JP2001182755A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JP2001182755A
JP2001182755A JP36685899A JP36685899A JP2001182755A JP 2001182755 A JP2001182755 A JP 2001182755A JP 36685899 A JP36685899 A JP 36685899A JP 36685899 A JP36685899 A JP 36685899A JP 2001182755 A JP2001182755 A JP 2001182755A
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flywheel
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隆生 内藤
Tomomitsu Terakawa
智充 寺川
Naoyuki Maki
直行 牧
Tetsuya Kono
哲也 河野
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Toyota Motor Corp
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D13/00Friction clutches
    • F16D13/58Details
    • F16D13/75Features relating to adjustment, e.g. slack adjusters
    • F16D13/757Features relating to adjustment, e.g. slack adjusters the adjusting device being located on or inside the clutch cover, e.g. acting on the diaphragm or on the pressure plate

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチ装置の経時変化による特性変化を補
償すること。 【解決手段】 クラッチ装置は、クラッチディスク23
と、クラッチディスクを押動するプレッシャプレート2
4と、プレッシャプレートをフライホイール21側に付
勢するダイヤフラムスプリング25と、このダイヤフラ
ムスプリングの中央部を押圧するためのレリーズベアリ
ング26、レリーズフォーク27、及びアクチュエータ
30とを備えている。また、プレッシャプレートとダイ
ヤフラムスプリングの外周部は、テーパ部24dとアジ
ャストウエッヂ部材29とを介して当接している。そし
て、この装置は、クラッチ作動回数をカウントし、クラ
ッチ作動回数に応じて望ましい圧着荷重を得るべく、ア
ジャストウエッヂ部材をプレッシャプレートに対して回
動させ、ダイヤフラムスプリングの姿勢を変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関等の動力
源と変速機との間のトルク伝達を行わせる車両用摩擦ク
ラッチ装置に係り、特に、クラッチディスクやアクチュ
エータ等の特性の経時変化に適切に対応し得るクラッチ
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のクラッチ装置において
は、クラッチフェーシング(クラッチディスク)の摩耗
に伴ってダイヤフラムスプリングの姿勢が変化するた
め、クラッチを非係合とする(遮断する)のに必要な操
作力(クラッチカバーに対する荷重)が増大する。この
ため、例えば、特開平5−215150号公報に開示さ
れた装置は、クラッチ操作時におけるクラッチカバーに
対する荷重(クラッチカバーに固定されたセンサダイヤ
フラムに対する荷重)に応じてダイヤフラムスプリング
の支点高さを変更し、これによりダイヤフラムスプリン
グの姿勢を修正し、以てクラッチフェーシングの摩耗に
伴うクラッチの操作特性の変化を補償するようになって
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種のク
ラッチ装置は、ダイヤフラムスプリングとレリーズベア
リング間、レリーズベアリングと変速機入力軸間、或い
はレリーズフォークとそのピボット運動の支点部間等に
摺動部を有している。係る摺動部の摺動抵抗は、クラッ
チ装置の作動回数(クラッチディスクがフライホイール
に対して係合状態から非係合状態に移行する回数、又は
非係合状態から係合状態に移行する回数)に応じて変化
する。また、クラッチディスクの摩擦係数は使用初期に
おいて小さく、その後増大し、所定の大きさとなってほ
ぼ安定する特性を有する。更に、レリーズフォークを押
動するアクチュエータ(例えば、電動モータ等)の出力
特性も経時変化する。このため、クラッチフェーシング
の摩耗が小さく同摩耗の程度が問題とはならない場合、
更には、上記従来技術等により摩耗が補償されている場
合であっても、クラッチの操作特性(主として応答特
性)がクラッチの作動回数に応じて変化するという問題
がある。
【0004】
【発明の概要】本発明は、上記課題に対処すべくなされ
たものであって、その構成上の特徴は、駆動源の出力軸
と一体的に回転するフライホイールに対向配置されたク
ラッチディスクと、前記クラッチディスクを前記フライ
ホイール側に押圧し、同クラッチディスクを同フライホ
イールに係合させるための圧着荷重を同クラッチディス
クに付与するプレッシャプレートと、前記プレッシャプ
レートに前記圧着荷重を生ぜしめるダイヤフラムスプリ
ングと、前記ダイヤフラムスプリングの所定部位に力を
加え、同ダイヤフラムスプリングを変形させることによ
り前記クラッチディスクと前記フライホイールとを非係
合とするレリーズ機構とを備えた車両用クラッチ装置に
おいて、前記クラッチディスクが非係合状態から係合状
態へ、又はその逆へ移行した回数に応じ、前記圧着荷重
を変更する調整手段を備えたこと備えたことにある。
【0005】これによれば、調整手段は、クラッチディ
スクが非係合状態から係合状態へ、又はその逆へ変化し
た回数に応じて圧着荷重を変更する。この結果、クラッ
チディスクを係合状態から非係合状態へと移行させる際
の操作荷重を変更することができるので、摺動部の抵抗
変化に応じたクラッチ操作が可能となり、クラッチの操
作特性を所望のものとすることが可能となる。また、圧
着荷重の変更により、同圧着荷重をクラッチディスクの
摩擦係数の変化に適した値とすることができる。
【0006】上記クラッチ装置において、前記レリーズ
機構は、前記ダイヤフラムスプリングと当接するレリー
ズベアリングと、前記レリーズベアリングを押動するレ
リーズフォークと、前記レリーズフォークを変位させる
アクチュエータとを含むものとすることができる。
【0007】この場合、使用によるアクチュエータ(例
えば、電動モータ)の特性変化をも考慮に入れ、上記圧
着荷重(即ち、操作荷重)を変更することが可能である
ので、アクチュエータを用いてクラッチ操作を行うクラ
ッチ自動制御装置にあっても、クラッチの操作特性を所
望のものとすることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるクラッチ装置
の第1実施形態について図1〜図13を参照しつつ説明
する。図1に概略的に示された本クラッチ装置は、駆動
源としてのエンジン10と変速機11との間に配設され
る摩擦クラッチ20と、同クラッチ20を操作するアク
チュエータ30と、このアクチュエータ30に駆動指令
信号を出力するクラッチ制御回路40とを含んで構成さ
れている。
【0009】摩擦クラッチ20は、図2にその詳細を示
したように、フライホイール21、クラッチカバー2
2、クラッチディスク23、プレッシャプレート24、
ダイヤフラムスプリング25、レリーズベアリング2
6、レリーズフォーク27、変速機ケース11aに固定
されたピボット支持部材28、及びアジャストウエッヂ
部材29を主たる構成要素として備えている。なお、プ
