JP3953406B2 - カラー受像管用アパーチャーグリル用素材、アパーチャーグリルおよびカラー受像管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー受像管用アパーチャーグリル用素材、アパーチャーグリルおよびそれを組み込んだカラー受像管に関する。より詳細には、優れた引張強度および高温クリープ強度を有するカラー受像管用アパーチャーグリル用素材、アパーチャーグリルおよびそれを組み込んだカラー受像管に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー受像管に使用されるアパーチャーグリルは、その製造に際して大きな張力を負荷した状態でフレームに溶接されるため、カラー受像管用アパーチャーグリル用素材は少なくとも 750MPaの引張強度を有していることが必要とされている。そのため現在使用されているカラー受像管用アパーチャーグリル用素材としては、強加工を施して加工強化した低炭素鋼板が使用されている。
【0003】
さらに、フレームに溶接された後黒化するための熱処理が施されるが、黒化後のアパーチャーグリルを構成している各テープが弛むことなく張力が負荷された状態を保持するために、熱処理は鋼の再結晶温度以下の455℃で15分程度の短時間で実施されている。しかし、この黒化熱処理条件では拡散現象を回避することができず、拡散によりテープに延びが生じ、テープが捻れたり切れたりする原因となっている。このため、カラー受像管用アパーチャーグリル用素材としては、 750MPa以上の引張強度と、455℃×15分の黒化熱処理で延びが生じない、すなわち 294MPaの引っ張り応力を負荷した際の伸びが 0.4%以下であるクリープ強度を有していることが必要とされる。
【0004】
カラー受像管は、電子銃と電子ビームを映像に換える蛍光面から構成されており、電子ビームが地磁気により偏向されることを防止するため、受像管内部は磁気シールド材で被覆されている。アパーチャーグリルは、この磁気シールド材としての作用をも有している必要があり、磁気特性としての磁束密度(Br)が大きく、保磁力(Hc)が小さい、すなわち磁束密度と保磁力の比(Br/Hc)が大きい材料が求められる。しかし、上記のように高い降伏強度を得るために強加工が施され、かつ黒化熱処理も再結晶温度以下で行われる低炭素鋼板においては、磁束密度が0.8テスラ(T)以下と小さく、また保磁力が約400A/mと大きく、したがってBr(T)/Hc(A/m)が 約0.002と小さく、磁気シールド材として劣っている。
【0005】
従来、低炭素鋼板の引張降伏強度を向上させる方法としては、CやNなどによる固溶強化法があるが、鋼中のCやNの量が多くなると炭化物や窒化物が増加し、磁壁の移動が妨げられるようになり、磁気特性が劣化する。また、クリープ強度を向上させる方法として鋼中に炭化物などを析出させる方法があるが、これらの析出物のほとんどは粒径がミクロンオーダーで大きく、これらは磁壁の移動を妨害し、磁気特性を大きく劣化させるため、このような方法は、現行のカラー受像管用アパーチャーグリル用素材の製造方法として適用されていない。
【0006】
その他のアパーチャグリルタイプのマスク用鋼板素材に関し、Nを40〜100PPM含有し、Mnを0.20〜0.60重量%含有する極低炭素鋼板が有する高強度および高温クリープ特性により、黒化処理時のクリープ伸びを低減する方法が公開されている(例えば特許文献1参照)。この場合、溶質原子Nは溶媒原子Feに比べて、原子半径が著しく小さいため、NはFe結晶格子中において侵入型固溶体を形成し、所謂、コットレル雰囲気を形成する。黒化処理温度のような高温において、Fe中のNは拡散速度が速いので、クリープ伸び、すなわち転位クリープのまわりにN原子が集まって、雲のようなコットレル雰囲気を形成し、転位クリープの動きを抑制する作用を生じるので、クリープ伸びが低減される効果を有すると考えられている。しかしながら、アパーチャーグリルが磁気シールドの役割もあるため、高い軟磁気特性を要求されており、これらの方法では限界がある。
さらに、カラー受像管用アパーチャーグリル用素材として、Cuを0.05〜2.5重量%、Nbを0.001〜0.5重量%を含有する低炭素鋼板を採用することによって、磁気特性と引張強度及び高温クリープ強度を高めるようにしたものが提案されている(特許文献2参照)。この場合は、Cuを添加した極低炭素鋼中に、時効処理によってナノメータオーダーの微細なCu相(ε相)を析出させ、さらにNbを添加することにより、NbC析出による強化を併用することにより、優れた引張強度を確保することができたと考えられる。しかしながら、この場合は,コストの点で未だ満足するものではない。
【0007】
【特許文献1】
特許第2548133号公報
【特許文献2】
特開平2002−212678号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点を克服しようとするもので、優れた引張強度および高温クリープ強度を有するとともに、現行材よりも優れた磁気特性を有し、且つコストの低減を図ることができるカラー受像管用アパーチャーグリル用素材およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者においては、Pを0.1〜1.0重量%とすることで、Pの固溶強化効果により750MPa以上の引張強度を実現できたと考えられ、更に、時効処理による焼鈍でBr(T)/Hc(A/m)は、0.0025T・m/A以上となり優れた磁気特性が得られることが判明した。
即ち、本発明のカラー受像管用アパーチャーグリル用素材は、Cを0.05質量%以下、Siを0.05質量%以下、Mnを0.60〜3.0質量%、Pを0.1〜1.0質量%、Alを0.03質量%以下、Nを0.0040〜0.030質量%、Tiを0(無添加)〜0.10質量%、Nbを0(無添加)〜0.10質量%、Bを0(無添加)〜0.010質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる低炭素鋼帯であって、引張強度が750MPa以上、負荷応力294N/mm2をかけて、450℃で60分間保持した後のクリープ伸びが0.3%以下、磁気特性(Br/Hc)が0.0025T・m/A以上、表面粗さRa(JIS B 0601)が0.1〜0.8μmであることを特徴とする。
【0010】
前記カラー受像管用アパーチャーグリル用素材は、再結晶しない温度で熱処理による形状修正処理を施すことができる。
また、前記カラー受像管用アパーチャーグリル用素材は、表面粗さRa(JIS B 0601)が0.1〜0.8μmとなるように冷間圧延又は調質圧延時の圧延ロールに表面粗度を付与して、該圧延ロールによる冷間圧延又は調質圧延によって表面粗度付与処理を施し、再結晶しない温度で熱処理による形状修正処理を施すことができる。
【0011】
本発明のカラー受像管用アパーチャーグリルは、前記の何れかに記載のアパーチャーグリル用素材をもちいたものであることを特徴とする。
本発明のカラー受像管は、前記のアパーチャーグリルを組み込んだものであることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のアパーチャーグリルの素材として用いる低炭素鋼としては、真空脱ガス法を用いて脱炭および脱窒処理し、鋼中の炭化物および窒化物を減少させ、熱延したものが好ましい。まず、本発明のアパーチャーグリルの素材に用いる鋼に含有される元素の種類、およびその含有量の限定理由について説明する。
【0013】
Cは、鋼中に固溶して、材料硬さを増し、引張強度およびクリープ強度が向上するので、添加する必要があるが、C量が多いと炭化物が増加し、エッチング特性が妨げられる原因となるので、上限を0.05質量%の含有量とするのが好ましい。より望ましくは0.01質量%以下とする。下限は、真空脱ガス処理あるいは箱形焼鈍炉によるオープンコイル焼鈍(OCA)で実用的に低減可能な、0.0001質量%の含有量とするのが好ましい。より好ましくは0.0002質量%以上の含有量であり、さらに好ましくは0.005質量%以上の含有量である。
【0014】
Mnは本発明の重要な成分であり、アパーチャーグリルとしてのクリープ特性を向上させるためにはMnの含有量は多い程好ましく、下限を0.60質量%とするが、上限は製造コストとエッチング性の観点より、3.0質量%以下が好ましい。
【0015】
Pは、重要な元素で、固溶効果により、機械強度を向上させる。0.1質量%以上添加すると効果がある。多すぎると、エッチング性を阻害するため、上限は1.0質量%とする。
【0016】
Alは、Mnと同様に本発明の重要な元素であり、脱酸剤として製鋼工程において用いられ、鋼の清浄度を向上する効果を有する。このため、0.001質量%以上の含有量とすることが好ましい。一方、Alを多量に含有すると、固溶硬化による脆化を生じるうえ、エッチング特性を劣化するだけでなく、鋼中の固溶Nと結合しAlNとなり、固溶Nを低減させてクリープ特性を劣化させるため、上限を0.03質量%以下の含有量とする。
【0017】
Nは前記のように、鋼中に固溶して、材料硬さを増し、引張強度およびクリープ強度が向上するので、添加する必要がある。さらには高硬度の窒化物を形成するうえ、この窒化物が結晶粒内に微細に分散することにより、転位クリープの移動を阻止する効果を有するので、特にクリープ強度を向上する効果を有す。
このため、0.0040質量%以上の含有量とすることが好ましい。より好ましくは0.007質量%以上の含有量である。
一方、N量が多いと窒化物が増加し過ぎて、材料を脆化するので、0.03質量%以下の含有量とするのが好ましい。より好ましくは0.017質量%以下の含有量である。
【0018】
Siは0.05質量%以下とする。0.05質量%を超えると、黒化膜の密着性を劣化する。
Sは、結晶粒界に偏析し、エッチング特性を著しく阻害するうえ、素材の脆化の原因にもなるので、含有量は少ないほうが好ましく、0.10質量%以下とするのが好ましい。さらに好ましくは0.05質量%以下の含有量である。
【0019】
Cuは鋼中に固溶して、材料硬さを増し、引張強度およびクリープ強度が向上するので、添加しても良い。添加する場合、0.001質量%を超えた含有量とすることが好ましい。より好ましくは0.002質量%以上の含有量であり、さらに好ましくは0.003質量%以上の含有量である。
一方、Cu量が多いとエッチング速度を低下し、エッチング液を汚染するので、2.0質量%以下の含有量とするのが好ましい。さらに好ましくは0.1質量%以下の含有量である。
【0020】
Crは、鋼中に固溶して、材料硬さを増し、引張強度およびクリープ強度が向上するので、添加しても良い。添加する場合、Crは鋼中に残存する固溶窒素(N)との相互作用により、コットレル雰囲気を形成したNの拡散を抑制する。特に、450℃のような高温ではNの拡散速度は著しく高くなるため、Nのみでの高温の転位の移動を抑制する効果は小さい。Crは450℃の高温でもNに比べ、拡散速度は小さいため、Nと相互作用を生じたCrが結果的にNの拡散を抑え、結果的に転位の移動を妨げることとなる。すなわち、クリープ伸びを低減させる。しかし、一方で、過多のCr量は磁気特性を劣化させるため、Cr添加量の下限は、0.001質量%以上の含有量とすることが好ましい。より好ましくは0.002質量%以上の含有量であり、さらに好ましくは0.003質量%以上の含有量である。
一方、Cr量が多いと炭化物を形成し、磁気特性を阻害するので、0.1質量%以下の含有量とするのが好ましい。より好ましくは0.09質量%以下の含有量とするのが好ましい。さらに好ましくは0.08質量%以下の含有量である。
【0021】
Tiは必要により添加しても良い。添加する場合は、0.10質量%以下が望ましい。0.10質量%を超えると、焼鈍時の再結晶を抑制し、磁気特性を劣化させるか、または、より高温での焼鈍となり、ヒートバックルが発生し、好ましくない。
【0022】
Nbは必要により添加しても良い。添加する場合は、0.10質量%以下が望ましい。0.10質量%を超えると、焼鈍時の再結晶を抑制し、磁気特性を劣化させるか、または、より高温での焼鈍となり、ヒートバックルが発生し、好ましくない。
【0023】
Bは必要により添加しても良い。添加する場合は、0.010質量%以下が望ましい。0.010質量%を超えると、ブラウン管内の高真空時にBが蒸発し、真空を劣化させるので、好ましくない。
【0024】
次に、本発明のアパーチャーグリル用素材としての薄鋼板の製造方法を説明する。通常の熔解法により、得られた上記組成の溶湯は真空脱ガスあるいはAl、Si等による脱酸処理を施し、連続鋳造および熱間圧延工程を経て、熱延板が得られる。酸洗工程において、脱スケール後、冷間圧延し、0.2〜0.3mmの板厚とする。次いで、焼鈍処理により軟化処理後、所定の板厚0.05〜0.20mmまで、冷間圧延により仕上げ加工を施す。焼鈍処理は、箱形焼鈍炉、連続焼鈍炉のいずれかを用いても差し支えない。更に、冷間圧延による仕上げ加工後に、表面粗度付与処理を施さず、再結晶しない温度範囲で熱処理を施すか、あるいは、表面粗度付与処理を施した後、再結晶しない温度範囲で熱処理を施す。雰囲気は、非酸化性の雰囲気が良く、例えば、窒素と水素を含んだ還元性雰囲気が特に好ましい。なお、表面粗度付与処理は、良く知られた方法で良く、例えば調質圧延工程で行っても良く、更に所定の板厚0.05〜0.20mmまで、冷間圧延する時に行っても良い。また、再結晶しない温度範囲での熱処理を行う前後で、メカニカル方式テンションレベラーあるいはハイドロテンションレベラーによる板の形状を矯正する処理を行っても良い。
冷延板の表面粗さRa(JIS B 0601)は0.1〜0.8μmの範囲が良い。より好ましくは、0.4〜0.6μmの範囲が良い。0.1μm未満では、レジストとの密着性が悪く、0.8μmを超えると、密着性が良すぎて、現像時に溶解すべき箇所のレジストが残存しやすい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例について本発明をさらに詳細に説明する。表1には、異なった種類の化学組成を有する鋼(実施例1〜5、比較例1〜5)を真空脱ガスして、熔製したスラブを熱間圧延し、2.0mmの熱延板とした際の化学組成を示す。これらの熱延板を硫酸酸洗した後、冷間圧延し、板厚が0.2〜0.3mmの冷延板とした。なお、表1において、FTは熱延板の仕上げ温度を示す。その後、連続式焼鈍炉を用いて、焼鈍処理を施し、さらに冷間圧延により板厚0.10mmとした。この冷間圧延時、圧延ロールに一定の表面粗度を付与して、冷延板の表面粗さRaを調整した。一定の表面粗さRaを付与後、更に再結晶しない程度の熱処理を施した。 また、上記冷間圧延後、改めて粗度付与処理を行い、再結晶しない程度の熱処理を行った。表1及び表2において、実施例3、比較例3〜5は表面粗度付与処理を調質圧延により行った。実施例1〜2、実施例4〜5および比較例1〜2は冷間圧延時に表面粗度を付与した。
【0026】
【表1】
【0027】
表2は、このようにして得られた供試材について特性試験結果をまとめて示す。引張試験はインストロンタイプ引張試験機にて、クリープ伸びはクリープ試験機(東海製作所製)を用い、負荷応力294N/mm2をかけて、大気中において450℃×60分保持した際の伸び(%)と、負荷応力294N/mm2をかけて、大気中において450℃×20分保持を3回繰り返した際の伸び(%)との両者を測定し評価した。
このクリープ強度試験評価は次の基準で定めたものである。すなわち、表2中に記載の「アパーチャーグリル素材時の特性」の欄におけるクリープ伸びを「0.3%以下」に定めた理由は、アパーチャーグリルがフレームに溶接された後、黒化するための熱処理が施されることを想定して、黒化処理後において張力を負荷させた状態でフレームにアパーチャーグリルが取り付けられた後においても、アパーチャーグリルが弛むことなく張力を負荷された状態を保持させうるためのアパーチャーグリル素材の試験条件を定めたものである。この条件として、アパーチャーグリル素材に負荷応力294N/mm2をかけて、450℃で60分間保持をした後のクリープ伸びを測定したものである。この伸びが0.3%以下であれば、アパーチャーグリルが受像管に組み込まれた後においても、アパーチャーグリルを構成している各テープが弛むことなく、張力を維持した状態で保持できるカラー受像管用アパーチャーグリルを得ることができる。そして、該アパーチャーグリルを組み込んだカラー受像管は電子ビームが地磁気により偏向されることにより、偏光されることが防止され、歪みのない鮮明なカラー受像管を得ることができる。
【0028】
磁気特性は、450℃で10分にて、焼鈍を施した後、エプスタイン法(1次捲及び2次捲線を施し、外部磁場をかけて測定する方法(評価は796A/mの磁場をかけた)にて、残留磁束密度Br(T)と保磁力Hc(A/m)を測定し、Br(T)/Hc(A/m)を求めた。この磁気特性は0.0025T・m/A以上あることが望ましい。
【0029】
表面粗さRaはJIS B 0601に準じて測定した。また、レジストとの密着性は、乾燥後の厚みが5〜6μmになるように、水溶性カゼインを塗布した後、カッターで、鋼板まで達するように碁盤目を入れ、セロハンテープによる強制剥離試験を行った。全く剥離がない場合を合格(表2では○と表示)とし、一部でも剥離部があった場合を不合格(表2では×と表示)とした。
【0030】
さらに、カラー受像管の実機においては、黒化処理に続き、受像管に組み込んだ後に行うベーキング処理、ガラス封着処理などの加熱処理が行われる。このため、アパーチャーグリルのクリープ伸びは、前記アパーチャーグリル素材の伸びよりも大きいものと想定される。従って、本発明では、上記実機の製造工程に鑑み、アパーチャーグリル素材に、294N/mm2の負荷応力をかけて、常温と450℃で20分間保持の加熱冷却繰り返しを3回したときの伸びを0.6%以下になるようにしたものである。
この伸びが0.6%以下であれば、アパーチャーグリルが受像管に組み込まれた後においても、アパーチャーグリルに対応できるアパーチャーグリル素材であるからである。
【0031】
【表2】
【0032】
表2より、上記いずれの特性においても本発明品は優れているので、総合評価として、判定の欄に〇または◎の記号を示してある。○または◎は合格範囲を示し、引張強度が750MPa以上、上記のように示した試験条件でのクリープ伸びが0.3%以下、磁気特性(Br/Hc)が0.0025T・m/A以上、表面粗さRa(JIS B 0601)が、0.1〜0.8μm以上及びレジストとの密着性が良好の特性を有する材料を示している。◎は特に、磁気特性(Br/Hc)が0.0030T・m/A以上と優れている場合を示している。一方、本発明の範囲内に入らない比較例品は、上記いずれかの特性において劣っているので、総合評価として×または△の記号を示してある。△は若干引張強度が劣る場合を示している。また、比較例2は、Siの含有量が多いため、表面の黒化膜の密着性が悪かった。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明のカラー受像管用アパーチャーグリル用素材は、エッチング性に優れ、特にPの固溶強化効果により剛性・引張り強度を高めてハンドリング性に優れた高強度特性を実現でき、且つ優れた磁気特性を持つ素材を低コストで実現でき、該素材により製造されたアパーチャーグリルは、引張強度、高温クリープ強度およびレジストとの密着性を有し、且つ優れた磁気特性(Br/Hc)を有するので、画面の色ずれのないアパーチャーグリル方式カラー受像管を得ることができる。
Claims (5)
- Cを0.05質量%以下、Siを0.05質量%以下、Mnを0.60〜3.0質量%、Pを0.1〜1.0質量%、Alを0.03質量%以下、Nを0.0040〜0.030質量%、Tiを0(無添加)〜0.10質量%、Nbを0(無添加)〜0.10質量%、Bを0(無添加)〜0.010質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる低炭素鋼帯であって、引張強度が750MPa以上、負荷応力294N/mm2をかけて、450℃で60分間保持した後のクリープ伸びが0.3%以下、磁気特性(Br/Hc)が0.0025T・m/A以上、表面粗さRa(JIS B 0601)が0.1〜0.8μmであることを特徴とするカラー受像管用アパーチャーグリル用素材。
- 前記カラー受像管用アパーチャーグリル用素材が、再結晶しない温度で熱処理による形状修正処理を施してなるものである請求項1に記載のカラー受像管用アパーチャーグリル用素材。
- 前記カラー受像管用アパーチャーグリル用素材が、表面粗さRa(JIS B 0601)が0.1〜0.8μmとなるように冷間圧延又は調質圧延時の圧延ロールに表面粗度を付与して、該圧延ロールによる冷間圧延又は調質圧延によって表面粗度付与処理を施し、再結晶しない温度で熱処理による形状修正処理を施してなるものである請求項1又は2に記載のカラー受像管用アパーチャーグリル用素材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のアパーチャーグリル用素材を用いたカラー受像管用アパーチャーグリル。
- 請求項4のアパーチャーグリルを組み込んだカラー受像管。
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