JPH06184702A - シャドウマスク用低熱膨張合金及び合金帯 - Google Patents
シャドウマスク用低熱膨張合金及び合金帯Info
- Publication number
- JPH06184702A JPH06184702A JP35638392A JP35638392A JPH06184702A JP H06184702 A JPH06184702 A JP H06184702A JP 35638392 A JP35638392 A JP 35638392A JP 35638392 A JP35638392 A JP 35638392A JP H06184702 A JPH06184702 A JP H06184702A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 従来のFe−36%Ni系合金に比較してエ
ッチング性に優れ、受像管のシャドウマスク用材料とし
て好適な低熱膨張合金を得る。 【構成】 このシャドウマスク用低熱膨張合金は、N
i:34.0〜38.0重量%,C:0.010重量%
以下,Si:0.30重量%以下,Mn:0.10〜
1.0重量%,P:0.005〜0.02重量%,S:
0.005重量%以下,Cr:1.0〜5.0重量%,
O:0.010重量%以下,N:0.005重量%以下
及びB:0.001重量%以下を含有し、更に必要に応
じてCo:3.0重量%以下を含有し、残部Feからな
る。また、シャドウマスク用原板は、均一なエッチング
孔径を得る上で、1%以内に板厚変動が1%以内に抑え
られていることが好ましい。 【効果】 S,C,O,N等の不純物を規制すると共に
P含有量を0.005〜0.02重量%に特定すること
によって、エッチング性の向上が図られる。
ッチング性に優れ、受像管のシャドウマスク用材料とし
て好適な低熱膨張合金を得る。 【構成】 このシャドウマスク用低熱膨張合金は、N
i:34.0〜38.0重量%,C:0.010重量%
以下,Si:0.30重量%以下,Mn:0.10〜
1.0重量%,P:0.005〜0.02重量%,S:
0.005重量%以下,Cr:1.0〜5.0重量%,
O:0.010重量%以下,N:0.005重量%以下
及びB:0.001重量%以下を含有し、更に必要に応
じてCo:3.0重量%以下を含有し、残部Feからな
る。また、シャドウマスク用原板は、均一なエッチング
孔径を得る上で、1%以内に板厚変動が1%以内に抑え
られていることが好ましい。 【効果】 S,C,O,N等の不純物を規制すると共に
P含有量を0.005〜0.02重量%に特定すること
によって、エッチング性の向上が図られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、受像管用シャドウマス
クとして使用され、エッチング性に優れた低熱膨張合金
材料に関する。
クとして使用され、エッチング性に優れた低熱膨張合金
材料に関する。
【0002】
【従来の技術と問題点】カラーテレビ用ブラウン管,パ
ーソナルコンピュータ一用ディスプレイ等の受像管に
は、多数の電子ビーム通過孔が穿設されたシャドウマス
クが組み込まれている。電子銃から出射された電子ビー
ムは、特定の電子ビーム通過孔を透過し、各色調に応じ
てそれぞれの蛍光部にビームスポットを投影する。シャ
ドウマスク用材料としては、正確な電子ビーム通過孔が
形成されるようにエッチング性に優れていることが要求
され、低炭素Alキルド鋼が従来から使用されている。
しかし、シャドウマスクは、電子ビームの衝突により加
熱され、熱膨張を生じる。熱膨張は、電子ビーム通過孔
を変位させ、電子ビームが所定の蛍光面に当たらなくな
る、いわゆるドーミング現象の原因となる。ドーミング
現象は、テレビ,ディスプレイ等の高精度化、高輝度化
に伴い、大きな問題となっている。ドーミング現象は、
低熱膨張特性をもった材料の使用によってドーミング現
象を抑制できることから、Fe−36%Ni系アンバー
合金がシャドウマスク用材料として使用され始めている
(特開昭61−78033号公報,特公平4−5610
7号公報等参照)。
ーソナルコンピュータ一用ディスプレイ等の受像管に
は、多数の電子ビーム通過孔が穿設されたシャドウマス
クが組み込まれている。電子銃から出射された電子ビー
