JP3450711B2 - 打抜き特性に優れるFe−Ni系リードフレーム用合金 - Google Patents

打抜き特性に優れるFe−Ni系リードフレーム用合金

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な打抜き特性
を有するFe−Ni系リードフレーム用材料に係り、打
抜き時の剪断特性を改善するよう非金属介在物の大きさ
・形態および組成を制御することにより、良好な打抜き
特性を得る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、フラットパッケージに代表される
ようにリードフレームの多ピン化が進んでおり、微細化
加工における要求水準がますます高まっている。一般
に、リードフレーム用材料には、リードパターンが打抜
き加工で形成される打抜き用途と、リードパターンが塩
化第二鉄溶液によるエッチングで形成されるエッチング
用途に分けられ、後者のほうがより微細なリードパター
ンの形成に向いている。一般的に、リードフレーム用材
料に要求される特性としては、打抜き特性に優れるこ
と、プレス加工時における加工性に優れること、良
好なはんだ性、メッキ性を有し半導体素子とのボンディ
ング時に支障がないこと、加工後の強度が高く変形し
にくいこと、電気伝導性が高く、実作動温度である2
00℃以下での熱膨張係数が低いことなどがあげられ
る。打抜きリードフレームを用いたIC半導体パッケー
ジの製造工程は、大まかには以下のように分けることが
できる。
【0003】(1)素材(リードフレーム材)の打抜き
加工 (2)リードフレームを樹脂モールドにマウントするマ
ウント工程 (3)リードフレームと半導体素子を導線で接続するた
めのボンディング工程
【0004】ここで、工程1では打抜き性が、工程2で
はプレス成形性が要求され、工程3ではメッキ性、はん
だ性がそれぞれ要求される。加工後の強度が必要なのは
ボンディング時に反りや曲がりなどの変形が起きにくい
ことが必要なためと、取り扱い時の変形による不良発生
で歩留まり低下を防ぐためである。また電気伝導性は、
リードに流れる電流による発熱を左右し、半導体素子の
動作の安定性に影響する。リードフレーム用材料には、
加熱による組立工程中の熱膨脹差による歪みに起因する
半導体素子の特性変動や、モールドレジンとの密着性の
劣化を防止するために、半導体素子またはモールドレジ
ンとの熱膨張係数が近いことが必要とされている。その
ような要求を満たす従来より代表的な金属材料として、
Fe−42Ni合金、Fe−45Ni合金、Fe−50
Ni合金等の材料が用いられている。
【0005】熱伝導の点では、銅合金がFe−Ni合金
に比べてより有利であるが、最近では半導体素子の安定
性向上、放熱性の改善、リードの形状改善(薄肉化)に
よる実効比抵抗の減少などの個々の改善がなされている
ため、Fe−Ni合金の熱伝導特性は技術的なネックに
はなっていない。一方、打抜き性については、この工程
において品質のばらつきが製品の歩留まりに大きく影響
し、また、今後の高精細化、多ピン化の動向と併せて重
要な工程と考えられることから、従来から壮んに検討さ
れている。これまでの打抜き性改善の試みとしては、例
えば特開昭61−44156に見られるように、圧延方
向平行断面の介在物の大きさを5μm以下とし、A系、
B系介在物の総数を1mmあたり20個以上としたも
のや、特開昭60−255953に見られるように、粒
径3μm以下の微細非金属介在物を組織内に均一分散さ
せたものがある。さらに、特開平9−87808、24
9943に見られるように、圧延および板圧方向に平行
な断面積1mmあたりの10μm以上の大きさのA系
介在物またはB系介在物を10〜1000個、5μm以
