JP3857005B2 - セラミックグリーンシートおよび積層体の製法 - Google Patents

セラミックグリーンシートおよび積層体の製法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミックグリーンシートおよび積層体の製法に関し、特に、多層基板や、積層セラミックコンデンサ、積層型アクチュエータ、圧電トランス等の積層型電子部品に好適に用いられるセラミックグリーンシート、およびこのセラミックグリーンシートを用いた積層体の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、典型的な積層型電子部品として積層セラミックコンデンサが知られている。積層セラミックコンデンサは、例えば、図1に示すように、複数の誘電体層1と複数の内部電極層2とを交互に積層してなるコンデンサ本体3と、該コンデンサ本体3の両端部にそれぞれ設けられた外部電極4とから構成されている。
【0003】
内部電極層2の端部は交互にコンデンサ本体3の両端部に露出しており、コンデンサ本体3の両端部に外部電極4を設けることにより、内部電極層2は交互に外部電極4に接続されている。
【0004】
このような積層セラミックコンデンサは、まずセラミック粉末と、有機溶媒と、分散剤と混合し、これを所定の平均粒径まで湿式粉砕し、所定の平均粒径に達した時点で有機バインダを混合し、スラリを作製する。
【0005】
次に、このスラリを、図2に示すように、ドクターブレード法によってキャリアフィルム5上に塗布し、セラミックグリーンシート6を形成し、次に、セラミックグリーンシート6の表面に、内部電極層を形成する金属を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷し、内部電極パターンを形成し、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシート6を剥離する。導電性ペーストはNi、Cu等の金属を含有するものである。
【0006】
次に内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを目的に応じて複数枚積層し、全体を熱圧着し、これを所定のピッチで切断して電子部品本体の成形体を得る。このとき電子部品本体の成形体の両端面には、内部電極パターンの端部が交互に露出するように切断される。
【0007】
この後、電子部品本体の成形体を脱バインダ処理後、更に還元雰囲気等の所望の雰囲気において焼成を行い、電子部品本体を得、この電子部品本体の両端部に、外部電極となる導電性ペーストを塗布し、焼き付けることにより積層セラミックコンデンサが製造されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年においては、積層セラミックコンデンサの容量歩留り、信頼性向上がさらに要求されており、そのためには、セラミックグリーンシートの厚みの均一化が有効である。
【0009】
しかしながら、セラミックグリーンシートの薄膜化が進むほど、図2に示したようにスラリ中に含有されるセラミック粉末の粗大凝集粒子7の影響が大きくなり、その凝集粒子7の部分ではセラミックグリーンシートの厚みが厚くなり、セラミックグリーンシート厚みの不均一化が顕著となるという問題があった。
【0010】
即ち、セラミック粉末と、有機溶媒と、分散剤とを混合し、これを粉砕用玉石を用いて湿式粉砕する場合、一般には平均分子量が20000〜30000前後の分散剤が用いられ、この分散剤がセラミック粉末粒子間に作用することにより、凝集粒子の解消が促進され、また分散剤の平均分子量が20000〜30000の範囲にあることで、凝集が解消されたセラミック粉末の再凝集が防止されていた。
【0011】
しかしながら、セラミックグリーンシートの薄膜化に伴い、セラミック粉末が微粉末になるにつれて、原料粉末同士の凝集力が上昇し、このセラミック粉末粒子間の間隙はさらに小さくなり、そのため凝集粒子の間隙に分散剤の分子が浸透できなくなり、凝集粒子の解消が困難となるという問題があった。
【0012】
また、通常、セラミック粉末の表層部には水分子が物理吸着している為、見かけ上強い極性を示す。そのため有機溶媒としてトルエン、キシレン等の低極性有機溶媒を用いる場合には、セラミック粉末粒子が凝集する傾向が強くなり、凝集粒子の解消が一層困難になるという問題があった。
【0013】
そして、形成されるグリーンシートの厚みよりも凝集粒子のサイズが大きい場合には、誘電体層の厚みばらつきが大きくなり、静電容量のばらつきの原因となるという問題があった。
【0014】
