JP3946684B2 - 熱間工具鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間鍛造用金型、ダイカスト金型及び押し出し用金型等に使用される熱間工具鋼に関する。
近時、熱間鍛造用金型、ダイカスト金型及び熱間押し出し用金型等の熱間加工用金型は、大型化し、形状も複雑になっている。また、成形効率を向上させるために、型面からの冷却が過酷になっており、更に、鍛造加工及び鋳造加工の精度を向上させるために、金型のコーナー部がより先鋭化し、その肉厚も薄くなっている。
このように形状が複雑で、肉厚が薄く、コーナー部のRが小さい大型の金型を製造する場合、金型の内部品質を向上させるために、その製造工程において熱処理が施される。その際、油焼入れ等により急冷されることがあるが、熱処理後に金型材料を急冷すると、変形又は割れが発生して、金型作製が不能になることが多いため、通常は、熱処理後の金型材料は徐冷されている。しかしながら、熱処理後に徐冷すると、金型材料である鋼材の組織がマルテンサイトからベイナイトとなり、靱性が低下するため、早期大割れが発生しやすくなり、金型の寿命が短くなる。
熱間鍛造加工、ダイカスト加工及び熱間押し出し加工等の熱間加工においては、金型の型面の変形及び熱膨張の僅かな違いにより、製品の寸法及び形状に不良が発生するため、金型が早期に寿命に達するという事例が増加してきている。従来の熱間加工用金型に使用されている熱間工具鋼の場合、材料の偏析又は炭化物及び非金属介在物等の影響により、方向によって熱膨張差に違いがある。即ち、熱膨張率に異方性がある。例えば、金型を400℃より高い温度に加熱したり、100℃以下まで冷却したりする場合、金型の熱膨張差が大きな引張応力となり、応力が集中しやすいコーナーR部からコーナーエッジ割れが発生する。そこで、コーナーエッジ割れの発生を抑制して金型を長寿命化するため、熱膨張率が小さく、熱膨張率に異方性がない熱間工具鋼が求められている。
従来、Si、P、S及びOの含有量を低減すると共に、As、Sn、Cu、B、Pb、及びBi等の微量不純物元素の含有量を低減することにより、靱性を向上させて、金型の長寿命化を図った熱間工具鋼がある(特許文献1参照。)。また、C、Si、Mn、Ni、Cr及びCuの含有量を規定し、Mo、W、V、Ti、Nb、Zr及びCoの含有量を所定の値以下に規制し、更に、Ca、Mg、Al、B及びREM等の微量成分の含有量を規定することにより、靱性、耐ヒートチェック性及び耐衝撃性を向上させて、金型の長寿命化を図った熱間工具鋼も提案されている(特許文献2参照)。
更に、金型製造時の熱処理(焼入れ)時に発生する問題を解決するため、種々の焼入れ方法が提案されている(例えば、特許文献3乃至5参照。)。例えば、特許文献3及び4に記載の焼入れ方法は、オーステナイト化温度から複合冷却変更温度まで徐冷することにより、ベーナイト組織にならないようにして、熱歪みを少なくすると共に、靱性及び耐ヒートチェック性を向上させている。また、特許文献5に記載の熱間加工用ダイスの製造方法は、先ず、冷却材に投入して急冷し、その後、マルテンサイト変態点に到達する前に冷却材から引き上げて、常温まで徐冷している。これにより、焼入れ時の割れの発生を抑制し、靱性及び強度を向上させ、金型を長寿命化している。
特許2809622号 (第2−4頁) 特公平03−53384号公報 (第2−4頁) 特公平6−104851号公報 (第2−3頁、第1図) 特開平8−225830号公報 (第3−4頁、第1図) 特開平10−202331号公報 (第2−3頁、第1図)
しかしながら、上述の従来の技術には以下に示す問題点がある。形状が複雑で、肉厚が薄く、コーナー部のRが小さい大型の金型においては、高精度な製品を成形するために、金型の変形を抑制する高温強度及びコーナーR部におけるヒートクラックに対する耐割れ性の向上が必要である。特許文献1及び2に記載の熱間工具鋼のように、金型に使用する熱間工具鋼を高合金化すると、焼入れ性が低下するという問題がある。また、特許文献3乃至5に記載の焼入れ方法のように、熱処理方法についての検討もなされているが、これらの方法は鋼材の検討が十分になされていない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、熱膨張率が小さく、熱膨張率に異方性がなく、形状が複雑でコーナー部のRが小さい金型においてもヒートクラックに対する耐割れ性が優れた熱間工具鋼を提供することを目的とする。
本発明に係る熱間工具鋼は、C:0.30乃至0.45質量%、Si:0.05乃至0.25質量%、Mn:0.50乃至0.70質量%、Cr:5.30乃至5.75質量%、Mo:3.00乃至3.50質量%、V:0.65乃至0.95質量%、Ni:0.45乃至0.75質量%、Co:0.45乃至0.75質量%を含有し、Sを0.005質量%以下、Pを0.0010質量%以下、W:0.0050質量%以下に規制し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、JISG0555に規定されている非金属介在物の清浄度がdA60×400で0.005%以下、dB60×400で0.005%以下であると共に、830℃で焼き鈍ししたときに、粒径が1μmを超える炭化物及び非金属介在物の総面積率が0.004%以下であり、粒径が1μm以下の炭化物及び非金属介在物の総面積率が15.0%以上であり、前記炭化物及び非金属介在物のアスペクト比が1.0乃至1.3であることを特徴とする。
本発明においては、熱膨張率を低減する効果がある炭化物及び非金属介在物を積極的に添加すると共に、異方性がある形状の添加物を軽減することにより、熱膨張率の異方性を低減することができる。
また、本発明の熱間工具鋼においては、C及びCrの夫々偏析部における濃度と非偏析部における濃度との比(偏析部の濃度/比偏析部の濃度)が1.4乃至1.9であり、W及びMnの夫々偏析部における濃度と非偏析部における濃度との比が1.2以下であり、偏析部のアスペクト比が1.0乃至1.3であり、偏析部と非偏析部の面積比(偏析部の面積/非偏析部の面積)が1.3以上であることが好ましい。これにより、偏析部の形状が球状になり、更に、熱間工具鋼中に均一分散することができる。その結果、炭化物及び非金属介在物と同様に、熱膨張率を低減すると共に、熱膨張率の異方性がなくなり等方体になる。
更に、本発明の熱間工具鋼においては、例えば、鍛伸方向の熱膨張係率(L方向の熱膨張率)と、前記鍛伸方向に対して垂直な方向における熱膨張係率(W方向の熱膨張率)との比(L方向の熱膨張率/W方向の熱膨張率)が、1.000乃至1.015である。これにより、熱膨張率が異方性から等方性になるため、金型のコーナーエッジ部の早期割れが改善される。
本発明によれば、C、Si、Mn、Cr、Mo、V、Ni及びCoの含有量を上述の範囲内にし、S及びPの含有量を規制し、更に、非金属介在物の清浄度、焼き鈍ししたときの粒径が1μmを超える炭化物及び非金属介在物の総面積率及び粒径が1μm以下の炭化物及び非金属介在物の総面積率、並びに炭化物及び非金属介在物のアスペクト比を上述の範囲内にすることにより、熱膨張率が小さく、熱膨張率の異方性がない等方熱膨張性の熱間工具鋼を得ることができる。本発明の熱間工具鋼を使用して製造された金型は、過酷な熱的応力及び機械的応力の作用に対して、コーナーエッジ部における耐衝撃割れ性が優れており、複雑な製品を精度よく成形することができる。
以下、本発明に係る熱間工具鋼について詳細に説明する。本発明の熱間工具鋼は、C:0.30乃至0.45質量%、Si:0.05乃至0.25質量%、Mn:0.50乃至0.70質量%、Cr:5.30乃至5.75質量%、Mo:3.00乃至3.50質量%、V:0.65乃至0.95質量%、Ni:0.45乃至0.75質量%、Co:0.45乃至0.75質量%を含有し、Sを0.005質量%以下、Pを0.0010質量%以下、W:0.0050質量%以下に規制し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、JISG0555に規定されている非金属介在物の清浄度がdA60×400で0.005%以下、dB60×400で0.005%以下であると共に、焼き鈍ししたときに、粒径が1μmを超える炭化物及び非金属介在物の総面積率が0.004%以下であり、粒径が1μm以下の炭化物及び非金属介在物の総面積率が15.0%以上であり、前記炭化物及び非金属介在物のアスペクト比が1.0乃至1.3である。
熱間工具鋼の高温強度を上げるためには、例えば、汎用鋼であるJIS規格SKD61鋼とJIS規格SKD8鋼との関係のように、Cr添加量を少なくして、W及びNi等を添加すればよい。しかしながら、Cr添加量を少なくすると、焼入れ性が劣化し、大きな金型においては、組織がマルテンサイトからベイナイトになって靱性が低下する。また、本発明者等の検討により、Cr添加量を少なくした熱間工具鋼を、熱間鍛造用金型、ダイカスト金型及び押し出し用金型等の各種熱間加工用金型に使用した場合、加熱及び冷却を繰り返すと、熱及び応力により著しく硬度軟化が促進されて、その硬度が低下することが判明した。更に、本発明者等は、この応力軟化現象を抑制するためには、Mo系炭化物の生成量を増やし、V系炭化物をできるだけ少なくすることが有効であることを見出した。即ち、熱間工具鋼の高温強度向上には、Cr含有量、Mo含有量及びV含有量を最適化することが有効である。そこで、本発明の熱間工具鋼においては、C含有量を0.30乃至0.45質量%、Mo含有量を3.00乃至3.50質量%、V含有量を0.65乃至0.95質量%とする。