下のC系介在物を100〜50000個に制限し、エッ
チング後の硫化物系介在物痕の個数を1000〜200
0個としているなど、打抜き性改善に介在物を積極的に
利用している例が多く見られる。また特開昭63−24
010に見られるように炉外精錬温度を1700℃以下
で行うことにより、打抜き性に対して有害な10μmを
越える大きさのMgO−Alなどのスピネル系酸
化物の介在物の生成を抑制する技術も提案されている。
これらのことから打抜き性に対して介在物の制御がいか
に重要かが判る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】リードフレーム材で
は、プレス打抜きの際に生じるバリやカスにより製品の
性能を劣化させるだけでなく、金型に疵を付けたり残留
応力により反りや曲がりが生じてハンドリングに不具合
が起こる。このため、半導体の製造工程において安定し
た製造に支障を来したり歩留りの低下をもたらし、重大
なトラブルの原因となることもある。また最近ではリー
ドの高精細化に伴い、金型のクリアランスが小さく設定
されるため、より剪断抵抗が大きくなる傾向にある。こ
のため、金型の長寿命化のために益々打抜き性の良い材
料が求められている。しかしながら、このような要求を
満たすためには、前述したような介在物の制御のみでは
不十分であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、Fe−Ni
系リードフレーム用合金の打抜き性について検討した結
果、打抜き時の加工精度を左右する要因と、打抜き
抵抗(剪断抵抗)に影響する要因とに分類し、打抜き性
の改善に効果的な各要因に着目した。そして、酸化物系
介在物の形態・分布、硫化物系介在物の形態・分布およ
び微細なカーバイドの析出の有無によりそれぞれの影響
を個別に把握するに至った。その前提となる基本的な知
見は以下のとおりである。
【0008】まず、打抜き時の加工精度に影響する要因
としては、バリの発生と材料の流れ込みによるダレの発
生が主なものである。これらは打抜き時の破断面と剪断
面との割合に関係しており、剪断面の割合が多くなると
バリの発生が多くなると同時にカスの発生が増加し、破
断面の割合が多くなるとダレの大きさが大きくなること
が知られている。これらは、当然ながら金型とポンチと
のクリアランス等の打抜き条件によっても左右される
が、打抜き条件を同一にした場合にこれらの相違が材料
の良し悪しとしてクローズアップされてくる。
【0009】加工精度に影響する別の要因として、剪断
面と破断面の均一性があげられる。剪断面と破断面との
割合が不均一な場合、場所によりバリの大きさやダレの
大きさが不均一になり、その結果、場所によって形状の
ばらつきが大きくなり加工精度が悪化する。バリやダレ
がある一定の大きさで発生している場合には、クリアラ
ンス等の打抜き条件を変えれば改善できるが、バリやダ
レの大きさにばらつきがある場合には、打抜き条件では
対応が困難であり材料の改善が必要となる。
【0010】図2の斜線部で示すように、打抜き時のポ
ンチストロークの間で生じる応力と破断歪みの積分値を
剪断抵抗と定義した場合に、一般に、剪断抵抗の大きさ
は材料の引張強さや伸びなどの機械的性質と関連してい
ると考えられるが、同一材料でも圧延方向と圧延直角方
向では機械的性質が異なるように、圧延方向からの角度
依存性(異方性)が剪断抵抗に認められる。この異方性
が大きくなった場合には、例えば圧延方向にはバリの発
生が多いのに対して圧延直角方向にはバリが発生しない
といったことがあり、これらは同時に残留応力の不均一
にもつながり、リードフレーム材の製品の歩留まりに対
して悪影響を及ぼす。
【0011】以上の観点から、本発明者は、打抜き時の
加工精度に関係する要素を剪断抵抗の異方性、バリ
