JP3976903B2 - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、特定の熱可塑性ポリウレタンと特定のブロック共重合体を含有する熱可塑性重合体組成物、該熱可塑性重合体組成物よりなる層を有する積層構造体、該積層構造体の製造方法および前記の熱可塑性重合体組成物からなるホットメルト接着剤に関する。本発明により提供される熱可塑性重合体組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの極性の低い重合体や、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体およびポリオキシメチレンなどの極性の高い重合体のいずれに対しても高い溶融接着性を示し、さらに透明性に優れるため、各種積層構造体をはじめとして、広範な用途に有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアミドフィルムは、ガスバリアー性に優れており、その高いガスバリアー性を活かして、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのようなヒートシール性に優れる重合体フィルムなどと積層して、包装材料やその他の分野で広く用いられている。また、ポリ塩化ビニルフィルムは、その透明性、耐薬品性、印刷適性、機械的特性などに優れ、またポリエステルフィルムは、機械的特性、耐薬品性などに優れており、それらの特性を活かして、単独でまたはポリエチレン、ポリプロピレンなどと積層して、広範な用途に用いられている。さらにポリカーボネートフィルムは、透明性、耐衝撃性などに優れ、ポリメチルメタクリレートフィルムは、透明性、耐候性、印刷適性などに優れており、それらの特性を活かして、種々の重合体フィルムとの積層が試みられている。
【0003】
積層フィルムの製造に当たっては、ポリウレタン溶液などのような溶剤型接着剤を用いて各重合体フィルム間の接着・積層を行ったり、ホットメルト接着剤を用いて積層することが行われている。特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルムまたはアクリル系重合体フィルムを他の重合体フィルムと積層する場合には、従来溶剤型接着剤が汎用されているが、有機溶剤の使用による自然環境の汚染、作業環境の悪化や安全性の点で問題があり、溶剤型接着剤を用いない積層技術が求められている。
【0004】
しかも、それらのフィルムのうちで、ポリカーボネートフィルムやアクリル系重合体フィルムなどは耐溶剤性が劣るため、溶剤の選択が限られる。また、溶剤型接着剤を用いる積層フィルムの製造においては、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルムまたはアクリル系重合体フィルムを予め製造しておき、それをやはり予め製造しておいた他の重合体フィルムと溶剤型接着剤を用いて積層する必要があり、そのため、被積層フィルムを予め製造する工程、フィルム同士を接着・積層した後に溶剤を除去するための乾燥工程、溶剤の回収工程など、工程数が極めて多く、作業内容が繁雑になり、製造コストが高くなるという点でも問題を生じている。
【0005】
また、脂肪酸変性ポリオレフィンまたはカルボン酸無水物基もしくはエポキシ基変性ポリオレフィンなどのホットメルト型接着剤を用いて溶融共押出成形を行い積層フィルムを製造することが、従来から行われている(特開平8−208899号公報等)。しかしながら、それにより得られる積層フィルムは、層間の接着強度が小さいため層間剥離を生じやすく、その改善を求められている。さらに包装材用の積層フィルムを始めとして、プラスチック積層構造体では、被包装物などが外から透視できるように透明なものを求められることが多い。その場合に、表裏面層を構成するプラスチックが透明であっても中間の接着層が不透明であると、透明な積層構造体は得られない。そのため、接着力に優れ、しかも透明性に優れる非溶剤型の接着剤が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、極性の低い重合体および極性の高い重合体のいずれに対しても高い溶融接着性を示し、製造工程が簡素で且つ環境への影響が小さく、共押出成形法などにより積層構造体を製造する際の層間接着剤として有用な、熱可塑性重合体組成物を提供することである。また本発明の目的は、層間接着力が強く、透明性に優れて被包装物などを外部から透視することのできる積層構造体を提供することである。さらに本発明の目的は、前記した熱可塑性重合体組成物からなるホットメルト接着剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく本発明者らは検討を重ねてきた。その結果、特定の熱可塑性ポリウレタン(I)と、ポリオレフィン系重合体ブロック(A)並びにアクリル系単量体単位および/または芳香族ビニル系単量体単位よりなる重合体ブロック(B)からなるブロック共重合体(II)とを特定の割合で配合すると、それにより得られる熱可塑性重合体組成物は、極性の低い重合体および極性の高い重合体のいずれに対しても高い溶融接着性を示し、そのため該熱可塑性重合体組成物は、フィルムやシートをはじめとする各種積層構造体の製造に適していることおよびホットメルト接着剤として有効であることを見出した。また、上記の熱可塑性重合体組成物において、ブロック共重合体(II)の重合体ブロック(B)が特定の官能基を有すると、得られる熱可塑性重合体組成物がより透明になり、該官能基の反応を促進する触媒を添加することにより、透明性がさらに上がることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、
数平均分子量が500〜10,000の高分子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン(I)を50〜90重量部;並びに
オレフィン系単量体単位の含有割合が55〜100モル%である重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸系単量体単位の含有割合が55〜100モル%である重合体ブロック(B)からなるブロック共重合体(II)を50〜10重量部配合してなる熱可塑性重合体組成物[以下、この熱可塑性重合体組成物を「熱可塑性重合体組成物(α)」ということがある]に関する。
また、本発明は、数平均分子量が500〜10,000の高分子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン(I)を50〜90重量部;
オレフィン系単量体単位の含有割合が55〜100モル%である重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸系単量体単位および/または芳香族ビニル系単量体単位の含有割合が55〜100モル%であり、エポキシ基およびエピチオ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位(b )を含む重合体ブロックであって、当該官能基を有する単量体単位(b )の割合がこの重合体ブロックの全単量体単位の合計モル数に基づいて1〜100モル%である重合体ブロック(B )からなるブロック共重合体( II )を50〜10重量部;並びに
3級アミン、アンモニウム化合物、亜リン酸エステル、ホスホニウム化合物および3級ホスフィンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を熱可塑性ポリウレタン(I)およびブロック共重合体( II )の合計重量に基づいて5〜5,000ppm配合してなる熱可塑性重合体組成物[以下、この熱可塑性重合体組成物を「熱可塑性重合体組成物(β )」ということがある]、
数平均分子量が500〜10,000の高分子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン(I)を50〜90重量部;
オレフィン系単量体単位の含有割合が55〜100モル%である重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸系単量体単位および/または芳香族ビニル系単量体単位の含有割合が55〜100モル%であり、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、チオカルボキシル基およびジチオカルボキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位(b )を含む重合体ブロックであって、当該官能基を有する単量体単位(b )の割合がこの重合体ブロックの全単量体単位の合計モル数に基づいて1〜100モル%である重合体ブロック(B )からなるブロック共重合体( II )を50〜10重量部;並びに
有機チタン化合物、有機スズ化合物および3級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を熱可塑性ポリウレタン(I)およびブロック共重合体( II )の合計重量に基づいて1〜1,000ppm配合してなる熱可塑性重合体組成物[以下、この熱可塑性重合体組成物を「熱可塑性重合体組成物(β )」ということがある]、
数平均分子量が500〜10,000の高分子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン(I)を50〜90重量部;
オレフィン系単量体単位の含有割合が55〜100モル%である重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸系単量体単位および/または芳香族ビニル系単量体単位の含有割合が55〜100モル%であり、無水カルボン酸基を有する他の単量体単位(b )を含む重合体ブロックであって、無水カルボン酸基を有する他の単量体単位(b )の割合がこの重合体ブロックの全単量体単位の合計モル数に基づいて1〜45モル%である重合体ブロック(B )からなるブロック共重合体( II )を50〜10重量部;並びに
有機チタン化合物、有機スズ化合物および3級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を熱可塑性ポリウレタン(I)およびブロック共重合体( II )の合計重量に基づいて1〜1,000ppm配合してなる熱可塑性重合体組成物[以下、この熱可塑性重合体組成物を「熱可塑性重合体組成物(β )」ということがある]、
に関する。
【0009】
さらに本発明は、上記した熱可塑性重合体組成物よりなる重合体層を、他の材料からなる層の間に有する積層構造体に関する。特に、本発明は該積層構造体として、
オレフィン系重合体からなる層(X);
上記の熱可塑性重合体組成物からなる層(Y);並びに
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体、ポリオキシメチレン、並びにシアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体のうちの少なくとも1種からなる重合体層(Z);
がオレフィン系重合体層(X)/熱可塑性重合体組成物層(Y)/重合体層(Z)の順に積層している構造を有する積層構造体を、その好ましい態様として包含する。
【0010】
そして本発明は、
オレフィン系重合体(x);
上記の熱可塑性重合体組成物(y);並びに
