JP3326897B2 - シャドウマスク用Fe−Ni系合金薄板 - Google Patents

シャドウマスク用Fe−Ni系合金薄板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カラーテレビ等の受
像管用Fe−Ni系シャドウマスク用合金薄板に関す
る。
【0002】
【従来技術】近年、カラーテレビの高品位化に伴い、色
ずれの問題に対処するために、シャドウマスク用合金と
して34〜38wt%のNiを含有するFe−Ni系合金
が使用されるようになってきた。このFe−Ni系合金
は、シャドウマスク用材料として従来から使用されてき
た低炭素鋼に比べ、熱膨張率が著しく小さいので、Fe
−Ni系合金によってシャドウマスクを作れば、シャド
ウマスクが電子ビームにより加熱されても、シャドウマ
スクの熱膨張による色ずれの問題は生じ難い。
【0003】シャドウマスク用合金薄板は、一般的に下
記工程によって製造される。即ち、連続鋳造法または造
塊法によって、合金塊を製造する。次いで、このように
製造された合金塊を分塊圧延してスラブとし、このスラ
ブの表面疵を手入れした後、加熱して熱間圧延し熱延鋼
帯を得る。そして、この熱延鋼帯を冷間圧延し、焼鈍を
施して、合金薄板を製造するのである。
【0004】上述したようにして製造されたシャドウマ
スク用合金薄板は、通常下記工程によって、シャドウマ
スクに加工される。即ち、シャドウマスク用合金薄板に
フォトエッチングによって、電子ビームの通過孔(以
下、単に「孔」という」を形成する(以下、エッチング
によって穿孔されたままのシャドウマスク用合金薄板を
「フラットマスク」という)。次いで、フラットマスク
に焼鈍を施し、焼鈍を施したフラットマスクを、ブラウ
ン管の形状に合うように曲面形状にプレス成形する。次
いで、これをシャドウマスクに組立て、その表面上に黒
化処理を施す。
【0005】しかし、上記のような従来の一般のFe−
Ni系合金を使用する場合、この合金は従来の低炭素鋼
シャドウマスクに比較して強度が高いため、エッチング
穿孔後のプレス成形性を確保するために、800℃以上
の高温で軟化焼鈍(プレス前焼鈍)を実施し、その軟質
化を図っている。
【0006】しかしながら、このように軟化焼鈍を80
0℃以上という高温で行うことは、作業効率および経済
性の面で不利であり、より低温で軟化焼鈍を行っても、
従来の800℃以上の軟化焼鈍を行ったものと同等の低
強度が得られる材料の開発が望まれている。
【0007】このような従来のFe−Ni系合金材料の
強度を、800℃未満の温度で軟化焼鈍して低減させる
方法としては、特開平3−267320号公報に開示さ
れた技術がある。この技術は1次冷間圧延とこれに引き
続く再結晶焼鈍を行った後、圧下率が5〜20%の範囲
で仕上冷間圧延し、引続き800℃未満の温度で焼鈍す
ることにより、材料の200℃での0.2%耐力を9.
5kgf/mm2 (10kgf/mm2 以下)として低
強度化を図り、プレス成形性を良好なレベルまで高める
というものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開平3−267320号公報に開示された技術は、
単に平均的な粒度と強度に注目したものであって、開示
されている強圧下−低温再結晶というプロセスでは、
{100}結晶面の集積度が著しく大きくなるととも
に、混粒組織となってしまう。このため、この技術によ
り得られたシャドウマスク用材料は、プレス成形時に金
型にかじり付きが発生し、シャドウマスク端部で割れが
発生しやすいという問題点がある。また、この材料は内
面異方性も大きいため、シャドウマスクに透過光の透過
ムラが発生するという問題点もある。
【0009】この発明は、上述した従来技術の問題点を
解消するためになされたものであり、プレス前焼鈍を8
00℃未満の比較的低い温度で実施しても、プレス成形
時の形状凍結性に優れ、金型とのなじみが良好で、材料
の割れが生じにくく、しかもシャドウマスクの透過光の
透過ムラの原因となる伸びムラも生じにくいという優れ
たプレス成形性を有し、さらに部分的な色ずれの発生が
ないので、優れた画面品質を得ることができるプレス成
形性に優れたシャドウマスク用合金薄板を提供すること
を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第一のシ
ャドウマスク用合金薄板は、重量%で、Ni:34 〜38%、C
r:0.01 〜3%を含有すると共に、Si:0.2% 以下、B:0.005
%以下、O:0.004%以下、N:0.003%以下、Sb:0.05%以下の
要件を満たし、且つシャドウマスクをプレス成形するた
めに施す焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径Davが10.
