JP2001179926A - 製版装置および製版印刷装置 - Google Patents

製版装置および製版印刷装置

Info

Publication number
JP2001179926A
JP2001179926A JP37008099A JP37008099A JP2001179926A JP 2001179926 A JP2001179926 A JP 2001179926A JP 37008099 A JP37008099 A JP 37008099A JP 37008099 A JP37008099 A JP 37008099A JP 2001179926 A JP2001179926 A JP 2001179926A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
master
platen roller
roller
plate making
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP37008099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4456707B2 (ja
JP2001179926A5 (ja
Inventor
Hajime Kato
肇 加藤
Yoshiyuki Shishido
善幸 宍戸
Yasumitsu Yokoyama
保光 横山
Yasunobu Kidoura
康宣 木戸浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku Ricoh Co Ltd filed Critical Tohoku Ricoh Co Ltd
Priority to JP37008099A priority Critical patent/JP4456707B2/ja
Publication of JP2001179926A publication Critical patent/JP2001179926A/ja
Publication of JP2001179926A5 publication Critical patent/JP2001179926A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4456707B2 publication Critical patent/JP4456707B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electronic Switches (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度の低いマスタを使用し、かつ、小径化プ
ラテンローラを使用する場合などにおいては、マスタの
搬送力確保のための強い力でのマスタ押圧と、マスタ変
形防止のための弱い力でのマスタ押圧との2つの要求機
能を満たすのが難しくなる。 【解決手段】 小径化プラテンローラ10よりもマスタ
搬送方向X下流側に設けられ、マスタ8を介して小径化
プラテンローラ10に圧接して配置され、マスタ8を介
して小径化プラテンローラ10を従動回転させる駆動ロ
ーラ65と、駆動ローラ65を回転駆動する駆動モータ
68とを有し、ニップ部Nよりもマスタ搬送方向X下流
側で、小径化プラテンローラ10にマスタ8を巻き付け
るマスタ巻き掛け角θaを大きくした状態で、かつ、駆
動ローラ65と小径化プラテンローラ10との間で発生
する搬送力でマスタ8の搬送を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製版装置および製
版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より簡便な印刷方式としてデジタル
式感熱孔版印刷装置を使用した孔版印刷が知られてい
る。これは、発熱素子とも呼ばれている微細な発熱抵抗
体が主走査方向に多数並んだサーマルヘッドを感熱性マ
スタ(以下、単に「マスタ」という)を介してプラテン
ローラに押付け、サーマルヘッドの発熱抵抗体にパルス
的に通電し発熱させながらプラテンローラでマスタを搬
送することで、画像情報に基づいて加熱溶融穿孔・製版
させた後、マスタを自動搬送して、多孔性円筒状の版胴
の外周面に自動的に巻き付け、そのマスタに対してプレ
スローラ等の押圧手段で印刷用紙を連続的に押付け、版
胴内部に設けられたインキ供給部材によりインキを供給
して、版胴の開孔部分およびマスタの穿孔部分からイン
キを通過させ印刷用紙に転移させることで印刷画像を形
成させるようになっている。このような従来の孔版印刷
装置で使用されるプラテンローラは、通常、サーマルヘ
ッドにマスタを押付けるマスタ押圧機能と、サーマルヘ
ッドとの間にマスタを挟み込み搬送するマスタ搬送機能
との両機能を有している。したがって、マスタは、サー
マルヘッドと前記したマスタ押圧機能およびマスタ搬送
機能を有するプラテンローラとの間を、プラテンローラ
が回転駆動されることにより搬送されていた。最近で
は、部材の低減や材料の節減およびコストダウンを図る
ために、プラテンローラの外周径を小径化した小径化プ
ラテンローラが使用され始めている。
【0003】一方、前記したような孔版印刷装置で使用
されるマスタは、非常に薄いポリエステル等の熱可塑性
樹脂フィルムと、インキ通過性の多孔質支持体(以下、
「ベース」というときがある)として和紙や合成繊維、
あるいは和紙および合成繊維を混抄したものとを接着剤
層等を介して貼り合わせたラミネート構造となってい
て、ベースの前記繊維部分および熱可塑性樹脂フィルム
の穿孔部分より滲出したインキが印刷用紙に転移して孔
版印刷が行われる。そのため、マスタのベースに使用さ
れている繊維が複雑に絡み合って固まっているダマと呼
ばれる部分や、太い繊維が熱可塑性樹脂フィルムの穿孔
部分を横切っている部分では、インキの通過が阻害され
インキが印刷用紙に転移せずに、特にベタ部において繊
維模様が現れたり、あるいは文字とか細線等がかすれた
り切れたりしてしまう、繊維目という画像の不良現象が
発生し、画質が悪化する不具合があった。そこで、繊維
目の元となる和紙等のベースの厚さを薄くしたり、ベー
スそのものを除去した実質的に熱可塑性樹脂フィルムの
みからなるマスタを使用して印刷を行うようにすること
で、繊維目を低減する等の試みがなされている。従来の
マスタの厚さが、通常、約40〜50μm程度であるの
に対して、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなる
マスタの場合にはその厚さが約1〜7μmと極めて薄い
ものとなっている。ここで、実質的に熱可塑性樹脂フィ
ルムのみからなるマスタとは、マスタが熱可塑性樹脂フ
ィルムのみからなるものの他、熱可塑性樹脂フィルムに
帯電防止剤等の微量成分を含有してなるもの、さらには
熱可塑性樹脂フィルムの両主面、すなわち表面又は裏面
のうち少なくとも一方に、オーバーコート層等の薄膜層
を1層又は複数層形成してなるものを含む。
【0004】また、近年、実質的に熱可塑性樹脂フイル
ム(以下、単に「フィルム」というときがある)のみか
らなるマスタ(その厚さが約1〜7μm)程ではない
が、特に印刷画質を向上したり環境保護等を考慮したり
する目的で、従来のマスタ(その厚さが約40〜50μ
m程度)よりも厚さが薄く(厚さ10〜30μm程
度)、かつ、マスタのベースに細い合成繊維が100
%、あるいは天然繊維に細い合成繊維を混抄したマスタ
(以下、「合成繊維ベースマスタ」というときがある)
も使用されている。この合成繊維ベースマスタは、ベー
スが天然繊維からなるマスタに対して、剛度(強度)が
低く腰が弱いものとなっている(例えば特開平11−7
7949号公報や特開平11−91227号公報等参
照)。
【0005】マスタのベース表面側の摩擦係数μおよび
フイルム面側の平滑度について、合成繊維ベースマスタ
とベースが天然繊維からなるマスタとを比較すると、天
然繊維からなるマスタのベース表面側の摩擦係数μを1
とした場合、合成繊維ベースマスタのベース表面側の摩
擦係数μは0.8程度であり、ベースが天然繊維からな
るマスタに対して低いものとなっている。また、ベース
を形成する繊維の太さによってマスタのフイルム面側の
平滑度が変わる。すなわち、例えばベースが天然繊維か
らなるマスタの場合、合成繊維ベースマスタの合成繊維
糸の太さに対して、繊維の太さが太いためベース面が凹
凸状となり、その上にフイルムを貼り合わせるので、繊
維の太さが細く、かつ、均一な合成繊維ベースマスタに
比べて平滑度が低下する。それ故に、合成繊維ベースマ
スタのフイルム面側の平滑度の方が、ベースが天然繊維
からなるマスタのそれに比べて高く滑りやすいものとな
っている。このように、ベースの厚さを薄くしたマスタ
や、ベースそのものを除去したマスタ、あるいは合成繊
維ベースマスタ等は、強度が低く滑りやすく熱収縮性の
高い特性を有する。このような特性を有するマスタ等を
使用する場合には、マスタのフィルム側表面のプラテン
ローラへの接触面積が大きくなり、その摩擦力が大きい
場合、プラテンローラによるマスタの正常な搬送ができ
なくなる「スティック」と呼ばれる問題が発生しやす
い。ここで、「スティック」とは、マスタのフイルムが
サーマルヘッドの発熱抵抗体表面へ貼り付く現象をい
う。
【0006】画像信号に応じてサーマルヘッドの発熱抵
抗体を発熱させ、そのジュール熱によりマスタのフィル
ム部分を溶融穿孔した後、製版済みのマスタがプラテン
ローラとサーマルヘッドに挟まれた状態で搬送される
と、マスタのフィルム側表面の摩擦力が大きい場合、溶
融したマスタのフィルム部分がサーマルヘッド表面に溶
着しやすく、プラテンローラで正常な搬送ができなくな
るからである。
【0007】スティックが生じた場合、結果としていわ
ゆる「製版縮み」と呼ばれる画像再現性の劣化が発生す
る。その理由は、溶融穿孔されたマスタがサーマルヘッ
ド表面に溶着すると搬送負荷が増大し、かかる状態で長
い距離を搬送するとその分だけマスタの搬送距離が短く
なるためである。
【0008】主走査方向において、一度に溶融穿孔する
数が多ければ多い程、すなわち1ラインでの印字率が高
ければ高い程、搬送負荷は増大し、製版縮み量は大きく
なる。また、マスタ搬送方向(副走査方向)において溶
融穿孔する数が多ければ多い程、画像全体としての縮み
量(絶対量:1ラインの縮み×ライン数)が大きくなる
という関係も成り立つ。この製版縮みの問題に対する従
来対策としては、押圧手段による押圧力を大きくした
り、プラテンローラの径を大きくすることで十分な有効
ニップ幅を確保し、マスタとプラテンローラとの間の摩
擦力を大きくすること、などの手法が知られている。他
の対策として、サーマルヘッドの発熱抵抗体の位置を有
効ニップ幅に対してマスタ排出側にずらして配置するこ
とも有効と考えられる。すなわち、穿孔後のマスタの搬
送距離を極端に短くしてスティックの発生の余地が無い
ようにするものである。
【0009】しかしながら、押圧手段による押圧力を大
きくしたり、プラテンローラの径を大きくする手法は、
市場要請である小型化に逆行するものと言える。また、
発熱抵抗体をマスタ排出側にずらす手法では、発熱抵抗
体とニップ幅の位置を高精度に確保し、かつ、穿孔後の
マスタがプラテンローラに挟まれた状態で搬送される距
離が穿孔前にマスタがプラテンローラに挟まれた状態で
搬送される距離よりも短いという条件を満足していなけ
ればならず、必然的に有効ニップ幅が狭くなる小径プラ
テンローラ(直径が16mm程度以下)においては、現
実的に非常に困難な方法と言える。
【0010】上述したように、プラテンローラとしては
小径化プラテンローラが、マスタとしてはその強度が低
く滑りやすく熱収縮性の高い特性を有するものがそれぞ
れ使用されてきており、このようなマスタに製版させ、
製版されたマスタを小径化プラテンローラで搬送させる
ことが必要となってきている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プラテ
ンローラの機能として、マスタ押圧機能およびマスタ搬
送機能の二種類があることから、制御上相反する機能を
得たい場合において、後述するように両機能を満足させ
るように制御しきれなくなる可能性がある。例えば、プ
ラテンローラとマスタとの摩擦不足等により生じるステ
ィックなどによって製版長さ(マスタ製版寸法)が短く
なってしまい、適正な搬送距離を送ることができない場
合や小径化プラテンローラを使用する場合には、押圧力
を高くして、プラテンローラとマスタとの間の摩擦力を
高めることでマスタの搬送を行っている。一方、前記し
たような強度が低く滑りやすく熱収縮性の高い特性を有
するマスタなどは、押圧力が高すぎる場合にはマスタ自
身が変形(サーマルヘッドにて加熱溶融してできた穿孔
部の変形)してしまったり、強度が大幅に低下してしま
うことでマスタ伸びやフィルムの縮みが不均一になりや
すく、これによりマスタ製版時にシワが発生したり、版
胴に巻装するときにそのマスタの変形が元で巻装シワが
発生しやすくなったりするという問題点もある。
【0012】つまり、小径化プラテンローラでは、弱い
マスタ押圧力でプラテンローラとサーマルヘッドとのニ
ップ部(接地面積)を適度に確保するのが難しく、結果
としてマスタの搬送力を確保するのが困難になってきて
いる。
【0013】このように、強度の低いマスタを使用し、
かつ、小径化プラテンローラを使用する場合などにおい
ては、「マスタの搬送力確保のための強い力でのマスタ
押圧」と「マスタ変形防止のための弱い力でのマスタ押
圧」との2つの要求機能を満たすのが難しくなる。
【0014】また、プラテンローラとサーマルヘッドと
の間で製版されたマスタは、その部分の強度が低下した
状態にあるが、その部分のマスタがその後もサーマルヘ
ッドに接近した状態で搬送されるような場合では、始め
のうちはよいが連続して製版が継続されると、スティッ
クを生じやすくなったり、製版済みのマスタのフィルム
部分がサーマルヘッドの蓄熱等の影響を受けて変形を起
こしやすくなってしまう問題点もある。
【0015】また、小径化プラテンローラを使用した場
合には、次に述べるような問題点も発生するので、図1
9に示す製版装置で説明する。すなわち、この製版装置
は、図19(b)に示すように、小径化プラテンローラ
10または図において括弧を付して示す従来の通常のプ
ラテンローラ200と、これらのプラテンローラ10,
200の軸方向に沿って対向して設けられたサーマルヘ
ッド11と、このサーマルヘッド11を各プラテンロー
ラ10,200へ向けて押圧するバネ等を備えた押圧手
段25Aとを有する。サーマルヘッド11の各プラテン
ローラ10,200と対向する面には、各プラテンロー
ラ10,200の回転軸心方向である主走査方向に発熱
抵抗体が複数並設されていて、これにより図19(a)
に破線で示すような発熱抵抗体列が形成されている。サ
ーマルヘッド11の発熱抵抗体は、製版すべき原稿から
読み取った画像情報に基づいて選択的に発熱されるよう
になっている。各プラテンローラ10.200に対して
サーマルヘッド11が押し付けられて形成されたニップ
部Nに、熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタ8がロー
ル状態から繰り出されて案内され、マスタ8はニップ部
Nで押圧されると共に発熱抵抗体の熱により溶融穿孔さ
れながら各小径化プラテンローラ10,200の回転に
よってその摩擦力で搬送される。なお、各プラテンロー
ラ10,200をサーマルヘッド11に押し付けてニッ
プ部Nを形成する方式もある。
【0016】各プラテンローラ10,200は、例え
ば、芯金10a’,200a’と、これらの芯金10
a’,200a’の周りに被覆されゴム等でできた高分
子の弾性体層10b,200bと、各芯金10a’,2
00a’と一体的に形成されたプラテンローラ軸10
a,200aとから構成されており、各プラテンローラ
軸10a,200aの両端部が図示しない軸受で支持さ
れた、いわゆる両端支持梁構成の下、図示しない駆動源
で回転駆動されるようになっている。各弾性体層10
b,200bは、マスタ8をサーマルヘッド11の発熱
面に押圧するためのニップ部Nを形成し、かつ、マスタ
8を搬送するための摩擦力を得るためのもので、材質と
してはあくまでも一例である。小径化プラテンローラ1
0は、通常のプラテンローラ200と比較して、直径お
よび芯金径の寸法が小さくなっている。ちなみに、例え
ば、通常のプラテンローラ200ではその直径が24m
m、芯金200a’の径が18mmであるのに対し、小
径化プラテンローラ10ではその直径が12mm、芯金
10a’の径が8mmというように小さくなっている。
また、サーマルヘッド11の長さとしては、各プラテン
ローラ軸10a,200aの長手方向(主走査方向)に
おいて、例えば、B4サイズ対応のものは270〜28
0mm、A3サイズ対応のものは300〜320mmと
なっている。なお、前記した各寸法はあくまでも一例に
すぎない。
【0017】マスタ8のフィルム表面側の平滑度が変化
すると、サーマルヘッド11の発熱面に対するマスタ8
のフィルム表面の接触が不均一となり、穿孔不良が生じ
て画質の低下を来すことになる。このフィルム表面の平
滑度の変化に対応するために、従来ではプラテンローラ
200とサーマルヘッド11の有効接地面幅、すなわち
図19(a)で梨地模様で示す有効ニップ幅Nbを極力
大きくするようなセッティングとなっている。例えば、
プラテンローラ200において、その押圧力:1.5〜
3.5N/cm、ゴム硬度:33〜43Hs(JIS−
Aスケール)、ゴム厚:2〜6mm、直径:18〜24
mm等となっており、その結果、有効ニップ幅Nbは、
約1.4〜4mmとなっている。もちろん、有効ニップ
幅Nbはサーマルヘッド11の仕様のバラツキ、押圧手
段25Aの押圧力分布のバラツキによって変化する。
【0018】小径化プラテンローラ10を採用すること
により、前記した利点の他に、その小径化に対応してサ
ーマルヘッド11も小型にすることができ、全体として
装置の小型化、低コスト化を促進することができるとい
う利点も得られる。ここで、小径化プラテンローラ10
としては、その直径が16mm程度以下のものを指すも
のとする。小径化プラテンローラ10としては、有効ニ
ップ幅Nbはプラテンローラ200のそれと比較して必
然的に狭くなる。一方、サーマルヘッド11の発熱体抵
抗体の位置精度について説明すると、サーマルヘッド1
1自体の組付け公差、プラテンローラ200とサーマル
ヘッド11の組付け公差を含めても約±0.2mmであ
る。この値はサーマルヘッド11の組付け公差であり、
製版装置に組付ける際の公差は組付け方式により相殺で
きる。したがって、プラテンローラ200の径が小さく
なっても前記公差(±0.2mm)以上の有効ニップ幅
Nbが確保できれば問題はない。
【0019】しかしながら、小径化プラテンローラ10
を用いた構成では、小径化による特有の問題が発生す
る。すなわち、図19(a)の平面図に誇張して示すよ
うに、小径化プラテンローラ10は、両端支持梁構成
で、かつ、プラテンローラ200と比較して芯金10
a’の径も当然に小さくなって機械的強度が低下するた
め、マスタ8を搬送する回転方向、すなわちプラテンロ
ーラの押圧方向と直交するマスタ搬送方向X側におい
て、小径化プラテンローラ10の前記軸受によって支持
されている両端部よりも中央部の方が曲げモーメントが
大きくなって曲げ変形を受けやすくなり、小径化プラテ
ンローラ10の長手方向の中央部を凸部の頂点とした弓
形状の撓み変形(小径化プラテンローラ10の長手方向
の中央部がマスタ搬送方向Xの下流側へ突出した状態)
を生じることとなる。この小径化プラテンローラ10の
弓形状の撓み変形により、マスタ搬送方向X側におい
て、小径化プラテンローラ10の有効ニップ幅Nbがサ
ーマルヘッド11の発熱抵抗体列の位置から外れてしま
い、これにより押圧不足となってサーマルヘッド11の
発熱抵抗体で発生した熱がマスタ8に伝わらなくなり、
穿孔不良となってしまうという問題点があった。小径化
プラテンローラ10の長手方向の中央部がマスタ搬送方
向Xの下流側へ突出した弓形状の撓み変形量は、図1を
借りて説明すると、マスタロール8a側のバックテンシ
ョン等の負荷の大きさの関係で変わる。このマスタロー
ル8a側の負荷が大きい場合には、上述したとは逆に、
小径化プラテンローラ10におけるマスタ搬送方向Xの
上流側へ突出した弓形状の撓み変形を生じることになる
が、本発明の実施形態1等で後述するようにマスタロー
ル8a側のバックテンション等の負荷の大きさを、小径
化プラテンローラ10を従動回転させつつマスタ8をマ
スタ搬送方向Xの下流側へと搬送する搬送力よりも十分
に小さく設定している(マスタロール8a側のバックテ
ンションは、外部振動等によってマスタロール8aが回
転して自然にマスタ8が繰り出さない程度の大きさに設
定している)から、小径化プラテンローラ10における
マスタ搬送方向Xの下流側へ突出した弓形状の撓み変形
が対策すべき問題となり、これを防止すればよい。
【0020】また、図20に誇張して示すように、小径
化プラテンローラ10は、両端支持梁構成で、かつ、プ
ラテンローラ200と比較して芯金10a’の径も当然
に小さくなって機械的強度が低下するため、押圧された
場合、図示しない軸受によって支持されているプラテン
ローラ軸10a寄りの両端部よりも中央部の方が圧力が
逃げやすいため、極端な表現をすれば、中央部を頂点と
して上方向U(符号Dは下方向を示す)に山なり状に撓
んでしまう。ここでは、図19に示したものを含め小径
化プラテンローラ10として、直径が12mm、芯金の
径が8mmのものを示している。図20および図21に
おいて、符号220は、サーマルヘッド11を小径化プ
ラテンローラ10へ向けて押圧する押圧手段を示す。押
圧手段220は、サーマルヘッド11の主走査方向の中
央に作用するバネ等からなる押圧部材230と、主走査
方向の中央を中心として左右の対称位置に作用する押圧
部材235,235’とから構成されており、いわゆる
3点押圧方式と呼ばれるものである。
【0021】図20に示したプラテンローラ押圧方向の
撓みが発生すると、小径化プラテンローラ10の両端部
における有効ニップ幅に比べて中央部での有効ニップ幅
が狭く、あるいは存在しなくなる。このため、サーマル
ヘッド11の発熱抵抗体で発生した熱がマスタ8に伝わ
らなくなり、穿孔不良となってしまうという問題点があ
った。この問題点に対し、従来では、例えば図21に示
すように、小径化プラテンローラ10の押圧される側と
反対の側の、押圧力の作用点に対応した位置にコロ20
5を有するバックアップローラ210を設けて、プラテ
ンローラ押圧方向の撓みを防止することも行われてい
る。なお、図21に示す従来のプラテンローラ押圧方向
の撓み対策の改良すべき点に鑑みて、本願出願人が平成
10年6月29日付けで特許出願した特願平10−18
2406号の図1および図3等に示されている技術が有
効である。
【0022】上記各問題点は、プラテンローラ200の
直径を約16mm以下にした小径化プラテンローラ10
の場合に顕在化する。従来の一般的な製版装置において
は、プラテンローラ200の弾性体層のゴム厚を2mm
以下とすると十分な有効ニップ幅Nbが取れなくなるた
め、ゴム厚は2mm以上としている。このことからも判
るように、直径16mm以下の小径化プラテンローラ1
0で顕在化する上記問題点は、その芯金径が12mm以
下で顕在化すると言える。また、プラテンローラの弾性
体層のゴム厚、ゴム硬度によっても若干の影響はある
が、前記弓形状の撓み変形の原因は、押圧力とプラテン
ローラの芯金の剛性、すなわち、長さと径に依存する。
【0023】したがって、本発明は、プラテンローラの
マスタ押圧機能およびマスタ搬送機能を満足できる構成
は限られてきていることから、プラテンローラの両機能
を分離して、プラテンローラは、マスタ押圧機能を優先
させ、マスタ搬送機能はプラテンローラよりもマスタ搬
送方向下流側に駆動部材を設けることでプラテンローラ
を従動回転させる構成を採用することによって、前述し
た諸問題点を解決できる新規な製版装置およびこの製版
装置を備えた製版印刷装置を提供することを目的とす
る。
【0024】各請求項記載の発明毎の目的を挙げれば次
のとおりである。請求項1記載の発明の目的は、プラテ
ンローラよりもマスタ搬送方向下流側に設けられ、マス
タを介してプラテンローラを従動回転させる駆動部材
と、該駆動部材を駆動する駆動手段とを有して構成する
と共に、プラテンローラとサーマルヘッドとのニップ部
よりもマスタ搬送方向下流側で、プラテンローラにマス
タを巻き付けるマスタ巻き掛け角を大きくした状態でマ
スタの搬送を行い、マスタ搬送機能を駆動部材に、マス
タ押圧機能をプラテンローラにそれぞれ分担させること
により、たとえ強度が低く滑りやすいマスタを使用する
場合や、例えば小径化プラテンローラを使用する場合に
おいても、サーマルヘッドへの押圧力を極力抑えること
ができ、これによりマスタの変形を防止できると共に、
マスタの搬送距離を適正に保つことができ、なおかつ、
適正な押圧力の下でマスタの搬送を確実に行うことがで
き、如何なるマスタであってもそれらの特性等に左右さ
れずに製版できるようにすることにある。
【0025】請求項2記載の発明の目的は、駆動部材
を、マスタを介してプラテンローラに当接して配置し、
駆動部材とプラテンローラとの間で発生する搬送力でマ
スタの搬送を行うことにより、請求項1記載の発明の目
的に加えて、マスタの搬送力を駆動部材とプラテンロー
ラとの間で得るというような簡単な構成によって確保
し、サーマルヘッドへの押圧力を極力抑えることができ
て、マスタの変形をより確実に防止できると共に、例え
ば小径化プラテンローラを使用した際のマスタ搬送方向
への小径化プラテンローラ中央部を凸とした弓形状の撓
み変形を抑制でき、サーマルヘッドの主走査方向の如何
なる位置においても発熱抵抗体を、サーマルヘッドと小
径化プラテンローラとのニップ部に対して外れることな
く配置することができ、これにより押圧力不足による穿