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体、ポリオキシメチレン、並びにシアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体のうちの少なくとも1種からなる重合体(z);
を用いて、オレフィン系重合体(x)の層と重合体(z)の層の間に熱可塑性重合体組成物(y)の層が介在するようにして共押出成形する、積層構造体の製造方法に関する。
【0011】
さらに本発明は上記した熱可塑性重合体組成物よりなるホットメルト接着剤に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。本発明の熱可塑性重合体組成物は、熱可塑性ポリウレタン(I)、並びにオレフィン系単量体単位より主としてなる重合体ブロック(A)と(メタ)アクリル酸系単量体単位および/または芳香族ビニル系単量体単位より主としてなる重合体ブロック(B)からなるブロック共重合体(II)を含有する。
【0013】
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる熱可塑性ポリウレタン(I)は、数平均分子量が500〜10,000の高分子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタンである。
【0014】
熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用い得る高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなどを挙げることができ、熱可塑性ポリウレタン(I)は、これらの高分子ポリオールの1種または2種以上を用いて構成されていることができる。
【0015】
熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用いるポリエステルポリオールは、例えば、常法に従って、ポリカルボン酸、そのエステル、無水物などのエステル形成性誘導体などのポリカルボン酸成分とポリオール成分を、直接エステル化反応させるかまたはエステル交換反応させることによって得られる。
【0016】
熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用いられるポリエステルポリオールの製造原料であるポリカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸などのトリカルボン酸;それらのエステル形成性誘導体などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸成分として、脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体から主としてなり、場合により少量の3官能以上のポリカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を含むものを用いて製造されたものであることが好ましい。
【0017】
熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用いられるポリエステルポリオールの製造原料であるポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ヘキサントリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタンなどのトリオール;ペンタエリスリトールなどのテトラオールなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリエステルポリオールは、ポリオール成分として、脂肪族ジオールからなり、さらに少量の3官能以上のポリオールを含むポリオール成分を用いて製造された、1分子当たりの水酸基数fが2よりもわずかに大きい後述するようなポリエステルポリオールであることが好ましい。
【0018】
熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用い得るポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリオールと、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合物との反応により得られる。ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールとしては、ポリエステルポリオールの構成成分として先に例示したポリオールを用いることができる。また、ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げることができる。
【0019】
熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用い得るポリエステルポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオール、ポリカルボン酸およびカーボネート化合物を同時に反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリエステルポリオールとカーボネート化合物を反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリカーボネートポリオールとポリオールおよびポリカルボン酸を反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールを反応させて得られたものなどを挙げることができる。
【0020】
また、熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用い得るポリエーテルポリオールの例としては、好ましくは少量の3官能以上のポリオールの存在下に、ジオール成分を重合して得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも1分子当たりの水酸基数fが2よりもわずかに大きいポリテトラメチレングリコールを用いることが好ましい。
【0021】
高分子ポリオール成分の数平均分子量は、500〜10,000であり、700〜5,000であるのが好ましく、750〜4,000であるのがさらに好ましい。数平均分子量が500〜10,000の範囲から外れる高分子ポリオールを用いて製造された熱可塑性ポリウレタンを使用する場合は、得られる熱可塑性重合体組成物の溶融成形性、共押出成形性、耐寒性、耐熱性などが低下したものとなる。
【0022】
さらに、高分子ポリオールの1分子当たりの水酸基数fは、2.00〜2.20の範囲内であるのが好ましく、2.005〜2.20の範囲内であるのがより好ましく、2.01〜2.15の範囲内であるのがさらに好ましい。1分子当たりの水酸基数fが前記した範囲内にある高分子ポリオールを用いた熱可塑性ポリウレタン(I)を使用すると、得られる熱可塑性重合体組成物は、高温での溶融成形性がより良好になり、高温で溶融成形することが必要な熱可塑性重合体(例えばポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートなど)と共押出成形して積層構造体を製造する際に、成形性が一層良好なものとなる。
【0023】
有機ジイソシアネート成分としては、通常の熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から用いられている有機ジイソシアネートのいずれもが使用できるが、分子量500以下の芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートのうち1種または2種以上が好ましく使用される。有機ジイソシアネートの例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いるのが好ましい。
【0024】
鎖伸長剤成分としては、通常の熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれもが使用できるが、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物を用いるのが好ましい。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを用いるのが好ましく、1,4−ブタンジオールを用いるのがより好ましい。
【0025】
熱可塑性ポリウレタン(I)の製造にあたり、有機ジイソシアネートの量は、高分子ポリオールおよび鎖伸長剤が有している活性水素原子の全量に基づいて、活性水素原子1当量当たりのイソシアネート基当量の比が、0.9〜1.1の範囲内となるように使用するのが好ましい。
【0026】
熱可塑性ポリウレタン(I)の製造方法は特に制限されず、上記した高分子ポリオール成分、有機ジイソシアネート成分および鎖伸長剤成分を使用し、公知のウレタン化反応技術を利用して、重合触媒の存在下または不存在下で、プレポリマー法およびワンショット法のいずれで製造してもよい。そのうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重合法が好ましい。
【0027】
本発明の熱可塑性重合体組成物におけるもう一方の必須成分であるブロック共重合体(II)としては、オレフィン系単量体単位より主としてなる重合体ブロックを少なくとも1個と、(メタ)アクリル酸系単量体単位より主としてなる重合体ブロック、芳香族ビニル系単量体単位より主としてなる重合体ブロックまたは(メタ)アクリル酸系単量体と芳香族ビニル系単量体との共重合体より主としてなる重合体ブロックのうちの少なくとも1個とを有するブロック共重合体が用いられる。
【0028】
ブロック共重合体(II)を構成する重合体ブロック(A)は、主としてオレフィン系単量体単位からなる。オレフィン系単量体単位の含有割合は、55〜100モル%の範囲内であ、70〜100モル%の範囲内であるのが好ましく、90〜100モル%の範囲内であるのがより好ましい。オレフィン系単量体単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、ビニルシクロヘキサン、β−ピネンなどから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を含むことができる。これらの中でも、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンから誘導される単位が好ましい。
【0029】
重合体ブロック(A)の構成単位には、必要に応じて、オレフィン系単量体と共重合可能な単量体からなる単位を、45モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下の割合で含ませてもよい。共重合可能な構成単位としては、例えば、酢酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸およびその誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテルなどのビニルエーテル類;無水マレイン酸などから誘導される単位を挙げることができる。
【0030】
