JP2001181056A - セラミックグリーンシートおよび積層体の製法 - Google Patents

セラミックグリーンシートおよび積層体の製法

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JP2001181056A JP36668099A JP36668099A JP2001181056A JP 2001181056 A JP2001181056 A JP 2001181056A JP 36668099 A JP36668099 A JP 36668099A JP 36668099 A JP36668099 A JP 36668099A JP 2001181056 A JP2001181056 A JP 2001181056A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】厚みばらつきやストリークの発生を抑制するこ
とができるセラミックグリーンシート、およびこのよう
なセラミックグリーンシートを用いた積層体の製法を提
供する。 【解決手段】セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散
剤とを混合する混合工程と、この混合物に有機バインダ
を添加してスラリを作製し、該スラリを薄層化してセラ
ミックグリーンシート6を作製する工程と、セラミック
グリーンシート6を積層する工程と、焼成する工程とを
具備する積層体の製法であって、混合工程が、セラミッ
ク粉末と、有機溶媒と、第1分散剤と、該第1分散剤よ
りも平均分子量が小さい第2分散剤とを混合する積層体
の製法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミックグリーン
シートおよび積層体の製法に関し、特に、多層基板や、
積層セラミックコンデンサ、積層型アクチュエータ、圧
電トランス等の積層型電子部品に好適に用いられるセラ
ミックグリーンシート、およびこのセラミックグリーン
シートを用いた積層体の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来より、典型的な積層型電子部品として
積層セラミックコンデンサが知られている。積層セラミ
ックコンデンサは、例えば、図1に示すように、複数の
誘電体層1と複数の内部電極層2とを交互に積層してな
るコンデンサ本体3と、該コンデンサ本体3の両端部に
それぞれ設けられた外部電極4とから構成されている。
【0003】内部電極層2の端部は交互にコンデンサ本
体3の両端部に露出しており、コンデンサ本体3の両端
部に外部電極4を設けることにより、内部電極層2は交
互に外部電極4に接続されている。
【0004】このような積層セラミックコンデンサは、
まずセラミック粉末と、有機溶媒と、分散剤と混合し、
これを所定の平均粒径まで湿式粉砕し、所定の平均粒径
に達した時点で有機バインダを混合し、スラリを作製す
る。
【0005】次に、このスラリを、図2に示すように、
ドクターブレード法によってキャリアフィルム5上に塗
布し、セラミックグリーンシート6を形成し、次に、セ
ラミックグリーンシート6の表面に、内部電極層を形成
する金属を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷
し、内部電極パターンを形成し、内部電極パターンが形
成されたセラミックグリーンシート6を剥離する。導電
性ペーストはNi、Cu等の金属を含有するものであ
る。
【0006】次に内部電極パターンが形成されたセラミ
ックグリーンシートを目的に応じて複数枚積層し、全体
を熱圧着し、これを所定のピッチで切断して電子部品本
体の成形体を得る。このとき電子部品本体の成形体の両
端面には、内部電極パターンの端部が交互に露出するよ
うに切断される。
【0007】この後、電子部品本体の成形体を脱バイン
ダ処理後、更に還元雰囲気等の所望の雰囲気において焼
成を行い、電子部品本体を得、この電子部品本体の両端
部に、外部電極となる導電性ペーストを塗布し、焼き付
けることにより積層セラミックコンデンサが製造されて
いた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年においては、積層
セラミックコンデンサの容量歩留り、信頼性向上がさら
に要求されており、そのためには、セラミックグリーン
シートの厚みの均一化が有効である。
【0009】しかしながら、セラミックグリーンシート
の薄膜化が進むほど、図2に示したようにスラリ中に含
有されるセラミック粉末の粗大凝集粒子7の影響が大き
くなり、その凝集粒子7の部分ではセラミックグリーン
シートの厚みが厚くなり、セラミックグリーンシート厚
みの不均一化が顕著となるという問題があった。
【0010】即ち、セラミック粉末と、有機溶媒と、分
散剤とを混合し、これを粉砕用玉石を用いて湿式粉砕す
る場合、一般には平均分子量が20000〜30000
前後の分散剤が用いられ、この分散剤がセラミック粉末
粒子間に作用することにより、凝集粒子の解消が促進さ
れ、また分散剤の平均分子量が20000〜30000
の範囲にあることで、凝集が解消されたセラミック粉末
の再凝集が防止されていた。
【0011】しかしながら、セラミックグリーンシート
の薄膜化に伴い、セラミック粉末が微粉末になるにつれ
て、原料粉末同士の凝集力が上昇し、このセラミック粉
末粒子間の間隙はさらに小さくなり、そのため凝集粒子
の間隙に分散剤の分子が浸透できなくなり、凝集粒子の
解消が困難となるという問題があった。
【0012】また、通常、セラミック粉末の表層部には
水分子が物理吸着している為、見かけ上強い極性を示
す。そのため有機溶媒としてトルエン、キシレン等の低
極性有機溶媒を用いる場合には、セラミック粉末粒子が
凝集する傾向が強くなり、凝集粒子の解消が一層困難に
なるという問題があった。
【0013】そして、形成されるグリーンシートの厚み
よりも凝集粒子のサイズが大きい場合には、誘電体層の
厚みばらつきが大きくなり、静電容量のばらつきの原因
となるという問題があった。
【0014】また、グリーンシートの厚みより凝集粒子
の粒径が小さい場合であっても、スラリ塗布時に、ドク
ターブレード装置のブレードとキャリアフィルムとの間
に、セラミック粉末の凝集粒子が目詰まりし易くなり、
グリーンシート上に構造欠陥(短絡)の原因となるスト
リーク(溝)が生じ易くなるという問題があった。
【0015】このスラリ中に残存する凝集粒子は、セラ
ミック粉末の微粉末粒子が凝集して形成されていること
が多く、従来は、スラリの粉砕工程において、通常の粉
砕工程を経た後、ビーズミル等の粉砕工程を追加するこ
とによってセラミック粉末の凝集粒子の解消を図る方法
が知られている(例えば、特開平7−153646号公
報参照)。
【0016】しかしながら、ビーズミル等の粉砕工程を
追加すると、ビーズミルへの入れ換えの時に、溶媒の揮
発が生じ、スラリの有機組成の変動が生じるという問題
や、ビーズミルへの原料粉の付着による問題があった。
【0017】本発明は、厚みばらつきやストリークの発
生を抑制することができるセラミックグリーンシート、
およびこのようなセラミックグリーンシートを用いた積
層体の製法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミックグリ
ーンシートは、セラミック粉末(本発明では、セラミッ
ク粉末のみならず、ガラス−セラミックスも含む概念で
ある)と、有機溶媒と、第1分散剤と、有機バインダと
を含有するセラミックグリーンシートであって、前記第
1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤をさらに
含有するものである。このように、第1分散剤よりも平
均分子量が小さい第2分散剤を含有したので、セラミッ
ク粉末が微粉末になるにつれて、原料粉末同士の凝集力
が上昇し、このセラミック粉末粒子間の間隙が小さくな
ったとしても、凝集粒子の間隙に分子量の小さい第2分
散剤の分子が浸透し、凝集粒子を分散することができ
る。そして、従来から用いられている高分子量の第1分
散剤が分散したセラミック粉末粒子のまわりを取り囲
み、高重合度分子同士の立体障害効果によって、第2分
散剤により分散したセラミック粉末の再凝集が抑制され
ることになる。
【0019】また、本発明の積層体の製法は、セラミッ
ク粉末と、有機溶媒と、第1分散剤とを混合する混合工
程と、この混合物に有機バインダを添加してスラリを作
製し、該スラリを薄層化してセラミックグリーンシート
を作製する工程と、前記セラミックグリーンシートを積
層する工程と、焼成する工程とを具備する積層体の製法
であって、前記混合工程が、前記セラミック粉末と、前
記有機溶媒と、前記第1分散剤と、該第1分散剤よりも
平均分子量が小さい第2分散剤とを混合する方法であ
る。
【0020】このように第1分散剤よりも平均分子量が
小さい第2分散剤を含有したので、セラミック粉末が微
粉末になるにつれて、原料粉末同士の凝集力が上昇し、
このセラミック粉末粒子間の間隙が小さくなったとして
も、凝集粒子の間隙に分子量の小さい第2分散剤の分子
が浸透し、凝集粒子を分散することができる。そして、
従来から用いられている高分子量の第1分散剤が分散し
たセラミック粉末粒子のまわりを取り囲み、この第1分
散剤の高重合度分子同士の立体障害降下によって、第2
分散剤により分散したセラミック粉末の再凝集が抑制さ
れることになる。これにより、セラミック層の厚みの均
一化を図ることができるとともに、グリーンシート上に
構造欠陥(短絡)の原因となるストリーク(溝)の発生
を抑制することができる。
【0021】従って、例えば、積層セラミックコンデン
サの場合には、誘電体厚みの不均一による容量バラツ
キ、内部電極層の短絡による絶縁破壊や、局所的な電界
強度上昇による絶縁破壊を防止でき、積層セラミックコ
ンデンサの小型大容量化に不可欠な誘電体層の薄膜化を
実現した上で高い信頼性を示すことができる。
【0022】また、第1分散剤の平均分子量は2000
0以上であることが望ましい。このように第1分散剤の
平均分子量を20000以上とすることにより、一旦、
第2分散剤により分散されたセラミック粉末が、高分子
量の第1分散剤により取り囲まれることによりセラミッ
ク粉末の再凝集を充分に抑制できる。
【0023】さらに、第2分散剤の平均分子量は100
00以下であることが望ましい。このように第2分散剤
の平均分子量は10000以下とすることにより、セラ
ミック粉末が微粉末になって原料粉末同士の凝集力が上
昇し、このセラミック粉末粒子間の間隙が小さくなった
としても、凝集粒子の間隙に分子量の小さい第2分散剤
の分子を充分に浸透させることができ、凝集粒子の分散
を促進することができる。
【0024】また、セラミックグリーンシートの厚みは
5μm以下であることが望ましい。これは、厚み5μm
以下のセラミックグリーンシートを用いる場合には、凝
集粒の影響が大きいからであり、また、薄いセラミック
グリーンシートに用いられるセラミック粉末は微粒であ
るため、特に凝集し易いからであり、このような場合に
こそ本発明の効果が最大限に発揮される。
【0025】さらに、第2分散剤がノニオン系の分散剤
であることが望ましい。このように、ノニオン系の分散
剤を用いることにより、イオン性を示さない中性の性質
を有し、従来から使用していた第1分散剤との間でイオ
ン結合等の反応を防止することができる。その結果、そ
れぞれの分散性能の低下が生じることなく、凝集粒子の
解消を実現できる。
【0026】また、第2分散剤が、官能基として水酸基
またはエーテル結合等の親水基を有することが望まし
い。これは、凝集粒子が酸化物等の親水性表面を持つ場
合、その表層部には水分子が物理吸着しているため、強
い極性を示す。有機溶媒としてトルエン、キシレン等の
低極性有機溶媒を用いる場合には、セラミック粉末粒子
の凝集傾向が強いため、一層解消が困難となるが、第2
分散剤に官能基として水酸基あるいはエーテル結合等の
親水基を付与することによって、酸化物等の親水性表面
を持つセラミック粉末を、トルエン、キシレン等の低極
性有機溶媒に対する濡れ性を向上でき、セラミック粉末
の凝集を抑制でき、凝集粒子の解消を促進できる。
【0027】さらに、第2分散剤は、セラミック粉末1
00重量部に対して、0.2〜0.5重量部添加されて
いることが望ましい。これは、この範囲ならば最もセラ
ミック粉末の凝集を抑制できるからである。
【0028】また、セラミック粉末の平均粒径は0.2
〜0.5μmであることが望ましい。これは、セラミッ
ク粉末の平均粒径が0.2〜0.5μmである場合に
は、セラミック粉末が微粒であるため薄型化できるもの
の、凝集し易くなるため、本発明の効果が最大源に発揮
される。
【0029】また、スラリは、直径5mm以下のZrO
2 ボールを用いて混合粉砕することが望ましい。これ
は、直径が5mm以下のZrO2 ボールを使用すること
によって、振動ミル内部においてスラリーおよびZrO
2 ボールが効率的に流動するとともに、セラミック粉末
粒子に対する接触確率も増大し、凝集粒子の解消が促進
される。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明のセラミックグリーンシー
トは、セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散剤と、
この第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤
と、有機バインダとを含有するものである。
【0031】このようなセラミックグリーンシートは、
セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散剤と、この第
1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤とを混合
し、この混合物に有機バインダを添加してスラリを作製
し、このスラリを薄層化して作製される。本発明のセラ
ミック粉末は、セラミック粉末のみならず、ガラス−セ
ラミック粉末を含む概念である。
【0032】セラミック粉末としては、例えば、積層セ
ラミックコンデンサのセラミック粉末としては、BaT
iO3 粉末に、MgO粉末、MnCO3 粉末、希土類元
素酸化物粉末およびガラス成分を混合したもの等が用い
られる。
【0033】有機溶媒としては、例えばトルエンあるい
はキシレンと、アルコールの混合溶液が用いられ、有機
バインダとしては、例えばブチラール樹脂が用いられ
る。
【0034】また、第1分散剤としては、例えば、平均
分子量が20000以上である、アニオン系界面活性剤
が用いられる。
【0035】第2分散剤としては、第1分散剤よりも平
均分子量が小さいもので、平均分子量が10000以下
であることが望ましく、特には、500〜10000が
望ましい。これは、平均分子量が10000以下の場合
には、セラミック粉末の微粉末が凝集したとしても、そ
の間隙に第2分散剤が十分に侵入することができ、セラ
ミック粉末の凝集を解除することができるからである。
【0036】また、第2分散剤としてはノニオン系の分
散剤であることが望ましい。これは、ノニオン系の分散
剤はイオン性を示さない中性の性質を有するため、従来
から使用していた第1分散剤との間でイオン結合等の反
応を防止することができるからである。
【0037】即ち、イオン性がアニオン系とカチオン系
の組み合わせではイオン結合を生じ、分散効果を発揮す
る分子構造が破壊されてしまう。一方、イオン性が中性
であるノニオン系の第2分散剤を使用することにより、
従来より使用していた第1分散剤との相互反応を防止
し、それぞれの分散効果を補う形で凝集粒子の解消を促
進することができる。
【0038】さらに、第2分散剤が、官能基として水酸
基またはエーテル結合等の親水基を有することが望まし
い。これは、第2分散剤に官能基として水酸基あるいは
エーテル結合等の親水基を付与することで、酸化物等の
親水性表面を持つセラミック粉末表面に対する吸着を容
易にし、キシレン、トルエン等の低極性有機溶媒に対し
て濡れ易くすることができ、セラミック粉末の凝集を抑
制できるからである。
【0039】第2分散剤は、セラミック粉末100重量
部に対して、0.2〜0.5重量部添加されていること
が望ましい。これは、この範囲ならば有効的にセラミッ
ク粉末の凝集を解除することができるからである。尚、
第1分散剤が、分散後の再凝集を防止するという理由か
ら、セラミック粉末100重量部に対して、1.0〜
2.0重量部添加されていることが望ましい。
【0040】本発明の第2分散剤としては、平均分子量
が500〜10000で、ポリエーテル型のノニオン系
で、官能基として水酸基またはエーテル結合等の親水基
を有するものであり、セラミック粉末100重量部に対
して、0.2〜0.5重量部添加することが最も望まし
い。
【0041】また、セラミックグリーンシートの厚みは
5μm以下であることが望ましい。このように厚み5μ
m以下のセラミックグリーンシートを用いることによ
り、積層体の薄型化を図ることができるとともに、5μ
m以下のセラミックグリーンシートでは、特に、凝集粒
の影響が大きいからである。
【0042】例えば、セラミックグリーンシートの成膜
厚みである5μmより直径が大きな凝集粒子が存在する
と、図2に示すようにセラミックグリーンシート表面に
凝集粒子7が突出して形成されることになり、このよう
なセラミックグリーンシートを積層すると、誘電体層の
厚み不均一による静電容量バラツキの原因となる。
【0043】また、スラリ中に存在するセラミック粉末
の凝集粒子の大きさは3μm未満であることが望まし
い。凝集粒子の大きさが3μm以上あると、ドクターブ
レード法による5μm以下のグリーンシートを成膜する
際に、凝集粒子がブレードとキャリアフィルムのギャッ
プに目詰まりし易く、目詰まり部が起点となって、セラ
ミックグリーンシート表面にストリークが形成され易
く、このストリークが形成された部分では、正規のセラ
ミックグリーンシート厚みより薄く、内部電極層の接触
による短絡等の絶縁不良、あるいは局所的な電界強度の
上昇による絶縁抵抗劣化の原因となるからである。
【0044】さらに、セラミック粉末の平均粒径は0.
5μm以下、特には0.2〜0.5μmであることが望
ましい。これは、セラミック粉末の平均粒径が0.2〜
0.5μmの範囲であれば、最も効果的にセラミック粉
末の凝集を抑制できるからである。
【0045】また、セラミック粉末の平均粒径を0.2
〜0.5μmと小さくすることにより、セラミックグリ
ーンシートのより薄層化を達成できるからである。一
方、セラミック粉末の平均粒径が0.2μm以下では、
平均粒径が小さいことから凝集力が大きくなりすぎ、個
々のセラミック粉末粒子間の間隙が小さすぎるため、第
2分散剤を添加しても、セラミック粉末の凝集の解除効
果が不十分であり、平均粒径が0.5μmを超える場合
には凝集力が弱いため、平均分子量が小さい第2分散剤
を添加しても有意差が現れないからである。
【0046】スラリは、直径5mm以下のZrO2 ボー
ルを用いて混合粉砕することが望ましい。これは、振動
ミル内部においてスラリおよびZrO2 ボールが効率的
に流動するとともに、セラミック粉末粒子に対する接触
確率も増大し、凝集粒子の解消が促進されるからであ
る。
【0047】本発明のセラミックグリーンシートは、例
えば、セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散剤と、
この第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤と
を混合し、この混合物に有機バインダを添加してスラリ
を作製し、このスラリを薄層化して作製される。
【0048】スラリを薄層化する方法としては、キャリ
アフィルム上のスラリを、ブレードを移動することによ
りキャリアフィルム側に押しつけて薄層化するドクター
ブレート法が一般に用いられる。
【0049】また、本発明の積層体の製法は、上記セラ
ミックグリーンシートを積層し、これを焼成する方法で
ある。例えば、積層セラミックコンデンサについて説明
すると、積層セラミックコンデンサは、図1に示すよう
に、複数の誘電体層1と複数の内部電極層2とを交互に
積層してなるコンデンサ本体3と、該コンデンサ本体3
の両端面にそれぞれ設けられた外部電極4とから構成さ
れている。
【0050】このような積層セラミックコンデンサは、
上記したセラミックグリーンシートの表面に、内部電極
層を形成する金属を含有する導電性ペーストをスクリー
ン印刷し、内部電極パターンを形成する。導電性ペース
トはNi、Cu等の金属を含有するものである。
【0051】次に内部電極パターンが形成されたセラミ
ックグリーンシートを目的に応じて複数枚積層し、全体
を熱圧着し、これを所定のピッチで切断してコンデンサ
本体の成形体を得る。このときコンデンサ本体の成形体
の両端面には、内部電極パターンの端部が交互に露出す
るように切断される。
【0052】この後、コンデンサ本体の成形体を脱脂処
理、更に還元雰囲気において焼成を行い、コンデンサ本
体を得、このコンデンサ本体の両端面に、外部電極とな
る導電性ペーストを塗布し、焼き付けることにより積層
セラミックコンデンサが製造される。
【0053】このような積層セラミックコンデンサの製
法では、第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散
剤を含有したので、セラミック粉末が微粉末になるにつ
れて、原料粉末同士の凝集力が上昇し、このセラミック
粉末粒子間の間隙が小さくなったとしても、凝集粒子の
間隙にこの分子量の小さい第2分散剤の分子が浸透し、
凝集粒子を分散することができる。そして、従来から用
いられている高分子量の第1分散剤により、第2分散剤
により分散したセラミック粉末の再凝集が抑制されるこ
とになる。これにより、誘電体層の厚みの均一化を図る
ことができるとともに、グリーンシート上に構造欠陥
(短絡)の原因となるストリーク(溝)の発生を抑制す
ることができる。
【0054】これにより、内部電極層の短絡による絶縁
破壊や、局所的な電界強度上昇による絶縁破壊を防止で
き、積層セラミックコンデンサの小型大容量化に不可欠
な誘電体層の薄膜化を実現した上で、高い信頼性を示す
積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0055】
【実施例】まず、表1に示す平均粒径のBaTiO3
末と、平均粒径が1μmのMgO粉末、MnCO3
末、Y2 3 粉末とを混合したセラミック粉末を、Ba
TiO3 粉末100重量部に対して、MgO粉末を0.
14重量部、MnCO3 粉末を0.15重量部、Y2
3 粉末を0.7重量部、ガラス成分1.2重量部となる
ように秤量した。
【0056】このセラミック粉末に、芳香族系有機溶媒
としてトルエン、アルコール系有機溶媒としてエタノー
ル、第1分散剤として平均分子量が約25000の有機
アニオン系分散剤、さらに表1に示す平均分子量を有す
る第2分散剤を添加混合した。
【0057】第1分散剤は、セラミック粉末100重量
部に対して1.5重量部添加混合し、第2分散剤は、セ
ラミック粉末100重量部に対して表1に示す量だけ添
加混合した。
【0058】この後、上記混合物を直径5mmのZrO
2 ボールとともに振動型ミル内部に投入し、粉砕処理を
行った後、これを取り出し、有機バインダとしてブチラ
ール樹脂を添加混合し、スラリを作製した。
【0059】そして、上記スラリをドクターブレード法
を用いてキャリアフィルム上に塗布し、薄層化し、表1
に示す厚みのセラミックグリーンシートを形成した。
【0060】グリーンシートの表面に、Niからなる金
属粒子と共剤とからなる導電性ペーストをスクリーン印
刷して、内部電極パターンを形成した。
【0061】この内部電極パターンを印刷したグリーン
シートをキャリアフィルムから剥離した後、これを35
1枚積層し、最後に内部電極パターンを印刷しないグリ
ーンシートを上下に積層し、熱圧着し、積層成形体を形
成した。
【0062】この後、積層成形体を格子状に切断して、
両端面に内部電極パターンが交互に露出したコンデンサ
本体成形体を作製した。
【0063】次に、コンデンサ本体成形体を、大気中に
おいて300℃において、コンデンサ本体成形体中に存
在する結合材等の有機成分を脱バインダ処理して除去
し、弱還元性雰囲気中で1200℃で焼成し、この後コ
ンデンサ本体の両端部に、Cuからなる金属粒子とガラ
ス成分とからなる導電性ペーストを塗布し、焼き付ける
ことにより、各条件の積層セラミックコンデンサを10
0個ずつ作製した。
【0064】次に、得られた積層セラミックコンデンサ
の容量を、LCRメーターにより、1KHz、1Vrm
sの条件で測定したところ、グリーンシート厚みが3μ
mの積層セラミックコンデンサでは1.2〜1.3μ
F、グリーンシート厚みが4μmの積層セラミックコン
デンサでは9〜10μF、グリーンシート厚みが5μm
の積層セラミックコンデンサでは7.2〜8μFであっ
た。
【0065】得られた積層セラミックコンデンサに対し
て、絶縁抵抗を測定し、絶縁抵抗が100KΩ以下であ
る場合に絶縁不良とし、絶縁不良率の算出を行った。上
記スラリを用いて厚さ3μmのグリーンシートを作製
し、そのグリーンシート1mm2 当たりに突出した部分
の数を測定して、1mm2 当たりの凝集粒子個数を測定
した。これらの結果を表1に記載した。尚、セラミック
粉末の平均粒径は、BaTiO3 粉末の平均粒径とし
た。
【0066】
【表1】
【0067】表1より、第1分散剤よりも平均分子量が
小さい第2分散剤をさらに添加した積層セラミックコン
デンサでは、1mm2 当たりの凝集粒子個数が少なくな
り、逆に、第2分散剤を添加しなかった従来の製法によ
る積層セラミックコンデンサでは、凝集粒子が1mm2
当たり500個以上と多く、絶縁不良率が大きいことが
判る。
【0068】特に、水酸基を有する平均分子量が500
〜10000のノニオン系の第2分散剤を、セラミック
粉末100重量部に対して0.2〜0.5重量部添加し
た試料No.2、3、5、6、7、13では、1mm2
たりの凝集粒子個数が5個以下と少なくなり、絶縁不良
率も小さいことが判る。
【0069】これにより本発明の積層体の製法を採用す
ることにより、スラリ中の凝集粒子を解消することがで
き、その結果、5μm以下のセラミックグリーンシート
を用いた積層セラミックコンデンサの絶縁不良の発生を
防止できることが判る。
【0070】
【発明の効果】本発明のセラミックグリーンシートおよ
び積層体の製法では、第1分散剤よりも平均分子量が小
さい第2分散剤を含有せしめたので、凝集粒子の間隙に
分子量の小さい第2分散剤の分子が浸透し、凝集粒子を
分散することができるとともに、高分子量の第1分散剤
により、第2分散剤により分散したセラミック粉末の再
凝集が抑制され、セラミック層の厚みの均一化を図るこ
とができるとともに、グリーンシート上に構造欠陥(短
絡)の原因となるストリーク(溝)の発生を抑制するこ
とができ、例えば、積層セラミックコンデンサの場合に
おいては、粗大な凝集粒子がなくなり、誘電体層の厚み
の均一化が図れるため内部電極層の短絡による絶縁破壊
や、局所的な電界強度上昇による絶縁破壊を防止でき、
積層セラミックコンデンサの小型大容量化に不可欠な誘
電体層の薄膜化を実現できるとともに、高い信頼性を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層セラミックコンデンサを示すもので、一部
切欠斜視図である。
【図2】キャリアフィルム上に、スラリを塗布してセラ
ミックグリーンシートを形成した状態を示す縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1・・・誘電体層 2・・・内部電極層 3・・・コンデンサ本体 4・・・外部電極 5・・・キャリアフィルム 6・・・セラミックグリーンシート 7・・・凝集粒子

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散
    剤と、有機バインダとを含有するセラミックグリーンシ
    ートであって、前記第1分散剤よりも平均分子量が小さ
    い第2分散剤をさらに含有することを特徴とするセラミ
    ックグリーンシート。
  2. 【請求項2】セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散
    剤とを混合する混合工程と、この混合物に有機バインダ
    を添加してスラリを作製し、該スラリを薄層化してセラ
    ミックグリーンシートを作製する工程と、前記セラミッ
    クグリーンシートを積層する工程と、焼成する工程とを
    具備する積層体の製法であって、前記混合工程が、前記
    セラミック粉末と、前記有機溶媒と、前記第1分散剤
    と、該第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤
    とを混合する工程であることを特徴とする積層体の製
    法。
  3. 【請求項3】第1分散剤の平均分子量が20000以上
    であることを特徴とする請求項2記載の積層体の製法。
  4. 【請求項4】第2分散剤の平均分子量が10000以下
    であることを特徴とする請求項2または3記載の積層体
    の製法。
  5. 【請求項5】セラミックグリーンシートの厚みが5μm
    以下であることを特徴とする請求項2乃至4のうちいず
    れかに記載の積層体の製法。
  6. 【請求項6】第2分散剤がノニオン系の分散剤であるこ
    とを特徴とする請求項2乃至5のうちいずれかに記載の
    積層体の製法。
  7. 【請求項7】第2分散剤が、官能基として親水基を有す
    る請求項2乃至6のうちいずれかに記載の積層体の製
    法。
  8. 【請求項8】第2分散剤が、セラミック粉末100重量
    部に対して、0.2〜0.5重量部添加されていること
    を特徴とする請求項2乃至7のうちいずれかに記載の積
    層体の製法。
  9. 【請求項9】セラミック粉末の平均粒径が0.2〜0.
    5μmであることを特徴とする請求項2乃至8のいずれ
    かに記載の積層体の製法。
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