また、グリーンシートの厚みより凝集粒子の粒径が小さい場合であっても、スラリ塗布時に、ドクターブレード装置のブレードとキャリアフィルムとの間に、セラミック粉末の凝集粒子が目詰まりし易くなり、グリーンシート上に構造欠陥(短絡)の原因となるストリーク(溝)が生じ易くなるという問題があった。
【0015】
このスラリ中に残存する凝集粒子は、セラミック粉末の微粉末粒子が凝集して形成されていることが多く、従来は、スラリの粉砕工程において、通常の粉砕工程を経た後、ビーズミル等の粉砕工程を追加することによってセラミック粉末の凝集粒子の解消を図る方法が知られている(例えば、特開平7−153646号公報参照)。
【0016】
しかしながら、ビーズミル等の粉砕工程を追加すると、ビーズミルへの入れ換えの時に、溶媒の揮発が生じ、スラリの有機組成の変動が生じるという問題や、ビーズミルへの原料粉の付着による問題があった。
【0017】
本発明は、厚みばらつきやストリークの発生を抑制することができるセラミックグリーンシート、およびこのようなセラミックグリーンシートを用いた積層体の製法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミックグリーンシートは、セラミック粉末(本発明では、セラミック粉末のみならず、ガラス−セラミックスも含む概念である)と、有機溶媒と、第1分散剤と、有機バインダとを含有するセラミックグリーンシートであって、前記第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤をさらに含有するとともに、前記第1分散剤の平均分子量が20000以上であり、前記第2分散剤の平均分子量が10000以下のものである。このように、第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤を含有したので、セラミック粉末が微粉末になるにつれて、原料粉末同士の凝集力が上昇し、このセラミック粉末粒子間の間隙が小さくなったとしても、凝集粒子の間隙に分子量の小さい第2分散剤の分子が浸透し、凝集粒子を分散することができる。そして、従来から用いられている高分子量の第1分散剤が分散したセラミック粉末粒子のまわりを取り囲み、高重合度分子同士の立体障害効果によって、第2分散剤により分散したセラミック粉末の再凝集が抑制されることになる。
【0019】
また、本発明の積層体の製法は、セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散剤とを混合する混合工程と、この混合物に有機バインダを添加してスラリを作製し、該スラリを薄層化してセラミックグリーンシートを作製する工程と、前記セラミックグリーンシートを積層する工程と、焼成する工程とを具備する積層体の製法であって、前記混合工程が、前記セラミック粉末と、前記有機溶媒と、平均分子量が20000以上の第1分散剤と、平均分子量が10000以下の第2分散剤とを混合する方法である。
【0020】
このように第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤を含有したので、セラミック粉末が微粉末になるにつれて、原料粉末同士の凝集力が上昇し、このセラミック粉末粒子間の間隙が小さくなったとしても、凝集粒子の間隙に分子量の小さい第2分散剤の分子が浸透し、凝集粒子を分散することができる。そして、従来から用いられている高分子量の第1分散剤が分散したセラミック粉末粒子のまわりを取り囲み、この第1分散剤の高重合度分子同士の立体障害降下によって、第2分散剤により分散したセラミック粉末の再凝集が抑制されることになる。これにより、セラミック層の厚みの均一化を図ることができるとともに、グリーンシート上に構造欠陥(短絡)の原因となるストリーク(溝)の発生を抑制することができる。
【0021】
従って、例えば、積層セラミックコンデンサの場合には、誘電体厚みの不均一による容量バラツキ、内部電極層の短絡による絶縁破壊や、局所的な電界強度上昇による絶縁破壊を防止でき、積層セラミックコンデンサの小型大容量化に不可欠な誘電体層の薄膜化を実現した上で高い信頼性を示すことができる。
【0022】
また、第1分散剤の平均分子量は20000以上とされている。このように第1分散剤の平均分子量を20000以上とすることにより、一旦、第2分散剤により分散されたセラミック粉末が、高分子量の第1分散剤により取り囲まれることによりセラミック粉末の再凝集を充分に抑制できる。
【0023】
さらに、第2分散剤の平均分子量は10000以下とされている。このように第2分散剤の平均分子量は10000以下とすることにより、セラミック粉末が微粉末になって原料粉末同士の凝集力が上昇し、このセラミック粉末粒子間の間隙が小さくなったとしても、凝集粒子の間隙に分子量の小さい第2分散剤の分子を充分に浸透させることができ、凝集粒子の分散を促進することができる。
【0024】
