JP2001077044A - シリコン系結晶薄板の製造方法および光電変換素子用基板の製造方法 - Google Patents
シリコン系結晶薄板の製造方法および光電変換素子用基板の製造方法Info
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Abstract
不要にする。 【解決手段】 このシリコン系結晶薄板の製造方法は、
シリコンを含有するシリコン系結晶基板2に水素イオン
6を注入して、表面から8μm以上の深さR2 の所に注
入層8を形成する注入工程(図1A)と、その後シリコ
ン系結晶基板2を加熱して注入層8に空孔を形成する加
熱工程(図1B)と、その後シリコン系結晶基板2の注
入層8から上側を剥離させてシリコン系結晶薄板16を
得る剥離工程(図1C)とを備えている。
Description
用基板、液晶ディスプレイ用基板、半導体装置用基板等
として用いられるものであって、シリコンを含有するシ
リコン系結晶薄板の製造方法および当該シリコン系結晶
薄板を用いた光電変換素子用基板の製造方法に関し、よ
り具体的には、従来必要だった注入面の押圧を不要にす
る手段に関する。
オンを注入し、その後350℃程度以上に加熱した後
に、表層の結晶薄膜を剥離する水素イオン注入剥離法
は、特にSOI(Silicon On Insulator)基板の製造方
法の主要な技術として注目されている。上記のように加
熱するのは、水素イオンの注入層に多数の空孔(ボイ
ド)を形成して剥離を可能にするためである。
を押圧しない状態で加熱すると、注入層に空孔は形成さ
れるけれども、それと同時に、基板の表面(注入面)に
数μm程度の大きさのクレーターのような凹凸が無数に
生じる。これは、注入された水素が加熱によってガス化
し、それによって基板の表層が吹き飛ばされるためであ
る。このような凹凸が生じると、表層を剥離させようと
しても微小な剥離しか行えないので、即ち表層がぼろぼ
ろに剥がれるので、注入層から上側をうまく剥離させて
大面積の結晶薄膜を得ることはできない。
注入面に支持基板を接着し、加熱中にこの支持基板によ
って注入面を押圧することによって、上記のような凹凸
が生じることを防止している。
製造方法の一例を図4に示す。
を熱酸化等によって形成しているシリコン系結晶基板2
に水素イオン6を注入して、表面(注入面)5から1μ
m程度の深さR1 の所に注入層8を形成する(注入工
程。図4A)。酸化シリコン層4の厚さは、例えば0.
8〜0.9μm程度である。
B)、それを上記シリコン系結晶基板2の注入面5に押
し付けた状態で、シリコン系結晶基板2および支持基板
10を高温に加熱して、両者を接着すると同時に、注入
層8に空孔を形成する(加熱工程。図4C)。両者の高
温加熱による接着には、一般的に1000℃以上が必要
である。この支持基板10による注入面5の押圧によっ
て、加熱中にシリコン系結晶基板2の注入面5に微小な
凹凸が無数に生じることを防止することができる。
板10とに引っ張り力を加えることによって、シリコン
系結晶基板2の注入層8から上側を剥離させる(剥離工
程。図4D)。これによって、シリコン系結晶基板2の
注入層8から上側が支持基板10側に移行して、支持基
板10上に酸化シリコン層4およびその上にシリコン結
晶薄膜(基板2がシリコン単結晶基板の場合はシリコン
単結晶薄膜)12が形成された構造のSOI基板が得ら
れる。ちなみに図4Dの上下を反転させて見れば、支持
基板10上に上記酸化シリコン層4およびシリコン結晶
薄膜12が形成されていると見ることができる。シリコ
ン結晶薄膜12の厚さは、この例の場合は0.1〜0.
2μm程度である。
術では、加熱中にシリコン系結晶基板の表面に微小な凹
凸が無数に生じることを防止するために、支持基板等に
よって加熱中に注入面を押圧しておかなければならず、
そのぶん工程が複雑になるという課題があった。
程中の注入面の押圧を不要にすることを主たる目的とす
る。
系結晶薄板の製造方法は、シリコンを含有するシリコン
系結晶基板に水素イオンを注入して、表面から8μm以
上の深さの所に注入層を形成する注入工程と、その後前
記シリコン系結晶基板を加熱して前記注入層に空孔を形
成する加熱工程と、その後前記シリコン系結晶基板の前
記注入層から上側を剥離させてシリコン系結晶薄板を得
る剥離工程とを備えることを特徴としている。
コン系結晶基板の表面から8μm以上の深さの所に注入
層を形成することによって、注入層から上の層は、その
厚さが従来よりも遙かに大きくなるので、注入された水
素が加熱工程時にガス化する圧力に耐えることができ
る。従って、シリコン系結晶基板の注入面に微小な凹凸
が生じることを防止することができる。代わりに、上記
圧力は注入層に沿う方向に空孔を押し広げる働きをする
ので、注入層に沿って多数の空孔同士が互いにつなが
り、広い領域の剥離層が形成される。
しなくても、剥離工程時に微小な剥離を防止して、注入
層から上側を大きな面積で剥離させることができる。即
ち、大きな面積のシリコン系結晶薄板を得ることができ
る。
面の押圧が不要になる。その結果、工程を簡略化するこ
とができる。
系結晶薄板の製造方法の一例を示す工程図である。図4
に示した従来例と同一または相当する部分には同一符号
を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説
明する。
シリコン系結晶基板2に水素イオン6を注入して、表面
(注入面)5から8μm以上の深さR2 の所に注入層8
を形成する(注入工程。図1A)。
平均射影飛程とも呼ばれるものである。この深さR
2 は、水素イオン6のエネルギー(運動エネルギー)に
よって調整することができる。例えば、深さR2 は、水
素イオン6が単原子イオン(H+またはH- )の場合、
そのエネルギーを600keV程度にすれば8μm程度
になり、700keV程度にすれば10μm程度にな
る。
も良いし、シリコンを主成分とする基板でも良い。例え
ば、シリコン系結晶基板2はシリコン単結晶基板または
シリコン多結晶基板であるが、これに限らず、シリコン
化合物(例えばSiC、SiGe 、FeSi2等)の単結晶
基板または多結晶基板でも良い。シリコン化合物基板に
おいても、水素イオンの注入および加熱によって注入層
に空孔が形成されるので、剥離可能である。
て、上記注入層8に空孔(ボイド)を形成する(加熱工
程。図1B)。この加熱は、例えば350〜600℃程
度で、数分〜10分程度行う。この加熱によって、注入
された水素がガス化し、注入層8に多数の空孔が生じ
る。
入層8を境にして引っ張り力を加えることによって、注
入層8から上側を剥離させる(剥離工程。図1C)。こ
れによってシリコン系結晶薄板16が得られる。このシ
リコン系結晶薄板16は、元のシリコン系結晶基板2を
単結晶基板としておけば単結晶薄板であり、シリコン系
結晶基板2を多結晶基板としておけば多結晶薄板であ
る。また、このシリコン系結晶薄板16の厚さは上記深
さR2 に相当している。
コン系結晶基板2の表面から8μm以上の深さR2 の所
に注入層8を形成することによって、注入層8から上の
層は、その厚さが従来よりも遙かに大きくなるので、注
入された水素が加熱工程時にガス化する圧力に十分に耐
えることができる。従って、シリコン系結晶基板2の注
入面5に微小な凹凸が生じることを防止することができ
る。代わりに、上記圧力は注入層8に沿う方向に空孔を
押し広げる働きをするので、注入層8に沿って多数の空
孔同士が互いにつながり、広い領域の剥離層が形成され
る。
持基板等によって押圧しなくても、剥離工程時に微小な
剥離を防止して、注入層8から上側を十分に大きな面積
で剥離させることができる。即ち、十分に大きな面積の
シリコン系結晶薄板16を得ることができる。例えば、
シリコン系結晶基板2のほぼ全面に相当する大きさのシ
リコン系結晶薄板16を剥離させることも可能である。
面5の押圧が不要になる。その結果、支持基板等の押圧
体の準備、その接着および押圧等が一切不要になるの
で、工程を簡略化することができる。
ば太陽電池用のシリコン単結晶薄板を得る場合、十分な
光電変換効率を得るためには、その厚さは10μm程度
にするのが好ましい。その場合は、例えば、シリコン系
結晶基板2に700keV程度のエネルギーで水素イオ
ン(H+ またはH- )6を注入すれば、表面から約10
μmの深さR2 に注入層8が形成されるので、上記厚さ
を実現することができる。
上の厚さでは自立可能(即ちそれ自身で一体性を保つこ
とができること)であるので、支持基板が無くても良
い。あるいは、必要に応じて、剥離工程後にシリコン系
結晶薄板16と支持基板とを接着しても良い。その場
合、従来と違って支持基板は、加熱工程を経ないので、
耐熱温度の低い安価なもので済ませることができる。
入に非質量分離の水素正イオンビームを用いると、通常
は当該イオンビーム中にH+ の他にH2 + 、H3 + 等の複
数種類の分子イオンも存在するために、注入層8が複数
形成される可能性がある。そうなると、所望の深さでシ
リコン系結晶薄板16を剥離させることができなくな
る。これを防止するためには、水素正イオンビームを質
量分離してH+ のみを選択的に注入すれば良いけれど
も、そのようにすると、質量分離器が必要になると共
に、質量分離器によってイオンビームの断面積が制約を
受けるので大面積のイオンビームを得ることができず処
理速度(生産性)が低下する。
の負イオン(H- )を用いると、水素の場合は負イオン
はH- という一種類の単原子イオンしか存在しないの
で、質量分離を行う必要がなくなる。従って、質量分離
器が不要になると共に、高い処理速度(生産性)を実現
することができる。
イオン6の注入量は、通常は、水素原子の注入量で見
て、注入面5の1cm2 あたり5×1016個(即ち5×
1016個/cm2 )程度であるが、これを1×1017個
/cm2 以上にするのが好ましい。そのようにすれば、
加熱工程で発生する注入層8での水素ガス量が多くな
り、このガスによる圧力が高くなるので、剥離工程にお
けるシリコン系結晶薄板16の剥離が容易になる。
オン6の注入深さR1 が1μm程度と浅いため、上記の
ように大きな注入量では、前述した微小な剥離がより多
発するため不向きであるが、この発明の製造方法のよう
に水素イオン6の注入深さR 2 を8μm以上にする場合
は、上述した理由から微小な剥離は起こらないので、シ
リコン系結晶薄板16の剥離が容易になるという効果を
奏することができる。
剥離側の面18には、詳しく見れば、加熱工程で注入層
8に形成された多数の空孔の名残があるため、図2に拡
大して示すように、数十nm〜1μm程度の大きさおよ
び深さの凹凸が多数存在している。なお、図2は図1C
のシリコン系結晶薄板16を上下反転させて図示したも
のである。
場合、受光面に異方性エッチングを施すことによってわ
ざと凹凸形状として光を乱反射させ、結果的に入射光量
を増やして光電変換効率を上げるという方法が従来から
良く行われている。
したようにシリコン系結晶薄板16の剥離側の面18に
は、剥離した状態そのままで適度な凹凸が存在するた
め、この剥離側の面18を受光面とする光電変換素子ま
たは光電変換素子用基板を作れば、光電変換効率を高め
るための上記のようなエッチングを行う必要がなくなる
ので、生産性を大幅に高めることが可能になる。
すると、まず、上記シリコン系結晶基板2としてp型シ
リコン結晶(単結晶または多結晶)基板を用いて、上述
した製造方法によってp型のシリコン系結晶薄板16を
製造する。これによって、図2Aに示すように、剥離側
の面18が適度に荒れたp型のシリコン系結晶薄板16
が得られる。
層が受光面であるため、上記シリコン系結晶薄板16の
剥離側の面18にリン(P)、ヒ素(As )等のn型不
純物を拡散法、イオン注入法等によって添加して、図2
Bに示すようにn型半導体層20を形成する。これによ
って、pn接合を有していてn型半導体層20を受光面
とする光電変換素子用基板22が得られる。この光電変
換素子用基板22に所望の電極を付与する等することに
よって、太陽電池等の光電変換素子を得ることができ
る。
うに、光電変換効率を高めるために受光面をわざわざエ
ッチングする必要がないので、工程の簡素化によって生
産性を大幅に高めることが可能になる。
入る前に、シリコン単結晶基板から成るシリコン系結晶
基板2の表層に、酸化シリコン(SiO2 )層4を、熱
酸化等によって、水素イオン6の注入深さR2 よりも小
さい厚さ(例えば0.5〜1μm程度、より具体的には
0.8〜0.9μm程度)に形成しておいても良い。そ
のようにすれば、図3Cに示すように、表層に酸化シリ
コン層4を有するシリコン系結晶薄板16が得られる。
即ちこれを上下反転させて見れば、酸化シリコン層4を
下に有するSOI構造をしたシリコン系結晶薄板16を
得ることができる。
るので、次のような効果を奏する。
にシリコン系結晶基板の表面から8μm以上の深さの所
に注入層を形成するので、加熱工程中に注入面を支持基
板等によって押圧しなくても、剥離工程時に微小な剥離
を防止して、注入層から上側を十分に大きな面積で剥離
させることができる。従って、従来必要だった加熱工程
中の注入面の押圧が不要になる。その結果、支持基板等
の押圧体の準備、その接着および押圧等が一切不要にな
るので、工程を簡略化することができる。
は負イオンはH- という一種類のイオンしか存在しない
ので、質量分離を行う必要がなくなる。従って、質量分
離器が不要になると共に、高い生産性を実現することが
できる。
発生する注入層での水素ガス量が多くなり、このガスに
よる圧力が高くなるので、剥離工程におけるシリコン系
結晶薄板の剥離が容易になる。
である受光面に適度な凹凸が存在するので、光電変換素
子の光電変換効率を高めるために受光面をわざわざエッ
チングする必要がない。従って、エッチング工程の省略
によって生産性を大幅に高めることが可能になる。
の一例を示す工程図である。
の工程の一部を示す図である。
リコン系結晶薄板の製造方法の一例を示す工程図であ
る。
図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 シリコンを含有するシリコン系結晶基板
に水素イオンを注入して、表面から8μm以上の深さの
所に注入層を形成する注入工程と、その後前記シリコン
系結晶基板を加熱して前記注入層に空孔を形成する加熱
工程と、その後前記シリコン系結晶基板の前記注入層か
ら上側を剥離させてシリコン系結晶薄板を得る剥離工程
とを備えることを特徴とするシリコン系結晶薄板の製造
方法。 - 【請求項2】 前記注入工程において水素の負イオンを
注入する請求項1記載のシリコン系結晶薄板の製造方
法。 - 【請求項3】 前記注入工程における水素原子の注入量
を、前記シリコン系結晶基板の注入面1cm2 あたり1
017個以上にする請求項1または2記載のシリコン系結
晶薄板の製造方法。 - 【請求項4】 前記シリコン系結晶基板としてp型シリ
コン結晶基板を用いて、請求項1、2または3記載の製
造方法によってp型の前記シリコン系結晶薄板を製造
し、次いでこのシリコン系結晶薄板の剥離側の面にn型
不純物を添加してn型半導体層を形成し、このn型半導
体層を受光面とする光電変換素子用基板を作ることを特
徴とする光電変換素子用基板の製造方法。
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