JP2004018961A - 強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐衝撃性と磁気特性が同時に優れている高強度低熱膨張合金薄板を提供する。
【解決手段】質量%でNi:35〜37%、C:0.01〜0.07%、Si:0.3%以下、Mn:0.6%以下、P:0.01%以下、S:0.005%以下、N:0.01%以下、Al:0.1%以下、残部が実質的にFe、結晶粒度番号が9以上、{200}面集積度が85%以下、プレス前軟化焼鈍後の20〜100℃における平均熱膨張係数が1.2×10−6/℃以下である強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板。化学成分を、Si:0.09%以下、Mn:0.01〜0.1%、Al:0.005〜0.04%とすることにより、上記平均熱膨張係数を0.9×10−6/℃以下とし、あるいは、上記0.2%耐力が270〜320MPa、最大透磁率が7000以上とすることもできる。
【選択図】 図1
【解決手段】質量%でNi:35〜37%、C:0.01〜0.07%、Si:0.3%以下、Mn:0.6%以下、P:0.01%以下、S:0.005%以下、N:0.01%以下、Al:0.1%以下、残部が実質的にFe、結晶粒度番号が9以上、{200}面集積度が85%以下、プレス前軟化焼鈍後の20〜100℃における平均熱膨張係数が1.2×10−6/℃以下である強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板。化学成分を、Si:0.09%以下、Mn:0.01〜0.1%、Al:0.005〜0.04%とすることにより、上記平均熱膨張係数を0.9×10−6/℃以下とし、あるいは、上記0.2%耐力が270〜320MPa、最大透磁率が7000以上とすることもできる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブラウン管シャドウマスク用材料等に使用されるFe−Ni系の低熱膨張合金薄板において、荷役・搬送等における耐衝撃性を有し、磁気シールド性不良による色ズレを起こしにくい、強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ブラウン管のシャドウマスクの素材として使用される材料として、Fe−Ni系の合金薄板がある。これは熱膨張率が軟鋼よりも小さく、ドーミングが起こりにくい。すなわち、マスク面が電子ビームの照射により加熱されて膨張し、マスクの孔を通過した電子ビームが所定の蛍光面に当たらず、色ズレを起こすという問題が起こりにくい。
【0003】
しかし、もう一方で、Fe−Ni系合金はブラウン管を搬送する際の振動や衝撃などによって、シャドウマスクの曲面に凹みを生じて色ズレの原因となるため、荷役・搬送等における耐衝撃性の向上が強く望まれている。さらに、Fe−Ni系合金を使用したブラウン管においては、磁気シールド性が不十分であるために生じる電子ビームの偏倚による色ズレも問題であり、磁気特性の向上も強く望まれている。
【0004】
このように、シャドウマスクの素材となるFe−Ni系合金薄板については、低熱膨張性を維持しつつ、荷役・搬送等における耐衝撃性と磁気特性が同時に向上することが求められている。しかし、このような状況にもかかわらず、Fe−Ni系合金薄板において、上記のシャドウマスクの耐衝撃性と磁気特性を同時に向上できるような技術はほとんど知られていない。わずかに、個々の特性の改善に関する技術が公開されているのみである。
【0005】
シャドウマスクの耐衝撃性の改善(強度の改善)については、特許第3150831号公報には、Fe−Ni系合金のヤング率を向上させるためにNbを添加することが提案されている。その詳細は、C:0.003〜0.02% N :0.01%以下 Si:0.01〜2.0% Mn:0.01〜3.0% Ni:25〜45% Cr:1.0%以下 Nb:0.01〜1.0% B :0.01%以下 S :0.01%以下残部がFe及び不可避的不純物からなり、(C+N)≦−0.008Nb+0.023であることを特徴とする高ヤング率低熱膨張Fe−Ni合金というものである。
【0006】
磁気特性の改善については、特開平10−199719号公報に、Fe−Ni系合金の磁気焼鈍特性を向上させるためにBの添加およびNの低減を行うことが提案されている。その詳細は、30〜85%のNiとFeを主成分とし、5〜50ppmのBを含有するFe−Ni系磁性合金薄板とし、合金内に存在するNが50ppm以下であるとともに、B[原子%]/N[原子%]が0.8以上であり、さらに好ましくは、重量%にて、合金内に存在するAlが400ppm以下、Oが50ppm以下である磁性焼鈍特性に優れたFe−Ni系磁性合金薄板というものである。また同公報には、「磁気特性を改善する目的でCr、Mo、Cu、Siなどを含有せしめてもよい」と記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許第3150831号公報記載の技術は、ヤング率を向上させることを目的としており、これによりシャドウマスクの剛性は向上するが、磁気特性については言及されていない。そのため、同公報記載の合金については、磁気特性を考慮した化学成分とは言えず、後述のように良好な磁気特性は期待できない。また、熱膨張係数についても、同公報の実施例を見る限り、1.51〜2.32×10−6/℃と高目である。
