JP3398050B2 - 高Ni合金の熱間圧延板を製造する方法 - Google Patents
高Ni合金の熱間圧延板を製造する方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は連続鋳造鋳片から表
面品質の優れた高Ni合金熱間圧延板を製造する方法に
関するものである。
面品質の優れた高Ni合金熱間圧延板を製造する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】高Ni合金は主として電子部品用材料と
して使用されている。例えば、Fe−42%Ni合金は
電気伝導性、耐熱性、曲げ加工性、めっき付着性および
はんだ付着性が優れていることから、ICリードフレー
ムに使用されている。また、熱膨張率の最も小さいFe
−36%Ni合金はカラーテレビ受信機のシャドウマス
クなどに使用されている。さらに、PD材、PB材、P
C材など30〜85%Ni合金は磁気特性が優れている
ことや、蛍光表示管などの封着性の点から磁気シールド
ケースなど磁性材料、電子材料や封着材料として使用さ
れている。これらリードフレームやシャドウマスクおよ
び磁性材料、封着材料用などの圧延板の表面品質に対す
る要求は極めて厳しく、また、歩留向上は製造コスト低
減の最重要項目であり、製造工程での疵防止による歩留
向上が望まれる。
して使用されている。例えば、Fe−42%Ni合金は
電気伝導性、耐熱性、曲げ加工性、めっき付着性および
はんだ付着性が優れていることから、ICリードフレー
ムに使用されている。また、熱膨張率の最も小さいFe
−36%Ni合金はカラーテレビ受信機のシャドウマス
クなどに使用されている。さらに、PD材、PB材、P
C材など30〜85%Ni合金は磁気特性が優れている
ことや、蛍光表示管などの封着性の点から磁気シールド
ケースなど磁性材料、電子材料や封着材料として使用さ
れている。これらリードフレームやシャドウマスクおよ
び磁性材料、封着材料用などの圧延板の表面品質に対す
る要求は極めて厳しく、また、歩留向上は製造コスト低
減の最重要項目であり、製造工程での疵防止による歩留
向上が望まれる。
【0003】上述した厳しい条件下での高Ni合金熱間
圧延板の製造方法として、通常、鋳造された鋼塊をスラ
ブに鍛造し、その後に、目標の板に熱間圧延されるのが
一般的である。しかし、該鋼塊−鍛造工程では鍛造歩留
が悪く製造コストが高くなることが問題点であった。一
方、製品歩留向上と製造コスト低減のため、連続鋳造鋳
片の圧延法があるが、高Ni合金は熱間加工性が悪いた
め、連続鋳造鋳片の熱間圧延法では、鋳造組織の結晶粒
界への不純物が偏析しているため、熱間圧延時に粒界割
れを生じ、熱間圧延板に表面割れや板エッジの耳割れに
よる表面疵が多発しやすく、該表面疵の除去のため、熱
延コイルへのグラインダー手入れ負荷が大きくなること
や製品歩留が悪くなる問題があった。
圧延板の製造方法として、通常、鋳造された鋼塊をスラ
ブに鍛造し、その後に、目標の板に熱間圧延されるのが
一般的である。しかし、該鋼塊−鍛造工程では鍛造歩留
が悪く製造コストが高くなることが問題点であった。一
方、製品歩留向上と製造コスト低減のため、連続鋳造鋳
片の圧延法があるが、高Ni合金は熱間加工性が悪いた
め、連続鋳造鋳片の熱間圧延法では、鋳造組織の結晶粒
界への不純物が偏析しているため、熱間圧延時に粒界割
れを生じ、熱間圧延板に表面割れや板エッジの耳割れに
よる表面疵が多発しやすく、該表面疵の除去のため、熱
延コイルへのグラインダー手入れ負荷が大きくなること
や製品歩留が悪くなる問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、連続鋳造鋳片から表面疵がなく品質
の良好な高Ni合金熱延板を歩留良く製造することを目
的とするものである。
な問題点を解決し、連続鋳造鋳片から表面疵がなく品質
の良好な高Ni合金熱延板を歩留良く製造することを目
的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するために種々の製造実験を行い、検討を重ねた
結果、連続鋳造された鋳片を加熱し、圧下比([鋳片厚
み−圧延スラブ厚み]/鋳片厚み)が30〜65%のブ
レークダウン圧延を行い、連続鋳造鋳片(以下CC鋳片
と記す)の鋳造組織を破壊した後に、該ブレークダウン
スラブを再加熱し、再結晶による結晶の微細化と粒界偏
析の拡散を行った後に、仕上圧延を行うことによって、
表面割れや耳割れなどの表面欠陥のない高Ni合金の熱
延板が安定して歩留良く製造することができることを見
い出した。また、該ブレークダウン圧延時のCC鋳片の
加熱温度は1100〜1250℃の比較的低温で加熱
し、鋳造結晶の破壊のためのブレークダウンによる圧延
効果を大きくし、仕上圧延前の加熱は1150〜130
0℃で加熱し、粒界偏析の拡散促進と熱延仕上がり温度
を高くすることによって、より表面割れや耳割れなどの
表面欠陥のない高Ni合金の熱延板を安定して歩留良く
製造することができた。
を解決するために種々の製造実験を行い、検討を重ねた
結果、連続鋳造された鋳片を加熱し、圧下比([鋳片厚
み−圧延スラブ厚み]/鋳片厚み)が30〜65%のブ
レークダウン圧延を行い、連続鋳造鋳片(以下CC鋳片
と記す)の鋳造組織を破壊した後に、該ブレークダウン
スラブを再加熱し、再結晶による結晶の微細化と粒界偏
析の拡散を行った後に、仕上圧延を行うことによって、
表面割れや耳割れなどの表面欠陥のない高Ni合金の熱
延板が安定して歩留良く製造することができることを見
い出した。また、該ブレークダウン圧延時のCC鋳片の
加熱温度は1100〜1250℃の比較的低温で加熱
し、鋳造結晶の破壊のためのブレークダウンによる圧延
効果を大きくし、仕上圧延前の加熱は1150〜130
0℃で加熱し、粒界偏析の拡散促進と熱延仕上がり温度
を高くすることによって、より表面割れや耳割れなどの
表面欠陥のない高Ni合金の熱延板を安定して歩留良く
製造することができた。
【0006】CC鋳片をブレークダウン圧延した時に、
鋳片の粒界割れなどによる表面疵が発生した場合は、再
加熱・仕上圧延する前に、該ブレークダウンスラブの表
面手入れによって除去することができる。また、CC鋳
片は、原則として、鋳片表面の微細結晶かつ成分偏析の
少ないチル晶を残したままの無手入れの状態でブレーク
ダウン圧延することによって、ブレークダウン圧延スラ
ブの表面疵低減と手入軽減または省略が可能となった。
さらに、CC鋳片やブレークダウンスラブの加熱は、N
2 またはH2 とN2 の混合ガスなどの無酸化雰囲気炉で
加熱することによって粒界酸化しやすい高Ni合金で
も、粒界酸化が防止され表面性状の非常に良好な熱延板
が歩留良く製造することが可能となった。また、CC鋳
片をブレークダウン圧延と仕上圧延を行う該2ヒート圧
延法は、CC鋳片から仕上圧延を行う1ヒート圧延法に
比べ、磁気特性などの材質特性も向上することがわかっ
た。
鋳片の粒界割れなどによる表面疵が発生した場合は、再
加熱・仕上圧延する前に、該ブレークダウンスラブの表
面手入れによって除去することができる。また、CC鋳
片は、原則として、鋳片表面の微細結晶かつ成分偏析の
少ないチル晶を残したままの無手入れの状態でブレーク
ダウン圧延することによって、ブレークダウン圧延スラ
ブの表面疵低減と手入軽減または省略が可能となった。
さらに、CC鋳片やブレークダウンスラブの加熱は、N
2 またはH2 とN2 の混合ガスなどの無酸化雰囲気炉で
加熱することによって粒界酸化しやすい高Ni合金で
も、粒界酸化が防止され表面性状の非常に良好な熱延板
が歩留良く製造することが可能となった。また、CC鋳
片をブレークダウン圧延と仕上圧延を行う該2ヒート圧
延法は、CC鋳片から仕上圧延を行う1ヒート圧延法に
比べ、磁気特性などの材質特性も向上することがわかっ
た。
【0007】すなわち、本発明は、下記手段をとるもの
である。 (1) 重量%でC:0.02%以下、Si:0.03
〜0.3%、Mn:0.3〜1%、P:0.04%以
下、Cr:0.5%以下、Ni:30〜85%、N:
0.005%以下、S:0.005%以下、O:0.0
15%以下、Al:0.050%以下を含有し、残部は
Feおよび不可避的不純物成分からなる合金を熱間圧延
板に製造するに際し、連続鋳造された150〜300m
m厚みのCC鋳片を加熱し、圧下比([鋳片厚み−圧延
スラブ厚み]/鋳片厚み)が30〜65%のブレークダ
ウン圧延を行った後に、該ブレークダウンスラブを再加
熱し、仕上圧延する高Ni合金の熱間圧延板を製造する
方法。
である。 (1) 重量%でC:0.02%以下、Si:0.03
〜0.3%、Mn:0.3〜1%、P:0.04%以
下、Cr:0.5%以下、Ni:30〜85%、N:
0.005%以下、S:0.005%以下、O:0.0
15%以下、Al:0.050%以下を含有し、残部は
Feおよび不可避的不純物成分からなる合金を熱間圧延
板に製造するに際し、連続鋳造された150〜300m
m厚みのCC鋳片を加熱し、圧下比([鋳片厚み−圧延
スラブ厚み]/鋳片厚み)が30〜65%のブレークダ
ウン圧延を行った後に、該ブレークダウンスラブを再加
熱し、仕上圧延する高Ni合金の熱間圧延板を製造する
方法。
【0008】(2) 重量%でC:0.02%以下、S
i:0.03〜0.3%、Mn:0.3〜1%、P:
0.04%以下、Ni:30〜85%、N:0.005
%以下、S:0.005%以下、O:0.015以下、
Al:0.05%以下を含有し、さらに、Cr:3〜1
0%、Cu:6%以下、Mo:6%以下、Ca:0.0
2%以下、Mg:0.02%以下、B:0.005%以
下の1種または2種以上を含有し、残部はFe、および
不可避的不純物成分からなる合金を熱間圧延板に製造す
るに際し、連続鋳造された鋳片厚み150〜300mm
の連続鋳造鋳片を加熱し、圧下比([鋳片厚み−圧延ス
ラブ厚み]/鋳片厚み)が30〜65%のブレークダウ
ン圧延を行った後に、該ブレークダウン圧延スラブを再
加熱し、仕上圧延する高Ni合金の熱間圧延板を製造す
る方法。
i:0.03〜0.3%、Mn:0.3〜1%、P:
0.04%以下、Ni:30〜85%、N:0.005
%以下、S:0.005%以下、O:0.015以下、
Al:0.05%以下を含有し、さらに、Cr:3〜1
0%、Cu:6%以下、Mo:6%以下、Ca:0.0
2%以下、Mg:0.02%以下、B:0.005%以
下の1種または2種以上を含有し、残部はFe、および
不可避的不純物成分からなる合金を熱間圧延板に製造す
るに際し、連続鋳造された鋳片厚み150〜300mm
の連続鋳造鋳片を加熱し、圧下比([鋳片厚み−圧延ス
ラブ厚み]/鋳片厚み)が30〜65%のブレークダウ
ン圧延を行った後に、該ブレークダウン圧延スラブを再
加熱し、仕上圧延する高Ni合金の熱間圧延板を製造す
る方法。
【0009】(3) 連続鋳造鋳片のブレークダウン圧
延の加熱温度が1100〜1250℃で、仕上圧延の加
熱温度が1150〜1300℃である(1)または
(2)記載の高Ni合金の熱間圧延板を製造する方法。 (4) ブレークダウン圧延後にスラブ表面を手入れす
る(1)ないし(3)のいずれかに記載の高Ni合金の
熱間圧延板を製造する方法。 (5) 熱間圧延における鋳片加熱およびブレークダウ
ンスラブの加熱は無酸化雰囲気炉で行う(1)ないし
(4)のいずれかに記載の高Ni合金の熱間圧延板を製
造する方法。 なお、本発明における無酸化雰囲気とはN2 、Ar、H
2 の1種もしくは2種以上の混合気体から成る雰囲気を
いう。
延の加熱温度が1100〜1250℃で、仕上圧延の加
熱温度が1150〜1300℃である(1)または
(2)記載の高Ni合金の熱間圧延板を製造する方法。 (4) ブレークダウン圧延後にスラブ表面を手入れす
る(1)ないし(3)のいずれかに記載の高Ni合金の
熱間圧延板を製造する方法。 (5) 熱間圧延における鋳片加熱およびブレークダウ
ンスラブの加熱は無酸化雰囲気炉で行う(1)ないし
(4)のいずれかに記載の高Ni合金の熱間圧延板を製
造する方法。 なお、本発明における無酸化雰囲気とはN2 、Ar、H
2 の1種もしくは2種以上の混合気体から成る雰囲気を
いう。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明が含有する合金元素の含有量を限定する理
由を以下に説明する。Cは不可避的に混入する不純物で
あり、少ないほど好ましいが、工業的および経済性の観
点から大幅な低減には限界がある。しかし、0.02%
を超えると鉄炭化物が多量に生成し、エッチング穿孔性
やプレス成形性を低下させ、また、熱間加工性や磁気特
性を劣化させ好ましくないので0.02%以下とする。
Siは高Ni合金の溶製時の脱酸のために添加するが、
0.03%未満ではその効果がなくなるので、その下限
を0.03%とする。また、0.3%を超えると、磁性
材料では透磁率が低下するため好ましくなく、またエッ
チング穿孔性を害するので、上限を0.3%とする。
まず、本発明が含有する合金元素の含有量を限定する理
由を以下に説明する。Cは不可避的に混入する不純物で
あり、少ないほど好ましいが、工業的および経済性の観
点から大幅な低減には限界がある。しかし、0.02%
を超えると鉄炭化物が多量に生成し、エッチング穿孔性
