JP2001152397A - めっき解析方法 - Google Patents
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Abstract
に対して、効率的に電流密度及び電位分布を得ることが
できるめっき解析方法を提供することを目的とする。ま
た、カソードの外周部近くに集中しがちな電流を均一に
して、めっき速度を均一化するためのめっき槽の構造を
最適化するめっき解析方法を提供する。 【解決手段】 アノード11、及び/又はカソード12
の抵抗が無視できない系での電解めっきにおいて、めっ
き液13を含む領域に対しては3次元ラプラス方程式を
支配方程式として与え、これを境界要素法で離散化し、
アノード、及び/又はカソード内部の領域に対しては、
平面または曲面を扱う2次元又は3次元のポアソン方程
式を支配方程式として与え、これらを境界要素法または
有限要素法で離散化し、それらを連立させ、系内の電流
密度iおよび電位分布φを算出する。
Description
るめっき膜の成長速度分布を予測し、均一なめっき厚さ
分布を得るための、コンピュータを用いた解析方法に関
するものであり、特に、半導体ウエハ上への配線を目的
とした、金属のめっき速度分布の解析に好適な方法に関
する。
に、アノードおよびカソードが電解質を介して電池を構
成し、電解質内に電位場を形成するような系において、
系内の電位および電流密度分布を予測するために、境界
要素法、有限要素法または差分法などを適用し、コンピ
ュータを用いて数値解析を行う試みがなされている。こ
の解析は、電解質内の電位がラプラス方程式に支配され
ること、アノードおよびカソード表面での電位および電
流密度は、アノードおよびカソードがその電解質に浸漬
したときの反応によって決まる分極曲線(電位と電流密
度の関係を示す非線形の関数で、実験的に求められる)
という電気化学的特性に支配されること、電流密度は、
電位勾配と電解質の電気伝導度の積で表されること、な
どを利用して行われる。
ド電流密度から、ファラデーの法則を用いて、カソード
上へ付着する金属のめっき速度を計算することができ
る。従って、上記の数値解析によって、めっき槽の構
造、めっき液の種類、アノードおよびカソードの材料の
種類などの条件に応じて、事前にめっき速度分布を予測
することができ、めっき槽の合理的な設計を行うことが
可能となる。近年、半導体集積回路の配線に電解めっき
により形成した銅を利用することが試みられている。こ
の場合には、図1(a)に示すように、半導体ウエハW
上のSiO2などの層間絶縁膜1の表面に、エッチング
によって配線用の微細な溝2が形成され、この溝2内に
配線材料である銅が電解めっきによって埋め込まれる。
そして、銅とSiO2膜の間の相互拡散を防ぐため、S
iO2膜表面にはあらかじめTaNなどのバリア層3が
スパッタリングなどの方法で形成される。SiO2およ
びTaNは絶縁体あるいは高抵抗体であるため、電解め
っきのための導体および電極のはたらきをする銅の薄膜
(シード層と呼ぶ)4がTaN上にスパッタリングなど
の方法で形成される。
十nm程度のきわめて薄いものであるために、銅のシー
ド層を電流が流れる際に、銅のシード層の抵抗によって
シード層内で電位勾配が生じてしまう。従って、図1の
ような配置でめっきがなされた場合には、周辺ほど電流
が流れ易いため、図中の実線5で示すように外周側で厚
く、内周側で薄いめっき厚の不均一が生じてしまう。ま
た、図1(b)に示すように、微細孔または微細溝へ、
めっきによって金属例えば銅を埋め込む場合には、銅の
シード層の抵抗によってシード層内で電位勾配が生じ孔
または溝の入口近くでめっき速度が大きくなり、孔また
は溝の内部に銅の空孔部等の欠陥が生じる結果となる。
ちなみに、溝の入口近くでの優先的なめっきの成長速度
を抑え、内部欠陥の発生を防ぐために、反応を抑制する
ための添加剤が利用される。
生じるのは電解質内のみを考えており、アノードおよび
カソードの抵抗は極めて小さく無視できるとされてき
た。しかしながら、半導体ウエハ上での電解めっきの電
流密度分布及び電圧分布を解析する場合には、電極側の
抵抗が無視できないため、それを考慮に入れることが必
要になってくる。電極側の抵抗を考慮にいれためっき解
析方法としては、有限要素法で試みた例がある。この方
法では、めっき液領域内部を要素分割し、これら要素に