また、セラミックグリーンシートの厚みは5μm以下であることが望ましい。これは、厚み5μm以下のセラミックグリーンシートを用いる場合には、凝集粒の影響が大きいからであり、また、薄いセラミックグリーンシートに用いられるセラミック粉末は微粒であるため、特に凝集し易いからであり、このような場合にこそ本発明の効果が最大限に発揮される。
【0025】
さらに、第2分散剤がノニオン系の分散剤であることが望ましい。このように、ノニオン系の分散剤を用いることにより、イオン性を示さない中性の性質を有し、従来から使用していた第1分散剤との間でイオン結合等の反応を防止することができる。その結果、それぞれの分散性能の低下が生じることなく、凝集粒子の解消を実現できる。
【0026】
また、第2分散剤が、官能基として水酸基またはエーテル結合等の親水基を有することが望ましい。これは、凝集粒子が酸化物等の親水性表面を持つ場合、その表層部には水分子が物理吸着しているため、強い極性を示す。有機溶媒としてトルエン、キシレン等の低極性有機溶媒を用いる場合には、セラミック粉末粒子の凝集傾向が強いため、一層解消が困難となるが、第2分散剤に官能基として水酸基あるいはエーテル結合等の親水基を付与することによって、酸化物等の親水性表面を持つセラミック粉末を、トルエン、キシレン等の低極性有機溶媒に対する濡れ性を向上でき、セラミック粉末の凝集を抑制でき、凝集粒子の解消を促進できる。
【0027】
さらに、第2分散剤は、セラミック粉末100重量部に対して、0.2〜0.5重量部添加されていることが望ましい。これは、この範囲ならば最もセラミック粉末の凝集を抑制できるからである。
【0028】
また、セラミック粉末の平均粒径は0.2〜0.5μmであることが望ましい。これは、セラミック粉末の平均粒径が0.2〜0.5μmである場合には、セラミック粉末が微粒であるため薄型化できるものの、凝集し易くなるため、本発明の効果が最大源に発揮される。
【0029】
また、スラリは、直径5mm以下のZrO2 ボールを用いて混合粉砕することが望ましい。これは、直径が5mm以下のZrO2 ボールを使用することによって、振動ミル内部においてスラリーおよびZrO2 ボールが効率的に流動するとともに、セラミック粉末粒子に対する接触確率も増大し、凝集粒子の解消が促進される。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明のセラミックグリーンシートは、セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散剤と、この第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤と、有機バインダとを含有するものである。
【0031】
このようなセラミックグリーンシートは、セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散剤と、この第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤とを混合し、この混合物に有機バインダを添加してスラリを作製し、このスラリを薄層化して作製される。本発明のセラミック粉末は、セラミック粉末のみならず、ガラス−セラミック粉末を含む概念である。
【0032】
セラミック粉末としては、例えば、積層セラミックコンデンサのセラミック粉末としては、BaTiO3 粉末に、MgO粉末、MnCO3 粉末、希土類元素酸化物粉末およびガラス成分を混合したもの等が用いられる。
【0033】
有機溶媒としては、例えばトルエンあるいはキシレンと、アルコールの混合溶液が用いられ、有機バインダとしては、例えばブチラール樹脂が用いられる。
【0034】
また、第1分散剤としては、例えば、平均分子量が20000以上である、アニオン系界面活性剤が用いられる。
【0035】
第2分散剤としては、第1分散剤よりも平均分子量が小さいもので、平均分子量が10000以下とされ、特には、500〜10000が望ましい。これは、平均分子量が10000以下の場合には、セラミック粉末の微粉末が凝集したとしても、その間隙に第2分散剤が十分に侵入することができ、セラミック粉末の凝集を解除することができるからである。
【0036】
また、第2分散剤としてはノニオン系の分散剤であることが望ましい。これは、ノニオン系の分散剤はイオン性を示さない中性の性質を有するため、従来から使用していた第1分散剤との間でイオン結合等の反応を防止することができるからである。
【0037】
即ち、イオン性がアニオン系とカチオン系の組み合わせではイオン結合を生じ、分散効果を発揮する分子構造が破壊されてしまう。一方、イオン性が中性であるノニオン系の第2分散剤を使用することにより、従来より使用していた第1分散剤との相互反応を防止し、それぞれの分散効果を補う形で凝集粒子の解消を促進することができる。