重合体ブロック(A)の数平均分子量としては、2,000〜200,000の範囲内であるのが好ましく、5,000〜100,000の範囲内であるのがより好ましい。重合体ブロック(A)の数平均分子量が2,000未満の場合には、得られる熱可塑性重合体組成物の低極性重合体への接着性が低下し、また数平均分子量が200,000を超える場合には、ブロック共重合体を製造する際の取扱い性が劣る傾向がある。
【0031】
熱可塑性重合体組成物(α)においては、ブロック共重合体( II )を構成する重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸系単量体単位からなり、(メタ)アクリル酸系単量体単位の含有割合は、55〜100モル%であり、70〜100モル%であるのが好ましく、90〜100モル%であるのがより好ましい。一方、熱可塑性重合体組成物(β )〜(β )においては、ブロック共重合体(II)を構成する重合体ブロック(B)は、主として(メタ)アクリル酸系単量体単位および/または芳香族ビニル系単量体単位からなり、(メタ)アクリル酸系単量体単位の含有割合と芳香族ビニル系単量体単位の含有割合の合計は、55〜100モル%であ、70〜100モル%であるのが好ましく、90〜100モル%であるのがより好ましい。ブロック共重合体( II )を構成する重合体ブロック(B)における(メタ)アクリル酸系単量体単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルおよび(メタ)アクリル酸などから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0032】
芳香族ビニル系単量体単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−グリシジルスチレン、スチレン−p−グリシジルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中では、スチレンから誘導される単位が好ましい。
【0033】
重合体ブロック(B)は、エポキシ基、エピチオ基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、チオカルボキシル基およびジチオカルボキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位を、重合体ブロック(B)の全単量体単位の合計モル数に基づいて1〜100モル%の割合で含むことが好ましい。重合体ブロック(B)が上記の官能基を有している場合は、得られる熱可塑性重合体組成物中でのブロック共重合体(II)の分散がより良好になるため、該熱可塑性重合体組成物の透明性がより向上し、また他の材料への接着強度がさらに高いものとなる。上記の官能基を有する単量体単位としては、エポキシ基、水酸基またはカルボキシル基を有する単量体単位を含むことがより好ましい。上記の官能基を有する単量体単位としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−エピチオプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メルカプトエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸、チオ(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル酸系単量体;p−グリシジルスチレン、スチレン−p−グリシジルエーテルなどのスチレン系単量体などから誘導される単位が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルまたはメタクリル酸から誘導される単位が特に好ましい。
【0034】
重合体ブロック(B)の構成単位には、必要に応じて、(メタ)アクリル酸系単量体および/または芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体からなる単位を、重合体ブロック(B)の全単量体単位の合計モル数に基づいて45モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下の割合で含ませてもよい。共重合可能な他の単量体単位としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのイミド系単量体類;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体類;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリルアミドなどのアミド系単量体類;エチレン、プロピレン、n−ブテンなどのα−オレフィン類;無水マレイン酸などの1,2−置換オレフィン類;イタコン酸、ジチオメタクリル酸などの1,1−置換オレフィン類などから誘導される単位を挙げることができる。共重合可能な他の単量体単位としては、得られる熱可塑性重合体組成物の透明性をより向上させ、また他の材料への接着強度をさらに高める観点から、エポキシ基、エピチオ基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基および無水カルボン酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位が好ましく、無水カルボン酸基を有する単量体単位がより好ましく、無水マレイン酸から誘導される単位がさらに好ましい。
【0035】
重合体ブロック(B)の数平均分子量としては、2,000〜200,000の範囲内であるのが好ましく、5,000〜100,000の範囲内であるのがより好ましい。重合体ブロック(B)の数平均分子量が上記の範囲内であると、得られる熱可塑性重合体組成物中でのブロック共重合体(II)の分散が良好になり、優れた接着性を示す。
【0036】
ブロック共重合体(II)の製造法は、特に限定されるものではないが、例えば、末端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)からなる重合体の存在下に、重合体ブロック(B)を構成する単量体成分をラジカル重合させることにより製造する方法が、目的とする分子量を有するブロック共重合体を簡便且つ効率的に得ることができるので好ましい。
【0037】
なお、末端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)からなる重合体は、各種方法により合成可能であり、例えば、末端に二重結合を有するポリオレフィンに、チオ−S−酢酸、チオ−S−プロピオン酸、チオ−S−酪酸、チオ−S−吉草酸、チオ−S−安息香酸などのチオ−S−カルボン酸を付加させた後、酸またはアルカリで処理する方法などにより合成することができる。
【0038】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、熱可塑性ポリウレタン(I)とブロック共重合体(II)を、50/50〜90/10の重量比で含有している。ブロック共重合体(II)の含有量が50重量%を超えると、高極性重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体およびポリオキシメチレンなど)に対する熱可塑性重合体組成物の接着性や、熱可塑性重合体組成物の成形性が低下する。一方、ブロック共重合体(II)の含有量が10重量%未満であると、低極性重合体(例えば、オレフィン系重合体)に対する熱可塑性重合体組成物の接着性が低下する。熱可塑性ポリウレタン(I)とブロック共重合体(II)の重量比は60/40〜80/20であるのが好ましい。
【0039】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、ブロック共重合体(II)の重合体ブロック(B)に、エポキシ基およびエピチオ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位(b)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、チオカルボキシル基およびジチオカルボキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位(b)、並びに/または無水カルボン酸基を有する単量体単位(b)を含む場合、該官能基とポリウレタンとの反応を促進する作用を有する化合物(触媒)を添加することにより、得られる熱可塑性重合体組成物の接着性および透明性がさらに優れたものとなる。
【0040】
前記の官能基とポリウレタンとの反応を促進する化合物としては、単量体単位がエポキシ基またはエピチオ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位(b)の場合には、例えば、トリフェニルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン;フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラオクチルアンモニウム、塩化トリブチルベンジルアンモニウム、塩化N−ラウリルピリジニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラn−ブチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物;トリフェニルホスファイト、トリイソデシルホスファイトなどの亜リン酸エステル;アルキルトリフェニルホスホニウムハロゲン化物(例えば、臭化エチルトリフェニルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド等)、アルケニルトリフェニルホスホニウムハロゲン化物、テトラアルキルホスホニウムハロゲン化物(例えば、臭化テトラブチルホスホニウム等)などのホスホニウム化合物;トリフェニルホスフィンなどの3級ホスフィンなどを挙げることができる。これらの中ではアルキルトリフェニルホスホニウムハロゲン化物などのホスホニウム化合物が好ましく、中でもエチルトリフェニルホスホニウム臭化物が好ましい。上記化合物の配合割合は、熱可塑性重合体組成物に対して、5〜5,000ppmであるのが好ましく、10〜3,000ppmであるのがより好ましく、15〜2,000ppmであるのがさらに好ましい。
【0041】
重合体ブロック(B)中の単量体単位が、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、チオカルボキシル基およびジチオカルボキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位(b)、または無水カルボン酸基を有する単量体単位(b)の場合には、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テトラステアリルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、ポリイソプロポキシチタンステアレート、チタンアセチルアセトネート、トリエタノールアミンチタネート、チタンアンモニウムラクテート、チタンエチルラクテート、チタンオクチレングリコレートなどの有機チタン化合物;オクチル酸スズ、モノメチルスズメルカプト酢酸塩、モノブチルスズトリアセテート、モノブチルスズモノオクチレート、モノブチルスズモノアセテート、モノブチルスズマレイン酸塩、モノブチルスズマレイン酸ベンジルエステル塩、モノオクチルスズマレイン酸塩、モノオクチルスズチオジプロピオン酸塩、モノオクチルスズトリス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、モノフェニルスズトリアセテート、ジメチルスズマレイン酸エステル塩、ジメチルスズビス(エチレングリコールモノチオグリコレート)、ジメチルスズビス(メルカプト酢酸)塩、ジメチルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸)塩、ジメチルスズビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレイン酸塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジブチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸)、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸アルキルエステル)塩、ジブチルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸アルコキシブチルエステル)塩、ジブチルスズビスオクチルチオグリコールエステル塩、ジブチルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸)塩、ジオクチルスズマレイン酸塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジオクチルスズビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、ジオクチルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸)塩などの有機スズ化合物;トリエチルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミンなどの3級アミンなどを挙げることができる。これらの中ではジブチルスズジアセテートなどの有機スズ化合物が好ましい。上記化合物の配合割合は、熱可塑性重合体組成物に対して、1〜1,000ppmであるのが好ましく、2〜700ppmであるのがより好ましく、3〜500ppmであるのがさらに好ましい。
【0042】
上記の触媒となる化合物の添加時期は特に限定されるものではないが、熱可塑性ポリウレタン(I)とブロック共重合体(II)の混練時に添加しても、熱可塑性ポリウレタン(I)の製造時等に予め添加しておいてもよい。
【0043】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記した本発明の目的の妨げにならない限り、必要に応じて、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、可塑剤、加水分解防止剤などの添加剤の1種または2種以上を含有していてもよい。
【0044】
本発明の熱可塑性重合体組成物においては、温度220℃、剪断速度100sec-1で測定した溶融粘度ηaが50〜5,000Pa・sの範囲内であることが好ましい。溶融粘度がこの範囲を外れる場合は、成形性に劣る傾向がある。溶融粘度は、熱可塑性ポリウレタン(I)とブロック共重合体(II)のそれぞれの溶融粘度を適切に調整したものを用いることまたはブロック共重合体(II)中の官能基濃度を調整すること等により、上記範囲内に設定することが可能である。これらの中で、熱可塑性ポリウレタン(I)の溶融粘度は、高分子ポリオール成分の官能基数、水酸基とイソシアネート基の濃度比およびウレタン基濃度で調整される。また、ブロック共重合体(II)の溶融粘度は、各ブロックの分子量および単量体の種類で調整することができ、この中では分子量で調整するのが好ましい。
【0045】
本発明の熱可塑性重合体組成物の製造方法は特に制限されず、熱可塑性重合体組成物の調製において従来から使用されている方法のいずれもが採用できる。例えば、熱可塑性ポリウレタン(I)、ブロック共重合体(II)および必要に応じて他の添加剤を、ポリマーの混合に通常用いられる縦型または水平型の混合機を用いて上記した所定の割合で予備混合した後、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどを用いて、回分式または連続式で加熱下に混練して製造することができる。特に、押出機を使用して加熱混練を行った場合には、ストランド状に押出してから適当な長さに切断して、ペレットなどの粒状物にしてもよい。また、場合によっては、熱可塑性ポリウレタン(I)の重合時に、ブロック共重合体(II)および必要に応じて添加剤を加え混合して、熱可塑性重合体組成物を調製してもよい。さらに、熱可塑性ポリウレタン(I)、ブロック共重合体(II)および必要に応じて添加剤を予めドライブレンドした後、そのブレンド物を直接押出成形機などの溶融成形機に供給し、溶融混練して押出成形などを行って、シート、フィルム、積層構造体、その他の成形品を製造してもよい。
【0046】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、溶融成形性に優れているとともに、各種素材に対して高い溶融接着性を有し、また高い透明性を有する組成物を容易に得ることができる。そのため、本発明の熱可塑性重合体組成物は、各種積層構造体の製造に極めて有効である。したがって、本発明は、上記した本発明の熱可塑性重合体組成物からなる重合体層を他種の材料からなる層の間に有する積層構造体を包含する。その際に、本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる重合体層と積層する他種の材料としては、本発明の熱可塑性重合体組成物以外の他の各種熱可塑性重合体またはその組成物、各種熱硬化性重合体、ゴム、紙、布帛、金属、木材、セラミックスなどを挙げることができる。
【0047】
上記した積層構造体の製法は特に制限されず、例えば、2つ以上の他の材料の間に本発明の熱可塑性ポリウレタンを溶融下に導入して接着・一体化させる方法、他の材料が熱可塑性である場合は本発明の熱可塑性ポリウレタンと他の材料を共押出成形して接着・一体化させる方法などを採用することができる。いずれの方法も接着剤層が有機溶剤を含まないので、有機溶剤による自然環境の破壊や、作業環境の悪化、溶剤の回収などの問題や手間を生ずることなく、目的とする積層構造体を得ることができる。その中でも、共押出成形による方法が、工程数が少なくてすみ生産性が高いので最も好ましい。
【0048】
特に、本発明の熱可塑性重合体組成物は、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系重合体などのような極性の低い重合体、並びにエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体、ポリオキシメチレン、並びにシアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体(以下、「芳香族ビニル化合物系共重合体」ということがある)などのような極性の高い重合体のいずれに対しても強く接着し、しかも容易に透明な積層構造体を形成することができ、それにより得られる積層構造体は、各種用途に有効に使用できる。
【0049】
したがって、本発明の積層構造体には、オレフィン系重合体からなる重合体層(X);上記した本発明の熱可塑性重合体組成物からなる層(Y)(以下、「重合体層(Y)」ということがある);並びにエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体、ポリオキシメチレンおよび芳香族ビニル化合物系共重合体のうちの少なくとも1種からなる重合体層(Z)が、重合体層(X)/重合体層(Y)/重合体層(Z)の順に積層している構造を、少なくとも一部に有する積層構造体(以下、これを「積層構造体(イ)」という)が好ましい態様として包含される。
【0050】
そこで、本発明の好ましい態様である上記した積層構造体(イ)について以下に説明する。本発明の積層構造体(イ)における層(Y)は、上記した熱可塑性重合体組成物から形成される。そして、本発明の積層構造体(イ)における重合体層(X)は、オレフィン系重合体から主としてなっている。その場合のオレフィン系重合体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィンの単独重合体、または前記したオレフィンの2種以上からなるオレフィン共重合体、または前記したオレフィンの1種または2種以上と他のビニル系単量体の1種または2種以上との共重合体などを挙げることができる。オレフィン系重合体の具体例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル単位の含有率が5〜30重量%)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(アクリル酸エチル単位の含有率が5〜30重量%)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体などを挙げることができる。重合体層(X)は、前記したオレフィン単独重合体およびオレフィン共重合体の1種または2種以上から形成することができる。
【0051】
また、重合体層(X)は、その本来の特性の妨げにならない限り、必要に応じて、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、可塑剤、加水分解防止剤、滑剤、離型剤などの添加剤の1種または2種以上を含有していてもよい。
【0052】
そして、本発明の積層構造体(イ)における重合体層(Z)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体、ポリオキシメチレンおよび芳香族ビニル化合物系共重合体のうちの少なくとも1種から主としてなっている。
【0053】
その場合のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物としては、エチレン単位含有量が20〜60モル%、好ましくは25〜60モル%で、けん化度が95%以上のものが好ましく用いられる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物のメルトインデックス(ASTM D−1238−65Tに準拠して190℃、2160g荷重下で測定)は、成形性の点から、0.1〜25g/10分であることが好ましく、0.3〜20g/10分であることがより好ましい。
【0054】
また、重合体層(Z)において用いられる塩化ビニリデン系重合体としては、塩化ビニリデンに由来する構造単位を50重量%以上の割合で有している重合体が好ましく用いられ、70〜98重量%の割合で有しているものがより好ましく用いられる。塩化ビニリデン系重合体が塩化ビニリデンと他の単量体との共重合体である場合には、塩化ビニリデンと、塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸エステルおよびアクリル酸などの他の不飽和単量体の1種または2種以上との共重合体が好ましく用いられる。塩化ビニリデン系重合体の重合度は特に制限されないが、一般に、100〜10,000の範囲内のものが好ましく用いられ、400〜5,000の範囲内のものがより好ましく用いられる。
【0055】
また、重合体層(Z)において用いられる塩化ビニル系重合体としては、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルに由来する構造単位を70重量%以上の割合で有する塩化ビニルと他の共重合性単量体との共重合体およびそれらの塩素化物の1種または2種以上が好ましく用いられる。塩化ビニル系重合体が塩化ビニル共重合体である場合は、塩化ビニルと、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、マレイミドなどの共重合性単量体の1種または2種以上との共重合体が好ましく用いられる。塩化ビニル系重合体の重合度は特に制限されないが、一般に、100〜10,000の範囲内のものが好ましく用いられ、400〜5,000の範囲内のものがより好ましく用いられる。
【0056】
重合体層(Z)において用いられるポリアミドとしては、ポリマー主鎖にアミド結合(−CO−NH−)を有し、加熱溶融が可能なものであれば特に制限されない。本発明で用い得るポリアミドとしては、例えば、3員環以上のラクタムを開環重合して得られるポリアミド、ω−アミノ酸の重縮合により得られるポリアミド、二塩基酸とジアミンとの重縮合により得られるポリアミドなどを挙げることができ、これらのポリアミドの1種または2種以上を用いることができる。
【0057】
その場合に、ポリアミドの原料である上記したラクタムの具体例としては、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、α−ピロリドンなどを挙げることができる。また、ポリアミドの原料である上記したω−アミノ酸の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などを挙げることができる。
【0058】
また、ポリアミドの原料である上記した二塩基酸の具体例としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。
【0059】
また、ポリアミドの原料である上記したジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミンなどを挙げることができる。
【0060】
重合体層(Z)において用いられるポリエステルとしては、ポリマー主鎖にエステル結合を有し、加熱溶融が可能なものであれば特に制限されない。本発明で用い得るポリエステルとしては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との反応により得られるポリエステル、ラクトンを開環重合して得られるポリエステル(ポリラクトン)、ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を重縮合して得られるポリエステルなどを挙げることができ、これらのポリエステルの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、本発明では、ジカルボン酸成分とジオール成分とから実質的に形成されているポリエステルが好ましく用いられる。
【0061】
その場合に、ポリエステルの原料である上記したジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウムなどの芳香族ジカルボン酸;グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;テトラブロモフタル酸などのハロゲン含有ジカルボン酸;およびそれらのエステル形成性誘導体などを挙げることができる。
【0062】
また、ポリエステルの原料である上記したジオール成分の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの分子量6,000以下のポリアルキレングリコールなどから誘導されるジオールなどを挙げることができる。
【0063】
また、ポリエステルは、必要に応じて、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3官能以上の化合物から誘導される構造単位の1種または2種以上を少量であれば有していてもよい。
【0064】
重合体層(Z)において用いられるポリカーボネートとしては、実質的にジヒドロキシ化合物とホスゲン、炭酸ジエステルまたはハロゲンホルメートとを反応させて得られるポリカーボネートを挙げることができる。その場合に原料であるジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と称することがある)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジヒドロキシ化合物などを挙げることができ、これらの中でもビスフェノールAが好ましい。また、ポリカーボネートは、必要に応じて、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどの3官能以上のポリヒドロキシ化合物からなる構造単位の1種または2種以上を、少量であれば有していてもよい。
【0065】
また、重合体層(Z)において用いられるアクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構造単位から主としてなるアクリル系重合体を挙げることができる。その場合に、アクリル系重合体における(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構造単位の割合は50重量%以上であるのが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。アクリル系重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを挙げることができる。アクリル系重合体は、これらの(メタ)アクリル酸エステルの1種または2種以上から誘導される構造単位を有していることができる。また、アクリル系重合体は、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル以外の不飽和単量体から誘導される構造単位の1種または2種以上を有していてもよい。例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体から誘導される構造単位を、50重量%以下の割合で有していてもよく、またスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレンなどの芳香族ビニル系単量体から誘導される構造単位などを、好ましくは10重量%以下の割合で有していてもよい。
【0066】
また、重合体層(Z)において用いられるポリオキシメチレンは、オキシメチレン基を主たる構造単位とする高分子化合物であり、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンなどの単量体の1種以上からなる重合体;該単量体とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキサシクロブタン、1,3−ジオキソランなどの環状エーテルとからなる共重合体;該単量体とβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトンなどの環状エステルとの共重合体などを挙げることができる。さらに、ポリオキシメチレンの耐熱性を向上させるために、例えば、末端が無水酢酸などでアセチル化されたような末端変性ポリオキシメチレンを用いることができる。
【0067】
重合体層(Z)において用いられる、シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体(芳香族ビニル化合物系共重合体)において使用される芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−tert−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、p−クロロスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、特にスチレンが好ましい。また、前記共重合体において使用されるシアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができる。そして、前記共重合体において使用される共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖および側鎖共役ヘキサジエンなどを挙げることができ、それらの1種または2種以上を用いることができる。それらのうちで、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが特に好ましく用いられる。また、前記共重合体において使用されるオレフィン化合物としては、例えば、エチレン、プロピレンなどを挙げることができる。好ましい共重合体としては、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(AES樹脂)などを挙げることができる。
【0068】
重合体層(Z)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体、ポリオキシメチレンおよび芳香族ビニル化合物系共重合体のうちの1種のみからなっていても、または2種以上の混合物からなっていてもよい。また、2種以上の混合物からなっている場合は各重合体の配合割合は特に制限されない。
【0069】
また、重合体層(Z)は、重合体層(Z)の性質を損なわない限りは、必要に応じて、熱安定剤(例えば金属石鹸、リン化合物、硫黄化合物、フェノール系化合物、L−アスコルビン酸類、エポキシ化合物など)、可塑剤(例えば脂肪族二塩基酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、脂肪族エステル、ポリエステル系化合物、リン酸エステルなど)、耐衝撃性付与剤(例えばエチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、無機微粉末、有機滑剤、分散剤、染顔料、帯電防止剤、酸化防止剤などの1種または2種以上を含有していてもよい。
【0070】
本発明の積層構造体(イ)における各層の厚さは特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層構造体(イ)における全体の層数、積層構造体(イ)の用途などに応じて調節し得る。一般には、重合体層(X)の厚さを10μm〜5mm,重合体層(Y)の厚さを1μm〜1mm、重合体層(Z)の厚さを10μm〜5mmにしておくことが、積層構造体(イ)の製造の容易性、層間接着力などの点から好ましい。
【0071】
また、本発明の積層構造体(イ)における全体の層数は特に制限されず、重合体層(X)/重合体層(Y)/重合体層(Z)の順に積層している構造を少なくとも一部に有する積層構造体(イ)である限りはいずれでもよい。また、本発明の積層構造体(イ)は、重合体層(X)、重合体層(Y)および重合体層(Z)の3種のみから形成されていても、またはそれらの3種の層とともに他の材料からなる層(例えば、他のポリマー、紙、布帛、金属、セラミック、木材などからなる層)の1つまたは2つ以上を有していてもよい。
