JP3854121B2 - 耐食性に優れるシャドウマスク素材用Fe−Ni系合金およびシャドウマスク材料 - Google Patents

耐食性に優れるシャドウマスク素材用Fe−Ni系合金およびシャドウマスク材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーテレビブラウン管などの素材として用いられる耐食性に優れるシャドウマスク素材用Fe−Ni系合金およびシャドウマスク材料に関するものであり、とくに、素材製造工程における光揮焼鈍後に、大気中にさらされた時でも、錆の発生が少ない耐食性に優れる高剛性低熱膨張のFe−Ni系合金と、この合金を用いてなるシャドウマスク材料について提案する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シャドウマスク材料としては、低炭素アルミキルド鋼板が用いられている。この鋼板は、たとえば、中間冷間圧延後の鋼板を、連続焼鈍炉またはバッチ焼鈍炉によって歪とり中間焼鈍を実施し、その後、仕上冷間圧延および調質圧延(ダル圧延を含む)を行うという工程を経て製造されている。
【0003】
一般に、高品位カラーテレビブラウン管やディスプレー用の材料というのは、たとえばカラーテレビ受像管の場合であれば、シャドウマスクの開孔を通過する電子ビームは全体の1/3以下であり、残りの電子ビームはシャドウマスクに射突して、シャドウマスクは時として80℃にも達する程に加熱されるものである。そのために、シャドウマスク材料が膨張を起こして歪み、色純度の低下を招くこととなる。このため、その材質としては熱膨張の小さいものを使用することが有利である。この意味において近年では、前記アルミキルド鋼鈑の代わりに熱膨張の影響が少ないFe−36Ni系インバー合金が使用されるようになっている。
【0004】
このFe−Ni系合金板のなかでも、近年では、画面のフラット化、大型化にともない、合金元素であるMnを低減した低熱膨張Fe−36Ni系合金板(特開平5−186853号公報)やNbを添加し高強度化をはかった合金板(特許第3150831号)などが使われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、低Mnの低熱膨張Fe−36Ni系合金やNb添加の高強度Fe−36Ni系合金は、ブラウン管中では、その雰囲気が真空であり腐食環境にさらされないが、素材製造の中間工程である光揮焼鈍後の流通、運搬の過程において、大気中に長時間さらされるために、錆が発生して製品とならないケースがあり、防錆の面で課題を残していた。
【0006】
本発明の目的は、素材製造の中間工程である光揮焼鈍後に流通や運搬のために大気中に長時間さらされたときでも、錆の発生が少ない、高剛性低熱膨張シャドウマスク素材用Fe−Ni系合金とシャドウマスク材料とを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上掲の目的に対し、発明者らは、素材製造の中間工程である光揮焼鈍後に大気中にさらされた時でも、錆を発生しにくいFe−Ni系合金について鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を得た。それは、素材(Fe−Ni系合金)に発生する錆は、光揮焼鈍後に発生しやすく、通常のFe−36Ni合金よりも、Mnを低減した低熱膨張Fe−36Ni合金の方が発生しやすいということがわかった。この知見について検討したところ、低MnのFe−Ni系合金板については、その表面から150Åまでの領域におけるS濃度が、バルクよりも著しく高くなっていることを発見した。一般的に知られているように、このように表層部にSが濃化すると、Sは金属イオンの溶解を促進させ、錆を誘発させる。なお、こうした現象は、この合金板の表層部を機械的、化学的に除去すれば解決が可能だが、この処理を商業的規模で対処することには困難がある。
【0008】
そこで、発明者らは、合金板の表層に濃化するSを抑制することで対処することにした。
【0009】
即ち、発明者らの研究によれば、Fe−36Ni合金板表層部へのSの濃化は、Mn含有量の高いFe−Ni系合金では皆無であり、Mn含有量の低い低熱膨張Fe-36Ni合金において顕著であること、そして、Mn含有量の高いFe−Ni系合金中のMn系介在物にはSが取り込まれているが、Mn含有量の低い低熱膨張Fe−36Ni合金には、Mn含有量に反比例してSの濃化量が減少していることがわかった。すなわち、Mn含有量の低い低熱膨張Fe-36Ni合金中には、Mn系介在物に取り込まれないSが多く存在し、このSが光輝焼鈍時に表層近くに拡散し濃化するということがわかった。
【0010】
一方で、発明者らは、このような錆の発生を防止するためには、Mn系介在物生成元素のMnとSの成分比を制御することが必要になるとの知見を得てさらに研究をすすめた結果、MnとSとの関係が、Mn/S≧25を満足するときに錆が発生しにくいことを見い出し、かつ表面から150Åまでの領域におけるS濃度が、バルクの20倍程度以下のときに、とくに錆が発生しにくいことがわかった。
【0011】
さらに、Fe−Ni合金の耐食性は、結晶粒径にも大きく依存していることがわかった。つまり、光揮焼鈍後の耐食性は、その素材の結晶粒径に大きく依存し、とくに結晶粒径が小さく(結晶粒度番号(ASTM)が大きい)なるにつれて、その材料の耐食性が向上することもわかった。これは、結晶粒径が小さくなると結晶粒界の面積が増加し、Sの拡散距離が長くなることによるものと考えられる。
【0012】
さらに、錆の発生を抑えるには、上記の対処に加えて、非金属介在物を制御することもまた有効であることがわかった。それは 酸可溶性のMgO単体介在物、CaO単体介在物が生成すると、大気中で結露した場合の耐食性が劣化し、さらにNb含有Fe−36Ni合金では、アルミナ系介在物を防止した際に生成するMnO−FeO−SiO2−Nb2O5−MgO−Al2O3−CaO系複合酸化物中に、MgO単体介在物あるいはCaO単体介在物をともに含有する場合、やはり耐食性が劣化することがわかった。
一方、これらMgO単体介在物やCaO単体介在物を含まない介在物組成のものは、耐食性に問題がなかったことから、耐食性向上のためには、MnO−FeO−SiO2−Nb2O5−MgO−Al2O3−CaO系複合酸化物の他にさらに、シリカ(SiO2)、スピネル(MgO・Al2O3)、およびニオブ酸化物(Nb2O5)のうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を含むものからなる非金属介在物にすることが有効であることがわかった。
【0013】
本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであって、その要旨構成は下記のとおりである。
【0014】
すなわち、本発明は、C≦0.01wt%、Si:0.01〜0.1wt%、Mn:0.01〜0.1wt%、Ni:35〜37wt%、Cr≦0.1wt%、Nb:0.01〜1.0wt%、S≦0.0020wt%、Al≦0.005wt%、かつ Mn/S 25 残部がFeおよび不可避的不純物からなり、 30 100 ℃の熱膨張係数が 1.0 × 10 −6 / ℃以下の特性を有することを特徴とする耐食性に優れるシャドウマスク素材用Fe−Ni系合金である。
なお、本発明の合金はまた、上記成分組成に加えて、さらに、Ti、V、Zr、Ta、HfおよびREMのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を、合計量で0.005〜1.0%を含有することが好ましい。
【0016】
本発明はまた、この合金の表面から150Åまでの領域は、S濃度の最大値がバルクの20倍以下であることが好ましい。
【0017】
さらにまた、本発明の合金は、結晶粒度がASTM粒度番号の No.9以上の大きさのものであることが好ましい。
【0018】
さらにまた、本発明の合金は、MnO−FeO−SiO2−Nb2O5−MgO−Al2O3−CaO系複合酸化物の他、さらにシリカ(SiO2)スピネル(MgO・Al2O3)およびニオブ酸化物(Nb2O5)のうちのいずれか1種または2種以上を含むものからなる非金属介在物を含有することが好ましい。
【0019】
本発明はまた、上記Fe−Ni系合金からなり、この合金の0.2%耐力が300N/mm2以上でかつ30〜100℃の熱膨張係数が1.0×10−6/℃以下の特性を有する高耐食高剛性低熱膨張のシャドウマスク材料を提案する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るFe−Ni系合金の組成を上記のように規定した理由について説明する。
C 0.01wt%
Cは、固溶および加工硬化作用による材質の強化に寄与する元素である。その含有量が、0.01wt%を超えると炭化物が多く析出してエッチング性、プレス成形性、黒化性および低熱膨張特性を悪くする。そのため、Cの含有量は、0.01wt%以下に限定する。好ましくは0.005wt%以下とする。
【0021】
Si 0.01 0.1wt%
Siは、合金の精錬に際して、脱酸材として0.01wt%以上の添加が必要となるが、0.1wt%を超えて添加すると熱膨張を増大させるので、0.01〜0.1wt%の範囲に定めた。好ましくは0.02〜0.05wt%である。
【0022】
Mn 0.01 0.1wt%
Mnは、固溶強化元素として有用であり、さらに合金の精錬に際して、脱酸材として0.01wt%以上の添加が必要である。しかし、その含有量が0.1wt%を超えて添加されると熱膨張を増大させるので、0.01〜0.1wt%の範囲に定めた。好ましくは0.01〜0.05wt%である。
また、このMnを添加することにより、Mn系介在物が生成し、これが光揮焼鈍時に拡散してくるSを固着するので、一定量のMn系介在物が必要である。よって、このMnはSの関係において、耐食性の面でMn/S≧25を満足するように制御することが必要である。
【0023】
Ni 35 37wt%
Niは、Fe−Ni合金の熱膨張特性に大きな影響を及ぼす元素である。このNiの含有量が36wt%のとき、熱膨張が最小となるため、Niは35〜37wt%に限定した。
【0024】
Cr 0.1wt%
Crは、耐食性を著しく向上させる元素であるが0.1wt%を超えると熱膨張係数が高くなり、また、黒化性も劣化するため、0.1wt%以下に限定する。
【0025】
Nb 0.01 1.0wt%
Nbは、これを合金中に添加すると、0.2%耐力が増大する。また、結晶粒度を著しく微細化し、結晶粒界の面積を増加させ、光揮焼鈍時に、Sの拡散距離を長くして表面のSの濃化を抑制する効果がある。また、靭性、エッチング性、プレス成形性をともに向上させるとともに黒化性をも向上させる。
従って、Nbは、上記の効果を得るために、とくに耐食性、0.2%耐力を付与するために、少なくとも0.01wt%以上の添加を必要とする。好ましくは0.10wt%以上を添加した方がよい。しかし、1.0wt%を超えて添加すると、靭性、プレス成形性、低熱膨張特性を却って低下させるため、0.01〜1.0wt%に限定する。
【0026】
S 0.0020wt
Sは、本発明に係る合金を特徴づける元素であり、耐食性に大きな影響を及ぼす元素である。このSの含有量が0.0020wt%を超えると、光揮焼鈍後にSが表面近傍まで拡散し、表面から150ÅまでのS濃度がバルクに対し著しく上昇し、耐食性を低下させる。そのためSの含有量は0.0020wt%以下とし、好ましくは0.0010wt%以下とした。
ただし、このSは、Mnとの関係において、Mn/S≧25を満足させることが必要である。
【0027】
Al 0.005wt%
Alは、比較的活性な元素であるから、多量に含まれると、鋼鈑表面での優先酸化しを生じて黒化性を阻害する。さらにAl系酸化物を増加してエッチング性を阻害する。とくに、0.005wt%を超えると低熱膨張特性を低下させるので、0.005wt%に限定した。
【0028】
Ti V Zr Ta Hf および REM
Ti、V、Zr、Ta、HfおよびREMは、CおよびNと結合して炭化物、窒化物を形成し結晶粒微細化に寄与する元素であり、Sと結合し硫化物を形成し耐食性にも寄与する。Ti、V、Zr、Ta、Hf及びREM(希土類元素)の中から選ばれるいずれか1種または2種以上が、単独または合計で0.005wt%未満では、上記効果が不十分になる。一方、1.0wt%より多いと、これら元素の固溶量が多くなりすぎて、低熱膨張特性を低下させるため、0.005〜1.0wt%に限定した。
【0029】
Mn/S 25
本発明に係るFe−Ni合金おいては、MnとSとは、次式;
Mn/S≧25
の関係を満足する範囲内に収まるように調整する必要がある。すなわち、Sの含有量に応じてMnの含有量を調整し、耐食性に悪影響を及ぼすS含有量をMnで制御することが肝要である。つまり、Mn/Sの比が25未満では、Mn系介在物中に取り込まれるS量が少なく、光輝焼鈍時にSが表層近くまで拡散、濃化し、錆が発生しやすくなる。
【0030】
次に、本発明に係るFe−Ni合金においては、合金板表面から150Åまでの領域におけるS濃度をバルクの20倍程度以下とする。この理由は、表層中におけるSの濃化の程度が、バルク(基地)のS濃度の20倍を超えると、金属イオンの溶解を促進し、錆を誘発させるからである。なお、このS濃度は、より好ましくは18倍以下である。
【0031】
結晶粒度
本発明は、上記成分設計に加えて、結晶粒度をASTM 粒度番号でNo.9以上の大きさとすることが有効である。本発明者らの研究によると、Fe−Ni系合金の光揮焼鈍後の耐食性は、素材の結晶粒径に大きく依存し、とくに結晶粒径が小さく(結晶粒度番号が大きい)なるにつれて、その材料の耐食性が向上することがわかった。また、0.2%耐力も結晶粒径に大きく依存することから優れた耐食性、剛性を得るには結晶粒度がASTM No.9以上とすることが望ましい。
【0032】
非金属介在物
上記成分設計と結晶粒度調整に加えて本発明では、さらに非金属介在物の制御を行う。すなわち、本発明合金中に含まれる非金属介在物は、MnO−FeO−SiO2−Nb2O5−MgO−Al2O3−CaO系複合酸化物の他にさらに、SiO2、MgO・Al2O3、Nb2O5のうちのいずれか1種または2種以上を含有するものからなる非金属介在物とする必要がある。発明者らの研究によると、酸可溶性のMgO単体介在物、CaO単体介在物が生成すると、大気中で結露した場合の耐食性が劣化することがわかった。さらにNb含有Fe-36Ni合金では、アルミナ系介在物を防止した際に生成するMnO−FeO−SiO2−Nb2O5−MgO−Al2O3−CaO系複合酸化物中に、MgO単体介在物あるいはCaO単体介在物をともに含有する場合、やはり耐食性が劣化することがわかった。一方、これらMgO単体介在物、CaO単体介在物を含まない介在物組成のものは耐食性に問題を起こさなかったことから、上記介在物の組成にすることとした。
【0033】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明に係る合金の作用効果について具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
供試材は、後述する表1に示す成分組成となるように、合金の各成分を調整して試験材を製造し、その試験材を大気誘導炉で溶解してインゴットを製作し、次いでこのインゴットを1000〜1150℃の温度で熱間鍛造加工を施し、圧延率80%以上で圧延加工を行い、そして900℃−60秒、30%H2+N2、露点−40℃の雰囲気で固溶化熱処理を行った。その後、徐冷して厚さ0.12mmのFe−Ni合金板を得た。
【0034】
表中の熱膨張係数は、常温から300℃までの範囲で測定し、30〜100℃の平均熱膨張係数を求め、0.2%耐力は引張試験により測定した。また、板表面から150Åにおける領域のS濃化量の最大値は、オージェ電子分光分析装置を用い、表面から50Å間隔でスパッタリングを行い、その都度元素分析を実施し、Sの原子濃度を算出し、バルク(バルクとは本件では、素材全体を化学的に分析した値である。)との比で表わした。耐食性は、屋外大気暴露試験にて、暴露後の腐食状況を発錆面積率にて評価した。なお、発錆面積率が0.5%以上のものは素材製造の中間工程である光輝焼鈍後、大気に長時間さらされると錆を発生するので、素材としては不適当であった。これらの結果を表2に示す。
