JP2000272825A - ピッチ系炭素繊維の巻き取り方法 - Google Patents
ピッチ系炭素繊維の巻き取り方法Info
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Abstract
しての巻き取り方法に関する。 【解決手段】 引張り弾性率が40ton/mm2以
上、目付けが1.0g/m以上のピッチ系炭素繊維をボ
ビンに巻き取るに際し、巻き始めの綾角が10°以上、
15°以下であって、ボビンへの巻き取り率がピッチ
が、同一方向の直下の糸束に対して、糸束の平均幅の1
00%以上、130%以下のズレ幅を有するスケアエン
ド巻きに巻き取る事を特徴とするピッチ系炭素繊維の巻
き取り方法。
Description
巻き取り方法に関するものであり、より詳しくは高弾性
率のピッチ系炭素繊維の製品ボビンとしての巻き取り方
法に関するものである。
材料であり、高性能複合材のフィラー繊維として注目さ
れている。一般に炭素繊維はポリアクリルニトリル(P
AN)を原料とするPAN系炭素繊維とピッチ類を原料
とするピッチ系炭素繊維が製造されている。これらの炭
素繊維を最終的に製品ボビンとする場合、他の合成繊維
や天然繊維等と同様にボビンに連続長繊維束をボビンの
巻き取り厚み方向に重なり合うように多層状態に巻き取
り、最終製品とするのが一般的に行われる。特公昭62
−46468号公報には、ボビンに巻き取られた炭素繊
維の巻き崩れや解舒時の毛羽および糸切れの発生を改善
する方法として、巻き始め及び巻き終わりの綾角が10
〜30゜及び4〜12゜とし、既に巻かれた糸束に対し
て、糸束平均幅の50〜150%のズレを有することと
されている。
率を有するピッチ系炭素繊維は、伸度が低く、折れ、曲
げに対して弱い為、上記の方法をピッチ系炭素繊維に適
用すると、ボビンへの巻き取りピッチが、同一方向の直
下の糸束に対して、糸束の平均幅の100%未満、即ち
糸束と糸束が重なり合って巻き取りを行うと、糸同士の
絡み合いが強すぎ解舒時に毛羽や糸切れが生じるという
問題が発生する。また、高弾性率を有するピッチ系炭素
繊維は曲げに対して弱く、PAN系炭素繊維や合成繊
維、天然繊維等を原料にした炭素繊維と異なり、綾角の
大きな製品をボビンから解舒する際、ボビン上で糸が擦
れやすいという問題があった。更に、綾角が小さかった
り、糸束と糸束が重なって巻き取りを行うと、上層側の
繊維束が下層側の繊維束に陥没しやすく、解舒時に糸束
のボビン離れが悪くなる傾向があった。このため、解舒
が不安定になり、巻き戻した繊維の品質の低下等の問題
があった。
記問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明は引
張り弾性率が40ton/mm2以上、目付けが1.0
g/m以上のピッチ系炭素繊維をボビンに巻き取るに際
し、巻き始めの綾角が10゜以上15゜以下であって、
ボビンへの巻き取りピッチが、同一方向の直下の糸束に
対して、糸束の平均幅の100%以上130%以下のズ
レ幅を有するスケアエンド巻きに巻き取る事を特徴とす
るピッチ系炭素繊維の巻き取り方法に存する。すなわち
本発明の目的は高弾性率のピッチ系炭素繊維を1〜3k
gあるいはそれ以上、製品の外径としては100mm〜
250mm巻き取った製品が、取り扱い中、特に搬送時
に型崩れすることなく、さらに製品をボビンから糸切れ
やケバ立ち等が発生することなく巻き戻しができ、見栄
えのよいピッチ系炭素繊維の製品ボビンを提供するもの
である。
発明に用いられるピッチ系炭素繊維は下記のようにして
製造される。周知の方法に従って紡糸ピッチとしてコー
ルタールピッチ、石炭液化物等の石炭系ピッチ、各種の
石油系ピッチ及び合成樹脂や天然樹脂を蒸留することに
よって得られる高分子焼成ピッチ等が用いられ、溶融状
態の紡糸ピッチを紡糸口金から気相中に紡出し、集束し
てピッチ繊維束が得られる。ついで得られたピッチ繊維
束は酸素、オゾン、空気、窒素酸化物、ハロゲン、亜硫
酸ガス等の酸化雰囲気下、150〜400℃の温度に5
分〜10時間不融化処理することによって不融化繊維束
が得られる。得られた不融化繊維束は不活性雰囲気中、
500〜1800℃で炭化処理、さらに必要に応じて2
000〜3000℃で黒鉛化処理されて目的のピッチ系
炭素繊維が製造される。
られたピッチ系炭素繊維のうち、引張り弾性率が40t
on/mm2以上の高弾性率のピッチ系炭素繊維を対象
にするものであり、更に伸度が1%以下のピッチ系炭素
繊維を対象とするものである。繊維の目付においては、
目付が1.0g/m以上、好ましくは1.2g/m以
上、特に好ましくは1.5g/m以上で特に有効であ
る。この高弾性ピッチ系炭素繊維は巻き取り条件の設定
が難しく、巻き取り時の張力が低すぎると取り扱い中、
特に搬送時に巻き形状の崩れ、外力による変形、ボビン
から巻き取り製品の滑り落ちなどのトラブルが発生しや
すい。一方、張力が高すぎると巻き取り時、糸束が損傷
し解舒時に毛羽や糸切れが生じやすい。
チ系炭素繊維をボビンに巻き取るに際して巻き取りピッ
チを規定するが、ボビンへの巻き取りピッチは同一方向
の直下の糸束とのずれ幅を表し、ピッチ間隔としては、
糸束の幅に対して100%以上130%以下、好ましく
は110%以上130%以下である。解舒時に生じる毛
羽や糸切れを減少させる為にはピッチ間隔の特定が最も
重要であり、ピッチ間隔が糸束の幅に対して100%未
満、即ち糸束と糸束が重なりあってしまうと、糸束同士
の絡み合いが強すぎ、解舒時毛羽や糸切れが発生しやす
くなるので好ましくない。また、130%より広いと、
取り扱い中、特に搬送時に巻き形状の崩れ、外力による
変形などのトラブルが発生し易く好ましくない。
ては10°以上15゜以下、好ましくは13°以上14
゜以下となるように行うのがよい。ここで綾角とはボビ
ンの半径方向に対する巻き取り繊維束の有する角度(第
1図の1に相当)を意味する。綾角を上記範囲より大き
くすると、折り返しの際、繊維束に対し曲がり角度がつ
きすぎて糸切れ等を生じたり、解舒時の横ずれにより糸
束を損傷したりするので好ましくない。綾核が小さすぎ
ると、上層側に巻き取られている繊維束が下層側の繊維
層に陥没したり、繊維束が重なりやすくなり、巻き戻し
の際にケバ、糸切れ等を生じ易くなり好ましくない。さ
らに搬送時の巻き形状の崩れ、外力による変形などのト
ラブルが発生し易く好ましくない。ピッチ間隔、綾角の
変更はトラバース速度を変更することにより行うことが
できる。トラバース速度の変更は巻き取り装置のギアの
組み合わせ等により自動的に容易に行うことができる。
的に説明するが、その要旨をこえない限り、本発明は実
施例に限定されるものでない。実施例、比較例の特性を
表すのに用いた諸物性値は、以下の方法で測定した。 (1)形状の崩れ 所定長さ巻き終えた後の製品の幅を測定し、設定に対し
ての拡がり具合を形状の崩れとして評価した。 (2)糸切れ率 黒鉛化処理が終了し、一旦ボビンに巻き取った炭素繊維
を、プリプレグなどの加工工程と同様に、全量解舒し、
解舒の際に糸切れの発生するボビンの数を測定し、解舒
した全体ボビンとの比率を糸切れ率とした。
mの円筒状のボビンに、引張り弾性率65ton/mm
2、目付け1.4g/m、伸度0.45%、繊度2.0
g/m、糸束幅4.5mmのピッチ系炭素繊維を巻き始
めの綾角は13゜、ピッチ間隔は糸束幅に対して124
%のズレを有する条件にて670m紙管に巻き取り、解
舒時の糸切れ率の確認を行った。結果を表1に示す。
の綾角は13゜、ピッチ間隔は糸幅に対して80%のズ
レを有する条件以外は実施例1と同様にして、解舒時の
糸切れ率の確認を行った。結果を表1に示す。その結果
ピッチ間隔が糸幅に対して100%を超えると、繰り出
し時のケバの発生が減少し、糸切れ率が低下した。さら
にピッチ間隔を広げるに従い、糸切れ率が低下すること
が分かった。
の綾角を6゜、ピッチ間隔を糸束幅に対し120%前後
のズレを有する条件以外は実施例1と同様にして、形状
の崩れ、製品状態の確認を行った。結果を表1に示す。 [比較例3]ピッチ系炭素繊維を巻き始めの綾角を8
゜、ピッチ間隔を糸束幅に対し120%前後のズレを有
する条件以外は実施例1と同様にして、形状の崩れ、製
品状態の確認を行った。結果を表1に示す。
の綾角を20゜、ピッチ間隔を糸束幅に対し120%前
後のズレを有する条件以外は実施例1と同様にして、形
状の崩れ、製品状態の確認を行った。結果を表1に示
す。
ピッチ系炭素繊維を製品ボビンとして形成する際に、特
定角度の綾角と特定間隔のピッチ間隔にてスケアエンド
巻きにすることにより低張力下で得られる製品のボビン
は見栄えがよくまた、巻き戻し時に糸切れ等が発生せ
ず、かつ巻き形状の崩れのない極めて良好な製品ボビン
を得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 引張り弾性率が40ton/mm2以
上、目付けが1.0g/m以上のピッチ系炭素繊維をボ
ビンに巻き取るに際し、巻き始めの綾角が10゜以上1
5゜以下であって、ボビンへの巻き取りピッチが、同一
方向の直下の糸束に対して、糸束の平均幅の100%以
上130%以下のズレ幅を有するスケアエンド巻きに巻
き取ることを特徴とするピッチ系炭素繊維の巻き取り方
法。 - 【請求項2】 ピッチ系炭素繊維の伸度が1%以下であ
る請求項1に記載のピッチ系炭素繊維の巻き取り方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11085511A JP2000272825A (ja) | 1999-03-29 | 1999-03-29 | ピッチ系炭素繊維の巻き取り方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11085511A JP2000272825A (ja) | 1999-03-29 | 1999-03-29 | ピッチ系炭素繊維の巻き取り方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000272825A true JP2000272825A (ja) | 2000-10-03 |
Family
ID=13860960
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11085511A Pending JP2000272825A (ja) | 1999-03-29 | 1999-03-29 | ピッチ系炭素繊維の巻き取り方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000272825A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015030555A (ja) * | 2013-07-31 | 2015-02-16 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 巻き取り品 |
WO2021085183A1 (ja) * | 2019-10-29 | 2021-05-06 | 宇部エクシモ株式会社 | 巻糸パッケージ及びその製造方法 |
-
1999
- 1999-03-29 JP JP11085511A patent/JP2000272825A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015030555A (ja) * | 2013-07-31 | 2015-02-16 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 巻き取り品 |
WO2021085183A1 (ja) * | 2019-10-29 | 2021-05-06 | 宇部エクシモ株式会社 | 巻糸パッケージ及びその製造方法 |
JP2021070538A (ja) * | 2019-10-29 | 2021-05-06 | 宇部エクシモ株式会社 | 巻糸パッケージ及びその製造方法 |
CN114555498A (zh) * | 2019-10-29 | 2022-05-27 | 宇部爱科喜模株式会社 | 纱线卷装体及其制造方法 |
JP7361569B2 (ja) | 2019-10-29 | 2023-10-16 | 宇部エクシモ株式会社 | 巻糸パッケージ及びその製造方法 |
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