はめっき液の抵抗条件を入れ、また抵抗のある電極を堆
積要素として要素分割し、これらの要素には電極の抵抗
条件を入れ、さらに、電極(主にカソード)表面の、め
っき液に接する位置に過電圧要素と呼ばれる要素を新た
に作りだし、この要素には電極の分極抵抗の条件を入
れ、全体を一つの領域として有限要素法で解析を行って
いる。堆積要素はめっき被膜に相当し、めっきスタート
時の厚さはゼロで、その後は経過する時間毎に計算され
た電流密度から求められる膜厚を積算して、その数値を
厚さとして取扱っている。数値計算によって、あるいは
経験則に基づいて、適切なめっき槽の構造および電極の
配置が考案されている。めっき速度を均一化するために
は、例えば、周辺部への電流の集中をさけるためにめっ
き液の中に遮蔽板を配置する方法が提案され、試みがな
されているが、十分な効果が得られず、また遮蔽版の設
計に関する合理的な手法も、現時点では見当たらないの
が実情である。
料表面での電位および電流密度分布が重要な問題の解析
には、内部の要素分割を必要としない境界要素法が有利
であることは一般に指摘されている。そして、電極の抵
抗を考慮する必要のないめっき問題の解析には境界要素
法が適用され、既にその有効性が確認されている。しか
しながら、電極の抵抗を考慮する必要のあるめっき問題
に対して境界要素法が適用され得ることは知られていな
い。上述したように、電極の抵抗を考慮する必要のある
めっき問題に対して有限要素法が適用されているが、有
限要素法は、内部の要素分割まで行う必要があるため、
要素数が膨大なものになり、要素分割と解析に長時間を
要するという問題がある。
情に鑑みて為されたもので、電極の抵抗を考慮する必要
のあるめっき問題に対して、効率的に電流密度及び電位
分布を得ることができるめっき解析方法を提供すること
を目的とする。また、カソードの外周部近くに集中しが
ちな電流を均一にして、めっき速度を均一化するための
めっき槽の構造を最適化するめっき解析方法を提供する
ことを目的とする。
は、アノード及び/又はカソードの抵抗が無視できない
系での電解めっきにおいて、めっき液を含む領域に対し
ては3次元ラプラス方程式を支配方程式として与え、こ
れを境界要素法で離散化し、アノード及び/又はカソー
ド内部の領域に対しては、平面または曲面を扱う2次元
又は3次元のポアソン方程式を支配方程式として与え、
これらを境界要素法または有限要素法で離散化し、それ
らを連立させ、系内の電流密度および電位分布を算出す
ることを特徴とするめっき解析方法である。
の内部の領域に対して、その抵抗を考慮してポアソン方
程式により与えるようにしたので、めっき液内部の3次
元ラプラス方程式の領域との整合性が取れる。従って、
アノード、及び又はカソードの抵抗分の影響を考慮しつ
つ、めっき液内部領域の要素分割を必要としないので、
要素分割及び解析に要する時間を大幅に短縮することが
できる。それ故、本発明によれば、アノード、及び又は
カソードの抵抗分の影響を踏まえためっき槽内部の電流
密度及び電位分布を正確に且つ効率的にシミュレーショ
ンすることができる。
/又はカソード内部の領域に対しては、アノード、及び
/又はカソードの電気伝導度または抵抗を時間の関数と
して与えることを特徴とするめっき解析方法である。こ
れにより、例えばカソードであるめっき対象の半導体ウ
エハに時間の経過とともにめっき膜が被着して、この抵
抗値分布が変化しても、その時の状態をシミュレーショ
ンすることが可能となる。
以上に分割し、カソード表面の電流密度分布を均一にす
るような、それぞれのアノードに流す最適な電流値を算
出し、めっき速度を均一化することを特徴とするめっき
解析方法である。これにより、半導体ウエハの全面にわ
たって均一な厚さのめっき膜を被着させるめっき槽の構
造及びアノード分割形状、電流の供給方法などをシミュ
レーションすることができる。
ードに流す最適な電流値を時間毎に計算して与え、めっ
き速度を均一化することを特徴とするめっき解析方法で
ある。これにより、時間の経過と共にめっき膜が厚く被
着しても、ウエハ全面に均一な電流密度分布が得られ、
均一なめっき膜厚が得られるようにシミュレーションす
ることができる。
のいずれかに記載のめっき解析方法を用いたことを特徴
とする半導体デバイスの製造方法である。
のいずれかに記載のめっき解析方法により、半導体デバ
イス製造用のウエハ上に配線形成を目的として金属のめ
っきを施すことを特徴とするめっき方法である。
/又はカソードの抵抗が無視できない系での腐食および
防食において、電解質を含む領域に対しては3次元ラプ
ラス方程式を支配方程式として与え、これを境界要素法
で離散化し、アノード、及び/又はカソード内部の領域
に対しては、平面または曲面を扱う2次元又は3次元の
ポアソン方程式を支配方程式として与え、これらを境界
要素法または有限要素法で離散化し、それらを連立さ
せ、系内の電流密度および電位分布を算出することを特
徴とする腐食及び防食の解析方法である。これにより、
腐食及び防食の解析に本発明を同様に利用することがで
きる。
て、添付図面を参照しながら説明する。
っきの例について述べる。ウエハ表面の絶縁膜の上にあ
らかじめ形成されたTaNなどのバリア層、およびCu
シード層を、抵抗を持つカソードとして扱う。通常、ア
ノードとして用いられるめっき源である銅板は十分な厚
さを持つため、その抵抗を無視して扱う。カソードは細
かい凹凸を有するが、ここではウエハ面上のマクロなめ
っき速度を求めることを前提として、まず、ウエハ表面
を巨視的には凹凸がない面とみなす。また、カソード内
の電流密度および電気伝導度はウエハ表面を平面と見な
して各要素の平均値として与える。めっきが開始される
と時間の経過とともにカソードの厚みは変化してくる
が、めっき速度の不均一は初期(時間ゼロ)の電流密度
の不均一によって支配されるため、この解析ではまず初
期の電流密度分布を求める。
ドの抵抗は均一である場合が多く、この場合には、カソ
ードの支配方程式であるポアソン方程式の離散化は境界
要素法によって行う。初期(時間ゼロ)におけるカソー
ドの抵抗が不均一である場合には、ポアソン方程式の離
散化は有限要素法によって行い、各要素に異なった抵抗
値を境界条件として与える。カソードの抵抗が均一であ
っても、カソードが曲面である場合は、同じくポアソン
方程式の離散化は有限要素法によって行う。以下の説明
において、アノードを厚い銅板として電気抵抗を無視し
て扱うが、抵抗を無視できない場合には、カソードと同
様の扱いをすることによって解析を行うことができる。
す領域をΩとし、Ω内における電位をφとする。通常の
電気化学の問題では、ある参照電極に対する電位Eを用
いるが、本実施例においてはカソード内のある基準点に
対する溶液内の任意の点の電位をφとして、また、この
基準点に対するアノードおよびカソード内の任意の点の
電位をそれぞれφaおよびφcとして用いる。金属(ア
ノードおよびカソード)表面のごく近傍を除けば、φは
Ω内で次のLaplace方程式を満足する。 ▽2φ=0 (1) 金属表面のごく近傍の複雑な挙動は、金属表面における
金属と溶液間の電位ギャップとして分極曲線の中に取り
込み、境界条件として取り扱う。金属表面に電極配線用
の狭い溝が多数存在していても、溝の幾何学的形状を考
慮せずに、巨視的な(溝の影響を一括して含む)分極曲
線を測定しておき、これを境界条件として用いる。
ているとし、ΓdおよびΓnはそれぞれ電位φおよび電
流密度iが指定された境界(φ0およびi0はそれぞれ
指定された値)であり、ΓaおよびΓcはそれぞれアノ
ードおよびカソード表面を表す。κは溶液の電導度であ
る。∂/∂nは外向き法線方向であり、物体表面を通し
て溶液に流れ込む電流値を正としている。fa(i)お
よびfc(i)はそれぞれアノードおよびカソードの巨
視的な分極曲線を表す一般に非線形の関数であり、実験
により求める。
抗が無視できるので、アノード内の電位φaは一定と仮
定することができる。しかし、アノードに供給される電
流量I0が指定される場合にはφaの値は未知であるの
で、式(4)に次式を補う必要がある。
中の電位は一定と仮定し、各アノード毎に上式に相当す
る式を用いる。
iO2絶縁膜上に薄い窒化タンタル(TaN)等のバリ
ヤ層およびCuシード層をスパッタリングなどの方法で
作成し、この上に銅めっきを施す。この際のカソード
内、即ち、バリヤ層およびシード層の電気抵抗が無視で
きないので、カソードの電位φcはカソード内の電流密
度 ic=(icx,icy) に依存する。ここで、シリコンウェハ上にx軸とy軸を
持つ直角座標系0−xyを用い、icxおよびicyは
それぞれ電流密度icのx方向成分およびy方向成分を
表す。
在しても、巨視的には平面と見做す。カソード内の電流
密度および電気伝導度(又は膜厚)は巨視的な(表面を
