JP2001089509A - ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法

Info

Publication number
JP2001089509A
JP2001089509A JP26684499A JP26684499A JP2001089509A JP 2001089509 A JP2001089509 A JP 2001089509A JP 26684499 A JP26684499 A JP 26684499A JP 26684499 A JP26684499 A JP 26684499A JP 2001089509 A JP2001089509 A JP 2001089509A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
aromatic vinyl
weight
resin composition
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP26684499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4260304B2 (ja
Inventor
Norihiro Shimizu
紀弘 清水
Taro Inada
太郎 稲田
Atsushi Watanabe
淳 渡邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denki Kagaku Kogyo KK filed Critical Denki Kagaku Kogyo KK
Priority to JP26684499A priority Critical patent/JP4260304B2/ja
Publication of JP2001089509A publication Critical patent/JP2001089509A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4260304B2 publication Critical patent/JP4260304B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた外観、耐衝撃性・剛性を併せ持つ、成
形加工性の良好な、しかもゴム分の少ないゴム変性芳香
族ビニル樹脂組成物の製造方法。 【解決手段】(イ)ポリブタジエン及びスチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体をゴムとして用い、該ゴムに由
来するスチレン成分量がゴム量全体の10〜25重量%
になるよう各ゴムの比率を選び、(ロ)該ゴム由来のブ
タジエン成分の割合が2〜10重量%になるように芳香
族ビニルモノマーに溶解し、必要に応じてこれに溶媒を
溶液全体の30重量%以下加えた原料溶液を、(ハ)第
1の撹拌機付き反応器に導入して充分撹拌しながら相反
転が生じるまで重合を進め、(ニ)前記第1の反応器に
連結したプラグフロー型の第2の反応器中に相反転直後
の該重合液を導入し、以降は外部撹拌を加えずにさらに
重合を進めて、(ホ)最終的に転化率を75重量%以上
とすることを特徴とするゴム変性芳香族ビニル樹脂組成
物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ビニルポリ
マーマトリックス中に、芳香族ビニルポリマーが取り込
まれたゴム粒子が分散してなるゴム変性芳香族ビニル樹
脂組成物の製造方法に関する。さらに具体的に言えば、
本発明は分散したグラフト化ゴム粒子が従来に無い巨大
なカプセル形態(当業技術では「単一吸蔵」、「コアー
シェル」または「オニオン」形態とも呼ばれている)を
示し、従来のサラミゴム形態(グラフト化ゴム分散粒子
中に気泡のような状態で芳香族ビニルポリマーが内包さ
れていることから「気泡状形態」とも呼ばれる)を有す
るゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物に比べ、著しいゴム
効率を発現するゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、芳香族ビニルポリマーの耐衝撃性
を改良する目的で、ゴムの存在下に芳香族ビニルモノマ
ーを重合させることにより、該ゴムに芳香族ビニルモノ
マーが一部グラフト重合されるとともに、芳香族ビニル
モノマーの残部が芳香族ビニルポリマーとなって、グラ
フト化されたゴムと芳香族ビニルポリマーとが混在した
状態のいわゆるゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物とする
ことが広く行われている。ゴム変性芳香族ビニル樹脂組
成物は芳香族ビニルポリマーのマトリックス相中に分散
した状態のグラフト化ゴム粒子が存在し、該ゴム粒子は
通常はいわゆるサラミ形態を有する。ゴム変性芳香族ビ
ニル樹脂組成物は耐衝撃性芳香族ビニル樹脂組成物とも
称される。重合法として塊状重合法あるいは塊状・懸濁
重合法が一般的に行われている。
【0003】ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物はテレ
ビ、ラジオ、ビデオ、クリーナーなどの家電用電気製品
のハウジングや電気冷蔵庫の内箱の素材などとして広く
使用されている。この場合、実用上耐衝撃性に優れるこ
とはもちろんであるが、同時にゴム分が存在することに
より損なわれる剛性低下や、溶融粘度上昇などに由来す
る成形加工性、耐熱性の低下、難燃剤配合時における耐
熱性の低下、さらには原材料のコストアップなどの問題
点もあり、この改善が望まれており、その究極の改善案
として、特に限りなく少ないゴム量で同様の実用上耐衝
撃性を得る技術開発が望まれていた。
【0004】一方、ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の
外観特性、表面光沢を改良する方法の一つとして、耐衝
撃性改質剤として加えられているゴムとしてスチレン−
ブタジエンブロック共重合体を用いる方法が知られてい
る。例えば、特公昭40−17492号公報には、ポリ
スチレンからなるブロックA(平均分子量5,000〜
60,000)およびポリブタジエンからなるブロック
B(平均分子量60,000〜500,000)からな
る、一般式A−B、A−B−Aで示される結合スチレン
含量2〜40重量%、固有粘度約1〜5dl/g(温度
25℃においてトルエン中で測定)を有するスチレン−
ブタジエンブロック共重合体1〜20重量%を用い、該
ブロック共重合体と芳香族ビニルモノマー99〜80重
量%との混合物を塊状重合することによって、芳香族ビ
ニルポリマーからなるマトリックス相中に分散されたグ
ラフト化ゴム粒子がサラミ形態ではなくカプセル形態を
示すゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物を製造する方法が
開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、確か
に、このようなブロック共重合体をゴム状重合体として
用いた場合、ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の表面光
沢、剛性は大幅に改良されるが、ポリブタジエンゴムを
ゴム重合体として用いた場合に比べ、芳香族ビニルポリ
マーのマトリックス相中に分散されたグラフト化ゴム粒
子径が大きくても0.2〜0.4μm以下の小粒子径で
あることから、この方法で得られたゴム変性芳香族ビニ
ル樹脂組成物は、耐衝撃性と剛性、外観のバランスが不
十分であり、とくに耐衝撃性が著しく劣るという問題が
あった。このように、ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物
においては、成形加工性、表面光沢などの外観に優れ、
しかも耐衝撃性と剛性が高いレベルでバランスに優れた
該樹脂組成物の開発が望まれており、極論として限りな
く少量のゴム分であっても上述の優れた特性を有するゴ
ム変性芳香族ビニル樹脂組成物の開発が望まれていた。
本発明の目的は、特に優れた外観と高い耐衝撃性・剛性
を併せ持つ、成形加工性の良好な、しかも従来のものに
比べて限りなくゴム分の少ないゴム変性芳香族ビニル樹
脂組成物の製造方法である。
【0006】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、鋭意検討した結果、従来のゴム変性芳香族ビ
ニル樹脂組成物として市販されている、すなわち、芳香
族ビニルポリマーマトリックス相中に分散されているグ
ラフト化ゴム粒子がサラミ形態を示す該樹脂組成物と比
較し、グラフト化ゴム粒子が特定のモルフォロジーと、
該モルフォロジーを有するものとしては従来知られてい
なかった巨大な粒子径を有するゴム変性芳香族ビニル樹
脂組成物をある特定の製造方法をもって初めて得ること
ができたものであり、該樹脂組成物が少ないゴム分の含
量であっても耐衝撃性に優れ、しかも耐衝撃性・剛性、
および外観が高いレベルでバランスした優れたゴム変性
芳香族ビニル樹脂組成物であることを見出し本発明を完
成するに至った。
【0007】さらに詳しく説明すると、グラフト化ゴム
粒子が従来のサラミ形態ではグラフト化ゴム粒子内に気
泡のような状態で芳香族ビニルポリマーを内包したゴム
分が存在するが、カプセル形態のグラフト化ゴム粒子で
は芳香族ビニルポリマーは内包されていてもゴム分は内
包されず、従来はこのようなカプセル形態のグラフト化
ゴム粒子としてはごく微小なサイズのものしか得られて
いなかった。本発明者らはしかし大粒子径に属するサラ
ミ形態のグラフト化ゴム粒子径と同サイズの、しかしカ
プセル粒子形態としては巨大な粒子径のカプセル形態の
グラフト化ゴム粒子を有するゴム変性芳香族ビニル樹脂
組成物が得られる特定の製造方法を見出し、得られた該
樹脂組成物が従来の同サイズのサラミ形態のグラフト化
ゴム粒子を有するゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物に比
べ、従来ゴムの存在ゆえに低下がもたらされた剛性が向
上し、溶融粘度が低下するなどから成形品の薄肉化や成
形サイクルの短縮など成形加工性が著しく改善され、か
つ樹脂組成物自体および難燃剤配合時における該配合樹
脂組成物の耐熱性の向上が図られることを見出し、さら
には同様のグラフト化ゴム粒子径でありながら、少ない
ゴム分のカプセル形態であることで原材料のコストダウ
ンも図れることも見出し、前記の目的を達成した。
【0008】即ち本発明は、芳香族ビニルポリマーのマ
トリックス相中に、芳香族ビニルポリマーが取り込まれ
たゴム粒子が分散してなるゴム変性芳香族ビニル樹脂組
成物の製造方法に関する。本発明の製造方法は、(i)
ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエンブロック共重
合体をゴムとして用い、スチレン−ブタジエンブロック
共重合体に由来するスチレン成分量がゴム量全体の10
〜25重量%になるよう各ゴムの比率を選び、(ii)
該ゴムに由来するブタジエン成分の割合が2〜10重量
%になるように芳香族ビニルモノマーを加えてこれを溶
解し、必要に応じてこれに溶媒を溶液全体中の割合で3
0重量%以下加えた原料溶液を、(iii)第1の撹拌
機付き反応器に導入して充分撹拌しながら相反転が生じ
るまで重合を進め、次いで、(iv)前記第1の反応器
に連結したプラグフロー型の第2の反応器中に相反転直
後の該重合液を導入し、以降は外部撹拌を加えずにさら
に重合を進めて、(v)最終的に転化率を75重量%以
上とすることを特徴とするゴム変性芳香族ビニル樹脂組
成物の製造方法である。
【0009】本発明の製造方法によって、大粒子径に属
するサラミ形態のグラフト化ゴム粒子径と同サイズの、
しかしカプセル粒子形態としては巨大な粒子径のカプセ
ル形態のグラフト化ゴム粒子を有するゴム変性芳香族ビ
ニル樹脂組成物を得ることができる。本発明の製造方法
によればつぎの(A)〜(C)の規定を満たすゴム変性
芳香族ビニル樹脂組成物を得ることができ、これは本発
明の課題に叶う一層好ましいゴム変性芳香族ビニル樹脂
組成物である。 (A)スチレン−ブタジエンブロック共重合体に由来す
るスチレン成分と、芳香族ビニルモノマーの重合によっ
て生成する芳香族ビニルポリマーに由来する芳香族ビニ
ル成分の合計量が98〜90重量%、(B)ゴムに由来
するブタジエン成分の量が2〜10重量%、(C)芳香
族ビニルポリマーのマトリックス相中に分散したグラフ
ト化されたゴム粒子がカプセル粒子形態で、かつ1.0
〜3.0μmの体積平均粒子径を有する。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造に用いる芳香族
ビニルモノマーとしては、スチレンの他、α−メチルス
チレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−ア
ルキル置換スチレン、o−メチルスチレン、m−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンのよう
な核アルキル置換スチレン、o−クロロスチレン、m−
クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチ
レン、2−メチル−4−クロロスチレン、2,4−ジブ
ロモスチレンのような核ハロゲン化スチレン、ビニルナ
フタレン等の多環芳香族ビニルから選ばれる1種または
2種以上を挙げることができる。これらの内、好ましく
はスチレンモノマーの単独もしくは、スチレンモノマー
とスチレン以外の上記芳香族ビニルモノマーとの併用で
あり、とくに好ましくはスチレンモノマーの単独使用で
ある。
【0011】また、芳香族ビニルモノマー以外の、ブタ
ジエンを除く他の共重合可能なビニルモノマーを芳香族
ビニルモノマーの一部代替として併用することもでき
る。例えばアクリロニトリル、メタクリルニトリル、フ
マロニトリル、マレオニトリル、α−クロロアクリロニ
トリル等のシアン化ビニルやメタクリル酸メチルなどの
メタクリル酸エステル、アクリル酸メチルなどのアクリ
ル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイ
ン酸、フェニルマレイミドなどのマレイミド、酢酸ビニ
ル、ジビニルベンゼン等の1種以上をこれらモノマーと
して挙げることができる。しかし、これら代替モノマー
の量はゴム変性スチレン樹脂組成物の組成、粒子形態お
よびその性能を損なわない範囲に留めることが必要であ
る。
【0012】本発明のゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物
の製造方法は、ゴムとしてポリブタジエンとスチレン−
ブタジエンブロック共重合体を併用する。使用するポリ
ブタジエンはとくに制限はないが、優れた耐衝撃性を得
る上で好ましくは1,2−ビニル結合構造が10〜20
重量%、シス1,4−ビニル結合構造が20〜40重量
%であり、温度25℃で測定した5重量%スチレン溶液
粘度が25〜200センチポイズ、さらに好ましくは5
0〜180センチポイズのポリブタジエンである。
【0013】使用するスチレン−ブタジエンブロック共
重合体もとくに制限はないが、優れた耐衝撃性を得る上
で好ましくは数平均分子量(Mn)が100,000〜
500,000で、ブロックスチレン部とブロックブタ
ジエン部をそれぞれもち、全スチレン量が40〜60重
量%であり、温度25℃で測定した5重量%スチレン溶
液粘度が10〜90センチポイズのスチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体であり、さらに好ましくはスチレン
−ブタジエンブロック共重合体のMnが250,000
〜350,000で、ブロックスチレン部とブロックブ
タジエン部をそれぞれもち、全スチレン量が45〜55
重量%であり、温度25℃で測定した5重量%スチレン
溶液粘度が20〜45センチポイズのスチレン−ブタジ
エンブロック共重合体である。
【0014】また、ポリブタジエンとスチレン−ブタジ
エンブロック共重合体の使用量比は、ゴム量全量に対し
て、スチレン−ブタジエンブロック共重合体由来のスチ
レン量が10〜25重量%、好ましくは13〜23重量
%、さらに好ましくは15〜20重量%になるように選
定される。該スチレン重量が10重量%未満ではグラフ
ト化されたゴム粒子がカプセル粒子形態をとり難くなり
ゴム効率が低下し、表面光沢、成形加工性が劣り耐衝撃
性と剛性のバランスも損なわれ所望の性能が得られなく
なることがある。一方25重量%を超えると該ゴム粒子
はカプセル粒子形態ではあるものの粒子径が小さくな
り、充分な耐衝撃性が得られないことがある。
【0015】本発明の製造方法において、使用するポリ
ブタジエンおよびスチレン−ブタジエンブロック共重合
体のゴム量は、該ゴムに由来するブタジエン量が芳香族
ビニルモノマーとゴム量の合計量に対して2〜10重量
%となるようにその量が選ばれる。得られるゴム変性芳
香族ビニル樹脂組成物中に含まれるブタジエン成分量は
芳香族ビニルモノマーの最終転化率によって変わってく
るので、該ブタジエン成分量が2〜10重量%、好まし
くは2〜8重量になるようにゴム量を調整する。得られ
るゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物中のブタジエン成分
量はハロゲン付加法として公知の測定法により求められ
る。
【0016】本発明のゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物
の製造方法は、まず所定量のゴム、即ちポリブタジエン
とスチレン−ブタジエンブロック共重合体とを所定量の
芳香族ビニルモノマーと、必要に応じこれに重合溶媒を
加え溶解して原料溶液とし、スチレン重合に通常用いら
れるラジカル系開始剤の存在下もしくは非存在下でこの
原料溶液を第1の撹拌付き反応器に供給し、充分撹拌し
ながら重合を進める。重合温度はゴム変性芳香族ビニル
樹脂の流動性、生産性、反応器の除熱能力等を考慮して
決定することができる。重合転化率が大体15〜35重
量%進んだところで相反転現象が見られる。相反転終了
後に直ちに、具体的には芳香族ビニルモノマーの芳香族
ビニルポリマーへの重合転化率が相反転終了時からさら
に1〜2重量%進むまでに第1の反応器に連結した第2
のプラグフロー型の塔式もしくは管型反応器に該重合溶
液を導入し、外部撹拌を加えずにさらに反応を進め、最
終的に転化率75重量%以上、好ましくは80重量%以
上として重合を完了する。本発明のゴム変性芳香族ビニ
ル樹脂組成物を得る上で、相反転前においては剪断応力
場で重合させ、相反転のほぼ直後からは剪断応力の存在
しない場で重合を進める点が本発明の重要な条件の一つ
である。原料溶液の供給速度は、反応温度、芳香族ビニ
ルモノマー濃度、開始剤量などによってその適性範囲が
異なり一概には決まらないので実験的に最適化を図る。
反応完了後は定法にしたがって未反応モノマー、重合溶
媒などを除去するため真空下で処理を行い、本発明のゴ
ム変性芳香族ビニル樹脂組成物を得る。
【0017】本発明の製造方法において、必要に応じて
加える重合溶媒としては芳香族炭化水素類、例えばトル
エン、キシレン、エチルベンゼンの単独または2種以上
の混合物が挙げられる。さらに、ゴム状重合体の溶解を
損なわない範囲で他の溶媒、例えば脂肪族炭化水素類、
ジアルキルケトン類を芳香族炭化水素類と併用すること
も差し支えない。重合溶媒を使用する場合、その割合は
原料溶液中30重量%以下の範囲で使用する。30重量
%を超えると重合速度が著しく低下する。また、溶媒の
回収エネルギーが大となり経済性も劣ってくる。重合溶
媒は重合が進んで比較的高粘度の重合転化率に達してか
ら添加してもよく、あるいは重合前から添加しておいて
もよい。しかし重合前から添加しておく方が、品質の均
一性、重合温度制御の点で好ましい。
【0018】本発明の製造方法において、重合反応は重
合開始剤を用いずに110〜190℃の温度範囲で熱重
合してもよいし、重合開始剤としてラジカルを発生する
有機過酸化物を用い、温度50〜180℃、好ましくは
90〜150℃の範囲で重合することもできる。
【0019】重合開始剤を使用する場合は公知のものが
使用できる。公知の有機過酸化物として例えば、2,2
−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス
(t−ブチルパーオキシ)オクタン、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン、n−ブチル−4、4−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)パレード等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−
ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、
アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイ
ド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキ
サイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリ
メチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオ
キサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイ
ド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオ
キサイド類、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−
ミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキ
シエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソ
プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−
3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等のパ
ーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシアセテ
ート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチ
ルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデ
カノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−
ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチ
ルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタ
レート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパ
ーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピ
ルカーボネート等のパーオキシエステル類、アセチルア
セトンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサ
イド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−
トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシ
クロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイ
ド類、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイ
ドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイド
ロパーオキサイド、p−メンタハイドロパーオキサイ
ド、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジハイドロパー
オキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイ
ドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、二
塩基酸のポリアシルパーオキサイド類、二塩基酸とポリ
オールとのポリパーオキシエステル類が挙げられる。
【0020】また、重合に際しては、連鎖移動剤、例え
ばメルカプタン類、α−メチルスチレンリニアダイマ
ー、テルビノーレンを使用してもよい。
【0021】本発明のゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物
の製造方法において、該樹脂組成物を構成する芳香族ビ
ニルポリマーのマトリックス相は重量平均分子量(M
w)が130,000〜250,000、数平均分子量
(Mn)が40,000〜120,000、Mw/Mn
が1.8〜4.8となるように調整することが好まし
い。この調整は重合温度、重合開始剤濃度などによって
制御される。前記の範囲であれば、グラフト化されたゴ
ム粒子のカプセル形態、および1.0〜3.0μmの体
積平均粒子径を安定して得やすい。ここでMw、および
Mnは芳香族ビニルポリマーに対して良溶媒であるトル
エン溶解分別法で分離した芳香族ビニルポリマー分をG
PCを用いて測定する公知の方法で求められる。
【0022】本発明の製造方法で得られるゴム変性芳香
族ビニル樹脂組成物を構成するグラフト化されたゴム粒
子の体積平均粒子径は、好ましくは1.0〜3.0μ
m、さらに好ましくは1.5〜2.5μmの範囲であ
る。1.0μmより小さいと耐衝撃性が充分でなく、
3.0μmより大きいと表面光沢が低下するのでやはり
好ましくない。なお、ここでいう体積平均粒子径とは、
LS−230型分散粒子径測定器(米国コールター社
製)により、ジメチルホルムアミドを分散剤として測定
した体積平均粒子径をいう。この調整はポリブタジエン
とスチレン−ブタジエンブロック共重合体の使用量比
率、重合時の相反転前に於ける撹拌速度などによって制
御される。
【0023】本発明のゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物
の製造方法において、所望により各種の添加剤を使用す
ることができる。これら添加剤は重合前、重合中または
重合後の任意の段階で添加可能である。例えば公知の酸
化防止剤としてヒンダードフェノール類、ヒンダードビ
スフェノール類、ヒンダードトリスフェノール類等、例
えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネートや、2−(1−メチル
シクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,
2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフ
ェノール)、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−
3−メチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネ
ート、トリス(ジ−ノニルフェニル)ホスファイト、ワ
ックスなど、公知の紫外線吸収剤、例えばp−t−ブチ
ルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4
−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−
4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾチアゾール、公
知の滑剤、例えばパラフィンワックス、ステアリン酸、
硬化油、ステアロアミド、メチレンビスステアロアミ
ド、n−ブチルステアレート、ケトンワックス、オクチ
ルアルコール、ラウリルアルコール、ヒドロキシステア
リン酸トリグリセリド、公知の難燃剤、例えば酸化アン
チモン、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛、トリクレジル
ホスフェート、塩素化パラフィン、テトラブロモブタ
ン、ヘキサブロモブタン、テトラブロモビスフェノール
A、公知の帯電防止剤、例えばステアロアミドプロピル
ジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムニトレー
ト、公知の着色剤、例えば酸化チタン、カーボンブラッ
ク、その他の無機あるいは有機顔料、公知の充填剤、例
えば炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガ
ラス球、カーボン繊維等が挙げられる。
【0024】本発明の製造方法で得られたゴム変性芳香
族ビニル樹脂組成物に、他のゴム変性芳香族ビニル樹脂
組成物、もしくは一般用の芳香族ビニル樹脂を配合して
成形に供することもできる。配合樹脂組成物とする場
合、その配合割合は、光沢性、成形加工性、耐衝撃性、
剛性の高いレベルのバランスを損なわない範囲とする。
配合方法にはとくに制限はない。
【0025】本発明の製造方法で得られたゴム変性芳香
族ビニル樹脂組成物、あるいは前記配合樹脂組成物の成
形には公知の成形方法が適用でき、その方法にとくに制
限はない。例えば、押出機などで溶融、混練する方法、
ペレットでブレンドしてから成形機などで溶融混練後、
直接成形品を得る方法などが挙げられる。特殊な成形方
法として、一方の樹脂の成形工程中に溶融、もしくは溶
解したもう一方の樹脂を添加する方法も用いることがで
きる。
【0026】
【実施例】以下に本発明を実施例でさらに説明する。な
お、本発明はここに示す実施例に限定されるものではな
い。最初に、実施例および比較例において本発明に用い
た試験方法について説明する。 (i)表面光沢;JIS Z−8742 (ii)シャルピー衝撃強度;JIS K−7111
(ノッチ付き) (iii)曲げ弾性率;JIS K−7208 (iv)高温下における流動性(=MFR);JIS
K−7210 (v)落錘衝撃強度;厚さ2mmの平板を射出成形機に
より成形し、落錘グラフィックインパクトテスター(東
洋精機製作所の計装化落錘衝撃試験機の商標)を用い
て、高さ62cmより質量6.5kgの重鎮をホルダー
(径40mm)に固定した試験片平面上に自然落下さ
せ、重鎮下部に設けてあるストライカー(径12.7m
m)によって試験片を完全破壊または貫通させ、この時
に要した全エネルギー(全吸収エネルギーと称す)を測
定した。 (vi)ゴムに由来するブタジエン成分量;ハロゲン付
加法により求めた。 (vii)マトリックスポリマーのMw、Mn、及びMw
/Mn;GPC法、測定条件はつぎのとおりである。 a.装置;日立製作所製L−5030、b.カラム;東
ソー社製TSK GURDCOLUMN MP(6.0mmφ×4cm)
+TSK−GEL MULTIPORE HXL-M(7.8mmφ×30
cm)2本、c.溶媒(移動相);THF、d.流速;
1.0ml/min、e.温度;40℃、f.検出器;
RI及びUV、g.データ処理装置;システムインスツ
ルメンツ社製SIC480データステーション
【0027】実施例1 ポリブタジエンゴム(旭化成社製ジエン55A、温度2
5℃で測定した5重量%スチレン溶液粘度が170セン
チポイズ)3.2重量%とスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体(日本ゼオン社製SN442、スチレン含量
49重量%、温度25℃で測定した5重量%スチレン溶
液粘度が35センチポイズ)1.6重量%をスチレンモ
ノマー94.2重量%とエチルベンゼン1重量%に溶解
した溶液100重量部とt−ドデシルメルカプタン0.
04重量部からなる溶液を第1反応器に連続的に送入
し、125℃の重合温度で攪拌機の回転数を100rp
mとして重合反応して相反転を生じるまで反応を進め
た。このとき反応転化率は19重量%であった。引き続
き第1反応器に連結した第2反応器であるプラグフロー
型反応器に連続的に送入して相反転直後の反応溶液を撹
拌を加えずにさらに重合を進めた。重合率80重量%ま
で重合したところで重合を終了し、その溶液をベント式
押出機に供給して230℃、減圧下で揮発性成分を除去
しダイスから溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッ
ターにて切断してペレット状のゴム変性芳香族ビニル樹
脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のグラフト化ゴム
粒子はカプセル形態であり、体積平均粒子径は2.1μ
m、ブタジエン成分量は5.0重量%であった。
【0028】実施例1で得られたゴム変性芳香族ビニル
樹脂組成物のペレットを新潟鉄工所製2オンス射出成形
機SN−51Bにて、成形温度230℃で所定の厚みの
平板を成形し、前記試験に供した。以下の比較例1〜5
においても同様に平板を成形した。
【0029】比較例1 ポリブタジエンゴム(旭化成社製ジエン55A)4.8
重量%をスチレンモノマー94.2重量%とエチルベン
ゼン1重量%に溶解した溶液100重量部と1,1−ビ
ス(t−ブチルパーオキシル)3,3,5−トリメチル
シクロヘキサン0.015重量部、およびt−ドデシル
メルカプタン0.04重量部とからなる溶液を第1反応
器に連続的に送入し、温度125℃の重合温度で攪拌機
の回転数を100rpmとして重合反応して相反転を生
じるまで反応を進めた。引き続き第1反応器に連結した
第2反応器であるプラグフロー型反応器に連続的に全量
送入して温度125℃でさらに重合を進めた。第2反応
器には流れ方向に対して直角方向に剪断力を与える撹拌
機が備えられており、回転数を30rpmとした。重合
率80重量%まで重合したところで重合を終了し、その
溶液をベント式押出機に供給して230℃、減圧下で揮
発性成分を除去しダイスから溶融ストランドを引き出
し、水冷し、カッターにて切断してペレット状の樹脂組
成物を得た。得られた樹脂組成物はサラミ形態であり、
体積平均粒子径は実施例1で得られた樹脂と同様2.1
μm、ブタジエン成分量は6.0重量%であった。
【0030】比較例2 ポリブタジエンゴム(旭化成社製ジエン55A)4重量
%をスチレンモノマー95重量%とエチルベンゼン1重
量%に溶解した溶液100重量部と、t−ドデシルメル
カプタン0.04重量部および1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシル)3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン0.015重量部とからなる溶液を第1反応器に連続
的に送入し、125℃の重合温度で攪拌機の回転数を1
00rpmとして相反転を生じるまで反応を進めた。引
き続き第1反応器に連結した第2反応器であるプラグフ
ロー型反応器に連続的に全量送入して温度125℃でさ
らに重合を進めた。第2反応器には流れ方向に対して直
角方向に剪断力を与える撹拌機が備えられており、回転
数を30rpmとした。重合率80重量%まで重合した
ところで重合を終了し、その溶液をベント式押出機に供
給して230℃、減圧下で揮発性成分を除去しダイスか
ら溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッターにて切
断してペレット状の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組
成物はサラミ形態であり、体積平均粒子径は実施例1で
得られた樹脂組成物と同様2.1μm、ブタジエン成分
量は5.0重量%であった。
【0031】比較例3 スチレン−ブタジエンブロックゴム(旭化成社製アサプ
レン670A;スチレン含量40重量%)8重量%をス
チレンモノマー91重量%とエチルベンゼン1重量%に
溶解した溶液100重量部と、t−ドデシルメルカプタ
ン0.04重量部とからなる溶液を第1反応器に連続的
に送入し、125℃の重合温度で攪拌機の回転数を12
0rpmとして重合反応して相反転を生じるまで反応を
進めた。引き続き第1反応器に連結した第2反応器であ
るプラグフロー型反応器に連続的に全量送入して温度1
25℃でさらに重合を進めた。第2反応器には流れ方向
に対して直角方向に剪断力を与える撹拌機が備えられて
おり、回転数を30rpmとした。重合率80重量%ま
で重合したところで重合を終了し、その溶液をベント式
押出機に供給して230℃、減圧下で揮発性成分を除去
しダイスから溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッ
ターにて切断してペレット状の樹脂組成物を得た。得ら
れた樹脂組成物はカプセル形態であり、体積平均粒子径
は0.3μm、ブタジエン成分量は6.0重量%であっ
た。
【0032】比較例4 ポリブタジエンゴム(旭化成社製ジエン55A)3.2
重量%とスチレン−ブタジエンブロック共重合体(日本
ゼオン社製SN442)1.6重量%をスチレンモノマ
ー94.2重量%とエチルベンゼン1重量%に溶解した
溶液100重量部とt−ドデシルメルカプタン0.04
重量部からなる溶液を第1反応器に連続的に送入し、1
25℃の重合温度で攪拌機の回転数を100rpmとし
て重合反応して相反転を生じる少し前まで反応を進め
た。引き続き第1反応器に連結した第2反応器であるプ
ラグフロー型反応器に連続的に送入して撹拌を加えずに
温度125℃でさらに重合を進めた。相反転は観察され
ずに重合率80重量%まで重合したところで重合を終了
し、その溶液をベント式押出機に供給して温度230
℃、減圧下で揮発性成分を除去しダイスから溶融ストラ
ンドを引き出し、水冷し、カッターにて切断してペレッ
ト状のゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物を得た。得られ
た樹脂組成物のグラフト化ゴム粒子は明確な輪郭を有さ
なかった。ブタジエン成分量は5.0重量%であった。
【0033】比較例5 ポリブタジエンゴム(旭化成社製ジエン55A)3.2
重量%とスチレン−ブタジエンブロック共重合体(日本
ゼオン社製SN442)1.6重量%をスチレンモノマ
ー94.2重量%とエチルベンゼン1重量%に溶解した
溶液100重量部とt−ドデシルメルカプタン0.04
重量部からなる溶液を第1反応器に連続的に送入し、1
25℃の重合温度で攪拌機の回転数を100rpmとし
て重合反応して相反転を生じるまで反応を進めた。引き
続き第1反応器に連結した第2反応器であるプラグフロ
ー型反応器に連続的に全量送入して温度125℃でさら
に重合を進めた。第2反応器には流れ方向に対して直角
方向に剪断力を与える撹拌機が備えられており、回転数
を30rpmとした。重合率80重量%まで重合したと
ころで重合を終了し、その溶液をベント式押出機に供給
して230℃、減圧下で揮発性成分を除去しダイスから
溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッターにて切断
してペレット状の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成
物はカプセル形態であり、体積平均粒子径は0.4μ
m、ブタジエン成分量は5.0重量%であった。
【0034】実施例1および比較例1〜5で得られたゴ
ム変性芳香族ビニル樹脂組成物の物性、性状を表1に示
した。本発明の実施例1で得られたゴム変性芳香族ビニ
ル樹脂組成物は大きなカプセル形態のグラフト化ゴム粒
子を有し、表面光沢が25%と同様粒子径のサラミ形態
の粒子形態のグラフト化ゴム粒子を有する比較例1ない
し2のそれぞれ9%、16%に比べて著しく良好であっ
た。また、比較例1〜5と比較して、シャルピー衝撃強
度、落錘衝撃吸収エネルギーで表した耐衝撃性も優れ、
曲げ弾性率も含めたバランスが著しく良好であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明のゴム変性芳香族ビニル樹脂組成
物の製造方法は、外観、成形加工性、耐衝撃性、剛性に
優れそのバランスが良好なゴム変性芳香族ビニル樹脂組
成物を提供する。高価なゴム量も少量でよい点でコスト
的にも有利であり、その工業的利用価値は極めて大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のゴム変性芳香族ビニル組成
物中の分散グラフト化ゴムの粒子形態および粒子径を説
明するための透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率8
400倍)である。
【図2】比較例1のゴム変性芳香族ビニル組成物中の分
散グラフト化ゴムの粒子形態および粒子径を説明するた
めの透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率8400
倍)である。
【図3】比較例2のゴム変性芳香族ビニル組成物中の分
散グラフト化ゴムの粒子形態および粒子径を説明するた
めの透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率8400
倍)である。
【図4】比較例3のゴム変性芳香族ビニル組成物中の分
散グラフト化ゴムの粒子形態および粒子径を説明するた
めの透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率8400
倍)である。
【図5】比較例4のゴム変性芳香族ビニル組成物中の分
散グラフト化ゴムの粒子形態および粒子径を説明するた
めの透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率8400
倍)である。
【図6】比較例5のゴム変性芳香族ビニル組成物中の分
散グラフト化ゴムの粒子形態および粒子径を説明するた
めの透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率8400
倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/04 C08L 51/04 Fターム(参考) 4J002 BC031 BC061 BC071 BC081 BC091 BC111 BN142 BN152 BN162 4J011 AA05 DB13 DB16 DB17 HB05 HB19 PA54 PB40 PC02 PC12 PC15 4J026 AA67 AA68 AA69 AA71 BA04 BA05 BA06 BA27 BA31 BA32 DB02 DB13 DB31 DB40

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)ポリブタジエン及びスチレン−ブ
    タジエンブロック共重合体をゴムとして用い、スチレン
    −ブタジエンブロック共重合体に由来するスチレン成分
    量がゴム量全体の10〜25重量%になるよう各ゴムの
    比率を選び、(ii)該ゴムに由来するブタジエン成分
    の割合が2〜10重量%になるように芳香族ビニルモノ
    マーを加えてこれを溶解し、必要に応じてこれに溶媒を
    溶液全体中の割合で30重量%以下加えた原料溶液を、
    (iii)第1の撹拌機付き反応器に導入して充分撹拌
    しながら相反転が生じるまで重合を進め、次いで、(i
    v)前記第1の反応器に連結したプラグフロー型の第2
    の反応器中に相反転直後の該重合液を導入し、以降は外
    部撹拌を加えずにさらに重合を進めて、(v)最終的に
    転化率を75重量%以上とすることを特徴とするゴム変
    性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物が、
    (A)スチレン−ブタジエンブロック共重合体に由来す
    るスチレン成分と、芳香族ビニルモノマーの重合によっ
    て生成する芳香族ビニルポリマーに由来する芳香族ビニ
    ル成分の合計量が98〜90重量%、(B)ゴムに由来
    するブタジエン成分の量が2〜10重量%、(C)芳香
    族ビニルポリマーのマトリックス相中に分散したグラフ
    ト化されたゴム粒子がカプセル粒子形態で、かつ1.0
    〜3.0μmの体積平均粒子径を有する該ゴム変性芳香
    族ビニル樹脂組成物であることを特徴とする請求項1記
    載のゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物が、
    (A)スチレン−ブタジエンブロック共重合体に由来す
    るスチレン成分と、芳香族ビニルモノマーの重合によっ
    て生成する芳香族ビニルポリマーに由来するスチレン成
    分の合計98〜90重量%、(B)ゴムに由来するブタ
    ジエン成分の量が2〜10重量%、(C)芳香族ビニル
    ポリマーからなるマトリックス相が130,000〜2
    50,000の重量平均分子量(Mw)、40,000
    〜120,000の数平均分子量(Mn)、および1.
    8〜4.8のMw/Mn比を有し、かつ該マトリックス
    相中にグラフト化されたゴム粒子が分散しており、該ゴ
    ム粒子がカプセル粒子形態で、かつ1.0〜3.0μm
    の体積平均粒子径を有する該ゴム変性ポリスチレン樹脂
    組成物であることを特徴とする請求項1記載のゴム変性
    芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法。
JP26684499A 1999-09-21 1999-09-21 ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法 Expired - Fee Related JP4260304B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26684499A JP4260304B2 (ja) 1999-09-21 1999-09-21 ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26684499A JP4260304B2 (ja) 1999-09-21 1999-09-21 ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001089509A true JP2001089509A (ja) 2001-04-03
JP4260304B2 JP4260304B2 (ja) 2009-04-30

Family

ID=17436459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26684499A Expired - Fee Related JP4260304B2 (ja) 1999-09-21 1999-09-21 ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4260304B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003096139A (ja) * 2001-09-26 2003-04-03 Denki Kagaku Kogyo Kk 透明なゴム変性共重合樹脂の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003096139A (ja) * 2001-09-26 2003-04-03 Denki Kagaku Kogyo Kk 透明なゴム変性共重合樹脂の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4260304B2 (ja) 2009-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0161974B1 (ko) 개선된 특성을 갖는 모노비닐리덴 방향족 중합체 및 이의 제조방법
JP2573483B2 (ja) 射出成形材料
KR100893873B1 (ko) 내열 특성이 우수한 열가소성 공중합 수지의 연속 제조방법
JP2001089620A (ja) ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物
JP3353844B2 (ja) ゴム変性共重合樹脂の製法およびゴム変性共重合樹脂組成物
JP4260304B2 (ja) ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法
JP3481313B2 (ja) 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法
EP0381358A1 (en) Low gloss agents, process for production thereof, low gloss thermoplastic resin compositions and molded articles
TWI449740B (zh) Rubber modified styrene resin and molded article produced therefrom
JP2002020575A (ja) ゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂組成物
JP2000178403A (ja) ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物およびその製造方法
JPH0597938A (ja) ゴム変性ビニル芳香族系樹脂組成物及びその製造方法
JP4130268B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂の製造法
JPH10330438A (ja) ポリブタジエンゴムを用いたゴム変性芳香族ビニル樹脂及びその製造方法
JP4834262B2 (ja) 透明な電子部品包装用成形体
JPH08269137A (ja) スチレン系樹脂の製造方法
JP3338325B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製法
JPH09316280A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物とその成形体
JPH0699617B2 (ja) 耐衝撃性スチレン系樹脂成形材料及びその製造方法
JPH06256608A (ja) ゴム変性ビニル芳香族系樹脂組成物
JPH0827234A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP2002179715A (ja) ゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂組成物およびその製造方法
JP2000086861A (ja) 新規なゴム状重合体組成物及び耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
JPH11158235A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂の製造方法
JP2002194171A (ja) 帯電防止性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060831

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090203

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090204

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140220

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees