JP2726692B2 - 高熱伝導性炭化珪素焼結体及びその製造方法 - Google Patents

高熱伝導性炭化珪素焼結体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2726692B2
JP2726692B2 JP1020571A JP2057189A JP2726692B2 JP 2726692 B2 JP2726692 B2 JP 2726692B2 JP 1020571 A JP1020571 A JP 1020571A JP 2057189 A JP2057189 A JP 2057189A JP 2726692 B2 JP2726692 B2 JP 2726692B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon carbide
sintered body
thermal conductivity
powder
carbide sintered
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1020571A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02199064A (ja
Inventor
弌倫 木島
英樹 荒井
陽一 宮沢
幹郎 小西
謙 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority to JP1020571A priority Critical patent/JP2726692B2/ja
Priority to US07/432,210 priority patent/US5094985A/en
Publication of JPH02199064A publication Critical patent/JPH02199064A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2726692B2 publication Critical patent/JP2726692B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ceramic Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、各種構造材料や精密金型部材、さらには高
熱伝導性が要求されるヒートシンク部品、熱交換器部
品、各種金型あるいは電極等にも好適に用いられる炭化
珪素焼結体とその製造方法に関し、特に炭化珪素焼結体
の本来の特性が損なわれることなく、熱伝導率が150W/m
・K以上の優れた特性を有する高熱伝導性炭化珪素焼結
体とその製造方法に関するものである。
「従来技術とその課題」 炭化珪素焼結体は常温及び高温で化学的に極めて安定
なもので、高温における機械的強度にも優れているた
め、ガスタービン部品、自動車部品、熱交換器部品、バ
ーナーノズル等の構造材料として期待されている。また
このような炭化珪素焼結体は、表面平滑性、高熱伝導
性、耐摩耗性等も良好であることから、光ディスク、非
球面レンズ等の精密金型部材としても有望なものとされ
ている。その他、半導体分野においても加熱処理の高温
化に伴い、耐熱性、耐クリープ性に優れた高純度の炭化
珪素焼結体がボートやプロセスチューブに利用されるよ
うになってきている。
ところで、炭化珪素は共有結合体の強い難焼結性物質
であることから、高密度となるまで焼結して緻密化する
には従来硼素、炭素、アルミニウム、ベリリュウム等の
元素や、これらの化合物の1種類あるいは2種類以上を
焼結助剤として炭化珪素粉末に数重量%添加する必要が
ある。したがって得られた炭化珪素焼結体は、焼結助剤
の種類やその量などにより、その熱伝導率が大幅に変化
するものとなる。例えば従来使用されている硼素系焼結
助剤を添加したものでは熱伝導率80〜150W/m・K程度で
あり、またアルミニウム系焼結助剤を添加したものでは
50〜80W/m・Kであり、共に十分高い熱伝導率が得られ
るまでには至っていない。これは、焼結助剤として添加
された硼素やアルミニウムが炭化珪素中に固溶し、粒内
の不純物濃度が高くなるため、熱伝導媒体であるフォノ
ンが散乱するためと考えられる。一方、これらの焼結助
剤の添加量を少なくすると、炭化珪素粒内への固溶量を
減少するが、焼結体密度が低下するため生じたポアによ
りフォノンが散乱され、高熱伝導性が得られないばかり
か、炭化珪素が本来有している特性までも劣化してしま
うという問題がある。
すなわち、セラミックスの熱伝導媒体はフォノンが主
体であるが、フォノンは一種のイオンや原子の格子振動
である。したがって、原子間の結合が強く、単純な結晶
構造を有し、構成するイオンや原子の原子量が近く、ま
た原子量が低く、格子振動の対称性が高い物質は調和振
動し易く、熱伝導率が高くなる。例えば、第2図はG.A.
