JP2001052943A - W型Sr系フェライト磁石の製造方法 - Google Patents

W型Sr系フェライト磁石の製造方法

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JP2001052943A
JP2001052943A JP11222673A JP22267399A JP2001052943A JP 2001052943 A JP2001052943 A JP 2001052943A JP 11222673 A JP11222673 A JP 11222673A JP 22267399 A JP22267399 A JP 22267399A JP 2001052943 A JP2001052943 A JP 2001052943A
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ferrite magnet
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based ferrite
weight
sintering
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JP11222673A
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Hiroshi Yamamoto
洋 山元
Yutaka Kubota
裕 久保田
Takashi Takami
崇 高見
Yasunobu Ogata
安伸 緒方
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い磁気特性を有するW型Sr系フェライト
磁石の製造に繋がる新規な還元剤を提供すること。 【解決手段】 SrO・nFe2 3 (n=8.5〜
9)で組成が表される仮焼粉の粗粉に、例えばステアリ
ン酸Mgなどの脂肪酸の金属塩を添加して微粉砕するこ
とにより、高い磁気特性のW型Sr系フェライト磁石の
製造ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い磁気特性を有
するW型単相のSr系フェライト磁石の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】フェライト磁石は、コストパフォーマン
ス、耐環境性等に優れているため、電装用モータ等の各
種磁石応用製品に多用されている。特に、昨今の磁石応
用製品の小型軽量化のニーズに伴い、かかるフェライト
磁石のさらなる小型化、高性能化が求められている。
【0003】高い磁気特性のM型焼結フェライト磁石を
得るためには、フェライト結晶粒径を単磁区粒径に近
づけること(保磁力: ic の向上が図れる)、フェ
ライト結晶粒を磁気異方性方向に揃えること(残留磁束
密度:Br の向上が図れる)、高密度であること(B
rの向上が図れる)が重要である。
【0004】上記〜を達成するためには、焼結前の
微粉砕粒子の大きさを単磁区粒子径以下にし、かつ磁場
中成形時の成形配向度を向上させ、さらに適性な温度で
焼結することが必要となる。
【0005】M型フェライト磁石の高性能化への努力
は、かかる改善手段を通して続けられてきた。その結
果、M型磁石の磁気特性は次第にその上限に近づきつつ
あるように思われる。
【0006】従って、さらに高い磁気特性のフェライト
磁石を得るためには、現状のM型フェライトを越える高
い磁気特性の実現可能な新たなフェライト磁石の開発が
必要である。
【0007】飽和磁化の大きなフェライト磁石材料とし
ては、M型フェライト以外にも、W型、X型、Y型など
のフェライトが知られている。これらの特徴は、M型フ
ェライト構造中には存在しない2価金属イオン(F
2+、Co2+、Zn2+などの遷移金属イオン)を含む点
である。
【0008】特に、M型より約10%高い飽和磁化を有
し、かつM型と同程度の異方性磁界を示す可能性を有す
るW型フェライトが、近年、新しい磁石材料として注目
されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記W型フェライトで
は、その構造中に含まれる2価の鉄(Fe2+)の存在量
の制御が大きく磁気特性に影響を及ぼす。そのため、W
型フェライトの製造工程においては、仮焼、焼成雰囲気
などの緻密な制御が求められている。容易に酸化されや
すい2価の鉄の存在量の制御手段としては、還元剤の添
加が提案されている。
【0010】本発明の目的は、還元剤を添加して2価の
鉄の存在量を制御するW型フェライト磁石の製造方法に
おいて、高い磁気特性を有するW型フェライト磁石の製
造に繋がる新規な還元剤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、W型Sr系フ
ェライト磁石の製造方法であって、SrO・nFe2
3 (n=8.5〜9)で組成が表される仮焼粉を粗粉砕
する粗粉砕工程と、前記粗粉砕工程で得られた粗粉に脂
肪酸の金属塩を添加して湿式微粉砕する微粉砕工程と、
前記微粉砕工程で得られた微粉を磁場中で成形する湿式
磁場中成形工程と、前記湿式磁場中成形工程で得られた
成形体を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程で乾燥され
た成形体を焼結する焼結工程とを有することを特徴とす
る。
【0012】前記脂肪酸の金属塩では、Ca、Mg、A
l、Znの少なくともいずれかの金属の金属塩であるこ
とを特徴とする。前記脂肪酸の金属塩は、ステアリン酸
の金属塩であることを特徴とする。
【0013】前記微粉砕工程では、前記粗粉に対して、
前記脂肪酸の金属塩としてステアリン酸Mgが0.2〜
0.3重量%、焼結助剤としてのSiO2 が0.3〜
0.5重量%、CaOが0.75〜0.5重量%それぞ
れ添加されていることを特徴とする。
【0014】SrO・nFe2 3 (n=8.5〜9)
となるように所定量のSrCO3 、α−Fe2 3 を混
合して、窒素雰囲気中で1350℃で仮焼し、その後粗
粉砕する。粗粉砕により得られた粗粉に、例えば、ステ
アリン酸Mgなどの脂肪酸の金属塩を0.2〜0.3重
量%添加して湿式で微粉砕する。
【0015】ステアリン酸Mgの添加量が0.2重量%
未満では、得られるSr系フェライト磁石がW型単相と
ならない場合がある。0.3重量%以上の場合には、
(BH)max の値が低下する。そのため、W型単相で、
実用的な範囲の高い磁気特性のSr系フェライト磁石の
製造には、ステアリン酸Mgの添加量は0.2〜0.3
重量%の範囲が好ましい。より好ましくは、0.2重量
%である。
【0016】上記脂肪酸の金属塩の添加に際しては、C
aO、CaCO3 、SiO2 などを焼結助剤として添加
すればよい。添加に際しては、例えば、SiO2 とCa
Oの配合比を、SiO2 で0.3〜0.5重量%、Ca
Oで0.75〜0.5重量%となるように制御すること
により、得られるSr系フェライト磁石をW型単相とす
ることができる。
【0017】SiO2 の添加量が0.3重量%未満、あ
るいは0.5重量%より大きいと、W型単相のSr系フ
ェライト磁石は得られない。CaOの添加量が、0.7
5重量%未満、あるいは0.5重量%を越えると、W型
単相のSr系フェライト磁石は得られない。CaOの代
わりにCaCO3 を用いた場合も同様である。
【0018】得られた微粉砕粉を磁場中成形し、その後
乾燥して焼結する。乾燥温度および焼結温度を制御する
ことにより、W型単相のSr系フェライト磁石を製造す
ることができる。例えば、ステアリン酸Mgの添加量な
どを上記範囲に設定した場合には、湿式磁場中成形後の
成形体の乾燥を大気中200℃で行えば、(BH)ma x
が高いW型単相のSr系フェライト磁石が得られる。焼
結温度を1175℃に設定すれば、(BH)max を最大
とすることもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて詳細に説明する。
【0020】本発明は、SrO・nFe2 3 (n=
8.5〜9)で組成を有する仮焼粉を粗粉砕し、その後
の微粉砕過程でステアリン酸Mgなどの脂肪酸の金属塩
を添加することにより、高い磁気特性のW型単相のSr
系フェライト磁石を製造する方法である。かかる製造方
法における最適条件について、以下のように検証した。
【0021】(実施例1)図1に示すように、原料とし
てSrO3 とα−Fe2 3 とを使用して、SrO・n
Fe2 3 (n=8.5〜9)となるように所定量秤取
して混合した。混合に際しては、ボールミルで湿式混合
とした。その後、49MPaのプレス圧で、φ36mm
×7mmの円柱状成形体を圧縮成形し、さらに酸素分圧
約1.5×10-5atm(15ppm)の窒素雰囲気
中、1350℃で仮焼成した。
【0022】1350℃で仮焼成した成形体は、図2に
示すように、n=8.5、9.0の双方で、W型単相で
あることがX線回析パターンにより確認された。W型単
相であることが確認された上記成形体を、150μm以
下に粗粉砕し、得られた粗粉をさらに微粉砕した。
【0023】上記微粉砕に際しては、還元剤としてのス
テアリン酸Mgと、焼結助剤としてのCaOを0.5重
量%、SiO2 を0.5重量%それぞれ添加した。粗粉
にステアリン酸Mg、SiO2 、CaCO3 をそれぞれ
添加したものを振動ミルにかけて、平均粒径が0.8〜
0.4μmになるまで湿式微粉砕した。粉砕は、8時間
行った。なお、ステアリン酸Mgの添加量の影響を調べ
るため、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%の
割合でステアリン酸Mgの添加量を変化させた微粉砕粉
をそれぞれ調製した。
【0024】上記要領で調製したスラリー状の微粉砕粉
を、湿式磁場中成形した。成形に際しては、800kA
/mの磁界中(縦磁場)、196MPaでφ13mm×
11〜13mmの円柱状に成形した。
【0025】磁場中成形された成形体を、大気中200
℃で5時間乾燥し、その後窒素雰囲気中焼結してW型単
相のSr系フェライト磁石を作成した。焼結温度による
影響を調べるため、1150℃、1175℃、1200
℃のそれぞれの焼結温度でSr系フェライト磁石を作成
した。
【0026】図3は、上記要領で作成したSr系フェラ
イト磁石において、最大エネルギー積:(BH)max
最大印加磁界10kOeにおける磁束密度:Jm、固有保
磁力:Hcj、保磁力:HcBのそれぞれについて、ステア
リン酸Mgの添加量、および焼結温度の影響を示してい
る。なお、上記磁気特性は、高感度自記磁束計により測
定した。図3から、SrO・nFe2 3 でn=8.5
の場合には、焼結温度が1175℃の場合に、(BH)
max が最大になることが分かる。
【0027】また、ステアリン酸Mgの添加量の影響に
ついては、1150℃、1175℃、1200℃のいず
れの焼結温度でも、0.2重量%の添加で最大となり、
次いで0.1重量%、0.3重量%の順に低下すること
がわかる。
【0028】n=9.0の場合にも、(BH)max は1
175℃で最大となり、ステアリン酸Mgの添加量は、
0.2重量%、0.3重量%、0.1重量%の順に幾分
か低くなることが分かる。焼結温度1150℃、120
0℃では、ステアリン酸Mgの添加量の影響は、0.3
重量%の添加が最大で、0.1重量%、0.2重量%の
順で低下することが分かる。
【0029】上記各焼結温度で作成されたSr系フェラ
イト磁石については、図4に示すX線回析パターンから
も分かるように、1150℃では、n=8.5、9.0
の双方で、α−Fe2 3 の存在を示すピークが見ら
れ、1175℃〜1200℃の範囲でW型単相になって
いることが分かる。
【0030】以上の結果から、ステアリン酸Mgを還元
剤として使用する上記方法で製造されるW型単相のSr
系フェライト磁石では、(BH)max を最大にする温度
は1175℃であることが分かる。
【0031】(実施例2)次に、(BH)max が最大と
なる焼結温度1175℃におけるステアリン酸Mgの添
加量の影響について調べた。焼結温度を1175℃と
し、ステアリン酸Mgの添加量を0〜0.3重量%の範
囲で変化させた以外は、使用原料、仮焼成条件、粉砕粒
径、焼結助剤の添加割合、磁場中成形後の乾燥温度など
の条件を前記実施例1で説明したと同様にしてSr系フ
ェライト磁石を作成し、図5にその磁気特性を示した。
【0032】図5からは、SrO・nFe2 3 のn=
8.5、9.0の双方で、図3に示すように、ステアリ
ン酸Mgの添加量を0.2重量%としたときに、(B
H)ma x の値が最大となることが分かった。このように
して得られたSr系フェライト磁石についてX線回析を
行った結果、n=8.5、9.0の双方で、0.2重量
%、0.3重量%の添加量でW型単相が得られることが
分かった。0重量%(すなわち、無添加の場合)、0.
10重量%では、M型、α−Fe2 3 のピークが観察
され、W型単相ではないことが確認された。
【0033】かかる結果から、W型単相のSr系フェラ
イト磁石の製造には、少なくともステアリン酸Mgの添
加量を、0.2〜0.3重量%の範囲内で調整すればよ
いことが分かる。
【0034】(実施例3)次に、湿式磁場中成形後の成
形体の乾燥温度の影響について調べた。焼結助剤のCa
OとSiO2 の混合割合をそれぞれ0.75重量%、
0.30重量%とし、乾燥温度を20〜250℃までの
範囲で変化させた以外は、使用原料、仮焼成条件、粉砕
粒径、焼結助剤の添加割合、磁場中成形後の乾燥温度な
どの条件を前記実施例1で説明したと同様にしてSr系
フェライト磁石を作成し、図6に示すように、その磁気
特性の変化を調べた。
【0035】図6からは、乾燥温度200℃で、(B
H)max が最大となることが分かる。併せて、X線回析
の結果からは、乾燥温度200℃でW型単相を示すこと
が確認された。
【0036】この結果、W型単相の高い磁気特性を有す
るSr系フェライト磁石の製造には、湿式磁場中成形後
の成形体の乾燥温度を大気中、200℃に設定すること
が好ましい。
【0037】(実施例4)乾燥温度を上記実施例3で検
証したように200℃に設定した上で、図7に示すよう
に、乾燥時間の影響について調べた。図7から、(B
H)max は、乾燥時間5時間で最大(4.3MGOe)と
なることが分かる。乾燥時間1〜3時間の間に(BH)
max は急激な上昇を示し、3時間で約4MGOeの値にな
ることが確認される。併せて、乾燥時間を上記要領で変
化させた場合におけるSr系フェライト磁石のX線回析
では、乾燥時間1、3時間ではW型単相が確認できる
が、それ以外の1時間、7時間では、Fe3 4 、ある
いはα−Fe2 3 のピークが観察された。
【0038】この結果、W型単相の高い磁気特性を有す
るSr系フェライト磁石の製造には、湿式磁場中成形後
の成形体の乾燥に際しては、大気中、200℃で、3〜
5時間、より好ましくは5時間に設定すればよいことが
分かる。
【0039】(実施例5)次に、焼結温度の影響につい
て調べた。焼結助剤のCaOとSiO2 の混合割合をそ
れぞれ0.75重量%、0.30重量%、乾燥温度を2
00℃、5時間の条件で、その他の条件は前記実施例1
と同様にして、焼結温度を1125〜1200℃まで変
化させて、図8に示すように、その磁気特性に対する影
響について調べた。
【0040】図8からは、焼結温度が1125℃〜11
75℃の範囲では、(BH)max の値は高く維持されて
それ程大きな変化は見られないが、1175〜1200
℃にかけて大きく低下することが確認された。
【0041】1125℃、1150℃、1175℃、1
200℃の各焼結温度では、図9に示すように、W型単
相であることがX線回析パターンにより確認できる。図
9に示す場合は、n=8.5であるが、n=9.0の場
合にも、これら各温度でW型単相であることが確認され
た。
【0042】この結果、湿式磁場中成形後に、200
℃、5時間で乾燥した成形体は、1125〜1175℃
の温度で焼結させれば、(BH)max が約4MGOe以上
のW型単相のフェライト磁石の製造ができることが分か
る。
【0043】(実施例6)次に、焼結助剤のCaO、S
iO2 の添加割合の影響について調べた。粗粉砕粉の仮
焼成条件を窒素雰囲気中1350℃で3時間とし、ステ
アリン酸Mgの添加量を0.2重量%とし、焼結温度を
1150℃、1175℃、1200℃とし、湿式磁場中
成形後の乾燥条件を大気中200℃で5時間とした。か
かる条件下で、焼結助剤の添加割合を、SiO2 :Ca
O=0:0(双方無添加)、0.30:0.75、0.
50:0.50、0.75:0.30と変化させた。
【0044】上記条件で得られたSr系フェライト磁石
の磁気特性は、図10に示すように、焼結助剤を添加し
た場合の方が、無添加の場合に比べて、(BH)max
どの磁気特性は大きいことが分かる。特に、SiO2
CaO=0.30:0.75(重量%)の場合に最大と
なり、さらにこの焼結助剤の配合割合では、焼結温度を
1150℃に設定した場合に(BH)max が最大となる
ことも分かる。
【0045】併せて、図11に示すように、焼結温度を
1150℃に設定した場合におけるX線回析パターンか
らは、SiO2 :CaO=0.30:0.75(重量
%)の場合には、W型単相となることが確認された。そ
れ以外の上記配合割合では、X線回析パターン中にFe
3 4 、α−Fe2 3 のピークが観察された。なお、
図11では、n=9.0の場合について示したが、n=
8.5の場合についても同様の結果が得られている。
【0046】
【表1】
【0047】表1は、以上の各実施例の結果に基づき、
仮焼成条件を窒素雰囲気中1350℃で3時間、磁場中
成形後の乾燥条件を大気中200℃で5時間、焼結条件
を窒素雰囲気中1.5時間として、焼結助剤の配合割合
をSiO2 :CaO=0.5:0.5(重量%)とした
場合におけるW型単相のSr系フェライト磁石の生成に
おける焼結温度とステアリン酸Mgの添加量との影響に
ついてまとめたものである。
【0048】表1から、SrO・nFe2 3 (n=
8.5、9)では、ステアリン酸Mgの添加量が0.1
重量%以上、0.2重量%未満の範囲では、焼結温度1
200℃で得られるSr系フェライト磁石がW型単相と
なることが分かる。ステアリン酸Mgの添加量が、0.
2重量%以上、0.3重量%未満では、少なくとも11
75〜1200℃の範囲で、W型単相のSr系フェライ
ト磁石が得られることが分かる。ステアリン酸Mgの添
加量が、0.3重量%では、少なくとも1150〜12
00℃の温度範囲で、W型単相のSr系フェライト磁石
が得られることが分かる。
【0049】
【表2】
【0050】表2は、以上の各実施例の結果に基づき、
仮焼成条件を窒素雰囲気中1350℃で3時間、磁場中
成形後の乾燥条件を大気中200℃で5時間、焼結条件
を窒素雰囲気中1.5時間として、ステアリン酸Mgの
添加量を0.2重量%とした場合におけるW型単相のS
r系フェライト磁石の生成における焼結助剤の配合割合
と焼結温度との影響についてまとめたものである。
【0051】表2からは、SiO2 :CaO=0.30
〜0.50(重量%):0.75〜0.50(重量%)
の割合で焼結助剤を添加した場合には、焼結温度が11
75〜1200℃の範囲で、W型単相のSr系フェライ
ト磁石が得られることが分かる。特に、SiO2 :Ca
O=0.30:0.75(重量%)の割合で添加した場
合には、焼結温度1150〜1200℃の広い範囲でW
型単相となる。
【0052】仮焼成条件を窒素雰囲気中1350℃で3
時間、焼結助剤の配合割合をSiO2 :CaO=0.3
0:0.75(重量%)、ステアリン酸Mgの添加量を
0.2重量%、磁場中成形後の乾燥条件を大気中200
℃で5時間、焼結条件を窒素雰囲気中1150℃で1.
5時間として得られるW型単相のSr系フェライト磁石
について、飽和磁化(σs )、固有保磁力(Hcj)の温
度依存性を図12のグラフに示す。
【0053】図12から、温度の上昇に伴って、飽和磁
化は略直線的に減少し、併せて固有保磁力は、約230
℃の付近でピークを示すことが分かる。図12に示す場
合は、n=9.0の場合だが、n=8.5でも同様の傾
向を示した。
【0054】なお、磁化の温度依存性の実験からは、キ
ュリー温度に関しては、焼結助剤のSiO2 、CaOを
0.30重量%、0.75重量%で添加した場合には、
添加しない場合に比べて若干低下することが確認されて
いる。なお、キュリー温度、および温度特性について
は、振動型磁力計(VSM)を使用して測定した。
【0055】
【表3】
【0056】表3には、図1のフローに示す各工程に沿
って得られたSrO・9Fe2 3組成のW型Sr系フ
ェライト磁石の磁気特性および物性についてまとめた。
磁気特性としては、Jm (T):最大印加磁界10kOe
における磁束密度の最大値、Jr (T):残留磁束密
度、Hcj(kA/m):固有保磁力、HcB(kA/
m):保磁力、(BH)max (kJ/m3 ):最大エネ
ルギー積、KA (×105 J/m3 ):異方性定数、H
A (kA/m):異方性磁界、ηB (μB ):1分子当
たりの磁化の大きさなどを磁気特性の項目として示し
た。物性としては、密度(Mg/m3 )、キュリー温度
(℃)、格子定数、分子量を示した。
【0057】なお、上記表3のW型Sr系フェライト磁
石は、仮焼成条件:窒素雰囲気中、1350℃×3時
間、ステアリン酸Mgの添加量:0.20重量%、焼結
助剤の添加量:SiO2 (0.30重量%)、CaO
(0.75重量%)、湿式磁場中成形後の成形体の乾燥
条件:大気中、200℃×5時間、焼結条件:窒素雰囲
気中、1150℃×1.5時間の条件で製造されてい
る。
【0058】以上の結果から、高い磁気特性を有するW
型単相のSr系フェライト磁石の製造方法において、ス
テアリン酸Mgが微粉砕工程で添加する還元剤として有
効であることが確認された。
【0059】かかるステアリン酸Mgの添加量は、0.
2重量%で最大の磁気特性が得られることが確認され
た。
【0060】ステアリン酸Mgの添加に際しては、焼結
助剤としてSiO2 とCaOとを、0.30:0.75
(重量%)割合で添加することがより好ましいことが確
認された。
【0061】以上の説明では、ステアリン酸Mgを還元
剤として添加した場合について説明したが、ステアリン
酸Znについても、ステアリン酸Mgと同様の結果が得
られている。例えば、添加量0.1重量%、焼結温度1
150℃、0.5〜1.5時間程度で、Hcjが約2.5
kOe、Brが約4.3kOe、(BH)max が約4MGOe
となることが確認されている。
【0062】さらに、上記Zn塩以外にも、Al塩、C
a塩についても、同様に有効な結果が得られている。前
記説明では、還元剤としてステアリン酸Mgを単独で使
用した場合についてのみ説明したが、高い磁気特性のW
型単相が得られれば、他の還元剤と併用するようにして
もよい。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、M型フェライト磁石よ
り高い磁気特性を有するW型単相のフェライト磁石の製
造方法において、従来とは異なる還元剤を使用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のW型Sr系フェライト
磁石の製造方法の各工程を示すフロー図である。
【図2】(a)、(b)は、仮焼成したSrO・nFe
2 3 (n=8.5、9)のX線回析パターンである。
【図3】SrO・nFe2 3 (n=8.5、9)なる
Sr系フェライト磁石の各焼結温度における磁気特性を
示すグラフである。
【図4】(a)〜(f)は、SrO・nFe2 3 (n
=8.5、9)なるSr系フェライト磁石の各焼結温度
におけるX線回析パターンである。
【図5】SrO・nFe2 3 (n=8.5、9)なる
Sr系フェライト磁石の磁気特性におけるステアリン酸
Mgの添加量の影響を示すグラフである。
【図6】SrO・nFe2 3 (n=9)なるSr系フ
ェライト磁石の磁気特性における湿式磁場中成形後の成
形体の乾燥温度の影響を示すグラフである。
【図7】SrO・nFe2 3 (n=9)なるSr系フ
ェライト磁石の磁気特性における湿式磁場中成形後の成
形体の乾燥時間の影響を示すグラフである。
【図8】SrO・nFe2 3 (n=8.5、9)なる
Sr系フェライト磁石の磁気特性における焼結温度の影
響を示すグラフである。
【図9】(a)〜(d)は、各焼結温度におけるSrO
・nFe2 3 (n=8.5)なるSr系フェライト磁石
のX線回析パターンである。
【図10】SrO・nFe2 3 (n=9)なるSr系
フェライト磁石の磁気特性における焼結助剤の添加量の
影響を示すグラフである。
【図11】(a)〜(d)は、SrO・nFe2
3 (n=9)なるSr系フェライト磁石の磁気特性にお
ける焼結助剤SiO2 とCaOの配合割合ごとのX線回
析パターンである。
【図12】(a)、(b)は、SrO・nFe2
3 (n=9)なるSr系フェライト磁石の磁気特性(σ
s 、Hcj)の温度依存性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 35/26 C04B 35/26 F H01F 1/11 H01F 1/11 B (72)発明者 緒方 安伸 埼玉県熊谷市三ケ尻5200番地 日立金属株 式会社磁性材料研究所内 Fターム(参考) 4G018 AA01 AA09 AA39 AC01 AC07 4K017 AA06 BA10 BB18 CA07 DA04 EA03 4K018 AA24 AB01 AC01 BA13 BB04 BC13 BD01 CA04 DA21 KA45 5E040 AB04 AB09 BB01 BD01 CA01 HB00 HB01 HB03 HB06 NN02 5E062 CC02 CD01 CE04 CF02 CG02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 W型Sr系フェライト磁石の製造方法で
    あって、 SrO・nFe2 3 (n=8.5〜9)で組成が表さ
    れる仮焼粉を粗粉砕する粗粉砕工程と、 前記粗粉砕工程で得られた粗粉に脂肪酸の金属塩を添加
    して湿式微粉砕する微粉砕工程と、 前記微粉砕工程で得られた微粉を磁場中で成形する湿式
    磁場中成形工程と、 前記湿式磁場中成形工程で得られた成形体を乾燥する乾
    燥工程と、 前記乾燥工程で乾燥された成形体を焼結する焼結工程と
    を有することを特徴とするW型Sr系フェライト磁石の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のW型Sr系フェライト磁
    石の製造方法において、 前記脂肪酸の金属塩では、Ca、Mg、Al、Znの少
    なくともいずれかの金属の金属塩であることを特徴とす
    るW型Sr系フェライト磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のW型Sr系フェ
    ライト磁石の製造方法において、 前記脂肪酸の金属塩は、ステアリン酸の金属塩であるこ
    とを特徴とするW型Sr系フェライト磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のW型Sr系フェライト磁
    石の製造方法において、 前記微粉砕工程では、前記粗粉に対して、前記脂肪酸の
    金属塩としてステアリン酸Mgが0.2〜0.3重量
    %、焼結助剤としてのSiO2 が0.3〜0.5重量
    %、CaOが0.75〜0.5重量%それぞれ添加され
    ていることを特徴とするW型Sr系フェライト磁石の製
    造方法。
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