JP4167166B2 - 靭性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯及びその製造方法 - Google Patents

靭性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、靱性に優れた高Al含有のフェライト系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯及びその製造方法に関するものである。
近年、耐熱材料としてAlを含有するフェライト系ステンレス鋼が注目されている。このような高Al含有フェライト系ステンレス鋼は、耐熱性においてオーステナイト系ステンレス鋼よりもはるかに優れた耐酸化性を有する他、高い電気比抵抗を有している。この材料は、電気抵抗器等の高電気比抵抗が要求される電磁用部品や優れた耐酸化性が必要な自動車用排ガス部品、ストーブ部品、加熱炉炉壁等に使用されるが、最近では使用環境の過酷化に伴ってより一層の耐熱性が要求されており、Alの含有量は増加しつつある。
しかしながら、Alを含有するフェライト系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯は靱性が著しく低いので、室温でコイルを巻き戻すとき、あるいは冷間圧延するときに、割れや板破断等を生じ、甚だしいときには冷間圧延ができない場合がある。これを回避するには、鋼帯を遷移温度以上に加熱して通板すれば良いが、加熱によるコストアップを招くほか、加熱温度が高い場合には作業性や能率が悪く、安全上の面からも好ましくない。鋼帯の遷移温度が著しく高い鋼種の場合には、実用的には上記加熱によっても割れや板破断の回避が難しい場合がある。また、熱間圧延鋼帯を製品に曲げ、切断、打ち抜き等の加工を施す場合には、割れの問題がある。
従って、熱間圧延鋼帯コイルの巻き戻しや冷間圧延等の次製造工程や製品加工において割れが発生しない、靱性の優れた高耐熱性の高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯およびその製造方法が強く要望されていた。このような高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯の脆化現象を防止する従来技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、C,Nを低下し熱間圧延後に10℃/sec以上の冷却速度で急冷して450℃以下の低温で巻き取る方法がある。さらに、特許文献2では、Tiを含有するCr−Al鋼の熱延仕上げ温度を900℃以下とするとともに、巻き取り温度を600℃以下とし、その後水冷する技術が開示されている。以上の文献に記載の発明は、熱間圧延後の低温巻き取りに関するものである。低温巻き取りする理由は、高温巻き取り時の炭窒化物の粒界析出や金属間化合物の析出を防止することにある。
一方、特許文献3ではTiを含有する高Al含有フェライト系ステンレス鋼を熱間圧延後700〜800℃で巻き取り、その後急冷する技術が開示されている。この技術は700〜800℃の温度域で巻き取り5〜10分間保持することによりAlN析出を促進し、固溶Alを減少させて遷移温度を低下することにより靱性を向上させるものである。保持時間を10分間までとする理由は、10分超の保持による炭窒化物の粒界析出を抑止するためである。
特開昭60−228616号公報 特開平5−148548号公報 特開平5−331552号公報
本発明は、Alを含有する高耐熱性フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯の靱性をより一層改善することによって、特に厚手の熱間圧延鋼帯の冷間圧延を可能にし、かつ作業性を改善し、さらに製品の加工性を向上させることを目的としている。
本発明はこの目的のため、成分、金属組織、熱延条件、冷延条件および巻き取り条件を検討した結果、完成したものであり、高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯の靱性を改善するためにNbさらにV,Ti,Zrの最適添加および巻き取り温度を最適化することが、このような目的に合致することを見出したものである。その要旨とするところは以下の通りである。
すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜(8)に記載の高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯、およびその製造方法により達成されるものである。
本発明の靭性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯は、
(1)質量%で、Cr:12〜30%、Al:3〜8%、Nb:0.05〜0.5%を含有し、C:0.025%以下、N:0.025%以下、C+N:0.030%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる高Al含有フェライト系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯であって、少なくとも該鋼帯の中央部と表面から1/4厚さの部位との間の領域における金属組織が未再結晶組織であることを特徴とする。
(2)さらにV:0.05〜0.4質量%を含有する。
(3)さらにTi:0.02〜0.2質量%、Zr:0.02〜0.2質量%の1種以上を含有する。
また、本発明の靭性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯の製造方法は、
(4)質量%で、Cr:12〜30%、Al:3〜8%、Nb:0.05〜0.5%を含有し、C:0.025%以下、N:0.025%以下、C+N:0.030%以下であり、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる高Al含有フェライト系ステンレス鋼の鋳片を700℃以上、再結晶温度Ts以下の温度域で熱間圧延を終了し、再結晶温度Ts以下の温度域での総圧下率R(%)を15%以上60%以下とし、続いて500℃超850℃未満の温度でコイルに巻き取り、続いて水冷による強制的な冷却を行うことを特徴とする。
ただし、Tsは下記式より算出される。
Ts(℃)=900+20Al−2R
Al:Alの質量%
(5)さらにV:0.05〜0.4質量%を含有することを特徴とする。
(6)さらにTi:0.02〜0.2質量%、Zr:0.02〜0.2質量%の1種以上を含有することを特徴とする。
本発明の高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱延鋼帯は、板厚の大小にかかわらず高耐熱性と高靱性を同時に実現するものであり、熱間圧延鋼帯の冷間圧延を可能にするものである。本発明に従い、高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯を製造すれば、熱間圧延鋼帯の巻き戻しおよび冷間圧延での割れや板破断を防止し、さらにこれら鋼帯を製品として使用するに際して、曲げ、切断、打ち抜き等を施す場合、割れ発生を解消し、作業性が大幅に改善される。本発明鋼は高電気比抵抗用途と高耐熱用途等に使用可能な極めて優れたフェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯であり、その工業的価値は著しく大なるものである。
本発明の限定理由を以下に詳細に説明する。
尚、本発明における鋼片とは、連続鋳造鋳片、これにブレイクダウンを行った鋳片、インゴット鋳片およびこれに分塊圧延を行った鋳片等である。本発明におけるフェライト系ステンレス鋼は、熱間圧延温度域ではフェライト単相となる成分組成のため、熱間圧延完了後の冷却によるマルテンサイト変態が生じることはない。靭性劣化の原因の一つであるミクロクラックの発生核となるマルテンサイト組織はないが、3%以上Alを含有するフェライト系ステンレス鋼においては、この効果のみでは十分な靭性を得ることはできない。
また、本発明のフェライト系ステンレス鋼は熱間圧延温度域でフェライト単相組織であるため、例えば汎用フェライト系ステンレス鋼SUS430に代表される鋼種のように、相変態を活用した金属組織制御を行うことは望めない。そこで、本発明では熱間圧延組織の復旧過程(回復や再結晶を意味する。)を活用し、靱性を向上することにした。
本発明者等は、熱間圧延鋼帯の靭性に及ぼす成分、熱間圧延条件、冷却条件および巻き取り条件の影響を検討した結果、NbあるいはNbとV,Ti,Zrを適量添加した低炭素低窒素の高Al含有フェライト系ステンレス鋼鋳片を700℃以上再結晶温度以下の回復温度域で熱間圧延を終了し、続いて500℃超850℃未満で巻き取り、続いて強制的に冷却することにより靭性が著しく改善することを見出した。
まず、本発明が対象とするステンレス鋼の各成分範囲(質量%)の限定理由を述べる。
C、N:C、Nは0.025%を超えて存在すると熱間圧延鋼帯の靱性を低下させるためそれぞれ0.025%以下とし、C+Nの総量で、0.03%以下とする。C,Nの好ましい値は0.005%以下、C+Nの好ましい値は0.01%以下である。
Cr:Crはステンレス鋼の耐熱性もしくは耐酸化性を確保する最も基本的な元素である。本発明においては、12%未満ではこれらの特性が十分に確保されず、一方30%を超えて含有すると、特に熱間圧延鋼帯の靱性や延性が著しく低下する。従って、Crの成分範囲は12〜30%とした。好ましい範囲は14.5〜16%である。
Al:Alは、フェライト系ステンレス鋼の耐酸化性や電気比抵抗を著しく向上させる元素である。本発明においては、この元素が3%未満では耐酸化性を向上させるには十分でない。8%を超えて含有すると熱間圧延鋼帯の靭性が著しく低下する。従って、Alの成分範囲は3〜8%とした。好ましい範囲は4〜6%である。
Nb:Nbは窒化物あるいは炭化物を形成して固溶C,Nを減少させるとともに熱間圧延中の加工により導入される転位上に析出して組織を微細化させ、熱延鋼帯の靭性を一層向上させる。この効果は、0.05%未満では十分でなく、0.5%を超えると冷間での加工性を著しく劣化させる。従って、成分範囲を0.05〜0.5%とした。好ましい範囲は0.1〜0.3%である。
Ti:Tiは本発明においては選択的に添加することができる。Tiはフェライト系ステンレス鋼の耐酸化性向上に効果的で、酸化皮膜の密着性を向上させる元素であると同時に、Nbと同様に窒化物あるいは炭化物を形成して固溶C,Nを減少させ、熱間圧延鋼帯の靭性を向上させる。0.02%以上のTi含有量でこの効果を発揮させることができる。しかし、過剰のTi添加は固溶Ti増加により熱間圧延鋼帯の靱性を劣化させると同時に、鋳造時にミクロンオーダーの粗大なTi窒化物TiNを形成し、熱間圧延鋼帯のマイクロクラックの起点となると考えられる。特に、0.2%を超えると靭性の劣化が著しい。従って、成分範囲を0.02〜0.2%とした。好ましい範囲は0.04〜0.10%である。なお、本発明が対象とする高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯のTiNの含有量は0.015質量%以下であることが望ましい。
V:Vは本発明においては選択的に添加することができる。Nbと同様の効果により、熱延鋼帯の靭性を一層向上させる。この効果は0.05%未満では十分ではなく、0.4%を超えると冷間での加工性を著しく劣化させる。従って、成分範囲を0.05〜0.4%とした。
Zr:Zrは本発明においては選択的に添加することができる。ZrはTiと同様の効果により、0.02以上で熱間圧延鋼帯の靭性を向上させる。しかし、過剰のZr添加は固溶Zr増加により熱間圧延鋼帯の靭性を劣化させると同時に、ミクロンオーダーの粗大なZrと鉄金属間化合物を形成し、熱間圧延鋼帯のマイクロクラックの起点となると考えられる。特に、0.2%を超えると靭性の劣化が著しい。従って、成分範囲を0.02〜0.2%とした。
次に、本発明が対象とするステンレス鋼の金属組織について述べる。本発明の高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯は、少なくとも板厚の中央部と表面から1/4厚さの部位との間の領域における金属組織は未再結晶組織である。金属組織を再結晶させるには、再結晶温度以上の高温での熱間圧延が必要であり、望ましくは該熱間圧延後の熱処理が必要である。この場合には結晶粒が非常に粗大化してしまい、高Al含有フェライト系ステンレス鋼が本来持つ低靭性の性質が顕在化し、靱性が劣化する。表面近傍部は熱間圧延でのせん断歪みによる加工度が高いので微細再結晶組織が形成されやすいが、少なくとも板厚の中央部と表面から1/4厚さの部位との間の領域においては加工歪みが蓄積され難いので微細再結晶組織を熱間圧延で形成することは難しい。そこで、少なくとも板厚の中央部と表面から1/4厚さの部位との間の領域における金属組織を未再結晶でかつ回復組織にすることによって軟質化して、熱間圧延鋼帯の靭性を向上させる。
本発明が対象とする高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯の製造方法においては、鋳片を700℃以上、再結晶温度Ts以下の温度域で熱間圧延を終了し、続いてコイルに巻き取り、続いて冷却する。熱間圧延において最終段階の圧延を再結晶温度Ts(℃)以下の回復温度域で行うことにより、該圧延パス中に導入された転位はエネルギー的に安定な再配列構造としてサブ粒界を形成し、熱間圧延組織は結晶粒内にサブグレインを有するようになると考えられる。従って、高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯の靭性改善のためには、結晶粒界への転位集積による応力集中を微細なサブグレイン組織により緩和することが効果的である。
Alを3%以上含有するフェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯においては、このような微細なサブグレイン組織を形成させるために必要な転位を導入するには熱間圧延において前記Ts以下の回復温度域での圧下率の総和Rを15%以上とする。またRが60%を超えると、導入転位がサブグレイン内にも多量に残留し、結晶粒界やサブ粒界への応力集中が助長されるため、望ましくはRは60%以下がよい。圧下率の好ましい範囲は30〜60%である。