5〜15μm 、オーステナイト結晶粒径の最大値Dmax と最
小値Dmin との比Dmax /Dminが1 〜15、ビッカース硬さH
vが165 〜220 でかつ平均オーステナイト結晶粒径D
av(μm)との関係で次式を満足し、板表面での各結晶面
の集積度が次表の条件を満足するものである。
【0011】
【数4】
【0012】
【表4】
【0013】また、この発明に係る第二のシャドウマス
ク用合金薄板は、重量%で、Ni:34〜38% 、Cr:0.01 〜3
%、Co:1%以下を含有すると共に、Si:0.2% 以下、
B:0.005%以下、O:0.004%以下、N:0.003%以下、Sb:0.05%
以下の要件を満たし、且つャドウマスクをプレス成形す
るために施す焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径Da v
が10.5〜15μm 、オーステナイト結晶粒径の最大値D
max と最小値Dmin との比D max /Dminが1 〜15、ビッカ
ース硬さHvが165 〜220 でかつ平均オーステナイト結晶
粒径Dav(μm)との関係で次式を満足し、板表面での各結
晶面の集積度が次表の条件を満足するものである。
【0014】
【数5】
【0015】
【表5】
【0016】さらには、この発明に係る第三のシャドウ
マスク用合金薄板は、重量%で、Ni:34 〜38% 、Cr:0.0
1 〜3%、Co:1%超え〜7%を含有すると共に、Si:0.2
% 以下、B:0.005%以下、O:0.004%以下、N:0.003%以下S
b:0.05%以下に要件を満たし、且つシャドウマスクをプ
レス成形するために施す焼鈍前の平均オーステナイト結
晶粒径Davが10.5〜15μm 、オーステナイト結晶粒径の
最大値Dmax と最小値Dmin との比Dmax /Dminが1 〜15、
ビッカース硬さHvが165 〜220 でかつ平均オーステナイ
ト結晶粒径Dav(μm)との関係で次式を満足し、板表面で
の各結晶面の集積度が次表の条件を満足するものであ
る。
【0017】
【数6】
【0018】
【表6】
【0019】
【作用】以下、本発明の詳細をその限定理由とともに説
明する。本発明の成分組成の限定理由は以下の通りであ
る。色ずれの発生を防止するためにシャドウマスク用F
e−Ni系合金薄板に要求される30〜100℃の温度
域における平均熱膨張係数の上限値は3.0×(1/1
6 )/℃である。熱膨張係数は合金のNi量に依存
し、上記の平均熱膨張係数の条件を満たすNi量は、3
4〜38wt%である。このためNiは34〜38wt%の
範囲とする。また、より低い平均熱膨張係数を得るため
にはNi量は35.5〜37wt%、さらに好ましくは3
5.5〜36.5wt%とすることが望ましい。通常、C
oはFe−Ni系合金中に不可避不純物としてある程度
含まれており、Coが1wt%以下では特性にほとんど影
響を与えず、Ni量も上記範囲でよい。
【0020】一方、Coを1wt%超〜7wt%含有する場
合には、上記の平均熱膨張係数の条件を満足するための
Niの範囲は28〜38wt%である。このためCoを1
wt%超〜7wt%含有する場合には、Niは28〜38wt
%の範囲とする。また、Coを3〜6wt%、Niは30
〜33wt%とすることにより、平均熱膨張係数がより低
い優れた特性が得られる。また、Coが7wt%を超える
と逆に平均熱膨張係数が劣化するため、Coの上限は7
wt%とする。
【0021】Crは本合金の耐食性を向上させるが、、
熱膨張係数を劣化(増大)させる元素である。本合金を
後述するような本発例に示す結晶面の集積度および結晶
粒径、硬度に調整する場合、Crが0.01%以上で耐
食性向上の効果が得られる。一方3%を超えると本発明
で意図する平均熱膨張係数が得られない。Crは0.0
1%未満では耐食性向上効果が得られない。以上よりC
r量の下限、上限はそれぞれ0.01wt%と3.%と定
めた。
【0022】Oは不可避不純物の1つであり、O量が多
いと、合金中の酸化物系非金属介在物が多くなり、この
介在物が、特に800℃、未満の温度域で行われるプレ
ス前焼鈍において結晶粒の成長を阻害する。Oが0.0
04wt%を超えると、この粒成長の阻害作用が著しくな
り、本発明が目的とするプレス成形性が得られない。こ
のためOは0.004wt%を上限とする。なお、下限は
特に限定しないが、溶製上の経済性の面からは0.00
01wt%程度が実質的な下限となる。
【0023】Bは熱間加工性を向上させる作用がある
が、その含有量が多くなるとプレス前焼鈍時に形成され
る再結晶粒の粒界に偏析し、粒界移動を阻害する。この
結果、結晶粒の成長性が阻害され、プレス前の焼鈍後に
所要の0.2wt%耐力が得られなくなる。特に本発明が
前提とする比較的低い温度でのプレス前焼鈍の下では粒
成長の阻害作用が強く、しかも、この作用はすべての結
晶粒に対して一様には働くものではないため、結果的に
は著しい混粒組織を生じ、プレス成形時の材料の伸びム
ラを生じさせ、シャドウマスクの透過ムラの原因とな
る。Bが0.005wt%を超えると、本合金の場合上記
した粒成長の阻害作用が著しくなるため、本発明が目的
とするプレス成形性が得られなくなり、また、上記の透
過ムラ等の問題も生じる。このためBは0.005wt%
を上限とする。なお、上記の観点より好ましいB量は
0.001wt%以下である。
【0024】Siは溶製時の脱酸元素として添加される
が、その添加量が0.2wt%を超えると、プレス前の焼
鈍時に合金薄板表面にSiの酸化膜が形成され、この酸
化膜によりプレス成形時の金型とのなじみが悪くなり、
合金薄板の金型へのかじり付きが生じるようになる。こ
のため、Siは0.2wt%を上限とする。また、Si量
をさらに低減することにより、合金薄板と金型とのなじ
みをより良好なものとすることができる。なお、Siの
下限は特に限定しないが、溶製上の経済性の面からは
0.001wt%程度が実質的な下限となる。
【0025】Nは溶製時に不可避的に混入する元素であ
り、Nを0.003wt%を超えて含有すると、プレス前
焼鈍時に合金薄板表面にNが濃化して窒化物を形成し、
この窒化物により、プレス成形時の金型とのなじみが悪
くなり、合金薄板の金型へのかじり付きが生じるように
なる。このためNは0.003wt%以下とする。なお、
下限は特に限定しないが、溶製上の経済性の面からは
0.0001wt%程度が実質的な下限となる。
【0026】Sbは溶製時に不可避的に混入する元素で
あり、0.05wt%を超えて含有すると本合金の結晶粒
の成長性が阻害されて本発明で意図する結晶粒径が得ら
れない。従って、Sbの上限は0.05wt%に定めた。
なお、上記の成分元素以外の元素については、C:0.
