JPWO2010126098A1 - ポリウレタン系ブロック共重合体 - Google Patents
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Abstract
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体は、付加重合系ブロック(α)と、ポリウレタンブロック(β)とを有するポリウレタン系ブロック共重合体であって、前記付加重合系ブロック(α)は、芳香族ビニル化合物単位を含む重合体ブロック(A)および共役ジエン単位を含む重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれる付加重合系ブロック共重合体から誘導されるものであり、前記ポリウレタンブロック(β)は、下記一般式(I)で表される構造単位(I)を有するものである。
Description
本発明は、特定の付加重合系ブロックと特定のポリウレタンブロックとを有するポリウレタン系ブロック共重合体、それを含有するポリウレタン系ブロック共重合体組成物および熱可塑性重合体組成物、並びにこれらを用いて得られる成形体および複合成形体等に関する。
シリコーンは、離型性、耐熱性、耐寒性、耐候性、撥水性、および電気絶縁性に優れ、しかも幅広い温度範囲で安定した物性を発現することから、それらの特性を活かして色々な分野で用いられている。しかしながら、シリコーンは、力学的特性(例えば引張破断強度および耐摩耗性など)および他の材料との接着性に劣るため、その使用範囲が限られている。
そこで、近年、シリコーンとポリウレタン等の熱可塑性重合体とからなる複合成形体が開発され、例えば、携帯電話、家電製品、自動車部品、通信機器等の押しボタンスイッチに用いられるキーシート(キーパッド);電子写真複写機やプリンター等に用いられるロール;などとして用いられるようになっている。しかしながら、シリコーンは熱可塑性重合体との接着性に劣るため、熱可塑性重合体またはシリコーンからなる成形体の表面を事前に活性化処理して、両者間の接着性を向上させる必要がある。このような活性化処理法としては、プライマー処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理などがある。しかし、いずれの処理も、「前処理」として別途行わなければならないという点で、作業効率の低下の要因となっている。
上記の点から、前処理を行わなくてもシリコーンに接着する熱可塑性重合体材料に関する研究が行われるようになっている。例えば、特許文献1および2は、シリコーンゴム基材にコーティングするためのコーティング剤を開示し、該コーティング材は、有機錫化合物触媒等を用いて製造した分子中に脂肪族不飽和基を有するポリウレタン、ヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する。また特許文献3は、シリコーンゴム用オーバーコート材を開示し、該コート材は、両末端に水酸基またはアミノ基を有する直鎖状ポリマーと二官能性イソシアネート化合物とを、前者:後者のモル比が1.0よりも大きくなるように反応させて得られる重量平均分子量が10,000〜500,000のウレタン樹脂を主成分とする。
しかしながら、これらのコーティング剤(コート材)は、未だシリコーンに対する接着性が不十分であり、これらのコーティング剤(コート材)をシリコーンゴム基材にコーティングしても、ポリウレタンとシリコーンとの両方の優れた特性を兼ね備える複合成形体は得られない。
しかしながら、これらのコーティング剤(コート材)は、未だシリコーンに対する接着性が不十分であり、これらのコーティング剤(コート材)をシリコーンゴム基材にコーティングしても、ポリウレタンとシリコーンとの両方の優れた特性を兼ね備える複合成形体は得られない。
また特許文献4は、シリコーンゴム層と熱可塑性樹脂層とが積層一体化した複合成形体を製造する方法を開示し、該方法は、熱可塑性樹脂(例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート)を金型キャビティ内に一次射出成形した後に、キャビティ内に形成した前記熱可塑性樹脂層上に付加硬化型シリコーンゴム組成物を二次射出成形し、それと共にシリコーンゴム組成物を熱可塑性樹脂の軟化点以上融点未満の温度で硬化させる。しかしながら、この方法は、熱可塑性樹脂の種類によっては十分な効果が得られないことがある。例えばこの方法を、ポリウレタンとシリコーンゴムとの複合成形体の製造に応用しても、ポリウレタン層とシリコーンゴム層とが良好に接着した複合成形体を得ることはできない。
本発明は、事前の表面活性化処理(例えばプライマー処理など)をしなくても、シリコーン、熱可塑性重合体(例えばポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンなど)、および他の材料(例えば紙、布帛、木材など)との接着性に優れ、且つ各種成形体や複合成形体などを円滑に製造することができる、ポリウレタンをベースとする重合体を提供することを目的とする。また本発明は、該重合体の製造方法、該重合体を含む組成物、および該組成物の製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、上記重合体または組成物を用いて得られる成形体、および上記重合体または組成物を用いて得られる複合成形体、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、上記組成物を製造する際に好適に使用することができるマスターバッチを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した目的を達成するために鋭意検討を重ねてきた結果、特定の付加重合系ブロックと特定のポリウレタンブロックとを有するポリウレタン系ブロック共重合体が、それ自体、各種材料(特にシリコーン)との接着性に優れること;および前記ポリウレタン系ブロック共重合体をマスターバッチとして各種熱可塑性重合体に配合することによって、各種材料(特にシリコーン)との接着性に優れる熱可塑性重合体組成物が得られること;を見出した。本発明者らは、前記知見に基づいてさらに検討を重ねて、本発明を完成させた。本発明の特徴は以下の通りである。
[1] 付加重合系ブロック(α)と、ポリウレタンブロック(β)とを有するポリウレタン系ブロック共重合体であって、
前記付加重合系ブロック(α)は、芳香族ビニル化合物単位を含む重合体ブロック(A)および共役ジエン単位を含む重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれる付加重合系ブロック共重合体から誘導されるものであり、
前記ポリウレタンブロック(β)は、下記の一般式(I);
前記付加重合系ブロック(α)は、芳香族ビニル化合物単位を含む重合体ブロック(A)および共役ジエン単位を含む重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれる付加重合系ブロック共重合体から誘導されるものであり、
前記ポリウレタンブロック(β)は、下記の一般式(I);
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
で表される構造単位(I)を有するものである、ポリウレタン系ブロック共重合体。
で表される構造単位(I)を有するものである、ポリウレタン系ブロック共重合体。
[2] 前記ポリウレタンブロック(β)が、分子中に前記構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap)と、有機ポリイソシアネート(b)との反応により形成されたブロックである、上記[1]に記載のポリウレタン系ブロック共重合体。
[3] 前記ポリマーポリオール(ap−1)が、ポリオレフィンポリオールである上記[2]に記載のポリウレタン系ブロック共重合体。
[4] 前記ポリオレフィンポリオールが、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールおよびブタジエン/イソプレンコポリマーポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[3]に記載のポリウレタン系ブロック共重合体。
[5] 前記構造単位(I)の含有率が、ポリウレタン系ブロック共重合体の全質量中、0.2〜40質量%である、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のポリウレタン系ブロック共重合体。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリウレタン系ブロック共重合体を製造するための製造方法であって、
(i)官能基含有付加重合系ブロック共重合体;
(ii)分子中に前記構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap);
(iii)有機ポリイソシアネート(b);および所望により
(iv)鎖伸長剤(c)
を反応させる工程を含み、
前記官能基含有付加重合系ブロック共重合体は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および鎖伸長剤(c)からなる群から選ばれる少なくとも1つの成分と反応し得る官能基を有し、且つ前記重合体ブロック(A)および前記重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれるものである
製造方法。
(i)官能基含有付加重合系ブロック共重合体;
(ii)分子中に前記構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap);
(iii)有機ポリイソシアネート(b);および所望により
(iv)鎖伸長剤(c)
を反応させる工程を含み、
前記官能基含有付加重合系ブロック共重合体は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および鎖伸長剤(c)からなる群から選ばれる少なくとも1つの成分と反応し得る官能基を有し、且つ前記重合体ブロック(A)および前記重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれるものである
製造方法。
[7] 上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリウレタン系ブロック共重合体を製造するための製造方法であって、
(i)分子中に前記構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap);
(ii)有機ポリイソシアネート(b);および所望により
(iii)鎖伸長剤(c)
の反応により形成されたポリウレタンと、
(iv)官能基含有付加重合系ブロック共重合体と
を反応させる工程を含み、
前記官能基含有付加重合系ブロック共重合体は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および鎖伸長剤(c)からなる群から選ばれる少なくとも1つの成分と反応し得る官能基を有し、且つ前記重合体ブロック(A)および前記重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれるものである
製造方法。
(i)分子中に前記構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap);
(ii)有機ポリイソシアネート(b);および所望により
(iii)鎖伸長剤(c)
の反応により形成されたポリウレタンと、
(iv)官能基含有付加重合系ブロック共重合体と
を反応させる工程を含み、
前記官能基含有付加重合系ブロック共重合体は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および鎖伸長剤(c)からなる群から選ばれる少なくとも1つの成分と反応し得る官能基を有し、且つ前記重合体ブロック(A)および前記重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれるものである
製造方法。
[8] 上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリウレタン系ブロック共重合体、並びに有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有し、前記金属化合物の含有率が前記ポリウレタン系ブロック共重合体の質量に基づいて0.1〜2,000質量ppmである、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物。
[9] 上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリウレタン系ブロック共重合体および前記ポリウレタン系ブロック共重合体以外の熱可塑性重合体を含有する熱可塑性重合体組成物。
[10] 前記ポリウレタンブロック(β)が有する前記構造単位(I)の含有率が、熱可塑性重合体組成物の全質量中、0.1〜20質量%である、上記[9]に記載の熱可塑性重合体組成物。
[11] 有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を、前記ポリウレタン系ブロック共重合体の質量に基づいて0.1〜2,000質量ppmの割合でさらに含有する、上記[9]または[10]に記載の熱可塑性重合体組成物。
[12] 前記熱可塑性重合体が、ポリアミド;ポリエステル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;アクリル系樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエンおよびオレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体;ポリウレタン;スチレン系重合体;並びにポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[9]〜[11]のいずれか1つに記載の熱可塑性重合体組成物。
[13] 上記[9]〜[12]のいずれか1つに記載の熱可塑性重合体組成物を製造するための製造方法であって、前記ポリウレタン系ブロック共重合体および前記熱可塑性重合体を溶融混練する工程を含む、製造方法。
[14] 上記[8]に記載のポリウレタン系ブロック共重合体組成物から構成される成形体。
[15] 上記[9]〜[12]のいずれか1つに記載の熱可塑性重合体組成物から構成される成形体。
[16] 上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材(X)と、前記部材(X)以外の他の部材(Y)とを有し、前記部材(X)と前記部材(Y)とが接触している複合成形体。
[17] 前記部材(X)が、上記[8]に記載のポリウレタン系ブロック共重合体組成物から構成される部材である、上記[16]に記載の複合成形体。
[18] 前記部材(X)が、上記[9]〜[12]のいずれか1つに記載の熱可塑性重合体組成物から構成される部材である、上記[16]に記載の複合成形体。
[19] 前記部材(Y)がシリコーンを含む部材である、上記[18]に記載の複合成形体。
[20] 前記部材(Y)が、硬化性シリコーン組成物を硬化させて形成したものである上記[19]に記載の複合成形体。
[21] 前記硬化性シリコーン組成物が、珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する上記[20]に記載の複合成形体。
[22] 上記[20]または[21]に記載の複合成形体を製造するための製造方法であって、前記部材(X)上で硬化性シリコーン組成物を硬化させる工程を含む、製造方法。
本発明によれば、各種材料(特にシリコーン)との接着性に優れていて、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)をしなくても、前記の各種材料と十分に接着させることができる、ポリウレタン系ブロック共重合体が得られる。また前記ポリウレタン系ブロック共重合体を含有させることによって、各種材料(特にシリコーン)との接着性に優れていて、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)をしなくても前記の各種材料と十分に接着させることができる、熱可塑性重合体組成物が得られる。本発明は、前記ポリウレタン系ブロック共重合体および前記熱可塑性重合体組成物に加えて、前記ポリウレタン系ブロック共重合体の製造方法;前記ポリウレタン系ブロック共重合体を含むポリウレタン系ブロック共重合体組成物;前記熱可塑性重合体組成物の製造方法;前記熱可塑性重合体組成物を効率的に製造することができるマスターバッチ;前記ポリウレタン系ブロック共重合体、前記ポリウレタン系ブロック共重合体組成物または前記熱可塑性重合体組成物から構成される成形体;前記ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材と、シリコーンに代表される各種材料からなる部材とが十分に接着した複合成形体;および前記複合成形体の製造方法;を提供する。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体は、付加重合系ブロック(α)とポリウレタンブロック(β)とを有する。そして当該付加重合系ブロック(α)は、芳香族ビニル化合物単位を含む重合体ブロック(A)および共役ジエン単位を含む重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びに当該ブロック共重合体の水素添加物;から選ばれる付加重合系ブロック共重合体から誘導される。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体は、付加重合系ブロック(α)とポリウレタンブロック(β)とを有する。そして当該付加重合系ブロック(α)は、芳香族ビニル化合物単位を含む重合体ブロック(A)および共役ジエン単位を含む重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びに当該ブロック共重合体の水素添加物;から選ばれる付加重合系ブロック共重合体から誘導される。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体における付加重合系ブロック(α)とポリウレタンブロック(β)との結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐鎖状、放射状、またはこれらが組み合わさった結合形態のいずれであってもよい。これらの中で、直鎖状の結合形態が好ましい。ポリウレタン系ブロック共重合体の構造は、上記の付加重合系ブロック(α)を単に「α」で表し、ポリウレタンブロック(β)を単に「β」で表すと、式;α−β、α−β−α、β−α−β等の様々な形態を取り得るが、α−β型のジブロック型の構造および/またはα−β−α型のトリブロック型の構造であることが好ましく、α−β型のジブロック型の構造であることがより好ましい。ジブロック型のポリウレタン系ブロック共重合体、並びにそれを含むポリウレタン系ブロック共重合体組成物および熱可塑性重合体組成物は、シリコーンとの接着性に一層優れる。
またポリウレタン系ブロック共重合体が2個以上の付加重合系ブロック(α)を有する場合、付加重合系ブロック(α)は互いに同じ内容のブロックであってもよいし、異なる内容のブロックであってもよい。またポリウレタン系ブロック共重合体が2個以上のポリウレタンブロック(β)を有する場合、ポリウレタンブロック(β)は互いに同じ内容のブロックであってもよいし、異なる内容のブロックであってもよい。例えば、上記α−β−αで表されるトリブロック構造における2個のα〔付加重合系ブロック(α)〕、あるいはβ−α−βで表されるトリブロック構造における2個のβ〔ポリウレタンブロック(β)〕は、それらを構成する構造単位の種類、その結合形式、数平均分子量などが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
付加重合系ブロック(α)/ポリウレタンブロック(β)の質量割合は、好ましくは10/90〜95/5の範囲内、より好ましくは10/90〜90/10の範囲内、さらに好ましくは20/80〜80/20の範囲内、特に好ましは30/70〜70/30の範囲内である。好ましい質量割合で付加重合系ブロック(α)/ポリウレタンブロック(β)を有するポリウレタン系ブロック共重合体は、シリコーンとの接着性に一層優れたものとなる。
付加重合系ブロック(α)が有する芳香族ビニル化合物単位を含む重合体ブロック(A)を構成する芳香族ビニル化合物単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、メトキシスチレン等から誘導される構造単位を挙げることができる。重合体ブロック(A)は、1種類の芳香族ビニル化合物単位から構成されていてもよいし、2種類以上の芳香族ビニル化合物単位から構成されていてもよい。重合体ブロック(A)は、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンから誘導される構造単位より主としてなるものが好ましい。重合体ブロック(A)は、芳香族ビニル化合物単位とともに、必要に応じて他の共重合性単量体から誘導される構造単位を少量含んでいてもよい。他の共重合性単量体から誘導される構造単位の含有率は、重合体ブロック(A)の質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。他の共重合性単量体としては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、メチルビニルエーテル等を挙げることができる。
また、付加重合系ブロック(α)が有する共役ジエン単位を含む重合体ブロック(B)を構成する共役ジエン単位としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等から誘導される構造単位を挙げることができる。重合体ブロック(B)は、1種類の共役ジエン単位から構成されていてもよいし、2種類以上の共役ジエン単位から構成されていてもよい。重合体ブロック(B)が2種類以上の共役ジエン単位を含む場合には、それらの結合形態はランダム、テーパー、一部ブロック状のいずれであってもよいし、さらにそれらが混在していてもよい。
重合体ブロック(B)における共役ジエン単位の含有率は、重合体ブロック(B)の質量に基づいて70〜100質量%の範囲内であることが好ましく、90〜100質量%の範囲内であることがより好ましい。
