態において、かびが発生しやすくなる傾向があり、一方、3重量部を超えても、効果が頭打ちになるばかりか、経済的ではない。
【0018】
また混練物のPHを一定の範囲に制御するために、他の添加剤に加えてPH調整剤、PH緩衝剤をさらに添加することが可能である。PH調整剤としては、酸性方向に調整するには塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸など、アルカリ性方向に調整するには水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。またPH緩衝剤としては、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、フタル酸水素カリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
発泡剤としては、重曹、アジ化ナトリウム、アゾジカルボン酸アミドなどが挙げられる。好ましくは重曹である。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記繊維質物質とバインダー水溶液との混練方法は、一度に繊維質物質の全量を水溶液と混合して混練しても、繊維質物質の一部を水溶液と混合したのち、残りの繊維質物質を混合して混練してもよいが、混練機内に水溶液を充填し、この水溶液中に繊維質物質を攪拌しながら、徐々に添加して混練するのが、少ない水量や少ないバインダーの使用量で均一かつ容易に混練できるため好ましい。
【0020】
混練物の密度は、0.1〜0.7g/cm3が好ましい。発泡密度が、0.1g/cm3よりも低いと、乾燥後の成形体の強度が弱くなり、一方、0.7g/cm3よりも高いと、成形体の密度が重くなるとともに緩衝材として使用される場合に緩衝効果が低くなる。
乾燥後の成形体の密度(絶乾密度)(温度80℃、相対湿度7〜8%の条件における恒温時密度)は低いほど好ましいが、前記の発泡密度に設定することにより、絶乾密度が0.05〜0.6g/cm3程度の、強度が比較的高い良好な成形体を得ることができる。
【0021】
本発明の発泡成形体は古紙などの繊維質物質とバインダー材料から成る多孔質体であり、その圧縮硬さ(JIS K6767準拠)は、圧縮歪み25%において、好ましくは0.1〜50Ncm−2である。圧縮硬さが0.1Ncm−2未満であると、発泡成形体を緩衝材等に応用した場合に、必要な緩衝性能を発揮させるための緩衝材厚みを増やさなければならなくなる。一方、50Ncm−2を超えると、発泡成形体を緩衝材等に応用する場合に、材料が硬すぎてクッション性が発揮されなくなる。
本発明において、圧縮硬さはJIS K6767に準拠し、(株)山電製クリープメータRE2−33005を使用して、試験片サイズは長さ25×幅25×厚さ20mmとし、直径40mmの円盤形圧縮プランジャーにて厚さ方向に圧縮速度0.5mm/秒で初期厚さの25%まで圧縮し、その時のプランジャーにかかる荷重を測定し、プランジャー面積で除して、得られた値を示す。
【0022】
乾燥工程に設けられる乾燥機としては、例えば、成形品を棚の上に載置して自然乾燥させる棚載置自然乾燥機、成形品をヒータの熱によって加熱乾燥させる加熱乾燥機、温風によって加熱乾燥させる温風乾燥機、乾燥室内を負圧状態として乾燥させる減圧乾燥機、フリーズドライ方式の凍結乾燥機などを採用することができる。そのほか、マイクロ波照射乾燥機、除湿乾燥機などであってもよい。
【0023】
なお、前記加熱乾燥における乾燥温度は、従来の製造方法では、バインダーとして混合されるゼラチンが溶け出すため、40℃以下で行われていた。しかし、本発明では、製造方法が相違し、空気の混合量が多く、均一に発泡させることができ、バインダーとして混合されるポリビニルアルコールなどが溶け出すことがないため、乾燥温度は、通常、60〜150℃でよく、好ましくは、70〜100℃である。乾燥温度が60℃よりも低いと、乾燥に時間がかかり過ぎると共に成形体の収縮率が大きくなり、一方、150℃よりも高くなると、成形体に含有された各種の成分における組成変化が起こり、柔軟性が低くなる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0025】
