JP2001003836A - 吸入量制御式高圧ポンプ - Google Patents

吸入量制御式高圧ポンプ

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JP2001003836A
JP2001003836A JP11171308A JP17130899A JP2001003836A JP 2001003836 A JP2001003836 A JP 2001003836A JP 11171308 A JP11171308 A JP 11171308A JP 17130899 A JP17130899 A JP 17130899A JP 2001003836 A JP2001003836 A JP 2001003836A
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pressure
valve
suction
pump
check valve
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JP11171308A
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English (en)
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Hisashi Hidaka
尚志 日高
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Isuzu Motors Ltd
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Isuzu Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、吸入行程中に吸入側に配設した
流量制御弁を閉じることで低下した吸入側の流体圧力を
次の流量制御弁の開弁時までに回復させることにより振
動や騒音を低減し流量制御性の良い吸入量制御式高圧ポ
ンプを提供する。 【解決手段】 吸入量制御式高圧ポンプ50からの吐出
量を制御するため、ポンプ吸入行程中に流量制御弁15
を閉じて高圧ポンプ50への吸入量が制御される。この
時に負圧となる吸入チェック弁69の上流側圧力は、流
量制御弁15を迂回するバイパス通路80に配設されて
いる負圧チェック弁81が開弁し、フィードポンプ6か
らの流体が補給されることによりフィード圧力まで回復
する。次の流量制御弁15の開弁時に、流入流体が吸入
チェック弁69の上流側に衝撃を伴って流入せず、振動
や騒音が低減されると共に吐出量の制御性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、吸入量を制御す
ることで吐出量を制御する吸入量制御式高圧ポンプに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、エンジンの燃料噴射制御
に関して、噴射圧力の高圧化を図り、且つ燃料の噴射タ
イミング及び噴射量等の噴射条件をエンジンの運転状態
に応じて最適に制御する方法として、コモンレール式燃
料噴射システムが知られている。コモンレール式燃料噴
射システムは、ポンプによって所定圧力に加圧された燃
料噴射制御用の作動流体をコモンレール内に蓄圧状態に
貯留し、作動流体圧力を利用して各気筒にそれぞれ配置
されたインジェクタを作動させて、インジェクタから対
応する燃焼室内に燃料を噴射するシステムである。燃料
が各インジェクタからエンジンの運転状態に対して最適
な噴射条件で噴射されるように、コントローラは、各イ
ンジェクタに設けられた制御弁としての開閉弁を制御し
ている。
【0003】作動流体を燃料とする燃料圧力作動型のコ
モンレール式燃料噴射システムの場合、コモンレールか
ら燃料供給管を通じて各インジェクタの先端に形成され
た噴孔に至る燃料流路内には、常時、噴射圧力相当の燃
料圧力が作用しており、各インジェクタは、燃料供給管
を通じて供給される燃料を通過又は遮断する制御を行う
ための開閉弁と当該開閉弁を開閉駆動するためのアクチ
ュエータとを備えている。コントローラは、加圧燃料が
各インジェクタにおいてエンジンの運転状態に対して最
適な噴射条件で噴射されるように、コモンレールの圧力
と各インジェクタのアクチュエータの作動とを制御して
いる。また、作動流体としてエンジンオイルをコモンレ
ールに貯留し、コモンレールからインジェクタの圧力室
に供給したオイル圧力でインジェクタ内の増圧室内に供
給されている燃料を所定の圧力まで増圧する型式のコモ
ンレール式燃料噴射システムも提案されている。
【0004】図6に基づいて、従来の燃料圧力作動型の
コモンレール燃料噴射システムを説明する。燃料タンク
7からフィードポンプ6によって吸い上げられた燃料
は、フィルタ4を通じて燃料サプライポンプ1に送られ
る。燃料サプライポンプ1は、エンジンEによって駆動
されるプランジャ式の可変容量式高圧ポンプであり、燃
料をコモンレール2に圧送する。流入側の燃料圧力が所
定の圧力を超えると、リリーフ弁18は開弁して燃料を
燃料タンク7に戻す。コモンレール式燃料噴射システム
において、燃料をコモンレール2に蓄圧状態に貯留する
ために燃料を高圧で吐出する燃料サプライポンプ1とし
て、吸入量制御式高圧ポンプを適用することができる。
フィードポンプ6から燃料サプライポンプ1へ送り込ま
れる燃料吸入量は、吸入通路13に配設されている電磁
弁である流量制御弁15によって制御される。流量制御
弁15を通じて送られる流量は、例えば、アクチュエー
タ16を駆動して、流量制御弁15の開弁期間、或いは
パルスのデューティ比で弁開度を調節することにより制
御される。
【0005】燃料サプライポンプ1は、エンジンEの出
力によって駆動されるポンプ駆動カム10と、ポンプ駆
動カム10に当接して往復動をするプランジャ11とを
備えており、プランジャ11の頂面がポンプ室12の壁
面の一部を形成している。燃料サプライポンプ1の吐出
側においてコモンレール2に接続される吐出通路14に
は、燃料サプライポンプ1の所定の吐出圧で開弁する吐
出弁17が設けられている。燃料サプライポンプ1は、
図示以外にも、エンジンEの型式に応じて複数のプラン
ジャを有するロータリ型又は列型のポンプとすることが
できる。
【0006】コモンレール2に蓄圧状態に貯留された燃
料は、燃料流路の一部を構成する燃料供給管23を通じ
て、エンジンEの型式に応じて気筒毎に設けられたイン
ジェクタ3に供給され、各インジェクタ3からそれぞれ
対応した燃焼室内に噴射される。コモンレール2には、
コモンレール圧力がシステム異常等に起因して異常上昇
するのを防ぐため、所定の設定圧力よりも高くなると開
弁してコモンレール2内の燃料を排出路21を通じて燃
料タンク7へ放出してコモンレール圧力を低下させる常
閉型のリリーフ弁20が備えられている。また、コモン
レール2に設けられた圧力センサ22が検出したコモン
レール圧力Prは、エンジンの電子制御モジュール(E
CM)であるコントローラ8に入力される。
【0007】コントローラ8には、コモンレール圧力P
rの他に、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転
数センサ、アクセルペダルの踏込み量Acを検出するた
めのアクセル踏込み量センサ等の検出手段としての各種
センサ9からの検出信号が入力される。その他、冷却水
温センサ、エンジン気筒判別センサ、上死点検出セン
サ、大気温度センサ、大気圧センサ、吸気管内圧力セン
サ等のエンジンEの運転状態を検出するための各種セン
サからの信号がコントローラ8へ入力される。
【0008】インジェクタ3は、シリンダヘッド等のベ
ース(図示せず)に設けられた穴部にシール部材によっ
て密封状態に取付けられる。インジェクタ3は、インジ
ェクタ本体内を往復動可能な針弁31と、ノズルの先端
に形成され且つ針弁31がリフトしたときに開口して燃
料を燃焼室(図示せず)に噴射する噴孔32とを備えて
いる。インジェクタ3の中空穴の内壁面と針弁31の頂
面33とでバランスチャンバ30が形成されており、コ
モンレール2内の高圧燃料が燃料供給管23から分岐し
且つ第1オリフィス39が設けられた供給路38を通じ
てバランスチャンバ30に供給される。燃料供給管23
に接続する燃料通路34は、燃料溜まり35及び針弁3
1の周囲の隙間を満たしている。バランスチャンバ30
に接続された排出路40に第2オリフィス41が設けら
れており、第2オリフィス41は第1オリフィス39の
有効通路断面積よりも大となるように設定されている。
【0009】針弁31のリフトは、燃料溜まり35に臨
む針弁31の第1テーパ面36に作用する燃料圧力に基
づくリフト力、バランスチャンバ30内の燃料圧力に基
づく押し下げ力、及びリターンスプリング47の戻し力
のバランスによって制御される。コントローラ8からの
制御電流によってアクチュエータとしての電磁ソレノイ
ド45を作動させて排出路40に設けられている開閉弁
44を開弁させると、燃料は排出路40を通じて排出さ
れるが、第1オリフィス39は第2オリフィス41より
も燃料の流れをより強く制限するので、バランスチャン
バ30内の燃料圧力が低下する。針弁31に作用するリ
フト力が、バランスチャンバ30内の燃料圧力に基づく
押下げ力及びリターンスプリング47の戻し力との合力
を上回り、針弁31がリフトし、燃料は開口した噴孔3
2から燃焼室(図示せず)内へと噴射される。噴射に費
やされずバランスチャンバ30から排出路40を通じて
流出た燃料は、燃料戻し管46を経て燃料タンク7に回
収される。電磁ソレノイド45を非作動にすると、バラ
ンスチャンバ30内の燃料圧力が回復し、リターンスプ
リング47の戻し力との合力が針弁31に作用するリフ
ト力を上回って、針弁31の先端に形成された第2テー
パ面37がインジェクタ本体のテーパ状弁シートに着座
し、燃料溜まり35から針弁31の周囲に形成される通
路と噴孔32との連通が閉じられて針弁31が閉弁す
る。
【0010】コントローラ8は、エンジン出力が上記各
種センサ9からの検出信号によって検出されたエンジン
Eの運転状態に即した最適出力になるように設定された
燃料噴射の時期及び量等から成る目標噴射特性に従っ
て、開閉弁44を開閉して針弁31のリフトを制御す
る。インジェクタ3からの燃料噴射の時期及び量は、噴
射圧力と針弁31のリフト(リフト量、リフト期間)と
によって定められる。開閉弁44を開閉制御するために
電磁ソレノイド45に送られる駆動電流は、コントロー
ラ8が出力したコマンドパルスに基づいて決定される。
【0011】インジェクタ3から噴射される燃料の噴射
圧力はコモンレール2に貯留されている燃料の圧力に略
等しいので、エンジンEの運転状態から求められる必要
な噴射圧力は、コモンレール圧力Prを制御することに
よって得られる。インジェクタ3が燃料を噴射してコモ
ンレール2内の燃料が消費されるとコモンレール圧力P
rが低下するので、各噴射毎にコモンレール圧力Prを
所定の圧力まで回復させる必要がある。また、エンジン
Eの運転状態が一定であればその状態に応じた一定圧力
を保持するように、エンジンEの運転状態が変更されれ
ばその変更に応じてエンジンEの運転状態に最適となる
ように、コモンレール圧力Prを増圧又は減圧方向に制
御する必要がある。コントローラ8は、燃料サプライポ
ンプ1の吐出流量(圧送量)を制御することにより、コ
モンレール圧力Prを調節している。したがって、コモ
ンレール燃料噴射システム全体の性能を向上させるため
には、燃料サプライポンプ1の圧送量の制御性を向上さ
せることが必要である。
【0012】コモンレール2の圧力制御は、エンジンE
の運転状態に応じて目標燃料噴射量を決定し、この目標
燃料噴射量とエンジン回転数とに応じて目標コモンレー
ル圧力を決定し、この目標コモンレール圧力と圧力セン
サ22によって検出された実際のコモンレール圧力との
偏差をなくすように、即ち、実コモンレール圧力が目標
コモンレール圧力に一致するように、燃料サプライポン
プ1の圧送量をフィードバック制御することによって行
われる。
【0013】図7である縦断面図には、吸入量制御式の
燃料サプライポンプ1の全体の概略が示されている。高
圧燃料ポンプ1のポンプ本体であるハウジング52に
は、エンジンEのクランク軸によりベルト等の適宜の伝
動手段を介して駆動されるカムシャフト53が、回転自
在に軸支されている。カムシャフト53には、プランジ
ャ11を往復駆動するためのポンプ駆動カム10が配設
されている。ポンプ駆動カム10は、カムシャフト53
に一体に形成されたカム54、カム54の外周に軸受5
5を介して回転自在に取り付けられた回転輪56から成
り、ハウジング52のカム室57内に収容されている。
カム室57に連通するハウジング52のボア58内に
は、プランジャばね59によって回転輪56に押圧され
るプランジャ11が昇降可能に配設されている。プラン
ジャ11の先端には、一側でプランジャばね59の一端
と係合してばね力を受けると共に、他側で回転輪56に
当接するタペット61が形成されている。プランジャ1
1はシリンダブロック70に形成されているシリンダ6
0に摺動可能であり、プランジャ11の頂部62の端面
63とシリンダ60の内壁面64とでポンプ室12が形
成されている。
【0014】フィードポンプ6によってある一定の圧力
(フィード圧)で送られ吸入通路13を流れる燃料の流
量は、高圧燃料サプライポンプ1のハウジング52に取
り付けられた流量制御弁15で制御される。フィードポ
ンプ6によって送られた燃料は、ハウジング52に流量
制御弁15の入口側において形成されている吸入路65
に入り、流量制御弁15で流量を制御された後、ハウジ
ング52に流量制御弁15の出口側において形成されて
いる吸入路66、ハウジング52とシリンダブロック7
0との接合部に形成されている環状の吸入路66a、及
びシリンダブロック70に形成されている吸入路67を
通じて、吸入チェック弁69の上流側に形成されている
圧力制御室68に到達する。吸入路65,66,66a
及び吸入路67は、吸入通路13の一部を構成してい
る。圧力制御室68は、ポンプ本体の一部を構成してい
るシリンダブロック70の頂部に取り付けられるキャッ
プ72の内側に形成されている。吸入チェック弁69
は、ポンプ室12内に配置された弁ヘッドと、シリンダ
ブロック70に形成されている吸入路71を隙間を介し
て挿通する弁ステムとを有している。吸入チェック弁6
9は、ばね75によって常に閉弁方向に付勢されてい
る。ばね75は、吸入チェック弁69がプランジャ11
が吸入行程にあるときのポンプ室12の負圧とフィード
ポンプ6からの低圧燃料の供給圧力であるフィード圧力
とに基づいて作用する押下げ力で開弁するために、この
押下げ力より小さい値に設定されている。
【0015】ポンプ駆動カム10が回転してプランジャ
11が上死点から下降する吸入行程に入ると、ポンプ室
12内の圧力が低下し、吸入チェック弁69の前後に圧
力差が生じて、吸入チェック弁69がばね75の付勢力
に抗して開弁し、低圧燃料がポンプ室12内に流入す
る。プランジャ11が下死点からリフトに転じて圧送行
程に入ると、ポンプ室12内の燃料圧力が上昇する。吸
入チェック弁69は、ポンプ室12内の燃料圧力に基づ
く力とばね75の付勢力とで吸入路71を閉じて燃料が
圧力制御室68及びその上流の吸入路66,67側に逆
流するのを阻止し、ポンプ室12内の高まる燃料圧力に
基づいて吐出弁17を開弁して、吐出通路14を通じて
高圧燃料をコモンレール2に圧送する。吐出通路14の
一端部が、吐出穴73に形成された雌ねじ部に螺入され
て接続されている。
【0016】プランジャ11が下降する行程で流量制御
弁15を作動させてポンプ室12内に吸入される燃料吸
入量を制限することにより、燃料サプライポンプ1の吐
出流量が制御される。即ち、燃料サプライポンプ1の圧
送量は吸入チェック弁69からポンプ室12内に入る流
量によって決定され、その流量は吸入チェック弁69の
上流にある電磁弁である流量制御弁15によって制御さ
れる。流量制御弁15の閉弁時にプランジャ11がなお
も下降していると、吸入チェック弁69は開き続け、吸
入チェック弁69の上流側(圧力制御室68)も負圧又
は減圧された状態となるが、直ぐに、吸入チェック弁6
9の上流側とポンプ室12とが同じ圧力となるので、吸
入チェック弁69はばね75の作用により閉じる。な
お、プランジャ11の周囲において漏洩した燃料は、ド
レンポート74を経て、潤滑油とは区別して回収され
る。
【0017】図5には、流量制御弁15をデューティ比
制御ではなく全開の期間のみを制御した場合の流量制御
弁15への制御信号Sc、吸入チェック弁69の変位
(リフト量)Lv、及び吸入チェック弁69の上流側の
圧力制御室68における流体圧力Pcの時間波形が示さ
れている。最上欄に示す制御信号Scは、流量制御弁1
5を作動させる時期を順次長くしていった4つの場合と
作動させない場合の計5つの場合を、それぞれ二点鎖
線、一点鎖線、破線、細実線及び太実線で示すパルス信
号である。制御信号Scは、パルスオン状態及びパルス
オフ状態がそれぞれ流量制御弁15の閉弁状態又は開弁
状態に対応している。プランジャ11が下降行程にある
ときに、制御信号Scをオフにして流量制御弁15を開
弁させると、ポンプ室12内の負圧とフィードポンプ6
によって供給される低圧燃料の圧力との圧力差に基づい
て、ばね75に抗して吸入チェック弁69が時間遅れを
伴って変位(即ち、開弁)を開始する。制御信号Scを
オフ期間が経過するに応じて吸入チェック弁69の変位
Lvが増加し、ポンプ室12への燃料の吸入が増加す
る。制御信号Scをオフにして流量制御弁15を閉弁さ
せると、吸入チェック弁69が時間遅れを伴った後に急
激に閉弁し、上流側で流量制御弁15が閉じられている
ために圧力制御室68内の圧力Pcが低下する。制御信
号Scのオン・オフは、時間遅れを伴って吸入チェック
弁69の閉弁と開弁とに対応していることから、流量制
御弁15の全開時間を決めるだけでも燃料サプライポン
プ1の吐出流量の制御は一応可能である。
【0018】流量制御弁15が開弁するに伴って、圧力
制御室68内に瞬間的に急激な圧力変動が生じている。
即ち、プランジャ11の速度が高い範囲(プランジャの
上死点と下死点との中間付近)で流量制御弁15が閉じ
られると、燃料の流入速度が速いために流入燃料の慣性
によって圧力制御室68内の圧力Pcが最も負圧になり
易く、且つその後、プランジャ11が吐出行程に移行し
ても圧力制御室68内にはその負圧が保持される(図5
のAで示す圧力Pcを参照)。圧力制御室68内の負圧
とフィードポンプ6で送り出された燃料の燃料圧力(フ
ィード圧力)P 0 との差圧が大きくなるので、その負圧
が維持されている状態で次のポンプサイクルで流量制御
弁15が開弁されたときに差圧に基づく勢いで圧力制御
室68内に急激に流入してくる燃料により、圧力制御室
68内に大きな圧力変化が急激に生じるものと考えられ
る(図5のBで示す圧力Pcを参照)。この圧力変化
は、圧力制御室68内の負圧の程度が大きい程、大きく
なる。この時、吸入チェック弁69の変位Lvにも、瞬
間的なピークが現れる(図5中のCで示す変位Lvを参
照)。燃料の供給系に急激な圧力変動の繰返しは、燃料
サプライポンプ1に振動と騒音とを生じさせ、燃料サプ
ライポンプ1の耐久性の観点で好ましくない。また、吸
入チェック弁69の変位によりポンプ室12への流体の
吸入量が変動し、燃料サプライポンプ1の吐出流量の制
御性が低下することになる。更に、圧力制御室68が負
圧になると吸入流路内にキャビテーションが生じ易くな
り、燃料サプライポンプ1の耐久性を損なう要因になる
とも考えられる。
【0019】吸入量制御方式の可変吐出量高圧ポンプと
して、低圧通路から圧力室内に供給される低圧燃料の流
量を制御する電磁弁と、電磁弁から圧力室内へ至る流路
途中に配置されて低圧通路と圧力室との間を開閉する逆
止弁とを別々に備え、プランジャが下降可能行程にある
ときに、電磁弁の閉弁時期を早くすることにより、通常
であれば吸入行程にあるにもかかわらずプランジャの下
降を途中で停止して、圧力室内に流入する燃料を減少さ
せて、吐出量を制御する可変吐出量高圧ポンプが提案さ
れている(特開平10−141176号公報参照)。電
磁弁で予め必要な流量を圧力室内に供給すると、逆止弁
により低圧燃料の加圧開始時より圧送終了まで圧送室へ
の流路が閉鎖される、電磁弁に大きな圧送圧力が作用し
ない。
【0020】また、吸入量制御方式の可変吐出量高圧ポ
ンプとして、圧力室への吸入量が少ないときにプランジ
ャが下死点まで下降すると、圧力室内に急激な減圧が生
じてキャビテーションが発生するおそれがあるので、プ
ランジャを下死点方向に付勢するスプリングを配設せ
ず、プランジャの往復動については、圧送時にはカム軸
の回転によるカムリフトで、吸入時には低圧燃料のフィ
ード圧によって行い、吸入量が少ない場合には低圧燃料
の供給分のみプランジャは吸入方向に移動せず、プラン
ジャの下端に設けたカムローラとカム軸に設けたカムと
が離れるようにした高圧ポンプが提案されている(特開
平10−73064号公報参照)。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】そこで、流体のポンプ
室への吸入時において、ポンプ室の吸入側に配設される
吸入チェック弁の上流側、例えば圧力制御室のような吸
入通路部分における圧力が大きく低下して負圧になって
も、その負圧を所定のレベルまで回復させれば、次に流
量制御弁を開いたときに低圧でポンプに送り出された流
体の圧力と吸入チェック弁の上流側の圧力との差圧が小
さくなり、流体が流入してくる吸入チェック弁の上流側
に急激な圧力変動が生じず、高圧ポンプに衝撃が生じた
りポンプ室に流入する流入量に変動を生じることがな
い。また、吸入チェック弁の上流側が負圧にならなけれ
ば、流路内にキャビテーションが生じにくくなり、ポン
プの耐久性が損なわれることもない。
【0022】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、プラ
ンジャの下降時に負圧となってその負圧状態が維持され
ている吸入チェック弁の上流側の吸入通路部分に、流量
制御弁の開弁時に流体が流入することに起因して、吸入
チェック弁の上流側やポンプ室内において急激な圧力変
化を繰り返す現象の発生を防止して、高圧ポンプの耐久
性を向上すると共に、吸入チェック弁の動作を安定させ
て吐出流量の制御性の悪化を防止し、更に、吸入チェッ
ク弁の上流側が負圧になることに起因して生じていた流
路内におけるキャビテーションの発生を防止して、高圧
ポンプの耐久性の低下を防止することを可能にする吸入
量制御方式の高圧ポンプを提供することである。
【0023】この発明は、吸入通路を通じて流体を吸入
すると共に加圧された流体を吐出通路を通じて吐出する
ポンプ室、前記ポンプ室への流体の吸入量を制御するた
め前記吸入通路に配設された流量制御弁、及び前記流量
制御弁の下流の前記吸入通路に配設され前記ポンプ室へ
の流体の流入を許容するが前記ポンプ室からの流体の流
出を規制する吸入チェック弁を具備し、前記吸入通路に
は前記流量制御弁を迂回するバイパス通路が設けられ、
前記バイパス通路には、前記流量制御弁の閉弁に起因し
て低下した前記吸入チェック弁の上流側圧力を回復させ
るため、前記吸入チェック弁の上流側に流体を供給する
流れ規制手段が設けられていることから成る吸入量制御
式高圧ポンプに関する。
【0024】この発明による吸入量制御式高圧ポンプに
よれば、吸入行程時にポンプ室が負圧になり、吸入チェ
ック弁の上流側と下流側との圧力差が大きくなる。この
圧力差が所定の値以上になると、吸入チェック弁が開弁
し、流体が吸入通路を通じてポンプ室内に流入する。こ
のとき、流量制御弁の開弁を制御することにより、ポン
プ室内へ流入する流体の流量が制御される。吸入チェッ
ク弁の上流側の流体圧力が負圧になるような大きな減圧
が生じ、且つその後に吸入チェック弁が閉じることによ
りその負圧又は減圧が維持されると、バイパス通路に設
けられている流れ規制手段により、流体がバイパス通路
から吸入通路を通じて吸入チェック弁の上流側に供給さ
れ、吸入チェック弁の上流側の負圧を解消する。このと
き吸入チェック弁は閉じているので、ポンプ室への吸入
量が変わることはない。次に流量制御弁が開弁されたと
き、吸入チェック弁の上流側の流体圧力とフィードポン
プ等からの低圧流体の圧力との差圧が殆どなくなり、流
体が吸入チェック弁の上流側に流れ込む際に急激且つ大
きな圧力変動が生じない。
【0025】この吸入量制御式高圧ポンプにおいて、前
記流れ規制手段は、前記吸入チェック弁へ向かう流体の
流れを許容するがその逆方向の流れを阻止するバイパス
チェック弁であり、前記バイパスチェック弁の開弁差圧
は前記吸入チェック弁の開弁差圧より小さく設定されて
いる。吸入チェック弁の前後の差圧が吸入チェック弁の
開弁差圧より小さく、そのために吸入チェック弁が閉じ
ているときでも、バイパスチェック弁の前後の差圧がバ
イパスチェック弁の開弁差圧よりも大きければ、バイパ
スチェック弁は開弁して吸入チェック弁の上流側の負圧
を解消する。また、前記流れ規制手段は、オリフィスと
することもできる。この場合、僅かの流量がオリフィス
を通過することになるけれども、流量を大幅に変えない
範囲で吸入チェック弁の上流側の負圧が解消される。更
に、前記バイパスチェック弁と前記オリフィスとを直列
に配設して構成することもできる。バイパスチェック弁
が開弁するまでオリフィスを通じる流れは遮断され、バ
イパスチェック弁が開弁した後はオリフィスによって通
過する流量が制限され、吸入チェック弁の上流側の圧力
制御室の流体圧力は回復しても、流量制御弁が制御しよ
うとする流量に影響を与えることがない。
【0026】前記流量制御弁は、弁本体内に形成され且
つ低圧流体が供給される中空部内をアクチュエータによ
って往復駆動される弁ステム、前記弁ステムの先端に設
けられ且つ前記弁本体に形成されている弁シートから離
間又は着座する弁フェースを備えた弁ヘッド、及び前記
弁ステムを閉弁方向に付勢する戻しばねを備えると共
に、前記弁ヘッドが前記中空部から突出したポペット弁
であり、前記流れ規制手段の前記バイパスチェック弁
は、前記弁ヘッドの駆動方向延長上に配置され且つ前記
バイパス通路に形成されている前記オリフィスを通じて
低圧流体が供給される圧力室、及び前記弁ヘッドに対向
して配置され前記圧力室内に配設された引張りばねのば
ね力を受けて前記圧力室の開口を閉鎖することにより前
記バイパス通路と前記吸入通路との連通を遮断可能なス
ペーサを備えており、前記戻しばねは前記弁ヘッドと前
記スペーサとの間に配置された圧縮ばねであり、前記バ
イパスチェック弁は、前記吸入チェック弁の上流側が負
圧になることに応答して、前記スペーサが前記圧力室内
の流体圧力に基づくリフト力でリフトすることにより開
弁すると共に、前記戻しばねを介して前記弁ステムをリ
フトさせて前記流量制御弁を閉じる構成とすることがで
きる。前記バイパス通路を通じて供給される低圧流体に
よって前記吸入チェック弁の上流側の流体圧力が回復さ
れる。弁ステムをアクチュエータで作動させて、弁シー
トから弁フェースを離間させることで、流量制御弁が開
弁される。このとき、中空部内に供給されている低圧流
体は、弁シートと弁フェースとの隙間を通じて吸入チェ
ック弁側に供給される。吸入チェック弁の上流側の圧力
が負圧にまで減圧されると、バイパスチェック弁が圧力
室内の流体圧力に基づいて開弁する。吸入チェック弁の
上流側の圧力が回復すると、バイパスチェック弁が閉じ
る。
【0027】吸入量制御式高圧ポンプは、また、エンジ
ンの各気筒の燃焼室に応じて設けられ前記燃焼室に燃料
を噴射するインジェクタ、前記各インジェクタに共通し
て設けられて且つ燃料を前記各インジェクタに供給する
コモンレール、前記コモンレールに高圧燃料を供給する
高圧燃料サプライポンプ、及び前記高圧燃料サプライポ
ンプに低圧燃料を供給するフィードポンプを備えたコモ
ンレール式燃料噴射装置の前記高圧燃料サプライポンプ
に適用することができる。
【0028】コモンレール式燃料噴射装置において、高
圧燃料サプライポンプとしてこの発明による吸入量制御
式高圧ポンプが用いられており、プランジャのポンプ作
用によって吸入チェック弁の上流側の燃料圧力が負圧に
なるような大きな減圧が生じると、流れ規制手段により
規制された流量の燃料がバイパス通路を通じて吸入チェ
ック弁の上流側に供給され負圧を解消する。したがっ
て、フィードポンプからの低圧燃料が吸入チェック弁の
上流側に流入するときに、騒音や振動が発生せず、吸入
チェック弁が不安定な作動をすることがなく、更に、ポ
ンプ室内に吸入される吸入燃料量がバラツクこともない
ので、高圧ポンプの吐出燃料量の制御性が良好となり、
噴射圧力としてのコモンレール圧力の制御性も良好にな
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
による吸入量制御式高圧ポンプの実施例を説明する。図
1はこの発明による吸入量制御式高圧ポンプを燃料サプ
ライポンプとして具体化した一実施例を示す図であり、
図2は図1に示す吸入量制御式高圧ポンプの流体回路図
である。図1に示す吸入量制御式高圧ポンプは、本発明
の特徴である吸入通路に流量制御弁を迂回するバイパス
通路を配設し、且つバイパス通路に流れ規制手段を設け
たこと以外の構造については、図7に示す従来の吸入量
制御式高圧ポンプと比較して同じ構造を有しているの
で、同等の機能を奏する構成要素及び部位には同じ符号
を用いて重複する説明を省略する。この吸入量制御式高
圧ポンプをコモンレール式燃料付勢システムにおける燃
料サプライポンプとして用いる場合、コモンレール式燃
料噴射システムそれ自体は、図6に示すシステムを採用
することができる。したがって、本発明による吸入量制
御式高圧ポンプが適用されるコモンレール式燃料噴射シ
ステムについても、バイパス通路と流れ規制手段とを設
けたことに関する以外、上記の再度の説明を省略する。
【0030】図1及び図2に示す吸入量制御式高圧ポン
プ(以下、単に「高圧ポンプ」と略す)50において
は、吸入通路13に流量制御弁15を迂回するバイパス
通路80を配設し、且つそのバイパス通路80には、バ
イパスチェック弁81とフィード側に形成されている流
路を絞ったオリフィス82とを備えた流れ規制手段が設
けられている。バイパスチェック弁81は、吸入チェッ
ク弁69の上流側、即ち、圧力制御室68の燃料圧力P
1 が低下するとフィード圧力P0 との大きな圧力差で開
弁して圧力制御室68に流体である燃料を供給するが、
吸入チェック弁69側から吸入通路13に戻る流れを阻
止する逆止弁である。バイパスチェック弁81の一例
が、模式図として図3に示されている。バイパスチェッ
ク弁81は、オリフィス82の吸入チェック弁69側の
開口83を閉鎖可能なボール84と、ボール84を閉じ
る方向に向かって付勢するばね85とから成る。
【0031】ポンプ室内の圧力をP2 とし、バイパスチ
ェック弁81のばね85のばね設定力をFとし、バイパ
スチェック弁81のシート径をdとすると、バイパスチ
ェック弁81の開弁するときの差圧PA は4F/(πd
2 )であり、P0 −P1 >P A のときにバイパスチェッ
ク弁81が開弁する。また、吸入チェック弁69の開弁
差圧をPB とすると、P1 −P2 >PB のときに吸入チ
ェック弁69は開弁する。バイパスチェック弁81のば
ね設定力F及びシート径dとしては、PB >P A となる
ように設計される。即ち、圧力制御室68の圧力が回復
して吸入チェック弁69の前後の差圧が開弁差圧PB
下に低下することにより、吸入チェック弁69が閉弁し
ても、或いは更にその後、プランジャ11が圧送行程に
移行しても(このとき、ポンプ室12内の高い圧力によ
り、吸入チェック弁69は閉弁している)、バイパスチ
ェック弁81の前後の差圧が開弁差圧PA より大きけれ
ば、バイパスチェック弁81は開弁した状態となる。
【0032】プランジャ11が下降する吸入行程では、
吸入チェック弁69の上流側の流体圧力が負圧になるよ
うな大きな減圧が生じ、流量制御弁15が開弁している
ときには、ポンプ室12内に燃料が吸入される。このと
き、バイパスチェック弁81が開弁することがあったと
しても、オリフィス82は、バイパスチェック弁81を
通じてポンプ室12への燃料流量を制限しているので、
流量制御弁15の流量制御作用に大きな影響を与えるこ
とがない。その後、流量制御弁15が閉弁されると吸入
チェック弁69の上流側とポンプ室12内の燃料圧力が
同じになり、ばね75の作用によって吸入チェック弁6
9が閉じ、その負圧又は減圧が維持される。吸入チェッ
ク弁69の上流側の燃料圧力がポンプ室12内と同程度
の低い圧力であるので、バイパス通路80に設けられて
いるバイパスチェック弁81が開き、燃料が流れ規制手
段及びバイパス通路80を通じて吸入チェック弁69の
上流側に供給され、プランジャ11が吐出行程に移行し
てもバイパスチェック弁81は開弁した状態を維持し、
吸入チェック弁69の上流側の負圧は解消される。この
とき吸入チェック弁69は閉じているので、ポンプ室1
2への吸入量が変わることはない。
【0033】バイパスチェック弁81によって吸入チェ
ック弁69の上流側の負圧が解消されるので、流量制御
弁15が開弁して、フィード圧力P0 の燃料が吸入チェ
ック弁69の上流側の圧力制御室68内に流入しようと
しても、回復された圧力制御室68内の燃料圧力との圧
力差が小さいために、燃料は圧力制御室68内に急激に
流入しない。そのため、圧力制御室68内及びポンプ室
12内の圧力変動は抑制され、高圧ポンプ50の振動や
騒音を防止することができる。ポンプ室12内への燃料
の流入にもバラツキがなくなり、高圧ポンプ50の吐出
流量を目標吐出流量に合わせるという流量制御性が向上
する。また、吸入チェック弁69の上流側の負圧が解消
されるので、流体供給路におけるキャビテーションの発
生も防止することができ、高圧ポンプ50の耐久性が確
保される。
【0034】高圧ポンプ50によれば、図5に示すグラ
フにおいて、最下欄の圧力制御室68内の流体圧力Pc
に示すように、流量制御弁15が閉じられて後、その次
に開弁する前において、プランジャ11が圧送行程中で
あってもバイパスチェック弁81が開弁してフィード圧
力P0 の燃料が圧力制御室68に補給され、圧力制御室
68内の圧力は実質的にフィード圧力P0 まで回復する
(図5中、Dで示す圧力回復を参照)。したがって、流
量制御弁15が次に開弁したときに、従来、フィード圧
力P0 の燃料が圧力制御室68に急激に勢い良く流れ込
むことによって圧力制御室68内の圧力に鋭いピークを
伴って生じていた圧力変動(図5中、Bで示す)が発生
することがなく、高圧ポンプ50の作動時の振動と騒音
を抑制することができる。また、流量制御弁15の開弁
時に吸入チェック弁69の変位Lvに生じていた不安定
且つ急激なピーク(図5中、Cで示す)も生じることが
なく、ポンプ室12への吸入量が安定し、その結果、ポ
ンプ吐出量も安定する。
【0035】バイパスチェック弁を流量制御弁と組み合
わせた別の例が図4に示されている。図4に示す流量制
御弁90は、電磁ソレノイド(図示せず)を励磁したと
きに押し下げられるプッシュロッドに連係された弁ステ
ム91と、弁ステム91の下側先端部92に設けられ且
つテーパ状の弁フェース94を有する弁ヘッド93を有
している。弁ヘッド93は中空部96から突出したポペ
ット弁の弁傘である。弁ステム91は、弁本体95内に
形成され且つポート98を通じて低圧流体が供給される
中空部96内をアクチュエータによって往復駆動され
る。弁ヘッド93の端面に形成されているばね収納穴9
9aには、弁ステム91を閉弁方向に付勢する圧縮ばね
として作用する戻しばね99が収容されている。電磁ソ
レノイドを励磁したときに、弁ヘッド93の弁フェース
94は戻しばね99のばね力に抗して弁本体95側に形
成されている弁シート97から離間し、吸入通路13の
ポート98からフィード圧力P0 で加圧された燃料が弁
ステム91の周囲に形成されている通路、弁フェース9
4と弁シート97との隙間、及び吸入路66を通じて吸
入チェック弁69の上流側に供給される。電磁ソレノイ
ドの励磁程度によって、弁フェース94と弁シート97
との隙間が調整され、流量制御弁90を流れる流量が制
御される。電磁ソレノイドを消磁したときに、弁ヘッド
93の弁フェース94が弁シート97に着座することに
よって流量制御弁90が閉じる。
【0036】バイパスチェック弁100は、弁ヘッド9
3の駆動方向延長上に配置され且つバイパス通路80
(図2,図3参照)に形成されているオリフィス82
(図3参照)を通じて低圧流体が供給される圧力室10
2、及び弁ヘッド93に対向して配置され圧力室102
内に配設された引張りばね103のばね力を受けて圧力
室102の開口を閉鎖することによりバイパス通路80
と吸入路66との連通を遮断可能なスペーサ101を備
えている。スペーサ101の弁フェースとしてのテーパ
フェース104が弁本体95に形成されている弁シート
としてのテーパシート105に着座可能である。圧力室
102には、フィード圧力P0 が作用しており且つオリ
フィス106を備えているバイパス通路80が、ポート
107で開口している。スペーサ101は、弁ヘッド9
3の下端面との隙間(プッシュロッドが電磁力で押され
る強制変位に相当)L内で作動可能である。戻しばね9
9は、弁ヘッド93とスペーサ101との間に圧縮ばね
として配置されている。引張りばね103のばね荷重F
1 は、スペーサ101を押し上げる力、即ち、フィード
圧力P0 ×圧力室102の面積Sから戻しばね99の設
定荷重F2 を差し引いた値より大きく設定されている
(F1 >P0 ×S−F2 )。
【0037】プランジャ11が下降行程にあるとき、弁
ステム91をアクチュエータで作動させて、弁シート9
7から弁フェース94を離間させることで、流量制御弁
90が開弁される。このとき、中空部96内に供給され
ている低圧燃料は、流量制御弁90が閉弁されるまで、
離間した弁シート97と弁フェース94との隙間を通じ
て吸入チェック弁69側に供給され、ポンプ室12内に
流入する。吸入チェック弁69の上流側の圧力制御室6
8内の圧力が負圧になると、プランジャ11がリフトす
る圧送行程に移行しても、スペーサ101は、その受圧
面積が大きいために、圧力制御室68に繋がる吸入路6
6内の負圧と圧力室102内の流体圧力との差圧に基づ
くリフト力で、引張りばね103のばね荷重F1 と圧縮
ばね99のばね荷重F2 とに抗してリフトすることによ
り、バイパスチェック弁100が開弁する。従って、バ
イパス通路80を通じて供給される低圧流体によって吸
入チェック弁69の上流側の圧力制御室68内の燃料圧
力が回復される。吸入チェック弁69の上流側の圧力が
回復すると、バイパスチェック弁100は閉じる。その
他の作用については、バイパスチェック弁81の作用と
同様であるので、再度の説明を省略する。
【0038】上記の各実施例では、流れ規制手段をバイ
パスチェック弁81,100と共に、オリフィス82,
106を備えたものとして説明したが、バイパスチェッ
ク弁81,100のみ、あるいは、オリフィス82,1
06のみから流れ規制手段を構成してもよい。吸入量制
御式のポンプとして、プランジャ11を備えた往復作動
式の容積型ポンプを示したが、回転作動型の容積型ポン
プであってもよい。この発明による吸入量制御式高圧ポ
ンプで圧送する流体を燃料としたが、これに限ることは
なく、燃料以外の液体、気体等の流体の圧送に用いるこ
とができる。
【0039】
【発明の効果】この発明による吸入量制御式高圧ポンプ
によれば、流れ規制手段の作用によって吸入チェック弁
の上流側の流体圧力を流量制御弁の開弁時までに所定の
圧力まで回復させるので、ポンプの吸入側の流体圧力が
負圧になりフィード圧力との差圧が拡大することに起因
して流量制御弁の次の開弁時に吸入チェック弁の上流側
に流体が急激に送り込まれる現象が生じず、吸入チェッ
ク弁の上流側での流体の急激な圧力変動が発生すること
を防止して、吸入量制御式高圧ポンプの振動や騒音の発
生を抑制し、耐久性を向上することができる。また、吸
入チェック弁の上流側での圧力変動によって吸入チェッ
ク弁に不安定な作動が生じることもなくなるので、吸入
チェック弁を通じてポンプ室へ吸入される流体吸入量も
安定し、ポンプからの流体吐出量の制御性が良好とな
る。更に、吸入チェック弁の上流側が負圧にならなけれ
ば、流体流路内にキャビテーションも生じることがな
く、高圧ポンプの耐久性も損なわれない。また、耐久性
が良く、且つ吐出量の制御性の良い高圧ポンプを低コス
トで提供することができる。
【0040】この発明による吸入量制御式高圧ポンプを
コモンレール式燃料噴射システムの燃料サプライポンプ
に適用すると、燃料サプライポンプの騒音や振動を軽減
することができると共に、燃料サプライポンプから目標
燃料吐出量の燃料をコモンレールに吐出することがで
き、燃料が供給されるコモンレールの圧力の変動は少な
く、コモンレール圧力の制御性が向上する。コモンレー
ル圧力が目標の圧力に制御されることによって、コモン
レールから燃料の供給を受けて各インジェクタから噴射
される燃料噴射量のバラツキがなくなり、エンジンの運
転状態に基づいて決定される所定の目標燃料噴射量が確
保される。その結果、各燃焼室での燃料状態のバラツキ
が発生してエンジンの不快な振動や騒音が生じず、燃焼
バラツキによるエンジンの不快な振動や騒音の発生を防
止し排気ガス量を軽減することもできる。特に、アイド
リング等のエンジンが低回転する運転状態において気筒
毎の燃料バラツキを無くし、不快な振動や騒音の発生を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による吸入量制御式高圧ポンプの一実
施例を示す断面図である。
【図2】図1に示す吸入量制御式高圧ポンプの流体回路
図である。
【図3】図1に示す吸入量制御式高圧ポンプに用いられ
る流れ規制手段の一例を概略で示す断面図である。
【図4】この発明による吸入量制御式高圧ポンプに用い
られる流れ規制手段の別の例を示す断面図である。
【図5】この発明による吸入量制御式高圧ポンプの流量
制御弁への制御信号、吸入チェック弁の変位、及び吸入
チェック弁の上流側の圧力の、時間経過に伴う変化を示
すグラフである。
【図6】従来のコモンレール式燃料噴射システムを説明
する概要図である。
【図7】図6に示されるコモンレール式燃料噴射システ
ムに用いられる燃料サプライポンプの一例を説明する断
面図である。
【符号の説明】
1 燃料サプライポンプ 2 コモンレール 3 インジェクタ 8 コントローラ 9 センサ 10 ポンプ駆動カム 11 プランジャ 12 ポンプ室 13 吸入通路 14 吐出通路 15,90 流量制御弁 22 圧力センサ 50 吸入量制御式高圧ポンプ 52 ハウジング 60 シリンダ 65,66,66a,67 吸入路 68 圧力制御室 69 吸入チェック弁 80 バイパス通路 81,100 バイパスチェック弁 82,106 オリフィス 91 弁ステム 92 下端先端部 93 弁ヘッド 94 弁フェース 95 弁本体 96 中空部 97 弁シート 99 戻しばね 101 スペーサ 102 圧力室 103 引張りばね E エンジン PA バイパスチェック弁81の開弁差圧 PB 吸入チェック弁69の開弁差圧
フロントページの続き Fターム(参考) 3G066 AA07 AB02 AC09 AD12 BA12 BA21 BA22 BA38 BA46 BA61 CA01S CA03 CA04T CA04U CA08 CA09 CC05T CC08T CC14 CC26 CC64T CC66 CC67 CC68U CC70 CD26 CE02 CE13 CE22 CE34 DA01 DC04 DC09 DC18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸入通路を通じて流体を吸入すると共に
    加圧された流体を吐出通路を通じて吐出するポンプ室、
    前記ポンプ室への流体の吸入量を制御するため前記吸入
    通路に配設された流量制御弁、及び前記流量制御弁の下
    流の前記吸入通路に配設され前記ポンプ室への流体の流
    入を許容するが前記ポンプ室からの流体の流出を規制す
    る吸入チェック弁を具備し、前記吸入通路には前記流量
    制御弁を迂回するバイパス通路が設けられ、前記バイパ
    ス通路には、前記流量制御弁の閉弁に起因して低下した
    前記吸入チェック弁の上流側圧力を回復させるため、前
    記吸入チェック弁の上流側に流体を供給する流れ規制手
    段が設けられていることから成る吸入量制御式高圧ポン
    プ。
  2. 【請求項2】 前記流れ規制手段は、前記吸入チェック
    弁へ向かう流体の流れを許容するがその逆方向の流れを
    阻止するバイパスチェック弁であり、前記バイパスチェ
    ック弁の開弁差圧は前記吸入チェック弁の開弁差圧より
    小さく設定されていることから成る請求項1に記載の吸
    入量制御式高圧ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記流れ規制手段は、オリフィスである
    ことから成る請求項1に記載の吸入量制御式高圧ポン
    プ。
  4. 【請求項4】 前記流れ規制手段は、請求項2に記載の
    前記バイパスチェック弁と請求項3に記載の前記オリフ
    ィスとを直列に配設して構成されていることから成る吸
    入量制御式高圧ポンプ。
  5. 【請求項5】 前記流量制御弁は、弁本体内に形成され
    且つ低圧流体が供給される中空部内をアクチュエータに
    よって往復駆動される弁ステム、前記弁ステムの先端に
    設けられ且つ前記弁本体に形成されている弁シートから
    離間又は着座する弁フェースを備えた弁ヘッド、及び前
    記弁ステムを閉弁方向に付勢する戻しばねを備えると共
    に、前記弁ヘッドが前記中空部から突出したポペット弁
    であり、前記流れ規制手段の前記バイパスチェック弁
    は、前記弁ヘッドの駆動方向延長上に配置され且つ前記
    バイパス通路に形成されている前記オリフィスを通じて
    低圧流体が供給される圧力室、及び前記弁ヘッドに対向
    して配置され前記圧力室内に配設された引張りばねのば
    ね力を受けて前記圧力室の開口を閉鎖することにより前
    記バイパス通路と前記吸入通路との連通を遮断可能なス
    ペーサを備えており、前記戻しばねは前記弁ヘッドと前
    記スペーサとの間に配置された圧縮ばねであり、前記バ
    イパスチェック弁は、前記吸入チェック弁の上流側が負
    圧になることに応答して、前記スペーサが前記圧力室内
    の流体圧力に基づくリフト力でリフトすることにより開
    弁すると共に、前記戻しばねを介して前記弁ステムをリ
    フトさせて前記流量制御弁を閉じることから成る請求項
    4に記載の吸入量制御式高圧ポンプ。
  6. 【請求項6】 エンジンの各気筒の燃焼室に応じて設け
    られ前記燃焼室に燃料を噴射するインジェクタ、前記各
    インジェクタに共通して設けられて且つ燃料を前記各イ
    ンジェクタに供給するコモンレール、前記コモンレール
    に高圧燃料を供給する高圧燃料サプライポンプ、及び前
    記高圧燃料サプライポンプに低圧燃料を供給するフィー
    ドポンプを備えたコモンレール式燃料噴射装置の前記高
    圧燃料サプライポンプに適用されていることから成る請
    求項1〜5のいずれか1項に記載の吸入量制御式高圧ポ
    ンプ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014167272A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Mazda Motor Corp 燃料ポンプ
JP2016113897A (ja) * 2014-12-11 2016-06-23 株式会社小金井精機製作所 ディーゼルポンプ
JP2020118093A (ja) * 2019-01-24 2020-08-06 株式会社デンソー 燃料噴射ポンプ

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