【0038】
さらに、第2分散剤が、官能基として水酸基またはエーテル結合等の親水基を有することが望ましい。これは、第2分散剤に官能基として水酸基あるいはエーテル結合等の親水基を付与することで、酸化物等の親水性表面を持つセラミック粉末表面に対する吸着を容易にし、キシレン、トルエン等の低極性有機溶媒に対して濡れ易くすることができ、セラミック粉末の凝集を抑制できるからである。
【0039】
第2分散剤は、セラミック粉末100重量部に対して、0.2〜0.5重量部添加されていることが望ましい。これは、この範囲ならば有効的にセラミック粉末の凝集を解除することができるからである。尚、第1分散剤が、分散後の再凝集を防止するという理由から、セラミック粉末100重量部に対して、1.0〜2.0重量部添加されていることが望ましい。
【0040】
本発明の第2分散剤としては、平均分子量が500〜10000で、ポリエーテル型のノニオン系で、官能基として水酸基またはエーテル結合等の親水基を有するものであり、セラミック粉末100重量部に対して、0.2〜0.5重量部添加することが最も望ましい。
【0041】
また、セラミックグリーンシートの厚みは5μm以下であることが望ましい。このように厚み5μm以下のセラミックグリーンシートを用いることにより、積層体の薄型化を図ることができるとともに、5μm以下のセラミックグリーンシートでは、特に、凝集粒の影響が大きいからである。
【0042】
例えば、セラミックグリーンシートの成膜厚みである5μmより直径が大きな凝集粒子が存在すると、図2に示すようにセラミックグリーンシート表面に凝集粒子7が突出して形成されることになり、このようなセラミックグリーンシートを積層すると、誘電体層の厚み不均一による静電容量バラツキの原因となる。
【0043】
また、スラリ中に存在するセラミック粉末の凝集粒子の大きさは3μm未満であることが望ましい。凝集粒子の大きさが3μm以上あると、ドクターブレード法による5μm以下のグリーンシートを成膜する際に、凝集粒子がブレードとキャリアフィルムのギャップに目詰まりし易く、目詰まり部が起点となって、セラミックグリーンシート表面にストリークが形成され易く、このストリークが形成された部分では、正規のセラミックグリーンシート厚みより薄く、内部電極層の接触による短絡等の絶縁不良、あるいは局所的な電界強度の上昇による絶縁抵抗劣化の原因となるからである。
【0044】
さらに、セラミック粉末の平均粒径は0.5μm以下、特には0.2〜0.5μmであることが望ましい。これは、セラミック粉末の平均粒径が0.2〜0.5μmの範囲であれば、最も効果的にセラミック粉末の凝集を抑制できるからである。
【0045】
また、セラミック粉末の平均粒径を0.2〜0.5μmと小さくすることにより、セラミックグリーンシートのより薄層化を達成できるからである。一方、セラミック粉末の平均粒径が0.2μm以下では、平均粒径が小さいことから凝集力が大きくなりすぎ、個々のセラミック粉末粒子間の間隙が小さすぎるため、第2分散剤を添加しても、セラミック粉末の凝集の解除効果が不十分であり、平均粒径が0.5μmを超える場合には凝集力が弱いため、平均分子量が小さい第2分散剤を添加しても有意差が現れないからである。
【0046】
スラリは、直径5mm以下のZrO2 ボールを用いて混合粉砕することが望ましい。これは、振動ミル内部においてスラリおよびZrO2 ボールが効率的に流動するとともに、セラミック粉末粒子に対する接触確率も増大し、凝集粒子の解消が促進されるからである。
【0047】
本発明のセラミックグリーンシートは、例えば、セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散剤と、この第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤とを混合し、この混合物に有機バインダを添加してスラリを作製し、このスラリを薄層化して作製される。
【0048】
スラリを薄層化する方法としては、キャリアフィルム上のスラリを、ブレードを移動することによりキャリアフィルム側に押しつけて薄層化するドクターブレート法が一般に用いられる。
【0049】
また、本発明の積層体の製法は、上記セラミックグリーンシートを積層し、これを焼成する方法である。例えば、積層セラミックコンデンサについて説明すると、積層セラミックコンデンサは、図1に示すように、複数の誘電体層1と複数の内部電極層2とを交互に積層してなるコンデンサ本体3と、該コンデンサ本体3の両端面にそれぞれ設けられた外部電極4とから構成されている。
【0050】