【0008】
特開平10−199719号公報記載の合金については、Niの成分範囲が広く、低熱膨張性合金を目的とした技術とは言えない。実施例(表1)を見てもNiは 32〜84%の範囲に及んでおり、Ni が36%に近い合金は試料No.1,2の32.9%,38.4%のみである。さらに、同公報では、前述の荷役・搬送等におけるシャドウマスクの耐衝撃性の向上については言及されていない。
【0009】
以上のような状況を鑑み、本発明では、低熱膨張性を維持しつつシャドウマスクの荷役・搬送等における耐衝撃性と磁気特性が同時に優れているFe−Ni系高強度低熱膨張合金薄板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は以下の発明により解決できる。その発明は、化学成分として質量%でNi:35〜37%、C:0.01〜0.07%、Si:0.3%以下、Mn:0.6%以下、P:0.01%以下、S:0.005%以下、N:0.01%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部が実質的にFeから成り、オーステナイト結晶粒度番号が9以上、{200}面集積度が85%以下であり、プレス前軟化焼鈍後の20〜100℃における平均熱膨張係数が1.2×10−6/℃以下であることを特徴とする強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板である。
【0011】
この発明においては、化学成分の範囲をさらに限定して、化学成分の内、Si、Mn、およびAl を、Si:0.09%以下、Mn:0.01〜0.1%、Al:0.005〜0.04%とすることにより、プレス前軟化焼鈍後の20〜100℃における平均熱膨張係数が0.9×10−6/℃以下であることを特徴とする強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板とすることもできる。
【0012】
またさらに、これらの発明において、プレス前軟化焼鈍後の0.2%耐力が270〜320MPa、最大透磁率が7000以上であることを特徴とする強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板とすることもできる。
【0013】
これらの発明は、Fe−Ni系合金薄板について、荷役・搬送等におけるシャドウマスクとしての耐衝撃性と磁気特性を向上できる方法について検討し、さらに、エッチング特性についても鋭意検討した結果なされた。検討の過程で、シャドウマスクとしての耐衝撃性と磁気特性については、C量を通常より多い所定の範囲内にすることにより同時に改善することができ、特に耐衝撃性については、軟化焼鈍後(プレス成形前)の耐力を確保することにより、衝撃試験における凹みの発生率を大幅に低減できることが見出された。
【0014】
以下、本発明について説明する。まず、本発明の高強度低熱膨張合金の化学成分について説明する。
【0015】
Ni:35〜37%
Niは、本発明の合金薄板における鉄以外の基本成分元素である。低熱膨張特性を得るための必須元素として、Niを35%以上、37%以下の範囲内とする。
【0016】
さらに、シャドウマスクの耐衝撃性と磁気特性を向上させ、熱間加工性、低熱膨張性、エッチング性を確保するために、C、Si、Mn、P、S、N、Alを以下のように限定する必要がある。
【0017】
C: 0.01〜0.07%
Cは、シャドウマスクの耐衝撃性および磁気特性を向上させるため、本発明において最も重要な元素であり、その効果を得るためには0.01%以上とする必要がある。一方、C量が0.07%を超えると、エッチング性および低熱膨張性を劣化させる。従って、C量を0.01〜0.07%の範囲内とする。
【0018】
Si:0.3%以下
Siは、シャドウマスクの黒化処理性および低熱膨張性を劣化させるため0.3%以下にする必要がある。特に低熱膨張性が厳しく要求される場合には、Si 量を0.09%以下とすることが好ましい。
【0019】
Mn:0.6%以下
Mnは、低熱膨張性を劣化させるため0.6%以下にする必要があり、特に低熱膨張性が厳しく要求される場合には0.1%以下が好ましい。一方で、脱酸元素および熱間加工性を改善する元素として有効であり、そのためにはMn 量を0.01%以上とすることが好ましい。
【0020】
P:0.01%以下
Pは、エッチング性を劣化させるため、0.01%以下にする必要がある。
【0021】
S:0.005%以下
Sは、硫化物を析出することにより熱間加工性を劣化させるので、0.005%以下にする必要がある。
【0022】
N:0.01%以下
Nは、Al等の元素と一緒に含まれると、窒化物を析出することにより熱間加工性を劣化させるとともに、エッチング性を劣化させるため、0.01%以下にする必要がある。
【0023】
Al:0.1%以下
Alは、窒化物を析出することにより熱間加工性を劣化させるとともに、低熱膨張性を劣化させるので0.1%以下にする必要がある。特に低熱膨張性が厳しく要求される場合には0.04%以下が好ましい。一方で、溶製時に鋼中の介在物を低減する効果も有しているため、できれば0.005%以上含むことが望ましい。
【0024】
その他の特性については、次のようになる。
【0025】
オーステナイト結晶粒度番号:9以上
本発明はCが従来のシャドウマスク用合金より高く、微細炭化物が析出するため、エッチング後の孔側壁面が平滑にならず粗くなる現象(以下、エッチング孔側壁面の荒れという)が起こる。これは、オーステナイト結晶粒径の増加に伴い見られるようになり、粒度番号が9未満(結晶粒径大)で顕著となる。従って、オーステナイト結晶粒度番号を9以上(の細粒)とする。
【0026】
{200}面集積度:85%以下
上記のエッチング孔側壁面の荒れの発生には{200}面集積度も影響を及ぼし、これが85%を超えると、エッチング孔側壁面の荒れの発生が顕著となる。従って、{200}面集積度を85%以下とする。
【0027】
20〜100℃における平均熱膨張係数:1.2×10−6/℃以下
平均熱膨張係数については、プレス前の軟化焼鈍後の状態で、20〜100℃における値が1.2×10−6/℃を超えると、ドーミングを起こすことが多い。従って、ドーミングを起こしにくくするために20〜100℃における平均熱膨張係数を1.2×10−6/℃以下とする。さらに、ドーミングを殆ど起こさないようにするには、より厳格に化学成分を規制することにより、20〜100℃における平均熱膨張係数を0.9×10−6/℃以下とすることが望ましい。
【0028】
プレス前軟化焼鈍後の0.2%耐力:270〜320MPa
プレス前に行う軟化焼鈍後の0.2%耐力は、シャドウマスクのプレス加工性と荷役・搬送等における耐衝撃性に影響を与える。この0.2%耐力が270MPa未満では、シャドウマスクとしての耐衝撃性が不十分となり、荷役・搬送等において凹み等が発生することがある。一方、この0.2%耐力が320MPaを超えると、プレス加工が困難となる。
【0029】
プレス前軟化焼鈍後の最大透磁率:7000以上
最大透磁率が7000未満の場合、シャドウマスクとして十分な磁気シールド性を得られなくなる。従ってプレス前軟化焼鈍後の最大透磁率を7000以上とする。
【0030】
上述の高強度低熱膨張合金薄板を製造することができる製造方法の発明は、上記化学成分を有する薄板を用いて、冷圧率50〜90%で最終再結晶焼鈍前冷間圧延を行い、1000℃以下の焼鈍温度で最終再結晶焼鈍を行うことを特徴とする強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板の製造方法である。
【0031】
この発明は、上述の発明の強度と磁気特性を得るためにCが通常よりも多く添加された合金薄板を、エッチング孔側壁面の荒れを発生させないように製造するため条件を規定している。以下、製造条件について説明する。
【0032】
最終再結晶焼鈍前冷間圧延の冷圧率:50〜90%
最終再結晶焼鈍前冷間圧延は、結晶粒度および{200}面集積度に大きな影響を及ぼす。 その冷圧率が50%未満の場合、焼鈍後の結晶粒が粗大に(結晶粒度番号は小さく)なりすぎて、エッチング孔側壁面の荒れが発生しやすくなる。一方、冷圧率が90%を超えると、{200}面の集積が過剰となり、やはりエッチング孔側壁面の荒れが発生しやすくなる。従って、最終再結晶焼鈍前冷間圧延の冷圧率を50〜90%とする。
【0033】
最終再結晶焼鈍温度:1000℃以下
最終再結晶焼鈍の焼鈍温度が1000℃を超えると、結晶粒が粗大に(結晶粒度番号は小さく)なりすぎて、エッチング孔側壁面の荒れが発生しやすくなる。従って、最終再結晶焼鈍温度を1000℃以下とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
発明の実施に当たっては、前記成分組成で溶製し、造塊法または連続鋳造法によりスラブとする。造塊法の場合、鋳造塊に対し必要に応じて通常1000℃以上で均質化熱処理を行い、続いて分塊圧延を行った後、熱間圧延に供する。連続鋳造法の場合、スラブに対し同じく必要に応じて通常1000℃以上で均質化熱処理を行った後、熱間圧延に供する。熱間圧延では、圧延前に通常900℃以上に加熱し、圧延して熱延鋼板とする。
【0035】
この熱延板について、酸洗または研削により表面のスケールを除去した後、冷間圧延と回復焼鈍または再結晶焼鈍を1回以上施して、使用する目的に適した板厚、例えば0.05〜0.5mm程度の薄板を得る。このとき、最終再結晶焼鈍前冷延の冷圧率は通常20〜95%程度、最終再結晶焼鈍の温度は通常700〜1200℃程度の範囲で行われるが、炭化物の析出によるエッチング孔側壁面の荒れの発生を防止するためには、結晶粒径および結晶方位の調整が必要であり、オーステナイト結晶粒度番号9以上、{200}面集積度を85%以下とする。また、そのためには、最終再結晶焼鈍前冷延の冷圧率を50〜90%、最終再結晶焼鈍の温度を1000℃以下とすることが望ましい。
【0036】
【実施例】
[実施例1]
以下、本発明の合金薄板をブラウン管のシャドウマスク用素材として使用する場合の実施例について説明する。まず、表1に示す成分組成の鋼を電気炉で溶製した。
【0037】
【表1】
符号A〜Dはいずれも本発明例で、成分が適正に調整されている鋼である。このうち、符号BはCが下限付近、符号CはCが上限付近、符号DはMnが下限付近の鋼である。一方、符号E,Fはいずれも比較例で、このうち、符号EはCが下限未満、符号FはCが過剰に添加されている。
【0038】
次に、造塊に続いて1200℃以上での均熱処理およびその後の分塊圧延を行ってスラブとした。続いて、スラブ表面全体を研削した。次にこのスラブを1000℃以上に加熱し、熱間圧延により熱延鋼板とした。さらに、熱延鋼板を酸洗して表面のスケールを除去し、冷間圧延と再結晶焼鈍または回復焼鈍を繰り返し、板厚0.12mmの薄板とした。なお、最終再結晶焼鈍前冷間圧延の冷圧率は90%、最終再結晶焼鈍の温度は1000℃とし、いずれも本発明の範囲内である。
【0039】
この薄板がブラウン管材料として使用された際の実装特性を評価するため、以下のような試験を行った。まず、エッチング性評価試験片、JIS 5号引張試験片、磁気特性評価用リング試験片、熱膨張係数測定用試験片を、製造した薄板の幅方向センター部より採取した。
【0040】
エッチング性は、フォトエッチングを行った試験片を用いて、エッチングされた孔の側壁面をSEMにて観察し、○(平滑)、△(僅かに凹凸あり)、および×(凹凸あり)の3段階で評価した。ここで、○と△は実用上問題のないレベルである。
【0041】
これ以外(引張、磁気、熱膨張)の試験片については、プレス前焼鈍に相当する熱処理として、Ar雰囲気中にて750〜900℃×15分均熱の熱処理を行った。引張試験はJIS Z 2241の引張試験方法に準じ、0.2%耐力を求めた。磁気特性評価は、JIS C 2531に基づき、印加磁界10Oeにて試験し最大透磁率を求めた。熱膨張係数測定は、光干渉式熱膨張測定装置により20〜100℃での平均熱膨張係数を求めた。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
また、図1に0.2%耐力と最大透磁率の関係を示す。この図では、各符号について4点示してあり、それぞれ左上から右下にかけて焼鈍温度900,850,800,750℃に対応している。図1より、比較例である符号E(図中×印)は最も左下にあって強度と磁気特性のバランスが最も低いが、本発明例である符号A〜Dは、270〜320MPaの0.2%耐力と7000以上の最大透磁率が得られていることがわかる。
【0043】
また、本発明例では、Cの増加とともに符号B,A,C,Dの順に強度−磁気特性バランスが向上している。さらに、強度−磁気特性バランスの点で、0.2%耐力を0.2%PS(MPa)、最大透磁率をμmaxとするとき、
0.2%PS+5(μmax/1000)≧320 (1)
である方が(図中斜めの直線より右上が)好ましいが、これも本発明例では達成されている。
【0044】
表2を見ると、熱膨張係数は全て1.2×10−6/℃以下と低く、特に符号DではMnが低いので熱膨張係数が0.9×10−6/℃以下とさらに低熱膨張性となっている。なお、比較例の符号Fは、強度−磁気特性バランスとしては問題ないものの、Cが高すぎるためエッチング特性が不良(エッチング孔側壁面の荒れ発生)となった。
[実施例2]
実施例1で溶製した表1の符号Aの成分組成の鋳造塊を使用して、実施例1と同様の手順で板厚0.12mmの薄板とした。このとき、表3に示すように、7通りに製造条件を変化させた。すなわち、最終再結晶焼鈍前冷間延延の冷圧率および最終再結晶焼鈍温度を変化させた。
【0045】
この薄板について、結晶粒度測定、{200}面集積度の測定、および実施例1と同様にエッチング特性の評価を行った。結晶粒度測定は、JIS G0551に準じて圧延方向断面について行った。
【0046】
集積度の測定は、MoKα線によるX線回折で行った。詳細に述べると、各試料についてオーステナイト7面(111)、(200)、(220)、(311)、(331)、(420)、(422)の積分強度を測定し、その測定値それぞれをランダム方位である試料の理論積分強度で除した後、(200)強度の比率を百分率で求めた。これは、以下の式(2)で表される。
【0047】
(200)集積度 = { i(200)/I(200) / Σi(hkl)/I(hkl) }×100 (2)
ただし、記号は以下の通りである。
【0048】
i(hkl):測定した試料における(hkl)面の実測積分強度
I(hkl):ランダム方位をもつ試料における(hkl)面の理論積分強度
Σ :7面についての和
以上の測定結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
符号1〜4は最終再結晶焼鈍温度が一定(950℃)の下、最終再結晶焼鈍前冷延の冷圧率が異なる例である。冷圧率が低い符号1では結晶粒径が大きい(結晶粒度番号小)ためエッチング特性に劣り、冷圧率が最も高い符号4では{200}面集積度が高いためやはりエッチング特性が劣っている。符号2,3より適正な最終再結晶焼鈍前冷延の冷圧率は50〜90%である。
【0050】
符号5〜7は、最終再結晶焼鈍前冷延の冷圧率が一定(85%)の下、最終再結晶焼鈍温度が異なる例である。焼鈍温度が最も高い符号7では結晶粒径が大きい(結晶粒度番号小)ためエッチング特性に劣る。符号5,6より適正な最終再結晶焼鈍温度は1000℃以下である。
【0051】
また、以上から、エッチング性を良好とするためには、オーステナイト結晶粒度番号を9以上、{200}面集積度を85%以下とすればよいことがわかる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本特許範囲内の鋼成分、結晶粒度、{200}面集積度、および製造方法で製造することにより、良好な強度−磁気特性バランスを有する、すなわち、シャドウマスクとしての耐衝撃性と磁気シールド性に優れた低熱膨張合金薄板を安価に提供できるため、産業上極めて有用な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】0.2%耐力と最大透磁率の関係を示す図。
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブラウン管シャドウマスク用材料等に使用されるFe−Ni系の低熱膨張合金薄板において、荷役・搬送等における耐衝撃性を有し、磁気シールド性不良による色ズレを起こしにくい、強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ブラウン管のシャドウマスクの素材として使用される材料として、Fe−Ni系の合金薄板がある。これは熱膨張率が軟鋼よりも小さく、ドーミングが起こりにくい。すなわち、マスク面が電子ビームの照射により加熱されて膨張し、マスクの孔を通過した電子ビームが所定の蛍光面に当たらず、色ズレを起こすという問題が起こりにくい。
【0003】
しかし、もう一方で、Fe−Ni系合金はブラウン管を搬送する際の振動や衝撃などによって、シャドウマスクの曲面に凹みを生じて色ズレの原因となるため、荷役・搬送等における耐衝撃性の向上が強く望まれている。さらに、Fe−Ni系合金を使用したブラウン管においては、磁気シールド性が不十分であるために生じる電子ビームの偏倚による色ズレも問題であり、磁気特性の向上も強く望まれている。
【0004】
このように、シャドウマスクの素材となるFe−Ni系合金薄板については、低熱膨張性を維持しつつ、荷役・搬送等における耐衝撃性と磁気特性が同時に向上することが求められている。しかし、このような状況にもかかわらず、Fe−Ni系合金薄板において、上記のシャドウマスクの耐衝撃性と磁気特性を同時に向上できるような技術はほとんど知られていない。わずかに、個々の特性の改善に関する技術が公開されているのみである。
【0005】
シャドウマスクの耐衝撃性の改善(強度の改善)については、特許第3150831号公報には、Fe−Ni系合金のヤング率を向上させるためにNbを添加することが提案されている。その詳細は、C:0.003〜0.02% N :0.01%以下 Si:0.01〜2.0% Mn:0.01〜3.0% Ni:25〜45% Cr:1.0%以下 Nb:0.01〜1.0% B :0.01%以下 S :0.01%以下残部がFe及び不可避的不純物からなり、(C+N)≦−0.008Nb+0.023であることを特徴とする高ヤング率低熱膨張Fe−Ni合金というものである。
【0006】
磁気特性の改善については、特開平10−199719号公報に、Fe−Ni系合金の磁気焼鈍特性を向上させるためにBの添加およびNの低減を行うことが提案されている。その詳細は、30〜85%のNiとFeを主成分とし、5〜50ppmのBを含有するFe−Ni系磁性合金薄板とし、合金内に存在するNが50ppm以下であるとともに、B[原子%]/N[原子%]が0.8以上であり、さらに好ましくは、重量%にて、合金内に存在するAlが400ppm以下、Oが50ppm以下である磁性焼鈍特性に優れたFe−Ni系磁性合金薄板というものである。また同公報には、「磁気特性を改善する目的でCr、Mo、Cu、Siなどを含有せしめてもよい」と記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許第3150831号公報記載の技術は、ヤング率を向上させることを目的としており、これによりシャドウマスクの剛性は向上するが、磁気特性については言及されていない。そのため、同公報記載の合金については、磁気特性を考慮した化学成分とは言えず、後述のように良好な磁気特性は期待できない。また、熱膨張係数についても、同公報の実施例を見る限り、1.51〜2.32×10−6/℃と高目である。
【0008】
特開平10−199719号公報記載の合金については、Niの成分範囲が広く、低熱膨張性合金を目的とした技術とは言えない。実施例(表1)を見てもNiは 32〜84%の範囲に及んでおり、Ni が36%に近い合金は試料No.1,2の32.9%,38.4%のみである。さらに、同公報では、前述の荷役・搬送等におけるシャドウマスクの耐衝撃性の向上については言及されていない。
【0009】
以上のような状況を鑑み、本発明では、低熱膨張性を維持しつつシャドウマスクの荷役・搬送等における耐衝撃性と磁気特性が同時に優れているFe−Ni系高強度低熱膨張合金薄板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は以下の発明により解決できる。その発明は、化学成分として質量%でNi:35〜37%、C:0.01〜0.07%、Si:0.3%以下、Mn:0.6%以下、P:0.01%以下、S:0.005%以下、N:0.01%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部が実質的にFeから成り、オーステナイト結晶粒度番号が9以上、{200}面集積度が85%以下であり、プレス前軟化焼鈍後の20〜100℃における平均熱膨張係数が1.2×10−6/℃以下であることを特徴とする強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板である。
【0011】
この発明においては、化学成分の範囲をさらに限定して、化学成分の内、Si、Mn、およびAl を、Si:0.09%以下、Mn:0.01〜0.1%、Al:0.005〜0.04%とすることにより、プレス前軟化焼鈍後の20〜100℃における平均熱膨張係数が0.9×10−6/℃以下であることを特徴とする強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板とすることもできる。
