JP2003220670A - 積層体 - Google Patents

積層体

Info

Publication number
JP2003220670A
JP2003220670A JP2002019710A JP2002019710A JP2003220670A JP 2003220670 A JP2003220670 A JP 2003220670A JP 2002019710 A JP2002019710 A JP 2002019710A JP 2002019710 A JP2002019710 A JP 2002019710A JP 2003220670 A JP2003220670 A JP 2003220670A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic polyurethane
diol
layer
ethylene
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002019710A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiro Yamana
吉浩 山名
Hiroyuki Ono
弘之 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2002019710A priority Critical patent/JP2003220670A/ja
Publication of JP2003220670A publication Critical patent/JP2003220670A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性ポリウレタンの層とエチレン−酢酸
ビニル共重合体のケン化物の層を有し、これらの層間の
接着強度が優れた積層体を提供する。 【解決手段】 数平均分子量が300〜10000であ
り、かつ結晶化エンタルピー(ΔH)が70J/g以下
である高分子ジオール、有機ジイソシアナートおよび鎖
伸長剤から構成される、JIS−A硬度が60〜97で
ある熱可塑性ポリウレタンの層(A)と、エチレン−酢
酸ビニル共重合体のケン化物の層(B)を有する積層
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層体に関する。
より詳しくは、熱可塑性ポリウレタンの層とエチレン−
酢酸ビニル共重合体のケン化物の層を有する積層体に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリウレタンは、優れた強度、
柔軟性、弾性回復性や耐摩耗性などを有していることか
ら、押出成形によって製造されるフィルム、シート、ベ
ルト、ホースやチューブなどの成形品、射出成形によっ
て得られる種々の成形品等の広範な分野において使用さ
れている。このような状況下、従来より、熱可塑性ポリ
ウレタンからなる成形品にガスバリヤ性を付与すること
が望まれており、熱可塑性ポリウレタンからなる層とガ
スバリア性の高い樹脂として知られているエチレン−酢
酸ビニル共重合体のケン化物の層を積層させた多層構造
体が提案されている。かかる多層構造体に関し、層間接
着強度を改良するために、熱可塑性ポリウレタンに主眼
を置いた改良が種々提案されており、例えば、特開昭5
8−22163号公報には、熱可塑性ポリウレタンを構
成するソフトセグメントの割合を規定する方法が、ま
た、特開平2−258341号公報や特開平3−514
3号公報には熱可塑性ポリウレタンの窒素含有量や、熱
可塑性ポリウレタンの層の厚さとエチレン−酢酸ビニル
共重合体のケン化物の層の厚さの割合などを規定する方
法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の方法に
おいては、熱可塑性ポリウレタンの層とエチレン−酢酸
ビニル共重合体のケン化物の層の間の接着強度について
改良効果は見られるものの、多層構造体が繰り返して屈
曲を受けた場合、ピンホールが発生しガスバリア性が低
下するという実用上の問題が依然として残されており、
熱可塑性ポリウレタンの層とエチレン−酢酸ビニル共重
合体のケン化物の層の間の接着強度をより高めることが
望まされる。しかして、本発明は、熱可塑性ポリウレタ
ンの層とエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物の層
を有し、これらの層間の接着強度が優れた積層体を提供
することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
課題は、数平均分子量が300〜10000であり、か
つ結晶化エンタルピー(ΔH)が70J/g以下である
高分子ジオール、有機ジイソシアナートおよび鎖伸長剤
から構成される、JIS−A硬度が60〜97である熱
可塑性ポリウレタンの層(A)と、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体のケン化物の層(B)を有する積層体を提供
することによって解決される。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明において、熱可塑性ポリウレタンを構成す
る高分子ジオールとしては、数平均分子量が300〜1
0000の範囲内であるものが使用される。高分子ジオ
ールの数平均分子量が300未満の場合、熱可塑性ポリ
ウレタンの弾性回復性などの性能が損なわれる。また、
高分子ジオールの数平均分子量が10000を超える
と、熱可塑性ポリウレタンを長時間連続して溶融成形し
た場合に、時間が経過するに従って成形品に透明、半透
明や白色のフィッシュアイやブツの混入が見られるよう
になり、熱可塑性ポリウレタンを成形して得られる成形
品の外観を損ねるばかりか、成形機の運転が不良になる
ことがあり、実用上に問題がある。高分子ジオールの数
平均分子量は、得られる熱可塑性ポリウレタンの強度や
弾性回復性などの力学的性能と連続成形時の成形性の点
で、300〜8000の範囲内であることが好ましく、
500〜3000の範囲内であることがより好ましく、
500〜1800の範囲内であることが非常に好まし
い。なお、本明細書でいう高分子ジオールの数平均分子
量は、いずれもJIS K−1577に準拠して測定し
た水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
【0006】また、高分子ジオールの結晶化エンタルピ
ー(ΔH)は70J/g以下であることが必要である。
高分子ジオールの結晶化エンタルピーが70J/gを超
