JP2000258607A - 微細構造の形成方法及び光学素子の製造方法 - Google Patents

微細構造の形成方法及び光学素子の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細構造により、反射防止膜構造を得る。 【解決手段】 (a)に示すようにBOE形状が成形され
たBOE121の裏面にレジスト膜122を成膜し、B
OE形状の形成されたBOE121上にはクロム123
を電子ビーム蒸着法を用いて、成膜することにより、直
径約50nm、間隔約80nmの島構造124を形成す
ることができる。続いて、(b)に示すように島構造12
4をマスクとし、BOE121をエッチング液により深
さ55nmエッチングし、錐状の微細構造125を形成
する。更に、(c)に示すように、エッチング液を用い
て、ウエットエッチングすることによりマスクとして使
用した島構造124を除去する。そして、BOE121
の裏面に形成したレジスト膜124をレジスト剥離液を
用いて除去する。このようにして形成された微細構造1
25は、波長λ=248nmの入射光に対し、反射率が
1%以下の反射防止効果を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に断面が階段状
に形成されて成る回折格子等のバイナリオプティクス
(BOE:Binary Optical Element)表面に形成する微
細構造の形成方法及び光学素子の製造方法関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、高精度の回折光学素子を製造する
ために、BOEが注目を集めている。BOEは図17
(a)に示すようなブレーズド状の断面形状を有する回折
光学素子1を、図17(b)に示すような階段形状を有す
る回折光学素子2に近似したものである。
【0003】また、通常では光学素子の表面には、反射
光を抑制するための反射防止膜が設けられており、屈折
型レンズの場合には表面が滑らかであるため、反射防止
膜の形成は容易に行うことができる。一方、BOE表面
における反射防止膜の形成に関しては、例えばE.Pawlow
ski and B.Kuhlow,”Antireflection-coated deffracti
ve optical elements fabricated by thin-film deposi
tion”,Opt.Eng.33(11),3537-3546(1994)の論文に開示
されている。
【0004】この論文に開示されている方法は、図18
に示すようにイオンビームスパッタリング技術を使用し
て、階段形状を有する基板11の上方から反射防止膜を
構成する物質mを、基板11に対して垂直に堆積させる
ことにより、反射防止膜12を形成している。BOEの
ような微細構造上に反射防止膜12を形成する場合に
は、理想的には図18に示すように、入射光に対し垂直
なステップ面11aにのみ反射防止膜が形成されること
が望ましい。
【0005】また、別の反射防止手段として、例えばS.
J.Wilson and M.C.Hutley,”The opticalproperties of
‘moth eye’antireflection surfaces”,Optica.Act
a.,Vol.29,No7,993-1009(1982)の論文においては、BO
E素子の表面に微細構造を設けることにより、屈折率を
連続的に変化させることによって反射を防止する方法が
開示されている。即ち、図19(a)に示すように、基板
31上に塗布したレジスト膜32に、アルゴン又はクリ
プトンイオンレーザー光L1(波長λ=458nm又は
351nm)をX、Y方向にそれぞれに干渉させ、レジ
スト膜32を露光し、図19(b)に示すような微細な突
起33を形成することにより、反射を防止することがで
きる。
【0006】また同様に、別の方法がF.T.Chen,H.G.Cra
ighead,”Diffractive phase elements based on two-d
imensional artificial dielectrics”,Opt.Lett.,Vol.
20,No2,121-123(1995)の論文に開示されている。この方
法は、図20(a)に示すように石英基板41上に膜厚1
00nmのアルミニウム膜42を成膜し、更にこのアル
ミニウム膜42上にレジスト膜43を塗布した後に、電
子ビーム露光法を用いてビーム径70nmの電子ビーム
L2をレジスト膜43を図20(b)に示すように露光、
現像する。そして、図20(c)に示すように、リアクテ
ィブイオンエッチング(RIE)装置を用いて、レジス
ト膜43をマスクとして、アルミニウム膜42をエッチ
ングする。更に、図20(d)に示すように、アルミニウ
ム膜42及びレジスト膜43をマスクとして石英基板4
1をエッチングする。そして、アルミニウム膜42及び
レジスト膜43を除去することにより、図20(e)に示
すような反射防止効果を有する円柱状の微細構造44を
形成することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図21
に示すように従来のスパッタリング技術等では、BOE
等の微細な階段構造上に反射防止膜を形成すると、階段
構造が微細なために、成膜される反射防止膜52の膜厚
が不均一となり、また入射光に対して平行な階段構造の
側面51aにも反射防止膜52が成膜されてしまい、反
射防止効果が低減してしまう。
【0008】更に、反射防止膜を用いて反射防止を行う
ためには、使用する波長に合わせて適切な屈折率を有す
る膜材料を選択する必要がある。また、光源に300n
mよりも短い波長を用いる場合には、適切な光学特性を
有する膜材料は乏しく、特に膜の吸収率が大きいこと
や、大きな屈折率差の得られる材料が少なく、反射防止
効果の得られる波長範囲が狭くなる。また、成膜方法や
耐久性等の実績も低い。
【0009】また、従来例に示したレーザー光の干渉を
利用して設けるには、レーザー光の干渉が不十分であ
り、反射防止構造となるレジストパターンが不均一とな
り、反射防止効果が低減してしまう。更に、反射防止構
造となるレジスト膜は有機物質であるため、光の吸収が
生じて利用可能な波長も限定され、安定性や耐久性にも
問題を生ずる。
【0010】また、電子ビーム露光法を用いてレジスト
膜を露光、現像した後に、エッチングし、基板表面に微
細構造を設けることにより反射防止を行う場合に、微細
構造を有する表面においてレジスト膜を露光すると、デ
フォーカスによりレジストパターンが不均一となり、反
射防止構造として形成される円柱状のピラー又はホール
の大きさが不均一となる。また、電子ビーム露光法にお
いては1本のビームにより露光するため、大面積のパタ
ーニングには多大な時間を要し、実用には適さない。
【0011】本発明の目的は、上述の問題点を解消し、
薄膜成長過程において形成される核又は島構造(以下、
核又は島構造を島構造と云う)をエッチングマスクと
し、物体表面をエッチングすることにより、微細構造の
形成方法及び光学素子の製造方法を提供することにあ
る。
【0012】また、本発明の目的は、光学素子表面の所
