JPWO2020045609A1 - 樹脂組成物、パウダー、接着剤、及び、自動車用ダイレクトグレージング接着剤 - Google Patents

樹脂組成物、パウダー、接着剤、及び、自動車用ダイレクトグレージング接着剤 Download PDF

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Abstract

鋼板に対する接着性を維持しつつ、高い靱性、高硬度、及び、広い実使用温度範囲における高い制振性等の、接着性以外の機能を持たせることができ、ヘテロ原子を含むモノマーユニットを有するマトリックス樹脂成分(I)、並びに、芳香族ビニル化合物に由来する重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物に由来する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体、スチレン系樹脂、共役ジエン重合体、及び、オレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である樹脂成分(II)からなる樹脂組成物であって、当該樹脂組成物中における前記樹脂成分(II)の平均分散径が、10μm〜5,000μmである樹脂組成物、及び、これを用いたパウダー、接着剤及び自動車用ダイレクトグレージング接着剤。

Description

本発明は、樹脂組成物、パウダー、接着剤、及び、自動車用ダイレクトグレージング接着剤に関する。
例えば、自動車用途では、車体の剛性を向上させ得ること、外観が優れること、デザイン自由度が高いことなどから、ゴムガスケットを介さずに、窓ガラスを、ボディーに直接接着するダイレクトグレージング(DG)用接着剤の検討が進められている(例えば、特許文献1参照)。このような自動車をはじめとする種々の機械においては振動が発生するため、この振動に由来する問題を解決する手段が必要とされていた。例えば、上述したDG用接着剤の場合、幅広い温度領域でロードノイズを低減させる手段が求められていた。
近年、自動車内の騒音をさらに低減することについての要請が高まっており、接着性を初めとするDG用接着剤の機能を維持しつつ、さらに静音性を高められ得るDG用接着剤が求められている。また、高い制振性が付与された接着剤で、振動を抑えたい部材を接着するのに用いられている既存の接着剤を置き換えることにより、振動・騒音を低減することが期待でき、接着剤の用途拡大にもつながり得る。
一方、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含有する重合体ブロックと、共役ジエン化合物に由来する構造単位を含有する重合体ブロックとを有するブロック共重合体、特にその水素添加物において、共役ジエン化合物に由来する構造単位がビニル結合単位(例えば1,2−結合単位及び3,4−結合単位)を有するものは制振材として用いられることがある(例えば、特許文献2参照)。また、JIS K7244−10に準拠して測定される損失正接(tanδ)が制振性の指標となることが一般に知られている。
特開2014−122257号公報 特開2002−284830号公報
このような制振性を有するブロック共重合体を接着剤に添加することで、接着剤に制振性を付与し、静音性の向上を図ることが考えられる。しかしながら、上記ブロック共重合体は概して極性が低いため、一般的に高い極性を有している接着剤に対しては相溶性が低い。このため、ブロック共重合体が接着剤に混ざらずに凝集してしまい、力学強度や接着力の低下を招く恐れがある。
そこで、スチレン系エラストマーを粉砕したパウダー(微粒子)を接着剤に混合し分散させておくことが考えられる。この場合、ブロック共重合体が粒子であるため、接着剤と十分混合して接着剤中に分散させる必要があるが、この混合によって粒子の粒径が添加前のものから変化し得るため、両者を十分に混合するだけでは良好な特性を得られるとは限らない。例えば、両者を必要以上に長く強い力で混合するとブロック共重合体が小径化し、これらが組成物中でネットワーク化したり、粒子同士が凝集して偏在したりすることにより、接着性や靭性などの接着剤としての性能が損なわれることが想定される。したがって、接着剤の性能を損なうことなく制振性を発現させるためには、組成物中におけるブロック共重合体粒子の分散状態が重要である。
しかしながら、接着剤組成物中における制振性材料の分散状態に着目し、どのような分散状態とするべきかについて、まだ十分に検討されていないのが実情である。
本発明の課題は、鋼板に対する接着性を維持しつつ、高い靱性、高硬度、及び、広い実使用温度範囲における高い制振性等の、接着性以外の機能を持たせることができる樹脂組成物、接着剤、及び、自動車用ダイレクトグレージング接着剤を提供することにある。また、本発明の他の課題は、上記樹脂組成物、接着剤、及び、自動車用ダイレクトグレージング接着剤に適したパウダーを提供することにある。
本発明者らは、ヘテロ原子を含むモノマーユニットを有するマトリックス樹脂成分(I)中に、高い制振性を発現し得る樹脂成分(II)を分散させ、樹脂組成物における樹脂成分(II)を特定の平均分散径とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、下記[1]〜[22]に関する。
[1]ヘテロ原子を含むモノマーユニットを有するマトリックス樹脂成分(I)、並びに、芳香族ビニル化合物に由来する重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物に由来する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体、スチレン系樹脂、共役ジエン重合体、及び、オレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である樹脂成分(II)からなる樹脂組成物であって、当該樹脂組成物中における前記樹脂成分(II)の平均分散径が、10μm〜5,000μmである樹脂組成物。
[2]前記樹脂成分(II)が下記条件(1)を満たす[1]に記載の樹脂組成物。
条件(1):パルスNMR装置を用いて測定した、緩和時間xに対する緩和強度yで表される緩和曲線に対して、下記式[I]のフィッティングを行って決定した係数A〜A及び各成分のスピン-スピン緩和時間τ〜τを用いて下記式[II]で求められる、運動性パラメータMが0.01〜0.25秒である。
y=A1 * exp(-0.5 * (x/τ1)2)+A2 * exp(-0.5 * (x/τ2)2)+A3 * exp(-x/τ3) [I]
M=(τ2 * A2+τ3 * A3)/(A2+A3) [II]
[3]前記樹脂成分(I)が、ポリウレタンである[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記樹脂成分(I)が、湿気硬化型ポリウレタンである[1]〜[3]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[5]前記樹脂成分(I)が、ポリオール化合物及びイソシアネート化合物からなる一液湿気硬化型ポリウレタンである[1]〜[4]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[6]前記樹脂成分(II)が、パウダー状の凍結粉砕物である[1]〜[5]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[7]上記パウダー状の凍結粉砕物である前記樹脂成分(II)の50%体積平均径が、0.01mm〜1.0mmである[6]に記載の樹脂組成物。
[8]前記樹脂成分(II)の運動性パラメータMが、0.01〜0.10秒である[2]に記載の樹脂組成物。
[9]前記樹脂成分(II)が、下記条件(2)を満たす[1]〜[8]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
条件(2):JIS K7244−10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度−70〜+100℃、昇温速度3℃/分の条件で測定した60℃のせん断貯蔵弾性率G’が0.10〜0.58MPaであり、損失正接tanδのピーク温度が−5〜+40℃である。
[10]前記樹脂成分(II)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を70mol%超含有する重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を30mol%以上含有する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体である、[1]〜[9]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[11]前記ブロック共重合体における重合体ブロック(A)の含有量が、6〜22質量%である[1]〜[10]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[12]前記ブロック共重合体における重合体ブロック(B)の水添率が、10〜99mol%である[1]〜[11]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[13]20℃における損失正接tanδの強度が0.15以上である[1]〜[12]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[14]下記条件(1)を満たし、芳香族ビニル化合物に由来する重合体ブロック(A)と、水添率が10〜99mol%であり、共役ジエン化合物に由来する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体、スチレン系樹脂、共役ジエン重合体、及び、オレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である樹脂成分(II)からなるパウダー。
条件(1):パルスNMR装置を用いて測定した、緩和時間xに対する緩和強度yで表される緩和曲線に対して、下記式[I]のフィッティングを行って決定した係数A〜A及び各成分のスピン-スピン緩和時間τ〜τを用いて下記式[II]で求められる、運動性パラメータMが0.01〜0.25秒である。
y=A1 * exp(-0.5 * (x/τ1)2)+A2 * exp(-0.5 * (x/τ2)2)+A3 * exp(-x/τ3) [I]
M=(τ2 * A2+τ3 * A3)/(A2+A3) [II]
[15]前記樹脂成分(II)の凍結粉砕物である[14]に記載のパウダー。
[16]50%体積平均径が、0.01mm〜1.0mmである[14]又は[15]に記載のパウダー。
[17]前記樹脂成分(II)の運動性パラメータMが、0.01〜0.10秒である[14]〜[16]のいずれか一つに記載のパウダー。
[18]前記樹脂成分(II)が、下記条件(2)を満たす[14]〜[17]のいずれか一つに記載のパウダー。
条件(2):JIS K7244−10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度−70〜+100℃、昇温速度3℃/分の条件で測定した60℃のせん断貯蔵弾性率G’が0.10〜0.58MPaであり、損失正接tanδのピーク温度が−5〜+40℃である。
[19]前記樹脂成分(II)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を70mol%超含有する重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を30mol%以上含有する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体である、[14]〜[18]のいずれか一つに記載のパウダー。
[20]前記ブロック共重合体における重合体ブロック(A)の含有量が、6〜22質量%である[14]〜[19]のいずれか一つに記載のパウダー。
[21][1]〜[13]のいずれか一つに記載の樹脂組成物を含有する接着剤。
[22][1]〜[13]のいずれか一つに記載の樹脂組成物を含有する自動車用ダイレクトグレージング接着剤。
本発明により、鋼板に対する接着性を維持しつつ、高い靱性、高硬度、及び、広い実使用温度範囲における高い制振性等の、接着性以外の機能を持たせることができる樹脂組成物、接着剤、及び、自動車用ダイレクトグレージング接着剤を提供することができる。また、本発明により、上記樹脂組成物、接着剤、及び、自動車用ダイレクトグレージング接着剤に適したパウダーを提供することができる。
実施例1〜4及び比較例1の樹脂組成物の損失正接tanδの温度特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書における記載事項を任意に選択した態様又は任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。また、本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。本明細書において、「XX〜YY」の記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
[樹脂組成物の構成]
本発明の実施形態に係る樹脂組成物は、ヘテロ原子を含むモノマーユニットを有するマトリックス樹脂成分(I)、並びに、芳香族ビニル化合物に由来する重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物に由来する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体、スチレン系樹脂、共役ジエン重合体、及び、オレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である樹脂成分(II)からなる樹脂組成物であって、当該樹脂組成物中における前記樹脂成分(II)の平均分散径が10μm〜5,000μmである樹脂組成物である。