さらに、前記再結晶温度Ts(℃)に対するAl含有量(質量%)と回復温度域での圧下率の総和R(%)の影響を詳細検討した結果、Tsは下記の式で与えられることを見出した。
Ts(℃)=900+20Al−2R
Al:Alの質量%
前記の回復温度域での最小限必要な圧下率の総和(限界圧下率という)は15%であることを見出した。
なお、熱間圧延において再結晶温度以下で行う強圧下圧延は最終圧延パスのみで与えるのではなく、少なくとも最終圧延パスを含む2パス以上の圧延で与えることが望ましい。
高Al含有フェライト系ステンレス鋼鋳片の熱間圧延終了温度を700℃以上とした理由は、700℃未満の熱間圧延ではステンレス鋼の変形抵抗が高くなりミルパワー不足が生じるため現実的でないのに加え、熱間圧延終了温度が著しく低い場合には、熱間圧延で導入された加工歪みが多量に残存し、転位の回復が十分に進行しないからである。熱間圧延終了温度の好ましい値は850℃以上である。
本発明の高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯の巻き取り温度は、500℃超850℃未満が望ましい。巻き取り温度が500℃以下では、熱間圧延加工で導入された転位の回復が十分に進行しないので、熱延鋼帯の靭性の向上が期待できない。一方、850℃以上では熱間圧延によって形成された加工組織の再結晶や粒成長が進行するものの、微細組織は形成されずに高Al含有フェライト系ステンレス鋼が本来持つ低靭性の性質が顕在化するため、熱間圧延材の靱性を劣化させる。実用的により好ましい巻き取り温度は、600℃〜750℃である。再結晶温度以下で熱間圧延を終了した場合に、空冷により自然に到達する温度であり、かつ靱性向上効果が高い巻き取り温度領域だからである。
なお、本発明のNbあるいはNbとV,Ti,Zrの1種以上を複合で含有する高Al含有フェライト系ステンレス鋼においては、従来技術に示されるTi添加鋼とは異なり、Nb添加又はNbとV,Ti,Zrの1種以上の複合添加で十分に炭素・窒素を粒内に固定できるので、炭窒化物の粒界析出や金属間化合物AlNの析出による脆化現象の影響は少ない。
また、巻き取り終了後の冷却速度は、可能な限り急速に強制的に冷却することが好ましい。具体的には、水冷が現実的である。巻き取り後の冷却中にいわゆる475℃脆性の影響を回避することは原理的に避け難く、冷却速度が遅いほど475℃脆性の原因組織である微細Crリッチ相の形成が促進される。その結果、熱間圧延材の靱性が劣化し、500℃超850℃未満の巻き取りによる回復組織形成促進による靱性向上効果を相殺するので、靱性向上に有効な巻き取り温度領域が狭くなる。空冷の場合がこれに相当する。
以下、実施例で本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
転炉AOD法あるいは真空溶解法により表1に示す高Al含有フェライト系ステンレス鋼を溶製した。これらの鋼を表2に示す条件に従って製造し、板厚5mmの熱延鋼帯とした。
靱性の評価は、JIS規格に準拠したサブサイズ(厚み5mm)のVノッチシャルピー試験片を圧延方向と平行に採取し衝撃試験を行い、衝撃値が2kgf/cm2になる温度(vT2:℃)で評価した。vT2が30℃以下の場合には、加熱することなく熱間圧延鋼帯の冷間圧延が可能である。30℃〜70℃の場合にはホットバスによる温水加熱を事前に実施することにより熱間圧延鋼帯の冷間圧延が可能である。70℃を超える場合には、たとえ温水加熱をしても冷間圧延を行うと、衝撃等による板破断の危険性が極めて高くなる。
金属組織の観察は逆王水系のエッチング液で腐食させた後に、光学顕微鏡で観察した。
耐酸化性の評価は、#400の番手で表面研磨したサンプルを用い大気中950℃×100hr後の酸化増量で評価した。酸化増量が0.5mg/cm2以下の場合を○、0.5mg/cm2超の場合を×で示した。
実施例1においては、いずれの水準も熱間圧延終了温度が700℃以上再結晶温度Ts以下であり、再結晶温度Ts以下の温度域での総圧下率R(%)が15%以上であり、鋼帯の中央部と表面から1/4厚さの部位との間の領域における金属組織が未再結晶組織である。
本発明鋼No.1〜10の熱間圧延鋼帯は、本発明の成分を有し、靱性が大いに改善されており、冷間圧延時に板破断等のトラブルが発生しないことがわかる。
比較例のNo.13はサンプル記号13の成分を有し、Crが請求項下限値をはずれ、比較例のNo.15はサンプル記号15の成分を有し、Alが請求項下限値をはずれ、いずれも耐酸化性が劣っている。
比較例No.11はCが高めに外れ、No.12はCrが高めに外れ、No.14はAlが高めに外れ、No.16はNが高めに外れ、No.17はNbが低めに外れ、No.18はNbが高めに外れ、No.19はTiが高めに外れ、No.20はZrが高めに外れ、No.21はVが高めに外れ、いずれもvT2が70℃を超えるため、冷間圧延を行うことができない。
なお常温における電気比抵抗の値は、上記サンプル記号13とサンプル記号15以外は100μΩcm以上である。
Figure 0004167166
Figure 0004167166
(実施例2)
表1のサンプル記号7(No.7)の成分を有するサンプルについて、表3に示すように熱間圧延終了温度、熱間圧延の巻き取り温度および冷却方法を変化させ、熱間圧延鋼帯を製造した。本発明方法により製造した熱間圧延鋼帯(No.7、22、23、28,29,30)は、靱性が大いに改善されており、冷間圧延時に板破断等のトラブルが発生しないことがわかる。
比較例No.24,25はRが15%未満であり、圧延終了温度が再結晶温度Tsを超え、いずれも鋼帯の中央部と表面から1/4厚さの部位との間の領域における金属組織が未再結晶組織とならない。比較例No.26は熱延終了温度が700℃未満である。No.27は巻き取り温度が850℃以上となり、No.31は巻き取り温度が500℃以下となり、No.32は巻き取り後の冷却が空冷である。これらいずれの比較例も、vT2が70℃を超えるため、冷間圧延を行うことができない。
図1に熱間圧延後の巻き取り温度が熱延板の靱性に及ぼす影響を示す。試験は、サンプル記号7の成分を有するサンプルについて、表3のNo.31の条件で熱間圧延を行い、巻き取り温度400℃で巻き取り、その後ラボ電気炉を用い350〜950℃の温度で0〜100hrの時間で焼鈍し、その後水冷し、巻き取り温度変化のシミュレイションとした。衝撃試験は50℃で実施し、n=3の平均値で評価した。500℃超850℃未満で衝撃値の著しい向上が認められる。すなわち熱延板の靱性に対し、巻き取り温度の適正温度範囲が存在することが分かる。
Figure 0004167166
熱間圧延後の巻き取り温度が熱延板の靭性に及ぼす影響を示す図。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    Cr:12〜30%、
    Al:3〜8%、
    Nb:0.05〜0.5%を含有し、
    C:0.025%以下、
    N:0.025%以下、
    C+N:0.030%以下であり、
    残部がFeおよび不可避的不純物よりなる高Al含有フェライト系ステンレス鋼の熱間圧延鋼帯であって、少なくとも該鋼帯の中央部と表面から1/4厚さの部位との間の領域における金属組織が未再結晶組織であることを特徴とする靭性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯。
  2. さらにV:0.05〜0.4質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の靭性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯。
  3. さらにTi:0.02〜0.2質量%、Zr:0.02〜0.2質量%の1種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の靭性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯。
  4. 質量%で、
    Cr:12〜30%、
    Al:3〜8%、
    Nb:0.05〜0.5%を含有し、
    C:0.025%以下、
    N:0.025%以下、
    C+N:0.030%以下であり、
    残部がFeおよび不可避的不純物よりなる高Al含有フェライト系ステンレス鋼の鋳片を700℃以上、再結晶温度Ts以下の温度域で熱間圧延を終了し、再結晶温度Ts以下の温度域での総圧下率R(%)を15%以上60%以下とし、続いて500℃超850℃未満の温度でコイルに巻き取り、続いて水冷による強制的な冷却を行うことを特徴とする靭性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯の製造方法。
    ただし、Tsは下記式より算出される。
    Ts(℃)=900+20Al−2R
    Al:Alの質量%
  5. さらにV:0.05〜0.4質量%を含有することを特徴とする請求項4に記載の靭性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯の製造方法。
  6. さらにTi:0.02〜0.2質量%、Zr:0.02〜0.2質量%の1種以上を含有することを特徴とする請求項4又は5に記載の靭性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼熱間圧延鋼帯の製造方法。
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