JP2003253398A - エッチング速度とエッチング精度に優れた低熱膨張合金薄板およびその製造方法 - Google Patents

エッチング速度とエッチング精度に優れた低熱膨張合金薄板およびその製造方法

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JP2003253398A
JP2003253398A JP2002053226A JP2002053226A JP2003253398A JP 2003253398 A JP2003253398 A JP 2003253398A JP 2002053226 A JP2002053226 A JP 2002053226A JP 2002053226 A JP2002053226 A JP 2002053226A JP 2003253398 A JP2003253398 A JP 2003253398A
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JP2002053226A
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English (en)
Inventor
Satoo Kobayashi
聡雄 小林
Koichiro Fujita
耕一郎 藤田
Katsuhisa Yamauchi
克久 山内
Takashi Sagawa
孝 寒川
Tamako Ariga
珠子 有賀
Kunikazu Tomita
邦和 冨田
Makoto Nakajo
真 中條
Tadakazu Murata
宰一 村田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エッチング速度とエッチング精度に優れたFe
-Ni-Co系低熱膨張合金薄板を提供する。 【解決手段】 化学成分として質量%で、Ni:30〜34%、C
o:2〜6%、Mn:0.6%以下、Al:0.1%以下を含有し、不純物
は、C:0.02%以下、Si:0.3%以下、P:0.01%以下、S:0.005
%以下、N:0.01%以下であり、残部が実質的に鉄からな
り、(200)面集積度が85%以上かつ(220)面集積度が5%以
下であり、プレス前焼鈍終了後の20〜100℃における平
均熱膨張係数が0.7×10-6/℃以下であることを特徴とす
るエッチング速度とエッチング精度に優れた低熱膨張合
金薄板。さらに、Mn:0.01〜0.1%、Al:0.005〜0.04%、C:
0.005%以下とすること、B:0.0005〜0.0030%を添加する
こともできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブラウン管のシャド
ウマスク等の素材として用いられるFe-Ni-Co系低熱膨張
合金薄板に関する。
【0002】
【従来の技術】ブラウン管のシャドウマスクは、素材の
薄板に電子ビームを通過させるための孔を穿孔するため
のエッチング加工を施し、焼鈍により成形しやすくした
後、ブラウン管の形状に合わせてプレス成形され、ブラ
ウン管に組込まれる。従来から、ブラウン管のシャドウ
マスク等の素材として、Fe-36%Ni合金等のFe-Ni系合金
の薄板がある。
【0003】この合金は、熱膨張係数が軟鋼より小さ
く、ドーミング、即ち、シャドウマスクが電子ビームの
照射により加熱されて膨張することによる変形が抑制さ
れる。その結果、シャドウマスクの孔を通過した電子ビ
ームが蛍光面の所定位置に当たらず、色ずれを起こすと
いう問題が起こりにくい。
【0004】しかし、Fe-Ni系合金であっても、熱膨張
係数は必ずしも十分に小さいとは言えない。加えて、ブ
ラウン管を搬送する際、振動等により内部のシャドウマ
スクが変形することもあり、機械特性の面からも色ずれ
の原因となることがあった。このため、Fe-Ni系合金よ
りさらに熱膨張係数が低く、かつ耐衝撃性にも優れた材
料が望まれている。
【0005】そのような材料として、Fe-32%Ni-5%Co合
金に代表されるFe-Ni-Co系合金薄板が開発されている。
この合金はFe-Ni系合金よりも、熱膨張係数が低く、機
械的強度も高い。しかし、エッチング処理においては、
Fe-Ni系合金よりもエッチング特性が劣る。そのため、F
e-Ni-Co系合金薄板のエッチング特性については、種々
の改善が試みられており、例えば特許第2723718号公報
あるいは特許第3022573号公報には、結晶方位を特定の
範囲に制御することが提案されている。
【0006】特許第2723718号公報記載の技術は、28〜3
4%Ni、2〜7%Co、0.1〜1.0%Mn、0.10%以下のSi、及び0.01%
以下のCを含有し、平均結晶粒径が30μm以下、結晶粒の60
〜95%が{100}面に集積し、且つ{100}面の結晶方位が
{100}<001>方位に対して±5〜45゜、好ましくは±10〜
30°に集積していることを特徴としている。
【0007】この技術は、{100}面の集積度を高くす