【0072】
何ら限定されるものではないが、本発明の積層構造体(イ)の例としては、重合体層(X)/重合体層(Y)/重合体層(Z)からなる3層構造物;(紙、布帛または金属)/重合体層(X)/重合体層(Y)/重合体層(Z)からなる4層構造物;重合体層(X)/重合体層(Y)/重合体層(Z)/重合体層(Y)/重合体層(X)からなる5層構造物;重合体層(Z)/重合体層(Y)/重合体層(X)/重合体層(Y)/重合体層(Z)からなる5層構造物;(紙、布帛または金属)/重合体層(X)/重合体層(Y)/重合体層(Z)/重合体層(Y)/重合体層(X)/(紙、布帛または金属)からなる7層構造物;(紙、布帛または金属)/重合体層(Z)/重合体層(Y)/重合体層(X)/重合体層(Y)/重合体層(Z)/(紙、布帛または金属)からなる7層構造物などを挙げることができる。そして、1つの積層構造体(イ)中に、2つ以上の重合体層(X)が存在する場合には、該2つ以上の重合体層(X)は、本発明で規定している重合体を用いるものである限りは、同じ重合体からなっていてもまたは異なる重合体からなっていてもよく、そのことは積層構造体(イ)が2つ以上の重合体層(Y)および/または2つ以上の重合体層(Z)を有している場合も同様である。
【0073】
本発明の積層構造体(イ)の製造法としては、何ら限定されるものではないが、例えば、(1)重合体層(X)用の重合体、重合体層(Y)用の本発明の熱可塑性重合体組成物および重合体層(Z)用の重合体を少なくとも用いて、それらを溶融共押出成形して、それぞれの層の押出成形と同時に積層させて積層構造体(イ)を製造する方法;(2)重合体層(X)を構成するフィルム、シート、板などを予め製造しておき、および/または重合体層(Z)を構成するフィルム、シート、板などの成形品を予め製造しておき、重合体層(Y)用の本発明の熱可塑性重合体組成物を溶融押出成形しながら、また重合体層(X)および重合体層(Z)の一方が予め成形されたものでない場合はそれをも溶融押出成形しながら、予め製造しておいた重合体層(X)用の成形品および/または重合体層(Z)用の成形品と積層して一体化させて積層構造体(X)を製造する方法;(3)重合体層(X)を構成するフィルム、シート、板などの成形品と、重合体層(Z)を構成するフィルム、シート、板などの成形品を予め製造しておき、さらに重合体層(Y)用の重合体も予めフィルムやシート状に成形しておき、本発明の熱可塑性重合体組成物からなる重合体層(Y)用のフィルムまたはシートを重合体層(X)用の成形品と重合体層(Z)用の成形品との間に挟んで加熱下に重合体層(Y)用のフィルムまたはシートを溶融させて重合体層(X)と重合体層(Z)を重合体層(Y)を介して接着・一体化させて積層構造体(イ)を製造する方法;(4)重合体層(X)を構成する成形品と、重合体層(Z)を構成する成形品を予め製造し、それらの成形品を金型内に予め配置(インサート)しておき、そこに重合体層(Y)用の本発明の熱可塑性重合体組成物を溶融下に充填して接着・一体化させて積層構造体(イ)を製造する方法などを挙げることができる。
【0074】
そして、上記した(1)〜(4)の方法のいずれの場合にも、溶融した重合体層(Y)を介して重合体層(X)と重合体層(Z)が接着され、接着剤層が有機溶剤を含まないので、有機溶剤による自然環境の破壊や、作業環境の悪化、溶剤の回収などの問題や手間を生ずることなく、目的とする積層構造体(イ)を得ることができる。そのうちでも、上記した(1)の共押出成形による方法は、工程数が少なくて生産性が高く、しかも重合体層(X)、重合体層(Y)および重合体層(Z)間の接着強度が高くて層間剥離のない積層構造体(イ)を得ることができるので、最も好ましい。
【0075】
共押出成形法によって本発明の積層構造体(イ)を製造する場合は、積層構造体(イ)の層数などに応じて、例えば3台以上の押出機を1つのダイに結合して、複数の熱可塑性樹脂をダイの内側または外側で積層一体化して製造することができる。その場合のダイとしては、Tダイ、環状ダイなどを使用することができ、押出機やダイの形状や構造などは特に制限されない。
【0076】
本発明の積層構造体、特に積層構造体(イ)は、積層構造体を構成している他の材料層の材質や性質に応じて、特に積層構造体(イ)においては重合体層(X)、重合体層(Y)、重合体層(Z)の性質などに応じて、種々の用途に使用することができ、何ら限定されるものではないが、例えば、酸素を嫌う食品や医療用薬剤の包装材料;衣料用包装材料;そのほかの製品用の包装材料;壁紙や化粧板などのような建材;電気絶縁用フィルム、粘着フィルムやテープ用基材;マーキングフィルム;農業用フィルム;テーブルクロス、レインコート、傘、カーテン、カバー類などの雑貨;金属板やその他の材料とのラミネートなどの種々の用途に使用することができる。特に、本発明の熱可塑性重合体組成物からなる重合体層と積層する他の材料からなる層が透明である場合には、透明な本発明の熱可塑性重合体組成物を用いることによって、全体として透明な積層構造体を容易に得ることができる。
【0077】
また、本発明では、本発明の熱可塑性重合体組成物を、ホットメルト接着剤としてそのまま保存、流通、販売し、必要なときにそのホットメルト接着剤を使用して各種製品や、上記したような各種の積層構造体の製造に用いてもよく、したがって本発明は、本発明の熱可塑性重合体組成物からなるホットメルト接着剤を本発明の範囲に包含する。本発明のホットメルト接着剤においては、その形態は特に制限されず、例えば、ペレットなどの粒状体、棒状体、フィルム、シート、板状体などの任意の形態にしておくことができる。
【0078】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例および比較例において、熱可塑性ポリウレタンの製造に用いた高分子ポリオール(ポリエステルポリオール)の1分子当たりの水酸基数f、熱可塑性重合体組成物の溶融粘度ηa、熱可塑性重合体組成物から得られたフィルムの透明性(ヘイズ値)、並びに熱可塑性重合体組成物を用いて積層構造体を製造する際の製膜性の評価およびそれにより得られた積層構造体の接着強度の測定は以下の方法により実施した。
【0079】
[ポリエステルポリオールの1分子当たりの水酸基数f]
ポリエステルポリオールをナトリウムメトキシドのメタノール溶液で分解した後、トリメチルシリル化剤で分解物の水酸基およびカルボキシル基をシリル化した。このシリル化した試料を、ガスクロマトグラフィー法により分析し、ジオール化合物とトリオール化合物のモル比を求めた。さらに、JIS K 157に準拠してポリエステルポリオールの水酸基価を求め、この水酸基価と前記モル比から、ポリエステルポリオールの1分子当たりの水酸基数fを算出した。
【0080】
[熱可塑性重合体組成物の透明性(ヘイズ値)]
ASTM D 1003に準じて、厚さ100μmのフィルムのヘイズ値を測定した。
【0081】
[熱可塑性重合体組成物の溶融粘度ηa
熱可塑性重合体のペレットを90℃の温度で減圧乾燥し、次いで高化式フローテスター(島津製作所製「CFT−500C」)を使用して、測定温度220℃、予熱時間360秒、ダイ口径が1mm、ダイ長さが10mm、押出圧力0.49〜49MPaの条件下に、剪断速度を変えて溶融粘度を数点測定し、剪断速度に対して溶融粘度をプロットしたグラフ上から剪断速度100sec-1における溶融粘度ηaを求めた。
【0082】
[積層構造体製造時の製膜性]
最外層(50μm)/接着層(10μm)/中間層(50μm)/接着層(10μm)/最外層(50μm)からなる5層の積層構造体を製造し、得られた積層構造体の厚みの均一性を、しわ、波打ち、10%以上の厚み斑のいずれかが認められた場合に「×」と評価し、平滑な積層構造体が得られた場合に「○」と評価した。
【0083】
[積層構造体の接着強度]
最外層(50μm)/接着層(10μm)/中間層(50μm)/接着層(10μm)/最外層(50μm)からなる5層の積層構造体を、1cm(積層構造体の幅方向)×10cm(積層構造体の長さ方向)に切り出し、最外層からカッターナイフで切り傷を入れ、最外層と接着層との界面、接着層と中間層との界面を剥離出し、オートグラフ(島津製作所製)を用いてJIS K6854に準じて180度剥離試験を行った。ただし、界面の接着強度が非常に高くて人力では剥離出しが困難な場合は、剥離試験ができなかったのでその旨を各例において記載した。
【0084】
以下の参考例、実施例および比較例で用いた化合物に関する略号を下記の表1および表2に示す。
【0085】
【表1】
Figure 0003976903
【0086】
【表2】
Figure 0003976903
【0087】
《ポリウレタンの製造》
[参考例1]
直径(φ)=30mm、L/D=36の同方向に回転する二軸押出機に、80℃に加熱した2f−PBA、BDおよびMDIを、モル比が1:2.3:3.3の割合となるように定量ポンプで連続的に供給し、押出機のシリンダー温度を260℃に保って連続溶融重合反応を行い、ダイからストランド状に水中に押出し切断してポリウレタンペレット(以下、TPU▲1▼と称する)を製造した。
【0088】
[参考例2]
参考例1において、2f−PBA、BDおよびMDIのモル比が1:1.5:2.5の割合となるようにすること以外は、参考例1と同様にしてポリウレタンペレット(以下、TPU▲2▼と称する)を製造した。
【0089】
[参考例3]
参考例1において、2f−PBAの代わりに2.1f−PBAを用いて、2.1f−PBA、BDおよびMDIのモル比が1:0.75:1.8の割合となるようにすること以外は、参考例1と同様にしてポリウレタンペレット(以下、TPU▲3▼と称する)を製造した。
【0090】
[参考例4]
参考例1において、2f−PBAの代わりに2f−PMPAを用いて、2f−PMPA、BDおよびMDIのモル比が1:1.5:2.5の割合となるようにすること以外は、参考例1と同様にしてポリウレタンペレット(以下、TPU▲4▼と称する)を製造した。
【0091】
[参考例5]
参考例1において、2f−PBAの代わりに2.1f−PMPAを用いて、2.1f−PMPA、BDおよびMDIのモル比が1:1.45:2.5の割合となるようにし、さらにポリウレタン重合触媒としてDBTDAをポリウレタンに対して20ppm含まれるように配合すること以外は、参考例1と同様にしてポリウレタンペレット(以下、TPU▲5▼と称する)を製造した。
【0092】
《ブロック共重合体の製造》
[参考例6]
ポリプロピレン(三菱化学社製「ノーブレンMH8」)を二軸押出機を用いて420℃で熱分解させ、末端に二重結合を導入した。この重合体10重量部、トルエン100重量部およびチオ−S−酢酸3重量部を反応容器にとり、内部を十分に窒素置換した後、AIBN1重量部を添加して、80℃で6時間反応させることにより末端にチオアセチル基を有する重合体を得た。この重合体を、トルエン80重量部とn−ブタノール20重量部の混合溶媒に溶解し、5.6%水酸化カリウム/n−ブタノール溶液1重量部を添加して、窒素中トルエン還流温度で6時間反応させることにより末端にメルカプト基を有するポリプロピレンを得た。この末端にメルカプト基を有するポリプロピレン50重量部をトルエン184重量部に溶解し、メタクリル酸メチル42重量部を加え、窒素中90℃で、メタクリル酸メチルの重合速度が1時間当たり約10%になるように1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率95%になった段階で反応を停止することにより、ポリプロピレンブロック(A)およびポリメタクリル酸メチルブロック(B)よりなるブロック共重合体(以下、BP▲1▼と称する)を得た。得られたBP▲1▼における重合体ブロック(A)の数平均分子量は12,000、重合体ブロック(B)の数平均分子量は9,600であった。
【0093】
[参考例7]
参考例6において、ポリプロピレンの代わりにエチレン/プロピレンの重量比が73/27のエチレン−プロピレン共重合体(日本合成ゴム社製「EPO7P」)を用いること以外は、参考例6と同様にしてエチレン−プロピレン共重合体ブロック(A)およびポリメタクリル酸メチルブロック(B)よりなるブロック共重合体(以下、BP▲2▼と称する)を得た。得られたBP▲2▼における重合体ブロック(A)の数平均分子量は13,000、重合体ブロック(B)の数平均分子量は9,800であった。
【0094】
[参考例8]
イソブテン210重量部、塩化メチレン800重量部、メチルシクロヘキサン1200重量部、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン6.5重量部、2,6−ジメチルピリジン0.98重量部およびピリジン3.5重量部を反応容器にとり、四塩化チタン12.3重量部を添加して、−78℃で4時間反応させることによりポリイソブテンを得た。この重合体140重量部をテトラヒドロフラン6800重量部に溶解し、カリウムt−ブトキシド280重量部を加えて20時間撹拌還流することにより片末端に二重結合を有する重合体を得た。この重合体100重量部、トルエン200重量部およびチオ−S−酢酸11重量部を反応容器にとり、内部を十分に窒素置換した後、AIBN1重量部を添加して、70℃で6時間反応させることにより末端にチオアセチル基を有する重合体を得た。この重合体を、トルエン800重量部とメタノール100重量部の混合溶媒に溶解し、4%水酸化ナトリウム/メタノール溶液10重量部を添加して、窒素中65℃で6時間反応させることにより片末端にメルカプト基を有するポリイソブテンを得た。この末端にメルカプト基を有するポリイソブテン50重量部をトルエン184重量部に溶解し、メタクリル酸メチル77重量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル11重量部を加え、窒素中90℃で、メタクリル酸エステル類の重合速度が1時間当たり約10%になるように1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加し、重合率95%になった段階で反応を停止することにより、ポリイソブテンブロック(A)およびメタクリル酸メチル−メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体ブロック(B)よりなるブロック共重合体(以下、BP▲3▼と称する)を得た。得られたBP▲3▼における重合体ブロック(A)の数平均分子量は5,200、重合体ブロック(B)の数平均分子量は8,700であった。
【0095】
[参考例9]
参考例6において、メタクリル酸メチルの代わりに、メタクリル酸メチル38重量部およびメタクリル酸グリシジル6重量部を用いること以外は、参考例6と同様にしてポリプロピレンブロック(A)およびメタクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル共重合体ブロック(B)よりなるブロック共重合体(以下、BP▲4▼と称する)を得た。得られたBP▲4▼における重合体ブロック(A)の数平均分子量は12,000、重合体ブロック(B)の数平均分子量は10,200であった。
【0096】
[参考例10]
参考例6において、メタクリル酸メチルの代わりに、スチレン38重量部および無水マレイン酸4重量部を用いること以外は、参考例6と同様にしてポリプロピレンブロック(A)およびスチレン−無水マレイン酸共重合体ブロック(B)よりなるブロック共重合体(以下、BP▲5▼と称する)を得た。得られたBP▲5▼における重合体ブロック(A)の数平均分子量は12,000、重合体ブロック(B)の数平均分子量は9,600であった。
【0097】
《熱可塑性重合体組成物の製造》
[実施例1]
予め乾燥処理したTPU▲1▼70重量部およびBP▲1▼30重量部を予備混合し、二軸押出機に供給して220℃で溶融混練した後、ストランド状に押出し、切断して熱可塑性重合体組成物のペレットを製造し、それを80℃の減圧乾燥機で6時間熟成して、熱可塑性重合体組成物(a)を得た。この熱可塑性重合体組成物(a)の溶融粘度ηaを上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。また、この熱可塑性重合体組成物(a)を押出成形装置(単軸押出機にTダイを結合したもの)に供給して、押出成形時の最高温度が220℃になるように設定して押出成形を行って、厚さ100μmのフィルムを製造した。そのフィルムから試験片を採取して、上記した方法でヘイズ値を測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0098】
[実施例2〜
下記の表3に示す熱可塑性ポリウレタンおよびブロック共重合体をそれぞれ予め乾燥処理した後、それらを表3に示す割合で予備混合し、その予備混合物を用いて実施例1と同様にして熱可塑性重合体組成物のペレットを製造し、それを80℃の減圧乾燥機で6時間熟成して、それぞれの熱可塑性重合体組成物を調製した(熱可塑性重合体組成物(b)、(d)および(f)〜(h))。この熱可塑性重合体組成物の溶融粘度ηおよび該組成物から製造したフィルムのヘイズ値を実施例1と同様にして測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0099】
[実施例および
下記の表3に示す熱可塑性ポリウレタンおよびブロック共重合体をそれぞれ予め乾燥処理した後、それらとETPPBとを表3に示す割合で予備混合し、その予備混合物を用いて実施例1と同様にして熱可塑性重合体組成物のペレットを製造し、それを80℃の減圧乾燥機で6時間熟成して、それぞれの熱可塑性重合体組成物を調製した(熱可塑性重合体組成物(i)および(j))。この熱可塑性重合体組成物の溶融粘度ηおよび該組成物から製造したフィルムのヘイズ値を実施例1と同様にして測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0100】
[比較例1〜4]
下記の表3に示す熱可塑性ポリウレタンおよびブロック共重合体、ポリプロピレン(三菱化学社製「三菱ノーブレンMH8」)またはPP−g−MAをそれぞれ予め乾燥処理した後、それらを表3に示す割合で予備混合し、その予備混合物を用いて実施例1と同様にして熱可塑性重合体組成物のペレットを製造し、それを80℃の減圧乾燥機で6時間熟成して、それぞれの熱可塑性重合体組成物を調製した(熱可塑性重合体組成物(k)〜(n))。この熱可塑性重合体組成物の溶融粘度ηaおよび該組成物から製造したフィルムのヘイズ値を実施例1と同様にして測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0101】
【表3】
Figure 0003976903
【0102】
《積層構造体の製造》
[実施例
3台の押出機を1つのダイに結合した押出成形装置を用いて、それぞれの押出機にPP、実施例1で得られた熱可塑性重合体組成物(a)およびPVDCを供給し、押出時の最高温度をPPが240℃、熱可塑性重合体組成物(a)が220℃、PVDCが200℃になるように設定して、押出成形装置のダイからPP(50μm)/熱可塑性重合体組成物(a)(10μm)/PVDC(50μm)/熱可塑性重合体組成物(a)(10μm)/PP(50μm)の順に積層した5層構造になるようにして共押出成形を行って、両表面層がPP、中間層がPVDCであり、表面層と中間層との間が熱可塑性重合体組成物(a)層でホットメルト接着された3種5層からなる積層構造体を製造した。この積層構造体の製膜性および層間の接着強度を上記した方法で測定した結果を表5に示した。
【0103】
[実施例116
積層構造体の樹脂および押出時の最高温度を表4に示したように変更したこと以外は実施例と同様にして積層構造体を製造した。この積層構造体の製膜性および層間の接着強度を上記した方法で測定した結果を表5に示した。
【0104】
[比較例5〜10]
積層構造体の樹脂および押出時の最高温度を表4に示したように変更したこと以外は実施例と同様にして積層構造体を製造した。この積層構造体の製膜性および層間の接着強度を上記した方法で測定した結果を表5に示した。
【0105】
【表4】
Figure 0003976903
【0106】
【表5】
Figure 0003976903
【0107】
実施例16の積層構造体において、本発明の要件を満たす実施例1〜の熱可塑性重合体組成物(a)、(b)、(d)および(f)〜(j)からなる層は、中間層の高極性重合体と最外層の低極性重合体の両方に対する接着強度が高い(表5)。また、実施例3〜から、ブロック共重合体(II)のブロック(B)に水酸基、エポキシ基または酸無水物基を有する単量体単位を含む熱可塑性重合体組成物(および(f)〜(j)は、厚さ100μmのフィルムでのヘイズ値が低く、透明性に優れていることがわかる(表3)。
【0108】
一方、比較例5および6の結果から、ブロック共重合体(II)を含んでいない比較例1の熱可塑性重合体組成物(k)は、積層構造体とした時に最外層の低極性重合体との接着強度が低い(表5)。比較例3、8および9の結果から、ブロック共重合体(II)に(メタ)アクリル酸系単量体単位および/または芳香族ビニル系単量体単位よりなる重合体ブロック(B)を含んでいない熱可塑性重合体組成物(m)は、ヘイズ値が高い上に(表3)、積層構造体とした時に最外層の低極性重合体との接着強度が低い(表5)。また、比較例4および10の結果から、ブロック共重合体(II)の代りに、無水カルボン酸基変性ポリプロピレン(ポリプロピレンからなる主鎖にランダムに無水マレイン酸をグラフト結合させたもの)を配合した熱可塑性重合体組成物(n)は、積層構造体とした時に最外層の低極性重合体との接着強度が低い。さらに、比較例2および7の結果から、熱可塑性ポリウレタン(I)とブロック共重合体(II)の含有割合が本発明の範囲外である熱可塑性重合体組成物(l)は、フィルム製造時に膜切れが多発し(表3)、積層構造体製造時に製膜性が悪い(表5)。
【0109】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、極性の低い重合体および極性の高い重合体のいずれに対しても高い溶融接着性を示し、さらにその他の材料に対しても高い溶融接着性を示す。そのため、本発明の熱可塑性重合体組成物を用いる場合は、従来の溶剤型接着剤における環境汚染、作業環境の悪化、接着工程の複雑化などの問題を生じることなく、各種の積層構造体を、溶融接着法によって安全に且つ良好な作業性で生産性良く製造することができる。しかも、本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記したような各種の材料に対する接着強度が高いため、耐久性が高く、層間剥離などの問題が生じない積層構造体を得ることができる。その上、本発明の熱可塑性重合体組成物は透明性に優れるため、これを接着剤として用いて透明な材料を接着して得られる積層構造体は、その優れた透明性によって、積層構造体によって包装された被包装物などを外部から容易に透視することができる。さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物は、溶融成形性に優れているので、各種成形品や積層構造体を、良好な作業性で且つ良好な仕上がりで、従来の熱可塑性重合体で採用されている種々の溶融成形法によって円滑に生産性良く製造することができる。
【0110】
特に、本発明の熱可塑性重合体組成物は、ガスバリアー性に優れるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系共重合体やポリアミド、透明性、耐薬品性、印刷適性、機械的特性などに優れる塩化ビニル系重合体、耐薬品性や機械的特性などに優れるポリエステル、透明性や耐衝撃性などに優れるポリカーボネート、透明性、耐候性、印刷適性に優れるアクリル系重合体、機械的特性、成形加工性に優れるポリオキシメチレン、芳香族ビニル化合物系共重合体、ヒートシール性などに優れるポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系重合体のいずれに対しても高い溶融接着性を示す。
【0111】
そのため、前記した特性を活かして、本発明の熱可塑性重合体組成物は、オレフィン系重合体から主としてなる重合体層(X);本発明の熱可塑性重合体組成物からなる層(Y);並びにエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体、ポリオキシメチレンおよび芳香族ビニル化合物系共重合体のうちの少なくとも1種から主としてなる重合体層(Z)が、重合体層(X)/重合体層(Y)/重合体層(Z)の順に積層している構造を少なくとも一部に有している、本発明の積層構造体(イ)の製造に特に適している。そして、前記した積層構造体(イ)は、酸素を嫌う食品や医療用薬剤の包装材料、衣料用包装材料、その他の製品用の包装材料、壁紙や化粧板などのような建材、電気絶縁用フィルム、粘着フィルムやテープ用基材、マーキングフィルム、農業用フィルム、テーブルクロス、レインコート、傘、カーテン、カバー類などの雑貨、金属板やその他の材料とのラミネートなどの種々の用途に有効に使用することができる。そして、本発明の熱可塑性重合体組成物を用いて溶融共押出成形などのような溶融成形積層法を行うことによって、層間の接着強度の高い各種積層構造体を、少ない工程数で、生産性良く円滑に製造することができる。
【0112】
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記した優れた溶融接着性を活かして、単独でホットメルト接着剤としても有効に使用することができる。

Claims (15)

  1. 数平均分子量が500〜10,000の高分子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン(I)を50〜90重量部;並びに
    オレフィン系単量体単位の含有割合が55〜100モル%である重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸系単量体単位の含有割合が55〜100モル%である重合体ブロック(B)からなるブロック共重合体(II)を50〜10重量部配合してなる熱可塑性重合体組成物。
  2. ブロック共重合体(II)の重合体ブロック(B)が、(メタ)アクリル酸系単量体単位の含有割合が55〜100モル%であり、かつエポキシ基、エピチオ基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、チオカルボキシル基およびジチオカルボキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位を重合体ブロック(B)の全単量体単位の合計モル数に基づいて1〜100モル%含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
  3. 官能基を有する単量体単位が、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルおよび(メタ)アクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種から誘導される単量体単位であることを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性重合体組成物。
  4. ブロック共重合体(II)の重合体ブロック(B)が、(メタ)アクリル酸系単量体単位の含有割合が55〜100モル%であり、かつ無水カルボン酸基を有する他の単量体単位を、重合体ブロック(B)の全単量体単位の合計モル数に基づいて1〜45モル%含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
  5. 無水カルボン酸基を有する単量体単位が、無水マレイン酸から誘導される単量体単位であることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性重合体組成物。
  6. 数平均分子量が500〜10,000の高分子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン(I)を50〜90重量部;
    オレフィン系単量体単位の含有割合が55〜100モル%である重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸系単量体単位および/または芳香族ビニル系単量体単位の含有割合が55〜100モル%であり、エポキシ基およびエピチオ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位(b)を含む重合体ブロックであって、当該官能基を有する単量体単位(b)の割合がこの重合体ブロックの全単量体単位の合計モル数に基づいて1〜100モル%である重合体ブロック(B)からなるブロック共重合体(II)を50〜10重量部;並びに
    3級アミン、アンモニウム化合物、亜リン酸エステル、ホスホニウム化合物および3級ホスフィンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を熱可塑性ポリウレタン(I)およびブロック共重合体(II)の合計重量に基づいて5〜5,000ppm配合してなる熱可塑性重合体組成物。
  7. 数平均分子量が500〜10,000の高分子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン(I)を50〜90重量部;
    オレフィン系単量体単位の含有割合が55〜100モル%である重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸系単量体単位および/または芳香族ビニル系単量体単位の含有割合が55〜100モル%であり、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、チオカルボキシル基およびジチオカルボキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体単位(b)を含む重合体ブロックであって、当該官能基を有する単量体単位(b)の割合がこの重合体ブロックの全単量体単位の合計モル数に基づいて1〜100モル%である重合体ブロック(B)からなるブロック共重合体(II)を50〜10重量部;並びに
    有機チタン化合物、有機スズ化合物および3級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を熱可塑性ポリウレタン(I)およびブロック共重合体(II)の合計重量に基づいて1〜1,000ppm配合してなる熱可塑性重合体組成物。
  8. 数平均分子量が500〜10,000の高分子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン(I)を50〜90重量部;
    オレフィン系単量体単位の含有割合が55〜100モル%である重合体ブロック(A)、並びに(メタ)アクリル酸系単量体単位および/または芳香族ビニル系単量体単位の含有割合が55〜100モル%であり、無水カルボン酸基を有する他の単量体単位(b)を含む重合体ブロックであって、無水カルボン酸基を有する他の単量体単位(b)の割合がこの重合体ブロックの全単量体単位の合計モル数に基づいて1〜45モル%である重合体ブロック(B)からなるブロック共重合体(II)を50〜10重量部;並びに
    有機チタン化合物、有機スズ化合物および3級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を熱可塑性ポリウレタン(I)およびブロック共重合体(II)の合計重量に基づいて1〜1,000ppm配合してなる熱可塑性重合体組成物。
  9. 温度220℃、剪断速度100sec-1で測定した溶融粘度ηaが50〜5,000Pa・sであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
  10. 数平均分子量が500〜10,000である高分子ポリオールの1分子当たりの水酸基数fが2.00〜2.20の範囲内であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物からなる層を他の材料からなる層の間に有することを特徴とする積層構造体。
  12. オレフィン系重合体からなる層(X);
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物からなる層(Y);並びに
    エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体、ポリオキシメチレン、並びにシアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体のうちの少なくとも1種からなる重合体層(Z);
    がオレフィン系重合体層(X)/熱可塑性重合体組成物層(Y)/重合体層(Z)の順に積層している構造を有する請求項11に記載の積層構造体。
  13. 共押出成形により製造したものである請求項12に記載の積層構造体。
  14. オレフィン系重合体(x);
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物(y);並びに
    エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系重合体、ポリオキシメチレン、並びにシアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と芳香族ビニル化合物との共重合体のうちの少なくとも1種からなる重合体(z);
    を用いて、オレフィン系重合体(x)の層と重合体(z)の層の間に熱可塑性重合体組成物(y)の層が介在するようにして共押出成形することを特徴とする請求項13に記載の積層構造体の製造方法。
  15. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物からなるホットメルト接着剤。
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