JP2001220237A - 炭化ケイ素体およびその製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素体およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】比抵抗が低く、しかも高密度、高純度、高耐食
性であり、半導体製造部材用に好適な炭化ケイ素体の提
供。 【解決手段】CVD法により作製した炭化ケイ素体であ
って、窒素元素の含有量が0.1〜100ppmであ
り、かつケイ素以外の金属元素の含有量が10ppm以
下であり、比抵抗が0.01〜10Ω・cmである炭化
ケイ素体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造部材用
に好適な炭化ケイ素体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体製造技術の発展に伴い、半
導体ウエハ上に微細な回路のパターンを高精度に形成で
きる、プラズマエッチング装置が重要になっている。プ
ラズマエッチング装置用部材としては、静電チャック、
ヒータ、保護リング、スリーブ、チャンバ、電極等があ
るが、これらプラズマエッチング装置用部材に要求され
る特性としては高純度、高耐食性、高導電性(低い比抵
抗)などがある。なかでも、比抵抗は、静電気を逃がす
ためやプラズマガスを均一に発生させるためなどから低
いことが重要である。
【0003】従来、プラズマエッチング装置用部材とし
ては、主としてシリコン製部材が使用されていたが、プ
ラズマガスに対する消耗が激しく、耐久性に問題があっ
た。このため、シリコン製部材の代替として炭化ケイ素
体部材が提案されている。炭化ケイ素は、バンドギャッ
プが大きいために通常は絶縁性を示す。したがってプラ
ズマエッチング用部材として、炭化ケイ素体を用いるに
は導電性を付与する必要がある。
【0004】炭化ケイ素体に導電性を付与する方法とし
て、焼結を利用する方法が提案されている。例えば、特
開平11−79840にはα−SiC粉末とβ−SiC
粉末を混合し、さらに有機ケイ素化合物と窒素元素を含
む有機化合物を添加して焼結する方法が提案されてい
る。しかし、この方法では、添加物に窒素元素を含んで
いるため焼結が阻害され緻密な焼結体を得ることが難し
い。
【0005】また、特開平9−255428には高純度
に対応するため、焼結助剤を使用せずにホットプレスで
炭化ケイ素を焼結する方法が提案されているが、焼結密
度が必ずしも高くない等の問題がある。
【0006】焼結法の欠点である低い焼結密度を解消す
るため、CVD法による炭化ケイ素体の製造方法が注目
されている。しかし、一般にCVD法で作製した炭化ケ
イ素体は、高純度で緻密ではあるが、比抵抗が高く、導
電性に乏しい。特開平11−121311には、CVD
法を用いて導電性のある炭化ケイ素体を得る方法とし
て、炭化ケイ素表面に帯電防止層を作製する方法が提案
されている。しかし、この方法でも比抵抗が102Ω・
cm程度以上と導電性が充分ではなく、しかも製造工程
数が多い等の問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、比抵抗が低
く、しかも高純度、高密度、高耐食性である炭化ケイ素
体の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、CVD法によ
り得られた炭化ケイ素体であって、窒素元素の含有量が
0.1〜100ppmであり、かつケイ素以外の金属元
素の含有量が10ppm以下であり、比抵抗が0.01
〜10Ω・cmであることを特徴とする炭化ケイ素体で
ある。また、本発明は、CVD法により炭化ケイ素体を
形成する方法であって、CVD炉に供給するガスとし
て、窒素含有ガスを前記供給ガス中に0.1〜50モル
%含有することを特徴とする炭化ケイ素体の製造方法で
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の炭化ケイ素体(以下、本
炭化ケイ素体という)は、CVD法により作製した炭化
ケイ素体であって、窒素元素を0.1〜100ppm含
有し、その比抵抗が0.01〜10Ω・cmの範囲に制
御されたものである。さらに本炭化ケイ素体のケイ素以
外の金属元素の含有量は10ppm以下である。
【0010】本炭化ケイ素体中の窒素分が0.1ppm
未満であると安定した比抵抗値を示さない。一方、窒素
分が100ppmを超えるとプラズマガスに対する耐食
性が劣化する。これは窒素分が結晶中に固溶せずに粒界
に留まるためと考えられる。窒素元素が0.5〜80p
pmであると好ましい。
【0011】本炭化ケイ素体の比抵抗値は、0.01Ω
・cm未満であると部材の耐食性が低下し、逆に10Ω
・cmを超えると導電性が低下して静電気によるトラブ
ルが発生しやすくなる。比抵抗値が0.02〜5Ω・c
mであると好ましい。なお、本明細書において、比抵抗
は銀電極を形成し四端子法により測定する。
【0012】本炭化ケイ素体において、ケイ素以外の金
属元素の合計は10ppm以下である。ケイ素以外の金
属元素の量が10ppmを超えると、半導体製造装置用
部材としたときに半導体ウエハを汚染する原因となり好
ましくない。本明細書において、金属元素の量はグロー
放電質量分析法により測定する。
【0013】また、本炭化ケイ素体が3質量%以上の6
H型α−SiC結晶を含むと、耐ガス浸透性が向上し、
エッチング工程で用いられるCF4やCHF3等のガスに
対して高耐食性を示すため好ましい。この場合、本炭化
ケイ素体の密度が3.15g/cm3以上であると耐食
性の点でさらに好ましい。
【0014】なお、本炭化ケイ素体では、100%6H
型α−SiC結晶からなっていてもよく、6H型以外の
α−SiC結晶のポリタイプである3C型、2H型、4
H型、15R型などを含んでいてもよい。本明細書にお
いて、各ポリタイプの比率は、粉末X線回折法のメイン
ピークの積分強度の比により測定される。
【0015】また、本炭化ケイ素体の熱伝導率は、20
0W・m-1・K-1以上であると、半導体製造装置用部材
としたときに、装置の加熱・冷却時に装置内に温度分布
が発生しにくいため好ましい。
【0016】つぎに本発明の炭化ケイ素体の製造方法
(以下、本製造方法という)について説明する。本発明
において、CVD装置としては特に限定されないが、ガ
スの導入口、導出口を備えた、縦型や横型のバッチ式の
電気加熱手段で加熱するタイプのものが好ましい。ま
た、CVDの方法としては、CVD装置内に基材をセッ
トし、原料ガス、キャリアガスなどのガスを装置内に導
入し基材上で化学気相成長反応させるものであればよ
い。
【0017】原料ガスは、炭素源およびケイ素源を含む
ガスである。原料ガスとしては、分子内に炭素原子とケ
イ素原子とを含むガス(例えば、メチルトリクロロシラ
ン、ジメチルジクロロシランなど)の単独使用でもよ
く、分子内に炭素原子を含まずケイ素原子を含むガス
(例えば、シラン、ジシラン、テトラクロロシラン、ト
リシランなど)と分子内にケイ素原子を含まず炭素原子
を含むガス(例えば、メタン、エタンなど)との混合ガ
スの使用でもよい。
【0018】これらの原料ガスは、希釈することなく導
入してもよいが、水素、ヘリウム、アルゴン等をキャリ
アガスとして希釈して導入するのが好ましい。原料ガス
をキャリアガスで希釈して導入する場合は、原料ガス/
(原料ガス+キャリアガス)のモル比が3〜40%にな
るように調整して導入するのが好ましい。モル比が3%
未満では、ガス濃度が低いため炭化ケイ素体の生成速度
が遅く生産性が低い。モル比が40%を超えると、ガス
濃度が高すぎるために、気相中で異常な核発生を起こ
し、比抵抗の不均一な部材となりやすい。
【0019】本製造方法では、CVD炉に供給するガス
(以下、単に供給ガスと略す)として少なくとも原料ガ
スと窒素含有ガスを使用し、キャリアガスを併用すると
好ましい。窒素含有ガスとは、分子内に窒素原子を含有
するガスを意味し、アンモニアガス、窒素ガスなどが例
示できる。
【0020】窒素含有ガスとしては窒素ガスが好まし
い。窒素含有ガスとして窒素ガスを用いる場合、原料ガ
ス、キャリアガス、窒素ガスは、CVD炉に入る直前に
混合されて、CVD炉内に導入されると好ましい。ま
た、供給ガス流量は、反応圧力が6.5×102〜1.
01×105Paでガス滞留時間が0.2〜30秒とな
るようにマスフローコントローラーで調整されると好ま
しい。ここで、滞留時間(分)は、[蒸着室の容積
(L)/総ガス流量(SLM)]×[273/(273
+反応温度(℃))]×[炉内圧力(Pa)/(1.0
13×105)]で計算される値である。なお、SLM
は、体積を0℃、0.098MPaに換算した流量(L
/m)のことである。
【0021】窒素含有ガスは、供給ガス中に0.1〜5
0モル%含有される。供給ガス中の窒素含有ガス量が
0.1モル%未満であると比抵抗が高くなり、しかも比
抵抗がばらつく。供給ガス中の窒素含有ガス量が50モ
ル%を超えると、炭化ケイ素体の比抵抗はほとんど変化
せず、むしろ炭化ケイ素体の生成速度が遅くなり生産性
が低下する。供給ガス中の窒素含有ガス量が3〜25モ
ル%であると好ましい。
【0022】本製造方法において、反応温度としては1
200℃以上が好ましい。反応温度が1200℃未満で
あると、得られた炭化ケイ素体をプラズマエッチング部
材として用いた場合、プラズマガスにより消耗される速
度が大きくなってしまう。反応温度が1400〜180
0℃であると、炭化ケイ素体の結晶相として6H型α−
SiCを多く含ませることができるため好ましい。
【0023】本製造方法では、基材表面上にCVD法で
形成された炭化ケイ素体を、基材から分離することで炭
化ケイ素体を得る。CVD法の基材としては炭化ケイ
素、アルミナ、高純度のカーボン等を使用できる。なか
でも基材がカーボンであると、純度や基材の除去の容易
さの点から好ましい。
【0024】
【実施例】[例1(実施例)]基材として直径が110
mm、厚さが5mmであり、純度が99.99%以上で
あるカーボン製円板を準備した。この円板を減圧CVD
炉に入れて0.25Paの真空下で脱ガス後、15℃/
分の昇温速度で1000℃に昇温後、水素ガスを導入し
1.27×104Paの圧力で60分間保持し、ダスト
等のクリーニング処理した。
【0025】ついで、10℃/分の昇温速度で1350
℃まで加熱後、炭化ケイ素体の原料ガスであるテトラク
ロロシランとメタンを、窒素ガスおよび水素ガスととも
に混合導入した。各ガスのモル比は、テトラクロロシラ
ン:メタン:水素:窒素=13:13:64:10であ
った。
【0026】供給速度は総ガス流量合計で4.2SLM
とし、CVD炉内圧力を0.013MPaに調整した。
この状態で5時間保持した後、5℃/分の降温速度で室
温まで冷却し、さらにカーボン基材を機械加工で除去し
た。得られた炭化ケイ素体の厚さは3.0mmであっ
た。
【0027】[例2(実施例)]例1と同様のカーボン
基材を使用して、10℃/分の昇温速度で1500℃ま
で加熱後、炭化ケイ素体の原料ガスであるメチルトリク
ロロシランを、窒素ガスおよび水素ガスとともに混合導
入した。各ガスのモル比は、メチルトリクロロシラン:
水素:窒素=10:80:10であった。
【0028】供給速度は総ガス流量合計で15.3SL
Mとし、CVD炉内圧力を0.098MPaに調整し
た。この状態で5時間保持した後、5℃/分の降温速度
で室温まで冷却し、さらにカーボン基材を機械加工で除
去した。得られた炭化ケイ素体の厚さは4.0mmであ
った。
【0029】[例3(実施例)]加熱温度を1500℃
のかわりに1250℃に変更し、保持時間を5時間のか
わりに30時間に変更すること以外は、例2と同様にし
た。得られた炭化ケイ素体の厚さは2.0mmであっ
た。
【0030】[例4(比較例)]アチソン法により得ら
れた平均粒子直径2.5μmの6H型α−SiC粉末を
91質量%、ポリビニルアルコール水溶液(固形分を4
質量%含む)を3質量%、ワックスを3質量%、焼結助
剤としてAl23を3質量%添加して湿式混合、乾燥、
造粒した。この造粒粉末を等方圧プレス成形して成形体
を得た。この成形体をアルゴン雰囲気下2000℃で5
時間焼結して常圧焼結法による炭化ケイ素体を得た。
【0031】[例5(比較例)]β−SiC粉末(平均
粒子直径0.06μm)10質量%、β−SiC粉末
(平均粒子直径0.3μm)65質量%、6H型α−S
iC粉末(平均粒子直径0.3μm)25質量%の3種
類の粉末をメタノール溶媒とともにボールミルに入れて
湿式混合した。混合した粉末を乾燥、造粒した後、一軸
プレス機にて圧力20MPaで成形し成形体を得た。つ
いで、この成形体をホットプレス容器に詰め、アルゴン
雰囲気中、2300℃、圧力40MPaの条件下で4時
間、ホットプレスして炭化ケイ素体を作製した。
【0032】[評価]各例で得られた炭化ケイ素体の評
価結果を表1に示す。炭化ケイ素体の密度はアルキメデ
ス法で測定した。炭化ケイ素体の比抵抗は、四端子法に
より10サンプル測定して平均値を求め、さらに((最
大値−最小値)/平均値)×100(%)で比抵抗のバ
ラツキを示した。炭化ケイ素体に含有されている窒素量
は、酸素窒素同時分析装置(LECO社製、商品名:T
C−436型)で測定した。
【0033】炭化ケイ素体中のFe、Cu、Mg、A
l、V、Ni、Na、K、CaおよびCrの各金属元素
濃度をグロー放電質量分析装置(VG ELEMENT
AL社製、商品名:VG9000)により測定し、その
合計量を示す。なお、上記金属元素およびケイ素以外の
金属元素は検出されなかった。結晶構造の分析は、粉末
X線回折装置(理学電機社製、商品名:GEIGERF
LEX RAD−IIA)により測定した。消耗速度は、
炭化ケイ素体をプラズマエッチング装置に投入し、プラ
ズマガスによりエッチングして測定した。すなわち、並
行平板型プラズマエッチング装置の処理室に試料をセッ
トし、装置の圧力を133Paに設定し、処理室にアル
ゴンガスおよびCHF3ガスを供給し、高周波電源から
上部電極に13.56MHzの高周波電界を印加してプ
ラズマを発生させ試料をエッチングした。その際の試料
の時間当りの質量変化を測定し、プラズマに晒される試
料の表面積、各炭化ケイ素体の密度から消耗速度を算出
した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明の炭化ケイ素体は、高密度、高純
度であって、かつ、高導電性を有し、その電気特性(比
抵抗)のバラツキも非常に小さいため、電子情報機器産
業や半導体工業、特に半導体製造部材用などの分野にお
いて極めて有用である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA77 BB22 BB32 BB62 BB71 BC44 BC47 BC54 BC73 BD22 BD38 BE02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CVD法により得られた炭化ケイ素体であ
    って、窒素元素の含有量が0.1〜100ppmであ
    り、かつケイ素以外の金属元素の含有量が10ppm以
    下であり、比抵抗が0.01〜10Ω・cmであること
    を特徴とする炭化ケイ素体。
  2. 【請求項2】前記炭化ケイ素体が、6H型α−SiC結
    晶を3質量%以上含有する請求項1記載の炭化ケイ素
    体。
  3. 【請求項3】CVD法により炭化ケイ素体を形成する方
    法であって、CVD炉に供給するガスとして、窒素含有
    ガスを前記供給ガス中に0.1〜50モル%含有するこ
    とを特徴とする炭化ケイ素体の製造方法。
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