ムは、特定の電子ビーム通過孔を透過し、各色調に応じ
てそれぞれの蛍光部にビームスポットを投影する。シャ
ドウマスク用材料としては、正確な電子ビーム通過孔が
形成されるようにエッチング性に優れていることが要求
され、低炭素Alキルド鋼が従来から使用されている。
しかし、シャドウマスクは、電子ビームの衝突により加
熱され、熱膨張を生じる。熱膨張は、電子ビーム通過孔
を変位させ、電子ビームが所定の蛍光面に当たらなくな
る、いわゆるドーミング現象の原因となる。ドーミング
現象は、テレビ,ディスプレイ等の高精度化、高輝度化
に伴い、大きな問題となっている。ドーミング現象は、
低熱膨張特性をもった材料の使用によってドーミング現
象を抑制できることから、Fe−36%Ni系アンバー
合金がシャドウマスク用材料として使用され始めている
(特開昭61−78033号公報,特公平4−5610
7号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、Fe−36%
Niアンバ一合金は、Niを多量に含んでいることから
低炭素Alキルド鋼に比べて素材価格が高いことは勿
論、低炭素Alキルド鋼よりも強度が高く、プレス成型
性に劣る。また、ヤング率が低くシャドウマスクとして
の剛性に劣ること、エッチング速度が遅く、エッチング
穿孔性にも劣ること等の欠点がある。この点、特公平4
−56107号公報では、B添加によって(100)面
占有率を大きくしてエッチング性を改善すると共に、C
rを添加して耐力を低下させることによって加工性を確
保している。これにより、プレス加工性及びエッチング
性に改善はみられるものの、エッチングした材料をシャ
ドウマスクとして使用する場合に品質安定性に欠けるこ
とがあった。本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、不純物、特にPの含有量を規制す
ることにより、品質安定性及びエッチング性に優れたシ
ャドウマスク用材料を提供することを目的とする。
Niアンバ一合金は、Niを多量に含んでいることから
低炭素Alキルド鋼に比べて素材価格が高いことは勿
論、低炭素Alキルド鋼よりも強度が高く、プレス成型
性に劣る。また、ヤング率が低くシャドウマスクとして
の剛性に劣ること、エッチング速度が遅く、エッチング
穿孔性にも劣ること等の欠点がある。この点、特公平4
−56107号公報では、B添加によって(100)面
占有率を大きくしてエッチング性を改善すると共に、C
rを添加して耐力を低下させることによって加工性を確
保している。これにより、プレス加工性及びエッチング
性に改善はみられるものの、エッチングした材料をシャ
ドウマスクとして使用する場合に品質安定性に欠けるこ
とがあった。本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、不純物、特にPの含有量を規制す
ることにより、品質安定性及びエッチング性に優れたシ
ャドウマスク用材料を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のシャドウマスク
用低熱膨張合金は、その目的を解決するため、Ni:3
4.0〜38.0重量%,C:0.010重量%以下,
Si:0.30重量%以下,Mn:0.10〜1.0重
量%,P:0.005〜0.02重量%,S:0.00
5重量%以下,Cr:1.0〜5.0重量%,O:0.
010重量%以下,N:0.005重量%以下及びB:
0.001重量%以下を含有し、残部Feからなる。こ
のシャドウマスク用低熱膨張合金は、必要に応じて3.
0重量%以下のCoを含むこともできる。また、シャド
ウマスク用原板として使用されるとき、原板内の板厚変
動が板厚の1%以内であることが好ましい。
用低熱膨張合金は、その目的を解決するため、Ni:3
4.0〜38.0重量%,C:0.010重量%以下,
Si:0.30重量%以下,Mn:0.10〜1.0重
量%,P:0.005〜0.02重量%,S:0.00
5重量%以下,Cr:1.0〜5.0重量%,O:0.
010重量%以下,N:0.005重量%以下及びB:
0.001重量%以下を含有し、残部Feからなる。こ
のシャドウマスク用低熱膨張合金は、必要に応じて3.
