JP3004030B2 - 炭化珪素ヒーター及びその製造方法 - Google Patents

炭化珪素ヒーター及びその製造方法

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【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、耐酸化性、耐食性、耐熱性に優れ、かつ酸
化雰囲気中および真空雰囲気中でも好適に使用される高
純度で緻密質の炭化珪素焼結体からなる半導体製造装置
用ヒーターまたは超伝導材製造装置用ヒーターと、その
製造方法に関するものである。
「従来の技術」 一般に酸化雰囲気中で使用可能なヒーターとしては、
金属では鉄−クロム−アルミニウム合金や、ニッケル−
クロム合金等がある。しかし、これらの金属からなるヒ
ーターは、酸化による腐食、あるいは溶融などが生じる
ことから、1100℃程度でまでしか使用できないといった
不満があった。
また、セラミックスでは多孔質炭化珪素、珪化モリブ
デンなどが実用化されており、これらヒーターの使用可
能温度の上限値としては、多孔質炭化珪素が1600℃程
度、珪化モリブデンが1800℃程度と上記金属製のものに
比べ高い数値を示す。
しかし、多孔質炭化珪素からなるヒーターでは、内部
に約20体積%の気孔を含むことから高温空気中での酸化
が早く、よって電気絶縁性の二酸化炭素が表面だけでな
く内部にまで生成するので、局部的な異常発熱や機械的
強度の低下などが起こるなど、ヒーターとしての性能が
著しく低下するといった問題がある。一方珪化モリブデ
ンでは、1300℃から軟化が始まるので、高温、すなわち
1300℃以上で使用した場合に機械的強度や熱衝撃性が低
下し、ヒーターとしての寿命が短くなるといった問題が
ある。
また、不活性雰囲気中や真空雰囲気中で使用可能なヒ
ーターとしては、従来からカーボンが一般的に使用され
ている。しかし、カーボンは高温での耐酸化性に著しく
劣るため、被加熱試料等から蒸発する水分や酸素と容易
に反応して一酸化炭素や二酸化炭素を生成し、これを放
出するので、特に外部からの汚染を嫌う半導体や超伝導
材料などの加熱装置には使用し得ないといった問題があ
る。
このように、酸化雰囲気や真空雰囲気中で使用される
従来のヒーターには、耐酸化性、耐食性、耐熱性等につ
いてさまざまの問題があった。
そこで、ヒーター材として、本来、耐酸化性、耐食
性、耐熱性に優れた緻密質炭化珪素を利用する技術が従
来より提供されている。このような技術としては大別す
ると以下に示すものがある。
(イ)炭化珪素に炭素チタン、炭化ジルコニウム、ホウ
化モリブデン、ホウ化ジルコニウム、珪化モリブデン、
珪化タンタル、窒化チタン、窒化ジルコニウム、カーボ
ン等の1種類以上を添加し、焼結体中にて導電性物質を
連続的に接触させて電気比抵抗値を調節した炭化珪素焼
結体をヒーターとして使用する技術。
(ロ)炭化珪素に酸化アルミニウム、窒化アルミニウ
ム、炭化アルミニウム、酸化チタン等の化合物の1種類
以上を添加し、これら化合物どうしを反応させるか、あ
るいは該化合物と炭化珪素とを反応させることにより、
導電性の化合物あるいは複合相を炭化珪素粒界に形成し
て電気比抵抗値を調節した炭化珪素焼結体をヒーターと
して使用する技術。
(ハ)多孔質炭化珪素、カーボンなどの従来のヒーター
の上に、CVD法やPVD法などによって緻密質炭化珪素膜を
被覆し、これをヒーターとして使用する技術。
「発明が解決しようとする課題」 しかしながら、上記の技術によって製造されたヒータ
ーには以下に述べる不都合がある。
上記(イ),(ロ)の技術で共通しているのは、導電
性物質あるいは化合物を1種類以上添加することにある
が、これらの物質は炭化珪素と異種物質であるため、該
物質を焼結体中に均一に分散させることが非常に困難で
あり、さらに焼結体中の導電パスが切断され易く、ヒー
ターとして使用した場合に発熱特性などにバラツキが生
じる。また、これらの物質を添加すると、炭化珪素が本
来有している特性、例えば高耐酸化性、高耐食性、高熱
伝導性、高温高強度などのいずれかが劣化してしまうと
いう大きな問題がある。さらに、これらの炭化珪素焼結
体からなるヒーターでは、添加物質が炭化珪素よりも耐
食性、耐熱性などに劣る場合が多いので、高温に発熱し
た後、添加物質が蒸発しあるいは分解することなどによ
りガス化して放出され易くなり、外部からの汚染を嫌う
半導体や超伝導材などを製造する工程での使用に適さな
くなる。
一方、(ハ)の技術から製造されるヒーターでは、抵
抗発熱体である多孔質炭化珪素やカーボンと、酸化、腐
食に対して保護膜の働きをする緻密質炭化珪素膜との熱
膨張率が異なる場合が多いので、加熱、冷却を繰り返し
ているうちに膜が剥離してしまい、ヒーターとしての寿
命が短くなる。また、この緻密質炭化珪素は電気比抵抗
値が高いため、ヒーターの電極取り付け部に被覆が施せ
ず、よってこの露出部から酸化や腐食が起こり易くな
る。
本発明はこのような技術背景に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、焼結助剤を添加すること
なく、高純度で緻密質の炭化珪素焼結体を得、これによ
り炭化珪素本来の優れた耐酸化性、耐食性、耐熱性等を
有し、室温での電気比抵抗値が1Ω・cm以下と優れた導
電性を示す半導体製造装置用または超伝導材製造装置用
として使用される炭化珪素ヒーター及びその製造方法を
提供することにある。
「課題を解決するための手段」 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ね
た結果、平均粒子径が0.1〜10μmの第1の炭化珪素粉
末と、非酸化性雰囲気のプラズマ中にシラン化合物また
はハロゲン化珪素と炭化水素とからなる原料ガスを導入
し、反応系の圧力を1気圧未満から0.1torrの範囲で制
御しつつ気相反応させることによって合成された平均粒
子径が0.1μm以下の第2炭化珪素粉末とを混合し、こ
れを加熱し焼結することによって炭化珪素焼結体を得、
この焼結体を半導体製造装置用ヒーターまたは超伝導材
製造装置用ヒーターとするか、または単に非酸化性雰囲
気のプラズマ中にシラン化合物またはハロゲン化珪素と
炭化水素とからなる原料ガスを導入し、反応系の圧力を
1気圧未満から0.1torrの範囲で制御しつつ気相反応さ
せることによって合成された平均粒子径が0.1μm以下
である炭化珪素超微粉末を加熱し、焼結することによっ
て炭化珪素焼結体を得、この焼結体を半導体製造装置用
ヒーターまたは超伝導材製造装置用ヒーターとすること
により、高耐酸化性、高耐食性、高温高強度、高熱伝導
性を損なうことなく、焼結体密度が2.8g/cm3以上で、室
温での電気比抵抗値1Ω・cm以下の炭化珪素焼結体から
なる半導体製造装置用または超伝導材製造装置用として
使用される炭化珪素ヒーター(以下、単に炭化珪素ヒー
ターまたはヒーターということもある)が得られること
を究明し、上記課題を解決した。
以下、本発明の炭化珪素ヒーターをその製造方法に基
づいて詳細に説明する。
まず、平均粒子径が0.1〜10μmの第1の炭化珪素粉
末と平均粒子径が0.1μm以下の第2の炭化珪素粉末と
を用意する。ここで、第1の炭化珪素粉末としては、一
般に使用されるものでよく、例えばシリカ還元法、アチ
ソン法等の方法によって製造されたものが用いられる。
ただし、半導体や超伝導材の製造工程において使用され
る加熱装置用のヒーターを製造する場合には、高純度が
要求されるので、酸処理等を施した高純度粉末を使用す
る必要がある。第1の炭化珪素の結晶相としては、非晶
質、α型、β型、あるいはこれらの混合相のいずれでも
よい。また、この炭化珪素粉末の平均粒子径としては、
0.1〜1μmにするのが、焼結性がよくなることから望
ましい。
また、第2の炭化珪素粉末としては、非酸化性雰囲気
のプラズマ中にシラン化合物またはハロゲン化珪素と炭
化水素の原料ガスを導入し、反応系の圧力を1気圧未満
から0.1torrの範囲で制御しつつ気相反応させることに
よって得られたものを使用する。例えば、モノシランと
メタンとからなる原料ガスを高周波により励起されたア
ルゴンプラズマ中に導入して合成を行うと、平均粒子径
が0.02μmで、アスペクト比の小さいβ型超微粉末が、
また合成条件によってはα型とβ型との混合相が得られ
る。このようにして得られた超微粉末は焼結性が非常に
優れているため、上記第1の炭化珪素粉末と混合するの
みで、焼結助剤を添加することなく高純度かつ緻密質の
炭化珪素焼結体を得ることができるようになる。
次に、上記第1の炭化珪素粉末と第2の炭化珪素粉末
とを混合して混合物とする。ここで、第1の炭化珪素粉
末と第2の炭化珪素粉末とを混合するにあたっては、第
2の炭化珪素粉末の配合量を全体の0.5〜50重量%の範
囲とするのが好適とされる。すなわち、第2の炭化珪素
粉末の配合量を0.5重量%未満とすると、この炭化珪素
粉末を配合した緻密化に及ぼす効果が十分に発揮され
ず、また50重量%を越えて配合しても、焼結体密度がほ
ぼ横ばいになってその効果が得られないからである。な
お、上述した半導体や超伝導材の製造に用いられる加熱
炉や蒸着装置などに使用されるヒーターを製造する場合
には、高純度が要求されるため、第2の炭化珪素粉末の
みを用いて焼結体を製造するのが望ましい。すなわち、
第2の炭化珪素粉末は高純度ガスを原料として合成する
ため、その含有不純物量が数ppm以下と極めて少なく、
純度が高いからである。
その後、上記混合物または第2の炭化珪素粉末をヒー
ターとして、所望する形状に成形し、得られた成形体を
1800℃〜2400℃の温度範囲で加熱し、さらに焼結助剤無
添加で焼結して炭化珪素ヒーターを得る。炭化珪素粉末
の成形にあたっては、プレス成形法、押し出し成形法、
射出成形法などの従来から公知の方法を採用することが
できる。この場合、成形バインダーとしてはポリビニル
アルコールやポリビニルピロリドンなどを使用すること
ができ、必要に応じてステアリン酸塩などの分散剤を添
加してもよい。
また、焼結にあたっては、常圧焼結、雰囲気加圧焼
結、ホットプレス焼結、あるいは熱問静水圧焼結(HI
P)などの従来の方法が採用可能であるが、より高密度
で導電性に優れた炭化珪素ヒーターを得るためにはホッ
トプレス等の加圧焼結法を採用することが望ましい。焼
結温度についても特に限定されるものではないが、1900
℃より低い加熱温度では焼結不足が生じ、また2300℃よ
り高い加熱温度では炭化珪素の蒸発が起こり易くなり、
粒子の成長によって焼結体の強度や靭性が低下する恐れ
があることから、1900℃〜2300℃の温度範囲で焼結する
のが好適とされる。
また、焼結時の雰囲気としては、真空雰囲気、不活性
雰囲気もしくは還元ガス雰囲気のいずれも採用可能であ
る。
このようにして得られた炭化珪素ヒーターは、その焼
結体密度が2.8g/cm3以上(理論密度が3.21g/cm3である
ことから、理論密度の約87%以上)となる。そして、焼
結体密度が2.8g/cm3以上であることから炭化珪素粒子間
の結合力が充分であり、また気孔も小さく数も少ないの
で耐酸化性、耐食性に優れたものとなり、よってヒータ
ー性能が安定して持続するものとなる。さらに、高温で
の機械的強度も高いことから、薄肉化することによって
軽量化することが可能になり、また耐久性についても従
来のものに比べ一層向上したものとなる。
また、この炭化珪素ヒーターはその室温時の電気比抵
抗値が1Ω・cm以下になるので、抵抗加熱ヒーターとし
て使用した場合に小型化が可能になり、さらに温度によ
る電気比抵抗値の変化が少ないので、ヒーター表面温度
を一定に保持するための電流制御がし易いといった利点
を有する。
また、上述したようにこの炭化珪素ヒーターは、その
焼結体密度が2.8g/cm3以上と緻密質であり、しかも焼結
助剤を添加していないので、粒界に存在する不純物が少
なく微細で均一な組織が得られ、よって150W/m・K以上
の高い熱伝導率が得られる。したがって、この炭化珪素
ヒーターは均熱性に優れるだけでなく、熱応答性も速い
ものとなる。
このように、本発明の炭化珪素ヒーターは高純度のも
のとなり、特に請求項4記載の製造方法に基づいて作製
すれば遊離炭素および遊離シリカ以外の不純物含有量を
100ppm以下にすることができる。したがって、このよう
な高純度のヒーターにあっては、高温かつ減圧下の条件
で使用した場合においても、ヒーターからの不純物の蒸
発や分解によるガス発生がほとんど無いので、半導体や
超伝導材の製造工程のように高純度雰囲気が要求される
分野にも充分使用可能となる。
このような炭化珪素ヒーターにあっては、第1に高純
度で緻密質であることから炭化珪素本来の高耐酸化性、
高耐食性、高熱伝導性、高温高強度を有するものとな
り、これによって酸化雰囲気および真空雰囲気で使用し
ても酸化、腐食、分解などによる消耗が極めて少なくな
ることから寿命が伸びるとともに、ヒーター本体の薄肉
化による軽量化が可能になる。また、均熱性、熱応答性
などのヒーター特性も向上し、高温雰囲気中でも耐熱性
に優れるためヒーターの変形がなくなり、熱衝撃に対し
ても十分耐え得るものとなる。さらに、半導体や超伝導
材の製造分野などの汚染を嫌う工程においても十分使用
可能になる。
第2に室温時の電気比抵抗値が低く、かつ温度による
変動が少ないため、ヒーターの小型化が可能になり、ま
た電流値によるヒーター温度の制御が容易となる。さら
に、焼結体組織も均一であるので、従来にない良好な放
電加工が可能になり、よって微細加工や三次元加工を自
由に行うことができる。
「実施例」 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明す
る。
(実施例1) 第1の炭化珪素粉末として平均粒子径が0.7μm、BET
比表面積が13m2/gのβ型炭化珪素粉末を使用した。この
粉末中の含有金属不純物量を調べたところ、10ppmのナ
トリウム、5ppmのカリウム、55ppmの鉄、171ppmのアル
ミニウム、22ppmのカルシウムが含まれており、ニッケ
ル、クロム、銅の含有量は1ppm未満であった。
次に、この第1の炭化珪素粉末に、四塩化珪素とエチ
レンとを原料ガスとしてプラズマCVD法により気相合成
して得た平均粒子径0.01μm、比表面積96m2/gの非晶質
炭化珪素超微粉末(第2の炭化珪素粉末)を5重量%添
加し、これをメタノール中にて分散せしめ、さらにボー
ルミルで12時間混合した。
次いで、この混合物を乾燥して内径160mmの黒鉛製モ
ールドに充填し、ホットプレス装置にて、アルゴン雰囲
気下、プレス圧400kg/cm2、焼結温度2200℃の条件で90
分間焼結した。
得られた炭化珪素焼結体の密度を調べたところ、3.1g
/cm3であった。また、この焼結体の室温時における3点
曲げ強度は、JIS R−1601に準拠して測定したところ6
4.3kg/mm2という結果が得られ、さらに1500℃における
3点曲げ強度は68.5kg/mm2であった。また、室温時にお
ける電気比抵抗値を四端子法で測定したところ0.05Ω・
cmという結果が得られ、さらに室温時の熱伝導率をレー
ザーフラッシュ法で測定したところ197W/m・Kであっ
た。また、焼結体中の含有不純物量をアーク発光分析で
調べたところ、鉄が32ppm、アルミニウムが88ppm、カル
シウムが5ppm、銅が3ppmであり、ナトリウム、カリウ
ム、クロム、ニッケルはいずれも1ppm未満であった。さ
らに、焼結体の表面を濃度10%のフェロシアン化カリウ
ムでエッチングし、走査型電子顕微鏡(SEM)により焼
結体の微細構造を調べたところ、ポアの大きさが1μm
以下であり、その数も少なく、非常に均質かつ緻密な組
織であることが判明した。
次いで、この直径160mm、厚さ10mmの円板状炭化珪素
焼結体を、ワイヤー放電加工によりその外周部および内
部の一部を除去して第1図および第2図に示すような、
六方向に突出した円板形状の炭化珪素ヒーター1とし、
さらにモリブデン製電極2を取り付けた。なお、ワイヤ
ー放電加工はトランジスタパルス回路方式の放電加工機
を用いて行った。また、放電用ワイヤーには外径が2mm
の黄銅のワイヤーを用い、加工条件としては加工電圧を
50V、パルス幅を1.2μsec、休止時間を20μsecとした。
このようにして放電加工を行い、放電加工面の表面粗
さを測定したところRmaxが2.5μmであり、上記炭化珪
素焼結体は放電加工性が良好であることが確認された。
そして、この炭化珪素ヒーターを酸化加熱炉に取り付
け、印加電圧を一定にして15Aの電流を流したところ、
ヒーターの表面は約22℃/minの速度で昇温し、45分後に
は設定温度である1000℃になった。次いで、加熱を5時
間続けたところ、ヒーターの消耗がほとんど認められ
ず、さらにこの加熱試験を10回繰り返した後でも異常は
認められなかった。
また、この炭化珪素ヒーターを真空加熱炉に取り付
け、1×10-4torrの真空下において同様の加熱試験を行
ったところ、ヒーターの消耗はほとんど認められず、ガ
スなどの発生もなかった。
以上の結果より、本発明の炭化珪素ヒーターは酸化雰
囲気および真空雰囲気下で使用しても加熱特性は良好で
あり、耐久性にも優れていることが確認された。
(実施例2〜4) 実施例1と同一の炭化珪素粉末(第1の炭化珪素粉
末)に、モノシランとメタンとを原料ガスとしてプラズ
マCVD法により気相合成した平均粒子径0.02μm、BET比
表面積値70m2/gのβ型炭化珪素超微粉末(第2の炭化珪
素粉末)を5〜50重量%添加し、実施例1と同一の条件
で焼結して炭化珪素焼結体を製造した。
得られた炭化珪素焼結体の焼結体密度、室温時の3点
曲げ強度、1500℃での3点曲げ強度、室温時の電気比抵
抗値、室温時の熱伝導率を実施例1と同一の方法でそれ
ぞれ調べ、その結果を実施例1の測定結果とともに第1
表に示す。
第1表に示した結果より、異種原料ガスから合成され
た炭化珪素超微粉末を使用しても、また炭化珪素超微粉
末の添加量を変えても、本発明の効果が十分得られるこ
とが確認された。
また、これらの焼結体中に含まれる不純物量を実施例
1と同一の方法で調べた結果、いずれの焼結体も合計不
純物量が200ppm以下であった。
(実施例5) モノシランとメタンとを原料ガスとしてプラズマCVD
法により気相合成した平均粒子径0.03μm、BET比表面
積値58m2/gのβ型炭化珪素超微粉末をメタノール中にて
分散せしめ、さらにボールミルで12時間混合した。
次に、この混合物を乾燥し造粒して粉末を得、これを
実施例1と同一の条件で焼結して炭化珪素焼結体を製造
した。
得られた炭化珪素焼結体の密度を調べたところ3.1g/c
m3であった。また、この炭化珪素焼結体の室温時の3点
曲げ強度、1500℃での3点曲げ強度、室温時の電気比抵
抗値、室温時の熱伝導率を実施例1と同一の方法で測定
し、得られた結果を第1表に併記する。
さらに、この炭化珪素焼結体の不純物分析を実施例1
と同一の分析法で調べたところ、ナトリウムが5ppm、鉄
が8ppm、アルミニウムが10ppm、クロムが2ppm含まれて
おり、カリウム、カルシウム、ニッケル、銅は1ppm未満
であった。
以上の結果から、炭化珪素超微粉末だけを原料とした
炭化珪素焼結体はより高強度かつ高純度であることが確
認され、苛酷な条件下でも使用可能なヒーターとなり得
ることが判明した。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明における請求項1および
2に記載の発明の炭化珪素ヒーターは、請求項3および
4に記載の発明の製造方法によって得られるものであ
る。そして、請求項3および4に記載の製造方法によれ
ば、焼結助剤無添加で緻密焼結を行うことができること
から、極めて高純度でありかつ高密度な焼結体を得るこ
とができ、よって炭化珪素本来の性質である高耐酸化
性、高耐食性、高熱伝導性、高温高強度を併せ持ち、し
かも電気比抵抗値の低い炭化珪素ヒーターを製造するこ
とができる。
そして、これにより請求項1および2の炭化珪素ヒー
ターは、酸化雰囲気下で使用される場合にも消耗がほと
んどなく、耐久性に優れたものとなる。また、緻密質で
高純度であることから減圧、真空下で使用される場合に
も、ヒーターからの不純物蒸発による汚染ガスの発生が
ほとんどないため、半導体や超伝導材などの製造のよう
に汚染を最も嫌う工程において使用しても製品特性を低
下させることがない。また、熱の放散性も良好なため、
均熱性、熱応答性などのヒーター特性に優れたものとな
る。
さらに、本発明の炭化珪素ヒーターは、従来のヒータ
ーに比較して高温での機械的強度が格段に高いため、熱
衝撃によるヒーターの変形や破損が少なくなり、また薄
肉化による軽量化が可能になるため、ハンドリングが容
易となる。加えて、電気比抵抗値が低く、温度による変
動が少ないことからヒーターの小型化が可能になるた
め、これを用いた加熱装置をコンパクトにすることがで
き、また電流値によるヒーター温度の制御が容易となる
ため加熱装置の制御系を単純化することができる。
また、良好な放電加工性をも有するので、三次元複雑
形状のものにも十分精度よく製造され、よってその使用
範囲が広範なものとなる。そして、これにより該炭化珪
素ヒーターは、半導体製造工程または超伝導材製造工程
において用いられる酸化加熱炉、雰囲気加熱炉、真空加
熱炉、蒸着装置、CVD装置等のヒーターに使用でき、産
業上多大な効果を奏するものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明の一実施例を示す図であっ
て、第1図は炭化珪素ヒーターの平面図、第2図は第1
図のII−II線矢視図である。 1……炭化珪素ヒーター、 2……モリブデン電極部。
フロントページの続き (72)発明者 森岡 太郎 千葉県船橋市豊富町585 住友セメント 株式会社新規事業本部セラミックス事業 推進部内 (56)参考文献 特開 平2−204363(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/565

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体製造装置用または超伝導材製造装置
    用として使用されるヒーターであって、 焼結助剤無添加で焼結されてなり、焼結体密度が2.8g/c
    m3以上で、室温での電気比抵抗値が1Ω・cm以下の炭化
    珪素焼結体からなる炭化珪素ヒーター。
  2. 【請求項2】請求項1記載の炭化珪素ヒーターにおい
    て、室温での熱伝導率が150W/m・K以上である炭化珪素
    ヒーター。
  3. 【請求項3】平均粒子径が0.1〜10μmの第1の炭化珪
    素粉末と、非酸化性雰囲気のプラズマ中にシラン化合物
    またはハロゲン化珪素と炭化水素とからなる原料ガスを
    導入し、反応系の圧力を1気圧未満から0.1torrの範囲
    で制御しつつ気相反応させることによって合成された平
    均粒子径が0.1μm以下の第2の炭化珪素粉末とを混合
    し、これを加熱し焼結することによって炭化珪素焼結体
    を得、この焼結体を半導体製造装置用ヒーターまたは超
    伝導材製造装置用ヒーターとすることを特徴とする炭化
    珪素ヒーターの製造方法。
  4. 【請求項4】非酸化性雰囲気のプラズマ中にシラン化合
    物またはハロゲン化珪素と炭化水素とからなる原料ガス
    を導入し、反応系の圧力を1気圧未満から0.1torrの範
    囲で制御しつつ気相反応させることによって合成された
    平均粒子径が0.1μm以下である炭化珪素超微粉末を加
    熱し、焼結することによって炭化珪素焼結体を得、この
    焼結体を半導体製造装置用ヒーターまたは超伝導材製造
    装置用ヒーターとすることを特徴とする炭化珪素ヒータ
    ーの製造方法。
JP2107141A 1990-04-23 1990-04-23 炭化珪素ヒーター及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3004030B2 (ja)

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