JP2870399B2 - 加工性に優れたカラー受像管用Fe−Ni系合金薄板およびFe−Ni−Co系合金薄板 - Google Patents

加工性に優れたカラー受像管用Fe−Ni系合金薄板およびFe−Ni−Co系合金薄板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工性に優れたカラー
受像管用Fe−Ni系合金薄板およびFe−Ni−Co
系合金薄板とそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、カラーテレビの高品位化に伴い、
色ずれの問題に対処できるシャドウマスク用合金とし
て、33〜39wt%のNiを含有するFe−Ni系合
金が使用されている。このFe−Ni系合金は、シャド
ウマスク用材料として従来から使用されてきた低炭素鋼
に較べ、熱膨張率が著しく小さい。このためFe−Ni
系合金で作られたシャドウマスクは、電子ビームにより
加熱されても熱膨張による色ずれの問題は生じにくい。
また、アパーチャーグリル用の素材としても、従来の低
炭素鋼に較べて強度が高い低熱膨張のFe−Ni系合金
の使用が検討されはじめている。
【0003】通常、カラー受像管用の合金薄板は、連続
鋳造法または造塊法によって得られた合金塊に、分塊圧
延、熱間圧延および冷間圧延・焼鈍を施すことにより製
造される。また、このようにして製造されたシャドウマ
スク用合金薄板は、通常、以下のような工程によってシ
ャドウマスクに加工される。すなわち、シャドウマスク
用合金薄板にフォトエッチングによって電子ビームの通
過孔を形成し(以下、このエッチングによって穿孔され
たままのシャドウマスク用合金薄板を「フラットマス
ク」という)、このフラットマスクに焼鈍を施した後、
ブラウン管の形状に合うように曲面形状にプレス成形
し、しかる後これをシャドウマスクに組立て、その表面
上に黒化処理を施す。また、アパーチャーグリルの場合
は、金属薄板にエッチング加工によって多数のスリット
を形成し、その後スリット方向に張力を付与した状態で
フレームに張り渡して溶接し、この張力を付与した状態
のまま400〜600℃の温度で黒化処理を施すことで
製造される。
【0004】従来、Fe−Ni系合金を冷間圧延・再結
晶焼鈍後、仕上圧延して製造されたシャドウマスク用素
材は、低炭素鋼のシャドウマスク用素材に較べて強度が
高いため、エッチング穿孔後のプレス成形性を確保する
ために800℃以上の高温で軟化焼鈍(プレス前焼鈍)
を実施し、その軟質化を図っている。しかし、このよう
に軟化焼鈍を800℃という高温で行うことは作業効率
および経済性の面で不利であり、このためより低温の軟
化焼鈍を実施した場合にも、800℃以上で軟化焼鈍し
た材料と同等の低強度が得られる材料の開発が望まれて
いる。
【0005】シャドウマスク用インバー合金のプレス成
形性を向上させることを目的として、特開平3−267
320号公報では800℃未満の軟化焼鈍条件の下で低
強度化を図る技術が開示されている。この技術は、冷間
圧延とこれに続く再結晶焼鈍の後、5〜20wt%の圧
延率で仕上冷間圧延することにより、800℃未満の温
度の軟化焼鈍によって、200℃での0.2wt%耐力
を9.5kgf/mm2(10kgf/mm2以下)と
し、プレス成形性の良好なレベルまで低強度化を図ろう
とするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この特開平3
−267320号の技術は、単に平均的な粒度と強度に
注目したものであって、開示されている強圧下−低温再
結晶というプロセスでは{100}面の集積度が著しく
大きくなり、また、混粒組織となってしまう。このた
め、この技術により得られたシャドウマスク用材料はプ
レス成形時に金型にかじり付きが発生し、シャドウマス
ク端部で割れが発生し易いという欠点がある。また、こ
の材料は面内異方性も大きいため、シャドウマスクに透
過ムラが発生するケースもしばしば見られ、品質上に問
題がある。
【0007】また、アパーチャーグリル用素材として用
いられている従来の低炭素鋼板は抗張力が70kgf/
mm2程度であり、このような素材を用いた場合、ブラ
ウン管メーカーで施される黒化処理により素材が回復し
て抗張力が低下するため、アパーチャーグリル用素体1
本当りに付与できる張力は高々50〜60kgf/mm
2程度に過ぎない。しかるに、最近ではTVの大画面
化、高画質化、高輝度化により、アパーチャーグリル用
素体に付与できる張力をより高くすることが望まれてお
り、従来の低炭素鋼板の素材ではこのようなニーズに応
えることができない。また、このようなニーズに応える
ような新規の材料も未だ開発されていない。
【0008】本発明はこのような従来技術の問題に鑑
み、プレス前焼鈍を800℃未満の比較的低い温度で実
施した場合でも、優れた加工性、すなわち、プレス成形
時の形状凍結性に優れ、金型とのなじみが良好で、材料
の割れが生じにくく、しかもシャドウマスクの透過ムラ
の原因となる伸びムラも生じにくいという優れたプレス
成形性を示し、さらに、部分的な色ずれの発生がなく優
れた画面品質を得ることができ、さらには、アパーチャ
ーグリル用素材としても黒化処理後で高抗張力を有し、
アパーチャーグリル用素体に高張力を付与する際でもへ
たり等の問題を生じない、加工性に優れたカラー受像管
用Fe−Ni系合金薄板およびFe−Ni−Co系合金
薄板とその製造方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため本発明が特徴とする構成は以下の通りである。
【0010】(1) Ni:33〜39wt%、Si:
0.20wt%以下、Mn:0.001〜1.0wt
%、B:0.0050wt%以下、O:0.0040w
t%以下、N:0.0030wt%以下、Sb:0.0
005〜0.0500wt%、Sn:0.0002〜
0.0050wt%、As:0.0002〜0.005
0wt%を含有し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
分を有し、シャドウマスク成形のためのプレス前焼鈍前
におけるまたはアパーチャーグリルに加工前における平
均オーステナイト結晶粒径Davが8.0〜15.0μ
m、オーステナイト結晶粒径の最大値Dmaxと最小値Dm
inとの比Dmax/Dminが1〜15、ビッカース硬さHv
が165〜240で且つ平均オーステナイト結晶粒径D
av(μm)との関係で、 Hv≧10×Dav+50 の条件を満足し、板表面での結晶面集積度が下記条件を
満足する加工性に優れたカラー受像管用Fe−Ni系合
金薄板。{111}結晶面の集積度:14%以下 {100}結晶面の集積度:5〜75% {110}結晶面の集積度:5〜40% {311}結晶面の集積度:20%以下 {331}結晶面の集積度:20%以下 {210}結晶面の集積度:20%以下 {211}結晶面の集積度:20%以下 但し 集積度は{111}、{100}、{110}、
{311}、{331}、{210}および{211}
の相対比率
【0011】(2) Ni:33〜39wt%、Co:
1wt%以下、Si:0.20wt%以下、Mn:0.