また、熱膨張率が小さい材料としては、Fe−Ni系合金であるインバー及びアンバー等が挙げられるが、これらの材料は、一般に、Ni含有量が20%を超えるものが多いため、コストが増加すると共に、高温強度が得られないという問題があり、実用的ではない。例えば、JIS規格SKD61鋼の熱膨張率を小さくするためには、熱膨張率が小さい基地と、熱膨張率が小さく靱性等の機械的性質に影響を与えない第2相とを組み合わせることが有効である。表1に炭化物、酸化物及び窒化物の熱膨張率を示す。なお、表1には比較のため、Feの熱膨張率も併せて示す。本発明者等は、表1に示すような熱膨張率が小さい材料で第2相を形成すると、その体積率が多い程熱膨張率を低下させる効果が大きいことを見出した。
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但し、熱膨張率には、第2相を構成する粒子の鍛伸方向における長さと鍛伸方向に垂直な方向における長さとの比、即ち、第2相中の粒子のアスペクト比も影響する。このため、本発明の熱間工具鋼においては、熱膨張率の異方性をなくして等方性にするため、第2相を形成する炭化物及び非金属介在物のアスペクト比を1.0乃至1.3にする。
また、本発明者等は、熱膨張率の異方性には、第2相中の粒子の形状以外に偏析状態も影響することを見出した。JISG0555に規定されている清浄度で、MnS及びケイ酸塩等のA系介在物は粘性変形介在物である。また、Al等のB系介在物は加工方向に集団をなして、不連続的に粒状介在物として並んだものである。このような、A系介在物及びB系介在物の含有量を少なくする程、熱膨張率の異方性をなくす効果があり、これらを含有しないことがより好ましい。下記表2乃至6に、偏析部におけるCr、Si、W、C及びMnの濃度と熱膨張率との関係を示す。下記表2乃至6に示すように、偏析部におけるW及びMnの含有量が増すと熱膨張率が高くなり、C及びCrの含有量が増すと熱膨張率は低下する。そこで、本発明の熱間工具鋼においては、熱膨張率の小さい第2相粒子の面積率を増加させると共に、熱膨張率を高くするW及びMnの含有量を抑制して、Cr及びC等の熱膨張率を低下させる成分のみを、球状に近い形状で偏析させて、均一分散させる。これにより、熱膨張率が小さくなると共に、熱膨張率に異方性がなくなる。
Figure 0003946684
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更に、金型のコーナーエッジ部における早期割れを改善するためには、高温強度の向上並びに炭化物及び非金属介在物の微細化が有効である。本発明者等は、耐溶損性及び耐ヒートチェック性については、初期ヒートトラック発生に影響を与えない炭化物及び非金属介在物の粒径範囲があることを見出しており、特願2002−28298において、耐溶損性及び耐ヒートチェック性に影響与える粒径が1.0μmを超える炭化物及び非金属介在物の量を少なくして、非削性を改善する効果が大きい粒径が1.0μm以下の炭化物及び非金属介在物の量を多くした熱間工具鋼を提案している。また、特願2002−28298に記載しているように、本発明者等は、粒径が1.0μm以下の炭化物及び非金属介在物の面積率を10.5%以上にし、粒径が1.0μを越える炭化物及び非金属介在物の面積率を0.004%以下にすることにより、被削性が向上することも見出している。そして、更に鋭意実験研究を行った結果、本発明者等は、炭化物及び非金属介在物等の形状によっては、炭化物及び非金属介在物の長手方向と幅方向と熱膨張率に差が生じて、コーナーR部より発生するコーナーエッジ割れが助長することを見出した。熱膨張率が大きく、熱膨張率に異方性があると、金型のコーナーエッジ部に引張応力が集中しやすく、早期に大割れする原因となる。そこで、金型のコーナーエッジ部における早期割れを改善するためには、熱膨張率を低くして、熱膨張率の異方性を低減することが好ましい。