【0012】
またさらに、これらの発明において、プレス前軟化焼鈍後の0.2%耐力が270〜320MPa、最大透磁率が7000以上であることを特徴とする強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板とすることもできる。
【0013】
これらの発明は、Fe−Ni系合金薄板について、荷役・搬送等におけるシャドウマスクとしての耐衝撃性と磁気特性を向上できる方法について検討し、さらに、エッチング特性についても鋭意検討した結果なされた。検討の過程で、シャドウマスクとしての耐衝撃性と磁気特性については、C量を通常より多い所定の範囲内にすることにより同時に改善することができ、特に耐衝撃性については、軟化焼鈍後(プレス成形前)の耐力を確保することにより、衝撃試験における凹みの発生率を大幅に低減できることが見出された。
【0014】
以下、本発明について説明する。まず、本発明の高強度低熱膨張合金の化学成分について説明する。
【0015】
Ni:35〜37%
Niは、本発明の合金薄板における鉄以外の基本成分元素である。低熱膨張特性を得るための必須元素として、Niを35%以上、37%以下の範囲内とする。
【0016】
さらに、シャドウマスクの耐衝撃性と磁気特性を向上させ、熱間加工性、低熱膨張性、エッチング性を確保するために、C、Si、Mn、P、S、N、Alを以下のように限定する必要がある。
【0017】
C: 0.01〜0.07%
Cは、シャドウマスクの耐衝撃性および磁気特性を向上させるため、本発明において最も重要な元素であり、その効果を得るためには0.01%以上とする必要がある。一方、C量が0.07%を超えると、エッチング性および低熱膨張性を劣化させる。従って、C量を0.01〜0.07%の範囲内とする。
【0018】
Si:0.3%以下
Siは、シャドウマスクの黒化処理性および低熱膨張性を劣化させるため0.3%以下にする必要がある。特に低熱膨張性が厳しく要求される場合には、Si 量を0.09%以下とすることが好ましい。
【0019】
Mn:0.6%以下
Mnは、低熱膨張性を劣化させるため0.6%以下にする必要があり、特に低熱膨張性が厳しく要求される場合には0.1%以下が好ましい。一方で、脱酸元素および熱間加工性を改善する元素として有効であり、そのためにはMn 量を0.01%以上とすることが好ましい。
【0020】
P:0.01%以下
Pは、エッチング性を劣化させるため、0.01%以下にする必要がある。
【0021】
S:0.005%以下
Sは、硫化物を析出することにより熱間加工性を劣化させるので、0.005%以下にする必要がある。
【0022】
N:0.01%以下
Nは、Al等の元素と一緒に含まれると、窒化物を析出することにより熱間加工性を劣化させるとともに、エッチング性を劣化させるため、0.01%以下にする必要がある。
【0023】
Al:0.1%以下
Alは、窒化物を析出することにより熱間加工性を劣化させるとともに、低熱膨張性を劣化させるので0.1%以下にする必要がある。特に低熱膨張性が厳しく要求される場合には0.04%以下が好ましい。一方で、溶製時に鋼中の介在物を低減する効果も有しているため、できれば0.005%以上含むことが望ましい。
【0024】
その他の特性については、次のようになる。
【0025】
オーステナイト結晶粒度番号:9以上
本発明はCが従来のシャドウマスク用合金より高く、微細炭化物が析出するため、エッチング後の孔側壁面が平滑にならず粗くなる現象(以下、エッチング孔側壁面の荒れという)が起こる。これは、オーステナイト結晶粒径の増加に伴い見られるようになり、粒度番号が9未満(結晶粒径大)で顕著となる。従って、オーステナイト結晶粒度番号を9以上(の細粒)とする。
【0026】
{200}面集積度:85%以下
上記のエッチング孔側壁面の荒れの発生には{200}面集積度も影響を及ぼし、これが85%を超えると、エッチング孔側壁面の荒れの発生が顕著となる。従って、{200}面集積度を85%以下とする。
【0027】
20〜100℃における平均熱膨張係数:1.2×10−6/℃以下
平均熱膨張係数については、プレス前の軟化焼鈍後の状態で、20〜100℃における値が1.2×10−6/℃を超えると、ドーミングを起こすことが多い。従って、ドーミングを起こしにくくするために20〜100℃における平均熱膨張係数を1.2×10−6/℃以下とする。さらに、ドーミングを殆ど起こさないようにするには、より厳格に化学成分を規制することにより、20〜100℃における平均熱膨張係数を0.9×10−6/℃以下とすることが望ましい。
【0028】
プレス前軟化焼鈍後の0.2%耐力:270〜320MPa
プレス前に行う軟化焼鈍後の0.2%耐力は、シャドウマスクのプレス加工性と荷役・搬送等における耐衝撃性に影響を与える。この0.2%耐力が270MPa未満では、シャドウマスクとしての耐衝撃性が不十分となり、荷役・搬送等において凹み等が発生することがある。一方、この0.2%耐力が320MPaを超えると、プレス加工が困難となる。
【0029】
プレス前軟化焼鈍後の最大透磁率:7000以上
最大透磁率が7000未満の場合、シャドウマスクとして十分な磁気シールド性を得られなくなる。従ってプレス前軟化焼鈍後の最大透磁率を7000以上とする。
【0030】
上述の高強度低熱膨張合金薄板を製造することができる製造方法の発明は、上記化学成分を有する薄板を用いて、冷圧率50〜90%で最終再結晶焼鈍前冷間圧延を行い、1000℃以下の焼鈍温度で最終再結晶焼鈍を行うことを特徴とする強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板の製造方法である。
【0031】
この発明は、上述の発明の強度と磁気特性を得るためにCが通常よりも多く添加された合金薄板を、エッチング孔側壁面の荒れを発生させないように製造するため条件を規定している。以下、製造条件について説明する。
【0032】
最終再結晶焼鈍前冷間圧延の冷圧率:50〜90%
最終再結晶焼鈍前冷間圧延は、結晶粒度および{200}面集積度に大きな影響を及ぼす。 その冷圧率が50%未満の場合、焼鈍後の結晶粒が粗大に(結晶粒度番号は小さく)なりすぎて、エッチング孔側壁面の荒れが発生しやすくなる。一方、冷圧率が90%を超えると、{200}面の集積が過剰となり、やはりエッチング孔側壁面の荒れが発生しやすくなる。従って、最終再結晶焼鈍前冷間圧延の冷圧率を50〜90%とする。
【0033】
最終再結晶焼鈍温度:1000℃以下
最終再結晶焼鈍の焼鈍温度が1000℃を超えると、結晶粒が粗大に(結晶粒度番号は小さく)なりすぎて、エッチング孔側壁面の荒れが発生しやすくなる。従って、最終再結晶焼鈍温度を1000℃以下とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
発明の実施に当たっては、前記成分組成で溶製し、造塊法または連続鋳造法によりスラブとする。造塊法の場合、鋳造塊に対し必要に応じて通常1000℃以上で均質化熱処理を行い、続いて分塊圧延を行った後、熱間圧延に供する。連続鋳造法の場合、スラブに対し同じく必要に応じて通常1000℃以上で均質化熱処理を行った後、熱間圧延に供する。熱間圧延では、圧延前に通常900℃以上に加熱し、圧延して熱延鋼板とする。
【0035】
この熱延板について、酸洗または研削により表面のスケールを除去した後、冷間圧延と回復焼鈍または再結晶焼鈍を1回以上施して、使用する目的に適した板厚、例えば0.05〜0.5mm程度の薄板を得る。このとき、最終再結晶焼鈍前冷延の冷圧率は通常20〜95%程度、最終再結晶焼鈍の温度は通常700〜1200℃程度の範囲で行われるが、炭化物の析出によるエッチング孔側壁面の荒れの発生を防止するためには、結晶粒径および結晶方位の調整が必要であり、オーステナイト結晶粒度番号9以上、{200}面集積度を85%以下とする。また、そのためには、最終再結晶焼鈍前冷延の冷圧率を50〜90%、最終再結晶焼鈍の温度を1000℃以下とすることが望ましい。
【0036】
【実施例】
[実施例1]
以下、本発明の合金薄板をブラウン管のシャドウマスク用素材として使用する場合の実施例について説明する。まず、表1に示す成分組成の鋼を電気炉で溶製した。
【0037】
【表1】
符号A〜Dはいずれも本発明例で、成分が適正に調整されている鋼である。このうち、符号BはCが下限付近、符号CはCが上限付近、符号DはMnが下限付近の鋼である。一方、符号E,Fはいずれも比較例で、このうち、符号EはCが下限未満、符号FはCが過剰に添加されている。
【0038】
次に、造塊に続いて1200℃以上での均熱処理およびその後の分塊圧延を行ってスラブとした。続いて、スラブ表面全体を研削した。次にこのスラブを1000℃以上に加熱し、熱間圧延により熱延鋼板とした。さらに、熱延鋼板を酸洗して表面のスケールを除去し、冷間圧延と再結晶焼鈍または回復焼鈍を繰り返し、板厚0.12mmの薄板とした。なお、最終再結晶焼鈍前冷間圧延の冷圧率は90%、最終再結晶焼鈍の温度は1000℃とし、いずれも本発明の範囲内である。
【0039】
この薄板がブラウン管材料として使用された際の実装特性を評価するため、以下のような試験を行った。まず、エッチング性評価試験片、JIS 5号引張試験片、磁気特性評価用リング試験片、熱膨張係数測定用試験片を、製造した薄板の幅方向センター部より採取した。
【0040】
エッチング性は、フォトエッチングを行った試験片を用いて、エッチングされた孔の側壁面をSEMにて観察し、○(平滑)、△(僅かに凹凸あり)、および×(凹凸あり)の3段階で評価した。ここで、○と△は実用上問題のないレベルである。
【0041】
これ以外(引張、磁気、熱膨張)の試験片については、プレス前焼鈍に相当する熱処理として、Ar雰囲気中にて750〜900℃×15分均熱の熱処理を行った。引張試験はJIS Z 2241の引張試験方法に準じ、0.2%耐力を求めた。磁気特性評価は、JIS C 2531に基づき、印加磁界10Oeにて試験し最大透磁率を求めた。熱膨張係数測定は、光干渉式熱膨張測定装置により20〜100℃での平均熱膨張係数を求めた。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
また、図1に0.2%耐力と最大透磁率の関係を示す。この図では、各符号について4点示してあり、それぞれ左上から右下にかけて焼鈍温度900,850,800,750℃に対応している。図1より、比較例である符号E(図中×印)は最も左下にあって強度と磁気特性のバランスが最も低いが、本発明例である符号A〜Dは、270〜320MPaの0.2%耐力と7000以上の最大透磁率が得られていることがわかる。