このような積層セラミックコンデンサは、上記したセラミックグリーンシートの表面に、内部電極層を形成する金属を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷し、内部電極パターンを形成する。導電性ペーストはNi、Cu等の金属を含有するものである。
【0051】
次に内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを目的に応じて複数枚積層し、全体を熱圧着し、これを所定のピッチで切断してコンデンサ本体の成形体を得る。このときコンデンサ本体の成形体の両端面には、内部電極パターンの端部が交互に露出するように切断される。
【0052】
この後、コンデンサ本体の成形体を脱脂処理、更に還元雰囲気において焼成を行い、コンデンサ本体を得、このコンデンサ本体の両端面に、外部電極となる導電性ペーストを塗布し、焼き付けることにより積層セラミックコンデンサが製造される。
【0053】
このような積層セラミックコンデンサの製法では、第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤を含有したので、セラミック粉末が微粉末になるにつれて、原料粉末同士の凝集力が上昇し、このセラミック粉末粒子間の間隙が小さくなったとしても、凝集粒子の間隙にこの分子量の小さい第2分散剤の分子が浸透し、凝集粒子を分散することができる。そして、従来から用いられている高分子量の第1分散剤により、第2分散剤により分散したセラミック粉末の再凝集が抑制されることになる。これにより、誘電体層の厚みの均一化を図ることができるとともに、グリーンシート上に構造欠陥(短絡)の原因となるストリーク(溝)の発生を抑制することができる。
【0054】
これにより、内部電極層の短絡による絶縁破壊や、局所的な電界強度上昇による絶縁破壊を防止でき、積層セラミックコンデンサの小型大容量化に不可欠な誘電体層の薄膜化を実現した上で、高い信頼性を示す積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0055】
【実施例】
まず、表1に示す平均粒径のBaTiO3 粉末と、平均粒径が1μmのMgO粉末、MnCO3 粉末、Y2 3 粉末とを混合したセラミック粉末を、BaTiO3 粉末100重量部に対して、MgO粉末を0.14重量部、MnCO3 粉末を0.15重量部、Y2 3 粉末を0.7重量部、ガラス成分1.2重量部となるように秤量した。
【0056】
このセラミック粉末に、芳香族系有機溶媒としてトルエン、アルコール系有機溶媒としてエタノール、第1分散剤として平均分子量が約25000の有機アニオン系分散剤、さらに表1に示す平均分子量を有する第2分散剤を添加混合した。
【0057】
第1分散剤は、セラミック粉末100重量部に対して1.5重量部添加混合し、第2分散剤は、セラミック粉末100重量部に対して表1に示す量だけ添加混合した。
【0058】
この後、上記混合物を直径5mmのZrO2 ボールとともに振動型ミル内部に投入し、粉砕処理を行った後、これを取り出し、有機バインダとしてブチラール樹脂を添加混合し、スラリを作製した。
【0059】
そして、上記スラリをドクターブレード法を用いてキャリアフィルム上に塗布し、薄層化し、表1に示す厚みのセラミックグリーンシートを形成した。
【0060】
グリーンシートの表面に、Niからなる金属粒子と共剤とからなる導電性ペーストをスクリーン印刷して、内部電極パターンを形成した。
【0061】
この内部電極パターンを印刷したグリーンシートをキャリアフィルムから剥離した後、これを351枚積層し、最後に内部電極パターンを印刷しないグリーンシートを上下に積層し、熱圧着し、積層成形体を形成した。
【0062】
この後、積層成形体を格子状に切断して、両端面に内部電極パターンが交互に露出したコンデンサ本体成形体を作製した。
【0063】
次に、コンデンサ本体成形体を、大気中において300℃において、コンデンサ本体成形体中に存在する結合材等の有機成分を脱バインダ処理して除去し、弱還元性雰囲気中で1200℃で焼成し、この後コンデンサ本体の両端部に、Cuからなる金属粒子とガラス成分とからなる導電性ペーストを塗布し、焼き付けることにより、各条件の積層セラミックコンデンサを100個ずつ作製した。
【0064】
次に、得られた積層セラミックコンデンサの容量を、LCRメーターにより、1KHz、1Vrmsの条件で測定したところ、グリーンシート厚みが3μmの積層セラミックコンデンサでは1.2〜1.3μF、グリーンシート厚みが4μmの積層セラミックコンデンサでは9〜10μF、グリーンシート厚みが5μmの積層セラミックコンデンサでは7.2〜8μFであった。
【0065】