001〜1.0wt%、B:0.0050wt%以下、
O:0.0040wt%以下、N:0.0030wt%
以下、Sb:0.0005〜0.0500wt%、S
n:0.0002〜0.0050wt%、As:0.0
002〜0.0050wt%を含有し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
分を有し、シャドウマスク成形のためのプレス前焼鈍前
におけるまたはアパーチャーグリルに加工前の平均オー
ステナイト結晶粒径Davが8.0〜15.0μm、オー
ステナイト結晶粒径の最大値Dmaxと最小値Dminとの比
Dmax/Dminが1〜15、ビッカース硬さHvが165
〜240で且つ平均オーステナイト結晶粒径Dav(μ
m)との関係で、 Hv≧10×Dav+50 の条件を満足し、板表面での結晶面集積度が下記条件を
満足する加工性に優れたカラー受像管用Fe−Ni系合
金薄板。 {111}結晶面の集積度:14%以下 {100}結晶面の集積度:5〜75% {110}結晶面の集積度:5〜40% {311}結晶面の集積度:20%以下 {331}結晶面の集積度:20%以下 {210}結晶面の集積度:20%以下 {211}結晶面の集積度:20%以下 但し 集積度は{111}、{100}、{110}、
{311}、{331}、{210}および{211}
の相対比率
【0012】(3) Ni:27〜38wt%、Co:
1wt%超〜7wt%、Si:0.20wt%以下、M
n:0.001〜1.0wt%、B:0.0050wt
%以下、O:0.0040wt%以下、N:0.003
0wt%以下、Sb:0.0005〜0.0500wt
%、Sn:0.0002〜0.0050wt%、As:
0.0002〜0.0050wt%を含有し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
分を有し、シャドウマスク成形のためのプレス前焼鈍前
におけるまたはアパーチャーグリルに加工前における平
均オーステナイト結晶粒径Davが8.0〜15.0μ
m、オーステナイト結晶粒径の最大値Dmaxと最小値Dm
inとの比Dmax/Dminが1〜15、ビッカース硬さHv
が165〜240で且つ平均オーステナイト結晶粒径D
av(μm)との関係で、 Hv≧10×Dav+50 の条件を満足し、板表面での結晶面集積度が下記条件を
満足する加工性に優れたカラー受像管用Fe−Ni−C
o系合金薄板。 {111}結晶面の集積度:14%以下 {100}結晶面の集積度:5〜75% {110}結晶面の集積度:5〜40% {311}結晶面の集積度:20%以下 {331}結晶面の集積度:20%以下 {210}結晶面の集積度:20%以下 {211}結晶面の集積度:20%以下 但し 集積度は{111}、{100}、{110}、
{311}、{331}、{210}および{211}
の相対比率
【0013】(4) 請求項1に記載Fe−Ni系合金
薄板の製造方法において、Ni:33〜39wt%、S
i:0.20wt%以下、Mn:0.001〜1.0w
t%、B:0.0050wt%以下、O:0.0040
wt%以下、N:0.0030wt%以下、Sb:0.
0005〜0.0500wt%、Sn:0.0002〜
0.0050wt%、As:0.0002〜0.005
0wt%を含有し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
分を有する冷延素材を、熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶
焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経てまたは
熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶焼鈍、冷間圧延、再結晶
焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経て製造す
る際に、前記熱延板焼鈍における昇温速度を3℃/se
c以上、再結晶焼鈍における昇温速度を10℃/sec
以上、歪取り焼鈍における昇温速度を5℃/sec以上
とすることを特徴とする加工性に優れたカラー受像管用
Fe−Ni系合金薄板。
【0014】(5) 請求項2に記載Fe−Ni系合金
薄板の製造方法において、Ni:33〜39wt%、C
o:1wt%以下、Si:0.20wt%以下、Mn:
0.001〜1.0wt%、B:0.0050wt%以
下、O:0.0040wt%以下、N:0.0030w
t%以下、Sb:0.0005〜0.0500wt%、
Sn:0.0002〜0.0050wt%、As:0.
0002〜0.0050wt%を含有し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
分を有する冷延素材を、熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶
焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経てまたは
熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶焼鈍、冷間圧延、再結晶
焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経て製造す
る際に、前記熱延板焼鈍における昇温速度を3℃/se
c以上、再結晶焼鈍における昇温速度を10℃/sec
以上、歪取り焼鈍における昇温速度を5℃/sec以上
とすることを特徴とする加工性に優れたカラー受像管用
Fe−Ni系合金薄板。
【0015】(6) 請求項3に記載Fe−Ni−Co
系合金薄板の製造方法において、Ni:27〜38wt
%、Co:1wt%超〜7wt%、Si:0.20wt
%以下、Mn:0.001〜1.0wt%、B:0.0
050wt%以下、O:0.0040wt%以下、N:
0.0030wt%以下、Sb:0.0005〜0.0
500wt%、Sn:0.0002〜0.0050wt
%、As:0.0002〜0.0050wt%を含有
し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
分を有する冷延素材を、熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶
焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経てまたは
熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶焼鈍、冷間圧延、再結晶
焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経て製造す
る際に、前記熱延板焼鈍における昇温速度を3℃/se
c以上、再結晶焼鈍における昇温速度を10℃/sec
以上、歪取り焼鈍における昇温速度を5℃/sec以上
とすることを特徴とする加工性に優れたカラー受像管用
Fe−Ni−Co系合金薄板。
【0016】
【作用】以下、本発明の詳細をその限定理由とともに説
明する。本発明の成分組成の限定理由は以下の通りであ
る。色ずれの発生を防止するためにカラー受像管用Fe
−Ni系合金薄板に要求される30〜100℃の温度域
における平均熱膨張係数の上限値は、3.0×(1/1
6)/℃である。熱膨張係数は合金のNi量に依存
し、上記の平均熱膨張係数の条件を満たすNi量は、3
3〜39wt%である。このためNiは33〜39wt
%の範囲とする。また、より低い平均熱膨張係数を得る
ためにはNi量を35〜37wt%、さらに好ましくは
35.5〜36.5wt%とすることが望ましい。通
常、CoはFe−Ni系合金中に不可避不純物としてあ
る程度含まれており、Coが1wt%以下では特性にほ
とんど影響を与えず、Ni量も上記範囲でよい。なお、
Coの下限は特に限定しないが、溶製上の経済性の面か
らは0.001wt%程度が実質的な下限となる。
【0017】一方、Coを1wt%超〜7wt%含有す
る場合には、上記の平均熱膨張係数の条件を満足するた
めのNiの範囲は27〜38wt%である。このためC
oを1wt%超〜7wt%含有する場合には、Niは2
7〜38wt%の範囲とする。また、Coを3〜6wt
%、Niを30〜33wt%とすることにより、平均熱
膨張係数がより低い優れた特性が得られる。また、Co
が7wt%を超えると逆に熱膨張係数が劣化するため、
Coの上限は7wt%とする。
【0018】Oは不可避不純物元素の1つであり、O量
が多いと合金中の酸化物系非金属介在物が多くなり、本
発明が目的とする加工性が劣化する。すなわち、上記介
在物が、特に800℃未満の温度域で行われるプレス前
焼鈍において結晶粒の成長性を阻害する。Oが0.00
40wt%を超えると、この粒成長の阻害作用が著しく
なり、本発明が目的とするプレス成形性が得られない。
このためOは0.0040wt%を上限とする。なお、
下限は特に限定しないが、溶製上の経済性の面からは
0.0001wt%程度が実質的な下限となる。
【0019】Bは熱間加工性を向上させる作用がある
が、その含有量が多くなると本発明が目的とする加工性
が劣化する。すなわち、プレス前焼鈍時に形成される再
結晶粒の粒界に偏析し、粒界移動を阻害する結果、結晶
粒の成長性が阻害され、プレス前焼鈍後で所要の0.2
%耐力が得られなくなる。特に、本発明が前提とする比
較的低い温度でのプレス前焼鈍の下では粒成長の阻害作
用が強く、しかも、この作用はすべての結晶粒に対して
一様に働くものではないため、結果的には著しい混粒組
織を生じ、プレス成形時の材料の伸びムラを生じさせ、
シャドウマスクの透過ムラの原因となる。Bが0.00
50wt%を超えると、上記した粒成長の阻害作用が著
しくなるため、本発明が目的とするプレス成形性が得ら
れなくなり、また、上記の透過ムラ等の問題も生じる。
このためBは0.0050wt%を上限とする。なお、
上記の観点からより好ましいB量は0.0002wt%
以下である。なお、Bの下限は特に限定しないが、溶製
上の経済性の面からは0.00001wt%程度が実質
的な下限となる。
【0020】Siは溶製時の脱酸元素として添加される
が、その添加量が0.20wt%を超えると、プレス前
焼鈍時に合金板表面にSiの酸化膜が形成され、この酸
化膜によりプレス成形時の金型とのなじみが悪くなり、
合金板の金型へのかじり付きが生じるようになる。この
ため、Siは0.20wt%を上限とする。また、Si
量をさらに低減することにより、合金板と金型とのなじ
みをより良好なものとすることができる。なお、Siの
下限は特に限定しないが、溶製上の経済性の面からは
0.001wt%程度が実質的な下限となる。
【0021】Nは溶製時に不可避的に混入する元素であ
り、Nが0.0030wt%を超えて含有するとプレス
前焼鈍時に合金板表面にNが濃化して窒化物を形成し、
この窒化物によりプレス成形時の金型とのなじみが悪く
なり、合金板の金型へのかじり付きが生じるようにな
る。このためNは0.0030wt%以下とする。な
お、下限は特に限定しないが、溶製上の経済性の面から
は0.0001wt%程度が実質的な下限となる。
【0022】Mnは熱間加工性を向上させる作用があ
り、その添加量が0.001wt%未満では熱間加工性
の向上効果が得られない。一方、1.0wt%を超えて
添加すると合金の強度が高くなり過ぎ、却って熱間加工
性が劣化する。このためMnは0.001〜1.0wt
%とする。
【0023】Sb,Sn,Asは、本発明合金において
結晶面の集積度を制御するために、また、アパーチャー
グリル用素材とした場合においてアパーチャーグリル素
体に高張力を付与してもへたり等の問題を生じさせるこ
とがなく、また、この高張力付与後に黒化処理を施した
際にも軟化によるへたりを生じさせることなく高張力を
維持するために、必要不可欠な元素である。
【0024】Sbの添加量が0.0005wt%未満で
は{311}結晶面の集積度が20%を超えるためシャ
ドウマスクの部分的な色ずれが発生し、また、アパーチ
ャーグリル用素材とした場合には、黒化処理によって回
復による材料の軟化が生じる。一方、Sbの添加量が
0.0500wt%を超えると黒化処理性が悪くなり、
また、再結晶温度が上昇するため、本発明が目的とする
800℃未満の温度で実施されるプレス前焼鈍後におけ
る所要のプレス成形品質が得られない。このためSbは
0.0005〜0.0500wt%とする。
【0025】また、Snの添加量が0.0002wt%
未満では{331}結晶面の集積度が20%を超えるた
めシャドウマスクの部分的な色ずれが発生し、また、ア
パーチャーグリル用素材とした場合には、黒化処理によ
って回復による材料の軟化が生じる。一方、Snの添加
量が0.0050wt%を超えると黒化処理性が悪くな
り、また再結晶温度が上昇するため、本発明が目的とす
る800℃未満の温度で実施されるプレス前焼鈍後にお
ける所要のプレス成形品質が得られない。このためSn
は0.0002〜0.0050wt%とする。
【0026】また、Asの添加量が0.0002wt%
未満では{210}結晶面の集積度が20%を超えるた
め、シャドウマスクの部分的な色ずれが発生し、また、
アパーチャーグリル用素材とした場合には、黒化処理に
よって回復による材料の軟化が生じる。一方、Asが
0.0050wt%を超えると黒化処理性が悪くなり、
また再結晶温度が上昇するため、本発明が目的とする8
00℃未満の温度で実施されるプレス前焼鈍後における
所要のプレス成形品質が得られない。このためAsは
0.0002〜0.0050wt%とする。
【0027】さらに、Sb,Sn,Asの総量は{10
0}結晶面の集積度を制御する上で重要である。すなわ
ち、〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕が0.00
60wt%未満および0.100wt%超の範囲では、
いずれもオーステナイト結晶粒の混粒度が15を超え、
本発明が狙いとする範囲外となってしまう。このためS