0重量%以下のCoを含むこともできる。また、シャド
ウマスク用原板として使用されるとき、原板内の板厚変
動が板厚の1%以内であることが好ましい。
【0005】
【作用】本発明者等は、Fe−36%Ni系合金の合金
元素及び不純物元素がシャドウマスクとして必要な特性
に及ぼす影響ついて繰返し調査・研究した。その結果、
Fe−36%Ni系合金に適量のCrを含有させること
により、低熱膨張特性を維持しつつエッチング速度が増
大するとともにエッチング穿孔性も向上することを見い
出した。またCrは、Fe−36%Ni系合金のヤング
率を増大させ、シャドウマスクとして必要な剛性を増大
させる作用も呈する。そのため、従来のFe−36%N
i系合金よりも薄板化が可能な材料が得られるとの知見
を得た。Fe−36%Ni系合金において、S,C,O
等の不純物元素は、エッチング性を劣化させることか
ら、それらの含有量が厳しく制限されていた。しかし、
本発明者等の研究によるとき、不純物元素の中でPは特
異な傾向を呈することを解明した。すなわち、0.02
5重量%程度までPを含有させても、エッチング性を劣
化させないどころか、逆にエッチング性が向上すること
が判明した。これは、従来の研究ではS,C等の不純物
元素の含有量を抑えた上で、Pの影響を単独に調査しな
かったことによるものと推察される。
元素及び不純物元素がシャドウマスクとして必要な特性
に及ぼす影響ついて繰返し調査・研究した。その結果、
Fe−36%Ni系合金に適量のCrを含有させること
により、低熱膨張特性を維持しつつエッチング速度が増
大するとともにエッチング穿孔性も向上することを見い
出した。またCrは、Fe−36%Ni系合金のヤング
率を増大させ、シャドウマスクとして必要な剛性を増大
させる作用も呈する。そのため、従来のFe−36%N
i系合金よりも薄板化が可能な材料が得られるとの知見
を得た。Fe−36%Ni系合金において、S,C,O
等の不純物元素は、エッチング性を劣化させることか
ら、それらの含有量が厳しく制限されていた。しかし、
本発明者等の研究によるとき、不純物元素の中でPは特
異な傾向を呈することを解明した。すなわち、0.02
5重量%程度までPを含有させても、エッチング性を劣
化させないどころか、逆にエッチング性が向上すること
が判明した。これは、従来の研究ではS,C等の不純物
元素の含有量を抑えた上で、Pの影響を単独に調査しな
かったことによるものと推察される。
【0006】本発明の合金を溶製する場合、P含有量を
0.005重量%以下に厳しく制限する必要がないこと
から、Pを含有していない原料を製造用原料として厳選
する必要はなく、また低P含有原料を使用してもいわゆ
る脱P作業を行う必要がない。そのため、本発明に従っ
たP含有量の特定は、エッチング性の向上の他に、製造
コストの軽減にも有効である。更に、エッチング用原板
の板厚変動がエッチング後の孔形状の均一性に与える影
響を調査したところ、原板板厚のバラツキを抑えること
により均一な孔径のエッチング孔が形成されることを見
い出した。具体的には、原板の板厚変動を1%以下に厳
しく制御するとき、エッチング孔径のバラツキが小さく
なり、シャドウマスクとしての品質安定性が向上する。
0.005重量%以下に厳しく制限する必要がないこと
から、Pを含有していない原料を製造用原料として厳選
する必要はなく、また低P含有原料を使用してもいわゆ
る脱P作業を行う必要がない。そのため、本発明に従っ
たP含有量の特定は、エッチング性の向上の他に、製造
コストの軽減にも有効である。更に、エッチング用原板
の板厚変動がエッチング後の孔形状の均一性に与える影
響を調査したところ、原板板厚のバラツキを抑えること
により均一な孔径のエッチング孔が形成されることを見
い出した。具体的には、原板の板厚変動を1%以下に厳
しく制御するとき、エッチング孔径のバラツキが小さく
なり、シャドウマスクとしての品質安定性が向上する。
【0007】以下、本発明低熱膨張合金における合金元
素及びその含有量を説明する。 Ni: Fe−Ni系合金の熱膨張係数を低く維持する
上で重要な合金元素である。Ni含有量が34.0重量
%以下或いは38.0重量%以上になると、熱膨張係数
が増大し、熱変形によってドーミング現象が現れ易くな
る。また、38.0重量を超えて過剰のNiが含まれる
と、耐力が上昇し、成形性が低下する。そこで、本発明
においては、34.0〜38.0重量%の範囲にNi含
有量を設定した。 C: 炭化物を形成し、エッチング穿孔性を低下させ
る。優れたエッチング性を得るためにC含有量を厳しく
制限する必要があり、本発明ではC含有量の上限を0.
010重量%,望ましくは0.005重量%に規定し
た。
素及びその含有量を説明する。 Ni: Fe−Ni系合金の熱膨張係数を低く維持する
上で重要な合金元素である。Ni含有量が34.0重量
%以下或いは38.0重量%以上になると、熱膨張係数
が増大し、熱変形によってドーミング現象が現れ易くな
る。また、38.0重量を超えて過剰のNiが含まれる
と、耐力が上昇し、成形性が低下する。そこで、本発明
においては、34.0〜38.0重量%の範囲にNi含
有量を設定した。 C: 炭化物を形成し、エッチング穿孔性を低下させ
る。優れたエッチング性を得るためにC含有量を厳しく
制限する必要があり、本発明ではC含有量の上限を0.