レッシャプレート24、ダイヤフラムスプリング25、
及びアジャストウエッヂ部材29等はクラッチカバー2
2に一体的に組み付けられるため、これらをクラッチカ
バー組立体(アッセンブリ)と称することがある。
【0010】フライホイール21は、鋳鉄製の円板であ
り、エンジン10のクランクシャフト(駆動源の出力
軸)10aにボルト固定されていて、同クランクシャフ
ト10aと一体的に回転するようになっている。
【0011】クラッチカバー22は、略円筒形状であっ
て、円筒部22aと、円筒部22aの内周側に形成され
たフランジ部22bと、円筒部22aの内周縁に周方向
に等間隔で形成された複数の保持部22cと、円筒部2
2aから内周側に向けて屈曲されたプレッシャプレート
ストッパ部22dとを含んでなり、円筒部22aの外周
部にてフライホイール21にボルト固定されて同フライ
ホイール21と一体的に回転するようになっている。
【0012】クラッチディスク23は、エンジン10の
動力を変速機11に伝達する摩擦板であって、フライホ
イール21とプレッシャプレート24との間に配設さ
れ、中央部にて変速機11の入力軸とスプライン連結さ
れることにより軸方向に移動できるようになっている。
また、クラッチディスク23の外周部の両面には、摩擦
材からなるクラッチフェーシング23a,23bがリベ
ットにより張り付け固定されている。
【0013】プレッシャプレート24は、変速機11の
入力軸方向に進退可能になっていて、クラッチディスク
23をフライホイール21側に押圧してフライホイール
21との間に挟み込み、クラッチディスク23をフライ
ホイール21と係合させて一体的に回転させるものであ
る。このプレッシャプレート24は、クラッチカバー2
2の回転に伴って回転するように、ストラップ24aに
より同クラッチカバー22と連結されている。
【0014】ストラップ24aは、積層された複数枚の
薄い板ばね材から構成されていて、図3にも示したよう
に、その一端がリベットR1によりクラッチカバー22
の外周部に固定されるとともに、その他端がリベットR
2によりプレッシャプレート24の外周部に設けられた
突起部に固定されている。これにより、ストラップ24
aは、プレッシャプレート24がフライホイール21か
ら離間し得るように、同プレッシャプレート24に対し
て軸方向の付勢力を付与している。
【0015】図2及び図4に示したように、プレッシャ
プレート24の最外周部には、同プレッシャプレート2
4がダイヤフラムスプリング25側に所定量だけ移動し
たときに、クラッチカバー22のプレッシャプレートス
トッパ部22dと当接する当接部24bが設けられてい
る。この当接部24bの内周側には、ダイヤフラムスプ
リング25側に向けガイド部24cが立設されている。
ガイド部24cの内周側には、図5に示したように、鋸
歯状のテーパ部24dがダイヤフラムスプリング25に
向けて立設されている。
【0016】ダイヤフラムスプリング25は、図3にも
示したように、クラッチカバー22の円筒部22aの内
周に沿って放射状に配置された12本の弾発性の板材2
5a(以下、「レバー部材25a」と称する。)から構
成されている。各レバー部材25aは、図2に示したよ
うに、クラッチカバー22の保持部22cに、各レバー
部材25aの軸方向両側に配置された一対のリング状の
支点部材25b,25cを介して挟持されている。これ
により、レバー部材25aは、クラッチカバー22に対
しリング部材25b,25cを支点としたピボット運動
をすることができるようになっている。
【0017】上記プレッシャプレート24のテーパ部2
4dと、上記ダイヤフラムスプリング25の外周部との
間には、調整部材(調整手段)の一部としてのアジャス
トウエッヂ部材29が配設されている。このアジャスト
ウエッヂ部材29は、リング状の部材であって、図5に
示したように、テーパ部24dと同一形状のウエッヂ側
テーパ部29aを有し、ウエッヂ側テーパ部29aとテ
ーパ部24dとはテーパ面TPにて互いに当接してい
る。また、アジャストウエッヂ部材29のダイヤフラム
スプリング25側(図5において上側)は、平坦とされ
ている。このアジャストウエッヂ部材29は、プレッシ
ャプレート24とダイヤフラムスプリング25との間の
力の伝達経路を形成し、ダイヤフラムスプリング25に
付与される力及び同ダイヤフラムスプリング25が発生
する力をプレッシャプレート24に伝達する。
【0018】アジャストウエッヂ部材29のダイヤフラ
ムスプリング25側の適宜の位置には切り欠き29bが
設けられ、プレッシャプレート24のテーパ部24dの
適宜の位置には貫通孔24eが設けられている。この切
り欠き29bと貫通孔24eの各々には、引張されたコ
イルスプリングCSの各端部が係止されている。これに
より、プレッシャプレート24とアジャストウエッヂ部
材29は、テーパ部24dの各頂部とウエッヂ側テーパ
部29aの各頂部とが近づく方向に相対回転するように
付勢されている。
【0019】レリーズベアリング26は、変速機11の
入力軸の外周を包囲するように変速機ケース11aに支
持された支持スリーブ11bに対し摺動可能に支持され
ていて、レバー部材25aの内端部(ダイヤフラムスプ
リング25の中央部)をフライホイール21側に押動す
るための力点部26aを構成している。
【0020】レリーズフォーク27(フォーク部材)
は、アクチュエータ30の作動に応じてレリーズベアリ
ング26を軸方向に摺動させるためのものであって、一
端がレリーズベアリング26と当接し、他端がアクチュ
エータ30のロッド31の先端部と当接部27aにて当
接している。また、レリーズフォーク27は、変速機ケ
ース11aに固定されたスプリング27cによりピボッ
ト支持部材28に組みつけられていて、同レリーズフォ
ーク27の略中央部27bにて同ピボット支持部材28
を支持点として揺動するようになっている。
【0021】アクチュエータ30は、前述したロッド3
1を進退移動させるものであって、直流電動モータ32
と、この電動モータ32を支持するとともに車両の適宜
個所に固定されたハウジング33とを備えている。ハウ
ジング33内には、電動モータ32により回転駆動され
る回転軸34と、側面視にて扇型をなしハウジング33
に揺動可能に支持されたセクタギヤ35と、アシストス
プリング36とが収容されている。
【0022】前記回転軸34にはウオームが形成され、
前記セクタギヤ35の円弧部と歯合している。また、ロ
ッド31の基端部(レリーズフォーク27と当接してい
る先端部と反対側の端部)は、セクタギヤ35に回動可
能に支持されている。これらにより、電動モータ32が
回転するとセクタギヤ35が回転し、ロッド31がハウ
ジング33に対して進退移動するようになっている。
【0023】前記アシストスプリング36は、セクタギ
ヤ35の揺動範囲内において圧縮されている。アシスト
スプリング36の一端はハウジング33の後端部に係止
され、他端はセクタギヤ35に係止されている。これに
より、アシストスプリング36はセクタギヤ35を時計
回転方向に付勢し、これにより、ロッド31を右方向へ
付勢して電動モータ32によるロッド31の右方向への
移動を補助している。
【0024】再び図1を参照すると、クラッチ制御回路
40は、マイクロコンピュータ(CPU)41、インタ
ーフェース42〜44、EEPROM45、電源回路4
6、及び駆動回路47等から構成されている。CPU4
1は、後述するプログラム及びマップ等を記憶したRO
M、及びRAMを内蔵している。
【0025】インターフェース42は、バスを介してC
PU41に接続されるとともに、変速機のシフトレバー
が操作されたときに生じる荷重(シフトレバー荷重)を
検出するシフトレバー荷重センサ51、車速Vを検出す
る車速センサ52、実際の変速段を検出するギヤ位置セ
ンサ53、変速機11の入力軸11aの回転数を検出す
る変速機入力軸回転数センサ54、及びアクチュエータ
30に固定されセクタギヤ35の揺動角度を検出するこ
とによりロッド31のストロークSTを検出するストロ
ークセンサ37と接続されていて、CPU41に対し各
センサの検出信号を供給するようになっている。
【0026】インターフェース43は、バスを介してC
