JPH11189846A - エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク用素材 - Google Patents

エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク用素材

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JPH11189846A
JPH11189846A JP36619997A JP36619997A JPH11189846A JP H11189846 A JPH11189846 A JP H11189846A JP 36619997 A JP36619997 A JP 36619997A JP 36619997 A JP36619997 A JP 36619997A JP H11189846 A JPH11189846 A JP H11189846A
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less
plane
shadow mask
diffraction intensity
etching
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JP36619997A
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Inventor
Toshiyuki Ono
俊之 小野
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Nippon Mining Holdings Inc
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mining and Metals Co Ltd
Nippon Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小孔、大孔、中孔全てが良好な真円度を有す
るよう優れたエッチング穿孔性を有するシャドウマスク
用Fe−Ni系合金素材の提供。 【解決手段】 Niを34〜38wt%含有し、残部F
e及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但しC:0.
10%以下、Si:0.05%以下、Al:0.05%
以下、Mn:0.5%以下、S:0.005%以下、
P:0.005%以下−からなるFe−Ni系合金シャ
ドウマスク用素材において、エッチング穿孔前の表面の
(200)面の回折強度の構成比率Aを55%以上70
%以下、表面から5μmの深さの(200)面の回折強
度の構成比率Bを70%以上85%以下、その場合(B
−A)/A≦0.4、更に深さ5μmより板厚中央部に
おける(200)面の回折強度の構成比率の変動を5%
以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細エッチングに
より加工されるシャドウマスクに用いられるFe−Ni
系合金素材、特にエッチング加工により形成する電子線
の透過孔を穿孔した時に、優れた穿孔性を備えた、特に
は良好な真円度を有する電子線透過孔へのエッチング穿
孔性を備えたFe−Ni系合金シャドウマスク用素材に
関するものである。本発明はまた、小孔、大孔、中孔全
てが良好な真円度を有するFe−Ni系合金シャドウマ
スク用素材(フラットマスク)にも関係する。
【0002】
【従来の技術】従来、カラーブラウン管用シャドウマス
クには一般に軟鋼が使用されていた。しかし、ブラウン
管を連続使用すると、シャドウマスクは電子線の照射に
よって温度が上昇し、熱膨張によって蛍光体と電子線の
照射位置が一致しなくなり、色ズレを生じる。つまり、
カラー受像管を動作させた際、シャドウマスクの開孔を
通過する電子ビームは全体の1/3以下であり、残りの
電子ビームはシャドウマスクに射突するため、シャドウ
マスクの温度上昇が起こるのである。そこで、近年、カ
ラ−ブラウン管用のシャドウマスクの分野でも、色ズレ
の観点から、低熱膨張係数の「36合金」と呼ばれるF
e−Ni系合金が使用されつつある。
【0003】こうしたシャドウマスクは、一般的に塩化
第2鉄水溶液を使用しての周知のエッチングにより電子
線の透過孔を形成する。エッチングは、フォトリソグラ
フィー技術を適用し、合金帯の片側表面に例えば直径8
0μmの真円状開口部を多数有し、もう一方の表面の相
対する位置に例えば直径180μmの真円状開口部を有
するレジストマスクを形成した後に、塩化第2鉄水溶液
の水溶液をスプレー状に吹き付けることにより行われ
る。しかしながら、Fe−Ni系合金は従来の軟鋼に比
べてエッチング穿孔性が劣ることが問題となっていた。
【0004】これに対して、結晶粒径が小さいほどエッ