010重量%,望ましくは0.005重量%に規定し
た。
【0008】Si: Cと同様に熱膨張係数を大きくす
る作用を呈する。また、多量のSiが含まれると、Fe
−Ni系合金は、硬くなりプレス成形性が劣化する。し
たがって、本発明においては、Si含有量の上限を0.
30重量%に規定した。 Mn: 脱酸材として添加される元素であり、所定の脱
酸効果を得るために0.01重量%以上が必要である。
しかし、1.0重量%を超える過剰のMnが含有される
と、Fe−Ni系合金の熱膨張係数が増大する。そのた
め、本発明においては、Mn含有量を0.1〜1.0重
量%の範囲に規定した。 P: エッチング性を改善する上で重要な作用を呈する
合金元素であり、0.005重量%以上のPを含ませる
ことが必要である。また、P含有量を厳しく制限する必
要がないことから、溶製時の不純物として0.001重
量%以上のPを含むものも使用される。しかし、0.0
25重量%を超えて過剰のPが含有されると、Fe−N
i系合金の熱間加工性が劣化する。そこで、本発明にお
いては、P含有量を0.005〜0.025重量%の範
囲に設定した。
る作用を呈する。また、多量のSiが含まれると、Fe
−Ni系合金は、硬くなりプレス成形性が劣化する。し
たがって、本発明においては、Si含有量の上限を0.
30重量%に規定した。 Mn: 脱酸材として添加される元素であり、所定の脱
酸効果を得るために0.01重量%以上が必要である。
しかし、1.0重量%を超える過剰のMnが含有される
と、Fe−Ni系合金の熱膨張係数が増大する。そのた
め、本発明においては、Mn含有量を0.1〜1.0重
量%の範囲に規定した。 P: エッチング性を改善する上で重要な作用を呈する
合金元素であり、0.005重量%以上のPを含ませる
ことが必要である。また、P含有量を厳しく制限する必
要がないことから、溶製時の不純物として0.001重
量%以上のPを含むものも使用される。しかし、0.0
25重量%を超えて過剰のPが含有されると、Fe−N
i系合金の熱間加工性が劣化する。そこで、本発明にお
いては、P含有量を0.005〜0.025重量%の範
囲に設定した。
【0009】S: 硫化物系介在物を形成し、エッチン
グ穿孔性を著しく低下させる有害元素である。また、熱
間加工性を劣化させる元素でもあるため、S含有量の上
限を0.005重量%に規定した。 Cr: Fe−Ni系合金のエッチング速度を増大させ
る必須の元素である。また、Cr添加によってFe−N
i系合金のヤング率が増大し、プレス成型後の剛性が向
上する。このような作用を得る上で、1.0重量%以上
のCr含有量が必要である。しかし、5.0重量%を超
えて多量にCrを含有させると、合金の熱膨張係数が大
きくなりすぎ、ドーミング現象が生じ易くなる。そこ
で、本発明においては、1.0〜5.0重量%の範囲に
Cr含有量を選定した。 0: 酸化物系介在物を形成し、エッチング穿孔性を著
しく低下させる。そのため、本発明においては、O含有
量の上限を0.010重量%に規定した。 N: 窒化物系介在物を形成し、エッチング穿孔性を著
しく低下させるため、N含有量の上限を0.005重量
%に規定した。
グ穿孔性を著しく低下させる有害元素である。また、熱
間加工性を劣化させる元素でもあるため、S含有量の上
限を0.005重量%に規定した。 Cr: Fe−Ni系合金のエッチング速度を増大させ
る必須の元素である。また、Cr添加によってFe−N
i系合金のヤング率が増大し、プレス成型後の剛性が向
上する。このような作用を得る上で、1.0重量%以上
のCr含有量が必要である。しかし、5.0重量%を超
えて多量にCrを含有させると、合金の熱膨張係数が大
きくなりすぎ、ドーミング現象が生じ易くなる。そこ
で、本発明においては、1.0〜5.0重量%の範囲に
Cr含有量を選定した。 0: 酸化物系介在物を形成し、エッチング穿孔性を著
しく低下させる。そのため、本発明においては、O含有
量の上限を0.010重量%に規定した。 N: 窒化物系介在物を形成し、エッチング穿孔性を著
しく低下させるため、N含有量の上限を0.005重量
%に規定した。
【0010】B: 黒化処理による黒化膜の生成ムラを
生じさせ、シャドウマスクとしての品質安定性を阻害す
る元素である。そのため、本発明においては、B含有量
を厳しく制限する必要があり、その上限を0.001重
量%に規定した。 Co: Crと同様にエッチング速度を増大させる有効
な作用を呈し、必要に応じて添加される合金元素であ
る。Co添加の効果は3.0重量%で飽和し、それ以上
添加しても材料コストを上昇させる。そこで、Coを添
加する場合、3.0重量%以下の範囲にCo含有量を設
定する。本発明に従った成分・組成をもつFe−Ni系
合金は、帯状に成形された後、スロット状或いはドット
状の孔がエッチングによって規則的に穿設される。この
とき、原板の板厚変動が1%を超えると、エッチングに
よって形成された孔径のバラツキが大きくなり過ぎ、シ
ャドウマスクとして使用できなくなる。したがって、エ
ッチング用原板は、板厚変動を1%以内に規制すること
が好ましい。
生じさせ、シャドウマスクとしての品質安定性を阻害す
る元素である。そのため、本発明においては、B含有量
を厳しく制限する必要があり、その上限を0.001重
量%に規定した。 Co: Crと同様にエッチング速度を増大させる有効
な作用を呈し、必要に応じて添加される合金元素であ
る。Co添加の効果は3.0重量%で飽和し、それ以上
添加しても材料コストを上昇させる。そこで、Coを添
加する場合、3.0重量%以下の範囲にCo含有量を設
定する。本発明に従った成分・組成をもつFe−Ni系
合金は、帯状に成形された後、スロット状或いはドット
状の孔がエッチングによって規則的に穿設される。この
とき、原板の板厚変動が1%を超えると、エッチングに
よって形成された孔径のバラツキが大きくなり過ぎ、シ
ャドウマスクとして使用できなくなる。したがって、エ
ッチング用原板は、板厚変動を1%以内に規制すること
が好ましい。
【0011】
【実施例】製造用原料を電気炉で溶解した後、VOD法
で溶製し、表1に組成を示した各種合金を得た。各合金
を分塊,熱延し、板厚6mmの熱延板を得た。熱延板を
焼鈍し、疵取りを行った後、冷延,焼鈍し、仕上げ冷延
で板厚0.25mmの冷延板を作製した。
で溶製し、表1に組成を示した各種合金を得た。各合金
を分塊,熱延し、板厚6mmの熱延板を得た。熱延板を
焼鈍し、疵取りを行った後、冷延,焼鈍し、仕上げ冷延
で板厚0.25mmの冷延板を作製した。
【表1】
【0012】冷延板の板厚分布を測定した後、脱脂,レ
ジストコーティング塗布,マスクパターン焼付け,露
光,現像の各工程を経て、エッチング加工を施した。エ
ッチング液として40℃に保持した塩化第二鉄溶液を使
用し、スプレー方式でエッチング液を冷延板表面に吹き
付けた。各合金ごとに、エッチング速度及びエッチング
穿孔性を調査した。エッチング速度は、ハーフエッチン
グ孔を形成させ、焦点顕微鏡法でエッチング深さを測定
し、単位時間当りのエッチング深さで評価した。エッチ
ング穿孔性は、エッチング孔を光学顕微鏡で観察し、孔
のエッジがスムーズでなく、いわゆるギザが発生したも
のを不良、ギザが発生しなかったものを良好と判定し
た。また、冷延板を820℃で焼鈍した後の冷延板につ
いて、30〜100℃の温度範囲で熱膨張係数を測定し
た。調査結果を表2に示す。
ジストコーティング塗布,マスクパターン焼付け,露
光,現像の各工程を経て、エッチング加工を施した。エ
ッチング液として40℃に保持した塩化第二鉄溶液を使
用し、スプレー方式でエッチング液を冷延板表面に吹き
付けた。各合金ごとに、エッチング速度及びエッチング
穿孔性を調査した。エッチング速度は、ハーフエッチン
グ孔を形成させ、焦点顕微鏡法でエッチング深さを測定
し、単位時間当りのエッチング深さで評価した。エッチ
ング穿孔性は、エッチング孔を光学顕微鏡で観察し、孔
のエッジがスムーズでなく、いわゆるギザが発生したも
のを不良、ギザが発生しなかったものを良好と判定し
た。また、冷延板を820℃で焼鈍した後の冷延板につ
いて、30〜100℃の温度範囲で熱膨張係数を測定し
た。調査結果を表2に示す。
【表2】
【0013】表2から明らかなように、本発明に従った
試験番号B1〜B6のFe−Ni系合金は、従来のFe
−Ni系合金に比較してエッチング速度に優れている。
また、比較合金ではギザが発生し、エッチング穿孔性は
不良であるのに対し、試験番号B1〜B6のFe−Ni
系合金はエッチング穿孔性も優れている。更に、表3
に、板厚分布とエッチング孔径のバラツキとの関係を示
す。表3から、板厚変動を1%以内に管理することによ
り、エッチング孔径のバラツキが小さくなり、シャドウ
マスクとして優れた品質を得ることができることが判
る。
試験番号B1〜B6のFe−Ni系合金は、従来のFe
−Ni系合金に比較してエッチング速度に優れている。
また、比較合金ではギザが発生し、エッチング穿孔性は
不良であるのに対し、試験番号B1〜B6のFe−Ni
系合金はエッチング穿孔性も優れている。更に、表3
に、板厚分布とエッチング孔径のバラツキとの関係を示
す。表3から、板厚変動を1%以内に管理することによ
り、エッチング孔径のバラツキが小さくなり、シャドウ
マスクとして優れた品質を得ることができることが判
る。
【表3】
【0014】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のFe−
Ni系合金は、従来のシャドウマスク用材料に比較して
エッチング性に優れていると共に、低い熱膨張係数を示
す。また、エッチング用原板の板厚変動を1%以内に抑
えるとき、より一定したエッチング孔径をもつ品質安定
性に優れたシャドウマスクを得ることができる。
Ni系合金は、従来のシャドウマスク用材料に比較して
エッチング性に優れていると共に、低い熱膨張係数を示
す。また、エッチング用原板の板厚変動を1%以内に抑
えるとき、より一定したエッチング孔径をもつ品質安定
性に優れたシャドウマスクを得ることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 Ni:34.0〜38.0重量%,C:
0.010重量%以下,Si:0.30重量%以下,M
n:0.10〜1.0重量%,P:0.005〜0.0
2重量%,S:0.005重量%以下,Cr:1.0〜
5.0重量%,O:0.010重量%以下,N:0.0
05重量%以下及びB:0.001重量%以下を含有
し、残部Feからなるシャドウマスク用低熱膨張合金。 - 【請求項2】 Ni:34.0〜38.0重量%,C:
0.010重量%以下,Si:0.30重量%以下,M
n:0.10〜1.0重量%,P:0.005〜0.0
2重量%,S:0.005重量%以下,Cr:1.0〜
5.0重量%,Co:3.0重量%以下,O:0.01
0重量%以下,N:0.005重量%以下及びB:0.
001重量%以下を含有し、残部Feからなるシャドウ
マスク用低熱膨張合金。 - 【請求項3】 請求項1又は2の合金からなる帯材であ
って、エッチング用原板内の板厚変動が板厚の1%以内
であるエッチング性に優れたシャドウマスク用低熱膨張
合金帯材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35638392A JPH06184702A (ja) | 1992-12-21 | 1992-12-21 | シャドウマスク用低熱膨張合金及び合金帯 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35638392A JPH06184702A (ja) | 1992-12-21 | 1992-12-21 | シャドウマスク用低熱膨張合金及び合金帯 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06184702A true JPH06184702A (ja) | 1994-07-05 |
Family
ID=18448743
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35638392A Withdrawn JPH06184702A (ja) | 1992-12-21 | 1992-12-21 | シャドウマスク用低熱膨張合金及び合金帯 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06184702A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100388285B1 (ko) * | 1999-11-09 | 2003-06-19 | 닛코킨조쿠 가부시기가이샤 | 세미텐션마스크용 저열팽창Fe-Ni계 합금, 이를 이용한세미텐션마스크 및 상기 세미텐션마스크를 사용하는컬러수상관 |
-
1992
- 1992-12-21 JP JP35638392A patent/JPH06184702A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100388285B1 (ko) * | 1999-11-09 | 2003-06-19 | 닛코킨조쿠 가부시기가이샤 | 세미텐션마스크용 저열팽창Fe-Ni계 합금, 이를 이용한세미텐션마스크 및 상기 세미텐션마스크를 사용하는컬러수상관 |
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