孔不良を含む製版画像不良を無くして良好な画像を得る
ことにある。
【0026】請求項3記載の発明の目的は、マスタに対
する駆動部材の摩擦係数を、プラテンローラのそれより
も大きくすることにより、請求項1または2記載の発明
の目的におけるマスタの確実な搬送性を得られるように
する。請求項4記載の発明の目的は、駆動部材を、回転
自在なローラで構成することにより、請求項1,2また
は3記載の発明の目的に加えて、駆動部材を簡単な構成
で実現することにある。請求項5記載の発明の目的は、
製版装置本体の内部および外部の温度のうちの少なくと
も一方の温度を検出する温度検出手段からの信号に基づ
いて、駆動部材におけるマスタ搬送速度を変えるように
駆動手段を制御する制御手段を有することにより、請求
項1,2,3または4記載の発明の目的に加えて、環境
温度の変動にかかわらず、常に安定したマスタの搬送距
離を得ることにある。請求項6記載の発明の目的は、プ
ラテンローラに対する駆動部材の押付け力を変える押付
け力可変手段と、少なくとも製版時におけるマスタ搬送
性等に影響を与えるマスタ搬送性等関係要因の特性値を
検出するための特性値検出手段と、特性値検出手段から
の信号に基づいて、押付け力を変えるように押付け力可
変手段を制御する制御手段とを有することにより、請求
項1,2,3または4記載の発明の目的に加えて、特性
値検出手段により検出された少なくともマスタ搬送性等
関係要因の特性値の大小・高低等に応じて、押付け力を
自動的に変えることができて、少なくとも製版時におけ
るマスタ搬送性等を確実に得ることができ、これにより
マスタの搬送距離を適正に保つと共に、画像寸法再現性
を良くすることにある。
【0027】請求項7記載の発明の目的は、特性値検出
手段を、製版装置本体の内部および外部の温度のうちの
少なくとも一方の湿度を検出する湿度検出手段で構成す
ることにより、その湿度の高低に応じて、請求項6記載
の発明の目的を達成することにある。請求項8記載の発
明の目的は、特性値検出手段を、マスタに形成される製
版画像量を検出する画像量検出手段で構成することによ
り、製版画像量の多少に応じて、請求項6記載の発明の
目的を達成することにある。請求項9記載の発明の目的
は、特性値検出手段を、製版装置本体の内部および外部
の温度のうちの少なくとも一方の温度を検出する温度検
出手段で構成することにより、その温度の高低に応じ
て、請求項6記載の発明の目的を達成することにある。
請求項10記載の発明の目的は、特性値検出手段を、サ
ーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド温度検出
手段で構成することにより、サーマルヘッドの温度の高
低に応じて、請求項6記載の発明の目的を達成すること
にある。請求項11記載の発明の目的は、少なくとも二
つ以上の特性値検出手段からの各信号に基づいて、押付
け力を変えるように押付け力可変手段を制御する制御手
段を有して構成することにより、マスタ搬送性等関係要
因の特性値の大小・高低等に応じて、より木目細かに対
応できるようになって、請求項6ないし10の何れか一
つに記載の発明の目的を達成することにある。請求項1
2記載の発明の目的は、プラテンローラよりもマスタ搬
送方向上流側に、該プラテンローラを従動回転させるた
めの駆動部材とは別の駆動部材を有して構成することに
より、請求項1ないし11の何れか一つに記載の発明の
目的に加えて、プラテンローラのマスタ搬入経路側で搬
送負荷を掛けることなく、マスタの搬送力をいわば増加
させた形態でサーマルヘッドとプラテンローラとのニッ
プ部に向けてマスタを搬送でき、より確実なマスタの搬
送力を得ることができると共に、例えばプラテンローラ
を従動回転させるマスタ排出経路側でのマスタの搬送力
を低減することも可能とすることにある。
【0028】請求項13記載の発明の目的は、プラテン
ローラを小径化プラテンローラで構成することにより、
請求項1ないし12の何れか一つに記載の発明の目的に
加えて、材料の節減およびコストダウンを図ることにあ
る。請求項14記載の発明の目的は、請求項1ないし1
3の何れか一つに記載の発明の目的を得る製版装置を有
し、該製版装置で製版されたマスタを版胴に巻装する製
版印刷装置で構成することにより、版胴へのマスタ巻装
時において巻装シワ等の発生を防止して、画像寸法再現
性を良くすることにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した目的
を達成するために、請求項毎の発明においては以下の構
成を採っていることを特徴とするものである。請求項1
記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタを
画像情報に応じて加熱製版するサーマルヘッドと、該サ
ーマルヘッドにマスタを押付ける従動回転自在なプラテ
ンローラとを具備する製版装置において、前記プラテン
ローラよりもマスタ搬送方向下流側に設けられ、マスタ
を介して前記プラテンローラを従動回転させる駆動部材
と、該駆動部材を駆動する駆動手段とを有し、前記プラ
テンローラと前記サーマルヘッドとのニップ部よりも前
記マスタ搬送方向下流側で、前記プラテンローラにマス
タを巻き付けるマスタ巻き掛け角を大きくした状態でマ
スタの搬送を行うことを特徴とする。ここで、駆動手段
の具体例としては、駆動部材の速度制御を安定かつ容易
に行うという点から、後述する実施形態で用いられてい
るようなステッピングモータが好ましいが、このような
利点を望まなくてもよいのであればこれに限らず、制御
用のDCモータ等であってもよい。請求項1等における
「マスタ巻き掛け角」とは、プラテンローラの軸方向か
ら見て、サーマルヘッドとプラテンローラとのニップ部
中心とプラテンローラの軸中心とを結ぶ半直線と、プラ
テンローラの軸方向から見て、マスタがニップ部中心か
らマスタ搬送方向下流側でプラテンローラの外周面に接
触しているマスタ接触境界とプラテンローラの軸中心と
を結ぶ半直線とがなす角をいう。
【0030】請求項2記載の発明は、請求項1記載の製
版装置において、前記駆動部材は、マスタを介して前記
プラテンローラに当接して配置されており、前記駆動部
材と前記プラテンローラとの間で発生する搬送力でマス
タの搬送を行うことを特徴とする。
【0031】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の製版装置において、マスタに対する前記駆動部材
の摩擦係数が、前記プラテンローラのそれよりも大きい
ことを特徴とする。
【0032】請求項4記載の発明は、請求項1,2また
は3記載の製版装置において、前記駆動部材は、回転自
在なローラであることを特徴とする。請求項5記載の発
明は、請求項1,2,3または4記載の製版装置におい
て、前記駆動部材におけるマスタ搬送速度が可変であ
り、前記製版装置本体の内部および外部の温度のうちの
少なくとも一方の温度を検出する温度検出手段と、前記
温度検出手段からの信号に基づいて、前記マスタ搬送速
度を変えるように前記駆動手段を制御する制御手段とを
有することを特徴とする。
【0033】請求項6記載の発明は、請求項1,2,3
または4記載の製版装置において、前記プラテンローラ
に対する前記駆動部材の押付け力が可変であり、前記押
付け力を変える押付け力可変手段と、少なくとも製版時
におけるマスタ搬送性等に影響を与えるマスタ搬送性等
関係要因の特性値を検出するための特性値検出手段と、
前記特性値検出手段からの信号に基づいて、前記押付け
力を変えるように前記押付け力可変手段を制御する制御
手段とを有することを特徴とする。ここで、「少なくと
も製版時におけるマスタ搬送性等に影響を与えるマスタ
搬送性等関係要因」とは、製版・給版時等を含む他、マ
スタ搬送性に影響を与えるマスタ搬送性関係要因の他
に、マスタ製版寸法の伸縮に影響を与えるマスタ伸縮関
係要因を含むことを意味する。また、「マスタ搬送性」
とは、マスタの搬送性能を指し、マスタの搬送力を含む
広い上位概念用語である。
【0034】請求項7記載の発明は、請求項6記載の製
版装置において、前記マスタ搬送性等関係要因の特性値
が、前記製版装置本体の内部および外部の湿度のうちの
少なくとも一方の湿度であり、前記特性値検出手段は、
前記少なくとも一方の湿度を検出する湿度検出手段から
なることを特徴とする。
【0035】請求項8記載の発明は、請求項6記載の製
版装置において、前記マスタ搬送性等関係要因の特性値
が、マスタに形成される製版画像量であり、前記特性値
検出手段は、前記製版画像量を検出する画像量検出手段
からなることを特徴とする。
【0036】請求項9記載の発明は、請求項6記載の製
版装置において、前記マスタ搬送性等関係要因の特性値
が、前記製版装置本体の内部および外部の温度のうちの
少なくとも一方の温度であり、前記特性値検出手段は、
前記少なくとも一方の温度を検出する温度検出手段から
なることを特徴とする。
【0037】請求項10記載の発明は、請求項6記載の
製版装置において、前記マスタ搬送性等関係要因の特性
値が、前記サーマルヘッドの温度であり、前記特性値検
出手段は、前記サーマルヘッドの温度を検出するサーマ
ルヘッド温度検出手段からなることを特徴とする。
【0038】請求項11記載の発明は、請求項6ないし
10の何れか一つに記載の製版装置において、前記制御
手段は、少なくとも二つ以上の前記特性値検出手段から
の各信号に基づいて、前記押付け力を変えるように前記
押付け力可変手段を制御することを特徴とする。
【0039】請求項12記載の発明は、請求項1ないし
11の何れか一つに記載の製版装置において、前記プラ
テンローラよりもマスタ搬送方向上流側に設けられ、該
プラテンローラを従動回転させるための前記駆動部材と
は別の駆動部材を有することを特徴とする。
【0040】請求項13記載の発明は、請求項1ないし
12の何れか一つに記載の製版装置において、前記プラ
テンローラは、その外周径が小径化されている小径化プ
ラテンローラであることを特徴とする。
【0041】請求項14記載の発明は、請求項1ないし
13の何れか一つに記載の前記製版装置を有し、該製版
装置で製版されたマスタを巻装する版胴と、この版胴上
のマスタにインキを供給するインキ供給手段とを有し、
前記版胴上のマスタに印刷用紙を押付けて印刷用紙に印
刷を行うことを特徴とする。
【0042】本発明は、請求項2ないし14記載の発明
に限定されず、請求項1を受けて、以下の技術構成であ
ってもよい。すなわち、第1の技術構成は、請求項1記
載の製版装置において、前記マスタ巻き掛け角を変える
マスタ巻き掛け角可変手段を有することを特徴とする。
第2の技術構成は、第1の技術構成記載の製版装置にお
いて、マスタに対する前記駆動部材の摩擦係数が、前記
プラテンローラのそれよりも大きいことを特徴とする。
【0043】第3の技術構成は、第1の技術構成または
第2の技術構成記載の製版装置において、前記マスタ巻
き掛け角可変手段は、前記駆動部材を備え、前記マスタ
巻き掛け角を変える方向に変位可能な変位ユニットと、
この変位ユニットを前記マスタ巻き掛け角を変える方向
に変位させるユニット駆動手段とを有することを特徴と
する。
【0044】第4の技術構成は、第3の技術構成記載の
製版装置において、前記駆動部材は、回転自在なローラ
であることを特徴とする。ここで、第4の技術構成にお
けるようなローラの具体例としては、マスタ幅方向に亘
りマスタ搬送力を均一に得るという点から、後述する実
施形態で用いられているようなローラ対が好ましいが、
このような利点を望まなくてもよいのであればこれに限
らず、例えば板状部材にマスタを押付ける1つのローラ
と前記板状部材との組み合わせ等であってもよい。
【0045】第5の技術構成は、第1,2,3または4
の技術構成記載の製版装置において、前記駆動部材にお
けるマスタ搬送速度が可変であり、前記製版装置本体の
内部および外部の温度のうちの少なくとも一方の温度を
検出する温度検出手段と、前記温度検出手段からの信号
に基づいて、前記マスタ搬送速度を変えるように前記駆
動手段を制御する制御手段とを有することを特徴とす
る。
【0046】第6の技術構成は、第1,2,3または4
の技術構成記載の製版装置において、少なくとも製版時
におけるマスタ搬送性等に影響を与えるマスタ搬送性等
関係要因の特性値を検出するための特性値検出手段と、
前記特性値検出手段からの信号に基づいて、前記マスタ
巻き掛け角を変えるように前記マスタ巻き掛け角可変手
段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。第
7の技術構成は、第6の技術構成記載の製版装置におい
て、前記マスタ搬送性等関係要因の特性値がマスタに形
成される製版画像量であり、前記特性値検出手段は、前
記製版画像量を検出する画像量検出手段からなることを
特徴とする。
【0047】第8の技術構成は、第6の技術構成記載の
製版装置において、前記マスタ搬送性等関係要因の特性
値が、前記製版装置本体の内部および外部の温度のうち
の少なくとも一方の温度であり、前記特性値検出手段
は、前記少なくとも一方の温度を検出する温度検出手段
からなることを特徴とする。
【0048】第9の技術構成は、第6の技術構成記載の
製版装置において、前記マスタ搬送性等関係要因の特性
値が、前記製版装置本体の内部および外部の湿度のうち
の少なくとも一方の湿度であり、前記特性値検出手段
は、前記少なくとも一方の湿度を検出する湿度検出手段
からなることを特徴とする。
【0049】第10の技術構成は、第6の技術構成記載
の製版装置において、前記マスタ搬送性等関係要因の特
性値が、前記サーマルヘッドの温度であり、前記特性値
検出手段は、前記サーマルヘッドの温度を検出するサー
マルヘッド温度検出手段からなることを特徴とする。
【0050】第11の技術構成は、第6の技術構成ない
し第10の技術構成の何れか一つに記載の製版装置にお
いて、前記制御手段は、少なくとも二つ以上の前記特性
値検出手段からの各信号に基づいて、前記前記マスタ巻
き掛け角を変えるように前記マスタ巻き掛け角可変手段
を制御することを特徴とする。
【0051】第12の技術構成は、請求項1ないし13
の何れか一つまたは第6の技術構成ないし第11の技術
構成の何れか一つに記載の製版装置において、前記プラ
テンローラよりも前記マスタ搬送方向下流側のマスタも
しくは製版されたマスタを、前記サーマルヘッドより遠
ざける向きに搬送するようにしたことを特徴とする。
【0052】第13の技術構成は、第1の技術構成ない
し第12の技術構成の何れか一つに記載の前記製版装置
を有し、該製版装置で製版されたマスタを巻装する版胴
と、この版胴上のマスタにインキを供給するインキ供給
手段とを有し、前記版胴上のマスタに印刷用紙を押し付
けて印刷用紙に印刷を行うことを特徴とする製版印刷装
置である。
【0053】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して実施例を含む
本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」という)
を説明する。前述した従来例および各実施形態等に亘
り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等
については、同一符号を付すことによりその説明を省略
する。図において一対で構成されていて特別に区別して
説明する必要がない部材や構成部品は、説明の簡明化を
図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に
代えるものとする。図および説明の簡明化を図るため、
図に表されるべき部材や構成部品であっても、その図に
おいて特別に説明する必要がない部材や構成部品は適宜
断わりなく省略することがある。図において、各ローラ
の回転方向を表す場合において、駆動回転する場合を実
線の矢印で、従動回転する場合を仮想線でそれぞれ表す
ものとする。 (実施形態1)図1ないし図10を参照して第1の実施
形態(以下、「実施形態1」という)を説明する。図1
において、符号99は製版装置を、符号100は製版装
置99を備えた製版印刷装置をそれぞれ示す。製版装置
99は、図1ないし図5に示すように、熱可塑性樹脂フ
ィルムを有するマスタ8をマスタ搬送方向Xに繰り出し
可能に貯容するマスタ貯容手段としてのマスタ支持部材
8cと、繰り出されるマスタ8を画像情報に応じて加熱
製版するサーマルヘッド11と、このサーマルヘッド1
1にマスタ8を押付ける従動回転自在な小径化プラテン
ローラ10と、この小径化プラテンローラ10よりもマ
スタ搬送方向X下流側に設けられ、マスタ8を介して小
径化プラテンローラ10に圧接して配置され小径化プラ
テンローラ10を従動回転させる駆動部材としての駆動
ローラ65と、この駆動ローラ65を駆動する駆動手段
としての駆動モータ68と、小径化プラテンローラ10
に対する駆動ローラ65の押付け力Fを変えるための押
付け力可変手段50と、プラテンローラ10よりもマス
タ搬送方向X下流側のマスタ8にフロントテンションを
付与するためのフロントテンション付与手段38等とを
具備している。
【0054】製版装置99は、前記した特徴ある構成に
加えて、小径化プラテンローラ10とサーマルヘッド1
1とのニップ部Nよりもマスタ搬送方向X下流側で、小
径化プラテンローラ10にマスタ8を巻き付けるマスタ
巻き掛け角θaを大きくした状態でマスタ8の搬送を行
うことを特徴とするものであり、また駆動ローラ65と
小径化プラテンローラ10との間で発生する搬送力でマ
スタ8の搬送を行うことを特徴とするものである。
【0055】ここで、マスタ巻き掛け角θaとは、図2
(b)に示すように、小径化プラテンローラ10の軸方
向から見て、サーマルヘッド11と小径化プラテンロー
ラ10とのニップ部中心Ncと小径化プラテンローラ1
0の軸中心10cとを結ぶ半直線と、小径化プラテンロ
ーラ10の軸方向から見て、マスタ8がニップ部中心N
cからマスタ搬送方向X下流側で小径化プラテンローラ
10の外周面に接触しているマスタ接触境界Mb(小径
化プラテンローラ10と駆動ローラ65とのニップ部の
下流端でもある)と小径化プラテンローラ10の軸中心
10cとを結ぶ半直線とがなす角度をいう。
【0056】このように実施形態1では、マスタ巻き掛
け角θaを大きくした状態でマスタ8の搬送を行うか
ら、小径化プラテンローラ10よりもマスタ搬送方向X
下流側のマスタ8もしくは製版された製版済みのマスタ
8は、必然的に、サーマルヘッド11の発熱抵抗体11
aより常に遠ざかる向きに搬送されているといえる。そ
れ故に、マスタ8フィルム部分の加熱溶融部分がサーマ
ルヘッド11の発熱抵抗体11aの保護膜表面と溶着し
てスティック等を生じることを抑制できると共に、これ
によりサーマルヘッド11との摩擦力を極力低減した状
態でマスタ8の搬送距離を適正に確保でき、またマスタ
8もしくは製版済みのマスタ8がサーマルヘッド11の
発熱抵抗体11aの蓄熱などの影響を受けて変形してし
まうことを防止でき、ひいてはマスタ8のシワ発生を確
実に防止できることとなる。
【0057】なお、従来の通常のプラテンローラ200
についても、小径化プラテンローラ10に代えてプラテ
ンローラ200に、小径化プラテンローラ10の軸中心
10cに代えてプラテンローラ200の軸中心200c
にそれぞれ読み替えることで、プラテンローラ200の
マスタ巻き掛け角θaを定義できる。
【0058】マスタ8は、連続シート状をなし、合成樹
脂製のロール芯8bに巻き付けられてマスタロール8a
が形成される。ロール芯8bは、マスタロール8aの両
端面から突出していてマスタ8の幅よりも長く形成され
ている。マスタロール8aは、両端側のロール芯8bが
マスタ支持部材8cにより反時計回り方向に回転自在に
支持されていて、マスタ支持部材8cに対して着脱自在
となっている。両端側のマスタ支持部材8cと両端側の
ロール芯8bとの間には、図示しないブレーキゴム等の
制動部材が設けられていて、これにより、マスタロール
8aからマスタ搬送方向Xに繰り出される際のマスタ
8、すなわちマスタ支持部材8cと小径化プラテンロー
ラ10との間のマスタ8に対して、マスタロール8aか
ら外部振動等によって自然にマスタ8が繰り出さない程
度の軽いバックテンションを付与するようになってい
る。マスタ支持部材8cの両端側は、製版装置99にお
けるマスタ搬送方向Xに沿ってその左右両側に配設され
ている図2のみに示す製版側板対29a,29bに取り
付けられている。製版側板対29a,29bには、駆動
ローラ65の駆動ローラ軸65aの両端部を回転自在
に、かつ、略水平方向に移動自在に案内支持する駆動ロ
ーラ65の案内手段としての案内溝29c,29cが形
成されている他、後述する各ローラの軸等を支持する支
持部等も形成されている。前述したとおり、マスタ8
は、マスタ支持部材8cによって、マスタロール8aか
らマスタ搬送方向Xに繰り出し可能に貯容されている。
【0059】マスタ8は、例えば厚さが1〜7μmの、
実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなる。マスタ8
のフィルム材質としては、例えばポリエステルテレフタ
レート(PET)系のものが用いられる。
【0060】なお、マスタ支持部材8cと小径化プラテ
ンローラ10との間のマスタ8に対して適度のバックテ
ンションを付与するバックテンション付与手段として
は、前記したブレーキゴム等の制動部材に限らず、小径
化プラテンローラ10よりもマスタ搬送方向X上流側の
マスタ8に接触してマスタ8を挟持する回転自在な上下
一対のテンションローラ(図示せず)と、この下側のテ
ンションローラの回転を制動する制動手段としてのパウ
ダー式やヒステリシス式の電磁ブレーキとで構成しても
よい。このように構成した場合、例えば、後述する図4
に示す製版駆動制御部75の制御機能を利用し、これに
より、前記電磁ブレーキの励磁コイルに流す励磁電流を
可変制御することでその伝達トルクを変えることによっ
て、マスタの種類に応じて予め設定された大きさの制動
力(ブレーキ力)を前記下側のテンションローラに加え
るものである。
【0061】サーマルヘッド11は、小径化プラテンロ
ーラ10のプラテンローラ軸10aと平行に延在して設
けられていて、例えば本願出願人が提案した特開平10
−157052号公報の図1ないし図7等に示されてい
るものと同様の構成を備えた接離手段25(図1および
図2に仮想線で示す)により、マスタ8を介して小径化
プラテンローラ10に接離自在となっている。サーマル
ヘッド11は、接離手段25に配設された図示しないバ
ネ部材により小径化プラテンローラ10に押圧する向き
に付勢されている。サーマルヘッド11の主走査方向に
は、小径化プラテンローラ10にマスタ8を介して当接
する部位に多数の発熱抵抗体11aが並設されている。
サーマルヘッド11は、図4に示すように、図示しない
原稿読取装置のスキャナ部等に配設されている画像セン
サ70、A/D変換部71および画像処理部72で処理
されて送出されるデジタル画像信号に基づき発熱抵抗体
11aを選択的に加熱することにより、マスタ8を選択
的に溶融穿孔・製版する製版手段としての機能を有す
る。
【0062】サーマルヘッド11は、小径化プラテンロ
ーラ10を採用したことに伴い、従来のものと比較して
小型化されており、製版装置99や製版印刷装置100
の小型化および低コスト化に寄与している。なお、小径
化プラテンローラ10に対する押圧力については、マス
タ8の種類に応じて、接離手段25に配設された図示し
ないバネ部材(引張バネ)のバネ長さを可変することに
より段階的に可変・制御することが好ましい。
【0063】小径化プラテンローラ10は、マスタ支持
部材8cに隣るマスタ搬送方向X下流側に配設されてい
て、プラテンローラ軸10aの両端部が図2に示す製版
側板対29a,29bに回転可能に支持されていること
により、時計回り方向に回転自在となっている。小径化
プラテンローラ10は、その芯金10a’の外周部分が
高分子の弾性体層10bで被覆されている。弾性体層1
0bは、例えばマスタ8に対する非粘着性、耐熱性、導
電性および圧縮永久歪の良好なシリコーンゴムでできて
いる。
【0064】小径化プラテンローラ10の仕様について
さらに実施例的に述べると、例えば、その直径が12m
m、芯金10a’の径が8mmのものを使用している。
また、小径化プラテンローラ10の弾性体層10bであ
るシリコーンゴム層の硬度(Hs)がJIS硬度Aスケ
ール20〜60度であるものが好ましく用いられる。こ
の理由は、小径化プラテンローラ10とサーマルヘッド
11との有効ニップ幅Nbを主走査方向に亘りできるだ
け均一に確保するためである。小径化プラテンローラ1
0のシリコーンゴム層外周表面の摩擦係数μは、マスタ
8の加熱溶融穿孔部の熱収縮を抑制するという利点を得
るために、フィルムの材質がポリエステルテレフタレー
ト製のマスタ8に対して、例えばμ=0.5〜1.5程
度のものが好ましく用いられる。
【0065】駆動ローラ65は、図2および図3に示す
ように、芯金65a’と、この芯金65a’の周りに被
覆された高分子の弾性体層65bと、芯金65a’と一
体的に形成された駆動ローラ軸65aとから構成されて
いる。駆動ローラ65は、その駆動ローラ軸65aの両
端部を介して、製版側板対29a,29bにそれぞれ形
成された長孔状の案内溝29c,29cに回転自在に、
かつ、略水平方向に移動自在に案内・支持されている。
【0066】図3に、駆動ローラ65を回転駆動する駆
動ローラ駆動機構を示す。この駆動ローラ駆動機構は、
製版側板対29b側の外側に突出した駆動ローラ軸65
aの端部に固設された従動プーリ66と、従動プーリ6
6近傍の製版側板対29bの外側壁部に固設されたステ
ッピングモータからなる駆動モータ68と、駆動モータ
68の出力軸に固設された駆動プーリ67と、従動プー
リ66と駆動プーリ67との間に掛け渡されたタイミン
グベルト69と、このタイミングベルト69に掛け渡さ
れると共に、駆動ローラ軸65aと同じ略水平方向に移
動可能であって回動自在なテンションプーリ62と、こ