0001〜0.010wt%、Mn:0.001〜0.5
wt%の範囲とすることが好ましい。
【0027】本発明が目的とするプレス成形時の形状凍
結性の向上、合金薄板の割れ発生の抑制およびシャドウ
マスクの透過ムラ発生の防止のためには、上記の成分組
成の規定に加え、プレス前焼鈍前における平均オーステ
ナイト結晶粒径Dav、オーステナイト結晶粒径の最大値
max と最小値Dmin との比Dmax /Dmin 、合金薄板
のビッカース硬さHvを特定の範囲とし、且つこのビッ
カース硬さHvを平均オーステナイト結晶粒径Davとの
関係で特定の範囲に規制する必要がある。ここで、D av
および比D max /D min については、通常の画像処理装
置により容易に得ることができる。なお、これ以降の説
明では、組織検査用の試料から5〜10視野のオーステナ
イト組織を市販の画像処理装置に取り込み、その装置搭
載の標準的な画像処理機能を用いて、各視野の結晶粒径
の平均値、最大値、最小値を測定し、それらを平均して
av および比D max /D min を算出している。
【0028】図1は、本発明が規定する成分組成を有
し、且つプレス前焼鈍前のオーステナイト結晶粒径の最
大値Dmax と最小値Dmin との比Dmax /Dmin 、およ
び各結晶面の集積度が本発明範囲内にある合金薄板につ
いて、800℃未満のプレス前焼鈍を実施した後にプレ
ス成形を行い、プレス前焼鈍前の平均オーステナイト結
晶粒径Davおよびビッカース硬さHvがプレス成形性に
及ぼす影響を調べたものである。同図によれば、平均オ
ーステナイト結晶粒径Davが10.5μm未満では、本
発明が前提とする800℃未満のプレス前焼鈍の下では
合金薄板の結晶粒径が十分に粗大化しないため、スプリ
ングバッグが大きく形状凍結性が劣っている。一方、平
均オーステナイト結晶粒径Davが15.0μmを超える
と、プレス前焼鈍時に再結晶が起こりにくく、この場合
も形状凍結性が劣っている。
【0029】また、ビッカース硬さHvは主として冷間
圧延率によって決まるが、これが165未満では合金薄
板に十分な歪が付与されていないため、プレス前焼鈍時
における再結晶のための駆動力が小さく、十分な再結晶
が生じない。このためプレス前焼鈍後でも硬質であり、
形状凍結性が劣っている。一方、合金薄板に過度の歪が
付与されることにより、ビッカース硬さHvが220を
超えると、プレス前焼鈍時の再結晶のための駆動力が大
きいため、再結晶時の核生成頻度が高くなり過ぎ、この
結果、プレス前焼鈍後において結晶粒が細粒化し、この
場合も形状凍結性が劣ることになる。
【0030】また、図1によれば、プレス前焼鈍時に適
正な再結晶を生じさせるためには、ビッカース硬さHv
を平均オーステナイト結晶粒径Davとの関係で規定する
必要があることが分かる。すなわち、プレス前焼鈍前の
平均オーステナイト結晶粒径Davが大きいものほど、プ
レス前焼鈍時の駆動力を得るために大きな歪量が必要で
あるため、平均オーステナイト結晶粒径Davに応じてビ
ッカース硬さHvの下限を規定する必要があり、一方、
平均オーステナイト結晶粒径Davの小さいものほど、核
生成場所が多いため、プレス前の焼鈍後における結晶粒
が細粒化を防ぐ観点から、平均オーステナイト結晶粒径
avに応じてビッカース硬さHvの上限を規定する必要
がある。
【0031】図1によれば、ビッカース硬さHvが16
5以上であっても、Hv<10×D av+50であると、
プレス前焼鈍時おける再結晶のための駆動力が相対的に
小さ過ぎ、十分な再結晶が生じない。このためプレス前
の焼鈍後でも硬質であり、形状凍結性が劣っている。一
方、ビッカース硬さHvが220以下であっても、Hv
>10×Dav+80であると、プレス前焼鈍時の再結晶
のための駆動力が相対的に大き過ぎるため、プレス前の
焼鈍後において結晶粒が細粒化し、形状凍結性が劣って
いる。
【0032】図2は、本発明が規定する成分組成を有
し、且つプレス前焼鈍前のオーステナイト結晶粒径Dav
に、ビッカース硬さHvおよび各結晶面の集積度が本発
明範囲内にある合金薄板について、800℃未満のプレ
ス前焼鈍を実施した後にプレス成形を行い、プレス前焼
鈍前のオーステナイト結晶粒径の最大値Dmax と最小値
min との比Dmax /Dmin が、シャドウマスクの透過
ムラ発生に及ぼす影響を調べたものである。これによれ
ば、オーステナイト結晶粒径の最大値と最小値との比D
max /Dmin が15を越えると、エッチング孔径が不揃
いになるため透過ムラが発生している。Dmax /Dmin
は小さければ小さいほど好ましく、したがってDmax
min の下限は1となる。
【0033】以上の理由から、本発明ではプレス前焼鈍
時の結晶粒の成長性を高めて形状凍結性を良好とし、且
つシャドウマスクの透過ムラ発生を抑制する条件とし
て、プレス前焼鈍前における平均オーステナイト結晶粒
径Davを10.5〜15.0μm、オーステナイト結晶
粒径の最大値Dmax と最小値Dmin との比Dmax /Dmi
n (以下、「オーステナイト結晶粒の混粒度」という)
を1〜15、ビッカース硬さHvを165〜220で且
つ平均オーステナイト結晶粒径Dav(μm)との関係で 10×Dav+80≧Hv≧10×Dav+50 の条件を満足するものと規定する。
【0034】また、本発明が目的とするプレス成形時の
割れ発生の防止、シャドウマシクの透過ムラ発生の防止
および部分的な色ずれ発生の抑制のためには、上述した
ような規定に加えて、プレス前焼鈍前の合金薄板表面で
の結晶面での集積度を、所定の範囲にすることが重要で
ある。
【0035】本発明者らは、プレス前焼鈍前の合金薄板
表面での{211}結晶面の集積度を制御することによ
り、プレス成形時における合金薄板の割れ発生を効果的
に抑制できること、また、{100}および{110}
の各結晶面の集積度を制御することにより、シャドウマ
スクの透過ムラを抑制でき、さらに{111}、{31
1}、{331}および{210}の各結晶面の集積度
を制御することでシャドウマスクの部分的な色ずれの発
生を抑制できることを見いだした。
【0036】すなわち、{211}結晶面の集積度が2
0%を超えると、プレス成形時に合金薄板に割れが発生
する。また、{111}、{311}、{331}およ
び{210}の各結晶面の集積度が、{111}結晶面
で14%、{311}結晶面で20%、{331}結晶
面で20%、{210}結晶面で20%をそれぞれ超え
ると、プレス成形によって孔形状が異常に変形し、上述
したシャドウマスクの部分的な色ずれが発生する。
【0037】{100}および{110}の各結晶面の
集積度の制御は、オーステナイト結晶粒の混粒度(D
max /Dmin )を本発明範囲内とするために必要であ
る。すなわち、{100}結晶面の集積度が75%を超
えるか、あるいは{110}結晶面の集積度が40%を
超えると、オーステナイト結晶粒の混粒度(Dmax /D
mi n )が15を超えてしまう。この結果、プレス前焼鈍
前の再結晶が均一に進行せず、プレス前焼鈍後の結晶粒
が混粒状態となるため、シャドウマスクに透過ムラが生
じる。また、{100}結晶面の集積度が5%を下回る
と、{110}結晶面の集積度が40%を超え、{11
0}結晶面の集積度が5%を下回ると、{100}結晶
面の集積度が75%を超えるので、いずれの場合にもオ
ーステナイト結晶粒の混粒度(Dmax /Dmin )が15
を超え、シャドウマスクに透過ムラが生じる。
【0038】図3は、{100}結晶面の集積度とオー
ステナイト結晶粒の混粒度(Dmax/Dmin )との関係
を示すグラフである。この図より、{100}結晶面の
集積度を5〜75%とすることにより、オーステナイト
結晶粒の混粒度(Dmax /D min )を1〜15の範囲に
制御できることが分かる。また、{100}結晶面の集
積度をより限定された8〜46%とすることにより、混
粒度をさらに小さくすることができ、このため透過ムラ
の発生をより効果的に抑制することができる。
【0039】以上の理由から、本発明ではプレス前焼鈍
前の合金薄板表面での結晶面での集積度を、以下のよう
に規定した。 {111}結晶面の集積度:14%以下 {100}結晶面の集積度:5%〜75% {110}結晶面の集積度:5%〜40% {311}結晶面の集積度:20%以下 {331}結晶面の集積度:20%以下 {210}結晶面の集積度:20%以下 {211}結晶面の集積度:20%以下 ただし、集積度は{111}、{100}、{11
0}、{311}、{331}、{210}および{2
11}の相対比率 各結晶面の集積度は、各々の集積度を{111}、{1
00}、{110}、{311}、{331}、{21
0}および{211}の各結晶面の集積度の和で除し、
百分率で表したものである。
【0040】上述した各結晶面の集積度は、合金薄板の
板面のX線回折により得られる(111)、(20
0}、(220)、(311)、(331)、(42
0)および(422)の各回折面のX線回折強度から求
めることができる。例えば、{111}結晶面の集積度
は、(111)回折面の相対X線回折強度比を、(11
1)、(200}、(220)、(311)、(33
1)、(420)および(422)の各回折面の相対X
線回折強度比の和で割ることにより求めることができ
る。また、他の{100}、{110}、{311}、
{331}、{210}および{211}の各結晶面の
集積度も、同様にして求めることができる。ここで、相
対X線回折強度比とは各回折面で測定されたX線回折強
度を、その回折面の理論X線回折強度で割ったものであ
る。例えば、(111)回折面の相対X線回折強度比と
は、(111)回折面で測定されたX線回折強度を、
(111)回折面の理論X線回折強度で割ったものであ
る。
【0041】また、{100}、{110}、{31
1}、{331}、{210}および{211}の各結
晶面の集積度は、それぞれこれらの結晶面と方位的に等
しい(200)、(220)、(311)、(33
1)、(420)および(422)の各回折面の相対X
線回折強度比を、上記の(111)から(422)まで
の7個の回折面の相対X線回折強度比の和で割ることに
より求めることができる。
【0042】本発明が規定するプレス前焼鈍前の{11
1}、{100}、{110}、{311}、{33
1}、{210}および{211}の各結晶面の集積度
は、通常熱間圧延以降の処理条件を適宜選択することに
より得ることができる。
【0043】例えば、本発明の合金薄板を、分塊圧延ス
ラブまたは連続鋳造スラブを加熱して熱間圧延した後、
熱延板焼鈍−1次冷間圧延−再結晶焼鈍−2次冷間圧延
−再結晶焼鈍−仕上冷間圧延−歪取り焼鈍の工程を経て
製造する場合、上述した各結晶面の集積度を得るために
は、熱延板焼鈍の焼鈍温度を910〜990℃の範囲で
適切な温度に制御し、加えて冷間圧延条件、再結晶焼鈍
条件、仕上冷間圧延条件および歪取り焼鈍条件を、適正
な条件となるように制御すればよい。
【0044】なお、本発明が規定する結晶面の集積度を
得るには、分塊圧延スラブまたは連続鋳造スラブを均一
化熱処理することは好ましくない。例えば、この均一化
熱処理が1200℃以上、10時間以上の条件で行われ
た場合、{111}、{100}、{110}、{31
1}、{331}、{210}および{211}の各結
晶面の集積度のうち、1つ以上が本発明が規定する条件
から外れてしまうので、このような処理は避けなければ
ならない。
【0045】本発明が規定する各結晶面の集積度は、上
記した方法以外にも急冷凝固法の採用、熱間加工での再
結晶のコントロールによる集合組織制御等により得るこ
とができる。
【0046】本発明の合金薄板は、プレス前焼鈍をフォ
トエッチング前に実施してもよく、プレス前焼鈍が本発
明が前提とする比較的低い温度で行われるならば、フォ
トエッチングの品質が損なわれることはない。従来材で
は、プレス前焼鈍を本発明が前提とする比較的低い温度
で実施した後に、フォトエッチングするとフォトエッチ
ングの品質が損なわれるため、事実上プレス前焼鈍をフ
ォトエッチング前に実施することはできない。これに対
して、本発明材ではプレス前焼鈍後にフォトエッチング
を実施してもエッチング性が損なわれることはない。
【0047】
【実施例】
〔実施例1〕取鍋精錬によって表7に示す成分組成の合
金No.1〜No.23の合金をそれぞれ精錬し、その
溶鋼から合金No.1〜No.13の合金については、
連続鋳造法により連続鋳造スラブを得るとともに、合金
No.18〜No.23の合金については、鋳型を用い
て鋼塊を得、この鋼塊を手入れ後分塊圧延して分塊圧延
スラブを得た。そして、これらのスラブの表面手入れを
行った後、これらのスラブを加熱炉に装入し、1100
℃の加熱温度で3時間加熱した後抽出し、熱間圧延を行
い熱延板を得た。また、合金No.14〜No.17の
合金については、薄鋳板に直接鋳造し、この薄鋳板を圧
延温度1000〜1300℃、圧延率30%で熱間圧延
した後、750℃の巻取温度でコイルに巻取り、熱延板
を得た。
【0048】
【表7】
【0049】上述した合金No.1〜No.23の合金
の熱間圧延板を素材として、以下に説明する工程を経
て、表8および表9に示す材料No.1〜No.34の
合金薄板を得た。
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】材料No.1〜No.21および材料N
o.27〜No.30の合金薄板は、合金No.1〜N
o.21の熱延板から、下記に示す一連の工程を経て
得られた板厚0.13mmの合金薄板である。 熱延板焼鈍(910〜990 ℃) −1次冷間圧延−再結晶
焼鈍(860〜940 ℃×125秒) −2 次冷間圧延−再結晶焼
鈍(860〜940 ℃×125 秒) −仕上冷間圧延( 圧延率15%)
−歪取り焼鈍(530℃×30秒) 材料No.22およびNo.26の合金薄板は、それぞ
れ合金No.22および合金No.2の熱延板から、下
記に示す一連の工程を経て得られた板厚0.13mm
の合金薄板である。
【0053】 1次冷間圧延( 圧延率92.5%)−再結晶
焼鈍(850℃×60秒) −仕上冷間圧延(圧延率15%)−歪取
り焼鈍(530℃×3 秒) 材料No.23の合金薄板は、合金No.23の熱延板
から、下記に示す一連の工程を経て得られた板厚0.
13mmの合金薄板である。 熱延板焼鈍(970℃) −1次冷間圧延−再結晶焼鈍(8
60℃×30秒) −2 次冷間圧延−再結晶焼鈍(860℃×30
秒) −仕上冷間圧延−歪取り焼鈍(530℃×30秒) 材料No.24の合金薄板は、合金No.1の熱延板か
ら、下記に示す一連の工程を経て得られた板厚0.1
3mmの合金薄板である。
【0054】 熱延板焼鈍(950℃) −1次冷間圧延(
圧延率74%)−再結晶焼鈍(950℃×180秒) −2 次冷間圧
延( 圧延率40%)−再結晶焼鈍(950℃×180 秒) −仕上冷
間圧延( 圧延率15%)−歪取り焼鈍(530℃×30秒) 材料No.25の合金薄板は、合金No.1の熱延板か
ら、下記に示す一連の工程を経て得られた板厚0.1
3mmの合金薄板である。 熱延板焼鈍(950℃) −1次冷間圧延−再結晶焼鈍(8
00℃×30秒) −2 次冷間圧延−再結晶焼鈍(800℃×30
秒) −仕上冷間圧延−歪取り焼鈍(530℃×30秒) 材料No.31とNo.33の合金薄板は合金No.4
の熱延板から、材料No.32の合金薄板は合金No.
3の熱延板から、また材料No.34の合金薄板は合金
No.7の熱延板から、それぞれ下記に示す一連の工程
を経て得られた板厚0.13mmの合金薄板である。
【0055】 1次冷間圧延−再結晶焼鈍(860〜940
℃×125 秒) −2 次冷間圧延−再結晶焼鈍(860〜940 ℃
×125 秒) −仕上冷間圧延−歪取り焼鈍(530℃×30秒) なお、上記の各熱延板は熱延後に十分に再結晶してい
た。
【0056】以上のようにして得られた合金薄板のう
ち、材料No.1〜No.12および材料No.15〜
No.34の各合金薄板を、エッチングによりフラット
マスク(成形前のシャドウマスク)に加工した後、77
0℃の温度で45分間のプレス前焼鈍を施し、その後プ
レス成形を行ってシャドウマスクのプレス成形性を調べ
た。また、プレス成形したシャドウマスクを黒化処理し
てブラウン管に組み込み、電子ビームを所定時間照射し
た後の部分的な色ずれの発生状況も調べた。
【0057】また、材料No.13およびNo.14の
各合金薄板は、エッチング前に795℃の温度で3分間
のプレス前焼鈍を施し、その後エッチングによりフラッ
トマスクに加工し、次いでプレス成形を行ってシャドウ
マスクのプレス成形性を調べるとともに、上記したのと
同じ方法により、部分的な色ずれの発生状況も調べた。
【0058】表8および表9に、各合金薄板のプレス前
焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径(Dav)、オース
テナイト結晶粒の混粒度(Dmax /Dmin )、ビッカー
ス硬度(Hv)、(10×Dav+80−Hv)および
(Hv−10×Dav−50)の正負の区別を示すととも
に、表10および表11にプレス前焼鈍前の合金薄板板
面での各結晶面の集積度、プレス成形性、部分的な色ず
れ発生の有無および耐錆性を示す。なお、プレス成形性
の各欄の評価基準および耐錆性の評価基準は、表10お
よび表11に注記したとおりのものである。
【0059】
【表10】
【0060】
【表11】
【0061】表8〜表10から分かるように、合金の成
分組成、合金薄板のプレス成形前の{111}、{10
0}、{110}、{311}、{331}、{21
0}および{211}の各結晶面の集積度、平均オース
テナイト結晶粒径(Dav)、オーステナイト結晶粒の混
粒度(Dmax /Dmin )、ビッカース硬度(Hv)、お
よび10×Dav+80≧Hv≧10×Dav+50の条件
が本発明の規定を満足している材料No.1〜No.1
3のFe−Ni合金系薄板は、いずれも優れたプレス成
形性を示しており、部分的な色ずれの発生もない。
【0062】また、同じように上述したような本発明に
規定する条件を満足している材料No.14〜No.1
7のFe−Ni−Co合金系薄板も、いずれも優れたプ
レス成形性を示しており、部分的な色ずれの発生もな
い。また、材料No.13およびNo.14の合金薄板
は、プレス前焼鈍をエッチング前に実施したものである
が、このような製造プロセスによっても、シャドウマス
クとしての本来の機能が付与されていることが分かる。
さらには、上記した材料No.1〜No.17の合金薄
板のいずれもが、後述する比較例に比べて優れているこ
とが分かる。
【0063】これに対して、比較例である材料No.1
8の合金薄板はSiの含有量が本発明の上限値0.2重
量%を超え、材料No.20の合金薄板はNの含有量が
本発明の上限値0.003重量%を超えているので、プ
レス成形時に金型とのなじみの点で問題がある。
【0064】同じく比較例である材料No.19の合金
薄板はOの含有量が本発明の上限値0.004重量%を
超え、材料No.23の合金薄板はSbの含有量が本発
明の上限値0.05重量%を超えているので、プレス前
焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径(Dav)が本発明
で規定する下限値10.5μmを下回わり、プレス成形
時の形状凍結性が劣っており、合金薄板に割れも発生し
ている。
【0065】なお、材料No.19の合金薄板は、オー
ステナイト結晶粒の混粒度(Dmax/Dmin )も本発明
に規定する上限値15を超えているので、透過ムラも発
生している。また、材料No.20の合金薄板は、Cr
の含有量も本発明の下限値0.001重量%を下回って
いるので、耐食性が本発明例に比較して著しく劣ってい
る。
【0066】同じく比較例である材料No.21の合金
薄板はBの含有量が本発明の上限値0.005重量%を
超えているので、プレス前焼鈍前の平均オーステナイト
結晶粒径(Dav)が本発明で規定する下限値10.5μ
mを下回わり、プレス成形時の形状凍結性が劣ってお
り、合金薄板に割れも発生している。なお、材料No.
21の合金薄板は、オーステナイト結晶粒の混粒度(D
max /Dmin )も本発明に規定する上限値15を超えて
いるので、透過ムラも発生している。
【0067】同じく比較例である材料No.22の合金
薄板は、熱延板焼鈍を実施することなく下記に示す一連
の工程を経て製造されたものであり、これは前述した
特開平3−267320号公報に開示された技術に基づ
くものと同等のものである。
【0068】 1次冷間圧延( 圧延率92.5%)−再結晶
焼鈍(850℃×60秒) −仕上冷間圧延(圧延率15%)−歪取
り焼鈍(530℃×3 秒) この材料No.22の合金薄板は、{100}結晶面の
集積度が本発明で規定する上限値75%を超え、かつ
{110}結晶面の集積度が本発明で規定する下限値5
%を下回わり、またオーステナイト結晶粒の混粒度(D
max /Dmin )も本発明に規定する上限値15を超えて
いる。
【0069】(材料No.23の説明がない)比較例で
ある材料No.24の合金薄板は、1、2次冷間圧延後
の再結晶焼鈍を950℃×180秒の条件で、また材料
No.25の合金薄板は、1、2次冷間圧延後の再結晶
焼鈍を800℃×30秒の条件で行ったものであるが、
プレス前焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径(Dav
が、材料No.24の合金薄板では本発明で規定する上
限値15μmを超え、材料No.25の合金薄板では本
発明で規定する下限値10.5μmを下回わり、いずれ
もプレス成形時の形状凍結性が劣っている。
【0070】比較材である材料No.26の合金薄板
は、材料No.26の合金薄板と同様の工程で製造され
たものであり、{100}結晶面の集積度が本発明で規
定する上限値75%を超え、かつ{110}結晶面の集
積度が本発明で規定する下限値5%を下回わり、オース
テナイト結晶粒の混粒度(Dmax /Dmin )も本発明に
規定する上限値15を超えているので、透過ムラが発生
している。このように、本発明で規定する成分範囲内に
入っている合金薄板でも、各結晶面での集積度およびオ
ーステナイト結晶粒の混粒度(Dmax /Dmin )が、本
発明で規定する範囲に入らないと、優れたプレス成形性
は得られない。
【0071】比較例の材料No.27の合金薄板は、ビ
ッカース硬さ(Hv)が本発明で規定する上限値220
を超え、材料No.28の合金薄板は、ビッカース硬さ
(Hv)が本発明で規定する下限値165を下回り、材
料No.29の合金薄板は、ビッカース硬さ(Hv)が
本発明で規定する(10×Dav+80)の値を超え、材
料No.30の合金薄板は、ビッカース硬さ(Hv)が
本発明で規定する(10×Dav+50)の値を下回るの
で、いずれも形状凍結性が悪い。
【0072】比較例の材料No.31〜No.34の合
金薄板は、熱延板焼鈍を実施することなく、冷間圧延以
降の工程は材料No.1〜No.21の合金薄板と同様
の工程で製造されたものである。このうち、材料No.
31の合金薄板は、{110}結晶面の集積度が本発明
で規定する上限値40%を超え、かつオーステナイト結
晶粒の混粒度(Dmax /Dmin )も本発明に規定する上
限値15を超えているので、透過ムラが発生している。
材料No.32の合金薄板は、{111}結晶面の集積
度が本発明で規定する上限値14%を超え、かつ{31
1}結晶面の集積度が本発明で規定する上限値20%を
超えるので、部分的な色ずれが発生している。材料N
o.33の合金薄板は、{211}結晶面の集積度が本
発明で規定する上限値20%を超えているので、合金薄
板に割れが発生している。材料No.34の合金薄板
は、{331}および{210}結晶面の集積度が本発
明で規定するそれぞれの上限値20%を超えているの
で、部分的な色ずれが発生している。
【0073】以上のように、合金の成分組成、合金薄板
のプレス前焼鈍前の各結晶面の集積度、プレス前焼鈍前
の平均オーステナイト結晶粒径(Dav)、オーステナイ
ト結晶粒の混粒度(Dmax /Dmin )およびビッカース
硬さ(Hv)が本発明で規定する範囲内にあり、かつH
vが、10×Dav+80≧Hv≧10×Dav+50の関
係を満たす合金薄板を製造することにより、優れたプレ
ス成形性および画面品質を有するシャドウマスク製造用
材料としての合金薄板を得ることができる。
【0074】
【発明の効果】本発明により、プレス成形時の形状凍結
性に優れ、金型とのなじみが良好で、材料の割れが生じ
にくく、しかもシャドウマスクを透過する透過光にムラ
が発生せず、かつ部分的な色ずれの発生のない優れた画
面品質を得ることができ、さらには耐食性もよいシャド
ウマスク用合金薄板を得ることができる。
【0075】また、上記合金薄板は、プレス前焼鈍をエ
ッチング前に施しても、所要のエッチング性およびプレ
ス成形性が確保できるので、プレス前焼鈍を材料供給者
側で実施しておけば、ブラウン管製造者側でのプレス前
焼鈍を省略できるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】プレス前焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径
およびビッカース硬度とプレス成形性の関係を示すグラ
フである。
【図2】プレス前焼鈍前のオーステナイト結晶粒の混粒
度とシャドウマスクの透過ムラ発生との関係を示すグラ
フである。
【図3】プレス前焼鈍前の板表面での{100}結晶面
の集積度とオーステナイト結晶粒の混粒度との関係を示
すグラフである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−251253(JP,A) 特開 平6−158229(JP,A) 特開 平6−41688(JP,A) 特開 平4−341543(JP,A) 特開 昭61−64853(JP,A) 特開 平1−204333(JP,A) 特開 昭61−201733(JP,A) 特開 昭64−52024(JP,A) 特開 平3−158439(JP,A) 特開 昭63−259054(JP,A) 特開 昭63−190146(JP,A) 特開 昭60−21331(JP,A) 特開 昭60−251227(JP,A) 特開 昭62−120432(JP,A) 特開 平4−228546(JP,A) 特開 昭62−112760(JP,A) 特開 昭63−190147(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 H01J 29/07

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Ni:34 〜38% 、Cr:0.01 〜3%
    を含有すると共に、Si:0.2% 以下、B:0.005%以下、O:0.
    004%以下、N:0.003%以下、Sb:0.05%以下の要件を満た
    し、且つシャドウマスクをプレス成形するために施す焼
    鈍前の平均オーステナイト結晶粒径Davが10.5〜15μm
    、オーステナイト結晶粒径の最大値Dmax と最小値D
    min との比Dmax / Dmin が1 〜15、ビッカース硬さHvが
    165 〜220 でかつ平均オーステナイト結晶粒径Dav(μm)
    との関係で次式を満足し、板表面での各結晶面の集積度
    が次表の条件を満足することを特徴とするシャドウマス
    ク用Fe-Ni 系合金薄板。 【数1】 【表1】
  2. 【請求項2】 重量%で、Ni:34 〜38% 、Cr:0.01 〜3
    %、Co:1%以下を含有すると共に、Si:0.2% 以下、
    B:0.005%以下、O:0.004%以下、N:0.003%以下%、Sb:0.05
    %以下の要件を満たし、且つシャドウマスクをプレス成
    形するために施す焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径
    Davが10.5〜15μm 、オーステナイト結晶粒径の最大値D
    max と最小値Dmin との比Dmax /Dminが1 〜15、ビッカ
    ース硬さHvが165 〜220 でかつ平均オーステナイト結晶
    粒径Dav(μm)との関係で次式を満足し、板表面での各結
    晶面の集積度が次表の条件を満足することを特徴とする
    シャドウマスク用Fe-Ni 系合金薄板。 【数2】 【表2】
  3. 【請求項3】 重量%で、Ni:34 〜38% 、Cr:0.01 〜3
    %、Co:1%超え〜7%を含有すると共に、Si:0.2% 以
    下、B:0.005%以下、O:0.004%以下、N:0.003%以下Sb:0.0
    5%以下の要件を満たし、且つシャドウマスクをプレス成
    形するために施す焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径
    Davが10.5〜15μm 、オーステナイト結晶粒径の最大値D
    max と最小値Dmin との比Dmax /Dminが1 〜15、ビッカ
    ース硬さHvが165 〜220 でかつ平均オーステナイト結晶
    粒径Dav(μm)との関係で次式を満足し、板表面での各結
    晶面の集積度が次表の条件を満足することを特徴とする
    シャドウマスク用Fe-Ni-系合金薄板。 【数3】 【表3】
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