まず、樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
<マトリックス樹脂成分(I)>
マトリックス樹脂成分(I)とは、樹脂組成物の分散基質(分散媒)となる樹脂成分であり、後述する樹脂成分(II)がマトリックス樹脂成分(I)に分散される。マトリックス樹脂成分(I)は、ヘテロ原子を含むモノマーユニットを有する樹脂成分であって、プレポリマーやオリゴマーなどの硬化が可能な樹脂成分を含むものであってもよい。また、マトリックス樹脂成分(I)にはその製造工程に用いられる触媒や、必要に応じて用いられる硬化剤(架橋剤、重合開始剤、共反応剤等)などが含まれていてもよい。
マトリックス樹脂成分(I)は、好ましくはウレタン樹脂(ポリウレタン)、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴムであり、中でもポリウレタンが好ましい。ポリウレタンとしては湿気硬化型ポリウレタンが好ましく、一液湿気硬化型ポリウレタンがより好ましい。ここで、ポリウレタンとはウレタン結合を有するポリマーであり、本発明における「ポリウレタン」は、後述する、ウレタン結合を有するオリゴマー、ウレタン結合を有するプレポリマー(以下「ウレタンプレポリマー」と称する場合がある)、該プレポリマーの硬化物、ポリウレタン組成物及びウレタン組成物をも包含する概念である。
ウレタン結合を有するプレポリマーは、ポリオールとポリオールに対し過剰なジイソシアネートとを反応させて得られるポリマーであってもよく、このようなプレポリマーは未反応のイソシアネート基を含むため、例えば水分と反応することで硬化物を得ることが可能である。また、プレポリマーの硬化物とは、プレポリマーを例えば水分や硬化剤などと反応させ、硬化させたものを意味する。なお、本発明のマトリックス樹脂成分(I)がポリウレタンである場合、該樹脂成分(I)には、上述したオリゴマー、プレポリマー、プレポリマーの硬化物に加えて、それらを生成するための成分であるポリオール化合物やイソシアネート化合物、触媒や硬化剤等も含まれ得るが、本明細書においては、これらの少なくとも1つの成分を含む組成物を「ポリウレタン組成物」又は「ウレタン組成物」という場合がある。同様に、湿気硬化型ポリウレタンの場合は「湿気硬化型ポリウレタン組成物」、一液湿気硬化型ポリウレタンの場合は「一液湿気硬化型ポリウレタン組成物」という場合がある。
ポリウレタンは、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するポリオール化合物(U)と、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(V)とを用いて生成されるものであることが好ましい。
(ポリオール化合物(U))
ポリオール化合物(U)は、後述するイソシアネート化合物(V)と反応できる化合物である限り特に制限はない。
ポリオール化合物(U)としては、低分子多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、これらの混合物などが挙げられる。
低分子多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール;ソルビトール等の糖類;などが挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、上記低分子多価アルコール、芳香族ジオール化合物、アミン化合物及びアルカノールアミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物に、アルキレンオキサイド及びスチレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種の化合物を付加する方法、ブチレンオキサイド(テトラメチレンオキサイド)、テトラヒドロフラン等の環状エーテル単量体を開環重合する方法などによって製造されたものである。
上記芳香族ジオール化合物としては、例えば、レゾルシン(m−ジヒドロキシベンゼン)、キシリレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、スチレングリコール、4,4'−ジヒドロキシエチルフェノール;ビスフェノールA構造(4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン)、ビスフェノールF構造(4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン)、臭素化ビスフェノールA構造、水添ビスフェノールA構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAF構造等のビスフェノール骨格を有するジオール化合物などが挙げられる。上記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。上記アルカノールアミン化合物としては、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミンなどが挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリテトラエチレングリコール;ソルビトール系ポリオール;ビスフェノールA(4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン)に、アルキレンオキサイドを付加させて得られるポリエーテルポリオールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
縮合系ポリエステルポリオールは、例えば、上記低分子多価アルコール、上記芳香族ジオール化合物、上記アミン化合部物及び上記アルカノールアミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、多塩基性カルボン酸との縮合反応により製造されたものである。
上記多塩基性カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、ピロメリット酸等の低分子カルボン酸、オリゴマー酸、ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコール(又はプロピレングリコール)との反応生成物などのヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
ラクトン系ポリオールは、例えば、ラクトンを開環重合することにより製造された両末端にヒドロキシ基を有するものである。上記ラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、ε−メチル−ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
その他のポリオールとしては、アクリルポリオールなどが挙げられる。
これらポリオール化合物(U)の中でも、上記ウレタン組成物の反応生成物を含む組成物、例えば一液湿気硬化型ポリウレタン組成物として用いた場合に、得られる硬化物の硬度と破断伸びのバランスおよび優れた物性の硬化物が安価に得られることから、ポリエーテルポリオール及びポリプロピレングリコールが好ましく、ポリプロピレングリコールがより好ましい。
ポリオール化合物(U)の重量平均分子量は、100〜10,000が好ましく、100〜8,000がより好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると、後述するイソシアネート化合物(V)との反応によって生成するプレポリマーの物性(例えば、硬度、破断強度、破断伸び)及び粘度が良好となる。なお、ポリオール化合物(U)の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
これらポリオール化合物(U)は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(イソシアネート化合物(V))
イソシアネート化合物(V)は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する限り特に制限はない。イソシアネート化合物(V)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチルなどの脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;これらイソシアネート化合物のカルボジイミド変性イソシアネート化合物、イソシアヌレート変性イソシアネート化合物;などが挙げられる。
これらイソシアネート化合物(V)の中でも、接着性がより良好になることから、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)がより好ましい。
これらイソシアネート化合物(V)は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオール化合物(U)100質量部に対するイソシアネート化合物(V)の使用量は、好ましくは1〜200質量部の範囲であり、より好ましくは1〜150質量部であり、さらに好ましくは1〜100質量部である。イソシアネート化合物(V)が上記範囲で使用されることにより、ポリオール化合物(U)とイソシアネート化合物(V)が適切な量比で反応し、生成するウレタン組成物の反応生成物から得られる硬化物、および該反応組成物を含む湿気硬化型ポリウレタン組成物から得られる硬化物の物性(例えば、硬度、破断強度、破断伸び)が良好となる。
(ウレタン組成物の製造方法)
ウレタン組成物は、ポリオール化合物(U)にイソシアネート化合物(V)と必要に応じて含まれる他の成分(例えば、後述する粉体成分や可塑剤など)を混合することにより作製できる。混合装置は特に制限はなく、例えば、ロール、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、横型ミキサー(例えば、レーディゲミキサー等)、縦型ミキサー(例えば、プラネタリーミキサー等)、押出し機、万能かくはん機などが挙げられる。
なお、樹脂組成物を調製するに当たっては、接着剤としての性能を低下させることなく、樹脂成分(II)を組成物中に良好に分散させるために、以下説明するように、ポリオール化合物(U)及び樹脂成分(II)と、必要に応じて用いる可塑剤及び充填剤とを混合し、次いでイソシアネート化合物(V)を添加して混合し、さらに触媒を添加して混合することで、ウレタン組成物を調製するとともに樹脂組成物を作製することが好ましい。
上記ウレタン組成物は、後述する湿気硬化型ポリウレタン組成物の原料として好適である。湿気硬化型ポリウレタン組成物の原料として用いるウレタン組成物は、下記混合工程および脱水工程を経て製造されることが望ましい。
(混合工程)
まず、上記ポリオール化合物(U)、後述する樹脂成分(II)、及び、必要に応じて含まれる成分(例えば、粉体成分)を混合して予備混合物を作製する。なお、予備混合物がポリオール化合物(U)、樹脂成分(II)及び粉体成分を含む場合、通常ペースト状混合物になる。
予備混合物を調製するための混合装置は特に制限はなく、上述したウレタン組成物を作製するための混合装置などが使用できる。
また、混合工程における混合温度、混合時間、及び、撹拌部材の回転速度は、ポリオール化合物(U)、樹脂成分(II)、及び、必要に応じて含まれる成分の種類に応じて適宜設定できる。混合温度は20〜110℃程度が好ましい。混合時間は、好ましくは30分〜4時間、より好ましくは30分〜2時間である。撹拌部材の回転速度は20〜300rpm程度が好ましい。
(脱水工程)
上記混合工程で得られた予備混合物は、さらに脱水工程を経ることが望ましい。この脱水工程は、予備混合物中の残存水分の少なくとも一部を除去する工程である。残存水分を除去する方法は特に制限はないが、例えば、30〜60℃程度の温度条件で、減圧下(1.2kPa以下、好ましくは0.6〜1.2kPa)で30分間以上、脱水する方法が挙げられる。また、脱水工程が混合工程をも兼ねる場合がある。この場合、好ましくは撹拌部材の回転速度20〜300rpmにて、上記脱水工程の温度及び減圧条件で混合及び脱水を行ってもよい。この混合工程を兼ねる脱水工程の時間としては、上述の好ましい混合時間に、脱水のための時間が加算されてもよく、例えば混合及び脱水時間合わせて3〜5時間が好ましい。
上記脱水工程では、予備混合物の水分量を、0.050質量%以下にするのが好ましく、0.025質量%以下にするのがより好ましく、0.015質量%以下にするのがさらに好ましい。なお、予備混合物の水分量は、カールフィッシャー法によって測定できる。例えば、JIS K0068(2001年)に基づいて、電量滴定法に従い、カールフィッシャー試薬としてヨウ化物イオン・二酸化硫黄・アルコールを主成分とする電解液(例えば商品名アクアミクロンCXU、エーピーアイコーポレーション社製)を用い、水分測定装置(例えば三菱化学社製)を用いて測定できる。
上述した混合工程および脱水工程を経たポリオール化合物(U)、樹脂成分(II)、及び、必要に応じて含まれる成分を含む予備混合物と、ポリイソシアネート化合物(V)とを混合することにより、湿気硬化型ポリウレタン組成物にも好適なウレタン組成物が作製できる。予備混合物とポリイソシアネート化合物(V)とを混合するための混合装置は特に制限はなく、上述したウレタン組成物を作製するための混合装置などが使用できる。
湿気硬化型ポリウレタン組成物は、上記ウレタン組成物の反応(主としてポリオール化合物(U)とイソシアネート化合物(V)との反応による、ウレタンプレポリマー生成反応)によりプレポリマー(反応生成物)を含む混合物を得て、かかる混合物と、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(V’)とを混合することにより作製することができる。
湿気硬化型ポリウレタン組成物に含まれるイソシアネート化合物(V’)としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であれば特に限定されず、ウレタン組成物に含まれるイソシアネート化合物(V)と同様の化合物が挙げられる。即ち、上記イソシアネート化合物(V’)の具体例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチルなどのポリイソシアネートが挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、湿気硬化型ポリウレタン組成物に含まれるイソシアネート化合物(V’)としては、イソシアネート化合物(V)のほか、例えば、上記ポリイソシアネートとトリオールとの反応生成物;ポリイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体などの変性体;等であってもよく、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。ここで、上記トリオールとしては、1分子中に3個のヒドロキシ基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−ベンゼントリオール、1,2,4−ベンゼントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。このようなイソシアネート化合物(V’)としては、接着性の効果がより優れるという理由から、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応生成物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、及び、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
上述したプレポリマーを含む混合物を作製する際には、下記プレポリマー生成工程を経ることが望ましい。
(プレポリマー生成工程)
プレポリマー生成工程は、ウレタン組成物から、望ましくは、上述した混合工程および脱水工程を経たポリオール化合物(U)、樹脂成分(II)、及び、必要に応じて含まれる成分を含む予備混合物と、ポリイソシアネート化合物(V)とを混合することにより得られた樹脂組成物から、上記プレポリマーを得る工程である。
また、ポリオール化合物(U)、樹脂成分(II)、及び、必要に応じて含まれる成分を含む予備混合物とポリイソシアネート化合物(V)とを混合と同時にあるいは連続してプレポリマー生成を行ってもよい。プレポリマーの生成条件は、ウレタン組成物に含まれるポリオール化合物(U)、イソシアネート化合物(V)の種類などに応じて適宜設定できる。例えば、予備混合物とポリイソシアネート化合物(V)との混合時あるいは混合した後に、かかる混合物を撹拌条件下で、イソシアネート化合物(V)の融点以上の温度とすることが好ましい。また、プレポリマーの生成は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下または減圧下行われることが好ましい。
上記プレポリマー生成工程において、イソシアネート化合物(V)と、上記予備混合物とを混合した後に、プレポリマーの生成反応を促進する触媒を混合するのが好ましい。触媒の種類は特に限定されないが、金属触媒やアミン触媒等が好ましい。またこれら触媒を併用して用いてもよい。これにより、生成するプレポリマーの粘度を良好に維持できる。例えば、予備混合物に粉体成分が含まれる場合には、上記触媒が添加されることにより、プレポリマーの急激な生成反応が起きなくなり、これにより粘度を良好に維持できると考えられる。
金属触媒としては、有機金属系触媒などが例示される。有機金属系触媒としては、例えば、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ラウレート(DOTL)、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ビスマス系触媒(例えば、日東化成社製の無機ビスマス(ネオスタンU−600、U−660))等が挙げられる。
アミン触媒としては、トリエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ジ(N,N−ジメチルアミノエチル)アミン等が挙げられる。
上記触媒を用いる場合、その配合量は、ウレタン組成物に含まれるポリオール化合物(U)およびポリイソシアネート化合物(V)との合計100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.001〜5質量部がより好ましい。
(湿気硬化型ポリウレタン組成物生成工程)
湿気硬化型ポリウレタン組成物の生成工程は、上述したプレポリマーを含む混合物と1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(V’)とを混合し、湿気硬化型ポリウレタン組成物、典型的には一液湿気硬化型ポリウレタン組成物を得る工程である。得られる湿気硬化型ポリウレタン組成物は、少なくとも、上記粉体、上記プレポリマー、及び、イソシアネート化合物(V’)を含む。
ここで、プレポリマーを含む混合物とイソシアネート化合物(V’)とを混合する方法は特に制限はなく、例えば、ウレタン組成物の混合工程で用いた混合装置と同様な装置で混合する方法が好適である。また、混合時の温度は、特に限定されないが、湿気硬化型ポリウレタン組成物の一成分として添加されるイソシアネート化合物(V’)の融点以上の温度で混合されるのが好ましい。混合時の雰囲気は特に制限はないが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下または減圧下で混合されるのが好ましい。
また、上記湿気硬化型ポリウレタン組成物は、得られる湿気硬化型ポリウレタン組成物(典型的には一液湿気硬化型ポリウレタン組成物)の湿気硬化を誘導するために、硬化触媒が含まれていることが好ましい。これにより、得られる湿気硬化型ポリウレタン組成物の接着性がより優れる。
上記硬化触媒としては、湿気硬化を誘導するものであれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。硬化触媒としては、例えば、上記プレポリマー生成工程で用いられ得る触媒として例示した有機金属系触媒が挙げられる。
上記硬化触媒を用いる場合、その配合量は、ウレタン組成物に含まれるポリオール化合物(U)とイソシアネート化合物(V)および湿気硬化型ポリウレタン組成物に新たに添加されるイソシアネート化合物(V’)との合計100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.001〜5質量部がより好ましい。
<樹脂成分(II)>
樹脂成分(II)は、芳香族ビニル化合物に由来する重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物に由来する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体(IIa)、オレフィン系樹脂(IIb)、スチレン系樹脂(IIc)、共役ジエン重合体(IId)から選択される少なくとも1種である。
(ブロック共重合体(IIa))
樹脂成分(II)として用いられ得るブロック共重合体(IIa)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を含む重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体であり、好ましくは、ブロック共重合体の水素添加物である。本明細書において、ブロック共重合体の水素添加物を水添ブロック共重合体とも称することがある。
好ましくは、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を70mol%超含有する重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を30mol%以上含有する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体である。
ブロック共重合体(IIa)における重合体ブロック(A)の含有量(複数の重合体ブロック(A)を有する場合はそれらの合計含有量)は、3質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましく、22質量%以下がよりさらに好ましく、18質量%以下が特に好ましく、16質量%以下が最も好ましい。例えば、好ましくは3〜80質量%、より好ましくは6〜22質量%、さらに好ましくは10〜16質量%である。重合体ブロック(A)の含有量を3質量%以上とすることで、力学物性が高くなり、80質量%以下とすることで、成形性が高くなる。
なお、ブロック共重合体における重合体ブロック(A)の含有量は、H−NMR測定により求めた値であり、より詳細には実施例に記載の方法に従って測定した値である。
(重合体ブロック(A))
重合体ブロック(A)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位(以下、「芳香族ビニル化合物単位」と略称することがある。)を例えば70mol%超含有し、機械物性の観点から、好ましくは80mol%以上、より好ましくは85mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上、特に好ましくは95mol%以上であり、実質的に100mol%であってもよい。
前記芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、o−ブロモメチルスチレン、m−ブロモメチルスチレン、p−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらの芳香族ビニル化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。中でも、製造コストと物性バランスの観点から、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、及びこれらの混合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
但し、本発明の目的及び効果の妨げにならない限り、重合体ブロック(A)は芳香族ビニル化合物以外の他の不飽和単量体に由来する構造単位(以下、「他の不飽和単量体単位」と略称することがある。)を30mol%未満の割合で含有していてもよい。該他の不飽和単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、イソブチレン、メタクリル酸メチル、メチルビニルエーテル、N−ビニルカルバゾール、β−ピネン、8,9−p−メンテン、ジペンテン、メチレンノルボルネン、2−メチレンテトラヒドロフランなどからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。重合体ブロック(A)が該他の不飽和単量体単位を含有する場合の結合形態は特に制限はなく、ランダム、テーパー状のいずれでもよい。
重合体ブロック(A)における前記他の不飽和単量体に由来する構造単位の含有量は、好ましくは10mol%以下、より好ましくは5mol%以下、さらに好ましくは0mol%である。
ブロック共重合体(IIa)は、前記重合体ブロック(A)を少なくとも1つ有していればよい。ブロック共重合体が重合体ブロック(A)を2つ以上有する場合には、それら重合体ブロック(A)は、同一であっても異なっていてもよい。なお、本明細書において「重合体ブロックが異なる」とは、重合体ブロックを構成するモノマー単位、重量平均分子量、立体規則性、及び複数のモノマー単位を有する場合には各モノマー単位の比率及び共重合の形態(ランダム、グラジェント、ブロック)のうち少なくとも1つが異なることを意味する。
本実施形態においては、ブロック共重合体(IIa)は、前記重合体ブロック(A)を2つ有していることが好ましい。
ブロック共重合体(IIa)が有する前記重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に制限はないが、ブロック共重合体が有する前記重合体ブロック(A)のうち、少なくとも1つの重合体ブロック(A)の重量平均分子量が、好ましくは3,000〜60,000、より好ましくは4,000〜50,000である。ブロック共重合体が、前記範囲内の重量平均分子量である重合体ブロック(A)を少なくとも1つ有することにより、機械強度がより向上し、フィルム成形性にも優れる。
なお、本明細書及び特許請求の範囲に記載の「重量平均分子量」は全て、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定によって求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量であり、詳細な測定方法は実施例に記載の方法に従うことができる。ブロック共重合体が有する各重合体ブロック(A)の重量平均分子量は、製造工程において各重合体ブロックの重合が終了する都度、サンプリングした液を測定することで求めることができる。また、例えばA1−B−A2構造を有するトリブロック共重合体の場合は、最初の重合体ブロックA1及び重合体ブロックBの重量平均分子量を上記方法により求め、ブロック共重合体の重量平均分子量からそれらを引き算することにより、2番目の重合体ブロックA2の重量平均分子量を求めることができる。また、他の方法として、A1−B−A2構造を有するトリブロック共重合体の場合は、重合体ブロック(A)の合計の重量平均分子量は、ブロック共重合体の重量平均分子量とH−NMR測定で確認する重合体ブロック(A)の合計含有量から算出し、GPC測定によって、失活した最初の重合体ブロックA1の重量平均分子量を算出し、これを引き算することによって2番目の重合体ブロックA2の重量平均分子量を求めることもできる。
(重合体ブロック(B))
重合体ブロック(B)は、共役ジエン化合物に由来する構造単位を、例えば30mol%以上、好ましくは50mol%以上、より好ましくは65mol%以上、さらに好ましくは80mol%以上含有する重合体ブロックである。重合体ブロック(B)の全てが共役ジエン化合物に由来する構造単位であってもよい。つまり、重合体ブロック(B)に含まれる共役ジエン化合物に由来する構造単位が100mol%とすることもできる。
共役ジエン化合物がイソプレンを含有していることが好ましく、特に、イソプレンを20質量%以上含有することがより好ましく、40質量%以上含有することがさらに好ましく、さらには、70質量%以上含有していてもよいし、90質量%以上含有していてもよい。
重合体ブロック(B)は、イソプレン単独に由来する構造単位を30mol%以上含有していてもよいし、共役ジエン化合物2種以上に由来する構造単位を30mol%以上含有していてもよい。
前記共役ジエン化合物としては、イソプレンの他に、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、ミルセンなどを挙げることができる。前記共役ジエン化合物としては、イソプレン、イソプレンとブタジエンの混合物が好ましく、イソプレンがより好ましい。
前記共役ジエン化合物がブタジエンとイソプレンの混合物である場合、それらの混合比率[イソプレン/ブタジエン](質量比)に特に制限はないが、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは40/60〜70/30、特に好ましくは45/55〜65/35である。なお、該混合比率[イソプレン/ブタジエン]をモル比で示すと、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは40/60〜70/30、特に好ましくは45/55〜55/45である。
また、前記共役ジエン化合物がブタジエンとイソプレンの混合物である場合、13C−NMRで測定される、ケミカルシフト値5〜50ppmにあるピークの面積に対するケミカルシフト値24〜25ppmにあるピークの面積の比率が、制振性の観点から、4%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.5%以下が最も好ましい。13C−NMRで測定される、ケミカルシフト値5〜50ppmにあるピークが重合体ブロック(B)中の全構造単位に対応し、ケミカルシフト値24〜25ppmにあるピークがイソプレンに由来する構造単位が1,4−結合で連続する部位に対応する。
換言すると、重合体ブロック(B)は、イソプレンに由来する構造単位(以下、「イソプレン単位」と略称することがある。)を30mol%以上含有していることも好ましく、イソプレン及びブタジエンの混合物に由来する構造単位(以下、「イソプレン及びブタジエンの混合物単位」と略称することがある。)を30mol%以上含有していることも好ましい。
なお、重合体ブロック(B)が2種以上の構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、テーパー、完全交互、一部ブロック状、ブロック、又はそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
(重合体ブロック(B)のビニル結合量)
重合体ブロック(B)を構成する構成単位が、イソプレン単位、イソプレン及びブタジエンの混合物単位のいずれかである場合、イソプレン及びブタジエンそれぞれの結合形態としては、ブタジエンの場合には1,2−結合、1,4−結合を、イソプレンの場合には1,2−結合、3,4−結合、1,4−結合をとることができる。
ブロック共重合体(IIa)においては、重合体ブロック(B)中の3,4−結合単位及び1,2−結合単位の含有量(つまりビニル結合量)の合計が、好ましくは50mol%以上、より好ましくは60mol%以上、さらに好ましくは65mol%以上、よりさらに好ましくは70mol%以上である。また、特に制限されるものではないが、重合体ブロック(B)中のビニル結合量の上限値は、90mol%であってもよいし、88mol%であってもよいし、85mol%であってもよい。ここで、ビニル結合量は、実施例に記載の方法に従って、H−NMR測定によって算出した値である。
重合体ブロック(B)のビニル結合量を高めることで、マトリックス樹脂成分(I)との相溶性が高まる傾向を示すため、樹脂成分(II)を樹脂組成物中に分散させるのに有利になる。
また、ブロック共重合体が有する前記重合体ブロック(B)の合計の重量平均分子量は、制振性などの観点から、水素添加前の状態で、好ましくは15,000〜800,000であり、より好ましくは20,000〜400,000であり、さらに好ましくは20,000〜300,000、特に好ましくは30,000〜300,000、最も好ましくは40,000〜300,000である。
なお、重合体ブロック(B)は、本発明の目的及び効果の妨げにならない限り、前記共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位を含有していてもよい。この場合、重合体ブロック(B)において、前記共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位の含有量は、好ましくは70mol%以下、より好ましくは50mol%以下、さらに好ましくは35mol%以下、特に好ましくは20mol%以下である。共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位の含有量の下限値に特に制限はないが、0mol%であってもよいし、5mol%であってもよいし、10mol%であってもよい。
該他の重合性の単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン及びビニルアントラセンなどの芳香族ビニル化合物、並びにメタクリル酸メチル、メチルビニルエーテル、N−ビニルカルバゾール、β−ピネン、8,9−p−メンテン、ジペンテン、メチレンノルボルネン、2−メチレンテトラヒドロフラン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエンなどからなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましく挙げられる。中でも、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位を含有する場合、その具体的な組み合わせとしては、好ましくは、イソプレンとスチレンである。
重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位を含有する場合、その結合形態は特に制限はなく、ランダム、テーパー状のいずれでもよいが、ランダムが好ましい。
ブロック共重合体は、上記重合体ブロック(B)を少なくとも1つ有していればよい。ブロック共重合体が重合体ブロック(B)を2つ以上有する場合には、それら重合体ブロック(B)は、同一であっても異なっていてもよい。
本発明では、ブロック共重合体は、上記重合体ブロック(B)を1つだけ有することが好ましい。
ブロック共重合体(IIa)における重合体ブロック(B)の含有量(複数の重合体ブロック(B)を有する場合はそれらの合計含有量)に特に制限はないが、好ましくは20〜97質量%、より好ましくは78〜94質量%、さらに好ましくは84〜90質量%である。重合体ブロック(B)の含有量を20質量%以上とすることで、成形性が高くなり、97質量%以下とすることで、力学強度が高くなる。
(重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の結合様式)
ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)とが結合している限りは、その結合形式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、又はこれらの2つ以上が組合わさった結合様式のいずれでもよい。中でも、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の結合形式は直鎖状であることが好ましく、その例としては重合体ブロック(A)をAで、また重合体ブロック(B)をBで表したときに、A−Bで示されるジブロック共重合体、A−B−A又はB−A−Bで示されるトリブロック共重合体、A−B−A−Bで示されるテトラブロック共重合体、A−B−A−B−A又はB−A−B−A−Bで示されるペンタブロック共重合体、(A−B)nX型共重合体(Xはカップリング剤残基を表し、nは3以上の整数を表す)などを挙げることができる。中でも、直鎖状のトリブロック共重合体、又はジブロック共重合体が好ましく、A−B−A型のトリブロック共重合体が、柔軟性、製造の容易性などの観点から好ましく用いられる。
ここで、本明細書においては、同種の重合体ブロックが二官能のカップリング剤などを介して直線状に結合している場合、結合している重合体ブロック全体は一つの重合体ブロックとして取り扱われる。これに従い、上記例示も含め、本来、厳密にはY−X−Y(Xはカップリング残基を表す)と表記されるべき重合体ブロックは、特に単独の重合体ブロックYと区別する必要がある場合を除き、全体としてYと表示される。本明細書においては、カップリング剤残基を含むこの種の重合体ブロックを上記のように取り扱うので、例えば、カップリング剤残基を含み、厳密にはA−B−X−B−A(Xはカップリング剤残基を表す)と表記されるべきブロック共重合体はA−B−Aと表記され、トリブロック共重合体の一例として取り扱われる。
ブロック共重合体(IIa)は、水素添加されていなくても構わないが、水素添加物であることが好ましい。そして、ブロック共重合体(IIa)における重合体ブロック(B)は、ブロック共重合体(IIa)における重合体ブロック(B)が有する炭素−炭素二重結合の全モル数に対して、好ましくは10mol%以上、より好ましくは50mol%以上、さらに好ましくは70mol%以上、よりさらに好ましくは85mol%以上水素添加されている。
重合体ブロック(B)が少なくとも10mol%水素添加されていると、耐熱性及び耐候性を向上させやすくなる。なお、該値を水素添加率(水添率)と称することがある。水素添加率の上限値に特に制限はないが、上限値は99mol%であってもよく、97mol%であってもよく、95mol%であってもよく、93mol%であってもよい。
上記の水素添加率は、重合体ブロック(B)中の共役ジエン化合物由来の構造単位中の炭素−炭素二重結合の含有量を、水素添加後のH−NMR測定によって求めた値であり、より詳細には実施例に記載の方法に従って測定した値である。
なお、重合体ブロック(B)の水添率は、例えば、水素添加を行う際に使用する触媒の使用量を変化させることで調整できる。したがって、水素添加時の触媒使用量を調整することで水添率を上記の範囲することができる。
(水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw))
水添ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算で求めた重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20,000〜800,000、より好ましくは30,000〜500,000、さらに好ましくは30,000〜400,000、特に好ましくは40,000〜350,000、最も好ましくは50,000〜300,000である。ブロック共重合体の重量平均分子量が20,000以上であれば、耐熱性が高くなり、800,000以下であれば、成形性が良好となる。
ブロック共重合体(IIa)は、本発明の目的及び効果を損なわない限り、分子鎖中及び/又は分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を、1種又は2種以上を有していてもよく、また官能基を有さないものであってもよい。
(ブロック共重合体(IIa)の製造方法)
ブロック共重合体(IIa)は、例えば、溶液重合法、乳化重合法又は固相重合法などにより製造することができる。中でも溶液重合法が好ましく、例えば、アニオン重合、カチオン重合などのイオン重合法、ラジカル重合法などの公知の方法を適用できる。中でも、アニオン重合法が好ましい。アニオン重合法では、溶媒、アニオン重合開始剤、及び必要に応じてルイス塩基の存在下、芳香族ビニル化合物と、共役ジエン化合物及びイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種を逐次添加して、ブロック共重合体を得、必要に応じてカップリング剤を添加して反応させる。さらに、ブロック共重合体を水素添加することにより、水添ブロック共重合体を得ることができる。
上記方法においてアニオン重合の重合開始剤として使用し得る有機リチウム化合物としては、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ペンチルリチウムなどが挙げられる。また、重合開始剤として使用し得るジリチウム化合物としては、例えばナフタレンジリチウム、ジリチオヘキシルベンゼンなどが挙げられる。
前記カップリング剤としては、例えばジクロロメタン、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジブロモベンゼン、安息香酸フェニルなどが挙げられる。
これらの重合開始剤及びカップリング剤の使用量は、目的とするブロック共重合体の所望とする重量平均分子量により適宜決定される。通常は、アルキルリチウム化合物、ジリチウム化合物などの開始剤は、重合に用いる芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物などの単量体の合計100質量部あたり0.01〜0.2質量部の割合で用いられるのが好ましく、カップリング剤を使用する場合は、前記単量体の合計100質量部あたり0.001〜0.8質量部の割合で用いられるのが好ましい。
溶媒としては、アニオン重合反応に悪影響を及ぼさなければ特に制限はなく、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ペンタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。また、重合反応は、通常0〜100℃、好ましくは10〜70℃の温度で、0.5〜50時間、好ましくは1〜30時間行う。
また、重合の際に共触媒(ビニル化剤)としてルイス塩基を添加することにより、重合体ブロック(B)の3,4−結合及び1,2−結合の含有量(ビニル結合量)を高めることができるが、本実施形態では、当該ルイス塩基として2,2−ジ(2−テトラヒドロフリル)プロパン[DTHFP]を用いることが好ましい。該DTHFPを用いることによって、共役ジエン化合物としてイソプレンを含有しながらも、温和な条件でビニル結合量と水素添加率とをともに高くすることができ、機械物性に優れた、ブロック共重合体の水素添加物を得やすくなる。
従来、ブロック共重合体の水素添加物のビニル結合量を高めるためには、通常、ビニル化剤としてルイス塩基が用いられる。該ルイス塩基としては、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などのアミン類などが利用されていた(特許文献2の段落[0028]参照)。
ところで、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含有する重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を含有する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体の水素添加物において、例えば重合体ブロック(B)がブタジエンのみからなる場合は、その立体障壁の低さから従来の方法でも高ビニル結合量と高水素添加率とを両立させることは比較的容易であった。
しかし、実際に用いられる温度条件での制振性を高めるという観点からは、重合体ブロック(B)がイソプレンを含有することが有効であるが、イソプレンを含有する場合は、その立体障壁の高さからビニル結合量と水素添加率を両方高くすることは困難であった。
また例えば、国際公開第2015/156334号の製造例7のように、ビニル結合量と水素添加率が両方とも高い例も見られるが、同文献においてはビニル化剤としてTMEDAが用いられているところ、TMEDAが水素添加触媒を失活させるため、水素添加触媒を多量に用いる必要があり、この場合、原因は定かではないが、ビニル結合量と水素添加率が数値上高くても、実際に用いられる温度条件での制振性を高めることが困難であった。
また、上記のように水素添加触媒を多量に用いた場合には、重合体ブロック(A)のベンゼン環が水素添加される核水添が起こり、制振材として求められる機械物性が得られないという問題が生じることが判明した。
本発明者らは、ビニル化剤としてDTHFPを用いることで、イソプレンを含むブロック共重合体であっても、水素添加剤を多量に用いない温和な条件で高いビニル結合量と水素添加率を両立できることを見出した。温和な条件で高いビニル結合量と水素添加率を両立することによって、水素添加率が高く、かつ、実際に用いられる温度条件での制振性が高いブロック共重合体を得ることが可能である。
本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記DTHFPとともに、その他のルイス塩基を併用してもよい。その他のルイス塩基としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン、N−メチルモルホリンなどのアミン類などが挙げられる。
DTHFPの添加量は、重合体ブロック(B)を構成するイソプレン単位及び/又はブタジエン単位のビニル結合量をどの程度に制御するかにより決定される。そのため、ルイス塩基の添加量としては、前記好ましいビニル結合量の条件を満たす観点から、重合開始剤として用いられるアルキルリチウム化合物又はジリチウム化合物に含有されるリチウム1グラム原子あたり、通常0.1〜1,000モル、好ましくは0.3〜100モル、最も好ましくは0.5〜10モルの範囲内で用いるのが好ましい。
上記した方法により重合を行った後、アルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素化合物を添加して重合反応を停止させる。その後、不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水素添加反応(水添反応)を行うことで、水素添加された共重合体を得ることができる。水素添加反応は、水素圧力を0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜15MPa、より好ましくは0.5〜5MPa、反応温度を20〜250℃、好ましくは50〜180℃、より好ましくは70〜180℃、反応時間を通常0.1〜100時間、好ましくは1〜50時間として実施することができる。
水添触媒としては、前記芳香族ビニル化合物の核水添を抑制しながら重合体ブロック(B)の水素添加反応を行うという観点から、例えば、ラネーニッケル;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物などとの組み合わせからなるチーグラー系触媒;メタロセン系触媒などが挙げられる。前記同様の観点から、中でも、チーグラー系触媒が好ましく、遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物との組み合わせからなるチーグラー系触媒がより好ましく、ニッケル化合物とアルキルアルミニウム化合物との組み合わせからなるチーグラー系触媒(Al/Ni系チーグラー触媒)がさらに好ましい。
このようにして得られた水添ブロック共重合体は、重合反応液をメタノールなどに注ぐことにより凝固させた後、加熱又は減圧乾燥させるか、重合反応液をスチームとともに熱水中に注ぎ、溶媒を共沸させて除去するいわゆるスチームストリッピングを施した後、加熱又は減圧乾燥することにより取得することができる。
こうして得られる水添ブロック共重合体は、特に制限されるわけではないが、使用したルイス塩基が重合体内に残存している傾向にある。つまり、上記水添ブロック共重合体は、2,2−ジ(2−テトラヒドロフリル)プロパン[DTHFP]を含有していることがあり、通常、DTHFPを5質量ppm以上含有している傾向があり、DTHFPを10質量ppm以上含有していることもある。DTHFPの含有量の上限値は、2,000質量ppmであってもよく、1,000質量ppmであってもよく、500質量ppmであってもよく、250質量ppmであってもよく、50質量ppmであってもよく、30質量ppmであってもよい。
一方、上記製造方法に従うと、水添ブロック共重合体は、DTHFP以外のルイス塩基(ビニル化剤)、具体的に挙げると、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン(TMEDA)及びN−メチルモルホリンをいずれも含有しないか、又はこれらの含有量がいずれも1ppm以下となる傾向にある。
水添ブロック共重合体中の上記ルイス塩基の含有量は、特に制限されるわけではないが、ガスクロマトグラフによって求めることができる。
(オレフィン系樹脂(IIb))
樹脂成分(II)として使用できるオレフィン系樹脂(IIb)としては、オレフィンを重合させて得られるポリオレフィン系樹脂、オレフィン系重合体などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、シクロヘキセン等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィンは、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。特にポリオレフィン系樹脂の1つであるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−ペンテンランダム共重合体、プロピレン−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−オクテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ペンテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセンランダム共重合体等が挙げられる。また、これらのポリプロピレン系樹脂に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;それら不飽和モノカルボン酸または不飽和ジカルボン酸のエステル、アミドまたはイミド;無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物などの変性剤をグラフト共重合した変性ポリプロピレン系樹脂を用いることもできる。
オレフィン系重合体としては、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびポリエチレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のオレフィン系重合体である。
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムとの原料として使用可能なジエンは、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,6−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどの鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジクロロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンなどの環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエンなどのトリエンなどが挙げられる。
(スチレン系樹脂(IIc))
樹脂成分(II)として使用できるスチレン系樹脂(IIc)としては、ポリα−メチルスチレン、α−メチルスチレン/スチレン共重合体、スチレン系モノマー共重合体、スチレン系モノマー/芳香族系モノマー共重合体等を挙げることができる。
(共役ジエン重合体(IId))
樹脂成分(II)として使用できる共役ジエン重合体(IId)としては、共役ジエン単量体の単独重合体もしくは共重合体、又は、共役ジエン単量体と、芳香族ビニル化合物を除く他の単量体との共重合体が挙げられる。前記他の単量体としては、前記共役ジエン単量体と共重合可能な単量体が挙げられる。
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。これらの単量体は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらのなかでも、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、イソプレンがより好ましい。
共役ジエン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の鎖状オレフィン単量体;シクロペンテン、2−ノルボルネン等の環状オレフィン単量体;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等の非共役ジエン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの単量体は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
共役ジエン重合体としては、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、イソプレン−イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(BIR)等を挙げることができる。なかでも、ポリイソプレンゴム及びポリブタジエンゴムが好ましく、ポリイソプレンゴムがより好ましい。
(樹脂成分(II)の物性)
本発明の樹脂組成物に含まれる樹脂成分(II)は、下記の条件(1)を満たすことが好ましい。樹脂成分(II)が、ブロック共重合体(IIa)及びオレフィン系樹脂(IIb)のうち少なくとも一方を含むものである場合に、条件(1)を満たすことがより好ましい。
条件(1):パルスNMR装置を用いて測定した、緩和時間xに対する緩和強度yで表される緩和曲線に対して、下記式[I]のフィッティングを行って決定した係数A1〜A3及び各成分のスピン−スピン緩和時間τ1〜τ3を用いて下記式[II]で求められる、運動性パラメータMの値が0.01〜0.25秒である。
y=A1 * exp(-0.5 * (x/τ1)2)+A2 * exp(-0.5 * (x/τ2)2)+A3 * exp(-x/τ3) [I]
M=(τ2 * A2+τ3 * A3)/(A2+A3) [II]
上記緩和曲線は、比較的運動性の低い1成分と、比較的運動性の高い2成分の計3成分に由来する緩和曲線が重なったものであり、上記緩和曲線を式[I]を用いて最小二乗法でフィッティングすることで、それぞれの成分の割合および運動性を求めることができる。
式[I]の第一項は比較的運動性の低い成分の緩和に由来し、第二項及び第三項は比較的運動性の高い成分の緩和に由来する。また、Aは比較的運動性の低い成分の割合、A及びAは比較的運動性の高い成分の割合に対応する。
樹脂成分(II)がブロック共重合体である場合を例にとると、運動性パラメータMは、パルスNMRによってブロック共重合体の挙動を測定したときの、重合体ブロック(B)に由来する緩和の傾きを示しており、主として共役ジエンに由来する運動性を表す指標である。パルスNMRを用いて、所定周波数のパルスをブロック共重合体に与えると、緩和の開始直後に、比較的運動性の低い成分である重合体ブロック(A)に由来する緩和が生じ、その後、比較的運動性の高い成分である重合体ブロック(B)に由来する緩和が現れる。この現象を利用して、重合体ブロック(B)の物性を測定することができ、上記手順で運動性パラメータMを求めることで、重合体ブロック(B)に由来する緩和の挙動を評価することができる。
樹脂成分(II)がオレフィン系樹脂(IIb)である場合も条件(1)が当てはまる。この場合、運動性パラメータはオレフィン系樹脂の非晶性成分に由来する運動性を表す。
運動性パラメータMが適切な値を取ることで、実際に使用される温度領域での振動に対して効果的に緩和が生じ、制振性を高めることができる。また、運動性パラメータMが適切な値を取ることで、樹脂成分(II)のガラス転移温度Tgを比較的大きくすることができるため、後述する凍結粉砕によるパウダー化を容易にすることもできる。さらに、ガラス転移温度Tgが大きくなる結果、樹脂組成物に分散させた場合に、樹脂組成物に対して高い強度を付与することができ、接着力を維持しつつ、靭性を高められる。
運動性パラメータMは、より好ましくは0.01〜0.10秒、さらに好ましくは0.02〜0.08秒、よりさらに好ましくは0.02〜0.06秒である。
条件(1)を満たすための一手法としては、樹脂成分(II)がブロック共重合体を含むものである場合は、例えば、共役ジエン化合物に由来する構造単位を構成するためのモノマーとしてイソプレンを用いることができる。樹脂成分(II)がオレフィン系樹脂を含むものである場合は、例えば、モノマーとして4−メチル−1−ペンテンを用いることができる。
なお、樹脂成分(II)が、スチレン系樹脂(IIc)、共役ジエン重合体(IId)を含むものである場合においては、式[I]において、Aを0とした下記式[I’]によりフィッティングを行うことができ、この場合下記条件(1’)を満たすことが好ましい。
条件(1’):パルスNMR装置を用いて測定した、緩和時間xに対する緩和強度yで表される緩和曲線に対して、下記式[I’]のフィッティングを行って決定した係数A2、A3及び各成分のスピン−スピン緩和時間τ2、τ3を用いて下記式[II]で求められる、運動性パラメータMの値が0.01〜0.25秒である。
y=A2 * exp(-0.5 * (x/τ2)2)+A3 * exp(-x/τ3) [I’]
M=(τ2 * A2+τ3 * A3)/(A2+A3) [II]
上記緩和曲線を式[I’]を用いて最小二乗法でフィッティングすることで、樹脂成分(IIc)及び(IId)の運動性を求めることができる。
(条件(2))
樹脂成分(II)は、下記条件(2)を満たすことが好ましい。
条件(2):JIS K7244−10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度−70〜+100℃、昇温速度3℃/分の条件で測定した60℃のせん断貯蔵弾性率G’が0.10〜0.58MPaであり、損失正接tanδのピーク温度が−5〜+40℃である。
tanδを測定する際の試験片は、プレス成形装置「NF−50T」(株式会社神藤金属工業所製)によって温度230℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚み1.0mmのシートを作製し、該シートを直径8mmの円板形状に切り出したものを試験片とする。
なお、tanδの測定装置に特に制限はないが、回転式レオメータ「ARES G2」(TAインスツルメント社製)などを使用し、直径8mmの平面プレートに前記試験片を挟んで試験することができる。
条件(2)を満たすことにより、樹脂組成物が適度な硬さを有し、かつ、高い制振性を示す温度範囲が実際に使用される温度領域をカバーしやすくなる。
条件(2)を満たすための一手法としては、例えば、重合体ブロック(B)のビニル結合量を高める方法を取ることができる。
tanδのピーク位置での温度は、より好ましくは−5〜+35℃、さらに好ましくは0〜+35℃、よりさらに好ましくは+5〜+35℃、特に好ましくは+5〜+33℃、最も好ましくは+10〜+33℃である。
上記60℃のせん断貯蔵弾性率G’は、より好ましくは0.1〜1.8MPa、さらに好ましくは0.2〜1.0MPa、特に好ましくは0.3〜0.55MPaである。
樹脂成分(II)のtanδのピーク位置での温度を上記範囲にするには、ブロック共重合体の重合体ブロック(B)のビニル結合量を高めればよい。また、樹脂成分(II)の60℃のせん断貯蔵弾性率G’を上記範囲にするには、ブロック共重合対の重合体ブロック(A)の含有量を調整する方法や、重合体ブロック(B)のビニル結合量を高める方法を採ることができる。
樹脂成分(II)は、ガラス転移温度Tgが0℃以上であるか、又は、結晶性樹脂であることが好ましい。これらのいずれかの条件を満たすことで、凍結粉砕を行いやすくなり、樹脂成分(II)を所望の粒径に調整しやすくなる。
(樹脂成分(II)全体)
樹脂成分(II)は、好ましくは樹脂組成物への添加前の状態がクラム状、ペレット状、マイクロペレット状、又は、パウダー状の固体である。より好ましくは、マイクロペレット状又はパウダー状の粉砕物である。特に好ましくはパウダー状の凍結粉砕物である。
樹脂組成物への添加前のパウダー状の樹脂成分(II)の50%体積平均径は、好ましくは0.01から1.0mmであり、より好ましくは0.03〜0.5mmであり、さらに好ましくは0.05〜0.3mmである。パウダー状の樹脂成分(II)の50%体積平均径が0.01mm以上であるとパウダーの製造が容易になり、0.5mm以下であると樹脂組成物の機械強度が高くなる。
パウダー状の樹脂成分(II)の50%体積平均径は、Malvern社製マスターサイザー3000を用いて水中にパウダーを分散させたサンプルを用いて、湿式のレーザー回折によって測定することができる。
パウダー状の樹脂成分(II)の50%体積平均径は、粉砕条件(処理時間、処理速度等)の調整、及び、篩いのメッシュサイズの選択等により、上記範囲とすることができる。
樹脂成分(II)がクラム状、ペレット状、又は、マイクロペレット状である場合、直径が好ましくは0.1から5mmであり、より好ましくは0.3から2mmであり、さらに好ましくは0.5から1mmである。
<その他の成分>
(粉体成分)
マトリックス樹脂成分(I)として用いられるウレタン組成物は、充填剤を含有する粉体成分を含んでいてもよい。上記粉体成分は、充填剤を含有する成分であれば特に限定されず、該充填剤のみ含有するものであってもよく、該充填剤以外に、例えば、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤などの各種添加剤等を含有するものであってもよい。
上記充填剤としては、各種形状の有機又は無機の充填剤などが挙げられる。充填材としては、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、コロイダル炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物;などが挙げられる。
これら充填材の中でも、ウレタン組成物の粘度及びチクソ性を調製しやすくなることから、カーボンブラック及び重質炭酸カルシウムが好ましい。
また、ウレタン組成物中にカーボンブラックが充填剤として含まれた場合には、物性(例えば、硬度、伸びなど)に優れたウレタン硬化物が得られる。ウレタン組成物中に重質炭酸カルシウムが充填剤として含まれた場合には、深部硬化性に優れるウレタン組成物が得られる。また、ペレットカーボンブラックを充填剤として用いた場合には、作業性が良好となるのみならず、ポリオール化合物(U)と混合した場合に脱水がより促進する点で好ましい。
上記老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系老化防止剤などが挙げられる。
上記酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
上記顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料などの有機顔料;などが挙げられる。
上記揺変性付与剤としては、例えば、エアロジル(日本エアロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)などが挙げられる。
上記接着付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。
上記難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテルなどが挙げられる。
上記帯電防止剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
上記ウレタン組成物において、ポリオール化合物(U)100質量部に対する粉体成分の含有量は、300質量部以下が好ましく、0〜250質量部が好ましく、0〜210質量部がより好ましい。粉体成分の含有量が上記範囲内であると、ウレタン組成物の粘度が適切となり、作業性が良好となる。
(可塑剤)
樹脂組成物には可塑剤が含まれていてもよい。上記可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジイソノニル;フタル酸ジイソノニル;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステルなどが挙げられる。
これら可塑剤の中でも、相溶性に優れること、またコスト面でも有利であることから、アジピン酸ジイソノニル、フタル酸ジイソノニルが好ましい。
これら可塑剤は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ポリオール化合物(U)及びイソシアネート化合物(V)の合計100質量部に対する可塑剤の含有量は、20〜80質量部が好ましく、30〜70質量部がより好ましい。
(硬化剤)
樹脂組成物には、マトリックス樹脂成分(I)を硬化するために、架橋剤、光又は熱重合開始剤、共反応剤等を硬化剤として含んでいてもよい。
[樹脂組成物の物性等]
(樹脂成分(II)の平均分散径)
樹脂組成物中における樹脂成分(II)の平均分散径は、10〜5,000μmである。樹脂成分(II)の平均分散径は、好ましくは20〜3,000μm、より好ましくは30〜1,000μm、さらに好ましくは40〜500μm、特に好ましくは50〜300μmである。平均分散径が10μmを下回ると、樹脂組成物の生産性が低下する恐れがあり、5,000μmを超えると樹脂組成物の機械物性が低下する恐れがある。
樹脂組成物中の樹脂成分(II)の平均分散径が上記範囲にあることで、接着剤の接着性や強度を低下させることなく、しかも樹脂成分(II)の凝集が抑制され、結果として、引張強度及び鋼板に対する接着性を維持しつつ、高い靱性を示し、しかも広い実使用温度範囲における高い制振性等の、接着性以外の機能を備える樹脂組成物とすることができるものと推測される。
また、この範囲の平均分散径となる程度に樹脂成分(II)を粉砕すればよいので、粉砕に要する手間がかかりにくくなり、材料の失活等の問題を回避し、コストアップも防ぐことができる。
樹脂成分(II)が分散した樹脂組成物は、例えば、後述する樹脂成分(II)のパウダーを樹脂組成物中に分散させることで得られる。
なお、本明細書において、樹脂成分(II)の平均分散径は、樹脂成分(II)が溶解し、樹脂成分(I)が溶解しない溶媒に樹脂組成物を浸した後、表面状態を顕微鏡観察することで測定されたものである。
(20℃におけるtanδの強度)
樹脂組成物の、20℃における損失正接tanδの強度が、好ましくは0.15以上であり、より好ましくは0.23以上であり、さらに好ましくは0.30以上であり、また、好ましくは0.50以下である。tanδが0.15以上であると、DG用接着剤として用いた際に、ガラスの遮音性が向上する。
20℃における損失正接tanδの強度を上記範囲とするには、上述した条件(1)を満たす樹脂成分(II)を用いればよい。
樹脂組成物全量に対する、樹脂成分(II)の含有量は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜45質量%、さらに好ましくは15〜40質量%、特に好ましくは20〜35質量%である。樹脂成分(II)の含有量が50質量%以下であると、樹脂組成物の粘度を良好に維持しやすくなり、樹脂成分(II)の含有量が5質量%以上であると、樹脂組成物の制振性向上効果が小さくなるのを防ぐことができる。
樹脂組成物全量に対する、樹脂成分(I)の含有量は、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜70質量%、さらに好ましくは20〜60質量%、特に好ましくは25〜50質量%である。樹脂成分(I)の含有量が80質量%以下であると、粘度が低くなりすぎず作業性が良好となり、樹脂成分(I)の含有量が10質量%以上であると、粘度が高くなり過ぎず作業性が良好となる。
樹脂組成物全量に対して、マトリックス樹脂成分(I)及び樹脂成分(II)の合計含有量が100質量%であることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂組成物が上述した各成分以外の成分を含んでいてもよい。
[パウダー]
本実施形態にかかるパウダーは、上述したブロック共重合体(IIa)、オレフィン系樹脂(IIb)、スチレン系樹脂(IIc)、共役ジエン重合体(IId)から選択される少なくとも1種である樹脂成分(II)からなるパウダーであって、かつ、樹脂成分(II)が上述した条件(1)を満たし、さらに、樹脂成分(II)を構成し得るブロック共重合体(IIa)の重合体ブロック(B)の水添率が、ブロック共重合体(IIa)における重合体ブロック(B)が有する炭素−炭素二重結合の全モル数に対して、10〜99mol%である。
ここで、ブロック共重合体(IIa)は、重合体ブロック(B)の水添率が規定されている以外は、上述したのと同様の材質及び物性を有するものである。また、オレフィン系樹脂(IIb)、スチレン系樹脂(IIc)、共役ジエン重合体(IId)は、樹脂組成物を構成する成分(II)について説明したものと同様である。
上記パウダーを構成する樹脂成分(II)において、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を70mol%超含有する重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を30mol%以上含有する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体であることが好ましい点も、樹脂成分(II)について述べたのと同様である。
また、ブロック共重合体における重合体ブロック(A)の含有量の好ましい範囲が、6〜22質量%であることも、樹脂成分(II)について述べたのと同様である。
上記パウダーは、樹脂組成物中に分散されることで、樹脂組成物の制振性を向上させるとともに、重合体ブロック(B)の水添率が10mol%以上であることにより、樹脂組成物に添加された際に、耐熱性及び対候性も向上させることができるパウダーとすることができる。
上記パウダーは、好ましくは、上記樹脂成分(II)の粉砕物、特に好ましくは凍結粉砕物である。
パウダーを構成する樹脂成分(II)の好ましい物性(60℃のせん断貯蔵弾性率G’が0.10〜0.58MPaの範囲内にあること、tanδピーク温度が−5〜+40℃の温度範囲内にあること等)は先に樹脂成分(II)について述べたのと同様である。
上記パウダーの50%体積平均径が、好ましくは0.01mm〜1.0mmであることも、樹脂成分(II)について述べたのと同様である。
上記パウダーの製造方法に特に制限はなく、公知の方法を採用できる。樹脂成分(II)が弾性を有する材料であることを考慮すると、液化された不活性ガス(窒素ガス等)によって樹脂成分(II)を凍結させた上で粉砕し、篩いにかけることで所望の粒径範囲のパウダーを得ることが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
以下に、各例で用いた樹脂成分(I)及び樹脂成分(II)の製造方法を示す。
(製造例1〜3)樹脂成分(II)としてのブロック共重合体TPE−1〜3の製造
以下の手順で、ブロック共重合体TPE−1〜3を製造した。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、モレキュラーシーブスA4にて乾燥したシクロヘキサン(溶媒)50.0kg、アニオン重合開始剤として濃度10.5質量%のsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液0.087kg(sec−ブチルリチウムの実質的な添加量:9.1g)を仕込んだ。
耐圧容器内を50℃に昇温した後、スチレン(1)1.0kgを加えて30分間重合させた後、40℃に降温し、2,2−ジ(2−テトラヒドロフリル)プロパン[DTHFP]0.032kgを加えてから、イソプレン14.64kgを5時間かけて加え、1時間重合させた。その後、50℃に昇温し、スチレン(2)1.0kgを加えて30分間重合させ、メタノールを投入して反応を停止し、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンのトリブロック共重合体を含む反応液を得た。
該反応液を50℃に昇温後、水素圧力1MPaまで加圧し、それからオクチル酸ニッケル及びトリメチルアルミニウムから形成されるチーグラー系触媒(水素添加触媒)を水素雰囲気下で添加し、反応熱によって80℃まで昇温して水素の吸収がなくなるまで反応させた。該反応液を放冷及び放圧させた後、水洗により上記チーグラー系触媒を除去し、真空乾燥させることにより、製造例1のポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンのトリブロック共重合体の水素添加物(TPE−1)を得た。
また、製造例2、3として、原料及びその使用量を表1に示したものに変更して、水添ブロック共重合体(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンのトリブロック共重合体の水素添加物)TPE−2、3を得た。具体的には、スチレンの添加量を1段階目、2段階目ともに1.5kgとし、アニオン重合開始剤である濃度10.5質量%のsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液の使用量を0.166kgとし、共役ジエンとして、イソプレン14.64kgに代えて、イソプレン13.6kgを用い、ジエン重合温度を50℃とし、ルイス塩基を用いなかったこと以外は、上記水添ブロック共重合体TPE−1と同様にしてTPE−2を作製した。また、スチレンの添加量を1段階目、2段階目ともに1.7kgとし、アニオン重合開始剤である濃度10.5質量%のsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液の使用量を0.101kgとし、共役ジエンとして、イソプレン14.64kgに代えて、イソプレン13.3kgを用い、ルイス塩基として0.065kgのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を用いたこと以外は、上記水添ブロック共重合体TPE−1と同様にしてTPE−3を作製した。
使用した材料及びそれらの使用量を表1に示す。
Figure 2020045609
得られたブロック共重合体TPE−1〜3の物性を以下の手順で測定した。
<水添ブロック共重合体の物性>
(i)重合体ブロック(A)の含有量
水添ブロック共重合体をCDClに溶解してH−NMR測定[装置:「ADVANCE 400 Nano bay」(Bruker社製)、測定温度:30℃]を行い、スチレンに由来するピーク強度から重合体ブロック(A)の含有量を算出した。
(ii)重合体ブロック(B)のビニル結合量
水添前のブロック共重合体をCDClに溶解してH−NMR測定[装置:「ADVANCE 400 Nano bay」(Bruker社製)、測定温度:30℃]を行った。イソプレン及び/又はブタジエン由来の構造単位の全ピーク面積に対する、イソプレン構造単位における3,4−結合単位及び1,2−結合単位並びにブタジエン構造単位における1,2−結合単位に対応するピーク面積の比から、ビニル結合量(3,4−結合単位と1,2−結合単位の含有量の合計)を算出した。
(iii)重合体ブロック(B)の水素添加率
水添ブロック共重合体をCDClに溶解してH−NMR測定[装置:「ADVANCE 400 Nano bay」(Bruker社製)、測定温度:30℃]を行い、イソプレン又はブタジエンの残存オレフィン由来のピーク面積と、エチレン、プロピレン、ブチレン、2−メチルブチレン、及び、3−メチルブチレン由来のピーク面積比から水素添加率を算出した。
(iv)重量平均分子量(Mw)
下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により、水添ブロック共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
(GPC測定装置及び測定条件)
・装置 :GPC装置「HLC−8020」(東ソー株式会社製)
・分離カラム :東ソ−株式会社製の「TSKgel G4000HX」2本を直列に連結した。
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :0.7mL/min
・サンプル濃度:5mg/10mL
・カラム温度 :40℃
・検出器:示差屈折率(RI)検出器
・検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
(v)損失正接tanδのピーク温度、tanδのピーク強度、せん断貯蔵弾性率
得られたブロック共重合体を、プレス成形装置「NF−50T」(株式会社神藤金属工業所製)により、温度230℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚み1.0mmのシートを作製し、該シートを直径8mmの円板形状に切り出したものを試験片とした。
測定装置として、JIS K7244−10(2005年)に基づいて、ゆがみ制御型動的粘弾性装置「ARES−G2」(TAインスツルメント社製)を使用し、直径8mmの2枚の平面プレートによって前記試験片を挟み、歪み量0.1%、周波数1Hzで振動を与え、−70℃から100℃まで3℃/分で昇温して試験した。
上記試験によって、tanδ及びせん断貯蔵弾性率G’の温度特性曲線を作成し、得られた温度特性曲線から、tanδのピーク温度、tanδのピーク強度及び60℃でのせん断貯蔵弾性率G’を求めた。
(vi)運動性パラメータM
まず、パルスNMR法によって、樹脂成分(II)の緩和時間を測定した。具体的には、以下の手順で測定した。
・パルスNMR装置:Bruker Biospin社製Minispec MQ20
・測定手法:ソリッドエコー法
・測定条件:得られた樹脂成分(II)を、プレス成形装置「NF−50T」(株式会社神藤金属工業所製)により、温度230℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚み1.0mmのシートを作製し、該シートを長さ10mm×幅10mm×に切り出したものを試料管に入れてサンプルとした。このサンプルを60℃にて15分間保持した後、パルス幅7.2μsec、パルス間隔10μsec、積算回数60回、スピンエコー繰返し時間1.0sec、ダミーショット4回、測定温度60℃、の条件で測定を行い、樹脂成分(II)(ここでは、ブロック共重合体)のスピン−スピン緩和における緩和曲線(緩和時間xに対する緩和強度y)を作成した。
次に、上記パルスNMR法によって得られた緩和曲線に対して、下記式[I]を用いて最小二乗法でフィッティングを行い、係数A1〜A3及び各成分のスピン-スピン緩和時間τ1〜τ3を決定した。ここで、τ1<τ2である。これらの数値を用いて下記式[II]に基づいて、運動性パラメータM(つまり、樹脂成分(II)であるブロック共重合体のブロック(B)の運動性を示す値)を算出した。
y=A1 * exp(-0.5 * (x/τ1)2)+A2 * exp(-0.5 * (x/τ2)2)+A3 * exp(-x/τ3) [I]
M=(τ2 * A2+τ3 * A3)/(A2+A3) [II]
結果を以下の表2に示す。
Figure 2020045609
(パウダーの作製)
製造例1で得られたブロック共重合体TPE−1を、クライオミル(大陽日酸株式会社製)に投入し、液体窒素による凍結粉砕を行った。得られた粉砕物を篩いにかけて、平均粒子径(50%体積平均径)70μmのブロック共重合体TPE−1のパウダー(TPE−1パウダー)を作製した。
製造例2、3で得られたブロック共重合体TPE−2、3についても、同様の手順で平均粒子径(50%体積平均径)70μmのパウダー(TPE−2パウダー、TPE−3パウダー)を作製した。
なお、パウダーの平均粒子径(50%体積平均径)は、Malvern社製マスターサイザー3000を用いて水中にパウダーを分散させたサンプルを用いて、湿式のレーザー回折によって測定した。
(樹脂組成物の調製)
製造例1〜3で得られたブロック共重合体TPE−1〜3と、樹脂成分(I)を調製するためのモノマーと、他の添加剤と、触媒とを用いて、樹脂組成物を調製した(実施例1〜5、比較例1)。各実施例及び比較例における、配合成分とその配合量を以下の表3に示す。
なお、樹脂組成物を調製するのに用いた、ブロック共重合体TPE−1〜3以外の各材料は以下のとおりである。
(ポリオール)
・2官能ポリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製Excenol2020、数平均分子量2,000)
・3官能ポリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製Excenol5030、数平均分子量5,040)
(可塑剤)
・フタル酸ジイソノニル(DINP)
(イソシアネート)
・ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
・ヘキサメチレンジイソシアネート−ビウレット体(HDI−b)
(充填剤)
・炭酸カルシウム
・カーボンブラック
(触媒)
・ビスマストリス(2−エチルへキサノエート)(日東化成株式会社製ネオスタンU−600)
・ジオクチル錫ジラウレート(日東化成株式会社製ネオスタンU−810)
Figure 2020045609
具体的には、窒素雰囲気下において、表3に示すポリオールと可塑剤と樹脂成分(II)のパウダーと充填剤とをプラネタリーミキサー(プライミクス株式会社製)に投入し、50℃で1.2kPa以下に減圧して40rpmの回転速度で4時間混合することで脱水し、ペースト混合物を得た。
次に、表3に示すイソシアネートのうちMDIをプラネタリーミキサーに投入し、上述した脱水処理後のペースト混合物を全量添加し、さらに表3の触媒のうちビスマス系触媒を添加し、回転速度40rpmで、50℃で1時間混合した。さらに、表3に示すイソシアネートのうちHDI−bと、表3に示す触媒のうち錫系触媒とを添加して、回転速度40rpmで10分間混合することにより、マトリックス樹脂成分(I)として、一液湿気硬化型ポリウレタン組成物を含む、樹脂組成物を得た。
(樹脂組成物の評価)
実施例1〜5及び比較例1で得られた樹脂組成物について、以下の測定方法に従って各物性評価を行った。
<動的粘弾性測定(DMA)>
JIS K 7244−4(1999年)に従って、測定を行った。具体的には、得られた樹脂組成物を、両端に1mmのスペーサーを巻いたガラス棒を用いてポリプロピレン(PP)フィルム上に塗布し、23℃、50%RHの雰囲気下で2日間硬化させて得られた硬化物を用いて、縦50mm×横10mmの試験片を打ち抜き、日立ハイテクサイエンス社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度−80〜+100℃、周波数10Hzの条件で、測定することによりtanδの温度特性曲線を作成し、−10〜+40℃のtanδピークの有無を確認するとともに、tanδピーク温度、tanδピーク強度、及び、20℃におけるtanδ強度を測定した。
<引張試験>
下記項目について、いずれもJIS K 6251(2010年)に従って、測定を行った。具体的には、得られた樹脂組成物を、両端に2mmのスペーサーを巻いたガラス棒を用いてPPフィルム上に塗布し、23℃、50%RHの雰囲気下で2日間硬化させて得られた硬化物を用いて、5号ダンベル状試験片を打ち抜き、インストロン社製万能材料試験機5966型を用いて、試験速度500mm/minで測定することにより、引張強度[MPa]、及び、破断伸び[%]を測定した。
<引裂試験>
JIS K7128−1(1998年)に従って、引裂強さ[kN/m]を測定した。具体的には、得られた樹脂組成物を、両端に2mmのスペーサーを巻いたガラス棒を用いてPPフィルム上に塗布し、23℃、50%RHの雰囲気下で2日間硬化させて得られた硬化物を用いて、JIS−K7128−1のトラウザー型試験片を作成し、インストロン社製万能材料試験機5966型を用いて、試験速度100mm/minで測定することにより、引裂強さを測定した。
<接着力試験(鋼板)>
JIS K6850(1999年)に従って、引張せん断接着強さ[MPa]を測定した。具体的には、鋼板としてSPCC SD(25mm×100mm×厚さ2mm)を2枚使用し、これらをアセトン脱脂し、引張せん断接着試験片のように向かい合わせ、25mm×10mm×厚さ5mmのPTFE製スペーサーを3枚挟み、マスキングテープで固定した。この後、中央のスペーサーを抜き取り、そこへ測定対象の樹脂組成物を充填してサンプルを作製した。このサンプルについて、インストロン社製万能材料試験機5966型を用いて、試験速度2mm/minで測定することにより、引張せん断接着強さを測定した。このとき、目視により、破壊モードが凝集破壊であるか接着破壊であるかを確認した。
<硬度>
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を用いて、30mm×25mm×厚さ5mmのサイズの硬度測定用試験片を作製し、樹脂組成物を硬化させた後、JIS K 6253(2012年)に準じて、デュロメータ硬度計タイプA GS−619R−G(株式会社テクロック製)を用いてデュロメータ硬さ試験を行い、ショアA硬度を測定した。
<成分(II)の平均分散径>
得られた樹脂組成物を、両端に1mmのスペーサーを巻いたガラス棒を用いてPPフィルム上に塗布し、23℃、50%RHの雰囲気下で2日間硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物をシクロヘキサンに5分間浸漬することで成分(II)が溶解したサンプルを得た。サンプルの表面をニコン社製偏光顕微鏡ECLIPSE E600POLで観察し、無作為に選定した30個の成分(II)のサイズを測定し、それらの算術平均値を算出し、得られた値を成分(II)の平均分散径とした。
<耐候性試験>
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を用いて、30mm×25mm×厚さ5mmのサイズの試験片を作製し、耐候性試験機(スガ試験機社製スーパーキセノンウェザーメーターSX75)を用いて、放射照度180W/m、ブラックパネル温度60℃、相対湿度50%の条件で200時間曝露する耐候性試験を行った。耐候性試験前後で外観に違いが見られなかった場合は〇、違いは見られたが実用に支障のないレベルである場合は△、実用に適さないレベルの違いがみられた場合は×と評価した。
<音響透過損失>
900mm×600mm×厚さ6mmの鋼板の中央を770mm×470mmの大きさに切り抜き、切り抜かれた鋼板の淵に、幅が1cm、厚さが5mmとなるように実施例および比較例で得られた樹脂組成物を塗布した。
その後、800mm×500mm×厚さ5mmの単板ガラスを、塗布した樹脂組成物の上に密着させて、樹脂組成物を硬化させることで試験片とした。得られた試験片を用いてJIS A 1416(2000年)に基づく残響室と無響室による音響透過損失(STL)の測定を行った。
結果を以下の表4及び図1に示す。なお、図1は、実施例1〜4及び比較例1の樹脂組成物の損失正接tanδの温度特性を示すグラフである。
Figure 2020045609
表4の結果から明らかなように、実施例1〜5の樹脂組成物は、引裂強さ、引張せん断接着強さ、及び、硬度が比較例1より高い値を示している。特に実施例1は、接着力試験による破壊モードが凝集破壊タイプであり、接着剤の接着力が極めて高いことを示している。また、図1に示すように、実施例1〜3の樹脂組成物は、−10〜+40℃の範囲にtanδのピークを有しており、樹脂成分(II)を含まない比較例1の樹脂組成物に比べて高い制振性を有することを示している。さらに、実施例1〜5の樹脂組成物は、いずれの周波数においても比較例1の樹脂組成物に比べて高い音響透過損失を有しており、遮音性に優れていることが分かる。
ブロック共重合体は、極性が小さく、接着剤との相容性が低いため、混ざらずに凝集してしまう(力学強度、接着力の低下)恐れがあるが、ブロック共重合体を粉砕することによって得られたパウダー(微粒子)を硬化前の接着剤に混合し適度な分散径で分散させることで、鋼板に対する接着性を維持しつつ、引裂強さや硬度を向上させ、さらに運動性パラメータが所定範囲にある樹脂成分(II)を用いることで制振性をも高めることができる。
また、ブロック共重合体としてtanδのピーク温度の高いものを用いることで、エラストマーの高い材料強度によって、破断伸び、引裂強さ、接着力の向上が見られる。
さらに、実施例1〜4で用いたパウダーを構成する樹脂成分(II)はブロック共重合体であり、その重合体ブロック(B)が水素添加されているため、表1から明らかなように高い耐候性を示しており、また、耐熱性の向上も期待できる。
一方、比較例1の樹脂組成物については、破断伸び、引張せん断接着強さ、硬度等の評価が、実施例1〜5の樹脂組成物よりも劣っている。また、比較例1の樹脂組成物については、−10〜+40℃の範囲にtanδのピークは観察されない。
本発明の樹脂組成物は、自動車用のDG用接着剤に利用できる。また、DG用接着剤以外の用途においても、接着剤に例えば制振性が付与されることにより、振動を抑えたい部材に用いている既存の接着剤を本願発明の接着剤に置き換えることで、接着性を維持しつつ、振動や騒音を低減することが期待できる。

Claims (22)

  1. ヘテロ原子を含むモノマーユニットを有するマトリックス樹脂成分(I)、並びに、芳香族ビニル化合物に由来する重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物に由来する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体、スチレン系樹脂、共役ジエン重合体、及び、オレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である樹脂成分(II)からなる樹脂組成物であって、当該樹脂組成物中における前記樹脂成分(II)の平均分散径が、10μm〜5,000μmである樹脂組成物。
  2. 前記樹脂成分(II)が下記条件(1)を満たす請求項1に記載の樹脂組成物。
    条件(1):パルスNMR装置を用いて測定した、緩和時間xに対する緩和強度yで表される緩和曲線に対して、下記式[I]のフィッティングを行って決定した係数A〜A及び各成分のスピン-スピン緩和時間τ〜τを用いて下記式[II]で求められる、運動性パラメータMが0.01〜0.25秒である。
    y=A1 * exp(-0.5 * (x/τ1)2)+A2 * exp(-0.5 * (x/τ2)2)+A3 * exp(-x/τ3) [I]
    M=(τ2 * A2+τ3 * A3)/(A2+A3) [II]
  3. 前記樹脂成分(I)が、ポリウレタンである請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂成分(I)が、湿気硬化型ポリウレタンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記樹脂成分(I)が、ポリオール化合物及びイソシアネート化合物からなる一液湿気硬化型ポリウレタンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂成分(II)が、パウダー状の凍結粉砕物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 上記パウダー状の凍結粉砕物である前記樹脂成分(II)の50%体積平均径が、0.01mm〜1.0mmである請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂成分(II)の運動性パラメータMが、0.01〜0.10秒である請求項2に記載の樹脂組成物。
  9. 前記樹脂成分(II)が、下記条件(2)を満たす請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    条件(2):JIS K7244−10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度−70〜+100℃、昇温速度3℃/分の条件で測定した60℃のせん断貯蔵弾性率G’が0.10〜0.58MPaであり、損失正接tanδのピーク温度が−5〜+40℃である。
  10. 前記樹脂成分(II)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を70mol%超含有する重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を30mol%以上含有する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記ブロック共重合体における重合体ブロック(A)の含有量が、6〜22質量%である請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記ブロック共重合体における重合体ブロック(B)の水添率が、10〜99mol%である請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 20℃における損失正接tanδの強度が0.15以上である請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  14. 下記条件(1)を満たし、芳香族ビニル化合物に由来する重合体ブロック(A)と、水添率が10〜99mol%であり、共役ジエン化合物に由来する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体、スチレン系樹脂、共役ジエン重合体、及び、オレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である樹脂成分(II)からなるパウダー。
    条件(1):パルスNMR装置を用いて測定した、緩和時間xに対する緩和強度yで表される緩和曲線に対して、下記式[I]のフィッティングを行って決定した係数A〜A及び各成分のスピン-スピン緩和時間τ〜τを用いて下記式[II]で求められる、運動性パラメータMが0.01〜0.25秒である。
    y=A1 * exp(-0.5 * (x/τ1)2)+A2 * exp(-0.5 * (x/τ2)2)+A3 * exp(-x/τ3) [I]
    M=(τ2 * A2+τ3 * A3)/(A2+A3) [II]
  15. 前記樹脂成分(II)の凍結粉砕物である請求項14に記載のパウダー。
  16. 50%体積平均径が、0.01mm〜1.0mmである請求項14又は15に記載のパウダー。
  17. 前記樹脂成分(II)の運動性パラメータMが、0.01〜0.10秒である請求項14〜16のいずれか1項に記載のパウダー。
  18. 前記樹脂成分(II)が、下記条件(2)を満たす請求項14〜17のいずれか1項に記載のパウダー。
    条件(2):JIS K7244−10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度−70〜+100℃、昇温速度3℃/分の条件で測定した60℃のせん断貯蔵弾性率G’が0.10〜0.58MPaであり、損失正接tanδのピーク温度が−5〜+40℃である。
  19. 前記樹脂成分(II)が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を70mol%超含有する重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物に由来する構造単位を30mol%以上含有する重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体である、請求項14〜18のいずれか1項に記載のパウダー。
  20. 前記ブロック共重合体における重合体ブロック(A)の含有量が、6〜22質量%である請求項14〜19のいずれか1項に記載のパウダー。
  21. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する接着剤。
  22. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する自動車用ダイレクトグレージング接着剤。
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