PU41に接続されるとともに、エンジン制御装置60
と双方向の通信が可能となるように接続されている。こ
れにより、クラッチ制御回路40のCPU41は、エン
ジン制御装置60が入力しているスロットル開度センサ
55及びエンジン回転数センサ56の情報を取得し得る
ようになっている。
【0027】インターフェース44は、バスを介してC
PU41に接続されるとともに、電源回路46のOR回
路46aの一入力端子と駆動回路47とに接続されてい
て、CPU41からの指令に基づきこれらに所定の信号
を送出するようになっている。
【0028】EEPROM45は、電源が供給されてい
ない場合においても、データを記憶・保持する不揮発性
のメモリである。このEEPROM45は、バスを介し
てCPU41に接続されていて、電源供給時においてC
PU41から供給されるデータを格納するとともに、同
CPU41に記憶しているデータを供給するようになっ
ている。
【0029】電源回路46は、前記OR回路46aと、
同OR回路46aの出力端がベースに接続されたパワー
トランジスタTrと、定電圧回路46bとを備えてい
る。パワートランジスタTrのコレクタは車両に搭載さ
れたバッテリ70のプラス端子と接続され、エミッタは
定電圧回路46bと駆動回路47と接続されていて、パ
ワートランジスタTrがオン状態とされたとき、それぞ
れに電源を供給するようになっている。定電圧回路46
bは、バッテリ電圧を所定の一定電圧(5V)に変換す
るもので、CPU41、インターフェース42〜44、
及びEEPROM45に接続されていて、各々に電源を
供給するようになっている。OR回路46aの他の入力
端子には、運転者によりオン状態及びオフ状態に操作さ
れるイグニッションスイッチ71の一端が接続されてい
る。このイグニッションスイッチ71の他端は、バッテ
リ70のプラス端子に接続されている。また、イグニッ
ションスイッチ71の前記一端はインターフェース42
にも接続されていて、CPU41はイグニッションスイ
ッチ71の状態を検出し得るようになっている。
【0030】駆動回路47は、インターフェース44か
らの指令信号によりオン又はオフする4個のスイッチン
グ素子(図示省略)を内蔵している。これらのスイッチ
ング素子は、周知のブリッジ回路を構成し、選択的に導
通状態とされるとともに導通時間が制御され、電動モー
タ32に所定方向及び同所定方向とは逆方向の任意の大
きさの電流を流すようになっている。
【0031】エンジン制御装置60は、図示しないマイ
クロコンピュータを主として構成され、エンジン10の
燃料噴射量及び点火時期等を制御するものであり、前述
したようにエンジン10のスロットル開度TAを検出す
るスロットル開度センサ55と、同エンジン10の回転
数NEを検出するエンジン回転数センサ56等と接続さ
れ、それぞれのセンサからの信号を入力・処理するよう
になっている。
【0032】次に、上記のように構成されたクラッチ装
置の作動について説明する。この装置においては、従来
の運転者によるクラッチペダル操作に代わり、アクチュ
エータ30がクラッチ断接操作を自動的に行う。即ち、
断接操作は、CPU41が、例えば(1)車両が走行し
ている状態から停止する状態に移行していることを検出
した場合(変速機入力軸回転数が所定値以下に低下した
場合)、(2)シフトレバー荷重センサ51の検出する
荷重が所定値以上となったことを検出した場合(ドライ
バーの変速意思が確認された場合)、(3)車両が停止
している状態において、アクセルペダルが踏込まれたこ
とを検出した場合、等において実行される。
【0033】このクラッチ装置において、クラッチを係
合状態(接状態)とし、エンジン10の動力を変速機1
1に伝達する場合の作動について説明すると、先ず、ク
ラッチ制御回路40からの指令信号により駆動回路47
が電動モータ32に所定の電流を流し、電動モータ32
を回転駆動する。これにより、セクタギヤ35が図2に
おいて反時計方向に回転し、ロッド31が左方向に移動
する。
【0034】一方、レリーズベアリング26は、ダイヤ
フラムスプリング25により、フライホイール21から
離間する方向(図2における右方向)に力を受けてい
る。この力は、レリーズベアリング26を介してレリー
ズフォーク27に伝達されるため、レリーズフォーク2
7は、ピボット支持部材28を中心として図2において
反時計回転方向に回動する力を受けている。従って、ロ
ッド31が図2において左方向に移動すると、レリーズ
フォーク27は反時計回転方向に回動するとともにダイ
ヤフラムスプリング25の中央部はフライホイール21
から離間する方向に移動する。
【0035】このとき、ダイヤフラムスプリング25は
リング部材25b,25cを中心に揺動し(姿勢変化
し)、同ダイヤフラムスプリング25の外周部と当接す
るアジャストウエッヂ部材29をフライホイール21側
に押動する。この結果、プレッシャプレート24はテー
パ部24dにてフライホイール21に向かう力を受け、
クラッチディスク23を同フライホイール21との間で
挟み込む。これにより、クラッチディスク23は、フラ
イホイール21と係合して同フライホイール21と一体
的に回転するようになり、変速機11にエンジン10の
動力を伝達する。
【0036】次に、クラッチを非係合状態(断状態)と
し、エンジン10の動力を変速機11に伝達しない状態
とする場合について説明すると、先ず、電動モータ32
を回転駆動してセクタギヤ35を図2において時計回転
方向に回転させる。これにより、ロッド31が図2にお
いて右方向に移動し、レリーズフォーク27に対し当接
部27aにて右方向の力を与えるため、同レリーズフォ
ーク27はピボット支持部材28を支持点として図2に
おいて時計回転方向に回動し、レリーズベアリング26
をフライホイール21側に押動する。
【0037】このため、ダイヤフラムスプリング25は
中央部近傍の力点部26aにてフライホイール21に向
う力を受け、リング部材25b,25cを中心に揺動
(姿勢変化)するため、ダイヤフラムスプリング25の
外周部はフライホイール21から離間する方向に移動
し、アジャストウエッヂ部材29を介してプレッシャプ
レート24をフライホイール21側に押圧していた力は
減少する。一方、プレッシャプレート24は、ストラッ
プ24aによりクラッチカバー22と接続されていて、
フライホイール21から離間する方向に常に付勢されて
いるため、この付勢力によりクラッチディスク23から
僅かに離れる。この結果、クラッチディスク23はフリ
ー状態となって、エンジン10の動力が変速機11に伝
達されない状態となる。
【0038】なお、通常の運転時においてクラッチを非
係合状態とする場合においては、図4(A)に示したよ
うに、プレッシャプレート24の当接部24bと、クラ
ッチカバー22のプレッシャプレートストッパ部22d
とが所定の距離Yを維持して当接することがないよう
に、ロッド31のストロークを値ST0に制御する。
【0039】ところで、係るクラッチ20を搭載した車
両が使用(運転)されると、クラッチディスク23はフ
ライホイール21に対し、係合状態、半係合状態(所
謂、半クラッチ状態)、又は、非係合状態に制御され
る。このような、状態変化が繰り返されると、クラッチ
の特性、特に、非係合状態から係合状態へ、又はその逆
に変化するのに要する時間(以下、この時間を「クラッ
チの応答時間」といい、クラッチの応答時間で表される
クラッチの性能を「クラッチの応答特性」という。)が
変化する。本クラッチ装置は、このようなクラッチ操作
特性の経時変化を自動的に補償し、同クラッチ操作特性
を所望のものとする。そこで、以下においては、本クラ
ッチ装置による上記補償方法の原理について説明する。
【0040】先ず、電動モータ32の経時変化について
説明すると、電動モータ32の出力トルクは、図6
(A)に示したように、モータに流れる電流が同一であ
っても、クラッチが係合状態から非係合状態に、又は非
係合状態から係合状態に移行された回数、即ち、クラッ
チ作動回数が大きくなるに従って次第に低下する。これ
は、モータ巻線近傍に生ずるカーボンによりトルク発生
に寄与するモータ電流が実質的に減少する等の理由によ
