JP2001227560A - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組付け性の向上とシャーピン剪断性能の確保
とを両立できる動力伝達装置の提供を図る。 【解決手段】 ドライブプレート4のシャーピン挿通孔
18はプーリー3に固設したシャーピン15よりも大径
に形成してあるので組付け性を向上でき、シャーピン1
5の突出端部にナット21を螺合して締結した場合、締
結力はフランジ17と突出端部との間でシャーピン15
に軸線方向に作用してノッチ16に作用することはない
ので該締結力を高めてドライブプレート4を回転方向に
ずれ動かないようにシャーピン15に締結固定でき、従
って、シャーピン15の剪断性能を確保することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用空調装置の圧
縮機等、車両用の補機に付設される動力伝達装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の動力伝達装置の中には、例えば実
開平1−169619号公報に示されているように、補
機の回転軸端に一体に組付けた回転部材と、伝動部材と
を複数本のシャーピンにより締結固定し、該補機に過負
荷が発生した場合にシャーピンが剪断されて伝動部材が
空転し、連動する他の補機の運転に支障を来すのを防止
するようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構造では、
シャーピンによる連結構造をボルト・ナットタイプ構造
として、ボルトの回転部材と伝動部材との合わせ面間と
なる位置にノッチを設けて該ボルトをシャーピンとし、
該ボルトのねじ部にナットを螺合してボルトの軸線方向
に締結力を付与することにより、これら回転部材と伝動
部材とを締結固定するようにしており、これら回転部材
と伝動部材との組付け性上、両部材のボルト挿通孔はボ
ルト径よりも若干大径に形成する必要がある。
【0004】ところが、このようにボルト挿通孔をボル
ト径よりも大径に形成すると、複数のボルト・ナット連
結部分においてボルトとボルト挿通孔との間の隙間が回
転部材と伝動部材の回転方向で一致することはなく不均
一となってしまうため、補機の過負荷発生時に各ボルト
のノッチに剪断荷重が均等に加わらずに、偏荷重により
所定の剪断性能が得られなくなってしまう。
【0005】また、前記ボルト・ナットを規定トルク以
上で締結してしまうと、補機の過負荷発生時における回
転部材と伝動部材との回転方向の相対変位(ずれ作用)
が得られなくなってしまうばかりでなく、ボルトの軸線
方向に作用する締結力がノッチに作用して剪断性能に影
響を及ぼしてしまう。
【0006】そこで、本発明は組付け性を向上できると
共にシャーピンの剪断性能を些かも阻害することのない
動力伝達装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にあって
は、車両用補機のハウジングに該補機の回転軸と同心的
に回転自在に装着された伝動部材と、前記回転軸端に固
定されると共に、前記伝動部材に対して回転軸の軸線方
向に対向配置されたドライブプレートと、前記伝動部材
とドライブプレートとの対向面間にノッチが配置され
て、これら伝動部材とドライブプレートとを連結する複
数のシャーピンと、を備えた動力伝達装置において、前
記伝動部材とドライブプレートとの一方にシャーピンを
固設して、他方にシャーピンよりも大径のシャーピン挿
通孔を形成し、かつ、シャーピンにはノッチの前記他方
寄りの縁部に沿って、伝動部材とドライブプレートの各
対向面に当接してこれら両者間に介在するフランジを設
け、前記他方をシャーピン挿通孔を介してシャーピンに
係合すると共に、該シャーピン挿通孔より突出したシャ
ーピンの突出端部と前記フランジとの間でシャーピンの
軸線方向に締結力を付与して該シャーピンに締結固定し
たことを特徴としている。
【0008】請求項2の発明にあっては、請求項1に記
載のシャーピンの突出端部にねじ部を設け、該ねじ部に
ナットを螺合して伝動部材とドライブプレートとの他方
を締結固定したことを特徴としている。
【0009】請求項3の発明にあっては、請求項1に記
載のシャーピンの突出端部をかしめて、伝動部材とドラ
イブプレートとの他方を締結固定したことを特徴として
いる。
【0010】請求項4の発明にあっては、請求項1〜3
に記載のドライブプレートを、回転軸端に固定される第
1プレートと、第1プレートの外周側に配置されてシャ
ーピンを介して伝動部材に連結される第2プレートと、
これら第1プレートと第2プレートとを連結したダンパ
ーラバーと、で構成したことを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、シャー
ピン挿通孔はシャーピンよりも大径に形成してあるた
め、伝動部材とドライブプレートとの組付け性を向上す
ることができる。
【0012】また、シャーピンの突出端部とフランジと
の間でシャーピンの軸線方向に締結力を付与しても、こ
の締結力がシャーピンのノッチに引張り荷重として作用
することがないので、該締結力を高めてシャーピンが挿
通した伝動部材とドライブプレートの他方と該シャーピ
ンとを回転方向のずれ動きがないようにしっかりと締結
することができ、この結果、各シャーピンとシャーピン
挿通孔との間の隙間の発生に起因するシャーピンの剪断
性能の劣化を回避することができる。
【0013】請求項2,3に記載の発明によれば、請求
項1の発明の効果に加えて、締結手段として最も簡易な
ナット締め方式又はかしめ方式を採用しているため、締
結作業を容易に行うことができる。
【0014】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
〜3の発明の効果に加えて、ドライブプレートの第1プ
レートと第2プレートとの間にダンパーラバーが存在し
ているため、車両駆動部の回転変動によるトルクショッ
クを吸収することができる。
【0015】また、前記締結手段としてかしめ方式を採
用する場合であっても、かしめ力がダンパーラバーに作
用することがないので、かしめ締結を確実に行うことが
できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面と
共に詳述する。
【0017】図1,2は車両用空調装置の圧縮機(車両
用補機)の伝動装置を示し、圧縮機のハウジング1の一
側部には、該圧縮機の回転軸2と同心的に伝動部材とし
てのプーリー3をその内周に予め圧入して取付けた軸受
部材24を介して回転自在に装着してある。
【0018】回転軸2の端部にはドライブプレート4を
取付けて、該ドライブプレート4を前記プーリー3の一
側面に対向配置してある。
【0019】ドライブプレート4は回転軸2端に固定さ
れる第1プレート5と、第1プレート5の外周側に配置
されてダンパーラバー7を介して該第1プレート5と連
結された第2プレート6とで構成してある。
【0020】ダンパーラバー7は第1プレート5の外周
に曲折成形したフランジ縁5aと第2プレート6の内周
に曲折成形したフランジ縁6aとに加硫接着してあり、
該ダンパーラバー7はこれら第1プレート5と第2プレ
ート6の前記プーリー3の側面に対向する側面に廻り込
んで部分的に延設して、プーリー3の側面に弾接するよ
うにしてある。
【0021】第1プレート5の中心部にはボルト挿通孔
8を形成してあると共に、ハウジング1に面する側面に
ボルト挿通孔8と同心的にボス部材9を複数のリベット
ピン、例えば3つのリベットピン10により固定してあ
り、ボス部材9を回転軸2の端部にスプライン係合手段
11によって非回転に嵌合すると共に、前記ボルト挿通
孔8を通して回転軸2端に設けたねじ孔12にボルト1
3により螺合締結して取付けてある。
【0022】そして、前記第2プレート6とプーリー3
とを複数、例えば3つのシャーピン15を介して連結し
てある。
【0023】このシャーピン15はプーリー3に設けた
取付孔19に圧入嵌合して固設してあり、該シャーピン
15にはプーリー3と第2プレート6との対向面間に配
置されるノッチ16と、該ノッチ16の前記第2プレー
ト6寄りの縁部に沿って形成されて、これらプーリー3
と第2プレート6の各対向面に当接するフランジ17と
を設けてある。
【0024】従って、前記ノッチ16はフランジ17の
成形基部に最小径部が位置するようにテーパ状に設けら
れる。
【0025】一方、第2プレート6にはシャーピン15
に対応して3つのシャーピン挿通孔18を設けてある。
【0026】このシャーピン挿通孔18はシャーピン1
5よりも若干大径に形成してあり、前記第2プレート6
はこのシャーピン挿通孔18を介してシャーピン15に
係合して、シャーピン挿通孔18より突出したシャーピ
ン15の突出端部と前記フランジ17との間でシャーピ
ン15の軸線方向に締結力を付与することによって前記
プーリー3に連結してある。
【0027】この実施形態ではシャーピン15の前記シ
ャーピン挿通孔18より突出した突出端部にねじ部20
を形成し、このねじ部20にナット21を螺合して第2
プレート6とプーリー3とを連結している。
【0028】図1中、22はハウジング1と回転軸3と
の間に介装したオイルシール、23は該オイルシール2
2の抜け止め用のスナップリング、25は軸受部材24
の抜け止め用のスナップリングを示す。
【0029】以上の実施形態の構造によれば、ドライブ
プレート4に設けたシャーピン挿通孔18はプーリー3
に固設したシャーピン15よりも大径に形成してあるた
め、シャーピン挿通孔18およびシャーピン15の配設
誤差を吸収できると共にシャーピン15への挿入性がよ
く、プーリー3とドライブプレート4との組付け性を向
上することができる。
【0030】また、シャーピン挿通孔18から突出した
シャーピン15の突出端部のねじ部20にナット21を
螺合してドライブプレート4を締結した場合、この締結
力はシャーピン15の前記突出端部とフランジ17との
間でシャーピン15の軸線方向に作用してノッチ16に
は作用することがなく、従って、締結力を高めてドライ
