JP3266337B2 - ピッチ系炭素繊維プリプレグ - Google Patents
ピッチ系炭素繊維プリプレグInfo
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Description
各種成形物を得るために用いられる改良された一方向プ
リプレグに関するものであり、特に、ピッチ系炭素繊維
の低目付一方向プリプレグに関するものである。
ド繊維等の強化繊維にエポキシ樹脂を代表とするマトリ
ックス樹脂を含浸せしめたプリプレグは、その優れた機
械的特性を生かし、釣竿、ゴルフシャフト等のスポーツ
・レジャー分野をはじめとし、ロール、回転体等の工業
分野、あるいは航空機の一次、二次構造材等の航空宇宙
分野に至るまで広く用いられてきている。特に、スポー
ツレジャー分野においては、炭素繊維プリプレグは高性
能補強用繊維として大半を占めており、近年では更なる
高機能化を狙って、プリプレグの低樹脂含有率化や高弾
性繊維の使用等が試みられている。例えば、釣竿の用途
では、釣竿のつぶし強度を得るために、従来使用してい
た極薄のガラススクリムクロスの代わりに、極薄の一方
向炭素繊維プリプレグに直交に貼合したものを利用し、
つぶし強度の向上と軽量化を狙ったものが開発されてい
る。こういった成形品の高機能化の要求に伴い、高弾性
炭素繊維を使用した低目付のプリプレグの必要性が増々
高くなって来ている。
な炭素繊維としては、高弾性率化が容易なメソフェース
ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維が主に製造されて
おり、そのプリプレグの用途開発が行われている。その
際、繊維が高弾性になるに従って繊維糸条が剛直とな
り、成形作業性の良好なプリプレグの開発が要求されて
いる。従来のピッチ系高弾性炭素繊維は平均繊維径が8
μmを越えており、該繊維を用いた一方向プリプレグを
管状体にアングル方向に巻き付けて使用すると巻き端部
の起き上がりやローリング時に繊維が折れ、成形品の強
度、剛性を落とすという欠点があった。また、ピッチ系
高弾性炭素繊維で75g/m2 以下の低繊維目付プリプ
レグを製造するには、フィラメント数の少ない低繊度の
炭素繊維束を使用してプリプレグを製造する方法が取ら
れている。一般的に、繊維束はフィラメント数が少ない
繊維束になればなるほどその単位重量当りの価格が高く
なるため、低目付のプリプレグはより高価なものになっ
ている。
元の繊維束単位に分離し易く、ハンドリング性が劣り、
また、繊維揃いが悪く、得られた一方向プリプレグは繊
維蛇行や目開きが生じるという欠点がある。ところで、
ハンドリング性を上げるために撚りをかける方法がある
が、プリプレグの開繊性が劣り、目開きが生じるため満
足な一方向プリプレグができない。特に、釣竿等の90
°方向の補強用として使われるスリットテープは、高精
度のテープ幅とテーピング時の良好な解舒性が要求され
ているため、その原反となる一方向プリプレグは目開き
と厚みむらのない、より均一なものにする必要がある。
を得るための技術としては、特開昭56−43,435
号公報、特開昭57−77,432号公報、特開昭60
−9,961号公報及び特開平1−282,362号公
報等がある。これらは、繊維束を予め機械的な接触手段
で開繊したり、あるいは開繊に当たって繊維束のサイジ
ング剤を除去する方法等が取られている。かかる方法で
は、ピッチ系高弾性炭素繊維束においては、一般の炭素
繊維に比べ高弾性で伸びが小さいというその繊維特性か
ら、繊維束当りの拡幅量をより必要とする低目付のピッ
チ系高弾性炭素繊維の一方向プリプレグは目開きが生じ
たり、毛羽が多いものしか得られなかった。
したような欠点がなく、目開きがほとんど皆無の低目付
のピッチ系高弾性炭素繊維の一方向プリプレグを提供す