チング後の孔形状および孔壁面が平滑になり、シャドウ
マスクの品質が向上することは従来より知られており、
特開昭59−149638号に記載されるように、結晶
粒を微細化するとともに圧延面への{100}集積度を
高めることでエッチングの均一性をはかることが行われ
ていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近になっ
て、シャドウマスクの高精細化とともに生産性を上げる
ためにエッチング速度の向上が要求されるようになる
と、{100}集積度の高い材料では透過孔の形状が真
円にならないといった新たな問題が生じるようになっ
た。
【0006】{100}集積度を高くした場合に透過孔
の形状が真円にならなくなる理由は、次のように考える
ことができる。Niを34%から38%含む面心立方晶
であるFe−Ni系合金においては、エッチング速度の
最も遅い面(最密面)である(111)面が残るよう
に、エッチングが進行する。従って、圧延面に(10
0)面を揃えると、圧延面と45度の角度を持つ4辺で
構成される4面を側面とする逆四角錘の形にエッチング
され、そのため透過孔の形状が真円にならなくなるので
ある。これに対して、特開平5−311357号のよう
に、{100}集積度を逆に低くして、エッチングをラ
ンダムに進行させる方法が提案されており、透過孔の真
円度を主とした形状の均一性を向上させるには、一応の
効果が得られるようになった。しかしながらシャドウマ
スクにおける電子線の透過孔は、電子銃側の径が小さく
(小孔と呼ばれる)、蛍光面側の径が大きく(大孔と呼
ばれる)なっており、中孔と呼ばれる大孔と小孔が交わ
った部分の形状は、圧延面の{100}集積度を低くし
ただけでは、真円度が満足できる状態にならず、小孔、
大孔、中孔全ての真円度に優れたシャドウマスク用Fe
−Ni系合金素材が望まれていた。
【0007】このようなことから、本発明が課題とした
のは、板厚のどの部分に中孔がくるようにエッチングし
ても、小孔、大孔、中孔全てが良好な真円度を有する孔
に穿孔できる、優れたエッチング穿孔性を有するシャド
ウマスク用Fe−Ni系合金素材を提供することであ
る。なお、後で説明するように、本発明においては、最
終焼鈍後のシャドウマスク素材及びフラットマスクを含
めてプレス成形性を付与するための焼鈍に供される材料
を総称してシャドウマスク素材と云う。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を達成すべく種々の検討を行ったところ、次のような新
しい知見を得ることができた。即ち、エッチング穿孔さ
れた孔の形状は、表面の集合組織と表面からある程度の
深さの位置の集合組織の差によって大きく影響を受ける
ことを見出した。本発明者等は(200)面に着目し、
その回折強度が他の(111)面、(220)面、(3
11)面の回折強度を考慮して定義される「(200)
面の回折強度の構成比率」が重要な制御因子となりうる
ことを見出した。具体的には、エッチング穿孔前の表面
の(200)面の回折強度の構成比率Aが55%以上7
0%以下であり、表面から5μmの深さの(200)面
の回折強度の構成比率Bが70%以上85%以下であっ
て、(B−A)/A≦0.4とすることによって、エッ
チング穿孔初期の孔形状における真円度が良好であり、
しかもそれがエッチングが進行しても維持されることを
見出した。さらに、深さ5μmより板厚中央部における
(200)面の回折強度の構成比率の変動を5%以下に
することによって、中孔がどの位置にきても真円度が損
なわれなくなることを見出した。ここで(200)面の
回折強度の構成比率とは、次の式で計算した値であり、
本発明で使用する値は、Co管球を使用したX線回折の
測定値をもとに計算している。
【0009】
【数1】
【0010】本発明は、上記知見事項等に基づいてなさ
れたものであり、(1)Niを34〜38wt%含有
し、残部Fe及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但
しC:0.10wt%以下、Si:0.05wt%以
下、Al:0.05wt%以下、Mn:0.5wt%以
下、S:0.005wt%以下、P:0.005wt%
以下−からなるFe−Ni系合金シャドウマスク用素材
において、エッチング穿孔前の表面の(200)面の回
折強度の構成比率Aが55%以上70%以下であり、表
面から5μmの深さの(200)面の回折強度の構成比
率Bが70%以上85%以下であり、その場合(B−
A)/A≦0.4であることを特徴とする、エッチング
穿孔性に優れるFe−Ni系合金シャドウマスク用素
材、及び(2)Niを34〜38wt%含有し、残部F
e及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但しC:0.
