JP2009174632A - 車両の制御装置、制御方法およびその方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリープ走行中においてクラッチを精度良く制御する。
【解決手段】ECUは、前提条件が成立して(S100)、エンジン回転数と変速機の入力軸回転数との回転数差に変動があって(S104にてYES)、クラッチアクチュエータの作動量に変動がないと(S108にてNO)、現在位置に予め定められた値を加算して目標値を設定するステップ(S110)と、作動量が目標値になるようにクラッチアクチュエータを制御するステップ(S112)と、回転数差の変動がなくなると(S116にてNO)、現在位置を目標値に設定するステップ(S118)と、クラッチが係合状態になると(S120にてYES)、目標値を初期値に戻すステップ(S122)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】図3
【解決手段】ECUは、前提条件が成立して(S100)、エンジン回転数と変速機の入力軸回転数との回転数差に変動があって(S104にてYES)、クラッチアクチュエータの作動量に変動がないと(S108にてNO)、現在位置に予め定められた値を加算して目標値を設定するステップ(S110)と、作動量が目標値になるようにクラッチアクチュエータを制御するステップ(S112)と、回転数差の変動がなくなると(S116にてNO)、現在位置を目標値に設定するステップ(S118)と、クラッチが係合状態になると(S120にてYES)、目標値を初期値に戻すステップ(S122)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】図3
Description
本発明は、エンジンと変速機との間にアクチュエータにより作動するクラッチが設けられる車両の制御に関し、特に、クリープ制御実行中のクラッチの制御に関する。
従来より、エンジンと変速機との間に設けられ、油圧により作動するクラッチをアクチュエータなどにより作動させる自動制御が行なわれている。このようなクラッチが設けられる車両においては、車両の発進時になると自動変速機のクリープ力と同様の駆動力を発現するためにクラッチが半係合状態になるように制御される。
このようなクラッチが設けられる車両として、たとえば、特開2002−31166号公報(特許文献1)は、クリープ中に制御ハンチングにより振動や騒音が生じないようにしながら、一定のクリープ力を確保して確実にクリープ運転を行なえるようにする自動クラッチ制御装置を開示する。この自動クラッチ制御装置は、エンジンの回転状態を検出するエンジン回転状態検出手段と、クラッチのストロークを検出するクラッチストローク検出手段と、クラッチを断接駆動するクラッチアクチュエータと、エンジン回転状態検出手段から検出したエンジン回転状態、およびクラッチストローク検出手段から検出したクラッチストロークに基づいて車両がクリープし始めるクリープポイントを検出し、クリープポイントに到達したと判定した場合にはクラッチストロークを維持するようにクラッチアクチュエータを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
上述した公報に開示された自動クラッチ制御装置によると、クリープ運転中に制御ハンチングによって振動や騒音が生じないようにすることができるという利点がある。
特開2002−31166号公報
しかしながら、クリープ走行が連続的あるいは断続的に実施されると、クラッチにおいては半係合状態となる期間が長くなることに起因して、クラッチの係合部において摩擦熱が発生するという問題がある。発熱により係合部の温度が高温になると、クラッチの構成部品の温度が上昇し、クラッチに接続される油圧回路内の作動油の温度が上昇する場合がある。たとえば、油圧回路がリザーバ等から遮断されるなどして閉じた状態であるときには、油圧回路内の作動油の温度が上昇すると体積が膨張するため、油圧回路内の油圧が上昇する。そのため、アクチュエータがクラッチの半係合状態を継続するように作動しているにも関わらずクラッチが解放側に作動する場合がある。その結果、クリープ走行を継続することができない可能性がある。
上述した公報に開示された自動クラッチ制御装置においては、クラッチストロークセンサの出力値に基づいてクラッチを制御しているが、作動油の体積膨張による油圧の変動について何ら考慮されていないため、クリープ走行中にクラッチが解放されるという問題を解決することはできない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、クリープ走行中においてクラッチを精度良く制御する車両の制御装置、制御方法およびその方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
第1の発明に係る車両の制御装置は、内燃機関と、内燃機関の出力軸に接続され、油圧により動力伝達を断接するように作動するクラッチと、内燃機関からの動力がクラッチを経由して伝達される変速機とが搭載される車両の制御装置である。クラッチは、アクチュエータの駆動により作動する。アクチュエータは、車両の状態について予め定められた条件が成立するとクラッチが予め定められた半係合状態になるように制御が開始される。この制御装置は、アクチュエータの作動量を検出するための手段と、内燃機関の回転数を検出するための手段と、変速機の入力軸の回転数を検出するための手段と、クラッチが予め定められた半係合状態になるようにアクチュエータが制御された後に、内燃機関の回転数と変速機の入力軸の回転数との回転数差が変動する状態であって、かつ、検出された作動量が変動しない状態になると、クラッチが係合側に作動するようにアクチュエータを制御するための制御手段とを含む。第8の発明に係る車両の制御方法は、第1の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第1の発明によると、予め定められた条件が成立するとクラッチは予め定められた半係合状態になるように制御が開始され、車両のクリープ走行が実現される。クラッチが予め定められた半係合状態になるようにアクチュエータが制御された後に、作動油の体積膨張に起因した油圧の上昇によりクラッチが解放側に作動していると、アクチュエータの作動量に変動がない状態であるにもかかわらず、内燃機関と変速機の入力軸の回転数との回転数差が変動する状態になる。このような場合に、クラッチが係合側に作動するようにアクチュエータを制御することにより、クラッチの半係合状態を継続することができる。これにより、クリープ走行を適切に実施することができる。したがって、クリープ走行中においてクラッチを精度良く制御する車両の制御装置および制御方法を提供することができる。
第2の発明に係る車両の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、制御手段は、検出された作動量から予め定められた値だけクラッチの係合側に変化した作動量を目標値として設定するための設定手段と、検出された作動量が設定された目標値になるようにアクチュエータを制御するための手段とを含む。第9の発明に係る車両の制御方法は、第2の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第2の発明によると、検出された作動量から予め定められた値だけクラッチの係合側に変化した作動量を目標値に設定して、アクチュエータを制御することにより、作動油の体積膨張により解放側に作動していたクラッチを再度半係合状態にすることができる。そのため、クリープ走行を適切に実施することができる。
第3の発明に係る車両の制御装置は、第2の発明の構成に加えて、設定手段は、予め定められた条件が成立しないと、一旦変更された目標値を、前記半係合状態に対応する予め定められた値に設定するための手段を含む。第10の発明に係る車両の制御方法は、第3の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第3の発明によると、クラッチが係合状態あるいは解放状態になると摩擦熱の発生が抑制されるため、作動油の温度も低下し膨張した体積も縮小する。そのため、予め定められた条件が成立しないと一旦変更された目標値を、半係合状態に対応する予め定められた値に設定することにより、再度予め定められた条件が成立して、クラッチが半係合状態になるようにアクチュエータの制御が開始された後に、クラッチを精度良く半係合状態にすることができる。その結果、クリープ走行を適切に実施することができる。
第4の発明に係る車両の制御装置は、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、制御手段によるアクチュエータの制御により回転数差が変動しない状態になるとアクチュエータの作動量を保持するための手段をさらに含む。第11の発明に係る車両の制御方法は、第4の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第4の発明によると、クラッチが半係合状態に復帰すると、回転数差は変動しない状態になるため、アクチュエータの作動量を保持することにより、クラッチの半係合状態を継続することができる。そのため、クリープ走行を適切に実施することができる。
第5の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、予め定められた条件は、内燃機関の回転数および変速機の入力軸の回転数が変動しないという条件と、車両に設けられたアクセルペダルおよびブレーキペダルの踏み込みが解除されているという条件とを含む。第12の発明に係る車両の制御方法は、第5の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第5の発明によると、内燃機関の回転数および変速機の入力軸の回転数が変動しないという条件とアクセルペダルおよびブレーキペダルの踏み込みが解除されているという条件とが成立するとクラッチを半係合状態にすることにより適切にクリープ走行を実施することができる。
第6の発明に係る車両の制御装置は、第1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、検出された回転数差が予め定められた第1の値以上であると、回転数差が変動すると判定するための手段と、検出された作動量の変化量が予め定められた第2の値以下であると検出された作動量が変動しない状態であることを判定するための手段とをさらに含む。第13の発明に係る車両の制御方法は、第6の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第6の発明によると、回転数差が予め定められた第1の値以上であると回転数差が変動している状態であることを精度よく判定することができる。さらに、検出された作動量の変化量が予め定められた第2の値以下であるとアクチュエータの作動量が変動しない状態であることを精度よく判定することができる。
第7の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、クラッチには、油圧回路を介在してクラッチレリーズシリンダが接続される。クラッチレリーズシリンダは、アクチュエータの駆動により、内部に摺動可能に設けられるピストンが移動することにより油圧回路を経由してクラッチに油圧を供給する。クラッチレリーズシリンダには、油圧回路内に供給される作動油が貯留されるリザーバが、リザーブポートを介在して接続される。リザーブポートと油圧回路とは、ピストンが予め定められた半係合状態に対応する位置よりもクラッチが解放する側の位置になると遮断状態となる。第14の発明に係る車両の制御方法は、第7の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
第7の発明によると、クラッチが半係合状態であるときに油圧回路とリザーバとが遮断状態になると油圧回路が閉じた状態になるため、油圧回路内の作動油はクラッチの係合部で生じる摩擦熱により体積が膨張し、結果的にクラッチが解放状態になる場合がある。そのため、クラッチが係合側に作動するようにアクチュエータを制御することにより、クラッチの半係合状態を継続することができるため、クリープ走行を適切に実施することができる。
第15の発明に係るプログラムは、第8〜14のいずれかの発明に係る車両の制御方法をコンピュータで実現されるプログラムであって、第16の発明に係る記録媒体は、第8〜14のいずれかの発明に係る車両の制御方法をコンピュータで実現されるプログラムを記録した媒体である。
第15または第16の発明によると、コンピュータ(汎用でも専用でもよい)を用いて、第8〜14のいずれかの発明に係る車両の制御方法を実現することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本実施の形態に係る車両の制御装置を搭載した車両について説明する。車両は、内燃機関(以下、エンジンという)200と、クラッチ300と、変速機400と、クラッチアクチュエータ500と、ECU100(Electronic Control Unit)とを含む。
この車両は、エンジン200で発生した駆動力が、クラッチ300、変速機400に伝達され、最終的に駆動輪(図示せず)に伝達されることにより走行する。エンジン200、変速機400およびクラッチアクチュエータ500の動作は、ECU100により制御される。本実施の形態に係る車両の制御装置は、たとえば、ECU100において実行されるプログラムにより発現される。
エンジン200は、ガソリンエンジンである。なお、ガソリンエンジンの代わりに、ディーゼルエンジンであってもかまわない。クラッチ300は、エンジン200の出力軸であるクランクシャフト202に連結されている。クラッチ300の出力軸308は、変速機400の入力軸に連結されている。
変速機400は、常時噛合い式のギヤトレーンから構成されている。なお、変速機400は、特に常時噛合い式のギヤトレーンから構成される変速機に限定されるものではない。また、本実施の形態においては、変速機400におけるギヤ段の選択は、運転者の操作指示あるいは車両の走行状態に基づいてシフトアクチュエータの作動によりシフトフォークシャフトを摺動させることにより行なわれるとして説明するが、特にこれに限定されるものではない。シフトアクチュエータは、油圧により作動するものであってもよく、電力により作動するものであってもよい。なお、ダイレクトシリンダを用いたシフトアクチュエータによりギヤ段の選択を行なってもよい。
クラッチ300は、油圧回路452を介在してクラッチレリーズシリンダ450に接続される。クラッチレリーズシリンダ450の内部にはピストン454が摺動可能に設けられる。ピストン454は、レリーズシャフト456の一方端に連結され、レリーズシャフト456の他方端は、クラッチアクチュエータ500に接続される。
本実施の形態において、クラッチアクチュエータ500は、電動モータと減速機構とリターンスプリング(いずれも図示せず)とから構成される。レリーズシャフト456の他方端は、減速機構を経由して電動モータに連結される。なお、レリーズシャフト456の他方端は、電動モータに直結するようにしてもよい。
減速機構は、複数のギヤから構成され、電動モータの回転を減速する。減速機構は、電動モータの回転方向の運動をレリーズシャフト456の軸方向(図1の紙面左右方向)の運動に変換する。したがって、電動モータが作動するとレリーズシャフト456は、軸方向に移動する。たとえば、電動モータによりレリーズシャフト456が図1の紙面左方向に移動するとクラッチレリーズシリンダ450のピストンが図1の紙面左方向に移動する。油圧回路452内は作動油で充填されており、ピストンの移動により油圧回路452内の油圧が上昇する。
リターンスプリングは、レリーズシャフト456の初期位置から電動モータの作動により軸方向に移動するとレリーズシャフトの位置を初期値に戻す方向に付勢力が発生するように設けられる。したがって、電動モータへの電力供給が停止するとリターンスプリングの付勢力によりレリーズシャフト456が初期位置に移動する。レリーズシャフト456の初期位置への移動により油圧回路452内の油圧は低下する。
クラッチアクチュエータ500には、クラッチアクチュエータ500の作動量に関連する物理量を検出するクラッチストロークセンサ502が設けられる。クラッチストロークセンサ502は、クラッチアクチュエータ500の作動量に関連する物理量が検出されれば、検出対象は特に限定されるものではないが、たとえば、クラッチストロークセンサ502は、レリーズシャフト456の移動量、減速機構のギヤの回転量および電動モータの回転量のうちのいずれかをクラッチアクチュエータ500の作動量として検出するようにしてもよい。なお、本実施の形態において、「クラッチアクチュエータ500の作動量」とは、初期位置を起点とした作動量を示し、クラッチストロークセンサ500により検出された作動量は、レリーズシャフト456、減速機構のギヤまたは電動モータの初期位置を起点とした現在位置を示す。なお、初期位置は、クラッチ300が係合状態になる位置であってもよいし、解放状態になる位置であってもよい。
また、クラッチレリーズシリンダ450には、油圧回路452内に供給される作動油が貯留されるリザーバ(図示せず)が、リザーブポート(図示せず)を介在して接続される。ピストン454が、クラッチ300の予め定められた半係合状態に対応する位置よりもクラッチ300が解放する側の位置でリザーブポートと油圧回路452とが遮断状態となるように、リザーブポートがクラッチレリーズシリンダ450に設けられ、油圧回路452がクラッチレリーズシリンダ450に接続される。
クラッチ300は、クランクシャフト202に連結されるフライホイール302と、フライホイール302と同一の回転軸を有し、変速機400の入力軸に連結されるクラッチディスク304と、クラッチディスク304に当接するように設けられるプレッシャープレート(図示せず)と、クラッチカバー306に支持され、形状および材質に基づいて生じる付勢力によりプレッシャープレートをクラッチディスク304側に押し付けたり、レリーズ機構(図示せず)の作動によりプレッシャープレートから離隔したりするダイヤフラムスプリングとから構成される。
クラッチレリーズシリンダ450から油圧回路452を経由して供給される油圧はクラッチ300のレリーズ機構に供給される。レリーズ機構は、油圧回路452から供給される油圧の上昇に応じてダイヤフラムスプリングがプレッシャープレートをフライホイール302に押し付ける力を弱めるように作動し、油圧の低下に応じてダイヤフラムスプリングが付勢力によりプレッシャープレートをフライホイール302に押し付ける力を強めるように作動する機構である。なお、このような機構は周知の技術を用いればよくその詳細な説明は行なわない。
プラッシャープレートをフライホイール302に押し付ける力が弱まると、フライホイール302とクラッチディスク304との係合の度合が減少するため、クラッチ300が解放状態になるように作動する。
一方、プレッシャープレートをフライホイール302に押し付ける力が強まると、フライホイール302とクラッチディスクとの係合の度合が増加するため、クラッチ300が係合状態になるように作動する。