ることにある。
硬化性樹脂を含浸した15〜75g/m2 の繊維目付を
有する一方向プリプレグにおいて、繊維束が平均繊維径
4〜8μmの連続繊維で、かつ、無合糸で構成されたピ
ッチ系炭素繊維束であって、繊維束を構成するフィラメ
ントの引張強度が3.0GPa以上、引張弾性率が60
0GPa以上であることを特徴とする一方向プリプレグ
である。
ト数は2,000〜12,000本であり、フィラメン
トの引張強度が3.0GPa以上、引張弾性率が600
GPa以上であることが好ましい。更に、繊維束の屈曲
強度Bが次式 B≧(2.875×10-4TM−0.17)-1 〔但し、B:屈曲強度(MPa)、TM:引張弾性率
(GPa)〕を満足するものであることが望ましい。
ず、本発明にいう一方向プリプレグとは、互いに並行、
かつ、シート状に引き揃えられた多本数の繊維束に通常
よりも長く加熱可塑性状態に留める、いわゆるBステー
ジの熱硬化性樹脂を含浸させてなるものであり、1本の
繊維束が初期幅の2倍から10倍程度に拡幅されたもの
で構成される。
度、引張弾性率及び屈曲強度とは次のようにして求めた
値をいう。 (平均繊維)炭素繊維の平均繊維径Dは次式 D=√(4W/Nρπ) 〔但し、W:単位長さ当りの繊維束の重さ、N:フィラ
メント数(単糸本数)、ρ:繊維の密度〕から求められ
る。 (フィラメントの引張強度、引張弾性率)フィラメント
の引張強度は、JIS R7601に規定する樹脂含浸
ストランド試験法に準拠して求めた。また、引張弾性率
は、直接読み取り法により破断荷重の10〜30%の範
囲における引張弾性率を求めた。 (屈曲強度)長さ1mの炭素繊維束を取り出し、第14
図に示すように、炭素繊維束17の両端を揃えて、タブ
18を接着剤で取り付けたループ上繊維束のループ部に
直径1mmの針金19を引っかけ、針金あるいはタブを
0.2m/分の速度で引っ張り、ループが針金部で破断
した際に荷重計20で測定された荷重を炭素繊維束1本
の断面積で割った値を屈曲強度とした。
炭素繊維束は、平均繊維径が4〜8μmで、2,000
〜12,000本の連続繊維が無合糸で構成されるもの
である。平均繊維径が8μm超で600GPaを越す高
弾性率の繊維束を用いた一方向プリプレグでは管状体に
アングル方向に巻き付けて使用すると成形時に巻き端部
の起き上がり、成形作業性を低下させ、ひいては繊維が
折れ、成形品の強度、剛性を落とすという問題が起こ
る。一方、4μm未満の直径ではピッチ系炭素繊維の連
続繊維の製造が難しく、その生産性からみて極めて高価
なものとなり実際的でない。繊維束及びプリプレグを製
造する際の生産性を向上させるには、繊維束のフィラメ
ント数は2,000以上が必要であり、このフィラメン
ト数が2,000未満では炭素繊維束の繊度(単位長さ
当りの繊維束の重さ)が小さく生産性が損なわれる。ま
た、フィラメント数が12,000超ではコンポジット
成形品の補強用として用いられる繊維目付75g/m2
以下の一方向プリプレグは目開きが多く、本発明には適
さない。
成形物の高機能化を図るためには引張弾性率が600G
Pa以上であり、引張強度は3.0GPa以上、好まし
くは3.5GPa以上、更に好ましくは4.0GPa以
上である。この引張強度が3.0GPa未満では繊維の
伸びが極端に小さく、高機能材料としての用途が極めて
限られたものになる。屈曲強度は弾性率により大きく変
化するが、例えば、弾性率600GPaの時に400M
Pa未満、弾性率700GPaの時に32MPa未満、
弾性率800GPaの時に17MPa未満では繊維束の
ハンドリングが著しく損なわれ、プリプレグ製造時に繊
維束が破断したり、毛羽発生が多く外観の悪いプリプレ
グとなる。
とを特徴とする。これはピッチ系炭素繊維の製造におい
て、ピッチ繊維束を一旦得た後、ピッチ繊維の状態で、
あるいは不融化後あるいは炭化後に合糸を行った繊維束
を用いてプリプレグの製造を行うと、クリールスタンド
から含浸機に糸を引く時に合糸する前の繊維束単位に分
割してしまい、作業性が著しく低下する。また、合糸し
た繊維束は撚りが入っており開繊性が悪く、特に、低目
付の一方向プリプレグは繊維の蛇行や目開きができ、満
足なプリプレグができない。従って、本発明に使用する
繊維束は前駆体であるピッチ繊維は合糸することなく、
紡糸段階でフィラメント数が2,000〜12,000
本で製造されたものである必要がある。
るための製法ついて以下に説明する。先ず、本発明に用
いるピッチ系高弾性炭素繊維束を得るための製法の一例
について説明する。図1は溶融紡糸ノズル断面図であ
り、溶融紡糸ノズル12はノズルプレート2を具備し、
該ノズルプレート2には複数のキャピラリー9が配置さ
れている。キャピラリー9は同心円上に3〜20列配置
している。同心円状に配置されるキャピラリー位置の最
外周半径は50〜250mmが好ましい。キャピラリー
の配置する列数は3列未満では単一のノズルプレートに
1,000個以上のキャピラリーを配置することが困難
であったり、あるいはノズルプレートが非常に大きなも
のとなる。また、列数が20列超では列中央部の雰囲気
温度が外周列あるいは内周列の雰囲気温度に較べ高温と
なり安定した紡糸が困難となる。
に、キャピラリーの配置箇所は2個以上のブロックに分
割されている必要がある。キャピラリーとキャピラリー
の間隔は好ましくは1〜6mm、更に好ましくは2〜3
mmが適当である。ブロックとブロックの間隔は扇型に
分割した場合(図3〜6)、角度で10〜30°の間隔
をあけるか、あるいは最狭部で10mm以上の間隔をあ
けることが好ましい。また、キャピラリー径は直径50
μm〜110μm、好ましくは70μm〜100μmで
ある。キャピラリー径が110μm超では細径なピッチ
繊維の紡糸が不安定となり、50μm未満ではキャピラ
リーの加工が非常に困難となったり、ノズルの整備が煩
雑となり好ましくない。キャピラリーが配置されている
箇所が分割されずに連続した同心円状となると、ノズル
中央への雰囲気ガスの導入が不十分となり、ノズル中央
部の雰囲気が高温となり安定した紡糸の継続が困難とな
る。
以上、好ましくは30〜150mmの円柱状の突起物3
を設けることが肝要である。円柱状突起物3はキャピラ
リーを配置したブロックとブロックの間隙を流れる気流
を制御する役割を担い、この突起部3が無い場合、ある
いはこの高さが20mm未満の場合、ブロックとブロッ
クの間隙を流れる気流がノズル中央部でぶつかり、ノズ
ル中央部で気流が非常に乱れ、このためノズル中央付近
(ノズル最内周付近に配置するキャピラリー付近)での
紡糸の安定化が極めて困難となる。この円柱状突起物と
キャピラリーの配置をブロックごとに分割することによ
り、ノズル内周部の冷却と随伴流の制御による安定紡糸
化の両方の効果をもたらすことが可能となる。円柱状突
起物3は、図9〜12に示すように、円柱に限定される
ものではなく、円柱の一端が縮小していたり角が丸めら
れたものであっても、効果に顕著な差はみられず、図9
〜12に示した高さHが20mm以上、好ましくは30
〜150mmであればよい。
ル当り1,000以上、好ましくは2,000〜6,0
00キャピラリーという、従来の紡糸装置では全く不可
能と考えられていたキャピラリー数を有するノズルであ
っても安定した紡糸が初めて可能となる。しかしなが
ら、ピッチ繊維を溶融紡糸する場合、溶融紡糸時にピッ
チから発生するベーパー、あるいは分解物によりノズル
プレート面が著しく汚れる。このため、安定した紡糸の
継続期間がノズルプレートの汚れのために限定せざるを
得なかった。この対策としては紡糸時に生じる随伴流