10wt%以下、Si:0.05wt%以下、Al:
0.05wt%以下、Mn:0.5wt%以下、S:
0.005wt%以下、P:0.005wt%以下−か
らなるFe−Ni系合金シャドウマスク用素材におい
て、エッチング穿孔前の表面の(200)面の回折強度
の構成比率Aが55%以上70%以下であり、表面から
5μmの深さの(200)面の回折強度の構成比率Bが
70%以上85%以下であり、その場合(B−A)/A
≦0.4であり、更に深さ5μmより板厚中央部におけ
る(200)面の回折強度の構成比率の変動が5%以下
であることを特徴とする、エッチング穿孔性に優れるF
e−Ni系合金シャドウマスク用素材を提供する。本発
明はまた、(3)Niを34〜38wt%含有し、残部
Fe及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但しC:
0.10wt%以下、Si:0.05wt%以下、A
l:0.05wt%以下、Mn:0.5wt%以下、
S:0.005wt%以下、P:0.005wt%以下
−からなるFe−Ni系合金シャドウマスク用素材にお
いて、エッチング穿孔前の表面の(200)面の回折強
度の構成比率Aが55%以上70%以下であり、表面か
ら5μmの深さの(200)面の回折強度の構成比率B
が70%以上85%以下であり、その場合(B−A)/
A≦0.4であり、更に深さ5μmより板厚中央部にお
ける(200)面の回折強度の構成比率の変動が5%以
下であることを特徴とする、小孔、大孔、中孔全てが良
好な真円度を有するFe−Ni系合金シャドウマスク用
素材を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明におけるFe−Ni系合金
素材のNi含有量は34〜38wt%の範囲である。N
i含有量が34wt%未満であるとまた38wt%を超
えると、熱膨張係数が大きく、シャドウマスク用として
不適当である。さらに、該合金素材の不純物及び随伴元
素の量は以下説明する理由により上限を限定している。
【0012】a)C含有量 Cが0.10wt%を超えると、炭化物の生成によって
エッチング穿孔性が阻害され、合金素材はシャドウマス
ク用素材として適さなくなる。従って、C含有量の上限
を0.10wt%と定めた。
【0013】b)Si含有量 Siが0.05wt%を超えると、合金素材は、そのエ
ッチング穿孔性が阻害されるので、シャドウマスク用素
材として適さなくなる。従って、Si含有量の上限を
0.05wt%と定めた。
【0014】c)Al含有量 Alが0.05wt%を超えると、アルミナ系の介在物
の形成が著しく、合金素材のエッチング穿孔性が阻害さ
れる。従って、Al含有量の上限を0.05wt%と定
めた。
【0015】d)Mn含有量 Mnは、熱間加工性を阻害するSを無害化するために鉄
系合金に随伴されている。その含有量が少ないと、十分
な効果は得られない。しかしながら、0.5wt%を超
えると合金素材は硬くなり、その加工性が劣ることにな
る。従って、Mn含有量の上限を0.5wt%と定め
た。
【0016】e)S含有量 Sは、0.005wt%を超えると、素材の熱間加工性
を著しく阻害する。従って、S含有量の上限を0.00
5wt%と定めた。
【0017】f)P含有量 Pは、0.005wt%を超えると、合金素材は、その
エッチング穿孔性が阻害され、シャドウマスク用素材と
して適さなくなる。従って、P含有量の上限を0.00
5wt%と定めた。
【0018】Fe−Ni合金シャドウマスク素材の製造
方法として、所定のFe−Ni合金を例えばVIM炉で
の真空溶解もしくはLFでの炉外精練による溶製後、イ
ンゴットに鋳造し、鍛造後、熱間圧延し、スラブの表面
の酸化スケールを除去し、冷間圧延と後焼鈍とを繰り返
し、厚さ0.3mm以下の所定のシート厚みまで最終冷
間圧延が施される。その後、スリットして所定板幅とし
てシャドウマスク素材を得る。シャドウマスク素材は、
脱脂後、フォトレジストを両面に塗布しそしてパターン
を焼付けて現像後、エッチング液にてエッチング穿孔加
工され、個々に切断されてフラットマスクとなる。フラ
ットマスクは、非酸化性雰囲気中で焼鈍されてプレス成
形性を付与された後(プレアニール法ではこの焼鈍がエ
ッチング前に最終冷間圧延材に対して行われる)、プレ
スによりマスク形態に球面成形される。そして最後に、
球面成形されたマスクは、脱脂後、水蒸気又は燃焼ガス
雰囲気中で黒化処理を施されて表面に黒色酸化膜を形成
する。こうしてシャドウマスクが作製される。
【0019】本発明においては、最終焼鈍後のシャドウ
マスク素材及びフラットマスクを含めてプレス成形性を
付与するための焼鈍に供される材料を総称してシャドウ
マスク素材と云うこととする。
【0020】本発明においては、エッチング穿孔前の表
面と表面から5μmの深さの位置の(200)面の回折
強度比の構成比率がコントロールされる。(200)面
の回折強度比の構成比率は次の式で表され、(200)
面が、それを含め他の主たる集合面全体に占める割合を
意味する。
【0021】
【数2】
【0022】エッチング穿孔前の表面の(200)面の
回折強度の構成比率Aが55%以上70%以下であり、
表面から5μmの深さの(200)面の回折強度の構成
比率Bが70%以上85%以下であって、(B−A)/
A≦0.4とすることによって、エッチング穿孔初期の
孔形状における真円度が良好であり、しかもそれがエッ
チングが進行しても維持される。(B−A)/Aが0.
4を超えると、中孔の形状に凹凸が生じ、孔の均一性の
点でシャドウマスクとして不適当となる。さらに、深さ
5μmより板厚中央部における(200)面の回折強度
の構成比率の変動を5%以下にすることによって、中孔
がどの位置にきても真円度が損なわれなくなる。
【0023】(200)面を選択したのは、ある程度の
加工度、例えば60%〜90%の加工度で冷間圧延し
た、Niを34%から38%含むFe−Ni系合金を再
結晶焼鈍すると、(200)面が圧延面に平行にそろ
い、従って板厚方向の結晶構造の差を表すのに適してい
るという理由による。5μmの深さを選んだのは、表面
からある程度の深さの位置という意味で設定した。深さ
5μmより板厚中央部における(200)面の回折強度
の構成比率の変動が5%を超えたものは、中孔が表面近
傍にある場合は、真円度は良好であるが、中孔が板厚中
央部によると、真円形状の凹凸が発現するようになる。
【0024】(200)面の回折強度比の構成比率のコ
ントロールは、冷間圧延の加工度ならびにパススケジュ
ールと焼鈍温度と焼鈍時間によって調整される。エッチ
ング穿孔前の表面の(200)面の回折強度の構成比率
Aを55%以上70%以下、表面から5μmの深さの
(200)面の回折強度の構成比率Bを70%以上85
%以下、(B−A)/A≦0.4、更には、深さ5μm
より板厚中央部における(200)面の回折強度の構成
比率の変動を5%以下とするには、中間の冷間圧延の加
工度を60〜90%の範囲で調整するのが良い。ただ
し、微量に含まれる成分の種類と量によって微妙な加工
度の調整が必要である。そして、各焼鈍においては、板
の内部まで完全に再結晶するのに十分な温度と時間で実
施されるが、微量に含まれる成分の種類と量によって温
度と時間の微妙な調整が必要である。これら微量成分の
種類と量による微妙な条件の調整は、特に深さ5μmよ
り板厚中央部における(200)面の回折強度の構成比
率の変動を5%以下にするのに重要となる。そして、最
終の冷間圧延を10〜30%の加工度で行いシャドウマ
スク用素材が得られる。この最終圧延では表面肌の調質
圧延を行ってもよい。
【0025】
【実施例】本発明について、実施例を比較例と対比しな
がら説明する。先ず、真空溶解法にて下記の成分に調整
して溶解鋳造したFe−Ni系合金インゴットを熱間鍛
造、熱間圧延した。ついで表面の酸化スケール除去後に
冷間圧延→焼鈍→冷間圧延→焼鈍→冷間圧延の順に加工
し、0.13mm厚さの合金帯を製造した。なお、最終
の冷間圧延はダル圧延で行った。なお、溶解で次のよう
に化学成分を調整した。Ni:36.1%、Mn:0.
24%、C:0.006%、Si:0.02%、Al:
0.003%、S:0.003%、P:0.002%。
【0026】冷間圧延の加工度を変えることにより(2
00)面の回折強度の構成比率を種々変更した。得られ
た合金帯のうち、表1の試料No.1〜5が本発明の要
件を満たす実施例であり、そしてNo.6〜10は比較
例である。
【0027】次にこれらの合金帯に周知のフォトリソグ
ラフィー技術を適用し、合金帯の片側表面に直径80μ
mの真円状開口部を多数有し、もう一方の表面の相対す
る位置に直径180μmの真円状開口部を有するレジス
トマスクを形成した後に塩化第2鉄水溶液の水溶液をス
プレー状に吹き付け、透過孔を形成した。
【0028】透過孔の大孔、小孔、中孔の真円度の評価
は、その最大径の2乗を面積で割った値を100倍した
形状係数と、その周囲長の2乗を面積と円周率の積で
割った値を100倍した形状係数で評価した。形状係
数は形状の歪みを表し、形状係数は形状の凹凸を表
す。真円の場合、形状係数と形状係数は400とな
る。真円度の良否は、形状係数とともに440以下
の場合を良とし、いずれかが440を超えた場合を不良
とした。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示した結果から、本発明に係わる試
料No.1〜5のようにエッチング穿孔前の表面の(2
00)面の回折強度の構成比率Aが55%以上70%以
下であり、表面から5μmの深さの(200)面の回折
強度の構成比率Bが70%以上85%以下であり、(B
−A)/A≦0.4であり、更に深さ5μmより板厚中
央部における(200)面の回折強度の構成比率の変動
が5%以下であるものは、すべての透過孔の大孔、小
孔、中孔の真円度が損なわれず、良好なエッチング穿孔
性を示した。ただし、試料No.1のように、深さ5μ
mより板厚中央部における(200)面の回折強度の構
成比率の変動が5%を超えたものは、中孔が表面近傍に
ある場合は、真円度は良好であったが、中孔が板厚中央
部によると、形状係数が良の領域をわずかに超えた。
【0031】これに対して、試料No.6は、表面の
(200)面の回折強度の構成比率Aが55%未満のた
めに中孔の形状係数で不良であった。試料No.7
は、表面の(200)面の回折強度の構成比率Aが70
%を超えたため、大孔と小孔の形状係数で不良であっ
た。試料No.8は、表面から5μmの深さの(20
0)面の回折強度の構成比率Bが70%未満のために、
中孔の形状係数で不良であった。試料No.9は、表
面から5μmの深さの(200)面の回折強度の構成比
率Bが85%を超えたために中孔の形状係数で不良で
あった。また、試料No.10は、表面の(200)面
の回折強度の構成比率Aが57%で、表面から5μmの
深さの(200)面の回折強度の構成比率Bが83%で
はあるが、要件(B−A)/Aが0.4を超えたため
に、中孔の形状係数のばらつきが大きく、孔の均一性
の点でシャドウマスクとして不適当であった。
【0032】こうして、本発明の要件をすべて満足する
よう(200)面をコントロールすることによって、エ
ッチング加工により形成する電子線の透過孔の中孔の位
置が板厚のどの位置にきても、真円度を損なわない優れ
たエッチング穿孔性をFe−Ni系合金のシャドウマス
ク用素材に付与することが初めて可能になったのであ
る。
【0033】
【発明の効果】以上に説明したごとく、本発明によれ
ば、Fe−Ni系合金のシャドウマスク素材において、
エッチング加工により形成する電子線の透過孔を真円度
を損なわずに穿孔することができ、特に中孔が板厚のど
の位置にきても真円度が維持できることから、エッチン
グ加工の条件の選択幅が広がり、高品質なシャドウマス
クを高速にエッチングすることが可能になるなど、産業
上非常に有用な効果がもたらされる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Niを34〜38wt%含有し、残部F
    e及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但しC:0.