付加重合系ブロック(α)は、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体の水素添加物であってもよい。水素添加物は、重合体ブロック(B)が有する不飽和二重結合の一部のみが水素添加されたものでもよく、またはその全部が水素添加されたものでもよい。重合体ブロック(B)が水素添加されたブロックにおける水素添加率は、水素添加前の重合体ブロック(B)が有する不飽和二重結合の総モル数に基づいて、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。重合体ブロック(B)の水素転化率が50モル%以上であれば、耐熱性、耐候性および耐光性に優れたポリウレタン系ブロック共重合体が得られる。
また、特に溶融成形性に優れたポリウレタン系ブロック共重合体を得る場合には、付加重合系ブロック(α)が、水素添加されていてもよい重合体ブロック(B)として、水素添加されていてもよいイソプレン重合体ブロック、水素添加されていてもよいブタジエン重合体ブロック、または水素添加されていてもよいイソプレンとブタジエンの共重合体ブロックを有することが好ましい。
さらに、下記(1)かつ(2)の場合には、常温付近において損失係数の値が大きく、且つ広い温度範囲にわたって大きな損失係数の値を保持する制振性能および溶融成形性に優れたポリウレタン系ブロック共重合体が得られる:(1)付加重合系ブロック(α)が、水素添加されていてもよい重合体ブロック(B)として、水素添加されていてもよいイソプレン重合体ブロックまたは水素添加されていてもよいイソプレンとブタジエンの共重合体ブロックを有し、かつ(2)前記重合体ブロック(B)に含まれる1,2−結合および3,4−結合のイソプレン単位およびブタジエン単位の合計の割合が、前記重合体ブロック(B)に含まれる全てのイソプレン単位およびブタジエン単位のモル数に基づいて30モル%以上(好ましくは40モル%以上)である。
また、下記(3)かつ(4)の場合にも、常温付近において損失係数の値が大きく、かつ広い温度範囲にわたって大きな損失係数の値を保持する制振性能および溶融成形性に優れたポリウレタン系ブロック共重合体が得られる:(3)付加重合系ブロック(α)が、水素添加されていてもよい重合体ブロック(B)として、水素添加されていてもよいブタジエン重合体ブロックを有し、かつ(4)前記重合体ブロック(B)に含まれる1,2−結合のブタジエン単位の割合が、前記重合体ブロック(B)に含まれる全てのブタジエン単位のモル数に基づいて60モル%以上(好ましくは80モル%以上)である。
なお、本明細書において、重合体ブロック(B)が水素添加されたブロックにおける共役ジエン単位(例えばイソプレン単位、ブタジエン単位等)には、水素添加された共役ジエン単位(例えば水素添加されたイソプレン単位、水素添加されたブタジエン単位等)が包含されるものとする。
付加重合系ブロック(α)における重合体ブロック(A)と;重合体ブロック(B)またはそれが水素添加されたブロックと;の結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐鎖状、放射状、またはそれらが組み合わさった結合形態のいずれであってもよいが、直鎖状の結合形態であることが好ましい。
付加重合系ブロック(α)は、上記の重合体ブロック(A)(以下、単に「A」で表すことがある)および重合体ブロック(B)またはそれが水素添加されたブロック(以下、これらをまとめて単に「B」で表すことがある)を有するが、その構造としては、式;(A−B)m−A、(A−B)n、B−(A−B)p(式中、m、nおよびpはそれぞれ1以上の整数を示す)などで表されるブロック共重合体の形態を挙げることができる。これらの中でも、シリコーンとの接着性に一層優れたポリウレタン系ブロック共重合体を確実に得ることができることから、付加重合系ブロック(α)は、2個以上のAと1個以上のBが直鎖状に結合したブロック共重合体の形態のものであることが好ましく、式:A−B−Aで表されるトリブロック共重合体の形態のものであることがより好ましい。
付加重合系ブロック(α)が2個以上の重合体ブロック(A)を有する場合、重合体ブロック(A)は互いに同じ内容のブロックであってもよいし、異なる内容のブロックであってもよい。また、付加重合系ブロック(α)が2個以上の重合体ブロック(B)またはそれが水素添加されたブロックを有する場合、重合体ブロック(B)またはそれが水素添加されたブロックは互いに同じ内容のブロックであってもよいし、異なる内容のブロックであってもよい。例えば、A−B−Aで表されるトリブロック構造における2個のA、あるいはB−A−Bで表されるトリブロック構造における2個のBは、それらを構成する芳香族ビニル化合物または共役ジエンの種類、その結合形式、ブロックの数平均分子量などが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
付加重合系ブロック(α)における芳香族ビニル化合物から誘導される構造単位の含有率は、付加重合系ブロック(α)の全質量に対して5〜90質量%の範囲内であることが好ましい。芳香族ビニル化合物から誘導される構造単位の含有率が上記の範囲内にある付加重合系ブロック(α)を有するポリウレタン系ブロック共重合体は、シリコーンとの接着性に一層優れる。付加重合系ブロック(α)における芳香族ビニル化合物から誘導される構造単位の含有率は、付加重合系ブロック(α)の全質量に対して10〜90質量%の範囲内であることがより好ましい。
なお、ポリウレタン系ブロック共重合体をポリオレフィンに配合して、後述する熱可塑性重合体組成物を得る場合には、付加重合系ブロック(α)における芳香族ビニル化合物から誘導される構造単位の含有率は、好ましくは5〜60質量%の範囲内、より好ましくは10〜50質量%の範囲内である。また、ポリウレタン系ブロック共重合体をスチレン系重合体に配合して、後述する熱可塑性重合体組成物を得る場合には、付加重合系ブロック(α)における芳香族ビニル化合物から誘導される構造単位の含有率は、好ましくは40〜90質量%の範囲内、より好ましくは50〜90質量%の範囲内である。前記構造単位の含有率が好ましい範囲内にあれば、シリコーンとの接着性に一層優れた熱可塑性重合体組成物が得られる。
重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)の数平均分子量は特に制限されるものではないが、水素添加前の状態で、重合体ブロック(A)の数平均分子量が2,500〜75,000の範囲内であり、重合体ブロック(B)の数平均分子量が10,000〜150,000の範囲内であることが好ましい。前記各ブロックの数平均分子量が上記の範囲内にあるポリウレタン系ブロック共重合体は、シリコーンとの接着性に一層優れる。また、付加重合系ブロック(α)の全体の数平均分子量は、シリコーンとの接着性の観点から、好ましくは10,000〜300,000の範囲内、より好ましくは20,000〜100,000の範囲内である。
一方、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体が有するポリウレタンブロック(β)
は、下記の一般式(I);
は、下記の一般式(I);
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
で表される、ビニル基またはアルキル置換ビニル基が結合した構造単位(I)を有する。
で表される、ビニル基またはアルキル置換ビニル基が結合した構造単位(I)を有する。
上記の一般式(I)において、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。R1およびR2の両方が水素原子であってもよいし、一方が水素原子でもう一方がアルキル基であってもよいし、または両方がアルキル基であってもよい。
R1の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などを挙げることができ、R1は水素原子、メチル基、エチル基であることが好ましい。
また、R2の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などを挙げることができ、R2は水素原子、メチル基、エチル基であることが好ましい。
限定されるものではないが、構造単位(I)の具体例としては、
(Ia)構造単位(I)において、R1およびR2の両方が水素原子であるもの;
(Ib)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がメチル基であるもの;
(Ic)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2が水素原子であるもの;
(Id)構造単位(I)において、R1およびR2の両方がメチル基であるもの;
(Ie)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がエチル基であるもの;
(If)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2がエチル基であるもの;
(Ig)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がn−プロピル基であるもの;
(Ih)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2がn−プロピル基であるもの;
(Ii)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がn−ブチル基であるもの;
(Ij)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2がn−ブチル基であるもの;
(Ik)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がn−ペンチル基であるもの;
(Im)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2がn−ペンチル基であるもの;
(In)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がn−ヘキシル基であるもの;
(Io)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2がn−ヘキシル基であるもの;
などを挙げることができる。
(Ia)構造単位(I)において、R1およびR2の両方が水素原子であるもの;
(Ib)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がメチル基であるもの;
(Ic)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2が水素原子であるもの;
(Id)構造単位(I)において、R1およびR2の両方がメチル基であるもの;
(Ie)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がエチル基であるもの;
(If)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2がエチル基であるもの;
(Ig)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がn−プロピル基であるもの;
(Ih)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2がn−プロピル基であるもの;
(Ii)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がn−ブチル基であるもの;
(Ij)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2がn−ブチル基であるもの;
(Ik)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がn−ペンチル基であるもの;
(Im)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2がn−ペンチル基であるもの;
(In)構造単位(I)において、R1が水素原子で、R2がn−ヘキシル基であるもの;
(Io)構造単位(I)において、R1がメチル基で、R2がn−ヘキシル基であるもの;
などを挙げることができる。
上記した中でも、構造単位(I)を有するポリウレタン用原料の入手容易性;シリコーン(特に珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン)とポリウレタン系ブロック共重合体との接着強度;シリコーン(特にオルガノハイドロジェンポリシロキサン)と構造単位(I)におけるビニル基またはアルキル置換ビニル基との反応性;などの点から、構造単位(I)としては、上記(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)が好ましく、(Ia)、(Ib)、(Ic)がより好ましい。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体は、その全質量に基づいて、ポリウレタンブロック(β)が有する前記構造単位(I)を0.2〜40質量%の割合で有することが好ましい。ポリウレタンブロック(β)が有する前記構造単位(I)の含有率が0.2質量%よりも少ないと、得られるポリウレタン系ブロック共重合体のシリコーンとの接着性が低下する傾向がある。一方、この含有率が40質量%よりも多いと、得られるポリウレタン系ブロック共重合体の成形性が低下する傾向があり、またポリウレタン系ブロック共重合体から得られる成形体や複合成形体の力学的特性、耐熱性、耐候性などが低下する傾向がある。ポリウレタン系ブロック共重合体におけるポリウレタンブロック(β)が有する前記構造単位(I)の含有率は、ポリウレタン系ブロック共重合体の全質量に基づいて1〜35質量%であることがより好ましく、1.5〜35質量%であることがさらに好ましく、2〜30質量%であることが特に好ましい。
ポリウレタンブロック(β)は、少なくとも、分子中に構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap)と、有機ポリイソシアネート(b)との反応により形成することができる。なおポリマーポリオール(ap)は、ポリマーポリオール(ap−1)以外の他のポリマーポリオール[すなわち構造単位(I)を持たないポリマーポリオール、以下「他のポリマーポリオール(ap−2)」と略称することがある]を含有していてもよい。
ポリウレタンブロック(β)は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および鎖伸長剤(c)の反応により形成することが好ましい。またこれらの反応は、有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物よりなるウレタン化反応触媒の存在下に行うことが好ましい。
上記のポリマーポリオール(ap)が有する水酸基は、その分子末端に位置していることが好ましい。分子末端に位置する水酸基はポリウレタン形成時に主鎖延長に関与する。その結果、物性(例えば非粘着性、溶融成形性、力学的特性など)に優れ、しかもシリコーンに対して均一な接着性を有するポリウレタン系ブロック共重合体が得られる。
ポリマーポリオール(ap)における水酸基の数は、1分子当たり平均で0.7個以上であることが好ましく、0.7〜3個であることがより好ましく、1.8〜2.5個であることがさらに好ましい。
ポリマーポリオール(ap)の数平均分子量は、好ましくは500〜10,000、より好ましくは500〜8,000、さらに好ましくは600〜5,000、特に好ましくは800〜5,000である。好ましい数平均分子量を有するポリマーポリオール(ap)を使用することによって、非粘着性、溶融成形性、力学的特性(例えば耐摩耗性や引張破断強度など)、柔軟性、屈曲性、低残留歪み性、耐油性等に優れるポリウレタン系ブロック共重合体、成形体、複合成形体などが得られる。
上記の場合に用いるポリマーポリオール(ap−1)および他のポリマーポリオール(ap−2)の数平均分子量は、それぞれ、好ましくは500〜10,000、より好ましくは500〜8,000、さらに好ましくは600〜5,000、特に好ましくは800〜5,000である。かかる数平均分子量のポリマーポリオール(ap−1)および他のポリマーポリオール(ap−2)を用いることによって、非粘着性、力学的強度、耐熱性等に優れるポリウレタン系ブロック共重合体、成形体、複合成形体などを得ることができる。
ここで、本明細書でいうポリマーポリオールの数平均分子量は、JIS K−1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
また、ポリマーポリオール(ap−1)および他のポリマーポリオール(ap−2)における1分子当たりの水酸基数は、それぞれ、好ましくは2.0〜2.1個、さらに好ましくは2.0〜2.07個、特に好ましくは2.005〜2.05個の範囲内である。好ましい水酸基数を有するポリマーポリオール(ap−1)および他のポリマーポリオール(ap−2)を用いれば、成形性、非粘着性、力学的特性(例えば耐摩耗性)などに優れるポリウレタン系ブロック共重合体を得ることができる。
ポリマーポリオール(ap)におけるポリマーポリオール(ap−1)の含有率は、ポリマーポリオール(ap−1)における構造単位(I)の含有率;ポリマーポリオール(ap−1)の分子量;他のポリマーポリオール(ap−2)の分子量;有機ポリイソシアネート(b)の分子量および使用量;鎖伸長剤(c)の分子量および使用量;などに応じて調節することができる。最終的に得られるポリウレタン系ブロック共重合体中の前記構造単位(I)の含有率が、前記したように、好ましくは0.2〜40質量%の範囲内、より好ましくは1〜35質量%の範囲内、さらに好ましくは1.5〜35質量%の範囲内、特に好ましくは2〜30質量%の範囲内になるように、ポリマーポリオール(ap)におけるポリマーポリオール(ap−1)の含有率を調節するとよい。
分子中に構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)としては、分子中に構造単位(I)を所望量で有し、且つイソシアネート基と反応性の水酸基を複数個有するポリマーポリオールであればいずれでもよい。代表的には、1,2−結合および/または3,4−結合により重合したブタジエン単位および/またはイソプレン単位を有し、且つ2個以上の水酸基(好ましくは2個の水酸基)を有するポリオレフィンポリオール等を挙げることができる。
前記ポリオレフィンポリオールの具体例としては、ブタジエンが主に1,2−結合により重合したポリブタジエンポリオール;イソプレンが主に1,2−結合および/または3,4−結合により重合したポリイソプレンポリオール;ブタジエンおよび/またはイソプレンが主に1,2−結合および/または3,4−結合により重合したブタジエン/イソプレンコポリマーポリオール;ブタジエンおよび/またはイソプレンが主に1,2−結合および/または3,4−結合により重合したブタジエンおよび/またはイソプレンと、他のモノマー[例えばスチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、アクリロニトリル、オレフィン、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸エステルなど]とのランダム共重合またはブロック共重合により得られるコポリマーポリオール;などを挙げることができる。これらのポリマーポリオール(ap−1)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリマーポリオール(ap−1)は、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールおよびブタジエン/イソプレンコポリマーポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらのポリマーポリオール(ap−1)では、ブタジエンおよび/またはイソプレンに由来する全構造単位における1,2−結合単位および3,4−結合単位の合計の割合は、一般に80〜100モル%であることが好ましく、85〜100モル%であることがより好ましく、90〜100モル%であることがさらに好ましい。
また、ブタジエンおよび/またはイソプレンと、これら以外の他のモノマーとのコポリマーポリオールでは、前記コポリマーポリオールにおけるブタジエンおよび/またはイソプレンに由来する構造単位の割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90〜99質量%である。このような割合であれば、コポリマーポリオール中に所望量の構造単位(I)を含有させ易く、しかもシリコーンとの接着性が効果的に発現される。
ポリマーポリオール(ap)の一部として、構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)と共に用い得る他のポリマーポリオール(ap−2)としては、ポリウレタンの製造に従来から用いられているあらゆるポリマーポリオールを使用することができる。
かかる他のポリマーポリオール(ap−2)の代表例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなど(ただし、構造単位(I)を持たないもの)を挙げることができる。これらの他のポリマーポリオール(ap−2)は、1種を単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。そのうちでも、他のポリマーポリオール(ap−2)としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオールが好ましく、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールがより好ましい。
他のポリマーポリオール(ap−2)として用い得る上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、(1)常法にしたがって、ポリオール成分とポリカルボン酸成分[ポリカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(例えばそのエステルや酸無水物等)]とを、直接エステル化反応またはエステル交換反応させて得られるポリエステルポリオール;および(2)ポリオールを開始剤としてラクトンを開環重合することによって得られるポリエステルポリオール;などを挙げることができる。
