JP2001220498A - 液晶表示素子用シール材組成物及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子用シール材組成物及びそれを用いた液晶表示素子

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JP2001220498A
JP2001220498A JP2000032056A JP2000032056A JP2001220498A JP 2001220498 A JP2001220498 A JP 2001220498A JP 2000032056 A JP2000032056 A JP 2000032056A JP 2000032056 A JP2000032056 A JP 2000032056A JP 2001220498 A JP2001220498 A JP 2001220498A
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Japan
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liquid crystal
weight
crystal display
sealing material
display device
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JP2000032056A
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English (en)
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Tetsuya Mori
哲也 森
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 剥離強度と表示信頼性とに優れ、携帯用途で
用いられるプラスチック基板の液晶表示素子用に適し
た、シール材組成物を提供する。 【解決手段】 エポキシ樹脂、酸無水物、充填剤、およ
びブロックドイソシアネート化合物を必須成分とし、該
樹脂組成物の硬化物の、熱水による抽出水の電気伝導度
が100μS/cm未満になるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子、特
に、プラスチック基板の液晶表示素子に適したシール材
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示素子は、パーソナルコン
ピュータ、カーナビゲーション、液晶テレビ、携帯電
話、携帯情報端末等に広く使われるようになり、その開
発も盛んに行われている。中でも携帯用途の液晶表示機
器は、ユーザー数の急増に伴い、爆発的な成長分野とな
っている。この用途では、液晶表示素子の軽量化が最重
要項目のひとつであり、パネルメーカーは開発に凌ぎを
削っている。今まではガラス基板の厚みを薄くするなど
の対応が取られてきたが、耐衝撃性に劣ることから、最
近になってプラスチック基板(以下、プラ基板と略す)
を採用する動きが活発になりつつある。
【0003】基板をプラスチックにした場合、液晶表示
素子用のシール材(以下、シール材と略す)には、可撓
性が必要となる。これはプラ基板の柔軟性に追随するた
めには不可欠なものである。従来の液晶シール材は、例
えば、特開昭57−137317号公報、特開昭59−
126511号公報、特開昭61−36317号公報、
特開平4−67125号公報、特開平5−171127
号公報、特開平6−73164号公報、特開平6−75
231号公報、特開平7−109405号公報などに示
されるように、エポキシ樹脂とヒドラジド化合物を含
み、状況に応じてゴムを添加するなどの手段が取られて
きた。しかしながら、これらのシール材は、硬化に15
0℃以上の高温を要するために、耐熱性の低いプラ基板
用としては、硬化温度が高すぎるものであった。又、硬
化物に可撓性がないために、剛直なガラス基板の接着に
は十分機能するものの、柔軟なプラ基板では容易に剥離
が生じてしまい、実用上好ましいものではなかった。
【0004】他には、特開平11−153800号公報
に示されるような、エポキシ樹脂を主剤、芳香族アミン
を硬化剤とする二液タイプのものがあるが、二液混合後
スクリーン印刷工程において、徐々に粘度が上昇して行
くことから、ライフが十分ではないという欠点がある。
又、特開平7−26236号公報に示されるような、エ
ポキシ樹脂に置換イミダゾール塩を配合したものは、一
液化することが可能で、室温でのライフも十分である
が、エポキシ樹脂がビスフェノールA型、フェノールノ
ボラック型等の剛直な構造を有しているため、得られる
硬化物は可撓性を示さず、プラ基板用途としては、接着
力に乏しいために適さない。さらに、特開平11−13
3443号公報に示されるような、エポキシ樹脂をフェ
ノールノボラックで硬化させる例でも、得られる硬化物
が可撓性を示さず、プラ基板用途としては接着力に乏し
いために適さない。
【0005】ここまでで挙げた例の他に、例えば、特開
平7−13173号公報、特開平7−13174号公
報、特開平1−243029号公報のような、光硬化性
シール材がある。これらは確かに熱硬化性シール材に比
べると、硬化速度は格段に早いが、無機充填剤を加えて
粘度調整や強度向上を図ったものは、光が散乱されシー
ル材内部の反応が途中で阻害されてしまう欠点を有して
いる。又、光硬化性樹脂は、一般的に熱硬化性樹脂と比
べても、硬化収縮が大きいために、ビューファインダー
用途等の小型パネル以外では、信頼性に乏しく実用には
不十分である。
【0006】一液化とライフ、可撓性及び接着性の問題
を解決する手段としては、例えば、特開昭63−243
123公報では、エポキシ樹脂を主剤とし、ブロックド
イソシアネート及びカルボン酸ジヒドラジドを硬化剤に
用いる、硬化性エポキシブロックドウレタン組成物が提
案されている。
【0007】一方、携帯用途の液晶表示機器は、一回の
充電量に対して使用可能時間が長いものほど便利であ
る。このため低電圧駆動可能な設計が採られており、特
にSTN方式の液晶パネルでこの傾向が顕著である。こ
の様な低電圧駆動を可能にする液晶組成物は、一般的に
極性が高く、液晶配向膜など液晶組成物とじかに接触す
る有機物から、様々な物質が液晶中に溶出する。そのた
め長時間の使用では液晶中の不純物濃度が増大し、製品
寿命の低下をまねくことがあった。
【0008】液晶表示素子の部材の中で、シール材は直
接液晶組成物と接触するものであるため、シール材硬化
物からの不純物の流出は、液晶パネルの信頼性を著しく
損ねるものである。このような不純物の流出量を限定し
たものとして、例えば、特開平6−73164号公報が
ある。しかしながら、ここで述べられている不純物の測
定にはガスクロマトグラフが用いられており、有機物が
念頭に置かれている。従って、本発明で述べるような電
気伝導度の重要性は、概念として含まれておらず、近年
の厳しい液晶表示素子の要求特性をクリアするために
は、十分な内容ではない。
【0009】液晶表示素子は、常に人間にとって快適な
環境に置かれるだけではなく、時には過酷な環境下にさ
らされることがある。一例として、カーナビゲーション
用途のものは、夏場においては高温多湿の環境下に長時
間されされてしまう。このような環境下でも表示品位を
高く保つためには、常に液晶中の比抵抗を高く保つ必要
がある。比抵抗が低くなると両電極間で電流が流れやす
くなるため、画面上のコントラストが低下する原因にな
る。エポキシ樹脂硬化物は、一般的には硬化後の電気的
絶縁性が高い。この為に、半導体封止材、注型材等にも
広く使われていることは周知の事実であるが、シール材
に必要な固有の特性としては、バルクの電気絶縁性だけ
ではなく、高温高湿条件で処理した後にも、液晶表示素
子のコントラストを低下させないことが挙げられる。し
かしながら、シール材単独の物性においてどのような特
性を示すシール材が望ましいかは、未だ明らかにはなっ
ていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、携帯用途で
用いられるプラスチック基板の液晶表示素子における、
上記のような問題点を解消できる、剥離強度と表示信頼
性とに優れた液晶表示素子用シール材組成物を提供する
ことを、目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記のよ
うな目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、エポキシ
樹脂、酸無水物、および充填剤を主成分とする一液型接
着剤組成物において、予め洗浄処理を十分に繰り返し
て、イオン性不純物を除去したエポキシ樹脂を使用する
と共に、ブロックドイソシアネート化合物を添加するこ
とにより、プラ基板に対する剥離強度に優れると共に、
得られた樹脂硬化物の、熱水にる抽出水の電気伝導度が
100μS/cm未満となり、低電圧駆動タイプの液晶表示
素子の信頼性向上に特に著しい効果があることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち本発明は、エポキシ樹脂、酸無水物、
充填剤、およびブロックドイソシアネート化合物を必須
成分とし、該樹脂組成物の硬化物の、熱水による抽出水
の電気伝導度が100μS/cm未満であることを特徴とす
る一液型液晶表示素子用シール材組成物、およびこのシ
ール材組成物を用いて作製された液晶表示素子であり、
さらには、前記ブロックドイソシアネート化合物が、ポ
リヒドロキシ化合物と過剰のポリイソシアネート化合物
から得られ、分子内に平均1ヶより多くのイソシアネー
ト基を有する、イソシアネート基含量1〜10重量%、
平均分子量600〜20000のウレタンプレポリマー
を、フェノール性水酸基を有する化合物により、NCO
/フェノール性水酸基当量比1/1〜1/2の割合でマ
スクして得られるものであることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の樹脂組成物を具体
的に説明する。本発明に用いるエポキシ樹脂とは、分子
中に2個以上のエポキシ基を有するものであり、例え
ば、グリシジルエーテル類(ビスフェノールAジグリシ
ジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテ
ル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラッ
クグリシジルエーテル)、グリシジルエステル類(ヘキ
サヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリ
シジルエステル)、グリシジルアミン類(トリグリシジ
ルイソシアヌレート、デトラグリシジルジアミノジフェ
ニルメタン)、線状脂肪族エポキサイド(エポキシ化ポ
リブタジエン、エポキシ化大豆油)、脂環族エポキサイ
ド(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチ
ルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシル
メチルカルボキシレート)や、ビフェニル型、ナフタレ
ン型、ジシクロペンタジエン型、多価アルコール型等の
エポキサイドが挙げられる。これらから一種類又は二種
類以上を組合せて用いられる。
【0014】本発明においてエポキシ樹脂は、合成段階
あるいは使用前に、洗浄処理を十分に繰り返したものを
用いることが望ましい。洗浄処理の方法としては、分液
漏斗に、エポキシ樹脂と共に不純物を1ppm以下に抑
えたケトン系溶媒を入れて溶解させ、これに純水を加え
て常法により激しく振とうさせ、無機イオンを水層に移
動させる。ここで水層を排出させ、再度新しい純水を加
えて、振とうさせ洗浄する。この洗浄操作を複数回、好
ましくは3回以上行う。これにより、樹脂中の無機イオ
ン残存量は、Na,K,Cl,およびFイオンの合計で、
10ppm以下に減らすことが出来る。また、目的のエ
ポキシ樹脂以外の有機不純物については、分子蒸留装置
を用いて、エポキシ樹脂に50〜180℃の熱を加え、
10-3Torr以下の真空状態で精製を繰り返すことで、
3wt%以下に抑えることが出来る。洗浄処理を十分に
行わないものは、イオン性不純物を多く含むために、液
晶表示素子の信頼性試験のひとつである、高温高湿処理
を行った後、コントラスト低下を起こすため好ましくな
い。
【0015】本発明で用いる酸無水物としては、例え
ば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタ
ル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチ
ルテトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニ
ル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、エチレング
リコール−ビス−アンヒドロトリメリテート、グリセロ
ール−トリス−アンヒドロトリメリテート、ブタンテト
ラカルボン酸無水物等があり、これらの中から一種もし
くは二種以上が用いられる。
【0016】本発明者らは鋭意研究を進めた結果、エポ
キシ樹脂と酸無水物の混合系に、ウレタンプレポリマー
をフェノール性水酸基を有する化合物でマスクして得ら
れる、ブロックドイソシアネート化合物を配合すること
で、可撓性を有し接着力に優れる一液型シール材を得る
ことが出来ることを見出した。
【0017】ウレタンプレポリマーは、ポリヒドロキシ
化合物とポリイソシアネートを反応させることで得るこ
とが可能であるが、本発明の目的である剥離強度に優れ
るシール材を得るために特に有効な原料は、二官能の直
鎖脂肪族ポリヒドロキシ化合物と二官能のポリイソシア
ネートである。ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネ
ートの官能数が3以上のものを使用した場合、得られる
ウレタンプレポリマーがゲル化したり、エポキシ樹脂と
の相溶性が悪化するなどの弊害が生じるため好ましくな
い。また、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含
量が1重量%より少ない場合は、エポキシ樹脂との反応
が遅く、10重量%を上回る場合には、シール材のライ
フが短いために好ましくない。又、平均分子量が600
を下回る場合は、シール材に可撓性が発現せず、200
00を上回る場合には、シール材の粘度が高くなりすぎ
るために好ましくない。
【0018】また、マスクに用いるフェノール性水酸基
を有する化合物は、多価フェノールとしては、単核のも
のでは、レゾルシノール、ハイドロキノン、カテコー
ル、フロログルシノール、1,5−ジヒドロキシルナフ
タレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒ
ドロキシナフタレンなどが挙げられる。又、多核のもの
では、ビスフェールA、ビスフェノールF、ビフェノー
ル、ビスフェノールSなどが挙げられる。これらをNC
O/フェノール水酸基当量比で1/1〜1/2の割合に
なるように、やや過剰にフェノール類を加えることで、
フリーのNCOを完全にマスクさせることが出来る。
【0019】次に、本発明で用いる充填剤としては、
(1)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、
硫酸バリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、ケイ酸ア
ルミニウム、ケイ酸ジルコニウム等のケイ酸塩、酸化
鉄、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、二酸化ケイ素等
の酸化物、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、クレ
ー、水酸化アルミ、アスベスト粉、石英粉、雲母、ガラ
ス繊維等の無機充填剤、及び、(2)ポリエチレン粉、
ポリプロピレン粉、ポリエステル粉、ポリ塩化ビニル
粉、ポリスチレン粉、ポリ酢酸ビニル粉、ポリエチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリメタクリレート粉、ポリウ
レタン粉、尿素樹脂粉、フェノール樹脂粉、エポキシ樹
脂粉、ベンゾグアナミン樹脂粉等の有機充填剤が挙げら
れる。
【0020】これらの充填剤の添加量は、その種類や、
本発明によるシール材の組成により大きく左右される
が、一般的には、エポキシ樹脂100重量部に対して、
1重量部以上〜100重量部以下が望ましい。添加量が
1重量部未満では、シール材の粘度が低くなり、プラ基
板上にシール材を精度良くパターニングすることが難し
くなり好ましくない。又、100重量部を越える場合に
は、シール材の粘度が極端に上昇し、スクリーン印刷に
おいては目詰まりの原因となり好ましくない。尚、充填
剤の混合は、三本ロール等を用いて十分に混練すること
が望ましい。
【0021】本発明においては、必要に応じて他の公知
のエポキシ樹脂硬化剤及び硬化促進剤を添加して、酸無
水物との併用を試みることは、本発明の効果を損ねない
範囲であれば何ら差し支えない。その例としては、芳香
族アミン、脂肪族アミン、アミン類とエポキシ樹脂のア
ダクト化物、ヒドラジド化合物、三フッ化ホウ素化合
物、ジシアンジアミド及びその誘導体、イミダゾール類
及びイミダゾール塩類、イミダゾールのマイクロカプセ
ル化物、ジアミノマレオニトリル及びその誘導体、ポリ
アミド、尿素化合物、メルカプタン等が挙げられる。
【0022】更に、シランカップリング剤、チタネート
系カップリング剤等の表面処理剤、及び、着色顔料、可
塑剤、レベリング剤、消泡剤、反応性希釈剤等の各種添
加剤を、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で
用いることもできる。
【0023】本発明者らは、シール材によって、液晶表
示素子のコントラスト低下の度合いに差があることに注
目し、次のような方法で詳しくその原因を調べた。先
ず、組成の異なるシール材硬化物を、凍結粉砕により平
均粒径が250μm以下の微粉にし、その粉砕品2gに
純水40mlを加えて、100℃で20時間加熱を行
い、遠心分離によりその粉砕品を取り除いた後、水層部
分のイオン性不純物をイオンクロマト法で測定し、水溶
液全体の電気伝導度を電極を用いて測定した。一方、同
じシール材を用いて液晶表示素子を作製し、温度85
℃、相対湿度85%の高温高湿槽に500時間放置し、
常温に戻してから通電試験を行った。通電試験を行った
液晶表示素子は、用いたシール材の種類によって、液晶
のコントラストに明らかな差が生じていた。
【0024】コントラストに影響を与える要因を更に詳
しく調べたところ、驚くべきことに、前記の測定で得ら
れた電気伝導度と強い相関があることが分かった。使用
したシール材の中で、熱水による抽出水の電気伝導度が
100μS/cm以上の値を示したものは、明らかにコント
ラスト低下が見られたのに対し、100μS/cm未満の値
を示したものは、コントラストの低下は全くなかった。
この結果、コントラストを高く保つためには、シール材
硬化物抽出水の電気伝導度が、100μS/cm未満である
ことが必須条件であることが分かった。
【0025】本発明の液晶表示素子の代表的な作製方法
を具体的に説明する。先ず、液晶配向膜を形成した透明
電極付きプラスチック基板を2枚用意し、その一方にス
ペーサーを散布する。他方には、スクリーン印刷により
シール材を所定の厚みに塗布し、両方の基板を貼り合わ
せて、1kg/cm2の圧力をかけながら120℃、14
0℃の各温度でそれぞれ2時間加熱する。シール材の硬
化が完了したら、既存の方法で液晶を内部に注入し、U
V硬化性樹脂で注入口を封止する。用いる液晶化合物は
特に限定されないが、しきい値電圧が低いものの方が低
電圧駆動向きであるので、本発明の効果を確認する上で
は好ましい。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定される
ものではない。実施例及び比較例で調製した各シール材
組成物について、特性評価のため、シール材硬化物抽出
水の電気伝導度、液晶表示素子のコントラスト低下、及
び、剥離強度の測定を行った。各特性の測定方法および
条件は、下記の通りとした。また、各評価結果はまとめ
て表1に示した。
【0027】1.シール材硬化物抽出水の電気伝導度 シール材10gを容器に取り、120℃、140℃の各
温度でそれぞれ2時間加熱を行って硬化させた後、凍結
粉砕により平均粒径が250μm以下の微粉にした。得
られた粉砕品2gに純水40mlを加えて、100℃で
20時間加熱を行い、遠心分離によりその粉砕品を取り
除いた後、水層部分の電気伝導度を測定した。
【0028】2.液晶表示素子のコントラスト低下の評
価 前記の要領で液晶表示素子を作製し、温度85℃、相対
湿度85%の高温高湿槽に500時間放置した後、常温
に戻してから通電試験を行い、処理前と比較してコント
ラスト低下の有無を評価した。
【0029】3.剥離強度 厚さ200μmのポリエーテルスルホン(以下、PES
と略す)上に、スクリーン印刷により、300μmの線
幅でシール材を塗布した。次に、予め6μmのプラスチ
ックスペーサーを散布してあるもう1枚のPESを、こ
れに貼り合わせて、1kg/cm2の圧力をかけながら、
120℃、140℃の各温度でそれぞれ2時間加熱し
た。次にシール材の幅が1cmになるように、短冊形に
PES基板を切り取り、上下基板の端の部分を垂直に引
っ張ってシール材の剥離強度を測定した。
【0030】(実施例1)予め十分に溶剤抽出により純
度を高めたビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量
部と、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸80重量部
に、アミンアダクトタイプ促進剤(MY−24,味の素
ファインケミカル製)1重量部、イソシアネート基含量
4%で平均分子量が3600のウレタンプレポリマー
を、レゾルシノールをマスク剤として、NCO/フェノ
ール性水酸基当量比が1/1になるように加えて合成し
た、ブロックドイソシアネート化合物30重量部、エポ
キシシラン1重量部、無定型シリカ2重量部、および酸
化チタン50重量部を容器に取って、スリーワンモータ
ーで予備混合し、三本ロールにより更に十分に混練して
シール材組成物を得た。
【0031】(実施例2)予め十分に溶剤抽出により純
度を高めたビスフェノールF型エポキシ樹脂100重量
部と、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸86重量部
に、イミダゾール塩(2MZ−OK、四国化成製)1重
量部、イソシアネート基含量10%で平均分子量が10
000のウレタンプレポリマーを、カテコールをマスク
剤として、NCO/フェノール性水酸基当量比を1/
1.5になるように加えて合成した、ブロックドイソシ
アネート化合物50重量部、エポキシシラン3重量部、
無定型シリカ1重量部、および球状シリカ30重量部を
容器に取って、スリーワンモーターで予備混合し、三本
ロールにより更に十分に混練してシール材組成物を得
た。
【0032】(実施例3)予め十分に溶剤抽出により純
度を高めたジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂60重
量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂40重量
部、及びヘキサヒドロ無水フタル酸80重量部に、トリ
スジメチルアミノメチルフェノールのトリ2エチルヘキ
シル塩1重量部、イソシアネート基含量2%で平均分子
量が20000のウレタンプレポリマーを、ビスフェノ
ールAをマスク剤として、NCO/フェノール性水酸基
当量比を1/2になるように加えて合成した、ブロック
ドイソシアネート化合物50重量部、エポキシシラン4
重量部、フッ素系レベリング剤0.5重量部、およびア
ルミナ45重量部を容器に取って、スリーワンモーター
で予備混練し、三本ロールにより更に十分に混練してシ
ール材組成物を得た。
【0033】(比較例1)市販品で特別な洗浄処理を施
さなかったビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量
部と、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸80重量部
に、アミンアダクトタイプ促進剤(MY−24,味の素
ファインケミカル製)1重量部、イソシアネート基含量
4%で平均分子量が3600のウレタンプレポリマー
を、レゾルシノールをマスク剤として、NCO/フェノ
ール性水酸基当量比を1/1になるように加えて合成し
た、ブロックドイソシアネート化合物30重量部、エポ
キシシラン1重量部、無定型シリカ2重量部、および酸
化チタン50重量部を容器に取って、スリーワンモータ
ーで予備混合し、三本ロールにより更に十分に混練して
シール材組成物を得た。
【0034】(比較例2)市販品で特別な洗浄処理を施
さなかったビスフェノールF型エポキシ樹脂100重量
部と、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸86重量部
に、イミダゾール塩(2MZ−OK、四国化成製)1重
量部、イソシアネート基含量10%で平均分子量が10
000のウレタンプレポリマーを、カテコールをマスク
剤として、NCO/フェノール性水酸基当量比を1/
1.5になるように加えて合成した、ブロックドイソシ
アネート化合物50重量部、エポキシシラン3重量部、
無定型シリカ1重量部、および球状シリカ30重量部を
容器に取って、スリーワンモーターで予備混合し、三本
ロールにより更に十分に混練してシール材組成物を得
た。
【0035】(比較例3)市販品で特別な洗浄処理を施
さなかったジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂60重
量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂40重量
部、及びヘキサヒドロ無水フタル酸80重量部に、トリ
スジメチルアミノメチルフェノールのトリ2エチルヘキ
シル塩1重量部、イソシアネート基含量2%で平均分子
量が20000のウレタンプレポリマーを、ビスフェノ
ールAをマスク剤として、NCO/フェノール性水酸基
当量比を1/2になるように加えて合成した、ブロック
ドイソシアネート化合物50重量部、エポキシシラン4
重量部、フッ素系レベリング剤0.5重量部、およびア
ルミナ45重量部を容器に取って、スリーワンモーター
で予備混練し、三本ロールにより更に十分に混練してシ
ール材組成物を得た。
【0036】(比較例4)予め十分に溶剤抽出により純
度を高めたビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量
部と、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸80重量部
に、アミンアダクトタイプ促進剤(MY−24,味の素
ファインケミカル製)1重量部、エポキシシラン1重量
部、無定型シリカ2重量部、および酸化チタン50重量
部を容器に取って、スリーワンモーターで予備混合し、
三本ロールにより更に十分に混練してシール材組成物を
得た。
【0037】(比較例5)予め十分に溶剤抽出により純
度を高めたビスフェノールF型エポキシ樹脂100重量
部と、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸86重量部
に、イミダゾール塩(2MZ−OK、四国化成製)1重
量部、エポキシシラン3重量部、無定型シリカ1重量
部、および球状シリカ30重量部を容器に取って、スリ
ーワンモーターで予備混合し、三本ロールにより更に十
分に混練してシール材組成物を得た。
【0038】(比較例6)予め十分に溶剤抽出により純
度を高めたジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂60重
量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂40重量
部、及びヘキサヒドロ無水フタル酸80重量部に、トリ
スジメチルアミノメチルフェノールのトリ2エチルヘキ
シル塩1重量部、エポキシシラン4重量部、フッ素系レ
ベリング剤0.5重量部、およびアルミナ45重量部を
容器に取って、スリーワンモーターで予備混練し、三本
ロールにより更に十分に混練してシール材組成物を得
た。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示したように、原料エポキシ樹脂の
精製を行なった、実施例1〜3および比較例4〜6で
は、熱水による硬化物抽出水の電気伝導度が低く、従っ
て液晶表示のコントラスト低下も認められなかった。こ
れに対して、樹脂の精製を行わなかった比較例1〜3で
は、電気伝導度が大きくなり、コントラスト低下が生じ
た。一方、ブロックドイソシアネートを添加した、実施
例1〜3および比較例1〜3に比べて、ブロックドイソ
シアネートを添加しなかった比較例4〜6では、剥離強
度が大幅に低下した。この評価結果から明らかなよう
に、原料エポキシ樹脂の精製を行い、ブロックドイソシ
アネートを添加することにより、液晶表示のコントラス
ト低下がなく、基板に対する剥離強度に優れ、プラ基板
による液晶表示素子用シール材として適した組成物が得
られることが分かる。
【0041】尚、各実施例および比較例で使用したエポ
キシ樹脂中の、無機イオンおよび有機不純物の残存量
は、表2に示した通りで、洗浄処理を行なったエポキシ
樹脂については、無機イオン残存量(Na,K,Cl,お
よびFイオンの合計)10ppm以下、有機不純物残存
量3wt%以下であった。
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明の液晶表示素子用シール材組成物
を用いることにより、剥離強度に優れ、且つ85℃85
%のような高温高湿条件下においても、コントラストを
低下させることのない、プラスチック基板の液晶表示素
子を得ることができた。尚、本発明のシール材組成物
は、プラスチック基板の液晶表示素子用に限られるもの
ではなく、従来のガラス基板の表示素子にも、好適に使
用出来るものであることは勿論である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 9/30 307 G09F 9/30 307 Fターム(参考) 2H089 LA49 MA04Y MA05Y NA39 NA45 NA48 NA58 PA15 QA16 TA01 4J002 BB03Y BB12Y BC03Y BD04Y BF02Y BF03Y BG05Y CC03Y CC16Y CC19Y CD00W CD00Y CD02W CD05W CD06W CD13W CD14W CD16W CD18W CF00Y CK02X CK02Y DE107 DE117 DE137 DE147 DE187 DE237 DG047 DJ007 DJ017 DJ027 DJ037 DJ047 DJ057 DL007 EF126 EL136 FA047 FD01Y FD017 FD140 GJ02 4J036 AD07 AD08 AD21 AF05 AF06 AG05 AG06 AH07 AH19 AJ08 AK01 AK03 CD23 DB18 DB21 DB22 FA03 FA04 FA05 FB02 FB03 FB07 FB09 FB10 FB11 5C094 AA15 AA31 AA43 AA54 BA43 DA06 DA12 EC02 FB01 FB15 GB01 JA01 JA02 JA20 5G435 AA14 AA17 AA18 BB12 EE10 HH11 HH18 HH20 KK05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂、酸無水物、充填剤、およ
    びブロックドイソシアネート化合物を必須成分とし、該
    樹脂組成物の硬化物の、熱水による抽出水の電気伝導度
    が100μS/cm未満であることを特徴とする一液型液晶
    表示素子用シール材組成物。
  2. 【請求項2】 ブロックドイソシアネート化合物が、ポ
    リヒドロキシ化合物と過剰のポリイソシアネート化合物
    から得られ、分子内に平均1ヶより多くのイソシアネー
    ト基を有する、イソシアネート基含量1〜10重量%、
    平均分子量600〜20000のウレタンプレポリマー
    を、フェノール性水酸基を有する化合物により、NCO
    /フェノール性水酸基当量比1/1〜1/2の割合でマ
    スクして得られるものであることを特徴とする、請求項
    1記載の一液型液晶表示素子用シール材組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載された、
    一液型液晶表示素子用シール材組成物を用いて、作製さ
    れたものであることを特徴とする液晶表示素子。
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