ることにより、板厚方向のエッチング速度を上昇させ、
エッチングファクタ(エッチング深さ/横方向エッチン
グ量)を向上させている。また、結晶方位を{100}<00
1>方位からある程度ずらすことにより、エッチング孔を
真円に近づけるというものである。これは、再結晶焼鈍
後に冷間加工を施すことで可能であり、再結晶焼鈍後の
冷間加工の加工率を制御することにより任意の方位の分
散が得られるとしている。
【0008】特許第3022573号公報記載の技術は、Ni30
〜60%、Co5〜20%、Si0.25%以下、Mn0.50%以下、C0.002
%以下、P 0.005%以下、S 0.005%以下、その他の不純
物元素の全含有量が0.10%以下であって、(200)面の強度
が50%以上であることを特徴としている。
【0009】この技術は、C量を低下させることによ
り、エッチング速度を上昇させるというものである。こ
の0.002%以下の低いC量を達成するため、この技術で
は、熱間圧延状態あるいは熱間圧延素材に冷間圧延を施
した状態で、露点が-10℃〜40℃の雰囲気で加熱し、脱
炭焼鈍を行っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許第
2723718号公報記載の技術は、{100}面の高集積化によ
り、エッチング速度は上昇するが、その反面、エッチン
グの精度は満足できるものではない。エッチングの精度
としては、孔の形状もさることながら、むしろ孔の開口
部径のバラツキを小さくすることが重要である。しか
し、この点については、考慮されておらず、エッチング
速度の上昇に伴い、孔の大きさ(開口部径)のバラツキ
が増大するという問題がある。
【0011】また、同公報記載の技術は、個々の孔の形
状を真円に近づけることを狙っており、そのために、結
晶方位を{100}<001> 方位に対してずらすことを提案
しているが、これは実際には難しい。製造プロセスの観
点から述べると、{100}面の高集積化は、焼鈍前の圧
延率の制御により比較的容易であるが、軸方向を<001>
方向からずらすことは一般に困難である。同公報記載の
再結晶焼鈍後に冷間加工を施す方法では、{100}面の
集積が崩れるという問題がある。
【0012】特許第3022573号公報記載の技術では、エ
ッチング速度の上昇のため、脱炭焼鈍を行う必要があ
り、製造工程の制約が増え、コスト増につながる。ま
た、この技術も(200)面の強度が50%以上としており、や
はり{100}面((200)面に同じ)の高集積化により、孔
の大きさのバラツキが増大するという問題があるが、こ
の点については考慮されていない。
【0013】さらに最近では、シャドウマスクについて
は高精細化、高輝度化がますます進んでおり、エッチン
グ精度に対する要求は一段と厳しくなっている。そのた
め、この公報記載の技術のように、広範な合金成分にわ
たってエッチング精度を確保するのは、難しいばかり
か、十分な低熱膨張性が得られない。
【0014】本発明は、上記の問題点を解決し、エッチ
ング速度とエッチング精度に優れたFe-Ni-Co系低熱膨張
合金薄板を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題は次の発明に
より解決される。その発明は、化学成分として質量%
で、Ni:30〜34%、Co:2〜6%、Mn:0.6%以下、Al:0.1%以下
を含有し、不純物は、C:0.02%以下、Si:0.3%以下、P:0.
01%以下、S:0.005%以下、N:0.01%以下であり、残部が実
質的に鉄からなり、(200)面集積度が85%以上かつ(220)
面集積度が5%以下であり、プレス前焼鈍終了後の20〜10
0℃における平均熱膨張係数が0.7×10-6/℃以下である
ことを特徴とするエッチング速度とエッチング精度に優
れた低熱膨張合金薄板である。
【0016】この発明の低熱膨張合金薄板において、さ
らにMn、Al、およびCの範囲を限定して、 Mn:0.01〜0.1
%、Al:0.005〜0.04%、C:0.005%以下とすることもでき
る。また、これらの発明において、B:0.0005〜0.0030%
を添加することもできる。
【0017】これらの発明は、シャドウマスク用のFe-N
i-Co系合金薄板のエッチング加工を行う際に、エッチン
グ速度を向上させるとともに、エッチング孔の開口部径
のバラツキについて、その低減手段を鋭意検討した結果
なされた。その結果、エッチング速度向上のために(20
0)面の集積度を高めた場合は(220)面の集積度を低く抑
えることが、開口部径のバラツキを小さくする上で有利
であるという知見を得た。それに基づき、この発明で
は、(200)面集積度を高くするとともに(220)面の集積度
を一定値以下に制御している。
【0018】まず、各成分の添加理由及び組成限定理由
について説明する。
【0019】Ni:30〜34% Niは、低熱膨張特性を得るために必須の元素であり、Co
を添加する場合、Ni量が32%前後で最高の特性が得られ
る。Ni量が30%未満あるいは34%超では、熱膨張係数が十
