JP2001131709A - セミテンションマスク用低熱膨張Fe−Ni系合金並びにそれを用いたセミテンションマスク及びカラーブラウン管 - Google Patents
セミテンションマスク用低熱膨張Fe−Ni系合金並びにそれを用いたセミテンションマスク及びカラーブラウン管Info
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- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/08—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing nickel
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- H01J29/07—Shadow masks for colour television tubes
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- H01J2229/00—Details of cathode ray tubes or electron beam tubes
- H01J2229/07—Shadow masks
- H01J2229/0727—Aperture plate
- H01J2229/0733—Aperture plate characterised by the material
Abstract
(57)【要約】
【課題】クリープ現象が起きると、マスクが伸びること
により架張された加重が緩和され、しわ発生、振動特性
の低下等種々の問題が生じる。固溶強化元素を添加して
クリープ特性を改善すると熱膨張係数が大きくなる。 【解決手段】 Niを34質量百分率(%)(以下%とする)
以上38%以下、Mnを0.01%以上0.5%以下、Bを0.0003%以上
0.0015%以下、Nを0.0010%以上0.0050%以下含有し、残部
Feおよび不可避的不純物から成る優れたクリープ特性を
有することを特徴とするセミテンションマスク用低熱膨
張Fe-Ni系合金。
により架張された加重が緩和され、しわ発生、振動特性
の低下等種々の問題が生じる。固溶強化元素を添加して
クリープ特性を改善すると熱膨張係数が大きくなる。 【解決手段】 Niを34質量百分率(%)(以下%とする)
以上38%以下、Mnを0.01%以上0.5%以下、Bを0.0003%以上
0.0015%以下、Nを0.0010%以上0.0050%以下含有し、残部
Feおよび不可避的不純物から成る優れたクリープ特性を
有することを特徴とするセミテンションマスク用低熱膨
張Fe-Ni系合金。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陰極線管(ブラウン
管)に使用されるFe-Ni系合金から成るセミテンション
マスクにおいて、低熱膨張特性を有しながらクリープ特
性が優良で、テンションをかけた後のベーキング後のマ
スクしわ発生抑制に優れる材料、更にその材料を用いた
セミテンションマスク、及び前記セミテンションマスク
を用いたカラーブラウン管に関する。
管)に使用されるFe-Ni系合金から成るセミテンション
マスクにおいて、低熱膨張特性を有しながらクリープ特
性が優良で、テンションをかけた後のベーキング後のマ
スクしわ発生抑制に優れる材料、更にその材料を用いた
セミテンションマスク、及び前記セミテンションマスク
を用いたカラーブラウン管に関する。
【0002】
【従来技術】ブラウン管のマスクは、ドット状もしくは
スロット状にエッチング加工された後プレス成形される
シャドウマスク方式と、すだれ状にエッチング後、架張
するアパーチャグリル方式に大別される。
スロット状にエッチング加工された後プレス成形される
シャドウマスク方式と、すだれ状にエッチング後、架張
するアパーチャグリル方式に大別される。
【0003】シャドウマスク方式は、熱膨張から生じる
ドーミング特性を改善するため、Fe-36%Ni(Invar合
金)が一般的に使用されている。一方、アパーチャグリ
ル方式では、その構造的特徴から熱膨張によるドーミン
グが発生しにくく、熱膨張係数が高くてもより安価な軟
鋼が使用されている。
ドーミング特性を改善するため、Fe-36%Ni(Invar合
金)が一般的に使用されている。一方、アパーチャグリ
ル方式では、その構造的特徴から熱膨張によるドーミン
グが発生しにくく、熱膨張係数が高くてもより安価な軟
鋼が使用されている。
【0004】それぞれの方式は、一長一短があり、どち
らの方式も市場で用いられているが、最近、この2方式
のそれぞれの長所を取り入れたセミテンションマスク(S
emiTension Mask)方式が新たに検討され始めた。
らの方式も市場で用いられているが、最近、この2方式
のそれぞれの長所を取り入れたセミテンションマスク(S
emiTension Mask)方式が新たに検討され始めた。
【0005】この方式は、ドット状もしくはスロット状
にエッチング加工された板をプレスすることなく、アパ
ーチャグリル方式同様上下に引っ張り(架張方式)、マ
スクを支持する方法である。プレスによるシャドウマス
ク方式に比べ、より平面化が可能となり、かつ、高輝度
化、高解像化が可能となる。さらには、アパーチャグリ
ル方式より振動特性に優れており、ダンパー線を必要と
せず、また、上下に引っ張る荷重も低くすみ、コスト低
減に寄与する。
にエッチング加工された板をプレスすることなく、アパ
ーチャグリル方式同様上下に引っ張り(架張方式)、マ
スクを支持する方法である。プレスによるシャドウマス
ク方式に比べ、より平面化が可能となり、かつ、高輝度
化、高解像化が可能となる。さらには、アパーチャグリ
ル方式より振動特性に優れており、ダンパー線を必要と
せず、また、上下に引っ張る荷重も低くすみ、コスト低
減に寄与する。
【0006】一方、セミテンションマスク方式では、ア
パーチャグリル方式と異なることから熱膨張によるドー
ミング現象が発生するため、熱膨張係数の低いInvar合
金を中心とするFe-Ni系合金の採用が検討されている。と
ころが、従来のプレス方式に採用されていたInvar合金
を使用したところ、マスク組立段階での熱処理により、
テンションダウンが起こり、しわ発生等の大きな問題が
発生する事が判明した。
パーチャグリル方式と異なることから熱膨張によるドー
ミング現象が発生するため、熱膨張係数の低いInvar合
金を中心とするFe-Ni系合金の採用が検討されている。と
ころが、従来のプレス方式に採用されていたInvar合金
を使用したところ、マスク組立段階での熱処理により、
テンションダウンが起こり、しわ発生等の大きな問題が
発生する事が判明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上、セミテンション
マスク方式には従来のInvar合金は不適確であることが
判明したが、この原因をマスク製造の各段階で詳細に調
査した結果、材料のクリープ特性に関係することが判明
した。
マスク方式には従来のInvar合金は不適確であることが
判明したが、この原因をマスク製造の各段階で詳細に調
査した結果、材料のクリープ特性に関係することが判明
した。
【0008】つまり、ドット状もしくはスロット状にエ
ッチングされた材料を黒化処理を行ってから枠材に溶接
し一定荷重が加わるように架張するが、その後ベーキン
グにて溶接等で生じた歪みを除去する。この時、枠材に
て引っ張られているInvar合金が、高温での塑性変形、
つまりクリープ現象を呈することを見出した。クリープ
現象が起きると、マスクが伸びることにより架張された
荷重が緩和(テンションダウン)され、しわ発生、振動
特性の低下等種々の問題を生じるのである。これに対し
て、Cu、Nb、Mo、W、Taの固溶強化を利用してこのクリ
ープ伸びを小さくできることを見出したが、これらの元
素を添加すると熱膨張係数が大きくなることが否めな
い。
ッチングされた材料を黒化処理を行ってから枠材に溶接
し一定荷重が加わるように架張するが、その後ベーキン
グにて溶接等で生じた歪みを除去する。この時、枠材に
て引っ張られているInvar合金が、高温での塑性変形、
つまりクリープ現象を呈することを見出した。クリープ
現象が起きると、マスクが伸びることにより架張された
荷重が緩和(テンションダウン)され、しわ発生、振動
特性の低下等種々の問題を生じるのである。これに対し
て、Cu、Nb、Mo、W、Taの固溶強化を利用してこのクリ
ープ伸びを小さくできることを見出したが、これらの元
素を添加すると熱膨張係数が大きくなることが否めな
い。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、上記の問
題点を解決したものであり、(1)Niを34%以上38%以
下、Mnを0.01%以上0.5%以下、Bを0.0003%以上0.0015%以
下、Nを0.0010%以上0050%以下含有し、残部Feおよび不
可避的不純物から成る優れたクリープ特性を有すること
を特徴とするセミテンションマスク用低熱膨張Fe-Ni系
合金。
題点を解決したものであり、(1)Niを34%以上38%以
下、Mnを0.01%以上0.5%以下、Bを0.0003%以上0.0015%以
下、Nを0.0010%以上0050%以下含有し、残部Feおよび不
可避的不純物から成る優れたクリープ特性を有すること
を特徴とするセミテンションマスク用低熱膨張Fe-Ni系
合金。
【0010】(2)Siを0.005%以上0.20%以下、Alを0.0
05%以上0.030%以下含有する(1)に記載のセミテンシ
ョンマスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
05%以上0.030%以下含有する(1)に記載のセミテンシ
ョンマスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
【0011】(3)不可避的不純物のうち、Cが0.010%
以下、Pが0.015%以下、Sが0.010%以下であることを特徴
とする(1)〜(2)に記載のセミテンションマスク用
低熱膨張Fe-Ni系合金。
以下、Pが0.015%以下、Sが0.010%以下であることを特徴
とする(1)〜(2)に記載のセミテンションマスク用
低熱膨張Fe-Ni系合金。
【0012】(4)熱間圧延後に、または冷間圧延後に
少なくとも1回、非酸化性雰囲気で、650℃以上750℃以
下で、30分以上5時間未満の焼鈍を行う(1)〜(3)
に記載のセミテンションマスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
少なくとも1回、非酸化性雰囲気で、650℃以上750℃以
下で、30分以上5時間未満の焼鈍を行う(1)〜(3)
に記載のセミテンションマスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
【0013】(5)最終冷間圧延後に歪取焼鈍を行うこ
とを特徴とする(1)〜(4)に記載のセミテンション
マスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
とを特徴とする(1)〜(4)に記載のセミテンション
マスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
【0014】(6)上記(1)〜(5)のFe-Ni系合金
を用いたことを特徴とするセミテンションマスク。
を用いたことを特徴とするセミテンションマスク。
【0015】(7)上記(6)のセミテンションマスク
を用いることを特徴とするカラーブラウン管。
を用いることを特徴とするカラーブラウン管。
【0016】セミテンションマスクにおいては、黒化処
理をしてから架張するために、黒化処理温度がFe-Ni系
合金の再結晶温度と比較してはるかに低い場合には、該
合金の加工硬化を利用してクリープ特性を改善すること
ができる。ところが、加工硬化が強すぎると、該合金の軟
化開始温度が低くなり、その結果クリープ速度が大きく
なる。このような状況の中、Cu、Nb、Mo、W、Taを添加し
て固溶させることでクリープ伸びを改善できることを見
出したが、これら元素の添加量によっては、熱膨張係数が
大きくなり、Invar合金の特徴である低熱膨張が損なわれ
る場合がある。
理をしてから架張するために、黒化処理温度がFe-Ni系
合金の再結晶温度と比較してはるかに低い場合には、該
合金の加工硬化を利用してクリープ特性を改善すること
ができる。ところが、加工硬化が強すぎると、該合金の軟
化開始温度が低くなり、その結果クリープ速度が大きく
なる。このような状況の中、Cu、Nb、Mo、W、Taを添加し
て固溶させることでクリープ伸びを改善できることを見
出したが、これら元素の添加量によっては、熱膨張係数が
大きくなり、Invar合金の特徴である低熱膨張が損なわれ
る場合がある。
【0017】即ち、本発明はFe-Ni系合金の熱膨張係数
に影響を及ぼさないような添加量でクリープ速度を小さ
くできる元素を模索した結果、Bを微量添加し、かつN含
有量を制御することでFe-Ni合金系中に微細な窒化ボロ
ン(BN)を析出させ、熱膨張係数の上昇がほとんどなく、
かつエッチング性を妨げることなくクリープ特性を改善
できることを見出した。この改善効果は、微量元素が添
加されていないFe-Ni系合金では軟化が始まるような温
度で黒化処理する場合にも発揮する。窒化ボロンをより
微細に析出させるのは、熱間圧延後に、または冷間圧延
後に少なくとも1回、非酸化性雰囲気で、650℃以上750
℃以下で、30分以上5時間未満の焼鈍を行うことが望ま
しく、これにより一層クリープ特性が改善できる。
に影響を及ぼさないような添加量でクリープ速度を小さ
くできる元素を模索した結果、Bを微量添加し、かつN含
有量を制御することでFe-Ni合金系中に微細な窒化ボロ
ン(BN)を析出させ、熱膨張係数の上昇がほとんどなく、
かつエッチング性を妨げることなくクリープ特性を改善
できることを見出した。この改善効果は、微量元素が添
加されていないFe-Ni系合金では軟化が始まるような温
度で黒化処理する場合にも発揮する。窒化ボロンをより
微細に析出させるのは、熱間圧延後に、または冷間圧延
後に少なくとも1回、非酸化性雰囲気で、650℃以上750
℃以下で、30分以上5時間未満の焼鈍を行うことが望ま
しく、これにより一層クリープ特性が改善できる。
【0018】ここで、黒化処理温度を高くすることで期
待される効果の最たるものは磁気特性改善である。例え
ば、微量元素が添加されていないプレス成形シャドウマ
スク用Invar合金の場合で、590℃で黒化処理した場合の
最大比透磁率870〜1000であるのに対して、50℃高い640
℃で黒化処理すると最大比透磁率1030〜1200となる。な
お、ブラウン管のように交流消磁後の地磁気シールドに
おいては、最大比透磁率が大きい方がそのシールド性が
良くなる。
待される効果の最たるものは磁気特性改善である。例え
ば、微量元素が添加されていないプレス成形シャドウマ
スク用Invar合金の場合で、590℃で黒化処理した場合の
最大比透磁率870〜1000であるのに対して、50℃高い640
℃で黒化処理すると最大比透磁率1030〜1200となる。な
お、ブラウン管のように交流消磁後の地磁気シールドに
おいては、最大比透磁率が大きい方がそのシールド性が
良くなる。
【0019】なお、セミテンションマスクは、架張する
前に黒化処理することから、ドット状またはスロット状
にエッチングした時に残留応力の不均一を生じて、それ
が黒化処理で開放される時に形状が歪むことがあるた
め、最終冷間圧延後に歪取焼鈍を行うことでこれを防ぐ
ことが望ましい。
前に黒化処理することから、ドット状またはスロット状
にエッチングした時に残留応力の不均一を生じて、それ
が黒化処理で開放される時に形状が歪むことがあるた
め、最終冷間圧延後に歪取焼鈍を行うことでこれを防ぐ
ことが望ましい。
【0020】つまりは、本発明者らは、Bを添加し、N量
を制御することと、AlとSiとを適当量にし、さらには、加
工の中間で熱処理を行い、必要に応じて歪取焼鈍を行う
ことで、黒化処理、架張、ベーキングの各工程において
しわ等が発生せず、低熱膨張係数を損なうことなく、大
幅にクリープ特性が改善できることを見出した。
を制御することと、AlとSiとを適当量にし、さらには、加
工の中間で熱処理を行い、必要に応じて歪取焼鈍を行う
ことで、黒化処理、架張、ベーキングの各工程において
しわ等が発生せず、低熱膨張係数を損なうことなく、大
幅にクリープ特性が改善できることを見出した。
【0021】次に本発明の限定理由を述べる。 Ni:Niが34%より少なく、あるいは38%より多くなると熱
膨張係数が高くなり色純度の低下につながる。よってそ
の成分範囲を34%以上38%以下とする。 Mn:Mnは熱間加工性を阻害する不純物として含まれるS
を無害化させるのに必要である。そしてMnが0.01%より少
ないとこの効果がなく、0.5%を超えるとエッチング性を
阻害し、熱膨張係数が大きくなる。よって、その成分範
囲を0.01%以上0.5%以下とするが、エッチング性と熱膨
張特性をより良くするのに好ましい範囲は、0.01%以上
0.1%以下である。
膨張係数が高くなり色純度の低下につながる。よってそ
の成分範囲を34%以上38%以下とする。 Mn:Mnは熱間加工性を阻害する不純物として含まれるS
を無害化させるのに必要である。そしてMnが0.01%より少
ないとこの効果がなく、0.5%を超えるとエッチング性を
阻害し、熱膨張係数が大きくなる。よって、その成分範
囲を0.01%以上0.5%以下とするが、エッチング性と熱膨
張特性をより良くするのに好ましい範囲は、0.01%以上
0.1%以下である。
【0022】B:BはNと窒化物を形成することでクリー
プ特性を向上させる。その効果は、0.0003%未満では小さ
い。一方、Bが多いとエッチングした場合にエッチング面
の荒れを生じ、0.00015%を超えると顕著になる。よって
その成分範囲を0.0003%以上0.0015%以下とする。 N:NはBと窒化物を形成するために必要な元素である。そ
の量が、0.0010%未満では窒化物の量が少なくクリープ
強度の向上はほとんどない。一方、Nが0.0050%を超える
とインゴットに気孔が生じ易い。よってその成分範囲を
0.0010%以上0.0050%以下とする。
プ特性を向上させる。その効果は、0.0003%未満では小さ
い。一方、Bが多いとエッチングした場合にエッチング面
の荒れを生じ、0.00015%を超えると顕著になる。よって
その成分範囲を0.0003%以上0.0015%以下とする。 N:NはBと窒化物を形成するために必要な元素である。そ
の量が、0.0010%未満では窒化物の量が少なくクリープ
強度の向上はほとんどない。一方、Nが0.0050%を超える
とインゴットに気孔が生じ易い。よってその成分範囲を
0.0010%以上0.0050%以下とする。
【0023】Si:Siは脱酸剤として添加されるが、Siが
多いとエッチング性を大きく阻害することから少ないほ
うが好ましい。しかしながら、小さいながらもクリープ
特性を改善する効果があることからその成分範囲を0.00
5%以上0.20%以下とする。ただし、エッチング性をより良
くするのに好ましい範囲は0.03%以下である。 Al:Alは脱酸材として使用され、Alを多く固溶させると
クリープ特性を改善する効果がある。しかしながら、Al
含有量を多くするとアルミナを形成して、エッチング性
を阻害するとともに、冷間圧延においてアルミナ起因の
表面疵が発生する。よってその成分範囲を0.005%以上0.0
30%以下とする。
多いとエッチング性を大きく阻害することから少ないほ
うが好ましい。しかしながら、小さいながらもクリープ
特性を改善する効果があることからその成分範囲を0.00
5%以上0.20%以下とする。ただし、エッチング性をより良
くするのに好ましい範囲は0.03%以下である。 Al:Alは脱酸材として使用され、Alを多く固溶させると
クリープ特性を改善する効果がある。しかしながら、Al
含有量を多くするとアルミナを形成して、エッチング性
を阻害するとともに、冷間圧延においてアルミナ起因の
表面疵が発生する。よってその成分範囲を0.005%以上0.0
30%以下とする。
【0024】C: Cは炭化物を形成するが、Cが0.010%を
超えると炭化物が過剰に生成し、これがエッチング性を
阻害する。よってCを0.010%とするが、固溶Cもエッチン
グ性に悪影響を及ぼすためCはできるだけ少ないほうが
よく、Cのさらに好ましい範囲は0.005%以下である。 P:Pは過剰に含有されるとエッチング不良の原因とな
る。このため含有量を0.015%以下とする必要がある。 S:Sは0.010%を超えると熱間加工性を阻害するととも
に、硫化物系介在物が多くなってエッチング性に悪影響
を及ぼす。このため上限を0.010%以下とする。
超えると炭化物が過剰に生成し、これがエッチング性を
阻害する。よってCを0.010%とするが、固溶Cもエッチン
グ性に悪影響を及ぼすためCはできるだけ少ないほうが
よく、Cのさらに好ましい範囲は0.005%以下である。 P:Pは過剰に含有されるとエッチング不良の原因とな
る。このため含有量を0.015%以下とする必要がある。 S:Sは0.010%を超えると熱間加工性を阻害するととも
に、硫化物系介在物が多くなってエッチング性に悪影響
を及ぼす。このため上限を0.010%以下とする。
【0025】加工中間での熱処理条件:窒化ボロンを微
細に析出させるには、熱間圧延後または冷間圧延後に少
なくとも1回の非酸化製雰囲気で窒化ボロンの解離温度
以下で長時間の熱処理を行うことが望ましい。ここで、
結晶粒が大きくならずにかつ窒化ボロンを析出させるた
めに、熱処理温度は650℃以上750℃以下とし、熱処理時
間は30分以上5時間未満とする。また、Bが酸化するのを
防ぐために非酸化性雰囲気中での熱処理とする。なお、
熱間圧延後に行う場合には、熱間圧延酸化スケール除去
後行うことが望ましい。
細に析出させるには、熱間圧延後または冷間圧延後に少
なくとも1回の非酸化製雰囲気で窒化ボロンの解離温度
以下で長時間の熱処理を行うことが望ましい。ここで、
結晶粒が大きくならずにかつ窒化ボロンを析出させるた
めに、熱処理温度は650℃以上750℃以下とし、熱処理時
間は30分以上5時間未満とする。また、Bが酸化するのを
防ぐために非酸化性雰囲気中での熱処理とする。なお、
熱間圧延後に行う場合には、熱間圧延酸化スケール除去
後行うことが望ましい。
【0026】歪取焼鈍:歪取焼鈍を実施しても黒化処理
後のクリープ伸びには影響を及ぼさないが、黒化処理時
に残留応力が開放されることによって生じる不均一変形
を抑えるために実施することが望ましい
後のクリープ伸びには影響を及ぼさないが、黒化処理時
に残留応力が開放されることによって生じる不均一変形
を抑えるために実施することが望ましい
【0027】
【実施例】以下に本発明を詳しく説明する。表1に実施
例に用いた合金組成を示す。
例に用いた合金組成を示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示した成分を有するFe-Ni系合金をB
等の合金元素を添加する段階で窒素雰囲気にした真空溶
解で溶製した。溶解方法は真空溶解以外にVOD等の炉外精
錬でも良い。その場合は精錬中のバブリング用アルゴン
ガスに窒素を混合させることで窒素量を制御できる。な
お、原料に窒化鉄を用いても良い。溶解では、窒化ボロ
ン(BN)が1000℃以上で酸化ボロンになるために溶鋼中の
酸素量を低くしなければならず、ボロン添加後の酸素濃
度範囲は100ppm以下とすることが望ましい。得られた鋳
塊を鍛造および熱間圧延にて3mm厚みにした後、冷間圧
延と焼鈍を繰り返し行い、約0.15mm厚みに加工した。な
お、熱間圧延後または、繰り返し行う冷間圧延間の焼鈍
のうち1回をAr雰囲気中で680℃で2時間の熱処理とする
ことも行った。なお、この熱処理を行わない冷間圧延間
の焼鈍は光輝焼鈍とした。
等の合金元素を添加する段階で窒素雰囲気にした真空溶
解で溶製した。溶解方法は真空溶解以外にVOD等の炉外精
錬でも良い。その場合は精錬中のバブリング用アルゴン
ガスに窒素を混合させることで窒素量を制御できる。な
お、原料に窒化鉄を用いても良い。溶解では、窒化ボロ
ン(BN)が1000℃以上で酸化ボロンになるために溶鋼中の
酸素量を低くしなければならず、ボロン添加後の酸素濃
度範囲は100ppm以下とすることが望ましい。得られた鋳
塊を鍛造および熱間圧延にて3mm厚みにした後、冷間圧
延と焼鈍を繰り返し行い、約0.15mm厚みに加工した。な
お、熱間圧延後または、繰り返し行う冷間圧延間の焼鈍
のうち1回をAr雰囲気中で680℃で2時間の熱処理とする
ことも行った。なお、この熱処理を行わない冷間圧延間
の焼鈍は光輝焼鈍とした。
【0030】さらに、これらの材料を再結晶焼鈍後に冷
間にて0.1mm厚みまで圧延した。そして、これらを、640
℃で15分間黒化処理した後、460℃に加熱してから200N/
mm2の引っ張り応力を負荷して、30分後のクリープ伸び
を測定した。その際、引っ張り方向は圧延平行方向とし
た。また、30℃から100℃の間の平均熱膨張係数を測定す
るとともに、その表面に60℃で45ボーメの塩化第2鉄水
溶液を0.3MPaの圧力でスプレーしてエッチング面の状態
を観察した。
間にて0.1mm厚みまで圧延した。そして、これらを、640
℃で15分間黒化処理した後、460℃に加熱してから200N/
mm2の引っ張り応力を負荷して、30分後のクリープ伸び
を測定した。その際、引っ張り方向は圧延平行方向とし
た。また、30℃から100℃の間の平均熱膨張係数を測定す
るとともに、その表面に60℃で45ボーメの塩化第2鉄水
溶液を0.3MPaの圧力でスプレーしてエッチング面の状態
を観察した。
【0031】表2にクリープ伸び、熱膨張係数およびエ
ッチング性としてエッチング面の状態を示す。
ッチング性としてエッチング面の状態を示す。
【0032】
【表2】
【0033】No.1からNo.9は請求項1から請求項3の全て
を満たす本発明例である。さらに、No.2、No.3、No.7、
No.9は請求項4の中間熱処理を行ったものである。黒化処
理した実際のセミテンションマスクにおいて、ベーキン
グ後にしわが発生した材料と発生しなかった材料とを本
試験と同じ条件で黒化処理してクリープ特性を測定した
ところ、しわ発生の境界となるクリープ伸びは、0.16%
であった。No.1からNo.9は、黒化処理後のクリープ伸び
が0.16%未満であって、熱膨張係数も13×10-7/℃以下と、
Bを添加していないNo.10からNo.12(化学成分がM)とほ
ぼ同じで、Nbを0.3%添加しているNo.26(化学成分がT)
の約7割未満になっている。また、No.2、No.3、No.7、N
o.9に示すように、熱間圧延後または冷間圧延後に、Ar
中で680℃で2時間の焼鈍を行った方がクリープ伸びは小
さくなっている。これは、窒化ボロンがより微細に析出
したためである。
を満たす本発明例である。さらに、No.2、No.3、No.7、
No.9は請求項4の中間熱処理を行ったものである。黒化処
理した実際のセミテンションマスクにおいて、ベーキン
グ後にしわが発生した材料と発生しなかった材料とを本
試験と同じ条件で黒化処理してクリープ特性を測定した
ところ、しわ発生の境界となるクリープ伸びは、0.16%
であった。No.1からNo.9は、黒化処理後のクリープ伸び
が0.16%未満であって、熱膨張係数も13×10-7/℃以下と、
Bを添加していないNo.10からNo.12(化学成分がM)とほ
ぼ同じで、Nbを0.3%添加しているNo.26(化学成分がT)
の約7割未満になっている。また、No.2、No.3、No.7、N
o.9に示すように、熱間圧延後または冷間圧延後に、Ar
中で680℃で2時間の焼鈍を行った方がクリープ伸びは小
さくなっている。これは、窒化ボロンがより微細に析出
したためである。
【0034】一方、No.10からNo.12は、Bが0.0003%未満
である。これらは、Bが請求項1の範囲よりも少ないため
にクリープ伸びを小さくするのに有効な窒化ボロン量が
少なく、クリープ伸びがセミテンションマスクでしわが
発生する下限と推定した0.16%を大幅に超えている。な
お、No.11とNo.12とは、窒化ボロンをより微細に析出さ
せるために、熱間圧延後または冷間圧延後に、Ar中で68
0℃で2時間の焼鈍を行ったが、Bが少ないためにNo.2、N
o.3、No.7、No.9のようにクリープ伸びの改善は認めら
れない。
である。これらは、Bが請求項1の範囲よりも少ないため
にクリープ伸びを小さくするのに有効な窒化ボロン量が
少なく、クリープ伸びがセミテンションマスクでしわが
発生する下限と推定した0.16%を大幅に超えている。な
お、No.11とNo.12とは、窒化ボロンをより微細に析出さ
せるために、熱間圧延後または冷間圧延後に、Ar中で68
0℃で2時間の焼鈍を行ったが、Bが少ないためにNo.2、N
o.3、No.7、No.9のようにクリープ伸びの改善は認めら
れない。
【0035】No.13はNが0.0010%未満である。これはNが
請求項1の範囲よりも少ないためにクリープ伸びを小さ
くするのに有効な窒化ボロン量が少なく、クリープ伸び
がセミテンションマスクでしわが発生する下限と推定し
た0.16%を超えている。なお、No.13は、Bが0.0015%を超
えるためにエッチング面が荒れており、セミテンション
マスク用材料として不適当である。これは、BとNとが共
に本発明範囲を超えるNo.14ではより顕著であった。
請求項1の範囲よりも少ないためにクリープ伸びを小さ
くするのに有効な窒化ボロン量が少なく、クリープ伸び
がセミテンションマスクでしわが発生する下限と推定し
た0.16%を超えている。なお、No.13は、Bが0.0015%を超
えるためにエッチング面が荒れており、セミテンション
マスク用材料として不適当である。これは、BとNとが共
に本発明範囲を超えるNo.14ではより顕著であった。
【0036】そして、 No.15からNo.17は、640℃黒化処
理後のクリープ伸びも0.16%以下であるが、材料中に多
量に含まれる異物(介在物でNo.15ではSiO2、No.16では
Al2O 3、No.17ではMnS)が、エッチングした場合にエッ
チング痕となってエッチング面を荒らすためにセミテン
ションマスク用材料として充分とは言えない。特に、Al2
O3はクラスター状に存在し、MnSは延性があるために線
状に伸びているために、これらがドット状あるいはスロ
ット状のエッチング加工孔の縁の形状を悪化させる。ま
た、No.17はMnが0.50%を超えるために熱膨張係数が大き
くなっている。
理後のクリープ伸びも0.16%以下であるが、材料中に多
量に含まれる異物(介在物でNo.15ではSiO2、No.16では
Al2O 3、No.17ではMnS)が、エッチングした場合にエッ
チング痕となってエッチング面を荒らすためにセミテン
ションマスク用材料として充分とは言えない。特に、Al2
O3はクラスター状に存在し、MnSは延性があるために線
状に伸びているために、これらがドット状あるいはスロ
ット状のエッチング加工孔の縁の形状を悪化させる。ま
た、No.17はMnが0.50%を超えるために熱膨張係数が大き
くなっている。
【0037】そして、No.18、No.22は、Niが請求項1の範
囲を外れるために熱膨張係数が大きく、ドーミング特性
の観点でセミテンションマスク用材料として充分ではな
い。
囲を外れるために熱膨張係数が大きく、ドーミング特性
の観点でセミテンションマスク用材料として充分ではな
い。
【0038】また、No.19は、Siが0.005%未満であるため、
黒化処理後のクリープ伸びがセミテンションマスクでし
わが発生する下限と推定した0.16%に近く、No.1〜No.9
と比較すると黒化処理温度が640℃を超えるような場合
にはクリープ伸びで問題が生じる。No.20は、Alが0.005%
未満であるために同様の現象が起きている。
黒化処理後のクリープ伸びがセミテンションマスクでし
わが発生する下限と推定した0.16%に近く、No.1〜No.9
と比較すると黒化処理温度が640℃を超えるような場合
にはクリープ伸びで問題が生じる。No.20は、Alが0.005%
未満であるために同様の現象が起きている。
【0039】そして、No.21は、クリープ伸びも0.16%以下
で、かつ熱膨張係数も小さいが、Mnが0.01%未満のために、
熱間加工時にS偏析による脆化を無害化できずに鍛造や
熱間圧延時に割れやへげ疵が発生する場合が有る。ま
た、エッチングした場合に結晶粒界の凹凸が大きく、これ
はSの結晶粒界への偏析によるものと考えられる。
で、かつ熱膨張係数も小さいが、Mnが0.01%未満のために、
熱間加工時にS偏析による脆化を無害化できずに鍛造や
熱間圧延時に割れやへげ疵が発生する場合が有る。ま
た、エッチングした場合に結晶粒界の凹凸が大きく、これ
はSの結晶粒界への偏析によるものと考えられる。
【0040】次に、No.23はCが、No.24はPが、No.25はSが
請求項3の範囲を超える。これらは黒化処理後のクリー
プ伸びが0.16%以下であるが、材料中に多量に含まれる
異物(No.23では鉄炭化物、No.24では燐偏析、No.25では
MnS)が、エッチングした場合にエッチング痕となって
エッチング面を荒らすためにセミテンションマスク用材
料として充分とは言えない。特に、MnSや燐偏析は延性が
あるために線状に伸びているために、これらがドット状
あるいはスロット状のエッチング加工孔の縁の形状を悪
化させる。
請求項3の範囲を超える。これらは黒化処理後のクリー
プ伸びが0.16%以下であるが、材料中に多量に含まれる
異物(No.23では鉄炭化物、No.24では燐偏析、No.25では
MnS)が、エッチングした場合にエッチング痕となって
エッチング面を荒らすためにセミテンションマスク用材
料として充分とは言えない。特に、MnSや燐偏析は延性が
あるために線状に伸びているために、これらがドット状
あるいはスロット状のエッチング加工孔の縁の形状を悪
化させる。
【0041】最後に、No.26はNbを0.3%含有するために、
クリープ伸びも小さいが、熱膨張係数がNo.1〜No.9と比
較すると大きい。従って、熱膨張によるドーミング特性
を重視する場合には、架張力を大きくしてマスクの熱膨
張によるドーミング特性劣化を防ぐ必要がある。このた
めには、セミテンションマスクのフレーム強度を大きく
しなければならず、コスト高になってしまう。
クリープ伸びも小さいが、熱膨張係数がNo.1〜No.9と比
較すると大きい。従って、熱膨張によるドーミング特性
を重視する場合には、架張力を大きくしてマスクの熱膨
張によるドーミング特性劣化を防ぐ必要がある。このた
めには、セミテンションマスクのフレーム強度を大きく
しなければならず、コスト高になってしまう。
【0042】なお、本発明の実施例では、最終冷間圧延
後に歪取焼鈍を実施していないが、No.1と同じ条件で試
験片を作成し、750℃で1秒の歪取焼鈍を行っても、黒化処
理後のクリープ伸びは0.127%と影響を及ぼさないことを
確認している。ただし、歪取を行わない場合は、エッチ
ングでドット状またはスロット状のマスクに加工した際
に残留応力分布のバランスが崩れ、それが黒化処理で解
放されて形状が劣化する場合があるので、架張する作業
上は歪取を行い黒化処理で形状が損なわれないようにす
ることが望ましい。さらに、必要に応じてテンションレ
ベラー等による形状矯正を実施する場合があるが、当然
これらの工程が入っても本特許の有効性は問題なく、本
特許請求の範囲に含まれるのは言うまでもない。
後に歪取焼鈍を実施していないが、No.1と同じ条件で試
験片を作成し、750℃で1秒の歪取焼鈍を行っても、黒化処
理後のクリープ伸びは0.127%と影響を及ぼさないことを
確認している。ただし、歪取を行わない場合は、エッチ
ングでドット状またはスロット状のマスクに加工した際
に残留応力分布のバランスが崩れ、それが黒化処理で解
放されて形状が劣化する場合があるので、架張する作業
上は歪取を行い黒化処理で形状が損なわれないようにす
ることが望ましい。さらに、必要に応じてテンションレ
ベラー等による形状矯正を実施する場合があるが、当然
これらの工程が入っても本特許の有効性は問題なく、本
特許請求の範囲に含まれるのは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】本発明のFe-Ni系合金は優れたクリープ
特性を備え、かつ熱膨張係数がInvar合金とほとんど差
がないために、色ずれのないカラーブラウン管用材料と
して好適である。特に固溶強化元素を添加する場合に匹
敵するクリープ特性の改善を、ほとんど熱膨張係数を大
きくすることなく達成できる。また、本発明からなるセ
ミテンションマスクは、カラーブラウン管の画面の平面
化を可能とするのに好適である。
特性を備え、かつ熱膨張係数がInvar合金とほとんど差
がないために、色ずれのないカラーブラウン管用材料と
して好適である。特に固溶強化元素を添加する場合に匹
敵するクリープ特性の改善を、ほとんど熱膨張係数を大
きくすることなく達成できる。また、本発明からなるセ
ミテンションマスクは、カラーブラウン管の画面の平面
化を可能とするのに好適である。
Claims (7)
- 【請求項1】Niを34質量百分率(%)(以下%とする)以
上38%以下、Mnを0.01%以上0.5%以下、Bを0.0003%以上0.
0015%以下、Nを0.0010%以上0.0050%以下含有し、残部Fe
および不可避的不純物から成る優れたクリープ特性を有
することを特徴とするセミテンションマスク用低熱膨張
Fe-Ni系合金。 - 【請求項2】Siを0.005%以上0.20%以下、Alを0.005%以
上0.030%以下含有する請求項1に記載のセミテンション
マスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。 - 【請求項3】不可避的不純物のうち、Cが0.010%以下、P
が0.015%以下、Sが0.010%以下であることを特徴とする
請求項1〜請求項2に記載のセミテンションマスク用低
熱膨張Fe-Ni系合金。 - 【請求項4】熱間圧延後に、または冷間圧延後に少なく
とも1回、非酸化性雰囲気で、650℃以上750℃以下で、3
0分以上5時間未満の焼鈍を行う請求項1〜請求項3に記
載のセミテンションマスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。 - 【請求項5】最終冷間圧延後に歪取焼鈍を行うことを特
徴とする請求項1〜請求項4に記載のセミテンションマ
スク用Fe-Ni系合金。 - 【請求項6】請求項1〜請求項5のFe-Ni系合金を用い
たことを特徴とするセミテンションマスク。 - 【請求項7】請求項6のセミテンションマスクを用いる
ことを特徴とするカラーブラウン管。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31789999A JP2001131709A (ja) | 1999-11-09 | 1999-11-09 | セミテンションマスク用低熱膨張Fe−Ni系合金並びにそれを用いたセミテンションマスク及びカラーブラウン管 |
US09/632,396 US6372058B1 (en) | 1999-11-09 | 2000-08-04 | Semi-tension mask of low-expansion Fe-Ni alloy, and color picture tube using the mask |
TW089115767A TWI258511B (en) | 1999-11-09 | 2000-08-05 | Low-expansion Fe-Ni alloy for semi-tension mask, semi-tension mask of the alloy, and color picture tube using the mask |
DE10041453A DE10041453B4 (de) | 1999-11-09 | 2000-08-23 | Eisen-Nickel-Legierung mit geringer Wärmeausdehnung für Halb-Spannungs-Masken, daraus hergestellte Halb-Spannungs-Masken sowie eine solche Maske verwendende Farbbildröhre |
FR0010998A FR2800753B1 (fr) | 1999-11-09 | 2000-08-28 | Alliage fe-ni a bas coefficient de dilatation thermique pour masque en semi-tension, masque en semi-tension en cet alliage et tube image en couleurs utilisant le masque |
KR10-2000-0051033A KR100388285B1 (ko) | 1999-11-09 | 2000-08-31 | 세미텐션마스크용 저열팽창Fe-Ni계 합금, 이를 이용한세미텐션마스크 및 상기 세미텐션마스크를 사용하는컬러수상관 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31789999A JP2001131709A (ja) | 1999-11-09 | 1999-11-09 | セミテンションマスク用低熱膨張Fe−Ni系合金並びにそれを用いたセミテンションマスク及びカラーブラウン管 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Family
ID=18093306
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31789999A Pending JP2001131709A (ja) | 1999-11-09 | 1999-11-09 | セミテンションマスク用低熱膨張Fe−Ni系合金並びにそれを用いたセミテンションマスク及びカラーブラウン管 |
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---|---|
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DE (1) | DE10041453B4 (ja) |
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KR100334082B1 (ko) * | 2000-07-12 | 2002-04-26 | 김순택 | 칼라 음극선관용 텐션마스크 프레임 조립체 |
DE60129411T2 (de) * | 2000-09-29 | 2007-11-29 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd., Kadoma | Kathodenstrahlröhre |
DE10146301C1 (de) | 2001-09-19 | 2002-07-18 | Krupp Vdm Gmbh | Verfahren zur Herstellung eines Metallbandes aus einer Eisen-Nickel-Legierung für gespannte Schattenmasken |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE3545354A1 (de) * | 1984-12-28 | 1986-07-03 | Nippon Mining Co., Ltd., Tokio/Tokyo | Schattenmaske und verfahren zur herstellung von schattenmasken |
EP0468059B1 (en) * | 1990-02-15 | 1997-05-28 | Nkk Corporation | Thin sheet of iron-nickel alloy for shadow mask and production thereof |
EP0561120B1 (en) * | 1992-01-24 | 1996-06-12 | Nkk Corporation | Thin Fe-Ni alloy sheet for shadow mask and method for manufacturing thereof |
JPH06184702A (ja) * | 1992-12-21 | 1994-07-05 | Nisshin Steel Co Ltd | シャドウマスク用低熱膨張合金及び合金帯 |
JPH06264190A (ja) * | 1993-03-12 | 1994-09-20 | Toshiba Corp | シャドウマスク用素材 |
EP0627494B1 (en) * | 1993-05-31 | 1997-07-23 | Nkk Corporation | Alloy sheet for shadow mask and method for manufacturing thereof |
JP3401308B2 (ja) * | 1993-11-29 | 2003-04-28 | 日新製鋼株式会社 | 温間プレス性に優れたシャドウマスク用材料及び製造方法 |
FR2728724B1 (fr) * | 1994-12-27 | 1997-01-24 | Imphy Sa | Procede de fabrication d'un masque d'ombre en alliage fer-nickel |
JP3406722B2 (ja) * | 1995-01-13 | 2003-05-12 | 日新製鋼株式会社 | シャドウマスク用低熱膨張合金 |
JP3363689B2 (ja) * | 1995-10-05 | 2003-01-08 | 日立金属株式会社 | プレス成形性に優れたシャドウマスク材およびシャドウマスクの製造方法 |
JPH10330886A (ja) * | 1997-06-02 | 1998-12-15 | Hitachi Metals Ltd | 軟化焼鈍特性に優れたシャドウマスク用Fe−Ni系合金薄板およびその焼鈍方法 |
JP3398050B2 (ja) * | 1998-05-27 | 2003-04-21 | 大平洋金属株式会社 | 高Ni合金の熱間圧延板を製造する方法 |
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- 1999-11-09 JP JP31789999A patent/JP2001131709A/ja active Pending
-
2000
- 2000-08-04 US US09/632,396 patent/US6372058B1/en not_active Expired - Fee Related
- 2000-08-05 TW TW089115767A patent/TWI258511B/zh not_active IP Right Cessation
- 2000-08-23 DE DE10041453A patent/DE10041453B4/de not_active Expired - Fee Related
- 2000-08-28 FR FR0010998A patent/FR2800753B1/fr not_active Expired - Fee Related
- 2000-08-31 KR KR10-2000-0051033A patent/KR100388285B1/ko not_active IP Right Cessation
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DE10041453A1 (de) | 2001-05-17 |
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