るものである。
【0041】また、上記クラッチ装置は、ダイヤフラム
スプリング25とレリーズベアリング26間、レリーズ
ベアリング26と支持スリーブ11b間、レリーズフォ
ーク27とピボット支持部材28間、及びロッド31の
先端部とレリーズフォーク27間等に摺動部を有してい
る。この摺動部の摺動抵抗は、図6(B)に示したよう
に、クラッチ作動回数が大きくなるに従って次第に増大
する。
【0042】以上に説明した電動モータ32の出力トル
クの低下、或いは、摺動部の摺動抵抗の増大は、クラッ
チの応答時間を増大する要因となる。一方、クラッチの
応答時間は、アクチュエータ30がロッド31を移動す
るために必要な力(操作荷重)を低下させることによ
り、短縮することができる。このことから、例えば、図
6(C)に示したように、前記操作荷重をクラッチの作
動回数の増大に従って次第に低下させることにより、ク
ラッチ操作特性を維持する(特に、クラッチの応答時間
を一定に維持する)ことが可能となる。
【0043】また、クラッチフェーシング23a,23
bの摩擦材の摩擦係数は、図7(A)に示したように、
クラッチ作動回数が小さい場合には小さく、その後、急
激に増大し、やがて、ある値にて安定する。今、TCを
クラッチディスク23が伝達するトルク(以下、「クラ
ッチトルク」という。)、Aを所定の係数、μを上記摩
擦材の摩擦係数、Pをクラッチディスク23がフライホ
イール21に押圧される圧着荷重とするとき、これらの
間には、TC=A×μ×Pの関係が成立する。従って、
図7(B)に示したように、摩擦係数μの経時変化に応
じ、即ち、クラッチ作動回数に応じ、クラッチディスク
23がフライホイール21と完全に係合した状態を維持
するのに必要な荷重(以下、「必要圧着荷重」とい
う。)を変更することにより、アクチュエータ30の行
う不要な仕事を低減することができる。
【0044】以上に説明した、電動モータ32の出力特
性の変化、摺動部の摺動抵抗の変化、及び摩擦材の摩擦
係数の変化等を考慮すると、一般的には、図8のライン
L1(実線)、又はラインL2(破線)にて示したよう
に、クラッチ作動回数の増大に伴い圧着荷重をステップ
的に、又は連続的に低下させることが好適である。
【0045】一方、圧着荷重は、図9に示したように、
クラッチディスク23が完全係合状態にあるときのダイ
ヤフラムスプリング25の姿勢により変化する。同図9
において、ダイヤフラムスプリング25の姿勢が大きい
(図9の横軸方向)とは、ダイヤフラムスプリング25
がより平坦な形状となる(図2において、ダイヤフラム
スプリング25と変速機入力軸とのなす角度が直角に近
づく)ことを意味している。また、図9の矢印に沿った
変更は、ダイヤフラムスプリング25の荷重を下げるこ
とを意味している。
【0046】そこで、本実施形態においては、クラッチ
作動回数をカウント(計測)しておき、カウントしたク
ラッチ作動回数に応じて望ましい圧着荷重が得られるよ
うに、アクチュエータ30に特別な作動をさせて調整部
材であるアジャストウエッヂ部材29を回転させ、これ
によりダイヤフラムスプリング25の姿勢を変更し、以
って、上記経時変化を自動的に補償する。以下において
は、この補償動作(アジャスト動作)について、図10
〜図13に示したルーチンを参照しつつ説明する。
【0047】図10に示したルーチンは、上記経時変化
のアジャスト動作を実行する必要があるか否かを決定す
るためのルーチンであり、CPU41は、このルーチン
を所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、
CPU41は、所定のタイミングとなるとステップ10
00から処理を開始し、ステップ1005にてクラッチ
20(クラッチディスク23)が完全係合状態となった
か否かを判定する。具体的には、CPU41は、ストロ
ークSTが予め定めた所定のストロークSTKIGOと等しい
ときに完全係合状態と判定し、ストロークSTが前記所
定のストロークSTKIGOより大きいとき、完全係合状態で
ないと判定する。
【0048】そして、クラッチ20が完全係合状態にあ
る場合には、CPU41はステップ1005にて「Ye
s」と判定し、ステップ1010に進んで推定演算許可
フラグFEKの値を「1」に設定する。この推定演算許可
フラグFEKは、後述するステップ1040にて実行され
るクラッチストロークを推定する演算を許可するか否か
を決定するためのものである。次いで、CPU41はス
テップ1015に進み、同ステップ1015にて推定ク
ラッチストロークSISTに現在のストロークST(ストロ
ークセンサ37の検出値)を設定し、推定クラッチスト
ロークSISTを初期化する。その後、CPU41はステッ
プ1020に進んで、推定クラッチストローク速度SIV
の値を「0」に設定して同推定クラッチストローク速度
SIVを初期化し、ステップ1025へと進む。一方、ス
テップ1005にて、クラッチ20が完全係合状態でな
いと判定される場合には、CPU41はステップ102
5へと直接進む。
【0049】次いで、CPU41は、ステップ1025
にてクラッチ20が非係合状態にあるか否かを判定す
る。具体的には、CPU41は、ストロークSTが所定
のストロークSTKIGOより大きい予め定めた所定のストロ
ークSTHIKGより大きいとき、クラッチ20が非係合状態
にあると判定し、その他の場合には非係合状態でないと
判定する。そして、クラッチ20が非係合状態にある
と、CPU41はステップ1025にて「Yes」と判
定してステップ1030に進み、同ステップ1030に
て前記推定演算許可フラグFEKの値を「0」に設定す
る。
【0050】次いで、CPU41はステップ1035に
進み、推定演算許可フラグFEKの値が「1」であるか否
かを判定し、「1」である場合にはステップ1035に
て図11に詳細を示したクラッチストロークを推定する
ための推定クラッチストローク演算を実行する。
【0051】ここで、推定クラッチストローク演算につ
いて説明すると、CPU41は、先ず、図11のステッ
プ1100から1105に進み、既に計算されている推
定モータ電流値SIIM(初期値は「0」)と、その時点に
おいてクラッチ制御回路60が電動モータ32に通電を
指示している電流の大きさ(即ち現時点のモータ電流
値)IMとを用い、ステップ1105に記載した計算式に
基づいて新たな推定モータ電流値SIIMの演算を行う。な
お、ステップ1105に示した式において、Knは0〜1
の所定の定数であり、この計算により、推定モータ電流
値SIIMは現在のモータ電流値IMに対して時間的に遅らさ
れる(一次遅れが付与される)ことになる。これは、モ
ータのインダクタンスによる電流の遅れを考慮したもの
であり、これにより、電動モータ32に流れる電流値が
より精度よく求められる。
【0052】次いで、CPU41はステップ1110に
進み、クラッチ作動カウンタNの値をEEPROM45
から読出す。このクラッチ作動カウンタNは、クラッチ
20が係合状態から非係合状態となった回数を示すもの
であり、具体的には、図12に示したクラッチ作動回数
カウントルーチンにより更新される。
【0053】即ち、CPU41は、所定の短時間の経過
毎に図12のルーチンをステップ1200から開始し、
ステップ1205に進んでクラッチ20が係合状態から
非係合状態になったか否かをクラッチストロークSTの
変化から判定する。そして、ステップ1205にて「Y
es」と判定される場合には、ステップ1210にてク
ラッチ作動カウンタNの値を「1」だけ増大し、続くス
テップ1215にてクラッチ作動カウンタNの値をEE
PROM45に格納し、ステップ1295にて本ルーチ
ンを一旦終了する。なお、ステップ1215にてカウン
タNの値をEEPROM45に格納するのは、イグニッ
ションスイッチ71がオフ状態とされた場合であって
も、それまでのクラッチ作動回数を記憶しておくためで
ある。また、ステップ1205にて「No」と判定され
る場合には、CPU41はそのままステップ1295に
進み、本ルーチンを一旦終了する。以上により、クラッ
チ作動カウンタNは、クラッチが係合状態から非係合状
態へと変更された回数をカウントすることになる。
【0054】CPU41は、図11のルーチンのステッ
プ1110でクラッチ作動カウンタの値を読出した後、
ステップ1115にてクラッチ作動カウンタNの値が所
定値N0以下か否かを判定する。そして、ステップ11
15にて「Yes」と判定される場合には、CPU41
はステップ1120に進み、同ステップ1120に示し
たクラッチ負荷マップ1と、その時点で得られている推
定クラッチストロークSIST(前回の推定クラッチストロ
ークSIST)とからクラッチ負荷CLを決定する。
【0055】なお、推定クラッチストロークSISTは、後
述のステップ1140にて更新されるが、推定演算許可
フラグFEKの値が「0」から「1」に変更された後に初
めてステップ1120が実行される場合には、前述のス
テップ1015により、実際のストロークSTと等しく
なっている。また、クラッチ負荷CLとは、ストロークS
Tが所定の値のときに、電動モータ32(アクチュエー
タ30)に加わるべきものと設計上決定された理想の負
荷であり、ステップ1120にて使用されるクラッチ負
荷マップ1は、クラッチ作動回数が所定値N0以下の場
合において、クラッチストロークSTと理想とするクラ
ッチ負荷CLとの関係を予め定めたものである。
【0056】一方、クラッチ作動回数Nが所定値N0よ
り大きい場合には、CPU41はステップ1115にて
「No」と判定しステップ1125へと進み、同ステッ
プ1125に示したクラッチ負荷マップ2と、その時点
で得られている推定クラッチストロークSIST(前回の推
定クラッチストロークSIST)とからクラッチ負荷CLを決
定する。クラッチ負荷マップ2は、クラッチ作動回数が
所定値N0より大きい場合において、クラッチストロー
クSTと理想とするクラッチ負荷CLとの関係を予め定め
たものであり、同一の推定クラッチストロークSISTに対
するクラッチ負荷CLは、クラッチ負荷マップ1よりも小
さくなるように設定されている。
【0057】CPU41は、上記ステップ1120、又
はステップ1125にてクラッチ負荷CLを決定すると、
ステップ1130に進んで推定クラッチストローク加速
度SIACCを算出する。即ち、推定モータ電流値SIIMに所
定の定数KTを乗じた値からクラッチ負荷CLを減算した値
を、新たな推定クラッチストローク加速度SIACCに設定
する。ここで、電動モータ32の出力トルクが同電動モ
ータ32に流れる電流値に比例することから、推定モー
タ電流値SIIMに所定の定数KTを乗じた値は、同電動モー
タ32がロッド31を進退させる力を表す。従って、こ
の値からクラッチ負荷CLを減じた値、即ち、ステップ1
130にて求められる推定クラッチストローク加速度SI
ACCは、ロッド31に加わっている力と比例する値であ
り、従って、クラッチストロークSTの加速度を推定し
た値となる。
【0058】次いで、CPU41はステップ1135に
進み、推定クラッチストローク加速度SIACCを擬似的に
積分して、推定クラッチストローク速度SIVを求める。
具体的には、上記推定クラッチストローク加速度SIACC
に本ルーチンの実行周期tを乗じた値(t・SIACC)を、
既に求められている推定クラッチストローク速度SIVに
加え、その結果を新たな推定クラッチストローク速度SI
Vとして設定する。
【0059】次いで、CPU41はステップ1140に
進み、推定クラッチストローク速度SIVを擬似的に積分
して、推定クラッチストロークSISTを求める。具体的に
は、上記推定クラッチストローク速度SIVに本ルーチン
の実行周期tを乗じた値(t・SIV)を、既に求められて
いる推定クラッチストロークSISTに加え、その結果を新
たな推定クラッチストローク速度SISTとして設定する。
そして、CPU41はステップ1195に進み、本ルー
チンを一旦終了する。以上により、クラッチ作動回数N
に応じ、電動モータ32の電流値IMに基づいて、理想
(目標)とされるクラッチストローク(推定クラッチス
トロークSIST)が決定される。
【0060】CPU41は、上記推定クラッチストロー
クSISTの演算を実行した後、図10のステップ1045
に進み、同ステップ1045にて推定クラッチストロー
クSISTと実際のクラッチストロークSTとの差が、所定
の閾値ΔS以上か否かを判定する。そして、同ステップ
1045にて「Yes」と判定される場合は、経時変化
が進み、所定の電流を流しても実際のストロークが理想
とするストロークと大きく離れていることを意味し、従
って、経時変化に対するアジャスト動作を実行する必要
があるため、CPU41はステップ1050に進んでア
ジャスト動作要求フラグFADJの値を「1」に設定し、ス
テップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。一
方、ステップ1045にて「No」と判定される場合に
は、経時変化に対するアジャスト動作を実行する必要は
ないので、ステップ1095に直接進んで、本ルーチン
を一旦終了する。以上により、アジャスト動作を実行す
る必要があるか否かが判定され、その結果がアジャスト
動作要求フラグFADJの値に反映される。
【0061】次に、アジャスト動作を実際に実行する際
の作動について、図13に示したルーチンを参照しつつ
説明する。CPU41は、この図13のルーチンについ
ても、所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従っ
て、CPU41は、所定のタイミングとなるとステップ
1300から処理を開始し、ステップ1305以降に進
む。ステップ1305〜1320は、アジャスト動作の
実行条件が成立しているか否かを判定するためのステッ
プである。
【0062】ここで、アジャスト動作の実行条件(ステ
ップ1305〜1320)が全て成立しているものと仮
定して説明を続けると、CPU41は、ステップ130
5にて前述したアジャスト動作要求フラグFADJの値が
「1」か否かを判定する。これは、アジャスト動作を実
行すべき要求がある場合にのみ、同アジャスト動作を実
行するように構成するためのステップである。
【0063】前述の仮定に従えば、アジャスト動作要求
フラグFADJの値は「1」となっているので、CPU41
はステップ1305にて「Yes」と判定してステップ
1310に進み、同ステップ1310にてクラッチディ
スク23が非係合状態にあるか否かを判定する。これ
は、運転状態によりクラッチ20が係合状態に維持され
ている場合には、アジャスト動作を実行できないからで
ある。
【0064】前述の仮定に従えば、クラッチディスク2
3は非係合状態であるので、CPU41はステップ13
10にて「Yes」と判定してステップ1315に進
み、同ステップ1315にてエンジン回転数NEが、所
定の低速側回転数α(例えば、エンジン作動に最低限必
要な400rpm)より大きく、且つ所定の高速側回転数
β(例えば、エンジン10の振動が大きくなり始める回
転数である2000rpm)より小さいか否かを判定す
る。
【0065】これは、できるだけエンジンの振動が小さ
く、クラッチ20が共振等を発生しない場合にのみアジ
ャスト動作を行うことにより、誤調整することがないよ
うにするためである。また、回転数αよりも大きい状態
においてのみ、アジャスト動作を行うこととしたのは、
所定の変速ギヤが係合されている状態にて車両を駐車す
る「ギヤ駐車」時に、クラッチディスク23を非係合状
態にするアジャスト動作を実行することは好ましくない
ためであり、エンジン回転数NEが所定回転数α以上で
あれば、ギヤ駐車状態ではないものと判断できるからで
ある。
【0066】前述の仮定に従えば、エンジン回転数NE
は、低速側回転数αより大きく、高速側回転数βよりも
小さいので、CPU41はステップ1315にて「Ye
s」と判定してステップ1320に進み、同ステップ1
320にて車速Vが「0」であるか否かを判定する。こ
れは、車両の走行に伴う振動により誤調整することがな
いようにするためである。前述の仮定に従えば、車両は
停止していて、車速Vは「0」となっているので、CP
U41はステップ1320にて「Yes」と判定してス
テップ1325に進む。
【0067】CPU41は、ステップ1325にてスト
ロークSTが、ストロークST0に、ストロークSX及
びストロークSYを加えた値(ST0+SX+SY)よ
り大きくなっているか否かを判定する。ストロークST
0は、前述したように、通常運転時の非係合状態におけ
るストロークSTである。ストロークSYは、通常運転
時の非係合状態においてプレッシャプレート24の当接
部24bとクラッチカバー22のプレッシャプレートス
トッパ部22dとがなす距離Yに相当するストロークで
ある。ストロークSXは、今回のアジャスト動作により
ダイヤフラムスプリング25の外周部がプレッシャプレ
ート24の外周部から離間される調整量Xに相当するス
トロークである。
【0068】現段階においては、クラッチ20は通常の
非係合状態にあるので、ストロークSTはST0と等し
く、従って、CPU41はステップ1325にて「N
o」と判定してステップ1330に進み、同ステップ1
330にて電動モータ32の電流値IMをアジャスト用電
流値IMADJとする。これにより、ストロークSTは、ス
テップ1325の判定値(ST0+SX+SY)に次第
に近づき始める。その後、CPU41は、ステップ13
95に進み、同ステップ1395にて本ルーチンを一旦
終了する。
【0069】以降においても、CPU41は本ルーチン
を所定時間の経過毎に実行しているので、ステップ13
05〜1320にてアジャスト実行条件が満足されてい
るかをモニターし、ステップ1325にてストロークS
Tが判定値(ST0+SX+SY)と等しくなったか否
かをモニターすることとなる。
【0070】その後、所定の時間が経過すると、ダイヤ
フラムスプリング25は、図4(A)に示した状態から
図4(B)に示した状態へと姿勢変化する。即ち、ダイ
ヤフラムスプリング25は力点部26aにてフライホイ
ール21に向う力を受け、リング部材25b,25cを
中心に揺動(姿勢変化)し、プレッシャプレート24の
当接部24bと、クラッチカバー22のプレッシャプレ
ートストッパ部22dとが当接する。
【0071】この時点においては、ストロークSTは、
判定値よりも小さい値(ST+SY)であるので、CP
U41はステップ1325にて「No」と判定し、ステ
ップ1330を実行する。このため、電動モータ32に
は電流値IMADJの電流が継続して流され、ダイヤフラム
スプリング25の姿勢は更に変化する。このとき、プレ
ッシャプレート24の当接部24bは、クラッチカバー
22のプレッシャプレートストッパ部22dに当接して
いるため、プレッシャプレート24は、それ以上の移動
が規制される。この結果、ダイヤフラムスプリング25
の外周端部とプレッシャプレート24のテーパ部24d
との距離が大きくなり、図5に示したようにアジャスト
ウエッヂ部材29がコイルスプリングCSの作用によっ
て回転し、アジャストウエッヂ部材29のテーパ部29
aとプレッシャプレート24のテーパ部24dとがより
高い部分同士で当接し、これにより同アジャストウエッ
ヂ部材29の平坦部がダイヤフラムスプリング25の外
周端部の移動に追従する。
【0072】そして、所定の時間が経過してストローク
STが判定値(ST0+SX+SY)と等しくなると、
CPU41はステップ1325にて「Yes」と判定
し、ステップ1335に進んでアジャスト動作要求フラ
グFADJの値を「0」に設定し、ステップ1395に進ん
で本ルーチンを一旦終了する。これにより、アジャスト
動作が完了するとともに、以降においては、各運転状態
に応じた電流が電動モータ32に通電され、適切なクラ
ッチ制御が実行されるようになる。
【0073】以上の作動により、ダイヤフラムスプリン
グ25とプレッシャプレート24との距離は調整量Xだ
け大きくなる(図4(C)参照)。この結果、ダイヤフ
ラム姿勢が変化し、図9の矢印にて示したように、クラ
ッチディスク23の圧着荷重(従って、クラッチ20の
操作荷重)が変更され、これによりクラッチ(の操作特
性の)の経時変化が補償される。
【0074】次に、図13に示したルーチンの実行時
に、アジャスト動作の実行条件(ステップ1305〜1
320)の何れかが不成立である場合について説明する
と、CPU41は、ステップ1305〜1320の何れ
かにおいて「No」と判定し、ステップ1395に進ん
で本ルーチンを一旦終了する。そして、以降において
は、各運転状態に応じた電流が電動モータ32に通電さ
れ、適切なクラッチ制御が実行される。
【0075】以上に説明したように、第1実施形態によ
れば、クラッチの作動回数に応じて、ダイヤフラムスプ
リング25の姿勢が変更され、これによりクラッチの操
作荷重、及び圧着荷重が理想的に制御される。この結
果、クラッチの操作特性が良好に維持されるとともに、
必要以上の負荷がアクチュエータ30に加わることがな
く、消費電力の低減やアクチュエータ30の耐久性向上
が達成される。
【0076】次に、本発明によるクラッチ装置の第2実
施形態について図14〜図21を参照しつつ説明する。
第2実施形態に係るクラッチは、プレッシャプレート2
4の外周部と、ダイヤフラムスプリング25の外周部と
の間に配設されるアジャスト機構(調整手段、調整部
材)のみが第1実施形態と相違するため、以下において
第1実施形態と同一部材には同一符号を付し、その説明
を省略する。
【0077】第2実施形態においては、プレッシャプレ
ート24の外周部にリング状のテーパ部材81が固定さ
れていて、これにより、テーパ部材81が有する鋸歯状
の複数のテーパ部81aがダイヤフラムスプリング25
に向けて形成される(図19参照)。また、上記テーパ
部81aとダイヤフラムスプリング25の外周部との間
には、調整手段の一部としてのアジャストウエッヂ部材
82が配設されている。
【0078】このアジャストウエッヂ部材82は、リン
グ状の部材であって、テーパ部材81により、同テーパ
部材81と同軸回転可能に保持されている。また、アジ
ャストウェッヂ部材82は、テーパ部81aと同一形状
のウエッヂ側テーパ部82aを有していて、図17に特
に示したように、ウエッヂ側テーパ部82aとテーパ部
81aとはテーパ面TP1にて互いに当接している。な
お、アジャストウエッヂ部材82のダイヤフラムスプリ
ング25側は平坦とされている。
【0079】図17に示したように、アジャストウエッ
ヂ部材82のダイヤフラムスプリング25側の適宜の位
置には切り欠き82bが設けられ、プレッシャプレート
24に固定されたテーパ部材81の適宜の位置には係止
部81bが設けられていて、切り欠き82bと係止部8
1bの各々には、引張されたコイルスプリングCS1の
各端部が係止されている。これにより、プレッシャプレ
ート24(テーパ部材81)とアジャストウエッヂ部材
82は、テーパ部81aの各頂部とウエッヂ側テーパ部
82aの各頂部とが近づく方向に相対回転するように付
勢されている。
【0080】アジャストウエッヂ部材82の外周側面に
は、アジャストラック83が組み付け固定されている。
このアジャストラック83には、プレッシャプレート2
4側からダイヤフラムスプリング25に向けて起立する
第1鋸歯83a(又は等間隔に配置される三角状の歯)
がアジャストウエッヂ部材82の周方向に延設されると
ともに、この第1鋸歯83aと対向すると共に半ピッチ
だけ位相が異なる(ずれた)第2鋸歯83bが形成され
ている。
【0081】プレッシャプレート24の適宜位置には、
上面が開放した円筒部材84が固定されていて、この円
筒部材84に対し底面が開放した中空円筒状のアジャス
トピニオン85が摺動可能に支持されている。円筒部材
84とアジャストピニオン85の間にはコイルスプリン
グ86が配設されている。また、アジャストラック83
の第1,第2鋸歯83a,83bの間にはアジャストピ
ニオン85の側面に複数個形成された歯85aが配置さ
れ、第1,第2鋸歯83a,83bと歯85aが噛合
(係止)するようになっている(図19、図21参
照)。
【0082】次に、第2実施形態に係るクラッチ装置の
作動について説明する。通常の運転時においては、第1
実施形態と同様に、図示を省略したアクチュエータがロ
ッドを退避させると、ダイヤフラムスプリング25の中
央部はフライホイール21から離間する方向に移動す
る。このとき、ダイヤフラムスプリング25はリング部
材25b,25cを中心に揺動し(姿勢変化し)、アジ
ャストウエッヂ部材82をフライホイール21側に押動
する。この結果、プレッシャプレート24はテーパ部材
81を介してフライホイール21に向かう力を受け、ク
ラッチディスク23を同フライホイール21との間で挟
み込む。これにより、クラッチディスク23は、フライ
ホイール21と係合して一体的に回転するようになり、
変速機11にエンジン10の動力が伝達される。
【0083】この通常運転時のクラッチ係合状態におい
ては、図18に示したように、アジャストピニオン85
の上面85bとクラッチカバー22とは当接しないよう
になっている。このため、図21(A)に概念的に示し
たように、アジャストピニオン85の歯85aとアジャ
ストラック83の第2鋸歯83bとの噛合状態は維持さ
れ、アジャストウエッヂ部材82はプレッシャプレート
24に対し相対回転しない。
【0084】次に、クラッチを非係合状態とし、エンジ
ン10の動力を変速機11に伝達しない状態とする場合
について説明する。この場合には、図示しない電動モー
タを回転駆動してロッドを前進させ、図示しないレリー
ズベアリングをフライホイール21側に押動する。
【0085】このため、ダイヤフラムスプリング25は
中央部近傍位置の力点部26aにてフライホイール21
に向う力を受け、リング部材25b,25cを中心に揺
動(姿勢変化)するため、ダイヤフラムスプリング25
の外周部はフライホイール21から離間する方向に移動
し、アジャストウエッヂ部材82を介してプレッシャプ
レート24をフライホイール21側に押圧していた力は
減少する。一方、プレッシャプレート24は、ストラッ
プ24aによりクラッチカバー22と接続されていて、
フライホイール21から離間する方向に常に付勢されて
いるため、この付勢力によりクラッチディスク23から
僅かに離れる。この結果、クラッチディスク23はフリ
ー状態となって、エンジン10の動力が変速機11に伝
達されない状態となる。
【0086】この通常運転時のクラッチ非係合状態にお
いては、アジャストピニオン85の上面85bとクラッ
チカバー22とが当接し、スプリング86が僅かに圧縮
される程度にアクチュエータのロッドのストロークを制
御しておく。これにより、図21(B)に概念的に示し
たように、アジャストピニオン85の歯85aとアジャ
ストラック83の第2鋸歯83bとの噛合状態は維持さ
れ、アジャストウエッヂ部材82はプレッシャプレート
24に対し相対回転しない。なお、図18に示したよう
に、通常運転時の非係合状態においても、アジャストピ
ニオン85の上面85bとクラッチカバー22との間に
僅かな間隙Zが維持されるようにロッドのストロークを
制御してもよい。この場合には、通常運転時におけるク
ラッチ断接操作において、アジャストピニオン85と円
筒部材84との摺動が発生しないので、両者の頻繁な摺
動による摩耗を低減することができる。
【0087】次に、クラッチ装置の経時変化を補償する
ためのアジャスト動作について、第1実施形態の図13
のルーチンに代わる図20のルーチンを参照しつつ説明
すると、図20のルーチンは図13のルーチンのステッ
プ1325をステップ2025に置換した点においての
み図13のルーチンと異なっている。従って、以下、図
20に示した各ステップのうち図13に示した各ステッ
プと同一のステップについては図13と同一符号を付
し、その詳細な説明を省略する。なお、第2実施形態に
おいても、図10〜図12のルーチンが所定時間の経過
毎に実行されていて、これによりアジャスト動作要求フ
ラグFADJの操作がなされるとともに、クラッチ作動回数
Nがカウントされる。
【0088】CPU41は、所定のタイミングにて図2
0のルーチンをステップ2000から開始する。この時
点において、アジャスト動作を許容する条件が成立して
いると、CPU41は、ステップ1305〜1320の
全てのステップにて「Yes」と判定してステップ20
25に進み、同ステップ2025にてロッドのストロー
クSTが所定の閾値L0より大きくなったか否かを判定
する。
【0089】この閾値L0は、通常の運転時におけるク
ラッチ非係合時のストロークより十分に大きく設定して
あるため、ステップ1305〜1320の条件が始めて
成立してステップ2025に至った場合には、ストロー
クSTは所定の閾値L0より小さい。このため、CPU
41は同ステップ2025にて「No」と判定してステ
ップ1330に進み、電動モータ32に流れる電流IMを
十分に大きな所定の電流IMADJに設定し、ステップ20
95にて本ルーチンを一旦終了する。
【0090】以降においては、所定時間の経過毎にステ
ップ1305〜1320、及びステップ2025が繰り
返し実行され、アジャスト動作許可条件(ステップ13
05〜1320)が成立しているか否かがモニタされる
とともに、ステップ2025にてストロークSTが閾値
L0より大きくなったか否かがモニタされる。そして、
ストロークSTが閾値L0に至る前に、アジャスト動作
許可条件が不成立となると、CPU41はステップ13
05〜1320の何れかのステップにて「No」と判定
し、ステップ2095に進んで本ルーチンを一旦終了す
る。
【0091】一方、アジャスト動作許可条件の成立が継
続すると、電動モータ32の電流の大きさは値IMADJに
維持される。このため、ダイヤフラムスプリング25は
姿勢変化を続け、所定の時間が経過するとアジャストピ
ニオン85の上面85bとクラッチカバー22とが当接
し、その時点以降は同アジャストピニオン85の移動が
規制される。しかしながら、プレッシャプレート24は
クラッチカバー22との間に設けられたストラップ24
aによりフライホイール21から離間する方向に付勢さ
れているので、スプリング86の力に抗して更に移動す
る。
【0092】この結果、アジャストラック83とアジャ
ストピニオン85の相対位置の変化が開始し、この相対
位置の変化量が所定量以上となると図21(C)に示し
たようにアジャストピニオン85の歯85aと第2鋸歯
83bとの噛合が解除される。このため、アジャストウ
エッヂ部材82は、コイルスプリングCS1の付勢力に
よりプレッシャプレート24(テーパ部材81)に対し
て回転する。但し、この状態においては、アジャストピ
ニオン85の歯85aと第1鋸歯83aとが噛合し得る
位置関係にあるので、アジャストウエッヂ部材82の回
転は、アジャストピニオン85の歯85aと第1鋸歯8
3aとが噛合した時点で規制される。以上の動作によ
り、テーパ部81aとウエッヂ側テーパ部82aとの当
接位置が第1鋸歯83aと第2鋸歯83bの半ピッチ分
だけ変化する。
【0093】この後、所定の時間が経過してストローク
STが閾値L0よりも大きくなると、CPU41はステ
ップ2025にて「Yes」と判定してステップ133
5に進み、アジャスト動作要求フラグFADJの値を「0」
に設定し、ステップ2095にて本ルーチンを一旦終了
する。
【0094】その後、図示しない他のルーチンの実行に
より、クラッチディスク23が通常の非係合位置へと戻
されると、アジャストラック83とアジャストピニオン
85の相対位置が通常の状態に復帰する。従って、アジ
ャストピニオン85の歯85aと第1鋸歯83aとの噛
合が解除されるため、アジャストウエッヂ部材82は、
コイルスプリングCS1の付勢力によりプレッシャプレ
ート24(テーパ部材81)に対して再び回転する。そ
して、この回転は、アジャストピニオン85の歯85a
と第2鋸歯83bとが噛合した時点で規制されるため、
テーパ部81aとウエッヂ側テーパ部82aとの当接位
置が第1鋸歯83aと第2鋸歯83bの半ピッチ分だけ
更に変化する。以上により、通常運転時におけるダイヤ
フラムスプリング25の姿勢が修正され、クラッチの操
作荷重、圧着荷重がクラッチ作動回数に応じた適した値
となる。
【0095】以上説明したように、第2実施形態におい
ては、経時変化の補償が必要となった場合(アジャスト
動作要求フラグFADJの値が「1」となった場合)、一度