分に低くならない。従って、Ni量を30〜34%の範囲内と
する。
【0020】Co:2〜6% Coは、Niとともに低熱膨張特性を得るために必須の元素
である。Co量が2%未満あるいは6%超では、熱膨張係数が
十分に低くならない。従ってCo量を2〜6%の範囲内とす
る。
【0021】Mn:0.6%以下 Mnは、0.6%を超えると低熱膨張特性を劣化させる。従っ
て、Mn量を0.6%以下とする。特に低熱膨張特性が厳しく
要求される場合は、0.1%以下とすることが好ましい。一
方、Mnは、脱酸元素あるいは熱間加工性を改善する元素
としても有効であり、そのためには0.01%以上添加する
ことが好ましい。
【0022】Al:0.1%以下 Alは、0.1%を超えて添加すると、窒化物を析出すること
により熱間加工性を劣化させるとともに、低熱膨張特性
を劣化させる。従って、Al量を0.1%以下とする。特に低
熱膨張特性が厳しく要求される場合は、0.04%以下とす
ることが望ましい。一方、溶製時に鋼中の介在物を低減
する効果も有しており、そのためにはAlを0.005%以上含
有することが望ましい。
【0023】B:添加する場合0.0005〜0.0030% Bは、粒界に偏析して粒界の腐食速度を下げることよ
り、粒界と粒内の腐食速度(エッチング速度)の差を小
さくするので、エッチング孔の開口部径のバラツキ低減
に効果がある。さらに、Bは、整粒化作用により特定方
位の結晶粒がクラスター化するのを抑制するので、エッ
チング孔によるエッチング速度等のバラツキを小さく
し、エッチング精度を向上させる効果を有している。こ
のためには、少なくともB を0.0005%以上添加する必要
がある。一方、B の0.0030%を超える添加は、黒化処理
における黒化膜の密着性を低下させる。従って、Bを添
加する場合は、0.0005〜0.0030%の範囲内とする。
【0024】次に、不純物元素の限定理由について説明
する。
【0025】C:0.02%以下 Cは、0.02%を超えて含有するとエッチング特性および低
熱膨張特性を劣化させる。従って、C量を0.02%以下とす
る。特にこれらの特性が厳しく要求される場合は、0.00
5%以下とすることが好ましい。
【0026】Si:0.3%以下 Siは、0.3%を超えて含有するとシャドウマスクの黒化処
理性および低熱膨張特性を劣化させる。従って、C量を
0.3%以下とする。特に低熱膨張特性が厳しく要求される
場合は、0.09%以下とすることが好ましい。
【0027】P:0.01%以下 Pは、0.01%を超えて含有するとエッチング特性を劣化さ
せる。従って、P 量を0.01%以下とする。
【0028】S:0.005%以下 Sは、0.005%を超えて含有すると、硫化物を析出するこ
とにより熱間加工性を劣化させる。従って、S量を0.005
%以下とする。
【0029】N:0.01%以下 Nは、Al等の元素が共存すると、窒化物を析出すること
により熱間加工性を劣化させるとともに、エッチング特
性を劣化させる。この傾向は、N が0.01%を超えると顕
著となる。従って、N量を0.01%以下とする。
【0030】次に、結晶方位および平均熱膨張係数の限
定理由について説明する。
【0031】(200)面集積度:85%以上 (200)面集積度はエッチング速度に影響を及ぼす最も重
要な指標である。エッチング速度は、エッチングファク
ターで評価できる。通常のエッチングラインにおいて必
要とされる製造効率を確保するためには、エッチングフ
ァクターの値で3.0以上が必要であり、そのためには、
(200)面集積度を85%以上とする必要がある。
【0032】(220)面集積度:5%以下 (220)面集積度は、この発明の目的であるエッチング精
度に影響を及ぼす最も重要な指標である。後述のよう
に、エッチングの孔径のバラツキには、(220)面集積度
が大きく影響を及ぼしており、その影響は(220)面集積
度が5%を超えると顕著となる。 従って、(220)面集積度
を5%以下とする。
【0033】(100)極点図の中心部の分布:強度3以上の
領域の広がり角が5〜20゜ 薄板の(200)面集積度が高集積化し、90%以上になった場
合、エッチング穿孔ラインでのコイルの破断が起きるこ
とがある。これは従来知られていなかったことで、後述
のように破断が起きるのは、(100)極点図の中心部で強
度3以上の領域の広がり角が5゜未満の場合である。ここ
で、広がり角は片側の角度、即ち領域の中心から測った
角度を表す。一方、この強度3以上の領域の広がり角が2
0゜を超える場合、(200)面集積度自体が低下し、エッチ
ング速度が低下する。従って、強度3以上の領域の広が
り角を5〜20゜の範囲内とすることが好ましい。
【0034】平均熱膨張係数:0.7×10-6/℃以下 平均熱膨張係数は、化学成分を本発明の範囲内とするこ
とにより、0.7×10-6/℃以下に低減できるため、一般の
テレビ等の用途ではドーミングは問題になりにくい。し
かし、パソコンのディスプレイ画面の用途の中でも、特
にドットピッチが細かいタイプの高精細画面の用途で