【0043】
また、本発明例では、Cの増加とともに符号B,A,C,Dの順に強度−磁気特性バランスが向上している。さらに、強度−磁気特性バランスの点で、0.2%耐力を0.2%PS(MPa)、最大透磁率をμmaxとするとき、
0.2%PS+5(μmax/1000)≧320 (1)
である方が(図中斜めの直線より右上が)好ましいが、これも本発明例では達成されている。
【0044】
表2を見ると、熱膨張係数は全て1.2×10−6/℃以下と低く、特に符号DではMnが低いので熱膨張係数が0.9×10−6/℃以下とさらに低熱膨張性となっている。なお、比較例の符号Fは、強度−磁気特性バランスとしては問題ないものの、Cが高すぎるためエッチング特性が不良(エッチング孔側壁面の荒れ発生)となった。
[実施例2]
実施例1で溶製した表1の符号Aの成分組成の鋳造塊を使用して、実施例1と同様の手順で板厚0.12mmの薄板とした。このとき、表3に示すように、7通りに製造条件を変化させた。すなわち、最終再結晶焼鈍前冷間延延の冷圧率および最終再結晶焼鈍温度を変化させた。
【0045】
この薄板について、結晶粒度測定、{200}面集積度の測定、および実施例1と同様にエッチング特性の評価を行った。結晶粒度測定は、JIS G0551に準じて圧延方向断面について行った。
【0046】
集積度の測定は、MoKα線によるX線回折で行った。詳細に述べると、各試料についてオーステナイト7面(111)、(200)、(220)、(311)、(331)、(420)、(422)の積分強度を測定し、その測定値それぞれをランダム方位である試料の理論積分強度で除した後、(200)強度の比率を百分率で求めた。これは、以下の式(2)で表される。
【0047】
(200)集積度 = { i(200)/I(200) / Σi(hkl)/I(hkl) }×100 (2)
ただし、記号は以下の通りである。
【0048】
i(hkl):測定した試料における(hkl)面の実測積分強度
I(hkl):ランダム方位をもつ試料における(hkl)面の理論積分強度
Σ :7面についての和
以上の測定結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
符号1〜4は最終再結晶焼鈍温度が一定(950℃)の下、最終再結晶焼鈍前冷延の冷圧率が異なる例である。冷圧率が低い符号1では結晶粒径が大きい(結晶粒度番号小)ためエッチング特性に劣り、冷圧率が最も高い符号4では{200}面集積度が高いためやはりエッチング特性が劣っている。符号2,3より適正な最終再結晶焼鈍前冷延の冷圧率は50〜90%である。
【0050】
符号5〜7は、最終再結晶焼鈍前冷延の冷圧率が一定(85%)の下、最終再結晶焼鈍温度が異なる例である。焼鈍温度が最も高い符号7では結晶粒径が大きい(結晶粒度番号小)ためエッチング特性に劣る。符号5,6より適正な最終再結晶焼鈍温度は1000℃以下である。
【0051】
また、以上から、エッチング性を良好とするためには、オーステナイト結晶粒度番号を9以上、{200}面集積度を85%以下とすればよいことがわかる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本特許範囲内の鋼成分、結晶粒度、{200}面集積度、および製造方法で製造することにより、良好な強度−磁気特性バランスを有する、すなわち、シャドウマスクとしての耐衝撃性と磁気シールド性に優れた低熱膨張合金薄板を安価に提供できるため、産業上極めて有用な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】0.2%耐力と最大透磁率の関係を示す図。
Claims (4)
- 化学成分として質量%でNi:35〜37%、C:0.01〜0.07%、Si:0.3%以下、Mn:0.6%以下、P:0.01%以下、S:0.005%以下、N:0.01%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部が実質的にFeから成り、オーステナイト結晶粒度番号が9以上、{200}面集積度が85%以下であり、プレス前軟化焼鈍後の20〜100℃における平均熱膨張係数が1.2×10−6/℃以下であることを特徴とする強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板。
- 化学成分の内、Si、Mn、およびAl を、Si:0.09%以下、Mn:0.01〜0.1%、Al:0.005〜0.04%とし、プレス前軟化焼鈍後の20〜100℃における平均熱膨張係数が0.9×10−6/℃以下であることを特徴とする請求項1記載の強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板。
- プレス前軟化焼鈍後の0.2%耐力が270〜320MPa、最大透磁率が7000以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板。
- 請求項1又は請求項2記載の化学成分を有する合金を用いて、冷圧率50〜90%で最終再結晶焼鈍前冷間圧延を行い、1000℃以下の焼鈍温度で最終再結晶焼鈍を行うことを特徴とする強度および磁気特性に優れた高強度低熱膨張合金薄板の製造方法。
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