JP3558831B2 - 層間接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は共押出成形法により多層フィルムを製造する際に使用する層間接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より包装材料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物などのガスバリアー性ポリマーフィルムやポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有ビニル系ポリマーフィルムと、機械的特性に優れたポリアミド系やポリエステル系ポリマーフィルム、ヒートシール性に優れたポリエチレン系やポリプロピレン系ポリマーフィルムとからなる多層フィルムが使用されている。多層フィルムの製造には、各フィルム層間の接着が必要であり、例えば、ポリウレタン溶液系の接着剤を用いて各フィルムを張り合わせて製造されたり、脂肪酸変性オレフィンやエポキシ変性オレフィンなどの接着性樹脂を用いて共押出成形法により製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
塩素含有ビニル系ポリマーやエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなるフィルムを用いて多層フィルムを製造する場合には、従来より2液型のポリウレタン系接着剤を用いて張り合わせる方法が採用されているが、多層化工程で溶剤の大気放出による環境問題が懸念されており、製造コストの低減化も含め共押出成形法による製造が望まれている。さらに、食品包装用(レトルトパック用)に用いられる多層フィルムの場合には、高温の水蒸気で滅菌処理(レトルト処理)しても該多層フィルムが白濁することなく、内容物が外から確認できることが必要であるため、レトルト処理により吸水して白濁しないような層間接着剤の開発が望まれている。
【0004】
本発明の目的は、製造工程が簡素化でき、かつ環境への影響の少ない共押出成形法により多層フィルムを製造する際に使用可能な、接着性能、機械的強度、耐熱性、耐寒性などに優れ、かつレトルト処理により白濁しない層間接着剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド系ポリマーおよびポリエステル系ポリマーから選ばれる少なくとも1種類のポリマーと、塩素含有ビニル系ポリマーおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物から選ばれる少なくとも1種類のポリマーとの層間接着剤として、ソフトセグメントに特定量のポリエチレングリコールを含有し、かつ特定の溶融粘度を有する熱可塑性ポリウレタンを用いると、レトルト処理をしても白濁しない多層フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、共押出成形法により多層フィルムを製造する際に、フィルム素材であるポリアミド系ポリマーおよびポリエステル系ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種類のポリマー(a)と、式(I)で示される構造単位(I)および/または式(II)で示される構造単位(II)を有する塩素含有ビニル系ポリマー並びにエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなる群から選ばれる少なくとも1種類のポリマー(b)との層間の接着に使用され、かつ数平均分子量200〜3000のポリエチレングリコールを5〜70重量%含有する数平均分子量700〜3500の高分子ポルオール成分、有機ジイソシアネート成分および鎖伸長剤成分からなり、測定温度220℃、剪断速度100s−1における溶融粘度ηaが150〜700Pa・sである熱可塑性ポリウレタンからなることを特徴とする接着剤に関する。
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】
【0009】
〔但し、mおよびnはそれぞれ塩素含有ビニル系ポリマーの構造単位(I)および構造単位(II)のモル%を表し、m+n=100、0≦m≦100および0≦n≦100の関係を有する。〕
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の接着剤を構成する熱可塑性ポリウレタンは、実質的に高分子ポリオール成分、有機ジイソシアネート成分および鎖伸長剤成分から構成される。
【0011】
高分子ポリオール成分としては、数平均分子量200〜3000、より好ましくは400〜2500のポリエチレングリコールを5〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%含有している。上記の範囲の数平均分子量のポリエチレングリコールを上記の割合で含有した高分子ポリオールを用いることにより、共押出成形安定性に優れるとともに、レトルト処理しても白濁しない接着剤が得られる。なお、本明細書でいう高分子ポリオールの数平均分子量は、いずれもJISK 1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
【0012】
ポリエチレングリコール以外の高分子ポリオール成分としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエチレングリコール以外のポリエーテルポリオールなどを挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。これらのなかでも、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール以外のポリエーテルポリオールを用いるのが好ましい。
【0013】
上記ポリエステルポリールは、例えば、常法に従って、ポリカルボン酸成分またはそのエステル、無水物などのエステル形成性誘導体とポリオール成分とを直接エステル化反応もしくはエステル交換反応に付すことにより得られる。
【0014】
ポリエステルポリオールの製造原料として用いられるポリカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸などのようなトリカルボン酸などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、脂肪族ジカルボン酸を使用するのが好ましい。
【0015】
ポリエステルポリオールの製造原料として用いられるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ヘキサントリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタン、ペンタエリスリトールなどのトリオールなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、脂肪族ジオールを使用するのが好ましい。
【0016】
ポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合物との反応により得られる。ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールとしては、ポリエステルポリオールの構成成分として先に例示したポリオールを用いることができる。また、ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げることができる。
【0017】
ポリエステルポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリオール、ポリカルボン酸およびカーボネート化合物を同時に反応させることにより得られる。あるいは、予め上記した方法によりポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールをそれぞれ合成し、次いでそれらをカーボネート化合物と反応させるか、またはポリオールおよびポリカルボン酸と反応させることによって得られる。
【0018】
ポリエチレングリコール以外のポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。これらのなかでも、ポリテトラメチレングリコールを用いるのが好ましい。
【0019】
高分子ポリオール成分の数平均分子量は700〜3500であり、850〜3000であるのが好ましい。数平均分子量がこの範囲の高分子ポリオールを用いることにより、共押出成形性、耐寒性、耐熱性などに優れた接着剤が得られる。
【0020】
有機ジイソシアネート成分としては、通常の熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から用いられている有機ジイソシアネートのいずれもが使用できるが、分子量500以下の芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートのうち1種または2種以上が好ましく使用される。有機ジイソシアネートの例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。さらに必要に応じて、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネートを少量併用しても良い。これらのなかでも4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いるのが好ましい。
【0021】
鎖伸長剤成分としては、通常の熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれもが使用できるが、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物を用いるのが好ましい。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。さらに必要に応じて、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3官能以上の低分子ポリオールを少量併用しても良い。これらのなかでも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを用いるのが好ましく、1,4−ブタンジオールを用いるのがより好ましい。
【0022】
熱可塑性ポリウレタンの製造方法は特に制限されず、上記した高分子ポリオール成分、有機ジイソシアネート成分および鎖伸長剤成分を使用し、公知のウレタン化反応技術を利用して、プレポリマー法およびワンショット法のいずれで製造してもよい。そのうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重合法が好ましい。
【0023】
本発明の接着剤を構成する熱可塑性ポリウレタンは、測定温度220℃、剪断速度100s−1における溶融粘度ηaが150〜700Pa・sであることが必要であり、200〜600Pa・sであることが好ましい。上記の範囲の溶融粘度ηaを有する熱可塑性ポリウレタンを用いることにより、共押出成形性に優れた接着剤が得られる。
【0024】
本発明の接着剤は、必要に応じて、酸化防止剤、耐光安定剤、加水分解防止剤などの安定剤、滑剤、顔料などを含有していてもよい。
【0025】
本発明の接着剤は、ポリアミド系ポリマーおよびポリエステル系ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種類のポリマー(a)と、前記の塩素含有ビニル系ポリマーおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなる群から選ばれる少なくとも1種類のポリマー(b)とを共押出成形法で多層フィルムを製造する際の、層間接着剤として使用される。
【0026】
ポリアミド系ポリマーとしては、ポリマー主鎖に−CO−NH−結合を有し、加熱溶融できるものであれば特に制限されず、例えば、3員環以上のラクタムを開環重合させることによって得られるポリアミド、ω−アミノ酸の重縮合により得られるポリアミド、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合により得られるポリアミドなどを挙げることができる。ポリアミドの原料として用いられるラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどを挙げることができる。ω−アミノ酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などを挙げることができる。ジカルボン酸としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などを挙げることができる。ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミンなどを挙げることができる。ポリアミド系ポリマーは極限粘度(98%濃硫酸を溶媒として測定)が0.5〜2.5dl/gのものが好ましく、0.8〜2.0dl/gのものがより好ましい。
【0027】
ポリエステル系ポリマーとしては、実質的にジオール単位およびジカルボン酸単位から構成されるポリマーを用いることができる。ジオール単位としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオールから誘導される単位を挙げることができる。ジカルボン酸単位としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロへキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;これらのエステル形成性誘導体などから誘導される単位を挙げることができる。これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのように、脂肪族ジオール単位および芳香族ジカルボン酸単位からなるものが好ましい。ポリエステル系ポリマーは極限粘度(テトラフルオロエチレンとフェノールの等重量混合液を溶媒として測定)が0.5〜0.9dl/gのものが好ましく、0.6〜0.7dl/gのものがより好ましい。
【0028】
前記の塩素含有ビニル系ポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどを用いることができる。これらのポリマーは重合度が100〜5000の範囲のものが好ましく、1000〜3000の範囲のものがより好ましい。塩素含有ビニル系ポリマーは、成形加工助剤として通常用いられているアジピン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、クエン酸アセチルトリブチルなどの可塑剤を含んでいてもよい。
【0029】
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物としては、エチレン含有量が20〜60モル%、好ましくは25〜60モル%で、けん化度が95%以上のものを好適に用いることができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物はメルトインデックス(ASTMD−1238−65Tにより190℃、2160g荷重の条件下で測定された値)が0.1〜25g/10分のものが好ましく、0.3〜20g/10分のものがより好ましい。
【0030】
本発明の接着剤は、レトルト処理を施しても吸水して白濁しないため、食品包装用の多層フィルムを製造する際の層間接着剤として特に有用である。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例において、熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度、共押出成形性、接着性および吸水白濁性は、以下の方法により測定または評価した。
【0032】
〔熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度〕
熱可塑性ポリウレタンペレットを、減圧乾燥機にて、90℃で2時間乾燥し、次いで、高下式フローテスター〔(株)島津製作所製〕にて、測定温度220℃、予熱時間360秒、ダイス口径が1mm、ダイス厚みが10mm、荷重0.98〜4.9MPaの条件で数点測定して、グラフ上から剪断速度100s−1における溶融粘度(Pa・s)を求めた。
【0033】
〔共押出成形性〕
多層フィルムの中間層を形成する樹脂として、エチレン含量32モル%、けん化度99.5%、メルトインデックス10g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物または塩素含有ビニル系ポリマー〔信越化学工業(株)製のポリ塩化ビニルTK−500またはsolvay社製のポリ塩化ビニリデンIXANPV892〕を、多層フィルムの最外層を形成する樹脂として、ポリアミド系ポリマー〔宇部興産(株)製UBEナイロン3035JU6〕またはポリエステル系ポリマー〔(株)クラレ製クラペット1030〕を使用し、これらのポリマーと実施例または比較例で得られた接着剤を溶融状態にて共押出機より押し出し、ダイス部から5層構造(最外層/接着剤層/中間層/接着剤層/最外層)の多層フィルムを得た。それぞれのポリマーの押し出し時の最高温度は、塩素含有ビニル系ポリマーが190℃、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物が220℃、ポリアミド系ポリマーが240℃、ポリエステル系ポリマーが260℃、接着剤が230℃となるように設定した。得られた多層フィルムの厚みの均一性を、皺、波打ち、10%以上の厚み斑の何れかが認められた場合に「×」と評価し、平滑な多層フィルムが得られた場合に「○」と評価した。また、連続成形性を、3時間連続して共押出成形した後に得られた多層フィルムについてフィッシュアイなどの直径10μ以上のブツが確認された場合に「×」と評価し、ブツが認められなかった場合に「○」と評価した。
【0034】
〔接着性〕
上記の多層フィルムを10mm×100mmの短冊状に切り出し、端部をジメチルホルムアミド中に3時間浸漬して剥離させ、引張試験機にてT剥離強度を測定した(測定温度:23℃、湿度:65%RH、剥離スピード:200mm/分)。T剥離強度が500g/cm以上であった場合に「○」と評価し、500g/cm未満の場合に「×」と評価し、多層フィルムの厚み斑が大きく測定不能であった場合に「−」と表記した。
【0035】
〔吸水白濁性〕
共押出成形性が良好な多層フィルムについて、50mm×15mmの短冊状に切り出し、これを蒸留水に浸漬した後、ガラス管に封管して90℃で5時間加熱した。加熱後、該多層フィルムを熱水中から取り出し、明らかに白濁していた場合に「×」と評価し、わずかに白濁していた場合に「△」と評価し、全く白濁していなかった場合に「○」と評価した。
【0036】
以下の実施例および比較例で用いた化合物に関する略号と化合物名を下記の表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例1
体積計量ポンプを用いて、PEG1000およびPMPA1950(PEG1000の含有量20重量%)からなる数平均分子量1760の高分子ポリオール、MDI並びにBDを、1/4.5/3.5のモル比で同方向2軸押出機〔プラスチック工業研究所(株)製「BP−30−S」(φ30mm、スクリュー長さ1080mm)〕に連続的に供給し、230〜260℃の温度で連続溶融重合を行った。生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを80℃で5時間乾燥することにより熱可塑性ポリウレタンを得た。得られた熱可塑性ポリウレタンを用いて、溶融粘度、共押出成形性、接着性および吸水白濁性を、上記の方法により測定または評価した。得られた結果を下記の表2に示す。
【0039】
実施例2〜5
下記の表2に示す高分子ポリオール、MDIおよびBDを所定の割合で用いる以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタンを得た。得られた熱可塑性ポリウレタンを用いて、溶融粘度、共押出成形性、接着性および吸水白濁性を、上記の方法により測定または評価した。得られた結果を下記の表2に示す。
【0040】
比較例1〜9
下記の表2に示す高分子ポリオール、MDIおよびBDを所定の割合で用いる以外は、実施例1と同様にして熱可塑性ポリウレタンを得た。得られた熱可塑性ポリウレタンを用いて、溶融粘度、共押出成形性、接着性および吸水白濁性を、上記の方法により測定または評価した。得られた結果を下記の表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、製造工程が簡素化でき、かつ環境への影響の少ない共押出成形法により多層フィルムを製造する際に使用可能な、接着性能、機械的強度、耐熱性、耐寒性などに優れた層間接着剤が提供される。本発明の接着剤は、レトルト処理を施しても吸水して白濁しないため、食品包装用の多層フィルムを製造する際の層間接着剤として特に有用である。
Claims (1)
- 共押出成形法により多層フィルムを製造する際に、フィルム素材であるポリアミド系ポリマーおよびポリエステル系ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種類のポリマー(a)と、式(I)で示される構造単位(I)および/または式(II)で示される構造単位(II)を有する塩素含有ビニル系ポリマー並びにエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなる群から選ばれる少なくとも1種類のポリマー(b)との層間の接着に使用され、かつ数平均分子量200〜3000のポリエチレングリコールを5〜70重量%含有する数平均分子量700〜3500の高分子ポルオール成分、有機ジイソシアネート成分および鎖伸長剤成分からなり、測定温度220℃、剪断速度100s−1における溶融粘度ηaが150〜700Pa・sである熱可塑性ポリウレタンからなることを特徴とする接着剤。
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