【0035】
表2から明らかなように、本発明に適合する合金は、耐食性、剛性および低熱膨張特性の面において十分な特性を有しているといえる。すなわち、本発明に係る試験材は、0.2%耐力が300N/mm2以上であり、高剛性を有し、熱膨張係数が1.0×10-6/℃以下で低熱膨張である。また、大気暴露試験後の発錆面積率が0.5%以下であり、優れた耐食性を有する。これに対して、比較材19、20は、バルクのS量が多いため耐食性に劣る。また、比較材21、22は介在物形態がMgO単体、CaO単体を含むため耐食性に劣っている。比較材23は、結晶粒径が大きいために耐食性、剛性に劣っている。比較例24は、板表面から150Åにおける領域のS濃化量の最大値が20以上であるため、耐食性に劣っている。なお、本発明の上記Fe−Ni系合金を、シャドウマスク材料として製造したものは、光揮焼鈍後に錆の発生なく製造することができた。とくに、素材の品質としてマスク成形前の0.2%耐力が300N/mm2以上であり、熱膨張係数が1.0×10−6/℃以下で高剛性でかつ低熱膨張のシャドウマスク素材を製造することができた。
【0036】
【表1】
Figure 0003854121
【0037】
【表2】
Figure 0003854121
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、素材製造の中間工程である光揮焼鈍後の流通や運搬の過程において大気中にさらされたときでも、錆が発生しづらい高耐食高剛性低熱膨張のシャドウマスク用Fe−Ni系合金を提供することができる。従って、映像のきれいなカラーブラウン管やディスプレー用のシャドウマスク材料を確実にかつ高い収率で提供することができる。

Claims (6)

  1. C≦0.01wt%、Si:0.01〜0.1wt%、Mn:0.01〜0.1wt%、Ni:35〜37wt%、Cr≦0.1wt%、Nb:0.01〜1.0wt%、S≦0.0020wt%、Al≦0.005wt%、かつ Mn/S 25 残部がFeおよび不可避的不純物からなり、 30 100 ℃の熱膨張係数が 1.0 × 10 −6 / ℃以下の特性を有することを特徴とする耐食性に優れるシャドウマスク素材用Fe−Ni系合金。
  2. 上記成分組成に加えて、さらに、Ti、V、Zr、Ta、HfおよびREMのうちから選ばれるいずれか1種または2種以上を、合計量で0.005〜1.0%を含有することを特徴とする請求項1に記載のシャドウマスク素材用Fe−Ni系合金。
  3. 請求項1または2に記載の成分組成を有する合金は、その表面から150Åまでの領域は、S濃度の最大値がバルクの20倍以下に制御されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシャドウマスク素材用Fe−Ni系合金。
  4. 結晶粒度が、ASTMのNo.9以上の大きさである請求項1〜のいずれか1項に記載のシャドウマスク素材用Fe−Ni系合金。
  5. MnO−FeO−SiO2−Nb2O5−MgO−Al2O3−CaO系複合酸化物の他、さらにシリカ(SiO2)スピネル(MgO・Al2O3)およびニオブ酸化物(Nb2O5)のうちのいずれか1種または2種以上を含有するものからなる非金属介在物を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のシャドウマスク素材用Fe−Ni系合金。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のFe−Ni系合金からなり、この合金の0.2%耐力が300N/mm2以上でかつ30〜100℃の熱膨張係数が1.0×10−6/℃以下の特性を有することを特徴とする高耐食高剛性低熱膨張のシャドウマスク材料。
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