やプレス成形性を低下させ、また、熱間加工性や磁気特
性を劣化させ好ましくないので0.02%以下とする。
Siは高Ni合金の溶製時の脱酸のために添加するが、
0.03%未満ではその効果がなくなるので、その下限
を0.03%とする。また、0.3%を超えると、磁性
材料では透磁率が低下するため好ましくなく、またエッ
チング穿孔性を害するので、上限を0.3%とする。
【0011】Mnは脱酸に役立ち、また鋼中Sと結びつ
きMnSとして熱間加工性を改善するが、1%を超える
と板の硬さや熱膨張への影響や飽和磁束密度および透磁
率など磁気特性が低下するので0.3〜1%とする。P
は熱間加工性の点では少ない方が良好で0.04%以下
とする。Sは鋳片での粒界に偏析して熱間加工性、磁気
特性を劣化させ好ましくなく、低い方が良いため0.0
05%以下とする。
きMnSとして熱間加工性を改善するが、1%を超える
と板の硬さや熱膨張への影響や飽和磁束密度および透磁
率など磁気特性が低下するので0.3〜1%とする。P
は熱間加工性の点では少ない方が良好で0.04%以下
とする。Sは鋳片での粒界に偏析して熱間加工性、磁気
特性を劣化させ好ましくなく、低い方が良いため0.0
05%以下とする。
【0012】Crはエッチング穿孔性を阻害し、また、
熱膨張率を上げるので、0.5%以下とする。ただし、
磁気特性を向上させるために、磁性材料には必要に応じ
て3〜10%添加することができる。Niは熱膨張率、
磁気特性に大きな影響をおよぼす元素である。30%未
満では熱膨張率が高く、かつ磁気特性も悪く、また85
%を超えると磁気特性は飽和しコスト的に高価となるた
め、30〜85%とする。Cuは透磁率など磁気特性を
改善する作用があり、磁性材料は必要に応じて添加する
が、6%を超えると熱間加工性が低下するとともに磁気
特性が低下するので6%以下とする。MoはNiの共存
のもとで透磁率など磁気特性を高める作用があり、磁性
材料は必要に応じて添加するが、6%を超えると磁気特
性が低下するので6%以下とする。
熱膨張率を上げるので、0.5%以下とする。ただし、
磁気特性を向上させるために、磁性材料には必要に応じ
て3〜10%添加することができる。Niは熱膨張率、
磁気特性に大きな影響をおよぼす元素である。30%未
満では熱膨張率が高く、かつ磁気特性も悪く、また85
%を超えると磁気特性は飽和しコスト的に高価となるた
め、30〜85%とする。Cuは透磁率など磁気特性を
改善する作用があり、磁性材料は必要に応じて添加する
が、6%を超えると熱間加工性が低下するとともに磁気
特性が低下するので6%以下とする。MoはNiの共存
のもとで透磁率など磁気特性を高める作用があり、磁性
材料は必要に応じて添加するが、6%を超えると磁気特
性が低下するので6%以下とする。
【0013】Nは0.005%を超えると、窒化物が多
量に生成して、板のエッチング穿孔性を阻害し穿孔欠陥
の原因となり、また磁気特性を劣化させるので、0.0
05%以下とする。Oは熱間加工性および介在物性欠陥
防止に対し低い方が良好であり0.015%以下とす
る。Alは強力な脱酸元素であるが、冷間圧延製品の表
面疵など介在物性欠陥となる有害なAl2 O3 やAl2
O3 ・MgOスピネル系の介在物生成原因となるため、
0.05%以下とする。
量に生成して、板のエッチング穿孔性を阻害し穿孔欠陥
の原因となり、また磁気特性を劣化させるので、0.0
05%以下とする。Oは熱間加工性および介在物性欠陥
防止に対し低い方が良好であり0.015%以下とす
る。Alは強力な脱酸元素であるが、冷間圧延製品の表
面疵など介在物性欠陥となる有害なAl2 O3 やAl2
O3 ・MgOスピネル系の介在物生成原因となるため、
0.05%以下とする。
【0014】Caは熱間加工性改善と連続鋳造のノズル
閉塞防止や介在物欠陥として有害なAl2 O3 介在物生
成防止のために添加することができるが、0.02%以
下とした理由は、0.02%を超えると酸化が激しくC
aO系介在物が多く生成され地疵などの介在物性欠陥を
多く発生させるほか、清浄度を悪化させ耐食性も悪く有
害となるためである。Mgは熱間加工性改善のために添
加することができるが、0.02%を超えるとMgO系
やAl2 O3 ・MgOスピネル系介在物の生成による介
在物原因の表面疵や地疵などの内部欠陥が多発し、製品
歩留低下および品質低下の原因となるので0.02%以
下とする。Bはその適量添加によって熱間加工性の改善
効果があるが、0.005%を超えるとBの金属間化合
物が形成され磁気特性を劣化させるため0.005%を
上限とする。
閉塞防止や介在物欠陥として有害なAl2 O3 介在物生
成防止のために添加することができるが、0.02%以
下とした理由は、0.02%を超えると酸化が激しくC
aO系介在物が多く生成され地疵などの介在物性欠陥を
多く発生させるほか、清浄度を悪化させ耐食性も悪く有
害となるためである。Mgは熱間加工性改善のために添
加することができるが、0.02%を超えるとMgO系
やAl2 O3 ・MgOスピネル系介在物の生成による介
在物原因の表面疵や地疵などの内部欠陥が多発し、製品
歩留低下および品質低下の原因となるので0.02%以
下とする。Bはその適量添加によって熱間加工性の改善
効果があるが、0.005%を超えるとBの金属間化合
物が形成され磁気特性を劣化させるため0.005%を
上限とする。
【0015】また、CC鋳片厚みは、150mm未満で
はブレークダウン圧延後に仕上圧延を行う2回加熱圧延
法のため、ブレークダウン後のスラブ厚みが薄くなり、
スラブ加熱炉の長さ制約から仕上圧延製品のコイル単重
(単位幅当たりの熱延コイル重量)が小さくなること
と、ブレークダウンスラブの表面手入歩留が悪くなる問
題があり、CC鋳片厚みが300mmを超えると連続鋳
造能率および圧延能率が悪くなるため、150〜300
mmとする。
はブレークダウン圧延後に仕上圧延を行う2回加熱圧延
法のため、ブレークダウン後のスラブ厚みが薄くなり、
スラブ加熱炉の長さ制約から仕上圧延製品のコイル単重
(単位幅当たりの熱延コイル重量)が小さくなること
と、ブレークダウンスラブの表面手入歩留が悪くなる問
題があり、CC鋳片厚みが300mmを超えると連続鋳
造能率および圧延能率が悪くなるため、150〜300
mmとする。
【0016】ブレークダウン圧下比([鋳片厚み−圧延
スラブ厚み]/鋳片厚み)は、鋳造組織を壊し粒界偏析
の拡散を促進するため大きい方が良いが、30%未満で
はその効果はなく、65%を超えると仕上圧延前のスラ
ブ厚みが薄くなりすぎ、仕上圧延製品のコイル単重が小
さくなるとともに、歩留が悪くなるため30〜65%と
する。CC鋳片のブレークダウン圧延前の加熱温度は低
い方が鋳造組織の破壊に対し良好であるが、1100℃
未満では熱間変形抵抗が高くなるとともに、熱間延性が
悪くなるので1100〜1250℃とする。一方、仕上
熱延時のブレークダウンスラブの加熱温度は熱間加工性
の点から高い方がよいが、過熱によるバーニング割れ防
止と加熱費低減のため1150〜1300℃とする。上
記手段を採ることにより、従来の問題点が解決され、表
面品質、内部品質、材質特性ともに良好な高Ni合金を
安定して歩留良く製造することが可能となる。
スラブ厚み]/鋳片厚み)は、鋳造組織を壊し粒界偏析
の拡散を促進するため大きい方が良いが、30%未満で
はその効果はなく、65%を超えると仕上圧延前のスラ
ブ厚みが薄くなりすぎ、仕上圧延製品のコイル単重が小
さくなるとともに、歩留が悪くなるため30〜65%と
する。CC鋳片のブレークダウン圧延前の加熱温度は低
い方が鋳造組織の破壊に対し良好であるが、1100℃
未満では熱間変形抵抗が高くなるとともに、熱間延性が
悪くなるので1100〜1250℃とする。一方、仕上
熱延時のブレークダウンスラブの加熱温度は熱間加工性
の点から高い方がよいが、過熱によるバーニング割れ防
止と加熱費低減のため1150〜1300℃とする。上
記手段を採ることにより、従来の問題点が解決され、表
面品質、内部品質、材質特性ともに良好な高Ni合金を
安定して歩留良く製造することが可能となる。
【0017】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
1は本発明鋼と比較鋼の取鍋下化学成分組成を示すが、
転炉で溶製した後、CC鋳片(スラブ)に鋳造した。該
スラブは、表2に示した条件でブレークダウン圧延と、
該ブレークダウンスラブの表面をグラインダー手入れ後
に仕上圧延を行い、ホットストリップコイルにした後、
通常通りの酸洗、コイルグラインダーによって熱延コイ
ルの表面手入れと一部の材料はエッジトリミングを行っ
た。その後、通常の冷間圧延によって冷延板とした。
1は本発明鋼と比較鋼の取鍋下化学成分組成を示すが、
転炉で溶製した後、CC鋳片(スラブ)に鋳造した。該
スラブは、表2に示した条件でブレークダウン圧延と、
該ブレークダウンスラブの表面をグラインダー手入れ後
に仕上圧延を行い、ホットストリップコイルにした後、
通常通りの酸洗、コイルグラインダーによって熱延コイ
ルの表面手入れと一部の材料はエッジトリミングを行っ
た。その後、通常の冷間圧延によって冷延板とした。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】比較例1、2はCC鋳片を手入れした後に
ブレークダウン圧延なしで、熱延コイルに製造したもの
であり、比較例3、4はブレークダウン条件が本発明範
囲外で製造されたものである。実施例は比較例に比べい
ずれも表面疵が少なく、熱延コイルの手入負荷は大幅に
軽減され、手入歩留とコイルエッジのトリミング歩留お
よび製品歩留は良く、品質の良好な熱延コイル製品が製
造できた。
ブレークダウン圧延なしで、熱延コイルに製造したもの
であり、比較例3、4はブレークダウン条件が本発明範
囲外で製造されたものである。実施例は比較例に比べい
ずれも表面疵が少なく、熱延コイルの手入負荷は大幅に
軽減され、手入歩留とコイルエッジのトリミング歩留お
よび製品歩留は良く、品質の良好な熱延コイル製品が製
造できた。
【0021】
【表3】
【0022】表3は該熱延コイルの実施例と比較例につ
いて、板厚と表面疵発生状況、熱延コイル手入歩留およ
び対CC鋳片の製品歩留を示した。表3から明らかなよ
うに実施例では、従来材の方法で製造された製品と避色
のない良好な材質特性が得られている。
いて、板厚と表面疵発生状況、熱延コイル手入歩留およ
び対CC鋳片の製品歩留を示した。表3から明らかなよ
うに実施例では、従来材の方法で製造された製品と避色
のない良好な材質特性が得られている。
【0023】
【発明の効果】本発明に従って製造された高Ni合金の
熱間圧延板は、経済的に表面品質および内部品質ともに
良好な製品が安定して得られるので、産業上に及ぼす効
果は極めて大きい。
熱間圧延板は、経済的に表面品質および内部品質ともに
良好な製品が安定して得られるので、産業上に及ぼす効
果は極めて大きい。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
C21D 9/00 101 C21D 9/00 101A
C22C 19/00 C22C 19/00 Q
38/00 302 38/00 302Z
38/40 38/40
38/54 38/54
C22F 1/00 661 C22F 1/00 661A
684 684C
691 691B
694 694A
1/10 1/10 H
(72)発明者 平居 正純
東京都千代田区大手町1−6−1 大平
洋金属株式会社内
(56)参考文献 特開 平6−306464(JP,A)
特開 昭61−284517(JP,A)
特公 平4−26923(JP,B2)
特公 平6−68128(JP,B2)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B21B 3/00 - 3/02
B21B 1/00
C21D 8/02
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%でC:0.02%以下、Si:
0.03〜0.3%、Mn:0.3〜1%、P:0.0
4%以下、Cr:0.5%以下、Ni:30〜85%、
N:0.005%以下、S:0.005%以下、O:
0.015以下、Al:0.05%以下を含有し、残部
はFe、および不可避的不純物成分からなる合金を熱間
圧延板に製造するに際し、連続鋳造された鋳片厚み15
0〜300mmの連続鋳造鋳片を加熱し、圧下比([鋳
片厚み−圧延スラブ厚み]/鋳片厚み)が30〜65%
のブレークダウン圧延を行った後に、該ブレークダウン
圧延スラブを再加熱し仕上圧延することを特徴とする高
Ni合金の熱間圧延板を製造する方法。 - 【請求項2】 重量%でC:0.02%以下、Si:
0.03〜0.3%、Mn:0.3〜1%、P:0.0
4%以下、Ni:30〜85%、N:0.005%以
下、S:0.005%以下、O:0.015以下、A
l:0.05%以下を含有し、さらに、Cr:3〜10
%、Cu:6%以下、Mo:6%以下、Ca:0.02
%以下、Mg:0.02%以下、B:0.005%以下
の1種または2種以上を含有し、残部はFe、および不
可避的不純物成分からなる合金を熱間圧延板に製造する
に際し、連続鋳造された鋳片厚み150〜300mmの
連続鋳造鋳片を加熱し、圧下比([鋳片厚み−圧延スラ
ブ厚み]/鋳片厚み)が30〜65%のブレークダウン
圧延を行った後に、該ブレークダウン圧延スラブを再加
熱し仕上圧延することを特徴とする高Ni合金の熱間圧
延板を製造する方法。 - 【請求項3】 連続鋳造鋳片のブレークダウン圧延の加
熱温度が1100〜1250℃で、仕上圧延の加熱温度
が1150〜1300℃であることを特徴とする請求項
1または請求項2記載の高Ni合金の熱間圧延板を製造
する方法。 - 【請求項4】 ブレークダウン圧延後にスラブ表面を手
入れすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のい
ずれかに記載の高Ni合金の熱間圧延板を製造する方
法。 - 【請求項5】 熱間圧延における鋳片加熱およびブレー
クダウンスラブの加熱は無酸化雰囲気炉で行うことを特
徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の高
Ni合金の熱間圧延板を製造する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16155198A JP3398050B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 高Ni合金の熱間圧延板を製造する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16155198A JP3398050B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 高Ni合金の熱間圧延板を製造する方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11342403A JPH11342403A (ja) | 1999-12-14 |
JP3398050B2 true JP3398050B2 (ja) | 2003-04-21 |
Family
ID=15737271
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16155198A Expired - Fee Related JP3398050B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 高Ni合金の熱間圧延板を製造する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3398050B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP3657217B2 (ja) * | 2001-10-19 | 2005-06-08 | 日本金属株式会社 | 熱間圧延用マグネシウム合金スラブの製造方法及びマグネシウム合金の熱間圧延方法 |
FR2849061B1 (fr) * | 2002-12-20 | 2005-06-03 | Imphy Ugine Precision | Alliage fer-nickel a tres faible coefficient de dilatation thermique pour la fabrication de masques d'ombres |
KR100671196B1 (ko) | 2005-04-02 | 2007-01-25 | 주식회사 지알로이테크놀로지 | 입자 분산된 마그네슘 합금 가공재의 제조방법 및 이에 의해 제조되는 입자분산된 마그네슘 합금 가공재 |
JP2012102375A (ja) * | 2010-11-11 | 2012-05-31 | Sumitomo Metal Ind Ltd | オーステナイト系合金大径管の製造方法 |
CN112496037B (zh) * | 2020-11-16 | 2021-11-23 | 太原钢铁(集团)有限公司 | 一种镍基合金板材轧制方法 |
-
1998
- 1998-05-27 JP JP16155198A patent/JP3398050B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH11342403A (ja) | 1999-12-14 |
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