ポリオール成分とポリカルボン酸成分とを反応させて得られるポリエステルポリオールの製造に用いる前記したポリオール成分(1分子当たり水酸基を2個有するジオールジオール、および1分子当たり水酸基を3個以上有するポリオール)は、ポリエステルの製造において一般的に使用されているものであればいずれでもよい。ジオールとしては、例えば、炭素数2〜15の脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等);脂環式ジオール(例えば1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロオクタンジメタノール、ジメチルシクロオクタンジメタノール等);芳香族二価アルコール(例えば1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等);などを挙げることができる。ポリオールとしては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどを挙げることができる。ポリエステルポリオールの製造に当たっては、これらのポリオール成分は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオール成分とポリカルボン酸成分とを反応させて得られるポリエステルポリオールの製造に用い得る上記ポリカルボン酸成分としては、ポリエステルの製造において一般的に使用されているものであればいずれでもよい。例えば、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸(例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、メチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、トリメチルアジピン酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸等);脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等);芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等);3官能以上のポリカルボン酸(例えばトリメリット酸、ピロメリット酸等);あるいはそれらのエステル形成性誘導体;などを挙げることができる。これらのポリカルボン酸成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。そのうちでも、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸、特にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸の1種または2種以上が好ましく用いられる。
ラクトンの開環重合によって得られるポリエステルポリオールの製造に用いるラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトンなどを挙げることができる。
他のポリマーポリオール(ap−2)として用い得る上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオールの存在下に、環状エーテルを開環重合して得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などを挙げることができる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中で、ポリテトラメチレングリコールおよびポリ(メチルテトラメチレングリコール)が好ましい。
他のポリマーポリオール(ap−2)として用い得る上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオールと、カーボネート化合物(例えばジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネートなど)との反応により得られるものを挙げることができる。ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールとしては、ポリエステルポリオールの製造に用いる成分として先に例示したポリオール成分を用いることができる。また、ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げることができる。
他のポリマーポリオール(ap−2)として用い得る上記ポリエステルポリカーボネートポリオールとしては、例えば、(1)ポリオール、ポリカルボン酸およびカーボネート化合物を同時に反応させて得られたもの;(2)予めポリエステルポリオールを合成し、次いでそれとカーボネート化合物とを反応させることによって得られたもの;および(3)予めポリカーボネートポリオールを合成し、次いでポリカルボン酸と反応させることによって得られたもの;などを挙げることができる。
他のポリマーポリオール(ap−2)として用い得る上記ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ブタジエン/イソプレンコポリマーポリオール、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーポリオール、ブタジエン/スチレンコポリマーポリオール等の共役ジエン系ポリマーポリオールの水素添加物などを挙げることができる。前記共役ジエン系ポリマーポリオールは、重合開始剤の存在下に、共役ジエン(例えばブタジエン、イソプレンなど)のみ、または共役ジエンと他のモノマーとをリビング重合した後に、重合活性末端に水酸基含有エポキシ化合物を反応させて得ることができる。前記水素添加物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の有機ポリイソシアネート(b)の種類は特に制限されず、ポリウレタンの製造に従来から用いられている有機ポリイソシアネートのいずれもが使用できる。有機ポリイソシアネート(b)としては、芳香族ジイソシアネート(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等);および脂肪族または脂環式ジイソシアネート(例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート等)などを挙げることができる。これらの有機ポリイソシアネートは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記した有機ポリイソシアネートのうちでも、芳香族ジイソシアネートが好ましく、特に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
上記の鎖伸長剤(c)としては、ポリウレタンの製造に際して鎖伸長剤として通常用いられている、2個以上の活性水素原子を有する分子量450以下の低分子化合物を使用することができる。本発明で用い得る鎖伸長剤(c)の例としては、ジオール類(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコール等);ジアミン類(例えばヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンまたはその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等);アミノアルコール類(例えばアミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコール等);などを挙げることができる。これらの鎖伸長剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記した鎖伸長剤のうちでも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールがより好ましい。
なお、前記構造単位(I)を所望量で有するポリウレタン系ブロック共重合体を得るために、分子量が100〜450の範囲内にあり、且つ2個以上の活性水素原子および構造単位(I)を有する化合物を、鎖伸長剤(c)として使用してもよい。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体は、
(i)官能基含有付加重合系ブロック共重合体;
(ii)分子中に上記一般式(I)で表される構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap);
(iii)有機ポリイソシアネート(b);および所望により
(iv)鎖伸長剤(c)
を反応させる工程を含む製造方法(以下、「製造方法1」と略称することがある)によって得ることができる。なお前記官能基含有付加重合系ブロック共重合体は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および鎖伸長剤(c)からなる群から選ばれる少なくとも1つの成分と反応し得る官能基(以下「反応性官能基」と略称することがある)を有し、且つ前記重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれるものである。また製造方法1には、上記ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および任意成分としての鎖伸長剤(c)の反応物と、上記官能基含有付加重合系ブロック共重合体と、を反応させる態様が包含される。
(i)官能基含有付加重合系ブロック共重合体;
(ii)分子中に上記一般式(I)で表される構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap);
(iii)有機ポリイソシアネート(b);および所望により
(iv)鎖伸長剤(c)
を反応させる工程を含む製造方法(以下、「製造方法1」と略称することがある)によって得ることができる。なお前記官能基含有付加重合系ブロック共重合体は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および鎖伸長剤(c)からなる群から選ばれる少なくとも1つの成分と反応し得る官能基(以下「反応性官能基」と略称することがある)を有し、且つ前記重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれるものである。また製造方法1には、上記ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および任意成分としての鎖伸長剤(c)の反応物と、上記官能基含有付加重合系ブロック共重合体と、を反応させる態様が包含される。
また、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体は、
(i)分子中に上記一般式(I)で表される構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap);
(ii)有機ポリイソシアネート(b);および所望により
(iii)鎖伸長剤(c)
を反応させて形成したポリウレタンと、
(iv)官能基含有付加重合系ブロック共重合体と
を反応させる工程を含む製造方法(以下、「製造方法2」と略称することがある)によって、得ることもできる。製造方法2の官能基含有付加重合系ブロック共重合体の説明は、上記製造方法1のものと同じである。
(i)分子中に上記一般式(I)で表される構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap);
(ii)有機ポリイソシアネート(b);および所望により
(iii)鎖伸長剤(c)
を反応させて形成したポリウレタンと、
(iv)官能基含有付加重合系ブロック共重合体と
を反応させる工程を含む製造方法(以下、「製造方法2」と略称することがある)によって、得ることもできる。製造方法2の官能基含有付加重合系ブロック共重合体の説明は、上記製造方法1のものと同じである。
上記の官能基含有付加重合系ブロック共重合体が有する反応性官能基としては、ポリマーポリオール(ap)および/または鎖伸長剤(c)と反応し得る官能基(例えばカルボキシル基、酸無水物基、チオカルボキシル基、イソシアネート基等)、および有機ポリイソシアネート(b)と反応し得る官能基(例えば水酸基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、酸無水物基、チオカルボキシル基、イソシアネート基等)が挙げられる。官能基含有付加重合系ブロック共重合体は、これらの官能基を2種類以上含有していてもよい。前記反応性官能基は、好ましくは有機ポリイソシアネート(b)と反応し得る官能基、より好ましくは水酸基である。水酸基を含有するの官能基含有付加重合系ブロック共重合体を用いれば、ポリウレタン系ブロック共重合体の製造に際し、均一なポリウレタン形成反応を行うことができる。
また反応性官能基は、官能基含有付加重合系ブロック共重合体の末端に位置していることが好ましい。反応性官能基を末端に有する官能基含有付加重合系ブロック共重合体を使用すると、ポリウレタン系ブロック共重合体を製造する際に、ポリウレタン形成反応による主鎖延長に反応性官能基が関与する。こうして得られたポリウレタン系ブロック共重合体は、シリコーンとの接着性に一層優れる。
反応性官能基の数は、官能基含有付加重合系ブロック共重合体1分子当たりの平均で、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上である。
官能基含有付加重合系ブロック共重合体の製造方法は、何ら限定されるものではないが、例えば、イオン重合法(アニオン重合法およびカチオン重合法)、シングルサイト重合法、ラジカル重合法などを挙げることができる。アニオン重合法による場合は、例えば、不活性有機溶媒(例えばn−ヘキサンやシクロヘキサン等)中で、重合開始剤(例えばアルキルリチウム化合物等)を用いて、芳香族ビニル化合物、共役ジエンを逐次重合させ、所望の分子構造および分子量に達した時点で、オキシラン骨格を有する化合物(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド等);ラクトン化合物(例えばε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン(ピバロラクトン)、メチルバレロラクトン等)などを付加させ、次いで、活性水素含有化合物(例えばアルコール類、カルボン酸類、水等)を添加して重合を停止させることにより製造することができる。そして、得られたブロック共重合体を、不活性有機溶媒(例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン等)中で水素添加反応触媒(例えばアルキルアルミニウム化合物とコバルト、ニッケル等からなるチーグラー触媒など)の存在下に、反応温度20〜150℃、水素圧力1〜150kg/cm2の条件下で水素添加することによって、その水素添加物を得ることもできる。また、所望により、水素添加前または水素添加後のブロック共重合体を、無水マレイン酸等によって変性してもよい。
官能基含有付加重合系ブロック共重合体の数平均分子量は15,000〜300,000の範囲内であることが好ましく、20,000〜100,000の範囲内であることがより好ましい。なお、官能基含有付加重合系ブロック共重合体の数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で測定した値である。また、官能基含有付加重合系ブロック共重合体の230℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)は0.01〜100g/10分の範囲内であることが好ましい。かかるメルトフローレートを有する官能基含有付加重合系ブロック共重合体を使用することにより、シリコーンとの接着性に一層優れるポリウレタン系ブロック共重合体を得ることができる。官能基含有付加重合系ブロック共重合体の230℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)は、0.05〜80g/10分の範囲内であることがより好ましい。なお、官能基含有付加重合系ブロック共重合体のメルトフローレートは、ASTM D−1238に準拠して測定した値である。
上記製造方法1および2の反応(製造方法2においては、二つの反応のうちの少なくとも一つの反応、好ましくは二つの反応、以下同じ)は、実質的に溶剤の不存在下に溶融混練して行うことが好ましい。特に多軸スクリュー型押出機を使用して連続的に溶融混練することによって、前記反応を行うことがより好ましい。前記溶融混練の温度は、一般に180〜280℃の範囲内、好ましくは200〜260℃の範囲内である。
また上記製造方法1および2の反応は、ウレタン化反応触媒として従来から汎用されている有機錫化合物および第3級アミンを用いないことが好ましい。ウレタン化反応触媒としては、有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(以下、「金属化合物(M)」と略称することがある。)を用いることが好ましい。このようにすると、ポリウレタン系ブロック共重合体とともに、少なくとも1種の金属化合物(M)を含有したポリウレタン系ブロック共重合体組成物が得られる。本発明では、上記金属化合物(M)のうち、有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物が好ましく用いられ、有機チタン化合物がより好ましく用いられる。
上記製造方法1および2の反応で、ポリウレタンの製造に従来から汎用されている有機錫化合物および/または第3級アミンを触媒として用いた場合には、それによって得られる前記触媒を含有するポリウレタン系ブロック共重合体組成物、さらには後述する本発明の熱可塑性重合体組成物は、シリコーンに対する接着性が低下する傾向がある。その理由としては、有機錫化合物および/または第3級アミンが、シリコーンの硬化触媒(例えば白金触媒など)の硬化機能の低下をもたらすことなどが考えられるが、正確な理由は定かではない。かかる点から、前記ポリウレタン系ブロック共重合体組成物や後述する本発明の熱可塑性重合体組成物は、有機錫化合物および第3級アミンを含有しないことが好ましい。
上記有機亜鉛化合物の具体例としては、亜鉛アセチルアセトナート、プロピオン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リノール酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛などを挙げることができる。
上記有機ビスマス化合物の具体例としては、ビス(アセチルアセトン)ビスマス、2−エチルヘキサン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、サリチル酸ビスマスなどを挙げることができる。
上記有機チタン化合物の具体例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テトラステアリルチタネート等のテトラアルコキシチタン化合物;ポリヒドロキシチタンステアレート等のチタンアシレート化合物;チタンアセチルアセトナート、トリエタノールアミンチタネート、チタンアンモニウムラクテート、チタンエチルラクテート、チタンオクチレングリコール等のチタンキレート化合物などを挙げることができる。
上記有機ジルコニウム化合物の具体例としては、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシド、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、ネオデカン酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトナートなどを挙げることができる。
上記金属化合物(M)は、得られるポリウレタン系ブロック共重合体の質量に対して、0.1〜2,000質量ppm(0.2質量%)の範囲内となる量で用いることが好ましい。上記金属化合物(M)の使用量が0.1質量ppm未満であると、得られるポリウレタン系ブロック共重合体の溶融成形性やシリコーンとの接着性などが低下する傾向がある。一方、上記金属化合物(M)の使用量が2,000質量ppmを超える場合にも、ポリウレタン系ブロック共重合体の溶融成形性(特に溶融滞留安定性)が低下する傾向がある。上記金属化合物(M)の使用量は、得られるポリウレタン系ブロック共重合体の質量に対して、より好ましくは0.5〜200質量ppmの範囲内、さらに好ましくは1〜200質量ppmの範囲内、特に好ましくは1〜100質量ppmの範囲内である。
なお本発明は、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体、および少なくとも1種の金属化合物(M)を含有し、前記金属化合物(M)の含有率が前記ポリウレタン系ブロック共重合体の質量に基づいて0.1〜2,000質量ppm(好ましくは0.5〜200質量ppm、より好ましくは1〜200質量ppm、さらに好ましくは1〜100質量ppm)であるポリウレタン系ブロック共重合体組成物を、包含する。
上記ポリウレタン系ブロック共重合体組成物は、上記した金属化合物と共に、リン化合物およびフェノール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「化合物(Q)」と略称することがある。)を含有していることが好ましい。
上記化合物(Q)は、ウレタン化反応触媒として使用することができる上記した金属化合物の失活剤として機能し、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物の加工安定性、耐久性(耐水性、耐熱性、耐侯性など)をより良好なものとすることができる。
上記化合物(Q)は、上記した金属化合物の失活の目的で主に用いられるものであるから、ウレタン形成反応の終了後に添加することが好ましい。
上記化合物(Q)の1種であるリン化合物としては、下記の一般式(IIa)〜(IIc)で表されるリン化合物が好ましい。
[式(IIa)中、R3〜R5はそれぞれ独立して水素原子または1価の炭化水素基、aおよびbはそれぞれ0または1を示し;式(IIb)中、R6およびR7はそれぞれ独立して1価の炭化水素基、d、e、fおよびgはそれぞれ0または1を示し;式(IIc)中、R8〜R11はそれぞれ独立して1価の炭化水素基、R12は2価の炭化水素基、h、i、jおよびkはそれぞれ0または1を示す。]
上記の式(IIa)において、aが1の場合には、R3〜R5のうちの少なくとも1つが脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基であることが好ましい。また、上記の式(IIc)において、hとiがともに1の場合には、R8〜R11のうちの少なくとも1つが脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基であることが好ましい。