のテンションプーリ62を回動自在に支持するプーリ軸
62aの両端部に係止され、タイミングベルト69に張
力を付与する一対の引っ張りスプリング64,64とか
ら主に構成されている。プーリ軸62aの図3において
手前側の端部は、製版側板29bに形成されたプーリ案
内溝29dに略水平方向に移動自在に案内されるように
なっている。これと同様に、プーリ軸62aの図3にお
いて奥側の端部も、製版側板29bに固設されていて、
プーリ案内溝29dを有する図示しない案内部材に略水
平方向に移動自在に案内されるようになっている。
【0067】駆動モータ68は、図示しないパルス発生
回路およびモータ駆動回路を介して後述する製版駆動制
御部75に電気的に接続されていて、前記パルス発生回
路等から前記モータ駆動回路を介して駆動モータ68に
供給されるパルスのパルス周波数(pps)が製版駆動
制御部75により可変制御されることで、その回転速度
が可変されるようになっている。
【0068】駆動プーリ67は、2連構造となってい
る。駆動モータ68の回転駆動力は、2連構造の駆動プ
ーリ67と後述する搬送ローラ12aに配設された2連
構造のプーリとの間に掛け渡されたタイミングベルト
(共に図示せず)を介して搬送ローラ12aに、また搬
送ローラ12aの2連構造のプーリと反転ローラ14a
に配設されたプーリとの間に掛け渡されたタイミングベ
ルト(共に図示せず)を介して反転ローラ14aにそれ
ぞれ伝達されるようになっている。なお、駆動ローラ駆
動機構の回転伝達手段は、図3に示したものに限らず、
例えばギヤによるもの、あるいはこれとベルトとの組み
合わせ等によるものであってもよい。回転伝達手段とし
てギヤを使用するときは、駆動ローラ65の略水平方向
に移動する移動量分を補償できるようなインボリュート
歯形で設計すればよい。
【0069】図2(a)に示すように、マスタ搬入経路
X1側の小径化プラテンローラ10とマスタ排出経路X
2側の駆動ローラ65との間には、マスタ8を両ローラ
10,65の各外周面に沿わせた状態にセットするため
にマスタ8の先端を案内するガイド板26が配置されて
いる。
【0070】ここで、説明の便宜上から、駆動ローラ6
5の細部仕様を説明する前に押付け力可変手段50につ
いて説明しておく。押付け力可変手段50は、図2およ
び図3に示すように、製版側板対29a,29bの内側
において、その一端が各駆動ローラ軸65aに常に接触
可能であり、かつ、その中央部に植設された支軸53を
中心に揺動可能な左右一対の押付けブラケット52,5
2と、各押付けブラケット52,52の一端部に作用し
て駆動ローラ65を小径化プラテンローラ10に押し付
ける向きに付勢する付勢手段としての左右一対の圧縮ス
プリング51,51と、各押付けブラケット52,52
の他端部に係合して各押付けブラケット52,52を支
軸53を中心に揺動させるための左右一対の偏心カム5
4,54と、左右一対の偏心カム54,54を同一位相
で連結する駆動軸55と、この駆動軸55にそれぞれ固
設されたウォームホイール58および検知用円盤59
と、検知用円盤59を挟むように設けられ、偏心カム対
54,54の回転位置を検出するための回転位置センサ
60と、検知用円盤59から突出形成されたホームポジ
ション検知用突起59bを挟むように設けられ、偏心カ
ム対54,54のホームポジションを検出するための図
4のみに示すホームポジションセンサ61と、製版側板
対29a,29bの間に配設された図示しない不動部材
に固設され、偏心カム対54,54を回転駆動するため
のカム駆動モータ56と、カム駆動モータ56の出力軸
に固設され、ウォームホイール58と噛み合うウォーム
57とを具備している。
【0071】以下、左右一対の押付けブラケット52,
52、左右一対の圧縮スプリング51,51、左右一対
の偏心カム54,54は、それぞれ左右において同一位
相で配置され、かつ、同様の形状を有しているため、そ
れぞれの片側について説明する。各押付けブラケット5
2は、略L字状をなし、各支軸53が製版側板対29
a,29bに所定角度回動自在に支持されていることに
より、左右で独立して揺動可能になされている。各圧縮
スプリング51は、同一のバネ諸元(バネ荷重特性)で
設計されていて、各製版側板29a,29bの内側に突
出形成されたバネ係止部材29fと押付けブラケット5
2の一端(図3では上端部)との間に装着されている。
回転位置センサ60およびホームポジションセンサ61
は、例えば透過型のフォトセンサからなる。
【0072】図2に示すように、偏心カム54のホーム
ポジションは、偏心カム54の短径部が押付けブラケッ
ト52の他端部に対向している位置に設定している。偏
心カム54がホームポジションを占めている状態では、
偏心カム54の短径部と押付けブラケット52の他端部
との間に所定のクリアランスが設けられていて、圧縮ス
プリング51の同一のバネ荷重が左右両端部の駆動ロー
ラ軸65aに均一に加わるようになっている。この偏心
カム54のホームポジション状態で、圧縮スプリング5
1の同一のバネ荷重が駆動ローラ65を図2において右
方に移動させるように作用することにより、所定の押付
け力Fが駆動ローラ65と小径化プラテンローラ10と
に働くこととなり、所定のニップ部Aが形成される。カ
ム駆動モータ56は、ステッピングモータからなる。な
お、カム駆動モータ56がステッピングモータであると
きには、ホームポジションセンサ61のみでもよく、回
転位置検知センサ60は必ずしも必要ではなく無くても
構わない。カム駆動モータ56が、例えば制御用のDC
モータであるときには回転位置検知センサ60は必須と
なる。
【0073】ここで、押付け力可変手段50の詳細動作
を説明しておく。カム駆動モータ56に図示しないモー
タ駆動回路等を介して正転駆動パルスまたは逆転駆動パ
ルスの所定の駆動パルス数が入力され、カム駆動モータ
56が所定のステップ数回転駆動されると、その回転運
動(駆動力)がウォーム57とウォームホイール58と
の噛合により、駆動軸55を介して左右の偏心カム54
に伝達され、これにより偏心カム54の回転運動を介し
て左右の押付けブラケット52の揺動運動に変換され、
さらに左右の押付けブラケット52を介して両端部の駆
動ローラ軸65aに伝達されつつ各案内溝29cで略水
平方向への直線運動に変換されて、最終的に駆動ローラ
65の略水平方向への直線運動となる。以下、説明の便
宜上から、正転駆動パルスに対応して駆動ローラ65が
図2(a)において略水平方向の右側、すなわち押付け
力Fが増加する方向へ移動するものとし、これと反対に
逆転駆動パルスに対応して駆動ローラ65が図2(a)
において略水平方向の左側、すなわち押付け力Fが減少
する方向へ移動するものとする。
【0074】前記の動作により、例えばカム駆動モータ
56に所定の正転駆動パルス数が入力されることによ
り、ホームポジションを占めている偏心カム54が回転
してその大径部分を押付けブラケット52の他端部に係
合させ、これにより駆動ローラ65が図2(a)におい
て略水平方向の右側、すなわち押付け力Fが増加する方
向へ移動する。これとは逆に、例えばカム駆動モータ5
6に所定の逆転駆動パルス数が入力されることにより、
偏心カム54の大径部分と押付けブラケット52の他端
部との係合が解除される偏心カム54のホームポジショ
ンへと回転することで、駆動ローラ65が図2(a)に
おいて略水平方向の左側、すなわち押付け力Fが減少す
る方向へ移動することとなる。
【0075】実施形態1によれば、図1ないし図3に示
す構成を有することにより、次の利点を得られる。すな
わち、第1に、マスタ8の搬送力は図2におけるA部
(小径化プラテンローラ10と駆動ローラ65とのニッ
プ部でもある)に作用する押付け力F(マスタ8に対す
る摩擦力)で得られるため、B部(ニップ部Nでもあ
る)で搬送力を得ようとしなくてもサーマルヘッド11
の発熱抵抗体11a部分への小径化プラテンローラ10
による押圧力は極力低減できる。第2に、製版済みのマ
スタ8をB部とA部との間、すなわちマスタ巻き掛け角
θaの範囲で小径化プラテンローラ10の外周表面に沿
わせることにより、小径化プラテンローラ10の外周表
面とマスタ8のベース側との摩擦力が増すから、マスタ
8の確実な搬送が可能となる。また、小径化プラテンロ
ーラ10のB部と駆動ローラ65のC部(駆動ローラ6
5のマスタ搬送方向X下流側で駆動ローラ65の外周面
に接触しているマスタ接触境界を指す)との間におい
て、製版済みのマスタ8が各ローラ10,65の外周表
面に接触している範囲では略均一な力が加わることにな
るから、製版済みのマスタ8の穿孔部分の変形を抑制で
き、これにより製版縮みを抑えて適正な製版長さを確保
できる。第3に、小径化プラテンローラ10のマスタ排
出側に駆動ローラ65を圧接すると共に、押付け力Fが
作用するように沿わせた形で配置したので、図19
(a)で説明したような小径化プラテンローラ10のマ
スタ搬送方向X下流側への小径化プラテンローラ10長
手方向中央部を凸部の頂点とした弓形状の撓み変形を抑
制できるから、これにより小径化プラテンローラ10の
有効ニップ幅Nbがサーマルヘッド11の発熱抵抗体列
の位置から外れてしまうことを防止でき、サーマルヘッ
ド11の主走査方向の如何なる位置においても有効ニッ
プ幅Nbの所望する位置に発熱抵抗体列を容易に配置す
ることができると共に、押圧不足となってサーマルヘッ
ド11の発熱抵抗体で発生した熱がマスタ8に伝わらな
くなり、穿孔不良となってしまうということもなくな
り、良好な画像を得ることができる。
【0076】なお、押付け力可変手段50は、これに限
らず、例えば、図2および図3に示した押付け力可変手
段50から圧縮スプリング51、偏心カム54、駆動軸
55、ウォームホイール58,ウォーム57およびカム
駆動モータ56を除去しこれらに代えて、例えば本願出
願人が提案した特開平7−156520号公報の図7等
に開示されているような引っ張りスプリングの引っ張り
長さをねじ機構を介してモータ駆動で可変制御すること
により、押付け力Fを可変する構成であってもよい。こ
の場合、引っ張りスプリングの一端を押付けブラケット
52の他端部に係止し、引っ張りスプリングの他端をね
じ機構に備えられたモータ駆動により直線運動可能なめ
ねじナットに係止する。前述したような押付け力可変手
段は、あくまでも一例であって、種々の均等な構成が想
定されることはいうまでもない。
【0077】駆動ローラ65の芯金65a’は、例えば
ステンレススチール(SUS)等の金属でできていて、
弾性体層65bは、例えばマスタ8に対する非粘着性、
耐熱性、導電性および圧縮永久歪の良好なシリコーンゴ
ムでできている。駆動ローラ65の仕様についてさらに
実施例的に述べると、例えば、その直径が24mm、芯
金65a’の径が18mm(弾性体層65bの厚さ3m
m)のものを使用している。また、駆動ローラ65の全
体の剛性(曲げ剛性)は、小径化プラテンローラ10の
それよりも高く設定している。このような駆動ローラ6
5の仕様設定をしたのは、前記した第2の利点、すなわ
ち小径化プラテンローラ10のB部と駆動ローラ65の
C部との間の距離の増大=搬送力の増加をより一層得る
ためにも駆動ローラ65の直径はなるべく大きい方が望
ましく、さらに前記した第3の利点を確実に得るために
も駆動ローラ65の直径は小径化プラテンローラ10の
それよりも大きくするのが望ましいからである。
【0078】駆動ローラ65の弾性体層65bの硬度
(Hs)は、JIS硬度Aスケールで20〜60度であ
るものが好ましく用いられる。これは、小径化プラテン
ローラ10への駆動ローラ65の押付けによる変形をで
きるだけ小さく抑えるためである。
【0079】駆動ローラ65の弾性体層65b(シリコ
ーンゴム層)外周表面の摩擦係数μは、製版済みのマス
タ8の適正な搬送力を得てマスタ搬送性を保つために、
フィルムの材質がポリエステルテレフタレート(PE
T)製のマスタ8に対して、小径化プラテンローラ10
の弾性体層10b(シリコーンゴム層)外周表面の摩擦
係数μよりも大きい、例えば乾燥状態でμ=1.0〜
2.0程度のものが好ましく用いられる。これは、駆動
ローラ65の外周表面の摩擦係数μが、小径化プラテン
ローラ10のそれよりも小さい場合には、マスタ8に対
する搬送・駆動部材としての駆動ローラ65の摩擦力が
小径化プラテンローラ10のそれよりも小さくなるか
ら、適正な搬送力を得ることができず、マスタ搬送性を
保つことができなくなるからである。
【0080】前記構成のとおり、駆動モータ68の駆動
により、駆動ローラ65が反時計回り方向に回転駆動さ
れることによって、小径化プラテンローラ10は従動回
転されつつ、マスタ8は適度の軽いバックテンションを
受けながら、かつ、緩むことなくマスタロール8aから
引き出されることとなる。
【0081】フロントテンション付与手段38は、図1
に示すように、駆動ローラ65に隣るマスタ搬送方向X
下流側に配設されていて、駆動ローラ65よりもマスタ
搬送方向X下流側のマスタ8を挟持してマスタ搬送方向
X下流側にマスタ8を移動・搬送する回転自在なマスタ
搬送部材としての上下一対の搬送ローラ12a,12b
と、この上側の搬送ローラ12aを前記回転伝達手段を
介して駆動ローラ65の周速度(搬送速度)よりも速い
周速度(搬送速度)で回転させる駆動モータ68と、搬
送ローラ12aと駆動モータ68との間に設けられ、駆
動ローラ65と搬送ローラ対12a,12bとの間のマ
スタ8に予め設定された大きさのフロントテンションを
付与すべく調節するトルクリミッタとしての機能を有す
る搬送ローラ用電磁クラッチ33とからなる。搬送ロー
ラ12aは、前記回転伝達手段を介して駆動モータ68
に連結され、これにより時計回り方向に回転駆動され
る。
【0082】搬送ローラ対12a,12bは、各外周部
がシリコーンゴムでできていて、金属製の軸と一体的に
形成されている。搬送ローラ対12a,12bは、バネ
等の付勢手段により適度な押圧力を与えられて圧接して
設けられていて、前記各軸の両端部が製版側板対29
a,29bに回転自在に支持されていることにより互い
に反対方向に回転自在となっている。搬送ローラ用電磁
クラッチ33としては、搬送ローラ12aの軸端に設け
られたパウダー式電磁クラッチが好ましく用いられる。
パウダー式電磁クラッチからなる搬送ローラ用電磁クラ
ッチ33は、小径化プラテンローラ10のB部と駆動ロ
ーラ65のC部との間からマスタ8を無理に引き摺り出
さないような大きさのフロントテンションを駆動ローラ
65と搬送ローラ対12a,12bとの間のマスタ8に
付与する機能を有する。予め設定された大きさのフロン
トテンションのマスタ8への付与は、図4に示す製版駆
動制御部75からの指令により、前記パウダー式電磁ク
ラッチの励磁コイルに流す励磁電流を可変することで、
これに略比例してその伝達トルクが可変制御されること
によってなされる。なお、搬送ローラ用電磁クラッチ3
3は、前記パウダー式電磁クラッチに限らず、比較的小
さな張力制御用として、例えばヒステリシス式電磁クラ
ッチ等も好ましく用いられる。
【0083】搬送ローラ対12a,12bに隣るマスタ
搬送方向X下流側には、製版済みのマスタ8もしくは未
製版のマスタ8を所定の長さに切断する、固定刃13b
および可動刃としての回転刃13aを備えたマスタ搬送
方向Xと直交するマスタ幅方向に回転しながら移動する
回転刃移動タイプのカッタ13が配設されている。カッ
タ13は、前記回転刃移動タイプに限らず、可動刃が昇
降自在ないわゆるギロチンタイプのものも用いられる。
【0084】カッタ13に隣るマスタ搬送方向X下流側
には、搬送ローラ対12a,12bと反転ローラ対14
a,14bとの間のマスタ搬送路の下方に配設された吸
引ボックス17、開閉板16および吸引ファン18等を
備えたマスタストック手段が配設されている。吸引ボッ
クス17は、製版側板対29a,29bの間に固設され
ていて、マスタ搬送路の上流側に向けて略L字型をなす
ように郭定された空間を有して形成されている。吸引ボ
ックス17は、図6に示すマスタ8のタワミ8Aを吸引
して一時貯留するための吸引貯留手段としての機能を有
する。
【0085】開閉板16は、吸引ボックス17の最上方
に形成される吸引口近傍の製版側板対29a,29bに
軸支され、図示しないモータもしくはソレノイド等を備
えた開閉板駆動手段およびこの開閉板駆動手段からの駆
動力を開閉板16に伝達する扇形ギヤ等の駆動力伝達部
材により前記吸引口に対して開閉自在に構成されてい
る。開閉板16は、図1および図6において実線で示す
ように、マスタ8を搬送・案内させるべくマスタ搬送路
の直下方に横臥するガイド搬送位置と、図1および図6
において仮想線で示すように、前記ガイド搬送位置から
略90度下方に回転・変位してマスタ8を貯容するタワ
ミ吸引位置との間で回転・変位自在となっている。開閉
板16がタワミ吸引位置を占めたとき、吸引ボックス1
7の上方が開放されて、吸引ボックス17の上方には、
製版済みのマスタ8を導入するための前記吸引口が形成
される。
【0086】マスタ搬送路の下流側に位置する吸引ボッ
クス17の奥側(図6では右側)には、スリットや網目
状の小孔等からなる吸引口と排気口との間に設けられ、
製版済みのマスタ8を吸引する吸引ファン18が配置さ
れている。吸引ファン18に連結された図示しない吸引
ファンモータの回転駆動により、吸引ファン18が回転
されて、図1および図6において左側から右側へと流れ
る空気流が生じ、製版済みのマスタ8が徐々に吸引され
つつ吸引ボックス17内に貯容されるようになってい
る。
【0087】開閉板16は、製版動作終了後のマスタ切
断後のマスタ巻装終了後に、前記開閉板駆動手段が駆動
されることにより、前記駆動力伝達部材を介してタワミ
吸引位置から回転・変位してガイド搬送位置を占めるこ
とによって、マスタ8の先端を吸引口から吸引ボックス
17内へと落ち込ませることなく、マスタ8の先端が図
1等に示す製版待機位置まで搬送されるようにガイドす
るようになっている。また、開閉板16は、製版動作終
了後のマスタ切断後のマスタ巻装終了後においてガイド
搬送位置を占めた後、前記開閉板駆動手段が前記とは反
対方向に駆動されることにより、マスタ8の先端が反転
ローラ対14a,14bのニップ部で挾持され前記製版
待機位置に達した後、タワミ吸引位置へと再び回転・変
位されるようになっている。
【0088】吸引ボックス17の吸引口上方には、図6
に示すように、製版済みのマスタ8における上方向凸形
状の所定の大きさに形成されたマスタ8のタワミ8Aを
検出するタワミ検知手段としてのマスタ検知センサ19
が設けられている。マスタ検知センサ19は、例えば反
射型のフォトセンサからなる。
【0089】吸引ボックス17およびマスタ検知センサ
19に隣るマスタ搬送方向X下流側には、マスタ8を搬
送する回転自在な上下一対の反転ローラ14a,14b
が配設されている。反転ローラ対14a,14bは、各
外周部がシリコーンゴムでできていて、金属製の軸と一
体的に形成されている。反転ローラ対14a,14b
は、バネ等の付勢手段により適度な押圧力を与えられて
圧接して設けられていて、前記各軸の両端部が各製版側
板29a,29bに回転自在に支持されていることによ
り互いに反対方向に回転自在となっている。反転ローラ
対14a,14bは、吸引ボックス17の前記吸引口よ
りマスタ8を遠ざける向きである反時計回り方向に少し
傾斜して設けられている。反転ローラ14aは、前記回
転伝達手段を介して駆動モータ68に連結され、これに
より時計回り方向に回転駆動される。
【0090】反転ローラ対14a,14bは、駆動モー
タ68を含む前記回転伝達手段によって、小径化プラテ
ンローラ10の周速度(搬送速度)よりも速い周速度
(搬送速度)で回転するように設定されていて、マスタ
8との間で滑りながら適度のフロントテンションをマス
タ8に付与するようになされている。反転ローラ14a
の軸端には、反転ローラ14aへの駆動モータ68の回
転駆動力を断接する反転ローラ用電磁クラッチ34が設
けられている。反転ローラ用電磁クラッチ34は、例え
ばパウダー式電磁クラッチもしくはヒステリシス式電磁
クラッチからなる。なお、反転ローラ用電磁クラッチ3
4に代えて、駆動モータ68とは独立したステッピング
モータで単独駆動してもよい。反転ローラ対14a,1
4bに隣るマスタ搬送方向X下流側には、製版済みのマ
スタ8もしくはマスタ8の先端を版胴1に設けられたク
ランパ7に案内するためのガイド板15が反転ローラ対
14a,14bの各軸方向に延在して設けられている。
【0091】製版装置99には、製版装置本体である製
版側板対29a,29bの間に配設されている小径化プ
ラテンローラ10および駆動ローラ65近傍の温度を検
出する温度検出手段としての温度センサ30が、前記同
部位の湿度を検出する湿度検出手段としての湿度センサ
31がそれぞれ設けられている。温度センサ30として
はサーミスタ等が好ましく用いられる。これらの温度セ
ンサ30や湿度センサ31は、後述する画像量検出手段
48やヘッド温度センサ32等と共に、少なくとも製版
時におけるマスタ搬送性等に影響を与えるマスタ搬送性
等関係要因の特性値を検出するための特性値検出手段群
を構成する。この実施形態では、実際の環境状態として
の温度や湿度をできるだけ正確に把握するために、温度
センサ30や湿度センサ31を製版装置99本体の内部
に配置したが、これに限らず、例えば構成部品等のレイ
アウトの制約から製版装置本体の内部に配置できない場
合には、製版装置本体外部周辺の温度や湿度を検出すべ
く製版装置本体の外側の本体パネルの外壁面等や、製版
印刷装置設置部の周辺等に配置してもよい。すなわち、
温度検出手段や湿度検出手段は、製版装置本体の内部お
よび外部の温度や湿度のうちの少なくとも一方を検出す
べく配設されていればよい。
【0092】ここで、マスタ搬送性等関係要因の特性・
特性値について補足説明する。マスタ搬送性等関係要因
の特性・特性値としては、主要なものとして少なくとも
以下の5つを経験的に挙げることができる。すなわち、
マスタ搬送性等関係要因の特性値の第1がマスタに形成
される製版画像量であり、第2が製版装置本体の内部の
温度であり、第3が製版装置本体の内部の湿度であり、
第4がサーマルヘッド11の温度であり、第5がマスタ
の剛度(強度)等に対応したマスタの種類である。
【0093】マスタ8に形成される製版画像量を検出す
る画像量検出手段としては、特開平9−193526号
公報の段落(0033)等に記載されているものと同様
の手段を用いている。すなわち、1版分のマスタ8全体
を加熱穿孔・製版するために必要な発熱抵抗体の数に対
して、実際に前記原稿読取装置のスキャナにより読み取
られた画像情報からマスタ8を加熱穿孔・製版するため
に使用する発熱抵抗体の数の比率、すなわちマスタ8の
穿孔率(開口率)を求めることによって、マスタ8に形
成される製版画像量(換言すれば印刷用紙に印刷される
印刷画像量と略同じ)を検出するものである。画像量検
出手段48は、図4において、画像メモリ74、画像処
理部72および製版制御部73とから構成されていると
いえるが、最終的には製版制御部73でマスタ8に形成
される1版分の製版画像の画像量を検知・認識するの
で、説明の簡明化を図るため製版制御部73の構成の中
に含まれているものとする。画像メモリ74は、原稿の
光学情報が前記原稿読取装置のスキャナ等に配設されて
いるCCD(電荷結合素子)等からなる画像センサ70
で読み取られ光電変換されたアナログの画像信号がA/
D変換部71でアナログ/デジタル変換されてデジタル
の画像信号となり、このデジタルの画像信号を画像処理
部72を経由して受信して、画像データとして一時記憶
する。画像処理部72は、画像メモリ74に一度記憶さ
れた画像データを順次呼び出しながら画像処理を施した
後、製版制御部73へ送信する。製版制御部73は、画
像処理部72から送信されてくる画像データに基づき、
マスタ8に形成される1版分の製版画像の画像量を検知
・認識してサーマルヘッド11を駆動制御する他、次に
述べる機能も有する。すなわち、製版制御部73は、そ
れぞれ既に公知であり図4に括弧を付して示すサーマル
ヘッド11を駆動する際の各種信号の作成機能、熱履歴
制御やコモンドロップ補正制御等を施す機能を有する。
【0094】図7に、サーマルヘッド11の温度を検出
するサーマルヘッド温度検出手段としてのヘッド温度セ
ンサ32の具体例を示す。ヘッド温度センサ32として
は、サーミスタが好ましく用いられる。サーマルヘッド
11の温度の検出箇所は、図7に示すようなサーマルヘ
ッド11の発熱抵抗体等が配置されている薄膜基板11
dの表面部分、例えばコモン電極とリード電極との間に
囲まれた発熱抵抗体中央の表面部分に近い部位であるこ
とが望ましいが、現時点における技術では、その部分で
の検出は不可に近いので、ここではサーマルヘッド11
に搭載されている回路基板上であるサーマルヘッド基板
11b上でサーマルヘッド本体の温度検出を行う。な
お、ヘッド温度センサ32の配置箇所は、サーマルヘッ
ド基板11bに限らず、放熱板11cの内部に設けても
よい。
【0095】製版装置99の図1において左側には、多
孔性で円筒状の支持円筒体と、その支持円筒体の外周を
覆うように複数層巻き付けられた樹脂あるいは金属網体
製のメッシュスクリーン(図示せず)との2層構造から
なる版胴1が配設されている。版胴1は、インキ通過性
の多数の開孔を有する開口部1a(印刷可能領域)と、
クランパ7等が設けられている非開口部(非印刷可能領
域)とを備えた周知の構成を有する。版胴1は、図示し
ない端板フランジの外周部に巻着・固設されていて、後
述するインキパイプ5を兼ねる支軸の周りに回転自在に
支持されている。版胴1は、図示しないDCモータから
なる電動モータに連結されたギヤやベルト等の駆動伝達
手段により、前記電動モータの回転駆動力が伝達され
て、図中矢印方向(時計回り方向)に回転駆動される。
【0096】版胴1の内部には、図示しない側板に回転
自在に支持されていて、図示しないギヤ等の駆動伝達手
段により前記電動モータの回転駆動力が伝達されて版胴
1と同期して図中矢印方向(時計回り方向)に回転駆動
され、版胴1の内周面に接触してインキを供給するイン