は、平均熱膨張係数0.5×10-6/℃以下であることが好ま
しい。
【0035】製造方法の発明は、上記発明の化学成分を
有する熱延板に、冷間圧延および焼鈍をそれぞれ1回以
上行い、最終再結晶焼鈍の前の冷間圧延の冷圧率を90%
以上、最終再結晶焼鈍の焼鈍温度を850℃以上、最終冷
圧率を30%以下として製造することを特徴とするエッチ
ング速度とエッチング精度に優れた低熱膨張合金薄板の
製造方法である。
【0036】この発明は、(200)面集積度を85%以上とす
ることによりエッチング速度は確保できるもののエッチ
ング精度が低下することに対して、対策を検討する中で
なされた。その結果、シャドウマスク用の素材として
の、即ちエッチング処理前の冷間圧延および焼鈍を適切
な条件で行うことにより、エッチング精度が改善される
ことを見出した。この発明は、この知見に基づくもの
で、以下に製造条件について説明する。
【0037】最終再結晶焼鈍の前の冷間圧延の冷圧率:
90%以上 最終の再結晶焼鈍、即ち再結晶のために行われる最後の
焼鈍に対して、その直前の冷間圧延においては、冷圧率
を高くすることにより、再結晶焼鈍後の(200)面集積度
が高くなりエッチング速度が改善される。この場合、冷
圧率が90%未満では、この効果が十分に得られない。従
って、最終冷圧率を90%以上とすることが好ましい。
【0038】最終再結晶焼鈍の焼鈍温度:850℃以上 最終の再結晶焼鈍においては、後述のように焼鈍温度を
高くすることにより、再結晶焼鈍後の(200)面集積度が
高くなりエッチング速度が改善される。焼鈍温度が850
℃未満では、この効果が十分に得られない。従って、最
終再結晶焼鈍の焼鈍温度を850℃以上とすることが好ま
しい。
【0039】最終冷間圧延の冷圧率:30%以下 最終再結晶焼鈍の後の最後冷間圧延においては、冷圧率
を低くすることにより、(220)面集積度が低くなりエッ
チング精度が改善される。最終冷圧率が30%超となる
と、この効果が十分に得られない。従って、最終冷圧率
を30%以下とすることが好ましい。
【0040】さらに上記の発明において、最終再結晶焼
鈍の際、炉内張力を1.0kgf/mm2以下とすることを特徴と
するエッチング速度とエッチング精度に優れた低熱膨張
合金薄板の製造方法とすることもできる。
【0041】この発明は、最終再結晶焼鈍の際の炉内張
力が、(100)極点図の中心部のピークに影響するとい
う、新たに見出された現象に基づきなされた。それは、
炉内張力を強くすると、このピークの広がり角が狭くな
るということである。検討の結果、最終再結晶焼鈍の際
の炉内張力が1.0kgf/mm2を超えると、(100)極点図の中
心における強度3以上の領域の広がり角が本発明の下限
未満となる。従って、最終再結晶焼鈍の際の炉内張力を
1.0kgf/mm2以下とすることが好ましい。
【0042】以上の発明においてさらに、最終再結晶焼
鈍の前の冷間圧延を、少なくとも2パス以上、かつ圧延
方向を20〜70゜の範囲内に変化させて行うことを特徴と
するエッチング速度とエッチング精度に優れた低熱膨張
合金薄板の製造方法とすることもできる。
【0043】この発明は、圧延方向を変化させることに
より、一方向圧延による軸方向への結晶方位集積を緩和
して、後述のエッチング穿孔ラインでの薄板の破断を防
止する。圧延方向の変化が20゜未満では、圧延方向が一
方向圧延に近いため、圧延方向の変化の効果が十分に得
られない。また、70゜を超えると、薄板の幅方向に対し
ては20゜未満になり、{100}<001>方位の対象性から、
薄板の長さ方向に対して20°未満としたのと同等になる
ため、やはり圧延方向の変化の効果が十分に得られな
い。従って、圧延方向を変化させる場合は、20〜70゜の
範囲内に変化させることが好ましい。
【0044】
【発明の実施の形態】発明の実施に当たっては、前記成
分組成で溶製し、造塊法または連続鋳造法によりスラブ
とする。造塊法の場合、鋳造塊に対し必要に応じて通常
1000℃以上で均質化熱処理を行い、続いて分塊圧延を行
った後、熱間圧延に供する。連続鋳造法の場合、スラブ
に対し同じく必要に応じて通常1000℃以上で均質化熱処
理を行った後、熱間圧延に供する。熱間圧延では、圧延
前に通常900℃以上に加熱し、圧延して熱延鋼板とす
る。
【0045】この熱延板について、酸洗または研削によ
り表面のスケールを除去した後、冷間圧延と回復焼鈍ま
たは再結晶焼鈍を1回以上施して、使用する目的に適し
た板厚、例えば0.05〜0.5mm程度の薄板を得る。
【0046】このとき、最終再結晶焼鈍の直前の冷間圧
延の冷圧率は通常10〜95%程度、最終再結晶焼鈍の温度
は通常600〜1100℃程度、最終冷間圧延の冷圧率は通常5
〜50%程度の範囲で行われていた。しかし、エッチング
速度およびエッチング精度を向上させるために、最終再
結晶焼鈍の前の冷間圧延の冷圧率を90%以上、最終再結
晶焼鈍の焼鈍温度を850℃以上、最終冷圧率を30%以下と
するのが好ましい。
【0047】このようにして本発明のFe-Ni-Co系合金薄
板は製造される。次に本発明において、(200)面集積度
を85%以上にかつ(220)面集積度を5%以下に調整すること
により、エッチング速度が向上しエッチング特性のバラ
ツキが抑制される理由について説明する。
【0048】エッチング特性のバラツキは、主に、薄板
面内に結晶方位が異なる部分が分布しているときに、エ
ッチング穿孔された孔の形状が結晶方位により異なるた
め、孔径が部分的に異なるというものである。エッチン
グ速度を上げるためには(100)面を高集積化すればよい
ことは既に知られている。
【0049】しかし、検討の結果、(100)集積度が同じ
材料でも、孔径のバラツキが大きいものと小さいものの
2種類が存在することがわかり、その原因を詳細に検討
した。その結果、集積度の高い面として、(100)面以外
に第二の面(110)が多いときに、薄板面内の(100)面が多
い部分ではひし形状に穿孔されやすく、(110)面が多い
部分では圧延直角方向に長い楕円形状に穿孔されやすい
ため、孔形状が面内で部分的に異なり孔径のバラツキが
大きくなることがわかった。
【0050】そして、(100)以外の特定面を集積させな
い製造方法についても検討し、以下の結果を得た。通
常、Fe-Ni-Co系合金薄板の製造工程の最終部分は、「最
終再結晶焼鈍前冷延 → 最終再結晶焼鈍 → 最終冷延
→ (必要に応じて)回復焼鈍」の順である。このと
き、鋼板の(100)面集積度は、最終再結晶焼鈍前冷延率
が高いほど高くなり、最終冷延率が高いほど低くなる。
【0051】したがって、同じ高集積材を得るにも2通
りあって、 最終再結晶焼鈍前冷延率を適正値として最終再結晶焼
鈍後で(100)面集積度を狙い値に合せ込んでおいて最終
冷延率を小さめにし集積を崩さないようにする方法と、 最終再結晶焼鈍前冷延率を大きめにとって最終再結晶
焼鈍後で(100)面集積度を狙い値よりもやや高くしてお
いて最終冷延率を大きめにし集積を少し崩して(100)面
集積度を狙い値に合せる方法がある。
【0052】このうち、後者では(100)面に次いで(11
0)面の集積が高くなって孔径のバラツキが大きいが、前
者の方は(100)面以外には特定面の集積はなく孔径の
バラツキが小さい。その理由は以下の通りである。
【0053】本合金におけるオーステナイト結晶につい
ては<100>方向にエッチング速度が大きい。このため、
(100)面高集積材は、もともとエッチング孔の形状がひ
し形に近くなりやすい。
【0054】一方、(100)面高集積材を冷延すると、(10
0)面自体の量が減少して、圧延集合組織として(110)[11
2]が生成する。この面方位をもつ部分ではエッチング孔
の形状が圧延直角方向に長い楕円形状になりやすい。し
たがって、最終冷延により(100)面集積度を調整した冷
延材をエッチングした場合には、部分的にエッチング孔
の形状が異なるものが出てきて、孔径のバラツキが大き
くなる。
【0055】さらに、エッチング速度を上げるべく(10
0)面を高集積化して90%以上となった場合は、エッチン
グ穿孔ラインでコイル破断が起きることがあることがわ
かった。コイル破断と引張試験の伸びの関係を調べた結
果、(100)面の集積度が90%以上の材料でコイル破断を起
こさないためには、引張試験の伸びが10%以上必要であ
ることがわかった。
【0056】エッチング穿孔ラインにおけるコイル破断
の原因を詳細に調査した結果、破断したコイルについて
は引張試験の伸びが極端に低下していた。その理由とし
ては、軸方位まで[001]方向に高集積化していることが
判明し、塑性変形の際に働くすべり系が極端に減少し変
形しにくくなり、延性が低下したものと考えられる。
【0057】そこで、エッチング速度を落とさずにコイ
ル破断を防止するには、 (a) (100)面を集積させたまま、軸方位を[001]方向から
ずらすか、又は (b) (100)面を集積させつつも、(100)面を圧延面から少
しだけずらすか、のどちらかにする必要がある。
【0058】本来、前者(a)が理想であるので、従来技
術のように、最終再結晶焼鈍後に冷間加工を施す方法を
検討した。再結晶焼鈍後の(100)面が高集積化した材料
に冷間圧延を施し、軸方位を[001]方向からずらすこと
を試みたが、軸方位がずれずに(100)面の集積度自体が
却って低下した。さらに、圧延集合組織としてエッチン
グ精度を低下させる(110)[112]方位が生成した。このよ
うに通常の圧延により軸方位を[001]方向からずらすこ
とは不可能である。
【0059】そこで、ラボ検討により、最終再結晶焼鈍
の前の冷間圧延において、圧延方向が45゜ずれた2方向
に圧延した材料(2方向圧延材)を用意し、比較材の通
常の1方向圧延材とともに、最終再結晶焼鈍を行った。
その結果、軸方位の集積は両者で大きく異なり、1方向
圧延材では主に[001]方向に集積しているのに対して、
2方向圧延材では[001]方向だけでなく[011]方向にも集
積していることがわかった。
【0060】一方、エッチング速度を向上させる(100)
面の集積度については、圧延方法によらず圧延率に依存
しており、いずれの圧延方法においても、本発明の集積
度85%以上を達成することができた。
【0061】ところで、この2方向圧延材はコイルとし
ては製造困難なので、後者(b)の方法についても検討し
た。特に、(100)面の集積度が同一であっても引張試験
の伸びが異なる理由を詳細に検討した結果、 (100)極点
図の中心部の分布により材料の延性が整理できることが
わかった。(100)面が高集積化した材料では、(100)極点
図の中心部にピークがみられるが、このピークの幅が延
性に影響しており、ピークの幅が広ければ引張試験の伸
びも高くなる。ピークの幅を(100)極点図の強度3以上の
領域の広がり角(強度3の等高線の半径)で評価する
と、この広がり角が5゜未満の場合、引張試験の伸びが1
0%未満となり、エッチング穿孔ラインでコイル破断を起
こす可能性がある。
【0062】一方、この強度3以上の領域の広がり角が2
0゜を超える場合、(100)面集積度自体が低下し、エッチ
ング速度が低下する。従って、強度3以上の領域の広が
り角を5〜20゜の範囲内とすることが好ましい。図1に
適正な広がり角を有する材料の(100)極点図の1例を示
す。
【0063】結局、エッチング速度を確保するために(1
00)面を高集積化すること、エッチング精度を確保する
ために(100)以外に第二の集積面を作らないこと、さら
にエッチング穿孔ラインでのコイルの破断防止のため
に、軸方位を[001]方向に揃え過ぎないか又は(100)面を
圧延面から少しだけずらすこと、が重要であることがわ
かった。本発明は以上のような知見に基づいている。
【0064】
【実施例】以下、本発明の合金薄板をブラウン管のシャ
ドウマスク用素材として使用する場合の実施例について
説明する。まず、表1に示す成分組成の鋼を電気炉で溶
製した。
【0065】
【表1】
【0066】[実施例1]なお、鋼番A〜Eはいずれも32%N
i-5%Coタイプの鋼で、特に、鋼番Cは各成分が限定され
ており、鋼番DおよびEはB(ボロン)が添加されている。
【0067】次に、造塊に続いて1150℃以上での均熱処
理およびその後の分塊圧延を行ってスラブとした。続い
て、スラブ表面全体をグラインダーにより研削した。次
にこのスラブを加熱し、熱間圧延により熱延鋼板とし
た。さらに、熱延鋼板をさらに酸洗して表面のスケール
を除去し、冷間圧延と再結晶焼鈍または回復焼鈍を繰り
返し、板厚0.12mmの薄板とした。このとき、冷間圧延条
件および焼鈍条件を種々変化させて、集積度の異なる薄
板を得た。
【0068】冷延後薄板の集積度の測定は、MoKα線に
よるX線回折で行った。詳細に述べると、各試料につい
てオーステナイト7面(111)、(200)、(220)、(311)、(33
1)、(420)、(422)の積分強度を測定し、その測定値それ
ぞれをランダム方位である試料の理論積分強度で除した
後、(200)強度の比率を百分率で求めた。これは、以下
の式(1)で表される。なお、(220)面集積度についても全
く同様である。
【0069】(200)集積度 = { i(200)/I(200) / Σi
(hkl)/I(hkl) } ×100 (1) ただし、記号は以下の通りである。
【0070】i(hkl):測定した試料における(hkl)面の
実測積分強度 I(hkl):ランダム方位をもつ試料における(hkl)面の理
論積分強度 Σ :7面についての和 また、これらの薄板のエッチング特性を評価するため、
以下のようなエッチング試験を行った。すなわち、薄板
小片サンプルにレジスト膜塗布、露光、レジスト膜一部
除去、FeCl3溶液でのエッチングによる半球状孔の形
成、レジスト膜除去、孔径測定を行った。なお、孔径測
定はエッチング孔10個について圧延方向の径を測定し
た。このとき、エッチング精度の指標として、孔径のバ
ラツキ、すなわち、孔径の最大と最小の差を用い、ま
た、エッチング速度の指標として、エッチングファクタ
ー、すなわち、サイドエッチ量に対するエッチング深さ
の比(10個の平均)を用いた。
【0071】また、これらの薄板の熱膨張係数を以下の
ような手順で測定した。すなわち、熱膨張係数測定用試
験片を、薄板コイルの幅方向センター部より採取し、続
いてプレス前焼鈍に相当する熱処理として、Ar雰囲気中
にて850℃×15分均熱→ガス冷却の熱処理を行った後、
光干渉式熱膨張測定装置により20〜100℃での平均熱膨
張係数を測定した。
【0072】結果を一部製造条件および引張試験の伸び
値とともに表2に示す。また、(200)面の集積度とエッチ
ング孔径のバラツキの関係を図2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】本発明例である符号A5、A7、A8、A10、B
2、B3、C2、C3、D1、E1については、全て、(200)面集積
度が85%以上であるため、エッチングファクターが3.0以
上とエッチング速度が大きく、伸びも10%以上と十分で
ある。(200)面集積度を85%以上とするためには、最終再
結晶前冷延率90%以上および最終再結晶焼鈍温度850℃以
上が必要である。また、(220)面集積度も5%以下である
ため、孔径バラツキが14.5μm以下とエッチング精度が
高い。(220)面集積度を5%以下とするためには、最終冷
延率30%以下が必要である。さらに、熱膨張係数も全て
0.7×10-6/℃以下と良好であり、特に、C、Si、Mn、Al
を規制した鋼番CおよびEは0.5×10-6/℃以下が確保され
ている。
【0075】一方、比較例については、以下のように、
エッチングファクター、伸び、孔径バラツキのいずれか
が劣っている。符号A1〜A4、A11、A12、B1、C1について
は、(200)面集積度が85%未満であるためにエッチングフ
ァクターが3.0未満と小さい。これらにおいて(200)面集
積度が85%未満であるのは、符号A11を除き最終再結晶前
冷延率が90%未満であるためであり、A11では最終再結晶
焼鈍温度が800℃と低いためである。
【0076】比較例の内、符号A6、A9については伸びが
10%未満と小さく、これは(200)面集積度が90%以上であ
るにもかかわらず、最終再結晶焼鈍の際の炉内張力が、
1.0kgf/mm2を超えているためである。符号A13、A14につ
いては、(220)面集積度が5%を超えているために孔径バ
ラツキが14.5μmを超えている。(220)面集積度が5%を超
えているのは、最終冷延率が40%と大きいためである。
【0077】また、エッチング精度について、図2から
明らかなように、(200)面の集積度が増加するとともに
孔径のバラツキが増加しているが、(220)面の集積度に
よって、バラツキの程度が異なる。(220)面が5%以下で
あれば孔径のバラツキは14.5μm未満が確保されるので
問題ないのに対し、(220)面が5%を超えているとバラツ
キが14.5μm以上となることがある。また、(200)面の集
積度が低ければ、孔径のバラツキも14.5μm未満となる
が、その反面エッチングファクターが3.0未満となり、
エッチング速度が低下する。さらに、Bが添加されたも
の(鋼番D,E)は、他のB無添加のものに比べてバラツキ
がいっそう小さい。
【0078】[実施例2]ラボ試験設備により、2方向圧
延を行った他は、実施例1と同様の条件で薄板を製造し
た。結果を一部製造条件および引張試験の伸び値ととも
に表3に示す。また、(200)面の集積度とエッチング孔
径のバラツキの関係を図3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】本発明例である符号A25、A26、A28、A30、
B22、B24、C22、C24、D21、E21については、全て、(20
0)面集積度が85%以上であるため、エッチングファクタ
ーが3.3以上とエッチング速度が大きく、伸びも10%以上
と十分である。特にA28、A30については、最終再結晶前
冷延率が90%を大きく超えているが、2方向圧延である
ため伸びが10%以上となっている。また、(220)面集積度
も5%以下であるため、孔径バラツキが15μm以下とエッ
チング精度が高い。さらに、熱膨張係数も全て0.7×10
-6/℃以下と良好であり、特に、C、Si、Mn、Alを規制し
た鋼番CおよびEは0.5×10-6/℃以下が確保されている。
【0081】一方、比較例については、以下のように、
エッチングファクター、伸び、孔径バラツキのいずれか
が劣っている。符号A21〜A24、A31〜A34、B21、C21につ
いては、(200)面集積度が85%未満であるためにエッチン
グファクターが3.0未満と小さい。これらにおいて(200)
面集積度が85%未満であるのは、符号A31、A34を除き最
終再結晶前冷延率が90%未満であるためであり、A31では
最終再結晶焼鈍温度が800℃と低く、A32〜A34では最終
冷延率が40%と大きいためである。
【0082】また、比較例の内、符号A27,A29について
は伸びが10%未満と小さく、これは製造方法が通常の1
方向圧延であり、(200)面集積度が90%を超えたためであ
る。符号A33、A34については、孔径バラツキが15μmを
超えているが、これは(220)面集積度が5%を超えている
ためと考えられる。
【0083】また、エッチング精度について、図3から
明らかなように、(200)面の集積度が増加するとともに
孔径のバラツキが増加しているが、(220)面の集積度に
よって、バラツキの程度が異なる。(220)面が5%以下で
あれば孔径のバラツキは15μm以下が確保されるので問
題ないのに対し、(220)面が5%を超えているとバラツキ
が15μmを超えることがある。また、(200)面の集積度が
低ければ、孔径のバラツキも15μm以下となるが、その
反面エッチングファクターが3.3未満となり、エッチン
グ速度が低下する。さらに、Bが添加されたもの(鋼番
D,E)は、他のB無添加のものに比べてバラツキがいっそ
う小さい。
【0084】
【発明の効果】本発明は(200)面および(220)面の集積度
を、それぞれ所定範囲内に制御することにより、Fe-Ni-
Co系低熱膨張合金薄板のエッチング速度およびエッチン
グ精度の向上を可能としている。また、本発明の鋼成
分、(200)面ならびに(220)面の集積度、および製造条件
で製造することにより、良好なエッチング性を有するFe
-Ni-Co系低熱膨張合金薄板を提供できるため、産業上極
めて有用な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】適正な広がり角を有する材料の(100)極点図の
【図2】(200)面の集積度と孔径のバラツキの関係を示
す図(実施例1)。
【図3】(200)面の集積度と孔径のバラツキの関係を示
す図(実施例2)。
フロントページの続き (72)発明者 山内 克久 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 寒川 孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 有賀 珠子 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 冨田 邦和 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中條 真 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 村田 宰一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA04 EA05 EA10 EA15 EA18 EA21 EA23 EA25 EA27 FG03 FJ06 FJ07 5C027 HH02 5C031 EE05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学成分として質量%で、Ni:30〜34%、C
    o:2〜6%、Mn:0.6%以下、Al:0.1%以下を含有し、不純物
    は、C:0.02%以下、Si:0.3%以下、P:0.01%以下、S:0.005
    %以下、N:0.01%以下であり、残部が実質的に鉄からな
    り、(200)面集積度が85%以上かつ(220)面集積度が5%以
    下であり、プレス前焼鈍終了後の20〜100℃における平
    均熱膨張係数が0.7×10-6/℃以下であることを特徴とす
    るエッチング速度とエッチング精度に優れた低熱膨張合
    金薄板。
  2. 【請求項2】 化学成分として質量%で、Ni:30〜34%、C
    o:2〜6%、Mn:0.01〜0.1%、Al:0.005〜0.04%を含有し、
    不純物は、C:0.005%以下、Si:0.09%以下、P:0.01%以
    下、S:0.005%以下、N:0.01%以下であり、残部が実質的
    に鉄からなり、(200)面集積度が85%以上かつ(220)面集
    積度が5%以下であり、プレス前焼鈍終了後の20〜100℃
    における平均熱膨張係数が0.5×10-6/℃以下であること
    を特徴とするエッチング速度とエッチング精度に優れた
    低熱膨張合金薄板。
  3. 【請求項3】 化学成分としてさらに質量%で、B:0.000
    5〜0.0030%を含有することを特徴とする請求項1又は請
    求項2記載のエッチング速度とエッチング精度に優れた
    低熱膨張合金薄板。
  4. 【請求項4】 (100)極点図の中心部での強度3以上の領
    域の広がり角が5〜20゜の範囲内であることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項3記載のエッチング速度とエッ
    チング精度に優れた低熱膨張合金薄板。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項3記載の化学成分
    を有する熱延板に、冷間圧延および焼鈍をそれぞれ1回
    以上行い、最終再結晶焼鈍の前の冷間圧延の冷圧率を90
    %以上、最終再結晶焼鈍の焼鈍温度を850℃以上、最終冷
    圧率を30%以下として製造することを特徴とするエッチ
    ング速度とエッチング精度に優れた低熱膨張合金薄板の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 最終再結晶焼鈍の際、炉内張力を1.0kgf
    /mm2以下とすることを特徴とするエッチング速度とエッ
    チング精度に優れた請求項5記載の低熱膨張合金薄板の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 最終再結晶焼鈍の前の冷間圧延を、少な
    くとも2パス以上、かつ圧延方向を20〜70゜の範囲内に
    変化させて行うことを特徴とするエッチング速度とエッ
    チング精度に優れた請求項5又は6記載の低熱膨張合金
    薄板の製造方法。
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