平面と見做した場合の等価的な)値として与える。従っ
て、カソード内の電流密度i c[A/m2]を次のよう
に定義する。 ic=−(tsκs+tpκp)▽2(φc) (7) ここで、tsおよびκsはそれぞれTaNバリヤ層の厚
さ[m]および電気伝導度[Ω−1m−1]であり、t
pおよびκpはそれぞれCuシード層の厚さ[m]およ
び電気伝導度[Ω−1m−1]である。▽の下添字2は
(x−y面内の)2次元の演算子であることを示す。
尚、SiO2絶縁膜の電気抵抗は大きいので、その中の
電流密度は無視できると仮定する。
流入しているとすると、カソード内の微小領域における
電荷の保存則より、次式が得られる。 div2(ic)+i=0 (8) 式(7)および(8)より、次式がカソード内の支配方
程式となる。 (tsks+tpκp)▽2 2(φc)=i (9) めっき速度はカソード表面上の電流(i)に比例するの
で、式(1)-(5)と(6)および(9)を連立させ
てiについて解けば、めっき速度の分布形状を知ること
ができる。
式となる。
位置ベクトルであり、基本解φ*およびi*はそれぞれ
次式で与えられる。 φ*(x,y)=1/4πr (11) i*(x,y)=κ∂φ*(x,y)/∂n (12) ただし、r=|r|=|x−y|であり、nは観測点x
における境界外向き単位法線ベクトルを表す。
を代入し、離散化すると次式が得られる。 [H]{φ}=[G]{i} (13) ここで、[H]および[G]はΓと要素の形状に依存す
る既知マトリックスであり、{φ}および{i}はそれ
ぞれ各節点におけるφおよびiの値を成分とするベクト
ルである。この式は、境界条件(4)の中のφaおよび
式(5)の中のφcが未知であるので、このままでは解
けない。そこで、まず、アノード面における境界条件を
考える。式(4)と(6)を離散化すると次の二つの式
が得られる。 {φ}a={φa}a+{−fa(i)}a (14) {A}T a{i}a=I0 (15) ここで、{ }aはアノード面(Γa)上の節点におけ
る値を成分とするベクトルである。Aは要素面積であ
り、{ }Tは転置を表す。(簡単のために、一定要素
の場合の式を示したが、一般の要素の場合でも容易に離
散化できる。){φa}aの各成分は同じ一定の値φa
となっていること、および{i}a は式(13)にお
ける{i}の一部となっていることに注意を要する。
て考察する。式(9)に対する境界積分方程式は次式と
なる。
ないicはγから流入する電流密度(≡(tsκs+t
pκp)∂φc/∂n2))である。∂/∂n 2は2次
元問題の外向き法線微分である。
それぞれ次式で与えられる。
形状に依存する既知マトリックスであり、{φc}γお
よび{ic}はそれぞれγ上の各節点におけるφcおよ
びic の値を成分とするベクトルである。
る値を成分とするベクトルを表わし、境界γのある部分
ではicが、その他の部分ではφcが与えられるので、
カソード面上のiが与えられると、式(19)は解くこ
とができ、内点の式を用いるとカソード面上の電位分布
が以下のように求められる。 {φc}c=1/(tsκs+tpκp)[C]{i}c (20) ここで、[C]は内点の位置に依存するマトリックスで
ある。この式と境界条件式(5)により次式が得られ
る。 {φ}c={−fc(i)}c+1/(tsκs+tpκp)[C]{i}c (21) {i}cは式(13)における{i}の一部となってい
ることに注意する。式(14)および(21)をそれぞ
れアノード面およびカソード面上における境界条件とし
て用い、ニュートン・ラフトン法などの繰り返し計算を
行うことにより、式(13)と(15)の連立方程式を
解くことができる。即ち、次に示す手順で計算を行う。
3)の未知量(Γd上のiおよびΓn上のφに 対する
ベクトル成分)を適当に仮定する。 2.仮定した{i}aとφaを式(14)に代入して
{φ}aを求め、{i}cを式 (21)に代入して
{φ}cを計算する。 3.上の二つのステップで得られた値を式(13)およ
び(15)に代入し、両辺の値の差異を求める。 4.この差異が小さくなるように、ステップ1で仮定し
た{i}aなどの値をニュ ートン・ラフソン法などに
従って修正し、ステップ2に戻り差異が許容誤差以 下
になるまで繰り返す。
形のカソード(シリコンウェハ)を想定し、カソードの
外周でφc=0とする。溶液からの電流密度が均一(i
=−i0)と仮定すると、中心からρだけ離れた位置の
カソード内の電位φcの解析解は次のように求められ
る。 φc=io(R2−ρ2)/4(tsks+tpκp) (22 ) 一方、2次元境界要素解析を行い、式(20)によりφ
cを求めた。解析領域は対称性を利用して、カソードを
16分割した領域とし、図3に示すように三角形および
四角形一定要素によって要素分割を行い、図中に示す境
界条件を用いた。解析には以下に示すような数値を用い
た。R=100[mm],i0=0.05[mA/mm
2],ts=0.03[μm] κs=4.0×103
[Ω−1mm−1],tp=0.1[μm],κp=
5.0×104[Ω−1mm−1] 図4にカソード内の電位φcの分布を示す。式(20)
による境界要素解(図中、白丸で示す)は式(22)に
よる解析解(図中、実線で示す)とよく一致しているこ
とがわかる。
槽を用いてシリコンウェハに銅めっきを施すシミュレー
ションを行った。このめっき浴槽は、銅板からなるアソ
ード11と、被めっきウエハからなるカソード12と、
これらの間に存在する電解質めっき液13と、アノード
・カソード間に通電する電源14とから主に構成されて
いる。この場合は、アノード及びカソードの直径が19
0mmであり、間隔が10mmであり、カソードの銅ス
パッタ層12aの厚さが0.03μmであり、めっき層
12bの厚さが0.1μmである。また、電気伝導度κ
は、電解質めっき液13が0.056/Ω・mmであ
り、めっき層12bが5.0×104/Ω・mmであ
り、スパッタ層12aが4.0×103/Ω・mmであ
る。通電電流は1.5Aである。
は図6のように電流端子(−)を等間隔に8個所接続し
た。対称性を考慮して図7のようにめっき浴槽の解析領
域を全体の1/16とし、三角形または四角形一定要素
によって要素分割を行った。シミュレーションに用いた
アノードおよびカソードの分極曲線を図8に示す。めっ
き槽の側面は絶縁体とした。その他の計算条件は図5の
説明に示した通りである。
i)がめっき速度に比例する)を示す。また、図10に
カソード内の電位分布を示す。カソード内の電気抵抗を
無視した場合にはカソード内のいたるところで電位がゼ
ロになるので、カソード内の電気抵抗を考慮することに
より、電位分布がゼロから離れ不均一となる様子が計算
結果によく現れている。なお、図9および図10では、
要素の中心点における値を連ねて表示している。
ェハ)周上の電流端子(−)の数が比較的少ない(8
個)場合について解析したが、この数が大きくなると軸
対称近似が可能となり、計算量の低減を図ることができ
る。従って、次に軸対称近似の方法について考察する。
軸対称場ではカソード内の電流密度icは半径方向成分
のみしか存在しない。その成分をic[A/m2]と記
すこととする。カソード内の半径ρの位置にある微小環
状領域では、電荷の保存則より次の関係が成立する。 idS+d(Lic)=0 (23) ここで、S=πρ2およびL=2πρである。
と、内側からj番目の円環(以下では要素jと呼ぶ)に
おいて、次式が成り立つ。 Sjij=Ljic j−Lj+1ic j+1 (24) ここで、 Sj=π(ρ2 j+1−ρ2 j) (25) Lj=2πρj (2 6) 式(25)および(26)を(24)に代入し、ρj=
0およびic 1を考慮して整理すると次式が得られる。
する。 {ic}c=[E]{i}c (28) ここで、{ }cの意味については式(15)に関連し
て述べた通りである。軸対称場では電流は半径方向だけ
に流れるので、式(7)に対応する式は次式となる。 ic=−(tcκs+tpκp)dφc/dr (29) 上式を離散化すると、次式が得られる。
基準とした。即ち、 φc,n+1=0 とした。
際に一定要素を用いる場合には、カソード上の要素中央
の電位を求める必要がある。そこで、要素jの中央にお
けるカソードの電位を φ0 c,j=(φc,j+φc,j+1)/2 とすると、式(30)から次式が得られる。 {φ0 c}c=[D]{ic}c (31) ここで、マトリックス[D]の各要素は式(30)より
容易に求められる。式(28)と(31)より {φ0 c}c=[D][E]{i}c (32) この式は式(21)に相当するので、軸対称要素を用い
て要素分割し、上述した計算手順に従えば、軸対称問題
を解くことができる。
事例を設定し、差分法により式(32)の{φ0 c}を
求め、解析解(式(22))と比較した。結果(図中、
黒丸で示す)を図4に示す。両者は良く一致しているこ
とを確かめることができる。なお、差分法ではカソード
を半径方向に20分割して計算を行っている。
アノードを分割して、分割した各アノードに異なった最
適な電流を与えることについて考察する。軸対称問題と
し、アノードを同心円状(ドーナッツ状)にN分割する
とする。また、簡単のために、こうして分割された各ア
ノードにはそれぞれ一定の電流密度を与えるとする。
(分割された各アノードの大きさがあまり大きくない場
合にはこのように近似しても、大きな誤差は生じないと
考えられる)。
れた各アノードに与える電流密度をi0,j(i=
1,...,N)とする。目的関数としては、次式に示す
ようにカソード上の各境界要素に流れ込む電流密度(め
っき速度に比例する)の平均値i’からの差分の二乗和
とした。
適化問題は目的関数式(34)を最小にするi
0,j(i=1,...,N)を求めることに帰着する。
なお、全電流量Iは一定(I0)と指定するので、各設
計変数の間には次のような関係がある。このため、独立
な設計変数の数はN−1となる。 i0,1A1+i0,2A2+...+i0,NAN=I0 (35) ここで、Aκは分割されたアノードκの面積である。
子(−)とした軸対称問題を想定し、図10のようにア
ノードを5分割した場合の電流密度分布の最適化を行っ
た。図11に最適化前後におけるアノード面とカソード
面での電流密度分布を示す。最適化後は、最適化前に比
べて、カソード面での電流密度分布が均一になっている
ことがわかる。なお、目的関数の最小化には、Simplex
法を用いた。
ードを平面と見なして、2次元ポアソン方程式を境界要
素法で離散化する方法について説明した。被めっき部材
表面及び/又はアノードが曲面である場合には、支配方
程式であるポソン方程式を有限要素法によって離散化す
る必要がある。以下に解析方法を説明する。
満足する方程式は次式となる。 div2 (κgrad2φ)+is=0 (36) 但し、 κ:抵抗体の電気伝導度[Ω−1] is:めっき液Ωに流入する電流密度[A/m2] div2,grad2:めっき液Ω内で定義された微分
演算子 (36)式のカラーキン方程式は、次式となる。
ると
eiで近似する。
方程式により支配される。 ∇3 2φ=0(i≡ks∇φ) ここで∇の下添字3は3次元を意味する。カソード(シ
リコンウエハ)内は、下記のポアソンの方程式により支
配される。 ∇2(K(T)∇φω)+iω=0 界面は、 −(φ−φω)= fω(−iω) iω+i=0 であり、側面は、 i=0 である。式を境界要素法で、及び式を有限要素法で
それぞれ離散化して、境界条件と接続条件を考慮
して連立方程式を作りニュートン法などで解くと、解と
して電流密度分布iω及び電位分布φωが求まる。
び/又はアノードが曲面である場合や、孔または溝内面
のめっきを行う場合において有効な解析方法を提供する
ことができる。
この発明は、電極及び/又は被めっき部材内部の領域に
対しては、電極及び/又は被めっき部材の電気伝導度ま
たは抵抗を、時間の、または電極及び/又は被めっき部
材の厚さの関数として、ポアソン方程式を支配方程式と
して与え、それを有限要素法で離散化し、それらを連立
させ、めっき厚さの時間変化を求めることを特徴とする
めっき解析方法である。一例として、上述と同様、ウエ
ハ上に銅配線を行うための銅めっきについて考える。め
っきが開始されると時間の経過とともにカソードの厚み
が変化するため、カソード領域内部の抵抗または電気伝
導度の2次元的な分布が不均一になってくる。このた
め、カソード領域内各部の抵抗または電気伝導度を時間
の関数として扱い、一定時間毎にくり返し計算を行え
ば、めっき厚さの時間変化を求めることができる。尚、
複雑な形状のめっき槽内部のめっき液の領域は、支配方
程式を境界要素法で離散化しているので、要素分割およ
び計算に要する時間を短縮し効率的な解析を行うことが
可能である。
に説明する。まず、めっき液内の電位分布は、上述の式
の3次元のラプラス方程式に支配される。また、電極
及び/又は被めっき部材での支配方程式は、上述のの
2次元のポアソン方程式に支配される。ここで、電極及
び/又は被めっき部材と、めっき液との界面での境界条
件は、電極及び/又は被めっき部材の分極曲線であり、
一般的に上述の式で示される。また、めっき液からカ
ソードの表面へ電流(−i)が流入しているとすると、
カソード内の微小領域における電荷の保存則より、上述
の式が得られる。そして、絶縁面では上述の式とな
る。
要素法で離散化し、境界条件と接続条件を考慮し
て連立方程式を作り、ニュートン・ラフソン法などによ
って解くと電流密度及び電位分布が求められる。ここで
電気伝導度κはめっき厚Tの関数であり、めっき厚Tは
時間tの関数であり、上式は常微分方程式を形成するの
で、オイラー式、ルンゲクッタ法などの方法で解くこと
ができる。即ち、時間ゼロにおけるウエハ上の電流密度
分布を解き、一定時間後のめっき膜厚分布を計算し、こ
の膜厚分布から再びウエハ上の電流密度分布を解き、次
の一定時間後の膜厚分布を計算する。この計算をくり返
すことによって所定の時間後のめっき膜厚分布を求める
ことができる。
は、電極内部の支配方程式を2次元ポアソン方程式とす
るが、被めっき部材表面が3次元である場合には支配方
程式を3次元ポアソン方程式とすることによって解析す
る。
る。電極及び/又は被めっき部材の抵抗が無視できない
系での電解めっきにおいて、アノードを2つ以上に分割
し、めっき液を含む領域に対しては3次元ラプラス方程
式を、電極及び/又は被めっき部材内部の領域に対して
は平面または曲面を扱う2次元ポアソン方程式を、それ
ぞれ別個に支配方程式として与え、それぞれを境界要素
法で離散化し、それらを連立させ、カソード表面の電流
密度分布を均一にするような、それぞれのアノードに流
す最適な電流値を計算して与え、めっき速度を均一化す
ることを特徴とするめっき解析方法である。
ード(被めっきウエハ)の有する抵抗によってウエハの
内周側の電流密度が抑制され、外周側で厚く、内周側で
薄いめっき厚の不均一が生じる。そこで、例えば、アノ
ードを同心円状に分割し、内周側のアノードに高い電流
密度を与えればカソード面上の電流密度が均一化するこ
とが可能である。めっき厚の均一化のための各分割アノ
ードへ与える電流の最適値を求めるには、数値解析を採
用することが必要である。数値解析は、上記各実施例の
方法を基本とし、最適化手法を採用する。
は被めっき部材の抵抗が無視できない系での電解めっき
において、アノードを2つ以上に分割し、めっき液を含
む領域に対しては3次元ラプラス方程式を支配方程式と
して与え、それを境界要素法で離散化し、電極及び/又
は被めっき部材内部の領域に対しては、電極及び/又は
被めっき部材の電気伝導度または抵抗を、時間の、また
は電極及び/又は被めっき部材の厚さの関数として、平
面または曲面を扱う2次元のポアソン方程式を支配方程
式として与え、それを境界要素法または有限要素法で離
散化し、それらを連立させ、カソード表面の電流密度分
布を均一にするような、それぞれのアノードに流す最適
な電流値を時間毎に計算して与え、めっき速度を均一化
することを特徴とするめっき解析方法である。
ロにおける)、均一なカソード抵抗を前提として解析を
行うものである。ところが、一定の時間が経過した後
は、めっき厚さが全体的に増大し、カソード抵抗が全体
的に低下してくる。従って、時間ゼロにおける各分割ア
ノードの最適電流配分と、一定時間後の各分割アノード
の最適電流配分とは異なってくる筈である。そこで、め
っき厚さの経時的な増大に応じてカソードの抵抗が経時
的に変化して、その時間毎の最適な分割アノード電流配
分を与えることが必要である。カソードの電流密度分布
が常に均一になるように、分割アノードの最適電流配分
を経時的に変化させて与える場合には、カソード面上で
の抵抗は均一であるので、カソードの支配方程式の離散
化には境界要素法を与えてよい。一方、分割アノードの
電流配分を、一定時間の間隔をおいて変化させる場合に
は、一定時間後にカソードのめっき厚の不均一が生じて
しまう。このカソードのめっき厚の不均一を考慮に入れ
て分割アノードの最適電流配分の再計算を行う場合に
は、上述した方法と同様に、カソードの支配方程式の離
散化には有限要素法を適用することが必要となる。
カソード(被めっきウエハ)の形状を与えることで、ア
ノード及び又はカソードに抵抗成分がある場合にも、こ
れを考慮した電流密度及び電位分布を求めることができ
る。従って、この解析法を利用して、ウエハにめっきを
行うことで、均一性の良好なめっきを行うことができ
る。また、めっき槽の設計において、実験的な試行錯誤
を繰返すことなく、最適なパラメータを得ることができ
る。
に銅めっきを行う例について説明したが、下地が薄く抵
抗成分を有し、且つ面内均一性の良好な精密なめっきに
広く利用可能なことは勿論である。又、本発明の原理
は、めっきのみならず、金属の腐食・防食の解析方法に
も同様に適用可能である。即ち、水中又は土中に配設さ
れる埋設管や各種機器等において、アノード又はカソー
ドとなる部材が抵抗成分を有する場合において、この抵
抗成分を考慮して電流密度分布及び電位分布を効率的に
解析することが可能になる。
の抵抗が無視できない系の電解めっきに関し、めっき速
度分布を数値解析する場合において、有限要素法で解析
する方法しか実用化されておらず、領域を要素に分割す
る際、内部の領域まで分割が必要で要素分割および解析
に膨大な時間を要していた。境界要素法を用いた本発明
による方法によれば、めっき液内部の要素分割を必要と
しないので、要素分割および解析に要する時間を大幅に
短縮することができる。また、めっき槽の形状が軸対象
でモデル化できる場合には、溶液の占める領域を軸対象
要素を用いて要素分割できるので、よりいっそう効率的
な解析が可能となる。これまで、カソードの抵抗が無視
できない系での電解めっきに関し、カソードの抵抗の存
在によって生じるめっき速度の不均一性を是正する方法
が求められていた。アノードを適当に分割して、それぞ
れの分割アノードに流す最適な電流値を計算する本発明
の方法によれば、短時間の解析によってカソード周辺部
に集中しがちな電流を均一化することができる。
あり、(b)は(a)のB部分の拡大図である。
を説明する図である。
である。
ある。
である。
ある。
流密度分布を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 アノード、及び/又はカソードの抵抗が
無視できない系での電解めっきにおいて、めっき液を含
む領域に対しては3次元ラプラス方程式を支配方程式と
して与え、これを境界要素法で離散化し、アノード、及
び/又はカソード内部の領域に対しては、平面または曲
面を扱う2次元又は3次元のポアソン方程式を支配方程
式として与え、これらを境界要素法または有限要素法で
離散化し、それらを連立させ、系内の電流密度および電
位分布を算出することを特徴とするめっき解析方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載のめっき解析方法におい
て、アノード、及び/又はカソード内部の領域に対して
は、アノード、及び/又はカソードの電気伝導度または
抵抗を時間の関数として与えることを特徴とするめっき
解析方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載のめっき解析方法
において、アノードを2つ以上に分割し、カソード表面
の電流密度分布を均一にするような、それぞれのアノー
ドに流す最適な電流値を算出し、めっき速度を均一化す
ることを特徴とするめっき解析方法。 - 【請求項4】 請求項3に記載のめっき解析方法におい
て、それぞれのアノードに流す最適な電流値を時間毎に
計算して与え、めっき速度を均一化することを特徴とす
るめっき解析方法。 - 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のめっ
き解析方法を用いて製造されたことを特徴とするめっき
装置。 - 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載のめっ
き解析方法により、半導体デバイス製造用のウエハ上に
配線形成を目的として金属のめっきを施すことを特徴と
するめっき方法。 - 【請求項7】 アノード、及び/又はカソードの抵抗が
無視できない系での腐食および防食において、電解質を
含む領域に対しては3次元ラプラス方程式を支配方程式
として与え、これを境界要素法で離散化し、アノード、
及び/又はカソード内部の領域に対しては、平面または
曲面を扱う2次元又は3次元のポアソン方程式を支配方
程式として与え、これらを境界要素法または有限要素法
で離散化し、それらを連立させ、系内の電流密度および
電位分布を算出することを特徴とする腐食及び防食の解
析方法。
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