キローラ2と、インキローラ2とわずかな間隙を置いて
平行に配置され、インキローラ2との間に断面楔状のイ
ンキ溜まり4を形成するドクタローラ3と、インキ溜ま
り4へインキを供給するインキパイプ5とが配置されて
いる。なお、インキローラ2、ドクタローラ3およびイ
ンキパイプ5がインキ供給手段を構成する。インキ溜ま
り4のインキは、版胴1の外部に設けられた図示しない
インキパック等より吸引され、インキパイプ5の供給孔
より供給される。
【0097】版胴1の前記非開口部外周面上の一部分に
は、版胴1の一つの母線に沿って設けられた強磁性体製
のステージ6と、このステージ6の両側端に設けられた
クランパ軸に回動自在に取り付けられ、ステージ6の平
面部に対して開閉自在なゴム磁石を有するクランパ7と
がそれぞれ設けられている。クランパ7は、図示しない
開閉装置により所定位置において開閉される。版胴1
は、クランパ7が図1に仮想線で示す略右横に位置する
状態、すなわち給版位置において停止されるようになっ
ている。版胴1は、前記インキパック等と一体的になさ
れた版胴ユニットとして構成されており、製版印刷装置
100の本体フレームに対してインキパイプ5の軸線方
向に挿脱自在になっている。
【0098】インキローラ2に対向する版胴1の外周面
の下方近傍には、印刷用紙(図示せず)の給送に同期し
て図示しないカム等により版胴1の外周面に接離自在に
なされ、バネ部材(図示せず)により版胴1の外周面に
圧接する向きに付勢された押圧手段としてのプレスロー
ラ21が配設されている。プレスローラ21は、図示し
ない筐体側板に回転自在に支持されたアーム軸22aの
両端部に固定されたプレスローラアーム対22,22
に、その軸部を回転自在に支持されていて、係止手段
(図示せず)により通紙時以外は版胴1の外周面から離
間した位置で保持される周知の構成を有する。
【0099】版胴1の図1において右下方には、図示し
ない印刷用紙を積載して昇降自在な給紙トレイ(図示せ
ず)と、前記印刷用紙を1枚ずつ分離給送する分離給紙
部材と、分離給送された前記印刷用紙をタイミングを取
って版胴1の外周面とプレスローラ21との間に搬送す
るレジストローラ対20,20等とを具備した給紙装置
が配設されている。版胴1の図1において左側には、使
用済みのマスタ8を版胴1から剥離し排出する図示しな
い排版装置が配設されている。その排版装置の下方に
は、先端が版胴1の外周面より印刷用紙を剥離する版胴
1の外周面に近接自在に支持された剥離爪24と、この
剥離爪24により剥離・排出された印刷済みの用紙を積
載する排紙トレイ(図示せず)等とを具備する排紙装置
が配設されている。また、版胴1および製版装置99の
上方には、原稿の画像を読み取るための図4に示す画像
センサ70等を備えた図示しない原稿読取装置が配設さ
れている。
【0100】図5を参照して操作パネル40の細部構成
を説明する。操作パネル40は、前記原稿読取装置の上
部に配設されている。操作パネル40には、原稿の画像
の読み取りから排版、製版、給版、版付け印刷、排紙工
程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための動
作起動手段としてのスタートキー41と、印刷枚数等を
設定・入力するテンキー43と、このテンキー43で置
数された印刷枚数分の印刷動作の起動を行うプリントキ
ー42と、操作の状態やメッセージ等の表示をするLC
D(液晶表示装置)表示部45等とが配置されている。
LCD表示部45は、液晶駆動回路等を介して駆動され
る。
【0101】次に、図4を参照して製版印刷装置100
の主として製版装置99の制御を行う制御構成を説明す
る。製版駆動制御部75は、図示を省略した、CPU
(中央演算処理装置)、I/O(入出力)ポート、RO
M(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な
記憶装置)およびタイマ等を備え、それらが信号バスに
よって接続された構成を有するマイクロコンピュータを
具備している。
【0102】製版駆動制御部75の前記CPU(以下、
説明の簡明化を図るため、単に「製版駆動制御部75」
というときがある)は、前記入力ポートを介して、前記
した特性値検出手段群を構成する、画像量検出手段48
と、温度センサ30と、湿度センサ31と、ヘッド温度
センサ32とそれぞれ電気的に接続されていて、これら
の手段、各センサからデータ信号を受信する。また、製
版駆動制御部75は、前記入力ポートを介して、操作パ
ネル40の前記各種キー(スタートキー41、プリント
キー42、テンキー43)と、マスタ検知センサ19
と、回転位置センサ60と、ホームポジションセンサ6
1とそれぞれ電気的に接続されていて、各センサ19,
60,61や前記各種キーからオン/オフ信号やデータ
信号を受信する。製版駆動制御部75は、前記出力ポー
トを介して、操作パネル40のLCD表示部45と、カ
ム駆動モータ56と、駆動モータ68と、搬送ローラ用
電磁クラッチ33と、反転ローラ用電磁クラッチ34と
それぞれ電気的に接続されていて、各種駆動回路(図示
せず)を介して各種の指令信号をLCD表示部45、カ
ム駆動モータ56、駆動モータ68、搬送ローラ用電磁
クラッチ33および反転ローラ用電磁クラッチ34にそ
れぞれ送信する。また、製版駆動制御部75は、前記出
力ポートを介して、前記マスタストック手段の前記開閉
板駆動手段と、前記吸引ファン駆動モータとそれぞれ電
気的に接続されていて、各種駆動回路(図示せず)を介
して各種の指令信号を前記開閉板駆動手段、前記吸引フ
ァン駆動モータにそれぞれ送信する。また、製版制御部
73と製版駆動制御部75とは、相互に信号を送受信す
る関係にある。
【0103】この実施形態1では、製版駆動制御部75
は、以下の諸制御機能を有する。第1に、製版駆動制御
部75は、温度センサ30からの信号に基づいて、駆動
ローラ65の周速度であるマスタ搬送速度を変えるよう
に駆動モータ68を制御する制御手段としての機能を有
する。
【0104】第2に、製版駆動制御部75は、画像量検
出手段48、温度センサ30、湿度センサ31、ヘッド
温度センサ32、回転位置センサ60およびホームポジ
ションセンサ61からの各信号に基づいて、小径化プラ
テンローラ10に対する駆動ローラ65の押付け力Fを
変えるように押付け力可変手段50のカム駆動モータ5
6を制御する制御手段としての機能を有する。
【0105】第3に、製版駆動制御部75は、後述する
マスタ種類検出手段からの信号に基づいて、予め使用す
るように設定されたマスタと相違するときに、製版動作
を禁止する製版動作制御手段としての機能を有する。こ
のとき、製版駆動制御部75は、例えば、「設定された
マスタと相違していますので、マスタを正規の物と交換
して下さい」という旨の表示をさせるべくLCD表示部
45を制御する機能を有する。
【0106】製版駆動制御部75内の前記ROMには、
前記した第1ないし第3の機能を有する製版駆動制御部
75による制御を行うための前もって実験等により求め
られたデータテーブルや図9に示すプログラムあるいは
後述する動作を行うためのプログラムが予め記憶されて
いる。製版駆動制御部75内の前記RAMは、前記CP
Uでの判断結果や計算結果を一時記憶したり、各センサ
等からの出力信号を随時記憶したりしてこれら信号の入
出力を行う。前記したデータテーブルとしては、例え
ば、温度センサ30により検出される温度と駆動モータ
68に供給すべきパルス周波数(pps)との関係デー
タ、前記した4つの特性値検出手段により検出される各
特性値と押付け力Fとの関係データ、および押付け力F
に対応した偏心カム54の駆動軸55の回転位置とカム
駆動モータ56への正転もしくは逆転駆動パルス数との
関係データ等が挙げられる。
【0107】マスタ種類検出手段は、前記したマスタ検
知センサ19と、前記した吸引ボックス17を備えた前
記マスタストック手段と、マスタ検知センサ19からの
オン/オフ信号に基づいて、前記マスタストック手段に
よりマスタ8のタワミ8Aが吸引されるときの時間を測
定するタワミ吸引計時手段としての製版駆動制御部75
の前記タイマとからなる。
【0108】次に、図1ないし図9を参照して動作につ
いて説明する。先ず、図示しない原稿読取装置に配設さ
れている原稿載置台に図示しない原稿がセットされ、ス
テップS1において、操作パネル40のスタートキー4
1が押されると製版スタート信号が生成されて、これが
製版駆動制御部75に入力されることによって製版がス
タートする。まず、前記スキャナがセットされた前記原
稿の表面をプリスキャンして原稿画像を読み取ると共
に、画像量検出手段48により前記原稿に対応した製版
画像量が検出され、その信号が製版駆動制御部75に送
信される。
【0109】前記製版画像量の検出動作に前後して、製
版駆動制御部75からの指令により、温度センサ30か
らの製版装置99本体の温度に係る信号に基づいて、駆
動モータ68に供給するパルス周波数(pps)を可変
制御することによって、駆動ローラ65の周速度である
マスタ搬送速度が設定される。例えば、温度センサ30
で検出された製版装置99本体の温度が低い低温環境下
においては、小径化プラテンローラ10および駆動ロー
ラ65が前記したような金属製の芯金10a’,65
a’とシリコーンゴム等の高分子の弾性体層10b,6
5bとで形成されている場合、シリコーンゴム等の高分
子の弾性体層10b,65bが温度低下に伴い収縮を生
じるから、各ローラ10,65自体の直径が小さくなっ
てしまい、結果として例えば常温時と同一の周速度で駆
動ローラ65を回転させた場合にはマスタ8の搬送距離
が短くなってしまう。それ故に、このような場合には、
常温時よりも駆動ローラ65の周速度を速くして、すな
わち駆動モータ68に供給するパルス周波数(pps)
を高くすることにより、常温時と同等のマスタ搬送距離
を得られるようにする。これとは逆に、高温環境下にお
いては、前記したとは反対にシリコーンゴム等の高分子
の弾性体層10b,65bが温度上昇に伴い膨張を生じ
るから、常温時よりも駆動ローラ65の周速度を遅くし
て、すなわち駆動モータ68に供給するパルス周波数
(pps)を低くして、常温時と同等のマスタ搬送距離
を得られるようにする。したがって、実施形態1では、
前述の制御が行われることにより、環境温度の変動にか
かわらず、常に安定したマスタ8の搬送距離を得られ
る。
【0110】前記した駆動ローラ65の周速度補正動作
に前後して、製版駆動制御部75からの指令により、画
像量検出手段48からのデータ信号に基づき、1版分の
マスタ8に対する穿孔する割合がチエックされると共
に、温度センサ30および湿度センサ31からの製版装
置99本体の温度および湿度に係るデータ信号や、回転
位置センサ60およびホームポジションセンサ61から
の偏心カム54の駆動軸55の回転位置に係るデータ信
号に基づき、カム駆動モータ56を制御することによっ
て小径化プラテンローラ10に対する駆動ローラ65の
押付け力Fが設定される。
【0111】例えば、製版駆動制御部75は、サーマル
ヘッド11において発熱駆動すべき発熱抵抗体11aの
数が多い場合、すなわち画像量検出手段48により検出
された製版画像量が多い場合においては、マスタ8のフ
ィルム部分の溶融穿孔が多くなり、サーマルヘッド11
の発熱抵抗体11aの表面とマスタ8との摩擦力(搬送
抵抗)が増大してしまい、適正なマスタ8の搬送距離を
保てなくなる。それ故に、このような場合には、押付け
力Fを増加させるようにカム駆動モータ56に正転駆動
パルス数を与えることにより、駆動ローラ65を図2に
おいて略水平方向の右方に移動させて押付け力Fを大き
くして、小径化プラテンローラ10と駆動ローラ65と
の間で働く搬送力を上げて、確実なマスタ8の搬送距離
を得られるようにする。
【0112】また、湿度が低い低湿環境下においては、
駆動ローラ65とマスタ8との摩擦力、小径化プラテン
ローラ10とマスタ8との摩擦力がそれぞれ低下するこ
とにより、搬送力が低下してしまい、製版後の寸法、す
なわち製版画像寸法の再現性が低下してしまうため、押
付け力Fを増加させるようにカム駆動モータ56に正転
駆動パルス数を与えることにより、駆動ローラ65を図
2において略水平方向の右方に移動させて押付け力Fを
大きくして、駆動ローラ65とマスタ8との摩擦力、お
よび小径化プラテンローラ10とマスタ8との摩擦力を
それぞれ増加させ、摩擦力の低下に伴う搬送力の低下を
防止して、確実なマスタ8の搬送距離を得られるように
する。特に、前記環境条件に加えて、環境温度が高い場
合には、サーマルヘッド11の蓄熱が多くなり、マスタ
8が軟化して伸びやすくなることによりマスタ8に形成
される穿孔径が大きくなるため、サーマルヘッド11の
発熱抵抗体11aの表面とマスタ8との摩擦力(搬送抵
抗)がさらに増大するので、さらに押付け力Fを増加さ
せるようにカム駆動モータ56に正転駆動パルス数を与
えることにより、駆動ローラ65を図2において略水平
方向のさらに右方に移動させて押付け力Fを大きくし
て、小径化プラテンローラ10と駆動ローラ65との間
で働く搬送力をさらに上げることにより、マスタ8と小
径化プラテンローラ10との間の滑り量が減少して、製
版長さが適正範囲に調節されると共に確実なマスタ8の
搬送距離を得ることができる。
【0113】一方、前記電動モータが駆動されることに
より版胴1が回転し、図示しない排版装置により、版胴
1に巻装されている使用済みのマスタ(図示せず)が剥
離され廃棄される。次いで、版胴1が給版位置で停止さ
れ、クランパ7が図示しない開閉装置により開放されて
給版待機状態となる。この排版工程における版胴1の回
転と並行して製版工程が開始される。
【0114】すなわち、駆動モータ68が駆動され、こ
れにより駆動ローラ65が回転駆動されると、同時的
に、小径化プラテンローラ10に対する駆動ローラ65
の押付け力Fによって小径化プラテンローラ10が搬送
力を与えられながら従動回転する。これにより、マスタ
ロール8aからマスタ8が引き出され、図2(a)に示
すように、引き出されたマスタ8はマスタ搬入経路X1
をたどり、小径化プラテンローラ10によりサーマルヘ
ッド11に押付けられながら、駆動ローラ65と小径化
プラテンローラ10との間で発生した搬送力によって、
小径化プラテンローラ10の外周表面から駆動ローラ6
5の外周表面に沿うように巻き掛けられつつ、マスタ排
出経路X2へと搬送されていく。また、駆動モータ68
の駆動に伴い、搬送ローラ用電磁クラッチ33がオンさ
れることにより、搬送ローラ対12a,12bも回転を
開始する。このとき、反転ローラ用電磁クラッチ34は
オフしていて、駆動モータ68の回転駆動力は反転ロー
ラ14aには伝達されない。
【0115】マスタ8の先端部分には前記したように傾
斜した反転ローラ対14a,14bにより上方に浮き上
げられる方向に力が作用するようになっていること、開
閉板16がガイド搬送位置を占めた状態にあることおよ
びマスタ8の先端部が反転ローラ対14a,14bで挟
持された停止状態にあることによって、マスタ8の先端
部分が図6に示すように上方向に凸形状に盛り上げられ
てタワミ8Aが形成される。このタワミ8Aが所定の大
きさになると、マスタ検知センサ19によりオン・検知
される(ステップS2参照)。
【0116】マスタ検知センサ19のオン・検知から設
定された遅延時間経過後、前記開閉板駆動手段が駆動さ
れることにより開閉板16がガイド搬送位置を占めた状
態からタワミ吸引位置へと回転・変位して吸引ボックス
17の上方に吸引口が形成されると共に、前記吸引ファ
ン駆動モータが駆動されることにより吸引ファン18が
回転し、これにより図1および図6において吸引ボック
ス17の内部における左側から右側へと向かう空気流が
生じることで、マスタ8の先端部分に形成されたタワミ
8Aが引き込まれながら貯留されていく(ステップS3
参照)。このようなマスタ8の先端部分のタワミ8Aの
吸引により、そのタワミ8Aが小さくなってマスタ検知
センサ19で検知されなくなるとマスタ検知センサ19
がオフし、所定の設定時間内に検知がオフされたかどう
かが製版駆動制御部75により比較判断される(ステッ
プS4、ステップS5参照)。
【0117】マスタの種類として腰の強いマスタ8の場
合には、吸引ボックス17により所定の大きさのタワミ
8Aが吸引され引き込まれるまでのタワミ吸引時間が長
くなり、これによりマスタ検知センサ19がオフするま
での時間が長くなる。反対に、腰の弱いマスタ8の場合
には、吸引ボックス17により所定の大きさのタワミ8
Aが直ぐに吸引され引き込まれるため、これによりマス
タ検知センサ19がオフするまでの時間が短くなる。こ
のように、製版駆動制御部75の前記タイマが、マスタ
検知センサ19からのオン/オフ信号に基づいて、吸引
ボックス17により所定の大きさのタワミ8Aが吸引さ
れるときのタワミ吸引時間を測定することで、マスタ8
の腰の強さの代用としてマスタ8の腰の強弱に対応した
マスタの種類を検知することができる。
【0118】このとき、製版駆動制御部75は、前記タ
イマからの信号に基づいて、予め使用するように設定さ
れたマスタと相違する場合、すなわち前記タイマからの
タワミ吸引時間が所定の設定時間内にない場合に、製版
動作を禁止し停止させると共に、LCD表示部45を制
御して、例えば、「設定されたマスタと相違しています
ので、マスタを正規の物と交換して下さい」という旨の
表示をさせる。この場合、オペレータはLCD表示部4
5に表示されたメッセージどおりに、正規のマスタロー
ル8aに交換するための操作を行うこととなる(表示停
止モードとしてのステップS7、ステップS8参照)。
これと反対に、ステップS5において、製版駆動制御部
75が予め使用するように設定されたマスタであると判
断した場合、すなわち前記タイマにより計時されたタワ
ミ吸引時間に係るデータ信号から、所定の設定時間内に
あると判断した場合に、製版動作を続行させる。(ステ
ップS6参照)。
【0119】なお、ステップS7、ステップS8におい
ては、前記したような表示停止モードに限らず、例えば
これを無視してそのままステップS6におけると同様の
動作に進む無視モードとに選択自在にしてもよい。この
無視モードにおいては、例えば操作パネル40に前記表
示停止モードから前記無視モードへ動作モードを切り換
えるための切換キー等を設けてもよい。
【0120】製版動作の途中においては、製版駆動制御
部75は、さらに、ヘッド温度センサ32により検出さ
れたサーマルヘッド11の温度をも加味して、駆動ロー
ラ65の略水平方向の位置を変えることで押付け力F、
すなわち搬送力を調整する。図8に示すように、例え
ば、製版動作の始めのうち(版長の始めのうち)ではサ
ーマルヘッド11の温度上昇は無視できるほどであるか
ら、これに応じて押付け力Fを変える必要はないが、製
版動作の途中からはサーマルヘッド11の蓄熱等により
温度上昇があるから、これに応じて押付け力Fを変える
必要がある。
【0121】吸引ファン18の継続的な回転により、マ
スタ8は次々に吸引ボックス17に引き込まれる形で吸
引ボックス17に収納されながら製版が行われる。一
方、説明が前後するが、小径化プラテンローラ10の従
動回転開始と同じ頃に、原稿が前記原稿読取部に搬送さ
れる。前記原稿読取部のスキャナで読み取られた原稿の
光学情報は、図4に示す画像センサ70でアナログの画
像信号に光電変換され、さらにA/D変換部71、画像
処理部72や画像メモリ74、製版制御部73を経由し
て処理されて送出されるデジタルの画像データ信号に基
づいて、サーマルヘッド11の発熱抵抗体11aがパル
ス選択的に通電されて発熱されることによって、発熱し
た発熱抵抗体11aに接触しているマスタ8のフィルム
部分が加熱溶融穿孔される。このように、従動回転する
小径化プラテンローラ10によりサーマルヘッド11に
押付けられながら移動するマスタ8に対しての、画像情
報に応じたサーマルヘッド11の発熱抵抗体11aによ
る位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パター
ンとしてマスタ8に書き込まれていく。
【0122】一方、版胴1はクランパ7が図1において
略右横となる給版位置になるまで回転して停止する。版
胴1が給版位置に停止すると、前記開閉装置によりクラ
ンパ7が開放されて給版待機状態となる。クランパ7が
開放されると同時に、製版駆動制御部75の指令の下に
反転ローラ用電磁クラッチ34に通電されることによ
り、駆動モータ68の回転駆動力が前記回転伝達手段を
介して反転ローラ14aに伝達され、これにより反転ロ
ーラ対14a,14bが所定の角度回転し、製版済みの
マスタ8の先端部がガイド板15に案内されてステージ
6とクランパ7との間に挿入される。反転ローラ対14
a,14bが所定の角度回転して、これに対応して駆動
モータ68のステップ数がある設定値に達し、製版済み
のマスタ8の先端部がステージ6とクランパ7との間に
届いたと判断されると、前記開閉装置によりクランパ7
が閉じられ、製版済みのマスタ8の先端部がステージ6
とクランパ7との間に吸着・挾持される。
【0123】製版済みのマスタ8の先端部のクランプ
後、前記電動モータの駆動により版胴1が回転を再開し
て、製版済みのマスタ8が吸引ボックス17より引き出
されながら反転ローラ対14a,14bにより搬送され
て版胴1の外周面へ給版されるが、この版胴1の外周面
への巻装時には巻装シワを発生させることなく行われ
る。駆動モータ68の所定ステップ数の回転駆動によ
り、マスタ8への製版および設定量の製版済みのマスタ
8の搬送が終了したと判断されると、駆動モータ68の
回転駆動が停止されることにより小径化プラテンローラ
10、搬送ローラ対12a,12bおよび反転ローラ対
14a,14bの回転が停止すると共に、カッタ13が
作動して製版済みのマスタ8が切断される。このとき、
版胴1の回転によってマスタ8が吸引ボックス17より
完全に引き出される前にカッタ13によるマスタの切断
が終了するようになっていて、マスタ8の後端部が引き
ちぎれたりしないような設定になっている。また、この
とき、反転ローラ用電磁クラッチ34がオフすることに
より、版胴1の回転力によってマスタ8を介して反転ロ
ーラ対14a,14bが連れ回り・従動回転することと
なるので、マスタ8に適度な張力が作用して巻装シワの
発生をより確実に防止することができる。そして、切断
された製版済みのマスタ8の後端が、版胴1の回転によ
って製版装置99内から引き出され、版胴1の外周面に
完全に巻き取られた段階で版胴1への製版済みのマスタ
8の巻装が終了すると共に、吸引ボックス17の前記吸
引口近傍に設けられたセンサ等により、マスタ8の残り
等が判断される。
【0124】版胴1への製版済みのマスタ8の巻装が完
了すると、印刷工程が開始される。すなわち、前記給紙
装置の前記分離給紙部材により前記給紙トレイ上に積載
されている印刷用紙が1枚分離・給送され、レジストロ
ーラ対20,20でタイミングを取られ、版胴1の外周
面とプレスローラ21との間に向けて搬送される。レジ
ストローラ対20,20におけるマスタ搬送方向X下流
近傍に配設されている図示しない用紙検知センサによ
り、前記印刷用紙の通過が検知されることによって、前
記係止手段が解除されて、プレスローラ21が前記バネ
部材の付勢力によって、前記印刷用紙が版胴1の外周面
に巻装されている製版済みのマスタ8(図1には図示せ
ず)に連続的に押圧されて、製版済みのマスタ8を版胴
1の外周面に密着させるためのいわゆる版付け印刷が行
われる。この版付け印刷では、版胴1の開孔部分から製
版済みのマスタ8の穿孔部分へとインキが滲み出てきて
前記印刷用紙の表面に転移され、孔版印刷が行われる。
このとき、インキローラ2も版胴1の回転方向と同一方
向に回転する。インキ溜まり4のインキは、インキロー
ラ2の回転によりインキローラ2の表面に付着され、イ
ンキローラ2とドクターローラ3との間隙を通過する際
にその量を規制され、版胴1の内周面に供給される。
【0125】こうして孔版印刷された印刷用紙の先端部
は、版胴1の外周面に接近する剥離爪24により版胴1
上の製版済みのマスタ8から剥離され、剥離された印刷
用紙は前記排紙トレイに排出・積載される。版付け印刷
終了後、プレスローラ21は版胴1から離間し、版胴1
は図1においてクランパ7が略真上となる初期位置に復
帰して、印刷待機状態となる。前記版付け印刷工程と並
行して、開閉板16は時計回り方向に90度回転・変位
してガイド搬送位置を占めると共に、吸引ファン18の
回転が停止する。
【0126】その後、駆動モータ68が再度駆動される
ことにより、駆動ローラ65、小径化プラテンローラ1
0、搬送ローラ対12a,12bおよび反転ローラ対1
4a、14bが回転を再開して、切断されたマスタ8の
先端が反転ローラ対14a、14bのニップ部に向けて
送り込まれる。駆動モータ68のパルス数から、切断さ
れたマスタ8の先端が反転ローラ対14a、14bのニ
ップ部に届き挟持されたと判断されると、駆動ローラ6
5、小径化プラテンローラ10、搬送ローラ対12a,
12bおよび反転ローラ対14a、14bの回転が停止
し、これと同時に開閉板16も反時計回り方向に回転し
て初期位置であるタワミ吸引位置に復帰して、次の製版
に備えた製版待機状態になる。
【0127】版付け印刷終了後、オペレータは前記排紙
トレイに排出された印刷物を適宜目視して、通常の印刷
動作を行ってもよいかどうかを適宜判断し、オーケーで
あればテンキー43で印刷枚数を設定し、プリントキー
42を押すと、前記したと同様の給紙、通常印刷および
排紙の各動作が順次行われる。
【0128】ここで、図10を参照して、マスタ8の搬
送力および製版長さを調整するための従来方式および本
実施形態1の方式による相違点について補足説明する。
例えば、特開平7−156520号公報等に開示されて
いるような従来方式では、図10(a)に示すように、
製版長さを調整するために、搬送ローラ12bにトルク
リミッタを設けると共に、搬送ローラ対12a,12b
の周速度をプラテンローラ200のそれよりも速く設定
し、かつトルクリミッタの伝達トルクを調整することに