える場合、得られる熱可塑性ポリウレタンの層(A)
と、後述するエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物
の層(B)の間の接着強度が十分に高められたものとは
ならない。高分子ジオールの結晶化エンタルピー(Δ
H)は、熱可塑性ポリウレタンの層(A)とエチレン−
酢酸ビニル共重合体のケン化物の層(B)の間の接着強
度の点で50J/g以下であることが好ましい。なお、
本発明でいう結晶化エンタルピー(ΔH)は示差走査熱
量計を用いて測定することができ、具体的には後述する
実施例において記載した方法で求めた値をいう。
【0007】高分子ジオールとしては、数平均分子量お
よび結晶化エンタルピーが上記の範囲内にあれば、ポリ
エステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエ
ステルポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオー
ルなど、種々のものを使用することができる。高分子ジ
オールとしては、これらの中の1種類を使用してもよい
し、2種以上を併用してもよい。
【0008】上記したポリエステルジオールは、ジカル
ボン酸成分、ジオール成分および必要に応じて他の成分
を用い、エステル化反応またはエステル交換反応を利用
した公知の重縮合法により製造することができる。ポリ
ステルジオールとしては、1種類のものを使用してもよ
いし、2種類以上を併用してもよい。
【0009】結晶化エンタルピー(ΔH)が70J/g
以下のポリエステルジオールを得るためには、以下の
、の少なくとも1つの条件を満足することが好まし
い。 ポリエステルジオールの原料であるジカルボン酸成分
の少なくとも一部が分岐を有する鎖状のジカルボン酸で
ある。 ポリエステルジオールの原料であるジオール成分の少
なくとも一部が分岐を有する鎖状のジオールである。
【0010】上記において、分岐を有する鎖状のジカル
ボン酸および/または分岐を有する鎖状のジオールの含
有割合は、ポリエステルジオールの製造に用いるジカル
ボン酸成分およびジオール成分の合計モル数に基づい
て、分岐を有する鎖状のジカルボン酸および分岐を有す
る鎖状のジオールの合計モル数が、10モル%以上であ
ることが好ましく、30モル%以上であることがより好
ましく、50モル%以上であることがさらに好ましい。
【0011】分岐を有する鎖状のジカルボン酸として
は、分岐を有する飽和脂肪族炭化水素鎖または分岐を有
する不飽和脂肪族炭化水素鎖を有し、その炭化水素鎖の
両端にカルボキシル基が結合している炭素数が5〜14
の分岐鎖状脂肪族ジカルボン酸、またはそのエステル形
成性誘導体が好ましく使用される。分岐を有する鎖状の
ジカルボン酸の具体例としては、例えば、2−メチルコ
ハク酸、3−メチルグルタル酸、2−メチルアジピン
酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、
2−メチルオクタン二酸、3,7−ジメチルセバシン
酸、3,8−ジメチルセバシン酸、シトラコン酸、メサ
コン酸またはそれらの酸無水物、ジエステル等のエステ
ル形成性誘導体などが挙げられる。分岐を有する鎖状の
ジカルボン酸は1種類のものを使用してもよいし、2種
以上を併用してもよい。
【0012】ポリエステルジオールの製造に当たって
は、分岐を有する鎖状のジカルボン酸とともに直鎖状の
ジカルボン酸、環状のジカルボン酸、芳香族ジカルボン
酸等の他のジカルボン酸成分を必要に応じて使用しても
よい。他のジカルボン酸成分としては、例えば、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイ
ン酸、フマル酸、等の直鎖状ジカルボン酸;フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、テトラブロモフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シ
クロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;ま
たはそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
他のジカルボン酸成分としては、1種類のものを使用し
てもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、ポリ
エステルジオールの製造に当たっては、本発明の主旨を
損なわない範囲であれば、必要に応じてトリメリット
酸、ピロメリット酸などの3官能以上の多価カルボン酸
またはそのエステル形成誘導体を使用することも可能で
ある。
【0013】分岐を有する鎖状のジオールとしては、分
岐を有する飽和脂肪族炭化水素鎖または分岐を有する不
飽和脂肪族炭化水素鎖の両端に水酸基が結合している炭
素数が4〜10の分岐鎖状脂肪族ジオールが好ましく使
用される。分岐を有する鎖状のジオールの具体例として
は、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール、
2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メ
チル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチ
ル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−
1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナ
ンジオール、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジオー
ルなどが挙げられるが、本発明の積層体において熱可塑
性ポリウレタンの層(A)とエチレン−酢酸ビニル共重
合体のケン化物の層(B)の間の接着強度をより良好な
ものとする点で、特に3−メチル−1,5−ペンタンジ
オールおび/または2−メチル−1,8−オクタンジオ
ールが好ましい。分岐を有する鎖状のジオールは、1種
類のものを使用してもよいし、2種類以上を併用しても
よい。
【0014】ポリエステルジオールの製造に当たって
は、分岐を有する鎖状のジオール成分とともに、直鎖状
のジオールおよび/または環状ジオールからなる他のジ
オール成分を必要に応じて使用することができる。他の
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、
ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコー
ル)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタン
ジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカン
ジオール、2−ブテン−1,4−ジオール等の直鎖状ジ
オール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環
式ジオールなどが挙げられる。他のジオールは、1種類
のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよ
い。さらに、ポリエステルジオールの製造に当たって
は、本発明の主旨を損なわない範囲であれば、必要に応
じてグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロ
ールブタン、トリメチロールペンタン、ヘキサントリオ
ール、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの3官
能以上の多価アルコールを使用することも可能である。
【0015】ポリエステルジオールを製造する際の重縮
合反応は、触媒の存在下に行うことができる。触媒とし
ては、チタン系触媒またはスズ系触媒が好ましく用いら
れる。チタン系触媒の例としては、チタン酸、テトラア
ルコキシチタン化合物、チタンアシレート化合物、チタ
ンキレート化合物などが挙げられる。より具体的には、
テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタ
ネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テト
ラステアリルチタネート等のテトラアルコキシチタン化
合物;ポリヒドロキシチタンステアレート、ポリイソプ
ロポキシチタンステアレート等のチタンアシレート化合
物;チタンアセチルアセテート、トリエタノールアミン
チタネート、チタンアンモニウムラクテート、チタンエ
チルラクテート等のチタンキレート化合物などを挙げる
ことができる。スズ触媒の例としては、ジアルキルスズ
ジアセテート、ジアルキルスズジラウレート、ジアルキ
ルスズビスメルカプトカルボン酸エステル塩などが挙げ
られる。より具体的にはジブチルスズジアセテート、ジ
ブチルスズジラウレート、ジブチルスズビス(3−メル
カプトプロピオン酸エトキシブチルエステル)塩などを
挙げることができる。
【0016】チタン系触媒を使用する場合、その使用量
は、一般に、ポリエステルジオールの製造に用いる反応
成分の全重量に基づいて、約0.1〜50ppmの範囲
内であることが好ましく、約1〜30ppmの範囲内で
あることがより好ましい。また、スズ系触媒を使用する
場合、その使用量は、一般に、ポリエステルポリオール
の製造に用いる反応成分の全重量に基づいて約1〜20
0ppmの範囲内であることが好ましく、約5〜100
ppmの範囲内であることがより好ましい。
【0017】チタン系触媒を使用してポリエステルジオ
ールの製造を行った場合、得られるポリエステルジオー
ル中に含まれるチタン触媒を失活させておくこともでき
る。チタン系触媒を失活させたポリエステルジオールを
用いて熱可塑性ポリウレタンを製造すると、耐加水分解
性などに優れた熱可塑性ポリウレタンを得ることができ
る。
【0018】ポリエステルジオール中に含まれるチタン
系触媒の失活方法としては、例えば、(1)ポリエステ
ルジオールを加熱下に水と接触させる方法;(2)ポリ
エステルジオールをリン酸、リン酸エステル、亜リン
酸、亜リン酸エステル等のリン化合物で処理する方法な
どが挙げられる。そして、水と接触させる上記(1)の
方法による場合は、例えば、ポリエステルジオールに水
を1重量%以上添加して、70〜150℃、好ましくは
90〜130℃の温度で1〜3時間程度加熱することに
よってチタン系触媒の失活を実施することができる。か
かる失活処理は常圧下で行ってもよいし、加圧下で行っ
てもよいが、失活処理後に系を減圧にすると、失活に用
いた水分をポリエステルジオールから円滑に除去するこ
とができる。
【0019】また、熱可塑性ポリウレタンの原料として
使用されるポリカーボネートジオールとしては、ジオー
ル成分とジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネ
ート、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合
物との反応により得られるものを使用することができ
る。ポリカーボネートジオールを構成するジオール成分
としては、ポリエステルジオールの構成成分として先に
例示したジオール成分を用いることができる。ジアルキ
ルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエ
チルカーボネートなどを挙げることができる。また、ア
ルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート
などを挙げることができ、ジアリールカーボネートとし
ては、ジフェニルカーボネートなどを挙げることができ
る。ポリカーボネートジオールとしては、1種類のもの
を使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。結
晶化エンタルピー(ΔH)が70J/g以下のポリカー
ボネートジオールを得るためには、上記したジオール成
分の少なくとも一部が分岐を有する鎖状のジオールであ
ることが好ましい。分岐を有する鎖状のジオールとして
は、ポリエステルジオールを構成する成分として先に例
示したものを使用することができる。また、分岐を有す
る鎖状のジオールの含有量は、ジオール成分の10モル
%以上であることが好ましい。
【0020】また、熱可塑性ポリウレタンの原料として
使用されるポリエステルポリカーボネートジオールとし
ては、例えば、(イ)ジオール成分、ジカルボン酸成分
およびカーボネート化合物を同時に反応させて得られる
もの、(ロ)予め調製したポリエステルジオールおよび
/またはポリカーボネートジオールをカーボネート化合
物と反応させて得られるもの、あるいは(ハ)予め調製
したポリカーボネートジオールをジオール成分およびジ
カルボン酸成分と反応させて得られたものを使用するこ
とができる。ポリエステルカーボネートジオールを構成
するジオール成分、ジカルボン酸成分としては、ポリエ
ステルジオールの構成成分として先に例示したものを使
用することができる。ポリエステルカーボネートジオー