更にまた、本発明者等は、Cr添加量を多くして、Ni及びMoを添加することで焼入れ性が著しく改善することを見出した。しかしながら、これらの元素を多量に添加すると、熱間工具鋼内に偏析が発生しやすくなって粗大な炭化物の析出量が増加するため、靱性が著しく低下すると共に、金型のコーナーエッジ部の早期割れが発生しやすくなる。このような靱性の低下及びコーナーエッジ部の早期割れを助長する偏析部の発生及び粗大な炭化物の析出を制御するためには、ESR(Electroslag Remelting:エレクトロスラグリメルティング)法又はVAR(Vacuum Arc Remelting:真空アーク再溶解)法等の特殊溶解法を適用して、凝固速度を速くすることが有効である。
但し、凝固速度を速くすると、操業中の凝固範囲、即ち、溶解している液相の体積が少なくなり、更に凝固速度を速めると、マクロ偏析している電極母材部分のみが溶解して凝固するようになり、電極母材の偏析がそのまま鋼材に転写されてしまう。このような鋼材に通常の鍛造法を適用した場合、偏析方向とその垂直方向とでは熱膨張率及び靱性に差が生じるため、ヒートチェック性が悪化する。そこで、本発明の熱間工具鋼においては、ESR等の特殊溶解法により均一に偏析を発生させた鋼材を、据え込み鍛造を繰り返し行う等して、その偏析部の形状を球状に近付ける。これにより、従来、機械的性質を劣化させると考えられていた偏析部を積極的に利用することができ、熱膨張率等の特性を著しく改善することができる。
上述のように、本発明の熱間工具鋼は、鍛伸方向に延びやすい硫化物系介在物の量及び大きさを極限まで減じると共に、酸化物系介在物も極小量に減らし、熱膨張の異方性を改善し、Mn及びWが偏析することを極力抑え、C及びCrを含む偏析部の形状を溶解方法及び鍛造方法を制限することにより、均一で、且つ球状に近い形状にすることにより、熱膨張率の異方性をなくしたものである。
なお、電気炉精錬、炉外精錬及びESR等の特殊溶解等を行った後、通常の鍛造加工方法により鋼塊の断面積の(1/4)まで小さく伸ばす(4S)だけでは、偏析部が長く引き延ばされるだけで、偏析部を球状に近い形状にすることはできない。そこで、本発明の熱間工具鋼を溶解及び造塊する際には、長さ方向に据え込み鍛造を行い、径方向に鍛造する際には偏析をせん断するように加工することが好ましい。これらの工程を繰り返すことにより、偏析形状を制御することができる。また、偏析部を均一分散するためには、消耗電極式再溶解等に使用する電極母材にも上記鍛造法を適用することが有効である。
以下、本発明の熱間工具鋼の組成限定理由について説明する。
C:0.30乃至0.45質量%
Cは熱膨張率を小さくする効果がある炭化物を含む偏析部を形成する主要成分である。また、Cは、焼入れ(熱処理)時に基地に固溶して必要な焼入れ硬さを付与し、また焼き戻し時においては特殊炭化物を形成して析出して軟化抵抗及び高温強度を付与すると共に、残留炭化物を形成して高温における耐摩耗性を付与する。更に、焼入れ加熱時の結晶粒の粗大化を防ぐ作用も有する。但し、C含有量が0.30質量%未満の場合、上述の添加効果は得られない。一方、C含有量が0.45質量%を超えると、炭化物の量が必要以上に増加して、熱間工具鋼として必要な靱性が保持できず、また高温強度の低下も招く。よって、C含有量は0.30乃至0.45質量%とする。
Si:0.05乃至0.25質量%
Siは一般に、脱酸元素として使用されており、その含有量が0.05質量%未満ではその効果が得られない。また、Siは、耐酸化性又は500乃至600℃における焼き戻し軟化抵抗を高め、またA変態点を上げる効果があり、その添加量は、目的及び用途により調整することができる。一方、Siは、偏析を助長する元素であるが、熱膨張率を抑制する効果はなく、Si含有量が0.25質量%を超えると、靱性の低下を招くと共に、熱伝導性が過度に低下する。よって、Si含有量は0.05乃至0.25質量%とする。
Mn:0.50乃至0.70質量%
Mnは、基地に固溶して焼入れ性を高める効果が大きいが、その含有量が0.50質量%未満ではその効果が得られない。一方、Mn含有量が少ない程、熱膨張率は小さくなる。特に、Mn含有量が0.70質量%を超えると、偏析し、熱膨張率を高くすると共に、焼き鈍し硬さが過度に高くなり、被切削性が低下する。また、Mn含有量が0.70質量%を超えると、A変態点が過度に低下する。よって、Mn含有量は0.5乃至0.7質量%とする。
Cr:5.30乃至5.75質量%
Crは熱膨張率を抑制するために必要不可欠な偏析を構成すると共に、応力軟化を抑制する効果がある。また、工具として必要とされる焼入れ性を付与する最も重要な元素である。更に、耐酸化性、耐摩耗性及び高温強度の向上、A変態点の上昇、残留炭化物を形成することによる焼入れ加熱時の結晶粒粗大化の抑制、焼き戻し時に特殊炭化物を析出することによる昇温時における軟化抵抗の改善等の効果もある。但し、Cr含有量が5.30質量%未満では、耐錆び性が劣化して、冷却水等により金型が錆びやすくなる。一方、Cr含有量が5.75質量%を超えると、Cr炭化物を過度に形成するため、高温強度が低下する。よって、Cr含有量は5.30乃至5.75質量%とする。
Mo:3.00乃至3.50質量%
Moは応力軟化を抑制する効果がある。また、特殊炭化物を形成する元素であり、残留炭化物を形成して、加熱時の組織粗大化を防止する効果もある。更に、焼き戻し時に微細な特殊炭化物を析出するため、焼き戻し軟化抵抗及び高温強度を向上させる最も重要な添加元素である。更にまた、A変態点を高める効果もある。但し、Mo含有量が3.00質量%未満では、前述の効果が得られず、Mo含有量が3.50質量%を超えると、粗大な炭化物を形成するため、靱性の過度の低下を招く。よって、Mo含有量は3.00乃至3.50質量%とする。
V:0.65乃至0.95質量%
Vは強力な炭化物形成元素であり、残留炭化物を形成して結晶を粒微細化する効果が大きく、高温における耐摩耗性を向上させる効果もある。また、Vは、偏析を助長する元素ではあるが、熱膨張率を低くする効果はない。V含有量が0.65質量%未満では、耐高温軟化性が低下し、ダイカスト等の高温金属に接触した際に、金型が軟化してしまう。一方、V含有量が0.95質量%を超えると、VC等の炭化物が多量に生成するため靱性が低下する。よって、V含有量は0.65乃至0.95質量%とする。
Ni:0.45乃至0.75質量%
Niは基地に固溶して靱性を高める効果がある。また、焼入れ性を高めるために目的及び用途により添加される。Niも前述のVと同様に、偏析を助長する元素ではあるが、熱膨張率を低くする効果はない。Ni含有量が0.45質量%未満では、耐錆び性が低下して、金型内の冷却孔が冷却水等により錆びやすくなるとなり、Ni含有量が0.75質量%を超えると、焼き鈍し硬さを過度に高くし、被切削性が低下すると共に、A変態点が過度に低下する。よって、Ni含有量は0.45乃至0.75質量%とする。
Co:0.45乃至0.75質量%
Coは基地に固溶して高温強度を高める作用がある。また、Coを添加することにより、焼入れ加熱時におけるオーステナイト中への炭化物の固溶限の向上、焼き戻し時における特殊炭化物の析出量の増加、昇温時における析出炭化物の凝集抵抗の向上等の効果が得られ、高温強度特性を改善することができる。更に、昇温時に、表面に緻密な酸化皮膜を形成するため、高温でも耐摩耗性及び耐焼付き性が向上する。なお、Coは、偏析を助長する元素であるが、熱膨張率を低下させる効果はない。Co含有量が0.45質量%未満では、前述のNiと同様に、耐錆び性が低下して金型内の冷却孔が錆びやすくなるとなる。一方、Co含有量が0.75質量%を超えると、靱性が低下する。よって、Co含有量は0.45乃至0.75質量%とする。
S:0.005質量%以下、P:0.010質量%以下
S及びPは、偏析を助長する元素であるが、偏析部が熱膨張率を低下させる効果はない。また、SはMnと化合して熱膨張率に異方性を生じさせるMnSを生成するため、S含有量は0.005質量%以下に規制する。なお、Sは含有していないことがより好ましい。更に、Pは靱性を低下させるため、P含有量は0.010%以下に規制する。
W:0.0050質量%以下
Wは熱膨張率を大きくすると共に偏析の発生を助長する。しかしながら、Wは原料に微量に含まれているため、不純物として添加されてしまう。そこで、本発明の熱間工具鋼においては、W含有量を0.0050質量%以下に規制する。なお、Wは含有していないことがより好ましい。
炭化物及び非金属介在物
一般に、炭化物及び非金属介在物の含有量が増すと、機械的特性が劣化する。しかしながら、その大きさ及び形状を制御することにより、熱膨張率を低下させる効果が得られる。例えば、Al、SiO及びMnO等の非金属介在物、並びにMoC、VC及びNbC等の炭化物のように、熱膨張係数が低い化合物を積極的に添加することにより、熱膨張率を低下させることができる。但し、焼入れした場合は、炭化物を形成している元素が固溶した状態で固化するため、炭化物量は変化する。一方、焼き鈍しした場合には、一旦固溶した元素が再度炭化物を形成するため、1μm以上の炭化物量は変化せず、1μm以下の炭化物量が半分程度に減少する。そこで、本発明においては、焼き鈍ししたときに、粒径が1μmを超える炭化物及び非金属介在物の総面積率を0.004%以下とし、粒径が1μm以下の炭化物及び非金属介在物の総面積率を15.0%以上とする。焼き鈍し材において、粒径が1μmを超える粗大な炭化物及び非金属介在物の総面積率が0.004%を超えると、靱性が著しく低下する。一方、粒径が1μm以下の炭化物及び非金属介在物であれば、靱性は低下しない。但し、粒径が1μm以下の炭化物及び非金属介在物の総面積率が15.0%未満であると、熱膨張率を低下させる効果が得られない。なお、焼き入れ材においては、粒径が1μm以下の炭化物及び非金属介在物の総面積率が10.0%以上であることが好ましい。
また、鍛造加工により変形して、熱膨張率に異方性を生じさせるMnS等の介在物の含有量を低減することにより、熱膨張率に異方性がない熱間工具鋼を提供することができる。そこで、本発明においては、炭化物及び非金属介在物のアスペクト比を1.0乃至1.3の範囲にする。炭化物及び非金属介在物のアスペクト比が1.0の場合は、これらの形状が球状であるため、最も理想的な形状である。なお、アスペクト比が1.3を超えると熱膨張率に異方性が生じる。更に、本発明においては、JISG0555に規定されているA系介在物の清浄度dA60×400を0.005%以下、B系介在物の清浄度dB60×400を0.005%以下にする。これにより、熱膨張率が等方性である熱間工具鋼を得ることができる。
また、Nは基地又は炭化物中に固溶して結晶粒を微細化し、靱性を高める効果がある。更に、オーステナイトフォーマーとして作用するため、C含有量が少ない場合においても、焼入れ加熱時にフェライトが残存することを防ぎ、靱性に優れた合金を得ることができる。Nは上述のような効果が必要な場合に、目的及び用途に応じて適宜添加することができるが、Cr等の熱間工具鋼の合金組成の範囲内で添加可能な限界量が存在するため、N含有量は0.20質量%以下にすることが好ましい。
更に、Ni及びTiは強力な炭化物形成元素であり、結晶粒を微細化し、焼き戻し時において凝集抵抗が特に大きい微細炭化物を析出するため、650℃以上の高温域における軟化抵抗及び高温強度を高める効果がある。但し、これらの総含有量が0.5質量%を超えると、固溶しにくい粗大な炭化物を形成して靱性が低下する。そこで、Ni及びTiの総含有量は0.5質量%以下にすることが好ましい。
更にまた、Cu、B、Al及びBeは、金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物は、熱間工具鋼内で析出するため、昇温時における軟化抵抗及び高温強度を改善する効果がある。但し、これらの含有量が、総量で3.00質量%を超えると靱性が低下する。よって、Cu、B、Al及びBeの総含有量は、3.00質量%以下にすることが好ましい。
一般に、鋼材内に偏析が生じていると靱性が低下するため、偏析部は少ない方が好ましいが、本発明の熱間工具鋼においては、熱膨張率等を低下させるため、あえて偏析部を残している。そして、本発明においては、W及びMnのように、熱間工具鋼の特性を劣化させる偏析成分については、偏析部における濃度と非偏析部における濃度との比(=偏析部の濃度/非偏析部の濃度)を1.2以下とし、C及びCrのように、熱膨張率低減に効果がある成分については、偏析部における濃度と非偏析部における濃度との比(=偏析部の濃度/非偏析部の濃度)を1.4乃至1.9とすることが好ましい。偏析部におけるW及びMnの濃度と非偏析部におけるW及びMnの濃度との比が、1.2を超えると、上記表6に示すように、偏析部に含まれるMnにより熱膨張率が大きくなり、熱膨張率に異方性が生じる。一方、上記表2に示すように、Crの偏析は、熱膨張率を低下させる効果がある。但し、偏析部におけるC及びCrの濃度と非偏析部におけるC及びCrの濃度との比が、1.4未満では熱膨張率が低下せず、1.9を超えると多量のCr系炭化物が偏析部に生成するため、熱膨張率の差が大きくなると共に靱性が低下する。
このように、偏析部も前述の炭化物及び非金属介在物と同様に熱膨張率の異方性に関係する。そこで、熱膨張率が小さい偏析部を有効に利用するためには、偏析部と非偏析部との面積比(=偏析部の面積/比偏析部の面積)を1.3以上とすることが好ましい。また、偏析部のアスペクト比を1.0乃至1.3とすることにより、偏析部の熱膨張率を等方性にして、熱膨張率の異方性をなくすことができる。
また、本発明の熱間工具鋼においては、鍛伸方向の熱膨張率(L方向熱膨張率)と鍛伸方向に垂直な方向の熱膨張率(T方向熱膨張率)の比(=T方向熱膨張率/L方向熱膨張率)が1.000乃至1.015であることが好ましい。これにより、等方熱膨張性にすることができるため、金型のコーナーエッジ部の早期割れを抑制することができる。
以下、本発明の実施例の効果について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。本発明の実施例及び比較例として、下記表7に示す組成の熱間工具鋼を、40t電気炉−炉外精錬にて3乃至18tの鋼塊とし、その鋼塊を消耗電極として再溶解した。その後、1230℃で加熱して、2500t鋳造プレス機により、鋼塊の高さが(1/2)又は(1/3)になるまで鋼塊の長さ方向へ据え込み鍛造した。その際の条件は、送り量と厚さとの比(=送り量/厚さ)を0.1乃至0.2、圧下率を1乃至3%とした。この据え込み鍛造を繰り返し行うことにより、偏析部をせん断して、偏析部の形状を種々に変化させた。その後、830℃で焼き鈍し焼鈍して、300乃至500mm角の試料を作製した。各試料の鍛造条件、炭化物及び非金属介在物の面積率、非金属介在物の清浄度、非金属介在物のアスペクト比を下記表8に、偏析部と非偏析部との濃度比、偏析部のアスペクト比及び熱膨張率を下記表9に示す。
Figure 0003946684
Figure 0003946684
Figure 0003946684
なお、各試料の組織観察は、その横断面における中心部の長手方向で実施した。具体的には、粒径が1μm以下の炭化物及び非金属介在物の面積率の測定は、先ず、焼き鈍し材を研磨した後、ピクリン酸+3%硝酸溶液に浸漬して、金属組織を現出させた。そして、これらの金属組織をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)により、4000倍で写真撮影した。このSEM写真を、画像解析して炭化物及び非金属介在物の面積率及び平均粒径を求めた。一方、粒径が1μmを超える炭化物及び非金属介在物の面積率の測定は、焼き鈍し材を研磨した後、シュウ酸で腐食させて金属組織を現出させ、この金属組織をSEMにより1000倍で写真撮影し、1mmの視野内の画像解析を実施することにより測定した。
また、非金属介在物の清浄度は、JIS G0555に規定されている方法により求めた。なお、本実施例及び比較例の熱間工具鋼においては、全ての試料において、A系介在物の清浄度dAが0.005%以下で、B系介在物の清浄度dBが0.005%以下であった。
更に、清浄度を測定した試験片中の炭化物及び非金属介在物の最大長さを、この最大長さに対して垂直な幅で割った値のうち、最大値から10点の平均値をとり、これを炭化物及び非金属介在物のアスペクト比とした。なお、本実施例の熱間工具鋼における炭化物及び非金属介在物のアスペクト比は、1.0乃至1.3の範囲内であった。
偏析部及び非偏析部におけるW及びMn並びにC及びCrの濃度の測定は、X線マイクロアナライザにて、ビーム径を3μmに調整し、各元素について、30mmの長さを測定した。このとき、測定領域中に偏析部が10乃至30個存在するようにするため、その測定領域内における最高濃度部から10点測定値を抽出し、これを平均化して偏析部の濃度とした。また、最低濃度部から10点測定値を抽出し、これを平均化して非偏析部の濃度とした。そして、最高濃度部の濃度(CPS:Count Per Second)を最低濃度部の濃度(CPS)で除して、偏析部と非偏析部との濃度比を求めた。
偏析部と非偏析部との面積比は、縦30mm、横30mm、高さ50mmの鋼材を、1030℃で30分間保持した後油冷し、長手方向におけるミクロ組織をナイタール腐食液(アルコール+3%硝酸溶液)で腐食させ、光学顕微鏡により倍率を50倍で撮影した写真の色の濃い部分の面積を白い部分の面積で割った値とした。
偏析部のアスペクト比の測定は、先ず、試料の中央部から30mm角の試験片を採取し、この試験片をナイタール腐食液(アルコール+3%硝酸)で腐食させ、偏析部を現出させた。そして、試験片中のミクロ組織(1mm×1mmの視野面積)中における、各偏析部の最大長さを各偏析部の中心部の幅で割った値のうち、最大値から10点の平均値をとり、これを偏析部のアスペクト比とした。
熱膨張率の測定は、試料を980℃乃至1080℃で30分加熱した後に焼入れをし、500乃至670℃に2時間加熱して焼き戻しし、この焼き戻し工程を2回繰り返すことにより、硬さを45±1HRCに調整した後、電気炉で30℃(加熱開始温度:T)から600℃(加熱終了温度:T)まで加熱した。そして、加熱前の試料寸法をL、加熱後の試験片寸法をLとして、下記数式1から熱膨張率αを算出した。
Figure 0003946684
次に、本実施例及び比較例の熱間工具鋼のコーナー割れ寿命を評価するため、ヒートチェック試験を実施した。先ず、直径が45mm、長さが60mmの試料を、前述の熱膨張率の測定と同様に、980℃乃至1080℃に30分加熱した後に焼入れをし、500乃至670℃に2時間加熱して焼き戻しし、この焼き戻し工程を2回繰り返して、硬さを45±1HRCに調整し、更にその長さ方向に、コーナー部の形状が1Rで長さが0.25mmの溝を形成した試験片を作製した。この試験片を、高周波誘導加熱法にて加熱し、表面温度が500℃に達したときに水をかけて100℃まで冷却した。この加熱及び冷却工程を繰り返し、50回毎に割れ(幅40μm程度)を確認し、目視で割れが見えたときの試験回数をその試料の寿命とした。