本実施の形態において、クラッチ300の「解放状態」とは、フライホイール302とクラッチディスク304との間で動力が伝達されない状態をいう。「係合状態」とは、フライホイール302とクラッチディスク304とが一体的に回転する状態をいう。「半係合状態」とは、フライホイール302とクラッチディスク304との間でスリップ(すなわち、回転差)を生じながら回転する状態をいう。
ECU100には、ストップランプスイッチ102と、アクセル開度センサ104と、入力軸回転数センサ106と、エンジン回転数センサ108と、クラッチストロークセンサ502とが接続される。
ストップランプスイッチ102は、ブレーキペダル150に設けられるスイッチであって、ブレーキペダル150の踏み込み量が予め定められた量以上になるとオンされ、予め定められた量よりも小さくなるとオフされる。ストップランプスイッチ102は、オン信号をECU100に送信する。なお、本実施の形態においては、ブレーキペダル150への踏み込みが解除されたか否かを示す物理量が検出できればよく、たとえば、ストップランプスイッチ102に代えてブレーキペダル150のストローク量(踏み込み量)を検出するストロークセンサを用いるようにしてもよい。
アクセル開度センサ104は、アクセルペダル152の踏み込み量、すなわち、アクセル開度を検出する。アクセル開度センサ104は、検出されたアクセル開度を示す信号をECU100に送信する。
入力軸回転数センサ106は、変速機400の入力軸の回転数を検出する。入力軸回転数センサ106は、検出された変速機400の入力軸の回転数を示す信号をECU100に送信する。
エンジン回転数センサ108は、クランクシャフト202の回転数を検出する。エンジン回転数センサ108は、検出されたエンジン200の回転数を示す信号をECU100に送信する。
クラッチストロークセンサ502は、クラッチアクチュエータ500の作動量を検出する。クラッチストロークセンサ502は、検出された作動量を示す信号をECU100に送信する。
ECU100は、これらのセンサから送信された信号、メモリ(図示せず)に記憶されたプログラムおよびマップなどに基づいて演算処理を行なう。これにより、ECU100は、クラッチ300を制御する。なお、ECU100は、クラッチ300の制御とともに、エンジン200の出力および変速機400の変速動作を制御するようにしてもよい。
以上のような車両の構成において、車両の状態について、クリープ制御を開始する予め定められた条件が成立すると、ECU100は、クラッチ300が予め定められた半係合状態になるようにクラッチアクチュエータ500の制御を開始する。これにより車両がクリープ制御を開始する。なお、本実施の形態において「クリープ制御」とは、自動変速機において発現するクリープ力と同様の駆動力をクラッチ300の制御により実現する制御をいう。
予め定められた条件は、少なくとも、エンジン回転数および入力軸回転数が変動しないという条件と車両に設けられたアクセルペダル152およびブレーキペダル150の踏み込みが解除されているという条件とを含むが、車両の走行状態(たとえば、車速が予め定められた範囲内等)あるいはエンジンの状態(たとえば、エンジン回転数が予め定められた回転数以上等)についての追加的な条件を含むようにしてもよい。
たとえば、車両が停車中であって、ブレーキペダル150もアクセルペダル152も解除された状態である場合には、ECU100は、予め定められた条件が成立したことを判定して、クラッチストロークセンサ502により検出されるクラッチアクチュエータ500の作動量が半係合状態に対応する予め定められた作動量になるようにクラッチアクチュエータ500を制御する。これにより、フライホイール302とクラッチディスク304とが半係合状態になる。
このとき、ダイヤフラムスプリングがプレッシャープレートを押し付ける力は係合状態のときよりも小さくなるため、車両が停止状態であるときなどクラッチディスク304側の駆動負荷が高い場合には、フライホイール302とクラッチディスク304とは、スリップを生じながら回転する。
これにより、車両の発進時において、エンジン200がストールすることなく、動力の伝達が図れ、伝達された動力により車両が走行を開始する。車両が走行を開始すると、変速機400の入力軸の回転数の上昇にともなってスリップ量は減少していく。ブレーキペダル150およびアクセルペダル152のいずれもが踏み込まれない限り、エンジン200の回転数と変速機400の入力軸の回転数とは、最終的には、略同一の回転数となる。
このような車両において、クリープ制御が連続的または断続的に実施されると、クラッチ300においては半係合状態となる期間が長くなることに起因して、クラッチ300の係合部であるフライホイール302とクラッチディスク304との間において摩擦熱が発生する場合がある。
摩擦熱により係合部の温度が高温になると、クラッチ300の構成部品の温度が上昇し、油圧回路452内の作動油の温度が上昇する。油圧回路452内の作動油の温度が上昇すると体積が膨張する。そのため、クリープ制御中の、油圧回路452とリザーバとが遮断状態になる場合においては、作動油をリザーブポートを経由して解放することができず、リザーバによる油圧回路452内の液量調整が不可能となるため、油圧回路452内の油圧が上昇する。そのため、クラッチアクチュエータ500がクラッチ300の半係合状態を継続するように作動しているにもかかわらずクラッチ300が解放側に作動する場合がある。その結果、クリープ制御による車両の走行を継続することができない可能性がある。
そこで、本発明は、ECU100が、クラッチ300が予め定められた半係合状態になるようにクラッチアクチュエータ500が制御された後に、エンジン200の回転数と変速機400の入力軸の回転数との回転数差が変動する状態であって、かつ、クラッチアクチュエータ500の作動量が変動しない状態になると、クラッチ300が係合側に作動するようにクラッチアクチュエータ500を制御する点に特徴を有する。
具体的には、ECU100は、クラッチ300が予め定められた半係合状態になるようにクラッチアクチュエータ500が制御された状態であるか否かを、車両がクリープ走行中であることを示す予め定められた前提条件が成立するか否かに基づいて判定する。「予め定められた前提条件」は、本実施の形態においては、たとえば、エンジン回転数および変速機400の入力軸の回転数がともに一定(すなわち、変化量が予め定められた値以下)であるという条件と、ブレーキペダル150およびアクセルペダル152のいずれの踏み込みを解除されているという条件とを含む。
さらに、ECU100は、エンジン200の回転数と変速機400の入力軸の回転数との回転数差が予め定められた値(1)以上であると、回転数差が変動する状態であることを判定する。なお、ECU100は、クリープ制御中に、エンジン200の回転数と変速機400の入力軸回転数との回転数差の変化量が予め定められた値以上であると、回転数差が変動する状態であることを判定するようにしてもよい。
また、ECU100は、クラッチアクチュエータ500の作動量の変化量が予め定められた値(2)以下であるとクラッチアクチュエータ500の作動量が変動しない状態であることを判定する。
なお、ECU100は、前回の計算サイクル時の値と今回の計算サイクル時の値との差により変化量を演算するようにしてもよいし、予め定められた期間の変化量を演算するようにしてもよい。
ECU100は、クラッチ300が予め定められた半係合状態になるようにクラッチアクチュエータ500が制御された後に、エンジン200の回転数と変速機400の入力軸の回転数との回転数差が変動する状態であって、かつ、クラッチアクチュエータ500の作動量が変動しない状態になると、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量から予め定められた値だけクラッチ300の係合側に変化した作動量を目標値に設定する。ECU100は、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量が設定された目標値になるようにクラッチアクチュエータ500を制御する。
さらに、ECU100は、クラッチアクチュエータ500の制御によりエンジン200の回転数と変速機400の入力軸の回転数との回転数差が変動しない状態になるとクラッチアクチュエータ500の作動量を保持する。
さらに、ECU100は、予め定められた条件が成立しないと半係合状態に対応するクラッチアクチュエータ500の作動量を目標値として設定する。
図2に、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECU100の機能ブロック図を示す。ECU100は、入力インターフェース(以下、入力I/Fと記載する)600と、演算処理部700と、記憶部800と、出力インターフェース(以下、出力I/Fと記載する)900とを含む。
入力I/F600は、ストップランプスイッチ102からのストップランプスイッチ信号と、アクセル開度センサ104からのアクセル開度信号と、変速機400の入力軸回転数センサ106からの入力軸回転数信号と、エンジン回転数センサ108からのエンジン回転数信号と、クラッチストロークセンサ502からのクラッチストローク信号とを受信して、演算処理部700に送信する。
演算処理部700は、条件成立判定部702と、回転数差変動判定部704と、位置変動判定部706と、目標値設定部708と、アクチュエータ制御部710と、係合判定部712とを含む。
条件成立判定部702は、予め定められた前提条件が成立するか否かを判定する。「予め定められた前提条件」は、車両がクリープ走行中であることを示す条件である。予め定められた条件は、たとえば、エンジン回転数および変速機400の入力軸の回転数がともに一定(すなわち、変化量が予め定められた値以下)であるという条件と、ブレーキペダル150およびアクセルペダル152のいずれの踏み込みを解除されているという条件とを含む。なお、条件成立判定部は、たとえば、予め定められた前提条件が成立すると条件成立判定フラグをオンするようにしてもよい。
なお、条件成立判定部702は、たとえば、予め定められた条件が成立すると判定すると条件成立判定フラグをオンするようにしてもよい。
回転数差変動判定部704は、予め定められた前提条件が成立した後に、エンジン回転数に変動があると判定されるとエンジン回転数と変速機400の入力軸回転数との回転数差の変動の有無を判定する。具体的には、回転数差変動判定部704は、回転数差が予め定められた値(1)以上になると、回転数差の変動があることを判定する。
なお、回転数差変動判定部704は、たとえば、条件成立判定フラグがオンであると回転数差の変動の有無を判定して、回転数差の変動があることを判定すると、回転数差変動判定フラグをオンするようにしてもよい。
位置変動判定部706は、回転数差に変動があると判定されるとクラッチアクチュエータ500の作動量の変動の有無を判定する。具体的には、位置変動判定部706は、クラッチアクチュエータ500の作動量の変化量が予め定められた値(2)以下であるとクラッチアクチュエータ500の作動量の変動がないことを判定する。なお、位置変動判定部706は、たとえば、回転数差変動判定フラグがオンであると、クラッチアクチュエータ500の作動量の変動の有無を判定して、クラッチアクチュエータ500の作動量の変動がないと位置変動判定フラグをオンするようにしてもよい。
目標値設定部708は、予め定められた前提条件が成立し、エンジン回転数と変速機400の入力軸の回転数との回転数差に変動があり、クラッチアクチュエータ500の作動量に変動がないと、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量から予め定められた値だけクラッチ300の係合側に変化した作動量を目標値として設定する。本実施の形態において、クラッチアクチュエータ500の作動量において、クラッチ300の係合側の変化を正方向とする。したがって、目標値設定部708は、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量に予め定められた値を加算した値を目標値として設定する。
なお、目標値設定部708は、たとえば、条件成立判定フラグ、回転数差変動判定フラグおよび位置変動判定フラグがいずれもオンであると、目標値を設定するようにしてもよい。
また、目標値設定部708は、エンジン200の回転数と変速機400の入力軸の回転数との回転数差が変動しない状態になるとクラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量を目標値として設定する。本実施の形態においては、たとえば、目標値設定部708は、エンジン200の回転数と変速機400の入力軸回転数との回転数差が予め定められた値以下になるとクラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量を目標値として設定する。
さらに、目標値設定部708は、クリープ制御を開始する予め定められた条件が成立しなくなると(たとえば、クラッチ300が係合状態になると)、一旦変更された目標値を、半係合状態に対応する予め定められた値に設定する。再度予め定められた条件が成立して、クラッチ300が半係合状態になるようにクラッチアクチュエータ500の制御が開始された後に、クラッチ300を精度良く半係合状態にするためである。
アクチュエータ制御部710は、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量が設定された目標値になるようにクラッチアクチュエータ500を制御する。アクチュエータ制御部710は、設定された目標値に基づいてクラッチアクチュエータ制御信号を生成して、出力I/F900を経由してクラッチアクチュエータ500に送信する。
係合判定部712は、クラッチ300が係合状態であるか否かを判定する。係合判定部712は、たとえば、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量に基づいてクラッチ300が係合状態であるか否かを判定する。
なお、本実施の形態において、条件成立判定部702、回転数差変動判定部704、位置変動判定部706、目標値設定部708、アクチュエータ制御部710および係合判定部712は、いずれも演算処理部700であるCPU(Central Processing Unit)が記憶部800に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記録媒体に記録されて車両に搭載される。
記憶部800には、各種情報、プログラム、しきい値、マップ等が記憶され、必要に応じて演算処理部700から読み出される。
以下、図3を参照して、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECU100で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU100は、予め定められた前提条件が成立するか否かを判定する。予め定められた前提条件が成立すると(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS100に戻される。
S102にて、ECU100は、エンジン回転数と変速機400の入力軸回転数との回転数差を演算する。S104にて、ECU100は、演算された回転数差に変動があるか否かを判定する。回転数差に変動があると(S104にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでないと(S104にてNO)、処理はS100に戻される。
S106にて、ECU100は、クラッチストロークセンサ502によりクラッチアクチュエータ500の作動量を検出する。S108にて、ECU100は、検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量に変動があるか否かを判定する。クラッチアクチュエータ500の作動量に変動がないと(S108にてNO)、処理はS110に移される。もしそうでないと(S108にてYES)、処理はS100に戻される。
S110にて、ECU100は、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量に予め定められた値を加算した値を目標値として設定する。S112にて、ECU100は、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量が設定された目標値になるようにクラッチアクチュエータ500を制御する。S114にて、ECU100は、エンジン回転数と変速機400の入力軸回転数との回転数差を演算する。
S116にて、ECU100は、回転数差が予め定められた値(1)以上であるか否かを判定する。回転数差が予め定められた値(1)以上であると(S116にてYES)、処理はS110に戻される。もしそうでないと(S116にてNO)、処理はS118に移される。
S118にて、ECU100は、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量を目標値として設定する。S120にて、ECU100は、クラッチ300が係合状態であるか否かを判定する。クラッチが係合状態になると(S120にてYES)、処理はS122に移される。もしそうでないと(S120にてNO)、処理はS100に戻される。S122にて、ECU100は、目標値を初期値であるクラッチ300の半係合状態に対応する予め定められた作動量に戻す。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両の制御装置であるECU100の動作について図4を参照しつつ説明する。
たとえば、エンジン200が始動中であって、運転者がブレーキペダルを踏み込んで車両が停止している場合を想定する。運転者がブレーキペダル150を踏み込んでいるのでストップランプスイッチ102は、オン状態である。また、アクセルペダル152は踏み込みが解除された状態においてエンジン回転数は、エンジン200の状態に応じて設定されるアイドル回転数になるように制御される。また、クラッチアクチュエータ500は、クラッチ300が解放状態になるように制御された状態であるとする。このとき、車両は停止中であるため、変速機400の入力軸の回転数は略ゼロの状態となる。
時間T(0)において、運転者がブレーキペダル150の踏み込みを解除するとストップランプスイッチ102がオフされる。このとき、予め定められた条件が成立するためクリープ制御が実行される。そのため、クラッチアクチュエータ500は、クラッチ300の半係合状態に対応する予め定められた作動量になるように作動する。
クラッチアクチュエータ500の作動によりクラッチ300のフライホイール302とクラッチディスク304の係合が開始するとエンジン200の動力が駆動輪に伝達されるため、変速機400の入力軸の回転数は、係合の度合の上昇に応じて上昇する。変速機400の入力軸の回転数の上昇にともなって、車速が上昇して車両は走行を開始する。
車速の上昇に応じてスリップ量が減少していくと、時間T(1)において、エンジン回転数と変速機400の入力軸回転数との回転数差が略ゼロとなる。時間T(1)以降、エンジン回転数と変速機400の入力軸回転数とは、それぞれ略一定の状態になる。そのため、予め定められた前提条件が成立するため(S100にてYES)、エンジン回転数と変速機の入力軸回転数との回転数差が演算される(S102)。時間T(1)〜時間T(2)において、回転数差は一定の状態であるため(S104にてNO)、クリープ制御は継続して実施される。
時間T(2)において、フライホイール302とクラッチディスク304との間において生じる摩擦熱により油圧回路452内の作動油の温度が上昇して体積が膨張すると、レリーズ機構に供給される油圧が上昇してクラッチ300が解放する側に作動する。すなわち、フライホイール302とクラッチディスク304との係合の度合が低下する。そのため、エンジン200から変速機400に伝達される動力の度合が低下するため、変速機400の入力軸回転数が低下する。
時間T(3)において、入力軸回転数がN(0)となった時点で、エンジン回転数と変速機400の入力軸の回転数との回転数差が予め定められた値(1)以上になると回転数が変動している状態であると判定される(S104にてYES)。
このとき、クラッチアクチュエータ500の作動量に変動がないと(S108にてNO)、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量に予め定められた値を加算した値が目標値に設定され(S110)、設定された目標値になるようにクラッチアクチュエータ500が制御される(S112)。クラッチ300が係合側に作動するため、フライホイール302とクラッチディスク304との係合の度合が上昇するため、変速機400の入力軸の回転数が上昇する。
時間T(4)において、エンジン回転数と変速機400の入力軸の回転数との回転数差が予め定められた値(1)よりも小さくなると(S116にてNO)、クラッチストロークセンサ502により検出されたクラッチアクチュエータ500の作動量を目標値として設定される(S118)。
時間T(4)以降において、運転者がブレーキペダル150あるいはアクセルペダル152の踏み込みを開始する等によりクリープ制御を実行する予め定められた条件が成立しないとクラッチ300が係合状態になるようにクラッチアクチュエータ500が制御される。クラッチ300が係合状態になると(S120にてYES)、目標値が初期値に戻される(S122)。
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の制御装置によると、クラッチが予め定められた半係合状態になるようにクラッチアクチュエータが制御された後に、作動油の体積膨張に起因した油圧の上昇によりクラッチが解放側に作動していると、クラッチアクチュエータの作動量に変動がない状態であっても、エンジンと変速機の入力軸の回転数との回転数差が変動する状態になる。このような場合に、クラッチストロークセンサにより検出されたクラッチアクチュエータの作動量から予め定められた値だけクラッチの係合側に変化した作動量を目標値に設定して、クラッチアクチュエータを制御することにより、作動油の体積膨張により解放側に作動していたクラッチを再度半係合状態にすることができる。そのため、クリープ走行を適切に実施することができる。したがって、クリープ走行中においてクラッチを精度良く制御する車両の制御装置、制御方法およびその方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
また、クラッチが半係合状態に復帰すると、回転数差は予め定められた値以下になるため、アクチュエータの作動量を保持することにより、クラッチの半係合状態を継続することができる。そのため、クリープ走行を適切に実施することができる。
さらに、クラッチが係合状態あるいは解放状態になると摩擦熱の発生が抑制されるため、作動油の温度も低下し膨張した体積も縮小する。そのため、予め定められた条件が成立しないと半係合状態に対応する予め定められた作動量を目標値として設定することにより、再度予め定められた条件が成立して、クラッチが半係合状態になるようにクラッチアクチュエータが制御されたときに、クラッチを精度良く半係合状態にすることができるため、クリープ走行を適切に実施することができる。
なお、本実施の形態においては、車両のクリープ走行時に、エンジン回転数およびクラッチアクチュエータの作動量の変動がないときに変速機の入力軸の回転数のみが低下した場合に、クラッチが係合側に作動するようにクラッチアクチュエータを制御するとして説明したが、たとえば、変速機の入力軸の回転数の低下に加えて、エンジンの吹き上がり(エンジン回転数の上昇)を検出した場合に、クラッチが係合側に作動するようにクラッチアクチュエータを制御するようにしてもよい。エンジンの吹き上がりは、たとえば、エンジン回転数の変化量が予め定められた値以上である等により判定すればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 ECU、102 ストップランプスイッチ、104 アクセル開度センサ、106 入力軸回転数センサ、108 エンジン回転数センサ、150 ブレーキペダル、152 アクセルペダル、200 エンジン、202 クランクシャフト、300 クラッチ、302 フライホイール、304 クラッチディスク、306 クラッチカバー、308 出力軸、400 変速機、450 クラッチレリーズシリンダ、452 油圧回路、454 ピストン、456 レリーズシャフト、500 クラッチアクチュエータ、502 クラッチストロークセンサ、600 入力I/F、700 演算処理部、702 条件成立判定部、704 回転数差変動判定部、706 位置変動判定部、708 目標値設定部、710 アクチュエータ制御部、712 係合判定部、800 記憶部、900 出力I/F。
Claims (16)
- 内燃機関と、前記内燃機関の出力軸に接続され、油圧により動力伝達を断接するように作動するクラッチと、前記内燃機関からの動力が前記クラッチを経由して伝達される変速機とが搭載される車両の制御装置であって、前記クラッチは、アクチュエータの駆動により作動し、前記アクチュエータは、前記車両の状態について予め定められた条件が成立すると前記クラッチが予め定められた半係合状態になるように制御が開始され、
前記制御装置は、
前記アクチュエータの作動量を検出するための手段と、
前記内燃機関の回転数を検出するための手段と、
前記変速機の入力軸の回転数を検出するための手段と、
前記クラッチが予め定められた半係合状態になるように前記アクチュエータが制御された後に、前記内燃機関の回転数と前記変速機の入力軸の回転数との回転数差が変動する状態であって、前記検出された作動量が変動しない状態になると、前記クラッチが係合側に作動するように前記アクチュエータを制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。 - 前記制御手段は、
前記検出された作動量から予め定められた値だけクラッチの係合側に変化した作動量を目標値として設定するための設定手段と、
前記検出された作動量が前記設定された目標値になるように前記アクチュエータを制御するための手段とを含む、請求項1に記載の車両の制御装置。 - 前記設定手段は、前記予め定められた条件が成立しないと、一旦変更された目標値を、前記半係合状態に対応する予め定められた値に設定するための手段を含む、請求項2に記載の車両の制御装置。
- 前記制御装置は、前記制御手段による前記アクチュエータの制御により前記回転数差が変動しない状態になると前記アクチュエータの作動量を保持するための手段をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。
- 前記予め定められた条件は、前記内燃機関の回転数および前記変速機の入力軸の回転数が変動しないという条件と、車両に設けられたアクセルペダルおよびブレーキペダルの踏み込みが解除されているという条件とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の車両の制御装置。
- 前記制御装置は、
前記検出された回転数差が予め定められた第1の値以上であると、前記回転数差が変動すると判定するための手段と、
前記検出された作動量の変化量が予め定められた第2の値以下であると前記検出された作動量が変動しない状態であることを判定するための手段とをさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の車両の制御装置。 - 前記クラッチには、油圧回路を介在してクラッチレリーズシリンダが接続され、
前記クラッチレリーズシリンダは、前記アクチュエータの駆動により、内部に摺動可能に設けられるピストンが移動することにより油圧回路を経由して前記クラッチに油圧を供給し、
前記クラッチレリーズシリンダには、前記油圧回路内に供給される作動油が貯留されるリザーバが、リザーブポートを介在して接続され、
前記リザーブポートと前記油圧回路とは、前記ピストンが前記予め定められた半係合状態に対応する位置よりも前記クラッチが解放する側の位置になると遮断状態となる、請求項1〜6のいずれかに記載の車両の制御装置。 - 内燃機関と、前記内燃機関の出力軸に接続され、油圧により動力伝達を断接するように作動するクラッチと、前記内燃機関からの動力が前記クラッチを経由して伝達される変速機とが搭載される車両の制御装置であって、前記クラッチは、アクチュエータの駆動により作動し、前記アクチュエータは、前記車両の状態についての予め定められた条件が成立すると前記クラッチが予め定められた半係合状態になるように制御され、
前記制御方法は、
前記アクチュエータの作動量を検出するステップと、
前記内燃機関の回転数を検出するステップと、
前記変速機の入力軸の回転数を検出するステップと、
前記クラッチが予め定められた半係合状態になるように前記アクチュエータが制御された後に、前記内燃機関の回転数と前記変速機の入力軸の回転数との回転数差が変動する状態であって、かつ、前記検出された作動量が変動しない状態になると、前記クラッチが係合側に作動するように前記アクチュエータを制御する制御ステップとを含む、車両の制御方法。 - 前記制御ステップは、
前記検出された作動量から予め定められた値だけクラッチの係合側に変化した作動量を目標値として設定する設定ステップと、
前記検出された作動量が前記設定された目標値になるように前記アクチュエータを制御するステップとを含む、請求項8に記載の車両の制御方法。 - 前記設定ステップは、前記予め定められた条件が成立しないと、前記半係合状態に対応する予め定められた作動量を前記目標値として設定するステップをさらに含む、請求項9に記載の車両の制御方法。
- 前記制御方法は、前記制御ステップにおける前記アクチュエータの制御により前記回転数差が変動しない状態になると前記アクチュエータの作動量を保持するステップをさらに含む、請求項8〜10のいずれかに記載の車両の制御方法。
- 前記予め定められた条件は、前記内燃機関の回転数および前記変速機の入力軸の回転数が変動しないという条件と、車両に設けられたアクセルペダルおよびブレーキペダルの踏み込みが解除されているという条件とを含む、請求項8〜11のいずれかに記載の車両の制御方法。
- 前記制御方法は、
前記検出された回転数差が予め定められた第1の値以上であると、前記回転数差が変動すると判定するステップと、
前記検出された作動量の変化量が予め定められた第2の値以下であると前記検出された作動量が変動しない状態であることを判定するステップとをさらに含む、請求項8〜12のいずれかに記載の車両の制御方法。 - 前記クラッチには、油圧回路を介在してクラッチレリーズシリンダが接続され、
前記クラッチレリーズシリンダは、前記アクチュエータの駆動により、内部に摺動可能に設けられるピストンが移動することにより油圧回路を経由して前記クラッチに油圧を供給し、
前記クラッチレリーズシリンダには、前記油圧回路内に供給される作動油が貯留されるリザーバが、リザーブポートを介在して接続され、
前記リザーブポートと前記油圧回路とは、前記ピストンが前記予め定められた半係合状態に対応する位置よりも前記クラッチが解放する側の位置になると遮断状態となる、請求項8〜13のいずれかに記載の車両の制御方法。 - 請求項8〜14のいずれかに記載の車両の制御方法をコンピュータで実現されるプログラム。
- 請求項8〜14のいずれかに記載の車両の制御方法をコンピュータで実現されるプログラムを記録した記録媒体。
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EP2554869A3 (en) * | 2011-08-03 | 2016-04-27 | Aisin AI Co., Ltd. | Power transmission apparatus |
-
2008
- 2008-01-24 JP JP2008013771A patent/JP2009174632A/ja not_active Withdrawn
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