ルとしては、1種類のものを使用してもよいし、2種類
以上を併用してもよい。
【0021】結晶化エンタルピー(ΔH)が70J/g
以下のポリエステルカーボネートジオールを得るために
は、結晶化エンタルピー(ΔH)が70J/g以下のポ
リエステルジオールおよび/または結晶化エンタルピー
(ΔH)が70J/g以下のポリカーボネートジオール
を使用するか〔上記の(ロ)または(ハ)の場合〕、以
下の、の少なくとも1つの条件を満足することが好
ましい〔上記の(イ)の場合〕。 ポリエステルカーボネートジオールの原料であるジカ
ルボン酸成分の少なくとも一部が分岐を有する鎖状のジ
カルボン酸である。 ポリエステルカーボネートジオールの原料であるジオ
ール成分の少なくとも一部が分岐を有する鎖状のジオー
ルである。 上記において、分岐を有する鎖状のジカルボン酸および
/または分岐を有する鎖状のジオールの含有割合は、ポ
リエステルカーボネートジオールの製造に用いるジカル
ボン酸成分およびジオール成分成分の合計モル数に基づ
いて、分岐を有する鎖状のジカルボン酸および分岐を有
する鎖状のジオールの合計モル数が、10モル%以上で
あることが好ましく、30モル%以上であることがより
好ましく、50モル%以上であることがさらに好まし
い。
【0022】熱可塑性ポリウレタンの原料として使用さ
れるポリエーテルジオールの例としては、環状エーテル
(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイ
ド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、メ
チルテトラヒドロフランなど)の開環重合により得られ
るポリエーテルジオール;グリコール(例えば、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサン
ジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2
−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナン
ジオール、1,10−デカンジオールなど)の重縮合に
より得られるポリエーテルジオールが挙げられる。ポリ
エーテルジオールとしては、1種類のものを使用しても
よいし、2種類以上を併用してもよい。結晶化エンタル
ピー(ΔH)が70J/g以下であるポリーテルジオー
ルを得るためには、環状エーテルあるいはグリコールと
して分岐を有する化合物を使用することが好ましい。
【0023】熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられる
有機ジイソシアネート化合物としては特に制限はなく、
通常の熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から使用され
ている有機ジイソシアネートのいずれを使用してもよ
い。有機ジイソシアネート化合物としては、例えば、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレ
ンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソ
シアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネー
ト;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート等の
脂肪族または脂環式ジイソシアネートなどを挙げること
ができる。これらの有機ジイソシアネートは1種類のも
のを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。こ
れらの中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネートを使用することが好ましい。また、有機ジイソシ
アネート化合物として、所望により、トリフェニルメタ
ントリイソシアネートなどのような3官能以上の多価イ
ソシアネート化合物を使用することもできる。
【0024】また、熱可塑性ポリウレタンの製造に用い
られる鎖伸長剤としては特に制限はなく、通常の熱可塑
性ポリウレタンの製造に従来から使用されている鎖伸長
剤のいずれを使用してもよい。鎖伸長剤としては、イソ
シアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個
以上有する分子量300以下の低分子化合物を使用する
ことが好ましい。そのような低分子化合物としては、例
えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビス(β−ヒド
ロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコール
等のジオール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロ
ピレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよ
びその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミ
ン、キシリレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イ
ソフタル酸ジヒドラジド等のジアミン類;アミノエチル
アルコール、アミノプロピルアルコール等のアミノアル
コール類などが挙げられる。これらの鎖伸長剤は1種類
のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよ
い。これらの中でも、炭素数が2〜10の脂肪族ジオー
ルを使用することが好ましく、耐熱性、耐熱水性等に優
れた熱可塑性ポリウレタンを得ることができることか
ら、1,4−ブタンジオールを使用することがより好ま
しい。
【0025】熱可塑性ポリウレタンの製造法は、特に制
限されず、熱可塑性ポリウレタンの製造方法として、従
来から用いられている方法を利用することができる。そ
のような方法としては、例えば溶融重合、溶液重合など
の公知のウレタン化反応技術を利用した、プレポリマー
法、ワンショット法などの方法を挙げることができる。
中でも、実質的に溶媒の存在しない条件下で溶融重合を
行って熱可塑性ポリウレタンを製造する方法が、重合を
簡単にかつ円滑に行うことができる点から好ましい。特
に、溶融重合を多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶
融重合法によって行うと、生産性も高くなり好ましい。
【0026】熱可塑性ポリウレタンの製造に当たって
は、スズ系ウレタン化触媒を用いて熱可塑性ポリウレタ
ン形成反応を行うことができる。特に、熱可塑性ポリウ
レタンの製造原料の合計重量に基づいてスズ系ウレタン
化触媒をスズ原子に換算して0.5〜50ppmの割合
で用いて熱可塑性ポリウレタンを製造すると、分子量の
高い熱可塑性ポリウレタンを製造することができる。そ
のような熱可塑性ポリウレタンは、成形安定性が良好で
ある。また、かかる熱可塑性ポリウレタンを使用する
と、熱可塑性ポリウレタンの層(A)とエチレン−酢酸
ビニル共重合体のケン化物の層(B)の間の接着強度に
優れるとともに、透明性に優れ、かつフィッシュアイの
少ない外観の良好な積層体を得ることができる。
【0027】上記のスズ系ウレタン化触媒としては、例
えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレ
ート、ジブチルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸
エトキシブチルエステル)塩などを挙げることができ
る。
【0028】熱可塑性ポリウレタンは、力学性能および
加工安定性の観点から、N,N−ジメチルホルムアミド
に0.5g/dlの濃度になるような量で熱可塑性ポリ
ウレタンを溶解させて、30℃で測定したときの対数粘
度が0.3dl/g以上であることが好ましく、同対数
粘度が0.5dl/g以上であることがより好ましい。
【0029】熱可塑性ポリウレタンは、例えば、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、トリメチロールプロパント
リグリシジルエーテルなどの紫外線や電子線による架橋
剤を含有していてもよい。また、熱可塑性ポリウレタン
は、例えば、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、
液状ポリイソプレンゴム、EPDM、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体のケン化物等の他の重合体を含有していて
もよい。また、熱可塑性ポリウレタンには、必要に応じ
て、熱可塑性ポリウレタンを製造する際に通常使用され
ている熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、
滑剤、着色剤、加水分解防止剤、結晶核剤、耐候性改良
材、防黴剤などの各種添加剤を適宜配合することができ
る。これらの架橋剤、他の重合体や各種添加剤は、熱可
塑性ポリウレタンの製造工程において、あるいは熱可塑
性ポリウレタンを製造した後に配合することができる。
【0030】本発明の積層体を形成するもう一方の層の
成分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物と
しては、ガスバリアー性および熱可塑性ポリウレタンの
層(A)との層間接着強度の点で、エチレン含有率が1
0〜60モル%であるものを使用することが好ましく、
エチレン含有率が20〜60モル%であるものを使用す
ることがより好ましい。また、エチレン−酢ビニル共重
合体のケン化物としては、ケン化度が90%以上である
ものを使用することが好ましい。エチレン−酢酸ビニル
共重合体のケン化物は、発明の主旨を損なわない範囲で
あれば、エチレンおよび酢酸ビニル以外の成分が共重合
されたものであってもよい。
【0031】エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物
は、ASTM D−1238−65Tに準じて測定した
メルトインデックスが0.1〜25g/10分(190
℃、2160g荷重下で測定)であることが成形性の点
から好ましく、同メルトインデックスが0.3〜20g
/10分であることがより好ましい。エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体のケン化物としては、1種類のものを使用
してもよいし、エチレン含有率、ケン化度、上記したメ
ルトインデックスなどが異なる2種以上のものを併用す
ることも可能である。
【0032】また、該エチレン−酢酸ビニル共重合体の
ケン化物は、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸等のカ
ルボン酸;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン
酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、乳酸ナトリウ
ム、乳酸カリウム等のカルボン酸のアルカリ金属塩;リ
ン酸、亜リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、
リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等のリ
ン酸化合物またはそのアルカリ金属塩;オルトホウ酸、
メタホウ酸、四ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸リチ
ウム、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル、ホウ砂等
のホウ酸類、ホウ酸類のアルカリ金属塩、ホウ酸エステ
ルなどを含有していてもよい。
【0033】上記の化合物をエチレン−酢酸ビニル共重
合体のケン化物に含有させる方法としては、特に制限は
なく、例えば、上記の化合物が溶解している水溶液に粉
末、粒状、球状、円柱形ペレット状等の任意の形状のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を浸漬させ、必
要に応じて乾燥する方法;エチレン−酢酸ビニル共重合
体のケン化物を溶融させて上記の化合物を混合する方
法;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を適当な
溶媒に溶解させて上記の化合物を混合する方法などが例
示される。
【0034】また、エチレン−酢酸ビニル共重合の体ケ
ン化物には、必要に応じて可塑剤、熱安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、難燃剤、滑剤、着色剤、加水分解防
止剤、結晶核剤、耐候性改良材、防黴剤などの各種添加
剤を適宜配合することもできる。
【0035】本発明の積層体は、上記で説明した熱可塑
性ポリウレタンの層(A)とエチレン−酢酸ビニル共重
合体のケン化物の層(B)を有する。本発明の積層体を
構成する層の厚さは特に制限されず、積層体を構成する
熱可塑性ポリウレタンやエチレン−酢酸ビニル共重合体
のケン化物の特性、積層体の全体の層数、積層体の成形
法や積層体の用途などに応じて適宜調節されるが、一般
には、熱可塑性ポリウレタンの層(A)は1層あたり1
0〜5000μmの範囲内の厚さ、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体のケン化物の層(B)は1層あたり1〜10
00μmの範囲内の厚さとしておくことが、積層体の製
造が容易である点、熱可塑性ポリウレタンの層(A)と
エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物の層(B)の
間の層間接着強度確保などの点から好ましい。また、熱
可塑性ポリウレタンの層(A)とエチレン−酢酸ビニル
共重合体のケン化物の層(B)の厚さの比率には特に制
限はないが、一般に、層(A)/層(B)=100/1
〜1/10の範囲である。
【0036】本発明の積層体における、熱可塑性ポリウ
レタンの層(A)とエチレン−酢酸ビニル共重合体のケ
ン化物の層(B)の数には特に制限はない。また、本発
明の積層体は、他の材料からなる層(C)を含有してい
てもよい。他の材料としては、例えば、ポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポ
リエーテル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、エチレン−
酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアルキルアクリレート系
樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の他の樹脂;紙;布帛;
アルミニウム、銅、ニッケル等の金属などが挙げられ
る。熱可塑性ポリウレタンの層(A)とエチレン−酢酸
ビニル共重合体のケン化物の層(B)は直接に積層され
ていることが望ましいが、本発明の趣旨を阻害しないの
であれば、両者の間に層間接着剤の層(AD)の介在を
排除するものではない。熱可塑性ポリウレタンの層
(A)を(A)で、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケ
ン化物の層(B)を(B)で、他の材料からなる層
(C)を(C)で、そして、層間接着剤の層(AD)を
(AD)で略記すると、積層体の構成としては、例え
ば、(A)/(B)、(A)/(B)/(A)、(B)
/(A)/(B)、(A)/(B)/(C)、(C)/
(AD)/(A)/(B)、(C)/(B)/(A)/
(B)/(C)、(C)/(AD)/(A)/(B)/
(A)/(AD)/(C)などが挙げられる。
【0037】上記において、相間接着剤としては、例え
ば、エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物(例
えば、無水マレイン酸)を付加またはグラフト化したポ
リオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アク
リル酸エステル(たとえばメチルエステル、エチルエス
テル)共重合体などが挙げられる。
【0038】本発明の積層体の形状に特に制限はなく、
フィルム、シート、管状物、袋状物、中空状物(ボトル
など)等、各種の形状が可能である。また、本発明の積
層体の製造方法としては、公知の方法を利用することが
でき、例えば、T−ダイラミネート成形法、共押出成形
法、押出被覆法、異型押出法等の押出成形方法;ブロー
成形方法;カレンダー成形方法;プレス成形方法;溶融
注型方法などが挙げられる。さらに、シート状の積層体
を熱成形(真空成形や圧空成形法による)によって二次
加工することもできる。さらに、フィルムまたはシート
状の積層体に、前記した他の材料からなる各種部材(シ
ート、フィルム等)を圧着することも可能である。
【0039】本発明の積層体は、積層体を構成する熱可
塑性ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケ
ン化物、所望により使用される他の材料の物性等に応じ
て、種々の用途に使用することができる。何ら限定され
るものではないが、例えば、酸素を嫌う食品や医療用薬
剤の包装材料;衣料用包装材料;その他の製品用の包装
材料;窓枠材、壁紙、化粧板等の建材;電気絶縁用フィ
ルム;粘着フィルムやテープ用基材;マーキングフィル
ム;農業用フィルム;金属板やその他の材料とのラミネ
ート用フィルム;テーブルクロス、レインコート、傘、
カーテン、マット、カバー類などの衣料、雑貨用途;密
閉性などを目的とした各種パッキン付き工業部品;アシ
ストグリップ、ハンドル、エアバックカバー等の自動車
用内装部品;水中眼鏡等のスポーツ用品、靴、鞄、バッ
クなどの袋状物、箱状物、家具用化粧材、チューブ、ベ
ルト、ホース、タイヤ、各種ロール、スクリーン、キャ
スター、ギヤ、パッキング材、ライニング、電線被覆、
各種継ぎ手、バルブ部品、機械部品などの各種用途の素
材として有用である。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定される
ものではない。なお、以下の実施例および比較例におい
て、高分子ジオールの数平均分子量および結晶化エンタ
ルピー(ΔH)、熱可塑性ポリウレタンの対数粘度およ
びJIS−A硬度、並びに積層体における熱可塑性ポリ
ウレタンの層とエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化
物の層の間の接着強度は以下の方法により測定または評
価した。
【0041】高分子ジオールの数平均分子量 JIS K1577に準拠して測定した水酸基価に基づ
いて数平均分子量を算出した。
【0042】高分子ジオールの結晶化エンタルピー(Δ
H) 示差走査熱量計〔理学電気社製、「TAS10」(商品
名)〕を使用し、窒素ガス雰囲気下で下記に示す行程で
高分子ジオール(サンプル量:約10mg)の熱量測定
を行い、行程3におけるピーク面積により結晶化エンタ
ルピー(ΔH)を算出した。 行程1:室温から100℃まで100℃/分の速度で昇
温し、100℃で3分間保持する。 行程2:100℃から−100℃まで10℃/分の速度
で降温し、−100℃で1分間保持する。 行程3:−100℃から100℃まで10℃/分の速度
で昇温する。
【0043】熱可塑性ポリウレタンの対数粘度 n−ブチルアミンを1重量%含有するN,N−ジメチル
ホルムアミドに、熱可塑性ポリウレタンを、濃度が0.