ブプレート4とシャーピン15とを回転方向のずれ動き
がないようにしっかりと締結することができる。
【0031】この結果、各シャーピン15とシャーピン
挿通孔18との間に生じる隙間がプーリー3およびドラ
イブプレート4の回転方向で不均一であっても、この隙
間の存在がシャーピン15の剪断性能に影響を与えるこ
とがなく、シャーピン挿通孔18を大径に形成したこと
による組付け性の向上と、シャーピン15の剪断性能の
確保との両立を図ることができる。
【0032】また、前記フランジ17はシャーピン15
をプーリー3の取付孔19に圧入した際に、該プーリー
3の側面に当接係合して位置決め機能するため、シャー
ピン15の組付け性を高めることもできる。
【0033】更に、前記ドライブプレート4は回転軸3
端に固定される第1プレート5と、その外周側に配置さ
れて前記シャーピン15を介してプーリー3に連結され
る第2プレート6と、これら第1プレート5と第2プレ
ート6とを連結したダンパーラバー7とで構成している
ため、該ダンパーラバー7により車両駆動部の回転変動
によるトルクショックを吸収することができる。
【0034】前記実施形態ではシャーピン15の突出端
部にナット21を螺合して第2プレート6を該シャーピ
ン15に締結固定しているが、これに替えて図3,4に
示すようにシャーピン15の突出端部をかしめて、該第
2プレートをフランジ17とかしめ部15Aとで圧着し
て固定するようにしてもよい。
【0035】この場合、プーリー3の他側面に治具26
を当てて前記突出端部をかしめ加工するが、このかしめ
力はダンパーラバー7に作用することはないのでかしめ
締結を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図。
【図2】同実施形態の側面図。
【図3】本発明の第2実施形態におけるプーリーとドラ
イブプレートのアッセンブリを示す断面図。
【図4】同実施形態におけるドライブプレートの側面
図。
【符号の説明】
1 補機のハウジング 2 回転軸 3 伝動部材 4 ドライブプレート 5 第1プレート 6 第2プレート 7 ダンパーラバー 15 シャーピン 15A かしめ部 16 ノッチ 17 フランジ 18 シャーピン挿通孔 20 ねじ部 21 ナット

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両用補機のハウジング(1)に該補機
    の回転軸(2)と同心的に回転自在に装着された伝動部
    材(3)と、 前記回転軸(2)端に固定されると共に、前記伝動部材
    (3)に対して回転軸(2)の軸線方向に対向配置され
    たドライブプレート(4)と、 前記伝動部材(3)とドライブプレート(4)との対向
    面間にノッチ(16)が配置されて、これら伝動部材
    (3)とドライブプレート(4)とを連結する複数のシ
    ャーピン(15)と、を備えた動力伝達装置において、 前記伝動部材(3)とドライブプレート(4)との一方
    にシャーピン(15)を固設して、他方にシャーピン
    (15)よりも大径のシャーピン挿通孔(18)を形成
    し、かつ、シャーピン(15)にはノッチ(16)の前
    記他方寄りの縁部に沿って、伝動部材(3)とドライブ
    プレート(4)の各対向面に当接してこれら両者間に介
    在するフランジ(17)を設け、前記他方をシャーピン
    挿通孔(18)を介してシャーピン(15)に係合する
    と共に、該シャーピン挿通孔(18)より突出したシャ
    ーピン(15)の突出端部と前記フランジ(17)との
    間でシャーピン(15)の軸線方向に締結力を付与して
    該シャーピン(15)に締結固定したことを特徴とする
    動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 シャーピン(15)の突出端部にねじ部
    (20)を設け、該ねじ部(20)にナット(21)を
    螺合して伝動部材(3)とドライブプレート(4)との
    他方を締結固定したことを特徴とする請求項1に記載の
    動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 シャーピン(15)の突出端部をかしめ
    て、伝動部材(3)とドライブプレート(4)との他方
    を締結固定したことを特徴とする請求項1に記載の動力
    伝達装置。
  4. 【請求項4】 ドライブプレート(4)を、回転軸
    (2)端に固定される第1プレート(5)と、 第1プレート(5)の外周側に配置されてシャーピン
    (15)を介して伝動部材(3)に連結される第2プレ
    ート(6)と、 これら第1プレート(5)と第2プレート(6)とを連
    結したダンパーラバー(7)と、で構成したことを特徴
    とする請求項1〜3の何れかに記載の動力伝達装置。
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