JP2001131709A - セミテンションマスク用低熱膨張Fe−Ni系合金並びにそれを用いたセミテンションマスク及びカラーブラウン管 - Google Patents

セミテンションマスク用低熱膨張Fe−Ni系合金並びにそれを用いたセミテンションマスク及びカラーブラウン管

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Toshiyuki Ono
俊之 小野
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Nippon Mining and Metals Co Ltd
Nippon Mining Co Ltd
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    • H01J2229/0733Aperture plate characterised by the material

Abstract

(57)【要約】 【課題】クリープ現象が起きると、マスクが伸びること
により架張された加重が緩和され、しわ発生、振動特性
の低下等種々の問題が生じる。固溶強化元素を添加して
クリープ特性を改善すると熱膨張係数が大きくなる。 【解決手段】 Niを34質量百分率(%)(以下%とする)
以上38%以下、Mnを0.01%以上0.5%以下、Bを0.0003%以上
0.0015%以下、Nを0.0010%以上0.0050%以下含有し、残部
Feおよび不可避的不純物から成る優れたクリープ特性を
有することを特徴とするセミテンションマスク用低熱膨
張Fe-Ni系合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陰極線管(ブラウン
管)に使用されるFe-Ni系合金から成るセミテンション
マスクにおいて、低熱膨張特性を有しながらクリープ特
性が優良で、テンションをかけた後のベーキング後のマ
スクしわ発生抑制に優れる材料、更にその材料を用いた
セミテンションマスク、及び前記セミテンションマスク
を用いたカラーブラウン管に関する。
【0002】
【従来技術】ブラウン管のマスクは、ドット状もしくは
スロット状にエッチング加工された後プレス成形される
シャドウマスク方式と、すだれ状にエッチング後、架張
するアパーチャグリル方式に大別される。
【0003】シャドウマスク方式は、熱膨張から生じる
ドーミング特性を改善するため、Fe-36%Ni(Invar合
金)が一般的に使用されている。一方、アパーチャグリ
ル方式では、その構造的特徴から熱膨張によるドーミン
グが発生しにくく、熱膨張係数が高くてもより安価な軟
鋼が使用されている。
【0004】それぞれの方式は、一長一短があり、どち
らの方式も市場で用いられているが、最近、この2方式
のそれぞれの長所を取り入れたセミテンションマスク(S
emiTension Mask)方式が新たに検討され始めた。
【0005】この方式は、ドット状もしくはスロット状
にエッチング加工された板をプレスすることなく、アパ
ーチャグリル方式同様上下に引っ張り(架張方式)、マ
スクを支持する方法である。プレスによるシャドウマス
ク方式に比べ、より平面化が可能となり、かつ、高輝度
化、高解像化が可能となる。さらには、アパーチャグリ
ル方式より振動特性に優れており、ダンパー線を必要と
せず、また、上下に引っ張る荷重も低くすみ、コスト低
減に寄与する。
【0006】一方、セミテンションマスク方式では、ア
パーチャグリル方式と異なることから熱膨張によるドー
ミング現象が発生するため、熱膨張係数の低いInvar合
金を中心とするFe-Ni系合金の採用が検討されている。と
ころが、従来のプレス方式に採用されていたInvar合金
を使用したところ、マスク組立段階での熱処理により、
テンションダウンが起こり、しわ発生等の大きな問題が
発生する事が判明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上、セミテンション
マスク方式には従来のInvar合金は不適確であることが
判明したが、この原因をマスク製造の各段階で詳細に調
査した結果、材料のクリープ特性に関係することが判明
した。
【0008】つまり、ドット状もしくはスロット状にエ
ッチングされた材料を黒化処理を行ってから枠材に溶接
し一定荷重が加わるように架張するが、その後ベーキン
グにて溶接等で生じた歪みを除去する。この時、枠材に
て引っ張られているInvar合金が、高温での塑性変形、
つまりクリープ現象を呈することを見出した。クリープ
現象が起きると、マスクが伸びることにより架張された
荷重が緩和(テンションダウン)され、しわ発生、振動
特性の低下等種々の問題を生じるのである。これに対し
て、Cu、Nb、Mo、W、Taの固溶強化を利用してこのクリ
ープ伸びを小さくできることを見出したが、これらの元
素を添加すると熱膨張係数が大きくなることが否めな
い。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、上記の問
題点を解決したものであり、(1)Niを34%以上38%以
下、Mnを0.01%以上0.5%以下、Bを0.0003%以上0.0015%以
下、Nを0.0010%以上0050%以下含有し、残部Feおよび不
可避的不純物から成る優れたクリープ特性を有すること
を特徴とするセミテンションマスク用低熱膨張Fe-Ni系
合金。
【0010】(2)Siを0.005%以上0.20%以下、Alを0.0
05%以上0.030%以下含有する(1)に記載のセミテンシ
ョンマスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
【0011】(3)不可避的不純物のうち、Cが0.010%
以下、Pが0.015%以下、Sが0.010%以下であることを特徴
とする(1)〜(2)に記載のセミテンションマスク用
低熱膨張Fe-Ni系合金。
【0012】(4)熱間圧延後に、または冷間圧延後に
少なくとも1回、非酸化性雰囲気で、650℃以上750℃以
下で、30分以上5時間未満の焼鈍を行う(1)〜(3)
に記載のセミテンションマスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
【0013】(5)最終冷間圧延後に歪取焼鈍を行うこ
とを特徴とする(1)〜(4)に記載のセミテンション
マスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
【0014】(6)上記(1)〜(5)のFe-Ni系合金
を用いたことを特徴とするセミテンションマスク。
【0015】(7)上記(6)のセミテンションマスク
を用いることを特徴とするカラーブラウン管。
【0016】セミテンションマスクにおいては、黒化処
理をしてから架張するために、黒化処理温度がFe-Ni系
合金の再結晶温度と比較してはるかに低い場合には、該
合金の加工硬化を利用してクリープ特性を改善すること
ができる。ところが、加工硬化が強すぎると、該合金の軟
化開始温度が低くなり、その結果クリープ速度が大きく
なる。このような状況の中、Cu、Nb、Mo、W、Taを添加し
て固溶させることでクリープ伸びを改善できることを見
出したが、これら元素の添加量によっては、熱膨張係数が
大きくなり、Invar合金の特徴である低熱膨張が損なわれ
る場合がある。
【0017】即ち、本発明はFe-Ni系合金の熱膨張係数
に影響を及ぼさないような添加量でクリープ速度を小さ
くできる元素を模索した結果、Bを微量添加し、かつN含
有量を制御することでFe-Ni合金系中に微細な窒化ボロ
ン(BN)を析出させ、熱膨張係数の上昇がほとんどなく、
かつエッチング性を妨げることなくクリープ特性を改善
できることを見出した。この改善効果は、微量元素が添
加されていないFe-Ni系合金では軟化が始まるような温
度で黒化処理する場合にも発揮する。窒化ボロンをより
微細に析出させるのは、熱間圧延後に、または冷間圧延
後に少なくとも1回、非酸化性雰囲気で、650℃以上750
℃以下で、30分以上5時間未満の焼鈍を行うことが望ま
しく、これにより一層クリープ特性が改善できる。
【0018】ここで、黒化処理温度を高くすることで期
待される効果の最たるものは磁気特性改善である。例え
ば、微量元素が添加されていないプレス成形シャドウマ
スク用Invar合金の場合で、590℃で黒化処理した場合の
最大比透磁率870〜1000であるのに対して、50℃高い640
℃で黒化処理すると最大比透磁率1030〜1200となる。な
お、ブラウン管のように交流消磁後の地磁気シールドに
おいては、最大比透磁率が大きい方がそのシールド性が
良くなる。
【0019】なお、セミテンションマスクは、架張する
前に黒化処理することから、ドット状またはスロット状
にエッチングした時に残留応力の不均一を生じて、それ
が黒化処理で開放される時に形状が歪むことがあるた
め、最終冷間圧延後に歪取焼鈍を行うことでこれを防ぐ
ことが望ましい。
【0020】つまりは、本発明者らは、Bを添加し、N量
を制御することと、AlとSiとを適当量にし、さらには、加
工の中間で熱処理を行い、必要に応じて歪取焼鈍を行う
ことで、黒化処理、架張、ベーキングの各工程において
しわ等が発生せず、低熱膨張係数を損なうことなく、大
幅にクリープ特性が改善できることを見出した。
【0021】次に本発明の限定理由を述べる。 Ni:Niが34%より少なく、あるいは38%より多くなると熱
膨張係数が高くなり色純度の低下につながる。よってそ
の成分範囲を34%以上38%以下とする。 Mn:Mnは熱間加工性を阻害する不純物として含まれるS
を無害化させるのに必要である。そしてMnが0.01%より少
ないとこの効果がなく、0.5%を超えるとエッチング性を
阻害し、熱膨張係数が大きくなる。よって、その成分範
囲を0.01%以上0.5%以下とするが、エッチング性と熱膨
張特性をより良くするのに好ましい範囲は、0.01%以上
0.1%以下である。
【0022】B:BはNと窒化物を形成することでクリー
プ特性を向上させる。その効果は、0.0003%未満では小さ
い。一方、Bが多いとエッチングした場合にエッチング面
の荒れを生じ、0.00015%を超えると顕著になる。よって
その成分範囲を0.0003%以上0.0015%以下とする。 N:NはBと窒化物を形成するために必要な元素である。そ
の量が、0.0010%未満では窒化物の量が少なくクリープ
強度の向上はほとんどない。一方、Nが0.0050%を超える
とインゴットに気孔が生じ易い。よってその成分範囲を
0.0010%以上0.0050%以下とする。
【0023】Si:Siは脱酸剤として添加されるが、Siが
多いとエッチング性を大きく阻害することから少ないほ
うが好ましい。しかしながら、小さいながらもクリープ
特性を改善する効果があることからその成分範囲を0.00
5%以上0.20%以下とする。ただし、エッチング性をより良
くするのに好ましい範囲は0.03%以下である。 Al:Alは脱酸材として使用され、Alを多く固溶させると
クリープ特性を改善する効果がある。しかしながら、Al
含有量を多くするとアルミナを形成して、エッチング性
を阻害するとともに、冷間圧延においてアルミナ起因の
表面疵が発生する。よってその成分範囲を0.005%以上0.0
30%以下とする。
【0024】C: Cは炭化物を形成するが、Cが0.010%を
超えると炭化物が過剰に生成し、これがエッチング性を
阻害する。よってCを0.010%とするが、固溶Cもエッチン
グ性に悪影響を及ぼすためCはできるだけ少ないほうが
よく、Cのさらに好ましい範囲は0.005%以下である。 P:Pは過剰に含有されるとエッチング不良の原因とな
る。このため含有量を0.015%以下とする必要がある。 S:Sは0.010%を超えると熱間加工性を阻害するととも
に、硫化物系介在物が多くなってエッチング性に悪影響
を及ぼす。このため上限を0.010%以下とする。
【0025】加工中間での熱処理条件:窒化ボロンを微
細に析出させるには、熱間圧延後または冷間圧延後に少
なくとも1回の非酸化製雰囲気で窒化ボロンの解離温度
以下で長時間の熱処理を行うことが望ましい。ここで、
結晶粒が大きくならずにかつ窒化ボロンを析出させるた
めに、熱処理温度は650℃以上750℃以下とし、熱処理時
間は30分以上5時間未満とする。また、Bが酸化するのを
防ぐために非酸化性雰囲気中での熱処理とする。なお、
熱間圧延後に行う場合には、熱間圧延酸化スケール除去
後行うことが望ましい。
【0026】歪取焼鈍:歪取焼鈍を実施しても黒化処理
後のクリープ伸びには影響を及ぼさないが、黒化処理時
に残留応力が開放されることによって生じる不均一変形
を抑えるために実施することが望ましい
【0027】
【実施例】以下に本発明を詳しく説明する。表1に実施
例に用いた合金組成を示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示した成分を有するFe-Ni系合金をB
等の合金元素を添加する段階で窒素雰囲気にした真空溶
解で溶製した。溶解方法は真空溶解以外にVOD等の炉外精
錬でも良い。その場合は精錬中のバブリング用アルゴン
ガスに窒素を混合させることで窒素量を制御できる。な
お、原料に窒化鉄を用いても良い。溶解では、窒化ボロ
ン(BN)が1000℃以上で酸化ボロンになるために溶鋼中の
酸素量を低くしなければならず、ボロン添加後の酸素濃
度範囲は100ppm以下とすることが望ましい。得られた鋳
塊を鍛造および熱間圧延にて3mm厚みにした後、冷間圧
延と焼鈍を繰り返し行い、約0.15mm厚みに加工した。な
お、熱間圧延後または、繰り返し行う冷間圧延間の焼鈍
のうち1回をAr雰囲気中で680℃で2時間の熱処理とする
ことも行った。なお、この熱処理を行わない冷間圧延間
の焼鈍は光輝焼鈍とした。
【0030】さらに、これらの材料を再結晶焼鈍後に冷
間にて0.1mm厚みまで圧延した。そして、これらを、640
℃で15分間黒化処理した後、460℃に加熱してから200N/
mm2の引っ張り応力を負荷して、30分後のクリープ伸び
を測定した。その際、引っ張り方向は圧延平行方向とし
た。また、30℃から100℃の間の平均熱膨張係数を測定す
るとともに、その表面に60℃で45ボーメの塩化第2鉄水
溶液を0.3MPaの圧力でスプレーしてエッチング面の状態
を観察した。
【0031】表2にクリープ伸び、熱膨張係数およびエ
ッチング性としてエッチング面の状態を示す。
【0032】
【表2】
【0033】No.1からNo.9は請求項1から請求項3の全て
を満たす本発明例である。さらに、No.2、No.3、No.7、
No.9は請求項4の中間熱処理を行ったものである。黒化処
理した実際のセミテンションマスクにおいて、ベーキン
グ後にしわが発生した材料と発生しなかった材料とを本
試験と同じ条件で黒化処理してクリープ特性を測定した
ところ、しわ発生の境界となるクリープ伸びは、0.16%
であった。No.1からNo.9は、黒化処理後のクリープ伸び
が0.16%未満であって、熱膨張係数も13×10-7/℃以下と、
Bを添加していないNo.10からNo.12(化学成分がM)とほ
ぼ同じで、Nbを0.3%添加しているNo.26(化学成分がT)
の約7割未満になっている。また、No.2、No.3、No.7、N
o.9に示すように、熱間圧延後または冷間圧延後に、Ar
中で680℃で2時間の焼鈍を行った方がクリープ伸びは小
さくなっている。これは、窒化ボロンがより微細に析出
したためである。
【0034】一方、No.10からNo.12は、Bが0.0003%未満
である。これらは、Bが請求項1の範囲よりも少ないため
にクリープ伸びを小さくするのに有効な窒化ボロン量が
少なく、クリープ伸びがセミテンションマスクでしわが
発生する下限と推定した0.16%を大幅に超えている。な
お、No.11とNo.12とは、窒化ボロンをより微細に析出さ
せるために、熱間圧延後または冷間圧延後に、Ar中で68
0℃で2時間の焼鈍を行ったが、Bが少ないためにNo.2、N
o.3、No.7、No.9のようにクリープ伸びの改善は認めら
れない。
【0035】No.13はNが0.0010%未満である。これはNが
請求項1の範囲よりも少ないためにクリープ伸びを小さ
くするのに有効な窒化ボロン量が少なく、クリープ伸び
がセミテンションマスクでしわが発生する下限と推定し
た0.16%を超えている。なお、No.13は、Bが0.0015%を超
えるためにエッチング面が荒れており、セミテンション
マスク用材料として不適当である。これは、BとNとが共
に本発明範囲を超えるNo.14ではより顕著であった。
【0036】そして、 No.15からNo.17は、640℃黒化処
理後のクリープ伸びも0.16%以下であるが、材料中に多
量に含まれる異物(介在物でNo.15ではSiO2、No.16では
Al2O 3、No.17ではMnS)が、エッチングした場合にエッ
チング痕となってエッチング面を荒らすためにセミテン
ションマスク用材料として充分とは言えない。特に、Al2
O3はクラスター状に存在し、MnSは延性があるために線
状に伸びているために、これらがドット状あるいはスロ
ット状のエッチング加工孔の縁の形状を悪化させる。ま
た、No.17はMnが0.50%を超えるために熱膨張係数が大き
くなっている。
【0037】そして、No.18、No.22は、Niが請求項1の範
囲を外れるために熱膨張係数が大きく、ドーミング特性
の観点でセミテンションマスク用材料として充分ではな
い。
【0038】また、No.19は、Siが0.005%未満であるため、
黒化処理後のクリープ伸びがセミテンションマスクでし
わが発生する下限と推定した0.16%に近く、No.1〜No.9
と比較すると黒化処理温度が640℃を超えるような場合
にはクリープ伸びで問題が生じる。No.20は、Alが0.005%
未満であるために同様の現象が起きている。
【0039】そして、No.21は、クリープ伸びも0.16%以下
で、かつ熱膨張係数も小さいが、Mnが0.01%未満のために、
熱間加工時にS偏析による脆化を無害化できずに鍛造や
熱間圧延時に割れやへげ疵が発生する場合が有る。ま
た、エッチングした場合に結晶粒界の凹凸が大きく、これ
はSの結晶粒界への偏析によるものと考えられる。
【0040】次に、No.23はCが、No.24はPが、No.25はSが
請求項3の範囲を超える。これらは黒化処理後のクリー
プ伸びが0.16%以下であるが、材料中に多量に含まれる
異物(No.23では鉄炭化物、No.24では燐偏析、No.25では
MnS)が、エッチングした場合にエッチング痕となって
エッチング面を荒らすためにセミテンションマスク用材
料として充分とは言えない。特に、MnSや燐偏析は延性が
あるために線状に伸びているために、これらがドット状
あるいはスロット状のエッチング加工孔の縁の形状を悪
化させる。
【0041】最後に、No.26はNbを0.3%含有するために、
クリープ伸びも小さいが、熱膨張係数がNo.1〜No.9と比
較すると大きい。従って、熱膨張によるドーミング特性
を重視する場合には、架張力を大きくしてマスクの熱膨
張によるドーミング特性劣化を防ぐ必要がある。このた
めには、セミテンションマスクのフレーム強度を大きく
しなければならず、コスト高になってしまう。
【0042】なお、本発明の実施例では、最終冷間圧延
後に歪取焼鈍を実施していないが、No.1と同じ条件で試
験片を作成し、750℃で1秒の歪取焼鈍を行っても、黒化処
理後のクリープ伸びは0.127%と影響を及ぼさないことを
確認している。ただし、歪取を行わない場合は、エッチ
ングでドット状またはスロット状のマスクに加工した際
に残留応力分布のバランスが崩れ、それが黒化処理で解
放されて形状が劣化する場合があるので、架張する作業
上は歪取を行い黒化処理で形状が損なわれないようにす
ることが望ましい。さらに、必要に応じてテンションレ
ベラー等による形状矯正を実施する場合があるが、当然
これらの工程が入っても本特許の有効性は問題なく、本
特許請求の範囲に含まれるのは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】本発明のFe-Ni系合金は優れたクリープ
特性を備え、かつ熱膨張係数がInvar合金とほとんど差
がないために、色ずれのないカラーブラウン管用材料と
して好適である。特に固溶強化元素を添加する場合に匹
敵するクリープ特性の改善を、ほとんど熱膨張係数を大
きくすることなく達成できる。また、本発明からなるセ
ミテンションマスクは、カラーブラウン管の画面の平面
化を可能とするのに好適である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Niを34質量百分率(%)(以下%とする)以
    上38%以下、Mnを0.01%以上0.5%以下、Bを0.0003%以上0.
    0015%以下、Nを0.0010%以上0.0050%以下含有し、残部Fe
    および不可避的不純物から成る優れたクリープ特性を有
    することを特徴とするセミテンションマスク用低熱膨張
    Fe-Ni系合金。
  2. 【請求項2】Siを0.005%以上0.20%以下、Alを0.005%以
    上0.030%以下含有する請求項1に記載のセミテンション
    マスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
  3. 【請求項3】不可避的不純物のうち、Cが0.010%以下、P
    が0.015%以下、Sが0.010%以下であることを特徴とする
    請求項1〜請求項2に記載のセミテンションマスク用低
    熱膨張Fe-Ni系合金。
  4. 【請求項4】熱間圧延後に、または冷間圧延後に少なく
    とも1回、非酸化性雰囲気で、650℃以上750℃以下で、3
    0分以上5時間未満の焼鈍を行う請求項1〜請求項3に記
    載のセミテンションマスク用低熱膨張Fe-Ni系合金。
  5. 【請求項5】最終冷間圧延後に歪取焼鈍を行うことを特
    徴とする請求項1〜請求項4に記載のセミテンションマ
    スク用Fe-Ni系合金。
  6. 【請求項6】請求項1〜請求項5のFe-Ni系合金を用い
    たことを特徴とするセミテンションマスク。
  7. 【請求項7】請求項6のセミテンションマスクを用いる
    ことを特徴とするカラーブラウン管。
JP31789999A 1999-11-09 1999-11-09 セミテンションマスク用低熱膨張Fe−Ni系合金並びにそれを用いたセミテンションマスク及びカラーブラウン管 Pending JP2001131709A (ja)

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