b,Sn,Asの総量は、〔Sb〕+10〔Sn〕+1
5〔As〕で0.0060〜0.100wt%の範囲と
する。
【0028】なお、上記の成分元素以外の不純物元素と
しては、C:0.0001〜0.100wt%、Cr:
0.001〜3.00wt%、Zr:0.01%以下、
H:3ppm以下の範囲とすることが好ましい。
【0029】本発明が目的とするプレス成形時の形状凍
結性の向上、合金板の割れ発生の抑制およびシャドウマ
スクの透過ムラ発生の防止のためには、上記の成分組成
の規定に加え、プレス前焼鈍前における平均オーステナ
イト結晶粒径Dav、オーステナイト結晶粒径の最大値D
maxと最小値Dminとの比Dmax/Dmin、合金板のビッカ
ース硬さHvを特定の範囲とし、且つこのビッカース硬
さHvを平均オーステナイト結晶粒径Davとの関係で特
定の範囲に規制する必要がある。
【0030】図1は、本発明が規定する成分組成を有
し、且つプレス前焼鈍前のオーステナイト結晶粒径の最
大値Dmaxと最小値Dminとの比Dmax/Dmin、および各
結晶面の集積度が本発明範囲内にある合金板について、
800℃未満のプレス前焼鈍を実施した後にプレス成形
を行い、プレス前焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径
Davおよびビッカース硬さHvがプレス成形性に及ぼす
影響を調べたものである。同図によれば、平均オーステ
ナイト結晶粒径Davが8.0μm未満では、本発明が前
提とする800℃未満のプレス前焼鈍の下では合金板の
結晶粒径が十分に粗大化しないため、スプリングバック
が大きく形状凍結性が劣っている。一方、平均オーステ
ナイト結晶粒径Davが15.0μmを超えると、プレス
前焼鈍時に再結晶が起こりにくく、この場合も形状凍結
性が劣っている。
【0031】また、ビッカース硬さHvは主として冷間
圧延率によって決まるが、これが165未満では合金板
に十分な歪が付与されていないため、プレス前焼鈍時に
おける再結晶のための駆動力が小さく、十分な再結晶が
生じない。このためプレス前焼鈍後でも硬質であり、形
状凍結性が劣っている。また、アパーチャーグリル用素
材として用いる場合でも十分な強度が得られない。一
方、合金板に過度の歪が付与されることにより、ビッカ
ース硬さHvが240を超えると、プレス前焼鈍時の再
結晶のための駆動力が大きいため再結晶時の核生成頻度
が高くなり過ぎ、この結果、プレス前焼鈍後において結
晶粒が細粒化し、この場合も形状凍結性が劣ることにな
る。また、アパーチャーグリル用素材として用いる場合
でも延性が低くなり、アパーチャーグリル素体に高張力
を付与する際に破断してしまう。
【0032】また、図1によれば、本発明が対象とする
Fe−Ni系合金薄板、Fe−Ni−Co系合金薄板で
はプレス前焼鈍時に適正な再結晶を生じさせるために
は、ビッカース硬さHvを平均オーステナイト結晶粒径
Davとの関係で規定する必要があることが判る。すなわ
ち、プレス前焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径Dav
が大きいものほどプレス前焼鈍時の駆動力を得るために
大きな歪量が必要であるため、平均オーステナイト結晶
粒径Davに応じてビッカース硬さHvの下限を規定する
必要があり、一方、平均オーステナイト結晶粒径Davの
小さいものほど核生成場所が多いため、プレス前焼鈍後
における結晶粒の細粒化を防ぐ観点から平均オーステナ
イト結晶粒径Davに応じてビッカース硬さHvの上限を
規定する必要がある。図1によれば、ビッカース硬さH
vが165以上であっても、Hv<10×Dav+50で
あると、プレス前焼鈍時における再結晶のための駆動力
が相対的に小さ過ぎ、十分な再結晶が生じない。このた
めプレス前焼鈍後でも硬質であり、形状凍結性が劣って
いる。
【0033】図2は、本発明が規定する成分組成を有
し、且つプレス前焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径
Dav、ビッカース硬さHvおよび各結晶面の集積度が本
発明範囲内にある合金板について、800℃未満のプレ
ス前焼鈍を実施した後にプレス成形を行い、プレス前焼
鈍前のオーステナイト結晶粒径の最大値Dmaxと最小値
Dminの比Dmax/Dminがシャドウマスクの透過ムラ発
生に及ぼす影響を調べたものである。これによれば、オ
ーステナイト結晶粒径の最大値と最小値との比Dmax/
Dminが15を超えると、エッチング孔径が不揃いにな
るため透過ムラが発生している。Dmax/Dminは小さけ
れば小さいほど好ましく、したがってDmax/Dminの下
限は1となる。
【0034】以上の理由から、本発明ではカラー受像管
用Fe−Ni系合金薄板およびFe−Ni−Co系合金
薄板の加工性の向上、すなわちプレス前焼鈍時の結晶粒
の成長性を高めて形状凍結性を良好とし、且つシャドウ
マスクの透過ムラ発生を抑制する条件として、プレス前
焼鈍前における平均オーステナイト結晶粒径Davを8.
0〜15.0μm、オーステナイト結晶粒径の最大値D
maxと最小値Dminとの比Dmax/Dmin(以下、「オース
テナイト結晶粒の混粒度」という)を1〜15、ビッカ
ース硬さHvを165〜240で且つ平均オーステナイ
ト結晶粒径Dav(μm)との関係で、 Hv≧10×Dav+50 の条件を満足するものと規定する。
【0035】また、本発明が目的とするプレス成形時の
割れ発生の防止、シャドウマスクの透過ムラ発生の防止
および部分的な色ずれ発生の抑制のためには、上述した
ような規定に加えて、プレス前焼鈍前の合金板表面での
結晶面の集積度を所定の範囲にすることが重要である。
本発明者らは、プレス前焼鈍前の合金板表面での{21
1}結晶面の集積度を制御することによりプレス成形時
における合金板の割れ発生を効果的に抑制できること、
また、{100}および{110}の各結晶面の集積度
を制御することによりシャドウマスクの透過ムラを抑制
でき、さらに{111}、{311}、{331}およ
び{210}の各結晶面の集積度を制御することでシャ
ドウマスクの部分的な色ずれの発生を抑制できることを
見出した。
【0036】すなわち、{211}結晶面の集積度が2
0%を超えるとプレス成形時に合金板の割れが発生す
る。また、{111}、{311}、{331}および
{210}の各結晶面の集積度が、それぞれ{111}
結晶面:14%超、{311}結晶面:20%超、{3
31}結晶面:20%超、{210}結晶面:20%超
となると、プレス成形によって孔形状が異常に変形し、
上述したシャドウマスクの部分的な色ずれが発生する。
【0037】{100}および{110}の各結晶面の
集積度の制御は、オーステナイト結晶粒の混粒度(Dma
x/Dmin)を本発明範囲内とするために必要である。す
なわち、{100}結晶面の集積度が75%を超えるか
或いは{110}結晶面の集積度が40%を超えると、
オーステナイト結晶粒の混粒度が15を超えてしまう。
この結果、プレス前焼鈍時の再結晶が均一に進行せず、
プレス前焼鈍後の結晶粒が混粒状態となるためシャドウ
マスクに透過ムラが生じる。また、{100}結晶面の
集積度が5%未満では{110}結晶面の集積度が40
%を超え、また、{110}結晶面が5%未満では{1
00}結晶面の集積度が75%を超えるため、いずれも
オーステナイト結晶粒の混粒度が15を超え、シャドウ
マスクに透過ムラが生じる。
【0038】図3は{100}結晶面の集積度とオース
テナイト結晶粒の混粒度との関係を示したもので、{1
00}結晶面の集積度を5〜75%とすることにより、
オーステナイト結晶粒の混粒度を1〜15の範囲に制御
できることが判る。また、{100}結晶面の集積度を
より限定された8〜46%の範囲とすることにより混粒
度をさらに小さくすることができ、このため透過ムラの
発生をより効果的に抑制することができる。
【0039】以上の理由から、本発明ではプレス前焼鈍
前の合金板表面での各結晶面の集積を以下のように規定
する。 {111}結晶面の集積度:14%以下 {100}結晶面の集積度:5〜75% {110}結晶面の集積度:5〜40% {311}結晶面の集積度:20%以下 {331}結晶面の集積度:20%以下 {210}結晶面の集積度:20%以下 {211}結晶面の集積度:20%以下 但し 集積度は{111}、{100}、{110}、
{311}、{331}、{210}および{211}
の相対比率
【0040】上述した各結晶面の集積度は、板表面のX
線回折により得られる(111)、(200)、(22
0)、(311)、(331)、(420)及び(42
2)の各回折面のX線回折強度から求めることができ
る。例えば、{111}結晶面の集積度は(111)回
折面の相対X線強度比を(111)、(200)、(2
20)、(311)、(331)、(420)及び(4
22)の各回折面の相対X線強度比の和で割ることによ
り求めることができる。また、他の{100}、{11
0}、{311}、{331}、{210}、{21
1}の各結晶面の集積度も同様にして求めることができ
る。ここで、相対X線回折強度比とは各回折面で測定さ
れたX線回折強度をその回折面の理論X線強度で割った
ものである。例えば、(111)回折面の相対X線回折
強度比は(111)回折面のX線回折強度を(111)
回折面のX線回折理論強度で割ったものである。
【0041】また、{100}、{110}、{21
0}、{211}の各結晶面の集積度は、それぞれこれ
らの結晶面と方位的に等しい(200)、(220)、
(420)、(422)回折面の相対X線回折強度比を
上記の(111)から(422)までの7個の回折面の
相対X線回折強度比の和で割ることにより求めることが
できる。
【0042】本発明が規定するプレス前焼鈍前の{11
1}、{100}、{110}、{311}、{33
1}、{210}および{211}の各結晶面の集積度
は、通常、熱間圧延以降の処理条件を適宜選択すること
により得ることができる。例えば、本発明の合金薄板
を、分塊圧延スラブまたは連続鋳造スラブを熱間圧延し
て得られた冷延素材或いはストリップキャスティングに
より得られた薄鋳板またはその薄鋳板を熱間で軽圧下し
て得られた冷延素材を、熱延板焼鈍−冷間圧延−再結晶
焼鈍−冷間圧延−再結晶焼鈍−仕上冷間圧延−歪取り焼
鈍の各工程または熱延板焼鈍−冷間圧延−再結晶焼鈍−
仕上冷間圧延−歪取り焼鈍の各工程を経て製造する場
合、上述した各結晶面の集積度を得るためには、熱延板
焼鈍の焼鈍温度を910〜990℃の範囲で適切な温度
に制御すること加えて、熱延板焼鈍における昇温速度を
3℃/sec以上、再結晶焼鈍における昇温速度を10
℃/sec以上、歪取り焼鈍における昇温速度を5℃/
sec以上とすることが有効である。
【0043】すなわち、熱延板焼鈍の温度を910〜9
90℃にすることにより、{331}、{210}及び
{211}の各結晶面の集積度を20%以下とすること
ができる。また、熱延板焼鈍、再結晶焼鈍、歪取り焼鈍
における昇温速度を各々上記の範囲内とすることによ
り、{311}結晶面の集積度を20%以下とすること
ができる。なお、その他の製造条件については、本発明
の規定する平均オーステナイト結晶粒径を安定して得る
には、再結晶焼鈍における焼鈍温度を860〜940℃
とすることが、また、本発明の規定するオーステナイト
結晶粒の混粒度を安定して得るには、冷間圧延における
圧下率(2回冷圧を行う場合には各冷圧工程での圧下
率)を50%以上とすることが、さらに、本発明が規定
するビッカース硬度を安定して得るには、仕上冷間圧延
における圧下率を15〜80%とすることが、それぞれ
好ましい。
【0044】また、本発明が規定する平均オーステナイ
ト結晶粒径Dav、オーステナイト結晶粒の混粒度(Dma
x/Dmin)およびビッカース硬度Hvについては、上記
の条件に加えて、冷間圧延条件、再結晶焼鈍温度、仕上
冷間圧延率および歪取り焼鈍温度の制御により得ること
が可能である。
【0045】なお、本発明が規定する結晶面の集積度を
得るには、製造工程において分塊圧延後のスラブまたは
連続鋳造スラブを均一化熱処理することは好ましくな
い。例えば、この均一化熱処理が1200℃以上、10
時間以上の条件で行われた場合、{111}、{10
0}、{110}、{311}、{331}、{21
0}、{211}の各結晶面の集積度のうち1つ以上が
本発明が規定する条件から外れてしまうので、このよう
な処理は避けなければならない。本発明が規定する各結
晶面の集積度は、上記した方法以外にも急冷凝固法の採
用、熱間加工での再結晶のコントロールによる集合組織
制御等により得ることができる。
【0046】本発明の合金薄板は、プレス前焼鈍をフォ
トエッチングの前に実施してもよく、プレス前焼鈍が本
発明が前提とする比較的低い温度で行われるならば、フ
ォトエッチングの品質が損なわれることはない。従来材
では、プレス前焼鈍を本発明が前提とする比較的低い温
度で実施した後にフォトエッチングを実施するとフォト
エッチングの品質が損なわれるため、事実上プレス前焼
鈍をフォトエッチングの前に実施することはできない。
これに対して、本発明材ではプレス前焼鈍後にフォトエ
ッチングを実施してもエッチング性が損なわれることは
ない。
【0047】
【実施例】
〔実施例1〕取鍋精錬によって表1〜表5に示す成分組
成の合金No.1〜No.25を調整し、合金No.1
〜合金No.13、合金No.18〜No.29につい
てはインゴットに鋳造し、これらインゴットを手入れ
後、分塊圧延、表面疵取り、熱間圧延(加熱条件:11
00℃×3時間)して熱延板を得た。また合金No.1
4〜No.17については薄鋳板に直接鋳造し、この薄
鋳板を1300〜1000℃の温度で圧延率30%で熱
間圧延した後800℃で巻取り、熱延板を得た。これら
の熱延板から、以下に述べる工程により表6〜表11に
示す材料No.1〜36の合金薄板を得た。
【0048】材料No.11〜No.22、No.2
4、No.25、No.29〜No.32、No.37
〜No.40は、合金No.11〜No.22、No.
24、No.25、No.2、No.5、No.6、N
o.26〜No.29の熱延板から、熱延板焼鈍(昇温
速度3℃/sec以上、910〜990℃)−冷間圧延
−再結晶焼鈍(昇温速度10℃/sec以上、860〜
940℃×120秒)−冷間圧延−再結晶焼鈍(昇温速
度10℃/sec以上、860〜940℃×120秒)
−仕上冷間圧延(圧延率18%)−歪取り焼鈍(昇温速
度5℃/sec以上、530℃×30秒)の工程を経て
製造された板厚0.25mmの合金板である。
【0049】材料No.1〜No.10は、合金No.
1〜No.10の熱延板から、熱延板焼鈍(昇温速度3
℃/sec以上、910〜990℃)−冷間圧延−再結
晶焼鈍(昇温速度10℃/sec以上、860〜940
℃×120秒)−仕上冷間圧延(圧延率21%)−歪取
り焼鈍(昇温速度5℃/sec以上、540℃×45
秒)の工程を経て製造された板厚0.25mmの合金板
である。材料No.28は、合金No.22の熱延板か
ら、冷間圧延(圧延率92.5%)−再結晶焼鈍(85
0℃×1分)−仕上冷間圧延(圧延率15%)−歪取り
焼鈍(530℃×3秒)の工程を経て製造された板厚
0.25mmの合金板である。
【0050】材料No.26は、合金No.1の熱延板
から、熱延板焼鈍(昇温速度2℃/sec、950℃)
−冷間圧延(圧延率74%)−再結晶焼鈍(昇温速度8
℃/sec、950℃×180秒)−冷間圧延(圧延率
40%)−再結晶焼鈍(昇温速度8℃/sec、950
℃×180秒)−仕上冷間圧延(圧延率15%)−歪取
り焼鈍(昇温速度4℃/sec、530℃×30秒)の
工程を経て製造された板厚0.25mmの合金板であ
る。
【0051】材料No.27は、合金No.1の熱延板
から、熱延板焼鈍(昇温速度2℃/sec、950℃)
−冷間圧延−再結晶焼鈍(昇温速度8℃/sec、80
0℃×30秒)−冷間圧延−再結晶焼鈍(昇温速度7℃
/sec、800℃×30秒)−仕上冷間圧延−歪取り
焼鈍(昇温速度3℃/sec、530℃×30秒)の工
程を経て製造された板厚0.25mmの合金板である。
材料No.23は合金No.23の熱延板から、熱延板
焼鈍(昇温速度3℃/sec、970℃)−冷間圧延−
再結晶焼鈍(昇温速度15℃/sec、800℃×30
秒)−冷間圧延−再結晶焼鈍(昇温速度20℃/se
c、800℃×30秒)−仕上冷間圧延−歪取り焼鈍
(昇温速度10℃/sec、530℃×30秒)の工程
を経て製造された板厚0.25mmの合金板である。
【0052】材料No.33〜No.36は、合金N
o.3、No.4およびNo.7の熱延板から、冷間圧
延−再結晶焼鈍(昇温速度10℃/sec以上、860
〜940℃×125秒)−冷間圧延−再結晶焼鈍(昇温
速度10℃/sec以上、860〜940℃×125
秒)−仕上冷間圧延−歪取り焼鈍(昇温速度5℃/se
c以上、530℃×30秒)の工程を経て製造された板
厚0.25mmの合金板である。なお、上記の各熱延板
は熱延後で十分に再結晶していた。
【0053】以上のようにして得られた材料のうち材料
No.1〜No.12、No.15〜No.36の各合
金板を、エッチングによりフラットマスクに加工した
後、780℃×55分の条件でプレス前焼鈍を施し、し
かる後プレス成形を行ってプレス成形性を調べた。ま
た、プレス成形したシャドウマスクを黒化処理してブラ
ウン管に組み込み、電子ビームを所定時間照射した後の
部分的な色ずれ発生も調べた。また、材料No.13お
よびNo.14の合金板は、エッチング前に795℃×
3分の条件でプレス前焼鈍を施し、しかる後エッチング
によりフラットマスクに加工し、次いでプレス成形を行
ってプレス成形性を調べた。また、上記と同様にして部
分的な色ずれ発生も調べた。
【0054】表6〜表8に、プレス前焼鈍前の平均オー
ステナイト結晶粒径Dav、オーステナイト結晶粒の混粒
度(Dmax/Dmin)、ビッカース硬度Hvおよび〔Hv
−10×Dav−50〕を、また、表9〜表11に、プレ
ス前焼鈍前の板表面での各結晶面の集積度、プレス成形
性および部分的な色ずれ発生の有無を示す。なお、材料
No.12の合金板については、歪取り焼鈍後エッチン
グ加工によってスリットを形成し、次いでスリット方向
に張力を65kgf/mm2付加した状態で黒化処理を
施し、その後、クリープ特性を調べた。
【0055】表6〜表11によれば、本発明が規定する
成分組成、プレス前焼鈍前の{111}、{100}、
{110}、{311}、{331}、{210}およ
び{211}の各結晶面の集積度、平均オーステナイト
結晶粒径Dav、オーステナイト結晶粒の混粒度(Dmax
/Dmin)、ビッカース硬度Hv、およびHv≧10×
Dav+50の条件を満足する材料No.1〜No.13
は、いずれも優れたプレス成形性を示しており、また、
部分的な色ずれの発生もなく、黒化処理性も良好であ
る。
【0056】また、Coを含有する本発明例である材料
No.14〜No.17も同様に優れた特性を示してい
る。また、材料No.13およびNo.14はプレス前
焼鈍をエッチング前に実施したものであるが、このよう
な製造プロセスによってもシャドウマスクとしての本来
の性能が付与されていることが判る。また、材料No.
