JP2001106844A - プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
プロピレン系樹脂組成物Info
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Abstract
り破断伸びと耐熱変形性、剛性のバランスに優れるポリ
プロピレン系樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (A):ポリプロピレン系樹脂、
(B):ゴム状重合体及び(C):90%以上が水素添
加された水素添加ブロック共重合体からなり、成分
(A)が連続相を形成し、連続相中に成分(B)が分散
相(第一分散相)として存在し、さらにその第一分散相
の界面及び/または第一分散相中(第二−a分散相)及
び連続相中(第二−b分散相)にそれぞれ成分(C)が
分散した分散相を形成している分散形態を有し、成分
(C)の第二−a分散相と第二−b分散相とを形成する
比率が30/70〜85/15であるポリプロピレン系
樹脂組成物とする。
Description
脂組成物に関する。更に詳しくは特定のアロイ高次構造
(モルホロジ−)を有する、常温・低温耐衝撃性、低温
脆化温度、引っ張り破断伸びと耐熱変形性、剛性のバラ
ンスに優れることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組
成物に関する。
耐薬品性、機械的特性に優れているため、機械部品、自
動車部品など広範に使用されている。最近、各種製品の
機能性の追求、経済性の追求から製品の大型化、薄肉化
が進み、常温・低温耐衝撃性、低温脆化温度、剛性、耐
熱変形性、引っ張り破断伸びに優れたポリプロピレン系
樹脂組成物が要望されている。
リプロピレン系樹脂組成物への要望が高いが、特にベ−
スのポリプロピレン系樹脂を高フロ−化すると、耐衝撃
性、低温脆化温度、引っ張り破断伸びが低下することが
知られている。中でも引っ張り破断伸びは、自動車材料
として用いた場合、バンパ−や、衝突時に内装材で人間
に直接ぶつかる可能性のある箇所、特にインパネ、A,
Bピラ−等に要求されている物性であるであるが、ベ−
スポのリプロピレンを高フロ−化するとその低下が著し
い性能の一つである。
るため、あるいは変形によって衝撃を吸収するため、あ
るいはクリープ変形時に破断をおこさないため等の理由
で要求度の高い物性の一つである。また、耐熱変形性
も、自動車外装材をオンライン塗装するときの高温雰囲
気下において成形材料が変形しないために要求度の高い
物性の一つである。これら、脆化温度・引っ張り破断伸
び・耐衝撃性と剛性・耐熱変形性は一方を改良すると、
他方が悪化するというように相反する性質であり、全体
の物性バランスを向上させる発明が待たれていた。
性、寸法安定性の改良を目的としてプロピレンブロック
共重合体、エチレンプロピレン系ゴム、水素添加ブロッ
ク共重合体、充填材よりなるポリプロピレン系樹脂成形
材料が開示されており、自動車外装部品の材料として有
効に使用できるとの記載がある。しかしながら、使用し
ている水素添加ブロック共重合体のMFRは50g/1
0分であり、得られる成形体の破断伸びは満足のいくも
のではない。
熱変形性、耐衝撃性、成形性に優れる樹脂組成物とし
て、結晶性プロピレン、2種類の水添ブロック共重合体
(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体、
スチレン−エチレン/プロピレン共重合体)、エチレン
−αオレフィン共重合ゴム、タルクよりなる樹脂組成物
が開示されている。しかしながら、水添ブロック共重合
体としてスチレン量13重量%の水素添加ブロック共重
合体(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合
体)を用いており、剛性にまだ満足のいくものではな
い。
耐衝撃性、成形性に優れる樹脂組成物として、ポリプロ
ピレン系重合体、水素添加ブロック共重合体、エチレン
−αオレフィン共重合ゴム、タルクよりなる樹脂組成物
が開示されており、剛性、耐熱変形性、脆化温度に関し
て測定した例が記載されている。しかしながら、使用し
ている水素添加ブロック共重合体(スチレン−エチレン
/ブチレン−スチレン共重合体)のスチレン量は13w
t%であり、得られる成形体の剛性はまだ満足のいくも
のではない。以上のように耐衝撃性、脆化温度、引っ張
り破断伸びと耐熱変形性、剛性のバランスに優れたポリ
プロピレン系樹脂組成物が未だ得られていなのが現状で
あった。
脆化温度、引っ張り破断伸び、剛性、耐熱変形性のバラ
ンスに優れ、経済性にも優れた特定のモルホロジ−を有
するポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにあ
る。
鋭意検討を重ねた結果、本発明者らはポリプロピレン系
樹脂とゴム状重合体と特定の水素添加ブロック共重合体
を組み合わせた場合にある特定の高次構造(モルホロジ
−)を有するポリプロピレン系樹脂組成物が上記課題を
効果的に解決することを見いだし、本発明を完成するに
至った。このような特定のモルフォロジーを有するプロ
ピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂とゴム状
重合体、水素添加ブロック共重合体、必要に応じて無機
充填材よりなる組成物において、ポリプロピレン系樹脂
とゴム状重合体と特定の水素添加ブロック共重合体を、
下記の特定のモルフォロジーを実現するように混練する
ことで得られる。すなわち本発明は、このような特定の
モルホロジ−とすることで耐衝撃性、脆化温度、剛性、
耐熱変形性、引っ張り破断伸びのバランスに優れるポリ
プロピレン系樹脂組成物が得られることを見いだしこと