(実施例1)バインダーとしてポリビニルアルコール(平均重合度:1,000、けん化度:86〜90モル%)25gを室温にて水175gへ分散した後、この分散液を攪拌しながら85℃まで加熱しポリビニルアルコールを溶解しバインダー水溶液を得た。バインダー水溶液粘度は363mPa・s(B型粘度計スピンドルNo.2、60rpm、20℃)であった。その後バインダー水溶液をホイッパーを備えたミキサー((株)愛工舎製作所製KM−230)のボールへ注ぎ、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(第一工業製薬(株)製の商品名ハイテノール)0.5gをバインダー水溶液へ添加した。次いで解繊した雑誌古紙(乾式解繊機により解繊し、目開きが1〜15mmのスクリーンを通過したもの)50gを加え、ホイッパー公転120rpm、ホイッパー自転410rpmにて7分間攪拌混合し、気泡を含んだ混練物を得た。この混練物を15cm×10cm×2cmの大きさのポリプロピレン製容器へ充填し、100℃の熱風乾燥機中で300分乾燥を行った。得られた発泡体はダマが無く、製品密度0.33g/cm3、圧縮硬さは31.1N/cm2であった。
【0026】
(実施例2)バインダーとしてポリビニルアルコール(平均重合度:1,000、けん化度:86〜90モル%)15gを室温にて柔軟化剤としてグリセリン50gを含む水140gへ分散した後、この分散液を攪拌しながら85℃まで加熱しポリビニルアルコールを溶解しバインダー水溶液を得た。バインダー水溶液粘度は162mPa・s(B型粘度計スピンドルNo.2、60rpm、20℃)であった。その後バインダー水溶液をホイッパーを備えたミキサー((株)愛工舎製作所製KM−230)のボールへ注ぎ、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)2.5gをバインダー水溶液へ添加した。次いで無灰パルプ(アドバンテック東洋(株)製)50gを加え、ホイッパー公転120rpm、ホイッパー自転410rpmにて7分間攪拌混合し、気泡を含んだ混練物を得た。この混練物を15cm×10cm×2cmの大きさのポリプロピレン製容器へ充填し、100℃の熱風乾燥機中で300分乾燥を行った。得られた発泡体はダマが無く、製品密度0.24g/cm3、圧縮硬さは1.5N/cm2であった。
【0027】
(実施例3)バインダーとしてポリビニルアルコール(平均重合度:3,500、けん化度:86〜90モル%)25gを室温にて柔軟化剤としてグリセリン50gを含む水125gへ分散した後、この分散液を攪拌しながら85℃まで加熱しポリビニルアルコールを溶解しバインダー水溶液を得た。バインダー水溶液粘度は114,300mPa・s(B型粘度計スピンドルNo.4、3rpm、20℃)であった。その後バインダー水溶液をホイッパーを備えたミキサー((株)愛工舎製作所製KM−230)のボールへ注ぎ、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)1.5gをバインダー水溶液へ添加した。次いで解繊した雑誌古紙(乾式解繊機により解繊し、目開きが1〜15mmのスクリーンを通過したもの)50gを加え、ホイッパー公転120rpm、ホイッパー自転410rpmにて7分間攪拌混合し、気泡を含んだ混練物を得た。この混練物を15cm×10cm×2cmの大きさのポリプロピレン製容器へ充填し、100℃の熱風乾燥機中で300分乾燥を行った。得られた発泡体はダマが無く、製品密度0.50g/cm3、圧縮硬さは11.9N/cm2であった。
【0028】
(比較例1)バインダーとしてゼラチン(ホクヨー(株)製PG−150)18.5gを、室温にて柔軟化剤としてグリセリン37.5gおよび抗菌剤としてソルビン酸カリウム0.185gを含む水323gへ分散した後、この分散液を攪拌しながら60℃まで加熱しゼラチンを溶解しバインダー水溶液を得た。バインダー水溶液粘度は約30mPa・s(B型粘度計スピンドルNo.2、60rpm、20℃)であった。その後バインダー水溶液をホイッパーを備えたミキサー((株)愛工舎製作所製KM−230)のボールへ注ぎ、界面活性剤としてハイテノール(第一工業製薬(株)製)0.15gをバインダー水溶液へ添加した。次いで解繊した段ボール古紙(乾式解繊機により解繊し、目開きが1〜15mmのスクリーンを通過したもの)50gおよび架橋剤として硫酸アルミニウムカリウム0.875gを加えホイッパー公転120rpm、ホイッパー自転410rpmにて7分間攪拌混合し、気泡を含んだ混練物を得た。この混練物を15cm×10cm×2cmの大きさのポリプロピレン製容器へ充填し、80℃の熱風乾燥機中で300分乾燥を行った。得られた発泡体はダマが多く発生し、製品密度0.10g/cm3、圧縮硬さは2.73N/cm2であった。
【0029】
(比較例2)バインダーとしてゼラチン(ホクヨー(株)製PG−180)18.5gを、室温にて柔軟化剤としてグリセリン37.5gおよび抗菌剤としてソルビン酸カリウム0.185gを含む水323gへ分散した後、この分散液を攪拌しながら60℃まで加熱しゼラチンを溶解しバインダー水溶液を得た。バインダー水溶液粘度は約40mPa・s(B型粘度計スピンドルNo.2、60rpm、20℃)であった。その後バインダー水溶液をホイッパーを備えたミキサー((株)愛工舎製作所製KM−230)のボールへ注ぎ、界面活性剤としてハイテノール(第一工業製薬(株)製)0.15gをバインダー水溶液へ添加した。次いで解繊した段ボール古紙(乾式解繊機により解繊し、目開きが1〜15mmのスクリーンを通過したもの)50gおよび架橋剤として硫酸アルミニウムカリウム0.875gを加え、ホイッパー公転120rpm、ホイッパー自転410rpmにて7分間攪拌混合し、気泡を含んだ混練物を得た。この混練物を15cm×10cm×2cmの大きさのポリプロピレン製容器へ充填し、80℃の熱風乾燥機中で520分乾燥を行った。得られた発泡体は表面に割れや穴があり、製品密度0.13g/cm3、圧縮硬さは4.90N/cm2であった。
【0030】
(実施例1−3の効果)
以上のとおり、実施例1−3により製造された発泡成形体は、比較例1,2に比べて、表面にアバタ状の窪みが発生せず、製品外観を損なわれず、しかも、内部に空洞が発生しにくく、また、強度も高く、生分解性にも優れた発泡成形体であった。さらに、実施例1−3の製造方法により、製品の発泡成形体の密度をコントロールすることができ、発泡成形体の低密度化が図れることなどから、歩留まりを向上できるため、弾力性能に優れた緩衝材などを経済的かつ連続的に多量生産することができる。
【0031】
さらに実施例1−3により製造された発泡成形体は、紙などとバインダとの混合した多孔質体であるゆえ、断熱材や吸音材の用途で、従来の化学樹脂発泡材と変わらない機能を有し、各種の梱包用緩衝材、自動車の座席シート、断熱材、吸音材、装丁用表紙、マウスパッド、養生シート、壁紙、農業用マルチシート、育苗箱、育苗ポット、保温箱などに好適な材料として使用できる。さらに、実施例1−3により製造された発泡成形体は、焼却しても有害物質が発生しないため、環境保護の観点からも優れている。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、繊維質物質から発泡成形体を製造するにあたり、発泡成形体のダマ発生を防止し、製品の歩留まりを高めることができ、また、製品の低密度化を図って、弾力性能に優れた緩衝材などとして用いられる発泡成形体およびその製造方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡成形体およびその製造方法に関し、特に、古紙などの繊維質物質の再資源化に好適に用いられるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、広く使用されている発泡スチロールに代表されるプラスチック系緩衝材に代わり、環境に優しい緩衝材として、古紙を再資源化した紙系の緩衝材が注目されている。古紙の再資源化を目的として、弾力性能に優れた紙系の緩衝材を製造する方法が特許文献1に開示されており、また、前記緩衝材を製造するための、発泡体の製造方法およびその製造装置が特許文献2に開示されている。前記特許文献1および特許文献2に開示されている緩衝材は、古紙粉体、水、ゼラチンを50重量%以上含むバインダー、架橋反応促進剤および柔軟化剤を混合し、発泡させたのちに成形、乾燥させて製造するものである。
【0003】
【特許文献1】
特許第3038158号公報
【特許文献2】
特許第3017716号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1および特許文献2に開示された緩衝材の製造方法では、バインダー水溶液粘度および繊維質物質量に対するバインダー水溶液量について開示されていないが、通常、繊維に対する水分量は6,600g/繊維1kgに設定されている。従来の製造方法では、このように水分量が多いことから乾燥工程の負荷が大きく、製造効率の向上を図ることができないという課題があった。