より、製版済みのマスタ8に生じる張力(フロントテン
ションFf)を制御する方式を採っていた。しかしなが
ら、この方式では、マスタ搬送方向X下流側にマスタ8
の一端を引っ張ることで製版済みのマスタ8にフロント
テンションFfを付与して製版長さを調整していたの
で、ベースの厚さの薄いマスタ8やベースの全く無いマ
スタ等のようにその穿孔部分での強度が大幅に低下する
ようなマスタ8の場合、フロントテンションFfを掛け
たとき、張力ムラや強度の低下した穿孔部分が容易に伸
びてしまい、それほど大きなフロントテンションFfを
加えることができず、これにより製版済みのマスタ8が
縮んで変形してしまう不具合が発生しやすくなったり、
製版長さ、すなわち製版画像寸法の再現性を満足するこ
とが困難であった。
【0129】しかし、この実施形態1では、図10
(b)に示したように、マスタ巻き掛け角θaを大きく
した状態でマスタ8の搬送を行い、かつ、駆動ローラ6
5と小径化プラテンローラ10との間で発生する搬送力
でマスタ8の搬送を行うことにより、従来のような問題
点を生じることなく、いわば必然的に、C部とB部との
間のマスタ8に適度のフロントテンションが作用してい
ると見ることができる。前記作用に加えて、実際にサー
マルヘッド11の発熱抵抗体11aでマスタ8が加熱溶
融穿孔されている直後の部分では、ニップ中心Ncから
マスタ接触境界Mbに向けて小径化プラテンローラ10
の外周表面が加熱溶融穿孔直後のマスタ8の部分を前記
摩擦力によって実質的に保持しながら移動しているか
ら、その部分の熱収縮を抑えながら冷却作用を効果的に
行っているとも考えられる。
【0130】本実施形態1によれば、前述した構成を有
することにより、前述した利点および後述する効果の他
に、以下の利点が得られる。本実施形態1によれば、マ
スタ種類検出手段からの信号に基づいて、予め使用する
ように設定されたマスタと相違するときに、製版動作を
禁止する製版動作制御手段を有することにより、予め使
用するように設定されたマスタと相違するマスタを使用
して製版動作を行うことによって生じるおそれのあるマ
スタのシワ等の不具合を未然に防止することができる。
また、マスタ種類検出手段は、所定の大きさに形成され
たマスタのタワミを検出するタワミ検知手段と、マスタ
のタワミを吸引して一時貯留するための吸引貯留手段
と、タワミ検知手段からの信号に基づいて、吸引貯留手
段によりマスタのタワミが吸引されるときの時間を測定
するタワミ吸引計時手段とからなることにより、例えば
マスタの剛度(強度)がマスタの種類に応じて異なるこ
とを利用できるから、吸引貯留手段を有する通常の製版
装置の構成において、簡単な構成でマスタの種類を検出
できる。
【0131】図11に、実施形態1の変形例1を示す。
この変形例1は、実施形態1におけるマスタ巻き掛け角
θaよりもさらにマスタ巻き掛け角θaを大きくするよ
うに、小径化プラテンローラ10に対する駆動ローラ6
5の配置位置のみを変えたものである。これにより、小
径化プラテンローラ10と駆動ローラ65とのニップ部
およびマスタ接触境界Mbは、実施形態1におけるニッ
プ部Nよりもさらに小径化プラテンローラ10の従動回
転方向の進み側、図11では小径化プラテンローラ10
の上側へとずれることとなる。
【0132】変形例1によれば、実施形態1よりもマス
タ巻き掛け角θaを大きくしたことに伴う利点が得られ
る他、例えば、従来例で説明したことに関連して、小径
化プラテンローラ10の両端支持梁構成に伴い生じる、
小径化プラテンローラ10の軸方向中央部を凸部とする
マスタ搬送方向Xに弓形状に撓み変形する不具合を防止
できると共に、サーマルヘッド11の発熱抵抗体列に対
して小径化プラテンローラ10の軸方向中央部を凸部と
する上下方向に弓形状に撓み変形する不具合(サーマル
ヘッド11の発熱抵抗体列の中央部に対して有効ニップ
幅Nbを上下方向で確保できなくなる不具合)も防止で
きる利点がある。
【0133】実施形態1や変形例1では、駆動ローラ6
5がマスタ8を介して小径化プラテンローラ10に圧接
しこれを従動回転させる特有の構成を有していることか
ら、フロントテンション付与手段38を構成する搬送ロ
ーラ用電磁クラッチ33のトルクリミッタ機能は、必須
の構成ではなく無くても構わない。
【0134】駆動ローラ軸65aの各溝29c内におけ
る回転摺擦抵抗等を小さくしたい場合には、各駆動ロー
ラ軸65aの端部に転がり軸受けを装着した上で各溝2
9c内に回転自在かつ移動自在に支持・案内させてもよ
い。駆動ローラ65の弾性体層65bの材質は、前述し
たものに限らず、マスタ8に対する非粘着性、耐熱性、
導電性および圧縮永久歪等の要求品質特性等を満足する
ものであれば、例えば金属製のものであっても構わな
い。
【0135】本発明の実施形態は、実施形態1等に限ら
ず、実施形態1等におけるような特性値検出手段群から
の各信号に基づいて、製版駆動制御部75により行われ
る木目の細かい押付け力Fの可変制御によって得られる
前記した利点や後述する効果をそれ程望まなくてもよい
のであれば、特性値検出手段としての画像量検出手段4
8、温度センサ30、湿度センサ31、ヘッド温度セン
サ32のうちの何れか一つを配設して、前記制御手段が
その何れか一つの特性値検出手段からの信号に基づい
て、押付け力Fの可変制御を行うように構成してもよい
(請求項7,8、9,10参照)。また、特性値検出手
段としての画像量検出手段48、温度センサ30、湿度
センサ31、ヘッド温度センサ32のうちの何れか一つ
を配設して構成したよりも木目の細かい押付け力Fの可
変制御を望むのであれば、前記制御手段は、少なくとも
二つ以上の前記特性値検出手段からの各信号に基づい
て、押付け力Fの可変制御を行うように構成してもよい
(請求項11参照)。
【0136】本発明の実施形態は、実施形態1および上
述した制御構成等に限らず、より一層木目の細かい押付
け力Fの可変制御を行いたいのであれば、マスタ搬送性
等関係要因の特性としてマスタの種類を適用し、その特
性値検出手段としてマスタの種類を検出するマスタ種類
検出手段を制御構成としてもよい。すなわち、製版駆動
制御部75の前述した機能に、特性値検出手段としての
画像量検出手段48、温度センサ30、湿度センサ31
およびヘッド温度センサ32からの各信号に加えて、マ
スタ種類検出手段としての前記タイマからのマスタの種
類に係る信号に基づいて、押付け力Fを変えるように押
付け力可変手段50のカム駆動モータ56を制御する機
能を付加したものである。そして、この場合において
も、前記タイマを個別に1つだけ配設したり、あるいは
前記タイマを含み少なくとも二つ以上の前記特性値検出
手段からの各信号に基づいて、押付け力Fの可変制御を
行うように構成してもよい。 (実施形態2)図12ないし図17を参照して実施形態
2を説明する。図12において、符号99Aは実施形態
2の製版装置を示す。製版装置99Aは、実施形態1の
製版装置99と比較して、図12ないし図17に示すよ
うに、製版装置99における駆動ローラ65に代えて、
小径化プラテンローラ10よりもマスタ搬送方向X下流
側に設けられ、マスタ8を介して小径化プラテンローラ
10を従動回転させる駆動部材としての巻き掛けローラ
80およびこの巻き掛けローラ80に従動して回転する
巻き掛けローラ81からなる上下一対の巻き掛けローラ
80,81と、製版装置99における押付け力可変手段
50に代えて、マスタ巻き掛け角θaを変えるマスタ巻
き掛け角可変手段76とを有すること、および搬送ロー
ラ用電磁クラッチ33のトルクリミッタ機能を除去した
ことが主に相違する。
【0137】製版装置99Aは、前記した特徴ある構成
に加えて、小径化プラテンローラ10とサーマルヘッド
11とのニップ部Nよりもマスタ搬送方向X下流側で、
小径化プラテンローラ10にマスタ8を巻き付けるマス
タ巻き掛け角θaを大きくした状態でマスタ8の搬送を
行うことを特徴とするものであり、また巻き掛けローラ
対80,81の間で発生する搬送力で、小径化プラテン
ローラ10と巻き掛けローラ対80,81との間のマス
タ8を介して、小径化プラテンローラ10を従動回転さ
せてマスタ8の搬送を行うことを特徴とするものであ
る。
【0138】図12において、符号θbは、小径化プラ
テンローラ10よりもマスタ搬送方向X下流側のマスタ
8もしくは製版済みのマスタ8をサーマルヘッド11よ
り遠ざける向きに搬送するためのマスタ離れ角を示す。
マスタ離れ角θbは、巻き掛けローラ対80,81のニ
ップ部が小径化プラテンローラ10とサーマルヘッド1
1とのニップ部Nよりも上方に位置するように、図12
において巻き掛けローラ対80,81のニップ部と小径
化プラテンローラ10とサーマルヘッド11のニップ部
Nとの間のマスタ8と、発熱抵抗体11aが配置された
サーマルヘッド11の水平面の延長線とのなすマスタ離
れ角θbが鋭角の範囲内で大きくなるように、巻き掛け
ローラ対80,81、小径化プラテンローラ10および
サーマルヘッド11を配置している。このように実施形
態2でも、マスタ巻き掛け角θaを大きくした状態でマ
スタ8の搬送を行い、小径化プラテンローラ10よりも
マスタ搬送方向X下流側のマスタ8もしくは製版済みの
マスタ8は、サーマルヘッド11の発熱抵抗体11aよ
り常に遠ざかる向きに搬送されているといえるから、実
施形態1と同様の利点を得られる。巻き掛けローラ対8
0,81が図13に示すホームポジションを占めたと
き、例えば、マスタ巻き掛け角θaが最も小さい0度
に、マスタ離れ角θbが最も小さい0度になるようにそ
れぞれ設定される。
【0139】ここで、図16を参照して、巻き掛けロー
ラ対80,81により挟持されたマスタ8、小径化プラ
テンローラ10、サーマルヘッド11、マスタ巻き掛け
角θaおよびマスタ離れ角θbとの間の関係について説
明する。図16において、マスタ接触境界Mbを点C1
とし、マスタ離れ角θbにおいて、マスタ8と点C1と
を結ぶ半直線の延長線がサーマルヘッド11の発熱抵抗
体表面と交わる点を点B1とし、小径化プラテンローラ
10の軸中心10cを点O1とし、サーマルヘッド11
の発熱抵抗体表面におけるニップ部中心Ncを点A1と
した場合、各点O1,A1,B1,C1を線分で結んで
4角形を形成できる。図16において、θ+θb=18
0°、θ+θa=180°(4角形O1A1B1C1の
内角から)となるから、マスタ巻き掛け角θa=マスタ
離れ角θbの関係にあることが分かる。なお、図16で
は、小径化プラテンローラ10の弾性体層10bが押圧
力により押し潰されてニップ部Nを形成している状態を
誇張して示している。
【0140】巻き掛けローラ対80,81がホームポジ
ションを占めたとき、マスタ巻き掛け角θaおよびマス
タ離れ角θbはそれぞれ0度であるが、実際に使用する
ときには、図17に示されているように例えば小径化プ
ラテンローラ10の直径D=12mm、有効ニップ幅N
b=約1mmという条件の下で、θa,θb≧10°、
すなわちマスタ巻き掛け角θaおよびマスタ離れ角θb
が10°以上のときに好ましい効果が出ることを確認し
ている。実験によれば、マスタ巻き掛け角θaおよびマ
スタ離れ角θbが30°位のときが最も好ましい効果が
得られた。
【0141】マスタ巻き掛け角可変手段76は、巻き掛
けローラ80を回転駆動する駆動手段としての駆動モー
タ86を備えた巻き掛けローラ駆動機構83と巻き掛け
ローラ対80,81とを備え、マスタ巻き掛け角θaを
変える方向に変位可能な変位ユニット77と、この変位
ユニット77をマスタ巻き掛け角θaを変える方向であ
る上下方向に変位させるためのユニット駆動機構90
と、製版側板対29a,29bの内側壁にそれぞれ固設
され、変位ユニット77を上下方向に案内する案内部材
29e,29eとを具備している。
【0142】変位ユニット77は、前記した巻き掛けロ
ーラ対80,81と、巻き掛けローラ駆動機構83と、
巻き掛けローラ対80,81を各軸80a,81aを介
して回転自在に支持すると共に、製版側板対29a,2
9b側の各案内部材29eに案内される被案内部78d
をそれぞれ備えたローラ支持枠体78とから主に構成さ
れる。
【0143】巻き掛けローラ80は、図12および図1
4に示すように、芯金80a’と、この芯金80a’の
周りに被覆された高分子の弾性体層80bと、芯金80
a’と一体的に形成された巻き掛けローラ軸80aとか
ら構成されている。これと同様に、巻き掛けローラ81
は、芯金81a’と、この芯金81a’の周りに被覆さ
れた高分子の弾性体層81bと、芯金81a’と一体的
に形成された巻き掛けローラ軸81aとから構成されて
いる。前記したとおり、巻き掛けローラ80は駆動ロー
ラであり、巻き掛けローラ81は従動ローラである。巻
き掛けローラ80と巻き掛けローラ81とは、図示しな
いバネ等の付勢手段により所定の押圧力を与えられて圧
接して設けられていて、各巻き掛けローラ軸80a,8
1aの両端部がローラ支持枠体78の左右両側の枠側板
部78a,78bに回転自在に支持されていることによ
り、互いに反対方向に回転可能となっている。
【0144】巻き掛けローラ対80,81を構成する材
質および寸法は同様であるため、巻き掛けローラ80に
ついてのみ述べる。巻き掛けローラ80の芯金80a’
は、例えばステンレススチール(SUS)等の金属でで
きていて、弾性体層80bは、例えばマスタ8に対する
非粘着性、耐熱性、導電性および圧縮永久歪の良好なシ
リコーンゴムでできている。巻き掛けローラ80の仕様
について実施例的に述べると、例えば、その直径が24
mm、芯金80a’の径が18mm(弾性体層80bの
厚さ3mm)のものを使用している。巻き掛けローラ8
0の弾性体層80bの硬度(Hs)は、例えばJIS硬
度Aスケールで20〜60度であるものが好ましく用い
られる。巻き掛けローラ80の弾性体層80b(シリコ
ーンゴム層)外周表面の摩擦係数μは、製版済みのマス
タ8の適正な搬送力を得てマスタ搬送性を保つために、
フィルムの材質がポリエステルテレフタレート(PE
T)製のマスタ8に対して、小径化プラテンローラ10
の弾性体層10b(シリコーンゴム層)外周表面の摩擦
係数μよりも大きい、例えば乾燥状態でμ=1.0〜
2.0程度のものが好ましく用いられる。これは、巻き
掛けローラ対80,81の外周表面の摩擦係数μが、小
径化プラテンローラ10のそれよりも小さい場合には、
マスタ8に対する搬送・駆動部材としての巻き掛けロー
ラ対80,81の摩擦力が小径化プラテンローラ10の
それよりも小さくなるから、マスタ8を介して小径化プ
ラテンローラ10を従動回転させることができなくなる
と共に、適正な搬送力を得ることができず、マスタ搬送
性を保つことができなくなるからである。
【0145】なお、巻き掛けローラ対80,81の各弾
性体層80b,81bの材質は、前述したものに限ら
ず、マスタ8に対する非粘着性、導電性および圧縮永久
歪あるいは外周表面の摩擦係数等の要求品質特性等を満
足するものであれば、例えば金属製のものであっても構
わない。
【0146】巻き掛けローラ駆動機構83は、製版側板
29b側寄りのローラ支持枠体78の底壁内上面に固設
され、ステッピングモータからなる駆動モータ86と、
この駆動モータ86の回転駆動力を巻き掛けローラ80
に伝達するための回転伝達手段とからなる。この回転伝
達手段は、製版側板29b側寄りの巻き掛けローラ軸8
0の端部に固設された第2ギヤ85と、駆動モータ86
の出力軸に固設され第2ギヤ85と噛み合う第1ギヤ8
4とから構成されている。
【0147】ローラ支持枠体78は、例えば板金やアル
ミニウム等の軽金属の合金でできていて、製版側板対2
9a,29bの各内側に設けられている。ローラ支持枠
体78の各被案内部78dに対向する図13および図1
4において左側の両側端壁上部には、ラック79がそれ
ぞれ一体形成されている。図13に示すように、製版側
板29b側寄りの被案内部78d下部のローラ支持枠体
78には、遮光片78cが突出形成されている。一方、
製版側板29bの内壁には、遮光片78cと選択的に係
合するホームポジションセンサ87が固設されている。
ホームポジションセンサ87は、透過型のフォトセンサ
からなる。ホームポジションセンサ87は、巻き掛けロ
ーラ対80,81がそのホームポジションである図13
に示す最下降位置を占めたときに、ローラ支持枠体78
の遮光片78cと係合することにより、巻き掛けローラ
対80,81のホームポジションを検知するようになさ
れている。製版側板対29a,29bの間には、巻き掛
けローラ対80,81をホームポジションに位置させる
ための、ローラ支持枠体78の底壁面に接触してローラ
支持枠体78の下降を止めるストッパ部材89が掛け渡
されている。巻き掛けローラ対80,81がホームポジ
ションを占めたとき、マスタ巻き掛け角θaは最も小さ
い角度となるが、このときの角度は、勿論、従来のそれ
より十分大きくなるように設定されている。
【0148】前記構成のとおり、図13において、駆動
モータ86の時計回り方向の駆動により、巻き掛けロー
ラ80が反時計回り方向に回転駆動されると共に、巻き
掛けローラ81が時計回り方向に従動回転されることに
よって、これに伴うマスタ8の搬送力を介して、小径化
プラテンローラ10が従動回転されつつ、マスタ8は適
度の軽いバックテンションを受けながら、かつ、緩むこ
となくマスタロール8aから引き出されることとなる。
【0149】ユニット駆動機構90は、変位ユニット7
7を上下方向に変位・駆動するための、製版側板29b
の内壁に固設されたユニット駆動モータ92と、このユ
ニット駆動モータ92の回転駆動力を変位ユニット77
に伝達するための回転伝達手段とからなる。この回転伝
達手段は、出力軸91aに固設され製版側板29b寄り
の枠側板部78bに形成されたラック79と噛み合うピ
ニオン91と、出力軸91aに固設され製版側板29a
寄りの枠側板部78aに形成されたラック79と噛み合
うピニオン91とから構成されている。出力軸91a
は、製版側板対29a,29bの間に亘り長く形成され
ていて、その先端部が製版側板29aに回転自在に支持
されている。ユニット駆動モータ92は、ステッピング
モータからなる。なお、ユニット駆動モータ92は、ス
テッピングモータに限らず、制御用のDCモータであっ
てもよく、この場合には回転位置検出用のエンコーダ等
を内蔵した物やスリット円板等を配設する必要がある。
【0150】ここで、マスタ巻き掛け角可変手段76の
詳細動作を説明しておく。ユニット駆動モータ92に図
示しないパルス発生回路およびモータ駆動回路を介して
正転駆動パルスまたは逆転駆動パルスの所定の駆動パル
ス数が入力され、ユニット駆動モータ92が所定のステ
ップ数回転駆動されると、その回転運動(駆動力)がピ
ニオン91とラック79との噛合により、ローラ支持枠
体78に伝達されつつ各案内部材29eを介して上下方
向への直線運動に変換されて、最終的に巻き掛けローラ
対80,81の上下方向への直線変位運動となる。以
下、説明の便宜上から、正転駆動パルスに対応して巻き
掛けローラ対80,81が上方向Uへ変位するものと
し、これと反対に逆転駆動パルスに対応して巻き掛けロ
ーラ対80,81が下方向Dへ変位するものとする上記
の動作により、例えばユニット駆動モータ92に所定の
正転駆動パルス数が入力されることにより、ホームポジ
ションを占めていた巻き掛けローラ対80,81が上方
向Uに変位すると、マスタ巻き掛け角θaが大きくなっ
て、小径化プラテンローラ10の外周面にマスタ8が接
触するマスタ接触範囲面積も広がると共に、マスタ離れ
角θbも大きくなる。これとは逆に、例えばユニット駆
動モータ92に所定の逆転駆動パルス数が入力されるこ
とにより、巻き掛けローラ対80,81が下方向Dに変
位すると、マスタ巻き掛け角θaが小さくなって、小径
化プラテンローラ10の外周面にマスタ8が接触するマ
スタ接触範囲面積も狭まると共に、マスタ離れ角θbも
小さくなる。
【0151】実施形態2では、前述した構成および後述
する動作から、画像量検出手段48、温度センサ30、
湿度センサ31、ヘッド温度センサ32、および前記マ
スタ種類検出手段からなる特性値検出手段群は、実施形
態1と同様に、少なくとも製版時におけるマスタ搬送性
等に影響を与えるマスタ搬送性等関係要因の特性値を検
出する機能を有する。実施形態2では、製版時における
マスタ製版寸法の伸縮に影響を与えるマスタ伸縮関係要
因の特性値の占める度合いが実施形態1のそれよりも大
きくなっている。
【0152】次に、図15を参照して、実施形態2にお
ける主として製版装置99Aの制御を行う制御構成を説
明する。実施形態2の制御構成は、実施形態1のそれと
比較して、製版駆動制御部75に代えて、製版駆動制御
部75Aを有すること、回転位置センサ60およびホー
ムポジションセンサ61に代えて、ホームポジションセ
ンサ87を有し、駆動モータ68に代えて、駆動モータ
86を有し、およびカム駆動モータ56に代えて、ユニ
ット駆動モータ92を有し、これらが図15に示すよう
な製版駆動制御部75Aに前記入力ポートや出力ポート
を介して電気的にそれぞれ接続されていることが主に相
違する。
【0153】この実施形態2では、製版駆動制御部75
Aは、製版駆動制御部75の第3の機能と同様の機能を
有する他、製版駆動制御部75の第1および第2の機能
に代えて以下の諸制御機能を有する。第1に、製版駆動
制御部75Aは、温度センサ30からの信号に基づい
て、巻き掛けローラ80の周速度であるマスタ搬送速度
を変えるように駆動モータ86を制御する制御手段とし
ての機能を有する。
【0154】第2に、製版駆動制御部75Aは、画像量
検出手段48、温度センサ30、湿度センサ31、ヘッ
ド温度センサ32およびホームポジションセンサ87か
らの各信号に基づいて、マスタ巻き掛け角θaを変える
べく、すなわち巻き掛けローラ対80,81の上下方向
の位置、換言すればローラ支持枠体78の位置を変える
ようにマスタ巻き掛け角可変手段76のユニット駆動モ
ータ92を制御する制御手段としての機能を有する。
【0155】第3に、製版駆動制御部75Aは、巻き掛
けローラ対80,81の上下方向の位置変位量に応じ
て、小径化プラテンローラ10およびサーマルヘッド1
1のニップ部中心Ncと搬送ローラ対12a,12bの
ニップ部との間のマスタ8の長さが変化するのに着目し
てその間のマスタ8を常に弛ませないようにするため
に、巻き掛けローラ対80,81の上下方向の位置変位
量に応じて、ニップ部中心Ncと搬送ローラ対12a,
12bのニップ部との間のマスタ8の長さの変化量を補
償すべく、駆動モータ86、搬送ローラ用電磁クラッチ
33や反転ローラ用電磁クラッチ34を制御する機能を
有する。
【0156】製版駆動制御部75A内の前記ROMに
は、前記した第1ないし第3等の機能を有する製版駆動
制御部75Aによる制御を行うための前もって実験等に
より求められたデータテーブルや図9に示すプログラム
あるいは後述する動作を行うためのプログラムが予め記
憶されている。製版駆動制御部75A内の前記RAM
は、前記CPUでの判断結果や計算結果を一時記憶した
り、各センサ等からの出力信号を随時記憶したりしてこ
れら信号の入出力を行う。前記したデータテーブルとし
ては、例えば、温度センサ30により検出される温度と
駆動モータ86に供給すべきパルス周波数(pps)と
の関係データ、前記した4つの特性値検出手段により検
出される各特性値とマスタ巻き掛け角θaとの関係デー
タ、およびマスタ巻き掛け角θaに対応したローラ支持
枠体78の位置、すなわち巻き掛けローラ対80,81
のニップ部の位置とユニット駆動モータ92への正転も
しくは逆転駆動パルス数との関係データ等が挙げられ
る。
【0157】実施形態2の動作について、実施形態1と
相違する点を中心に説明する。実施形態1と同様に、製
版スタート信号が生成されて、これが製版駆動制御部7
5Aに入力されることによって製版がスタートする。ま
ず、前記スキャナがセットされた前記原稿の表面をプリ
スキャンして原稿画像を読み取ると共に、画像量検出手
段48により前記原稿に対応した製版画像量が検出さ
れ、その信号が製版駆動制御部75Aに送信される。
【0158】前記製版画像量の検出動作に前後して、温
度センサ30からの製版装置99A本体の温度に係る信
号に基づいて、駆動モータ86に供給するパルス周波数
(pps)を可変制御することによって、巻き掛けロー
ラ80の周速度であるマスタ搬送速度が設定される。例
えば、温度センサ30で検出された製版装置99A本体
の温度が低い低温環境下においては、小径化プラテンロ
ーラ10および巻き掛けローラ対80,81が前記した
ような金属製の芯金10a’,80a’とシリコーンゴ
ム等の高分子の弾性体層10b,80bとで形成されて
いる場合、シリコーンゴム等の高分子の弾性体層10
b,80bが温度低下に伴い収縮を生じるから、各ロー
ラ10,80自体の直径が小さくなってしまい、結果と
して例えば常温時と同一の周速度で巻き掛けローラ80
を回転させた場合にはマスタ搬送距離が短くなってしま
う。それ故に、このような場合には、常温時よりも巻き
掛けローラ80の周速度を速くして、すなわち駆動モー
タ86に供給するパルス周波数(pps)を高くするこ
とにより、常温時と同等のマスタ搬送距離を得られるよ
うにする。これとは逆に、高温環境下においては、前記
したとは反対にシリコーンゴム等の高分子の弾性体層1
0b,80bが温度上昇に伴い膨張を生じるから、常温
時よりも巻き掛けローラ80の周速度を遅くして、すな
わち駆動モータ86に供給するパルス周波数(pps)
を低くして、常温時と同等のマスタ搬送距離を得られる
ようにする。したがって、実施形態2でも、前述の制御
が行われることにより、環境温度の変動にかかわらず、
常に安定したマスタ8の搬送距離を得られる。
【0159】前記した巻き掛けローラ80の周速度補正
動作に前後して、製版駆動制御部75Aからの指令によ
り、画像量検出手段48からのデータ信号に基づき、1
版分のマスタ8に対する穿孔する割合がチエックされる
と共に、温度センサ30および湿度センサ31からの製
版装置99A本体の温度および湿度に係るデータ信号
や、ホームポジションセンサ87からのマスタ巻き掛け
角θaに対応したローラ支持枠体78の上下方向の位置