による。
重合体及び/またはプロピレンとエチレンもしくは他の
α−オレフィンとの共重合体であるポリプロピレン系樹
脂98〜50重量%(なお、ポリプロピレン系樹脂がゴ
ム状重合体を含有する場合は含有ゴム状重合体は(B)
成分の一つに含まれる。)、成分(B):ゴム状重合体
1〜49重量%及び成分(C):少なくとも1個のビニ
ル芳香族炭化水素化合物単量体を主体とする重合体ブロ
ックAと、少なくとも1個の水素添加された共役ジエン
化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構
成され、水素添加される前の共役ジエン化合物単量体単
位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和
二重結合のうち、90%以上が水素添加された水素添加
ブロック共重合体1〜40重量%からなる樹脂組成物で
あって、かつ成分(A)が連続相を形成し、その連続相
中に(B)成分が分散相(第一分散相)として存在し、
さらにその第一分散相の界面及び/または第一分散相中
(第二−a分散相)及び連続相中(第二−b分散相)に
それぞれ成分(C)が分散した分散相を形成している分
散形態を有し、かつ透過型電子顕微鏡写真から決定され
る成分(C)の第二−a分散相と第二−b分散相とを形
成する比率が3/7〜9/1であることを特徴とする、
ポリプロピレン系樹脂組成物である。
(C)が少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素化合物
単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、少なくと
も1個の水素添加された共役ジエン単量体単位を主体と
する重合体ブロックBから構成され、水素添加される前
のブタジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中
のオレフィン性不飽和二重結合のうち、90%以上が水
素添加された水素添加ブロック共重合体であり、水素添
加ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素化合物の
重量平均結合量が12重量%を越え30重量%未満であ
ることを特徴とする上記記載のポリプロピレン系組成物
である。
ニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合
体ブロックAと、少なくとも2個の水素添加された共役
ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックB
から構成され、水素添加される前の共役ジエン化合物単
量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性
不飽和二重結合のうち、90%以上が、水素添加された
水素添加ブロック共重合体において、末端にあるブロッ
クのうち、少なくとも1個が重合体ブロックBであり、
かつ末端にある重合体ブロックBは水素添加ブロック共
重合体中で占める割合が、0.1重量%以上9.1重量
%未満であって、水素添加ブロック共重合体中のビニル
芳香族炭化水素化合物の重量平均結合量が、12重量%
以上30重量%未満であることを特徴とする上記記載の
ポリプロピレン系樹脂組成物である。
ブロック共重合体において、重合体ブロックA、Bの結
合部分に共役ジエン化合物単量体とビニル芳香族炭化水
素化合物単量体のランダム共重合、あるいはテ−パ−構
造部分を有する水素添加ブロック共重合体であることを
特徴とする上記記載のポリプロピレン系樹脂組成物であ
る。さらには、成分(C)が水素添加ブロック共重合体
を構成する共役ジエン化合物単量体が1,3−ブタジエ
ンであり、水素添加前のブタジエン単量体単位を主体と
する重合体ブロックにおける1、2結合量が40モル%
以上61モル%未満である水素添加ブロック共重合体で
あることを特徴とする上記記載のポリプロピレン系樹脂
組成物である。
ブロック共重合体において水素添加ブロック共重合体の
JIS K7210に準拠した、温度230℃、荷重
2.16Kgの条件で求めたメルトフローレート値(M
FR)が1.0g/10分以上15g/10分未満であ
る水素添加ブロック共重合体であることを特徴とする上
記記載のポリプロピレン系樹脂組成物である。さらに
は、成分(B)を構成するゴム状重合体がエチレン−α
オレフィン共重合体からなることを特徴とする上記記載
のポリプロピレン系樹脂組成物である。
重合体がエチレン−オクテン−1共重合体であることを
特徴とする上記記載のポリプロピレン系樹脂組成物であ
る。さらには、このエチレン−オクテン−1共重合体の
オクテン−1含有率が14重量%以上50重量%以下で
あることを特徴とする上記記載のポリプロピレン系樹脂
組成物である。以下、本発明を更に詳しく説明する。
ポリプロピレン系樹脂とはプロピレンを主体とし、エチ
レン、炭素数4〜12のα−オレフィン、例えば、1−
ブテン、1−オクテン、イソブチレン、4−メチル−1
−ペンテン等から1種以上選ばれる単量体を重合して得
られる樹脂であり、なかでも、プロピレンの単独重合
体、プロピレンに少量のエチレンまたは1−ブテン等の
α−オレフィンを共重合したいわゆるランダムプロピレ
ン共重合体、または複数のリアクタ−を用いて逐次重合
によって製造されたいわゆるエチレン(α−オレフィ
ン)・プロピレンブロック共重合体或いはこれらの混合
物があげられ、分子量、組成の異なる物を混ぜることも
できる。
例えば1,9−デカジエン、1,5−ヘキサジエン、
1,4−ヘキサジエン、イソプレン、1,3−ブタジエ
ン、1,3−ペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエ
ン、1,4−シクロヘキサジエン等を加え、共重合した
ものを用いることもできる。特に好ましいのはプロピレ
ンホモ重合体とプロピレンブロック共重合体である。プ
ロピレンのブロック、ランダム共重合体のコモノマーと
してはプロピレン以外のα−オレフィン類、エチレンが
用いられるが、なかでもエチレンが望ましく、これら共
重合体中のプロピレン含量は55モル%以上が望まし
い。
マーに用いたプロピレンブロック共重合体にあっては、
ホモプロピレンブロックを連続相としてエチレン/α−
オレフィンブロックが分散相を形成しているが、この分
散相成分の含量はプロピレンブロック共重合体の5〜3
0重量%が望ましい。この分散相中にはポリエチレンが
含まれていても良い。ポリエチレンの分散相内への分散
は、応力白化を防止する効果がある。
脂のメルトフローレート(JISK7210L条件に準
拠)は0.1〜200g/10分の範囲にあることが望
ましく、50g/10分以上であることが剛性、成形性
の点で好ましい。ポリプロピレン系樹脂の重合方法は従
来公知の方法いずれでもよく、遷移重合、ラジカル重
合、イオン重合等があげられる。成分(A)を構成する
ポリプロピレン系樹脂がプロピレンブロック共重合体の
場合、メルトフローレート値(MFR)が10以上、8
0g/10分以下のプロピレンブロック共重合体である
ことが特定のモルホロジ−形成と成形上、好ましい。
ン系樹脂がプロピレンホモ重合体である場合、MFRが
1以上30g/10分以下のプロピレンホモ重合体であ
ることが好ましい。これ以外の範囲では成形条件によっ
ては、特定のモルホロジ−形成が困難になる場合があ
る。また、成分(A)を構成するポリプロピレン系樹脂
がこれらプロピレンブロック共重合体と、プロピレンホ
モ重合体の両者から構成され、その比率がプロピレンブ
ロック共重合体/プロピレンホモ重合体=1/99〜9
9/1であることは、成形条件や組み合わせるゴムにも
よるが、特定のモルホロジ−形成・物性発現上、より好
ましい場合がある。
状重合体とは、ポリオレフィン系ゴム、スチレン系ゴ
ム、天然ゴム、イソプレンゴム、水添イソプレンゴム、
ブタジエンゴム、水添ブタジエンゴム、ブチルゴムのよ
うな非極性のゴムを挙げることが出来る。なかでも相容
性と物性発現の点からポリオレフィン系ゴムが最も好ま
しい。ポリオレフィン系ゴムとしてはチグラ−系触媒を
用いて、エチレンとα−オレフィンまたはそれらと非共
役ジエンとを共重合することによって得られるエチレン
−α−オレフィン系共重合体ゴムを挙げることが出来
る。
はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば
プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、オクテン、4
−メチルペンテン−1などを共重合したものであればい
ずれでも良いが、脆化温度、剛性の点からプロピレン、
1−ブテン、エチレン、1−オクテン(オクテン−1)
が好ましい。これらのα−オレフィンは単独でも、ある
いは2種以上でを併せて用いることが出来る。α−オレ
フィンの量は14wt%以上、70wt%以下であるこ
とが好ましく、特に1−オクテンの場合、その含量が1
4wt%以上、50重量%以下であるエチレン−オクテ
ン共重合体は脆化温度、剛性のバランスに優れるので好
ましい。
ポリプロピレンと完全相溶し、剛性等の物性が低下する
ので好ましくない。また、エチレン−αオレフィン共重
合体ゴムの比重は0.900g/cc以下が好ましく、
0.880g/cc以下であることが脆化温度、剛性に
優れるのでさらに好ましい。これらエチレン−α−オレ
フィン共重合体ゴムは、特に重合方法は問わないが、組
成が均一であること、比重が小さいこと等から、活性点
が均一のメタロセン触媒で重合したものが好ましい。重
合系としては溶液均一系、スラリ−系いずれでも構わな
い。
共重合させることも可能であり、かかる非共役ジエンと
しては、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエ
ン、5−メチル−2,5−ノルボルナジネン、5−メチ
ル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボル
ネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−
(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、シクロオクタジ
エン、シクロヘキサジエン、ビニルシクロヘキサン、6
−メチル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、ト
ランス−1,2−ジビニルシクロブタン、1,4−ヘキ
サジエン、1,6−オクタジエン、1,8−ノナジエ
ン、1,9−デカンジエン、3,6−ジメチル−1,7
−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジ
エン、1,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,
8−ノナジエン等が挙げられる。
らに非共役ジエンを共重合したポリオレフィン系ゴムの
具体例としてはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(E
PDM)等を挙げることが出来る。これらオレフィン系
ゴム中のエチレン含有量は、30〜80重量%のものが
好適に用いられる。
%未満であると曲げモジュラス、表面硬度、熱時剛性等
の剛性に劣る場合があり、49重量部を越えると低温性
能、破断伸び、低温脆化温度等に劣る。また、ゴム状重
合体のMFRは0.1以上100以下、好ましくは0.
2以上50以下、さらに好ましくは0.5以上30以下
である。
プロピレンブロック共重合体の場合、ホモポリプロピレ
ン、ポリプロピレン−ポリエチレンブロック共重合体、
ポリエチレンが含まれ、この場合はマトリクスがホモポ
リプロピレンとなり、ポリプロピレン−ポリエチレンブ
ロック共重合体、ポリエチレンが分散相になる場合があ
る。このような場合ではこれらポリプロピレン系樹脂の
重合時の側から来るポリプロピレン−ポリエチレンブロ
ック共重合体、ポリエチレン等は成分(B)のゴム状重
合体と考えることとする。
のゴム状重合体の場合、成分(B)のMFRが0.1を
切ると、得られる組成物のMFRが低下し、またフロ−
マ−ク等の成型体外観も悪化するので好ましくない。ま
た、100以上であると所望のモルホロジ−も得られ
ず、組成物の衝撃性、低温性能等の物性も低下するので
好ましくない。本発明に用いられる成分(C)を構成す
る水素添加ブロック共重合体は少なくとも1個のビニル
芳香族炭化水素化合物単量体を主体とする重合体ブロッ
クAと、少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化
合物単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成
され、水素添加される前の共役ジエン化合物単量体単位
を主体とする重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二
重結合のうち、90%以上が水素添加された水素添加ブ
ロック共重合体である。
は少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素化合物単量体
単位を主体とする重合体ブロックAと、少なくとも2個
の水素添加された共役ジエン化合物単量体単位を主体と
する重合体ブロックBから構成され、水素添加される前
の共役ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体ブロ
ック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち、90%以
上が水素添加された水素添加ブロック共重合体におい
て、末端にあるブロックのうち、少なくとも1個が重合
体ブロックBであり、かつ末端にある重合体ブロックB
は水素添加ブロック共重合体中で占める割合が、0.1
重量%以上9.1重量%未満であって、水素添加ブロッ
ク共重合体中のビニル芳香族炭化水素化合物の重量平均
結合量が12重量%以上30重量%未満であることを特
徴とする水素添加ブロック共重合体である。
族炭化水素化合物の重量平均結合量の意味は、水素添加
ブロック共重合体が成分(C)として単独で用いられる
場合はその水素添加ブロック共重合体中のビニル芳香族
炭化水素化合物の結合量を意味する。水素添加ブロック
共重合体が成分(C)として2種以上用いられる場合
は、各々の水素添加ブロック共重合体中のビニル芳香族
炭化水素化合物の重量平均結合量となる。例えばビニル
芳香族化合物の60重量%の水素添加ブロック共重合体
3部と15重量%の水素添加ブロック共重合体7部とを
併用した場合の水素添加ブロック共重合体中のビニル芳
香族炭化水素化合物の重量平均結合量は、0.3×60
+0.7×15=28.5%となる。
ク構造はA−B−A−Bである水素添加ブロック共重合
体もしくはB−A−B−A−Bである水素添加ブロック
共重合体であることが、好ましい。このブロック構造を
取ることで、所定のモルホロジ−及び所望の物性を容易
に得ることが出来る。また、水素添加ブロック共重合体
において重合体ブロックA、Bの結合部分に共役ジエン
化合物単量体とビニル芳香族炭化水素化合物単量体のラ
ンダム共重合、あるいはテ−パ−構造部分を有する水素
添加ブロック共重合体であることことも所定のモルホロ
ジ−及び所望の物性を得る上で、好ましいブロック構造
である。
るビニル芳香族化合物単量体単位としては、例えばスチ
レン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−
ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラ
メトキシスチレン、ビニルナフタレン等のうちから1
種、または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが好まし
い。上記ブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物
単量体単位含量は12重量%以上、25重量%未満であ
り、剛性、脆化温度の点から15重量%以上23重量%
未満であることが好ましい。
5重量%以上であると低温脆化温度が高くなる場合があ
る。ビニル芳香族化合物単量体単位含量は核磁気共鳴装
置(NMR)、紫外分光光度計(UV)などにより測定
できる。本発明における「主体とする」という言葉は例
えば「ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする」の
場合、ビニル芳香族単量体の1種または2種以上からな
る場合、もしくはこれらとリビングアニオン重合する他
の単量体が共重合されている場合も含まれる。
共役ジエン化合物単量体、メチルメタクリレート、ブチ
ルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、シクロヘ
キサジエン、カプロラクトン等をあげることができる。
共重合の形態としては、ランダム、交互、テーパー等い
かなる形態でも良く、2個ある重合体ブロックAはそれ
ぞれその組成、分子量などが異なっても構わない。水素
添加ブロック共重合体を構成する共役ジエン化合物単量
体単位としては、1,3−ブタジエン及び/またはイソ
プレンがある。
体単位を主体とする重合体ブロックの場合は、そのブロ
ックにおけるミクロ構造を任意に選ぶことができ、通常
は、1,2結合(ビニル)量が35モル%以上、90モ
ル%以下である。好ましくは40モル%以上61モル%
未満であり、41モル%以上55モル%以下であること
がさらに好ましい。35モル%未満の場合、分散不良を
まねき伸びが劣り好ましくない。成形体の成形条件、組
み合わせるオレフィンゴムにもよるが、通常は61モル
%を越えると組成物の脆化温度、曲げモジュラス、耐熱
変形性が悪化する。これらのミクロ構造は核磁気共鳴装
置(NMR)により測定できる。
を主体とする重合体ブロックの場合は、そのブロックに
おけるミクロ構造には1,4結合の他、1,2結合、
3,4結合が存在する。このうちイソプレン単量体中に
しめる1,2結合量と3,4結合量の合計をビニル結合
量と定義すると、かかるビニル結合量が0モル%以上、
20モル%以下であることが、好ましい。20モル%を
越えると、所望のモルホロジ−が得られなくなり、また
低温脆化温度、曲げモジュラス、耐熱変形性、表面硬度
等が悪化する。
が、イソプレンと1,3−ブタジエンとの共重合体の場
合は、その共重合組成によって、上記ビニル結合の最適
範囲は異なるが、10モル%以上、50モル%以下、好
ましくは15モル%以上40モル%以下である。また、
「ブタジエン単量体単位を主体とする」という言葉に
は、ブタジエン単量体とリビングアニオン重合する他の
単量体が共重合されている場合も含まれる。
ビニル芳香族化合物単量体、メチルメタクリレート、ブ
チルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、1,3
−シクロヘキサジエン、カプロラクトン等をあげること
ができる。共重合の形態としては、ランダム、交互、テ
ーパー等いかなる形態でも良い。また、本明細書中で使
用される「主体とする」という言葉は該当単量体単位が
重合体ブロックにおいて、少なくとも50モル%を越
え、好ましくは70モル%以上を占めることを意味す
る。
ロック共重合体は、水素添加される前の重合体ブロック
B中のオレフィン性不飽和二重結合のうち90%以上が
水素添加されたものである。90%未満であるとポリプ
ロピレン界面での接着性が低下し、耐衝撃性、伸びが低
下し、熱、光などにより劣化をおこし熱可塑性が低下す
る。また、所望のモルホロジ−が得られない場合があ
る。
のベンゼン環の不飽和二重結合は、ビニル芳香族化合物
全体において20%までは水素添加されていても良い。
水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定で
きる。20%を越えると所望のモルホロジ−が得られず
に、特に低温脆化温度や、剛性が悪化する場合がある。
K7210に準拠し温度230℃、荷重2.16Kg
の条件で求めたメルトフローレート値(MFR)は0.
1g/10分以上30g/10分未満が望ましく、好ま
しい範囲としては1.0g/10分以上15g/10分
未満、さらに好ましい範囲としては3.0g/10分以
上10g/10分未満である。0.1g/10分未満で
あると耐衝撃性が悪化し、30g/10分以上であると
破断伸びがでない場合がある。
重合体の末端にある重合体ブロックBはそれぞれ水素添
加ブロック共重合体中で占める割合が、0.1重量%以
上9.1重量%未満であり、低温脆化温度、引っ張り破
断伸びの点から好ましくは0.3重量%以上7.5重量
%以下であり、更に好ましくは3重量%を越え5.0重
量%未満である。0.1重量%未満であると、引っ張り
破断伸びが悪化し、9.1重量%以上であると脆化温度
が悪化する。
末端にある重合体ブロックBが全体に占める割合は0.
1重量%以上9.1重量%未満の範囲にあり、例えばB
1−A−B2−A−B3(B1、B2、B3:水素添加
された共役ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体
ブロック)の構造をとる場合、末端にある重合体ブロッ
クB1が全体に占める割合は0.1重量%以上9.1重
量%未満の範囲になければならなく、また末端にある重
合体ブロックB3も全体に占める割合は0.1重量%以
上9.1重量%未満の範囲になければならない。
の秩序−無秩序転移温度は260℃以下であることが成
型性、引っ張り破断伸びの発現の点で望ましく、230
℃以下であるとさらに望ましい。成形加工温度が水素添
加ブロック共重合体の秩序−無秩序転移温度以上である
場合、組成物成形体の引っ張り破断伸びが向上する。こ
れは相分離が消失した状態で水素添加ブロック共重合体
をポリオレフィン系樹脂と溶融混練した場合、溶融時に
相分離状態を保つものと比較して、水素添加ブロック共
重合体の分子鎖とポリオレフィン系樹脂の分子鎖が絡み
やすく、絡み合った状態で組成物温度が低下し相分離を
起こしたときに、ハードドメインのアンカー効果によ
り、分散相と連続相の界面接着力が向上するためである
と我々は推測している。
る場合、効率よくプロピレンブロック共重合体分散相と
ホモポリプロピレン界面に水素添加ブロック共重合体が
存在し界面接着強度を向上させることで、さらに引っ張
り破断伸び等を向上することができ好ましい。樹脂組成
物の成形加工温度は添加剤、樹脂の劣化のことなどを考
慮すると260℃以下である事が望ましく、230℃以
下であるとさらに望ましいため、水素添加ブロック共重
合体の秩序−無秩序転移温度は260℃以下であること
が得られる組成物の成形体の引っ張り破断伸びを向上さ
せるために望ましく、230℃以下であるとさらに望ま
しい。
体の秩序−無秩序転移温度以上の温度で成形加工した成
形体は、自動車に用いられるバンパーなどの外装材、イ
ンストルメントパネル、エアバックカバーなどの内装材
に好適に用いることができる。成形加工温度とは、組成
物を溶融混練し作成する温度、得られた組成物を成形す
る温度などをいう。秩序−無秩序転移温度とは室温付近
ではゴム相と拘束相の二相に相分離している水素添加ブ
ロック共重合体の相分離状態が消失する温度をいい、小
角X線散乱、レオロジー測定により決定することができ
る。
決定する場合、十分なせん段速度範囲において種種の温
度で動的な貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)を
測定し、G’をG”に対してプロットした直線の傾き、
切片が同じになり始める温度より決定できる。または、
十分低い周波数、たとえば0.1Hz以下の周波数で
G’の温度依存性を高温側から測定し、もっとも高温側
に現れる変曲点からも決定できる。
ロック共重合体は、結晶融解熱量(ΔH)が0.05J
/g未満である水素添加ブロック共重合体がさらに好ま
しい。もちろんブロック構造の異なる水素添加ブロック
共重合体を混合して用いても良い。すなわちA−B、A
−B−A、A−B−A−B、A−B−A−B−A、(A
−B)n−X(nは1から4までの整数、Xはカップリ
ング剤の残基を表す)等のブロック構造の異なる任意の
組み合わせも使用可能である。
ック共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量は3
5,000以上200,000以下であることが好まし
く、40,000以上150,000未満であることが
好ましい。数平均分子量が35,000未満であるとエ
ラストマーとしての一般的な機能を持たず、また組成物
にしても所望の物性が得られ難く、200,000を越
えると秩序−無秩序転移温度が高くなり、成形加工性が
悪化し、また、流動性が低下しブロック共重合体の取り
扱いが難しくなる。数平均分子量はゲルパーミエイショ
ンクロマトグラフィー(GPC)法において、市販のG
PC検量線作成用の標準ポリスチレンを用いることによ
り算出したポリスチレン換算分子量である。
ック共重合体は例えば、特公昭49−36957号公報
などに記載された方法である炭化水素溶剤中でアニオン
重合開始剤として有機リチウム化合物等を用い、ビニル
化剤としてジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の
エーテル化合物、トリエチルアミン、N,N,N’,
N’−テトラメチルエチレンジアミン等の第3級アミ
ン、必要に応じカップリング剤としてエポキシ化ダイズ
油、四塩化ケイ素等の多官能性化合物を用い、ビニル芳
香族単量体とブタジエン単量体をブロック共重合し、こ
のブロック共重合体を、公知の方法、例えば、特公昭4
2−87045号公報に記載の方法で水素添加すること
により、得られる。
単位を主体とする重合体ブロックを重合する際には反応
器内温のピーク温度が85℃以下であり、温度幅(Δ
T)が15℃以下であると最終的に得られる水素添加ブ
ロック共重合体の結晶融解熱量(ΔH)が低下する。ピ
ーク温度が85℃を越える、あるいは温度幅(ΔT)が
15℃を越えると結晶融解熱量(ΔH)が増加してしま
い、最終的に得られる組成物の脆化温度が悪化するため
好ましくない。さらに好ましい範囲としては反応器内温
のピーク温度が80℃以下であり、温度幅(ΔT)が1
0℃以下である。また本発明においては水素添加ブロッ
ク共重合体の結晶融解熱量(ΔH)は0.05J/g未
満である。0.05J/g以上であると得られる組成物
の脆化温度が高くなる。結晶融解熱量(ΔH)は通常D
SC法によって求めることができる。
ック共重合体は、不飽和カルボン酸またはその誘導体と
の付加反応により変性させ、官能基を含有したものを1
部、または全部用いてもかまわない。かかる化合物とし
ては無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチ
ルメタクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−ト、ヒドロ
キシメチルメタクリレ−ト等を例示することが出来る。
また、必要に応じて本発明の水素添加ブロック共重合体
とは種類の異なる、共役ジエン重合体ブロックを水素添
加した水素添加ブロック共重合体を併用することができ
る。
物は成分(A)が連続相を形成し、その連続相中に成分
(B)が分散相(第一分散相)として存在し、さらにそ
の第一分散相の界面及び/または第一分散相中(第二−
a分散相)及び連続相中(第二−b分散相)にそれぞれ
成分(C)が分散した分散相を形成している分散形態を
有し、かつ透過型電子顕微鏡写真から決定される成分
(C)の第二−a分散相と第二−b分散相とを形成する
比率が30/70〜85/15であることを特徴であ
る。
系樹脂が連続相(海)を、ゴム状重合体が第一分散相
(島)を形成する。成分(C)の水素添加ブロック共重
合体が、島と海の界面(境)及び/または島の中に入っ
て湖を形成する場合を第二−a分散相と定義する。ま
た、成分(C)の水素添加ブロック共重合体が、単独で
海の中に入って分散相(島)を形成する場合を第二−b
分散相と定義する。第二−a分散相は水添ブロック共重
合体が、ゴム状重合体の島を完全に覆う場合(図1)、
不完全に覆う場合(図2)、ゴム状重合体の島の中に深
く入り込む場合(図3)、ゴム状重合体の島の中に湖の
ように(サラミ状に)分散する場合(図4)、及びこれ
らの任意の組み合わせからなる場合が考えられる。
(図1)が、物性発現状、最も望ましい。第二−b分散
相は水素添加ブロック共重合体のうち単独で連続相中に
分散していることを意味している。本発明で重要なこと
は、第二−a分散相を形成する水素添加ブロック共重合
体と第二−b分散相を形成する水素添加ブロック共重合
体の比率が30/70〜85/15であることである。
好ましくは50/50〜80/20である。
100〜29.9/60.1であると、常温アイゾット
衝撃強度、破断伸びは良好であるが、曲げモジュラス、
表面硬度、熱時剛性等の剛性が低下し、低温脆化温度、
低温アイゾット衝撃強度、低温面衝撃等の低温性能が低
下するので好ましくない。また、この比率が85/15
を越える場合、すなわち85.1/14.9〜100/
0の場合、剛性は向上し、低温性能も優れるが、破断伸
びが大幅に低下してしまうので好ましくない。
a分散相と第二−b分散相の比率とは、透過型電子顕微
鏡写真から決定される。かかる透過型電子顕微鏡写真を
得るために、組成物は以下の手順でサンプル調整する。
組成物を予め、成形時の流動方向に垂直にダイヤモンド
ナイフにて頭出しを行い、ルテニウム酸の蒸気で染色
し、約70nm程度の厚みの超薄切片を切り出す。
芳香環の二重結合が酸化されるため、黒く濃く染色され
た部分が水添ブロック共重合体のスチレンドメインであ
る。観測倍率は10000倍であり、10000〜50
000倍迄引き延ばした写真を画像処理装置(旭化成製
IP−1000)を用いて、黒く濃く染色された第二−
a、第二−bそれぞれの部分の面積を計算し、平均を出
すことで水素添加共重合体の第二−a分散相と第二−b
分散相の比率を求めた。
は規定していないが、無機充填材は入っていても入って
いなくても良い。ただ、一般的には、その使用料は1〜
30重量%が望ましい。無機充填材の量が1重量%未満
であると剛性に劣り、30重量%を越えると耐衝撃性に
劣る場合がある。無機充填剤としては、例えば炭酸カル
シウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バ
リウム、けい酸(ホワイトカ−ボン)、酸化チタン、カ
−ボンブラック等が挙げられる。
顔料、シリコンオイル、難燃剤等を添加する事が出来
る。安定剤としてはヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止
剤、りん系熱安定剤、ヒンダ−ドアミン系光安定剤、ベ
ンゾトリアゾ−ル系UV吸収剤等が挙げられる。滑剤と
してはエチレンビスステアリルアミド等の脂肪族アミ
ド、ステアリン酸、ステアリン酸エステル、ステアリン
酸の金属塩、アモルファスシリカ、タルク、マイカ等が
挙げられる。
比に応じて通常の高分子物質の混合に供される装置によ
って調整できる。それら混合装置としては、例えばバン
バリ−ミキサ−、ラボプラストミル、単軸押出機、2軸
押出機等の混練装置があげられ、特に押出機による溶融
混合法が生産性、良混練性の点から好ましい。本発明の
樹脂組成物は、射出成形、押し出し成形、圧縮成型、ブ
ロ−成形、シ−ト成形、カレンダ−成形、真空成形、ス
ラッシュ成形等、従来公知の成型方法で成型できるが、
中でも射出成形、シ−ト成形がモルホロジ−の安定性の
面で好ましい。
も成形条件によっては異なるモルホロジ−が得られ、成
形加工条件も重要である。成形温度としては成型方法に
もよるが、150〜300℃、好ましくは170〜28
0℃、特に好ましくは200〜260℃である。成型時
のせん断速度は100〜10000/秒、好ましくは5
00〜5000/秒である。以下実施例により本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら
制限されるものではない。
ッチ付きで測定した。 低温脆化温度:JIS K7216に準拠した。 曲げ弾性率:JIS K7203 曲げ速度2mm/minに
準拠した。 熱変形温度:JIS K7207 荷重0.45MPa
に準拠した。 引っ張り試験:JIS K6758 引っ張り速度20
mm/minに準拠した。
明を示す。アイゾット衝撃強度測定用の射出成形試験片
の中央付近を切り出し、RuO4の蒸気で一晩染色後、
ダイヤモンドナイフにて成形流動方向に垂直に超薄切片
を切り出した。厚みは約70nm程度である。透過型電
子顕微鏡は日立H−600Aを使用した。この条件下で
得られた電子顕微鏡写真のうち、濃く染色された部分が
水素添加ブロック共重合体のスチレンドメインである。
この濃く染色された部分の第二−a分散相と第二−b分
散相の比率は異なる5枚の視野の写真を画像解析装置
(旭化成製IP−1000)でスキャンし、その面積比
率の平均値から求めた。
を用いた。MK755H(日本ポリオレフィン株式会社
製 MFR:63g/10分、ブロックポリマ−)、M
K711H(日本ポリオレフィン株式会社製 MFR:
43g/10分、ブロックポリマ−)、Y−1300
(日本ポリオレフィン株式会社製 MFR:4g/10
分、ホモポリマ−)を用いた。 (2)ゴム状重合体 成分(B)であるゴム状重合体として以下の市販品を用
いた。
7P MFR:0.6,プロピレン含率:約27wt
%)、デュポンダウエラストマ−製エチレンオクテンゴ
ム(EG8440 MFR:3.6、オクテン含率:約
14.5wt% 及びEG8150 MFR:1.1、
オクテン含率:約24wt% 及びAFFINITYS
M1350 MFR:30、オクテン含率:約9.5w
t%)
製スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン系ブロッ
クポリマ−(Kraton G−1730 MFR:
4、スチレン含率:約22wt%)、Shell製スチ
レン−エチレン/プロピレン−スチレン系ブロックポリ
マ−(RP6906 MFR:4、スチレン結合量:約
18wt%)、Shell製スチレン−エチレン/ブチ
レン−スチレン系ブロックポリマ−(KratonG−
1657 MFR:8 スチレン結合量:約13wt
%、ジブロック含率:約35wt%)、Shell製ス
チレン−エチレン/ブチレン−スチレン系ブロックポリ
マ−(KratonG−1652 MFR:1.5、結
合スチレン量:30wt%)
ブロック共重合体(SEBS)を合成し、実施例・比較
例に用いた。 (3−1)SEBS−1〜6の合成 n−ブチルリチウムを開始剤とし、シクロヘキサン溶媒
中で、テトラヒドロフランを1,2結合量調節剤とし
て、スチレンとブタジエンをスチレン、ブタジエン、ス
チレンの順にアニオンブロック共重合することにより、
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を重
合した。ブタジエンの重合時には反応器内温のピーク温
度とブタジエンの重合中の最高重合温度と最低重合温度
の差である温度幅(ΔT)を記録した。ピーク温度を下
げる場合、また温度幅(ΔT)を狭くする場合にはブタ
ジエン単量体の反応系における濃度の低下、ブタジエン
単量体の供給速度を減らすなどの手法をとった。
レンブロック共重合体またはスチレン−ブタジエン−ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体を、ビス(η5−
シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリドとジエチ
ルアルミニウムクロリドを水素添加触媒として、水素圧
0.5MPa、温度50℃で3時間水素添加を行った。
ポリマー構造は、モノマーの仕込量、順序、分子量は触
媒量、1,2結合量は1,2結合量調節剤量、重合温度
及び温度幅(ΔT)を調節した。
V)を、1,2結合量、水素添加率は核磁気共鳴装置
(NMR)を用いて測定した。各サンプルの構造及び分
析値を表1に示した。 (3−2)SEBS−7〜9の合成 成分(C)として以下の水素添加ブロック共重合体を合
成した。窒素置換した100リットルのオートクレーブ
に乾燥、精製したシクロヘキサン28.6リットル、テ
トラメチルエチレンジアミン5.72グラム、33wt
%スチレンを含むスチレンとシクロヘキサンの混合液
2.09キログラムを仕込み、70℃に昇温した後、n
−ブチルリチウム7.7グラムを含むシクロヘキサン溶
液を添加して重合を完結した。第1段階に続いてスチレ
ンの重合終了後、33wt%1,3−ブタジエンを含む
1,3-ブタジエンとシクロヘキサンの混合液16.1
キログラムを添加し重合を完結した。
重合終了後33wt%のスチレンを含むスチレンとシク
ロヘキサンの混合液2.09キログラムを添加し重合を
完結した。続いてオートクレーブに33wt%1,3−
ブタジエンを含む1,3−ブタジエンとシクロヘキサン
の混合液927グラムを添加し重合を行い完結した。次
にメタノール2.5グラムを添加し、スチレン量19.
7wt%、ポリブタジエン部分の1,2結合量が42モ
ル%であるポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレ
ン−ポリブタジエンブロック共重合体(SBSB)を得
た。スチレン量の変化率から末端ポリブタジエン鎖の割
合を求めたところ4.37wt%であった。
うにシクロヘキサンをオートクレーブに添加し、水素置
換して水素圧力0.7MPa(ゲージ圧力)に昇圧し、
温度を70℃に昇温した。次に水添触媒溶液a中のチタ
ン量がポリマー量に対して30ppmになるように水添
触媒溶液aを添加するとともに水素圧力が0.7MPa
(ゲージ圧力)になるように水素を1時間供給し続け
た。最終的に水素添加率99.8%、MFR=8、A−
B−A−B型の水素添加ブロック共重合体が得られた
(SEBS−7)。同様に分子量とビニル量の異なるS
EBS−8,9をそれぞれ得た。分子量は触媒量、1,
2結合量は1,2結合量調節剤量で調整した。得られた
水素添加ブロック共重合体の構造、各種分析値を表1に
示した。
重合体と各種ポリプロピレン、ゴム、水素添加ブロック
共重合体を表2に示す割合で、2軸押出機を用いて21
0〜230℃にて溶融混合し、ペレット化した。次に得
られた組成物のペレットを樹脂温が230℃になるよう
に設定された射出成形機に投入し、厚み2mm、幅10
mm、長さ10mmの平板に成形した。
リプロピレン、ゴム状重合体、水素添加ブロック共重合
体の種類、配合比等を示す。また、得られた組成物のT
EM写真から求めた第二−a分散相と第二−b分散相と
の比率及び各諸物性の結果を表3に示す。
有する樹脂組成物及び成形体は耐衝撃性、脆化温度、剛
性、表面硬度、引っ張り破断伸びのバランスに高度に優
れる。これらの効果により、インストルメントパネル、
エア−バックカバ−、ピラ−等の自動車内装材料、バン
パ−等の自動車外装材料、チュ−ブ、各種容器、シ−ト
等として好適に用いることができる。
島を完全に覆う場合の説明図。
島を不完全に覆う場合の説明図。
島の中に深く入り込む場合の説明図。
島の中にサラミ状に分散する場合の説明図。
Claims (6)
- 【請求項1】 成分(A):プロピレンの単独重合体及
び/またはプロピレンとエチレンもしくは他のα−オレ
フィンとの共重合体であるポリプロピレン系樹脂98〜
50重量%(なお、ポリプロピレン系樹脂がゴム状重合
体を含有する場合は含有ゴム状重合体は(B)成分の一
つに含まれる。)、成分(B):成分(C)以外のゴム
状重合体1〜49重量%及び成分(C):少なくとも1
個のビニル芳香族炭化水素化合物単量体を主体とする重
合体ブロックAと、少なくとも1個の水素添加された共
役ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体ブロック
Bから構成され、水素添加される前の共役ジエン化合物
単量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレフィン
性不飽和二重結合のうち、90%以上が水素添加された
水素添加ブロック共重合体1〜40重量%からなるポリ
プロピレン系樹脂組成物であって、かつ成分(A)が連
続相を形成し、その連続相中に(B)成分が分散相(第
一分散相)として存在し、さらにその第一分散相の界面
及び/または第一分散相中(第二−a分散相)及び連続
相中(第二−b分散相)にそれぞれ成分(C)が分散し
た分散相を形成している分散形態を有し、かつ透過型電
子顕微鏡写真から決定される成分(C)の第二−a分散
相と第二−b分散相とを形成する比率が30/70〜8
5/15であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂
組成物。 - 【請求項2】 成分(C)の水素添加ブロック共重合体
が少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素化合物単量体
単位を主体とする重合体ブロックAと、少なくとも1個
の水素添加された共役ジエン単量体単位を主体とする重
合体ブロックBから構成され、水素添加される前のブタ
ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中のオレ
フィン性不飽和二重結合のうち、90%以上が水素添加
された水素添加ブロック共重合体であり、水素添加ブロ
ック共重合体中のビニル芳香族炭化水素化合物の重量平
均結合量が12重量%を越え30重量%未満である水素
添加ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1
記載のポリプロピレン系樹脂組成物。 - 【請求項3】 成分(C)の水素添加ブロック共重合体
が水素添加ブロック共重合体を構成する共役ジエン化合
物単量体が1,3−ブタジエンであり、水素添加前のブ
タジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックにおけ
る1、2結合量が40モル%以上61モル%未満である
水素添加ブロック共重合体であることを特徴とする請求
項1〜2いずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成
物。 - 【請求項4】 成分(B)のゴム状重合体がエチレン−
αオレフィン共重合体ゴムからなることを特徴とする請
求項1〜3いずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成
物。 - 【請求項5】 エチレン−αオレフィン共重合体ゴムが
エチレン−オクテン−1共重合体ゴムであることを特徴
とする請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。 - 【請求項6】 エチレン−αオレフィン共重合体ゴムの
オクテン−1含有率が14重量%以上50重量%以下で
あることを特徴とする請求項5に記載のポリプロピレン
系樹脂組成物。
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