JP2001206900A - トリフェニルスズ化合物の抗体及び測定方法 - Google Patents

トリフェニルスズ化合物の抗体及び測定方法

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JP2001206900A
JP2001206900A JP2000015781A JP2000015781A JP2001206900A JP 2001206900 A JP2001206900 A JP 2001206900A JP 2000015781 A JP2000015781 A JP 2000015781A JP 2000015781 A JP2000015781 A JP 2000015781A JP 2001206900 A JP2001206900 A JP 2001206900A
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Takashi Kaneko
隆司 金子
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内記 面田
Shigeyuki Watanabe
繁幸 渡邊
Yoshio Kamata
良雄 鎌田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、トリフェニルスズ化合物の抗体及
び測定方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明の抗体は、トリフェニルスズ又は
その部分にスペーサーアーム及び結合のための官能基を
共有結合させた構造を有するトリフェニルスズ誘導体を
ハプテンとして使用することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】トリフェニルスズ化合物等の
有機スズ化合物のハプテン化合物、抗原、抗体及びその
フラグメントに関する。
【0002】本発明はさらに、前記抗原、抗体及びその
フラグメントを用いた免疫化学的測定方法に関する。
【0003】
【従来の技術】トリフェニルスズ化合物は、以下の式
(2):
【0004】
【化3】
【0005】[式(2)中、Xは、F、Cl、Brおよ
びIからなるグループから選択されるハロゲン原子であ
るか、あるいは、H、OH、CH3COO、ClCH2
OO、(CH32−N−CS−S、(C653−Sn
−O及びCH2=CH−CH2からなるグループから選択
される基である]で表される構造を有する、有機スズ化
合物に含まれる、一群の化合物である。トリフェニルス
ズ化合物は、式(2)中のXによって、酢酸トリフェニ
ルスズ、塩化トリフェニルスズ、クロロ酢酸トリフェニ
ルスズ、N,N−ジメチルジチオカルバミン酸トリフェ
ニルスズ、フッ化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニ
ルスズ、酸化ビス(トリフェニルスズ)、水素化トリフ
ェニルスズ、アリルトリフェニルスズ等が知られてい
る。(以下、これらのトリフェニルスズ化合物を総称し
て「トリフェニルスズ」ということがある。) トリフェニルスズ化合物を含む有機スズ化合物は、「外
因性内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)」の1種とし
て、着目されている。「外因性内分泌攪乱化学物質」
は、いわゆる「環境ホルモン」とも呼称され、「動物の
生体内に取り込まれた場合に、本来、その生体内で営ま
れている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物
質」を意味する。近年、内分泌学を始めとする医学、野
生動物に関する科学、環境科学等の研究者・専門家によ
って、環境中に存在するいくつかの化学物質が、動物の
体内のホルモン作用を攪乱することを通じて、生殖機能
を阻害したり、悪性腫瘍を引き起こすなどの悪影響を及
ぼしている可能性があるとの指摘がなされている。これ
が「外因性内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)問題」
と呼ばれているものであり、環境保全上の新たで重要な
課題の一つとなっている。外因性内分泌攪乱化学物質問
題に関しては、人や野生動物への影響を示唆する科学的
報告が数多くなされているものの、報告された異常と原
因物質との因果関係、そうした異常が発生するメカニズ
ム等に関してはいまだ十分には明らかにされていない状
況にある(「外因性内分泌攪乱化学物質問題への環境庁
の対応方針について −環境ホルモン戦略計画SPEE
D’98」、1998年5月、環境庁)。
【0006】トリフェニルスズ化合物を含む有機スズ化
合物は、船底や漁網への生物の付着を防止する船底防汚
塗料や漁網防汚剤などとして、1960年半ばより多用
されてきた。しかしながら、近年、これらの有機スズ化
合物の野生動物への影響を指摘する報告が多数なされて
いる。具体的には、最も多く報告され懸念されているの
は、海産巻貝のインポセックスの原因物質として、トリ
ブチルスズ(TBT)、トリフェニルスズ(TPT)な
どの有機スズ化合物があげられていることである。イン
ポセックスとは雌に雄の生殖器官(ペニスおよび輪卵
管)が形成されて発達する現象のことで、雄性生殖器が
産卵口をふさぐため、生殖能力低下あるいは生殖不能を
招く。現在では世界各地で報告がされており、その原因
は有機スズ化合物によることがわかっており、外因性内
分泌攪乱化学物質によるという因果関係が証明された数
少ないケースの一つである。作用メカニズムはよくわか
っていないが、抗アンドロゲン物質によってインポセッ
クスが低減することから、ホルモン様作用であると考え
られている。レセプターアッセイは陰性のため、有機ス
ズ化合物がステロイドホルモン代謝酵素のアロマターゼ
を阻害することにより、性ホルモンのバランスを乱すも
のと推測されている。有機スズ化合物は難分解性であ
り、蓄積性もあり、インポセックスの他にも、長期的な
毒性として成長阻害、リンパ球の減少、個体数の減少等
にも関与していると指摘されている。
【0007】有機スズ化合物は、水生生物に対する急性
毒性が非常に強く(LC50=0.1−10μg/l)、
残留性や慢性毒性もあるため、1990年代に入って規
制の対象となった。日本では、トリブチルスズ化合物の
うちビス・トリブチルスズ・オキシド(TBTO)が1
990年1月に化学物質の審査および製造等の規制に関
する法律(化審法)の第一種特定化学物質に指定され、
トリフェニルスズ化合物の7物質およびトリブチルスズ
化合物の13物質も、同法の第二種特定化学物質に指定
された(「環境ホルモン・環境汚染懸念化学物質」第4
5頁−第46頁、第60頁−第61頁、1999年3月
1日 (株)シー・エム・シー発行)。
【0008】化学物質による環境汚染の未然防止と汚染
の早期発見及び適切な化学物質環境安全対策を目的とし
て、環境庁では、毎年化学物質環境安全性総点検調査が
行われている。その結果、トリフェニルスズ化合物およ
びトリブチルスズ化合物は環境中に広範囲に残留してお
り、その汚染レベルは水質、底質そして生物(魚介類)
ともに横這いまたは改善といった状況になっている(環
境庁ホームページ、http://www.eic.o
r.jp、平成11年11月29日)。環境や食品に関
する安全確保のためには、これらの環境に含有される、
トリフェニルスズ化合物等の有機スズ化合物の量を迅速
かつ正確に測定調査し、監視する必要がある。
【0009】従来、トリフェニルスズ等の有機スズ化合
物は、例えば水質試料、魚介類等の生物試料から精製し
た後、ガスクロマトグラフィー(GC)やガスクロマト
グラフィー質量分析(GC/MS)により分析されてき
た。そして、法規制及び使用実績の関係から典型的には
トリフェニルスズは塩化トリフェニルスズ換算値、トリ
ブチルスズはTBTO換算値によって分析値が表示され
ている。但し、有機スズ化合物は、そのままの形ではG
Cに適用できないため、Grignard試薬によるア
ルキル化、テトラエチルホウ酸ナトリウム(NaBEt
4)によるエチル化、四水素化ホウ酸ナトリウム(Na
BH4)による水素化などにより、アルキル化ないし水
素化してから分析する必要がある。即ち、例えば、試料
をヘキサンで抽出し、Grignard試薬によって誘
導体化した後に、フロリジルカラムクロマトグラフィー
で精製後、GCで測定する方法等が採用されている
(「環境ホルモンのモニタリング技術−分析・測定法の
実際−」 第109頁−第114頁、1999.11.
15 (株)シー・エム・シー発行)。これらの方法
は、試料の調製が煩雑で多大の手順と時間を必要とし、
分析に熟練を要すること、並びに、測定装置や設備等に
高額の費用を必要とする等の問題点がある。トリフェニ
ルスズ等の有機スズ化合物の測定は短時間で膨大な数の
試料の分析結果を出す必要があり、精度面だけでなく、
簡便性、迅速性及び経済性をも具備した新規測定方法が
要求されてきている。
【0010】免疫化学的測定方法は、抗体が抗原を特異
的に認識する抗原抗体反応に基づいて抗原や抗体の検出
を行う方法であり、その優れた精度、簡便性、迅速性、
経済性から近年注目を集めてきている。免疫化学的測定
方法においては検出方法として非常に多種の標識、例え
ば、酵素、放射性トレーサー、化学発光あるいは蛍光物
質、金属原子、ゾル、ラテックス及びバクテリオファー
ジが適用されてきた。
【0011】免疫化学的測定方法の中でも、酵素を使用
する酵素免疫測定法(EIA)は経済性・利便性から特
に優れたものとして広く使用されるに至っている。酵素
免疫測定法についての優れた論評が、Tijssen
P,“Practice and theory of
enzyme immunoassays” inL
aboratory techniques in b
iochemistry and molecular
biology, Elsevier Amster
dam New York, Oxford ISBN
0−7204−4200−1(1990)に記載され
ている。
【0012】一般に、分子量が大きな分子については、
それ以上修飾することなく動物に接種することにより、
適当な免疫反応を惹起し、抗原を認識する抗体を産生さ
せることができる。しかし、トリフェニルスズのような
低分子化合物は通常動物に接種したとき免疫応答を引き
出すことができない。これらの分子は免疫原性を有する
高分子化合物(タンパク質や多糖類など)に結合させる
ことによって初めて一団のエピトープとして行動し、T
細胞受容体の存在下で免疫応答を起こし、その結果、一
群のBリンパ球により抗体が産生される。このように高
分子化合物と結合させて初めて免疫原性を生じる分子を
総称して「ハプテン」と言う。
【0013】しかし、低分子化合物を高分子化合物と結
合させたものを抗原としても、得られた抗体は望む分子
を認識しないか、あるいはごく低い親和性しかもたない
場合がしばしばある。そのため、一般に低分子化合物そ
のものではなく、結合に利用できる官能基と共にスペー
サーアーム(結合手)を導入したものをハプテンとして
使用する必要がある。しかしその場合に、結合手/官能
基の配置、結合手の大きさ等の全ての問題を考慮して導
入が適切に行われたものを使用しないと、好ましい抗体
は得られない。適切な導入は個々の分子に応じて工夫し
なければならない。
【0014】トリフェニルスズについては、その必要性
が非常に高かったにもかかわらず、適切な抗体はもとよ
り、そのような抗体を作製するためのハプテンも本発明
前には得られていなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、トリフェニ
ルスズ化合物に反応する新規な抗体若しくはそのフラグ
メント、及びその作製方法を提供することを目的とす
る。尚、本明細書において抗体の「フラグメント」と
は、抗原と結合可能な抗体の一部分、例えばFab断片等
を意味する。
【0016】本発明はその一態様において、トリフェニ
ルスズに反応性を有するモノクローナル抗体を提供す
る。本発明は、また、トリフェニルスズに反応性を有す
る新規な抗体を作製するための抗原を構成するハプテン
化合物(トリフェニルスズハプテン)を提供することを
目的とする。
【0017】本発明は、さらに、トリフェニルスズハプ
テンと高分子化合物との結合体を提供することを目的と
する。本発明は、さらにまた、前記抗体又はそのフラグ
メントを産生するハイブリドーマを提供することを目的
とする。
【0018】本発明は、さらに、前記抗体若しくはその
フラグメント及び/又は前記トリフェニルスズハプテン
と高分子化合物若しくは標識物質との結合体を使用する
ことを含む、トリフェニルスズの免疫化学的測定方法を
提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、トリフェニルスズ又はその部分にスペー
サーアーム及び高分子化合物との結合に利用できる官能
基を導入した、トリフェニルスズの誘導体をハプテンと
して使用することにより、前記化合物に反応性を有する
抗体を得ることに成功し、本発明の完成に至った。
【0020】本発明の対象となるトリフェニルスズ化合
物は、以下の式(2):
【0021】
【化4】
【0022】[式(2)中、Xは、F、Cl、Brおよ
びIからなるグループから選択されるハロゲン原子であ
るか、あるいは、H、OH、CH3COO、ClCH2
OO、(CH32−N−CS−S、(C653−Sn
−O及びCH2=CH−CH2からなるグループから選択
される基である]で表される構造を有する一群の化合物
である。
【0023】本発明の抗体は、例えば、トリフェニルス
ズ化合物の一部分にスペーサーアーム及び結合に利用で
きる官能基を導入した誘導体をハプテンとして適当な高
分子化合物と結合させたものを抗原として用いることに
よって得ることができる。例えば、以下の式(1):
【0024】
【化5】
【0025】[式(1)中、nは1−10の整数であ
る]で表される構造を有する化合物を、抗体作製のため
のハプテンとして使用する。式(1)中、好ましくは、
nは2である。
【0026】本発明は、前記ハプテン化合物、ハプテン
化合物と高分子化合物との結合体、トリフェニルスズに
反応する抗体及びその作製方法、並びに該ハプテン化合
物又は該抗体を用いるトリフェニルスズの免疫化学的測
定方法に関する。
【0027】トリフェニルスズハプテンの作製 式(1)で表されるトリフェニルスズハプテンは、公知
の方法に従って製造することができる。限定するわけで
はないが、例えば以下のような方法を用いることができ
る。
【0028】まず、例えば、式(1)においてnが2の
化合物の場合、以下の式(X1):
【0029】
【化6】
【0030】で表される構造を有するトリフェニルスズ
ヒドリドに、以下の式(X2)
【0031】
【化7】
【0032】[式(X2)中、Pはカルボキシル基の保
護基である]で表される構造を有するオレフィン化合物
を反応させて、以下の式(X3):
【0033】
【化8】
【0034】[式(X3)中、Pは先に定義した通りで
ある]で表される構造を有する化合物を得る。反応は、
0℃から200℃、好ましくは室温から100℃で、5
分から10時間、好ましく1から4時間行う。
【0035】式(X3)の化合物の合成のための反応
は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、過酸
化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル等のラジカ
ル反応開始剤の存在下で行うのが好ましく、また例え
ば、四塩化炭素、クロロホルム、テトラヒドロフラン、
ベンゼン、トルエン等の不活性溶媒中で行うこともでき
る。
【0036】Pで示されるカルボキシル基の保護基は公
知のものでよく、具体例として、例えば、メチル基、エ
チル基、tert−ブチル基、ベンジル基、p−メトキ
シベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、トリク
ロロエチル基、トリメチルシリル基、tert−ブチル
ジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル
基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、
トリメチルシリルエチル基等を挙げることができる。
【0037】さらに、式(X3)の化合物からPで表さ
れるカルボキシル基の保護基を除去することにより、式
(1)の化合物を得ることができる。カルボキシル基の
保護基の除去は、アルカリ加水分解、酸加水分解等の公
知の方法で行うことができる。
【0038】すなわち、酸加水分解の場合は、式(X
3)の化合物を、好ましくは酢酸、蟻酸、ベンゼン、ジ
クロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の有機溶媒に
溶解し、次いで塩酸、硫酸、三フッ化ホウ素ジエチルエ
ーテル錯体、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンス
ルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を加えて、0℃か
ら溶媒の沸点の温度、好ましくは0℃から50℃で、5
分から10時間、好ましくは1時間から5時間撹拌反応
させることにより式(1)の化合物を得ることができ
る。
【0039】また、アルカリ加水分解の場合は、式(X
3)の化合物を、好ましくはメタノール、エタノール、
テトラヒドロフラン、エチレングリコール等の有機溶媒
に溶解し、次いで炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム
又は水酸化カリウム等の水溶液を加えて、0℃から溶媒
の沸点の温度、好ましくは0℃から80℃で、5分から
10時間、好ましくは1時間から2時間撹拌反応させる
ことにより式(1)の化合物を得ることができる。
【0040】更に、Pがベンジル基の場合、反応加水分
解は水素による加水素分解によっても行うことができ
る。更にまた、Pがシリル原子を含む基の場合、反応加
水分解はテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド、
ピリジニウムフルオリド等のフッ素アニオンを発生させ
る試薬によっても行うことができる。
【0041】nが2以外の場合も公知の方法を用いて式
(1)の化合物を合成できる。上述したような製造方法
によって得られた化合物を、必要に応じシリカゲルクロ
マトグラフィー又は再結晶操作等を行うことにより、さ
らに高純度の精製品とすることができる。
【0042】以下、本発明の抗原、抗体の作製、及び免
疫化学的測定法について説明する。尚、これらの調製は
公知の方法、例えば続生化学実験講座、免疫生化学研究
法(日本生化学会編)等に記載の方法に従って行うこと
ができる。
【0043】トリフェニルスズハプテンと高分子化合物
との結合体の作製 上述のように合成されたトリフェニルスズハプテンを適
当な高分子化合物に結合させてから免疫用抗原若しくは
固相化用抗原として使用する。
【0044】好ましい高分子化合物の例としては、スカ
シガイへモシアニン(以下、「KLH」と言う)、卵白
アルブミン(以下、「OVA」と言う)、ウシ血清アル
ブミン(以下、「BSA」と言う)、ウサギ血清アルブ
ミン(以下、「RSA」と言う)などがある。KLH及
びBSAが好ましい。
【0045】トリフェニルスズハプテンと高分子化合物
との結合は、例えば、混合酸無水物法(B.F.Erl
anger et al.:J.Biol.Chem.
234 1090‐1094(1954))、又は活性
化エステル法(A.E.KARU et al.:J.
Agric.Food Chem.42 301−30
9(1994))等の公知の方法によって行うことがで
きる。
【0046】混合酸無水物法において用いられる酸無水
物は、通常のショッテン−バウマン反応により得られ、
これを高分子化合物と反応させることにより目的とする
ハプテン−高分子化合物結合体が製造される。ショッテ
ン−バウマン反応は塩基性化合物の存在下に行われる。
塩基性化合物としては、ショッテン−バウマン反応に慣
用の化合物を使用することができ、例えば、トリブチル
アミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、N−メ
チルモルホリン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリ
ン、DBN、DBU、DABCO等の有機塩基、炭酸カ
リウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素
ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。該反応は、通
常マイナス20℃から150℃、好ましくは0℃から1
00℃において行われ、反応時間は5分から10時間、
好ましくは5分から2時間である。得られた混合酸無水
物と高分子化合物との反応は、通常マイナス20℃から
100℃、好ましくは0℃から50℃において行われ、
反応時間は5分から10時間、好ましくは5分から5時
間である。混合酸無水物法は一般に溶媒中で行われる。
溶媒としては、混合酸無水物法に慣用されているいずれ
の溶媒も使用可能であり、具体的にはジオキサン、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン
等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢
酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリア
ミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。混合酸
無水物法において使用されるハロ蟻酸エステルとして
は、例えばクロロ蟻酸メチル、ブロモ蟻酸メチル、クロ
ロ蟻酸エチル、ブロモ蟻酸エチル、クロロ蟻酸イソブチ
ル等が挙げられる。当該方法におけるハプテンとハロ蟻
酸エステルと高分子化合物の使用割合は、広い範囲から
適宜選択され得る。
【0047】一方、活性化エステル法は、一般に以下の
ように行うことができる。まず、ハプテン化合物を有機
溶媒に溶解し、カップリング剤の存在下にてN−ヒドロ
キシこはく酸イミドと反応させ、N−ヒドロキシこはく
酸イミド活性化エステルを生成させる。
【0048】カップリング剤としては、縮合反応に慣用
されている通常のカップリング剤を使用でき、例えば、
ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダ
ゾール、水溶性カルボジイミド等が含まれる。有機溶媒
としては、例えば、ジメチルスルホキシド(以下、「D
MSO」と言う)、N,N−ジメチルホルムアミド(以
下、「DMF」と言う)、ジオキサン等が使用できる。
反応に使用するハプテン化合物とN−ヒドロキシこはく
酸イミドのモル比は好ましくは1:10から10:1、
より好ましくは1:1から1:10、最も好ましくは
1:1である。反応温度は、0℃から100℃、好まし
くは5℃から50℃、より好ましくは22℃から27℃
で、反応時間は5分から24時間、好ましくは30分か
ら6時間、より好ましくは1時間から2時間である。
【0049】カップリング反応後、反応液を高分子化合
物を溶解した溶液に加え反応させると、例えば高分子化
合物が遊離のアミノ基を有する場合、当該アミノ基とハ
プテン化合物のカルボキシル基の間に酸アミド結合が生
成される。反応温度は、0℃から60℃、好ましくは5
℃から40℃、より好ましくは22℃から27℃で、反
応時間は5分から24時間、好ましくは1時間から16
時間、より好ましくは1時間から2時間である。反応物
を、透析、脱塩カラム等によって精製して、トリフェニ
ルスズハプテンと高分子化合物との結合体を得ることが
できる。
【0050】また、上記と同様の方法により、酵素等の
標識物質をトリフェニルスズハプテンに結合させたもの
を、免疫化学的測定方法において使用することができ
る。標識物質としては、西洋わさびペルオキシダーゼ
(以下「HRP」と言う)、アルカリフォスファターゼ
等の酵素、フルオレセインイソシアネート、ローダミン
等の蛍光物質、32P、125I等の放射性物質、化学発光
物質などがある。
【0051】ポリクローナル抗体の作製 トリフェニルスズハプテンと高分子化合物との結合体を
使用して、常法により本発明のポリクローナル抗体を作
製することができる。例えば、トリフェニルスズハプテ
ンとKLHとの結合体をリン酸ナトリウム緩衝液(以
下、「PBS」と言う)に溶解し、フロイント完全アジ
ュバント又は不完全アジュバント、あるいはミョウバン
等の補助剤と混合したものを、免疫用抗原として動物に
免疫することによって得ることができる。免疫される動
物としては当該分野で常用されるものをいずれも使用で
きるが、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ
等を挙げることができる。ただし、ヒトは含まれない。
【0052】免疫の際の投与法は、皮下注射、腹腔内注
射、静脈内注射、皮内注射、筋肉内注射のいずれでもよ
いが、皮下注射又は腹腔内注射が好ましい。免疫は1回
又は適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間の問
隔で複数回行うことができる。
【0053】免疫した動物から血液を採取し、そこから
分離した血清を用い、トリフェニルスズと反応するポリ
クローナル抗体の存在を評価することができる。本発明
においてトリフェニルスズハプテンと高分子化合物との
結合体を免疫用抗原として得られた抗血清は、後述する
間接競合ELISA法においてとも約0.01μg/m
lの濃度でトリフェニルスズと反応できる(実施例5、
図1)。
【0054】モノクローナル抗体の作製 トリフェニルスズハプテンと高分子化合物との結合体を
使用して、公知の方法により本発明のモノクローナル抗
体を作製することができる。
【0055】モノクローナル抗体の製造にあたっては、
少なくとも下記のような作業工程が必要である。 (a)免疫用抗原として使用するトリフェニルスズハプ
テンと高分子化合物との 結合体の作製 (b)動物への免疫 (c)血液の採取、アッセイ、及び抗体産生細胞の調製 (d)ミエローマ細胞の調製 (e)抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合とハ
イブリドーマの選択的培養 (f)目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスク
リーニングと細胞クローニング (g)ハイブリドーマの培養又は動物へのハイブリドー
マの移植によるモノクローナル抗体の調製 (h)調製されたモノクローナル抗体の反応性の測定等 モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製す
るための常法は、例えば、ハイブリドーマ テクニック
ス(Hybridoma Techniques),コ
ールド スプリング ハーバー ラボラトリーズ(Co
ld Spring Harbor Laborato
ry,1980年版)、細胞組織化学(山下修二ら、日
本組織細胞化学会編;学際企画、1986年)に記載さ
れている。
【0056】以下、本発明のトリフェニルスズに対する
モノクローナル抗体の作製方法を説明するが、これに制
限されないことは当業者によって明らかであろう。
(a)−(b)の工程は、ポリクローナル抗体に関して
記述した方法とほぼ同様の方法によって行うことができ
る。
【0057】(c)の工程における抗体産生細胞はリン
パ球であり、これは一般には脾臓、胸腺、リンパ節、末
梢血液又はこれらの組み合わせから得ることができるが
脾細胞が最も一般的に用いられる。従って、最終免疫
後、抗体産生が確認されたマウスより抗体産生細胞が存
在する部位、例えば脾臓を摘出し、脾細胞を調製する。
【0058】(d)の工程に用いることのできるミエロ
ーマ細胞としては、例えば、Balb/cマウス由来骨
髄腫細胞株のP3/X63−Ag8(X63)(Nat
ure,256,495−497(1975))、P3
/X63−Ag8.U1(P3U1)(Current
Topics.in Microbiologyan
d Immunology,81, 1−7(198
7))、P3/NSI−1−Ag 4−1(NS−1)
(Eur.J.Immunol.,6,511−519
(1976))、Sp2/0−Ag14(Sp2/0)
(Nature, 276,269−270(197
8))、FO(J.Immuno.Meth.,35,
1−21(1980))、MPC−11、X63.6
53、S194等の骨髄腫株化細胞、あるいはラット由
来の210.RCY3.Ag 1.2.3.(Y3)
(Nature, 277,131−133,(197
9))等を使用できる。
【0059】上述したミエローマ細胞をウシ胎児血清を
含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)又はイス
コフ改変ダルベッコ培地(IMDM)で継代培養し、融
合当日に約1×106以上の細胞数を確保する。
【0060】(e)の工程の細胞融合は公知の方法、例
えばミルスタイン(Milstein)らの方法(Me
thods in Enzymology,73,3
(1981))等に準じて行うことができる。現在最も
一般的に行われているのはポリエチレングリコール(P
EG)を用いる方法である。PEG法については、例え
ば、細胞組織化学、山下修二ら(上述)に記載されてい
る。別の融合方法としては、電気処理(電気融合)によ
る方法を採用することもできる(大河内悦子ら、実験医
学 5.1315−19、1987)。その他の方法を
適宜採用することもできる。また、細胞の使用比率も公
知の方法と同様でよく、例えばミエローマ細胞に対して
脾細胞を3倍から10倍程度用いればよい。
【0061】脾細胞とミエローマ細胞とが融合し、抗体
分泌能及び増殖能を獲得したハイブリドーマ群の選択
は、例えば、ミエローマ細胞株としてヒポキサンチング
アニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損株を使用
した場合、例えば上述のDMEMやIMDMにヒポキサ
ンチン・アミノプテリン・チミジンを添加して調製した
HAT培地の使用により行うことができる。
【0062】(f)の工程では、選択されたハイブリド
ーマ群を含む培養上清の一部をとり、例えば後述するE
LISA法により、トリフェニルスズに対する抗体活性
を測定する。
【0063】さらに、測定によりトリフェニルスズに反
応する抗体を産生することが判明したハイブリドーマの
細胞クローニングを行う。この細胞クローニング法とし
ては、限界希釈により1ウェルに1個のハイブリドーマ
が含まれるように希釈する方法「限界希釈法」;軟寒天
培地上に撒きコロニーをとる方法;マイクロマニピュレ
ーターによって1個の細胞を取り出す方法;セルソータ
ーによって1個の細胞を分離する「ソータークローン
法」等が挙げられる。限界希釈法が簡単であり、よく用
いられる。
【0064】抗体価の認められたウェルについて、例え
ば限界希釈法によりクローニングを1−4回繰り返して
安定して抗体価の得られたものを、抗トリフェニルスズ
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択す
る。ハイブリドーマを培養する培地としては、例えば、
ウシ胎児血清(FCS)を含むDMEM又はIMDM等
が用いられる。ハイブリドーマの培養は、例えば二酸化
炭素濃度5−7%程度及び37℃(100%湿度の恒温
器中)で培養するのが好ましい。
【0065】(g)の工程で抗体を調製するための大量
培養は、フォローファイバー型の培養装置等によって行
われる。又は、同系統のマウス(例えば、上述のBal
b/c)あるいはNu/Nuマウスの腹腔内でハイブリ
ドーマを増殖させ、腹水液より抗体を調製することも可
能である。
【0066】これらにより得られた培養上清液あるいは
腹水液を抗トリフェニルスズモノクローナル抗体として
使用することできるが、さらに透析、硫酸アンモニウム
による塩析、ゲル濾過、凍結乾燥等を行い、抗体画分を
集め精製することにより抗トリフェニルスズモノクロー
ナル抗体を得ることができる。さらに、精製が必要な場
合には、イオン交換カラムクロマトグラフィー、アフィ
ニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)などの慣用されている方法を組合わせ
ることにより実施できる。
【0067】以上のようにして得られた抗トリフェニル
スズモノクローナル抗体は、例えばELISA法などの
公知の方法を使用して、サブクラス、抗体価等を決定す
ることができる。
【0068】抗体によるトリフェニルスズの測定 本発明で使用する抗体によるトリフェニルスズの測定法
としては、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、E
LISA法(Engvall,E.,Methods
in Enzymol.,70,419−439(19
80))、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、凝集
法、オクタロニー(Ouchterlony)等の一般
に抗原の検出に使用されている種々の方法(「ハイブリ
ドーマ法とモノクローナル抗体」、株式会社R&Dプラ
ニング発行、第30頁−第53頁、昭和57年3月5
日)が挙げられる。感度、簡便性等の観点からELIS
A法が汎用されている。
【0069】トリフェニルスズの測定は、各種ELIS
A法のうち例えば間接競合ELISA法により、以下の
ような手順により行うことができる。 (a)まず、固相化用抗原であるトリフェニルスズハプ
テンと高分子化合物との結合体を担体に固相化する。
【0070】(b)固相化用抗原が吸着していない固相
表面を抗原と無関係な物質、例えばタンパク質によりブ
ロッキングする。 (c)これに各種濃度のトリフェニルスズを含む試料及
び抗体を加え、該抗体を前記固相化抗原及びトリフェニ
ルスズに競合的に反応させて、固相化抗原−抗体複合体
及び、トリフェニルスズ−抗体複合体を生成させる。
【0071】(d)固相化抗原−抗体複合体の量を測定
することにより、予め作成した検量線から試料中のトリ
フェニルスズの量を決定することができる。 (a)工程において、固相化用抗原を固相化する担体と
しては、特別な制限はなく、ELISA法において常用
されるものをいずれも使用することができる。例えば、
ポリスチレン製の96ウェルのマイクロタイタープレー
トが挙げられる。
【0072】固相化用抗原を担体に固相化させるには、
例えば、固相化用抗原を含む緩衝液を担体上に載せ、イ
ンキュベーションすればよい。緩衝液としては公知のも
のが使用でき、例えば、リン酸緩衝液を挙げることがで
きる。緩衝液中の抗原の濃度は広い範囲から選択できる
が、通常0.01μg/mlから100μg/ml程
度、好ましくは0.05μg/mlから5μg/mlが
適している。また、担体として96ウェルのマイクロタ
イタープレートを使用する場合には、300μl/ウェ
ル以下で20μl/ウェルから150μl/ウェル程度
が望ましい。更に、インキュベーションの条件にも特に
制限はないが、通常4℃程度で一晩インキュベーション
が適している。
【0073】なお、担体に固相化させる抗原としては、
抗体を作製したトリフェニルスズハプテンと高分子化合
物との結合体自体のみならず、式(1)で表される他の
ハプテンと高分子化合物との結合体を固相化抗原として
使用することも可能である。例えば、式(1)において
nが抗体作製用と相違する化合物を、固相化抗原として
使用することもできる。さらに、式(1)に含まれない
他のトリフェニルスズ化合物を固相化抗原として使用す
ることも可能である。
【0074】(b)工程のブロッキングは、抗原(トリ
フェニルスズハプテンと高分子化合物との結合体)を固
相化した担体において、トリフェニルスズハプテン部分
以外に後で添加する抗体が吸着され得る部分が存在する
場合があり、もっぱらそれを防ぐ目的で行われる。ブロ
ッキング剤として、例えば、BSAやスキムミルク溶液
を使用できる。あるいは、ブロックエース(「Bloc
k‐Ace」、雪印乳業社製、コードNo.UK−25
B)等のブロッキング剤として市販されているものを使
用することもできる。具体的には、限定されるわけでは
ないが、例えば抗原を固相化した部分にブロッキング剤
を含む緩衝液[例えば、1%BSAと60mM NaC
lを添加した85mM ホウ酸緩衝液(pH8.0)]
を適量加え、約4℃で、1時間ないし5時間インキュベ
ーションした後、洗浄液で洗浄することにより行われ
る。洗浄液としては特に制限はないが、例えば、PBS
を用いることができる。
【0075】次いで(c)工程において、トリフェニル
スズを含む試料と抗体を固相化抗原と接触させ、抗体を
固相化抗原及びトリフェニルスズと反応させることによ
り、固相化抗原−抗体複合体及びトリフェニルスズ−抗
体複合体が生成する。
【0076】この際、抗体としては、第一抗体として本
願発明のトリフェニルスズに対する抗体を加え、更に第
二抗体として標識酵素を結合した第一抗体に対する抗体
を順次加えて反応させる。
【0077】第一抗体は緩衝液に溶解して添加する。限
定されるわけではないが、反応は、10℃から40℃、
好ましくは約25℃で約1時間行えばよい。反応終了
後、緩衝液で担体を洗浄し、固相化抗原に結合しなかっ
た第一抗体を除去する。洗浄液としては、例えば、PB
Sを用いることができる。
【0078】次いで第二抗体を添加する。例えば第一抗
体としてマウスモノクローナル抗体を用いる場合、酵素
(例えば、ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファター
ゼ等)を結合したマウス抗体に対する抗体を用いるのが
適当である。担体に結合した第一抗体に好ましくは最終
吸光度が4以下、より好ましくは0.5−3.0となる
ように希釈した第二抗体を反応させるのが望ましい。希
釈には緩衝液を用いる。限定されるわけではないが、反
応は室温で約1時間行い、反応後、緩衝液で洗浄する。
以上の反応により、第二抗体が第一抗体に結合する。ま
た、標識した第一抗体を用いてもよく、その場合、第二
抗体は不要である。
【0079】次いで(d)工程において担体に結合した
第二抗体の標識物質と反応する発色基質溶液を加え、吸
光度を測定することによって検量線からトリフェニルス
ズの量を算出することができる。
【0080】第二抗体に結合する酵素としてペルオキシ
ダーゼを使用する場合には、例えば、過酸化水素、並び
に3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン又はo
−フェニレンジアミン(以下、「OPD」と言う)を含
む発色基質溶液を使用することができる。限定されるわ
けではないが、発色基質溶液を加え室温で約10分間反
応させた後、1Nの硫酸を加えることにより酵素反応を
停止させる。3,3’,5,5’−テトラメチルベンジ
ジンを使用する場合、450nmの吸光度を測定する。
OPDを使用する場合、492nmの吸光度を測定す
る。一方、第二抗体に結合する酵素としてアルカリホス
ファターゼを使用する場合には、例えばp−ニトロフェ
ニルリン酸を基質として発色させ、2NのNaOH溶液
を加えて酵素反応を止め、415nmでの吸光度を測定
する方法が適している。
【0081】トリフェニルスズを添加しない反応溶液の
吸光度に対して、それらを添加して抗体と反応させた溶
液の吸光度の減少率を阻害率として計算する。既知の濃
度のトリフェニルスズを添加した反応液の阻害率により
予め作成しておいた検量線を用いて、試料中のトリフェ
ニルスズの濃度を算出できる。
【0082】あるいはトリフェニルスズの測定は、例え
ば以下に述べるような本発明のモノクローナル抗体を用
いた直接競合ELISA法によって行うこともできる。 (a)まず、本発明のモノクローナル抗体を、担体に固
相化する。
【0083】(b)抗体が固相化されていない担体表面
を抗原と無関係な物質、例えばタンパク質により、ブロ
ッキングする。 (c)上記工程とは別に、各種濃度のトリフェニルスズ
を含む試料に、トリフェニルスズハプテンと酵素を結合
させた酵素結合ハプテンを加えた混合物を調製する。
【0084】(d)上記混合物を上記抗体固相化担体と
反応させる。 (e)固相化抗体−酵素結合ハプテン複合体の量を測定
することにより、あらかじめ作成した検量線から試料中
のトリフェニルスズの量を決定する。
【0085】(a)工程においてモノクローナル抗体を
固相化する担体としては、特別な制限はなくELISA
法において常用されるものを用いることができ、例えば
96ウェルのマイクロタイタープレートが挙げられる。
モノクローナル抗体の固相化は、例えばモノクローナル
抗体を含む緩衝液を担体上にのせ、インキュベートする
ことによって行える。緩衝液の組成・濃度は前述の間接
競合ELISA法と同様のものを採用できる。
【0086】(b)工程のブロッキングは、抗体を固相
化した担体において、後に添加する試料中のトリフェニ
ルスズ並びに酵素結合ハプテンが、抗原抗体反応とは無
関係に吸着される部分が存在する場合があるので、それ
を防ぐ目的で行う。ブロッキング剤及びその方法は、前
述の間接競合ELISA法と同様のものを使用できる。
【0087】(c)工程において用いる酵素結合ハプテ
ンの調製は、トリフェニルスズハプテンを酵素に結合す
る方法であれば特に制限なく、いかなる方法で行っても
よい。例えば、前述した活性化エステル法を採用するこ
とができる。調製した酵素結合ハプテンは、トリフェニ
ルスズを含む試料と混合する。
【0088】なお、酵素等の標識物質に結合させるハプ
テンとしては、間接競合ELISA法における固相化抗
原の場合と同様に、抗体作製に使用したトリフェニルス
ズハプテン自体のみならず、式(1)で表される他のハ
プテンと高分子化合物との結合体を標識用抗原として使
用することも可能である。例えば、式(1)においてn
が抗体作製用と相違する化合物を、標識用抗原として使
用することもできる。さらに、式(1)に含まれない他
のトリフェニルスズ化合物も、標識用抗原として使用可
能である。
【0089】(d)工程においてトリフェニルスズを含
む試料及び酵素結合ハプテンを抗体固相化担体に接触さ
せ、トリフェニルスズと酵素結合ハプテンとの競合阻害
反応により、これらと固相化抗体との複合体が生成す
る。トリフェニルスズを含む試料は適当な緩衝液で希釈
して使用する。限定されるわけではないが、反応は例え
ば、室温でおよそ1時間行う。反応終了後、緩衝液で担
体を洗浄し、固相化抗体と結合しなかった酵素結合ハプ
テンを除去する。洗浄液は例えばPBSを使用すること
ができる。
【0090】さらに、(e)工程において酵素結合ハプ
テンの酵素に反応する発色基質溶液を前述の間接競合E
LISA法と同様に加え、吸光度を測定することにより
検量線からトリフェニルスズの量を算出することができ
る。
【0091】本発明のモノクローナル抗体Sn2I1−
9−1は、直接競合ELISA法において約0.1ng
/mlから約100ng/ml、好ましくは約1ng/
mlから約10ng/mlの濃度範囲でトリフェニルス
ズと反応する(実施例7、図2)。
【0092】さらに、前述したように直接競合ELIS
A法において抗体作製用と異なるハプテンを標識用抗原
として使用でき、その組み合わせによって直接競合EL
ISA法において固有の反応性を示す。
【0093】本発明の抗体の交差反応性 上述した直接競合ELISA法又は間接競合ELISA
法により、本発明のモノクローナル抗体の交差反応性を
調べることができる。
【0094】例えば、本発明のモノクローナル抗体Sn
2I1−9−1は、塩化トリフェニルスズ、フッ化トリ
フェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、酢酸トリフェ
ニルスズおよび酸化ビストリフェニルスズの各トリフェ
ニルスズ化合物と約0.01nmol/mlないし約1
nmol/mlの範囲で反応する(実施例8、図3)。
一方、スズ元素を他の元素に置換した類縁化合物につい
ては、塩化トリフェニル鉛と若干の反応性を示すもの
の、他のトリフェニル化合物にはほとんど反応性を示さ
ず、本発明の抗体はトリフェニルスズ化合物に対して高
い特異性を有する(実施例8、図4)。以下、実施例に
よって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の
技術的範囲を限定するためのものではない。当業者は本
明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾、変更を加
えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれ
る。
【0095】
【実施例】実施例1 トリフェニルスズハプテンの合成
【0096】
【化9】
【0097】3−トリフェニルスズプロピオン酸エチル
(1)の合成 トリフェニルスズヒドリド1.75g(5mmol)、
アクリル酸エチル0.75g(7.5mmol)および
2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)3mgの混
合物を60℃で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮後、
残渣をシリカゲルカラム(n−ヘキサン:酢酸エチル=
8:1)で精製し、1.2g(収率53%)の(1)を
得た。
【0098】3−トリフェニルスズプロピオン酸(2)
の合成 メタノール20ml中の3−トリフェニルスズプロピオ
ン酸エチル(1)1.0g(2.2mmol)の溶液
に、水20ml中の水酸化ナトリウム0.44g(11
mmol)の溶液を加え、2時間環流撹拌した。減圧下
にメタノールを留去し、残渣に20mlの水と30ml
の酢酸エチルを加え分液した。水層を1Nの塩酸で酸性
にし、酢酸エチルで抽出した(30ml×3)。酢酸エ
チル層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮
した。残渣の結晶をリグロインで再結晶化し0.69g
(収率74%)の(2)を得た。
【0099】融点:>250℃ 上記トリフェニルスズハプテン(2)の1H NMRに
よる物性データ(ケミカルシフトδ)を以下に示す。
【0100】
【表1】1 H NMR (DMSO−D6,400MHz) δ 1.58(2H,t,CH2), 2.65(2
H,t,CH2),7.45(15H,m,Ar:
H),12.25(1H,s,COOH)実施例2 免疫用抗原及びスクリーニング用抗原の作製 免疫用抗原及びスクリーニング用抗原としてトリフェニ
ルスズハプテンとBSAとの結合体を混合酸無水物法を
用いて作製した。
【0101】実施例1で作製したトリフェニルスズハプ
テン2.1mg(5μmol)をDMF 5mlに溶解
し、N−メチルモルホリン25μlを添加し、室温で2
0分間撹拌した。次に、クロロ蟻酸イソブチル10μl
を添加し、室温で20分間撹拌した(これを、以下「A
液」という)。
【0102】一方、BSA 67mg(1μmol)を
蒸留水2mlに溶解し、0.5M水酸化ナトリウム水溶
液を加えてpHを9に調整した後、撹拌しながらDMF
1.3mlを滴下した。この溶液にpHが9になるよ
うに0.5M水酸化ナトリウム水溶液を適宜添加しなが
らA液を滴下し、40℃にて一晩反応させた。反応後、
蒸留水にて4℃で透析したものを凍結乾燥し、トリフェ
ニルスズハプテンとBSAとの結合体(以下、「トリフ
ェニルスズハプテン/BSA結合体」と言う)を調製し
た。以下、免疫用抗原として用いた。
【0103】また、同様の方法を用いて、トリフェニル
スズハプテンとRSAとの結合体(以下、「トリフェニ
ルスズハプテン/RSA結合体」と言う)も作製した。実施例3 トリフェニルスズハプテンと標識物質との結
合体の作製 トリフェニルスズハプテンとHRPとの結合体を活性化
エステル法により作製した。
【0104】トリフェニルスズハプテン0.03mmo
lを無水DMF30mlに溶解し、濃度1μmol/m
lのトリフェニルスズハプテンDMF溶液を調製した。
一方、N−ヒドロキシこはく酸イミド0.1mmolと
ジシクロヘキシルカルボジイミド0.1mmolをそれ
ぞれ各1mlのDMFに溶解し、濃度100μmol/
mlのDMF溶液を調製した。
【0105】トリフェニルスズハプテンの1μmol/
ml DMF溶液5mlにN−ヒドロキシこはく酸イミ
ドの100μmol/ml DMF溶液50μlとジシ
クロヘキシルカルボジイミドの100μmol/ml
DMF溶液50μlを添加し、室温にて一晩撹拌して反
応させた。反応後、10,000rpmで15分間遠心
し、上清と沈殿とに分離した。
【0106】次に、PBS4mlにHRP20.1mg
(0.5μmol)を溶解した後、無水DMF 0.5
mlを添加した溶液を調製しておき、その溶液に前記の
上清2.55ml(2.5μmol)を加え、室温にて
一晩撹拌した後、40℃にて1時間反応させた。反応
後、トリフェニルスズハプテンとHRPとの結合体を1
45mM NaCl−10mMリン酸緩衝液(pH7.
2:以下「PBS」と言う)中にメタノールを30%含
有させた液で3回透析し、さらにPBSによる透析を5
回行って精製した。以下、「HRP結合トリフェニルス
ズハプテン」と言う。
【0107】実施例4 免疫感作 免疫にはBalb/cマウスを用いた。実施例2で作製
したトリフェニルスズハプテン/BSA結合体(免疫用
抗原)100μg又は200μgをPBS 100μl
に溶解し、等量のフロイント完全アジュバンドと混合し
て、Balb/cマウスの皮下に接種した。その4週間
後に免疫用抗原100μgとフロイント不完全アジュバ
ントを前記と同様に混合し、マウスの皮下に追加免疫し
た。さらにその2週間後に同様にして免疫用抗原100
μgとフロイント不完全アジュバントの混合物をマウス
の皮下に追加免疫した。また、その2週間後にPBS
200μlに溶解した免疫用抗原30μgをマウスの尾
静脈又は腹腔に追加免疫した。
【0108】実施例5 抗血清の塩化トリフェニルスズ
に対する反応性 実施例4におけるマウス尾静脈への接種直前、採血した
抗血清を希釈調製して、以下に詳述する間接競合ELI
SA法にて塩化トリフェニルスズを測定し、抗血清を評
価した。
【0109】免疫用抗原と同様に調製したトリフェニル
スズハプテン/RSA結合体溶液(0.1μg/ml)
を50μl/ウェルの量で96ウェルマイクロプレート
にコーティングし(5ng/50μl/ウェル)、4倍
希釈したブロックエース (「Block Ace」、
雪印乳業社製、コードNo.UK−25B)でブロッキ
ングしてアッセイ用プレートを作製した。これに抗血清
4000倍希釈液と、各種濃度の塩化トリフェニルスズ
と2μg/mlのBSAを溶解した60%メタノール−
PBS溶液とを等量混合し、その50μlを各ウェルに
入れ、室温で2時間反応させた。
【0110】PBSで5回洗浄した後に、10倍希釈の
ブロックエースを用いて2000倍に希釈したペルオキ
シダーゼ結合抗マウスIgGヤギ抗体(Tago社製)
を50μl/ウェルの量で加え、室温にて1時間反応さ
せた。PBSで5回洗浄した後に、2mg/mlのOP
D及び0.02%の過酸化水素を含む0.1Mクエン酸
−リン酸緩衝液(pH5.0)を50μl/ウェルの量
で加え、室温にて10分間反応させて発色させた。
【0111】次に、1N硫酸を50μl/ウェルの量で
加えて反応を停止し、490nmの吸光度を測定した。
結果の一例を図1に示す。図1より、マウスの抗血清
(ポリクローナル抗体)を使用することにより、塩化ト
リフェニルスズの量を0.01μg/mlないし100
μg/mlの範囲で測定することができた。
【0112】実施例6 ハイブリドーマの作製 実施例4に続いて、血清中の抗トリフェニルスズ抗体活
性が高くなったマウスの脾細胞と、ミエローマ細胞(S
p2/0−Ag14)とを山下修二らの方法(組織細胞
化学:日本組織細胞化学会編:学際企画.1986年)
に従ってポリエチレングリコール法により融合し、培養
した。実施例5と同様の方法でコーティング及びブロッ
キングしたプレートに60%メタノール−PBS溶液を
50μl/ウェルの量で加え、次いで、細胞の増殖が認
められた培養上清液をそれぞれ50μl/ウェルの量で
加え、室温にて2時間反応させた。
【0113】PBSで5回洗浄した後、10倍希釈のブ
ロックエースを用いて2000倍に希釈したペルオキシ
ダーゼ結合抗マウスIgGヤギ抗体(Tago社製)を
50μl/ウェルの量で加え、室温にて1時間反応させ
た。PBSで5回洗浄した後に、2mg/mlのOPD
及び0.02%の過酸化水素を含む0.1M クエン酸
−リン酸緩衝液(pH5.0)を50μl/ウェルの量
で加え、室温にて10分間発色させた。
【0114】次に、1N硫酸を50μl/ウェルの量で
加えて、反応を停止し、490nmの吸光度を測定し、
反応性を示す細胞(ハイブリドーマ)を選抜した。次
に、各ウェルの塩化トリフェニルスズとの反応性を実施
例5に記載した間接競合ELISA法で調べ、目的の抗
体を産生している細胞について限界希釈法によりクロー
ニングを行った。その結果、数株のハイブリドーマが抗
トリフェニルスズ抗体を産生する細胞としてクローン化
された。そのうちのSn2I1−9−1を平成12年1
月18日に、寄託番号FERM P−17697で、工
業技術院生命工学工業技術研究所(〒305−0046
茨城県つくば市東1丁目1番3号)に寄託した。
【0115】実施例7 直接競合ELISA法による塩
化トリフェニルスズの測定 実施例6で得られたハイブリドーマSn2I1−9−1
をマウスの腹腔に移植し、10日後ないし15日後に得
られた腹水を採取し、硫安分画法によりモノクローナル
抗体を分取した。(以降、モノクローナル抗体は、これ
らを産生するハイブリドーマと同一の名称を用いる。)
このSn2I1−9−1抗体を用いて直接競合ELIS
A法にて塩化トリフェニルスズの量を測定した。
【0116】上記のSn2I1−9−1抗体溶液(10
μg/ml)を50μl/ウェルの量で96ウェルマイ
クロプレートに入れ、4℃で一晩静置してコーティング
し、さらに4倍希釈のブロックエース(雪印乳業社製)
でブロッキングを行い、アッセイ用のプレートを作製し
た。各種濃度の塩化トリフェニルスズを含む20%メタ
ノール−PBS溶液と、実施例3で作製したHRP結合
トリフェニルスズハプテンのPBS溶液との等量混合液
を50μlずつ各ウェルに入れ、25℃で1.5時間反
応させた。
【0117】反応後、PBSで5回洗浄した後、2mg
/mlのOPD及び0.02%の過酸化水素を含む0.
1Mクエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)を50μl
ずつ各ウェルに入れ、室温で10分間静置して発色反応
を行った。
【0118】次に、1N硫酸を50μlずつ各ウェルに
加えて発色反応を停止させ、490nmの吸光度を測定
した。この結果を図2に示した。図2より、直接競合E
LISA法において、本発明のモノクローナル抗体Sn
2I1−9−1は、塩化トリフェニルスズを0.1ng
/mlないし100ng/mlの範囲で測定することが
できた。
【0119】実施例8 モノクローナル抗体の交差反応
性の評価 実施例6で得られたハイブリドーマSn2I1−9−1
に由来するモノクローナル抗体Sn2I1−9−1につ
いて、その培養上清を用いてBSAを添加しないこと以
外は実施例5に記載した間接競合ELISA法と同様に
して、5種類のトリフェニルスズ化合物及び5種類のト
リフェニルスズ類縁化合物に対する反応性を検討した。
【0120】この結果を図3及び図4に示す。ここで、
阻害率は次式で定義される。
【0121】
【化10】
【0122】図3より、本発明のモノクローナル抗体S
n2I1−9−1は、トリフェニルスズ基を有する一群
の化合物をいずれも0.01nmol/mlないし1n
mol/mlの範囲で測定できた。
【0123】また、図4に示すように、塩化トリフェニ
ルスズのスズ元素を他元素に置換した類縁化合物に対
し、本抗体は塩化トリフェニル鉛とは反応するが、塩化
トリフェニルメタン、塩化トリフェニルケイ素、塩化ト
リフェニルゲルマニウムとは反応しないことが分かっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、間接競合ELISA法を用いた、抗血
清による塩化トリフェニルスズとの反応性を示す。
【図2】図2は、本発明のモノクローナル抗体Sn2I
1−9−1を用いた直接競合ELISA法による塩化ト
リフェニルスズとの反応性を示す。
【図3】図3は、培養上清を用いた間接競合ELISA
法による、モノクローナル抗体Sn2I1−9−1の評
価を示す。
【図4】図4は、培養上清を用いた間接競合ELISA
法による、モノクローナル抗体Sn2I1−9−1の評
価を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/53 G01N 33/577 B 33/531 C07F 7/22 L 33/577 C12N 5/00 B // C07F 7/22 15/00 E (72)発明者 宗像 浩 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 面田 内記 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 渡邊 繁幸 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 鎌田 良雄 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 Fターム(参考) 4B064 AG27 CA20 CC24 DA13 DA16 4B065 AA92X AB05 AC14 BA08 BD39 CA25 4H045 AA11 BA52 CA42 DA70 DA76 EA50 4H049 VN03 VP01 VQ25 VR24 VU31

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の式(1): 【化1】 [式(1)中、nは、1−10の整数である]で表され
    る構造を有する化合物と高分子化合物を結合させること
    により抗原を作製し、当該抗原を用いることにより、以
    下の式(2): 【化2】 [式(2)中、 Xは、F、Cl、BrおよびIからなるグループから選
    択されるハロゲン原子であるか、あるいは、H、OH、
    CH3COO、ClCH2COO、(CH32−N−CS
    −S、(C653−Sn−O及びCH2=CH−CH2
    からなるグループから選択される基である]で表される
    構造を有する化合物に反応性を示す抗体を製造すること
    を特徴とする、式(2)で表される構造を有する化合物
    に反応性を示す抗体又はそのフラグメントの製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法により製造された、
    式(2)で表される構造を有する化合物に反応性を示す
    抗体又はそのフラグメント。
  3. 【請求項3】モノクローナル抗体である、請求項2に記
    載の抗体又はフラグメント。
  4. 【請求項4】寄託番号FERM P−17697で寄託
    されているハイブリドーマによって産生されるモノクロ
    ーナル抗体Sn2I1−9−1である、請求項2若しく
    は3に記載の抗体又はフラグメント。
  5. 【請求項5】請求項2ないし4のいずれか1項に記載の
    抗体又はフラグメントを産生するハイブリドーマ。
  6. 【請求項6】寄託番号FERM P−17697で寄託
    されている、請求項5に記載のハイブリドーマ。
  7. 【請求項7】請求項2ないし4のいずれか1項に記載の
    抗体又はフラグメントを用いることを特徴とする、式
    (2)で表される構造を有する化合物の免疫化学的測定
    方法。
  8. 【請求項8】さらに、請求項1において式(1)で表さ
    れる構造を有する化合物、および/又は、請求項1にお
    いて式(1)で表される化合物と高分子化合物若しくは
    標識物質との結合体を用いることを含む、請求項7に記
    載の免疫化学的測定方法。
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