SlackがJ.Phys.Chem.Solid,1973,Vol.34,pp321〜335に
報告した図を加筆したもので、Adamantine構造を有する
単結晶の理論伝導率Leibfried−Schomannパラメーター
MδθD 3の関係を示したものである。ここで、Mは単位
格子の平均分子量、δは単位格子中の1原子当たりの占
有体積の立方根、θDがデバイス温度である。第2図か
ら分かるように、炭化珪素は本来ダイヤモンド、窒化硼
素に次ぐ高熱伝導性物質である。実際に、α型炭化珪素
単結晶の常温での熱伝導率は最大460W/m・Kが報告され
ている。
しかしながら多結晶の場合、すなわち焼結体での熱伝
導率は、上述したようにかなり低い値となっている。こ
れは、上述した熱伝導媒体であるフォノンが種々の要因
で散乱されているためと考えられる。
フォノンを散乱させる要因は大別すると、 (イ)焼結体中の不純物 (ロ)焼結体の微細構造欠陥 (ハ)結晶欠陥 が考えられ、(イ)の場合、結晶粒内への不純物の固
溶、粒内への第2相析出、不純物の粒界偏析等があり、
(ロ)の場合、クラック、ポア、グレインサイズ等があ
り、(ハ)の場合、結晶中の転移、格子欠陥、歪み等が
ある。
一方、特開昭57−166368に開示されている方法では、
焼結助剤としてベリリアを使用し、焼結体中のアルミニ
ウム、硼素及び遊離炭素量を減少させることにより、17
0W/m・K以上の高い熱伝導率が得られるとされている
が、焼結助剤として添加したベリリアが毒性物質である
ことから各製造工程で特に安全に注意を要するといった
問題がある。また、上記焼結体は電気絶縁性が高いため
放電加工が不可能であるため、焼結体への形状賦与性が
劣り、これによって上述の利用分野への応用が困難であ
る。
本発明はこのような技術背景に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、炭化珪素本来の特性が損
なわれることなく、熱伝導率が150W/m・K以上を示す高
熱伝導性炭化珪素焼結体を提供することにある。
「課題を解決するための手段」 本発明者らは、前記目的を達成すべく上述した
(イ)、(ロ)の要因をできるだけ除去する手段として
焼結助剤を添加せず、しかも高密度焼結体が得られるよ
う鋭意研究を重ねた結果、平均粒子径が0.1〜10μmの
第1の炭化珪素粉末と、非酸化性雰囲気のプラズマ中に
シラン化合物またはハロゲン化珪素と炭化水素とからな
る原料ガスを導入し、反応系の圧力を1気圧未満から0.
1torrの範囲で制御しつつ気相反応させることによって
合成された平均粒子径が0.1μm以下の第1の炭化珪素
粉末とを混合し、これを加熱し焼結することにより、炭
化珪素が本来有している高硬度、高耐蝕性、高強度、高
表面平滑性等の特性を損なうことなく、熱伝導率が150W
/m・K以上である高熱伝導性炭化珪素焼結体が得られる
ことを究明し、上記課題を解決した。
以下、本発明をその製造方法に基づいて詳しく説明す
る。
まず、平均粒子径が0.1〜10μmの第1の炭化珪素粉
末と、平均粒子径が0.1μm以下の第2の炭化珪素粉末
とを用意する。ここで第1の炭化珪素粉末としては、一
般に使用されるものでよく、例えば以下に述べる方法な
どによって製造されたものを用いることができる。
(A)黒鉛と珪素を1150℃以上で反応させる方法。
(B)黒鉛と二酸化珪素を1475℃以上で反応させる方
法。
(C)珪砂、コークス、のこくず、塩を電気炉中にて22
00〜2500℃で反応させる方法。
また、このようにして製造されて用いられる炭化珪素
の結晶相としては、非晶質、α型、もしくはβ型である
か、あるいはこれらの混合相であってもよい。さらに、
その平均粒子径としては0.1〜10μm、好ましくは0.1〜
1μmとされる。これは、粒子径が大きいと表面応力が
小さくなり、焼結駆動力が減少して高密度焼結体が得ら
れにくくなるからである。
また、第2の炭化珪素粉末としては、非酸化性雰囲気
のプラズマ中にシラン化合物またはハロゲン化珪素と炭
化水素の原料ガスを導入し、反応系の圧力を1気圧未満
〜0.1torrの範囲で制御しつつ気相反応させることによ
って得られたものを使用する。例えば、四塩化珪素とエ
チレンとからなる原料ガスを高周波により励起されたア
ルゴンプラズマ中に導いて合成すると、平均粒子径が0.
01〜0.03μm程度でアイペクト比の小さい非晶質超微粉
末が得られる。また、原料ガスとしてモノシランとエチ
レンとからものを用いて同様に合成すると、平均粒子径
が0.005〜0.03μm程度でアイペクト比の小さいβ型超
微粉末が得られ、合成条件によってはα型とβ型の混合
相が得られる。このようにして得られた超微粉末では、
焼結性が非常に優れているため、上記第1の炭化珪素粉
末と混合するのみで焼結助剤を添加することなく高密度
焼結体を得ることができるものとなる。
次いで、上記第1の炭化珪素と第2の炭化珪素とを混
合して混合物とする。ここで第1の炭化珪素粉末と第2
の炭化珪素粉末とを混合するにあたっては、第2の炭化
珪素粉末の配合量を0.5〜50重量%の範囲とするのが好
適とされる。すなわち、第2の炭化珪素粉末の配合量を
0.5重量%未満とすると、この炭化珪素粉末を混合した
効果が十分発揮されず、また50重量%以上とすると、第
2の炭化珪素粉末がプラズマCVD法により気相合成する
ことからコストが高く、よって得られた製品が高価とな
り、また焼結密度を上げるための効果もこれ以上ではほ
ぼ横這いに達するからである。そして、特に焼結体を3.
00g/cm3以上の高密度のものとするためには、超微粉
末、すなわち第2の炭化珪素粉末の混合量を3重量%以
上にすることが望ましい。
その後、上記混合物を加熱しさらに焼結して高熱伝導
性炭化珪素焼結体を得る。ここで加熱温度としては、18
00℃から2400℃とするのが好ましい。また焼結方法とし
ては、常圧焼結、雰囲気加圧焼結、ホットプレス焼結、
あるいは熱間静水圧焼結(HIP)等の従来の方法で行う
ことが可能であるが、より高密度で熱伝導性に優れた炭
化珪素焼結を得るためにはホットプレス等の加圧焼結法
を使用することが望ましく、特に焼結雰囲気を真空雰囲
気、不活性雰囲気もしくは還元ガス雰囲気とするのが好
ましい。
本発明によって得られる炭化珪素焼結体の高熱伝導機
構は十分解明されていないが、上述したように焼結助剤
が無添加であり、粒界に存在する不純物が少なく、しか
も焼結体密度の高い炭化珪素焼結体が得られることによ
り、フォノンの散乱が減少したためと考察される。第1
図は本発明品である炭化珪素焼結体の密度と熱伝導率と
の関係を示したもので、焼結体密度が高くなるにつれて
熱伝導率も高くなることが分かる。第1図より、熱伝導
率を150W/m・K以上の値とするためには、焼結体密度を
3.00g/cm3以上とするのが望ましいことが分かる。な
お、本発明においては炭化珪素焼結体の熱伝導率を、通
常のレーザーフラッシュ法によって測定した熱拡散率及
び比熱と、別に測定した密度とから計算によって求め
た。
また、本発明によって得られた炭化珪素焼結体は、グ
レインサイズが2〜3μmと小さく均一な微細組織を有
し、電気比抵抗値が0.1Ω・cm以下と小さいことから、
従来にない良好な放電加工性が得られた。例えば、ワイ
ヤー放電加工や型彫放電加工において、その仕上げ放電
面の表面粗さ(Rmax.)が1μm以下となり、非常に良
好な加工面となった。したがって、球面加工や三次元加
工を自由に行うことができることから、任意の複雑形状
部品が高精度で得られるという効果を奏する。
さらに、本発明によって得られた炭化珪素焼結体は、
従来の炭化珪素焼結体より耐蝕性に優れ、常温及び高温
〔1500℃〕における3点曲げ強度が各々65kg/mm2、80kg
/mm2と高く、またビッカース硬度も2500以上と高い値が
得られることから、炭化珪素が本来有している高硬度、
高強度、高耐蝕性、高表面平滑性等の特性を満足するも
のとなり、種々の分野での利用が期待できるものとな
る。
「作用」 本発明によれば、平均粒子径が0.1〜10μmの第1の
炭化珪素粉末と、非酸化性雰囲気のプラズマ中にシラン
化合物またはハロゲン化珪素と炭化水素とからなる原料
ガスを導入し、反応系の圧力を1気圧未満から0.1toor
の範囲で制御しつつ気相反応させることによって合成さ
れた平均粒子径が0.1μm以下の第2の炭化珪素粉末と
を混合し、これを加熱し焼結することによって熱伝導率
が150W/m・K以上の高熱伝導性炭化珪素焼結体を得るも
のであるから、焼結助剤を添加することなく高密度焼結
体が得られ、よって粒内や粒界に焼結助剤が存在せず、
しかも微細で均一な組織が得られ、これにより炭化珪素
が本来有している特性を損なうことなく高熱伝導性の炭
化珪素焼結体が得られる。さらに、得られた高熱伝導性
炭化珪素焼結体は電気比抵抗値が低く、高密度のもので
あるから、良好な放電加工性も得られる。
「実施例」 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明す
る。
(実施例1) 平均粒子径0.33μm、比表面積12m2/gのβ型炭化珪素
粉末(第1の炭化珪素粉末)に、四塩化珪素とエチレン
とを原料としてプラズマCVD法により気相合成して得た
平均粒子粒0.02μm、比表面積150m2/gの非晶質炭化珪
素超微粉末(第2の炭化珪素粉末)を1〜10重量%添加
し、これをメタノール中にて分散せしめ、さらに遊星ミ
ルで12時間混合した。
次に、通常の一軸プレス機により直径40mmの円板形状
に成形した。次いで、この成形体をホットプレス装置に
て真空中で1400℃まで加熱し、その後アルゴン雰囲気下
で押圧力400kg/cm2、焼結温度2150℃の条件で45分間焼
結した。
得られた炭化珪素焼結体の焼結体密度、常温における
3点曲げ強度、熱伝導率をそれぞれ調べ、その結果を第
1表に示す。
第1表に示した結果より、この実施例の炭化珪素焼結
体では非晶質炭化珪素超微粉末を添加した場合、得られ
た焼結体の熱伝導率が170W/m・K以上となり、高い熱伝
導性を有していることが確認された。また、実験No.3で
得られた焼結体は、そのグレインサイズが2〜3μmで
ありかつ組織も均一であり、1500℃における3点曲げ強
度が80kg/mm2、常温における電気比抵抗値が0.03Ω・cm
と優れた焼結体特性を示した。
(実施例2) 実施例1と同一の炭化珪素粉末(第1の炭化珪素粉
末)に、モノシランとエチレンとを原料としてプラズマ
CVD法により気相合成した平均粒子粒0.017μm、比表面
積145m2/gのβ型炭化珪素超微粉末(第2の炭化珪素粉
末)を3〜10重量%添加し、実施例1と同一の条件で焼
結して炭化珪素焼結体を製造した。
得られた炭化珪素焼結体の焼結体密度、常温における
3点曲げ強度、熱伝導率をそれぞれ調べ、その結果を第
1表に示す。
この結果より、炭化珪素超微粉末の結晶形がβ型のも
のであって、本発明の効果が十分得られることが確認さ
れた。特に、No.6の炭化珪素焼結体では熱伝導率が212W
/m・Kを示し、優れた熱伝導特性を有していることが判
明した。
(実施例3) 平均粒子粒0.07μm、比表面積15m2/gのα型炭化珪素
粉末に、第2の炭化珪素粉末として実施例1で使用した
非晶質炭化珪素超微粉末と実施例2で使用したβ型炭化
珪素超微粉末とをそれぞれ別に10重量%ずつ配合し、実
施例1と同一の条件で焼結して炭化珪素焼結体を製造し
た。
得られた炭化珪素焼結体の焼結体密度、常温における
3点曲げ強度、熱伝導率をそれぞれ調べ、その結果を第
1表に示す。
この結果より、第1の炭化珪素粉末としてα型のもの
を使用しても、本発明の効果が得られることが確認され
た。
(比較例1) 実施例1で使用したβ型炭化珪素粉末を用い、これを
実施例1と同一の条件で焼結して炭化珪素焼結体を製造
した。得られた焼結体の密度を調べ、比較として第1表
に示す。
第1表に示した結果より、比較例1のものは焼結体密
度が2.50g/cm3と低く、また3点曲げ強度が10kg/mm2
熱伝導率が35W/m・Kであり、いずれも本発明の実施例
のものに比較して劣っていた。
(比較例2) 実施例1で使用したβ型炭化珪素粉末(第1の炭化珪
素粉末)に、平均粒子粒0.5μmの硼素を0.3重量%添加
し、さらに熱分解残留炭素が3重量%になるようにノボ
ラック型フェノール樹脂を添加し、実施例1と同一の条
件で焼結して炭化珪素焼結を製造した。
得られた焼結体を調べたところ、グレインサイズは4
〜5μmであり、また熱伝導率は105W/m・Kと実施例の
高熱伝導性炭化珪素焼結体に比較して低い値であった。
(比較例3) 実施例3で使用したα型炭化珪素粉末(第1の炭化珪
素粉末)に、平均粒子径0.5μmの硼素を0.3重量%添加
し、さらに熱分解残留炭素が3重量%になるようにノボ
ラック型フェノール樹脂を添加し、実施例1と同一の条
件で焼結して炭化珪素焼結を製造した。
得られた焼結体を調べたところ、グレインサイズは5
〜6μmであり、また熱伝導率は95W/m・Kと実施例の
高熱伝導性炭化珪素焼結体に比較して低い値であった。
(比較例4) 実施例3で使用したα型炭化珪素粉末(第1の炭化珪
素粉末)にアルミナを3重量%添加し、実験例3と同一
の条件で焼結して炭化珪素焼結を製造した。ただし、焼
結温度を2000℃、焼結時間を30分とした。
得られた焼結体を調べたところ、3点曲げ強度は75kg
/mm2と高い値が得られたが、熱伝導率は45W/m・Kと実
施例の高熱伝導性炭化珪素焼結体に比較してはるかに低
い値であった。
(試験例) 実施例1で得られた実験No.2の高熱伝導性炭化珪素焼
結体(直径40mm、厚さ30mm)を、トランジスタパルス回
路方式の放電加工機によってワイヤー放電加工のテスト
を行った。放電用ワイヤーには外径が2mmの黄銅のワイ
ヤーを用い、試験条件としては加工電圧を50V、パルス
幅を1.2μsec、休止時間を20μsecとした。
このようにしてワイヤー放電加工を行ったところ、安
定した放電加工ができた。また、このときの放電加工速
度は150mm2/minであり、放電加工面の表面粗さはRmax.
2.5μm程度であることから、放電加工性が良好である
ことが確認された。さらに、上記放電面に仕上げ放電加
工を施したところ、表面粗さがRmax.0.9μm以下となり
非常に良好な平滑面を得ることができた。またこの放電
加工面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、クラ
ック等の欠陥が全く見られなかった。
「発明の効果」 以上説明したように本発明の高熱伝導性炭化珪素焼結
体は、平均粒子径が0.1〜10μmの第1の炭化珪素粉末
と、プラズマCVD法により気相合成された平均粒子径が
0.1μm以下の第2の炭化珪素粉末とを混合し、これを
加熱し焼結することによって得られた熱伝導率が150W/m
・K以上のものであるから、焼結助剤を添加することな
く高密度焼結体となり、よって粒内や粒界に焼結助剤が
存在せず、微細で均一な組織を有するものとなることか
ら、炭化珪素が本来有している特性が損なわれることな
く高熱伝導性を有した炭化珪素焼結体となる。したがっ
て、従来の構造用セラミックスとしての利用ばかりでな
く、特に熱伝導性が要求されるヒートシンク部品、熱交
換器部品、各種金型、電極等にも用いることができるな
ど応用範囲が非常に広いものとなる。また、この高熱伝
導性炭化珪素焼結体は優れた放電加工性を有しているの
で、これを用いることにより三次元複雑形状部品などを
も十分精度良く製造することができ、したがって材料と
しての自由度が高く、多くの分野での利用が期待でき、
これにより産業上多大な効果を奏するものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明に係わる図であって、第1
図は本発明の製造方法によって得られた炭化珪素焼結体
の焼結体密度と熱伝導率との関係を示すグラフ、第2図
はAdmantine構造を有する単結晶の300Kにおける熱伝導
率と、Leibfried−SchlomannパラメーターMδθD 3との
関係を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小西 幹郎 千葉県習志野市津田沼3―7―4―204 (72)発明者 加藤 謙 千葉県船橋市本中山3―19―2 (56)参考文献 特開 昭62−260772(JP,A)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径が0.1〜10μmの第1の炭化珪
    素粉末と、非酸化性雰囲気のプラズマ中にシラン化合物
    またはハロゲン化珪素と炭化水素とからなる原料ガスを
    導入し、反応系の圧力を1気圧未満から0.1torrの範囲
    で制御しつつ気相反応させることによって合成された平
    均粒子径が0.1μm以下の第2の炭化珪素粉末とを混合
    し、これを加熱し焼結することによって得られた熱伝導
    率が150W/m・K以上である高熱伝導性炭化珪素焼結体。
  2. 【請求項2】平均粒子径が0.1〜10μmの第1の炭化珪
    素粉末と、非酸化性雰囲気のプラズマ中にシラン化合物
    またはハロゲン化珪素と炭化水素とからなる原料ガスを
    導入し、反応系の圧力を1気圧未満から0.1torrの範囲
    で制御しつつ気相反応させることによって合成された平
    均粒子径が0.1μm以下の第2の炭化珪素粉末とを混合
    し、これを加熱し焼結して熱伝導率が150W/m・K以上の
    焼結体を得る高熱伝導性炭化珪素焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載した高熱伝導性炭化珪素焼
    結体において、第2の炭化珪素粉末の配合量が0.5〜50
    重量%である高熱伝導性炭化珪素焼結体。
  4. 【請求項4】請求項2に記載した高熱伝導性炭化珪素焼
    結体の製造方法において、第2の炭化珪素粉末の配合量
    が0.5〜50重量%である高熱伝導性炭化珪素焼結体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】請求項1に記載した高熱伝導性炭化珪素焼
    結体において、第2の炭化珪素粉末の結晶相が非晶質、
    α型、もしくはβ型であるか、あるいは、それらの混合
    相である高熱伝導性炭化珪素焼結体。
  6. 【請求項6】請求項2に記載した高熱伝導性炭化珪素焼
    結体の製造方法において、第2の炭化珪素粉末の結晶相
    が非晶質、α型、もしくはβ型であるか、あるいは、そ
    れらの混合相である高熱伝導性炭化珪素焼結体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】請求項1に記載した高熱伝導性炭化珪素焼
    結体において、焼結雰囲気が、真空雰囲気、不活性雰囲
    気もしくは還元ガス雰囲気である高熱伝導性炭化珪素焼
    結体。
  8. 【請求項8】請求項2に記載した高熱伝導性炭化珪素焼
    結体の製造方法において、焼結雰囲気が、真空雰囲気、
    不活性雰囲気もしくは還元ガス雰囲気である高熱伝導性
    炭化珪素焼結体の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1に記載した高熱伝導性炭化珪素焼
    結体において、加熱焼結の温度が1800℃から2400℃であ
    る高熱伝導性炭化珪素焼結体。
  10. 【請求項10】請求項2に記載した高熱伝導性炭化珪素
    焼結体の製造方法において、加熱焼結の温度が1800℃か
    ら2400℃である高熱伝導性炭化珪素焼結体の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項1に記載した高熱伝導性炭化珪素
    焼結体において、焼結体の密度が3.00g/cm3以上である
    高熱伝導性炭化珪素焼結体。
JP1020571A 1989-01-30 1989-01-30 高熱伝導性炭化珪素焼結体及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2726692B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1020571A JP2726692B2 (ja) 1989-01-30 1989-01-30 高熱伝導性炭化珪素焼結体及びその製造方法
US07/432,210 US5094985A (en) 1989-01-30 1989-11-06 Sintered silicon carbide body with high thermal conductivity and process of producing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1020571A JP2726692B2 (ja) 1989-01-30 1989-01-30 高熱伝導性炭化珪素焼結体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02199064A JPH02199064A (ja) 1990-08-07
JP2726692B2 true JP2726692B2 (ja) 1998-03-11

Family

ID=12030880

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1020571A Expired - Lifetime JP2726692B2 (ja) 1989-01-30 1989-01-30 高熱伝導性炭化珪素焼結体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2726692B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100487262B1 (ko) * 1996-02-29 2005-09-02 가부시키가이샤 브리지스톤 탄화규소 소결체 및 그의 제조방법
US6090733A (en) * 1997-08-27 2000-07-18 Bridgestone Corporation Sintered silicon carbide and method for producing the same
JP6143019B2 (ja) * 2014-02-28 2017-06-07 信越半導体株式会社 ウェーハ載置用サセプタの製造方法及びウェーハ載置用サセプタ

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62260772A (ja) * 1986-05-06 1987-11-13 科学技術庁無機材質研究所長 高純度炭化珪素焼結体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02199064A (ja) 1990-08-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hu et al. Promising high-thermal-conductivity substrate material for high-power electronic device: Silicon nitride ceramics
JPS6228109B2 (ja)
US5094985A (en) Sintered silicon carbide body with high thermal conductivity and process of producing the same
JPS6128627B2 (ja)
JP2726692B2 (ja) 高熱伝導性炭化珪素焼結体及びその製造方法
JP2726693B2 (ja) 高熱伝導性炭化珪素焼結体及びその製造方法
JP2002003276A (ja) 炭化ケイ素−窒化ホウ素複合材料の反応合成
US10541064B2 (en) SiC powder, SiC sintered body, SiC slurry and manufacturing method of the same
JP5113469B2 (ja) 炭化物粉末被覆酸化物粉末の製造方法
Nesmelov et al. Structure and mechanical properties of hot-pressed composite ceramics W 2 B 5–ZrB 2–SiC–B 4 C
JP4186545B2 (ja) 成形用金型
JP3150606B2 (ja) 炭化珪素焼結体の比抵抗制御方法
JP2005075720A (ja) SiC被覆カーボンナノチューブ、その製造方法とその複合材料
Perevislov Investigation of the phase composition and analysis of the properties of sintered and hot-pressed materials based on silicon nitride
Chen et al. Oxidation of Ti 3 SiC 2 composites in air
JPH09268069A (ja) 高熱伝導性材料およびその製造方法
JP2732408B2 (ja) 導電性炭化珪素焼結体及びその製造方法
JP4382919B2 (ja) シリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法
JP3951643B2 (ja) チタンシリコンカーバイド焼結体の製造方法
JP2726694B2 (ja) 導電性炭化珪素焼結体及びその製造方法
JP3004030B2 (ja) 炭化珪素ヒーター及びその製造方法
JPH04128369A (ja) 炭化珪素スパッタリング用ターゲット及びその製造方法
JP3023435B2 (ja) 高純度炭化珪素焼結体及びその製造方法
JP3011785B2 (ja) AlNウィスカー複合材料
JPH06321508A (ja) 結晶質窒化珪素粉末の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071205

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091205

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091205

Year of fee payment: 12