やダレの不均一性およびバリやダレの大きさの3つに
分けて個別に検討した。そして、これら加工精度に及ぼ
す影響と材料に含まれる介在物がそれぞれどの様に関連
しているか種々の研究を行った結果、以下のような知見
を得るに至った。
【0012】剪断抵抗の異方性に関しては、圧延方向に
延在するB系介在物がその原因であることが判った。具
体的には、B系介在物の長さが20μmを超える場合、
剪断抵抗の異方性が大きくなると同時に、破断面と剪断
面の均一性が悪くなることが判った。ここで、B系介在
物とは、JIS0555に規定されたものを言い、図1
に示すように、複数の介在物が圧延方向に並んだもので
ある。本発明では、個々の介在物どうしの間隔Pが10
μm以内で並んでいるものを1個のB系介在物と定義
し、図中符号Lがその長さである。また、B系介在物を
構成する個々の介在物や、A系介在物およびC系介在物
の大きさが5μmを上回ると、同様に剪断抵抗の異方性
が大きく、破断面と剪断面の均一性が悪くなることが判
明した。また、バリの均一性に関しては、介在物の大き
さと分布が支配要因であり、介在物の大きさが特に10
μmを超えるような大きなものが疎らに存在するような
分布形態のものでは、破断面と剪断面の境界が乱れやす
く、バリやダレの発生が不均一となることが判明した。
【0013】本発明の第1のFe−Ni系リードフレー
ム用合金は、以上の知見に基づいてなされたもので、N
iを30〜50重量%含有したFe−Ni系リードフレ
ーム用合金において、個々の非金属介在物の長径を30
個測定した平均の大きさが2.5〜5μmであり、か
つ、非金属介在物のなかでも個々の介在物どうしの間隔
が10μm以内で並んでいるB系の非金属介在物の圧延
方向の最大長さを30個測定し平均した長さ(圧延方向
の延長長さ)が9〜20μmであることを特徴としてい
る。そして、このようなFe−Ni系リードフレーム用
合金では、介在物の大きさ、特に圧延方向の介在物の大
きさを制限することで剪断抵抗の異方性が低減される。
これにより、打抜き後の残留応力が均一となるので、打
抜き品の経時変形を少なくすることができる。また、個
々の介在物の大きさを5μm以下に制限しているので、
剪断抵抗の異方性が低減されることと相まって、バリや
ダレを均一に発生させて打抜き精度を大幅に向上させる
ことが可能となる。
【0014】さらに、バリやダレの大きさに関しては、
比較的小さな10μm以下の介在物の量(清浄度)に依
存し、清浄度がある程度大きくなると(介在物の量が増
えると)バリの大きさが小さくなり破断面の割合が増加
する。反対に、清浄度が低くなる(介在物量が減少す
る)に従いバリの発生が多くなり、剪断面の割合が増加
する。したがって、介在物の量は多すぎてもまた極端に
少なくても好ましくなく、適度な範囲にする必要があ
る。
【0015】本発明の第2のFe−Ni系リードフレー
ム用合金は、介在物のうちでも快削性に寄与することで
知られている、MnSを主体とする硫化物について定量
的に解析した結果得られたもので、Niを30〜50重
量%含有したFe−Ni系リードフレーム用合金におい
て、個々の非金属介在物の長径を30個測定した平均の
大きさが2.5〜5μmであり、かつ、非金属介在物の
なかでも個々の介在物どうしの間隔が10μm以内で並
んでいるB系の非金属介在物の圧延方向の最大長さを3
0個測定し平均した長さが9〜20μmであり、さら
に、粒径0.02〜2μmのMnSを主体とする硫化物
を1000〜10000個/mmの割合で分散させた
ことを特徴としている。そして、このような介在物の存
在により、適度な清浄度が付与されてバリの発生が小さ
くなることが確認されている。なお、上記MnSの粒径
は、好ましくは0.05〜2μm、より好ましくは0.
1〜2μmであり、0.5〜2μmであればさらに好適
である。
【0016】次に、打抜き時の抵抗に関する要素として
は、前述の剪断抵抗に関する要素、すなわち材料の機械
的性質(引張強さ、伸び、硬さ、剛性率等)や圧延方向
の介在物分布等がある。金型の寿命の点で考慮した場合
には、剪断荷重がより小さく、破断歪み(ストローク)
が小さいものが材料として望まれる。本発明者が剪断抵
抗に関する調査を種々行ったところ、組織中に分散させ
た微細なカーバイド(主としてFeC)が剪断抵抗を
低下させるのに最も効果が高いことを見い出した。ま
た、カーバイドの適正な析出条件を熱間圧延での冷却条
件および熱延帯の焼鈍条件中に見い出した。
【0017】本発明のFe−Ni系リードフレーム用
は、前記のような合金の素材を900℃〜1200℃
の範囲にて熱間圧延し、熱間圧延後の冷却を熱間圧延温
度から650℃まで少なくとも5℃/秒の冷却速度で行
い、冷却後の熱延帯を500℃以下の温度で巻き取り、
さらに、この熱延帯をコイル焼鈍炉において700〜9
00℃の温度で10hr以上保持することにより、合金
組織中に微細なカーバイドを析出させることが望まし
【0018】以上のように、本発明では、まず、酸化物
系非金属介在物の大きさを規定することで剪断抵抗の異
方性を低減し(第1の特徴)、所定の硫化物を分散させ
ることで適度な破断面と剪断面の割合を構成し(第2の
特徴)、さらに、微細なカーバイドを分散させることで
剪断抵抗を低減している(第3の特徴)。そして、これ
ら全ての特徴を備えた場合の打抜き過程の経過は以下の
ようになると考えられる。
【0019】まず、ポンチ近傍で個々の大きさが5μm
以下のA系やB系の個々の介在物等の非金属介在物を起
点としてクラックが伝搬し、その先端にある直径2μm
以下の微細なMnSがボイドを生成し、それを起点に無
数のクラックが発生して打抜きが進行する。さらに、こ
の過程で微細なカーバイドはそれらの起点の発生を促進
させ、全体として打抜き時の抵抗を下げるのに寄与す
る。ただし、これはあくまでも推定であり、かかる作用
の有無により本発明が限定されないことは言うまでもな
い。なお、酸化物系のA系、B系介在物の総数を減少さ
せていっても剪断抵抗や剪断破面に差がほとんど認めら
れなかったことから、微細なMnSはそれ自体もクラッ
クの起点となっているものと考えられる。
【0020】次に、本発明の好適な成分組成について説
明する。本発明のFe−Ni系リードフレーム用合金の
好ましい成分組成は、重量%で、C:0.005〜0.
05%、Si:0.005〜0.5%、Mn:0.1〜
1.0%、Cr:0.5%以下、S:0.0005〜
0.02%を含有し、残部が実質的にFeよりなり、か
つ、合金中のMnの含有量とSの含有量の比Mn/Sが
50〜150の範囲である。以下、上記限定の根拠を説
明する。なお、以下の説明で「%」は「重量%」を意味
する。
【0021】C:Cは、0.05%を超えて含有すると
粗大な炭化物が析出し、打抜きを低下させる。また、合
金の耐力が上昇するとともにスプリングバックが大きく
なるため、成型加工時の加工性を劣化させる。逆に0.
005%を下回ると、打抜き時に必要な微細なカーバイ
ドが十分に析出せず、打抜き性が劣化する。以上の理由
から、Cの含有量は0.005〜0.05%とした。
【0022】Si:Siは、脱酸剤として添加される
が、その含有量が多すぎるとCと同様に打抜き性を低下
させる。一方、Siの酸化物は組織中に不均一核生成に
より発生するMnS等の硫化物の析出起点となるため、
適当な量の添加が望ましい。このような観点から、Si
の含有量は0.005〜0.5%とした。
【0023】Mn:MnもSiと同様に脱酸成分の一つ
であるが、熱間加工性に有害なSと結合してMnSを形
成することから、熱間加工性の改善に有効である。ま
た、Siと同様に、Mn酸化物は組織中に不均一核生成
により発生するMnS等の硫化物の析出起点となるた
め、適当な量の添加が望ましい。一方、Mnの添加量が
多すぎると熱膨張係数が高くなり、半導体素子との熱膨
張係数との差が大きくなって基盤材として不適当にな
る。以上の観点からMnの含有量は0.1〜1.0%と
した。
【0024】S:Sは、熱間加工性に対して有害な成分
であるが、打抜き性に対して有用なMnS等の硫化物を
生成するのに必要な成分であるため、適量の添加が必要
である。このような観点から、Sの含有量は0.000
5〜0.02%とした。また、Mn量に対するS量の比
Mn/Sは、50〜150の範囲に規定するのが望まし
い。本発明者の検討によれば、Mn/Sが50を下回る
場合には、Mnの含有量が相対的に少ないためMnSの
量が不十分になるとともにSによる熱間加工性の劣化が
生じるようになり、、Mn/Sが150を上回ると、M
nの過剰による熱膨張係数の増大が生じる。なお、Mn
/Sは、80〜140が好ましく、90〜130であれ
ばさらに好適である。
【0025】Ni:Niは、本発明合金の主要な構成元
素であり、含有量が少ない場合には熱膨張係数が大きく
なる。また、Niはマルテンサイト変態を促進する元素
であるから、含有量が多すぎると析出したマルテンサイ
トと半導体素子との不整合を生じ、基盤材として不適当
になるとともに、熱膨張係数が増大する。このような観
点から、Niの含有量は30〜50%とした。なお、C
rもマルテンサイト変態を促進する元素であり、その許
容量は0.5%である。
【0026】
【実施例】以下、具体的な実施例により本発明をより詳
細に説明する。Fe−42%Niを主成分とするFe−
Ni系合金を、大気溶解炉にてCaO−SiO−Al
を主成分としたスラグを使用し、塩基度を0.5
〜2.0の範囲で変更し同様に5kgの鋼塊を溶製し
た。
【0027】上記溶解の原料は電解鉄、電解ニッケルお
よび電解マンガン、フエロシリコン、硫化鉄を使用し
た。これらの鋼塊を5mmの厚さに熱間鍛造した後、均
質化焼鈍として1250℃で2時間の熱処理を行い、そ
の後熱間圧延を1150℃で実施した。この際の冷却条
件は、熱間圧延後に650℃以下まで急冷(10℃/
分)と徐冷(0.1℃/分)の2種類とした。これら熱
延帯の一部のものに750℃で20時間の焼鈍を行い、
冷間圧延を1.5mmの厚さまで実施し光輝焼鈍を行っ
た。次いで、0.25mmまでさらに冷間圧延し、80
0℃にて最終光輝焼純を行った。さらに、調質圧延を
0.20mmまで行ったものを供試材とし、それらの成
分組成を表1に示した。なお、表1において、#1〜#
、#、#は、熱間圧延後に急冷するとともに75
0℃で20時間の焼鈍を行ったものである。
【0028】
【表1】
【0029】得られた供試材に打抜き試験を行って評価
した。打抜き試験は、実験室用3ton精密金型プレス
機にて板厚に対して3%のクリアランスを設定し、5m
m角の穴を圧延方向に対して直角に10mm間隔で5個
開けることにより実施した。評価内容は図3に示す最大
バリ高さ、打抜き面の破断面/剪断面比率、剪断抵抗
(KN・mm)、および、新たに本発明で定義した剪断
抵抗の圧延方向と圧延直角方向の異方性の尺度であるL
/T値(圧延方向の剪断抵抗/圧延直角方向の剪断抵
抗)とし、各測定値を表1に併記した。また、各供試材
の介在物分布についても評価内容と共に表1に併記し
た。
【0030】表1から判るように、請求項1の条件(個
々の非金属介在物の長径を30個測定した平均の大きさ
2.5〜5μmであり、かつ、非金属介在物のなかで
も個々の介在物どうしの間隔が10μm以内で並んでい
るB系の非金属介在物の圧延方向の最大長さを30個測
定し平均した長さが9〜20μmである)を満たす#1
〜##7では、剪断抵抗異方性比L/Tがともに1
に近く異方性が小さいとともに、最大バリ高さの値も小
さく、優れた打抜き性を示している。これに対して、請