12のクリープ特性も良好であり、アパーチャーグリル
用素材として優れた特性を備えていることが確認され
た。
【0057】これに対して、材料No.21、No.2
2およびNo.23は、それぞれSb量、Sn量および
As量が本発明範囲未満の比較例であり、それぞれ{3
11}、{331}、{210}の結晶面の集積度が本
発明範囲を超えるためシャドウマスクの部分的な色ずれ
の点で問題がある。また、材料No.23は{311}
の結晶面の集積度が本発明範囲を超えており、透過ムラ
が発生している。材料No.18、No.19およびN
o.20は、それぞれSb量、Sn量およびAs量が本
発明範囲を超えた比較例であり、これらは黒化処理性が
劣り、また、プレス前焼鈍後でも合金は未再結晶である
ためプレス成形時の形状凍結性が劣っており、また、合
金板の割れも発生している。
【0058】材料No.24、No.25はそれぞれ
〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕の値が本発明の
下限未満の比較例および上限を超えた比較例であり、い
ずれもオーステナイト結晶粒の混粒度が本発明範囲を超
えているため、透過ムラが発生している。また、材料N
o.37〜No.40はそれぞれSi,B,O,Nが本
発明の上限を超えた比較例であり、材料No.37は金
型とのなじみの点で、材料No.38は形状凍結性と透
過ムラの点で、No.39は形状凍結性の点で、材料N
o.40は金型とのなじみの点で、それぞれ問題を生じ
ている。
【0059】No.28は熱延板焼鈍を実施することな
く、冷間圧延(圧延率92.5%)−再結晶焼鈍(85
0℃×1分)−仕上冷間圧延(圧延率15%)−歪取り
焼鈍(530℃×3秒)の工程を経て製造されたもの
で、特開平3−267320号の開示技術によるもので
あるが、{110}および{100}結晶面の集積度が
本発明範囲から外れ、特に、オーステナイト結晶粒の混
粒度が大きな値となっているため、透過ムラが発生して
いる。このように、本発明の成分条件を満足する合金板
であっても、本発明が規定する結晶粒の集積度とオース
テナイト結晶粒の混粒度を満足しなければ、優れたプレ
ス成形性は得られない。
【0060】材料No.26およびNo.27は、それ
ぞれ冷間圧延後の再結晶焼鈍が950℃×180秒、8
00℃×30秒の条件で製造されたもので、平均オース
テナイト結晶粒径Davが本発明範囲を超えた比較例、平
均オーステナイト結晶粒径Davが本発明範囲未満の比較
例であり、いずれも形状凍結性が劣っている。また、こ
れらの比較例は焼鈍時の昇温速度が本発明の下限未満で
あるため、{311}の結晶面の集積度が本発明範囲を
超えており、透過ムラが発生している。
【0061】材料No.33〜No.36は、熱延板焼
鈍を実施することなく、冷間圧延以降の工程は材料N
o.1〜No.21と同様の工程で製造されたものであ
る。このうち材料No.33は{110}結晶面の集積
度が本発明範囲から外れた比較例であり、オーステナイ
ト結晶粒の混粒度が本発明範囲を超えているため透過ム
ラが発生している。No.35は{211}結晶面の集
積度が本発明範囲を超えた比較例であり、合金板の割れ
が発生している。また、材料No.34は{111}と
{311}の結晶面の集積度が本発明範囲から外れた比
較例、材料No.36は{311}と{210}の結晶
面の集積度が本発明範囲を超えた比較例であり、いずれ
も部分的な色ずれが発生している。
【0062】材料No.29〜No.32は、それぞれ
ビッカース硬さHvが本発明の上限を超えた比較例、ビ
ッカース硬さHvが本発明の下限未満の比較例、ビッカ
ース硬さHvが本発明の上限を超えた比較例、Hv<1
0×Dav+50である比較例であり、いずれも形状凍結
性が劣っている。
【0063】以上のように本発明が規定する成分組成、
プレス前焼鈍前の各結晶面の集積度、平均オーステナイ
ト結晶粒径Dav、オーステナイト結晶粒の混粒度(Dma
x/Dmin)、ビッカース硬度Hv、およびHv≧10×
Dav+50の条件を満足することにより、本発明が目的
とする優れた加工性すなわちプレス成形性および画面品
質を有するカラー受像管用Fe−Ni系合金薄板および
Fe−Ni−Co系合金薄板が得られることが判る。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
【表7】
【0071】
【表8】
【0072】
【表9】
【0073】
【表10】
【0074】
【表11】
【0075】*1 評価基準 ◎:極めて良好、○:良好、×:やや不良*2 評価基
準 ○:良好(しごきマークなし)、△:やや不良(しごきマ
ーク少しあり)、×:不良(しごきマーク多くあり)*3
評価基準 ◎:全くなし、○:なし、△:ややあり、×:あり
【0076】
【発明の効果】以上述べたように本発明のカラー受像管
用Fe−Ni系合金薄板およびFe−Ni−Co系合金
薄板は、シャドウマスクに用いる場合にあっては、プレ
ス前焼鈍を800℃未満という比較的低い温度で実施し
ても、優れたプレス成形性、すなわち、プレス成形時の
形状凍結性に優れ、金型とのなじみが良好で、材料の割
れが生じにくく、しかも透過ムラの発生が抑えられると
いう優れたプレス成形性を示し、さらに、部分的な色ず
れ発生もなく、黒化処理性も良好であるため優れた画面
品質を得ることができる。また、アパーチャーグリル用
素材として用いる場合にあっては、アパーチャーグリル
素体に従来よりも高い張力を付与しても黒化処理による
クリープ特性は良好であり、アパーチャーグリル用素材
としても優れた特性を有している。さらに、本発明の合
金薄板はプレス前焼鈍をエッチング前に施した場合でも
所要のエッチング性およびプレス成形性が得られ、この
ため予めプレス前焼鈍を実施しておけば、ブラウン管メ
ーカー側でのプレス前焼鈍を省略することができ、この
点からも合金板のユーザーにとって経済的メリットの大
きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】プレス前焼鈍前の平均オーステナイト結晶粒径
Davおよびビッカース硬度Hvとプレス成形性との関係
を示すグラフ
【図2】プレス前焼鈍前のオーステナイト結晶粒の混粒
度(Dmax/Dmin)とシャドウマスクの透過ムラ発生と
の関係を示すグラフ
【図3】プレス前焼鈍前の板表面での{100}結晶面
の集積度とオーステナイト結晶粒の混粒度との関係を示
すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日朝 道人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−158229(JP,A) 特開 平6−57384(JP,A) 特開 平6−41688(JP,A) 特開 平6−25802(JP,A) 特開 平5−209254(JP,A) 特開 平5−195160(JP,A) 特開 平4−358042(JP,A) 特開 昭60−251253(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 302 C21D 8/02 C22C 38/60

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni:33〜39wt%、Si:0.2
    0wt%以下、Mn:0.001〜1.0wt%、B:
    0.0050wt%以下、O:0.0040wt%以
    下、N:0.0030wt%以下、Sb:0.0005
    〜0.0500wt%、Sn:0.0002〜0.00
    50wt%、As:0.0002〜0.0050wt%
    を含有し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
    ≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
    分を有し、シャドウマスク成形のためのプレス前焼鈍前
    におけるまたはアパーチャーグリルに加工前における平
    均オーステナイト結晶粒径Davが8.0〜15.0μ
    m、オーステナイト結晶粒径の最大値Dmaxと最小値Dm
    inとの比Dmax/Dminが1〜15、ビッカース硬さHv
    が165〜240で且つ平均オーステナイト結晶粒径D
    av(μm)との関係で、 Hv≧10×Dav+50 の条件を満足し、板表面での結晶面集積度が下記条件を
    満足する加工性に優れたカラー受像管用Fe−Ni系合
    金薄板。 {111}結晶面の集積度:14%以下 {100}結晶面の集積度:5〜75% {110}結晶面の集積度:5〜40% {311}結晶面の集積度:20%以下 {331}結晶面の集積度:20%以下 {210}結晶面の集積度:20%以下 {211}結晶面の集積度:20%以下 但し 集積度は{111}、{100}、{110}、
    {311}、{331}、{210}および{211}
    の相対比率
  2. 【請求項2】 Ni:33〜39wt%、Co:1wt
    %以下、Si:0.20wt%以下、Mn:0.001
    〜1.0wt%、B:0.0050wt%以下、O:
    0.0040wt%以下、N:0.0030wt%以
    下、Sb:0.0005〜0.0500wt%、Sn:
    0.0002〜0.0050wt%、As:0.000
    2〜0.0050wt%を含有し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
    ≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
    分を有し、シャドウマスク成形のためのプレス前焼鈍前
    におけるまたはアパーチャーグリルに加工前の平均オー
    ステナイト結晶粒径Davが8.0〜15.0μm、オー
    ステナイト結晶粒径の最大値Dmaxと最小値Dminとの比
    Dmax/Dminが1〜15、ビッカース硬さHvが165
    〜240で且つ平均オーステナイト結晶粒径Dav(μ
    m)との関係で、 Hv≧10×Dav+50 の条件を満足し、板表面での結晶面集積度が下記条件を
    満足する加工性に優れたカラー受像管用Fe−Ni系合
    金薄板。 {111}結晶面の集積度:14%以下 {100}結晶面の集積度:5〜75% {110}結晶面の集積度:5〜40% {311}結晶面の集積度:20%以下 {331}結晶面の集積度:20%以下 {210}結晶面の集積度:20%以下 {211}結晶面の集積度:20%以下 但し 集積度は{111}、{100}、{110}、
    {311}、{331}、{210}および{211}
    の相対比率
  3. 【請求項3】 Ni:27〜38wt%、Co:1wt
    %超〜7wt%、Si:0.20wt%以下、Mn:
    0.001〜1.0wt%、B:0.0050wt%以
    下、O:0.0040wt%以下、N:0.0030w
    t%以下、Sb:0.0005〜0.0500wt%、
    Sn:0.0002〜0.0050wt%、As:0.
    0002〜0.0050wt%を含有し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
    ≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
    分を有し、シャドウマスク成形のためのプレス前焼鈍前
    におけるまたはアパーチャーグリルに加工前における平
    均オーステナイト結晶粒径Davが8.0〜15.0μ
    m、オーステナイト結晶粒径の最大値Dmaxと最小値Dm
    inとの比Dmax/Dminが1〜15、ビッカース硬さHv
    が165〜240で且つ平均オーステナイト結晶粒径D
    av(μm)との関係で、 Hv≧10×Dav+50 の条件を満足し、板表面での結晶面集積度が下記条件を
    満足する加工性に優れたカラー受像管用Fe−Ni−C
    o系合金薄板。 {111}結晶面の集積度:14%以下 {100}結晶面の集積度:5〜75% {110}結晶面の集積度:5〜40% {311}結晶面の集積度:20%以下 {331}結晶面の集積度:20%以下 {210}結晶面の集積度:20%以下 {211}結晶面の集積度:20%以下 但し 集積度は{111}、{100}、{110}、
    {311}、{331}、{210}および{211}
    の相対比率
  4. 【請求項4】 請求項1に記載Fe−Ni系合金薄板の
    製造方法において、Ni:33〜39wt%、Si:
    0.20wt%以下、Mn:0.001〜1.0wt
    %、B:0.0050wt%以下、O:0.0040w
    t%以下、N:0.0030wt%以下、Sb:0.0
    005〜0.0500wt%、Sn:0.0002〜
    0.0050wt%、As:0.0002〜0.005
    0wt%を含有し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
    ≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
    分を有する冷延素材を、熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶
    焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経てまたは
    熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶焼鈍、冷間圧延、再結晶
    焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経て製造す
    る際に、前記熱延板焼鈍における昇温速度を3℃/se
    c以上、再結晶焼鈍における昇温速度を10℃/sec
    以上、歪取り焼鈍における昇温速度を5℃/sec以上
    とすることを特徴とする加工性に優れたカラー受像管用
    Fe−Ni系合金薄板。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載Fe−Ni系合金薄板の
    製造方法において、Ni:33〜39wt%、Co:1
    wt%以下、Si:0.20wt%以下、Mn:0.0
    01〜1.0wt%、B:0.0050wt%以下、
    O:0.0040wt%以下、N:0.0030wt%
    以下、Sb:0.0005〜0.0500wt%、S
    n:0.0002〜0.0050wt%、As:0.0
    002〜0.0050wt%を含有し、且つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
    ≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
    分を有する冷延素材を、熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶
    焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経てまたは
    熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶焼鈍、冷間圧延、再結晶
    焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経て製造す
    る際に、前記熱延板焼鈍における昇温速度を3℃/se
    c以上、再結晶焼鈍における昇温速度を10℃/sec
    以上、歪取り焼鈍における昇温速度を5℃/sec以上
    とすることを特徴とする加工性に優れたカラー受像管用
    Fe−Ni系合金薄板。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載Fe−Ni−Co系合金
    薄板の製造方法において、Ni:27〜38wt%、C
    o:1wt%超〜7wt%、Si:0.20wt%以
    下、Mn:0.001〜1.0wt%、B:0.005
    0wt%以下、O:0.0040wt%以下、N:0.
    0030wt%以下、Sb:0.0005〜0.050
    0wt%、Sn:0.0002〜0.0050wt%、
    As:0.0002〜0.0050wt%を含有し、且
    つ、 0.0060≦〔Sb〕+10〔Sn〕+15〔As〕
    ≦0.100 但し 〔Sb〕:Sb含有量(wt%) 〔Sn〕:Sn含有量(wt%) 〔As〕:As含有量(wt%) を満足し、残部Feおよび不可避不純物からなる化学成
    分を有する冷延素材を、熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶
    焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経てまたは
    熱延板焼鈍、冷間圧延、再結晶焼鈍、冷間圧延、再結晶
    焼鈍、仕上冷間圧延、歪取り焼鈍の各工程を経て製造す
    る際に、前記熱延板焼鈍における昇温速度を3℃/se
    c以上、再結晶焼鈍における昇温速度を10℃/sec
    以上、歪取り焼鈍における昇温速度を5℃/sec以上
    とすることを特徴とする加工性に優れたカラー受像管用
    Fe−Ni−Co系合金薄板。
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