JP2000290339A - 熱可塑性ポリウレタン組成物 - Google Patents

熱可塑性ポリウレタン組成物

Info

Publication number
JP2000290339A
JP2000290339A JP2000019712A JP2000019712A JP2000290339A JP 2000290339 A JP2000290339 A JP 2000290339A JP 2000019712 A JP2000019712 A JP 2000019712A JP 2000019712 A JP2000019712 A JP 2000019712A JP 2000290339 A JP2000290339 A JP 2000290339A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic polyurethane
block copolymer
composition
polyurethane composition
polymer polyol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000019712A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5165167B2 (ja
JP2000290339A5 (ja
Inventor
Hidekazu Saito
秀和 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2000019712A priority Critical patent/JP5165167B2/ja
Publication of JP2000290339A publication Critical patent/JP2000290339A/ja
Publication of JP2000290339A5 publication Critical patent/JP2000290339A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5165167B2 publication Critical patent/JP5165167B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 熱可塑性ポリウレタンと(水添)ブロック共重
合体を含有し、両方の重合体間の相容性が高く、非粘着
性、成形性、溶融接着性、耐摩耗性、力学的特性、柔軟
性、屈曲性、低残留歪み性、弾性回復性、耐油性、耐水
性等に優れる熱可塑性ポリウレタン組成物、その製法、
該熱可塑性ポリウレタン組成物よりなる成形品及び積層
体の提供。 【解決手段】 熱可塑性ポリウレタンの海成分中に(水
添)ブロック共重合体からなる島成分が分布し、該島成
分の内部に熱可塑性ポリウレタンが0.001〜10μmの島状
に分布した熱可塑性ポリウレタン組成物であり、該熱可
塑性ポリウレタン組成物は、高分子ポリオールと(水添)
ブロック共重合体を、35:65〜90:10の重量比で用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリウレ
タン、並びに芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共
役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体お
よび/またはその水素添加物を含有する熱可塑性ポリウ
レタン組成物、該組成物よりなる成形品、前記熱可塑性
ポリウレタン組成物からなる層を有する積層構造体、並
びに前記熱可塑性ポリウレタン組成物の製造方法に関す
る。本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物は、非粘着性
で取り扱い性および溶融成形性に優れていて、成形時に
金型からの離型が容易で、成形装置等への付着が生じ
ず、平滑な表面を有する外観に優れる成形品を製造する
ことができ、さらに該熱可塑性ポリウレタン組成物から
形成された成形品間やフィルム、シート間での膠着が生
じず、離型剤や離型紙(離型シート)などを用いること
なく各種成形品を円滑に製造できる。その上、本発明の
熱可塑性ポリウレタン組成物は、非粘着性であるにも拘
わらず、他の材料との接着性や各種熱可塑性樹脂との溶
融接着性に優れ、またそれから得られる成形品は耐摩耗
性、引張破断強度や引張破断伸度などで代表される力学
的特性、屈曲性、耐油性、弾性回復性、耐水性などの特
性に優れ、残留歪みが小さく、かつ適度な柔軟性を有し
ており、それらの特性を活かして各種成形品や積層構造
体に有効に使用される。そして、本発明の製法により、
前記した優れた特性を有する熱可塑性ポリウレタン組成
物を円滑に製造することができる。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリウレタンは、力学的特性、
耐摩耗性、弾性回復性、耐油性、屈曲性などの諸特性に
優れ、しかも溶融成形が可能であることから、従来の合
成ゴムやプラスチックの代替材料として、広範な用途で
用いられている。しかしながら、熱可塑性ポリウレタン
は粘着性が非常に強く、例えば、射出成形などにより成
形品を製造する場合は、金型からの離型不良、金型内で
の樹脂の流れ斑による成形品の外観不良(気泡や流れ模
様の発生など)、得られた成形品同士の膠着などの問題
が生じ易い。また、押出成形などによってフィルムやシ
ートを製造する場合は、単独で巻き取ることが困難なた
め、離型剤や離型紙(離型シート)を併用する必要があ
り、離型剤や離型紙を用いずに単独で巻き取ると、巻き
取ったフィルムやシートの巻き返しが困難になったり不
可能になって使用できなくなるという問題を生ずる。さ
らに、熱可塑性ポリウレタンは、耐熱水性や耐候性に劣
る。そのため、熱可塑性ポリウレタンは上記した種々の
優れた特性を有しているにも拘わらず、その使用範囲が
限定されているのが現状である。
【0003】一方、芳香族ビニル化合物系重合体ブロッ
クと共役ジエン系重合体ブロックよりなるブロック共重
合体またはその水素添加物(以下これを単に「ブロック
共重合体」ということがある)は、高いゴム弾性を有
し、かつ耐熱水性や耐候性に優れ、しかも一般に溶融成
形が可能であることから、それらの特性を活かして近年
色々な分野で用いられるようになっている。しかしなが
ら、該ブロック共重合体は、耐摩耗性、力学的特性、耐
油性などに劣るという欠点を有しており、やはりその使
用範囲が限られているのが現状である。
【0004】そこで、熱可塑性ポリウレタンおよびブロ
ック共重合体の双方の欠点を補い、両者の優れた特性を
兼ね備える重合体組成物を得る目的で、熱可塑性ポリウ
レタンとブロック共重合体を溶融下にブレンドした重合
体組成物が提案されている(特開平6−65467号公
報、特開平6−107898号公報、特開平8−157
685号公報、特開平9−124887号公報など)。
しかしながら、これら従来技術で提案されている重合体
組成物では、両重合体を溶融ブレンドしていても、熱可
塑性ポリウレタンとブロック共重合体との間の相容化が
十分には達成されておらず、両者の優れた特性を十分に
引き出すことができず、特に成形性、非粘着性、耐摩耗
性および力学的特性の点で十分に満足のゆく重合体組成
物が得られていない。
【0005】また、熱可塑性ポリウレタンとブロック共
重合体との間の相容性の向上や、両者を含有する重合体
組成物の溶融接着性の向上などの目的で、カルボン酸
基、その誘導体基、水酸基などで変性したブロック共重
合体を熱可塑性ポリウレタンにブレンドした組成物が提
案されている(特開昭63−99257号公報、特開平
3−234755号公報)。しかしながら、未だ十分に
満足のゆく結果が得られておらず、この場合にも非粘着
性、成形性、耐摩耗性、力学的特性などの点で不十分で
ある。
【0006】さらに、熱可塑性ポリウレタンとブロック
共重合体とを溶融ブレンドした重合体組成物の柔軟化や
低硬度化などを図る目的で、該重合体組成物にオイルな
どの軟化剤を添加することが知られている(特開平5−
171004号公報、特開平8−72204号公報な
ど)。しかしながら、その場合にも、熱可塑性ポリウレ
タンとブロック共重合体との相容性が十分ではなく、熱
可塑性ポリウレタンおよびブロック共重合体が本来有す
る優れた性能を十分に引き出せないでいる。
【0007】また、ABS樹脂等を含有する熱可塑性ポ
リウレタン組成物を製造するに当たって、ABS樹脂等
に線状ポリオールよりなる流動促進剤を1〜30重量%
の少割合で含有させておき、それを有機ジイソシアネー
ト化合物、線状ポリオールおよび鎖伸長剤と共に押出機
に供給し、押出機中でポリウレタン形成反応を行って、
ABS樹脂等と熱可塑性ポリウレタンを含有する成形用
組成物を製造する方法が提案されている(特開平8−2
83374号公報)。しかしながら、この方法による場
合も、熱可塑性ポリウレタンとABS樹脂等との相容性
が十分に向上せず、得られる成形用組成物は、非粘着
性、成形性、耐摩耗性、力学的特性、耐熱水性などの点
で十分に満足のゆく性能を備えていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱可
塑性ポリウレタンとブロック共重合体との相容性をより
向上させて、非粘着性で、取り扱い性および溶融成形性
に優れ、成形時に金型からの離型が容易で、成形装置へ
の付着が生じず、さらには成形品間の膠着が生じず、フ
ィルムやシートなどの巻き取り時に離型剤や離型シート
などを用いる必要のない熱可塑性ポリウレタン組成物お
よびその製造法を提供することである。さらに、本発明
の目的は、前記した特性と併せて、耐摩耗性に優れ、引
張破断強度、引張破断伸度などで代表される力学的特性
に優れ、屈曲性、耐油性、耐水性、弾性回復性などにも
優れ、しかも残留歪みが小さく、かつ適度な柔軟性を有
する成形品を製造することのできる熱可塑性ポリウレタ
ン組成物およびその製造法を提供することである。そし
て、本発明の目的は、前記した優れた特性を有する熱可
塑性ポリウレタン組成物よりなる各種成形品を提供する
ことである。また、本発明の目的は、非粘着性であるに
も拘わらず、他の材料との接着性に優れ、特に極性の高
い樹脂材料および極性の低い樹脂材料のいずれに対して
も良好な溶融接着性を示す熱可塑性ポリウレタン組成物
を提供することである。そして、本発明の目的は、該熱
可塑性ポリウレタン組成物よりなる層と、各種の材料、
特に各種樹脂よりなる層とが積層している積層構造体を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
本発明者は色々検討を重ねてきた。その結果、熱可塑性
ポリウレタン、並びに芳香族ビニル化合物系重合体ブロ
ックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共
重合体および/または該ブロック共重合体の水素添加物
を含有する熱可塑性ポリウレタン組成物を製造するに当
たって、熱可塑性ポリウレタンと該ブロック共重合体お
よび/またはその水素添加物を溶融混合して重合体組成
物を製造している上記した従来技術に代えて、該ブロッ
ク共重合体および/またはその水素添加物に対して高分
子ポリオールを特定の割合で混合すると共に該高分子ポ
リオールをブロック共重合体および/またはその水素添
加物に含浸させて特定の高分子ポリオール含浸組成物を
予め調製し、その高分子ポリオール含浸組成物を有機ジ
イソシアネート化合物および鎖伸長剤、または有機ジイ
ソシアネート化合物、高分子ポリオールおよび鎖伸長剤
と混合してポリウレタン形成反応を行ってブロック共重
合体を含有する熱可塑性ポリウレタン組成物を製造する
と、そこで生成する熱可塑性ポリウレタン組成物中に含
まれる熱可塑性ポリウレタンとブロック共重合体との間
の相容性が大きく向上して、非粘着性で、取り扱い性お
よび溶融成形性に優れ、成形時に金型からの離型が容易
で、成形装置への付着が生じず、さらには成形品間の膠
着が生じず、離型剤や離型紙を用いなくてもフィルムや
シートへの巻き取りや巻き返しが可能であり、非粘着性
であるにも拘わらず他の材料との接着性に優れ、特に極
性の高い樹脂および極性の低い樹脂のいずれに対して良
好な溶融接着性を有することを見出した。また、本発明
者は、該熱可塑性ポリウレタン組成物を用いると、耐摩
耗性、引張破断強度や引張破断伸度などで代表される力
学的特性、屈曲特性、耐油性、耐水性、弾性回復性など
に優れ、残留歪みが小さく、かつ適度な柔軟性を有する
各種成形品が得られることを見出した。
【0010】さらに、本発明者は、上記高分子ポリオー
ル含浸組成組成物の調製時に、特定量の可塑剤をさらに
配合して高分子ポリオール可塑剤含浸組成物とし、それ
を用いて前記と同様にして熱可塑性ポリウレタン組成物
を製造すると、それにより得られる熱可塑性ポリウレタ
ン組成物は、上記した種々の優れた特性と共に、さらに
低硬度で、柔軟性の点でも優れていること、しかも極性
の低い樹脂との溶融接着性が一層良好であることを見出
した。また、本発明者は、上記の熱可塑性ポリウレタン
組成物からなる成形品、特に射出成形品、フィルム、シ
ートなどは、耐摩耗性、引張破断強度、引張破断伸度な
どで代表される力学的特性、耐水性、屈曲性、耐油性、
弾性回復性などの特性に優れ、残留歪みが小さく、種々
の用途に有効に用い得ることを見出した。さらに、本発
明者は、上記の熱可塑性ポリウレタン組成物からなる層
と、他の材料、特に各種の樹脂よりなる層を有する積層
構造体も、広範な用途に有効に用い得ることを見出し
た。
【0011】そして、本発明者は、上記で得られた熱可
塑性ポリウレタン組成物について更に研究を重ねた結
果、該熱可塑性ポリウレタン組成物は、そのモルホロジ
ーに特長があることが判明した。すなわち、熱可塑性ポ
リウレタン(a)と前記ブロック共重合体(b)を含有
する上記した前者の熱可塑性ポリウレタン組成物では、
図1でそのモルホロジーの概略を模式的に示すように、
熱可塑性ポリウレタン(a)が海成分(連続相)を形成
し、その海成分中に芳香族ビニル化合物系重合体ブロッ
クと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重
合体および該ブロック共重合体の水素添加物から選ばれ
る少なくとも1種(b)が島成分として存在し、その島
成分中に熱可塑性ポリウレタン(a)が平均粒子径0.
001〜10μmの島成分として更に存在していること
が判明した。また、熱可塑性ポリウレタン(a)、前記
ブロック共重合体(b)および可塑剤(c)を含有する
上記した後者の熱可塑性ポリウレタン組成物では、熱可
塑性ポリウレタン(a)が海成分(連続相)を形成し、
その海成分中に芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと
共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体
および該ブロック共重合体の水素添加物から選ばれる少
なくとも1種(b)および可塑剤(c)が島成分として
存在し、その島成分中に熱可塑性ポリウレタン(a)が
平均粒子径0.001〜10μmの島成分として更に存
在していることが判明した。熱可塑性ポリウレタン組成
物の有する上記した優れた諸特性は、そのような特定の
モルホロジーによるものと考えられる。
【0012】したがって、本発明は、熱可塑性ポリウレ
タン(a)並びに芳香族ビニル化合物系重合体ブロック
と共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合
体および該ブロック共重合体の水素添加物から選ばれる
少なくとも1種(b)を含有する熱可塑性ポリウレタン
組成物であって、熱可塑性ポリウレタン(a)からなる
海成分中に、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共
役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体お
よび該ブロック共重合体の水素添加物から選ばれる少な
くとも1種(b)が島成分として存在し、さらに前記島
成分の内部に熱可塑性ポリウレタン(a)が平均粒子径
0.001〜10μmの島成分として存在してなる構造
を有することを特徴とする熱可塑性ポリウレタン組成物
[以下「熱可塑性ポリウレタン組成物(1)」というこ
とがある]である。
【0013】本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物
(1)は、上記した相形態を有するものであれば、いず
れの方法で製造されたものであってもよいが、特に、
(i)高分子ポリオール(a−1)、並びに芳香族ビニ
ル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロッ
クからなるブロック共重合体および該ブロック共重合体
の水素添加物から選ばれる少なくとも1種(b)を、
(a−1):(b)=35:65〜90:10の重量比
で用いて、高分子ポリオール(a−1)が、芳香族ビニ
ル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロッ
クからなるブロック共重合体および該ブロック共重合体
の水素添加物から選ばれる少なくとも1種(b)中に含
浸した高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)を予
め調製し;次いで、(ii)前記(i)で調製した高分子
ポリオール含浸組成物(a−1・b)を、有機ジイソシ
アネート化合物および鎖伸長剤と混合するか、または有
機ジイソシアネート化合物、高分子ポリオール(a−
1)および鎖伸長剤と混合して、ポリウレタン形成反応
を行う;ことにより、好ましく製造される。
【0014】そして、本発明は、熱可塑性ポリウレタン
(a)、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジ
エン系重合体ブロックからなるブロック共重合体および
該ブロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくと
も1種(b)、並びに可塑剤(c)を含有する熱可塑性
ポリウレタン組成物であって、熱可塑性ポリウレタン
(a)からなる海成分中に、芳香族ビニル化合物系重合
体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロ
ック共重合体および該ブロック共重合体の水素添加物か
ら選ばれる少なくとも1種(b)並びに可塑剤(c)が
島成分として存在し、さらに前記島成分の内部に熱可塑
性ポリウレタン(a)が平均粒子径0.001〜10μ
mの島成分として存在してなる構造を有することを特徴
とする熱可塑性ポリウレタン組成物[以下「熱可塑性ポ
リウレタン組成物(2)」ということがある]である。
【0015】本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物
(2)は、上記した相形態を有するものであれば、いず
れの方法で製造されたものであってもよいが、特に、
(i)高分子ポリオール(a−1)、並びに芳香族ビニ
ル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロッ
クからなるブロック共重合体および該ブロック共重合体
の水素添加物から選ばれる少なくとも1種(b)を、
(a−1):(b)=35:65〜90:10の重量比
で用い、かつ高分子ポリオール(a−1)並びに芳香族
ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブ
ロックからなるブロック共重合体および該ブロック共重
合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1種(b)の
合計100重量部に対して可塑剤(c)を0.1〜20
0重量部の割合で用いて、高分子ポリオール(a−1)
および可塑剤(c)が、芳香族ビニル化合物系重合体ブ
ロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック
共重合体および該ブロック共重合体の水素添加物から選
ばれる少なくとも1種(b)中に含浸した高分子ポリオ
ール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)を予め調製
し;次いで、(ii)前記(i)で調製した高分子ポリオ
ール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)を、有機ジイ
ソシアネート化合物および鎖伸長剤と混合するか、また
は有機ジイソシアネート化合物、高分子ポリオール(a
−1)および鎖伸長剤と混合して、ポリウレタン形成反
応を行う;ことにより好ましく製造される。
【0016】そして、本発明は上記した熱可塑性ポリウ
レタン組成物(1)および/または熱可塑性ポリウレタ
ン組成物(2)からなる成形品であり、さらに、上記し
た熱可塑性ポリウレタン組成物(1)および/または熱
可塑性ポリウレタン組成物(2)よりなる樹脂層と、他
の材料よりなる層とが積層した構造を有する積層構造体
である[以下熱可塑性ポリウレタン組成物(1)と熱可
塑性ポリウレタン組成物2を総称して単に熱可塑性ポリ
ウレタン組成物ということがある]。
【0017】さらに、本発明は、上記した(i)および
(ii)の工程によって、熱可塑性ポリウレタン(a)並
びに芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン
系重合体ブロックからなるブロック共重合体および該ブ
ロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1
種(b)を含有するか、或いは熱可塑性ポリウレタン
(a)、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジ
エン系重合体ブロックからなるブロック共重合体および
該ブロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくと
も1種(b)並びに可塑剤(c)を含有する、熱可塑性
ポリウレタン組成物を製造する方法である。
【0018】本発明は、以下の積層構造体(イ)および
積層構造体(ロ)を好ましい態様として包含する。 ・積層構造体(イ):上記した本発明の熱可塑性ポリウ
レタン組成物よりなる樹脂層(A)と、ポリアミド樹
脂;ポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ポリ
塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;アクリル樹
脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物;並びに芳香族ビニル化合物とシアン化
ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合
物から選ばれる少なくとも1種との共重合体から選ばれ
る少なくとも1種よりなる樹脂層(B)とが、樹脂層
(A)/樹脂層(B)の形態で積層した構造を少なくと
も一部に有する積層構造体である。 ・積層構造体(ロ):上記した本発明の熱可塑性ポリウ
レタン組成物よりなる樹脂層(A)と、ポリアミド樹
脂;ポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ポリ
塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;アクリル樹
脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物;並びに芳香族ビニル化合物とシアン化
ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合
物から選ばれる少なくとも1種との共重合体から選ばれ
る少なくとも1種よりなる樹脂層(B)と、スチレン系
重合体およびオレフィン系重合体から選ばれる少なくと
も1種からなる樹脂層(C)が、樹脂層(B)/樹脂層
(A)/樹脂層(C)の形態で積層した構造を少なくと
も一部に有する積層構造体である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物(1)の
製造に当たっては、高分子ポリオール(a−1)、並び
に芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系
重合体ブロックからなるブロック共重合体および該ブロ
ック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1種
(b)[以下「(水添)ブロック共重合体(b)」とい
う]を、高分子ポリオール(a−1):(水添)ブロッ
ク共重合体(b)=35:65〜90:10の重量比で
用いて、高分子ポリオール(a−1)が(水添)ブロッ
ク共重合体(b)中に含浸した高分子ポリオール含浸組
成物(a−1・b)を予め調製する。また、本発明の熱
可塑性ポリウレタン組成物(2)の製造に当たっては、
高分子ポリオール(a−1)、(水添)ブロック共重合
体(b)並びに可塑剤(c)を、高分子ポリオール(a
−1):(水添)ブロック共重合体(b)=35:65
〜90:10の重量比で用い、かつ高分子ポリオール
(a−1)および(水添)ブロック共重合体(b)の合
計100重量部に対して可塑剤(c)を1〜200重量
部の割合で用いて、高分子ポリオール(a−1)および
可塑剤(c)が、(水添)ブロック共重合体(b)中に
含浸した高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・
b・c)を予め調製する。
【0020】上記の高分子ポリオール含浸組成物(a−
1・b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a
−1・b・c)の調製に用いる(水添)ブロック共重合
体(b)において、その芳香族ビニル化合物系重合体ブ
ロックは、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位から
主としてなり、場合により少量の他の不飽和単量体に由
来する構造単位を有する重合体ブロックである。(水
添)ブロック共重合体(b)における芳香族ビニル化合
物系重合体ブロックを構成する芳香族ビニル化合物単位
としては、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチル
スチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシル
スチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベ
ンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1
−ビニルナフタレンなどからなる構造単位を挙げること
ができ、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは前記し
た芳香族ビニル化合物の1種または2種以上よりなる構
造単位を有していることができる。そのうちでも、芳香
族ビニル化合物系重合体ブロックは、スチレンおよび/
またはα−メチルスチレンよりなる構造単位から主とし
てなっていることが好ましい。
【0021】また、(水添)ブロック共重合体(b)に
おける共役ジエン系重合体ブロックは、1,3−ブタジ
エン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレ
ン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3
−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエ
ン系化合物の1種または2種以上から主として形成され
た重合体ブロックである。そのうちでも、共役ジエン系
重合体ブロックは、1,3−ブタジエンおよび/または
2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)よりな
る構造単位からなっていることが好ましい。水素添加さ
れた(水添)ブロック共重合体(b)では、前記した共
役ジエンよりなる構造単位の一部または全部が水素添加
により飽和結合になっている。
【0022】(水添)ブロック共重合体(b)における
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重
合体ブロックとの結合形態は特に制限されず、直鎖状、
分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組合わさっ
た結合形態のいずれであってもよく、そのうちでも直鎖
状の結合形態であることが好ましい。(水添)ブロック
共重合体(b)の例としては、芳香族ビニル化合物系重
合体ブロックをXで、共役ジエン系重合体ブロックをY
で表したときに、式;(X−Y)m−X、(X−Y)
n、Y−(X−Y)p(式中、m、nおよびpはそれぞ
れ1以上の整数を示す)などで表されるブロック共重合
体を挙げることができる。そのうちでも、2個以上の芳
香族ビニル化合物系重合体ブロックXと1個以上の共役
ジエン系重合体ブロックが直鎖状に結合したブロック共
重合体、特に式:X−Y−Xで表されるトリブロック共
重合体が好ましく用いられる。該トリブロック共重合体
は、高分子ポリオール(a−1)、または高分子ポリオ
ール(a−1)と可塑剤(c)の含浸性に優れる(保持
性が高い)ため、次のポリウレタン形成反応工程(ii)
で生成する熱可塑性ポリウレタン(a)とそこに含まれ
る(水添)ブロック共重合体(b)との相容化がより円
滑に達成されて、本発明で規定するモルホロジー、すな
わち、熱可塑性ポリウレタン(a)からなる海成分中
に、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン
系重合体ブロックからなるブロック共重合体および該ブ
ロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1
種(b)、または該(水添)ブロック共重合体(b)と
可塑剤(c)からなる島成分が存在し、該島成分中に熱
可塑性ポリウレタン(a)が平均粒子径0.001〜1
0μmの島成分として更に存在する構造を有する熱可塑
性ポリウレタン組成物が得られる。かかる本発明の熱可
塑性ポリウレタン組成物においては、熱可塑性ポリウレ
タン(a)からなる海成分中に存在する(水添)ブロッ
ク共重合体(b)または該ブロック共重合体(b)と可
塑剤(c)からなる島成分の大きさは、0.01〜25
0μmの範囲であることが好ましく、0.05〜150
μmの範囲であることがより好ましく、0.1〜100
μmの範囲であることが更に好ましい。また、(水添)
ブロック共重合体(b)または該ブロック共重合体
(b)と可塑剤(c)からなる島成分中に存在する熱可
塑性ポリウレタン(a)からなる島成分は、その平均粒
子径が0.01〜5μmであることが好ましく、0.0
5〜3μmであることがより好ましい。本発明の熱可塑
性ポリウレタン組成物は前記したモルホロジーを有する
ことにより、本発明で目的とする上記した非粘着性、溶
融成形性、溶融接着性、耐摩耗性、引張破断強度等で代
表される力学的特性、柔軟性、屈曲性、低残留歪み性な
どの種々の特性に優れる熱可塑性ポリウレタン組成物を
確実に得ることができる。
【0023】(水添)ブロック共重合体(b)における
共役ジエン系重合体ブロックは水素添加されていなくて
も、一部が水素添加されていても、または全部が水素添
加されていてもよい(水素添加率0〜100モル%)。
そのうちでも、(水添)ブロック共重合体(b)におけ
る共役ジエン系重合体ブロックの水素添加率が50モル
%以上、特に80モル%以上であることが、耐熱性、耐
候性、耐光性に優れる熱可塑性ポリウレタン組成物が得
られる点から好ましい。
【0024】(水添)ブロック共重合体(b)では、全
構造単位に対して、芳香族ビニル化合物に由来する構造
単位の含有量が5〜75重量%(共役ジエンに由来する
構造単位の含有量が95〜25重量%)であることが好
ましく、10〜65重量%(同90〜35重量%)であ
ることがより好ましく、15〜40重量%(同85〜6
0重量%)であることがより好ましく、それによって
(水添)ブロック共重合体(b)の高分子ポリオール
(a−1)または高分子ポリオール(a−1)と可塑剤
(c)の含浸能(保持能)が高くなって、(水添)ブロ
ック共重合体(b)と熱可塑性ポリウレタン(a)との
相容性が向上し、本発明で規定する上記した特定のモル
ホロジーを有する熱可塑性ポリウレタン組成物が生成さ
れ易くなり、非粘着性、溶融成形性、溶融接着性、耐摩
耗性、引張破断強度等で代表される力学的特性、柔軟
性、屈曲性、低残留歪み性などの種々の特性に優れる熱
可塑性ポリウレタン組成物を確実に得ることができる。
【0025】(水添)ブロック共重合体(b)の数平均分
子量は、50,000〜500,000の範囲内である
ことが好ましく、80,000〜300,000の範囲
内であることがより好ましい。前記した範囲内の数平均
分子量を有する(水添)ブロック共重合体(b)は、高
分子ポリオール(a−1)または高分子ポリオール(a
−1)と可塑剤(c)の含浸能(保持能)が高く、それ
によって(水添)ブロック共重合体(b)と熱可塑性ポ
リウレタン(a)との相容性がより向上して、本発明で
規定する上記した特定のモルホロジーを有する熱可塑性
ポリウレタン組成物が生成され易くなり、非粘着性、溶
融成形性、溶融接着性、耐摩耗性、引張破断強度等で代
表される力学的特性、柔軟性、屈曲性、低残留歪み性な
どの種々の特性に優れる熱可塑性ポリウレタン組成物が
得られる。なお、本明細書でいう(水添)ブロック共重
合体(b)の数平均分子量は、ゲルパーミュエーション
クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン
換算で測定した値である。
【0026】(水添)ブロック共重合体(b)は、23
0℃、2.16kg荷重下で測定したメルトインデック
スが10g/10分以下であることが好ましく、5g/
10分以下であることがより好ましく、1g/10分以
下であることがさらに好ましい。前記したメルトインデ
ックスを有する(水添)ブロック共重合体(b)は、高
分子ポリオール(a−1)または高分子ポリオール(a
−1)と可塑剤(c)の含浸能(保持能)が高く、それ
によって(水添)ブロック共重合体(b)と熱可塑性ポ
リウレタン(a)との相容性がより向上し、本発明で規
定する上記した特定のモルホロジーを有する熱可塑性ポ
リウレタン組成物が生成され易くなり、非粘着性、溶融
成形性、溶融接着性、耐摩耗性、引張破断強度等で代表
される力学的特性、柔軟性、屈曲性、低残留歪み性など
の種々の特性に優れる熱可塑性ポリウレタン組成物が得
られる。なお、本明細書でいう(水添)ブロック共重合
体(b)のメルトインデックスは、ASTM D−12
38に準拠して測定した値である。
【0027】高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1
・b・c)の調製に用いる高分子ポリオール(a−1)
としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリ
オール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポ
リカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオー
ル、ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオー
ル、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオー
ルなどを挙げることができ、これらの高分子ポリオール
は単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。
そのうちでも、ポリエステルポリオール、ポリエーテル
ポリオール、ポリオレフィン系ポリオールのうちの1種
または2種以上が好ましく用いられ、ポリエステルポリ
オールおよび/またはポリエーテルポリオールがより好
ましく用いられる。
【0028】上記のポリエステルポリオールは、例え
ば、常法にしたがって、ポリオール成分とポリカルボン
酸、そのエステル、無水物などのエステル形成性誘導体
などのポリカルボン酸成分とを直接エステル化反応また
はエステル交換反応に付すか、あるいはポリオールを開
始剤としてラクトンを開環重合することに製造すること
ができる。
【0029】ポリエステルポリオールの製造に用いるポ
リオール成分としては、ポリエステルの製造において一
般的に使用されているものを用いることができ、例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−
プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオ
ール,2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2
−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−
ジメチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナン
ジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,
8−ジメチル−1,9−ノナンジオール、1,10−デ
カンジオールなどの炭素数2〜15の脂肪族ジオール;
1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメ
タノール、シクロオクタンジメタノール、ジメチルシク
ロオクタンジメタノールなどの脂環式ジオール;1,4
−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの芳香
族二価アルコールなどの1分子当たり水酸基を2個有す
るジオール;トリメチロールプロパン、トリメチロール
エタン、グリセリン、1,2,6−ヘンサントリオー
ル、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの1分子
当たり水酸基を3個以上有するポリオールなど挙げるこ
とができる。ポリエステルポリオールの製造に当たって
は、これらのポリオールは単独で使用してもまたは2種
以上使用してもよい。
【0030】そのうちでも、ポリエステルポリオールの
製造に当たっては、2−メチル−1,4−ブタンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチ
ル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−
1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナ
ンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオー
ルなどのメチル基を側鎖として有する炭素数5〜12の
脂肪族ジオールを用いるのが好ましく、特にこれらの分
岐脂肪族ジオールを、ポリエステルポリオールの製造に
用いる全ジオール成分の30モル%以上、更には50モ
ル%以上の割合で用いるのが好ましい。
【0031】ポリエステルポリオールの製造に用いるポ
リカルボン酸成分としては、ポリエステルの製造におい
て一般的に使用されているポリカルボン酸成分を使用で
き、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメ
リン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カン二酸、メチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3
−メチルグルタル酸、トリメチルアジピン酸、2−メチ
ルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7
−ジメチルデカン二酸などの炭素数4〜12の脂肪族ジ
カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー
酸、水添ダイマー酸などの脂環式ジカルボン酸;テレフ
タル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット
酸、ピロメリット酸などの3官能以上のポリカルボン
酸;あるいはそれらのエステル形成性誘導体などを挙げ
ることができる。これらのポリカルボン酸は、単独で使
用してもまたは2種以上を併用してもよい。そのうちで
も、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸、特にアジピ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸の1種または2種以上
が好ましく用いられる。
【0032】また、ポリエステルポリオールの製造に用
いる前記のラクトンとしては、ε−カプロラクトン、β
−メチル−δ−バレロラクトンなどを挙げることができ
る。
【0033】また、高分子ポリオール含浸組成物(a−
1・b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a
−1・b・c)の調製に用い得るポリエーテルポリオー
ルとしては、例えば、ポリオールの存在下に、環状エー
テルを開環重合して得られるポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコ
ール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などを
挙げることができ、これらの1種または2種以上を用い
ることができる。そのうちでも、ポリテトラメチレング
リコールおよび/またはポリ(メチルテトラメチレン)
グリコールが好ましく用いられる。
【0034】高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1
・b・c)の調製に用い得るポリカーボネートポリオー
ルとしては、例えば、ポリオールとジアルキルカーボネ
ート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネー
トなどのカーボネート化合物との反応により得られるも
のを挙げることができる。ポリカーボネートポリオール
を構成するポリオールとしては、ポリエステルポリオー
ルの構成成分として先に例示したポリオールを用いるこ
とができる。また、ジアルキルカーボネートとしてはジ
メチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、ア
ルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートな
ど、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボ
ネートなどを挙げることができる。
【0035】高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1
・b・c)の調製に用い得るポリエステルポリカーボネ
ートポリオールとしては、例えば、ポリオール、ポリカ
ルボン酸およびカーボネート化合物を同時に反応させて
得られたもの、或いは予め上記した方法によりポリエス
テルポリオールおよびポリカーボネートポリオールをそ
れぞれ合成し、次いでそれらをカーボネート化合物と反
応させるか、またはポリオールおよびポリカルボン酸と
反応させることによって得られたものなどを挙げること
ができる。
【0036】高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1
・b・c)の調製に用い得る共役ジエン重合体系ポリオ
ールまたはポリオレフィン系ポリオールの例としては、
重合開始剤の存在下に、ブタジエン、イソプレンなどの
共役ジエン、またはそれらと他のモノマーをリビング重
合した後に、重合活性末端にヒドロキシル基含有エポキ
シ化合物を反応させて得られる、ポリイソプレンポリオ
ール、ポリブタジエンポリオール、ポリ(ブタジエン/
イソプレン)ポリオール、ポリ(ブタジエン/アクリロ
ニトリル)ポリオール、ポリ(ブタジエン/スチレン)
ポリオール、或いはそれらの水素添加物などを挙げるこ
とができ、これらの1種または2種以上を用いることが
できる。
【0037】高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1
・b・c)の調製に用いる高分子ポリオール(a−1)
の数平均分子量は、500〜8,000の範囲内である
ことが好ましく、600〜5,000の範囲内であるこ
とがより好ましく、800〜5,000の範囲内である
ことがさらに好ましい。前記の数平均分子量を有する高
分子ポリオール(a−1)は、(水添)ブロック共重合
体(b)との親和性に優れていて、(水添)ブロック共
重合体(b)中に良好に含浸し、それによって(水添)
ブロック共重合体(b)と熱可塑性ポリウレタン(a)
との相容性が向上し、本発明で規定する上記した特定の
モルホロジーを有する熱可塑性ポリウレタン組成物が生
成され易くなり、非粘着性、溶融成形性、溶融接着性、
耐摩耗性、引張破断強度等で代表される力学的特性、柔
軟性、屈曲性、低残留歪み性などの種々の特性に優れる
熱可塑性ポリウレタン組成物が得られる。なお、本明細
書でいう高分子ポリオール(a−1)の数平均分子量は、
JISK−1577に準拠して測定した水酸基価に基づ
いて算出した数平均分子量である。
【0038】また、高分子ポリオール(a−1)として
は、100℃で液状を呈するものが好ましく用いられ、
60℃で液状を呈するものがより好ましく用いられ、4
0℃で液状を呈するものが一層好ましく用いられ、20
℃で液状を呈するするものがさらに好ましく用いられ
る。より低温で液状を呈する高分子ポリオール(a−
1)は(水添)ブロック共重合体(b)中に浸透し易い
ため、高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)およ
び高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・
c)の生成が円滑になり、それによって(水添)ブロッ
ク共重合体(b)と熱可塑性ポリウレタン(a)との相
容性が向上し、本発明で規定する上記した特定のモルホ
ロジーを有する熱可塑性ポリウレタン組成物が生成され
易くなり、非粘着性、溶融成形性、溶融接着性、耐摩耗
性、引張破断強度等で代表される力学的特性、柔軟性、
屈曲性、低残留歪み性などの種々の特性に優れる熱可塑
性ポリウレタン組成物が得られる。
【0039】さらに、高分子ポリオール(a−1)とし
ては、80℃における粘度が0.01〜100ポイズの
範囲内のものが好ましく用いられる。高分子ポリオール
(a−1)が前記の範囲内の粘度を有することにより、
(水添)ブロック共重合体(b)中への浸透が容易にな
って高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)および
高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)
の生成が確実になり、(水添)ブロック共重合体(b)
と熱可塑性ポリウレタン(a)との相容性が向上し、本
発明で規定する上記した特定のモルホロジーを有する熱
可塑性ポリウレタン組成物が生成され易くなり、非粘着
性、溶融成形性、溶融接着性、耐摩耗性、引張破断強度
等で代表される力学的特性、柔軟性、屈曲性、低残留歪
み性などの種々の特性に優れる熱可塑性ポリウレタン組
成物が得られる。
【0040】また、高分子ポリオール(a−1)は、1
分子当たりの水酸基数が2.0〜2.1の範囲内にある
のが好ましく、2.0〜2.07の範囲内にあるのがよ
り好ましく、2.005〜2.05の範囲内にあるのが
さらに好ましい。高分子ポリオール(a−1)における
1分子当たりの水酸基数が前記範囲内にあると、次の工
程(ii)のポリウレタン形成反応時に、熱可塑性ポリウ
レタンの形成が円滑に行われて、その結果、熱可塑性ポ
リウレタン(a)と(水添)ブロック共重合体(b)と
の相容化が十分に達成されて、本発明で規定する上記し
た特定のモルホロジーを有する熱可塑性ポリウレタン組
成物が生成され易くなり、溶融成形性、非粘着性、耐摩
耗性、力学的特性などにより優れる熱可塑性ポリウレタ
ン組成物を得ることができる。高分子ポリオール含浸組
成物(a−1・b)および高分子ポリオール可塑剤含浸
組成物(a−1・b・c)の調製に当たっては、1分子
当たり2個の水酸基を有する高分子ポリオールのみを用
いても、または1分子当たり2個の水酸基を有する高分
子ポリオールと1分子当たり2個よりも多い水酸基を有
する高分子ポリオールとを全体の水酸基数が1分子当た
り平均して前記した2.0〜2.1の範囲内になるよう
な割合で混合して用いてもよい。
【0041】本発明では、非粘着性、溶融成形性、溶融
接着性、耐摩耗性、引張破断強度等で代表される力学的
特性、柔軟性、屈曲性、低残留歪み性などの種々の特性
に優れる熱可塑性ポリウレタン組成物を得るために、高
分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または高分子
ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)の調製
に際して、高分子ポリオール(a−1)と(水添)ブロ
ック共重合体(b)を、高分子ポリオール(a−1):
(水添)ブロック共重合体(b)=35:65〜90:
10の重量比で用いることが必要であり、高分子ポリオ
ール(a−1):(水添)ブロック共重合体(b)=4
0:60〜80:20の重量比で用いることが好まし
く、高分子ポリオール(a−1):(水添)ブロック共
重合体(b)=50:50〜75:25の重量比で用い
ることがより好ましい。
【0042】高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1
・b・c)の調製に当たって、高分子ポリオール(a−
1)の使用割合が、高分子ポリオール(a−1)と(水
添)ブロック共重合体(b)の合計重量に基づいて、3
5重量%未満であると、相容化剤として機能する高分子
ポリオール(a−1)が(水添)ブロック共重合体
(b)中に十分に含浸せず、相容化効果の高い高分子ポ
リオール含浸組成物(a−1・b)および高分子ポリオ
ール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)が得られなく
なり、その結果、上記(ii)のポリウレタン形成反応で
得られる熱可塑性ポリウレタン組成物中で、熱可塑性ポ
リウレタン(a)と(水添)ブロック共重合体(b)と
が、または熱可塑性ポリウレタン(a)と(水添)ブロ
ック共重合体(b)および可塑剤(c)とは、本発明で
規定する上記した特定のモルホロジーにならず、熱可塑
性ポリウレタン(a)と(水添)ブロック共重合体
(b)との相容化が十分に達成されず、非粘着性、溶融
成形性、溶融接着性、耐摩耗性、引張破断強度等で代表
される力学的特性、柔軟性、屈曲性、低残留歪み性など
の種々の特性に優れる熱可塑性ポリウレタン組成物が得
られなくなる。一方、高分子ポリオール含浸組成物(a
−1・b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物
(a−1・b・c)の調製に当たって、高分子ポリオー
ル(a−1)の使用割合が、高分子ポリオール(a−1)
と(水添)ブロック共重合体(b)の合計重量に基づい
て、90重量%を超えると、生成する熱可塑性ポリウレ
タン組成物の粘着性がやはり大きくなり、取り扱い性、
溶融成形性が不良になるなどの不都合を生じる。
【0043】ここで、本発明でいう「高分子ポリオール
(a−1)が(水添)ブロック共重合体(b)中に含浸
している」とは、高分子ポリオール(a−1)と(水
添)ブロック共重合体(b)とが配合直後の単なる混合
状態や濡れ状態にあるのではなく、高分子ポリオール
(a−1)が(水添)ブロック共重合体(b)中に十分
に浸透していて、高分子ポリオール(a−1)が単独で
液状を呈する温度において、高分子ポリオール(a−
1)と(水添)ブロック共重合体(b)の単なる混合物
が呈していた高分子ポリオール(a−1)による流動性
が消失して、液状を呈さない一様な高分子ポリオール含
浸組成物(a−1・b)または高分子ポリオール可塑剤
含浸組成物(a−1・b・c)となっている状態を意味
する。なお、本明細書でいう上記液状とは、危険物の規
制に関する規則第69条の2「液状の定義」に準拠して
評価した状態をいう。すなわち、垂直にした試験管(内
径30mm、高さ120mmの平底円筒型のガラス製の
もの)に、試験サンプルを試験管の底からの高さが55
mmとまで入れ、当該試験管を水平にした場合に、当該
試験サンプルの移動面の先端が、試験管の底からの距離
が85mmの部分を通過するまでの時間が90秒以内で
あるものを液状と定義する。高分子ポリオールが室温で
液状である場合には、室温条件下に上記の液状確認試験
を実施し、また高分子ポリオールが室温で液状でない場
合には、液状になる温度条件で上記の液状確認試験を実
施することとする。高分子ポリオール含浸組成物(a−
1・b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a
−1・b・c)の調製時の高分子ポリオール(a−1):
(水添)ブロック共重合体(b)の使用割合が上記した
35:65〜90:10の重量比の範囲から外れると、
液状を呈さない高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1
・b・c)が得られなくなる。
【0044】本発明で用いる高分子ポリオール含浸組成
物(a−1・b)および高分子ポリオール可塑剤含浸組
成物(a−1・b・c)において、高分子ポリオール
(a−1)の流動性が消失する理由は明確ではないが、
(水添)ブロック共重合体がパラフィン系オイルを吸収
する現象と同様に、高分子ポリオール(a−1)と(水
添)ブロック共重合体(b)を上記特定の割合で用いる
と、高分子ポリオール(a−1)が(水添)ブロック共
重合体(b)中のゴム部分[すなわち(水添)共役ジエ
ン系重合体ブロック部分]に優先的にかつ十分に浸透し
て、高分子ポリオール(a−1)が液状を呈する温度に
おいて本来有している流動性が消失するものと推測され
る。
【0045】高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)または高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1
・b・c)を調製するに当たって、高分子ポリオール
(a−1)と(水添)ブロック共重合体(b)を前記し
た35:65〜90:10の重量比で用いる限りは、熱
可塑性ポリウレタンの形成に必要な高分子ポリオール
(a−1)の全量を高分子ポリオール含浸組成物(a−1
・b)または高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−
1・b・c)の調製時に用いても、或いは熱可塑性ポリ
ウレタンの形成に必要な高分子ポリオール(a−1)の
一部を高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)また
は高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・
c)の調製時に用い、残りの高分子ポリオール(a−
1)を工程(ii)のポリウレタン形成反応時に用いても
よい。
【0046】また、本発明では、高分子ポリオール(a
−1)と(水添)ブロック共重合体(b)の合計100
重量部に対して、可塑剤(c)を0.1〜200重量部
の割合で用いて高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a
−1・b・c)を調製する。可塑剤(c)の使用割合
が、高分子ポリオール(a−1)と(水添)ブロック共
重合体(b)の合計100重量部に対して200重量部
を超えると、得られる熱可塑性ポリウレタン組成物の非
粘着性、溶融成形性、耐摩耗性、屈曲性、引張破断強度
などの力学的特性が低下し、しかも粘着テープなどによ
る接着性も低下する。可塑剤(c)の使用量の下限は特
に制限されないが、0.1重量部以上が好ましく、非粘
着性、溶融成形性、溶融接着性、耐摩耗性、引張破断強
度等で代表される力学的特性、低残留歪み性などとと共
に、柔軟性、伸長性などに優れる硬度の低い熱可塑性ポ
リウレタン組成物、特にJIS A硬度が70以下の熱
可塑性ポリウレタン組成物を得たい場合、また極性の低
い樹脂に対する熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融接着
性をより向上させたい場合は、高分子ポリオール可塑剤
含浸組成物(a−1・b・c)の調製に用いる高分子ポ
リオール(a−1)および(水添)ブロック共重合体
(b)の合計100重量部に対して可塑剤(c)を10
〜200重量部の割合で用いることがより好ましく、2
0〜150重量部の割合で用いることがさらに好まし
い。
【0047】高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−
1・b・c)の調製時に用いる可塑剤(c)としては、
熱可塑性ポリウレタン(a)および(水添)ブロック共
重合体(b)に対して可塑化効果を有する公知の化合物
のいずれもが使用でき、例えば、流動パラフィンを含む
パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素油、芳香族
系炭化水素油などの炭化水素系油類;落花生油、ロジン
などの植物油類;リン酸エステル類;フタル酸エステル
類;アジピン酸エステル類;トリメリット酸エステル
類;塩素化パラフィン類;シリコーンオイル類;液状ポ
リイソプレンまたはその水素添加物、液状ポリブタジエ
ンまたはその水素添加物、液状ポリイソブチレンなどの
可塑化能を有する液状ポリマー類やその変性物などを挙
げることができ、これらの1種または2種以上を用いる
ことができる。
【0048】高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−
1・b・c)では、高分子ポリオール(a−1)および可
塑剤(c)が(水添)ブロック共重合体(b)中に含浸
して、液状を呈さない高分子ポリオール可塑剤含浸組成
物(a−1・b・c)を生成している。
【0049】高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)および/または高分子ポリオール可塑剤含浸組成物
(a−1・b・c)の調製に当たっては、本発明の効果
を損なわない範囲で、必要に応じて他の成分を添加して
もよく、他の成分の例としては、ポリウレタンの製造に
おいて通常使用されている触媒、反応促進剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上剤、安定剤などを
挙げることができる。
【0050】非粘着性の高分子ポリオール含浸組成物
(a−1・b)または高分子ポリオール可塑剤含浸組成
物(a−1・b・c)が得られる限りは、高分子ポリオ
ール含浸組成物(a−1・b)および高分子ポリオール
可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)の調製法は特に制
限されない。例えば、高分子ポリオール(a−1)、
(水添)ブロック共重合体(b)および場合により可塑
剤(c)を上記した特定の割合で用いて、必要に応じて
他の成分と共に、樹脂材料の混合に通常用いられている
ような縦型または水平型の混合機を用いて予備混合した
後、単軸または二軸の押出機、ミキシングロール、バン
バリーミキサーなどを用いて、回分式または連続式で一
般に150〜250℃で加熱下に溶融混合することによ
って高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または
高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)
を調製することができる。また、溶融混合する場合に比
べて多少時間はかかるが、高分子ポリオール(a−
1)、(水添)ブロック共重合体(b)および場合によ
り可塑剤(c)を上記した特定の割合で混合し、必要に
応じて更に他の成分を添加して、液状を呈さない含浸組
成物が得られるまで、非加熱下(室温下)に該混合物を
混練または静置して、高分子ポリオール含浸組成物(a
−1・b)または高分子ポリオール可塑剤含浸組成物
(a−1・b・c)を調製してもよい。
【0051】次いで、前記の工程(ii)で、上記で調製
した高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または
高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)
を、有機ジイソシアネート化合物および鎖伸長剤と混合
してポリウレタン形成反応を行うか[ポリウレタンの形
成に必要な高分子ポリオール(a−1)の全量を高分子
ポリオール含浸組成物(a−1・b)または高分子ポリ
オール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)の調製に用
いた場合];或いは、上記で調製した高分子ポリオール
含浸組成物(a−1・b)または高分子ポリオール可塑
剤含浸組成物(a−1・b・c)を、有機ジイソシアネ
ート化合物、高分子ポリオール(a−1)および鎖伸長
剤と混合してポリウレタン形成反応を行って[ポリウレ
タンの形成に必要な高分子ポリオール(a−1)の一部
のみを高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)また
は高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・
c)の調製に用いた場合];目的とする熱可塑性ポリウ
レタン組成物を製造する。
【0052】ポリウレタン形成反応に当たっては、反応
系に存在する活性水素原子:イソシアネート基のモル比
が1:0.9〜1.3の範囲内、好ましくは1:0.95
〜1.10になるようにして、高分子ポリオール含浸組
成物(a−1・b)または高分子ポリオール可塑剤含浸
組成物(a−1・b・c)と有機ジイソシアネート化合
物および鎖伸長剤の使用量を調節するか、或いは高分子
ポリオール含浸組成物(a−1・b)または高分子ポリ
オール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)と、高分子ポ
リオール(a−1)、有機ジイソシアネート化合物およ
び鎖伸長剤の使用量を調節して反応を行うことが、非粘
着性、溶融成形性、溶融接着性、耐摩耗性、引張破断強
度等で代表される力学的特性、柔軟性、屈曲性、低残留
歪み性などの種々の特性に優れる熱可塑性ポリウレタン
組成物が得られる点から望ましい。
【0053】ポリウレタンの形成に必要な高分子ポリオ
ール(a−1)の全量を高分子ポリオール含浸組成物
(a−1・b)または高分子ポリオール可塑剤含浸組成
物(a−1・b・c)の調製に用い、そのためポリウレ
タン形成反応を高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)または高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1
・b・c)、有機ジイソシアネート化合物および鎖伸長
剤の3者を混合して行う場合は、一般に、高分子ポリオ
ール含浸組成物(a−1・b)または高分子ポリオール
可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)中に含まれる高分
子ポリオール(a−1)および鎖伸長剤が有している活
性水素原子の合計モル数と、有機ジイソシアネート化合
物が有しているイソシアネート基とのモル数との比が、
上記の1:0.9〜1.3の範囲内になるようにすれば
よい。また、ポリウレタンの形成に必要な高分子ポリオ
ール(a−1)の一部を高分子ポリオール含浸組成物
(a−1・b)または高分子ポリオール可塑剤含浸組成
物(a−1・b・c)の調製に用い、残りの高分子ポリ
オール(a−1)をポリウレタン形成反応時に用いる場
合は、一般に、高分子ポリオール含浸組成物(a−1・
b)または高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1
・b・c)中に含まれる高分子ポリオール(a−1)、
鎖伸長剤およびポリウレタン形成反応時に添加する高分
子ポリオール(a−1)が有している活性水素原子の合
計モル数と、有機ジイソシアネート化合物が有している
イソシアネート基とのモル数との比が、上記1:0.9
〜1.3の範囲内になるようにすればよい。
【0054】ポリウレタン形成反応で用いる有機ジイソ
シアネート化合物の種類は特に制限されず、熱可塑性ポ
リウレタンの製造に従来から用いられている有機ジイソ
シアネート化合物のいずれもが使用でき、例えば、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジ
イソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシア
ネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどの脂
肪族または脂環式ジイソシアネートなどを挙げることが
できる。これらの有機ジイソシアネート化合物は単独で
使用してもまたは2種以上を併用してもよい。そのうち
でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが
好ましく用いられる。
【0055】ポリウレタン形成反応で用いる鎖伸長剤と
しては、熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から用いら
れている鎖伸長剤のいずれもが使用でき、そのうちでも
イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に
2個以上有する分子量300以下の低分子化合物が好ま
しい。そのような鎖伸長剤の例としては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒ
ドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサン
ジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレー
ト、キシリレングリコールなどのジオール類;ヒドラジ
ン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレ
ンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびそ
の誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キ
シレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル
酸ジヒドラジドなどのジアミン類;アミノエチルアルコ
ール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコー
ル類などを挙げることができる。これらの鎖伸長剤は単
独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。これ
らのうちでも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが好ま
しく用いられ、1,4−ブタンジオールがより好ましく
用いられる。
【0056】また、高分子ポリオール含浸組成物(a−
1・b)または高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a
−1・b・c)の調製時にポリウレタンの形成に必要な
高分子ポリオール(a−1)の一部のみを用い、残りの
高分子ポリオール(a−1)をポリウレタン形成反応時
に用いる場合は、高分子ポリオール(a−1)として、
高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または高分
子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)の調
製において上述したのと同様の高分子ポリオールの1種
または2種以上を用いることができる。その場合に、高
分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または高分子
ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)の調製
に用いた高分子ポリオール(a−1)と、ポリウレタン
形成反応で用いる高分子ポリオール(a−1)は、同じ
であってもまたは異なっていてもよい。そのうちでも、
高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または高分
子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)の調
製時に好ましく用いられるとした高分子ポリオールをポ
リウレタン形成反応でも用いるのが望ましい。
【0057】ポリウレタン形成反応時または反応後に、
本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、補
強剤、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐
加水分解性向上剤、防かび剤、抗菌剤、安定剤などの各
種添加剤;ガラス繊維、ポリエステル繊維などの各種繊
維;タルク、シリカなどの無機物;各種カップリング剤
などの任意の成分を添加してもよい。
【0058】ポリウレタン形成反応は、公知のウレタン
化技術のいずれを採用して行ってもよく、プレポリマー
法またはワンショット法のいずれも採用できる。本発明
で採用し得るポリウレタン形成反応の具体例としては、
以下の〜の方法を挙げることができる。 高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または
高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)
に鎖伸長剤を混合するかまたは鎖伸長剤と高分子ポリオ
ール(a−1)を混合して40〜100℃に加熱し、得
られた混合物に、該混合物における活性水素原子とイソ
シアネート基のモル比が好ましくは1:0.9〜1.3
となる量で有機ジイソシアネート化合物を添加して短時
間撹拌した後、例えば50〜160℃に加熱して熱可塑
性ポリウレタン組成物を製造する方法。 高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または
高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)
に、鎖伸長剤と有機ジイソシアネート化合物、または鎖
伸長剤、有機ジイソシアネート化合物および高分子ポリ
オール(a−1)を、活性水素原子とイソシアネート基
のモル比が好ましくは1:0.9〜1.3となる量で混
合して、例えば180〜260℃の高温で混練して熱可
塑性ポリウレタン組成物を製造する方法。
【0059】 多軸スクリュー型押出機などの押出機
に、高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または
高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)
と共に、鎖伸長剤と有機ジイソシアネート化合物、また
は鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物および高分子
ポリオール(a−1)を、活性水素原子とイソシアネー
ト基のモル比が好ましくは1:0.9〜1.3となる量
で連続的に供給して、例えば180〜260℃の高温で
連続溶融重合して熱可塑性ポリウレタン組成物を製造す
る方法。 高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または
高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)
と、鎖伸長剤と有機ジイソシアネート化合物、または鎖
伸長剤、有機ジイソシアネート化合物および高分子ポリ
オール(a−1)を、活性水素原子とイソシアネート基
のモル比が好ましくは1:0.9〜1.3となる量で、
有機溶媒中に加えて有機溶媒中でポリウレタン形成反応
を行って、熱可塑性ポリウレタン組成物を製造する方
法。
【0060】これらの方法のうちでも、有機溶媒を用い
ない上記〜の方法が好ましく採用され、特に上記
の押出機を用いる連続溶融重合法が、目的とする熱可塑
性ポリウレタン組成物を生産性良く製造できるので望ま
しい。
【0061】本発明では、ポリウレタン形成反応後に生
成する熱可塑性ポリウレタン組成物中に含まれる熱可塑
性ポリウレタン(a):(水添)ブロック共重合体
(b)の割合が、好ましくは95:5〜40:60の範
囲内、より好ましくは90:10〜50:50の範囲内
になるようにして、上記(i)の高分子ポリオール含浸
組成物(a−1・b)または高分子ポリオール可塑剤含
浸組成物(a−1・b・c)の調製工程および上記(i
i)のポリウレタン形成反応で用いる各成分、すなわち
(水添)ブロック共重合体(b)、高分子ポリオール
(a−1)、有機ジイソシアネート化合物および鎖伸長
剤の使用割合を調節するのがよい。熱可塑性ポリウレタ
ン(a)と(水添)ブロック共重合体(b)の含有割合
が前記の範囲内にあると、本発明で規定する上記した特
定のモルホロジーを有する熱可塑性ポリウレタン組成物
が生成され易くなり、溶融成形性、非粘着性、耐摩耗
性、力学的特性、耐水性、耐油性、その他の特性に優れ
る熱可塑性ポリウレタン組成物を確実に得ることができ
る。
【0062】熱可塑性ポリウレタン(a)と(水添)ブ
ロック共重合体(b)の合計重量に基づいて、熱可塑性
ポリウレタン(a)の含有量が40重量%未満である
[(水添)ブロック共重合体(b)の含有量が60重量
%を超える]と、本発明で規定する上記した特定のモル
ホロジーを有する熱可塑性ポリウレタン組成物が得られ
にくくなり、極性の高い重合体に対する熱可塑性ポリウ
レタン組成物の溶融接着性が低下し、しかも耐摩耗性や
力学的特性に優れる熱可塑性ポリウレタン組成物を得る
ことが困難になり易い。一方、熱可塑性ポリウレタン
(a)と(水添)ブロック共重合体(b)の合計重量に
基づいて、熱可塑性ポリウレタン(a)の含有量が95
重量%を超える[(水添)ブロック共重合体(b)の割
合が5重量%未満である]と、本発明で規定する上記し
た特定のモルホロジーを有する熱可塑性ポリウレタン組
成物が得られにくくなり、極性の低い重合体に対する熱
可塑性ポリウレタンの溶融接着性が低下し、しかも非粘
着性、耐水性などに優れる熱可塑性ポリウレタン組成物
を得ることが困難になり易い。
【0063】また、本発明において、可塑剤(c)を含
有する熱可塑性ポリウレタン組成物を製造する場合は、
生成する熱可塑性ポリウレタン組成物中での可塑剤
(c)の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(a)並びに
(水添)ブロック共重合体(b)の合計100重量部に
対して60重量部以下になるように、上記(i)の高分
子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)の調
製工程および上記(ii)のポリウレタン形成反応を行う
ことが、本発明で規定する上記した特定のモルホロジー
を有する熱可塑性ポリウレタン組成物が生成され易くな
り、溶融成形性、非粘着性、耐摩耗性、力学的特性、柔
軟性などに優れる熱可塑性ポリウレタン組成物を得る上
で望ましい。熱可塑性ポリウレタン(a)および(水
添)ブロック共重合体(b)の合計100重量部に対し
て可塑剤(c)の含有量が60重量部を超えると、熱可
塑性ポリウレタン組成物の溶融成形性や得られる成形品
の耐摩耗性、溶融接着性などが低下する。
【0064】さらに、本発明では、ポリウレタン形成反
応後に得られる熱可塑性ポリウレタン組成物の硬度(J
IS A硬度)が98A以下になるようにして、高分子
ポリオール含浸組成物(a−1・b)または高分子ポリ
オール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)の調製工程
(i)およびポリウレタン形成反応(ii)を行うのが望
ましい。熱可塑性ポリウレタン組成物のJIS A硬度
が98Aよりも高いと、溶融成形性が不十分になり、成
形品の製造が円滑に行われにくくなる。
【0065】また、本発明では、ポリウレタン形成反応
後に得られる熱可塑性ポリウレタン組成物の対数粘度
(η inh)が好ましくは0.5dl/g以上より
好ましくは0.7dl/g以上、さらに好ましくは0.
9dl/g以上、一層好ましくは1.1dl/g以上に
なるようにして、高分子ポリオール含浸組成物(a−1
・b)または高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−
1・b・c)の調製工程(i)およびポリウレタン形成
反応(ii)を行うのが望ましい。熱可塑性ポリウレタン
組成物の対数粘度(η inh)が0.5dl/gより
も低いと、熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融成形性や
得られる成形品の耐摩耗性、力学的特性などが低下し易
い。なお、本明細書でいう熱可塑性ポリウレタン組成物
または熱可塑性ポリウレタンの対数粘度(η inh)
は、以下の実施例の項に記載する方法で測定した値を意
味する。
【0066】本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物は、
溶融成形性に優れており、射出成形、押出成形、インフ
レーション成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス
成形、注型などの任意の成形方法によって種々の成形品
を円滑に成形することができる。特に、本発明の熱可塑
性ポリウレタン組成物は、非粘着性で且つ溶融成形性に
優れているので、例えば、射出成形などにより成形品を
製造する際に、金型からの成形品の離型が良好であり、
しかも金型内での樹脂の流れ斑による成形品表面の不良
(気泡や流れ模様の発生)が防止され、成形品同士の膠
着がなく、高品質の成形品を生産性良く製造することが
できる。また、例えば、押出成形などによるフィルムや
シートを製造する際に、離型剤や離型シートなどを用い
ることなく単独で巻き取ることが可能になり、しかも巻
き取ったフィルムやシートは巻き返しが可能であり、手
間がかからず生産性が高く、且つコスト的にも有利であ
る。
【0067】その上、本発明の熱可塑性ポリウレタン組
成物を用いて上記した射出成形、押出成形、その他の成
形を行って得られる成形品、シート、フィルムなどの各
種成形品は、非粘着性で、耐摩耗性に優れ、引張破断強
度や引張破断伸度などで代表される力学的特性、屈曲特
性、耐油性、耐水性、弾性回復性などの特性に優れ、残
留歪みが小さく、且つ適度な柔軟性を有しており、しか
も平滑な表面を有し表面状態も良好であるので、それら
の特性を活かして、例えば、コンベアベルト、各種キー
ボード、ラミネート品、各種容器用のフィルムやシー
ト、ホース、チューブ、自動車部品、機械部品、靴底、
時計バンド、パッキング材、制振材などの各種用途に使
用することができる。
【0068】さらに、本発明の熱可塑性ポリウレタン組
成物は、前記した特性と併せて、各種素材に対して高い
溶融接着性を有し、極性の高い樹脂および極性の低い樹
脂の両方に対して溶融接着性を有する。特に極性の高い
樹脂に対しては良好な溶融接着性を示し、そのうちで
も、可塑剤(c)を含有する熱可塑性ポリウレタン組成
物は極性の高い樹脂に対してのみならず極性の低い樹脂
に対しても高い溶融接着性を示す。そのため、本発明の
熱可塑性ポリウレタン組成物は、各種積層構造体の製造
に極めて有効であり、したがって本発明は、本発明で得
られる熱可塑性ポリウレタン組成物よりなる樹脂層と他
の材料からなる層とが積層した積層構造体を本発明の範
囲に包含する。
【0069】本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物から
なる樹脂層を有する積層構造体としては、何ら限定され
るものではないが、例えば、本発明の熱可塑性ポリウレ
タン組成物からなる1つの樹脂層と他の材料からなる1
つの層が積層した2層構造体、他の材料からなる2つの
表面層(表裏面層)の間に本発明の熱可塑性ポリウレタ
ン組成物からなる樹脂層が中間層として存在する3層構
造体、他の材料からなる1つの層の表裏面に本発明の熱
可塑性ポリウレタン組成物からなる樹脂が積層した3層
構造体、本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物よりなる
樹脂層と他の1種または2種以上の材料からなる層が交
互に4層以上に積層した多層構造体などを挙げることが
でき、それらの積層構造体のいずれもが本発明の範囲に
包含される。その際に、本発明の熱可塑性ポリウレタン
組成物よりなる樹脂と積層する上記した他の材料として
は、本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物以外の他の各
種熱可塑性樹脂またはその組成物、熱硬化性樹脂、紙、
布帛、金属、木材、セラミックスなどを挙げることがで
きる。
【0070】上記した積層構造体の製法は特に制限され
ず、例えば、前記した他の材料を本発明の熱可塑性ポリ
ウレタン組成物で溶融被覆して積層構造体を製造する方
法、2つ以上の他の材料の間に本発明の熱可塑性ポリウ
レタン組成物を溶融下に導入して接着・一体化させる方
法、他の材料を金型内に配置(インサート)した状態で
本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物を溶融下に金型内
に充填して接着・一体化させる方法、他の材料が熱可塑
性である場合は本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物と
他の材料を共押出成形して接着・一体化させる方法、ま
た他の材料と本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物とを
接着剤を用いて接着・一体化させる方法などを採用する
ことができる。
【0071】本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物は、
上述のように、極性の高い樹脂および極性の低い樹脂の
両方に対して良好な溶融接着性を示し、特に極性の高い
樹脂に対する溶融接着性に優れており、例えば、ポリア
ミド樹脂;ポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹
脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ア
クリル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸
ビニル共重合体ケン化物;並びに芳香族ビニル化合物と
シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフ
ィン化合物から選ばれる少なくとも1種との共重合体;
ポリスチレン系樹脂;オレフィン系重合体などの樹脂ま
たは重合体と溶融接着積層して各種の積層構造体を形成
することができる。特に可塑剤(c)を含有する本発明
の熱可塑性ポリウレタン組成物は、極性の高い樹脂だけ
ではなく、極性の低い樹脂に対して高い溶融接着性を示
す。
【0072】したがって、限定されるものではないが、
本発明の積層構造体の好ましい態様として、上述のよう
に、以下の積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)を
挙げることができる。 ・積層構造体(イ):本発明の熱可塑性ポリウレタン組
成物よりなる樹脂層(A)と、ポリアミド樹脂;ポリエ
ステル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ポリ塩化ビニル
系樹脂;ポリカーボネート樹脂;アクリル樹脂;ポリオ
キシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
化物;並びに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合
物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物から選ば
れる少なくとも1種との共重合体から選ばれる少なくと
も1種よりなる極性の高い樹脂層(B)とが、樹脂層
(A)/樹脂層(B)の形態で積層した構造を少なくと
も一部に有する積層構造体。 ・積層構造体(ロ):本発明の熱可塑性ポリウレタン組
成物よりなる樹脂層(A)と、ポリアミド樹脂;ポリエ
ステル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ポリ塩化ビニル
系樹脂;ポリカーボネート樹脂;アクリル樹脂;ポリオ
キシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
化物;並びに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合
物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物から選ば
れる少なくとも1種との共重合体から選ばれる少なくと
も1種よりなる極性の高い樹脂層(B)と、ポリスチレ
ン系樹脂およびオレフィン系重合体から選ばれる少なく
とも1種からなる極性の低い樹脂層(C)が、樹脂層
(A)を挟んで、樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層
(C)の形態で積層した構造を少なくとも一部に有する
積層構造体。
【0073】本発明の好ましい態様である上記した積層
構造体(イ)および積層構造体(ロ)について具体的に
説明する。積層構造体(イ)における樹脂層(A)は、
可塑剤(c)を含有する熱可塑性ポリウレタン組成物ま
たは可塑剤(c)を含有しない熱可塑性ポリウレタン組
成物のいずれから形成されていてもよい。また、積層構
造体(ロ)における樹脂層(A)も、可塑剤(c)を含
有する熱可塑性ポリウレタン組成物または可塑剤(c)
を含有しない熱可塑性ポリウレタン組成物のいずれから
形成されていてもよく、そのうちでも、可塑剤(c)を
含有する熱可塑性ポリウレタン組成物の方が、極性の低
い樹脂層(C)に対する溶融接着性がより高いので、積
層構造体(ロ)における樹脂層(A)を可塑剤(c)を
含有する熱可塑性ポリウレタン組成物から形成すること
が好ましい。
【0074】また、積層構造体(イ)および積層構造体
(ロ)における樹脂層(B)は、上述のように、極性の
高い、ポリアミド樹脂;ポリエステル樹脂;ポリ塩化ビ
ニリデン樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネー
ト樹脂;アクリル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物;並びに芳香族ビニ
ル化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物お
よびオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種との
共重合体から選ばれる少なくとも1種からなっている。
【0075】積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)
における樹脂層(B)を形成するポリアミド樹脂として
は、ポリマー主鎖にアミド結合(−CO−NH−)を有
し、加熱溶融が可能なものであれば特に制限されず、例
えば、3員環以上のラクタムを開環重合して得られるポ
リアミド(ポリラクタム)、ω−アミノ酸の重縮合によ
り得られるポリアミド、二塩基酸とジアミンとの重縮合
により得られるポリアミドなどを挙げることができ、こ
れらのポリアミドの1種または2種以上を用いることが
できる。その場合に、ポリアミドの原料である上記した
ラクタムの具体例としては、ε−カプロラクタム、エナ
トラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、α
−ピロリドンなどを挙げることができる。また、ポリア
ミドの原料である上記したω−アミノ酸の具体例として
は、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9
−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などを挙
げることができる。
【0076】さらに、ポリアミドの原料である上記した
二塩基酸の具体例としては、マロン酸、ジメチルマロン
酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル
酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−
シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;テレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレン
ジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、
1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,
4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’
−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカ
ルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸などを挙げることができる。上記した
ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロピ
レンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキ
サンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノ
ナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−
ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジア
ミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,
2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−
メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,
9−ノナンジアミンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキ
サンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホ
ロンジアミンなどの脂環式ジアミン;p−フェニレンジ
アミン、m−フェニレンジアミン、キシリレンジアミ
ン、キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニル
メタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,
4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミ
ンを挙げることができる。
【0077】積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)
における樹脂層(B)を形成するポリエステル樹脂とし
ては、ポリマー主鎖にエステル結合を有し、加熱溶融が
可能なものであれば特に制限されず、例えば、ジカルボ
ン酸成分とジオール成分との反応により得られるポリエ
ステル、ラクトンを開環重合して得られるポリエステル
(ポリラクトン)、ヒドロキシカルボン酸またはそのエ
ステル形成誘導体を重縮合して得られるポリエステルな
どを挙げることができる。そのうちでも、本発明ではジ
カルボン酸成分とジオール成分とから実質的に形成され
ているポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
【0078】その場合に、ポリエステル樹脂の原料であ
る上記したジカルボン酸成分の具体例としては、テレフ
タル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラ
センジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカル
ボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、テトラブ
ロモフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;グルタル酸、
アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ア
ゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサン
ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン
酸;およびそれらのエステル形成性誘導体などを挙げる
ことができる。また、ポリエステル樹脂の原料である上
記したジオール成分の具体例としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオ
ール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノンナジオ
ール、1,10−デカンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジ
オールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノ
ール、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;
ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール
などの分子量6000以下のポリアルキレングリコール
などから誘導されるジオールなどを挙げることができ
る。また、ポリエステル樹脂は、必要に応じて、例え
ば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3
官能以上の化合物から誘導される構造単位の1種または
2種以上を少量であれば有していてもよい。
【0079】積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)
における樹脂層(B)を形成するポリ塩化ビニリデン樹
脂としては、塩化ビニリデンに由来する構造単位を50
重量%以上の割合で有している樹脂が好ましく用いら
れ、70〜98重量%の割合で有している樹脂がより好
ましく用いられる。ポリ塩化ビニリデン樹脂が塩化ビニ
リデンと他の単量体との共重合体である場合には、塩化
ビニリデンと、塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリ
ル酸エステル、アクリル酸などの他の不飽和単量体の1
種または2種以上との共重合体が好ましく用いられる。
ポリ塩化ビニリデン樹脂の重合度は特に制限されない
が、一般に、重合度が100〜10,000の範囲内の
ものが好ましく用いられ、400〜5,000の範囲内
のものがより好ましく用いられる。
【0080】積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)
における樹脂層(B)を形成するポリ塩化ビニル系樹脂
としては、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルに由来す
る構造単位を70重量%以上の割合で有する塩化ビニル
と他の共重合性単量体との共重合体およびそれらの塩素
化物の1種または2種以上が好ましく用いられる。ポリ
塩化ビニル系樹脂が塩化ビニル共重合体である場合は、
塩化ビニルと、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、臭
化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、マレイ
ミドなどの共重合性単量体の1種または2種以上の共重
合体が好ましく用いられる。ポリ塩化ビニル系樹脂の重
合度は特に制限されないが、一般に、重合度が100〜
10,000の範囲内のものが好ましく用いられ、40
0〜5,000の範囲内のものがより好ましく用いられ
る。
【0081】積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)
における樹脂層(B)を形成するポリカーボネート樹脂
としては、実質的にジヒドロキシ化合物と、ホスゲン、
炭酸ジエステルまたはハロゲンホルメートとを反応させ
て得られるポリカーボネートを挙げることができる。そ
の場合に、原料であるジヒドロキシ化合物としては、例
えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(以下「ビスフェノールA」ということがある)、テ
トラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノ
ールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソ
プロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノールな
どの芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げることができ、こ
れらのうちでもビスフェノールAが好ましい。
【0082】積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)
における樹脂層(B)を形成するアクリル樹脂として
は、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構造単
位から主としてなるアクリル樹脂を挙げることができ
る。その場合に、アクリル樹脂における(メタ)アクリ
ル酸エステルから誘導される構造単位の割合が50重量
%以上であることが好ましく、80重量%以上であるこ
とがより好ましい。アクリル樹脂を構成する(メタ)ア
クリル酸エステル単位としては、例えば、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アク
リル酸のアルキルエステルから誘導される構造単位を挙
げることができ、アクリル樹脂はこれらの(メタ)アク
リル酸エステルから誘導される構造単位の1種または2
種以上を有していることができる。また、アクリル樹脂
は、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル以外の
不飽和単量体から誘導される構造単位の1種または2種
以上を有していてもよい。例えば、アクリル樹脂は、
(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量
体から誘導される構造単位を好ましくは50重量%以下
の割合で有していてもよく、またスチレン、o−メチル
スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロ
スチレンなどの芳香族ビニル化合物などから誘導される
構造単位を好ましくは10重量%以下の割合で有してい
てもよい。
【0083】積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)
における樹脂層(B)を形成するポリオキシメチレン樹
脂は、オキシメチレン基を主たる構造単位とする高分子
化合物であり、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサ
ン、テトラオキサンなどの単量体の1種または2種以上
からなる重合体;該単量体とエチレンオキサイド、プロ
ピレンオキサイド、オキサシクロブタン、1,3−ジオ
キソランなどの環状エーテルとからなる共重合体;該単
量体とβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトンなど
の環状エステルとの共重合体などを挙げることができ
る。さらに、ポリオキシメチレン樹脂の耐熱性を向上さ
せるために、例えば、末端が無水酢酸などでアセチル化
されたような末端変性ポリオキシメチレン樹脂も用いる
ことができる。
【0084】積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)
における樹脂層(B)を形成するエチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物としては、エチレン単位が20〜60
モル%の範囲内、好ましくは25〜60モル%の範囲内
で、ケン化度が95%以上のものが好ましく用いられ
る。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は、
ASTM D−1238−65Tに準拠して測定したメ
ルトインデックスが0.1〜25g/10分(190
℃、2160g荷重下で測定)の範囲内であることが、
成形性が良好であることから好ましく、0.3〜20g
/10分の範囲内であることがより好ましい。
【0085】積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)
における樹脂層(B)を形成する、シアン化ビニル化合
物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物から選ば
れる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体
において使用される芳香族ビニル化合物としては、例え
ばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロス
チレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フロ
ロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレ
ン、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、これら
の1種または2種以上が使用される。これらのうちで特
にスチレンが好ましい。また、前記共重合体において使
用されるシアン化ビニル化合物としては、例えばアクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることがで
き。そして、前記共重合体において使用される共役ジエ
ン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、2−メ
チル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3
−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエ
ン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−
1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペタンジエン類、直
鎖および側鎖共役ヘキサジエンなどを挙げることがで
き、それらの1種または2種以上を用いることができ
る。それらのうちで、1,3−ブタジエンおよび/また
は2−メチル−1,3−ブタジエンが特に好ましく用い
られる。また、前記共重合体において使用されるオレフ
ィン化合物としては、例えばエチレン、プロピレンなど
を挙げることができる。好ましい共重合体としては、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS
樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ス
チレン共重合体(AES樹脂)などを挙げることができ
る。
【0086】また、積層構造体(イ)および積層構造体
(ロ)における樹脂層(B)は、樹脂層(B)の性質を
損なわない限りは、必要に応じて、熱安定剤(例えば金
属セッケン、リン化合物、硫黄化合物、フェノール系化
合物、L−アスコルビン酸類、エポキシ化合物など)、
可塑剤(例えば脂肪族二塩基酸エステル、ヒドロキシ多
価カルボン酸エステル、脂肪酸エステル、ポリエステル
系化合物、リン酸エステルなど)、耐衝撃性付与剤(例
えばエチレン−プロピレンラバー、エチレン−プロピレ
ンターポリマー、ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、無機微粉
末、有機滑剤、分散剤、染顔料、帯電防止剤、酸化防止
剤などの1種または2種以上を含有していてもよい。
【0087】そして、積層構造体(ロ)における樹脂層
(C)は、オレフィン系重合体およびスチレン系重合体
のうちの少なくとも1種から主としてなっている。その
場合のオレフィン系重合体としては、エチレン、プロピ
レン、ブチレンなどのオレフィンの単独重合体、前記し
たオレフィンの2種以上からなるオレフィン共重合体、
または前記したオレフィンの1種または2種以上と他の
ビニル系単量体の1種または2種以上との共重合体を挙
げることができる。オレフィン系重合体の具体例として
は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(好ましくは酢酸ビニル含有量
が5〜30重量%)、エチレン−アクリル酸共重合体
(好ましくはアクリル酸含有量が5〜30重量%)、エ
チレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−
ジエン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体などを挙
げることができる。樹脂層(C)は、前記したオレフィ
ン単独重合体およびオレフィン共重合体の1種または2
種以上から形成することができる。
【0088】また、積層構造体(ロ)における樹脂層
(C)を形成するスチレン系重合体としては、スチレン
系単量体に由来する構造単位を10重量%以上含有する
重合体が好ましく用いられ、50重量%以上含有する重
合体がより好ましく用いられる。その場合のスチレン系
単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、3,4−ジ
メチルスチレンなどを挙げることができ、スチレン系重
合体は前記したスチレン系単量体の1種または2種以上
に由来する構造単位を有している。
【0089】樹脂層(C)を形成するスチレン系重合体
は、上記したスチレン系単量体に由来する構造単位と共
に、90重量%以下、好ましくは50重量%以下であれ
ば他のビニル系単量体に由来する構造単位を有していて
もよい。他のビニル系単量体としては、例えば、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル
単量体;アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチ
ル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、ヘキシル、2
−エチルヘキシル、ドデシル、オクダデシルなどの炭素
数1〜18のアルキルエステル;アクリル酸またはメタ
クリル酸のエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオールなどのジオールエステル;酢酸やプ
ロピオン酸などの炭素数1〜6のカルボン酸のビニルエ
ステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などの
不飽和カルボン酸;無水マレイン酸などの不飽和ジカル
ボン酸の無水物;アクリルアミド、メタクリルアミド、
N,N−ジメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリ
ルアミド類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−
エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シク
ロヘキシルマレイミドなどのN置換マレイミド類;ブタ
ジエン、イソプレンなどの共役ジエンなどを挙げること
ができ、スチレン系重合体はそれらのビニル系単量体の
1種または2種以上に由来する構造単位を有しているこ
とができる。そのうちでも、スチレン系重合体がスチレ
ン系単量体と他のビニル系単量体との共重合体である場
合は、スチレン系単量体と、アクリロニトリル、メタク
リル酸メチル、アクリル酸ブチル、N−フェニルマレイ
ミド、無水マレイン酸およびブタジエンの1種または2
種以上との共重合体であることが、力学的特性などの点
から好ましい。
【0090】また、樹脂層(C)を形成するスチレン系
重合体は、ゴム質重合体を含有するスチレン系重合体で
あってもよい。その場合のゴム質重合体は、ガラス転移
温度が0℃以下のものが好ましく、−20℃以下のもの
がより好ましい。そのようなゴム質重合体としては、ポ
リブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、(メ
タ)アクリル酸低級アルキルエステルを30重量%以下
の割合で含有するスチレン−ブタジエン共重合体、ポリ
イソプレン、ポリクロロプレンなどを挙げることができ
る。
【0091】樹脂層(C)を形成するスチレン系重合体
が含有し得る他のゴム質重合体としては、アクリルゴム
を挙げることができ、その際のアクリルゴムとしては、
アクリル酸の炭素数1〜8のアルキルエステル、特にア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチルおよび/またはアク
リル酸2−エチルヘキシルから誘導される構造単位より
主としてなるアクリル酸アルキルゴムが好ましい。アク
リル酸アルキルゴムは、場合により30重量%以下の量
で酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリ
ロニトリル、ビニルエーテルなどの他の単量体に由来す
る構造単位を有していてもよい。また場合によっては5
重量%以下の割合でアルキレンジオール(メタ)アクリ
レート、ジビニルベンゼン、シアヌル酸トリアリルなど
の架橋性不飽和単量体に由来する構造単位を有していて
もよい。
【0092】樹脂層(C)を形成するスチレン系重合体
が含有することのできるゴム質重合体としては、上記以
外にも、例えばエチレン−プロピレン−エチリデンノル
ボルネン共重合体などのようなエチレン−プロピレン−
非共役ジエン系共重合体ゴム、スチレン系重合体ブロッ
ク−ブタジエン系重合体ブロックからなるブロック共重
合体の水素添加物、スチレン系重合体ブロック−イソプ
レン系重合体ブロックからなるブロック共重合体の水素
添加物などを挙げることができる。また、樹脂層(C)
を形成するスチレン系重合体が含有することのできるゴ
ム質重合体としては、上記で挙げた各種のゴム質重合体
にスチレン系単量体やその他の各種の不飽和単量体をグ
ラフト重合してなるグラフト共重合体を挙げることがで
きる。
【0093】樹脂層(C)を形成するスチレン系重合体
がゴム質重合体を含有するものである場合は、上記した
種々のゴム質重合体のうちでも、ポリブタジエン、スチ
レン−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸ブチル系ゴ
ム、およびエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合
体のうちの1種または2種以上を含有するスチレン系重
合体であることが好ましい。
【0094】また、場合によっては、積層構造体(ロ)
における樹脂層(C)は、上記したオレフィン系重合体
の1種または2種以上と、上記したスチレン系重合体の
1種または2種以上とを含有する重合体組成物からなっ
ていてもよい。更に、樹脂層(C)は、その本来の特性
の妨げにならない限りは、必要に応じて、熱安定剤、光
安定剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、離型
剤、難燃剤、紫外線吸収剤等の添加剤の1種または2種
以上を含有していてもよい。
【0095】本発明の積層構造体(イ)および積層構造
体(ロ)では、各層の厚さは特に制限されず、各層を構
成する重合体の種類、積層構造体(イ)および積層構造
体(ロ)における全体の層数、積層構造体(イ)および
積層構造体(ロ)の用途などに応じて調節し得るが、一
般には、樹脂層(A)の厚さを1μm〜5mm、樹脂層
(B)の厚さを10μm〜5mm、樹脂層(C)の厚さ
を10μm〜5mmにしておくことが、積層構造体
(イ)および積層構造体(ロ)の製造の容易性、層間接
着力などの点から好ましい。
【0096】本発明の積層構造体(イ)および積層構造
体(ロ)における全体の層数は特に制限されず、樹脂層
(A)/樹脂層(B)の積層構造を少なくとも一部に有
する積層構造体(イ)、および樹脂層(B)/樹脂層
(A)/樹脂層(C)の順に積層している構造を少なく
とも一部に有する積層構造体(ロ)である限りはいずれ
でもよい。また、積層構造体(イ)は樹脂層(A)と樹
脂層(B)の2者から形成されていても、積層構造体
(ロ)は樹脂層(B)、樹脂層(A)および樹脂層
(C)の3者のみから形成されていても、またはそれら
の層と共に他の材料からなる層(例えば他のポリマー、
紙、布帛、金属、セラミック、木材などからなる層)の
1つまたは2つ以上を有していてもよい。
【0097】何ら限定されるものではないが、積層構造
体(イ)の例としては、樹脂層(A)/樹脂層(B)か
らなる2層構造;樹脂層(B)/樹脂層(A)/他の重
合体層からなる3層構造物;(紙、布帛または金属)/
樹脂層(A)/樹脂層(B)からなる3層構造物;樹脂
層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)
からなる4層構造物;樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹
脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B)からなる5層
構造物;(紙、布帛または金属)/樹脂層(A)/樹脂
層(B)/樹脂層(A)/(紙、布帛または金属)から
なる5層構造物;などを挙げることができる。また、積
層構造体(ロ)の例としては、樹脂層(B)/樹脂層
(A)/樹脂層(C)からなる3層構造物;(紙、布帛
または金属)/樹脂層(C)/樹脂層(A)/樹脂層
(B)からなる4層構造物;樹脂層(C)/樹脂層
(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(C)か
らなる5層構造物;樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂
層(C)/樹脂層(A)/樹脂層(B)からなる5層構
造物;(紙、布帛または金属)/樹脂層(C)/樹脂層
(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(C)/
(紙、布帛または金属)からなる7層構造物;(紙、布
帛または金属)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層
(C)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/(紙、布帛また
は金属)からなる7層構造物などを挙げることができ
る。
【0098】1つの積層構造体(イ)中に2つ以上の樹
脂層(B)が存在する場合は、該2つ以上の樹脂層
(B)は、本発明で規定している重合体を用いるもので
ある限りは、同じ重合体からなっていてもまたは異なる
重合体からなっていてもよい。また、1つの積層構造体
(ロ)中に2つ以上の樹脂層(B)および/または2つ
以上の樹脂層(C)が存在する場合も、該2つ以上の樹
脂層(B)および/または該2つ以上の樹脂層(C)は
同じ重合体からなっていてもまたは異なる重合体からな
っていてもよい。
【0099】積層構造体(イ)および積層構造体(ロ)
の製造法としては、何ら限定されるものではないが、例
えば、 樹脂層(A)用の本発明の熱可塑性ポリウレタン組
成物および樹脂層(B)用の重合体を用いるか[積層構
造体(イ)の場合]、または樹脂層(A)用の本発明の
熱可塑性ポリウレタン組成物、樹脂層(B)用の重合体
および樹脂層(C)用の重合体を用いて[積層構造体
(ロ)の場合]、それらを溶融共押出成形して、それぞ
れの層の押出成形と同時に積層させて積層構造体(イ)
または積層構造体(ロ)を製造する方法; 樹脂層(B)を構成するフイルム、シート、その他
の成形品を射出成形や押出成形などにより予め製造して
おいて樹脂層(A)用の本発明の熱可塑性ポリウレタン
組成物を溶融押出成形しながら積層一体化して積層構造
体(イ)を製造する方法; 樹脂層(B)および/または樹脂層(C)を構成す
るフイルム、シート、その他の成形品を射出成形や押出
成形などにより予め製造しておき、樹脂層(A)用の本
発明の熱可塑性ポリウレタン組成物を溶融押出成形しな
がら、また樹脂層(C)および樹脂層(B)の一方が予
め成形されたものでない場合はそれをも溶融押出成形し
ながら、予め製造しておいた樹脂層(B)用の成形品お
よび/または樹脂層(C)用の成形品と積層して一体化
させて積層構造体(ロ)を製造する方法; 本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物、樹脂層
(B)を構成する重合体、樹脂層(C)を構成する重合
体を用いて、射出成形や押出成形などによりそれぞれの
重合体よりなるフィルム、シート、その他の成形品を予
め製造しておき、予め成形した樹脂層(A)を構成する
成形品と樹脂層(B)を構成する成形品を積層した後、
または予め成形した樹脂層(B)を構成する成形品、樹
脂層(A)を構成する成形品および樹脂層(C)を構成
する成形品をこの順序で積層した後、高周波接着装置や
加熱溶封機(ヒートシーラー)などを用いて加熱下に接
着・一体化して、積層構造体(イ)または積層構造体
(ロ)を製造する方法; 樹脂層(B)を構成する成形品を射出成形や押出成
形などにより予め製造しそれを金型内に配置(インサー
ト)しておくか、または樹脂層(B)と樹脂層(C)を
構成する成形品を射出成形や押出成形などにより予め製
造しそれらの成形品を金型内に予め配置(インサート)
しておき、そこに樹脂層(A)用の本発明の熱可塑性ポ
リウレタン組成物を溶融下に充填し、接着・一体化させ
て、積層構造体(イ)または積層構造体(ロ)を製造す
る方法;などを挙げることができる。