なお、各試料片に溝を形成したのは、実際の金型のコーナー部を再現するためである。図1は横軸に溝部のRの度合いをとり、縦軸にコーナ割れ寿命をとって、試験片の溝形状と耐コーナー割れ性との関係を示すグラフ図である。SKD61−1(従来品)、比較例2−2及び実施例2−1にRが異なる溝を形成した試験片を、前述の方法でヒートチェック試験を行ったところ、図1に示すように、溝部のRが小さくなるほど寿命が短くなった。また、比較例2−2に1Rの溝が形成された試験片は、SKD61−1に1Rの溝が形成された試験片と同等の寿命であったが、溝が形成されていない((1/R)=0)比較例2−2の試験片では、溝が形成されていないSKD61−1の試験片に比べてコーナー割れ寿命が向上していた。一方、実施例2−1の試験片は、溝形状にかかわらずSKD61−1よりもコーナー割れ寿命が優れていた。このように、溝を形成していない試験片でヒートチェック性試験を行うと、組成を多少変更しただけでもコーナー割れ寿命が向上し、実際に金型として使用した場合の結果とは異なることがある。そこで、本実施例においては、試験条件をより厳しくするため、1Rの溝を形成した試験片を使用してヒートチェック性試験を行った。その結果を上記表9に示す。
上記表7乃至9に示すように、C、Si、Mn、P、S、Cr、Mo、V、Ni又はCoの含有量、金属炭化物及び非金属介在物の面積率、非金属介在物の清浄度及び/又は非金属介在物のアスペクト比が本発明の範囲から外れる比較例1−1乃至比較例2−2の試験片は、熱膨張率が高く、コーナー割れ寿命も800回以下であり、従来品であるSKD61−1、SKD61−2と同等以下であった。一方、本発明の範囲内である実施例1−1乃至実施例3−2の試料は、熱膨張率が従来品であるSKD61−1、SKD61−2より低く、コーナー割れ寿命も2000回以上と、優れた特性を示した。更に、L方向熱膨張率とW方向の熱膨張率との比が0.985乃至1.015であり、従来品に比べて熱膨張率の異方性が大幅に改善されていた。特に、L方向熱膨張率とW方向の熱膨張率との比が1.000乃至1.015の範囲内である実施例2−1及び実施例2−2の試験片は、コーナー割れ寿命が優れていた。
横軸に溝部のRの度合いをとり、縦軸にコーナー割れ寿命をとって、溝形状と耐コーナー割れ性との関係を示すグラフ図である。

Claims (3)

  1. C:0.30乃至0.45質量%、Si:0.05乃至0.25質量%、Mn:0.50乃至0.70質量%、Cr:5.30乃至5.75質量%、Mo:3.00乃至3.50質量%、V:0.65乃至0.95質量%、Ni:0.45乃至0.75質量%、Co:0.45乃至0.75質量%を含有し、Sを0.005質量%以下、Pを0.0010質量%以下、W:0.0050質量%以下に規制し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、JISG0555に規定されている非金属介在物の清浄度がdA60×400で0.005%以下、dB60×400で0.005%以下であると共に、830℃で焼き鈍ししたときに、粒径が1μmを超える炭化物及び非金属介在物の総面積率が0.004%以下であり、粒径が1μm以下の炭化物及び非金属介在物の総面積率が15.0%以上であり、前記炭化物及び非金属介在物のアスペクト比が1.0乃至1.3であることを特徴とする熱間工具鋼。
  2. C及びCrの夫々偏析部における濃度と非偏析部における濃度との比(偏析部の濃度/比偏析部の濃度)が1.4乃至1.9であり、W及びMnの夫々偏析部における濃度と非偏析部における濃度との比が1.2以下であり、偏析部のアスペクト比が1.0乃至1.3であり、偏析部と非偏析部の面積比(偏析部の面積/非偏析部の面積)が1.3以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱間工具鋼。
  3. 鍛伸方向の熱膨張係率(L方向の熱膨張率)と、前記鍛伸方向に対して垂直な方向における熱膨張係率(W方向の熱膨張率)との比(L方向の熱膨張率/W方向の熱膨張率)が、1.000乃至1.015であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱間工具鋼。
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