JP3222062B2 - エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク素材 - Google Patents
エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク素材Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細エッチングに
より加工されるシャドウマスクに用いられるFe−Ni
系合金シャドウマスク素材、特にシャドウマスク素材の
エッチング加工により形成する電子線透過孔の穿孔性に
優れたFe−Ni系合金シャドウマスク素材に関するも
のである。本発明はまた、良好な真円度を有する電子線
透過孔を備えるシャドウマスク素材に関する。
より加工されるシャドウマスクに用いられるFe−Ni
系合金シャドウマスク素材、特にシャドウマスク素材の
エッチング加工により形成する電子線透過孔の穿孔性に
優れたFe−Ni系合金シャドウマスク素材に関するも
のである。本発明はまた、良好な真円度を有する電子線
透過孔を備えるシャドウマスク素材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カラーブラウン管用シャドウマス
クには一般に軟鋼が使用されていた。しかし、ブラウン
管を連続使用すると、シャドウマスクは電子線の照射に
よって温度が上昇し、熱膨張によって蛍光体と電子線の
照射位置が一致しなくなり色ズレを生じる。そこで、近
年、カラーブラウン管用のシャドウマスクの分野でも、
色ズレの観点から低熱膨張係数の「36合金」と呼ばれ
るFe−Ni系合金が使用されつつある。
クには一般に軟鋼が使用されていた。しかし、ブラウン
管を連続使用すると、シャドウマスクは電子線の照射に
よって温度が上昇し、熱膨張によって蛍光体と電子線の
照射位置が一致しなくなり色ズレを生じる。そこで、近
年、カラーブラウン管用のシャドウマスクの分野でも、
色ズレの観点から低熱膨張係数の「36合金」と呼ばれ
るFe−Ni系合金が使用されつつある。
【0003】こうしたシャドウマスクは、一般的に塩化
第二鉄水溶液を使用しての周知のエッチングにより電子
線の透過孔を形成する。しかしながら、Fe−Ni系合
金は従来の軟鋼に比べてエッチング穿孔性が劣ることが
問題となっていた。
第二鉄水溶液を使用しての周知のエッチングにより電子
線の透過孔を形成する。しかしながら、Fe−Ni系合
金は従来の軟鋼に比べてエッチング穿孔性が劣ることが
問題となっていた。
【0004】これに対して、結晶粒が小さいほどエッチ
ング後の孔形状及び孔壁面が平滑になり、マスクの品質
が向上することは従来より知られており、特開昭59−
149638号に記載されるように、結晶粒を微細化す
るとともに圧延面への{100}集積度を高めることで
エッチングの均一性をはかることが行われていた。
ング後の孔形状及び孔壁面が平滑になり、マスクの品質
が向上することは従来より知られており、特開昭59−
149638号に記載されるように、結晶粒を微細化す
るとともに圧延面への{100}集積度を高めることで
エッチングの均一性をはかることが行われていた。
【0005】しかし、最近になってシャドウマスクの高
精細化が進み、エッチング壁面の平滑性が要求されると
ともに、生産性を上げるためにエッチング速度の向上が
要求されるようになると、{100}集積度の高い材料
では透過孔の形状が真円にならないといった新たな問題
を生じるようになった。
精細化が進み、エッチング壁面の平滑性が要求されると
ともに、生産性を上げるためにエッチング速度の向上が
要求されるようになると、{100}集積度の高い材料
では透過孔の形状が真円にならないといった新たな問題
を生じるようになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】{100}集積度を高
くした場合に透過孔の形状が真円にならなくなる理由
は、次のように考えることができる。面心立方晶である
Fe−Ni系合金はエッチング速度の最も遅い面(最密
面)である(111)面が残るようにエッチングが進行
する。従って、圧延面に(100)面を揃えると、圧延