上記の式(IIa)〜(IIc)において、R3〜R11の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜30の炭化水素基が好ましい。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、イソデシル基、オクタデシル基等);脂環式炭化水素基(例えばシクロヘキシル基等);芳香族炭化水素基(例えばフェニル基、ノニルフェニル基、クレジル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル基等)挙げられる。芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基または水酸基などの置換基を芳香環上に有していてもよい。
また、上記の式(IIc)において、R12の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜50の2価の炭化水素基であることが好ましい。2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基(例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等);2価の脂環式炭化水素基(例えばシクロヘキシレン基等);2価の芳香族炭化水素基(例えばフェニレン基、ビフェニレン基、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)基、4,4’−イソプロピリデンジフェニル基等)を挙げることができる。2価の芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基または水酸基などの置換基を芳香環上に有していてもよい。
上記の式(IIa)で表されるリン化合物としては、例えば、亜リン酸;リン酸;亜リン酸エステル[例えばメチルホスファイト、エチルホスファイト、イソプロピルホスファイト、ブチルホスファイト、2−エチルヘキシルホスファイト、ラウリルホスファイト、オレイルホスファイト、ステアリルホスファイト、フェニルホスファイト、ジメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ジブチルホスファイト、ビス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジラウリルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジステアリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリノニルホスファイト、トリス(デシル)ホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリス(オクタデシル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト等];リン酸エステル[例えばメチルホスフェート、エチルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ブチルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、ラウリルホスフェート、オレイルホスフェート、ステアリルホスフェート、フェニルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(デシル)ホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリス(オクタデシル)ホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート等];亜ホスホン酸誘導体のジエステル[例えばフェニル亜ホスホン酸ジメチル、フェニル亜ホスホン酸ジエチル、フェニル亜ホスホン酸ジブチル、フェニル亜ホスホン酸ジオクチル、フェニル亜ホスホン酸ジドデシル、フェニル亜ホスホン酸ビス(オクタデシル)、フェニル亜ホスホン酸ジシクロヘキシル、フェニル亜ホスホン酸ジフェニル等];ホスホン酸誘導体のジエステル[例えば、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジブチル、フェニルホスホン酸ジオクチル、フェニルホスホン酸ジドデシル、フェニルホスホン酸ビス(オクタデシル)、フェニルホスホン酸ジシクロヘキシル、フェニルホスホン酸ジフェニル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル等];などが挙げられる。
上記の式(IIb)で表されるリン化合物としては、例えば、ホスファイト類[例えばジドデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等];ホスフェート類[例えばビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスフェート等]などが挙げられる。
上記の式(IIc)で表されるリン化合物としては、例えば、ホスファイト類[例えば4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールテトラキス(トリデシル)ジホスファイト等];ホスホナイト類[例えばテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスホナイト等]などが挙げられる。
上記リン化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記リン化合物の中でも、リン酸エステル、ホスホン酸誘導体のジエステルが好ましく、ラウリルホスフェート、オレイルホスフェート、ステアリルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ジステアリルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスフェート、フェニルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルなどが特に好ましい。
また上記化合物(Q)の1種であるフェノール系化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物[例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−ブチル−6−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−(t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)等];ヒドロキシベンゾフェノン系化合物[例えば2−ヒドロキシ−4−オクチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン等];ヒドロキシベンゾトリアゾール系化合物[例えば2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]}等];サリチル酸系化合物(例えば4−t−ブチルフェニルサリチル酸等);オキシ安息香酸系化合物(例えば4−t−ブチルパラオキシ安息香酸フェニル等);カテコール系化合物(例えば3,4−ジヒドロキシ安息香酸オクチル等);レゾルシノール系化合物(例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸オクチル等);ビフェノール系化合物(例えば4,4’−オクチル−2,2’−ビフェノール等);ビナフトール系化合物(例えば2,2’−ビナフトール等);などが挙げられる。フェノール系化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
少なくとも1種の上記化合物(Q)を用いる場合、その使用量は、ポリウレタン系ブロック共重合体の質量に基づいて、1〜20,000質量ppm(2質量%)であることが好ましい。上記化合物(Q)の使用量が1質量ppm未満の場合には、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物の溶融成形性(特に溶融滞留安定性)が低下することがある。一方、上記化合物(Q)の使用量が20,000質量ppm(2質量%)を超えると、下記(1)〜(3)の不具合がある:(1)得られるポリウレタン系ブロック共重合体組成物から構成される成形体の表面状態が、損なわれる傾向がある。(2)ポリウレタン系ブロック共重合体組成物から構成される層とシリコーンを含む層とを有する積層構造体などを製造する際に、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物とシリコーンとの接着性の低下を招く傾向がある。(3)硬化性シリコーン組成物の硬化性を阻害する場合がある。
上記化合物(Q)の使用量は、ポリウレタン系ブロック共重合体の質量に基づいて、より好ましくは5〜2,000質量ppm(0.2質量%)の範囲内、さらに好ましくは5〜1,000質量ppm(0.1質量%)の範囲内、特に好ましくは5〜500質量ppmの範囲内、最も好ましくは10〜250質量ppmの範囲内である。
次に金属化合物(M)に対する化合物(Q)の配合割合について説明する。
化合物(Q)としてリン化合物を用いる場合、リン化合物中のリン原子の割合は、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物中に存在する上記金属化合物(M)中の金属原子1モルに対して、好ましくは0.1〜500モル、より好ましくは0.2〜200モル、さらに好ましは0.5〜100モルである。
化合物(Q)としてフェノール系化合物を用いる場合、フェノール系化合物の水酸基の割合は、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物中に存在する上記金属化合物(M)中の金属原子1モルに対して、好ましくは1〜5,000モル、より好ましくは2〜2,000モル、さらに好ましくは5〜1,000モルである。
化合物(Q)としてリン化合物を用いる場合、リン化合物中のリン原子の割合は、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物中に存在する上記金属化合物(M)中の金属原子1モルに対して、好ましくは0.1〜500モル、より好ましくは0.2〜200モル、さらに好ましは0.5〜100モルである。
化合物(Q)としてフェノール系化合物を用いる場合、フェノール系化合物の水酸基の割合は、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物中に存在する上記金属化合物(M)中の金属原子1モルに対して、好ましくは1〜5,000モル、より好ましくは2〜2,000モル、さらに好ましくは5〜1,000モルである。
製造方法1の反応および製造方法2の前者の反応(即ちポリウレタン形成反応)において、ポリマーポリオール(ap)および鎖伸長剤(c)が有している活性水素原子1モルに対し、有機ポリイソシアネート(b)が有しているイソシアネート基の割合は、好ましくは0.9〜1.3モルの範囲内である。上記の割合でポリウレタン形成反応を行って得られるポリウレタン系ブロック共重合体は、シリコーンとの接着性に一層優れる。
また、製造方法1の反応および製造方法2の前者の反応(即ちポリウレタン形成反応)において、イソシアネート基に由来する窒素原子の含有率は、製造方法1で得られるポリウレタンブロック(β)または製造方法2で得られるポリウレタンの質量に基づいて、好ましくは1〜6.5質量%の範囲内である。上記の割合でポリウレタン形成反応を行って得られるポリウレタン系ブロック共重合体は、シリコーンとの接着性に一層優れる。イソシアネート基に由来する窒素原子の含有率は、製造方法1で得られるポリウレタンブロック(β)または製造方法2で得られるポリウレタンの質量に基づいて、より好ましくは1〜6質量%の範囲内、さらに好ましく1.3〜5.5質量%の範囲内、特に好ましは1.6〜5質量%の範囲内である。
製造方法2は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および所望によりさらに鎖伸長剤(c)の反応混合物を、官能基含有付加重合系ブロック共重合体と反応させる態様も包含する。前記反応混合物には、ポリウレタンに加えて、ウレタンプレポリマーも含まれる。前記反応混合物は、未反応の原料(例えばポリマーポリオール等)を含むものであってもよく、常法に従って後処理したものであってもよい。また、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および所望によりさらに鎖伸長剤(c)から形成されるウレタンプレポリマーの市販品を、前記反応混合物の一部として使用することもできる。
製造方法1および2によってポリウレタン系ブロック共重合体を製造する場合、官能基含有付加重合系ブロック共重合体と、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および任意成分としての鎖伸長剤(c)との割合は、[官能基含有付加重合系ブロック共重合体の質量]:[ポリマーポリオール(ap)の質量+有機ポリイソシアネート(b)の質量+鎖伸長剤(c)の質量]=10:90〜90:10の範囲内であることが好ましく、20:80〜80:20の範囲内であることがより好ましく、30:70〜70:30の範囲内であることがさらに好ましい。
製造方法1および2により得られたポリウレタン系ブロック共重合体は、ポリウレタン系ブロック共重合体以外に、未反応の官能基含有付加重合系ブロック共重合体、未反応のポリマーポリオール(ap)、未反応の有機ポリイソシアネート(b)または未反応の鎖伸長剤(c)を含有する重合体組成物として得られることがある。これらの含有量は、反応に使用した原料の割合、反応温度等の反応条件によって変化する。また、上記重合体組成物は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および任意成分としての鎖伸長剤(c)から形成されるポリウレタンを含有する場合がある。さらに、上記したブロック共重合体組成物は、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)を有し、官能基を有しないブロック共重合体またはその水素添加物(付加重合系ブロック(α)と同様の構造を有する重合体)を含み得る。
例えば、上記の方法で得られた重合体組成物を、必要に応じてペレット状とし、さらに適当な大きさに粉砕した後、これをポリウレタンの良溶媒(例えばジメチルホルムアミド等)で処理して、官能基含有付加重合系ブロック共重合体とは反応しなかったポリウレタン(重合体組成物中に存在している場合)を除去し、次いで、官能基含有付加重合系ブロック共重合体の良溶媒(例えばシクロヘキサン等)で処理して、未反応の官能基含有付加重合系ブロック共重合体および付加重合系ブロック(α)と同様の構造を有する重合体(重合体組成物中に存在している場合)を抽出・除去し、残った固形物を乾燥することにより、ポリウレタン系ブロック共重合体を取得することができる。なお、本発明の趣旨を損なわない限り、上記の方法で得られた重合体組成物をそのまま各用途に使用してもよい。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記した本発明のポリウレタン系ブロック共重合体および当該ポリウレタン系ブロック共重合体以外の熱可塑性重合体を含有する。当該熱可塑性重合体としては、特に制限されないが、ポリアミド;ポリエステル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;アクリル系樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエンおよびオレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体;ポリウレタン;スチレン系重合体;並びにポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリウレタンがより好ましい。
上記ポリアミドとしては、ポリマー主鎖にアミド結合(−CO−NH−)を有し、加熱溶融が可能なものを使用することができる。例えば、(1)3員環以上のラクタムを開環重合して得られるポリアミド(ポリラクタム);(2)ω−アミノ酸の重縮合により得られるポリアミド;(3)ジカルボン酸とジアミンとの重縮合により得られるポリアミド;などを挙げることができ、これらのポリアミドの1種または2種以上を用いることができる。その場合に、上記ラクタムの具体例としては、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、α−ピロリドンなどを挙げることができる。また、上記ω−アミノ酸の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などを挙げることができる。
さらに、ポリアミドの原料となる上記したジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸等);脂環式ジカルボン酸(例えば1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等);芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸等);を挙げることができる。上記したジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等);脂環式ジアミン(例えばシクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等);芳香族ジアミン(例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等)を挙げることができる。
上記ポリエステルとしては、ポリマー主鎖にエステル結合を有し、加熱溶融が可能なものを使用することができる。例えば、(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応により得られるポリエステル;(2)ラクトンを開環重合して得られるポリエステル(ポリラクトン);(3)ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を重縮合して得られるポリエステル;などを挙げることができる。そのうちでも、ジカルボン酸成分とジオール成分とから実質的に形成されているポリエステルが好ましい。
上記ポリエステルの原料となる上記ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、テトラブロモフタル酸等);飽和脂肪族ジカルボン酸(例えばグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸等);脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等);不飽和脂肪族ジカルボン酸(例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等);およびそれらのエステル形成性誘導体;を挙げることができる。また、上記ポリエステルの原料となる上記ジオール成分としては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等);脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等);分子量6,000以下のポリアルキレングリコール(例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)から誘導されるジオール;などを挙げることができる。また、ポリエステルは、必要に応じて、例えば、3官能以上の化合物(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸等)から誘導される1種または2種以上の構造単位を、少量有していてもよい。
上記ポリ塩化ビニリデンとしては、塩化ビニリデンに由来する構造単位を、好ましくは50質量%以上の割合、より好ましくは70〜98質量%の割合で有する重合体が挙げられる。ポリ塩化ビニリデンの共重合体としては、塩化ビニリデンと、1種または2種以上の他の不飽和単量体(例えば塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、アクリル酸等)との共重合体が好ましい。ポリ塩化ビニリデンの重合度は特に制限されないが、一般に、その重合度は、好ましくは100〜10,000の範囲内、より好ましくは400〜5,000の範囲内のである。
上記ポリ塩化ビニルとしては、塩化ビニルの単独重合体および共重合体等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。塩化ビニルの共重合体としては、塩化ビニルに由来する構造単位を70質量%以上の割合で有するものが好ましい。ポリ塩化ビニルの共重合体としては、塩化ビニルと、1種または2種以上の他の共重合性単量体(例えばエチレン、プロピレン、酢酸ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、マレイミド等)との共重合体が好ましい。ポリ塩化ビニルの重合度は特に制限されないが、その重合度は、好ましくは100〜10,000の範囲内、より好ましくは400〜5,000の範囲内である。
上記ポリカーボネートとしては、ジヒドロキシ化合物と、ホスゲン、炭酸ジエステルまたはハロホルメートとを反応させて得られるポリカーボネートを挙げることができる。原料となるジヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物(例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール等)を挙げることができ、これらのうちでもビスフェノールAが好ましい。
上記アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構造単位から主としてなるアクリル系樹脂を挙げることができる。アクリル系樹脂における(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構造単位の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましは80質量%以上である。アクリル系樹脂の構造単位を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等)を挙げることができる。アクリル系樹脂は、これらの(メタ)アクリル酸エステルから誘導される1種または2種以上の構造単位を有することができる。また、アクリル系樹脂は、必要に応じて、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の不飽和単量体から誘導される1種または2種以上の構造単位を有していてもよい。例えば、アクリル系樹脂は、シアン化ビニル系単量体(例えば(メタ)アクリロニトリル等)から誘導される構造単位を、好ましくは50質量%以下の割合で有していてもよい。またアクリル系樹脂は、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等)から誘導される構造単位を、好ましくは10質量%以下の割合で有していてもよい。
上記ポリオキシメチレン樹脂は、オキシメチレン基を主たる構造単位とする高分子化合物である。ポリオキシメチレン樹脂としては、例えば、(1)1種または2種以上のオキシメチレン系単量体(例えばホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン等)からなる重合体;(2)前記オキシメチレン系単量体と他の環状エーテル(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキサシクロブタン、1,3−ジオキソラン等)とからなる共重合体;(3)前記オキシメチレン系単量体と環状エステル(例えばβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン等)との共重合体;などを挙げることができる。さらに末端変性ポリオキシメチレン樹脂も用いることができる。例えば、末端が無水酢酸等でアセチル化された末端変性ポリオキシメチレン樹脂は、未変性のものよりも、耐熱性が優れている。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物としては、エチレン単位が20〜60モル%(より好ましくは25〜60モル%)の範囲内であり、ケン化度が95モル%以上であるものが好ましく用いられる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物のメルトインデックスは、好ましくは0.1〜25g/10分の範囲内、より好ましは0.3〜20g/10分の範囲内である。好ましいメルトインデックスを有するエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物は、成形性が良好である。なおこのメルトインデックスは、ASTM D−1238−65Tに準拠して、190℃、2160g荷重下の条件で測定したものである。
次に、ポリウレタン系ブロック共重合体以外の熱可塑性重合体の1種である上記芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエンおよびオレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体について説明する。前記共重合体において使用される芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。これらのうちで特にスチレンが好ましい。また、前記共重合体において使用されるシアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。そして、前記共重合体において使用される共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン[イソプレン]、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペタンジエン類、置換直鎖共役ヘキサジエン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらのうちで、1,3−ブタジエンおよび/または2−メチル−1,3−ブタジエンが特に好ましい。また、前記共重合体において使用されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン等を挙げることができる。好ましい前記共重合体としては、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(AES樹脂)などを挙げることができる。
上記ポリウレタンとしては、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体以外のポリウレタンを挙げることができる。例えば、上記の他のポリマーポリオール(ap−2)、有機ポリイソシアネート(b)および所望によりさらに鎖伸長剤(c)を反応させて得られるものなどが挙げられる。
上記スチレン系重合体としては、スチレン系単量体に由来する構造単位を、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上含有する重合体が挙げられる。前記スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン等を挙げることができる。スチレン系重合体は、前記スチレン系単量体に由来する1種または2種以上の構造単位を有することができる。
上記スチレン系重合体は、上記スチレン系単量体に由来する構造単位と共に、好ましくは90質量%以下、より好ましくは50質量%以下の割合で、他のビニル系単量体に由来する構造単位を有していてもよい。他のビニル系単量体としては、例えば、シアン化ビニル単量体(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等);(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、オクダデシル等)エステル;(メタ)アクリル酸とジオール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等)とのエステル;炭素数1〜6のカルボン酸(例えば酢酸やプロピオン酸等)のビニルエステル;不飽和カルボン酸(例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等);不飽和ジカルボン酸無水物(例えば無水マレイン酸等);(メタ)アクリルアミド類(例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等);N置換または非置換のマレイミド類(例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等);共役ジエン(例えばブタジエン、イソプレン等);などを挙げることができ、スチレン系重合体は、ビニル系単量体に由来する1種または2種以上の構造単位を有することができる。スチレン系単量体と他のビニル系単量体との共重合体としては、スチレン系単量体の少なくとも1種と、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸およびブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種との共重合体が、力学的特性などの点から好ましい。
上記のスチレン系重合体は、ゴム質重合体を構成成分として含有するスチレン系重合体であってもよい。そのゴム質重合体のガラス転移温度は、好ましくは0℃以下、より好ましくは−20℃以下である。そのようなゴム質重合体としては、ポリブタジエン;スチレン−ブタジエン共重合体;(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルを30質量%以下の割合で含有するスチレン−ブタジエン共重合体;ポリイソプレン;ポリクロロプレン;などを挙げることができる。
スチレン系重合体に含まれ得る他のゴム質重合体としては、アクリルゴムを挙げることができる。当該アクリルゴムは、好ましくは、アクリル酸の炭素数1〜8のアルキル(より好ましくは、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル)エステルから誘導される構造単位より主としてなるポリアクリル酸アルキル系ゴム(より好ましくは、ポリアクリル酸エチル系ゴム、ポリアクリル酸ブチル系ゴム、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル系ゴム)である。ポリアクリル酸アルキル系ゴムは、場合により30質量%以下の量で、他の単量体(例えば酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル等)に由来する構造単位を有していてもよい。またポリアクリル酸アルキル系ゴムは、場合により5質量%以下の量で、架橋性不飽和単量体(例えばアルキレンジオール(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、シアヌル酸トリアリルなど)に由来する構造単位を有していてもよい。
スチレン系重合体に含まれ得る他のゴム質重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体(例えばエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体等);スチレン系重合体ブロック−ブタジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体の水素添加物;スチレン系重合体ブロック−イソプレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体の水素添加物;などを挙げることができる。また、上記のスチレン系重合体に含まれ得るゴム質重合体としては、上記で挙げた各種のゴム質重合体に、スチレン系単量体および/またはその他の各種の不飽和単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体を挙げることができる。
ゴム質重合体を含有するスチレン系重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸ブチル系ゴム、およびエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体の1種または2種以上を含有するスチレン系重合体が好ましい。
上記ポリオレフィンとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、ブチレン等)の単独重合体;2種以上の前記オレフィンの共重合体;1種または2種以上の前記オレフィンと、1種または2種以上の他のビニル系単量体との共重合体;などを挙げることができる。ポリオレフィンの具体例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(好ましくは酢酸ビニル含有量が5〜30質量%)、エチレン−アクリル酸共重合体(好ましくはアクリル酸含有量が5〜30質量%)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体などを挙げることができる。これらの中でも、オレフィンの単独重合体および共重合体が好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物において、ポリウレタン系ブロック共重合体とそれ以外の熱可塑性重合体との比率は、特に制限されないが、ポリウレタン系ブロック共重合体の含有率は、前記両者の合計質量に対して、好ましくは1〜40質量%の範囲内、より好ましくは3〜35質量%の範囲内、さらに好ましは5〜30質量%の範囲内である。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、ポリウレタン系ブロック共重合体および熱可塑性重合体以外の任意の成分を含有してもよい。任意の成分としては、例えば、各種添加剤(例えば離型剤、補強剤、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上剤、防かび剤、抗菌剤、安定剤等);各種繊維(例えばガラス繊維、ポリエステル繊維等);無機物(例えばタルク、シリカ等);各種カップリング剤;などが挙げられる。
ポリウレタン系ブロック共重合体および熱可塑性重合体の合計質量の割合は、本発明の熱可塑性重合体組成物の用途等に応じて適宜設定することができるが、前記割合は、本発明の熱可塑性重合体組成物中、好ましくは50〜100質量%の範囲内、より好ましくは80〜100質量%の範囲内、さらに好ましくは95〜100質量%の範囲内である。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、ポリウレタン系ブロック共重合体およびそれ以外の熱可塑性重合体を溶融混練することにより製造することができる。当該溶融混練は、押出機、ミキシングロール、ニーダー等の公知の装置を使用して行うことができる。より効率よく混練を行うことができることから、押出機を使用して行うことが好ましい。溶融混練の温度は、使用される上記熱可塑性重合体の種類にもよるが、好ましくは、150〜300℃の範囲内、より好ましくは180〜270℃の範囲内である。なお、溶融混練に先立ち、ポリウレタン系ブロック共重合体、それ以外の熱可塑性重合体および必要に応じて配合される任意の成分などを予めドライブレンドしておくことも可能である。また、ポリウレタン系ブロック共重合体は、それ以外の成分との組成物の形態で、上記熱可塑性重合体と溶融混練されてもよい。また上記熱可塑性重合体は、それ以外の成分との組成物の形態で、ポリウレタン系ブロック共重合体と溶融混練されてもよい。
ポリウレタン系ブロック共重合体およびそれ以外の熱可塑性重合体を溶融混練する場合には、当該ポリウレタン系ブロック共重合体[ポリウレタン系ブロック共重合体とそれ以外の成分との組成物の形態を含む]は、上記熱可塑性重合体を改質するためのマスターバッチとみなすことができる。本発明は、ポリウレタン系ブロック共重合体を含むマスターバッチも包含する。当該マスターバッチにおけるポリウレタン系ブロック共重合体の含有率は、好ましくは50〜100質量%の範囲内、より好ましくは80〜100質量%の範囲内、さらに好ましく95〜100質量%の範囲内、特に好ましくは100質量%である。
本発明の熱可塑性重合体組成物において、ポリウレタンブロック(β)が有する前記構造単位(I)の含有率は、熱可塑性重合体組成物の全質量に基づいて、好ましくは0.1〜20質量%の範囲内、より好ましくは0.2〜10質量%の範囲内、さらに好ましくは0.4〜4質量%の範囲内である。構造単位(I)の含有率が前記の好ましい範囲内である場合、熱可塑性重合体組成物は、シリコーンとの接着性がより優れる。
本発明の熱可塑性重合体組成物を製造するに当たって、ポリウレタン系ブロック共重合体と共に、少なくとも1種の金属化合物(M)を含有する上記したポリウレタン系ブロック共重合体組成物を用いると、前記金属化合物(M)を含有する熱可塑性重合体組成物が得られる。本発明の熱可塑性重合体組成物において、前記金属化合物(M)をの含有率は、ポリウレタン系ブロック共重合体の質量に基づいて、0.1〜2,000質量ppm(0.2質量%)の範囲内であることが好ましい。上記金属化合物(M)の含有率が0.1質量ppm未満であると、得られる本発明の熱可塑性重合体組成物の溶融成形性やシリコーンとの接着性などが低下する傾向がある。一方、上記金属化合物(M)の含有率が、2,000質量ppmを超える場合には、ポリウレタン系ブロック共重合体の溶融成形性(特に溶融滞留安定性)が低下する傾向がある。本発明の熱可塑性重合体組成物において、上記金属化合物の含有率は、ポリウレタン系ブロック共重合体の質量に基づいて、より好ましくは0.5〜200質量ppmの範囲内、さらに好ましくは1〜200質量ppmの範囲内、特に好ましくは1〜100質量ppmの範囲内である。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物および熱可塑性重合体組成物(以下、これらを「ポリウレタン系ブロック共重合体等」と略称することがある)は、溶融成形性に優れている。そのため、本発明ポリウレタン系ブロック共重合体等から、任意の成形方法(例えば射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形、注型など)によって、種々の成形体(例えば、シート、フィルム、プレート、管状体、棒状体、中空成形体、各種容器、各種ブロック状成形体、各種型物など)を円滑に製造することができる。特に、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等は、非粘着性で成形装置や金型などに付着しにくく、且つ溶融成形性に優れているので、各種の高品質の成形体を生産性良く製造することができる。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等の1種または2種以上を用いて成形体を製造する際の成形方法、成形条件、成形装置などは特に制限されず、熱可塑性重合体(特にポリウレタン)を用いて成形体を製造するのに従来から採用されている成形方法、成形条件、成形装置などを採用することができる。本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等の1種または2種以上を用いて溶融成形する場合は、これらを、通常180〜230℃、特に190〜220℃の温度で加熱溶融することによって、成形体を円滑に製造することができる。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等は、非粘着性であり、それにも拘わらずシリコーンに代表される各種材料との接着性に優れている。さらに、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等は、力学的特性(特に耐摩耗性、引張破断強度、および引張破断伸度等)、屈曲性、耐油性、耐水性、弾性回復性などの特性に優れ、残留歪みが小さく、且つ適度な柔軟性を有している。しかも本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等は、平滑な表面を有し表面状態も良好である。そのため、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等は、前記した特性を活かして、各種用途に使用することができる。各種用途としては、例えば、コンベアベルト;押しボタンスイッチに用いられる各種キーシートおよびキーボード(例えば携帯電話、家電製品、自動車部品、通信機器に使用されるものなど);ラミネート品;各種容器用のフィルムやシート;ホース;チューブ;自動車部品;機械部品;靴底;時計バンド;パッキング材;制振材;日用雑貨;などが挙げられる
また、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等は、上記したように、各種材料(特にシリコーン)との接着性に優れている。従って、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等は、それから構成される部材と、それ以外の部材とが接触している複合成形体の原料として使用することができる。本発明は、複合成形体の発明も包含する。前記複合成形体は、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材(X)と、前記部材(X)以外の他の部材(Y)とを有し、前記部材(X)と前記部材(Y)とが接触している。ここで前記部材(X)は、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物、および熱可塑性重合体組成物のいずれかから構成することができる。本発明の複合成形体は、部材(X)と部材(Y)との接着性に優れている。
本発明の複合成形体が有する部材(X)は、上記した成形体の製造方法と同様の手法により得ることができる。
本発明の複合成形体において、部材(X)と部材(Y)とは、両部材の少なくとも一部分において接触していればよい。また後述するように、本発明の複合成形体が2つ以上の部材(X)および/または2つ以上の部材(Y)を有する場合には、少なくとも1つの部材(X)と少なくとも1つの部材(Y)とが両部材の少なくとも一部分において接触していればよい。
本発明の複合成形体の構成としては、何ら限定されるものではないが、例えば、1つの部材(X)と1つの部材(Y)とを有する複合成形体;2つの部材(Y)の間に部材(X)が介在する複合成形体;2つの部材(X)の間に部材(Y)が介在する複合成形体;部材(X)と部材(Y)とが交互に接触した複合成形体;などが挙げられる。また、上記の部材(X)および(Y)の一方または両方は層状であってもよい。したがって、本発明の複合成形体は、積層構造体も包含する。積層構造体としては、1つの層状の部材(X)と1つの層状の部材(Y)とを有する2層構造体;2つの層状の部材(Y)の間に層状の部材(X)が中間層として存在する3層構造体;2つの層状の部材(X)の間に層状の部材(Y)が中間層として存在する3層構造体;層状の部材(X)と層状の部材(Y)とが交互に4層以上に積層した多層構造体等;が挙げられる。
上記の部材(Y)を構成する素材としては、後述するシリコーンの他、各種熱可塑性重合体(但し、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体以外)やその組成物(但し、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体組成物や熱可塑性重合体組成物以外)、熱硬化性重合体、紙、布帛、金属、木材、セラミックスなどを挙げることができる。
本発明の複合成形体の製造方法は特に制限されず、例えば、前記した部材(Y)を、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等で溶融被覆する方法;2つ以上の部材(Y)の間に、溶融下の本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等を導入して、これらを接着・一体化させる方法;部材(Y)を金型内に配置(インサート)し、次いで溶融下の本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等を金型内に充填して、これらを接着・一体化させる方法;熱可塑性である部材(Y)と、熱可塑性である本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等とを共押出成形して、これらを接着・一体化させる方法;部材(X)と部材(Y)とをプレスする方法;部材(X)と部材(Y)とを、接着剤を用いて接着・一体化させる方法;などを挙げることができる。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等は、極性の高い重合体および極性の低い重合体の両方に対して良好な溶融接着性を示し、特に極性の高い重合体に対する溶融接着性に優れている。従って、例えば、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等と重合体(特にポリアミド;ポリエステル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;アクリル系樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエンおよびオレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体;ポリウレタン;スチレン系重合体;ポリオレフィンなど)と溶融接着して、各種の複合成形体を製造することができる。
したがって、本発明の複合成形体の好ましい態様として、以下の積層構造体(L1)および積層構造体(L2)を挙げることができる。
・積層構造体(L1):層(X’)/層(Y’1)の形態でこれらを積層した構造を、少なくとも一部に有する積層構造体であり、前記層(X’)は、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体を含み、前記層(Y’1)は、ポリアミド;ポリエステル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;アクリル系樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;並びに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエンおよびオレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体;ポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の極性重合体を含む。
・積層構造体(L2):層(Y’1)/層(X’)/層(Y’2)の形態でこれらを積層した構造を少なくとも一部に有する積層構造体であり、前記層(X’)は、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体を含み、前記層(Y’1)は、ポリアミド;ポリエステル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;アクリル系樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;並びに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエンおよびオレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体;ポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の極性重合体を含み、前記層(Y’2)は、スチレン系重合体およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の非極性重合体を含む。
・積層構造体(L1):層(X’)/層(Y’1)の形態でこれらを積層した構造を、少なくとも一部に有する積層構造体であり、前記層(X’)は、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体を含み、前記層(Y’1)は、ポリアミド;ポリエステル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;アクリル系樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;並びに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエンおよびオレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体;ポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の極性重合体を含む。
・積層構造体(L2):層(Y’1)/層(X’)/層(Y’2)の形態でこれらを積層した構造を少なくとも一部に有する積層構造体であり、前記層(X’)は、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体を含み、前記層(Y’1)は、ポリアミド;ポリエステル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;アクリル系樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;並びに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエンおよびオレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体;ポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の極性重合体を含み、前記層(Y’2)は、スチレン系重合体およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の非極性重合体を含む。
前記層(X’)は、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物、および熱可塑性重合体組成物のいずれかから、構成することができる。
前記層(Y’1)または層(Y’2)が含み得る前記ポリアミド等の極性重合体としては、本発明の熱可塑性重合体組成物が含む熱可塑性重合体として先に例示した重合体と同様のものを使用することができる。
上記層(Y’1)は、上記極性重合体のみから構成されていてもよいが、その性質を損なわない限りは、必要に応じて、1種または2種以上の任意成分を含有していてもよい。前記任意成分としては、例えば、熱安定剤(例えば、金属セッケン、リン化合物、硫黄化合物、フェノール系化合物、L−アスコルビン酸類、エポキシ化合物等)、光安定剤、可塑剤(例えば、脂肪族ジカルボン酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、脂肪酸エステル、ポリエステル系化合物、リン酸エステル等)、無機微粉末、滑剤(有機滑剤等)、分散剤、染顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、紫外線吸収剤などを挙げることができる。
上記層(Y’1)における上記極性重合体の含有率としては、50〜100質量%の範囲内であることが好ましく、80〜100質量%の範囲内であることがより好ましく、95〜100質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
また、上記層(Y’2)は、上記非極性重合体のみから構成されていてもよいが、その性質を損なわない限りは、必要に応じて、1種または2種以上の任意成分を含有していてもよい。前記任意成分としては、例えば、熱安定剤(例えば、金属セッケン、リン化合物、硫黄化合物、フェノール系化合物、L−アスコルビン酸類、エポキシ化合物等)、光安定剤、可塑剤(例えば、脂肪族ジカルボン酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、脂肪酸エステル、ポリエステル系化合物、リン酸エステル等)、無機微粉末、滑剤(有機滑剤等)、分散剤、染顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、紫外線吸収剤などを挙げることができる。
上記層(Y’2)における上記非極性重合体の含有率としては、50〜100質量%の範囲内であることが好ましく、80〜100質量%の範囲内であることがより好ましく、95〜100質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等に含まれる構造単位(I)中の不飽和炭化水素基は、ヒドロシリル化触媒の存在下で、珪素原子に結合した水素原子を有するシリコーン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)と反応し、また分子中にビニル基などの不飽和基を有するシリコーンとも反応する。そのため、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等とシリコーンとは、これらに対して表面活性化処理(例えばプライマー処理など)を施さなくても、強固に接合することができる。かかる点から、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等は、複合成形体[特に、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体等から構成される部材と、シリコーンを含む部材と(以下「シリコーン系部材」と略称することがある)が強固に接合した積層構造体]の製造に極めて有効である。したがって本発明は、上記部材(Y)がシリコーン部材である上記複合成形体も包含する。
上記のシリコーン系部材は、シリコーンのみから構成されていてもよいし、シリコーンを含むシリコーン組成物から構成されていてもよい。シリコーン系部材におけるシリコーンの含有率は、好ましくは50〜100質量%の範囲内、より好ましくは80〜100質量%の範囲内、特に好ましくは95〜100質量%の範囲内である。シリコーン含有率が好ましい範囲内であると、シリコーン系部材と部材(X)との接着強度を向上させることができる。
上記のシリコーン組成物は、例えば、各種添加剤(例えば離型剤、補強剤、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上剤、防かび剤、抗菌剤、安定剤等);各種繊維(例えばガラス繊維、ポリエステル繊維等);無機物(例えばタルク、シリカ等);各種カップリング剤;を含むことができる。
シリコーン系部材を構成するシリコーンとしては特に制限はない。シリコーン系部材は、簡便に、硬化性シリコーン組成物を硬化させて形成することが好ましい。前記硬化性シリコーン組成物としては、例えば、(i)常温で硬化してシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂となる常温硬化型のシリコーン組成物、(ii)加熱により硬化してシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂となる加熱架橋型のシリコーン組成物(例えばメチルビニルシリコーンの組成物等)を用いることができる。作業性の観点からは、前記(i)の常温硬化型のシリコーン組成物が好ましく、特に常温で硬化してシリコーンゴムとなる常温硬化型のシリコーンゴム組成物がより好ましい。常温硬化型のシリコーン組成物は、硬化前は柔らかなペースト状もしくは半流動状であり、取り扱い性に優れる。
前記(i)の常温硬化型のシリコーン組成物には、空気中の水分によって硬化する1液型のシリコーン組成物と、硬化剤によって硬化する2液型のシリコーン組成物がある。一般に、1液型の常温硬化型のシリコーン組成物は、成形加工装置や異種材料に対して接着性を有するため、離型性、取り扱い性に劣る傾向がある。一方、2液型の常温硬化型のシリコーン組成物は、異種材料に対しては優れた接着性を示し、且つ取り扱い性に優れる。従って、2液型の常温硬化型のシリコーン組成物が好ましく、2液型の常温硬化型のシリコーンゴム組成物がより好ましい。
2液型の常温硬化型のシリコーン組成物は、シリコーン中に導入されている官能基によって、縮合反応型と付加反応型の2種類に大別される。縮合反応型は、水酸基末端反応型ジオルガノポリシロキサンとアルコキシ基末端反応性ジオルガノポリシロキサンとを、触媒(例えば錫化合物など)を用いて重合するものである。一方、付加反応型は、アルケニル基(例えばビニル基等)を有するオルガノポリシロキサンと、珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(水素化ポリシロキサン)とを、貴金属化合物(例えば白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム等の化合物)などからなるヒドロシリル化触媒を用いて、常温または加熱下で(一般に150℃以下)で反応させるものである。
硬化性シリコーン組成物としては、前記した付加反応型の硬化性シリコーン組成物が好ましい。付加反応型の硬化性シリコーン組成物は、分子中に構造単位(I)を有するポリウレタン系ブロック共重合体との反応性に優れていて、これを用いることによって、部材(X)とシリコーン系部材との接着強度が向上した複合成形体を円滑に製造することができる。前記付加反応型の硬化性シリコーン組成物としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性シリコーン組成物、特に(α)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒を含有し、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを含有しない硬化性シリコーン組成物;または(β)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性シリコーン組成物;のいずれもが使用可能である。
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、珪素原子に結合した水素原子を1分子中に1個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであればいずれでもよく、特に制限されない。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの中でも、ジオルガノポリシロキサン分子中の珪素原子に結合した1価の有機基(オルガノ基)の1つまたは2つ以上が水素原子で置き換わったジオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましく、ジメチルポリシロキサン分子中の珪素原子に結合したメチル基の1個以上(特に2〜10個)が水素原子に置き換わったジメチルハイドロジェンポリシロキサンがより好ましい。前記ジオルガノハイドロジェンポリシロキサン(特に前記ジメチルハイドロジェンポリシロキサン)は、柔軟性、弾性特性、硬化性等に優れ、且つ入手が容易である。
また、上記のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、1分子中に1個以上のアルケニル基(例えばビニル基、アリル基等)を有するオルガノポリシロキサンであればいずれでもよく、特に制限されない。このようなアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンの中でも、珪素原子に結合したアルケニル基を1つまたは2つ以上有するジオルガノポリシロキサンが好ましく、ジメチルポリシロキサン分子中の珪素原子に結合したメチル基の1個以上(特に2〜10個)がアルケニル基に置き換わったジメチルポリシロキサンがより好ましい。前記ジオルガノポリシロキサン(特に前記ジメチルポリシロキサン)は、柔軟性、弾性特性、硬化性等に優れ、且つ入手が容易である。
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサン、および上記アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンの分子量は特に制限されず、本発明の複合成形体の用途等に応じて、それぞれの用途に適したものを使用することができる。
上記硬化性シリコーン組成物で用いるヒドロシリル化触媒の種類は特に制限されず、従来から用いられているあらゆるヒドロシリル化触媒を使用することができる。例えば、貴金属(例えば白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム等)の錯体;有機過酸化物;アゾ化合物;などを挙げることができる。そのうちでも、反応性が高く、取り扱い性に優れる白金錯体が好ましい。特に、塩化白金酸のアルコール溶液;塩化白金酸溶液を中和した後に脂肪族不飽和炭化水素基含有化合物を配位させたもの;がより好ましい。
上記硬化性シリコーン組成物におけるヒドロシリル化触媒の含有量は、通常、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとの合計質量に対して、好ましくは1質量ppm〜1質量%程度、より好ましくは10〜500質量ppm程度である。
なお、上記の硬化性シリコーン組成物は、シリコーン系の接着剤や印刷インキであってもよい。
シリコーン系部材を有する本発明の複合成形体の好ましい態様としては、1つまたは2つ以上の部材(X)および1つまたは2つ以上のシリコーン系部材のみからなるものや、これらと共に、部材(X)およびシリコーン系部材とは異なる材料から構成される部材以下「他の材料部材」と略称することがある)を有していてもよい。他の材料部材は、一つであってもよく、二つ以上であってもよい。
本発明の複合成形体は、好ましくは、層状の部材(X)(以下「層(X’)」と略称することがある)と、層状のシリコーン系部材(以下「シリコーン層」と略称することがある)とが接着積層した積層構造体である。このような積層構造体の層数は特に制限されず、2層、3層、4層、5層以上のいずれであってもよい。さらに、層(X’)とシリコーン層とを有する積層構造体がさらに層状の他の材料部材(以下「他の材料層」と略称することがある)を有する場合には、層(X’)および/またはシリコーン層と他の材料層とは、1つの面の全面で接着積層していてもよいし、あるいは連続的または断続的に接着・積層(例えば、線接着、点接着、部分的な面接着など)していてもよい。
限定されるものではないが、層(X’)とシリコーン層とを有する積層構造体としては、例えば、層(X’)/シリコーン層からなる2層構造体;シリコーン層/層(X’)/シリコーン層からなる3層構造体;層(X’)/シリコーン層/層(X’)からなる3層構造体;層(X’)/シリコーン層/層(X’)/シリコーン層からなる4層構造体;他の材料層/シリコーン層/層(X’)からなる3層構造体;シリコーン層/層(X’)/他の材料層からなる3層構造体;シリコーン層/層(X’)/シリコーン層/層(X’)/他の材料層からなる5層構造体などを挙げることができる。
1つの積層構造体中に2つ以上の層(X’)が存在する場合は、2つ以上の前記層(X’)は、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体を含む層である限りは、全く同じ層であってもよく、含まれるポリウレタン系ブロック共重合体の種類、含有量、層の厚さ等が異なる層であってもよい。また、1つの複合成形体中に2つ以上のシリコーン層が存在する場合も、前記2つ以上のシリコーン層は、全く同じ層であってもよく、異なる層であってもよい。
上記した層(X’)とシリコーン層とが接着積層した積層構造体では、積層構造体の全体の厚さ、層(X’)の厚さおよびシリコーン層の厚さは特に制限されず、積層構造体の用途等に応じて調整することができる。
層(X’)(1つの層)の厚さは、一般には10μm以上、好ましくは20〜3,000μmの範囲内、より好ましくは50〜2,000μmの範囲内であり、シリコーン層(1つの層)の厚さは、一般には10μm以上、好ましくは20〜3,000μmの範囲内、より好ましくは50〜2,000μmの範囲内である。このような厚さの層(X’)およびシリコーン層を用いれば、これら層間の接着力に優れた積層構造体を容易に製造することができる。
また特に、製造の容易性、耐熱性、後加工の工程通過性等の観点から、層(X’)はフィルムから形成されることが好ましい。当該フィルムの厚さは、好ましくは20〜200μmの範囲内、より好ましくは30〜200μmの範囲内、さらに好ましくは40〜150μmの範囲内である。
シリコーン系部材を有する本発明の複合成形体の製造方法としては、特に制限されないが、部材(X)上で硬化性シリコーン組成物を硬化させることによって、部材(X)上にシリコーン系部材を形成させる工程を含む製造方法が好ましい。前記製造方法によれば、表面活性化処理を施さなくても、部材(X)とシリコーン系部材との接着強度に優れる複合成形体が容易に得られる。ポリウレタン系部材上で硬化性シリコーン組成物を硬化させる方法としては、特に制限されず、例えば、以下の(1)〜(5)の方法を採用することができる:
(1)部材(X)上に硬化性シリコーン組成物を被覆し、次いで硬化性シリコーン組成物を硬化させて、複合成形体を製造する方法。
(2)部材(X)を金型内に配置(インサート)し、次いで溶融下の硬化性シリコーン組成物を金型内に充填して、硬化性シリコーン組成物を硬化させて、部材(X)とシリコーン系部材とを接着・一体化させる方法。
(3)熱可塑性である硬化性シリコーン組成物を部材(X)上に押出し、硬化性シリコーン組成物の硬化および部材(X)とシリコーン系部材との接着・一体化を行う方法。
(4)部材(X)上に、硬化性シリコーン組成物としてシリコーン系の接着剤または印刷インキを塗布し、これらを硬化させる方法。
(5)熱可塑性である硬化性シリコーン組成物と、本発明の熱可塑性重合体組成物とを、共押出成形して、硬化性シリコーン組成物の硬化および部材(X)とシリコーン系部材との接着・一体化を行う方法。
(1)部材(X)上に硬化性シリコーン組成物を被覆し、次いで硬化性シリコーン組成物を硬化させて、複合成形体を製造する方法。
(2)部材(X)を金型内に配置(インサート)し、次いで溶融下の硬化性シリコーン組成物を金型内に充填して、硬化性シリコーン組成物を硬化させて、部材(X)とシリコーン系部材とを接着・一体化させる方法。
(3)熱可塑性である硬化性シリコーン組成物を部材(X)上に押出し、硬化性シリコーン組成物の硬化および部材(X)とシリコーン系部材との接着・一体化を行う方法。
(4)部材(X)上に、硬化性シリコーン組成物としてシリコーン系の接着剤または印刷インキを塗布し、これらを硬化させる方法。
(5)熱可塑性である硬化性シリコーン組成物と、本発明の熱可塑性重合体組成物とを、共押出成形して、硬化性シリコーン組成物の硬化および部材(X)とシリコーン系部材との接着・一体化を行う方法。
本発明の複合成形体は、複合成形体を構成する部材(X)や部材(Y)(シリコーン系部材等)の性質に応じて、種々の用途に使用することができる。何ら限定されるものではないが、例えば、自動車内装部品(例えばインストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバックカバー等);自動車外装部品(例えばモールディング等);掃除機バンパー;冷蔵庫戸当たり;カメラグリップ;電動工具グリップ;家庭用調理器具;リモコンスイッチ;OA機器の各種キートップ;押しボタンスイッチに用いられる各種キーシートおよびキーボード(携帯電話、家電製品、自動車部品、通信機器に使用されるものなど);家電部品(例えばハウジング等);スポーツ用品(例えば水中眼鏡等);各種カバー;各種パッキン付き工業部品(例えば耐摩耗性、密閉性、防音性、防振性等を目的とするもの);カールコード電線被覆;ベルト;ホース;チューブ;靴底;時計バンド;消音ギア;コンベアベルト;ラミネート品;各種容器;各種電気・電子部品;各種機械部品;各種制振材;などを挙げることができる。
以下に、本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例などによって何ら限定されるものではない。
以下の製造例、実施例および比較例において、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物またはポリウレタンの溶融粘度、およびシリコーンとの接着性の測定または評価は、以下の方法で行った。
以下の製造例、実施例および比較例において、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物またはポリウレタンの溶融粘度、およびシリコーンとの接着性の測定または評価は、以下の方法で行った。
(1)ポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物またはポリウレタンの溶融粘度:
ポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物またはポリウレタンを、95℃で1時間減圧乾燥(10torr以下)した後に、高化式フローテスター(島津製作所製)を使用して、荷重490.3N(50kgf)、ノズル寸法=直径1mm×長さ10mm、温度200または220℃の条件下で、それらの溶融粘度を測定した。
ポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物またはポリウレタンを、95℃で1時間減圧乾燥(10torr以下)した後に、高化式フローテスター(島津製作所製)を使用して、荷重490.3N(50kgf)、ノズル寸法=直径1mm×長さ10mm、温度200または220℃の条件下で、それらの溶融粘度を測定した。
(2)シリコーンとの接着性:
以下の実施例または比較例で得られた積層構造体を用いて、180℃剥離試験におけるポリウレタン系ブロック共重合体またはポリウレタンを含む部材とポリウレタン以外の材料(シリコーン、ABS樹脂またはポリプロピレン)を含む部材とを引き剥がすときの抵抗値(接着強度)を、インストロン・ジャパン社製「インストロン5566」を使用して、室温下、引張速度100mm/分の条件で測定した。この接着強度を、接着性の指標とした。
以下の実施例または比較例で得られた積層構造体を用いて、180℃剥離試験におけるポリウレタン系ブロック共重合体またはポリウレタンを含む部材とポリウレタン以外の材料(シリコーン、ABS樹脂またはポリプロピレン)を含む部材とを引き剥がすときの抵抗値(接着強度)を、インストロン・ジャパン社製「インストロン5566」を使用して、室温下、引張速度100mm/分の条件で測定した。この接着強度を、接着性の指標とした。
また、下記の製造例、実施例および比較例で用いた化合物に関する略号と内容を以下に示す。
《構造単位(I)を有するポリオレフィンポリオール[ポリマーポリオール(ap−1)]》
・POG:
両末端に水酸基を有する、ブタジエンが1,2−結合により重合した重合体(数平均分子量1,545、1,2−ビニル結合含有量(1,2−結合単位の割合)92モル%、日本曹達株式会社製「G−1000」)
・POG:
両末端に水酸基を有する、ブタジエンが1,2−結合により重合した重合体(数平均分子量1,545、1,2−ビニル結合含有量(1,2−結合単位の割合)92モル%、日本曹達株式会社製「G−1000」)
《構造単位(I)を持たないポリマーポリオール[他のポリマーポリオール(ap−2)]》
・POH:
1,4−ブタンジオールとアジピン酸を反応させて製造した、1分子当たりの水酸基数が2.00で、数平均分子量が1,000であるポリエステルジオール
・POH:
1,4−ブタンジオールとアジピン酸を反応させて製造した、1分子当たりの水酸基数が2.00で、数平均分子量が1,000であるポリエステルジオール
《有機ポリイソシアネート》
・MDI:
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
《鎖伸長剤》
・BD:
1,4−ブタンジオール
《ウレタン化反応触媒》
・TI:
テトライソプロピルチタネート
・MDI:
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
《鎖伸長剤》
・BD:
1,4−ブタンジオール
《ウレタン化反応触媒》
・TI:
テトライソプロピルチタネート
《官能基含有付加重合系ブロック共重合体》
・f−TPS:
ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有し、分子の片末端に水酸基を有するトリブロック共重合体の水素添加物〔数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30質量%、水素添加されたポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98モル%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(質量比)、1分子当たりの平均水酸基数:0.9個〕
前記f−TPSは、特開平10−139963号公報の参考例1に記載された方法に準じ、スチレン、イソプレンおよびブタジエンを原料として製造した。また、前記f−TPSは、分子の片末端に水酸基を有するブロック共重合体[TPS−OH]と、分子内に水酸基を有しないブロック共重合体[TPS]とを含有する〔TPS−OH/TPS=9/1(モル比)〕。
前記TPS−OHのデータ〔数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30質量%、水素添加されたポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98モル%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(質量比)〕
前記TPSのデータ〔数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30質量%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98モル%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(質量比)〕。
・f−TPS:
ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有し、分子の片末端に水酸基を有するトリブロック共重合体の水素添加物〔数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30質量%、水素添加されたポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98モル%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(質量比)、1分子当たりの平均水酸基数:0.9個〕
前記f−TPSは、特開平10−139963号公報の参考例1に記載された方法に準じ、スチレン、イソプレンおよびブタジエンを原料として製造した。また、前記f−TPSは、分子の片末端に水酸基を有するブロック共重合体[TPS−OH]と、分子内に水酸基を有しないブロック共重合体[TPS]とを含有する〔TPS−OH/TPS=9/1(モル比)〕。
前記TPS−OHのデータ〔数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30質量%、水素添加されたポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98モル%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(質量比)〕
前記TPSのデータ〔数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30質量%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98モル%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(質量比)〕。
《製造例1》 熱可塑性ポリウレタン(C1)の製造
ウレタン化反応触媒(TI)を10質量ppm含有する構造単位(I)を持たないポリマーポリオール(POH)、鎖伸長剤(BD)および有機ポリイソシアネート(MDI)を、POH:BD:MDIのモル比が1.00:2.83:3.76(窒素原子の含有率は4.8質量%)で、且つこれらの合計供給量が200g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは前部、中央部、後部の3つの帯域に分けたもの)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、これらを260℃で連続溶融重合させて、ポリウレタン形成反応を行った。
ウレタン化反応触媒(TI)を10質量ppm含有する構造単位(I)を持たないポリマーポリオール(POH)、鎖伸長剤(BD)および有機ポリイソシアネート(MDI)を、POH:BD:MDIのモル比が1.00:2.83:3.76(窒素原子の含有率は4.8質量%)で、且つこれらの合計供給量が200g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは前部、中央部、後部の3つの帯域に分けたもの)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、これらを260℃で連続溶融重合させて、ポリウレタン形成反応を行った。
得られたポリウレタンの溶融物をストランド状に水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断してペレットを得た。このペレットを80℃で4時間除湿乾燥することにより、熱可塑性ポリウレタン(C1)を得た。得られた熱可塑性ポリウレタン(C1)の溶融粘度を上記した方法で200℃の条件下で測定したところ、2,010Pa・sであった。
《実施例1》 ポリウレタン系ブロック共重合体の製造
ウレタン化反応触媒(TI)を100質量ppm含有する構造単位(I)を有するポリオレフィンポリオール(POG)、ウレタン化反応触媒(TI)を10質量ppm含有する構造単位(I)を持たないポリマーポリオール(POH)、鎖伸長剤(BD)および有機ポリイソシアネート(MDI)を、POG:POH:BD:MDIのモル比が0.50:0.50:3.87:4.87(得られるポリウレタン系ブロック共重合体のポリウレタンブロックにおけるイソシアネート基由来の窒素原子の含有率は4.8質量%)で、且つこれらの合計供給量が100g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは前部、中央部、後部の3つの帯域に分けたもの)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、これらを260℃で連続溶融重合させてポリウレタン形成反応を行った。また官能基含有付加重合系ブロック共重合体(f−TPS)を、その供給量が102g/分となるようにして、上記の二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に連続供給し、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と反応させた。
ウレタン化反応触媒(TI)を100質量ppm含有する構造単位(I)を有するポリオレフィンポリオール(POG)、ウレタン化反応触媒(TI)を10質量ppm含有する構造単位(I)を持たないポリマーポリオール(POH)、鎖伸長剤(BD)および有機ポリイソシアネート(MDI)を、POG:POH:BD:MDIのモル比が0.50:0.50:3.87:4.87(得られるポリウレタン系ブロック共重合体のポリウレタンブロックにおけるイソシアネート基由来の窒素原子の含有率は4.8質量%)で、且つこれらの合計供給量が100g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは前部、中央部、後部の3つの帯域に分けたもの)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、これらを260℃で連続溶融重合させてポリウレタン形成反応を行った。また官能基含有付加重合系ブロック共重合体(f−TPS)を、その供給量が102g/分となるようにして、上記の二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に連続供給し、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と反応させた。
得られた溶融物をストランド状に水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断してペレットを得た。このペレットを80℃で4時間除湿乾燥することにより、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物を得た。得られた重合体組成物の溶融粘度を上記した方法で220℃の条件下で測定したところ、1,540Pa・sであった。
得られた重合体組成物の一部をとり、ジメチルホルムアミドを用いて重合体組成物中のポリウレタンを抽出除去した。次いでシクロヘキサンを用いて未反応のTPS−OHおよびTPSを抽出除去し、残留した固形物を乾燥することによりポリウレタン系ブロック共重合体を得た。
1H−NMRで分析した結果、得られたポリウレタン系ブロック共重合体は、ジブロック共重合体であることが分かった。その一つのブロックは、ポリスチレンブロック−水素添加されたポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するブロック〔付加重合系ブロック(α)〕であり、もう一つのブロックは、POGの単位、POHの単位、MDIの単位およびBDの単位から構成されるポリウレタンブロック〔ポリウレタンブロック(β)〕であった。
またGPC分析の結果、シクロヘキサンによる抽出物は、トリブロック共重合体を含有していることが分かり、これも回収した。その二つのブロックは、ポリスチレンブロック−水素添加されたポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するブロック〔付加重合系ブロック(α)〕であり、もう一つのブロックは、POGの単位、POHの単位、MDIの単位およびBDの単位から構成されるポリウレタンブロック〔ポリウレタンブロック(β)〕であった。
重合体組成物に含まれる前記ジブロック共重合体、ジメチルホルムアミドを用いて抽出されたポリウレタン、並びにシクロヘキサンを用いて抽出されたTPS−OH、TPSおよび前記トリブロック共重合体の各含有率は、前記重合体組成物を100質量%としたとき、前記ジブロック共重合体が14質量%、ポリウレタンが33質量%、TPS−OHが0質量%、TPSが5質量%、前記トリブロック共重合体48質量%であった。また、ポリウレタン系ブロック共重合体(前記ジブロック共重合体および前記トリブロック共重合体)の全質量中、ポリウレタンブロック(β)が有する構造単位(I)の含有率は6.8質量%であった。
上記したジブロック共重合体およびトリブロック共重合体における付加重合系ブロック(α)は、いずれもTPSと同様の構造を有していた。
《実施例2》 積層構造体の製造
シートの製造
実施例1で得られたポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物をT−ダイ型単軸押出成形機(25mmφ、シリンダー温度:200〜210℃、ダイス温度:210℃)を用いて溶融混練した後、混練物を30℃の冷却ロール上に押し出し、冷却して、それを約0.2m/分の巻き取り速度で巻き取ることにより、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物から構成されるシート(厚さ1mm)を製造した。
シートの製造
実施例1で得られたポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物をT−ダイ型単軸押出成形機(25mmφ、シリンダー温度:200〜210℃、ダイス温度:210℃)を用いて溶融混練した後、混練物を30℃の冷却ロール上に押し出し、冷却して、それを約0.2m/分の巻き取り速度で巻き取ることにより、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物から構成されるシート(厚さ1mm)を製造した。
積層構造体の製造(1)
上記シートの製造で得られたシート(巻き取ったシート)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。この試験片に、液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とシリコーンを含む部材とからなる2層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、得られた積層構造体におけるポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とシリコーンとの接着性を評価した。結果を表1に示した。
上記シートの製造で得られたシート(巻き取ったシート)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。この試験片に、液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とシリコーンを含む部材とからなる2層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、得られた積層構造体におけるポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とシリコーンとの接着性を評価した。結果を表1に示した。
積層構造体の製造(2)
上記シートの製造で得られたシート(巻き取ったシート)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。一方、表面を鏡面仕上げした金型を使用して、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂;東レ株式会社製「トヨラック700」)を射出成形(シリンダー温度:200〜210℃、金型温度:30℃)して、短冊状の成形体(幅25mm、長さ100mm、厚み1mm)を得た。この成形体と上記の切り出した試験片とを重ね合わせ、手動プレス装置(株式会社マルシチ製、M4Aタイプ)を用いてこれらを加圧処理し(温度:135℃、圧力:附帯されているゲージ圧計に基づいて1kg/cm2、時間:3分間)、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とABS樹脂から構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、得られた積層構造体におけるポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材と、ABS樹脂から構成される部材との間の接着強度を測定したところ、1,000g/cm以上であった。
上記シートの製造で得られたシート(巻き取ったシート)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。一方、表面を鏡面仕上げした金型を使用して、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂;東レ株式会社製「トヨラック700」)を射出成形(シリンダー温度:200〜210℃、金型温度:30℃)して、短冊状の成形体(幅25mm、長さ100mm、厚み1mm)を得た。この成形体と上記の切り出した試験片とを重ね合わせ、手動プレス装置(株式会社マルシチ製、M4Aタイプ)を用いてこれらを加圧処理し(温度:135℃、圧力:附帯されているゲージ圧計に基づいて1kg/cm2、時間:3分間)、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とABS樹脂から構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、得られた積層構造体におけるポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材と、ABS樹脂から構成される部材との間の接着強度を測定したところ、1,000g/cm以上であった。
積層構造体の製造(3)
上記した積層構造体の製造(2)と同様にしてポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とABS樹脂から構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を製造し、このポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材側に液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、ABS樹脂から構成される部材/ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材/シリコーンを含む部材の3層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、得られた積層構造体におけるポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とシリコーンを含む部材との間の接着強度を測定したところ、1,000g/cm以上であった。
上記した積層構造体の製造(2)と同様にしてポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とABS樹脂から構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を製造し、このポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材側に液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、ABS樹脂から構成される部材/ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材/シリコーンを含む部材の3層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、得られた積層構造体におけるポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とシリコーンを含む部材との間の接着強度を測定したところ、1,000g/cm以上であった。
積層構造体の製造(4)
上記シートの製造で得られたシート(巻き取ったシート)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。一方、表面を鏡面仕上げした金型を使用して、ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製「プライムポリプロJ106G」)を射出成形(シリンダー温度:200〜210℃、金型温度:30℃)し、短冊状の成形体(幅25mm、長さ100mm、厚み1mm)を得た。この成形体と上記の切り出した試験片とを重ね合わせ、手動プレス装置(株式会社マルシチ製、M4Aタイプ)を用いてこれらを加圧処理し(温度:135℃、圧力:附帯されているゲージ圧計に基づいて1kg/cm2、時間:3分間)、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とポリプロピレンから構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、得られた積層構造体におけるポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とポリプロピレンから構成される部材との間の接着強度を測定したところ、700g/cmであった。
上記シートの製造で得られたシート(巻き取ったシート)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。一方、表面を鏡面仕上げした金型を使用して、ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製「プライムポリプロJ106G」)を射出成形(シリンダー温度:200〜210℃、金型温度:30℃)し、短冊状の成形体(幅25mm、長さ100mm、厚み1mm)を得た。この成形体と上記の切り出した試験片とを重ね合わせ、手動プレス装置(株式会社マルシチ製、M4Aタイプ)を用いてこれらを加圧処理し(温度:135℃、圧力:附帯されているゲージ圧計に基づいて1kg/cm2、時間:3分間)、ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とポリプロピレンから構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、得られた積層構造体におけるポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とポリプロピレンから構成される部材との間の接着強度を測定したところ、700g/cmであった。
積層構造体の製造(5)
上記した積層構造体の製造(4)と同様にしてポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とポリプロピレンから構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を製造し、このポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材側に液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、ポリプロピレンから構成される部材/ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材/シリコーンを含む部材の3層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、得られた積層構造体におけるポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とシリコーンを含む部材との間の接着強度を測定したところ、1,000g/cm以上であった。
上記した積層構造体の製造(4)と同様にしてポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とポリプロピレンから構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を製造し、このポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材側に液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、ポリプロピレンから構成される部材/ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材/シリコーンを含む部材の3層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、得られた積層構造体におけるポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材とシリコーンを含む部材との間の接着強度を測定したところ、1,000g/cm以上であった。
《比較例1》 積層構造体の製造
フィルムの製造
製造例1で得られた熱可塑性ポリウレタン(C1)をT−ダイ型単軸押出成形機(25mmφ、シリンダー温度:195〜205℃、ダイス温度:200℃)を用いて溶融混練した後、混練物を30℃の冷却ロール上に押し出し、冷却して、それを約2m/分の巻き取り速度で巻き取ることにより、熱可塑性ポリウレタン(C1)から構成されるフィルム(厚さ100μm)を製造した。
フィルムの製造
製造例1で得られた熱可塑性ポリウレタン(C1)をT−ダイ型単軸押出成形機(25mmφ、シリンダー温度:195〜205℃、ダイス温度:200℃)を用いて溶融混練した後、混練物を30℃の冷却ロール上に押し出し、冷却して、それを約2m/分の巻き取り速度で巻き取ることにより、熱可塑性ポリウレタン(C1)から構成されるフィルム(厚さ100μm)を製造した。
積層構造体の製造
上記フィルムの製造で得られたフィルム(巻き取ったフィルム)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。この試験片に、液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、熱可塑性ポリウレタン(C1)から構成される部材とシリコーンを含む部材とからなる2層構造の積層構造体の製造を試みた。しかし両部材が接着した積層構造体は得られなかった(接着強度は0g/cmと評価した)。
上記フィルムの製造で得られたフィルム(巻き取ったフィルム)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。この試験片に、液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、熱可塑性ポリウレタン(C1)から構成される部材とシリコーンを含む部材とからなる2層構造の積層構造体の製造を試みた。しかし両部材が接着した積層構造体は得られなかった(接着強度は0g/cmと評価した)。
《実施例3および4》 積層構造体の製造
熱可塑性重合体組成物(フィルム)の製造
実施例1で得られたポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物をマスターバッチとして用いて、これと製造例1で得られた熱可塑性ポリウレタン(C1)とを、下記の表1で示す割合でドライブレンドした。得られた混合物をT−ダイ型単軸押出成形機(25mmφ、シリンダー温度:205〜215℃、ダイス温度:205℃)を用いて溶融混練した後、混練物を30℃の冷却ロール上に押し出し、冷却して、それを約2m/分の巻き取り速度で巻き取ることにより熱可塑性重合体組成物から構成されるフィルム(厚さ100μm)を製造した。
熱可塑性重合体組成物(フィルム)の製造
実施例1で得られたポリウレタン系ブロック共重合体を含む重合体組成物をマスターバッチとして用いて、これと製造例1で得られた熱可塑性ポリウレタン(C1)とを、下記の表1で示す割合でドライブレンドした。得られた混合物をT−ダイ型単軸押出成形機(25mmφ、シリンダー温度:205〜215℃、ダイス温度:205℃)を用いて溶融混練した後、混練物を30℃の冷却ロール上に押し出し、冷却して、それを約2m/分の巻き取り速度で巻き取ることにより熱可塑性重合体組成物から構成されるフィルム(厚さ100μm)を製造した。
積層構造体の製造(1)
上記の熱可塑性重合体組成物(フィルム)の製造で得られたフィルム(巻き取ったフィルム)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。この試験片に液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、熱可塑性重合体組成物から構成される部材(ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材)とシリコーンを含む部材とからなる2層構造の積層構造体を得た。上記した方法により、得られた積層構造体における熱可塑性重合体組成物から構成される部材とシリコーンとの接着性を評価した。結果を表1に示した。
上記の熱可塑性重合体組成物(フィルム)の製造で得られたフィルム(巻き取ったフィルム)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。この試験片に液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、熱可塑性重合体組成物から構成される部材(ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材)とシリコーンを含む部材とからなる2層構造の積層構造体を得た。上記した方法により、得られた積層構造体における熱可塑性重合体組成物から構成される部材とシリコーンとの接着性を評価した。結果を表1に示した。
積層構造体の製造(2)
上記の熱可塑性重合体組成物(フィルム)の製造で得られたフィルム(巻き取ったフィルム)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。一方、表面を鏡面仕上げした金型を使用して、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂;東レ株式会社製「トヨラック700」)を射出成形(シリンダー温度:200〜210℃、金型温度:30℃)し、短冊状の成形体(幅25mm、長さ100mm、厚み1mm)を得た。この成形体と、上記の切り出した試験片とを重ね合わせ、手動プレス装置(株式会社マルシチ製、M4Aタイプ)を用いてこれらを加圧処理し(温度:135℃、圧力:附帯されているゲージ圧計に基づいて1kg/cm2、時間:3分間)、熱可塑性重合体組成物から構成される部材(ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材)とABS樹脂から構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、熱可塑性重合体組成物から構成される部材とABS樹脂から構成される部材との間の接着強度を測定したところ、1,000g/cm以上であった。
上記の熱可塑性重合体組成物(フィルム)の製造で得られたフィルム(巻き取ったフィルム)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。一方、表面を鏡面仕上げした金型を使用して、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂;東レ株式会社製「トヨラック700」)を射出成形(シリンダー温度:200〜210℃、金型温度:30℃)し、短冊状の成形体(幅25mm、長さ100mm、厚み1mm)を得た。この成形体と、上記の切り出した試験片とを重ね合わせ、手動プレス装置(株式会社マルシチ製、M4Aタイプ)を用いてこれらを加圧処理し(温度:135℃、圧力:附帯されているゲージ圧計に基づいて1kg/cm2、時間:3分間)、熱可塑性重合体組成物から構成される部材(ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材)とABS樹脂から構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法により、熱可塑性重合体組成物から構成される部材とABS樹脂から構成される部材との間の接着強度を測定したところ、1,000g/cm以上であった。
積層構造体の製造(3)
上記した積層構造体の製造(2)と同様にして熱可塑性重合体組成物から構成される部材(ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材)とABS樹脂から構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を製造し、その熱可塑性重合体組成物から構成される部材側に液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、ABS樹脂から構成される部材/熱可塑性重合体組成物から構成される部材/シリコーンを含む部材の3層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法と同様にして、熱可塑性重合体組成物から構成される部材とシリコーンを含む部材との間の接着強度を測定したところ、1,000g/cm以上であった。
上記した積層構造体の製造(2)と同様にして熱可塑性重合体組成物から構成される部材(ポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材)とABS樹脂から構成される部材とからなる2層構造の積層構造体を製造し、その熱可塑性重合体組成物から構成される部材側に液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2000」)(A液とB液とを混合した液)を約100μmの厚さに塗布し、これらを120℃の熱風乾燥機中に30分間放置して、ABS樹脂から構成される部材/熱可塑性重合体組成物から構成される部材/シリコーンを含む部材の3層構造の積層構造体を得た。上記の評価方法と同様にして、熱可塑性重合体組成物から構成される部材とシリコーンを含む部材との間の接着強度を測定したところ、1,000g/cm以上であった。
上記の結果から、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体を含む熱可塑性重合体組成物は、各種材料(特にシリコーン)との接着性に優れていることが分かる。従って、本発明の熱可塑性重合体組成物を使用すれば、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)をしなくても、前記熱可塑性重合体組成物を含む部材とシリコーンあるいはその他の材料を含む部材とが十分に接着した複合成形体を容易に製造することができる。さらに実施例3および4の結果から、本発明のポリウレタン系ブロック共重合体を含むマスターバッチを熱可塑性ポリウレタン(熱可塑性重合体)に配合して得られた熱可塑性重合体組成物も、各種材料(特にシリコーン)との接着性に優れていることが分かる。従って本発明のマスターバッチを使用すれば、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)をしなくても、前記熱可塑性重合体組成物を含む部材とシリコーンあるいはその他の材料を含む部材とが十分に接着した複合成形体を容易に製造することができる。
本発明のポリウレタン系ブロック共重合体、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物、および熱可塑性重合体組成物は各種材料(特にシリコーン)との接着性に優れていて、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)をしなくても、前記の各種材料と十分に接着させることができる。そのためこれらを、例えば成形体または複合成形体の形態で、各種用途に好適に使用することができる。
本発明は、日本に出願された特願2009−111318号を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含される。
Claims (22)
- 前記ポリウレタンブロック(β)が、分子中に前記構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap)と、有機ポリイソシアネート(b)との反応により形成されたブロックである、請求項1に記載のポリウレタン系ブロック共重合体。
- 前記ポリマーポリオール(ap−1)が、ポリオレフィンポリオールである請求項2に記載のポリウレタン系ブロック共重合体。
- 前記ポリオレフィンポリオールが、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールおよびブタジエン/イソプレンコポリマーポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載のポリウレタン系ブロック共重合体。
- 前記構造単位(I)の含有率が、ポリウレタン系ブロック共重合体の全質量中、0.2〜40質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタン系ブロック共重合体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン系ブロック共重合体を製造するための製造方法であって、
(i)官能基含有付加重合系ブロック共重合体;
(ii)分子中に前記構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap);
(iii)有機ポリイソシアネート(b);および所望により
(iv)鎖伸長剤(c)
を反応させる工程を含み、
前記官能基含有付加重合系ブロック共重合体は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および鎖伸長剤(c)からなる群から選ばれる少なくとも1つの成分と反応し得る官能基を有し、且つ前記重合体ブロック(A)および前記重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれるものである
製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン系ブロック共重合体を製造するための製造方法であって、
(i)分子中に前記構造単位(I)を有するポリマーポリオール(ap−1)を含有するポリマーポリオール(ap);
(ii)有機ポリイソシアネート(b);および所望により
(iii)鎖伸長剤(c)
の反応により形成されたポリウレタンと、
(iv)官能基含有付加重合系ブロック共重合体と
を反応させる工程を含み、
前記官能基含有付加重合系ブロック共重合体は、ポリマーポリオール(ap)、有機ポリイソシアネート(b)および鎖伸長剤(c)からなる群から選ばれる少なくとも1つの成分と反応し得る官能基を有し、且つ前記重合体ブロック(A)および前記重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体;並びにその水素添加物;から選ばれるものである
製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン系ブロック共重合体、並びに有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有し、前記金属化合物の含有率が前記ポリウレタン系ブロック共重合体の質量に基づいて0.1〜2,000質量ppmである、ポリウレタン系ブロック共重合体組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン系ブロック共重合体および前記ポリウレタン系ブロック共重合体以外の熱可塑性重合体を含有する熱可塑性重合体組成物。
- 前記ポリウレタンブロック(β)が有する前記構造単位(I)の含有率が、熱可塑性重合体組成物の全質量中、0.1〜20質量%である、請求項9に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を、前記ポリウレタン系ブロック共重合体の質量に基づいて0.1〜2,000質量ppmの割合でさらに含有する、請求項9または10に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 前記熱可塑性重合体が、ポリアミド;ポリエステル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;アクリル系樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物、共役ジエンおよびオレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体;ポリウレタン;スチレン系重合体;並びにポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 請求項9〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物を製造するための製造方法であって、前記ポリウレタン系ブロック共重合体および前記熱可塑性重合体を溶融混練する工程を含む、製造方法。
- 請求項8に記載のポリウレタン系ブロック共重合体組成物から構成される成形体。
- 請求項9〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物から構成される成形体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン系ブロック共重合体を含む部材(X)と、前記部材(X)以外の他の部材(Y)とを有し、前記部材(X)と前記部材(Y)とが接触している複合成形体。
- 前記部材(X)が、請求項8に記載のポリウレタン系ブロック共重合体組成物から構成される部材である、請求項16に記載の複合成形体。
- 前記部材(X)が、請求項9〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物から構成される部材である、請求項16に記載の複合成形体。
- 前記部材(Y)がシリコーンを含む部材である、請求項18に記載の複合成形体。
- 前記部材(Y)が、硬化性シリコーン組成物を硬化させて形成したものである請求項19に記載の複合成形体。
- 前記硬化性シリコーン組成物が、珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する請求項20に記載の複合成形体。
- 請求項20または21に記載の複合成形体を製造するための製造方法であって、前記部材(X)上で硬化性シリコーン組成物を硬化させる工程を含む、製造方法。
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