JP4819985B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性、透明性、耐衝撃性、耐光性、成形性、熱安定性に優れたスチレン系樹脂の難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂は、透明性、成形性、剛性に優れた樹脂であることから、家庭用品、電気製品、包装等の成形材料として広く用いられてきた。利用分野が拡大するに従い、様々な特性が要求されてきた。
これらの用途で、電気製品に用いられる樹脂には耐衝撃性等の機械的強度以外にUL(米国)、CSA(カナダ)、電気用品取締法(日本)、IEC等の規格に定められた難燃性が要求される。スチレン系樹脂の難燃化の手法としては難燃剤等の添加が最も一般的であるが、必要な難燃性を確保するには、多量に難燃剤を添加する必要があり衝撃強度の低下が著しく、このためベースとなる樹脂は衝撃強度に優れるHIPSやABS樹脂が用いられる。
HIPSやABS樹脂は一般に不透明であり、また添加する難燃剤も透明性を維持できるものと限らないため、スチレン系樹脂を難燃化する場合、スチレン系樹脂の特徴の一つである透明性については犠牲とされる場合が多かった。
【0003】
スチレン系樹脂の透明で難燃性を有する樹脂としては、スチレン−アクリロニトリル共重合体にテトラブロモビスフェノールAを添加することにより透明性を維持したまま難燃性を付与できることが知られているが、この樹脂は耐衝撃性、熱安定性、耐光性に劣るため適用される用途に制限があった。またスチレン系樹脂以外の透明難燃性樹脂の従来の技術としてはポリメチルメタクリレートの透明難燃化技術が知られているが、やはり耐衝撃性が低いという欠点がある。また耐衝撃性に優れた透明難燃性樹脂としてはポリカーボネート系難燃性樹脂が知られているが、成形性が非常に劣るため大型成形物への適用が困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を解決し難燃性、透明性、耐衝撃性、成形性、耐光性優れた難燃性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる目的を果たすべく鋭意研究を重ねた結果、特定のゴム変性スチレ系樹脂とハロゲン含有リン酸エステルとリン系安定剤を組み合わせることにより、透明性と耐衝撃性に優れた難燃性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなはち、本発明は下記の(A)ゴム変性スチレン系樹脂100質量部に対して(B)ハロゲン含有リン酸エステル3〜13質量部、(C)リン系安定剤0.5〜7質量部を含有する難燃性樹脂組成物で、
(A)ゴム変性スチレン系樹脂は、(a)グラフト共重合体を主体とした分散相と連続相をなすマトリックス樹脂とからなり、かつ(b)グラフト共重合体は、ゴム状弾性体にスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体のグラフト枝がグラフトした重合体で、(c)マトリックス樹脂は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体であって、(d)ゴム含有量がゴム変性スチレン系樹脂中の5〜20質量%である。
【0007】
好ましくは、(A)ゴム変性スチレン系樹脂を構成するグラフト共重合体を主体とした分散相が、その粒子径分布曲線において0.05〜0.5μmの範囲に少なくとも一つのピーク位置を有すること、更に粒子径分布曲線において0.05〜0.5μmの小粒子範囲及び0.5より大きく3.5μm以下の大粒子範囲にピーク位置を有するものが好ましい。
特に、(A)ゴム変性スチレン系樹脂が、下記のスチレン系重合体(a1)95〜50質量%とスチレン系重合体(a2)5〜50質量%とからなるものが好ましい。即ち、そのスチレン系重合体(a1)は、ゴム状弾性体の存在下或いは非存在下で、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体からなる単量体混合物を重合してなる共重合体で、かつゴム含有量が0〜10質量%であるスチレン系重合体であり、
スチレン系重合体(a2)は、ゴム状弾性体存在下で、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体からなる単量体混合物を重合してなる共重合体で、かつゴム含有量が20〜60質量%であるスチレン系重合体である。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で難燃性樹脂組成物を構成する(A)ゴム変性スチレン系樹脂はグラフト共重合体を主体とした分散相と連続相をなすマトリックス樹脂とからなる。
まず本発明で使用されるゴム変性スチレン系樹脂の分散相を構成するグラフト共重合体について説明する。
グラフト共重合体はゴム状弾性体にスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体のグラフト枝がグラフトした重合体である。
【0009】
ゴム状弾性体には共役ジエン又は共役ジエンを主成分とするポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体があげられ、これらを1種類以上を混合して用いても良い。より好ましいものとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体のスチレン−ブタジエン共重合体類である。
【0010】
スチレン−ブタジエン重合体類としては、スチレンとブタジエンの質量比は15〜60:85〜40であることが、(A)ゴム変性スチレン系樹脂及び難燃性樹脂組成物の良好な透明性を得るために好ましい。
【0011】
グラフト枝を成すスチレン系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等を挙げることができるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいが2種類以上を併用してもよい。
【0012】
また(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等があげられるが、好ましくはメチルメタリレート、またはn−ブチルアクリレートである。これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は単独で用いてもよいが2種類以上を併用してもよい。
【0013】
更に、必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等があげられる。
【0014】
つぎに、本発明で使用される(A)ゴム変性スチレン系樹脂の連続相を形成する重合体について説明する。
(A)ゴム変性スチレン系樹脂の連続相は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じてこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体である。
【0015】
該共重合体を成すスチレン系単量体には、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等を挙げることができるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0016】
また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等があげられるが、好ましくはメチルメタリレートまたはn−ブチルアクリレートである。これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0017】
更に、必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等があげられる。
【0018】
(A)ゴム変性スチレン系樹脂を形成するグラフト共重合体のグラフト枝及びマトリックス樹脂のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体において、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の質量比は35〜75:65〜25が好ましく、特に好ましくは42〜59:58〜41である。スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の質量比が35〜75:65〜25の範囲外では、(A)ゴム変性スチレン系樹脂及び難燃性樹脂組成物の透明性が低下するので好ましくない。
またこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体は、単量体混合物中0〜10質量%存在が好ましい。10質量%を超えると(A)ゴム変性スチレン系樹脂及び難燃性樹脂組成物の透明性が低下するので好ましくない。
【0019】
(A)ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム含有量は5〜20質量%が好ましい、更に好ましくは5〜15質量%、特に好ましくは5〜12質量%である。
ゴム含有量が5質量%より少ないと衝撃強度が低く、また20質量%を越えると透明性に劣るので好ましくない。
なお、ここでゴム変性スチレン系樹脂中のゴム含有量とは、実質的にゴム状弾性体の主成分を成す共役ジエンの成分量をいうものとする。
【0020】
また、(A)ゴム変性スチレン系樹脂のグラフト共重合体を主体とする分散相の粒子径については、その粒子径分布曲線(粒子径と体積頻度の分布)におけるピーク位置が少なくとも一つ0.05〜0.5μmの範囲にあることが好ましく、更に0.05〜0.5μmの小粒子範囲と0.5より大きく3.5μm以下の大粒子範囲にピーク位置を有することが特に好ましい。分散相の粒子径分布のピーク位置が0.05μm未満では、衝撃強度発現効果が小さく好ましくない。また、3.5μmを越える大粒子が多いと透明性が低下するので好ましくない。
【0021】
更に(A)ゴム変性スチレン系樹脂における連続相、分散相の屈折率の差が0.02以内であることが透明性の観点から好ましく、更に好ましくは0.01以下である。
なお、屈折率の測定法はトルエン10gに(A)ゴム変性スチレン系樹脂1gを投入し分散させた後、遠心分離器を用いて可溶分(連続相)と不溶分に分離する。不溶分にはメタノール10gを更に加え析出させた後、濾過、乾燥後フィルムとする。連続相を含むトルエン溶液及び分散相に由来するフィルムをアッベ式屈折計を用い温度25℃の条件で測定しそれぞれの差を算出して求めることができる。
【0022】
これまで詳述した(A)ゴム変性スチレン系樹脂の好ましい実施態様としては、2種類のスチレン系重合体(a1)及び(a2)をそれぞれ別々に重合したものを混合して製造することができる。
【0023】
スチレン系重合体(a1)は、ゴム状弾性体の存在下或いは非存在下で、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体からなる単量体混合物を重合してなる共重合体である。
【0024】
ゴム状弾性体には、共役ジエン又は共役ジエンを主成分とするポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体があげられ、これらを1種類以上を混合して用いても良い。より好ましいものとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体のスチレン−ブタジエン共重合体類である。
【0025】
スチレン−ブタジエン重合体類としては、スチレンとブタジエンの質量比は15〜60:85〜40であることが、(A)ゴム変性スチレン系樹脂及び難燃性樹脂組成物の良好な透明性を得るために好ましい。
【0026】
スチレン系重合体(a1)中のゴム含有量は0〜10質量%であることが好ましく、更に好ましくは0〜8質量%、特に好ましくは0〜6質量%である。ゴム含有量が10質量%を越えると流動性と透明性が低下する傾向にある。
【0027】
また、使用されるスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体は、前記した単量体をそれぞれ使用することが出来る。
スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の質量比は35〜75:65〜25が好ましく、特に好ましくは42〜59:58〜41である。スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の質量比が35〜75:65〜25の範囲外では、スチレン系重合体(a2)と混合した場合に透明性が低下するので好ましくない。
【0028】
なお、スチレン系重合体(a1)の重合時に、ゴム状弾性体が存在する場合には前記の単量体混合物がグラフトしたグラフト共重合体と単量体混合物からなる未グラフトの共重合体の混合物が一般的であるが、重合方法、又は精製方法によってはグラフトしたグラフト共重合体のみ、あるいはグラフトしたグラフト共重合体、未グラフフトの共重合体、及び未グラフトのゴム状弾性体の混合物である場合もある。
なお、未グラフトの共重合体、及びゴム状弾性体の非存在下での重合体は、分散相をなすスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体となる。
【0029】
従って、スチレン系重合体(a1)の重合時に、ゴム状弾性体が存在する場合には、重合過程で共存する単量体混合物とグラフト共重合体を形成し、マトリックス樹脂中に分散相を形成するのが一般的である。この場合、分散相の粒子径は、その粒子径分布曲線において0.5〜3.5μmの範囲に最頻度径のピーク位置を持つことが好ましい。更に好ましくは0.6〜2.5μm、特に好ましくは0.7〜2.0μmである。分散粒子径の最頻度径ピーク位置が0.5μm未満では衝撃強度が低く、3.5μmを越えると透明性が低下する傾向にあるので好ましくない。
【0030】
また、スチレン系重合体(a1)における連続相と分散相の屈折率の差が0.02以内であることが透明性の観点から好ましく、更に好ましくは0.01以下である。
【0031】
スチレン系重合体(a1)の重合方法としては、スチレン系樹脂の製法で常用されている塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が用いられる。また、回分式重合法、連続式重合法のいずれの方法も用いることができる。ゴム状弾性体を用いる場合は、スチレン系単量体と共役ジエン、又は共役ジエンを主体とするゴム状弾性体を、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体に溶解させ塊状重合、塊状−懸濁重合又は溶液重合することにより得られる。
【0032】
これらの重合法に用いられる重合開始剤としてアゾビスブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の有機過酸化物を用いることができる。また、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1を、可塑剤としてブチルベンジルフタレート等を必要に応じて添加してもよい。
【0033】
次に、スチレン系重合体(a2)について説明する。
スチレン系重合体(a2)は、ゴム状弾性体の存在下で、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体からなる単量体混合物を重合してなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体である。
【0034】
また、ゴム状弾性体は、前記したゴム状弾性体をそれぞれ使用することが出来る。即ち、共役ジエン又は共役ジエンを主成分とするポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体があげられ、これらを1種類以上を混合して用いても良い。より好ましいものとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体のスチレン−ブタジエン共重合体類である。
【0035】
スチレン系重合体(a2)中のゴム含有量は20〜60質量%であることが好ましい。更に好ましくは25〜55質量%、特に好ましくは29〜50質量%である。ゴム含有量が20質量%未満では強度補強効果が小さく、60質量%を越えるとスチレン系重合体(a1)と混合した場合に透明性が低下する。
【0036】
また、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び必要に応じて用いられるこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体は、前記した単量体をそれぞれ使用することが出来る。
また、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の質量比は35〜75:65〜25が好ましく、特に好ましくは42〜59:58〜41である。スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の質量比が35〜75:65〜25の範囲外では、スチレン系重合体(a1)と混合した場合に透明性が低下するので好ましくない。
【0037】
スチレン系重合体(a2)のゴム状弾性体は、スチレン系重合体(a1)におけるゴム状弾性体存在下での重合と同様に、重合過程で共存する単量体混合物とグラフト共重合体を形成し、マトリックス樹脂中に分散相として存在するのが一般的である。
分散相の粒子径は、その粒子径分布曲線において0.05〜0.5μmの範囲に最頻度径ピーク位置を持つことが好ましい。更に好ましくは0.08〜0.4μm、特に好ましくは0.08〜0.35μmである。
分散粒子径の最頻度径ピーク位置が0.05μm未満ではゴム変性スチレン系樹脂及び難燃性樹脂組成物の衝撃強度発現効果が小さくなり、また0.5μmを越えると衝撃強度の発現には効果があるが、透明性は低下する傾向にあるので好ましくない。
【0038】
また、スチレン系重合体(a2)における連続相と分散相の屈折率の差が0.02以内であることが透明性の観点から好ましく、更に好ましくは0.01以下である。
【0039】
スチレン系重合体(a2)の製造法としては、スチレン系樹脂の製法で常用されている塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が用いられる。また、回分式重合法、連続式重合法のいずれの方法も用いることができる。
好ましい製造法としては、スチレン系単量体と共役ジエン、又は共役ジエンを主体として得たゴム状弾性体が存在したラテックスにスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及びその他重合可能な単量体を乳化重合させて得られる。
【0040】
これらの重合法に用いられる重合開始剤としてアゾビスブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の有機過酸化物を用いることができる。また、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1を、可塑剤としてブチルベンジルフタレート等を必要に応じて添加してもよい。
【0041】
本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂は、スチレン系重合体(a1)と(a2)の混合質量比が95〜50:5〜50であることが好ましい。更に好ましくは93〜55:7〜45、特に好ましくは90〜60:10〜40である。スチレン系重合(a2)が5質量%未満では衝撃強度が低く、50質量%を超えると透明性が低下する傾向にある。
【0042】
本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂は、スチレン系重合体(a1)と(a2)からなるものが好ましく、樹脂中のゴム含有量が5〜20質量%であることが必要である。
【0043】
更に、透明性の観点からスチレン系重合体(a1)及び(a2)における何れの連続相、分散相の屈折率の差も0.02以内であることが好ましく、また、得られた(A)ゴム変性スチレン系樹脂の連続相と分散相の屈折率の差も0.02以内であることが好ましく、更に好ましくは0.01以下である。
【0044】
スチレン系重合体(a1)及び(a2)の混合方法については特に規定はなく、予め溶融混合して(A)ゴム変性スチレン系樹脂としてもよいし、難燃性樹脂組成物の製造時にそれぞれ他の原料と溶融混合してもよい。
例えば、(A)ゴム変性スチレン系樹脂の溶融混合方法としては、バンバリーミキサー、ヘシェルミキサー、タンブラー等の公知のブレンダーであらかじめ混合し、単軸押出機、2軸押出機等の公知の押出機によって溶融混練後ペレット化して用いることができる。
【0045】
なお、本発明の(A)ゴム変性スチレン系樹脂は必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油等も含有することができる。
【0046】
次に、本発明の難燃性樹脂組成物に用いる(B)ハロゲン含有リン酸エステルについて説明する。本発明に用いるハロゲン含有リン酸エステルとしては、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス−β−クロロプロピルホスフェート、クロロアルキルホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等があげられる。これらのハロゲン含有リン酸エステルを単独もしくは併用使用することもできる。これらのうち、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートが特に好ましい。
【0047】
(B)ハロゲン含有リン酸エステルの添加量は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂100質量部に対して3〜13質量部である。好ましくは3.5〜11質量部である。(B)ハロゲン含有リン酸エステルの添加量が3質量部より少ないと難燃性の確保、向上が期待できない。また、13質量部を越えると難燃性樹脂組成物の耐衝撃性、耐光性、熱安定性の低下が著しい。
【0048】
次に、本発明の難燃性樹脂組成物に用いる(C)リン系安定剤について説明する。本発明で用いるリン系安定剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリアリルホスフェート、芳香族リン酸エステル、ジエチル−N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェート、トリス(2,6)ジメチルフェニルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステル等のリン酸エステルがあげられる。これらの安定剤は単独もしくは併用使用することもできる。これらのうち、トリフェニルホスフェートが好ましい。
【0049】
(C)リン系安定剤の添加量は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂100質量部に対して0.5〜7質量部である。好ましくは1〜6質量部である。リン系安定剤の添加量が0.5質量部より少ないと難燃性の確保、向上が期待できない。また、7質量部を越えると難燃性樹脂組成物の耐熱性の低下が著しい。
【0050】
また(B)ハロゲン含有リン酸エステルと(C)リン系安定剤の総量は4〜15質量部が好ましく、更に5〜15質量部が好ましい。総添加量が4質量部未満では必要な難燃性が確保できず、15質量部を越えると衝撃強度の低下が著しい。
【0051】
上記(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)ハロゲン含有リン酸エステル、及び(C)リン系安定剤の混合方法には特に制約は無いが、例えばタンブラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー等の公知のブレンダーであらかじめ樹脂とハロゲン含有リン酸エステル及びリン系安定剤を予備混合し、単軸押出機、2軸押出機等の公知の押出機にて溶融混練後ペレット化して難燃性樹脂組成物を得ることができる。
【0052】
また、必要に応じて酸化防止剤、耐候剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油等の添加剤を配合することもできる。
【0053】
【実施例】
次に実施例をもって本発明を更に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0054】
(1)スチレン系重合体(a1)の製造
a1−1:100Lのオートクレーブにスチレン42.5質量%及びメチルメタクリレート57.5質量%の単量体混合物100質量部に重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.2質量部、分子量調整剤t−ドデシルメルカプタン0.1質量部、懸濁安定剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.001質量部、第三リン酸カルシウム0.5質量部、純水200質量部を仕込み、温度95℃で6時間、130℃で2時間加熱重合させた。
反応終了後、洗浄、脱水、乾燥してビーズ状のスチレン系重合体a1−1を得た。
【0055】
a1−2:100Lのオートクレーブ中で、スチレン42.5質量%及びメチルメタクリレート57.5質量%の単量体混合物100質量部にスチレン−ブタジエン共重合体(スチレン含量25質量%、旭化成社製商品名タフデン2000)5.0質量部を溶解し、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.04質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン0.2質量部を添加し、撹拌下に温度90℃で加熱した。重合転化率が30質量%に達した時に冷却して塊状重合を停止した。
次いで該反応混合液に新たに重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを0.2質量部を添加した。純水200質量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.001質量部、第三リン酸カリウム0.5質量部を懸濁安定剤として添加し、撹拌下に混合液を分散させた。反応後に温度100℃で2時間、115℃で3.5時間、130℃で2.5時間重合反応させた。
反応終了後、洗浄、脱水、乾燥してビーズ状のスチレン系重合体a1−2を得た。
【0056】
a1−3:100Lのオートクレーブ中で、スチレン61.0質量%及びメチルメタクリレート39.0質量%の単量体混合物100質量部にスチレン−ブタジエンブロック共重合体(スチレン含量40質量%、旭化成社製商品名アサプレン670A)5.0質量部を溶解し、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.04質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン0.2質量部を添加し撹拌下に温度90℃で加熱した。重合転化率が30質量%に達した時に冷却して塊状重合を停止した。
次いで該反応混合液に新たに重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを0.2質量部を添加した。純水200質量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.001質量部、第三リン酸カリウム0.5質量部を懸濁安定剤として添加し、撹拌下に混合液を分散させた。反応後に100℃で2時間、115℃で3.5時間、130℃で2.5時間重合反応させた。
反応終了後、洗浄、脱水、乾燥してビーズ状のスチレン系重合体a1−3を得た。
【0057】
a1−4:100Lのオートクレーブ中で、スチレン58.5質量%、メチルメタクリレート36.0質量%及びn−ブチルアクリレート5.5質量%の単量体混合物100質量部にスチレン−ブタジエンブロック共重合体(スチレン含量40質量%、旭化成社製商品名アサプレン670A)を5質量部溶解し、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.04質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン0.2質量部を添加し撹拌下に温度90℃に加熱した。重合転化率が30質量%に達したとき冷却して塊状重合を停止した。
次いで該反応混合液に新たに重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを0.2質量部を添加した。純水200質量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.001質量部、第三リン酸カリウム0.5質量部を懸濁安定剤として添加し、撹拌下に混合液を分散させた。反応後に温度100℃で2時間、115℃で3.5時間、130℃で2.5時間重合反応させた。
反応終了後、洗浄、脱水、乾燥してビーズ状のスチレン系重合体a1−4を得た。
【0058】
a1−5:a1−2製造過程で、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン含量25質量%、旭化成社製商品名タフデン2000)の溶解量を20質量部に変更した以外はスチレン系重合体a1−2と同様に製造し、スチレン系重合体a1−5を得た。得られたスチレン系重合体(a1)の物性を表1に示した。
【0059】
【表1】
Figure 0004819985
【0060】
(2)スチレン系重合体(a2)の製造
a2−1:100Lのオートクレーブにブタジエン46質量部、スチレン19質量部、水150質量部、乳化剤としてオレイン酸カリウム0.5質量部、重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド0.13質量部、ロンガリット0.03質量部、硫酸第一鉄0.002質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸−ナトリウム0.003質量部、及びピロリン酸ナトリウム0.1質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン1.0質量部を加え、温度45℃で17時間重合させた。得られたゴムラテックスの体積平均粒子径は0.08μmであった。これにナトリウムスルホサクシネート0.059質量部を加えて安定化した。
更に、これに0.2質量%塩化水素水溶液と2質量%水酸化ナトリウム溶液を別々のノズルからラテックスのPHが8.0〜9.0を保つように添加し、ラテックスを凝集肥大化させ、最頻度径ピーク位置0.19μmのラテックスを得た。このゴムラテックスにスチレン12質量部、メチルメタクリレート23質量部、ジビニルベンゼン0.04質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.08質量部を加え、温度60℃で6時間反応させた。
このラテックスにt−ブチルフェノール0.5質量部、ジラウリルチオプロピネート0.5質量部を添加した後、塩酸により析出し、洗浄、脱水、乾燥して粉末状のスチレン系重合体a2−1を得た。
【0061】
a2−2:100Lのオートクレーブにブタジエン46質量部、スチレン19質量部、水150質量部、乳化剤としてオレイン酸カリウム0.5質量部、重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド0.13質量部、ロンガリット0.03質量部、硫酸第一鉄0.002質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸−ナトリウム0.003質量部、及びピロリン酸ナトリウム0.1質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン1.0質量部を加え、温度45℃で17時間重合させた。得られたゴムラテックスの体積平均粒子径は0.08μmであった。これにナトリウムスルホサクシネート0.059質量部を加えて安定化した。
更に、これに0.2質量%塩化水素水溶液と2質量%水酸化ナトリウム溶液を別々のノズルからラテックスのPHが8.0〜9.0を保つように添加し、ラテックスを凝集肥大化させ最頻度径ピーク位置0.19μmのラテックスを得た。このゴムラテックスにスチレン12質量部、メチルメタクリレート20質量部、アクリロニトリル3質量部、ジビニルベンゼン0.04質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.08質量部を加え、温度60℃で6時間反応させた。
このラテックスにt−ブチルフェノール0.5質量部、ジラウリルチオプロピネート0.5質量部を添加した後、塩酸により析出し、洗浄、脱水、乾燥して粉末状のスチレン系重合体a2−2を得た。
【0062】
a2−3:100Lのオートクレーブにブタジエン46質量部、スチレン16質量部、水150質量部、乳化剤としてオレイン酸カリウム0.5質量部、重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド0.13質量部、ロンガリット0.03質量部、硫酸第一鉄0.002質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸−ナトリウム0.003質量部、及びピロリン酸ナトリウム0.1質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン1.0質量部を加え、温度45℃で17時間重合させた。得られたゴムラテックスの体積平均粒子径は0.08μmであった。これにナトリウムスルホサクシネート0.059質量部を加えて安定化した。
更に、これに0.2質量%塩化水素水溶液と2質量%水酸化ナトリウム溶液を別々のノズルからラテックスのPHが8.0〜9.0を保つように添加し、ラテックスを凝集肥大化させ最頻度径ピーク位置0.19μmのラテックスを得た。このゴムラテックスにスチレン8質量部、メチルメタクリレート18質量部、n−ブチルアクリレート12質量部、ジビニルベンゼン0.04質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.08質量部を加え、温度60℃で6時間反応させた。
このラテックスにt−ブチルフェノール0.5質量部、ジラウリルチオプロピネート0.5質量部を添加した後、塩酸により析出し、洗浄、脱水、乾燥して粉末状のスチレン系重合体a2−3を得た。
【0063】
a2−4及びa2−5:ゴム変性スチレン系重合体(a2−1)製造においてゴムラテックスの凝集条件を変更した以外は、a2−1と同様に製造し、ゴム変性スチレン系重合体a2−4及びa2−5を得た。得られたスチレン系重合体(a2)の物性を表2に示す。
【0064】
【表2】
Figure 0004819985
【0065】
但し、表1、表2及び表3乃至表7に示す樹脂物性は以下の方法で測定した。
1)スチレン系重合体(a1)及び(a2)のゴム分を除く構成単位の割合:熱分解ガスクロマトグラフィー法で測定した。
2)樹脂中のゴム含有量:臭素付加法で測定した。
3)分散相の粒子径分布曲線(体積分率)及び体積平均粒子径:コールターカウンターで測定した。
【0066】
(3)ハロゲン含有リン酸エステル
ハロゲン含有リン酸エステルとして下記の(B1)を用いた。
(B1):トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学社製CR900)
(4)リン系安定剤
リン系安定剤として下記の(C1)を用いた。
(C1):トリフェニルフォスフェート(大八化学社製TPP)
(5)また比較例に下記のハロゲン系難燃剤(D1)を用いた。
(D1):テトラブロモビスフェノールA(GLC社製BA−59)
【0067】
(6)その他の添加剤は以下の2種類を用いた。
(E1)錫系安定剤(三共有機合成社製STANN BN(N))
(E2)滑剤:エチレンビスアマイド(花王社製EB−P)
(7)その他の比較樹脂として以下の樹脂を用いた。
GPPS:一般ポリスチレン(東洋スチレン社製GP−1)
【0068】
次に、本発明の難燃性樹脂組成物の製造について説明する。
表3乃至表7に示す原料配合比で、タンブラーを用い予備混練後、単軸押出機により下記の条件にて溶融混練して難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃性樹脂組成物の難燃性及び各種評価結果を表3乃至表7の下段に示す。
溶融混練条件:
単軸押出機;マクロス社製VSK−40、スクリュー径40mm、L/D=28運転条件;
シリンダー設定温度:200℃
スクリュー回転数:80rpm
押し出し速度:15kg/h
樹脂温度:215℃
【0069】
【表3】
Figure 0004819985
【0070】
【表4】
Figure 0004819985
【0071】
【表5】
Figure 0004819985
【0072】
【表6】
Figure 0004819985
【0073】
【表7】
Figure 0004819985
【0074】
実施例、比較例に示された各種測定は以下の方法で実施した。
1)難燃性:UL−94垂直燃焼性試験に準拠し、1.5mm及び3.0mmの厚さのテストピースにつき、燃焼性を評価した。
2)アイゾット(Izod)衝撃強度:ASTM D−256に準拠し、6.4mmの厚みのVノッチ付きテストピースを使用し温度23℃で測定した。
3)落錘衝撃強度:JIS K−7211に従い、90mm×90mm×2mmの射出成形角板を使用し、温度23℃、湿度50%RHの条件で50%破壊高さを測定した。錘質量は500gである。
4)メルトフローレート(MFR):ASTM D−1238に準拠し、温度220℃、98Nの荷重下で測定した。
5)全光線透過率:2mm厚のサンプルを用いてASTM D−1003に準じて測定した。
6)透明性:2mm厚の射出成形プレートを目視にて以下のように4段階にランク分けして評価した。
◎:曇りなく透明性良好
○:若干曇るが透明性良好
△:曇りあり透明性に劣る
×:透明性が無い
7)耐光性:アトラス社製キセノンウエザーメータを用い、照射強度0.35W/m2 ブラックパネル温度63℃、湿度50%で300時間照射前・後のテストプレートの色相差△Eを、日本電色工業社製Σ80で測定した。
8)熱安定性:小型射出成形機(IS50EP/東芝機械社製)で、樹脂組成物をシリンダー設定温度240℃で20分滞留後、2mm厚プレートを成形し、滞留前のテストプレートとの色相差を日本電色工業社製Σ80で測定した。
【0075】
【発明の効果】
本発明により、難燃性、透明性、耐衝撃性、成形性、耐光性、熱安定性に優れたゴム変性スチレン系難燃樹脂組成物を得ることができる。このようにして得られたゴム変性スチレン系樹脂の難燃性樹脂組成物は、家電、OA機器部品等の幅広い用途に適用できる。

Claims (2)

  1. (A)グラフト共重合体を主体とした分散相と連続相をなすマトリックス樹脂とからなり、
    ゴム含有量が5〜20質量%のゴム変性スチレン系樹脂:100質量部と、
    (B)トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート:3〜13質量部と、
    (C)トリフェニルホスフェート:0.5〜7質量部と
    を含有し、
    (A)ゴム変性スチレン系樹脂は、
    ゴム状弾性体の存在下で、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる単量体混合物を重合してなる共重合体であり、ゴム含有量が0.1〜10質量%で、かつ、コールターカウンターで測定した分散相の粒子径分布曲線の最頻度径ピーク位置が0.5〜3.5μmにあるスチレン系重合体(a1)と、
    ゴム状弾性体の存在下で、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる単量体混合物を重合してなる共重合体であり、ゴム含有量が20〜60質量%で、かつ、コールターカウンターで測定した分散相の粒子径分布曲線の最頻度径ピーク位置が0.05〜0.5μmにあるスチレン系重合体(a2)とを、
    (a1):(a2)=90〜60:10〜40の割合で混合したものであり、
    分散相を構成するグラフト共重合体が、ゴム状弾性体にスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体のグラフト枝がグラフトした重合体で、
    連続相を構成するマトリックス樹脂が、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体であり、
    ールターカウンターで測定した分散相の粒子径分布曲線が、0.05〜0.5μmの範囲及び0.5μmよりも大きく3.5μm以下の範囲にピークを有し、
    連続相と分散相の屈折率の差が0.02以内である難燃性樹脂組成物。
  2. スチレン系重合体(a1)及びスチレン系重合体(a2)は、いずれも連続相と分散相の屈折率の差が0.02以内であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
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