方向に対して45度の角度を持つ四辺を底面とする逆四
角錐の形にエッチングされてしまう。これに対して、特
開平5−311357のように、{100}集積度を低
くしてエッチングをランダムに進行させる方法が提案さ
れており、透過孔の真円度を主とした形状の均一性を向
上させるには一応の効果が得られるようになった。しか
しながら、{100}集積度を低くするには、焼鈍間の
加工度を小さくしなければならず、焼鈍回数が増えるこ
とから生産コストがかかるといった問題があり、加工度
を小さくする方法によらずに{100}集積度を低くで
きるシャドウマスク素材が望まれていた。
くした場合に透過孔の形状が真円にならなくなる理由
は、次のように考えることができる。面心立方晶である
Fe−Ni系合金はエッチング速度の最も遅い面(最密
面)である(111)面が残るようにエッチングが進行
する。従って、圧延面に(100)面を揃えると、圧延
方向に対して45度の角度を持つ四辺を底面とする逆四
角錐の形にエッチングされてしまう。これに対して、特
開平5−311357のように、{100}集積度を低
くしてエッチングをランダムに進行させる方法が提案さ
れており、透過孔の真円度を主とした形状の均一性を向
上させるには一応の効果が得られるようになった。しか
しながら、{100}集積度を低くするには、焼鈍間の
加工度を小さくしなければならず、焼鈍回数が増えるこ
とから生産コストがかかるといった問題があり、加工度
を小さくする方法によらずに{100}集積度を低くで
きるシャドウマスク素材が望まれていた。
【0007】このようなことから、本発明が課題とした
のは、加工度を小さくする方法によらずに{100}集
積度を低くできるシャドウマスク素材を開発し、シャド
ウマスクの製造工程における電子線の透過孔のエッチン
グ穿孔性に優れたシャドウマスク素材を提供することで
ある。
のは、加工度を小さくする方法によらずに{100}集
積度を低くできるシャドウマスク素材を開発し、シャド
ウマスクの製造工程における電子線の透過孔のエッチン
グ穿孔性に優れたシャドウマスク素材を提供することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を達成すべく、微量成分および不可避的不純物がFe−
Ni系合金の集合組織に及ぼす影響を詳細に調査した結
果、Mnが0.10wt%以下で、エッチング面の結晶
粒度が9.0以上のものは、最終焼鈍前の加工度が80
%以上の場合にも透過孔の真円度が損なわれず、良好な
エッチング穿孔性を示すとの新しい知見を得た。Mnを
0.10wt%以下にすると、{100}集積度を低く
でき、そのため透過孔の真円度が損なわれない。ここで
{100}集積度とは数1で計算した値を言う。
を達成すべく、微量成分および不可避的不純物がFe−
Ni系合金の集合組織に及ぼす影響を詳細に調査した結
果、Mnが0.10wt%以下で、エッチング面の結晶
粒度が9.0以上のものは、最終焼鈍前の加工度が80
%以上の場合にも透過孔の真円度が損なわれず、良好な
エッチング穿孔性を示すとの新しい知見を得た。Mnを
0.10wt%以下にすると、{100}集積度を低く
でき、そのため透過孔の真円度が損なわれない。ここで
{100}集積度とは数1で計算した値を言う。
【0009】
【数1】
【0010】本発明は、上記知見事項に基づいてなされ
たものであり、Niを30〜45wt%含有し、残部F
e及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但しC:0.
10wt%以下、Si:0.30wt%以下、Al:
0.30wt%以下、S:0.005wt%以下、P:
0.005wt%以下−の組成のFe−Ni系合金から
なり、最終焼鈍前の加工度を80%以上として圧延する
ことにより製造されたシャドウマスク素材において、M
nを0.10wt%以下として{100}集積度を低く
しかつエッチング面の結晶粒度が粒度番号で9.0以上
であり、エッチング穿孔性に優れることを特徴とするシ
ャドウマスク素材を提供する。
たものであり、Niを30〜45wt%含有し、残部F
e及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但しC:0.
10wt%以下、Si:0.30wt%以下、Al:
0.30wt%以下、S:0.005wt%以下、P:
0.005wt%以下−の組成のFe−Ni系合金から
なり、最終焼鈍前の加工度を80%以上として圧延する
ことにより製造されたシャドウマスク素材において、M
nを0.10wt%以下として{100}集積度を低く
しかつエッチング面の結晶粒度が粒度番号で9.0以上
であり、エッチング穿孔性に優れることを特徴とするシ
ャドウマスク素材を提供する。
【0011】本発明はまた、Niを30〜45wt%含
有し、残部Fe及び不可避的不純物もしくは随伴元素−
但しC:0.10wt%以下、Si:0.30wt%以
下、Al:0.30wt%以下、S:0.005wt%
以下、P:0.005wt%以下−の組成のFe−Ni
系合金からなり、最終焼鈍前の加工度を80%以上とし
て圧延することにより製造されたシャドウマスク素材を
エッチング穿孔した電子線透過孔を備えるシャドウマス
ク素材において、Mnを0.10wt%以下として{1
00}集積度を低くしかつエッチング面の結晶粒度が粒
度番号で9.0以上としてエッチング穿孔された、良好
な真円度を有する電子線透過孔を備えることを特徴とす
る電子線透過孔を備えるシャドウマスク素材を提供す
る。
有し、残部Fe及び不可避的不純物もしくは随伴元素−
但しC:0.10wt%以下、Si:0.30wt%以
下、Al:0.30wt%以下、S:0.005wt%
以下、P:0.005wt%以下−の組成のFe−Ni
系合金からなり、最終焼鈍前の加工度を80%以上とし
て圧延することにより製造されたシャドウマスク素材を
エッチング穿孔した電子線透過孔を備えるシャドウマス
ク素材において、Mnを0.10wt%以下として{1
00}集積度を低くしかつエッチング面の結晶粒度が粒
度番号で9.0以上としてエッチング穿孔された、良好
な真円度を有する電子線透過孔を備えることを特徴とす
る電子線透過孔を備えるシャドウマスク素材を提供す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明におけるFe−Ni系合金
素材のNi含有量は30wt%未満、または45wt%
を超えると熱膨張係数が大きくシャドウマスク用として
不適当であるために、30〜45wt%の範囲に限定し
ている。さらに、該合金素材の不純物及び随伴元素の量
は以下説明する理由により上限を限定している。
素材のNi含有量は30wt%未満、または45wt%
を超えると熱膨張係数が大きくシャドウマスク用として
不適当であるために、30〜45wt%の範囲に限定し
ている。さらに、該合金素材の不純物及び随伴元素の量
は以下説明する理由により上限を限定している。
【0013】a)C含有量 Cが0.10wt%を超えると、炭化物の生成によって
エッチング穿孔性が阻害されシャドウマスク用素材とし
て適さない。従って、C含有量の上限を0.10wt%
と定めた。
エッチング穿孔性が阻害されシャドウマスク用素材とし
て適さない。従って、C含有量の上限を0.10wt%
と定めた。
【0014】b)Si含有量 Siが0.30wt%を超えると、エッチング穿孔性が
阻害され、シャドウマスク用素材として適さない。従っ
て、Si含有量の上限を0.30wt%と定めた。
阻害され、シャドウマスク用素材として適さない。従っ
て、Si含有量の上限を0.30wt%と定めた。
【0015】c)Al含有量 Alが0.30wt%を超えると、アルミナ系の介在物
の形成が著しく、エッチング穿孔性を阻害する。従っ
て、Al含有量の上限を0.30wt%と定めた。
の形成が著しく、エッチング穿孔性を阻害する。従っ
て、Al含有量の上限を0.30wt%と定めた。
【0016】d)S含有量 Sは、0.005wt%を超えると、素材の熱間加工性
を著しく阻害する。従って、S含有量の上限を0.00
5wt%と定めた。
を著しく阻害する。従って、S含有量の上限を0.00
5wt%と定めた。
【0017】e)P含有量 Pが0.005wt%を超えると、素材のエッチング穿
孔性が阻害され、シャドウマスク用素材として適さな
い。従って、P含有量の上限を0.005wt%と定め
た。
孔性が阻害され、シャドウマスク用素材として適さな
い。従って、P含有量の上限を0.005wt%と定め
た。
【0018】f)Mn含有量 Mnは、熱間加工性を阻害するSを無害化するために鉄
系合金に随伴されている。しかし、Mnは、その含有量
が少なければ少ないほどエッチング穿孔した透過孔が真
円となる。またMnが0.10wt%を超えると、最終
焼鈍前の加工度を80%以下にしないと、最終焼鈍後の
圧延面への{100}集積度がエッチング穿孔した透過
孔の真円度が損なわれる境界値の80%を超えてしま
う。従って、その上限を0.10wt%と定めた。但
し、その含有量が少なければ少ないほど図1で定義され
るエッチングファクター(d:エッチング深さ、SE:
エッチングに際してレジストの下側側方にまで回り込ん
でエッチングされたサイドエッチ量とするとき、エッチ
ングファクターEFはd/SEとして表される。)が著
しく向上することからも、0.05wt%以下が好まし
い。S量を上記の含有量以下なるたけ低減して、S固定
に必要なMn量を少なくすることが好ましい。
系合金に随伴されている。しかし、Mnは、その含有量
が少なければ少ないほどエッチング穿孔した透過孔が真
円となる。またMnが0.10wt%を超えると、最終
焼鈍前の加工度を80%以下にしないと、最終焼鈍後の
圧延面への{100}集積度がエッチング穿孔した透過
孔の真円度が損なわれる境界値の80%を超えてしま
う。従って、その上限を0.10wt%と定めた。但
し、その含有量が少なければ少ないほど図1で定義され
るエッチングファクター(d:エッチング深さ、SE:
エッチングに際してレジストの下側側方にまで回り込ん
でエッチングされたサイドエッチ量とするとき、エッチ
ングファクターEFはd/SEとして表される。)が著
しく向上することからも、0.05wt%以下が好まし
い。S量を上記の含有量以下なるたけ低減して、S固定
に必要なMn量を少なくすることが好ましい。
【0019】次に、結晶粒度の規定理由を説明する。結
晶粒度が小さいほど、エッチング後の孔形状及びエッチ
ング壁面が平滑になり、シャドウマスクの品質が向上す
ることは従来より知られており、本発明においてもこの
点は同様で、結晶粒度が粒度番号で9.0以上であるこ
とが必要である。好ましくは9.5〜12.0の範囲と
される。なお、9.0未満の場合、Mnの効果で圧延面
への{100}集積度を低くしても、孔形状の均一性が
得られない。ここでの粒度番号はJISG0551の規
定に基づく。
晶粒度が小さいほど、エッチング後の孔形状及びエッチ
ング壁面が平滑になり、シャドウマスクの品質が向上す
ることは従来より知られており、本発明においてもこの
点は同様で、結晶粒度が粒度番号で9.0以上であるこ
とが必要である。好ましくは9.5〜12.0の範囲と
される。なお、9.0未満の場合、Mnの効果で圧延面
への{100}集積度を低くしても、孔形状の均一性が
得られない。ここでの粒度番号はJISG0551の規
定に基づく。
【0020】本発明におけるシャドウマスク材は、基本
的には、特にMn含有量を0.10wt%以下に低減し
た、所定の組成のスラブを調製し、熱間圧延後に表面の
酸化スケールを除去し、冷間圧延と焼鈍を繰り返して厚
さ0.3mm以下のシャドウマスク素材に仕上げられ
る。例えば、冷間圧延→焼鈍→中間冷間圧延→焼鈍→最
終冷間圧延の順に加工し、厚さ0.3mm以下のシャド
ウマスク素材に仕上げられる。各焼鈍は完全に再結晶す
るのに充分な温度と時間で実施される。最終冷間圧延終
了後の圧延面への{100}集積度を例えば70〜80
%に制御するために、中間冷間圧延の加工度が例えば8
0〜90%の範囲で調整される。再結晶化を完全なもの
にするために、熱間圧延後に焼鈍を行っても良い。結晶
粒度は、焼鈍温度と保持時間によって調整される。結晶
粒度番号を9.0以上とした最終冷間圧延後の圧延面へ
エッチング穿孔がなされて電子線透過孔が形成される。
真円度の良好なそして孔形状及びエッチング壁面が平滑
な電子線透過孔を形成することができる。エッチング
は、周知のフォトグラフィー技術を適用し、素材の片側
の表面に例えば直径80μmの真円状開口部を多数有
し、もう一方の表面の相対する位置に例えば直径180
μmの真円状開口部を有するレジストマスクを形成した
後、塩化第二鉄水溶液をスプレー状に吹付け、透過孔を
形成する。
的には、特にMn含有量を0.10wt%以下に低減し
た、所定の組成のスラブを調製し、熱間圧延後に表面の
酸化スケールを除去し、冷間圧延と焼鈍を繰り返して厚
さ0.3mm以下のシャドウマスク素材に仕上げられ
る。例えば、冷間圧延→焼鈍→中間冷間圧延→焼鈍→最
終冷間圧延の順に加工し、厚さ0.3mm以下のシャド
ウマスク素材に仕上げられる。各焼鈍は完全に再結晶す
るのに充分な温度と時間で実施される。最終冷間圧延終
了後の圧延面への{100}集積度を例えば70〜80
%に制御するために、中間冷間圧延の加工度が例えば8
0〜90%の範囲で調整される。再結晶化を完全なもの
にするために、熱間圧延後に焼鈍を行っても良い。結晶
粒度は、焼鈍温度と保持時間によって調整される。結晶
粒度番号を9.0以上とした最終冷間圧延後の圧延面へ
エッチング穿孔がなされて電子線透過孔が形成される。
真円度の良好なそして孔形状及びエッチング壁面が平滑
な電子線透過孔を形成することができる。エッチング
は、周知のフォトグラフィー技術を適用し、素材の片側
の表面に例えば直径80μmの真円状開口部を多数有
し、もう一方の表面の相対する位置に例えば直径180
μmの真円状開口部を有するレジストマスクを形成した
後、塩化第二鉄水溶液をスプレー状に吹付け、透過孔を
形成する。
【0021】次いで、本発明の実施例を比較例と対比し
ながら説明する。
ながら説明する。
【0022】
【実施例】まず、真空溶解法にてMn以外の随伴元素を
下記成分に調整して溶解鋳造したFe−Ni系合金イン
ゴットを熱間鍛造、熱間圧延した。ついで表面の酸化ス
ケール除去後に冷間圧延→焼鈍→冷間圧延→焼鈍
→冷間圧延の順に加工し、0.13mm厚さの合金
帯を製造した。なお、冷間圧延は加工度20%のダル
圧延で実施した。ここで、各焼鈍は完全に再結晶するの
に充分な温度と時間で実施し、冷間圧延の加工度を表
1の範囲で変化させ、その加工度にするために冷間圧延
の仕上げ厚さを調整した。なお、Fe−Ni系合金の
成分は次のように調整した。 Ni:36.2%、C:0.007%、Si:0.05
%、 Al:0.005%、S:0.002%、P:0.00
3%
下記成分に調整して溶解鋳造したFe−Ni系合金イン
ゴットを熱間鍛造、熱間圧延した。ついで表面の酸化ス
ケール除去後に冷間圧延→焼鈍→冷間圧延→焼鈍
→冷間圧延の順に加工し、0.13mm厚さの合金
帯を製造した。なお、冷間圧延は加工度20%のダル
圧延で実施した。ここで、各焼鈍は完全に再結晶するの
に充分な温度と時間で実施し、冷間圧延の加工度を表
1の範囲で変化させ、その加工度にするために冷間圧延
の仕上げ厚さを調整した。なお、Fe−Ni系合金の
成分は次のように調整した。 Ni:36.2%、C:0.007%、Si:0.05
%、 Al:0.005%、S:0.002%、P:0.00
3%
【0023】ここで、得られた合金帯のうち、試料N
o.1〜5の本発明の要件を満たす実施例であり、そし
て試料No.6〜10は比較例である。
o.1〜5の本発明の要件を満たす実施例であり、そし
て試料No.6〜10は比較例である。
【0024】次に、これら合金帯に周知のフォトグラフ
ィー技術を適用し、合金帯の片側の表面に直径80μm
の真円状開口部を多数有し、もう一方の表面の相対する
位置に直径180μmの真円状開口部を有するレジスト
マスクを形成した後、塩化第二鉄水溶液をスプレー状に
吹付け、透過孔を形成しシャドウマスクを作製した。そ
して、透過孔の貫通部の形状について、真円度の評価
は、透過孔の貫通部の形状を、その最大径の2乗と円周
率の積を面積で割った値を100倍した形状係数を用い
て評価した。この形状係数は真円の場合に400とな
り、正方形の場合に628(2×円周率×100)とな
る。真円度の評価は、形状係数で400〜440の場合
を良とし、440を超える場合を不良とした。
ィー技術を適用し、合金帯の片側の表面に直径80μm
の真円状開口部を多数有し、もう一方の表面の相対する
位置に直径180μmの真円状開口部を有するレジスト
マスクを形成した後、塩化第二鉄水溶液をスプレー状に
吹付け、透過孔を形成しシャドウマスクを作製した。そ
して、透過孔の貫通部の形状について、真円度の評価
は、透過孔の貫通部の形状を、その最大径の2乗と円周
率の積を面積で割った値を100倍した形状係数を用い
て評価した。この形状係数は真円の場合に400とな
り、正方形の場合に628(2×円周率×100)とな
る。真円度の評価は、形状係数で400〜440の場合
を良とし、440を超える場合を不良とした。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示した結果から、本発明に係る試料
No.1〜5のようにMnが0.10wt%以下で結晶
粒度が9.0以上のものは、最終焼鈍前の加工度が80
%以上の場合にも透過孔の真円度が損なわれず、良好な
エッチング穿孔性を示した。特にMn量を0.001w
t%とした試料No.5は最終加工度が90%でも良好
なエッチング穿孔性が得られた。
No.1〜5のようにMnが0.10wt%以下で結晶
粒度が9.0以上のものは、最終焼鈍前の加工度が80
%以上の場合にも透過孔の真円度が損なわれず、良好な
エッチング穿孔性を示した。特にMn量を0.001w
t%とした試料No.5は最終加工度が90%でも良好
なエッチング穿孔性が得られた。
【0027】これに対して、試料No.6〜8はMn量
が0.1%を超えるために最終焼鈍前の加工度が80%
を超えると圧延面への{100}集積度が80%を超え
ているため透過孔の真円度の評価は不良であった。ま
た、試料No.9と10は結晶粒度が9.0未満である
ため穿孔後の孔形状が不均一なためにシャドウマスクと
して不適当であった。
が0.1%を超えるために最終焼鈍前の加工度が80%
を超えると圧延面への{100}集積度が80%を超え
ているため透過孔の真円度の評価は不良であった。ま
た、試料No.9と10は結晶粒度が9.0未満である
ため穿孔後の孔形状が不均一なためにシャドウマスクと
して不適当であった。
【0028】つまり、上記結果から、本発明の要件を満
足することによって、エッチング加工により形成する電
子線の透過孔の真円度を損なわないという優れたエッチ
ング穿孔性をFe−Ni系合金のシャドウマスク素材に
付与することが初めて可能となったのである。
足することによって、エッチング加工により形成する電
子線の透過孔の真円度を損なわないという優れたエッチ
ング穿孔性をFe−Ni系合金のシャドウマスク素材に
付与することが初めて可能となったのである。
【0029】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明によれば、
Fe−Ni系合金のシャドウマスク素材において、エッ
チング加工により形成する電子線の透過孔を真円度を損
なわずに穿孔することができ、焼鈍間の加工度を大きく
することができるのでシャドウマスク素材の薄肉化に対
して、焼鈍回数を増やすことなく高精度シャドウマスク
用の高品質な素材の提供が可能となるなど、産業上非常
に有用な効果がもたらされる。
Fe−Ni系合金のシャドウマスク素材において、エッ
チング加工により形成する電子線の透過孔を真円度を損
なわずに穿孔することができ、焼鈍間の加工度を大きく
することができるのでシャドウマスク素材の薄肉化に対
して、焼鈍回数を増やすことなく高精度シャドウマスク
用の高品質な素材の提供が可能となるなど、産業上非常
に有用な効果がもたらされる。
【図1】エッチングファクターの説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 H01J 29/07 C21D 9/46 - 9/48
Claims (2)
- 【請求項1】 Niを30〜45wt%含有し、残部F
e及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但しC:0.
10wt%以下、Si:0.30wt%以下、Al:
0.30wt%以下、S:0.005wt%以下、P:
0.005wt%以下−の組成のFe−Ni系合金から
なり、最終焼鈍前の加工度を80%以上として圧延する
ことにより製造されたシャドウマスク素材において、M
nを0.10wt%以下として{100}集積度を低く
しかつエッチング面の結晶粒度が粒度番号で9.0以上
であり、エッチング穿孔性に優れることを特徴とするシ
ャドウマスク素材。 - 【請求項2】 Niを30〜45wt%含有し、残部F
e及び不可避的不純物もしくは随伴元素−但しC:0.
10wt%以下、Si:0.30wt%以下、Al:
0.30wt%以下、S:0.005wt%以下、P:
0.005wt%以下−の組成のFe−Ni系合金から
なり、最終焼鈍前の加工度を80%以上として圧延する
ことにより製造されたシャドウマスク素材をエッチング
穿孔した電子線透過孔を備えるシャドウマスク素材にお
いて、Mnを0.10wt%以下として{100}集積
度を低くしかつエッチング面の結晶粒度が粒度番号で
9.0以上としてエッチング穿孔された、良好な真円度
を有する電子線透過孔を備えることを特徴とする電子線
透過孔を備えるシャドウマスク素材。
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JP14849996A JP3222062B2 (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク素材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14849996A JP3222062B2 (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク素材 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09310158A JPH09310158A (ja) | 1997-12-02 |
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Family Applications (1)
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JP14849996A Expired - Fee Related JP3222062B2 (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク素材 |
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1996
- 1996-05-21 JP JP14849996A patent/JP3222062B2/ja not_active Expired - Fee Related
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