得られた積層セラミックコンデンサに対して、絶縁抵抗を測定し、絶縁抵抗が100KΩ以下である場合に絶縁不良とし、絶縁不良率の算出を行った。上記スラリを用いて厚さ3μmのグリーンシートを作製し、そのグリーンシート1mm当たりに突出した部分の数を測定して、1mm当たりの凝集粒子個数を測定した。これらの結果を表1に記載した。尚、セラミック粉末の平均粒径は、BaTiO粉末の平均粒径とした。また、表1の試料No.4は参考例を示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003857005
【0067】
表1より、第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤をさらに添加した積層セラミックコンデンサでは、1mm2 当たりの凝集粒子個数が少なくなり、逆に、第2分散剤を添加しなかった従来の製法による積層セラミックコンデンサでは、凝集粒子が1mm2 当たり500個以上と多く、絶縁不良率が大きいことが判る。
【0068】
特に、水酸基を有する平均分子量が500〜10000のノニオン系の第2分散剤を、セラミック粉末100重量部に対して0.2〜0.5重量部添加した試料No.2、3、5、6、7、13では、1mm2 当たりの凝集粒子個数が5個以下と少なくなり、絶縁不良率も小さいことが判る。
【0069】
これにより本発明の積層体の製法を採用することにより、スラリ中の凝集粒子を解消することができ、その結果、5μm以下のセラミックグリーンシートを用いた積層セラミックコンデンサの絶縁不良の発生を防止できることが判る。
【0070】
【発明の効果】
本発明のセラミックグリーンシートおよび積層体の製法では、第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤を含有せしめたので、凝集粒子の間隙に分子量の小さい第2分散剤の分子が浸透し、凝集粒子を分散することができるとともに、高分子量の第1分散剤により、第2分散剤により分散したセラミック粉末の再凝集が抑制され、セラミック層の厚みの均一化を図ることができるとともに、グリーンシート上に構造欠陥(短絡)の原因となるストリーク(溝)の発生を抑制することができ、例えば、積層セラミックコンデンサの場合においては、粗大な凝集粒子がなくなり、誘電体層の厚みの均一化が図れるため内部電極層の短絡による絶縁破壊や、局所的な電界強度上昇による絶縁破壊を防止でき、積層セラミックコンデンサの小型大容量化に不可欠な誘電体層の薄膜化を実現できるとともに、高い信頼性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層セラミックコンデンサを示すもので、一部切欠斜視図である。
【図2】キャリアフィルム上に、スラリを塗布してセラミックグリーンシートを形成した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・・・誘電体層
2・・・内部電極層
3・・・コンデンサ本体
4・・・外部電極
5・・・キャリアフィルム
6・・・セラミックグリーンシート
7・・・凝集粒子

Claims (7)

  1. セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散剤と、有機バインダとを含有するセラミックグリーンシートであって、前記第1分散剤よりも平均分子量が小さい第2分散剤をさらに含有するとともに、前記第1分散剤の平均分子量が20000以上であり、前記第2分散剤の平均分子量が10000以下であることを特徴とするセラミックグリーンシート。
  2. セラミック粉末と、有機溶媒と、第1分散剤とを混合する混合工程と、この混合物に有機バインダを添加してスラリを作製し、該スラリを薄層化してセラミックグリーンシートを作製する工程と、前記セラミックグリーンシートを積層する工程と、焼成する工程とを具備する積層体の製法であって、前記混合工程が、前記セラミック粉末と、前記有機溶媒と、平均分子量が20000以上の第1分散剤と、平均分子量が10000以下の第2分散剤とを混合する工程であることを特徴とする積層体の製法。
  3. セラミックグリーンシートの厚みが5μm以下であることを特徴とする請求項記載の積層体の製法。
  4. 第2分散剤がノニオン系の分散剤であることを特徴とする請求項2又は3記載の積層体の製法。
  5. 第2分散剤が、官能基として親水基を有する請求項2乃至のうちいずれかに記載の積層体の製法。
  6. 第2分散剤が、セラミック粉末100重量部に対して、0.2〜0.5重量部添加されていることを特徴とする請求項2乃至のうちいずれかに記載の積層体の製法。
  7. セラミック粉末の平均粒径が0.2〜0.5μmであることを特徴とする請求項2乃至のいずれかに記載の積層体の製法。
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