乾燥しやすくするため、水分量を減らした場合、混練工程でダマが発生して製品の歩留まりを下げ、製品の密度が大きくなって弾力性能が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、繊維質物質から発泡成形体を製造するにあたり、発泡成形体のダマ発生を防止し、製品の歩留まりを高めることができ、また、製品の低密度化を図って、弾力性能に優れた緩衝材などとして用いることができる発泡成形体およびその製造方法を提供する目的でなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る発泡成形体の製造方法は、繊維質物質と、B型粘度計による20℃の粘度が100mPa・s〜120000mPa・sである水溶性高分子バインダーの水溶液とを混練して混練物を製造する混練工程と、該混練工程で混練された混練物を発泡させて発泡物を製造する発泡工程と、該発泡工程で発泡された発泡物を所定の形状に成形して成形体を製造する成形工程と、該成形工程で成形された成形体を乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とする。
前記混練工程で前記繊維質物質100重量部に対し前記バインダーを乾燥重量で10〜60重量部混練することが好ましい。
前記混練工程で前記繊維質物質100重量部に対し前記バインダーの水溶液を360〜710重量部混練することが好ましい。
前記バインダー水溶液に、さらに架橋促進剤、柔軟化剤、離型剤、界面活性剤、抗菌剤、PH調整剤、PH緩衝剤、発泡剤、防カビ剤、着色剤、漂白剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤および充填剤の群から選ばれた少なくとも1種を添加してもよい。
本発明に係る発泡成形体は、前述の発泡成形体の製造方法により製造された発泡成形体であって、圧縮硬さが、圧縮歪み25%にて0.1〜50Ncm−2であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる繊維質物質としては、新聞紙、雑誌、ダンボールなどの古紙のほか、毛織物(羊毛くず)、パルプスラッジ、ガラス繊維などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、水溶液と混練する繊維質物質は、カッタやミルなどの乾式解繊機で細かく解繊したものを用いるのが好ましいが、あらかじめ水で泥状にしたものや水中で湿式解繊したものであってもよい。例えば、古紙を乾式解繊機で解繊する場合には、解繊機のスクリーンの目開きが1〜15mm、より好ましくは1〜5mm程度に解繊したものが採用できる。
また、前記水溶液に使用される水としては、工業用水、水道水、精製水などが適宜に使用できる。
【0008】
本発明の繊維質物質と混練されるバインダー水溶液に用いられるバインダーは、澱粉、アルギン酸塩、アラビアゴム、にかわ、ゼラチン、卵白等の天然水溶性高分子物質、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の合成水溶性高分子物質、およびポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリカプロラクトン、酢酸セルロース、ポリ乳酸等の合成樹脂エマルジョンの群から選ばれた少なくとも1つを主成分とする。
【0009】
繊維質物質とバインダー水溶液を均一混練するためには、バインダー水溶液粘度が100mPa・s〜120000mPa・s(B型粘度計、20℃)の範囲となるようバインダー水溶液中の水溶性高分子物質の濃度を調整する。バインダー水溶液粘度が100mPa・s未満では混練工程において繊維質物質の分散が不十分となり、製品中にダマが発生しやすくなる。一方120000mPa・sを超えると混練に多大な動力を要し、また成形が困難になる。
【0010】
混練工程における繊維質物質量に対するバインダー水溶液量は繊維質物質100重量部に対しバインダー水溶液量が360〜710重量部となるように調整する。バインダー水溶液量が360重量部未満の場合、混練工程での繊維質物質の分散が不十分となり、製品中にダマが発生しやすくなる。一方バインダー水溶液量が710重量部を超えると、乾燥工程負荷が大きくなり製品コストが上昇する。
【0011】
また、繊維質物質に対する水溶性高分子バインダー量は、紙などの繊維質物質100重量部に対して、乾燥重量で10〜60重量部混合するのが好ましい。10重量部よりも少ないと、繊維質物質の接着強度が低下し、製品発泡成形体強度が低下すると共に製品の表面にアバタ状の窪みが発生しやすくなる。一方、60重量部を超えると、発泡物の粘性が著しく増加し、発泡機への供給が困難となる。
【0012】
また、前記混練工程に設けられる混練機としては、例えばパドル攪拌機またはスクリュー攪拌機を設けた混練機やスクリューニーダなどを採用することができる。
【0013】
本発明の混練物に適宜に混合される添加剤としては、架橋剤(架橋促進剤)、柔軟化剤、離型剤、界面活性剤、抗菌剤、PH調整剤、PH緩衝剤、発泡剤、防カビ剤、着色剤、漂白剤、酸化防止剤、耐候剤(耐光剤)、難燃剤および充填剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよく、製品の用途にあわせて、添加剤の種類および添加量を適宜に設定して添加することにより、最適な製品を製造することができる。しかしながら、これらの添加物は、本発明において必須のものではない。
【0014】
架橋剤としては、例えばトランスグルタミナーゼに代表される架橋促進酵素、アルデヒド化合物であるホルマリン、アセトアルデヒド、グルタルアルデヒド、硫酸アルミニウムカリウム、ホウ砂、ホウ酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
通常、架橋剤の添加量は、バインダー100重量部に対して好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは4〜10重量部であり、バインダー水溶液粘度100mPa・s〜120000mPa・s(B型粘度計、20℃)の範囲内で調整する。架橋剤の添加量が1重量部よりも少ないと、添加しない場合に比べて好ましいものの、架橋による製品形状安定効果が低下し、製品発泡成形体の収縮率が大きくなる傾向がある。一方、20重量部よりも多いと、バインダー水溶液の粘度が著しく増加あるいは凝固するため、成形が困難となる。
【0015】
柔軟化剤は、成形体に弾力性を与えるために使用される。例えばグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンなど、もしくはこれらのいずれかにショ糖を加えたものが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
柔軟化剤の添加量は、繊維質物質100重量部に対して好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは15〜80重量部である。柔軟化剤添加量が5重量部未満の場合は、添加しない場合に比べて好ましいものの、製品(発泡成形体)が硬く、クッション性や緩衝性が少なくなり、また乾燥時に製品が反ったり、脆くなったりする傾向がある。一方、100重量部を超えると製品(発泡成形体)の柔軟性、クッション性は増すが、製品の密度が増加しコスト高を招き、また湿り気感のある製品となる。
【0016】
また、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(第一工業製薬(株)製の商品名ハイテノール)、アルキル硫酸ナトリウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシンなどが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。界面活性剤、特にハイテノールを添加することにより、混練物や発泡成形体の発泡度合いを高めるという効果が得られる。この場合、界面活性剤の添加量は、バインダーや繊維質物質に対して適宜定められるが、混練物中の繊維質物質100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部程度である。
界面活性剤には、液状、ペースト状、顆粒状の物があり、顆粒状の界面活性剤を、予め所定の比率で顆粒状のバインダーと混合しておき、バインダーの水溶液溶解で同時に液状にする方法も採れる。
【0017】
また澱粉、アルギン酸塩、アラビアゴム、にかわ、ゼラチン、卵白等の天然水溶性高分子物質をバインダーに用いる場合、腐敗を防止するため抗菌剤を用いることが望ましい。抗菌剤としてはソルビン酸カリウム、イソプロピルメチルフェノール、サリチル酸などが挙げられるが、特にソルビン酸カリウムが好ましい。ソルビン酸カリウムなどの抗菌剤を添加すると、得られる発泡成形体に抗菌性を付与することができる。抗菌剤の添加量は、バインダー100重量部に対し、通常、0.7〜3重量部、好ましくは1〜2重量部程度である。0.7重量部未満では、添加しない場合に比べて好ましいものの、得られる発泡成形体を環境悪下の湿式状態において、かびが発生しやすくなる傾向があり、一方、3重量部を超えても、効果が頭打ちになるばかりか、経済的ではない。
【0018】
また混練物のPHを一定の範囲に制御するために、他の添加剤に加えてPH調整剤、PH緩衝剤をさらに添加することが可能である。PH調整剤としては、酸性方向に調整するには塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸など、アルカリ性方向に調整するには水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。またPH緩衝剤としては、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、フタル酸水素カリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
発泡剤としては、重曹、アジ化ナトリウム、アゾジカルボン酸アミドなどが挙げられる。好ましくは重曹である。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記繊維質物質とバインダー水溶液との混練方法は、一度に繊維質物質の全量を水溶液と混合して混練しても、繊維質物質の一部を水溶液と混合したのち、残りの繊維質物質を混合して混練してもよいが、混練機内に水溶液を充填し、この水溶液中に繊維質物質を攪拌しながら、徐々に添加して混練するのが、少ない水量や少ないバインダーの使用量で均一かつ容易に混練できるため好ましい。
【0020】
混練物の密度は、0.1〜0.7g/cm3が好ましい。発泡密度が、0.1g/cm3よりも低いと、乾燥後の成形体の強度が弱くなり、一方、0.7g/cm3よりも高いと、成形体の密度が重くなるとともに緩衝材として使用される場合に緩衝効果が低くなる。
乾燥後の成形体の密度(絶乾密度)(温度80℃、相対湿度7〜8%の条件における恒温時密度)は低いほど好ましいが、前記の発泡密度に設定することにより、絶乾密度が0.05〜0.6g/cm3程度の、強度が比較的高い良好な成形体を得ることができる。
【0021】
本発明の発泡成形体は古紙などの繊維質物質とバインダー材料から成る多孔質体であり、その圧縮硬さ(JIS K6767準拠)は、圧縮歪み25%において、好ましくは0.1〜50Ncm−2である。圧縮硬さが0.1Ncm−2未満であると、発泡成形体を緩衝材等に応用した場合に、必要な緩衝性能を発揮させるための緩衝材厚みを増やさなければならなくなる。一方、50Ncm−2を超えると、発泡成形体を緩衝材等に応用する場合に、材料が硬すぎてクッション性が発揮されなくなる。
本発明において、圧縮硬さはJIS K6767に準拠し、(株)山電製クリープメータRE2−33005を使用して、試験片サイズは長さ25×幅25×厚さ20mmとし、直径40mmの円盤形圧縮プランジャーにて厚さ方向に圧縮速度0.5mm/秒で初期厚さの25%まで圧縮し、その時のプランジャーにかかる荷重を測定し、プランジャー面積で除して、得られた値を示す。
【0022】
乾燥工程に設けられる乾燥機としては、例えば、成形品を棚の上に載置して自然乾燥させる棚載置自然乾燥機、成形品をヒータの熱によって加熱乾燥させる加熱乾燥機、温風によって加熱乾燥させる温風乾燥機、乾燥室内を負圧状態として乾燥させる減圧乾燥機、フリーズドライ方式の凍結乾燥機などを採用することができる。そのほか、マイクロ波照射乾燥機、除湿乾燥機などであってもよい。
【0023】
なお、前記加熱乾燥における乾燥温度は、従来の製造方法では、バインダーとして混合されるゼラチンが溶け出すため、40℃以下で行われていた。しかし、本発明では、製造方法が相違し、空気の混合量が多く、均一に発泡させることができ、バインダーとして混合されるポリビニルアルコールなどが溶け出すことがないため、乾燥温度は、通常、60〜150℃でよく、好ましくは、70〜100℃である。乾燥温度が60℃よりも低いと、乾燥に時間がかかり過ぎると共に成形体の収縮率が大きくなり、一方、150℃よりも高くなると、成形体に含有された各種の成分における組成変化が起こり、柔軟性が低くなる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0025】
(実施例1)バインダーとしてポリビニルアルコール(平均重合度:1,000、けん化度:86〜90モル%)25gを室温にて水175gへ分散した後、この分散液を攪拌しながら85℃まで加熱しポリビニルアルコールを溶解しバインダー水溶液を得た。バインダー水溶液粘度は363mPa・s(B型粘度計スピンドルNo.2、60rpm、20℃)であった。その後バインダー水溶液をホイッパーを備えたミキサー((株)愛工舎製作所製KM−230)のボールへ注ぎ、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(第一工業製薬(株)製の商品名ハイテノール)0.5gをバインダー水溶液へ添加した。次いで解繊した雑誌古紙(乾式解繊機により解繊し、目開きが1〜15mmのスクリーンを通過したもの)50gを加え、ホイッパー公転120rpm、ホイッパー自転410rpmにて7分間攪拌混合し、気泡を含んだ混練物を得た。この混練物を15cm×10cm×2cmの大きさのポリプロピレン製容器へ充填し、100℃の熱風乾燥機中で300分乾燥を行った。得られた発泡体はダマが無く、製品密度0.33g/cm3、圧縮硬さは31.1N/cm2であった。
【0026】
(実施例2)バインダーとしてポリビニルアルコール(平均重合度:1,000、けん化度:86〜90モル%)15gを室温にて柔軟化剤としてグリセリン50gを含む水140gへ分散した後、この分散液を攪拌しながら85℃まで加熱しポリビニルアルコールを溶解しバインダー水溶液を得た。バインダー水溶液粘度は162mPa・s(B型粘度計スピンドルNo.2、60rpm、20℃)であった。その後バインダー水溶液をホイッパーを備えたミキサー((株)愛工舎製作所製KM−230)のボールへ注ぎ、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)2.5gをバインダー水溶液へ添加した。次いで無灰パルプ(アドバンテック東洋(株)製)50gを加え、ホイッパー公転120rpm、ホイッパー自転410rpmにて7分間攪拌混合し、気泡を含んだ混練物を得た。この混練物を15cm×10cm×2cmの大きさのポリプロピレン製容器へ充填し、100℃の熱風乾燥機中で300分乾燥を行った。得られた発泡体はダマが無く、製品密度0.24g/cm3、圧縮硬さは1.5N/cm2であった。
【0027】
(実施例3)バインダーとしてポリビニルアルコール(平均重合度:3,500、けん化度:86〜90モル%)25gを室温にて柔軟化剤としてグリセリン50gを含む水125gへ分散した後、この分散液を攪拌しながら85℃まで加熱しポリビニルアルコールを溶解しバインダー水溶液を得た。バインダー水溶液粘度は114,300mPa・s(B型粘度計スピンドルNo.4、3rpm、20℃)であった。その後バインダー水溶液をホイッパーを備えたミキサー((株)愛工舎製作所製KM−230)のボールへ注ぎ、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)1.5gをバインダー水溶液へ添加した。次いで解繊した雑誌古紙(乾式解繊機により解繊し、目開きが1〜15mmのスクリーンを通過したもの)50gを加え、ホイッパー公転120rpm、ホイッパー自転410rpmにて7分間攪拌混合し、気泡を含んだ混練物を得た。この混練物を15cm×10cm×2cmの大きさのポリプロピレン製容器へ充填し、100℃の熱風乾燥機中で300分乾燥を行った。得られた発泡体はダマが無く、製品密度0.50g/cm3、圧縮硬さは11.9N/cm2であった。
【0028】
(比較例1)バインダーとしてゼラチン(ホクヨー(株)製PG−150)18.5gを、室温にて柔軟化剤としてグリセリン37.5gおよび抗菌剤としてソルビン酸カリウム0.185gを含む水323gへ分散した後、この分散液を攪拌しながら60℃まで加熱しゼラチンを溶解しバインダー水溶液を得た。バインダー水溶液粘度は約30mPa・s(B型粘度計スピンドルNo.2、60rpm、20℃)であった。その後バインダー水溶液をホイッパーを備えたミキサー((株)愛工舎製作所製KM−230)のボールへ注ぎ、界面活性剤としてハイテノール(第一工業製薬(株)製)0.15gをバインダー水溶液へ添加した。次いで解繊した段ボール古紙(乾式解繊機により解繊し、目開きが1〜15mmのスクリーンを通過したもの)50gおよび架橋剤として硫酸アルミニウムカリウム0.875gを加えホイッパー公転120rpm、ホイッパー自転410rpmにて7分間攪拌混合し、気泡を含んだ混練物を得た。この混練物を15cm×10cm×2cmの大きさのポリプロピレン製容器へ充填し、80℃の熱風乾燥機中で300分乾燥を行った。得られた発泡体はダマが多く発生し、製品密度0.10g/cm3、圧縮硬さは2.73N/cm2であった。
【0029】
(比較例2)バインダーとしてゼラチン(ホクヨー(株)製PG−180)18.5gを、室温にて柔軟化剤としてグリセリン37.5gおよび抗菌剤としてソルビン酸カリウム0.185gを含む水323gへ分散した後、この分散液を攪拌しながら60℃まで加熱しゼラチンを溶解しバインダー水溶液を得た。バインダー水溶液粘度は約40mPa・s(B型粘度計スピンドルNo.2、60rpm、20℃)であった。その後バインダー水溶液をホイッパーを備えたミキサー((株)愛工舎製作所製KM−230)のボールへ注ぎ、界面活性剤としてハイテノール(第一工業製薬(株)製)0.15gをバインダー水溶液へ添加した。次いで解繊した段ボール古紙(乾式解繊機により解繊し、目開きが1〜15mmのスクリーンを通過したもの)50gおよび架橋剤として硫酸アルミニウムカリウム0.875gを加え、ホイッパー公転120rpm、ホイッパー自転410rpmにて7分間攪拌混合し、気泡を含んだ混練物を得た。この混練物を15cm×10cm×2cmの大きさのポリプロピレン製容器へ充填し、80℃の熱風乾燥機中で520分乾燥を行った。得られた発泡体は表面に割れや穴があり、製品密度0.13g/cm3、圧縮硬さは4.90N/cm2であった。
【0030】
(実施例1−3の効果)
以上のとおり、実施例1−3により製造された発泡成形体は、比較例1,2に比べて、表面にアバタ状の窪みが発生せず、製品外観を損なわれず、しかも、内部に空洞が発生しにくく、また、強度も高く、生分解性にも優れた発泡成形体であった。さらに、実施例1−3の製造方法により、製品の発泡成形体の密度をコントロールすることができ、発泡成形体の低密度化が図れることなどから、歩留まりを向上できるため、弾力性能に優れた緩衝材などを経済的かつ連続的に多量生産することができる。
【0031】
さらに実施例1−3により製造された発泡成形体は、紙などとバインダとの混合した多孔質体であるゆえ、断熱材や吸音材の用途で、従来の化学樹脂発泡材と変わらない機能を有し、各種の梱包用緩衝材、自動車の座席シート、断熱材、吸音材、装丁用表紙、マウスパッド、養生シート、壁紙、農業用マルチシート、育苗箱、育苗ポット、保温箱などに好適な材料として使用できる。さらに、実施例1−3により製造された発泡成形体は、焼却しても有害物質が発生しないため、環境保護の観点からも優れている。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、繊維質物質から発泡成形体を製造するにあたり、発泡成形体のダマ発生を防止し、製品の歩留まりを高めることができ、また、製品の低密度化を図って、弾力性能に優れた緩衝材などとして用いられる発泡成形体およびその製造方法を提供することができる。
Claims (5)
- 繊維質物質と、B型粘度計による20℃の粘度が100mPa・s〜120000mPa・sである水溶性高分子バインダーの水溶液とを混練して混練物を製造する混練工程と、該混練工程で混練された混練物を発泡させて発泡物を製造する発泡工程と、該発泡工程で発泡された発泡物を所定の形状に成形して成形体を製造する成形工程と、該成形工程で成形された成形体を乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
- 前記混練工程で前記繊維質物質100重量部に対し前記バインダーを乾燥重量で10〜60重量部混練することを特徴とする請求項1記載の発泡成形体の製造方法。
- 前記混練工程で前記繊維質物質100重量部に対し前記バインダーの水溶液を360〜710重量部混練することを特徴とする請求項1または2記載の発泡成形体の製造方法。
- 前記バインダー水溶液に、さらに架橋促進剤、柔軟化剤、離型剤、界面活性剤、抗菌剤、PH調整剤、PH緩衝剤、発泡剤、防カビ剤、着色剤、漂白剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤および充填剤の群から選ばれた少なくとも1種を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡成形体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡成形体の製造方法により製造された発泡成形体であって、圧縮硬さが、圧縮歪み25%にて0.1〜50Ncm−2であることを特徴とする発泡成形体。
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