求項1の条件を満たさない#5、#6では、L/Tが1
よりもかなり小さく、異方性が大きいことが判る。ま
た、#7とそれ以外の供試材の剪断抵抗を比較して明ら
かなように、カーバイドを分散させたものでは剪断抵抗
が小さくなっている。なお、#については、請求項1
の条件を満たさず、しかも、Mn/Sの値が高くかつM
nSの個数が極めて少ないため、L/Tおよび最大バリ
高さが非常に大きくなっている。
【0031】なお、MnSの分布状態の測定に関して
は、バフ研磨後SPEED法にて電解を行った表面をX
線マイクロアナライザーにより50μm×50μmの範
囲を各試料10視野観察し、マッピングにてMnSの分
布を点としてカウントし、その平均を1mm平方あたり
の数として求めた。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、剪断抵抗
の異方性を低減することができるので、リードフレーム
材の打抜き工程でのバリ発生による材料不具合や、ハン
ドリングによる不具合がなくなるとともに、金型の寿命
を大幅に向上することが期待でき、近年のICパッケー
ジ用リードフレーム材の高精細化、高信頼性化および生
産効率の向上に対して優れた部品を供給することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 B系介在物を示す図である。
【図2】 剪断抵抗を説明するための線図である。
【図3】 バリの発生状況およびその大きさの定義を示
す断面図である。
【符号の説明】
L…B系非金属介在物の圧延延長長さ。
フロントページの続き (72)発明者 轟 秀和 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日本冶金工業株式会社 研究開発本部 技術研究所内 (72)発明者 渡辺 純 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日本冶金工業株式会社 研究開発本部 技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−255953(JP,A) 特開 平9−249943(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Niを30〜50重量%含有したFe−
    Ni系リードフレーム用合金において、個々の非金属介
    在物の長径を30個測定した平均の大きさが2.5〜5
    μmであり、かつ、非金属介在物のなかでも個々の介在
    物どうしの間隔が10μm以内で並んでいるB系の非金
    属介在物の圧延方向の最大長さを30個測定し平均した
    長さが9〜20μmであることを特徴とする打抜き特性
    に優れるFe−Ni系リードフレーム用合金。
  2. 【請求項2】 Niを30〜50重量%含有したFe−
    Ni系リードフレーム用合金において、個々の非金属介
    在物の長径を30個測定した平均の大きさが2.5〜5
    μmであり、かつ、非金属介在物のなかでも個々の介在
    物どうしの間隔が10μm以内で並んでいるB系の非金
    属介在物の圧延方向の最大長さを30個測定し平均した
    長さが9〜20μmであり、さらに、粒径0.02〜2
    μmのMnSを主体とする硫化物を1000〜1000
    0個/mmの割合で分散させたことを特徴とする打抜
    き特性に優れるFe−Ni系リードフレーム用合金。
  3. 【請求項3】 合金組織中に微細なカーバイドを析出さ
    せたことを特徴とする請求項1または2に記載の打抜き
    特性に優れるFe−Ni系リードフレーム用合金
  4. 【請求項4】 重量%で、C:0.005〜0.05
    %、Si:0.005〜0.5%、Mn:0.1〜1.
    0%、Cr:0.5%以下、S:0.0005〜0.0
    2%を含有し、残部が実質的にFeよりなり、かつ、合
    金中のMnの含有量とSの含有量の比Mn/Sが50〜
    150の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の打抜き特性に優れるFe−Ni系リード
    フレーム用合金。
JP18730198A 1998-07-02 1998-07-02 打抜き特性に優れるFe−Ni系リードフレーム用合金 Expired - Lifetime JP3450711B2 (ja)

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