のアジャスト動作にて第2鋸歯83bの一ピッチ分に応
じた量だけプレッシャプレート24の外周部とダイヤフ
ラムスプリング25の外周部との距離が増大され、ダイ
ヤフラムスプリング25の姿勢が変更され、これにより
クラッチ装置の経時変化補償がなされる。また、第2実
施形態においては、第1鋸歯83aと第2鋸歯83b及
び歯85aとの係合により、アジャストウエッヂ部材8
2の回転を規制しているので、通常の運転時に調整量が
変化することが確実に回避され、常に適正な状態でクラ
ッチの断接がなされ得る。更に、第2実施形態において
は、閾値L0を十分に大きな所定量とすることができる
ため、プレッシャプレート24とダイヤフラムスプリン
グ25との距離を調整量Xだけ精度良く大きくさせる必
要がある第1実施形態に比較して、より容易にアジャス
ト動作を達成することができる。
【0096】以上のように、本発明に基づくクラッチ装
置によれば、クラッチ作動回数に応じてダイヤフラムス
プリング25の姿勢が調整され、電動モータ32の出力
特性変化、各摺動部の抵抗変化、及びクラッチフェーシ
ング23a,23bの摩擦係数μの変化等が補償され、
常に望ましいクラッチの操作特性を維持することができ
る。また、このようなアジャスト動作を、クラッチカバ
ー等が車両の振動の影響を受けることの少ない任意の時
期において行うように構成しているので、ダイヤフラム
スプリング25の姿勢を過度に変更してしまう可能性を
低減することができる。
【0097】なお、本発明の範囲内において種々の変形
例が採用可能であり、例えば、上記電動モータ32を使
用したアクチュエータ30に代え、電磁バルブ等を使用
して油圧を制御し、この油圧によりロッド31を進退さ
せる油圧式のアクチュエータ(油圧シリンダ)を採用す
ることもできる。また、上記第1,第2実施形態におい
ては、車両の振動によりクラッチカバーが共振すること
の可能性が小さい場合にのみ、アクチュエータを作動さ
せ、ダイヤフラムスプリング25の姿勢を補正してアジ
ャスト動作を実行することとしたが、他の任意の条件が
成立したときに、必要に応じてダイヤフラムスプリング
25の姿勢を制御するようにしてもよい。また、クラッ
チ制御回路40はアクチュエータ30と一体或いは別体
のどちらであってもよい。
【0098】更に、上記第1,第2実施形態において
は、クラッチ作動回数を直接カウントし、これに応じて
圧着荷重を変更していたが、クラッチ作動回数を間接的
に表す走行距離や運転時間等を計測し、これらに応じて
圧着荷重を変更してもよい。また、上記第1,第2実施
形態においては、クラッチ作動回数の増大に応じて圧着
荷重を低下させたが、図8のラインL3(一点鎖線)の
ように、クラッチ作動回数(カウンタNの値)が所定値
に達するまでは圧着荷重を次第に低下させ、その時点以
降は逆に圧着荷重を増大させるように圧着荷重を変更し
てもよい。
【0099】なお、この場合には、クラッチ作動回数
(カウンタNの値)が所定値に達した時点にて上記圧着
荷重の変更(即ち、調整部材を使用したダイヤフラムス
プリング25の姿勢変更)を中止し、それ以降はクラッ
チフェーシング23a,23bの摩耗進行に伴って、係
合時におけるダイヤフラムスプリング25の姿勢が自動
的に変化することで、上記圧着荷重の変更を行わせる。
このようにすれば、クラッチ作動回数が大きくなるに従
い、クラッチの応答時間が長くなることから、運転者に
クラッチフェーシング23の摩耗が進行していることを
認知させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるクラッチ装置の概略を示す全体
図である。
【図2】 図1に示したクラッチの概略断面図である。
【図3】 図1に示したクラッチの正面図である。
【図4】 図1に示したクラッチの作動を説明するため
の図である。
【図5】 図1に示したクラッチ(調整部材)の作動を
説明するための図である。
【図6】 (A)は図1に示した電動モータの出力特性
の経時変化を示した図、(B)はクラッチの摺動部の摺
動抵抗の経時変化を示した図、(C)は電動モータ及び
摺動部の経時変化を考慮した場合に、クラッチ性能を維
持するために必要な操作荷重を示した図である。
【図7】 (A)は図1に示したクラッチフェーシング
の摩擦材の摩擦係数の経時変化を示した図、(B)は摩
擦材の経時変化を考慮した場合に、必要とされる圧着荷
重を示した図である。
【図8】 クラッチ作動回数に対して理想とする圧着荷
重を示した図である。
【図9】 ダイヤフラムスプリングの姿勢に対する圧着
荷重の変化を示した図である。
【図10】 図1に示したCPUが実行するプログラム
を示す図である。
【図11】 図1に示したCPUが実行するプログラム
を示す図である。
【図12】 図1に示したCPUが実行するプログラム
を示す図である。
【図13】 図1に示したCPUが実行するプログラム
を示す図である。
【図14】 本発明による第2実施形態に係るクラッチ
の概略断面図である。
【図15】 図14に示したクラッチの正面図である。
【図16】 図14に示したクラッチの調整部材の側面
図である。
【図17】 図14に示したクラッチのプレッシャプレ
ート及び調整部材の斜視図である。
【図18】 図14に示したクラッチの調整部材近傍の
拡大図である。
【図19】 図14に示したクラッチのプレッシャプレ
ート及び調整部材の組立図である。
【図20】 本発明の第2実施形態に係るCPUが実行
するプログラムを示すフローチャートである。
【図21】 図14に示したクラッチの作動を説明する
ための図である。
【符号の説明】
10…エンジン、11…変速機、20…摩擦クラッチ、
21…フライホイール、22…クラッチカバー、23…
クラッチディスク、24…プレッシャプレート、25…
ダイヤフラムスプリング、26…レリーズベアリング、
27…レリーズフォーク、28…ピボット支持部材、2
9…アジャストウエッヂ部材、30…アクチュエータ、
32…直流電動モータ、37…ストロークセンサ、40
…クラッチ制御回路、41…CPU。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺川 智充 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 牧 直行 愛知県刈谷市昭和町2丁目3番地 アイシ ン・エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 河野 哲也 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J056 AA33 AA36 AA58 BA06 BB10 BC01 GA02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動源の出力軸と一体的に回転するフライ
    ホイールに対向配置されたクラッチディスクと、 前記クラッチディスクを前記フライホイール側に押圧
    し、同クラッチディスクを同フライホイールに係合させ
    るための圧着荷重を同クラッチディスクに付与するプレ
    ッシャプレートと、 前記プレッシャプレートに前記圧着荷重を生ぜしめるダ
    イヤフラムスプリングと、 前記ダイヤフラムスプリングの所定部位に力を加え、同
    ダイヤフラムスプリングを変形させることにより前記ク
    ラッチディスクと前記フライホイールとを非係合とする
    レリーズ機構とを備えた車両用クラッチ装置において、 前記クラッチディスクが非係合状態から係合状態へ、又
    はその逆へ移行した回数に応じ、前記圧着荷重を変更す
    る調整手段を備えたことを特徴とするクラッチ装置。
  2. 【請求項2】前記レリーズ機構は、前記ダイヤフラムス
    プリングと当接するレリーズベアリングと、前記レリー
    ズベアリングを押動するレリーズフォークと、前記レリ
    ーズフォークを変位させるアクチュエータとを含む請求
    項1に記載のクラッチ装置。
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