(巻き掛けローラ対80,81のニップ部の上下方向位
置)に係るデータ信号に基づき、ユニット駆動モータ9
2を制御することによってマスタ巻き掛け角θaが設定
される。
【0160】例えば、製版駆動制御部75Aは、サーマ
ルヘッド11において発熱駆動すべき発熱抵抗体11a
の数が多い場合、すなわち画像量検出手段48により検
出された製版画像量が多くサーマルヘッド11の発熱抵
抗体11aの表面とマスタ8との摩擦力(搬送抵抗)が
増大する場合や、湿度が高くマスタ8表面への水分等の
付着によってサーマルヘッド11における発熱抵抗体1
1a上の保護膜面等に貼り付きやすくなり、マスタ8と
サーマルヘッド11との摩擦力が増加する高湿環境の場
合には、ユニット駆動モータ92に所定の正転駆動パル
ス数を与えることにより、図12ないし図14において
ローラ支持枠体78、すなわち巻き掛けローラ対80,
81のニップ部を上方向Uに変位させてマスタ巻き掛け
角θaを大きくして、小径化プラテンローラ10の外周
面とマスタ8との接触面積を増加させる。このような小
径化プラテンローラ10の外周面とマスタ8との接触面
積の増加により、その接触面での摩擦力(摩擦抵抗)が
全体として大きくなるから、小径化プラテンローラ10
を従動回転させるための搬送力が小径化プラテンローラ
10に確実に作用すると共に、マスタ8と小径化プラテ
ンローラ10との間の滑り量が減少して、製版長さが適
正範囲に調節される。
【0161】特に、上記環境に加えて、環境温度が高い
場合には、サーマルヘッド11の蓄熱が多くなり、マス
タ8が軟化して伸びやすくなることによりマスタ8に形
成される穿孔径が大きくなるため、マスタ8の摩擦力
(搬送抵抗)がさらに増加するので、ユニット駆動モー
タ92に所定の正転駆動パルス数を与えることにより、
図12ないし図14においてローラ支持枠体78、すな
わち巻き掛けローラ対80,81のニップ部をさらに上
方向Uに変位させてマスタ巻き掛け角θaをさらに大き
くして、小径化プラテンローラ10の外周面とマスタ8
との接触面積をさらに増加させる。このような小径化プ
ラテンローラ10の外周面とマスタ8との接触面積のさ
らなる増加により、その接触面での摩擦力(摩擦抵抗)
が全体としてさらに大きくなるから、、小径化プラテン
ローラ10を従動回転させるための搬送力が小径化プラ
テンローラ10にさらに確実に作用すると共に、マスタ
8と小径化プラテンローラ10との間の滑り量がさらに
減少して、製版長さが適正範囲に調節される。
【0162】上記したとは逆に、温度や湿度が低く、マ
スタ8とサーマルヘッド11との摩擦力が低下する低温
・低湿環境の場合には、ユニット駆動モータ92に所定
の逆転駆動パルス数を与えることにより、上記した動作
例よりも図12ないし図14において巻き掛けローラ対
80,81のニップ部を下方向Dに変位させてマスタ巻
き掛け角θaを小さくして、小径化プラテンローラ10
の外周面とマスタ8との接触面積を低減させる。このよ
うな小径化プラテンローラ10の外周面とマスタ8との
接触面積の低減により、その接触面での摩擦力(摩擦抵
抗)が全体として上記動作例よりも小さくなるから、製
版長さが適正範囲に調節される。
【0163】製版動作の途中においては、製版駆動制御
部75Aは、さらに、ヘッド温度センサ32により検出
されたサーマルヘッド11の温度をも加味して、巻き掛
けローラ対80,81のニップ部の上下方向の位置を変
えることでマスタ巻き掛け角θaを調整する。すなわ
ち、図8を借りて示すように、製版動作の始めのうち
(版長の始めのうち)ではサーマルヘッド11の温度上
昇は無視できるほどであるから、これに応じて図8に括
弧を付して示すマスタ巻き掛け角θaを変える必要はな
いが、製版動作の途中からはサーマルヘッド11の蓄熱
等により温度上昇があるから、これに応じてのマスタ巻
き掛け角θaを変える必要がある。
【0164】ここで、ローラ支持枠体78、すなわち巻
き掛けローラ対80,81のニップ部を上方向Uに変位
させてマスタ巻き掛け角θaを大きくするときには、小
径化プラテンローラ10およびサーマルヘッド11のニ
ップ部中心Ncと搬送ローラ対12a,12bのニップ
部との間のマスタ8には、マスタロール8aからマスタ
8を引き出し、かつ、小径化プラテンローラ10を従動
回転させる程度の、換言すればマスタ8の長さを伸ばさ
ないようにする程度の適度の張力が付与されることによ
り、ニップ部中心Ncと搬送ローラ対12a,12bの
ニップ部との間のマスタ8が弛まない状態となる。上述
したとは反対に、ローラ支持枠体78、すなわち巻き掛
けローラ対80,81のニップ部を下方向Dに変位させ
てマスタ巻き掛け角θaを小さくするときには、ニップ
部中心Ncと搬送ローラ対12a,12bのニップ部と
の間のマスタ8を弛まない状態とするために、巻き掛け
ローラ対80,81のニップ部の下方向Dの位置変位量
に応じて、ニップ部中心Ncと搬送ローラ対12a,1
2bのニップ部との間のマスタ8の長さを短くする必要
がある。それ故に、搬送ローラ用電磁クラッチ33およ
び反転ローラ用電磁クラッチ34を共にオンした状態に
して、ニップ部中心Ncと搬送ローラ対12a,12b
のニップ部との間のマスタ8の長さを短くする必要分だ
け、駆動モータ86に所定の駆動パルスを与えることに
より、小径化プラテンローラ10、搬送ローラ対12
a,12bおよび反転ローラ対14a,14bを全て回
転駆動することにより、マスタ8の先端をマスタ搬送方
向X下流端側に送ってやればよい。上述した動作以外の
動作は、実施形態1と同様に行われる。
【0165】ここで、図10(a)および図12を参照
して、マスタ8の搬送力および製版長さを調整するため
の従来方式および本実施形態2の方式による相違点につ
いて補足説明する。従来方式については、実施形態1に
おいて図10(a)を参照して説明したとおりである。
しかし、この実施形態2では、図12に示したように、
マスタ巻き掛け角θaを大きくした状態でマスタ8の搬
送を行い、かつ、巻き掛けローラ対80,81のニップ
部で発生する搬送力で小径化プラテンローラ10を従動
回転させつつ、かつ、ニップ部中心Ncと巻き掛けロー
ラ対80,81のニップ部との間のマスタ8に常に適度
のフロントテンション(ニップ部Nの押圧力に抗して小
径化プラテンローラ10を従動回転させる程度の力)を
付与した状態で、マスタ8の搬送を行うことにより、い
わば必然的に、従来のような問題点を生じることがな
い。また、マスタ巻き掛け角θaの範囲においては、実
施形態1と同様の作用が行われていると考えられる。す
なわち、実際にサーマルヘッド11の発熱抵抗体11a
でマスタ8が加熱溶融穿孔されている直後の部分では、
ニップ中心Ncからマスタ接触境界Mbに向けて小径化
プラテンローラ10の外周表面が加熱溶融穿孔直後のマ
スタ8の部分を前記摩擦力によって実質的に保持しなが
ら移動しているから、その部分の熱収縮を抑えながら冷
却作用を効果的に行っているとも考えられる。
【0166】図18に、実施形態2の変形例2を示す。
この変形例2は、実施形態2と比較して、図18に示す
ように、マスタ支持部材8cと小径化プラテンローラ1
0との間のマスタ搬入経路X1側に、マスタ8の搬送力
を補充して小径化プラテンローラ10を従動回転させる
ための巻き掛けローラ対80,81とは別の駆動部材と
しての上下一対の駆動ローラ93,94と、駆動ローラ
93を回転駆動するステッピングモータからなる駆動モ
ータ98とを有することが主に相違する。駆動ローラ9
3,94の構造やその外周表面の摩擦係数等は、例えば
巻き掛けローラ対80,81と同様になっている。下側
の駆動ローラ93が駆動ローラであり、上側の駆動ロー
ラ94が駆動ローラ93に圧接する従動ローラである。
【0167】駆動ローラ93を回転駆動する駆動ローラ
駆動機構は、製版側板対29b側の外側に突出した駆動
ローラ軸93aの端部に固設された第2プーリ95と、
第2プーリ95近傍の製版側板対29bの外側壁部に固
設された駆動モータ98と、駆動モータ98の出力軸に
固設された第1プーリ96と、第1プーリ96と第2プ
ーリ95との間に掛け渡されたタイミングベルト97と
から主に構成されている。
【0168】変形例2によれば、マスタ排出経路X2側
に配設された駆動部材としての巻き掛けローラ対80,
81とは別の、マスタ8の搬送力を得るための駆動部材
としての上下一対の駆動ローラ93,94を設けたこと
により、マスタ搬入経路X1側で搬送負荷を掛けること
なく、マスタ8の搬送力をいわば増加させた形態でニッ
プ部Nに向けてマスタ8を搬送するから、実施形態2よ
りも確実なマスタ8の搬送力を得ることができると共
に、小径化プラテンローラ10を従動回転させるマスタ
排出経路X2側でのマスタ8の搬送力を低減することも
可能となる。なお、変形例2は、実施形態1にも適用す
ることができる。
【0169】マスタ巻き掛け角可変手段76は、これに
限らず、例えば、ユニット駆動モータ92とピニオン9
1との間に一対のウォームギヤを介装することにより、
ローラ支持枠体78の変位位置を保持するようにしても
よい。また、例えば、ローラ支持枠体78からラック7
9を除去すると共に、これを揺動アーム、この揺動アー
ムの一端に設けた偏心カムやこの偏心カムを駆動する一
対のウォームギヤを介装したカム駆動モータ等で揺動・
昇降可能に構成してもよく、種々の均等な構成が想定さ
れることはいうまでもない。
【0170】実施形態2や変形例2では、小径化プラテ
ンローラ10を従動回転するためのマスタ8の搬送力を
巻き掛けローラ対80,81においてより確実に得るた
めに、巻き掛けローラ対80,81のニップ部に付与さ
れる付勢力を調整・制御したり、巻き掛けローラ80の
外周面に接触するマスタ8の接触範囲を調整・制御した
りすることを行うようにしてもよい。
【0171】本発明の実施形態は、実施形態2等に限ら
ず、実施形態2等におけるような特性値検出手段群から
の各信号に基づいて、製版駆動制御部75Aにより行わ
れる木目の細かいマスタ巻き掛け角θaの可変制御によ
って得られる前記した利点や後述する効果をそれ程望ま
なくてもよいのであれば、特性値検出手段としての画像
量検出手段48、温度センサ30、湿度センサ31、ヘ
ッド温度センサ32のうちの何れか一つを配設して、前
記制御手段がその何れか一つの特性値検出手段からの信
号に基づいて、マスタ巻き掛け角θaの可変制御を行う
ように構成してもよい(第7の技術構成ないし第11の
技術構成参照)。また、特性値検出手段としての、画像
量検出手段48、温度センサ30、湿度センサ31、ヘ
ッド温度センサ32のうちの何れか一つを配設して構成
したよりも木目の細かいマスタ巻き掛け角θaの可変制
御を望むのであれば、前記制御手段は、少なくとも二つ
以上の前記特性値検出手段からの各信号に基づいて、マ
スタ巻き掛け角θaの可変制御を行うように構成しても
よい(第11の技術構成参照)。
【0172】本発明の実施形態は、実施形態2および上
述した制御構成等に限らず、より一層木目の細かいマス
タ巻き掛け角θaの可変制御を行いたいのであれば、マ
スタ搬送性等関係要因の特性としてマスタの種類を適用
し、その特性値検出手段としてマスタの種類を検出する
マスタ種類検出手段を制御構成としてもよい。すなわ
ち、製版駆動制御部75Aの前述した機能に、特性値検
出手段としての画像量検出手段48、温度センサ30、
湿度センサ31およびヘッド温度センサ32からの各信
号に加えて、マスタ種類検出手段としての前記タイマか
らのマスタの種類に係る信号に基づいて、マスタ巻き掛
け角θaを変えるようにマスタ巻き掛け角可変手段76
のユニット駆動モータ92を制御する機能を付加したも
のである。そして、この場合においても、前記タイマを
個別に1つだけ配設したり、あるいは前記タイマを含み
少なくとも二つ以上の前記特性値検出手段からの各信号
に基づいて、マスタ巻き掛け角θaの可変制御を行うよ
うに構成してもよい。
【0173】プラテンローラは、小径化プラテンローラ
10を使用することにより得られる前記した利点を望ま
なくてもよいのであれば、これに限らず、従来の通常の
プラテンローラ200等を使用してもよく、この場合に
は小径化プラテンローラ10における前記利点を除く前
述した利点や後述する効果を奏する。
【0174】マスタ8は、前記した物に限らず、マスタ
8の多孔質支持体の厚さを薄くしたマスタであってもよ
く、例えば本願出願人が提案した特開平11−7794
9号公報に記載されているような合成繊維ベースマスタ
2でもよいし、また合成樹脂フィルムに溶融した樹脂を
塗布して合成樹脂フィルムに樹脂膜を一体的に形成した
ようなマスタも使用することができる。このように、マ
スタの種類に応じて、押付け力Fの可変制御やマスタ巻
き掛け角θaの可変制御を行うことが可能になると、従
来の諸問題点を解決して後述する効果を奏するばかりで
なく、使用するマスタの種類に応じて、印刷画質の向上
を図ったり、マスタ(版)そのもののコストを低減した
り、印刷コストをも低減したりすることが可能となるこ
とはいうまでもない。以上述べたとおり、本発明を特定
の実施形態やこれらに包含されている実施例等について
説明したが、本発明の構成は、上述したものに限定され
るものではなく、これらを適宜組み合わせて、あるいは
単独で構成してもよく、本発明の範囲内において、その
必要性および目的・用途等に応じて種々の実施形態や実
施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0175】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
上述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新
規な製版装置および製版印刷装置を提供することができ
る。請求項毎の効果を挙げれば以下のとおりである。請
求項1記載の発明によれば、プラテンローラよりもマス
タ搬送方向下流側に設けられ、マスタを介してプラテン
ローラを従動回転させる駆動部材と、該駆動部材を駆動
する駆動手段とを有し、プラテンローラとサーマルヘッ
ドとのニップ部よりもマスタ搬送方向下流側で、プラテ
ンローラにマスタを巻き付けるマスタ巻き掛け角を大き
くした状態でマスタの搬送を行うことにより、駆動部材
がマスタ搬送機能を、プラテンローラがマスタ押圧機能
をそれぞれ分担することとなるから、たとえ強度が低く
滑りやすいマスタを使用する場合や、例えば小径化プラ
テンローラを使用する場合においても、サーマルヘッド
への押圧力を極力抑えることができ、これによりマスタ
の変形を防止できると共に、マスタの搬送距離を適正に
保つことができ、なおかつ、適正な押圧力の下でマスタ
の搬送を確実に行うことができ、如何なるマスタであっ
てもそれらの特性等に左右されずに製版できるようにな
る。また、マスタ巻き掛け角が大きい状態でプラテンロ
ーラの外周面に接触しているマスタにはその接触面積に
応じた摩擦力によって均一な力が加わることとなり、熱
収縮の抑制作用と共に、プラテンローラの回転による冷
却作用とが相乗的に働くから、製版時におけるマスタが
伸びたり縮んだりすることを抑えて、シワ等の発生も防
止できるようになり、ひいては製版時において画像寸法
再現性を良くすることが可能となる。また、マスタ巻き
掛け角を大きくした状態でマスタの搬送を行うことによ
り、必然的に、プラテンローラよりもマスタ搬送方向下
流側のマスタもしくは製版されたマスタをサーマルヘッ
ドの発熱抵抗体より遠ざける向きに搬送することとなる
から、マスタの熱可塑性樹脂フィルムの加熱溶融部分が
サーマルヘッドの発熱抵抗体表面と溶着してスティック
等を生じることを抑制できると共に、これによりサーマ
ルヘッドとの摩擦力を極力低減した状態でマスタの搬送
距離を適正に確保でき、またマスタもしくは製版された
マスタがサーマルヘッドの蓄熱などの影響を受けて変形
してしまうことを防止できる。
【0176】請求項2記載の発明によれば、駆動部材
は、マスタを介してプラテンローラに当接して配置され
ており、駆動部材とプラテンローラとの間で発生する搬
送力でマスタの搬送を行うことにより、請求項1記載の
発明の効果に加えて、マスタの搬送力は駆動部材とプラ
テンローラとの間で得られるというような簡単な構成に
よって確保されるため、サーマルヘッドへの押圧力を極
力抑えることができて、マスタの変形をより確実に防止
できると共に、例えば小径化プラテンローラを使用した
際のマスタ搬送方向への小径化プラテンローラ中央部を
凸とした弓形状の撓み変形を抑制できるから、サーマル
ヘッドの主走査方向の如何なる位置においても発熱抵抗
体を、サーマルヘッドと小径化プラテンローラとのニッ
プ部に対して外れることなく配置することができ、これ
により押圧力不足による穿孔不良を含む製版画像不良を
無くして良好な画像を得ることができる。
【0177】請求項3記載の発明によれば、マスタに対
する駆動部材の摩擦係数が、プラテンローラのそれより
も大きいことにより、マスタに対する駆動部材の摩擦係
数がプラテンローラのそれよりも小さいときにはマスタ
を搬送することが困難となるから、請求項1または2記
載の発明の効果におけるマスタの確実な搬送性を得られ
る。請求項4記載の発明によれば、駆動部材は、回転自
在なローラであることにより、請求項1,2または3記
載の発明の効果に加えて、駆動部材を簡単な構成で実現
できる。請求項5記載の発明によれば、製版装置本体の
内部および外部の温度のうちの少なくとも一方の温度を
検出する温度検出手段からの信号に基づいて、駆動部材
におけるマスタ搬送速度を変えるように駆動手段を制御
する制御手段を有することにより、請求項1,2,3ま
たは4記載の発明の効果に加えて、温度検出手段で検出
された温度が低い低温環境下においては、例えば、プラ
テンローラおよび駆動部材が金属製の芯金とゴム等の高
分子の弾性体とで形成されている場合、ゴム等の高分子
の弾性体が温度低下に伴い収縮を生じるから、プラテン
ローラおよび駆動部材自体の直径が小さくなってしま
い、結果として例えば常温時と同一の周速度で駆動部材
を回転させた場合にはマスタの搬送距離が短くなってし
まうが、このような場合には、常温時よりも駆動部材に
おけるマスタ搬送速度を速くすることにより、常温時と
同等のマスタの搬送距離を得られる。また、これとは逆
に、高温環境下においては、ゴム等の高分子の弾性体が
温度上昇に伴い膨張を生じるから、常温時よりも駆動部
材におけるマスタ搬送速度を遅くすることにより、常温
時と同等のマスタの搬送距離を得られる。したがって、
環境温度の変動にかかわらず、常に安定したマスタの搬
送距離を得ることができる。
【0178】請求項6記載の発明によれば、プラテンロ
ーラに対する駆動部材の押付け力を変える押付け力可変
手段と、少なくとも製版時におけるマスタ搬送性等に影
響を与えるマスタ搬送性等関係要因の特性値を検出する
ための特性値検出手段と、特性値検出手段からの信号に
基づいて、押付け力を変えるように押付け力可変手段を
制御する制御手段とを有することにより、請求項1,
2,3または4記載の発明の効果に加えて、特性値検出
手段により検出された少なくともマスタ搬送性等関係要
因の特性値の大小・高低等に応じて、押付け力を自動的
に変えることができるから、少なくとも製版時における
マスタ搬送性等を確実に得ることができ、これによりマ
スタの搬送距離を適正に保つと共に、画像寸法再現性を
良くすることができる。
【0179】請求項7記載の発明によれば、特性値検出
手段は、製版装置本体の内部および外部の温度のうちの
少なくとも一方の湿度を検出する湿度検出手段からなる
ことにより、その湿度の高低に応じて、請求項6記載の
発明の効果を奏する。請求項8記載の発明によれば、特
性値検出手段は、マスタに形成される製版画像量を検出
する画像量検出手段からなることにより、製版画像量の
多少に応じて、請求項6記載の発明の効果を奏する。請
求項9記載の発明によれば、特性値検出手段は、製版装
置本体の内部および外部の温度のうちの少なくとも一方
の温度を検出する温度検出手段からなることにより、そ
の温度の高低に応じて、請求項6記載の発明の効果を奏
する。請求項10記載の発明によれば、特性値検出手段
は、サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド温
度検出手段からなることにより、サーマルヘッドの温度
の高低に応じて、請求項6記載の発明の効果を奏する。
請求項11記載の発明によれば、制御手段は、少なくと
も二つ以上の特性値検出手段からの各信号に基づいて、
押付け力を変えるように押付け力可変手段を制御するこ
とにより、マスタ搬送性等関係要因の特性値の大小・高
低等に応じて、より木目細かに対応できるようになっ
て、請求項6ないし10の何れか一つに記載の発明の効
果を奏する。
【0180】請求項12記載の発明によれば、プラテン
ローラよりもマスタ搬送方向上流側に設けられ、該プラ
テンローラを従動回転させるための駆動部材とは別の駆
動部材を有することにより、請求項1ないし11の何れ
か一つに記載の発明の効果に加えて、プラテンローラの
マスタ搬入経路側で搬送負荷を掛けることなく、マスタ
の搬送力をいわば増加させた形態でサーマルヘッドとプ
ラテンローラとのニップ部に向けてマスタを搬送できる
から、請求項1記載の発明の効果よりも確実なマスタの
搬送力を得ることができると共に、例えばプラテンロー
ラを従動回転させるマスタ排出経路側でのマスタの搬送
力を低減することも可能となる。
【0181】請求項13記載の発明によれば、プラテン
ローラは、その外周径が小径化されている小径化プラテ
ンローラであることにより、請求項1ないし12の何れ
か一つに記載の発明の効果に加えて、材料の節減および
コストダウンを図ることができる。
【0182】請求項14記載の発明によれば、請求項1
ないし13の何れか一つに記載の発明の効果を奏する製
版装置を有し、該製版装置で製版されたマスタを版胴に
巻装する製版印刷装置であることにより、版胴へのマス
タ巻装時において巻装シワ等の発生を防止して、画像寸
法再現性を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す製版印刷装置および
製版装置の概略的な正面図である。
【図2】(a)は、図1における製版装置の要部を破断
して示す拡大正面図であり、(b)は、小径化プラテン
ローラ、マスタおよび駆動ローラの位置関係等を説明す
るための模式的な正面図である。
【図3】図1における製版装置の押付け力可変手段の要
部を示す斜視図である。
【図4】図1の製版印刷装置の主として製版装置周りの
制御構成を示すブロック図である。
【図5】操作パネルの要部の平面図である。
【図6】図1の製版装置の動作を表す要部の正面図であ
る。
【図7】サーマルヘッドの温度を検出するヘッド温度セ
ンサの配置箇所を示すサーマルヘッドの正面図である。
【図8】サーマルヘッドの温度と押付け力との、サーマ
ルヘッドの温度とマスタ巻き掛け角とのそれぞれの関係
を説明するグラフである。
【図9】製版動作の要部を表すフローチャートである。
【図10】(a)は、従来の製版装置における要部の動
作を説明する概略的な正面図であり、(b)は、図1の
製版装置における要部の動作を説明する概略的な正面図
である。
【図11】実施形態1の変形例1の製版装置の要部を示
す概略的な正面図である。
【図12】本発明の実施形態2を示す製版装置の要部の
概略的な正面図である。
【図13】図12における製版装置のマスタ巻き掛け角
可変手段周りの一部断面正面図である。
【図14】図13におけるマスタ巻き掛け角可変手段の
一部を破断して示す斜視図である。
【図15】図12における主として製版装置周りの制御
構成を示すブロック図である。
【図16】実施形態2におけるマスタ巻き掛け角とマス
タ離れ角との関係を説明するための説明図である。
【図17】実施形態2においてマスタ離れ角の好ましい
範囲を説明するための説明図である。
【図18】実施形態2の変形例2の製版装置の要部を示
す概略的な正面図である。
【図19】(a)は、従来の製版装置における小径化プ
ラテンローラの問題点を説明するための概略的な平面図
であり、(b)は、従来の製版装置における小径化プラ
テンローラおよびサーマルヘッド周りの構造を説明する
概略的な正面図である。
【図20】従来の製版装置における小径化プラテンロー
ラの図19に示したのとは別の問題点を説明するための
概略的な側面図である。
【図21】図20に示した問題点の対策例を説明するた
めの概略的な側面図である。
【符号の説明】
1 版胴 2 インキ供給手段を構成するインキローラ 8 マスタ 8c マスタ貯容手段としてのマスタ支持部材 10 小径化プラテンローラ 10a プラテンローラ軸 10b 弾性体層 10c プラテンローラの軸中心 11 サーマルヘッド 12a,12b搬送ローラ対 30 温度検出手段としての温度センサ 31 湿度検出手段としての湿度センサ 32 サーマルヘッド温度検出手段としてのヘ
ッド温度センサ 40 操作パネル 48 画像量検出手段 50 押付け力可変手段 56 カム駆動モータ 65 駆動部材としての駆動ローラ 68,86 駆動手段としての駆動モータ 75,75A 制御手段としての製版駆動制御部 76 マスタ巻き掛け角可変手段 77 変位ユニット 80,81 駆動部材としての巻き掛けローラ対 92 ユニット駆動手段としてのユニット駆動
モータ 93,94 別の駆動部材としての駆動ローラ 99,99A 製版装置 100 製版印刷装置 200 従来のプラテンローラ F 押付け力 Mb マスタ接触境界 N ニップ部 Nc ニップ部中心 θa マスタ巻き掛け角 θb マスタ離れ角 X マスタ搬送方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 保光 宮城県柴田郡柴田町大字中名生字神明堂3 番地の1・東北リコー株式会社内 (72)発明者 木戸浦 康宣 宮城県柴田郡柴田町大字中名生字神明堂3 番地の1・東北リコー株式会社内 Fターム(参考) 2C065 AA01 AB01 AD07 CZ06 CZ07 CZ08 2H084 AA13 AA38 AE05 AE08 BB13 CC09

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタを画
    像情報に応じて加熱製版するサーマルヘッドと、該サー
    マルヘッドにマスタを押付ける従動回転自在なプラテン
    ローラとを具備する製版装置において、 前記プラテンローラよりもマスタ搬送方向下流側に設け
    られ、マスタを介して前記プラテンローラを従動回転さ
    せる駆動部材と、該駆動部材を駆動する駆動手段とを有
    し、 前記プラテンローラと前記サーマルヘッドとのニップ部
    よりも前記マスタ搬送方向下流側で、前記プラテンロー
    ラにマスタを巻き付けるマスタ巻き掛け角を大きくした
    状態でマスタの搬送を行うことを特徴とする製版装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製版装置において、 前記駆動部材は、マスタを介して前記プラテンローラに
    当接して配置されており、前記駆動部材と前記プラテン
    ローラとの間で発生する搬送力でマスタの搬送を行うこ
    とを特徴とする製版装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の製版装置におい
    て、 マスタに対する前記駆動部材の摩擦係数が、前記プラテ
    ンローラのそれよりも大きいことを特徴とする製版装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1,2または3記載の製版装置にお
    いて、 前記駆動部材は、回転自在なローラであることを特徴と
    する製版装置。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3または4記載の製版装置
    において、 前記駆動部材におけるマスタ搬送速度が可変であり、 前記製版装置本体の内部および外部の温度のうちの少な
    くとも一方の温度を検出する温度検出手段と、 前記温度検出手段からの信号に基づいて、前記マスタ搬
    送速度を変えるように前記駆動手段を制御する制御手段
    と、 を有することを特徴とする製版装置。
  6. 【請求項6】請求項1,2,3または4記載の製版装置
    において、 前記プラテンローラに対する前記駆動部材の押付け力が
    可変であり、 前記押付け力を変える押付け力可変手段と、 少なくとも製版時におけるマスタ搬送性等に影響を与え
    るマスタ搬送性等関係要因の特性値を検出するための特
    性値検出手段と、 前記特性値検出手段からの信号に基づいて、前記押付け
    力を変えるように前記押付け力可変手段を制御する制御
    手段と、 を有することを特徴とする製版装置。
  7. 【請求項7】請求項6記載の製版装置において、 前記マスタ搬送性等関係要因の特性値が、前記製版装置
    本体の内部および外部の湿度のうちの少なくとも一方の
    湿度であり、 前記特性値検出手段は、前記少なくとも一方の湿度を検
    出する湿度検出手段からなることを特徴とする印刷装
    置。
  8. 【請求項8】請求項6記載の製版装置において、 前記マスタ搬送性等関係要因の特性値が、マスタに形成
    される製版画像量であり、 前記特性値検出手段は、前記製版画像量を検出する画像
    量検出手段からなることを特徴とする製版装置。
  9. 【請求項9】請求項6記載の製版装置において、 前記マスタ搬送性等関係要因の特性値が、前記製版装置
    本体の内部および外部の温度のうちの少なくとも一方の
    温度であり、 前記特性値検出手段は、前記少なくとも一方の温度を検
    出する温度検出手段からなることを特徴とする製版装
    置。
  10. 【請求項10】請求項6記載の製版装置において、 前記マスタ搬送性等関係要因の特性値が、前記サーマル
    ヘッドの温度であり、 前記特性値検出手段は、前記サーマルヘッドの温度を検
    出するサーマルヘッド温度検出手段からなることを特徴
    とする製版装置。
  11. 【請求項11】請求項6ないし10の何れか一つに記載
    の製版装置において、 前記制御手段は、少なくとも二つ以上の前記特性値検出
    手段からの各信号に基づいて、前記押付け力を変えるよ
    うに前記押付け力可変手段を制御することを特徴とする
    製版装置。
  12. 【請求項12】請求項1ないし11の何れか一つに記載
    の製版装置において、 前記プラテンローラよりもマスタ搬送方向上流側に設け
    られ、該プラテンローラを従動回転させるための前記駆
    動部材とは別の駆動部材を有することを特徴とする製版
    装置。
  13. 【請求項13】請求項1ないし12の何れか一つに記載
    の製版装置において、 前記プラテンローラは、その外周径が小径化されている
    小径化プラテンローラであることを特徴とする製版装
    置。
  14. 【請求項14】請求項1ないし13の何れか一つに記載
    の前記製版装置を有し、該製版装置で製版されたマスタ
    を巻装する版胴と、この版胴上のマスタにインキを供給
    するインキ供給手段とを有し、前記版胴上のマスタに印
    刷用紙を押付けて印刷用紙に印刷を行うことを特徴とす
    る製版印刷装置。
JP37008099A 1999-12-27 1999-12-27 製版装置および製版印刷装置 Expired - Fee Related JP4456707B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37008099A JP4456707B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 製版装置および製版印刷装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37008099A JP4456707B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 製版装置および製版印刷装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2001179926A true JP2001179926A (ja) 2001-07-03
JP2001179926A5 JP2001179926A5 (ja) 2007-01-25
JP4456707B2 JP4456707B2 (ja) 2010-04-28

Family

ID=18496023

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP37008099A Expired - Fee Related JP4456707B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 製版装置および製版印刷装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4456707B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005035091A (ja) * 2003-07-17 2005-02-10 Tohoku Ricoh Co Ltd 製版装置および製版印刷装置
JP2005324343A (ja) * 2004-05-12 2005-11-24 Duplo Seiko Corp 孔版印刷機の製版装置
JP2006281511A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Duplo Seiko Corp 孔版印刷機の製版装置
US7914218B2 (en) 2006-06-29 2011-03-29 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Thermal printer and printing device

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104494281B (zh) * 2014-12-05 2017-08-18 丹东金丸集团有限公司 纳米直接制版机自动换板方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06336001A (ja) * 1993-05-28 1994-12-06 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置の製版装置
JPH0971030A (ja) * 1995-09-01 1997-03-18 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置の製版装置
JPH11188832A (ja) * 1997-12-26 1999-07-13 Tohoku Ricoh Co Ltd 感熱孔版製版装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06336001A (ja) * 1993-05-28 1994-12-06 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置の製版装置
JPH0971030A (ja) * 1995-09-01 1997-03-18 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置の製版装置
JPH11188832A (ja) * 1997-12-26 1999-07-13 Tohoku Ricoh Co Ltd 感熱孔版製版装置

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005035091A (ja) * 2003-07-17 2005-02-10 Tohoku Ricoh Co Ltd 製版装置および製版印刷装置
JP2005324343A (ja) * 2004-05-12 2005-11-24 Duplo Seiko Corp 孔版印刷機の製版装置
JP4554984B2 (ja) * 2004-05-12 2010-09-29 デュプロ精工株式会社 孔版印刷機の製版装置
JP2006281511A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Duplo Seiko Corp 孔版印刷機の製版装置
US7914218B2 (en) 2006-06-29 2011-03-29 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Thermal printer and printing device
US8231291B2 (en) 2006-06-29 2012-07-31 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Thermal printer and locking device
US8696225B2 (en) 2006-06-29 2014-04-15 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Thermal printer and printing device
US8870483B2 (en) 2006-06-29 2014-10-28 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Thermal printer and printing device
US8870482B2 (en) 2006-06-29 2014-10-28 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Thermal printer and printing device

Also Published As

Publication number Publication date
JP4456707B2 (ja) 2010-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6338480B1 (en) Sheet feeding device for an image forming apparatus
JP3265006B2 (ja) ロール体よりのシート材繰り出し装置およびロール体
JP2001179926A (ja) 製版装置および製版印刷装置
JP2000118112A (ja) 孔版印刷装置
US7188564B2 (en) Stencil printer with a duplex printing capability
JP4298003B2 (ja) 印刷装置
JP4430177B2 (ja) 製版装置および製版印刷装置
EP3088188B1 (en) Printer
JP4027484B2 (ja) 孔版印刷装置
JP2002144689A (ja) 孔版印刷装置
JP4430167B2 (ja) 製版装置および製版印刷装置
JP4846934B2 (ja) 孔版印刷装置
JP2820876B2 (ja) 孔版印刷装置における製版装置
JP4456700B2 (ja) 孔版印刷装置及び孔版印刷方法
JP3293711B2 (ja) 孔版印刷装置
JP4274392B2 (ja) ロールシート供給装置及び画像形成装置
JP3788650B2 (ja) 印刷装置
JP5023376B2 (ja) 印刷装置及び印刷方法
JP4651845B2 (ja) 孔版印刷方法
JP4246305B2 (ja) 印刷装置と印刷装置のインキ供給方法
JP2001205914A (ja) 孔版印刷装置
JP2001150786A (ja) 印刷装置における製版給版装置
JP2001270077A (ja) 孔版印刷装置
JP3463224B2 (ja) 孔版印刷方法
JP2008126466A (ja) インキ検知装置、インキ検知方法、インキ補給装置および印刷装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061201

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100202

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100208

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130212

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees