JP3695225B2 - コモンレール式燃料噴射装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料サプライポンプから圧送される燃料をコモンレールに蓄圧状態に貯留し、コモンレールから供給される燃料をインジェクタから燃焼室に噴射するコモンレール式燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、エンジンの燃料噴射制御に関して、噴射圧力の高圧化を図り、且つ燃料の噴射タイミング及び噴射量等の噴射条件をエンジンの運転状態に応じて最適に制御する方法として、コモンレール式燃料噴射システムが知られている。コモンレール式燃料噴射システムは、ポンプによって所定圧力に加圧された燃料噴射制御用の作動流体をコモンレール内に蓄圧状態に貯留し、作動流体圧力を利用して各気筒にそれぞれ配置されたインジェクタを作動させて、インジェクタから対応する燃焼室内に燃料を噴射するシステムである。燃料が各インジェクタからエンジンの運転状態に対して最適な噴射条件で噴射されるように、コントローラが各インジェクタに設けられた制御弁としての開閉弁を制御している。
【0003】
作動流体を燃料とする燃料圧力作動型のコモンレール式燃料噴射システムの場合、コモンレールから燃料供給管を通じて各インジェクタの先端に形成された噴孔に至る燃料流路内には、常時、噴射圧力相当の燃料圧力が作用しており、各インジェクタは、燃料供給管を通じて供給される燃料を通過又は遮断する制御を行うための開閉弁と当該開閉弁を開閉駆動するための電磁アクチュエータとを備えている。コントローラは、加圧燃料が各インジェクタにおいてエンジンの運転状態に対して最適な噴射条件で噴射されるように、コモンレールの圧力と各インジェクタの電磁アクチュエータの作動とを制御している。また、作動流体としてエンジンオイルをコモンレールに貯留し、コモンレールからインジェクタの圧力室に供給したオイル圧力でインジェクタ内の増圧室内に供給されている燃料を所定の圧力まで増圧する型式のコモンレール式燃料噴射システムも提案されている。
【0004】
従来の燃料圧力作動型のコモンレール燃料噴射システムを図6に基づいて説明する。燃料タンク7からフィードポンプ6によって吸い上げられた燃料は、燃料サプライポンプ1に送られる。燃料サプライポンプ1は、エンジンによって駆動されるプランジャ式の可変容量式高圧ポンプであり、燃料をコモンレール2に圧送する。コモンレール2に蓄圧状態に貯留された燃料は、燃料流路の一部を構成する燃料供給管23を通じて、エンジンの型式に応じて気筒毎に設けられたインジェクタ3に供給され、各インジェクタ3からそれぞれ対応した燃焼室内に噴射される。燃料サプライポンプ1は、図示以外にも、エンジンの型式に応じて複数のプランジャを有するロータリ型又は列型のポンプとすることができる。
【0005】
燃料サプライポンプ1は、エンジンの出力によって駆動されるポンプ駆動カム10と、ポンプ駆動カム10に当接して往復動をするプランジャ11とを備えており、プランジャ11の頂面がポンプ室12の壁面の一部を形成している。ポンプ室12と燃料吸入通路13との間に配設されているインレットバルブ15が、フィードポンプ6から燃料吸入通路13を通じてポンプ室12に流入する燃料量を制御する。ポンプ室12とコモンレール2との間を繋ぐ燃料吐出路14には、燃料サプライポンプ1の所定の吐出圧で開弁する逆止弁17が設けられている。
【0006】
コモンレール2には、コモンレール圧力がシステム異常等に起因して異常上昇するのを防ぐため、所定の設定圧力よりも高くなると開弁してコモンレール2内の燃料を排出路21を通じて燃料タンク7へ放出してコモンレール圧力を低下させる常閉型のリリーフ弁20が備えられている。また、コモンレール2に設けられた圧力センサ22が検出したコモンレール圧力Prは、エンジンの電子制御モジュール(ECM)であるコントローラ8に入力される。
【0007】
インジェクタ3は、図示が省略されたシリンダヘッド等のベースに設けられた穴部にシール部材によって密封状態に取付けられる。インジェクタ3はインジェクタ本体内を往復動可能な針弁31と、ノズルの先端に形成され且つ針弁31がリフトしたときに開口して燃料を燃焼室(図示せず)に噴射する噴孔32を備えている。針弁31の頂面33は、燃料供給管23からの高圧燃料が供給されるバランスチャンバ30の壁面の一部を形成している。燃料供給管23に接続する燃料通路34は、針弁31の周囲に形成された燃料溜まり35に連通している。燃料溜まり35に臨む針弁31の第1テーパ面36には燃料圧力が作用して、針弁31にリフト力を与える。一方、針弁31には、バランスチャンバ30内の燃料圧力に基づく押し下げ力と、リターンスプリング47の戻し力とが作用する。リフト力、押し下げ力及び戻し力のバランスによって、針弁31のリフトが制御される。針弁31の開弁時には、針弁31の先端に形成された第2テーパ面37がインジェクタ本体のテーパ状弁シートに着座して、燃料溜まり35から針弁31の周囲に形成される通路と噴孔32との連通を閉じる。
【0008】
コモンレール2内の高圧燃料は燃料供給管23から分岐した供給路38を通じてバランスチャンバ30に供給され、バランスチャンバ30内の燃料は排出路40を通じて排出される。供給路38及び排出路40には、それぞれオリフィス39,41が設けられており、オリフィス41の有効通路断面積はオリフィス39の有効通路断面積よりも大となるように設定されている。また、排出路40には、排出路40を燃料戻し管46に開放するための開閉弁44が設けられている。
【0009】
コントローラ8からの制御電流によって電磁ソレノイド45を作動させて、排出路40に設けられている開閉弁44を開弁させると、オリフィス39はオリフィス41よりも燃料の流れをより強く制限するので、バランスチャンバ30内の燃料圧力が低下する。針弁31を持ち上げるリフト力が、バランスチャンバ30内の燃料圧力に基づく押下げ力及びリターンスプリング47のばね力との合力を上回り、針弁31がリフトし、燃料は開口した噴孔32から燃焼室(図示せず)内へと噴射される。噴射に費やされずバランスチャンバ30から排出路40を通じて流出た燃料は、燃料戻し管46を経て燃料タンク7に回収される。
【0010】
コントローラ8には、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ、アクセルペダルの踏込み量Acを検出するためのアクセル踏込み量センサ等の検出手段としての各種センサ9からの検出信号が入力される。その他、冷却水温センサ、エンジン気筒判別センサ、上死点検出センサ、大気温度センサ、大気圧センサ、吸気管内圧力センサ等のエンジンの運転状態を検出するための各種センサからの信号がコントローラ8へ入力される。
【0011】
コントローラ8は、上記各センサ9からの検出信号と予め求められている噴射特性マップとに基づいて設定された目標噴射特性に従って、開閉弁44を開閉して針弁31をリフトを制御する。目標噴射特性は、エンジン出力がエンジンの運転状態に即した最適出力になるように、インジェクタ3からの燃料噴射のタイミングと噴射量とを定めるものである。燃料噴射の時期及び量は、噴射圧力と針弁31のリフト(リフト量、リフト期間)とによって定められる。コントローラ8が出力したコマンドパルスに基づいて決定された駆動電流が電磁ソレノイド45に送られ、開閉弁44が開閉制御されて、針弁31のリフトが制御される。
【0012】
具体的には、インジェクタ3の燃料噴射量とコントローラ8が出力するコマンドパルスのパルス幅との関係が、コモンレール圧力Pr(コモンレール2内の燃料圧力)をパラメータとしたマップによって定められている。燃料噴射は、コマンドパルスがオン又はオフとなる時期に対して一定時間遅れて開始又は停止されるので、コマンドパルスがオン又はオフとなる時期を制御することによって、噴射タイミングを制御することが可能である。基本噴射量とエンジン回転数Neとの間には、アクセルペダル踏込み量Acをパラメータとして一定の関係が基本噴射量特性マップとして予め与えられており、燃料噴射量は、エンジンの運転状態に応じて基本噴射量特性マップから計算によって求められる。図示の例では、インジェクタ3は1つのみ示されているが、エンジンは4気筒、6気筒のように多気筒エンジンであり、コントローラ8は各気筒に対応して配置されているインジェクタ3毎に燃料噴射制御を行う。
【0013】
インジェクタ3から噴射される燃料の噴射圧力はコモンレール2に貯留されている燃料の圧力に略等しいので、コモンレール圧力Prを制御することによって噴射圧力が制御される。エンジンの運転状態が一定であってもインジェクタ3による燃料噴射毎にコモンレール2内の燃料が消費されることによりコモンレール圧力Prは低下しようとし、また、エンジンの運転状態が変わればエンジンの運転状態に最適となるのに必要なコモンレール圧力Prも変更される。コントローラ8は、燃料サプライポンプ1の圧送量を制御することにより、コモンレール2の圧力をエンジンの運転状態に応じて一定圧力又は必要な圧力に制御する。
【0014】
コモンレール圧力Prの制御は、エンジンの運転状態に応じて決定された目標燃料噴射量とエンジン回転数Neとに応じて目標コモンレール圧力を決定し、この目標コモンレール圧力と圧力センサ22によって検出された実際のコモンレール圧力との偏差をなくすように、燃料サプライポンプ1の圧送量(プランジャのリフトに伴う圧送量)をフィードバック制御することによって行われる。
【0015】
図6に示すコモンレール式燃料噴射システムでは、燃料サプライポンプ1の圧送量を制御する方法の一つとして、プリストローク制御が知られている。プリストローク制御は、プランジャ11がリフト中にあるときでも、燃料吸入通路13に配設されているインレットバルブ15を開弁させている期間には、ポンプ室12内に吸入されていた燃料が燃料吸入通路13を通じて戻り、インレットバルブ15の閉弁後に吐出側に圧送されることを利用し、燃料圧送量を制御する方式である。コントローラ8が電磁ソレノイド16の励磁時期を制御してインレットバルブ15の閉弁時期からの燃料圧送期間を制御することで、燃料サプライポンプ1の圧送量が制御され、その結果、コモンレール圧力Prが制御される。燃料吸入通路13での燃料圧(フィード圧)は、リリーフ弁18により上限が制限されているので、フィードポンプ6が送る余剰の燃料はリリーフ弁18及び戻し管19を通じて燃料タンク7に戻される。
【0016】
ところで、インジェクタから噴射すべき目標燃料噴射量は、噴射条件としてのコモンレール圧力とインジェクタに備わる開閉弁の開弁期間とによって決定されるが、噴射条件がまったく同じであっても、各インジェクタについて噴孔径が異なる等の機械的な個体バラツキや径年変化によるバラツキによって、実際の燃料噴射量はインジェクタによってバラツキを生じる。この場合、インジェクタの開閉弁の電磁アクチュエータの作動期間、即ち、開閉弁の開弁時間に対応したコマンドパルスのパルス幅を調整することによって、各インジェクタからの噴射毎の燃料噴射量を目標燃料噴射量に一致させる補正制御が可能である。しかしながら、インジェクタ毎に燃料噴射期間、即ち、燃料噴射率が異なることになるので、各気筒毎に燃焼バラツキを生じる。コモンレール式燃料噴射システムの場合には、燃料サプライポンプの圧送特性を揃えたとしても、インジェクタにおける噴射特性のバラツキを無くさないと燃料噴射量を揃えることができない。特に、アイドリング等のエンジンが低回転する運転状態においては、気筒毎の噴射バラツキが燃焼バラツキとなって現れ、不快な振動や騒音の原因となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、燃料噴射量は燃料噴射期間のみではなくコモンレール圧力によっても決定されることに着目して、各インジェクタの個体バラツキや経年変化等に起因して各インジェクタから噴射される燃料噴射量にバラツキが存在していても、コモンレール圧力を各気筒毎に制御することにより、各インジェクタからの噴射毎の燃料噴射を、目標燃料噴射期間と目標燃料噴射量とを含む目標燃料噴射条件で行うことを可能にする点で解決すべき課題がある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は、各インジェクタの機械的なバラツキ又は経年変化によって燃料噴射量にバラツキを生じるようなことがあっても、各インジェクタについて、各インジェクタの噴射直前におけるコモンレール圧力を、各インジェクタから噴射される燃料噴射量を目標燃料噴射量とする水準に昇圧して、各インジェクタから噴射される燃料噴射率を均一にして、燃料噴射量のバラツキを無くして気筒毎の燃焼バラツキを回避し、特に、アイドリング等のエンジンが低回転する運転状態においても、不快な振動や騒音の発生を防止することが可能なコモンレール式燃料噴射装置を提供することである。
【0019】
この発明は、エンジンの各気筒に対応して配設され且つ燃料を噴射するインジェクタ、前記各インジェクタに燃料を供給するため燃料を蓄圧状態に貯留するコモンレール、前記コモンレールの圧力を昇圧させた状態で前記各インジェクタからの燃料噴射を行うため前記コモンレールに燃料を順次圧送する燃料サプライポンプ、前記エンジンの運転状態を検出する検出手段、及び前記検出手段からの検出信号に基づいて目標燃料噴射期間と目標燃料噴射量とを含む目標燃料噴射条件と、前記目標燃料噴射条件に応じた目標燃料圧送量を含む目標燃料圧送条件とを求めると共に、前記目標燃料圧送条件と前記目標燃料噴射条件とに従ってそれぞれ前記燃料サプライポンプによる燃料圧送と前記インジェクタからの燃料噴射とを制御するコントローラを具備し、前記コントローラは、前記コモンレールの圧力を前記目標燃料噴射条件で燃料を噴射可能な圧力まで昇圧するため、前記インジェクタからの実燃料噴射量と前記目標燃料噴射量との噴射量偏差に相当する信号に基づいて前記燃料サプライポンプからの前記目標燃料圧送量を補正し、補正された前記目標燃料圧送量で前記燃料サプライポンプによる燃料圧送を実行するフィードバック制御を行うことから成るコモンレール式燃料噴射装置に関する。
【0020】
この発明によるコモンレール式燃料噴射装置によれば、コントローラは、各インジェクタについて、該当するインジェクタからの燃料噴射が行われる直前においてコモンレール圧力を昇圧させるため燃料サプライポンプによって圧送される燃料の圧送量を、実燃料噴射量と目標燃料噴射量との噴射量偏差に相当する信号に基づいて補正し、補正した燃料圧送量で燃料サプライポンプカラノ燃料圧送をフィードバック制御しているので、各インジェクタからの燃料噴射は、目標燃料噴射条件を満たすように実行される。したがって、個々のインジェクタに燃料噴射率等の燃料噴射特性のバラツキが存在していても、燃料噴射は、燃料噴射期間と燃料噴射量とを含む燃料噴射条件が目標燃料噴射条件に一致するように行われ、インジェクタへの噴射指令期間を各インジェクタについて同じ期間に設定していても、各インジェクタからの噴射前においてインジェクタ毎に昇圧されるコモンレール圧力を調節することによって、各気筒における燃料噴射率が均一に制御され、燃料噴射量が目標燃料噴射量に一致するように制御される。
【0021】
前記コントローラは、前記実燃料噴射量が前記目標燃料噴射量を上回る又は下回る前記噴射量偏差に相当する前記信号に対して、それぞれ前記目標燃料圧送量を減少又は増加する補正をする。実燃料噴射量が目標燃料噴射量に比べて少ない場合には、燃料圧送量は増量補正され、当該インジェクタの次回の燃料噴射に際しては、直前のコモンレール圧力は高めに制御され、同じ燃料噴射期間であっても燃料噴射率を高めて、実燃料噴射量は目標燃料噴射量まで増加するようにフィードバック制御される。また、逆に、実燃料噴射量が目標燃料噴射量に比べて多い場合には、燃料圧送量は減量補正され、当該インジェクタの次回の燃料噴射に際しては、直前のコモンレール圧力は低めに制御され、同じ燃料噴射期間であっても燃料噴射率を下げて、実燃料噴射量は目標燃料噴射量まで減少するようにフィードバック制御される。
【0022】
前記コモンレールの圧力を検出する圧力センサを備え、前記コントローラは、前記実燃料噴射量に相当する前記信号として、前記圧力センサからの検出信号に基づいて燃料噴射に伴う前記コモンレールの圧力降下量を算出する。コモンレールの圧力降下量と実燃料噴射量との間の関係は、マップデータとして予め求められており、圧力センサによってコモンレールの圧力降下量を検出することにより、実燃料噴射量が算出される。
【0023】
前記コントローラは、前記検出手段からの検出信号に基づいてコモンレール基本目標圧力を決定し、前記コモンレール基本目標圧力と前記インジェクタからの燃料噴射によって降下した実コモンレール圧力とに基づいて次回の燃料噴射における前記コモンレール圧力を得るための基本ポンプ圧送量を算出し、前記噴射量偏差に相当する前記信号に基づいて前記基本ポンプ圧送量を補正することにより前記燃料圧送量の補正を行う。
【0024】
前記コントローラは、前記基本ポンプ圧送量に前記噴射量偏差に相当する前記信号に基づいて算出した補正係数を乗じることにより、前記基本ポンプ圧送量の補正を行う。例えば、実燃料噴射量に相当する信号としてエンジンの出力軸回転変動量や熱発生量を表す気筒内圧力を利用することができ、噴射量偏差に相当する信号に基づいて算出した補正係数として、実燃料噴射量に相当する信号に対する目標燃料噴射量に相当する信号の比とすることができる。
【0025】
前記コントローラは、前記検出手段からの検出信号に基づいて前記目標燃料噴射条件の一つとして前記コモンレールの最終目標圧力を算出し、前記コモンレールの最終目標圧力と前記燃料サプライポンプからの燃料圧送後で且つ前記インジェクタからの燃料噴射前の前記コモンレールの圧力との圧力偏差を求め、前記噴射量偏差に相当する前記信号に基づいて補正された前記基本ポンプ圧送量を前記圧力偏差に基づいて更に補正する。燃料サプライポンプのプランジャによる燃料圧送がインジェクタ、即ち、気筒毎に対応していることがある。このような場合には、燃料サプライポンプからの燃料圧送後でインジェクタからの燃料噴射前のコモンレール圧力が、燃料サプライポンプ側の原因で目標コモンレール圧力から偏差を生じることがある。気筒別の燃料噴射量偏差に応じて補正された燃料サプライポンプからの燃料圧送量に対して、燃料サプライポンプの燃料圧送に伴うコモンレール圧力の気筒別の圧力偏差に応じて更に補正を施すことで、より精度の高いコモンレール圧力制御を行うことが可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明によるコモンレール式燃料噴射装置の実施例を説明する。図1はこの発明によるコモンレール式燃料噴射装置におけるコモンレール圧力及び燃料圧送量の制御の概要を示すフローチャートであり、図2はこの発明によるコモンレール式燃料噴射装置における同じインジェクタについてのコモンレール圧力の変化の一例を示すグラフである。燃料サプライポンプが用いられるコモンレール式燃料噴射システムそれ自体は、図6に示すシステムを採用することができる。したがって、本発明による燃料サプライポンプが適用されるコモンレール式燃料噴射システムについての再度の説明は省略する。コモンレール式燃料噴射システムに適用されるインジェクタについても同様である。
【0027】
コモンレール式燃料噴射装置におけるコモンレール圧力及び燃料圧送量の制御について、図1に示すフローチャート及び図2に示すコモンレール圧力の変化を示すグラフを参照して説明する。先ず、図1に示すフローチャートの上左欄に示すメインフローを参照すると、エンジン回転速度Neやアクセル踏込み量Acのようなエンジンの運転状態を各種センサからの検出信号を読み込む(ステップ1)。検出したエンジンの運転状態に応じてインジェクタ3から噴射されるべき目標燃料噴射量Qit、燃料噴射時期、及びコモンレール基本目標圧力Prtbが計算されて決定される(ステップ2,3,4)。コモンレール基本目標圧力Prtbについては、ステップ1で決定した目標燃料噴射量Qitとエンジン回転速度Neとに基づいて決定される。目標燃料噴射量を達成するため、エンジンの運転状態から予め用意されているマップデータに基づいて決定される。目標燃料噴射量Qitが多い程、高い基本目標コモンレール圧力Prtbが設定される。メインフローは、エンジンの運転状態が刻々と変化するのに対応するため、上記のステップ1〜4を繰り返して、その時々の噴射条件を更新している。
【0028】
図1に示す制御フローチャートの上右欄に記載されているポンプ制御フローを参照すると、メインフローのステップ4で計算されたコモンレール基本目標圧力Prtb(i)が読み込まれ(ステップ11)、コモンレール2に設けられた圧力センサ22からの逐次検出された検出信号に基づいて、各インジェクタ(i)3についてその直前の燃料噴射で降下した実際のコモンレール2の圧力、即ち、圧送前の実コモンレール圧力Prad(i)が読み込まれる(ステップ12)。ここで、記号(i)は、気筒番号のような気筒毎、従ってインジェクタ毎に異なる値が付与されている。圧送前の実コモンレール圧力Prad(i)とステップ11で読み込まれたコモンレール基本目標圧力Prtb(i)とに基づいて、基本ポンプ圧送量Qptb(i)が計算される(ステップ13)。後述する気筒別噴射量偏差による補正値演算フローで計算され且つ保存された学習値である噴射量フィードバック補正係数KQ(i)と、後述する気筒別レール圧力補正係数演算フローで演算されたポンプ圧送バラツキ補正係数k(i)とが読み込まれる(ステップ14,15)。ステップ13で計算された基本ポンプ圧送量Qptb(i)に、ステップ14,15でそれぞれ読み込まれた噴射量フィードバック補正係数KQ(i)とポンプ圧送バラツキ補正係数k(i)とを乗じることで基本ポンプ圧送量Qptb(i)を補正することにより、最終目標ポンプ圧送量Qptf(i)が計算される(ステップ16)。ステップ16で求めた最終目標ポンプ圧送量Qptf(i)から、燃料サプライポンプに配置されるインレットバルブ15を閉じるために電磁ソレノイド16に供給されるプリストローク制御用のコマンドパルス時期が決定される(ステップ17)。
【0029】
図1に示す制御フローチャートの下左欄に記載されている気筒別噴射量偏差による補正値演算フローを参照すると、ステップ2と同様に、目標燃料噴射量Qit(i)を計算する(ステップ21)。次に、実燃料噴射量Qia(i)が算出される(ステップ22)。実燃料噴射量Qia(i)は例えば各インジェクタ3からの燃料噴射について、燃料噴射に伴うコモンレール2の降下前の圧力と降下後の圧力との偏差として実圧力降下量から、予め求められているマップデータや関数により求められる。ステップ21で計算された目標燃料噴射量Qit(i)とステップ22で算出された実燃料噴射量Qia(i)との噴射量偏差dQi(i)を計算する(ステップ23)。ステップ21で計算された目標燃料噴射量Qit(i)とステップ23で算出された噴射量偏差dQi(i)の関数fとして、噴射量偏差による補正係数KQ(i)を計算する(ステップ24)。ステップ24で計算された補正係数KQ(i)を学習値として保存する(ステップ25)。関数fは、例えば、噴射量偏差dQi(i)が正の値であるときは、実燃料噴射量が目標燃料噴射量と比較して少なかったので、補正係数KQ(i)を1よりも大きな値として求める。補正係数KQ(i)を1よりも大きな値とすることにより、最終目標ポンプ圧送量を大きな値にし、同じインジェクタから次回の燃料噴射に際しての燃料噴射量が多くなるように燃料噴射前のコモンレール圧力を高めている。また、噴射量偏差dQi(i)が負の値であるときは、上記の場合と逆に、補正係数KQ(i)を1よりも小さな値として求める。学習値として保存された補正係数KQ(i)は、ポンプ制御フローにおける噴射量フィードバック補正係数としてステップ14で読み込まれる。
【0030】
図1に示す制御フローチャートの下右欄に記載されている気筒別レール圧力の補正係数演算フローを参照すると、コモンレール最終目標圧力Prtf(i)を読み込み(ステップ31)、燃料サプライポンプによる燃料圧送後に回復した実コモンレール圧力Prau(i)を算出する(ステップ32)。コモンレール最終目標圧力Prtf(i)から実コモンレール圧力Prau(i)を減算した圧力偏差ΔPr(i)を演算する(ステップ33)。コモンレール圧力の偏差ΔPr(i)に基づいて補正係数k(i)を演算する(ステップ34)。ステップ34で計算された補正係数k(i)を学習値として保存する(ステップ35)。圧力偏差が正の値であるときは、プランジャの圧送量のバラツキに起因して、実コモンレール圧力Prau(i)がコモンレール最終目標圧力Ptrf(i)と比較して低かったので、補正係数k(i)を1よりも大きな値として求める。補正係数k(i)を1よりも大きな値とすることにより、最終目標ポンプ圧送量を大きな値にし、同じプランジャから次回の燃料圧送に際しての燃料噴射前のコモンレール圧力を必要な高さに高めることができる。また、圧力偏差ΔPr(i)が負の値であるときは、上記の場合と逆に、補正係数k(i)を1よりも小さな値として求める。学習値として保存された補正係数k(i)は、ポンプ制御フローにおけるポンプ圧送バラツキ補正係数としてステップ15で読み込まれる。なお、インジェクタ3とプランジャ11とは、エンジンの形式によっては必ずしも1対1に対応していないので、その場合には、記号iは、各燃料噴射に応じてインジェクタ3とプランジャ11(或いは単一のプランジャの場合には作動カムのカム山)を対応付けることになる。
【0031】
以上のように、このコモンレール式燃料噴射装置によれば、インジェクタ3からの燃料噴射によるコモンレール圧力Prの降下程度と、燃料サプライポンプ1からの燃料圧送によるコモンレール圧力Prの回復程度の両方を検出しており、燃料噴射期間を目標燃料噴射期間に合わせ、したがって燃料噴射期間における燃料噴射の時間割合、即ち、燃料噴射率を気筒毎に揃えながら各インジェクタから噴射される燃料噴射量のバラツキがなくなるように、燃料サプライポンプによる燃料圧送によるコモンレール圧力が制御される。何れのインジェクタから噴射される燃料噴射量も、エンジンの運転状態に基づいて決定される所定の目標燃料噴射量に確保されるので、各燃焼室での燃料状態のバラツキが発生してエンジンの不快な振動や騒音が生じず、燃焼バラツキによるエンジンの不快な振動や騒音の発生を防止することができる。なお、上記に実施例では、基本ポンプ圧送量Qptb(i)に乗じるべき補正係数として補正をしたが、基本ポンプ圧送量Qptb(i)に補正項として、噴射量偏差dQi(i)及びレール圧力偏差の関数として加算する補正を行ってもよいことは明らかである。
【0032】
燃料サプライポンプにおいて、プリストローク制御による燃料圧送期間の変更について、図3〜図5に示す燃料サプライポンプの一例を参照して説明する。図3はこの発明によるコモンレール式燃料噴射装置に用いられる燃料サプライポンプの一例を示す断面図、図4は図3に示す燃料サプライポンプのインレットバルブを含む要部を拡大して示す断面図、図5は図3及び図4に示す燃料サプライポンプの作動タイミングチャートである。燃料サプライポンプが用いられるコモンレール式燃料噴射システムそれ自体は、燃料サプライポンプの具体的構成を除いて、図6に示すシステムを採用することができる。したがって、本発明による燃料サプライポンプが適用されるコモンレール式燃料噴射システムについての再度の説明は省略する。コモンレール式燃料噴射システムに適用されるインジェクタについても同様である。図6に示したコモンレール式燃料噴射システムに用いられている燃料サプライポンプ以外の要素と同等の要素には同じ符号を付して、再度の説明を省略する。
【0033】
図3である縦断面図には、この発明によるコモンレール式燃料噴射装置に用いられる燃料サプライポンプ50の全体の概略が示されている。高圧燃料ポンプ50のハウジング52には、エンジンのクランク軸によりベルト等の適宜の伝動手段を介して駆動されるカムシャフト53が、回転自在に軸支されている。カムシャフト53には、ポンプ駆動カムが配設されている。カムシャフト53に一体に形成されたカム54の外周には、軸受55を介して回転輪56が回転自在に取り付けられており、カム54、軸受55及び回転輪56は、ハウジング52のカム室57内に収容されている。カム室57に連通するハウジング52のボア58内には、プランジャばね59によって回転輪56に押圧されるプランジャ60が昇降可能に配設されている。プランジャ60の先端にはタペット61が形成されており、タペット61は、一側でプランジャばね59の一端と係合してプランジャばね59のばね力を受けると共に、他側で回転輪56に当接している。
【0034】
シリンダ62がハウジング52の上端面に取り付けられており、ハウジング52とシリンダ62とはポンプ本体を構成している。シリンダ62に形成されたシリンダボア63に、プランジャ60が摺動自在に嵌入している。シリンダ62の上部には横方向から吐出穴64が穿設されており、この吐出穴64には逆止弁から成る吐出弁65が配設されている。プランジャ60は、シリンダ62内に形成されているシリンダボア63内を摺動自在に往復運動し、シリンダボア63上部にはプランジャ60の頂部とでポンプ室66が区画されている。
【0035】
フィードポンプ6から燃料吸入通路13に吐出された低圧燃料は、ハウジング52に形成された燃料供給路71、ハウジング52とシリンダ62との間に形成された環状通路72、及び環状通路72からハウジング52の上部に延びる燃料吸入路73を通じて、ハウジング52の上面に形成された燃料溜まり74に供給される。燃料吸入通路13から分岐する通路には、リリーフ弁18が設けられており、設定圧以上の燃料圧はリリーフ弁18を通じてタンク7に戻される。燃料溜まり74は、後述するように、インレットバルブ80を通じてポンプ室66に接続している。
【0036】
一方、吐出穴64に形成された雌ねじ部75には、コモンレール2に至る燃料吐出路14の一端部が螺入されて接続される。ポンプ室66で昇圧された燃料は、その昇圧した燃料圧で吐出弁65を開いて、燃料吐出路14を通じてコモンレール2に至る。なお、プランジャ60の周囲において漏洩した燃料は、ドレンポート79を経て、潤滑油とは区別して回収される。
【0037】
シリンダ62には、燃料溜まり74とポンプ室66とを遮断・連通させるインレットバルブ80と、インレットバルブ80を作動させる制御弁51とが配設されている。図4に基づいてインレットバルブ80と制御弁51とについて説明する。インレットバルブ80は、ポンプ室66の内部に配置されている弁ヘッド81と、シリンダ62の外部に制御弁51の内部に延びている弁ステム82とから成る。インレットバルブ80は、弁ヘッド81の弁フェース83がシリンダ62に形成されている弁シート84に当接したときに閉弁して、燃料溜まり74とポンプ室66との間を遮断する。弁ステム82は、シリンダ62に形成された挿通孔85に隙間86を介して挿通し、挿通孔85の上方において筒状部材の形態を有するブッシュ87の案内孔88内に案内されている。ブッシュ87は、インレットバルブ80の下側シートとしての機能を奏する。
【0038】
弁ステム82の上部の外周にはスナップリング89が嵌着されており、弁ステム82に嵌合されたばね受けを兼ねるばねガイド90はスナップリング89に係合することで弁ステム82に対する位置を規制されている。ブッシュ87とばねガイド90との間には、吸入弁ばね91が圧縮状態に装着されている。吸入弁ばね91は、弁ヘッド81を弁シート84に着座してインレットバルブ80を常に閉弁方向に付勢している。キャップ92がシリンダ62の上部に対して燃料溜まり74を覆うようにシールリングによって密封状態に取り付けられており、キャップ92の内部の中央穴93内に弁ステム82の上部が収容されている。弁ステム82がブッシュ87の案内孔88に嵌入し且つ弁ステム82の頂部98がボア94内に嵌入することにより、プランジャ60の上昇によってインレットバルブ80に流体力が働いても弁ステム82の精度(同軸、同心度)が確保される。
【0039】
キャップ92の中央には、インレットバルブ80の弁ステム82の頂部98が嵌入するボア94が形成されており、ボア94の壁面と弁ステム82の頂部98の頂壁とで制御室95が形成されている。また、キャップ92には、燃料溜まり74に接続する連通路96が形成されており、連通路96は、ボア94の底部に形成された連絡路97を通じて連通可能であり、連通時には、フィードポンプ6から送られた低圧燃料の燃料圧が圧力制御室95に作用している。キャップ92の上面には、連通路96と連絡路97とを接続すると共に連絡路97の開口部を開閉するため、制御弁51が密封状態に取り付けられている。
【0040】
制御弁51は、キャップ92の上面にシールリングによって密封状態に取り付けられるハウジング101を有している。制御弁51は電磁弁として構成されており、ハウジング101の内部には、コントローラからの信号によって励磁されるソレノイド102と、ソレノイド102の励磁・消磁によって作動するアーマチュア103、及びアーマチュア103を付勢する戻しばね104が配置されている。アーマチュア103の先端は開閉弁部105となっており、制御弁51は、キャップ92に形成されている連絡路97の開口端を開放又は閉鎖して、制御室95を低圧側に接続するか、又は密閉状態にすることができる2方弁として構成されている。ソレノイド102が励磁されると、アーマチュア103は、戻しばね104のばね力に抗して下降され、先端の開閉弁部105が連絡路97の開口端を閉鎖して、制御室95を密閉状態にする。また、制御弁51のソレノイド102を消磁すると、アーマチュア103は戻しばね104によって上昇し、開閉弁部105が連絡路97の開口端を開放して制御室95を低圧側に連通することができる。
【0041】
次に、図5に示すタイミングチャートに基づいて、図3及び図4に示す燃料サプライポンプの作動について説明する。図5は、燃料サプライポンプ50の作動タイミングチャートの一例を横軸を時間軸として示す図である。図5(A)は制御弁作動信号のオン・オフ状態を示すグラフであり、図5(B)は制御弁が図5(A)に示す作動信号の態様で制御されるときの制御弁の変位の変化の様子を示すグラフであり、図5(C)は制御弁が図5(A)の態様で制御されるときのインレットバルブのリフトの様子を示すグラフであり、図5(D)は燃料サプライポンプのプランジャの変位を示すグラフであり、更に図5(E)は燃料サプライポンプからの吐出される燃料流量を示すグラフである。
【0042】
フィードポンプ6によって送り出された低圧の燃料は、燃料供給路71、環状通路72、燃料吸入路73を通じて燃料溜まり74に供給されている。図5の(A)〜(E)に示すように、制御弁51はオフのときには、アーマチュア83は戻しばね104のばね作用によって開閉弁部105は連絡路97を開放しているので、圧力制御室95は低圧側に連通し、圧力制御室95内に対しては低圧燃料が流入・流出可能である。プランジャ60が下降するのに合わせて、ポンプ室66内の圧力は負圧となるので、インレットバルブ80に作用する流体圧力のバランスによって吸入弁ばね91のセット力に抗してインレットバルブ80を開弁し、燃料溜まり74内の燃料は、ブッシュ87の下端の溝87a及び挿通孔85と弁ステム82との間に形成されている隙間86を通じて、更に、弁ヘッド81の弁フェース83と弁シート84との間を通じてポンプ室66に吸入される。即ち、インレットバルブ80は、燃料が流入することに対応して弁フェース83と弁シート84との間が開く方向へリフトする。
【0043】
プランジャ60が基準点からマイナス方向に変位を開始する時刻t1 において、制御弁51の作動信号がオンとなる。制御弁51は、時刻t1 から閉じる方向に変位を開始し、時刻t2 において開閉弁部105が連絡路97の開口を完全に塞ぐまで変位し、圧力制御室95を完全に閉じる。そのため、時刻t2 において、インレットバルブ80の開方向へのリフトの変位が停止し、インレットバルブ80のリフトはフルリフト状態となる。プランジャ60が下死点に到達する時刻t3 まで、リフト状態のインレットバルブ80を通じてポンプ室66内への燃料の吸入が行われる。
【0044】
プランジャ60が下死点(BDC)に到達した時刻t3 の後は、ポンプ室66内の燃料は、上昇しようとするプランジャ60によって押し出される。このとき、圧力制御室95内の燃料が流出することはないのでインレットバルブ80は閉じることができず開弁状態が維持される。圧力制御室95内の燃料が高圧になっても、連絡路97の断面積は小さいので、圧力制御室95内の燃料圧に対して、小型のソレノイド102でも充分対抗することができ、ソレノイド102の作動力に抗してアーマチュア103を押し上げることはない。したがって、燃料は、開弁状態のインレットバルブ80から燃料溜まり74、燃料吸入路73等の低圧側に逆流し、吐出弁65を開いて燃料吐出路14に吐出されることはない。燃料吸入通路13等の低圧側に逆流した燃料量に相当する量は、リリーフ弁18を経てタンク7に戻される。
【0045】
プランジャ60が下死点(BDC)を経て上昇中にある時刻t4 において、制御弁51の作動信号がオフに切り換えられる。時刻t4 は、プリストローク制御用のコマンドパルス時期となる。制御弁51のアーマチュア103は戻しばね104のばね力によって上昇し、開閉弁部105は連絡路97の開放を開始し、時刻t5 において制御弁51は圧力制御室95を完全に開放する。圧力制御室95は低圧側に連通して圧力が低下するので、ポンプ室66内で昇圧された燃料の圧力作用によってインレットバルブ80は上昇してインレットバルブ80が閉弁を開始する。インレットバルブ80は、時刻t6 に完全に閉じる。したがって、インレットバルブ80が閉弁を開始してから、ポンプ室66内の燃料の低圧側への逆流が停止され始め、ポンプ室66内の昇圧した燃料は吐出弁65を通じて燃料吐出路14に吐出され始め、プランジャ60が時刻t7 において上死点(TDC)に到達するまで、ポンプ室66内の燃料が燃料吐出路14に吐出される。
【0046】
図5(A)〜(C)及び(E)において、破線で示すグラフは、制御弁51のオンからオフへの作動タイミングを遅らせた場合の各変化の様子を示している。即ち、制御弁51のオフ作動タイミングが遅れる(時刻t8 )と、制御弁51のアーマチュア103の変位も遅れ制御弁51の開弁時期t9 、及びインレットバルブ80が閉じる時期(時刻t1 0 )も遅れる。したがって、ポンプ室66から燃料が吐出弁65を開いて燃料吐出路14へ吐出され始める時期もおくれるので、プランジャ60が上死点(TDC)に到達する時刻t7 までにポンプ室66から吐出される燃料吐出量が減少する。また、逆に、制御弁51のオンからオフへの作動タイミングを早めると、インレットバルブ80が閉じる時期も速くなり、ポンプ室66からの燃料吐出量を増大させることができる。このように、制御弁51のオンからオフへの作動タイミングを制御することにより、ポンプ室66からの燃料吐出量を制御することができる。
【0047】
本実施例では、実燃料噴射量をコモンレール圧力の降下量から算出し、目標燃料噴射量との偏差から噴射量偏差を求めたが、本出願人が先に出願している特願平11−96960号で提案しているように、エンジン出力軸の回転変動から燃焼室内での熱発生量を求め、目標熱発生量との偏差を噴射量偏差を表す信号とし、この偏差から燃料サプライポンプからの燃料圧送量を補正する補正係数を演算しても良い。その他、気筒内に配設された筒内圧センサ、イオンセンサ等のセンサで検出される気筒内での熱発生率を利用して、燃焼室内での熱発生量を求め、上記と同様の手順に従って燃料サプライポンプからの燃料圧送量を補正する補正係数を演算することもできる。
【0048】
【発明の効果】
この発明によるコモンレール式燃料噴射装置によれば、コントローラは、各インジェクタについて、実燃料噴射量と目標燃料噴射量との噴射量偏差に基づいて、各インジェクタからの燃料噴射が行われる直前においてコモンレール圧力を上昇させるための燃料圧送量を補正制御して、各インジェクタの噴射直前におけるコモンレール圧力を、各インジェクタから噴射される燃料噴射量が目標燃料噴射量となる水準に回復させるフィードバック制御を行っている。したがって、各インジェクタから噴射される燃料噴射量にインジェクタに個体バラツキや径年変化等によるバラツキがあっても、燃料噴射期間を変えることなく、したがってインジェクタからの燃料噴射率、燃料噴射量が各インジェクタで均一になりバラツキをなくすことができるので、特に、アイドリング等のエンジンが低回転する運転状態においても気筒毎における燃料バラツキを無くし、不快な振動や騒音の発生を防止することができる。また、燃料サプライポンプからの燃料圧送後のコモンレール圧力についても、燃料サプライポンプ側に起因して生じるバラツキを、コモンレールの回復圧力の偏差に基づいて燃料圧送量を補正することによって無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるコモンレール式燃料噴射装置におけるコモンレール圧力及び燃料圧送量の制御の概要を示すフローチャートである。
【図2】この発明によるコモンレール式燃料噴射装置における同じインジェクタについてのコモンレール圧力の変化の一例を示すグラフである。
【図3】この発明によるコモンレール式燃料噴射装置に用いられる燃料サプライポンプの一例を示す断面図である。
【図4】図3に示す燃料サプライポンプのインレットバルブを含む一部を拡大して示す断面図である。
【図5】図3及び図4に示す燃料サプライポンプの作動タイミングチャートである。
【図6】従来のコモンレール式燃料噴射システムを説明する概要図である。
【符号の説明】
1,50 燃料サプライポンプ
2 コモンレール
3 インジェクタ
8 コントローラ
9 センサ
10 ポンプ駆動カム
11,60 プランジャ
12,66 ポンプ室
13,73 燃料吸入路
15,80 インレットバルブ
22 圧力センサ
51 制御弁
52 ハウジング
62 シリンダ
82 弁ステム
94 ボア
95 圧力制御室
Qit 目標燃料噴射量
Qia 実燃料噴射量
dQi 噴射量偏差
Pr コモンレール圧力
Prad 実コモンレール圧力(燃料圧送前)
Prau 実コモンレール圧力(燃料圧送後)
Qptb 基本ポンプ圧送量
Qptf 最終目標ポンプ圧送量
KQ 補正係数(噴射量偏差補正用)
k 補正係数(コモンレール圧力偏差補正用)

Claims (6)

  1. エンジンの各気筒に対応して配設され且つ燃料を噴射するインジェクタ、前記各インジェクタに燃料を供給するため燃料を蓄圧状態に貯留するコモンレール、前記コモンレールの圧力を昇圧させた状態で前記各インジェクタからの燃料噴射を行うため前記コモンレールに燃料を順次圧送する燃料サプライポンプ、前記エンジンの運転状態を検出する検出手段、及び前記検出手段からの検出信号に基づいて目標燃料噴射期間と目標燃料噴射量とを含む目標燃料噴射条件と、前記目標燃料噴射条件に応じた目標燃料圧送量を含む目標燃料圧送条件とを求めると共に、前記目標燃料圧送条件と前記目標燃料噴射条件とに従ってそれぞれ前記燃料サプライポンプによる燃料圧送と前記インジェクタからの燃料噴射とを制御するコントローラを具備し、前記コントローラは、前記コモンレールの圧力を前記目標燃料噴射条件で燃料を噴射可能な圧力まで昇圧するため、前記インジェクタからの実燃料噴射量と前記目標燃料噴射量との噴射量偏差に相当する信号に基づいて前記燃料サプライポンプからの前記目標燃料圧送量を補正し、補正された前記目標燃料圧送量で前記燃料サプライポンプによる燃料圧送を実行するフィードバック制御を行うことから成るコモンレール式燃料噴射装置。
  2. 前記コントローラは、前記実燃料噴射量が前記目標燃料噴射量を上回る又は下回る前記噴射量偏差に相当する前記信号に対して、それぞれ前記目標燃料圧送量を減少又は増加する補正をすることから成る請求項1に記載のコモンレール式燃料噴射装置。
  3. 前記コモンレールの圧力を検出する圧力センサを備え、前記コントローラは、前記実燃料噴射量に相当する前記信号として、前記圧力センサからの検出信号に基づいて燃料噴射に伴う前記コモンレールの圧力降下量を算出することから成る請求項1又は2に記載のコモンレール式燃料噴射装置。
  4. 前記コントローラは、前記検出手段からの検出信号に基づいてコモンレール基本目標圧力を決定し、前記コモンレール基本目標圧力と前記インジェクタからの燃料噴射によって降下した実コモンレール圧力とに基づいて次回の燃料噴射における前記コモンレール圧力を得るための基本ポンプ圧送量を算出し、前記噴射量偏差に相当する前記信号に基づいて前記基本ポンプ圧送量を補正することにより前記燃料圧送量の補正を行うことから成る請求項3に記載のコモンレール式燃料噴射装置。
  5. 前記コントローラは、前記基本ポンプ圧送量に前記噴射量偏差に相当する前記信号に基づいて算出した補正係数を乗じることにより、前記基本ポンプ圧送量の補正を行うことから成る請求項4に記載のコモンレール式燃料噴射装置。
  6. 前記コントローラは、前記検出手段からの検出信号に基づいて前記目標燃料噴射条件の一つとして前記コモンレールの最終目標圧力を算出し、前記コモンレールの最終目標圧力と前記燃料サプライポンプからの燃料圧送後で且つ前記インジェクタからの燃料噴射前の前記コモンレールの圧力との圧力偏差を求め、前記噴射量偏差に相当する前記信号に基づいて補正された前記基本ポンプ圧送量を前記圧力偏差に基づいて更に補正することから成る請求項1〜5のいずれか1項に記載のコモンレール式燃料噴射装置。
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