を、ノズルプレート近傍にまで接近させることが効果的
であり、ノズルプレート直下の雰囲気の置換が良好とな
り、ノズルの汚れを著しく減少させることができる。具
体的には、キャピラリー配置部の外周、ノズルプレート
下部に円周状にスリットを設け、ここから雰囲気ガスを
吸気することにより、紡糸によって生じる随伴流がノズ
ルプレート直下を流れるようになる。
最外周部より20mm以上好ましくは50〜200mm
とすることがよく、また、スリットの幅は5〜30mm
が好ましい。同心円に配置されるキャピラリー位置の最
外周半径が100mmを超えると、1箇所の吸気位置で
スリット全体にわたって均一に吸引を行なうことが困難
となるため、必要に応じ2個以上、好ましくは4〜8箇
所に分割し、吸引量が均一となるように制御することに
より、安定した紡糸が可能となる。この時の気流の流れ
は、図1に示すように、吸引用スリット4の吸引によ
り、随伴流の開始位置は全体的にノズルプレート2側に
引き寄せられ、ノズルプレート直下を流れることとな
る。また、キャピラリーが配置されたブロックとブロッ
クの間隙を通る気流は円柱状突起物3により下方向の流
れが与えられ、気流は乱れることなく安定的に流れ、こ
のため安定した紡糸が可能となる。
チの原料は、コールタール、コールタールピッチ等の石
炭系ピッチ、石炭液化ピッチ、エチレンタールピッチ、
流動接触触媒分解残査油から得られるデカントオイルピ
ッチ等の石油系ピッチ、あるいはナフタレン等から触媒
等を用いて作られる合成ピッチ等、各種のピッチを包含
するものである。本発明の炭素繊維束に使用されるメソ
フェーズピッチは、前記のピッチを公知の方法でメソフ
ェーズを発生させたものである。メソフェーズピッチ
は、紡糸した際のピッチ繊維の配向性が高いものが望ま
しく、このためメソフェーズ含有量は40%以上、より
好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含有
するものが望ましい。また、メソフェーズピッチは軟化
点が200〜400℃、より好ましくは250〜350
℃のものがよい。得られたピッチは紡糸に先だって絶対
濾過精度が3μm以下であるフィルター、あるいはこの
フィルターと同等あるいはそれ以上の濾過精度が得られ
る濾過方法によりピッチ中の異物を取り除くことが必要
である。ピッチ中に3μm以上の固形異物が存在すると
糸切れが頻発することとなる。
で紡糸する条件としては、例えば、粘度200〜900
ポイズを示す温度で、圧力10〜100kg/cm2 ・
G程度で押し出しながら、100〜1,000m/分
、好ましくは300〜600m/分の引き取り速度で
延伸することで、所定の繊維径のピッチ繊維を得ること
ができる。この時に、キャピラリーを2,000以上有
する紡糸ノズルを単独で使用してピッチ繊維を得てもよ
いし、当該紡糸ノズルを2個以上、図13のように、本
発明の紡糸ノズルを複数個並べた紡糸装置において、当
該紡糸ノズルから押し出されるピッチ繊維を単一のロー
ルで延伸し、マルチフィラメントのピッチ繊維を得ても
よい。この時に並べる紡糸ノズルの数は、6個以下が好
ましく、これより数が多いと、各ノズル間の調整が煩雑
になったり、また、紡糸ノズルの間隔が広がり、単一の
ロールで延伸することが困難となり、糸揃いのよいマル
チフィラメント炭素繊維の製造が困難となる。
数が2,000以上の細径炭素繊維束用のピッチ繊維を
得ることができる。ピッチ繊維の繊維径は、ピッチ繊維
を不融化、炭化、黒鉛化することにより繊維径の収縮が
生じるので、この分を考慮してピッチ繊維の繊維径を決
定すればよく、通常、ピッチ繊維で直径5〜11μmに
紡糸することで繊維径4〜8μmの細径炭素繊維を得る
ことができる。次に、得られたピッチ繊維は、従来公知
の方法で不融化、炭化、黒鉛化及び表面処理を行うこと
で、繊維径が4〜8μmフィラメント数が2,000〜
12,000本の細径繊維より構成されるピッチ系炭素
繊維束が得られる。
束を用いた一方向プレプレグは公知のホットメルト型の
プリプレグ製造装置で製造することができるが、その製
法の一例について次に説明する。図15は本発明の一方
向プレプレグを製造するのに好適なプリプレグ製造装置
の模式図である。クリールスタンド21に立てたボビン
22から解舒された繊維束23は、等間隔に配置された
コーム24を通して引き揃えられ、更に、40〜150
℃、好ましくは60〜120℃に加熱された梨地肌のバ
ー25で開繊されながら引き揃えられる。なお、ここで
使用する繊維束の本数は、所望の繊維目付とプリプレグ
幅及び繊維束の繊度から決定される。熱硬化性樹脂を離
型紙に所定量塗布した塗工紙26を上下からニップロー
ル27に送り込んで重ね合わせ、その間に引き揃えられ
た繊維束を送り込む。繊維束は80〜150℃に加熱さ
れたニップロール27、28、29を通り、1cm当り
3〜15kgの線圧を与えて繊維束の拡幅と樹脂の転移、
含浸を行い、冷却した後、上部離型紙32を剥ぎ取り、
ポリエチレン等の熱可塑性樹脂のカバーフィルム33を
はりつけて、ワインダー36で紙管に巻き取ることによ
り、繊維目付15〜75g/m2 の一方向プリプレグ3
5を得ることができる。
維束からのプリプレグと比べると、繊維束当りの拡幅量
がより必要な低目付域において、目開きがなく、厚みが
均一であると共に、毛羽や繊維蛇行等の外観面でも優れ
ていることを見い出した。これは、使用する繊維束が無
合糸であるため、合糸繊維束と比べ繊維束の撚りと繊維
絡みが少なく、繊維束の拡開幅が長さ方向に極めて均一
になっているためと推測される。
化複合材のマトリックス樹脂として使われている通常の
樹脂、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレ
イド樹脂等を主成分とするものであるが、特に優れた機
械的特性を与え、成形性も良好なことからエポキシ樹脂
が好ましい。また、硬化剤としてはそれぞれのマトリッ
クス樹脂に適合した既知のものが使用され得る。樹脂含
有率は20〜50wt%、好ましくはタック保持性と物
性の点から30〜45wt%が好ましい。本発明の一方
向プリプレグは、従来にない高弾性の細径炭素繊維から
構成される低目付プリプレグであり、上記均一性を有し
ているため、管状コンポジット成形品の剛性向上や軽量
化に好適である。特に、管状体の補強用として使われる
スリットテープ用の一方向プリプレグの原反として好適
である。
を具体的に説明する。
した軟化点80℃のコールタールピッチを用い、触媒を
用いて直接水素化を行った。この水素化処理ピッチを常
圧下480℃で熱処理した後、低沸点分を除きメソフェ
ーズピッチを得た。このピッチは、軟化点が300℃、
メソフェーズ含有量が95%であった。このピッチを濾
過精度3μmのステンレスファイバー製のフィルターを
用いて温度340℃で濾過を行い、ピッチ中の異物を取
り除き、精製ピッチを得た。
ルプレートにキャピラリー径100μm、キャピラリー
長さ150μm、キャピラリー数2,000本のノズル
パックを用いて紡糸を行なった。キャピラリーの配置は
図5の形式であり、最外周に配置するキャピラリー位置
は半径100mm、最内周は半径75mmで、同心円状
に11列のキャピラリーを配置したブロックは23゜の
角度の間隔をもって4分割されている。ノズル中央に
は、高さ50mm、直径120mmの図9の断面形状の
円柱突起物を取り付けた。また、ノズルプレート外周部
には直径300mm、幅15mmのスリットを設け、4
方向から分割して吸引を行なった。ノズルプレート表面
温度316℃、紡糸粘度600ポイズ、キャピラリー当
りのピッチ流量を0.043g/分とし、紡糸速度が4
00m/分となるよう、ロールを回転させ延伸し、得ら
れたピッチ繊維を吸引ノズルで引き取りケンスに収納し
た。この時、6時間の長時間にわたり糸切れがなく、平
均繊維径が9.8μm、フィラメント数が2,000本
のピッチ繊維を得た。
ケンスに収納した状態で、空気に二酸化窒素ガスを5体
積%添加した酸化ガスをケンス下部から吹き込みながら
150℃から300℃まで1℃/分で昇温し、そのまま
300℃で30分間保持して不融化繊維を得た。この不
融化繊維をケンスに収納した状態で窒素ガス雰囲気下で
不融化繊維を10℃/分で昇温し、390℃まで昇温
し、その温度で30分保持し一次炭化を行なった。次
に、この一次炭化糸を内温1,100℃、窒素ガス雰囲
気の炉にケンスから繊維糸条を繰り出しながら線状に焼
成しボビンに巻き取った。得られたボビンから炭化繊維
糸条を巻き返しながら2,400℃の温度で黒鉛化を行
い、表面酸化後、サイジング剤を付与して乾燥後、ボビ
ンに巻き取った。得られた炭素繊維束の特性を表1のN
o.1に示す。
6本を用いて、図15のような一方向プリプレグの製造
装置で、エポキシ樹脂を所定量塗布した離型紙により、
繊維目付30g/m2 、樹脂含有率42wt%の幅1,
000mmのカバーフィルム付きの一方向プリプレグを
製造した。得られたプリプレグ(表1のNo.1)は目
開きや毛羽がなく外観が良好であった。
べ、このうち中央に配置する紡糸ノズルの下部に位置す
るロール1台で3台のノズルから押し出されるピッチ繊
維を同時に延伸し紡糸した。この時の紡糸条件は、ノズ
ルプレート表面温度316℃、紡糸粘度600ポイズ、
キャピラリー当りのピッチ流量を0.035g/分とし
て、紡糸速度が400m/分となるよう、ロールを回転
させ延伸し、得られたピッチ繊維を吸引ノズルで引き取
りケンスに収納した。この時、2時間の長時間にわたり
糸切れがなく、平均繊維径が8.8μm、フィラメント
数6,000本のピッチ繊維を得た。
不融化、炭化を行い、2,500℃の温度で黒鉛化を行
い、表面酸化後、サイジング剤を付与して乾燥後、ボビ
ンに巻き取った。得られた炭素繊維束の特性を表1のN
o.2に示す。この炭素繊維束139本を用いて、実施
例1と同じプリプレグの製造装置でエポキシ樹脂を所定
量塗布した離型紙により、繊維目付55g/m2 、樹脂
含有率38wt%の幅1,000mmのカバーフィルム
付きの一方向プリプレグを製造した。得られたプリプレ
グ(表1のNo.2)は目開きや毛羽がなく外観が良好
であった。
し、離型紙を剥ぎながら長さ205mに巻き取った。次
に、この幅250mmのプリプレグをスリッターにかけ
て幅5mm、長さ200mのスリットテープを得た。得
られたスリットテープは幅5.0mm±0.1mmであ
り、巻姿も奇麗であった。また、このスリットテープを
テーピングマシンでカバーフィルムを剥ぎながら直径2
1mm、長さ1,100mmの芯金に巻いた結果、解舒
性は良好であり、巻き付けたテープには繊維折れはなか
った。
幅7mm、長さ205mのスリットテープを得た。得ら
れたスリットテープは幅7.0mm±0.1mmであ
り、巻姿も美麗であった。また、このスリットテープに
ついて実施例3と同様なテーピング試験を行った結果、
解舒性は良好であり、巻き付けたテープには繊維折れは
なかった。
0mmのノズルプレートにキャピラリー径100μm、
キャピラリー長さ150μm、キャピラリー数500本
のノズルパックを用いて実施例1と同じ延伸条件で紡糸
し、平均繊維径が9.8μm、フィラメント数が500
本のピッチ繊維を得た。このピッチ繊維を実施例1と同
じ条件で、不融化、一次炭化した。次に、この一次炭化
糸を内温1,100℃、窒素ガス雰囲気の炉に4個のケ
ンスから繊維糸条を繰り出しながら4本合糸して線状に
焼成し、2,000本の合糸繊維束としてボビンに巻き
取った。得られたボビンから炭化繊維糸条を巻き返しな
がら実施例1と同じ黒鉛化を行い、表面酸化後、サイジ
ング剤を付与して乾燥後、ボビンに巻き取った。得られ
た炭素繊維束の特性を表1のNo.3に示す。この炭素
繊維束186本を用いて、実施例1と同様の一方向プリ
プレグを製造した。得られたプリプレグ(表1のNo.
3)は目開きが頻発し、繊維蛇行がみられ、均一性と外
観が劣るものであった。
件にして、平均繊維径が8.8μm、フィラメント数
2,000本のピッチ繊維を得た。このピッチ繊維を実
施例1と同じ条件で、不融化、一次炭化した。次に、こ
の一次炭化糸を内温1,100℃、窒素ガス雰囲気の炉
に3個のケンスから繊維糸条を繰り出しながら3本合糸
して線状に焼成し、ボビンに巻き取った。得られたボビ
ンから炭化繊維糸条を巻き返しながら2,500℃の温
度で黒鉛化を行い、表面酸化後サイジング剤を付与して
乾燥後、ボビンに巻き取った。得られた炭素繊維束の特
性を表1のNo.4に示す。この炭素繊維束139本を
用いて、実施例1と同様の一方向プリプレグを製造し
た。得られたプリプレグ(表1のNo.4)は目開きが
頻発し、繊維蛇行がみられ、均一性と外観が劣るもので
あった。
幅5mm、長さ200mのスリットテープを得た。テー
プの幅が3.5mmになっているところがあり、幅の均
一性で劣っていた。また、このスリットテープは巻側面
にひげ状の繊維が出ていた。実施例3と同様なテーピン
グ試験を行った結果、テープの破断が頻発した。
幅7mm、長さ200mのスリットテープを得た。この
スリットテープは幅は所々5〜6mmの所があり、幅に
むらがあった。このスリットテープを実施例3と同様な
テーピング試験を行った結果、繊維折れはなかったが、
巻ピッチが不揃いで均一に巻くことができなかった。
とし、キャピラリー当りのピッチ流量を0.069g/
分とした以外は実施例1と同じ条件で紡糸を行ない、平
均繊維径が12.9μm、フィラメント数が2,000
のピッチ繊維を得た。このピッチ繊維を実施例1と同じ
条件で不融化、炭化を行い、2,500℃の温度で黒鉛
化を行い、表面酸化後、サイジング剤を付与して乾燥
後、ボビンに巻き取った。得られた炭素繊維束の特性を
表1のNo.5に示す。この炭素繊維束172本を用い
て、実施例2と同様の一方向プリプレグを製造した。得
られたプリプレグ(表1のNo.5)は目開きはなかっ
たが、プリプレグ表面にフィラメント状の毛羽が多かっ
た。
幅7mm、長さ225mのスリットテープを得た。この
スリットテープを用いて、実施例3と同様なテーピング
試験を行った結果、芯金に巻いたテープに繊維折れが観
察された。
(繊維目付100g/m2 、樹脂含有率28wt%)を
0°方向に3プライした後、実施例4で得られたスリッ
トテープを7mmピッチで90°方向に巻き付け、テー
プラッピング後、所定の条件で硬化しパイプ成形品を得
た。このパイプの4点曲げ強度は、比較例6で得たスリ
ットテープを用いた同様の積層構成のパイプ成形品と比
べ、15%高い値が得られた。
高弾性の細径炭素繊維から構成される低目付の一方向プ
リプレグであり、目開きがほとんど皆無であり、また、
厚みも均一であることから、管状コンポジット成形品の
剛性向上や軽量化に好適である。
めの製法の一例を説明する図面であり、溶融紡糸ノズル
の断面図である。
めの製法の一例を説明する図面であり、溶融紡糸ノズル
の底面図である。
めの製法の一例を説明する図面であり、ノズルのキャピ
ラリー配置図である。
配置図である。
配置図である。
配置図である。
配置図である。
配置図である。
めの製法の一例を説明する図面であり、円柱状突起物の
側面図である。
面図である。
面図である。
面図である。
るための製法の一例を説明する図面であり、溶融紡糸装
置の模式図である。
強度の測定方法を示す模式図である。
るために好適なプリプレグ製造装置を示す模式図であ
る。
物、4…吸引用スリット、6 吸引量調整ダンパー、8
…ピッチ繊維、9…キャピラリー、10…ノズルプレー
ト押え、11…キャピラリー配置ブロック、12…溶融
紡糸装置、13…延伸ロール搬送ロール、14…ピッチ
繊維搬送ロール、15…ピッチ繊維束吸引ノズル、16
…ピッチ繊維収納ケンス、17…炭素繊維束、18…タ
ブ、19…直径1.0mmの針金、20…荷重計、21
…クリールスタンド、22…ボビン、23…炭素繊維
束、24…コーム、25…バー、26…塗工紙、27,
28,29…ニップロール、30…ヒーター、31…チ
ラープレート、32…離型紙、33…カバーフィルム、
34…プルロール、35…一方向プリプレグ、36…ワ
インダー。
Claims (3)
- 【請求項1】 繊維束を引き揃え、熱硬化性樹脂を含浸
した15〜75g/m2 の繊維目付を有する一方向プリ
プレグにおいて、繊維束が平均繊維径4〜8μmの連続
繊維で、かつ、無合糸で構成されたピッチ系炭素繊維束
であって、繊維束を構成するフィラメントの引張強度が
3.0GPa以上、引張弾性率が600GPa以上であ
ることを特徴とする一方向プリプレグ。 - 【請求項2】 繊維束を構成するフィラメント数が2,
000〜12,000本であることを特徴とする請求項
1記載の一方向プリプレグ。 - 【請求項3】 繊維束の屈曲強度Bが次式 B≧(2.875×10-4TM‐0.17)-1 〔但し、B:屈曲強度(MPa)、TM:引張弾性率
(GPa)〕を満足することを特徴とする請求項1記載
の一方向プリプレグ。
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---|---|---|---|
JP32227692A JP3266337B2 (ja) | 1992-11-09 | 1992-11-09 | ピッチ系炭素繊維プリプレグ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32227692A JP3266337B2 (ja) | 1992-11-09 | 1992-11-09 | ピッチ系炭素繊維プリプレグ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06143275A JPH06143275A (ja) | 1994-05-24 |
JP3266337B2 true JP3266337B2 (ja) | 2002-03-18 |
Family
ID=18141837
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32227692A Expired - Lifetime JP3266337B2 (ja) | 1992-11-09 | 1992-11-09 | ピッチ系炭素繊維プリプレグ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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KR101975889B1 (ko) * | 2014-06-13 | 2019-05-07 | 코오롱인더스트리 주식회사 | 합성섬유 방사구금 |
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-
1992
- 1992-11-09 JP JP32227692A patent/JP3266337B2/ja not_active Expired - Lifetime
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