【0100】上記した〜のいずれの場合にも、有機
溶剤を用いずに、溶融した樹脂層(A)によって、樹脂
層(A)および樹脂層(B)間の接着・一体化、または
樹脂層(B)、樹脂層(A)および樹脂層(C)間の接
着・一体化を行うことができるので、有機溶剤による自
然環境の破壊や、作業環境の悪化、溶剤の回収などの問
題や手間を生ずることなく、目的とする積層構造体
(イ)または積層構造体(ロ)を得ることができる。
【0101】本発明の積層構造体、特に積層構造体
(イ)および積層構造体(ロ)は、積層構造体を構成し
ている樹脂層(A)、樹脂層(B)、樹脂層(C)の性
質に応じて、更には積層構造体を構成している他の材料
層の材質や性質などに応じて、種々の用途に使用するこ
とができる。何ら限定されるものではないが、例えば、
インストルメントパネル、センターパネル、センターコ
ンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリ
ップ、ハンドル、エアバックカバーなどの自動車用内装
部品、モールなどの自動車外装部品、掃除機バンパー、
冷蔵庫当たり、カメラグリップ、電動工具グリップ、リ
モコンスイッチ、OA機器の各種キートップ、ハウジン
グなどの家電部品、水中眼鏡などのスポーツ用品、各種
カバー、耐摩耗性、密閉性、防音性、防振性などを目的
とした各種パッキン付き工業部品、カールコード電線被
覆、ベルト、ホース、チューブ、消音ギアなどの電気・
電子部品などに使用することができる。
【0102】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はそれらの実施例によって何ら限定され
るものではない。なお、参考例、実施例および比較例に
おいて、高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)、
高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)
および熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融粘度、熱可塑
性ポリウレタンの対数粘度、熱可塑性ポリウレタン組成
物の射出成形性(金型からの離型状態および成形品の表
面状態)および押出成形性(フィルムの製造状態および
表面状態)、並びに熱可塑性ポリウレタン組成物から得
られる成形品の耐ブロッキング性、硬度、屈曲性、引張
破断強度、耐摩耗性、100%モジュラス、残留歪みお
よび粘着テープの接着性、並びに積層構造体における接
着強度は、以下の方法により測定または評価した。
【0103】(1)溶融粘度:高化式フローテスター
(島津製作所製)を使用して、80℃で2時間減圧乾燥
(10torr以下)した高分子ポリオール含浸組成物
(a−1・b)、高分子ポリオール可塑剤含浸組成物
(a−1・b・c)または熱可塑性ポリウレタン組成物
の溶融粘度を、荷重490.3N(50kgf)、ノズ
ル寸法=直径1mm×長さ10mm、温度200℃の条
件下で測定した。
【0104】(2)対数粘度:熱可塑性ポリウレタン組
成物1g当たり200mlのN,N−ジメチルホルムア
ミド(DMF)を加えて、室温で24時間撹拌した後、
濾過分別してDMF溶液を回収した。不溶部分はさらに
DMFを加えて1時間撹拌して濾過分別を行い、この操
作を3回繰り返して、回収した濾液を一緒にした。濾液
からDMFを留去した後、室温で24時間真空乾燥し、
得られた熱可塑性ポリウレタン成分の重量を測定して、
熱可塑性ポリウレタン組成物に含まれている熱可塑性ポ
リウレタン成分のほぼ100%が抽出されていることを
確認し、抽出率が100%に満たない場合は、抽出され
なかった部分は熱可塑性ポリウレタン成分の分子量が十
分に高いためにDMFに不溶であったものと判断して、
対数粘度の測定対象から外した。抽出された熱可塑性ポ
リウレタン成分を濃度0.5g/dlになるようにDM
Fに溶解し、ウベローデ型粘度計を用いて、そのポリウ
レタン溶液の30℃における流下時間を測定し、下記の
式により熱可塑性ポリウレタンの対数粘度(η in
h)を求めた。
【0105】
【数1】熱可塑性ポリウレタンの対数粘度(η inh)
=[ln(t/t0)]/c [式中、tは熱可塑性ポリウレタン溶液の流下時間
(秒)、t0は溶媒(DMF)の流下時間(秒)、および
cは熱可塑性ポリウレタン溶液の濃度(g/dl)を表
す。]
【0106】(3)モルホロジー解析:熱可塑性ポリウ
レタン組成物を液体窒素蒸気中で凍結させてから、カミ
ソリ(フェザー社製カミソリS(片刃))で厚さ約20
0μmの切片(観察用試料)を作成し、その試料を酸化
ルテニウム(VIII)蒸気で3分間染色し、光学顕微鏡O
PTIPHOT−2(ニコン社製、約200倍、約50
0倍、約1000倍または約1600倍)により構造を
観察した。このときに観察される(水添)ブロック共重
合体(b)または(水添)ブロック共重合体(b)と可
塑剤(c)からなる島成分の大きさ、並びに該島成分の
内部にある熱可塑性ポリウレタン(a)からなる島成分
の平均粒子径は、顕微鏡写真から該当する島成分をラン
ダムに100点サンプリングし、その最長部の長さを測
定し、数平均を採って各々の値とした。
【0107】(4)射出成形性:表面を鏡面仕上げした
金型を用いて、射出成形(シリンダー温度180〜20
5℃、金型温度35℃)により円板成形品(直径120
mm、厚さ2mm)を成形した際の、成形品の金型から
の離型状態および成形品の表面状態を観察し、下記の表
1に示す基準により評価した。
【0108】
【表1】
【0109】(5)押出成形性:T−ダイ型押出成形機
(25mmφ、シリンダー温度180〜200℃、ダイ
ス温度200℃)から30℃の冷却ロール上に押し出し
て冷却したフィルムを、離型紙を用いずに約2.5m/
分の巻き取り速度で巻き取った。その巻き取り最中にフ
ィルムの製造状態を観察すると共に、巻き取ったフィル
ムの表面状態を観察し、下記の表2に示す基準により評
価した。
【0110】
【表2】
【0111】(6)フィルムの耐ブロッキング性:T−
ダイ型押出成形機(25mmφ、シリンダー温度180
〜200℃、ダイス温度200℃)から30℃の冷却ロ
ール上に押し出して冷却したフィルムを、離型紙を用い
ずに約2.5m/分の巻き取り速度で巻き取った。その
巻き取ったフィルムを室温で24時間放置した後、手で
巻き返し、そのときの抵抗を下記の表3に示す基準によ
り評価した。
【0112】
【表3】[フィルムの耐ブロッキング性の評価基準] ○:巻き返しが円滑に実施可能。 △:かなりの引張力を要したが、巻き返しが可能。 ×:膠着が大きく、巻き返しが不可能。
【0113】(7)硬度:上記の射出成形性の評価にお
けるのと同じ操作を行って得られた円板状成形品(直径
120mm、厚さ2mm)を2枚重ね合わせたものを用
いて、JIS K−6301に準じて、成形品のショア
硬度Aを測定した。
【0114】(8)屈曲性:上記の射出成形性の評価に
おけるのと同じ操作を行って円板状成形品(直径120
mm、厚さ2mm)を製造し、得られた成形品を25℃
で2日間放置した後、180度折り曲げて、その折り曲
げ部分を肉眼で観察し、そのときの状態を下記の表4に
示す基準により評価した。
【0115】
【表4】[屈曲性の評価基準] ◎:変化がなく、屈曲性が良好。 ○:屈曲部に若干白化現象が見られる。 ×:表面剥離および/または内部剥離が見られる。
【0116】(9)引張破断強度:上記の射出成形性の
評価におけるのと同じ操作を行って円板状成形品(直径
120mm、厚さ2mm)を製造し、得られた成形品を
25℃で2日間放置した後、ダンベル3号形に打ち抜い
て試験片を作製し、JIS K−7311に準じて、島
津製作所製「オートグラフ測定装置IS−500D」を
使用して、その引張破断強度を測定した。
【0117】(10)耐摩耗性:上記の射出成形性の評
価におけるのと同じ操作を行って円板状成形品(直径1
20mm、厚さ2mm)を製造し、得られた成形品を2
5℃で2日間放置した後、テーバー摩耗試験機(荷重1
kg、摩耗輪H−22)を使用して、JIS K−73
11に準じて摩耗量を測定した。
【0118】(11)100%モジュラス(M100)
および残留歪み:T−ダイ型押出成形機(25mmφ、
シリンダー温度180〜200℃、ダイス温度200
℃)から30℃の冷却ロール上に押し出し冷却した後巻
き取って得られた厚さ50μmのフィルムから試験片
(20cm×5cm)を作成し、この試験片を島津製作
所製「オートグラフ測定装置IS−500D」を使用し
て、室温下、引張速度300mm/分で100%伸長し
て100%モジュラス(M100)を測定した。次に、
300mm/分の速度で伸長前の位置まで戻し(1サイ
クル目)、続けて同じ速度で100%伸長した後に伸長
前の位置まで戻す過程で応力がゼロになった時点(2サ
イクル目)での残留歪みを求めた。100%モジュラス
(M100)の値が小さいほど、低応力での伸長性に優
れていることを示す。また、残留歪みの値が小さいほ
ど、伸長後に元の状態に戻る回復性能に優れていること
を示す。
【0119】(12)接着性(粘着テープの粘着性):
T−ダイ型押出成形機(25mmφ、シリンダー温度1
80〜200℃、ダイス温度200℃)から30℃の冷
却ロール上に押し出し冷却した後に巻き取って得られた
厚さ50μmのフィルムから幅25mmの試験片を作成
した。この試験片に粘着テープ(ニチバン株式会社製
「布粘着テープ LS No.101」)を貼り付け
て、この粘着テープを引き剥がすときの抵抗値を、島津
製作所製「オートグラフ測定装置IS−500D」を使
用して、室温下、引張速度300mm/分の条件で測定
し、接着性の指標とした。
【0120】(13)積層構造体における接着強度:以
下の例(実施例20〜24)で製造した、熱可塑性ポリ
ウレタン組成物を中間層(接着層)とする3層構造体か
ら試験片(1cm×10cm)を切り出し、各表面層と
接着層(熱可塑性ポリウレタン組成物よりなる中間層)
との間の界面接着強度を、島津製作所製「オートグラフ
測定装置IS−500D」を使用して、室温下、引張速
度300mm/分の条件で180度剥離試験により求め
た。
【0121】以下の参考例、実施例および比較例で用い
た化合物に関する略号と、その内容を以下に示す。 《水添ブロック共重合体》TPS−1 :ポリスチレンブロック−ポリイソプレン・
ブタジエンブロック−ポリスチレンブロックからなるト
リブロック共重合体の水素添加物[スチレン含量30重
量%、数平均分子量200,000、ポリイソプレン・
ブタジエンブロックにおける水素添加率98%以上、メ
ルトインデックス(230℃、2.16kg荷重)流動
せず]TPS−2 :ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブ
ロック−ポリスチレンブロックからなるトリブロック共
重合体の水素添加物[スチレン含量35重量%、数平均
分子量200,000、ポリイソプレンブロックにおけ
る水素添加率98%以上、メルトインデックス(230
℃、2.16kg荷重)流動せず]TPS−3 :ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブ
ロック−ポリスチレンブロックからなるトリブロック共
重合体の水素添加物[スチレン含量20重量%、数平均
分子量200,000、ポリイソプレンブロックにおけ
る水素添加率98%以上、メルトインデックス(230
℃、2.16kg荷重)流動せず]TPS−4 :ポリスチレンブロック−ポリイソプレン・
ブタジエンブロック−ポリスチレンブロックからなるト
リブロック共重合体の水素添加物[スチレン含量30重
量%、数平均分子量85,000、ポリイソプレン・ブ
タジエンブロックにおける水素添加率98%以上、メル
トインデックス(230℃、2.16kg荷重)は0.
06g/10分]
【0122】《高分子ポリオール》POH−1 :3−メチル−1,5−ペンタンジオールと
アジピン酸を反応させて製造した、1分子当たりの水酸
基数が2.00で、数平均分子量が3,500であるポ
リエステルジオール(20℃で液状、80℃での粘度は
12ポイズ)POH−2 :3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
トリメチロールプロパンおよびアジピン酸を反応させて
製造した、1分子当たりの水酸基数が3.00で、数平
均分子量が3,000であるポリエステルポリオール
(20℃で液状、80℃での粘度は15ポイズ)POH−3 :1分子当たりの水酸基数が2.00で、数
平均分子量が2,000であるポリテトラメチレングリ
コール(融点25℃、80℃での粘度は8ポイズ)。POH−4 :1分子当たりの水酸基数が3.00で、数
平均分子量が3,000であるポリテトラメチレングリ
コール(融点35℃、80℃での粘度は13ポイズ)。POH−5 :トリメチロールプロパンを開始剤としてポ
リエチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイド混合
物を付加反応させて製造した、1分子当たりの水酸基数
が3.00で、数平均分子量が4,500であるポリエ
ーテルポリオール(20℃で液状、25℃における粘度
は8ポイズ)POH−6 :1,4−ブタンジオールと水添ダイマー酸
を反応させて製造した、1分子当たりの水酸基数が2.
00で、数平均分子量が1,000であるポリエステル
ジオール(20℃で液状、80℃における粘度は3ポイ
ズ)POH−7 :1分子当たりの水酸基数が2.00で、数
平均分子量が2,300であるポリブタジエンジオール
の水素添加物(20℃で高粘度の液体、80℃での粘度
は13ポイズ)POH−8 :1分子当たりの平均水酸基数が2.9で、
数平均分子量が3,500であるポリイソプレンポリオ
ールの水素添加物(20℃で液状、80℃での粘度は3
0ポイズ)POH−9 :1分子当たりの平均水酸基数が2.0で、
数平均分子量が1,000であるひまし油ポリオール
(20℃で液状、80℃での粘度は0.2ポイズ)POH−10 :1分子当たりの水酸基数が2.00で、
数平均分子量が1,000であるポリテトラメチレング
リコール(融点19℃、80℃での粘度は5ポイズ)POH−11 :1,4−ブタンジオールとアジピン酸を
反応させて製造した、1分子当たりの水酸基数が2.0
0で、数平均分子量が2,000であるポリエステルジ
オール(融点54℃、80℃での粘度は12ポイズ)
【0123】《可塑剤》PL−1 :パラフィン系オイル[パラフィン/ナフテン
=70/30(重量比)混合物、動粘性率4×10-4
2/秒(40℃)]。PL−2 :液状ポリブタンの水素添加物[動粘性率9×
10-32/秒(40℃)]。
【0124】《有機ジイソシアネート化合物》MDI : 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
【0125】《鎖伸長剤》BD : 1,4−ブタンジオール
【0126】《積層用樹脂》PC :ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラス
チック株式会社製「ユーピロンS−1000」)AB
:アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体
(ABS樹脂)(日本合成ゴム株式会社製「JSR A
BS12」)NY−6 :ナイロン6(宇部興産株式会社製「UBEナ
イロン1013B」)PMMA :ポリメチルメタクリレート(株式会社クラレ
製「パラペットEB」)PP :ポリプロピレン(三菱化学株式会社製「三菱ポリ
プロEX6」)
【0127】《参考例1〜2》[高分子ポリオール含浸
組成物の調製] (1) 下記の表5に示すブロック共重合体および高分
子ポリオールを、表5に示す割合で配合し、シグマ形回
転羽根付撹拌槽に入れて、室温下(25℃)で120分
間混合して、高分子ポリオール含浸組成物を調製した。
それにより得られた高分子ポリオール含浸組成物(「C
PD−1」および「CPD−2」)の溶融粘度を上記し
た方法で測定したところ、下記の表5に示すとおりであ
った。 (2) この参考例1および2で得られた高分子ポリオ
ール含浸組成物CPD−1およびCPD−2は、いずれ
も、高分子ポリオールがブロック共重合体中に十分に含
浸していて、高分子ポリオールの呈する液状がもはや消
失し、本発明で用いる高分子ポリオール含浸組成物[高
分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)]が得られ
た。
【0128】
【表5】
【0129】《参考例3〜8》[高分子ポリオール含浸
組成物の調製] (1) 表5に示すブロック共重合体および高分子ポリ
オールを、表5に示す割合で配合し、シグマ形回転羽根
付撹拌槽に入れて、100℃で60分間混合して、高分
子ポリオール含浸組成物を調製した。それにより得られ
た高分子ポリオール含浸組成物(「CPD−3」〜「C
PD−8」)の溶融粘度を上記した方法で測定したとこ
ろ、表5に示すとおりであった。 (2) そのうち、参考例3〜7で得られた高分子ポリ
オール含浸組成物CPD−3〜CPD−7は、いずれ
も、高分子ポリオールがブロック共重合体中に十分に含
浸していて、高分子ポリオールの呈する液状がもはや消
失し、本発明で用いる高分子ポリオール含浸組成物(a
−1・b)が得られた。
【0130】《参考例9〜10》[高分子ポリオール可
塑剤含浸組成物の調製] (1) 下記の表6に示すブロック共重合体、高分子ポ
リオールおよび可塑剤を、下記の表6に示す割合で配合
し、シグマ形回転羽根付撹拌槽に入れて、室温下(25
℃)で60分間混合して、高分子ポリオール可塑剤含浸
組成物を調製した。それにより得られた高分子ポリオー
ル可塑剤含浸組成物(「CPD−9」および「CPD−
10」)の溶融粘度を上記した方法で測定したところ、
下記の表6に示すとおりであった。 (2) この参考例9および10で得られた高分子ポリ
オール可塑剤含浸組成物CPD−9およびCPD−10
は、いずれも、高分子ポリオールおよび可塑剤がブロッ
ク共重合体中に十分に含浸していて、高分子ポリオール
および可塑剤が呈する液状がもはや消失し、本発明で用
いる高分子ポリオール可塑剤含浸組成物[高分子ポリオ
ール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)]が得られ
た。
【0131】
【表6】
【0132】《参考例11〜19》[高分子ポリオール
可塑剤含浸組成物の調製] (1) 表6に示すブロック共重合体、高分子ポリオー
ルおよび可塑剤を、表6に示す割合で配合し、シグマ形
回転羽根付撹拌槽に入れて、100℃で60分間混合し
て、高分子ポリオール可塑剤含浸組成物を調製した。そ
れにより得られた高分子ポリオール含浸組成物(「CP
D−11」〜「CPD−19」)の溶融粘度を上記した
方法で測定したところ、表6に示すとおりであった。 (2) そのうち、参考例11〜16で得られた高分子
ポリオール可塑剤含浸組成物CPD−11〜CPD−1
6は、いずれも、高分子ポリオールおよび可塑剤がブロ
ック共重合体中に十分に含浸していて、高分子ポリオー
ルおよび可塑剤が呈する液状がもはや消失し、本発明で
用いる高分子ポリオール可塑剤含浸組成物が得られた。
また、参考例1〜7および9〜18で得られた組成物
は、溶融粘度の経時変化がなく貯蔵安定性が良好であっ
たが、高分子ポリオールを本発明の範囲内の量で含有し
ていない参考例8および19の組成物は、製造直後は溶
融粘度の低い組成物であったが、1日後には200℃に
おける溶融粘度が10,000ポイズ以上になり、流動
性のない組成物に変化した。
【0133】《実施例1》[熱可塑性ポリウレタン組成
物および射出成形品の製造] (1) 参考例1で得られた高分子ポリオール含浸組成
物CPD−1、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシア
ネート化合物(MDI)を、下記の表7に示すように、
[高分子ポリオール含浸組成物CPD−1中に含浸され
ている高分子ポリオール]:BD:MDIのモル比が
1.00:3.21:4.13になるようにして配合
し、シグマ形回転羽根付撹拌槽中で温度を80〜120
℃の範囲に保ちながら短時間混合した後、200℃でさ
らに10分間混練してポリウレタン形成反応を行って熱
可塑性ポリウレタン組成物を製造した。生成した熱可塑
性ポリウレタン組成物の溶融物をバット中に流延し、冷
却後に粉砕してペレットをつくり、このペレットを80
℃で4時間除湿乾燥することにより、熱可塑性ポリウレ
タン組成物を得た。高分子ポリオール含浸組成物CPD
−1より得られたこの熱可塑性ポリウレタン組成物につ
いて、前記(3)の方法にしたがって光学顕微鏡で写真
撮影してそのモルホロジー解析を行った結果、下記の図
2および図3(光学顕微鏡写真)に示すように、熱可塑
性ポリウレタン(a)の海成分の中に水添ブロック共重
合体(b)が島状に分布し、該島成分の内部にさらに
0.001〜10μmの粒子状の熱可塑性ポリウレタン
(a)成分が分布していた。また、得られた熱可塑性ポ
リウレタン組成物の溶融粘度および対数粘度を上記した
方法で測定したところ、下記の表7に示すとおりであっ
た。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物を用いて、上記した方法で射出成形を行って、射出
成形性の評価を行うと共に、得られた成形品の硬度、屈
曲性、引張破断強度および耐摩耗性を上記した方法で測
定または評価したところ、下記の表7に示すとおりであ
った。
【0134】《実施例2》[熱可塑性ポリウレタン組成
物および射出成形品の製造] (1) 参考例1で得られた高分子ポリオール含浸組成
物CPD−1の代わりに参考例2で得られた高分子ポリ
オール含浸組成物CPD−2を用い、その際に[高分子
ポリオール含浸組成物CPD−2中に含浸されている高
分子ポリオール]:BD:MDIのモル比が1.00:
2.45:3.43になるようにして、鎖伸長剤(B
D)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を配
合し、それ以外は実施例1の(1)と同様にしてポリウ
レタン形成反応、ペレット化および除湿乾燥を行って熱
可塑性ポリウレタン組成物を得た。得られた熱可塑性ポ
リウレタン組成物の溶融粘度および対数粘度を上記した
方法で測定したところ、表7に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物を用いて、上記した方法で射出成形を行って、射出
成形性の評価を行うと共に、得られた成形品の硬度、屈
曲性、引張破断強度および耐摩耗性を上記した方法で測
定または評価したところ、表7に示すとおりであった。
【0135】《実施例3》[熱可塑性ポリウレタン組成
物および射出成形品の製造] (1) 参考例3で得られた高分子ポリオール含浸組成
物CPD−3、高分子ポリオール(POH−1)、鎖伸
長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MD
I)を、[高分子ポリオール含浸組成物中に含浸されて
いる高分子ポリオール]:[高分子ポリオールPOH−
1]:BD:MDIのモル比が0.10:0.90:
2.93:3.78で、且つこれらの合計供給量が20
0g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スク
リュー型押出機(30mmφ、L/D=36)に連続的
に供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形
成反応を行って、熱可塑性ポリウレタン組成物を製造し
た。生成した熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融物をス
トランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイ
ザーで切断し、このペレットを80℃で4時間除湿乾燥
することにより熱可塑性ポリウレタン組成物を得た。得
られた熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融粘度および対
数粘度を上記した方法で測定したところ、表7に示すと
おりであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物を用いて、上記した方法で射出成形を行って、射出
成形性の評価を行うと共に、得られた成形品の硬度、屈
曲性、引張破断強度および耐摩耗性を上記した方法で測
定または評価したところ、表7に示すとおりであった。
【0136】《実施例4〜7および比較例1》[熱可塑
性ポリウレタン組成物および射出成形品の製造] (1) 参考例3で得られた高分子ポリオール含浸組成
物CPD−3の代わりに参考例4〜8で得られた高分子
ポリオール含浸組成物CPD−4〜CPD−8の各々を
用い、それに、高分子ポリオール(POH−1、POH
−10またはPOH−11)、鎖伸長剤(BD)および
50℃に加熱溶融した有機ジイソシアネート化合物(M
DI)を、[高分子ポリオール含浸組成物CPD−4、
CPD−5、CPD−6、CPD−7またはCPD−8
中に含浸されている高分子ポリオール]:[高分子ポリ
オールPOH−1、POH−10またはPOH−1
1]:BD:MDIのモル比が表7および下記の表8に
示した値になるようにして配合し、それ以外は実施例3
の(1)と同様にしてポリウレタン形成反応、ペレット
化および除湿乾燥を行って熱可塑性ポリウレタン組成物
を得た。これにより得られた熱可塑性ポリウレタン組成
物のうち、比較例1で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物について、前記(3)の方法にしたがって光学顕微
鏡により写真撮影してモルホロジー解析を行った結果、
図4(光学顕微鏡顕微鏡写真)に示すように、熱可塑性
ポリウレタン(a)からなる海成分の中に水添ブロック
共重合体(b)が荒い縞状と一部不鮮明な枝状に分布し
ていた。また、この実施例4〜7および比較例1で得ら
れた熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融粘度および対数
粘度を上記した方法で測定したところ、下記の表7およ
び下記の表8に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物を用いて、上記した方法で射出成形を行って、射出
成形性の評価を行うと共に、得られた成形品の硬度、屈
曲性、引張破断強度および耐摩耗性を上記した方法で測
定または評価したところ、表7および下記の表8に示す
とおりであった。
【0137】《比較例2》[熱可塑性ポリウレタン組成
物および射出成形品の製造] (1) 高分子ポリオール(POH−1)、鎖伸長剤
(BD)および50℃に加熱溶融した有機ジイソシアネ
ート化合物(MDI)を、[POH−1]:BD:MD
Iのモル比が1.00:2.32:3.25で、且つこ
れら3者の合計供給量が200g/分となるようにして
同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mm
φ,L/D=36)に連続的に供給して、260℃で連
続溶融重合を行った。生成した熱可塑性ポリウレタンの
溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次い
でペレタイザーで切断し、このペレットを60℃で4時
間除湿乾燥することにより熱可塑性ポリウレタンを製造
した。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン9
0重量部およびブロック共重合体(TPS−1)10重
量部の割合で、同軸方向に回転する二軸スクリュー型押
出機に連続的に供給して、220℃で連続溶融混練を行
った。生成した熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融物を
ストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタ
イザーで切断し、このペレットを80℃で4時間除湿乾
燥することにより熱可塑性ポリウレタン組成物を製造し
た。得られた熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融粘度お
よび対数粘度を上記した方法で測定したところ、表8に
示すとおりであった。 (3) 上記(2)で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物を用いて、上記した方法で射出成形を行って、射出
成形性の評価を行うと共に、得られた成形品の硬度、屈
曲性、引張破断強度および耐摩耗性を上記した方法で測
定または評価したところ、下記の表8に示すとおりであ
った。
【0138】《比較例3》[熱可塑性ポリウレタンおよ
び射出成形品の製造] (1) 高分子ポリオール(POH−1)、鎖伸長剤
(BD)および50℃に加熱溶融した有機ジイソシアネ
ート化合物(MDI)を、[POH−1]:BD:MD
Iのモル比が1.00:2.13:3.10で、且つこ
れら3者の合計供給量が200g/分となるようにして
同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mm
φ,L/D=36)に連続的に供給して、260℃で連
続溶融重合を行った。生成した熱可塑性ポリウレタンの
溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次い
でペレタイザーで切断し、このペレットを60℃で4時
間除湿乾燥することにより熱可塑性ポリウレタンを製造
した。得られた熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度および
対数粘度を上記した方法で測定したところ、表8に示す
とおりであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタンを
用いて、上記した方法で射出成形を行って、射出成形性
の評価を行うと共に、得られた成形品の硬度、屈曲性、
引張破断強度および耐摩耗性を上記した方法で測定また
は評価したところ、表8に示すとおりであった。
【0139】
【表7】
【0140】
【表8】
【0141】上記の表7および8の結果から、実施例1
〜7で得られた熱可塑性ポリウレタン組成物、すなわ
ち、高分子ポリオールと(水添)ブロック共重合体と
を、前者:後者の重量比が35:65〜90:10の範
囲内になるようにして高分子ポリオールを(水添)ブロ
ック共重合体中に含浸させて高分子ポリオール含浸組成
物を予め調製し、該高分子ポリオール含浸組成物を、鎖
伸長剤および有機ジイソシアネート化合物と混合する
か、または高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイ
ソシアネート化合物と混合してポリウレタン形成反応を
行って得られた熱可塑性ポリウレタン組成物は、射出成
形性に優れていて、成形品の金型からの離型が円滑に行
われ且つ得られた成形品の表面が平滑で外観に優れるこ
と、しかも得られた成形品の硬度が適当な値であり、屈
曲性に優れ、曲げても白化が生じないか又は生じにくい
こと、引張破断強度が高く力学的特性に優れているこ
と、摩耗量が小さくて耐摩耗性に優れていることがわか
る。
【0142】それに対して、比較例1では、高分子ポリ
オールと(水添)ブロック共重合体との予備混合物を予
め調製し、それを用いてポリウレタン形成反応を行って
熱可塑性ポリウレタン組成物を製造してはいるが、前記
予備混合物を製造する際の高分子ポリオールの使用量が
本発明で規定している上記範囲よりも少なくて、相容化
剤として機能する高分子ポリオールが(水添)ブロック
共重合体中に十分に含浸していないために、ポリウレタ
ン形成反応で生成した熱可塑性ポリウレタン組成物から
得られる成形品は、相容化が十分に達成されず、摩耗量
が大きく、耐摩耗性に劣っていることがわかる。また、
比較例2では、高分子ポリオール含浸組成物を予め調製
せずに、熱可塑性ポリウレタンに(水添)ブロック共重
合体を溶融混練して熱可塑性ポリウレタン組成物を製造
していることにより、熱可塑性ポリウレタンと(水添)
ブロック共重合体との相容化が十分に達成されず、そこ
で得られる熱可塑性ポリウレタン組成物は射出成形時に
金型への粘着が大きく離型性に劣り、且つ得られる成形
品の外観が不良であり、射出成形性に劣ること、しかも
得られる成形品は耐摩耗性に劣っていることがわかる。
そして、比較例3の低硬度の熱可塑性ポリウレタンは、
(水添)ブロック共重合体を含有していないことにより、
射出成形性に劣っていて、射出成形時に金型への粘着が
大きくて離型しにくく、しかも得られる成形品の外観が
不良であることがわかる。
【0143】《実施例8〜9》[熱可塑性ポリウレタン
組成物および射出成形品の製造] (1) 参考例1で得られた高分子ポリオール含浸組成
物CPD−1の代わりに参考例9または参考例10で得
られた高分子ポリオール可塑剤含浸組成物CPD−9ま
たはCPD−10を用い、その際に[高分子ポリオール
可塑剤含浸組成物CPD−9またはCPD−10中に含
浸されている高分子ポリオール]:BD:MDIのモル
比が下記の表9に示した値になるように、且つ生成する
熱可塑性ポリウレタン組成物中の可塑剤の量が下記の表
9に示した値になるようにして、鎖伸長剤(BD)およ
び有機ジイソシアネート化合物(MDI)を配合し、そ
れ以外は実施例1の(1)と同様にしてポリウレタン形
成反応、ペレット化および除湿乾燥を行って熱可塑性ポ
リウレタン組成物を得た。これらの熱可塑性ポリウレタ
ン組成物のうち、実施例8で得られた熱可塑性ポリウレ
タン組成物について、前記(3)の方法にしたがって光
学顕微鏡で写真撮影してそのモルホロジー解析を行った
結果、図5(光学顕微鏡写真)に示すように、熱可塑性
ポリウレタン(a)からなる海成分の中に水添ブロック
共重合体(b)および可塑剤(c)が島状に分布し、該
島成分の内部にさらに0.001〜10μmの粒子状の
熱可塑性ポリウレタン(a)が島成分として分布してい
た。また、この実施例8および9で得られた熱可塑性ポ
リウレタン組成物の溶融粘度および対数粘度を上記した
方法で測定したところ、下記の表9に示すとおりであっ
た。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン
組成物を用いて、上記した方法で射出成形を行って、射
出成形性の評価を行うと共に、得られた成形品の硬度、
屈曲性、引張破断強度および耐摩耗性を上記した方法で
測定または評価したところ、下記の表9に示すとおりで
あった。
【0144】《実施例10〜15》[熱可塑性ポリウレ
タン組成物および射出成形品の製造] (1) 参考例3で得られた高分子ポリオール含浸組成
物CPD−3の代わりに参考例11〜16で得られた高
分子ポリオール可塑剤含浸組成物CPD−11〜CPD
−16の各々を用い、それに、高分子ポリオール(PO
H−1、POH−10またはPOH−11)、鎖伸長剤
(BD)および50℃に加熱溶融した有機ジイソシアネ
ート化合物(MDI)を、[高分子ポリオール含浸組成
物CPD−11、CPD−12、CPD−13、CPD
−14、CPD−15またはCPD−16中に含浸され
ている高分子ポリオール]:[高分子ポリオールPOH
−1、POH−10またはPOH−11]:BD:MD
Iのモル比が表9および下記の表10に示した値になる
ようにし、且つ熱可塑性ポリウレタン組成物中の可塑剤
量が表9および下記の表10に示した値になるようにし
て配合し、それ以外は実施例3の(1)と同様にしてポ
リウレタン形成反応、ペレット化および除湿乾燥を行っ
て熱可塑性ポリウレタン組成物を得た。これらの実施例
で得られた熱可塑性ポリウレタン組成物のうち、実施例
10で得られた熱可塑性ポリウレタン組成物について、
前記(3)の方法にしたがって光学顕微鏡により写真撮
影してそのモルホロジー解析を行った結果、図6(光学
顕微鏡写真)に示すように、熱可塑性ポリウレタン
(a)からなる海成分の中に、水添ブロック共重合体
(b)および可塑剤(c)が島状に分布し、該島成分の
内部に更に0.001〜10μmの粒子状の熱可塑性ポ
リウレタン(a)成分が分布していた。また、これらの
実施例で得られた熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融粘
度および対数粘度を上記した方法で測定したところ、表
9および10に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物を用いて、上記した方法で射出成形を行って、射出
成形性の評価を行うと共に、得られた成形品の硬度、屈
曲性、引張破断強度および耐摩耗性を上記した方法で測
定または評価したところ、表9および下記の表10に示
すとおりであった。
【0145】《比較例4〜5》[熱可塑性ポリウレタン
組成物および射出成形品の製造] (1) 参考例3で得られた高分子ポリオール含浸組成
物CPD−3の代わりに参考例17または18で得られ
た高分子ポリオール可塑剤含浸組成物CPD−17また
はCPD−18の各々を用い、それに、高分子ポリオー
ル(POH−1またはPOH−11)、鎖伸長剤(B
D)および50℃に加熱溶融した有機ジイソシアネート
化合物(MDI)を、[高分子ポリオール含浸組成物C
PD−17またはCPD−18中に含浸されている高分
子ポリオール]:[高分子ポリオールPOH−1または
POH−11]:BD:MDIのモル比が表10に示し
た値になるようにし、且つ熱可塑性ポリウレタン組成物
中の可塑剤量が表10に示した値になるようにして配合
し、それ以外は実施例3の(1)と同様にしてポリウレ
タン形成反応、ペレット化および除湿乾燥を行って熱可
塑性ポリウレタン組成物を得た。これらの例で得られた
熱可塑性ポリウレタン組成物のうち、比較例4で得られ
た熱可塑性ポリウレタン組成物について、前記(3)の
方法にしたがって光学顕微鏡で写真撮影してそのモルホ
ロジー解析を行った結果、図7(光学顕微鏡写真)に示
すように、熱可塑性ポリウレタン(a)よりなる海成分
の中に、水添ブロック共重合体(b)および可塑剤
(c)が荒い縞状と一部不鮮明な枝状に分布し、かつ不
均一に点在していた。また、これらの比較例で得られた
熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融粘度および対数粘度
を上記した方法で測定したところ、表10に示すとおり
であった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物を用いて、上記した方法で射出成形を行って、射出
成形性の評価を行うと共に、得られた成形品の硬度、屈
曲性、引張破断強度および耐摩耗性を上記した方法で測
定または評価したところ、表10に示すとおりであっ
た。
【0146】《比較例6》[熱可塑性ポリウレタン組成
物および射出成形品の製造] (1) 参考例3で得られた高分子ポリオール含浸組成
物CPD−3の代わりに参考例19で得られた(水添)
ブロック共重合体と可塑剤からなる組成物CPD−19
を用い、それに、高分子ポリオール(POH−1)、鎖
伸長剤(BD)および50℃に加熱溶融した有機ジイソ
シアネート化合物(MDI)を、[POH−1]:B
D:MDIのモル比が下記の表10に示した値になるよ
うにし、且つ熱可塑性ポリウレタン組成物中の可塑剤量
が表10に示した値になるようにして配合し、それ以外
は実施例3の(1)と同様にしてポリウレタン形成反
応、ペレット化および除湿乾燥を行って熱可塑性ポリウ
レタン組成物を得た。得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物の溶融粘度および対数粘度を上記した方法で測定し
たところ、表10に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物を用いて、上記した方法で射出成形を行って、射出
成形性の評価を行うと共に、得られた成形品の硬度、屈
曲性、引張破断強度および耐摩耗性を上記した方法で測
定または評価したところ、表10に示すとおりであっ
た。
【0147】
【表9】
【0148】
【表10】
【0149】上記の表9および10の結果から、実施例
8〜15で得られた熱可塑性ポリウレタン組成物、すな
わち、高分子ポリオールと(水添)ブロック共重合体と
を、前者:後者の重量比が35:65〜90:10の範
囲内になるようにして用いて高分子ポリオールを(水
添)ブロック共重合体中に含浸させ且つその際に更に可
塑剤も(水添)ブロック共重合体中に特定量で含浸させ
た高分子ポリオール可塑剤含浸組成物を予め調製し、該
高分子ポリオール可塑剤含浸組成物を、鎖伸長剤および
有機ジイソシアネート化合物と混合するか、または高分
子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化
合物と混合してポリウレタン形成反応を行って得られた
熱可塑性ポリウレタン組成物は、射出成形性に優れてい
て、成形品の金型からの離型が円滑に行われ且つ得られ
た成形品の表面が平滑で外観に優れること、しかも得ら
れた成形品の硬度が低く柔軟性に優れ、屈曲性に優れ曲
げても白化が生じないこと、引張破断強度が高く力学的
特性に優れていること、摩耗量が小さくて耐摩耗性に優
れていることがわかる。
【0150】それに対して、比較例4では、高分子ポリ
オール、(水添)ブロック共重合体および可塑剤の予備
混合物を予め調製し、それを用いてポリウレタン形成反
応を行って熱可塑性ポリウレタン組成物を製造してはい
るが、前記予備混合物を製造する際の高分子ポリオール
の使用量が本発明で規定している上記範囲よりも少なく
て、相容化剤として機能する高分子ポリオールが(水
添)ブロック共重合体中に十分に含浸していないため
に、ポリウレタン形成反応で生成した熱可塑性ポリウレ
タン組成物は、射出成形時に金型からの離型が円滑に行
われず且つ外観が不良で射出成形性に劣っており、しか
も得られる成形品は引張破断強度が低く力学的特性に劣
り、耐摩耗性にも劣っていることがわかる。
【0151】また、比較例5では、高分子ポリオール可
塑剤含浸組成物を予め調製し、それを用いて熱可塑性ポ
リウレタン組成物を製造しているものの、熱可塑性ポリ
ウレタン組成物中での可塑剤の含有量が本発明で規定し
ているより多いことにより、射出成形性に著しく劣って
いて金型からの離型が極めて困難であり且つ外観が不良
であること、しかも得られる成形品は曲げると表面剥離
や内部剥離を生じ屈曲性に劣ること、さらに引張破断強
度が極めて低くて力学的特性に劣り、しかも耐摩耗性に
著しく劣っていることがわかる。さらに、比較例6で
は、高分子ポリオール可塑剤含浸組成物を予め調製せず
に、熱可塑性ポリウレタンの製造時に(水添)ブロック
共重合体と可塑剤からなる組成物を添加して熱可塑性ポ
リウレタン組成物を製造していることにより、そこで得
られる熱可塑性ポリウレタン組成物は射出成形性に劣
り、射出成形時に金型への粘着が大きく離型性に劣り、
且つ得られる成形品の外観が不良であること、しかも得
られる成形品は耐摩耗性に劣っていることがわかる。
【0152】《実施例16》[熱可塑性ポリウレタン組
成物からなる押出成形品の製造] 実施例1で得られた熱可塑性ポリウレタン組成物を用い
て、単軸押出成形機(25mmφ、シリンダー温度18
0〜200℃、ダイス温度200℃)から30℃の冷却
ロール上に押し出して冷却して得られたフィルムを、離
型紙を用いずに約2.5m/分の巻き取り速度で巻き取
った。このときの、押出成形性、フィルムの耐ブロッキ
ング性、100%モジュラス(M100)、残留歪みお
よび接着性(粘着テープの粘着性)を上記した方法で測
定または評価したところ、下記の表11に示すとおりで
あった。
【0153】《実施例17〜19および比較例7》[熱
可塑性ポリウレタン組成物からなる押出成形品の製造] 熱可塑性ポリウレタン組成物として、実施例6で得られ
たもの(実施例17)、実施例8で得られたもの(実施
例18)、実施例12で得られたもの(実施例19)お
よび比較例2で得られたもの(比較例7)をそれぞれ使
用した以外は、実施例16と同様にして押し出し成形を
行った。そのときの押出成形性、フィルムの耐ブロッキ
ング性、100%モジュラス(M100)、残留歪みお
よび接着性(粘着テープの粘着性)を上記した方法で測
定または評価したところ、表11に示すとおりであっ
た。
【0154】《比較例8》[熱可塑性ポリウレタン組成
物からなる押出成形品の製造] 熱可塑性ポリウレタン組成物として、比較例3で得られ
たものを使用した以外は、実施例16と同様にして押し
出し成形を行って、厚さ50μmのフィルムを製造し
た。この際に巻き取ったフィルムが膠着してしまい、1
00%モジュラス、残留歪みおよび接着性の評価ができ
なかった。
【0155】《比較例9》[熱可塑性ポリウレタン組成
物からなる押出成形品の製造] 比較例3で得られた熱可塑性ポリウレタン組成物100
重量部に対して、滑剤(エチレンビスステアリン酸アミ
ド)0.5重量部を混合して用いた以外は、実施例16
と同様にして押し出し成形を行った。そのときの押出成
形性、フィルムの耐ブロッキング性、100%モジュラ
ス(M100)、残留歪みおよび接着性(粘着テープの
粘着性)を上記した方法で測定または評価したところ、
表11に示すとおりであった。
【0156】《比較例10》[熱可塑性ポリウレタン組
成物からなる押出成形品の製造] 熱可塑性ポリウレタン組成物として、比較例5で得られ
たものを使用した以外は、実施例16と同様にして押し
出し成形を行って厚さ50μmのフィルムを製造しよう
としたが、フィルム割れが生じてしまい、耐ブロッキン
グ性、100%モジュラス、残留歪みおよび接着性の評
価ができなかった。
【0157】《比較例11》[熱可塑性ポリウレタン組
成物からなる押出成形品の製造] 熱可塑性ポリウレタン組成物として、比較例6で得られ
たものを使用した以外は、実施例16と同様にして押し
出し成形を行った。そのときの押出成形性、フィルムの
耐ブロッキング性、100%モジュラス(M100)、
残留歪みおよび接着性(粘着テープの粘着性)を上記し
た方法で測定または評価したところ、表11に示すとお
りであった。
【0158】
【表11】
【0159】上記の表11の結果から、本発明により得
られる熱可塑性ポリウレタン組成物を用いてなる実施例
16〜19では、押出成形性に優れていて、フィルムに
割れなどを生ずることなく、平滑な表面を有するフィル
ムを、離型紙や離型剤などを用いることなく円滑に製造
できること、しかも巻き取ったフィルムは耐ブロッキン
グ性に優れていて巻き返しができること、適度な100
%モジュラス(M100)を有し、残留歪みが小さく、
且つ接着性にも優れていることがわかる。
【0160】一方、比較例2の熱可塑性ポリウレタン組
成物[すなわち高分子ポリオール含浸組成物を予め調製
せずに、既に製造された熱可塑性ポリウレタンと(水
添)ブロック共重合体を溶融混合して得られた熱可塑性
ポリウレタン組成物]を用いて押出成形を行った比較例
7では、押出成形性に劣っていて、フィルムに割れなど
を生じ、しかも巻き取ったフィルムに膠着が生じている
こと、また実施例16〜19に比べてフィルムにおける
残留歪みが大きいことがわかる。また、(水添)ブロッ
ク共重合体を含有しない比較例3の熱可塑性ポリウレタ
ンを用いて押出成形を行った比較例8の場合は、得られ
たフィルムの耐ブロッキング性が大きく劣っていて、巻
き取ったフィルムが膠着してしまうことがわかる。そし
て、比較例3の熱可塑性ポリウレタンに滑剤を添加して
押出成形を行った比較例9では、滑剤を配合したことに
よって押出成形性や耐ブロッキング性が改善されたもの
の、得られたフィルムは滑剤を含んでいることによって
接着性が大幅に低下していることがわかる。
【0161】また、比較例5の熱可塑性ポリウレタン組
成物(すなわち予め調製した高分子ポリオール可塑剤含
浸組成物を用いて熱可塑性ポリウレタン組成物を製造し
ているが可塑剤を多量に含む熱可塑性ポリウレタン組成
物)を用いて押出成形を行った比較例10では、押し出
し成形時にフィルム割れが生じ、目的とするフィルムが
得られないことがわかる。さらに、比較例6の熱可塑性
ポリウレタン組成物[すなわち高分子ポリオール可塑剤
含浸組成物を予め調製せずに、可塑剤を含有する(水
添)ブロック共重合体をポリウレタン形成反応時に加え
て得られた熱可塑性ポリウレタン組成物]を用いて押出
成形を行った比較例11の場合は、押出成形性に劣って
いて、フィルムに割れなどを生じ易く、しかも巻き取っ
たフィルムに膠着が生じ、また得られるフィルムの10
0%モジュラス(M100)の値が大きく、低応力での
伸長性に劣っていることがわかる。
【0162】《実施例20》[PC/熱可塑性ポリウレ
タン組成物/ABSの3層からなる積層構造体の製造] (1) 実施例2で得られた熱可塑性ポリウレタン組成
物を用いて、プレス成形機を使用して、200℃で60
秒予熱した後、49.0×104Pa(Gauge)(5kg
f/cm2)の加圧下に30秒保持してプレス成形を行
って、厚さ500μmのシートを製造した。 (2) PC(ポリカーボネート)およびABS(AB
S樹脂)を用い、プレス成形機を使用して、210℃で
60秒予熱した後、49.0×104Pa(Gauge)(5
kgf/cm2)の加圧下に30秒保持してプレス成形
を行って、厚さ1.5mmのPCシートおよび厚さ1.
5mmのABSシートをそれぞれ製造した。 (3) 上記(1)で得た熱可塑性ポリウレタン組成物
シートを中間層とし、上記(2)で得たPCシートおよ
びABSシートを表面層として重ね合わせて、プレス成
形機を使用して、210℃で90秒予熱した後、4.9
×104Pa(Gauge)(0.5kgf/cm2)の加圧下
に30秒保持して、加熱加圧下に接着・一体化して積層
構造体を製造した。 (4) 上記(3)で得た積層構造体の層間の接着強度
を上記した方法で測定したところ、PC層と熱可塑性ポ
リウレタン組成物層との間の接着強度、およびABS層
と熱可塑性ポリウレタン組成物層との間の接着強度は、
それぞれ6.3kg/cmおよび7.4kg/cmであ
り、いずれも高い値を示した。
【0163】《実施例21》[NY−6/熱可塑性ポリ
ウレタン組成物/PMMAの3層からなる積層構造体の
製造] (1) 実施例3で得られた熱可塑性ポリウレタン組成
物を用いて、実施例20の(1)と同じに行って、厚さ
500μmのシートを製造した。 (2) NY−6(ナイロン6)およびPMMA(ポリ
メチルメタクリレート)を用い、プレス成形機を使用し
て、220℃で40秒予熱した後、49.0×104
a(Gauge)(5kgf/cm2)の加圧下に20秒保持
してプレス成形を行って、厚さ1.5mmのNY−6シ
ートおよび厚さ1.5mmのPMMAシートをそれぞれ
製造した。 (3) 上記(1)で得た熱可塑性ポリウレタン組成物
シートを中間層とし、上記(2)で得たNY−6シート
およびPMMAシートを表面層として重ね合わせて、プ
レス成形機を使用して、220℃で40秒予熱した後、
4.9×104Pa(Gauge)(0.5kgf/cm2)の
加圧下に20秒保持して、加熱加圧下に接着・一体化し
て積層構造体を製造した。 (4) 上記(3)で得た積層構造体の層間の接着強度
を上記した方法で測定したところ、NY−6層と熱可塑
性ポリウレタン組成物層との間の接着、およびPMMA
層と熱可塑性ポリウレタン組成物層との間の接着は、い
ずれも、その接着力が強固で、180度剥離試験中に基
材破壊を起こした。
【0164】《実施例22》[PC/熱可塑性ポリウレ
タン組成物(可塑剤含有)/ABSの3層からなる積層
構造体の製造] (1) 実施例14で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物(可塑剤を含有)を用いて、実施例20の(1)と
同じに行って、厚さ500μmのシートを製造した。 (2) PCおよびABSを用い、実施例20の(2)
と同じに行って、厚さ1.5mmのPCシートおよび厚
さ1.5mmのABSシートをそれぞれ製造した。 (3) 上記(1)で得た熱可塑性ポリウレタン組成物
シートを中間層とし、上記(2)で得たPCシートおよ
びABSシートを表面層として重ね合わせて、プレス成
形機を使用して、210℃で90秒予熱した後、4.9
×104Pa(Gauge)(0.5kgf/cm2)の加圧下
に30秒保持して、加熱加圧下に接着・一体化して積層
構造体を製造した。 (4) 上記(3)で得た積層構造体の層間の接着強度
を上記した方法で測定したところ、PC層と熱可塑性ポ
リウレタン組成物層との間の接着強度、およびABS層
と熱可塑性ポリウレタン組成物層との間の接着強度は、
それぞれ3.5kg/cmおよび2.8kg/cmであ
り、いずれも高い値を示した。
【0165】《実施例23》[NY−6/熱可塑性ポリ
ウレタン組成物(可塑剤含有)/PMMAの3層からな
る積層構造体の製造] (1) 実施例9で得られた熱可塑性ポリウレタン組成
物(可塑剤含有)を用いて、実施例20の(1)と同じ
に行って、厚さ500μmのシートを製造した。 (2) NY−6およびPMMAを用い、実施例21の
(2)と同じに行って、厚さ1.5mmのNY−6シー
トおよび厚さ1.5mmのPMMAシートをそれぞれ製
造した。 (3) 上記(1)で得た熱可塑性ポリウレタン組成物
シートを中間層とし、上記(2)で得たNY−6シート
およびPMMAシートを表面層として重ね合わせて、プ
レス成形機を使用して、220℃で40秒予熱した後、
4.9×104Pa(Gauge)(0.5kgf/cm2)の
加圧下に20秒保持して、加熱加圧下に接着・一体化し
て積層構造体を製造した。 (4) 上記(3)で得た積層構造体の層間の接着強度
を上記した方法で測定したところ、NY−6層と熱可塑
性ポリウレタン組成物層との間の接着強度は3.0kg
/cmであり、高い値を示した。また、PMMA層と熱
可塑性ポリウレタン組成物層との間の接着は、接着力が
強固で、180度剥離試験中に基材破壊を起こした。
【0166】《実施例24》[ABS/熱可塑性ポリウ
レタン組成物(可塑剤含有)/PPの3層からなる積層
構造体の製造] (1) 実施例10で得られた熱可塑性ポリウレタン組
成物(可塑剤含有)を用いて、実施例20の(1)と同じ
に行って、厚さ500μmのシートを製造した。 (2) ABSおよびPP(ポリプロピレン)を用い、
プレス成形機を使用して、210℃で60秒予熱した
後、49.0×104Pa(Gauge)(5kgf/c
2)の加圧下に30秒保持してプレス成形を行って、
厚さ1.5mmのABSシートおよび厚さ1.5mmの
PPシートをそれぞれ製造した。 (3) 上記(1)で得た熱可塑性ポリウレタン組成物
シートを中間層とし、上記(2)で得たABSシートお
よびPPシートを表面層として重ね合わせて、プレス成
形機を使用して、210℃で90秒予熱した後、4.9
×104Pa(Gauge)(0.5kgf/cm2)の加圧下
に30秒保持して、加熱加圧下に接着・一体化して積層
構造体を製造した。 (4) 上記(3)で得た積層構造体の層間の接着強度
を上記した方法で測定したところ、ABS層と熱可塑性
ポリウレタン組成物層との間の接着強度、およびPP層
と熱可塑性ポリウレタン組成物層との間の接着強度は、
それぞれ3.0kg/cmおよび1.0kg/cmであ
り、いずれも高い値を示した。
【0167】
【発明の効果】本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物
は、熱可塑性ポリウレタン(a)と(水添)ブロック共
重合体(b)との間の相容性が極めて良好であり、非粘
着性、成形性、溶融接着性、耐摩耗性、引張破断強度等
で代表される力学的特性、柔軟性、屈曲性、低残留歪み
性、弾性回復性、耐油性、耐水性などの諸特性に優れ、
且つ適度な柔軟性を有し、成形品および該熱可塑性ポリ
ウレタン組成物からなる層を有する積層構造体の製造に
有効に用いることができる。
【0168】特に、本発明の熱可塑性ポリウレタン組成
物は、非粘着性で、取り扱い性、溶融成形性に優れてい
るので、それを用いて射出成形などを行うと、成形時に
金型からの離型が容易で、成形装置への付着が生じず、
さらには成形品間の膠着が生じず、平滑な表面を有する
成形品を、良好な工程性で生産性よく製造することがで
きる。さらに、本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物を
用いて押出成形などによってフィルムやシートを製造す
る場合は、離型剤や離型紙などを用いなくても、非粘着
性で巻き返しの容易なフィルムやシートを割れなどを生
ずることなく正常に巻き取りながら、生産性よく製造す
ることができる。本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物
を用いて上記成形を行って得られる成形品は、耐摩耗性
に優れ、引張破断強度や引張破断伸度などで代表される
力学的特性、屈曲性および耐ブロッキング性に優れ、残
留歪みが小さく、表面が非粘着性であるにも拘わらず、
粘着テープなどにより容易に接着することができる。そ
して、本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物のうちで、
可塑剤を含有する熱可塑性ポリウレタン組成物は、上記
した特性と併せて、硬度が小さく、柔軟性、伸長性など
の点でも一層優れている。そのため、本発明で得られる
熱可塑性ポリウレタン組成物は、上記した特性を活かし
て、例えば、コンベアベルト、各種キーボード、ラミネ
ート品、各種容器用のフィルムやシート、ホース、チュ
ーブ、自動車部品、機械部品、靴底、時計バンド、パッ
キング材、制振材などの各種用途に有効に使用すること
ができる。
【0169】さらに、本発明の熱可塑性ポリウレタン組
成物は、各種材料に対する溶融接着性に優れ、特に極性
の高い樹脂および極性の低い樹脂のいずれに対しても良
好に溶融接着し、層間の接着強度の高い各種積層構造体
を形成する。そのため、前記熱可塑性ポリウレタン組成
物よりなる層と他の材料よりなる層を有する本発明の積
層構造体、特に積層構造体(イ)および積層構造体
(ロ)は、例えば、インストルメントパネル、センター
パネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピ
ラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバックカバー
などの自動車用内装部品、モールなどの自動車外装部
品、掃除機バンパー、冷蔵庫当たり、カメラグリップ、
電動工具グリップ、リモコンスイッチ、OA機器の各種
キートップ、ハウジングなどの家電部品、水中眼鏡など
のスポーツ用品、各種カバー、耐摩耗性、密閉性、防音
性、防振性などを目的とした各種パッキン付き工業部
品、カールコード電線被覆、ベルト、ホース、チュー
ブ、消音ギアなどの電気・電子部品などの広範な用途に
有効に用いることができる。
【0170】そして、本発明の製法による場合は、上記
した優れた特性を有する熱可塑性ポリウレタン組成物を
円滑に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性ポリウレタン組成物のモルホ
ロジーの概略を模式的に示した図である。
【図2】実施例1の熱可塑性ポリウレタン組成物の光学
顕微鏡で写真撮影した図(光学顕微鏡写真)である(倍
率200倍)。
【図3】実施例1の熱可塑性ポリウレタン組成物の光学
顕微鏡で写真撮影した図(光学顕微鏡写真)である(倍
率500倍)。
【図4】比較例1の熱可塑性ポリウレタン組成物の光学
顕微鏡で写真撮影した図(光学顕微鏡写真)である(倍
率200倍)。
【図5】実施例8の熱可塑性ポリウレタン組成物の光学
顕微鏡で写真撮影した図(光学顕微鏡写真)である(倍
率200倍)。
【図6】実施例10の熱可塑性ポリウレタン組成物の光
学顕微鏡で写真撮影した図(光学顕微鏡写真)である
(倍率500倍)。
【図7】比較例4の熱可塑性ポリウレタン組成物の光学
顕微鏡で写真撮影した図(光学顕微鏡写真)である(倍
率200倍)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/00 CFF C08J 5/00 CFF C08L 53/02 C08L 53/02 75/04 75/04

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリウレタン(a)並びに芳香
    族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体
    ブロックからなるブロック共重合体および該ブロック共
    重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1種(b)
    を含有する熱可塑性ポリウレタン組成物であって、熱可
    塑性ポリウレタン(a)からなる海成分中に、芳香族ビ
    ニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロ
    ックからなるブロック共重合体および該ブロック共重合
    体の水素添加物から選ばれる少なくとも1種(b)が島
    成分として存在し、さらに前記島成分の内部に熱可塑性
    ポリウレタン(a)が平均粒子径0.001〜10μm
    の島成分として存在してなる構造を有することを特徴と
    する熱可塑性ポリウレタン組成物。
  2. 【請求項2】 (i)高分子ポリオール(a−1)、並
    びに芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン
    系重合体ブロックからなるブロック共重合体および該ブ
    ロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1
    種(b)を、(a−1):(b)=35:65〜90:
    10の重量比で用いて、高分子ポリオール(a−1)
    が、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン
    系重合体ブロックからなるブロック共重合体および該ブ
    ロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1
    種(b)中に含浸した高分子ポリオール含浸組成物(a
    −1・b)を予め調製し;次いで、(ii)前記(i)で
    調製した高分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)
    を、有機ジイソシアネート化合物および鎖伸長剤と混合
    するか、または有機ジイソシアネート化合物、高分子ポ
    リオール(a−1)および鎖伸長剤と混合して、ポリウ
    レタン形成反応を行う;ことにより得られたものである
    請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリウレタン(a)、芳香族ビ
    ニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロ
    ックからなるブロック共重合体および該ブロック共重合
    体の水素添加物から選ばれる少なくとも1種(b)、並
    びに可塑剤(c)を含有する熱可塑性ポリウレタン組成
    物であって、熱可塑性ポリウレタン(a)からなる海成
    分中に、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジ
    エン系重合体ブロックからなるブロック共重合体および
    該ブロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくと
    も1種(b)並びに可塑剤(c)が島成分として存在
    し、さらに前記島成分の内部に熱可塑性ポリウレタン
    (a)が平均粒子径0.001〜10μmの島成分とし
    て存在してなる構造を有することを特徴とする熱可塑性
    ポリウレタン組成物。
  4. 【請求項4】 (i)高分子ポリオール(a−1)、並
    びに芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン
    系重合体ブロックからなるブロック共重合体および該ブ
    ロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1
    種(b)を、(a−1):(b)=35:65〜90:
    10の重量比で用い、かつ高分子ポリオール(a−1)
    並びに芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエ
    ン系重合体ブロックからなるブロック共重合体および該
    ブロック共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも
    1種(b)の合計100重量部に対して可塑剤(c)を
    0.1〜200重量部の割合で用いて、高分子ポリオー
    ル(a−1)および可塑剤(c)が、芳香族ビニル化合
    物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックから
    なるブロック共重合体および該ブロック共重合体の水素
    添加物から選ばれる少なくとも1種(b)中に含浸した
    高分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)
    を予め調製し;次いで、(ii)前記(i)で調製した高
    分子ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)
    を、有機ジイソシアネート化合物および鎖伸長剤と混合
    するか、または有機ジイソシアネート化合物、高分子ポ
    リオール(a−1)および鎖伸長剤と混合して、ポリウ
    レタン形成反応を行う;ことにより得られたものである
    請求項3に記載の熱可塑性ポリウレタン組成物。
  5. 【請求項5】 上記(ii)のポリウレタン形成反応を、
    活性水素原子:イソシアネート基のモル比を1:0.9
    〜1.3の範囲内に調整して行ったものである請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタン組成
    物。
  6. 【請求項6】 芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと
    共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体
    および該ブロック共重合体の水素添加物から選ばれる少
    なくとも1種(b)が、芳香族ビニル化合物系重合体ブ
    ロックを2個以上および共役ジエン系重合体ブロックを
    1個以上有し、かつ数平均分子量50,000〜50
    0,000を有するブロック共重合体および/またはそ
    の水素添加物である請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の熱可塑性ポリウレタン組成物。
  7. 【請求項7】 高分子ポリオール(a−1)が、100
    ℃で液状を呈するものである請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の熱可塑性ポリウレタン組成物。
  8. 【請求項8】 高分子ポリオール(a−1)の1分子当
    たりの平均官能基数が2.0〜2.1である請求項2お
    よび1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタ
    ン組成物。
  9. 【請求項9】 前記(ii)のポリウレタン形成反応で得
    られる熱可塑性ポリウレタン組成物における、[熱可塑
    性ポリウレタン(a)]:[芳香族ビニル化合物系重合
    体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロ
    ック共重合体および該ブロック共重合体の水素添加物か
    ら選ばれる少なくとも1種(b)]の重量比が95:5
    〜40:60の範囲になるようにして、上記(i)の高
    分子ポリオール含浸組成物(a−1・b)または高分子
    ポリオール可塑剤含浸組成物(a−1・b・c)の調製
    および上記(ii)のポリウレタン形成反応を行ったもの
    である請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性ポ
    リウレタン組成物。
  10. 【請求項10】 前記(ii)のポリウレタン形成反応で
    得られる熱可塑性ポリウレタン組成物における可塑剤
    (c)の含有量が、熱可塑性ポリウレタン(a)並びに
    芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重
    合体ブロックからなるブロック共重合体および該ブロッ
    ク共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1種
    (b)の合計100重量部に対して60重量部以下にな
    るように、上記(i)の高分子ポリオール可塑剤含浸組
    成物(a−1・b・c)の調製および上記(ii)のポリ
    ウレタン形成反応を行ったものである請求項3〜9のい
    ずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタン組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の熱可塑性ポリウレタン組成物からなる成形品。
  12. 【請求項12】 射出成形品である請求項11に記載の
    成形品。
  13. 【請求項13】 フィルムまたはシートである請求項1
    1に記載の成形品。
  14. 【請求項14】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の熱可塑性ポリウレタン組成物よりなる樹脂層と、他の
    材料よりなる層とが積層した構造を有する積層構造体。
  15. 【請求項15】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の熱可塑性ポリウレタン組成物よりなる樹脂層(A)
    と、ポリアミド樹脂;ポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニ
    リデン樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネート
    樹脂;アクリル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレ
    ン−酢酸ビニル共重合体ケン化物;並びに芳香族ビニル
    化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およ
    びオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種との共
    重合体から選ばれる少なくとも1種よりなる樹脂層
    (B)とが樹脂層(A)/樹脂層(B)の形態で積層し
    た構造を少なくとも一部に有する、請求項14に記載の
    積層構造体。
  16. 【請求項16】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の熱可塑性ポリウレタン組成物よりなる樹脂層(A)
    と、ポリアミド樹脂;ポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニ
    リデン樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネート
    樹脂;アクリル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレ
    ン−酢酸ビニル共重合体ケン化物;並びに芳香族ビニル
    化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およ
    びオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種との共
    重合体から選ばれる少なくとも1種よりなる樹脂層
    (B)と、スチレン系重合体およびオレフィン系重合体
    から選ばれる少なくとも1種からなる樹脂層(C)が、
    樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(C)の形態で積
    層した構造を少なくとも一部に有する、請求項12に記
    載の積層構造体。
  17. 【請求項17】 請求項2に記載の(i)および(ii)
    の工程によって、熱可塑性ポリウレタン(a)並びに芳
    香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合
    体ブロックからなるブロック共重合体および該ブロック
    共重合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1種
    (b)を含有する熱可塑性ポリウレタン組成物を製造す
    る方法。
  18. 【請求項18】 請求項4に記載の(i)および(ii)
    の工程によって、熱可塑性ポリウレタン(a)、芳香族
    ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブ
    ロックからなるブロック共重合体および該ブロック共重
    合体の水素添加物から選ばれる少なくとも1種(b)並
    びに可塑剤(c)を含有する熱可塑性ポリウレタン組成
    物を製造する方法。
JP2000019712A 1999-02-04 2000-01-28 熱可塑性ポリウレタン組成物 Expired - Fee Related JP5165167B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000019712A JP5165167B2 (ja) 1999-02-04 2000-01-28 熱可塑性ポリウレタン組成物

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-27910 1999-02-04
JP2791099 1999-02-04
JP1999027910 1999-02-04
JP2000019712A JP5165167B2 (ja) 1999-02-04 2000-01-28 熱可塑性ポリウレタン組成物

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2000290339A true JP2000290339A (ja) 2000-10-17
JP2000290339A5 JP2000290339A5 (ja) 2006-10-26
JP5165167B2 JP5165167B2 (ja) 2013-03-21

Family

ID=26365913

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000019712A Expired - Fee Related JP5165167B2 (ja) 1999-02-04 2000-01-28 熱可塑性ポリウレタン組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5165167B2 (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003119343A (ja) * 2001-10-12 2003-04-23 Kuraray Co Ltd 粉末状重合体組成物
JP2005030585A (ja) * 2003-06-18 2005-02-03 Bridgestone Corp 建築物用ダンパー材料及び建築物用ダンパー
JP2005146209A (ja) * 2003-11-19 2005-06-09 Polymatech Co Ltd コーティング材
JP2007197727A (ja) * 2006-01-20 2007-08-09 Essilor Internatl (Co Generale D'optique) ポリウレタン−尿素系でブロック共重合体系の硬化性組成物、及び前記組成物から得られる透明材料
JP2007197728A (ja) * 2006-01-20 2007-08-09 Essilor Internatl (Co Generale D'optique) ポリウレタン系でブロック共重合体系の硬化性組成物、及び前記組成物から得られる透明材料
JP2008534728A (ja) * 2005-03-31 2008-08-28 エシロール アテルナジオナール カンパニー ジェネラーレ デ オプティック 少なくとも1種類のブロックコポリマーを含む熱硬化性ポリ(チオ)ウレタン調合物およびその光学分野への応用による改善した強靱性を持つ有機ガラスの生産
WO2009061673A3 (en) * 2007-11-08 2009-08-27 3M Innovative Properties Company Optical adhesive with diffusive properties
JP2011190312A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Kuraray Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物の製造方法および該熱可塑性樹脂組成物からなる部材を含む複合成形体
JP2014159537A (ja) * 2013-02-21 2014-09-04 Okura Ind Co Ltd 半導電性熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いた電子写真用シームレスベルト
JP2018193431A (ja) * 2017-05-12 2018-12-06 旭化成株式会社 樹脂組成物
WO2020045609A1 (ja) * 2018-08-31 2020-03-05 株式会社クラレ 樹脂組成物、パウダー、接着剤、及び、自動車用ダイレクトグレージング接着剤
JP2020075432A (ja) * 2018-11-08 2020-05-21 川口合成株式会社 容器成形用シート材料、これを使用した容器及び容器成形方法
CN112226190A (zh) * 2020-09-30 2021-01-15 上海东睿化学有限公司 一种纺织品复合用湿固化聚氨酯热熔胶的制备方法
CN113103560A (zh) * 2021-04-14 2021-07-13 中国科学技术大学 一种高强度聚氨酯材料及其制备方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54127999A (en) * 1978-03-28 1979-10-04 Sanyo Chem Ind Ltd Preparation of polyurethane

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54127999A (en) * 1978-03-28 1979-10-04 Sanyo Chem Ind Ltd Preparation of polyurethane

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003119343A (ja) * 2001-10-12 2003-04-23 Kuraray Co Ltd 粉末状重合体組成物
JP2005030585A (ja) * 2003-06-18 2005-02-03 Bridgestone Corp 建築物用ダンパー材料及び建築物用ダンパー
JP2005146209A (ja) * 2003-11-19 2005-06-09 Polymatech Co Ltd コーティング材
JP2008534728A (ja) * 2005-03-31 2008-08-28 エシロール アテルナジオナール カンパニー ジェネラーレ デ オプティック 少なくとも1種類のブロックコポリマーを含む熱硬化性ポリ(チオ)ウレタン調合物およびその光学分野への応用による改善した強靱性を持つ有機ガラスの生産
JP2007197727A (ja) * 2006-01-20 2007-08-09 Essilor Internatl (Co Generale D'optique) ポリウレタン−尿素系でブロック共重合体系の硬化性組成物、及び前記組成物から得られる透明材料
JP2007197728A (ja) * 2006-01-20 2007-08-09 Essilor Internatl (Co Generale D'optique) ポリウレタン系でブロック共重合体系の硬化性組成物、及び前記組成物から得られる透明材料
US10457839B2 (en) 2007-11-08 2019-10-29 3M Innovative Properties Company Optical adhesive with diffusive properties
US20100297406A1 (en) * 2007-11-08 2010-11-25 Schaffer Kevin R Optical adhesive with diffusive properties
US9238762B2 (en) 2007-11-08 2016-01-19 3M Innovative Properties Company Optical adhesive with diffusive properties
WO2009061673A3 (en) * 2007-11-08 2009-08-27 3M Innovative Properties Company Optical adhesive with diffusive properties
JP2011190312A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Kuraray Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物の製造方法および該熱可塑性樹脂組成物からなる部材を含む複合成形体
JP2014159537A (ja) * 2013-02-21 2014-09-04 Okura Ind Co Ltd 半導電性熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いた電子写真用シームレスベルト
JP2018193431A (ja) * 2017-05-12 2018-12-06 旭化成株式会社 樹脂組成物
WO2020045609A1 (ja) * 2018-08-31 2020-03-05 株式会社クラレ 樹脂組成物、パウダー、接着剤、及び、自動車用ダイレクトグレージング接着剤
JPWO2020045609A1 (ja) * 2018-08-31 2021-08-26 株式会社クラレ 樹脂組成物、パウダー、接着剤、及び、自動車用ダイレクトグレージング接着剤
JP2020075432A (ja) * 2018-11-08 2020-05-21 川口合成株式会社 容器成形用シート材料、これを使用した容器及び容器成形方法
CN112226190A (zh) * 2020-09-30 2021-01-15 上海东睿化学有限公司 一种纺织品复合用湿固化聚氨酯热熔胶的制备方法
CN113103560A (zh) * 2021-04-14 2021-07-13 中国科学技术大学 一种高强度聚氨酯材料及其制备方法
CN113103560B (zh) * 2021-04-14 2022-05-13 中国科学技术大学 一种高强度聚氨酯材料及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5165167B2 (ja) 2013-03-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI290568B (en) Thermoplastic polymer composition molding article complex molding laminate and method for producing foamed article complex molding and laminate
KR100585565B1 (ko) 열가소성 중합체 조성물, 이를 포함하는 적층 구조물 및 이러한 적층 구조물의 제조방법
JP5165167B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物
JPH09176438A (ja) 少なくとも1つのエンジニアリング熱可塑性プラスチック層と少なくとも1つのソフトタッチ組成層とを含む多層ポリマー系、およびそれに使用する組成物
JP2003160727A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2010260914A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP3497058B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP3775546B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
WO2003006552A1 (fr) Composition polymere thermoplastique
JP5536497B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物の製造方法および該熱可塑性樹脂組成物からなる部材を含む複合成形体
JP3537619B2 (ja) 積層構造体
JP2003292771A (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物およびその製造方法
JP3976903B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2003136647A (ja) 積層体
WO1992012008A1 (en) Multilayered sheets having excellent adhesion
JP2002178455A (ja) 積層構造体
JP4409235B2 (ja) 難燃性の熱可塑性重合体組成物
WO2010126098A1 (ja) ポリウレタン系ブロック共重合体
JP2002363247A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2000143934A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003041089A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP5111851B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP4204928B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2007076270A (ja) 多層中空成形体
JP2006307359A (ja) 合成皮革用の積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060908

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060908

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080902

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091006

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091204

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100803

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121024

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121219

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151228

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5165167

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees