JP2001234012A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2001234012A JP2000048529A JP2000048529A JP2001234012A JP 2001234012 A JP2001234012 A JP 2001234012A JP 2000048529 A JP2000048529 A JP 2000048529A JP 2000048529 A JP2000048529 A JP 2000048529A JP 2001234012 A JP2001234012 A JP 2001234012A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性、透明性、耐衝撃性、耐光性、成形
性、及び熱安定性に優れたゴム変性スチレン系難燃性樹
脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)スチレン系単量体、(メタ)アク
リル酸エステル系単量体、及びこれらの単量体と共重合
可能なビニル系単量体からなるスチレン−(メタ)アク
リル酸エステル系重合体の連続相と、ゴム状弾性体にス
チレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体のグラフ
ト枝がグラフトした分散相とからなるゴム変性スチレン
系樹脂で、かつゴム成分量が該樹脂中の5〜20質量%
であるゴム変性スチレン系樹脂100重量部に対して、
(B)ハロゲン含有リン酸エステル3〜13重量部、及
び(C)リン系安定剤0.5〜7重量部を含有する難燃
性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性、透明性、
耐衝撃性、耐光性、成形性、熱安定性に優れたスチレン
系樹脂の難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、透明性、成形性、剛
性に優れた樹脂であることから、家庭用品、電気製品、
包装等の成形材料として広く用いられてきた。利用分野
が拡大するに従い、様々な特性が要求されてきた。これ
らの用途で、電気製品に用いられる樹脂には耐衝撃性等
の機械的強度以外にUL(米国)、CSA(カナダ)、
電気用品取締法(日本)、IEC等の規格に定められた
難燃性が要求される。スチレン系樹脂の難燃化の手法と
しては難燃剤等の添加が最も一般的であるが、必要な難
燃性を確保するには、多量に難燃剤を添加する必要があ
り衝撃強度の低下が著しく、このためベースとなる樹脂
は衝撃強度に優れるHIPSやABS樹脂が用いられ
る。HIPSやABS樹脂は一般に不透明であり、また
添加する難燃剤も透明性を維持できるものと限らないた
め、スチレン系樹脂を難燃化する場合、スチレン系樹脂
の特徴の一つである透明性については犠牲とされる場合
が多かった。
【0003】スチレン系樹脂の透明で難燃性を有する樹
脂としては、スチレン−アクリロニトリル共重合体にテ
トラブロモビスフェノールAを添加することにより透明
性を維持したまま難燃性を付与できることが知られてい
るが、この樹脂は耐衝撃性、熱安定性、耐光性に劣るた
め適用される用途に制限があった。またスチレン系樹脂
以外の透明難燃性樹脂の従来の技術としてはポリメチル
メタクリレートの透明難燃化技術が知られているが、や
はり耐衝撃性が低いという欠点がある。また耐衝撃性に
優れた透明難燃性樹脂としてはポリカーボネート系難燃
性樹脂が知られているが、成形性が非常に劣るため大型
成形物への適用が困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題を解
決し難燃性、透明性、耐衝撃性、成形性、耐光性優れた
難燃性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる目
的を果たすべく鋭意研究を重ねた結果、特定のゴム変性
スチレ系樹脂とハロゲン含有リン酸エステルとリン系安
定剤を組み合わせることにより、透明性と耐衝撃性に優
れた難燃性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0006】すなはち、本発明は下記の(A)ゴム変性
スチレン系樹脂100質量部に対して(B)ハロゲン含
有リン酸エステル3〜13質量部、(C)リン系安定剤
0.5〜7質量部を含有する難燃性樹脂組成物で、
(A)ゴム変性スチレン系樹脂は、(a)グラフト共重
合体を主体とした分散相と連続相をなすマトリックス樹
脂とからなり、かつ(b)グラフト共重合体は、ゴム状
弾性体にスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量
体と共重合可能なビニル系単量体からなるスチレン−
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体のグラフト枝が
グラフトした重合体で、(c)マトリックス樹脂は、ス
チレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量
体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重
合可能なビニル系単量体からなるスチレン−(メタ)ア
クリル酸エステル系共重合体であって、(d)ゴム含有
量がゴム変性スチレン系樹脂中の5〜20質量%であ
る。
【0007】好ましくは、(A)ゴム変性スチレン系樹
脂を構成するグラフト共重合体を主体とした分散相が、
その粒子径分布曲線において0.05〜0.5μmの範
囲に少なくとも一つのピーク位置を有すること、更に粒
子径分布曲線において0.05〜0.5μmの小粒子範
囲及び0.5より大きく3.5μm以下の大粒子範囲に
ピーク位置を有するものが好ましい。特に、(A)ゴム
変性スチレン系樹脂が、下記のスチレン系重合体(a
1)95〜50質量%とスチレン系重合体(a2)5〜
50質量%とからなるものが好ましい。即ち、そのスチ
レン系重合体(a1)は、ゴム状弾性体の存在下或いは
非存在下で、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの
単量体と共重合可能なビニル系単量体からなる単量体混
合物を重合してなる共重合体で、かつゴム含有量が0〜
10質量%であるスチレン系重合体であり、スチレン系
重合体(a2)は、ゴム状弾性体存在下で、スチレン系
単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必
要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビ
ニル系単量体からなる単量体混合物を重合してなる共重
合体で、かつゴム含有量が20〜60質量%であるスチ
レン系重合体である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
難燃性樹脂組成物を構成する(A)ゴム変性スチレン系
樹脂はグラフト共重合体を主体とした分散相と連続相を
なすマトリックス樹脂とからなる。まず本発明で使用さ
れるゴム変性スチレン系樹脂の分散相を構成するグラフ
ト共重合体について説明する。グラフト共重合体はゴム
状弾性体にスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単
量体と共重合可能なビニル系単量体からなるスチレン−
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体のグラフト枝が
グラフトした重合体である。
【0009】ゴム状弾性体には共役ジエン又は共役ジエ
ンを主成分とするポリブタジエン、ポリイソプレン、ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタ
ジエンランダム共重合体があげられ、これらを1種類以
上を混合して用いても良い。より好ましいものとして
は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン
−ブタジエンランダム共重合体のスチレン−ブタジエン
共重合体類である。
【0010】スチレン−ブタジエン重合体類としては、
スチレンとブタジエンの質量比は15〜60:85〜4
0であることが、(A)ゴム変性スチレン系樹脂及び難
燃性樹脂組成物の良好な透明性を得るために好ましい。
【0011】グラフト枝を成すスチレン系単量体は、ス
チレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p
−t−ブチルスチレン等を挙げることができるが、好ま
しくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単
独で用いてもよいが2種類以上を併用してもよい。
【0012】また(メタ)アクリル酸エステル系単量体
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルア
クリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等が
あげられるが、好ましくはメチルメタリレート、または
n−ブチルアクリレートである。これらの(メタ)アク
リル酸エステル系単量体は単独で用いてもよいが2種類
以上を併用してもよい。
【0013】更に、必要に応じて用いられるこれらの単
量体と共重合可能なビニル系単量体としては、アクリル
酸、メタアクリル酸、アクリロニトリル、メタアクリロ
ニトリル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシ
ルマレイミド等があげられる。
【0014】つぎに、本発明で使用される(A)ゴム変
性スチレン系樹脂の連続相を形成する重合体について説
明する。 (A)ゴム変性スチレン系樹脂の連続相は、スチレン系
単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必
要に応じてこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量
体からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共
重合体である。
【0015】該共重合体を成すスチレン系単量体には、
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
p−t−ブチルスチレン等を挙げることができるが、好
ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、
単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0016】また、(メタ)アクリル酸エステル系単量
体とは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブ
チルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレー
ト等があげられるが、好ましくはメチルメタリレートま
たはn−ブチルアクリレートである。これらの(メタ)
アクリル酸エステル系単量体は単独でも2種類以上を併
用してもよい。
【0017】更に、必要に応じて用いられるこれらの単
量体と共重合可能なビニル系単量体としては、アクリル
酸、メタアクリル酸、アクリロニトリル、メタアクリロ
ニトリル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシ
ルマレイミド等があげられる。
【0018】(A)ゴム変性スチレン系樹脂を形成する
グラフト共重合体のグラフト枝及びマトリックス樹脂の
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体にお
いて、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル
系単量体の質量比は35〜75:65〜25が好まし
く、特に好ましくは42〜59:58〜41である。ス
チレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体
の質量比が35〜75:65〜25の範囲外では、
(A)ゴム変性スチレン系樹脂及び難燃性樹脂組成物の
透明性が低下するので好ましくない。またこれらの単量
体と共重合可能なビニル系単量体は、単量体混合物中0
〜10質量%存在が好ましい。10質量%を超えると
(A)ゴム変性スチレン系樹脂及び難燃性樹脂組成物の
透明性が低下するので好ましくない。
【0019】(A)ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム含
有量は5〜20質量%が好ましい、更に好ましくは5〜
15質量%、特に好ましくは5〜12質量%である。ゴ
ム含有量が5質量%より少ないと衝撃強度が低く、また
20質量%を越えると透明性に劣るので好ましくない。
なお、ここでゴム変性スチレン系樹脂中のゴム含有量と
は、実質的にゴム状弾性体の主成分を成す共役ジエンの
成分量をいうものとする。
【0020】また、(A)ゴム変性スチレン系樹脂のグ
ラフト共重合体を主体とする分散相の粒子径について
は、その粒子径分布曲線(粒子径と体積頻度の分布)に
おけるピーク位置が少なくとも一つ0.05〜0.5μ
mの範囲にあることが好ましく、更に0.05〜0.5
μmの小粒子範囲と0.5より大きく3.5μm以下の
大粒子範囲にピーク位置を有することが特に好ましい。
分散相の粒子径分布のピーク位置が0.05μm未満で
は、衝撃強度発現効果が小さく好ましくない。また、
3.5μmを越える大粒子が多いと透明性が低下するの
で好ましくない。
【0021】更に(A)ゴム変性スチレン系樹脂におけ
る連続相、分散相の屈折率の差が0.02以内であるこ
とが透明性の観点から好ましく、更に好ましくは0.0
1以下である。なお、屈折率の測定法はトルエン10g
に(A)ゴム変性スチレン系樹脂1gを投入し分散させ
た後、遠心分離器を用いて可溶分(連続相)と不溶分に
分離する。不溶分にはメタノール10gを更に加え析出
させた後、濾過、乾燥後フィルムとする。連続相を含む
トルエン溶液及び分散相に由来するフィルムをアッベ式
屈折計を用い温度25℃の条件で測定しそれぞれの差を
算出して求めることができる。
【0022】これまで詳述した(A)ゴム変性スチレン
系樹脂の好ましい実施態様としては、2種類のスチレン
系重合体(a1)及び(a2)をそれぞれ別々に重合し
たものを混合して製造することができる。
【0023】スチレン系重合体(a1)は、ゴム状弾性
体の存在下或いは非存在下で、スチレン系単量体、(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用
いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体
からなる単量体混合物を重合してなる共重合体である。
【0024】ゴム状弾性体には、共役ジエン又は共役ジ
エンを主成分とするポリブタジエン、ポリイソプレン、
スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブ
タジエンランダム共重合体があげられ、これらを1種類
以上を混合して用いても良い。より好ましいものとして
は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン
−ブタジエンランダム共重合体のスチレン−ブタジエン
共重合体類である。
【0025】スチレン−ブタジエン重合体類としては、
スチレンとブタジエンの質量比は15〜60:85〜4
0であることが、(A)ゴム変性スチレン系樹脂及び難
燃性樹脂組成物の良好な透明性を得るために好ましい。
【0026】スチレン系重合体(a1)中のゴム含有量
は0〜10質量%であることが好ましく、更に好ましく
は0〜8質量%、特に好ましくは0〜6質量%である。
ゴム含有量が10質量%を越えると流動性と透明性が低
下する傾向にある。
【0027】また、使用されるスチレン系単量体、(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用
いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体
は、前記した単量体をそれぞれ使用することが出来る。
スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量
体の質量比は35〜75:65〜25が好ましく、特に
好ましくは42〜59:58〜41である。スチレン系
単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の質量比
が35〜75:65〜25の範囲外では、スチレン系重
合体(a2)と混合した場合に透明性が低下するので好
ましくない。
【0028】なお、スチレン系重合体(a1)の重合時
に、ゴム状弾性体が存在する場合には前記の単量体混合
物がグラフトしたグラフト共重合体と単量体混合物から
なる未グラフトの共重合体の混合物が一般的であるが、
重合方法、又は精製方法によってはグラフトしたグラフ
ト共重合体のみ、あるいはグラフトしたグラフト共重合
体、未グラフフトの共重合体、及び未グラフトのゴム状
弾性体の混合物である場合もある。なお、未グラフトの
共重合体、及びゴム状弾性体の非存在下での重合体は、
分散相をなすスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系
共重合体となる。
【0029】従って、スチレン系重合体(a1)の重合
時に、ゴム状弾性体が存在する場合には、重合過程で共
存する単量体混合物とグラフト共重合体を形成し、マト
リックス樹脂中に分散相を形成するのが一般的である。
この場合、分散相の粒子径は、その粒子径分布曲線にお
いて0.5〜3.5μmの範囲に最頻度径のピーク位置
を持つことが好ましい。更に好ましくは0.6〜2.5
μm、特に好ましくは0.7〜2.0μmである。分散
粒子径の最頻度径ピーク位置が0.5μm未満では衝撃
強度が低く、3.5μmを越えると透明性が低下する傾
向にあるので好ましくない。
【0030】また、スチレン系重合体(a1)における
連続相と分散相の屈折率の差が0.02以内であること
が透明性の観点から好ましく、更に好ましくは0.01
以下である。
【0031】スチレン系重合体(a1)の重合方法とし
ては、スチレン系樹脂の製法で常用されている塊状重合
法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が用いられ
る。また、回分式重合法、連続式重合法のいずれの方法
も用いることができる。ゴム状弾性体を用いる場合は、
スチレン系単量体と共役ジエン、又は共役ジエンを主体
とするゴム状弾性体を、スチレン系単量体、(メタ)ア
クリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられ
るこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体に溶解
させ塊状重合、塊状−懸濁重合又は溶液重合することに
より得られる。
【0032】これらの重合法に用いられる重合開始剤と
してアゾビスブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサン
カルボニトリル等のアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル
−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等
の有機過酸化物を用いることができる。また、分子量調
整剤としてt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメ
ルカプタン、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン
−1を、可塑剤としてブチルベンジルフタレート等を必
要に応じて添加してもよい。
【0033】次に、スチレン系重合体(a2)について
説明する。スチレン系重合体(a2)は、ゴム状弾性体
の存在下で、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの
単量体と共重合可能なビニル系単量体からなる単量体混
合物を重合してなるスチレン−(メタ)アクリル酸エス
テル系共重合体である。
【0034】また、ゴム状弾性体は、前記したゴム状弾
性体をそれぞれ使用することが出来る。即ち、共役ジエ
ン又は共役ジエンを主成分とするポリブタジエン、ポリ
イソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、
スチレン−ブタジエンランダム共重合体があげられ、こ
れらを1種類以上を混合して用いても良い。より好まし
いものとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体のスチレン
−ブタジエン共重合体類である。
【0035】スチレン系重合体(a2)中のゴム含有量
は20〜60質量%であることが好ましい。更に好まし
くは25〜55質量%、特に好ましくは29〜50質量
%である。ゴム含有量が20質量%未満では強度補強効
果が小さく、60質量%を越えるとスチレン系重合体
(a1)と混合した場合に透明性が低下する。
【0036】また、スチレン系単量体、(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこ
れらの単量体と共重合可能なビニル系単量体は、前記し
た単量体をそれぞれ使用することが出来る。また、スチ
レン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の
質量比は35〜75:65〜25が好ましく、特に好ま
しくは42〜59:58〜41である。スチレン系単量
体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の質量比が3
5〜75:65〜25の範囲外では、スチレン系重合体
(a1)と混合した場合に透明性が低下するので好まし
くない。
【0037】スチレン系重合体(a2)のゴム状弾性体
は、スチレン系重合体(a1)におけるゴム状弾性体存
在下での重合と同様に、重合過程で共存する単量体混合
物とグラフト共重合体を形成し、マトリックス樹脂中に
分散相として存在するのが一般的である。分散相の粒子
径は、その粒子径分布曲線において0.05〜0.5μ
mの範囲に最頻度径ピーク位置を持つことが好ましい。
更に好ましくは0.08〜0.4μm、特に好ましくは
0.08〜0.35μmである。分散粒子径の最頻度径
ピーク位置が0.05μm未満ではゴム変性スチレン系
樹脂及び難燃性樹脂組成物の衝撃強度発現効果が小さく
なり、また0.5μmを越えると衝撃強度の発現には効
果があるが、透明性は低下する傾向にあるので好ましく
ない。
【0038】また、スチレン系重合体(a2)における
連続相と分散相の屈折率の差が0.02以内であること
が透明性の観点から好ましく、更に好ましくは0.01
以下である。
【0039】スチレン系重合体(a2)の製造法として
は、スチレン系樹脂の製法で常用されている塊状重合
法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が用いられ
る。また、回分式重合法、連続式重合法のいずれの方法
も用いることができる。好ましい製造法としては、スチ
レン系単量体と共役ジエン、又は共役ジエンを主体とし
て得たゴム状弾性体が存在したラテックスにスチレン系
単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及びそ
の他重合可能な単量体を乳化重合させて得られる。
【0040】これらの重合法に用いられる重合開始剤と
してアゾビスブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサン
カルボニトリル等のアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル
−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等
の有機過酸化物を用いることができる。また、分子量調
整剤としてt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメ
ルカプタン、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン
−1を、可塑剤としてブチルベンジルフタレート等を必
要に応じて添加してもよい。
【0041】本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂
は、スチレン系重合体(a1)と(a2)の混合質量比
が95〜50:5〜50であることが好ましい。更に好
ましくは93〜55:7〜45、特に好ましくは90〜
60:10〜40である。スチレン系重合(a2)が5
質量%未満では衝撃強度が低く、50質量%を超えると
透明性が低下する傾向にある。
【0042】本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂
は、スチレン系重合体(a1)と(a2)からなるもの
が好ましく、樹脂中のゴム含有量が5〜20質量%であ
ることが必要である。
【0043】更に、透明性の観点からスチレン系重合体
(a1)及び(a2)における何れの連続相、分散相の
屈折率の差も0.02以内であることが好ましく、ま
た、得られた(A)ゴム変性スチレン系樹脂の連続相と
分散相の屈折率の差も0.02以内であることが好まし
く、更に好ましくは0.01以下である。
【0044】スチレン系重合体(a1)及び(a2)の
混合方法については特に規定はなく、予め溶融混合して
(A)ゴム変性スチレン系樹脂としてもよいし、難燃性
樹脂組成物の製造時にそれぞれ他の原料と溶融混合して
もよい。例えば、(A)ゴム変性スチレン系樹脂の溶融
混合方法としては、バンバリーミキサー、ヘシェルミキ
サー、タンブラー等の公知のブレンダーであらかじめ混
合し、単軸押出機、2軸押出機等の公知の押出機によっ
て溶融混練後ペレット化して用いることができる。
【0045】なお、本発明の(A)ゴム変性スチレン系
樹脂は必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、着色剤、帯電
防止剤、鉱油等も含有することができる。
【0046】次に、本発明の難燃性樹脂組成物に用いる
(B)ハロゲン含有リン酸エステルについて説明する。
本発明に用いるハロゲン含有リン酸エステルとしては、
トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリアリルホス
フェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリ
ス−β−クロロプロピルホスフェート、クロロアルキル
ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホス
フェート等があげられる。これらのハロゲン含有リン酸
エステルを単独もしくは併用使用することもできる。こ
れらのうち、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフ
ェートが特に好ましい。
【0047】(B)ハロゲン含有リン酸エステルの添加
量は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂100質量部に対
して3〜13質量部である。好ましくは3.5〜11質
量部である。(B)ハロゲン含有リン酸エステルの添加
量が3質量部より少ないと難燃性の確保、向上が期待で
きない。また、13質量部を越えると難燃性樹脂組成物
の耐衝撃性、耐光性、熱安定性の低下が著しい。
【0048】次に、本発明の難燃性樹脂組成物に用いる
(C)リン系安定剤について説明する。本発明で用いる
リン系安定剤としては、トリフェニルホスフェート、ト
リクレジルホスフェート、トリキシニルホスフェート、
トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ク
レジルフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジ
フェニルホスフェート)、2−エチルヘキシルジフェニ
ルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリア
リルホスフェート、芳香族リン酸エステル、ジエチル−
N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホ
スフェート、トリス(2,6)ジメチルフェニルホスフ
ェート、芳香族縮合リン酸エステル等のリン酸エステル
があげられる。これらの安定剤は単独もしくは併用使用
することもできる。これらのうち、トリフェニルホスフ
ェートが好ましい。
【0049】(C)リン系安定剤の添加量は、(A)ゴ
ム変性スチレン系樹脂100質量部に対して0.5〜7
質量部である。好ましくは1〜6質量部である。リン系
安定剤の添加量が0.5質量部より少ないと難燃性の確
保、向上が期待できない。また、7質量部を越えると難
燃性樹脂組成物の耐熱性の低下が著しい。
【0050】また(B)ハロゲン含有リン酸エステルと
(C)リン系安定剤の総量は4〜15質量部が好まし
く、更に5〜15質量部が好ましい。総添加量が4質量
部未満では必要な難燃性が確保できず、15質量部を越
えると衝撃強度の低下が著しい。
【0051】上記(A)ゴム変性スチレン系樹脂、
(B)ハロゲン含有リン酸エステル、及び(C)リン系
安定剤の混合方法には特に制約は無いが、例えばタンブ
ラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー等の公
知のブレンダーであらかじめ樹脂とハロゲン含有リン酸
エステル及びリン系安定剤を予備混合し、単軸押出機、
2軸押出機等の公知の押出機にて溶融混練後ペレット化
して難燃性樹脂組成物を得ることができる。
【0052】また、必要に応じて酸化防止剤、耐候剤、
滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油等の添加剤を
配合することもできる。
【0053】
【実施例】次に実施例をもって本発明を更に説明する
が、本発明はこれらの例によって限定されるものではな
い。
【0054】(1)スチレン系重合体(a1)の製造 a1−1:100Lのオートクレーブにスチレン42.
5質量%及びメチルメタクリレート57.5質量%の単
量体混合物100質量部に重合開始剤としてベンゾイル
パーオキサイド0.2質量部、分子量調整剤t−ドデシ
ルメルカプタン0.1質量部、懸濁安定剤ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを0.001質量部、第三リ
ン酸カルシウム0.5質量部、純水200質量部を仕込
み、温度95℃で6時間、130℃で2時間加熱重合さ
せた。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥してビーズ状のス
チレン系重合体a1−1を得た。
【0055】a1−2:100Lのオートクレーブ中
で、スチレン42.5質量%及びメチルメタクリレート
57.5質量%の単量体混合物100質量部にスチレン
−ブタジエン共重合体(スチレン含量25質量%、旭化
成社製商品名タフデン2000)5.0質量部を溶解
し、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.0
4質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン
0.2質量部を添加し、撹拌下に温度90℃で加熱し
た。重合転化率が30質量%に達した時に冷却して塊状
重合を停止した。次いで該反応混合液に新たに重合開始
剤としてジクミルパーオキサイドを0.2質量部を添加
した。純水200質量部にドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウムを0.001質量部、第三リン酸カリウム
0.5質量部を懸濁安定剤として添加し、撹拌下に混合
液を分散させた。反応後に温度100℃で2時間、11
5℃で3.5時間、130℃で2.5時間重合反応させ
た。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥してビーズ状のスチ
レン系重合体a1−2を得た。
【0056】a1−3:100Lのオートクレーブ中
で、スチレン61.0質量%及びメチルメタクリレート
39.0質量%の単量体混合物100質量部にスチレン
−ブタジエンブロック共重合体(スチレン含量40質量
%、旭化成社製商品名アサプレン670A)5.0質量
部を溶解し、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイ
ド0.04質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメル
カプタン0.2質量部を添加し撹拌下に温度90℃で加
熱した。重合転化率が30質量%に達した時に冷却して
塊状重合を停止した。次いで該反応混合液に新たに重合
開始剤としてジクミルパーオキサイドを0.2質量部を
添加した。純水200質量部にドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムを0.001質量部、第三リン酸カリウ
ム0.5質量部を懸濁安定剤として添加し、撹拌下に混
合液を分散させた。反応後に100℃で2時間、115
℃で3.5時間、130℃で2.5時間重合反応させ
た。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥してビーズ状のスチ
レン系重合体a1−3を得た。
【0057】a1−4:100Lのオートクレーブ中
で、スチレン58.5質量%、メチルメタクリレート3
6.0質量%及びn−ブチルアクリレート5.5質量%
の単量体混合物100質量部にスチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体(スチレン含量40質量%、旭化成社製
商品名アサプレン670A)を5質量部溶解し、重合開
始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.04質量部、
連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン0.2質量
部を添加し撹拌下に温度90℃に加熱した。重合転化率
が30質量%に達したとき冷却して塊状重合を停止し
た。次いで該反応混合液に新たに重合開始剤としてジク
ミルパーオキサイドを0.2質量部を添加した。純水2
00質量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを
0.001質量部、第三リン酸カリウム0.5質量部を
懸濁安定剤として添加し、撹拌下に混合液を分散させ
た。反応後に温度100℃で2時間、115℃で3.5
時間、130℃で2.5時間重合反応させた。反応終了
後、洗浄、脱水、乾燥してビーズ状のスチレン系重合体
a1−4を得た。
【0058】a1−5:a1−2製造過程で、スチレン
−ブタジエン共重合体(スチレン含量25質量%、旭化
成社製商品名タフデン2000)の溶解量を20質量部
に変更した以外はスチレン系重合体a1−2と同様に製
造し、スチレン系重合体a1−5を得た。得られたスチ
レン系重合体(a1)の物性を表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】(2)スチレン系重合体(a2)の製造 a2−1:100Lのオートクレーブにブタジエン46
質量部、スチレン19質量部、水150質量部、乳化剤
としてオレイン酸カリウム0.5質量部、重合開始剤と
してt−ブチルハイドロパーオキサイド0.13質量
部、ロンガリット0.03質量部、硫酸第一鉄0.00
2質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸−ナトリウム
0.003質量部、及びピロリン酸ナトリウム0.1質
量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン1.
0質量部を加え、温度45℃で17時間重合させた。得
られたゴムラテックスの体積平均粒子径は0.08μm
であった。これにナトリウムスルホサクシネート0.0
59質量部を加えて安定化した。更に、これに0.2質
量%塩化水素水溶液と2質量%水酸化ナトリウム溶液を
別々のノズルからラテックスのPHが8.0〜9.0を
保つように添加し、ラテックスを凝集肥大化させ、最頻
度径ピーク位置0.19μmのラテックスを得た。この
ゴムラテックスにスチレン12質量部、メチルメタクリ
レート23質量部、ジビニルベンゼン0.04質量部、
t−ブチルハイドロパーオキサイド0.08質量部を加
え、温度60℃で6時間反応させた。このラテックスに
t−ブチルフェノール0.5質量部、ジラウリルチオプ
ロピネート0.5質量部を添加した後、塩酸により析出
し、洗浄、脱水、乾燥して粉末状のスチレン系重合体a
2−1を得た。
【0061】a2−2:100Lのオートクレーブにブ
タジエン46質量部、スチレン19質量部、水150質
量部、乳化剤としてオレイン酸カリウム0.5質量部、
重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド
0.13質量部、ロンガリット0.03質量部、硫酸第
一鉄0.002質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸−
ナトリウム0.003質量部、及びピロリン酸ナトリウ
ム0.1質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカ
プタン1.0質量部を加え、温度45℃で17時間重合
させた。得られたゴムラテックスの体積平均粒子径は
0.08μmであった。これにナトリウムスルホサクシ
ネート0.059質量部を加えて安定化した。更に、こ
れに0.2質量%塩化水素水溶液と2質量%水酸化ナト
リウム溶液を別々のノズルからラテックスのPHが8.
0〜9.0を保つように添加し、ラテックスを凝集肥大
化させ最頻度径ピーク位置0.19μmのラテックスを
得た。このゴムラテックスにスチレン12質量部、メチ
ルメタクリレート20質量部、アクリロニトリル3質量
部、ジビニルベンゼン0.04質量部、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイド0.08質量部を加え、温度60℃
で6時間反応させた。このラテックスにt−ブチルフェ
ノール0.5質量部、ジラウリルチオプロピネート0.
5質量部を添加した後、塩酸により析出し、洗浄、脱
水、乾燥して粉末状のスチレン系重合体a2−2を得
た。
【0062】a2−3:100Lのオートクレーブにブ
タジエン46質量部、スチレン16質量部、水150質
量部、乳化剤としてオレイン酸カリウム0.5質量部、
重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド
0.13質量部、ロンガリット0.03質量部、硫酸第
一鉄0.002質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸−
ナトリウム0.003質量部、及びピロリン酸ナトリウ
ム0.1質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカ
プタン1.0質量部を加え、温度45℃で17時間重合
させた。得られたゴムラテックスの体積平均粒子径は
0.08μmであった。これにナトリウムスルホサクシ
ネート0.059質量部を加えて安定化した。更に、こ
れに0.2質量%塩化水素水溶液と2質量%水酸化ナト
リウム溶液を別々のノズルからラテックスのPHが8.
0〜9.0を保つように添加し、ラテックスを凝集肥大
化させ最頻度径ピーク位置0.19μmのラテックスを
得た。このゴムラテックスにスチレン8質量部、メチル
メタクリレート18質量部、n−ブチルアクリレート1
2質量部、ジビニルベンゼン0.04質量部、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイド0.08質量部を加え、温度
60℃で6時間反応させた。このラテックスにt−ブチ
ルフェノール0.5質量部、ジラウリルチオプロピネー
ト0.5質量部を添加した後、塩酸により析出し、洗
浄、脱水、乾燥して粉末状のスチレン系重合体a2−3
を得た。
【0063】a2−4及びa2−5:ゴム変性スチレン
系重合体(a2−1)製造においてゴムラテックスの凝
集条件を変更した以外は、a2−1と同様に製造し、ゴ
ム変性スチレン系重合体a2−4及びa2−5を得た。
得られたスチレン系重合体(a2)の物性を表2に示
す。
【0064】
【表2】
【0065】但し、表1、表2及び表3乃至表7に示す
樹脂物性は以下の方法で測定した。 1)スチレン系重合体(a1)及び(a2)のゴム分を
除く構成単位の割合:熱分解ガスクロマトグラフィー法
で測定した。 2)樹脂中のゴム含有量:臭素付加法で測定した。 3)分散相の粒子径分布曲線(体積分率)及び体積平均
粒子径:コールターカウンターで測定した。
【0066】(3)ハロゲン含有リン酸エステル ハロゲン含有リン酸エステルとして下記の(B1)を用
いた。 (B1):トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェ
ート(大八化学社製CR900) (4)リン系安定剤 リン系安定剤として下記の(C1)を用いた。 (C1):トリフェニルフォスフェート(大八化学社製
TPP) (5)また比較例に下記のハロゲン系難燃剤(D1)を
用いた。 (D1):テトラブロモビスフェノールA(GLC社製
BA−59)
【0067】(6)その他の添加剤は以下の2種類を用
いた。 (E1)錫系安定剤(三共有機合成社製STANN B
N(N)) (E2)滑剤:エチレンビスアマイド(花王社製EB−
P) (7)その他の比較樹脂として以下の樹脂を用いた。 GPPS:一般ポリスチレン(東洋スチレン社製GP−
1)
【0068】次に、本発明の難燃性樹脂組成物の製造に
ついて説明する。表3乃至表7に示す原料配合比で、タ
ンブラーを用い予備混練後、単軸押出機により下記の条
件にて溶融混練して難燃樹脂組成物を得た。得られた難
燃性樹脂組成物の難燃性及び各種評価結果を表3乃至表
7の下段に示す。 溶融混練条件: 単軸押出機;マクロス社製VSK−40、スクリュー径
40mm、L/D=28 運転条件; シリンダー設定温度:200℃ スクリュー回転数:80rpm 押し出し速度:15kg/h 樹脂温度:215℃
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
【表7】
【0074】実施例、比較例に示された各種測定は以下
の方法で実施した。 1)難燃性:UL−94垂直燃焼性試験に準拠し、1.
5mm及び3.0mmの厚さのテストピースにつき、燃
焼性を評価した。 2)アイゾット(Izod)衝撃強度:ASTM D−
256に準拠し、6.4mmの厚みのVノッチ付きテス
トピースを使用し温度23℃で測定した。 3)落錘衝撃強度:JIS K−7211に従い、90
mm×90mm×2mmの射出成形角板を使用し、温度
23℃、湿度50%RHの条件で50%破壊高さを測定
した。錘質量は500gである。 4)メルトフローレート(MFR):ASTM D−1
238に準拠し、温度220℃、98Nの荷重下で測定
した。 5)全光線透過率:2mm厚のサンプルを用いてAST
M D−1003に準じて測定した。 6)透明性:2mm厚の射出成形プレートを目視にて以
下のように4段階にランク分けして評価した。 ◎:曇りなく透明性良好 ○:若干曇るが透明性良好 △:曇りあり透明性に劣る ×:透明性が無い 7)耐光性:アトラス社製キセノンウエザーメータを用
い、照射強度0.35W/m2 ブラックパネル温度6
3℃、湿度50%で300時間照射前・後のテストプレ
ートの色相差△Eを、日本電色工業社製Σ80で測定し
た。 8)熱安定性:小型射出成形機(IS50EP/東芝機
械社製)で、樹脂組成物をシリンダー設定温度240℃
で20分滞留後、2mm厚プレートを成形し、滞留前の
テストプレートとの色相差を日本電色工業社製Σ80で
測定した。
【0075】
【発明の効果】本発明により、難燃性、透明性、耐衝撃
性、成形性、耐光性、熱安定性に優れたゴム変性スチレ
ン系難燃樹脂組成物を得ることができる。このようにし
て得られたゴム変性スチレン系樹脂の難燃性樹脂組成物
は、家電、OA機器部品等の幅広い用途に適用できる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)ゴム変性スチレン系樹脂1
    00質量部に対して(B)ハロゲン含有リン酸エステル
    3〜13質量部 (C)リン系安定剤0.5〜7質量部を含有することを
    特徴とする難燃性樹脂組成物。 (A)ゴム変性スチレン系樹脂は、(a)グラフト共重
    合体を主体とした分散相と連続相をなすマトリックス樹
    脂とからなり、(b)グラフト共重合体は、ゴム状弾性
    体にスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系
    単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と
    共重合可能なビニル系単量体からなるスチレン−(メ
    タ)アクリル酸エステル系共重合体のグラフト枝がグラ
    フトした重合体で、(c)マトリックス樹脂は、スチレ
    ン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及
    び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能
    なビニル系単量体からなるスチレン−(メタ)アクリル
    酸エステル系共重合体であって、(d)ゴム含有量がゴ
    ム変性スチレン系樹脂中の5〜20質量%である。
  2. 【請求項2】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂が、グラ
    フト共重合体を主体とした分散相の粒子径分布曲線にお
    いて0.05〜0.5μmの範囲に少なくとも一つのピ
    ーク位置を有することを特徴とする請求項1記載の難燃
    性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂が、グラ
    フト共重合体を主体とした分散相の粒子径分布曲線にお
    いて0.05〜0.5μmの小粒子範囲及び0.5より
    大きく3.5μm以下の大粒子範囲にピーク位置を有す
    ることを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂が、下記
    のスチレン系重合体(a1)95〜50質量%とスチレ
    ン系重合体(a2)5〜50質量%とからなることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の難燃性樹
    脂組成物。スチレン系重合体(a1)は、ゴム状弾性体
    の存在下或いは非存存在下で、スチレン系単量体、(メ
    タ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用
    いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体
    からなる単量体混合物を重合してなる共重合体であり、
    ゴム含有量が0〜10質量%であるスチレン系重合体
    で、スチレン系重合体(a2)は、ゴム状弾性体存在下
    で、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系
    単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と
    共重合可能なビニル系単量体からなる単量体混合物を重
    合してなる共重合体であり、ゴム含有量が20〜60質
    量%であるスチレン系重合体。
  5. 【請求項5】(A)ゴム変性スチレン系樹脂が、下記の
    スチレン系重合体(a1)95〜50質量%とスチレン
    系重合体(a2)5〜50質量%とからなることを特徴
    とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の難燃性樹脂
    組成物。スチレン系重合体(a1)が、ゴム状弾性体存
    在下で、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステ
    ル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量
    体と共重合可能なビニル系単量体からなる単量体混合物
    を重合してなるグラフト共重合体を含有した共重合体
    で、かつグラフト共重合体を主体とした分散相の粒子径
    分布曲線の最頻度径ピーク位置が0.5〜3.5μmに
    あり、更にゴム含有量が0.1〜10質量%であるスチ
    レン系重合体で、スチレン系重合体(a2)が、ゴム状
    弾性体存在下で、スチレン系単量体、(メタ)アクリル
    酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれ
    らの単量体と共重合可能なビニル系単量体からなる単量
    体混合物を重合してなるグラフト共重合体を含有した共
    重合体で、かつグラフト共重合体を主体とした分散相の
    粒子径分布曲線の最頻度径ピーク位置が0.05〜0.
    5μmにあり、更にゴム含有量が20〜60質量%であ
    るスチレン系重合体。
  6. 【請求項6】 ハロゲン含有リン酸エステルとしてトリ
    ス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートを用いる請
    求項1乃至5のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 リン系安定剤としてトリフェニルホスフ
    ェートを用いることを特徴とする請求項1乃至6のいず
    れか1項記載の難燃性樹脂組成物。
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