5g/dlになるように溶解し、得られた熱可塑性ポリ
ウレタン溶液の30℃における流下時間をウベローデ型
粘度計を用いて測定し、下式に従って対数粘度を求め
た。 対数粘度=〔ln(t/t0)〕/c 〔上記式中、tは熱可塑性ポリウレタン溶液の流下時間
(秒)、t0は溶媒の流下時間(秒)、cは熱可塑性ポ
リウレタン溶液の濃度(g/dl)を表す。〕
【0044】熱可塑性ポリウレタンのJIS−A硬度 射出成形機により製造した試験片(サイズ:100mm
×100mm;厚さ:12mm)の硬度(ショアA硬
度)をJIS K−6301に準じて測定した。
【0045】積層体における層間接着強度 11mm×100mmのサイズに裁断した積層フィルム
10枚について、80℃の温水中に3秒間浸漬した後、
熱可塑性ポリウレタンの層とエチレン−酢酸ビニル共重
合体のケン化物の層の間のT型剥離強度(g/11m
m)を23℃、65%RHの条件下で引張試験機〔オー
トグラフ(商品名)、島津製作所(株)社製〕を使用し
て測定した。
【0046】以下の実施例および比較例で使用した化合
物および高分子ジオールに関する略号は、次のとおりで
ある。 〔化合物〕 MPD:3−メチル−1,5−ペンタンジオール AD:アジピン酸 BD:1,4−ブタンジオール MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
【0047】〔高分子ジオール〕 PMPA:ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ルアジペート) PTMG:ポリ(テトラメチレングリコール) PBA:ポリ(1,4−ブタンジオールアジペート) PCL:ポリ(ε−カプロラクトン)
【0048】なお、PMPAとしては、以下の参考例1
で得られたポリエステルポリオールを使用し、PBAと
しては、以下の参考例2で得られたポリエステルポリオ
ールを使用した。また、PTMGとして市販品〔PTM
G−1000(商品名)、三菱化学(株)社製〕を使用
し、PCLとして市販品〔ポリライトOD−X−640
(商品名)、大日本インキ(株)社製〕を使用した。こ
れらの高分子ジオールの数平均分子量および結晶化エン
タルピー(ΔH)を表1に示す。
【0049】参考例1(ポリエステルポリオールの製
造) 87.4kgのMPDおよび85.9kgのADを反応
器に仕込み、常圧下、200℃で生成する水を系外に留
去しながらエステル化反応を行った。反応物の酸価が3
0mgKOH/g以下になった時点で、チタン系重合触
媒としてテトライソプロピルチタネート30mgを加
え、200〜100mmHgに減圧しながら反応を続け
た。酸価が1.0mgKOH/gになった時点で真空ポ
ンプにより徐々に真空度を上げて反応を完結させた。そ
の後、100℃に冷却し、反応混合物に水を3重量%加
えて攪拌しながら2時間加熱することにより、チタン系
重合触媒を失活させ、次いで減圧下で水を留去した。得
られた生成物に、スズ系ウレタン化触媒としてジブチル
スズジアセテートを10ppmとなる割合で加え、チタ
ン系触媒を失活した後にスズ系ウレタン化触媒を添加し
たポリエステルポリオールA(PMPA)を得た。
【0050】参考例2 87.4kgのMPDに代えて61.3kgのBDを使
用したこと以外は参考例1と同様にしてエステル化反応
を行った後、チタン系触媒を失活させ、スズ系ウレタン
化触媒を加えることにより、ポリエステルポリオールB
(PBA)を得た。
【0051】実施例1 同方向に回転する二軸押出機(シリンダーの直径:30
mmφ、L/D=36)に、80℃に加熱したPMPA
およびBDと、50℃に加熱したMDIを、表1に示す
割合で連続的に供給し、押出し機のシリンダー温度を2
60℃に保って連続溶融重合を行い、生成した熱可塑性
ポリウレタンをストランド状に水中に押出し、切断して
熱可塑性ポリウレタンのペレットを製造した。得られた
熱可塑性ポリウレタンのペレットを80℃で24時間真
空乾燥した。一方、エチレン含有量32モル%、ケン化
度97.5%、190℃、2160g荷重下で測定した
メルトフローインデックスが1.3g/分であるエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体のケン化物の1重量部を、酢酸
(含有量:0.1重量%)およびリン酸水素ナトリウム
(含有量:0.01重量%)を含むイオン交換水100
重量部中に3時間浸漬し、脱液後乾燥した。上記で調製
した熱可塑性ポリウレタンおよびエチレン−酢酸ビニル
共重合体のケン化物を使用し、2層共押出シート製造設
備で、200℃にて共押出を行い、熱可塑性ポリウレタ
ンの層(厚さ:100μm)とエチレン−酢酸ビニル共
重合体のケン化物の層(厚さ:50μm)を有する2層
構成の積層フィルム(積層体)を得た。得られた積層フ
ィルムにおける層間接着強度を前記した方法で測定し
た。結果を表1に示す。
【0052】比較例1 PMPAに代えてPBAを使用し、かつPBA、MDI
およびBDの割合を表1に示したとおりとしたこと以外
は、実施例1と同様の操作により熱可塑性ポリウレタン
のペレットを作成した。得られた熱可塑性ポリウレタン
と実施例1と同じエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン
化物を使用し、2層共押出シート製造設備で、200℃
にて共押出を行い、熱可塑性ポリウレタンの層(厚さ:
100μm)とエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化
物の層(厚さ:50μm)を有する2層構成の積層フィ
ルム(積層体)を得た。得られた積層フィルムにおける
層間接着強度を前記した方法で測定した。結果を表2に
示す。
【0053】比較例2 PMPAに代えてPTMGを使用し、かつPTMG、M
DIおよびBDの割合を表1に示したとおりとしたこと
以外は、実施例1と同様の操作により熱可塑性ポリウレ
タンのペレットを作成した。得られた熱可塑性ポリウレ
タンと実施例1と同じエチレン−酢酸ビニル共重合体の
ケン化物を使用し、2層共押出シート製造設備で、20
0℃にて共押出を行い、熱可塑性ポリウレタンの層(厚
さ:100μm)とエチレン−酢酸ビニル共重合体のケ
ン化物の層(厚さ:50μm)を有する2層構成の積層
フィルム(積層体)を得た。得られた積層フィルムにお
ける層間接着強度を前記した方法で測定した。結果を表
1に示す。
【0054】比較例3 PMPAに代えてPCLを使用し、かつPCL、MDI
およびBDの割合を表1に示したとおりとしたこと以外
は、実施例1と同様の操作により熱可塑性ポリウレタン
のペレットを作成した。得られた熱可塑性ポリウレタン
と実施例1と同じエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン
化物を使用し、2層共押出シート製造設備で、200℃
にて共押出を行い、熱可塑性ポリウレタンの層(厚さ:
100μm)とエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化
物の層(厚さ:50μm)を有する2層構成の積層フィ
ルム(積層体)を得た。得られた積層フィルムにおける
層間接着強度を前記した方法で測定した。結果を表1に
示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン
の層とエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物の層を
有し、これらの層間の接着強度が優れた積層体が提供さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK51A AK69B BA02 EH232 JA07A JB16A JK06 JK12A YY00A 4J034 BA03 BA07 BA08 DA01 DB04 DC02 DC03 DC50 DD09 DF01 DF02 DF03 DF20 DF21 DF22 DG00 DG01 DG02 DG03 DG04 DG06 HA01 HA07 HA11 HA13 HB17 HC01 HC03 HC11 HC12 HC13 HC17 HC52 HC53 HC61 HC64 QA05 QA07 RA01 RA03 RA10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量が300〜10000であ
    り、かつ結晶化エンタルピー(ΔH)が70J/g以下
    である高分子ジオール、有機ジイソシアナートおよび鎖
    伸長剤から構成される、JIS−A硬度が60〜97で
    ある熱可塑性ポリウレタンの層(A)と、エチレン−酢
    酸ビニル共重合体のケン化物の層(B)を有する積層
    体。
  2. 【請求項2】 高分子ジオールの数平均分子量が300
    〜1800である請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリウレタンをN,N−ジメチ
    ルホルムアミドに0.5g/dlの濃度となるように溶
    解させ、30℃で測定したときの対数粘度が0.3dl
    /g以上である請求項1または2に記載の積層体。
JP2002019710A 2002-01-29 2002-01-29 積層体 Pending JP2003220670A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002019710A JP2003220670A (ja) 2002-01-29 2002-01-29 積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002019710A JP2003220670A (ja) 2002-01-29 2002-01-29 積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003220670A true JP2003220670A (ja) 2003-08-05

Family

ID=27743452

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002019710A Pending JP2003220670A (ja) 2002-01-29 2002-01-29 積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003220670A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010137264A1 (ja) * 2009-05-29 2010-12-02 株式会社クラレ ポリウレタン積層体の製造方法及び該製造方法により得られたポリウレタン積層体
US9315064B2 (en) 2012-02-20 2016-04-19 Avery Dennison Corporation Multilayer film for multi-purpose inkjet systems
US9752022B2 (en) 2008-07-10 2017-09-05 Avery Dennison Corporation Composition, film and related methods
US10703131B2 (en) 2010-03-04 2020-07-07 Avery Dennison Corporation Non-PVC film and non-PVC film laminate
US11485162B2 (en) 2013-12-30 2022-11-01 Avery Dennison Corporation Polyurethane protective film

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9752022B2 (en) 2008-07-10 2017-09-05 Avery Dennison Corporation Composition, film and related methods
WO2010137264A1 (ja) * 2009-05-29 2010-12-02 株式会社クラレ ポリウレタン積層体の製造方法及び該製造方法により得られたポリウレタン積層体
JPWO2010137264A1 (ja) * 2009-05-29 2012-11-12 株式会社クラレ ポリウレタン積層体の製造方法及び該製造方法により得られたポリウレタン積層体
JP5622724B2 (ja) * 2009-05-29 2014-11-12 株式会社クラレ ポリウレタン積層体の製造方法及び該製造方法により得られたポリウレタン積層体
US10703131B2 (en) 2010-03-04 2020-07-07 Avery Dennison Corporation Non-PVC film and non-PVC film laminate
US9315064B2 (en) 2012-02-20 2016-04-19 Avery Dennison Corporation Multilayer film for multi-purpose inkjet systems
US11485162B2 (en) 2013-12-30 2022-11-01 Avery Dennison Corporation Polyurethane protective film
US11872829B2 (en) 2013-12-30 2024-01-16 Avery Dennison Corporation Polyurethane protective film

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1331247B1 (en) Thermoplastic polyurethane composition and process for producing the same
JP4184178B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP4742123B2 (ja) 樹脂被覆金属板、及び樹脂被覆金属板用の意匠シート
CA2897841A1 (en) Gas transmitting polyurethane adhesive
JP5858372B2 (ja) 樹脂組成物及び多層構造体
JP2003220670A (ja) 積層体
JP3983686B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物およびその製造方法
KR101771171B1 (ko) 폴리에스테르 수지 및 이의 제조 방법
JPH0349314B2 (ja)
KR101842247B1 (ko) 폴리에스테르 수지 및 이의 제조 방법
JP5536497B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物の製造方法および該熱可塑性樹脂組成物からなる部材を含む複合成形体
JP4409235B2 (ja) 難燃性の熱可塑性重合体組成物
JPH11302353A (ja) 熱可塑性ポリウレタン
JP7435923B1 (ja) 蒸着フィルム用コーティング剤、ガスバリア性フィルム、及び、包装材
JP6439962B2 (ja) 透明性に優れるホットメルト接着剤組成物
JP2000063660A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP3558831B2 (ja) 層間接着剤
JP7449502B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物の積層体
JPH0762128B2 (ja) 接着剤
JP2001064506A (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物
JP3887038B2 (ja) 樹脂組成物
JP3590505B2 (ja) 層間接着剤
JP2004035693A (ja) 化粧鋼板用ポリエステル樹脂
JPH093321A (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物
KR20210014373A (ko) 데코필름, 이의 제조방법, 및 이를 포함하는 멤브레인 성형품