    10wt%以下、Si:0.05wt%以下、Al:
    0.05wt%以下、Mn:0.5wt%以下、S:
    0.005wt%以下、P:0.005wt%以下−か
    らなるFe−Ni系合金シャドウマスク用素材におい
    て、エッチング穿孔前の表面の(200)面の回折強度
    の構成比率Aが55%以上70%以下であり、表面から
    5μmの深さの(200)面の回折強度の構成比率Bが
    70%以上85%以下であり、その場合(B−A)/A
    ≦0.4であることを特徴とする、エッチング穿孔性に
    優れるFe−Ni系合金シャドウマスク用素材。
  2. 【請求項2】 Niを34〜38wt%含有し、残部F
    e及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但しC:0.
    10wt%以下、Si:0.05wt%以下、Al:
    0.05wt%以下、Mn:0.5wt%以下、S:
    0.005wt%以下、P:0.005wt%以下−か
    らなるFe−Ni系合金シャドウマスク用素材におい
    て、エッチング穿孔前の表面の(200)面の回折強度
    の構成比率Aが55%以上70%以下であり、表面から
    5μmの深さの(200)面の回折強度の構成比率Bが
    70%以上85%以下であり、その場合(B−A)/A
    ≦0.4であり、更に深さ5μmより板厚中央部におけ
    る(200)面の回折強度の構成比率の変動が5%以下
    であることを特徴とする、エッチング穿孔性に優れるF
    e−Ni系合金シャドウマスク用素材。
  3. 【請求項3】 Niを34〜38wt%含有し、残部F
    e及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但しC:0.
    10wt%以下、Si:0.05wt%以下、Al:
    0.05wt%以下、Mn:0.5wt%以下、S:
    0.005wt%以下、P:0.005wt%以下−か
    らなるFe−Ni系合金シャドウマスク用素材におい
    て、エッチング穿孔前の表面の(200)面の回折強度
    の構成比率Aが55%以上70%以下であり、表面から
    5μmの深さの(200)面の回折強度の構成比率Bが
    70%以上85%以下であり、その場合(B−A)/A
    ≦0.4であり、更に深さ5μmより板厚中央部におけ
    る(200)面の回折強度の構成比率の変動が5%以下
    であることを特徴とする、小孔、大孔、中孔全てが良好
    な真円度を有するFe−Ni系合金シャドウマスク用素
    材。
JP36619997A 1997-12-25 1997-12-25 エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク用素材 Pending JPH11189846A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001262231A (ja) * 2000-03-17 2001-09-26 Nippon Mining & Metals Co Ltd エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク用素材の製造方法
KR100442637B1 (ko) * 2000-08-25 2004-08-02 재단법인 포항산업과학연구원 새도우 마스크용 인바소재 및 그 에칭특성 판정방법
US11991916B2 (en) 2018-11-19 2024-05-21 Lg Innotek Co., Ltd. Alloy metal plate and deposition mask including alloy metal plate

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