望の位置に光学材料そのもので微細構造を形成すること
により、効果的な反射防止又は増反射機能を持つ光学素
子を製造することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明に係る微細構造の形成方法は、物体の表面に、薄
膜の形成過程における核成長の形態において形成される
核又は島構造をエッチングマスクとして形成し、該エッ
チングマスクを介して前記物体の表面にエッチングを行
うことを特徴とする。また、本発明による光学素子の製
造方法は、基板の表面に、薄膜の形成過程における核成
長の形態において形成される核又は島構造をエッチング
マスクとして形成し、該エッチングマスクを介して前記
表面に反射防止効果を有する微細構造をエッチングする
ことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明を図1〜図16に図示の実
施例に基づいて詳細に説明する。図1は微細構造の形成
模式図を示しており、図1(a)において、物体61上に
スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法やCVD
法等を用いて、薄膜の形成機構の核形成様式に成膜する
物質62により、島と呼ばれる島構造63を形成する。
一般に核が成長することにより、直径約1〜10nm以
上に成長したものが島と呼ばれている。
【0015】続いて、図1(b)に示すように、島構造6
3をエッチングマスクとして用い、物体61の表面をエ
ッチングする。そして、図1(c)に示すように、エッチ
ングマスクとして使用した島構造63を除去することに
より、物体61の表面に微細構造64が形成される。従
って、所望する微細構造64のサイズ及び分布密度は、
島構造63となる物質62、成膜方法及び成膜条件によ
って決定する。また、微細構造64の立体形状はエッチ
ング方法により決定される。
【0016】図2は図1(a)における島構造63の形成
の説明図を示している。前述した種々の成膜方法によ
り、基板71上に付着した原子72或いは分子の多く
は、基板71上を拡散するが、原子72は単独で存在す
る間は不安定であり、或る滞留時間が経過すると再蒸発
する。しかし、基板71の表面を運動中に他の原子72
或いは原子集団と互いに衝突し結合すると、核73に成
長する。この核73は他の原子72や他の核73と合体
し、成長することにより図1(a)に示すような島構造6
3に成長し、更にはこの島構造63が合体することによ
り、より大きくなると架橋部を形成する。更に、成長す
ると網目構造と成り、幅約50〜200オングストロー
ムのチャンネル構造から、多くの小さな穴のある状態を
経て、最後には穴が塞がり連続した膜となる。
【0017】また、島構造63の大きさや密度は、図2
に示す核73の状態から島構造63が合体形成する間の
成膜物質及び成膜方法の組み合わせと成膜時間、成膜温
度等の条件により制御が可能となる。例えば、スパッタ
法と蒸着法を比較すると、スパッタ法を用いて形成され
た島構造63の大きさは小さいが密度は高い。一方、蒸
着法を用いて形成された島構造63の大きさは大きいが
密度は低い。また、イオンを利用したイオンプレーティ
ング法やイオンビームスパッタ法等の成膜方法を用いた
場合には、イオンビーム照射強度が核73の成長に影響
を及ぼし、島構造63の密度や大きさの制御が可能であ
る。
【0018】更に、図1(c)に示す微細構造64の立体
形状は、使用するエッチング様式により制御することが
できる。例えば異方性の高いリアクティブイオンエッチ
ング(RIE)法を用いると、図3(a)に示すように、
二次元形状を有する柱状の微細構造81を形成すること
ができる。また、等方性の高いエッチング法を用いる
と、島構造63の下部にアンダカットを生じ、図3(b)
に示すような円錐形状の微細構造82を形成することが
できる。これらの微細構造81、82の高さは、エッチ
ング速度に応じ、エッチング時間により制御を行うこと
ができる。また、ウエットエッチングを用いる際には、
エッチング液の濃度を調整することにより円錐形状の側
壁角度の制御を行うことも可能である。
【0019】図4は光の屈折に関する説明図を示してお
り、上述した方法を用いて形成された微細構造64、8
1、82に反射防止又は反射増加効果を付与するために
は、以下に示す式(1)、(2)を満たす条件が必要となる。
例えば、屈折率nsを有する物質91上に屈折率n、膜
厚dの透明な単層反射防止膜92が形成されている際の
空気の界面における反射防止条件は、波長λの光に対し
て、次の式(1)、(2)のようになる。
【0020】
【0021】ここで、式(1)は位相条件、式(2)は振幅条
件と呼ばれ、これらの式(1)、(2)の条件を満足するよう
な物質を用いることにより、反射防止を実現することが
できる。
【0022】物体の表面に微細構造を設けることによ
り、外部媒質と物質91の間に中間の屈折率を有する単
層反射防止膜92が存在することと同様の効果が得ら
れ、基板表面の反射を減少又は増加されることができ
る。例えば、図4に示す構造において、波長λに対して
物質91の屈折率ns=1.51のとき、単層反射防止
膜92の代りに屈折率n=1.23を有する反射防止構
造を設ければ、式(2)より反射を防止することができ
る。
【0023】また図5に示すように、物体表面101の
断面を三角形状の構造にすることにより、三角形状の深
さ方向に対して徐々に屈折率が変化し、反射防止効果が
得られる。更に、二次元周期構造、例えばピラミッド形
状の微細構造は、反射防止の効果が大きいことは‘moss
eye’として知られている。
【0024】図6は上述した微細構造の形成方法と反射
防止の光学的条件により、物質表面に反射防止効果を有
する微細構造の概略図であり、異方性のエッチング方法
を用い、物質111上に柱状の微細構造112を形成し
たものを示している。この場合の反射防止の条件は、図
6に示す柱状の微細構造112の間隔a、大きさb、高
さcとその間隔比f(fill factor)により決定される。
図7は間隔比fと中間層の役割を果たす微細構造の屈折
率の関係を示し、従来例において示したDiffractive ph
ase elements based on two-dimensional artificial d
ielectricsの論文を基に計算し、この結果と上述の式
(2)から柱状の微細構造112の間隔aと大きさbを計
算することができる。また、柱状の微細構造112の高
さcは、上述した(1)式から求めることができる。
【0025】一方、図8は異方性のエッチング方法を用
い、物質113上に円錐状の微細構造114の形成にた
もを示しており、この場合の反射防止の条件は、従来例
において示したThe optical properties of ’moth ey
e’antireflection surfacesの論文から微細構造112
の間隔a、高さcにより計算することができ、次の式
(3)、(4)を満足するようにすればよい。
【0026】λ<2.5c …(3) λ>na …(4)
【0027】これらの(3)、(4)から、それぞれの形状に
おいて微細構造114の間隔a、大きさb及び高さcが
得られ、それに基づいて島構造の形成及びエッチング工
程を制御することにより、所望の効果を付与する微細構
造114を物質113上に形成することができる。
【0028】図9は第1の実施例における回折光学素子
として用いるBOE表面への反射防止構造の形成方法の
模式図を示している。先ず、図9(a)に示すように石英
から成るBOE121の裏面にレジスト膜122を成膜
し、BOE121上にはクロム123を電子ビーム蒸着
法を用いて、基板温度を150℃、成膜速度を5オング
ストローム/秒において10秒間成膜することにより、
直径約50nm、間隔約80nmの島構造124を形成
することができる。続いて、図9(b)に示すように島構
造124をマスクとし、BOE121を40%HF:N
4F水溶液:2%AgNO3:30%H22:H2O=
1:1:1:1:9から成るエッチング液により深さ5
5nmエッチングし、錐状の微細構造125を形成す
る。
【0029】更に、図9(c)に示すように、硝酸第2セ
リウムアンモン、過塩素酸、H2Oの混合液から成るエ
ッチング液を用いて、ウエットエッチングすることによ
りマスクとして使用した島構造124を除去する。そし
て、BOE121の裏面に形成したレジスト膜124を
レジスト剥離液を用いて除去する。このようにして形成
された微細構造125は、波長λ=248nmの入射光
に対し、反射率が1%以下の反射防止効果を得ることが
できる。また、BOE121の裏面には通常の反射防止
膜を形成すればよい。更に、反射防止膜を成膜する光学
素子はBOE121の他に、レンズ、プリズム、マス
ク、回折格子を用いてもよい。また、BOE121の材
料は石英の他にガラス、CaF2を用いることもでき
る。
【0030】図10は第2の実施例におけるBOEの両
面への反射防止構造の形成方法の模式図を示している。
先ず、図10(a)に示すようにBOE131の片面13
1a上にアルミニウム132をイオンビームアシスト蒸
着法を用いて、基板温度を室温、成膜速度を5オングス
トローム/秒において5秒間成膜することにより、直径
約15nmの島構造133aを約40nmの間隔で形成
することができる。続いて、図10(b)に示すように島
構造133aをマスクとし、BOE131をRIE法に
よりCHF3系エッチングガスを用いて、深さ40nm
エッチングし、柱状の微細構造134aを形成する。そ
して、図10(c)に示すように裏面131bにおいても
図10(a)、(b)と同様に島構造133bを形成し、この
島構造133bをマスクとし、柱状の微細構造134b
を形成する。その後に、図10(d)に示すように、H3
4、HNO3、CH3COOH、H2Oの混合液を用い
て、マスクとして使用したBOE131の両面に設けら
れた島構造133a、133bをウエットエッチングに
より除去する。このようにして形成された微細構造13
4a、134bは、波長λ=193nmの入射光に対
し、反射率1%以下の反射防止効果を得ることができ
る。
【0031】図11は第3の実施例における反射防止構
造を有するマスク141の断面図を示しており、露光装
置において使用する。マスク141のガラス面142に
は、第1又は第2の実施例と同様な方法により反射防止
の微細構造143を形成する。微細構造143の高さ、
間隔や形状は使用する露光装置の波長に応じた構造とす
ればよい。なお、マスク141の下面には遮光部144
が設けられている。また、必要に応じてマスク141の
他面にも反射防止構造を設けることができる。
【0032】図12は第4の実施例における反射防止構
造の形成方法の模式図を示している。先ず、図12(a)
に示すように石英から成るBOE151上にをレジスト
膜152を塗布する。続いて、図12(b)に示すよう
に、BOE151の1段の大きさが約1μm以下の部分
のBOE151a上に塗布されているレジスト膜152
aを露光、現像することにより除去し、露出したBOE
151a上に、第1の実施例と同様に電子ビーム蒸着法
を用いてクロムの島構造153に形成し、この島構造1
53をマスクとし、BOE151aをRIE法を用いて
深さ40nmエッチングし、柱状の微細構造154を形
成する。そして図12(c)に示すように、島構造153
を第1の実施例と同様のエッチング液により除去し、ま
た残りのレジスト膜152bを除去し、BOE151b
を露出させる。
【0033】その後に、図12(d)に示すように再度、
微細構造154上にレジスト膜155を塗布する。ま
た、スパッタ法を用いてレジスト膜155、BOE15
1b上にSiO2とAl23から成る通常の反射防止膜
156a、156bを形成する。最後に、図12(e)に
示すように、レジスト膜155及び反射防止膜156a
を除去する。BOE151の表面において回折素子構造
の1段の大きさが1μm以下で微細のため、反射防止膜
が十分に機能しない部分のBOE151a上には、微細
構造154による反射防止構造が形成され、反射防止膜
が機能するBOE151bには通常の反射防止膜156
が形成される。従って、このBOE151は波長λ=2
48nmの入射光に対し、反射率1%以下の反射防止効
果を得られる。また、本実施例においては成膜しない
が、BOE151の裏面には通常の反射防止膜を形成し
てもよい。
【0034】図13は第1〜第4の実施例におけるBO
Eの何れかを有する投影光学系の構成図を示しており、
BOE161は通常のレンズ162と共働して光学系の
各収差を補正する。なお、通常のレンズ162の表面に
は反射防止膜が形成されている。
【0035】このような投影光学系は、各種カメラや、
一眼レフレックスカメラに取り付ける交換レンズ、複写
機等の事務機、液晶パネル製造用の投影露光装置、LS
I等の半導体製造用の投影露光装置に用いられる。
【0036】図14は上述した投影露光装置の概略図を
示している。露光光を供給する照明光学系171から出
射した光束は、マスク172を介し、マスク172に描
かれたデバイスパターンの像を投影する投影光学系17
3を透過し、レジストが塗布されたガラス基板やシリコ
ン基板174に照射する。この投影光学系173は第1
〜第3の実施例における微細構造を備えたBOEから成
る回折光学素子の何れかを有する。また、照明光学系1
71も第1〜第4の実施例における同様の回折光学素子
の何れかを有する。同様に、マスク172にも反射防止
構造が設けられている。照明光学系171や投影光学系
173を構成する通常のレンズには、通常の反射防止膜
が成膜されている。
【0037】図15はICやLSI等の半導体チップ、
液晶パネル或いはCCD等の半導体デバイスの製造工程
のフローチャート図を示している。先ず、ステップS1
において半導体デバイスの回路設計を行い、続いてステ
ップS2においてステップS1で設計した回路パターン
をEB描画装置等を用いマスクを作成する。
【0038】一方、ステップS3においてシリコン等の
材料を用いてウェハを製造する。その後に、前工程と呼
ばれるステップS4において、ステップS2、S3にお
いて用意したマスク及びウェハを用い、リソグラフィ技
術によってウェハ上に回路を形成する。
【0039】更に、後工程と呼ばれるステップS5にお
いて、ステップS4によって製造されたウェハを用いて
ダイシング、ボンディング等のアッセンブリ工程、チッ
プ封入等のパッケージング工程を経て半導体チップ化す
る。チップ化された半導体デバイスは、ステップS6に
おいて動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こ
のような一連の工程を経て半導体デバイスは完成し、ス
テップS7に進み出荷される。
【0040】図16は図15におけるステップS3にお
いて、ウェハ製造の詳細な製造工程のフローチャート図
を示している。先ず、ステップS11においてウェハ表
面を酸化させる。続いて、ステップS12においてウェ
ハ表面をCVD法により絶縁膜を形成し、ステップS1
3において電極を蒸着法により形成する。更にステップ
S14に進み、ウェハにイオンを打込む。続いて、ステ
ップS15においてウェハ上に感光剤を塗布する。ステ
ップS16では半導体露光装置によりマスクの回路パタ
ーンをウェハ上の感光剤上に焼付ける。
【0041】ステップS17において、ステップS16
において露光したウェハ上の感光剤を現像する。更に、
ステップS18でステップS17において現像したレジ
スト像以外の部分をエッチングする。その後に、ステッ
プS19においてエッチングが済んで不要となったレジ
ストを剥離する。更に、これらの一連の工程を繰り返し
行うことにより、ウェハ上に多重の回路パターンを形成
することができる。
【0042】以上述べた本発明の実施例において、下記
のような実施態様が考えられる。
【0043】(a)マスクとなる島構造形成のための成膜
方法は、電子ビーム蒸着法、イオンビームアシスト蒸着
法に限らず、各種蒸着方法、CVD法、レーザーアブレ
ーション法等その他の成膜技術を用いてもよい。
【0044】(b)基板の材質は、石英やSi等透過型、
反射型の使用目的に合わせて材質を適宜選択すればよ
い。
【0045】(c)マスクとなる島構造を形成する成膜物
質は、本実施例に限らず、金属、金属酸化物、金属窒化
物、金属炭化物等を利用することができる。
【0046】(d)島構造の直径及び間隔は、基板の材
質、成膜物質、成膜法、成膜時間及び基板温度等によっ
て制御することが可能であり、その使用目的に合わせて
材質、条件を適宜選択すればよい。
【0047】(e)基板の材質とマスクとなる成膜物質の
組み合わせは、用いるエッチング法において被エッチン
グ物質である基板材質とマスクとなる成膜物質のエッチ
ング選択比が取れるようにそれぞれを選択すればよい。
【0048】(f)表面に形成される微細構造の形状の制
御は、基板の材質と成膜物質の組み合わせ、及びエッチ
ング方法やエッチング選択比及び異方性の強さによって
制御することが可能であり、その使用目的に合わせて適
宜選択すればよい。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る微細構
造の形成方法及び光学素子の製造方法は、BOEのよう
な微細な階段状の構造を有する光学素子の表面に微細構
造を形成することができ、光学素子表面の反射防止が実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微細構造の形成模式図である。
【図2】島構造の成形における説明図である。
【図3】微細構造の形成模式図である。
【図4】屈折の説明図である。
【図5】反射防止構造の断面図である。
【図6】反射防止構造の概略図である。
【図7】反射防止効果を有する微細構造と屈折率の関係
の説明図である。
【図8】反射防止構造の概略図である。
【図9】第1の実施例における反射防止構造の製作模式
図である。
【図10】第2の実施例における反射防止構造の製作模
式図である。
【図11】第3の実施例におけるマスクの断面図であ
る。
【図12】第4の実施例における反射防止構造の製作模
式図である。
【図13】投影光学系の構成図である。
【図14】投影露光装置の概略図である。
【図15】半導体デバイスの製造フローチャート図であ
る。
【図16】ウエハ製造の詳細なフローチャート図であ
る。
【図17】回折光学素子の概略図である。
【図18】BOEの概略図である。
【図19】従来の微細構造の製作模式図である。
【図20】従来の微細構造の製作模式図である。
【図21】BOEの概略図である。
【符号の説明】
61 物体 62、91、111、112、113 物質 63、124、133、153 島構造 64、81、82、112、114、134、143、
154 微細構造 71 基板 72 原子 73 核 92 単層反射防止膜 101 物体表面 121、131、151 BOE 122、152、155 レジスト膜 123 クロム 132 アルミニウム 141 マスク 142 ガラス面 144 遮光部 156 反射防止膜
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月15日(2000.2.1
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 微細構造の形成方法及び光学素子の製
造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細構造の形成方
法に関し、特に断面が階段状に形成されて成る回折格子
等のバイナリオプティクス(BOE:Binary Optical E
lement)表面に形成する微細構造の形成方法及び光学素
子の製造方法関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高精度の回折光学素子を製造する
ために、BOEが注目を集めている。BOEは図17
(a)に示すようなブレーズド状の断面形状を有する回折
光学素子1を、図17(b)に示すような階段形状を有す
る回折光学素子2で近似したものである。
【0003】また、通常の透過型の光学素子の表面に
は、反射(光)を抑制するための反射防止膜が設けられて
おり、屈折型レンズの場合には表面が滑らかであるた
め、反射防止膜の形成は容易に行うことができる。一
方、BOE表面は滑らかではないが、BOE表面におけ
る反射防止膜の形成に関して、例えばE.Pawlowski and
B.Kuhlow,”Antireflection-coated deffractive optic
al elements fabricated bythin-film deposition”,Op
t.Eng.33(11),3537-3546(1994)の論文に開示されてい
る。
【0004】この論文に開示されている方法は、図18
に示すようにイオンビームスパッタリング技術を使用し
て、階段形状を有する基板11の上方から、反射防止膜
を構成する物質mを、基板11に対して垂直に堆積させ
ることにより、反射防止膜12を形成している。BOE
のような微細構造上に反射防止膜12を形成する場合に
は、理想的には図18に示すように、光軸に平行入射光
に対し垂直な面であるステップ面11aにのみ反射防止
膜が形成されることが望ましい。
【0005】また、別の反射防止手段として、例えばS.
J.Wilson and M.C.Hutley,”The opticalproperties of
‘moth eye’antireflection surfaces”,Optica.Act
a.,Vol.29,No7,993-1009(1982)の論文においては、BO
Eの表面に微細構造を設けることにより、表面付近の屈
折率を表面垂直方向に連続的に変化させ、これによって
反射を防止する方法が開示されている。即ち、図19
(a)に示すように、基板31上に塗布したレジスト膜3
2に、アルゴン又はクリプトンイオンレーザー光L1
(波長λ=458nm又は351nm)をX、Y方向に
それぞれに干渉させ、レジスト膜32を露光し、図19
(b)に示すような微細な突起33を形成することによ
り、反射を防止することができる。
【0006】また同様に、別の方法がF.T.Chen,H.G.Cra
ighead,”Diffractive phase elements based on two-d
imensional artificial dielectrics”,Opt.Lett.,Vol.
20,No2,121-123(1995)の論文に開示されている。この方
法は、図20(a)に示すように石英基板41上に膜厚1
00nmのアルミニウム膜42を成膜し、更にこのアル
ミニウム膜42上にレジスト膜43を塗布した後に、電
子ビーム露光法を用いてビーム径70nmの電子ビーム
L2をレジスト膜43を図20(b)に示すように露光、
現像する。そして、図20(c)に示すように、リアクテ
ィブイオンエッチング(RIE)装置を用いて、レジス
ト膜43をマスクとして、アルミニウム膜42をエッチ
ングする。更に、図20(d)に示すように、アルミニウ
ム膜42及びレジスト膜43をマスクとして石英基板4
1をエッチングする。そして、アルミニウム膜42及び
レジスト膜43を除去することにより、図20(e)に示
すような反射防止効果を有する円柱状の微細構造44を
形成することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図18
で示したスパッタリング技術でBOE等の微細な階段構
造上に反射防止膜を形成すると、階段構造が微細なため
に、図21に示すように成膜される反射防止膜52の膜
厚が不均一となり、また入射光に対して平行階段構造の
側面51aにも反射防止膜52が成膜されてしまい、反
射防止効果が低減してしまう。
【0008】更に、反射防止膜を用いて反射防止を行う
ためには、使用する波長に合わせて適切な屈折率を有す
る膜材料を選択する必要がある。また、光源に300n
mよりも短い波長を用いる場合には、適切な光学特性を
有する膜材料は乏しく、特に膜の吸収率が大きいこと
や、大きな屈折率差の得られる材料が少なく、反射防止
効果の得られる波長範囲が狭くなる。また、成膜方法や
耐久性等の実績も低い。
【0009】また、図19に示したレーザー光の干渉に
よる干渉縞で露光を行って微細構造を設ける方法は、レ
ーザー光の干渉が不十分であり、反射防止構造となるレ
ジストパターンが不均一となり、反射防止効果が低減し
てしまう場合がある。更に、反射防止構造となるレジス
ト膜は有機物質であるため、光の吸収が生じて利用可能
な波長も限定され、安定性や耐久性にも問題を生ずる。
【0010】また、図20の電子ビーム露光法を用いて
レジスト膜を露光、現像した後にエッチングし、基板表
面に微細構造を設けることにより反射防止を行う場合
に、微細構造を有する表面においてレジスト膜を露光す
ると、デフォーカスによりレジストパターンが不均一と
なり、反射防止構造として形成される円柱状のピラー又
はホールの大きさが不均一となる。また、電子ビーム露
光法においては1本のビームにより露光するため、大面
積のパターニングには多大な時間を要し、実用には適さ
ない。
【0011】本発明の目的は、上述の問題点を解消でき
る微細構造の形成方法及び光学素子の製造方法を提供す
ることにある。
【0012】また、本発明の目的は、光学素子表面の所
望の位置に素子材料そのもので微細構造を形成すること
により、効果的な反射防止機能又は増反射機能を持つ光
学素子を得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明に係る微細構造の形成方法は、物体の表面に、薄
膜の形成過程における核成長の形態において形成される
核又は島構造をエッチングマスクとして形成し、該エッ
チングマスクを介して前記物体の表面にエッチングを行
うことを特徴とする。
【0014】また、本発明による光学素子の製造方法
は、基板の表面に、薄膜の形成過程における核成長の形
態において形成される核又は島構造をエッチングマスク
として形成し、該エッチングマスクを介して前記表面に
反射防止効果を有する微細構造をエッチングすることを
特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明を図1〜図16に図示の実
施例に基づいて詳細に説明する。図1は微細構造の形成
方法を示す模式図であり、図1(a)において、物体61
上にスパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法やC
VD法等を用いて、薄膜の形成機構の核形成様式に成膜
する物質62により、島と呼ばれる島構造63を形成す
る。一般に核が成長することにより、直径約1〜10n
m以上に成長したものが島と呼ばれている。
【0016】続いて、図1(b)に示すように、島構造6
3をエッチングマスクとして用い、物体61の表面をエ
ッチングする。そして、図1(c)に示すように、エッチ
ングマスクとして使用した島構造63を除去することに
より、物体61の表面に微細構造64が形成される。従
って、所望する微細構造64のサイズ及び分布密度は、
島構造63となる物質62、成膜方法及び成膜条件によ
って決定する。また、微細構造64の立体形状はエッチ
ング方法により決定される。
【0017】図2は図1(a)における島構造63の形成
の説明図を示している。前述した種々の成膜方法によ
り、基板71上に付着した原子72或いは分子の多く
は、基板71上を拡散するが、原子72は単独で存在す
る間は不安定であり、或る滞留時間が経過すると再蒸発
する。しかし、基板71の表面を運動中に他の原子72
或いは原子集団と互いに衝突し結合すると、核73に成
長する。この核73は他の原子72や他の核73と合体
し、成長することにより図1(a)に示すような島構造6
3に成長し、更にはこの島構造63が合体することによ
り、より大きくなると架橋部を形成する。更に成長する
と網目構造と成り、幅約50〜200オングストローム
のチャンネル構造から、多くの小さな穴のある状態を経
て、最後には穴が塞がり連続した膜となる。
【0018】また、島構造63の大きさや密度は、図2
に示す核73の状態から島構造63が合体形成する間の
成膜物質及び成膜方法の組み合わせと成膜時間、成膜温
度等の条件により制御が可能となる。例えば、スパッタ
法と蒸着法を比較すると、スパッタ法を用いて形成され
た島構造63は寸法は小さいが密度は高い。一方、蒸着
法を用いて形成された島構造63は寸法は大きいが密度
は低い。また、イオンを利用したイオンプレーティング
法やイオンビームスパッタ法等の成膜方法を用いた場合
には、イオンビーム照射強度が核73の成長に影響を及
ぼし、島構造63の密度や大きさの制御が可能である。
【0019】更に、図1(c)に示す微細構造64の立体
形状は、使用するエッチング様式により制御することが
できる。例えば異方性の高いリアクティブイオンエッチ
ング(RIE)法を用いると、図3(a)に示すように、
二次元形状を有する柱状の微細構造81を形成すること
ができる。また、等方性の高いエッチング法を用いる
と、島構造63の下部にアンダカットを生じ、図3(b)
に示すような円錐形状の微細構造82を形成することが
できる。これらの微細構造81、82の高さは、エッチ
ング速度と、エッチング時間とにより制御を行うことが
できる。また、ウエットエッチングを用いる際には、エ
ッチング液の濃度を調整することにより円錐形状の側壁
角度の制御を行うことも可能である。
【0020】図4は反射防止条件を説明するための図を
示しており、上述した方法を用いて形成された微細構造
64、81、82に反射防止又は反射増加効果を付与す
るためには、以下に示す式(1)、(2)を満たす条件が必要
となる。例えば、屈折率nsを有する物質91上に屈折
率n、膜厚dの透明な単層反射防止膜92が形成されて
いる際の空気との界面における反射防止条件は、波長λ
の光に対して、次の式(1)、(2)のようになる。
【0021】
【0022】ここで、式(1)は位相条件、式(2)は振幅条
件と呼ばれ、これらの式(1)、(2)の条件を満足するよう
な物質を用いることにより、反射防止を実現することが
できる。
【0023】物体の表面に微細構造を設けることによ
り、外部媒質と物質91の間に中間の屈折率を有する単
層反射防止膜92が存在することと同様の効果が得ら
れ、基板表面の反射を減少又はなくすことができる。例
えば、図4に示す構造において、波長λに対して物質9
1の屈折率ns=1.51のとき、厚さdは同じで、単
層反射防止膜92の代りに、屈折率n=1.23を示す
反射防止用微細構造を設ければ、反射を防止することが
できる。
【0024】また図5に示すように、物体表面101の
断面を三角形状の構造にすることにより、三角形状の深
さ方向に対して徐々に屈折率が変化し、反射防止効果が
得られる。更に、二次元周期構造、例えばピラミッド形
状の微細構造は、反射防止の効果が大きいことは‘moss
eye’として知られている。
【0025】図6は上述した本発明の微細構造の形成方
法を用いて、上述の反射防止の光学的条件を満たすよう
に物質表面に形成した反射防止効果を有する微細構造の
概略図であり、異方性のエッチング方法を用い、物質1
11上に柱状の微細構造112を形成したものを示して
いる。この場合の反射防止の条件は、物質111の屈折
率と図6に示す柱状の微細構造112の間隔a、大きさ
b、高さcとその間隔比f(fill factor)により決定さ
れる。図7は間隔比fと反射防止層の役割を果たす微細
構造の屈折率の関係を示し、従来例において示したDiff
ractive phaseelements based on two-dimensional art
ificial dielectricsの論文を基に計算し、この結果と
上述の式(2)から柱状の微細構造112の間隔aと大き
さbを計算することができる。また、柱状の微細構造1
12の高さcは、上述した(1)式から求めることができ
る。
【0026】一方、図8は本発明の形成方法において異
方性のエッチング方法を用い、物質113上に円錐状の
微細構造114の形成したものを示しており、この場合
の反射防止の条件は、従来例において示したThe optica
l properties of ’moth eye’antireflection surface
sの論文から物質113の屈折率nと微細構造112の
間隔a、高さcにより計算することができ、次の式
(3)、(4)を満足するようにすればよい。
【0027】λ<2.5c …(3) λ>na …(4)
【0028】これらの(3)、(4)から、それぞれの形状に
おいて微細構造114の間隔a、大きさb及び高さcが
得られ、それに基づいて島構造の形成及びエッチング工
程を制御することにより、所望の反射防止効果を付与す
る微細構造114を物質113上に形成することができ
る。
【0029】図9は本発明の第1の実施例を示す模式図
であり、BOEの表面への反射防止構造の形成方法を示
している。先ず、図9(a)に示すように石英から成るB
OE121の裏面にレジスト膜122を成膜し、BOE
121上にはクロム123を電子ビーム蒸着法を用い
て、基板温度を150℃、成膜速度を5オングストロー
ム/秒において10秒間成膜することにより、直径約5
0nm、間隔約80nmの島構造124を形成すること
ができる。続いて、図9(b)に示すように島構造124
をマスクとし、BOE121を40%HF:NH4F水
溶液:2%AgNO3:30%H22:H2O=1:1:
1:1:9から成るエッチング液により深さ55nmエ
ッチングし、錐状の微細構造125を形成する。
【0030】更に、図9(c)に示すように、硝酸第2セ
リウムアンモン、過塩素酸、H2Oの混合液から成るエ
ッチング液を用いて、ウエットエッチングすることによ
りマスクとして使用した島構造124を除去する。そし
て、BOE121の裏面に形成したレジスト膜124を
レジスト剥離液を用いて除去する。このようにして形成
された微細構造125は、波長λ=248nmの入射光
に対し、反射率が1%以下の反射防止効果を得ることが
できる。また、BOE121の裏面には通常の反射防止
膜を形成すればよい。更に、反射防止膜を成膜する光学
素子はBOE121の他に、レンズ、プリズム、マス
ク、回折格子を用いてもよい。また、BOE121の材
料は石英の他にガラス、CaF2を用いることもでき
る。
【0031】図10は本発明の第2の実施例を示す模式
図であり、BOEの両面への反射防止構造の形成方法を
示している。先ず、図10(a)に示すようにBOE13
1の片面131a上にアルミニウム132をイオンビー
ムアシスト蒸着法を用いて、基板温度を室温、成膜速度
を5オングストローム/秒において5秒間成膜すること
により、直径約15nmの島構造133aを約40nm
の間隔で形成することができる。続いて、図10(b)に
示すように島構造133aをマスクとし、BOE131
をRIE法によりCHF3系エッチングガスを用いて、
深さ40nmエッチングし、柱状の微細構造134aを
形成する。そして、図10(c)に示すように裏面131
bにおいても図10(a)、(b)と同様に島構造133bを
形成し、この島構造133bをマスクとし、柱状の微細
構造134bを形成する。その後に、図10(d)に示す
ように、H3PO4、HNO3、CH3COOH、H2Oの
混合液を用いて、マスクとして使用したBOE131の
両面に設けられた島構造133a、133bをウエット
エッチングにより除去する。このようにして形成された
微細構造134a、134bは、波長λ=193nmの
入射光に対し、反射率1%以下の反射防止効果を得るこ
とができる。
【0032】図11は本発明の第3の実施例を示し、反
射防止構造を有するマスク141の断面図を示してお
り、このマスクは露光装置において使用する。マスク1
41のガラス面142には、第1又は第2の実施例と同
様な方法により、反射防止の機能を有する微細構造14
3を形成する。微細構造143の高さ、間隔や形状は使
用する露光装置の露光光の波長λに応じた構造とすれば
よい。なお、マスク141の下面には遮光部144が設
けられている。また、必要に応じてマスク141の他面
にも反射防止構造を設けることができる。
【0033】図12は本発明の第4の実施例を示す模式
図であり、反射防止構造の形成方法を示している。先
ず、図12(a)に示すように石英から成るBOE151
上にをレジスト膜152を塗布する。続いて、図12
(b)に示すように、BOE151の1段の大きさが約1
μm以下の部分のBOE151a上に塗布されているレ
ジスト膜152aを露光、現像することにより除去し、
露出したBOE151a上に、第1の実施例と同様に電
子ビーム蒸着法を用いてクロムの島構造153に形成
し、この島構造153をマスクとし、BOE151aを
RIE法を用いて深さ40nmエッチングし、柱状の微
細構造154を形成する。そして図12(c)に示すよう
に、島構造153を第1の実施例と同様のエッチング液
により除去し、また残りのレジスト膜152bを除去
し、BOE151bを露出させる。
【0034】その後に、図12(d)に示すように再度、
微細構造154上にレジスト膜155を塗布する。ま
た、スパッタ法を用いてレジスト膜155、BOE15
1b上にSiO2とAl23から成る通常の反射防止膜
156a、156bを形成する。最後に、図12(e)に
示すように、レジスト膜155及び反射防止膜156a
を除去する。BOE151の表面において回折素子構造
の1段の大きさが1μm以下で微細のため、反射防止膜
が十分に機能しない部分のBOE151a上には、微細
構造154による反射防止構造が形成され、反射防止膜
が機能する部分のBOE151bには通常の反射防止膜
156が形成される。従って、このBOE151は波長
λ=248nmの入射光に対し、反射率1%以下の反射
防止効果を得られる。また、本実施例においては成膜し
ないが、BOE151の裏面には通常の反射防止膜を形
成してもよい。
【0035】図13は第1〜第4の実施例におけるBO
Eの何れかを有する投影光学系の構成図を示しており、
BOE161は通常のレンズ162と共働して光学系の
各種収差を補正する。なお、通常のレンズ162の表面
には反射防止膜が形成されている。
【0036】このような投影光学系は、各種カメラや、
一眼レフレックスカメラに取り付ける交換レンズ、複写
機等の事務機、液晶パネル製造用の投影露光装置、LS
I等の半導体製造用の投影露光装置に用いられる。
【0037】図14は上述した投影露光装置の概略図を
示している。露光光を供給する照明光学系171から出
射した光束は、マスク172を介し、マスク172に描
かれたデバイスパターンの像を投影する投影光学系17
3を透過し、レジストが塗布されたガラス基板やシリコ
ン基板174に照射する。この投影光学系173は第1
〜第3の実施例における微細構造を備えたBOEから成
る回折光学素子の何れかを有する。また、照明光学系1
71も第1〜第4の実施例における同様の回折光学素子
の何れかを有する。同様に、マスク172にも反射防止
構造が設けられている。照明光学系171や投影光学系
173を構成する通常のレンズには、通常の反射防止膜
が成膜されている。
【0038】図15はICやLSI等の半導体チップ、
液晶パネル或いはCCD等の半導体デバイスの製造工程
のフローチャート図を示している。先ず、ステップS1
において半導体デバイスの回路設計を行い、続いてステ
ップS2においてステップS1で設計した回路パターン
をEB描画装置等を用いマスクを作成する。
【0039】一方、ステップS3においてシリコン等の
材料を用いてウェハを製造する。その後に、前工程と呼
ばれるステップS4において、ステップS2、S3にお
いて用意したマスク及びウェハを用い、リソグラフィ技
術によってウェハ上に回路を形成する。
【0040】更に、後工程と呼ばれるステップS5にお
いて、ステップS4によって製造されたウェハを用いて
ダイシング、ボンディング等のアッセンブリ工程、チッ
プ封入等のパッケージング工程を経て半導体チップ化す
る。チップ化された半導体デバイスは、ステップS6に
おいて動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こ
のような一連の工程を経て半導体デバイスは完成し、ス
テップS7に進み出荷される。
【0041】図16は図15におけるステップS3にお
いて、ウェハ製造の詳細な製造工程のフローチャート図
を示している。先ず、ステップS11においてウェハ表
面を酸化させる。続いて、ステップS12においてウェ
ハ表面をCVD法により絶縁膜を形成し、ステップS1
3において電極を蒸着法により形成する。更にステップ
S14に進み、ウェハにイオンを打込む。続いて、ステ
ップS15においてウェハ上に感光剤を塗布する。ステ
ップS16では半導体露光装置によりマスクの回路パタ
ーンをウェハ上の感光剤上に焼付ける。
【0042】ステップS17において、ステップS16
において露光したウェハ上の感光剤を現像する。更に、
ステップS18でステップS17において現像したレジ
スト像以外の部分をエッチングする。その後に、ステッ
プS19においてエッチングが済んで不要となったレジ
ストを剥離する。更に、これらの一連の工程を繰り返し
行うことにより、ウェハ上に多重の回路パターンを形成
することができる。
【0043】以上述べた本発明の実施例において、下記
のような実施態様が考えられる。
【0044】(a)マスクとなる島構造形成のための成膜
方法は、電子ビーム蒸着法、イオンビームアシスト蒸着
法に限らず、各種蒸着方法、CVD法、レーザーアブレ
ーション法等その他の成膜技術を用いてもよい。
【0045】(b)基板の材質は、使用目的に合わせて選
択すればよい。透過型の素子の場合は石英やSiが使用
でき、反射型の素子の場合Siが使える。なお、反射型
の素子の場合に、本発明の方法により増反射層を形成す
ることになる。
【0046】(c)マスクとなる島構造を形成する成膜物
質は、本実施例に限らず、金属、金属酸化物、金属窒化
物、金属炭化物等を利用することができる。
【0047】(d)島構造の直径及び間隔は、基板の材
質、成膜物質、成膜法、成膜時間及び基板温度等によっ
て制御することが可能であり、その使用目的に合わせて
材質、条件を適宜選択すればよい。
【0048】(e)基板の材質とマスクとなる成膜物質の
組み合わせは、用いるエッチング法において被エッチン
グ物質である基板材質とマスクとなる成膜物質のエッチ
ング選択比が取れるようにそれぞれを選択すればよい。
【0049】(f)表面に形成される微細構造の形状の制
御は、基板の材質と成膜物質の組み合わせ、及びエッチ
ング方法やエッチング選択比及び異方性の強さによって
制御することが可能であり、その使用目的に合わせて適
宜選択すればよい。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る微細構
造の形成方法及び光学素子の製造方法は、BOEのよう
な微細な階段状の構造を有する光学素子の表面に更に微
細な構造を形成することができ、例えば光学素子表面の
反射防止が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本微細構造の形成方法の一例を示す模式図であ
る。
【図2】島構造の形成における説明図である。
【図3】微細構造の形成方法の他の例を示す模式図であ
る。
【図4】反射防止条件の説明図である。
【図5】反射防止構造の一例の断面図である。
【図6】反射防止構造の他の例の概略図である。
【図7】反射防止効果を有する微細構造とその屈折率の
関係の説明図である。
【図8】反射防止構造の別の例の概略図である。
【図9】本発明の微細構造形成方法の第1の実施例の反
射防止構造を製作する場合を示す模式図でる。
【図10】本発明の微細構造形成方法の第2の実施例の
反射防止構造を製作する場合を示す模式図でる。
【図11】本発明の微細構造形成方法の第3の実施例の
マスクに反射防止構造を形成した様子を示す断面図であ
る。
【図12】本発明の微細構造形成方法の第4の実施例の
反射防止構造を製作する場合を示す模式図である。
【図13】投影光学系の構成図である。
【図14】投影露光装置の概略図である。
【図15】半導体デバイスの製造フローチャート図であ
る。
【図16】ウエハ製造の詳細なフローチャート図であ
る。
【図17】(a)はキノフォーム素子、(b)はバイナリ光学
素子とした回折光学素子の概略図である。
【図18】従来の微細構造の製作方法を示す模式図であ
る。
【図19】従来の微細構造の製作方法を示す模式図であ
る。
【図20】従来の微細構造の製作方法を示す模式図であ
る。
【図21】図18による方法で反射防止膜を形成したB
OEの概略図である。
【符号の説明】 61 物体 62、91、111、112、113 物質 63、124、133、153 島構造 64、81、82、112、114、134、143、
154 微細構造 71 基板 72 原子 73 核 92 単層反射防止膜 101 物体表面 121、131、151 BOE 122、152、155 レジスト膜 123 クロム 132 アルミニウム 141 マスク 142 ガラス面 144 遮光部 156 反射防止膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 AA18 AA37 AA45 AA48 AA55 AA64 2K009 AA05 BB02 BB04 CC03 DD12 EE00 4G059 AA08 AA11 AB06 AC04 BB01 5F004 DA16 DB00 EA01 EA04 EA05 EA10 EA22 EA37 EB06

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体の表面に、薄膜の形成過程における
    核成長の形態において形成される核又は島構造をエッチ
    ングマスクとして形成し、該エッチングマスクを介して
    前記物体の表面にエッチングを行うことを特徴とする微
    細構造の形成方法。
  2. 【請求項2】 基板の表面に、薄膜の形成過程における
    核成長の形態において形成される核又は島構造をエッチ
    ングマスクとして形成し、該エッチングマスクを介して
    前記表面に反射防止効果を有する微細構造をエッチング
    することを特徴とする光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記基板はガラス、石英、CaF2の何
    れかとしたことを特徴とする請求項2に記載の光学素子
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記基板はレンズ、プリズム、マスク、
    回折素子の何れかの素子であることを特徴とする請求項
    2に記載の光学素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記レンズ、プリズム、マスク又は回折
    素子の光入射面と光出射面の少なくとも一方に前記エッ
    チングを行うことを特徴とする請求項4に記載の光学素
    子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記基板の表面に形成した前記微細構造
    は、波長300nm以下において機能することを特徴と
    する請求項2に記載の光学素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 同一基板上に請求項2に記載の方法で形
    成した反射防止構造と通常の反射防止膜の両者を有する
    ことを特徴とする光学素子。
  8. 【請求項8】 請求項2〜7の何れかの光学素子を有す
    ることを特徴とする投影光学系。
  9. 【請求項9】 請求項8の投影光学系を有することを特
    徴とする光学機器。
  10. 【請求項10】 請求項8の投影光学系を有することを
    特徴とする露光装置。
  11. 【請求項11】 請求項2〜7の何れかの光学素子を有
    することを特徴とする照明光学系。
  12. 【請求項12】 請求項11の照明光学系を有すること
    を特徴とする光学機器。
  13. 【請求項13】 請求項11の照明光学系を有すること
    を特徴とする露光装置。
  14. 【請求項14】 請求項10又は13の何れか又は両者
    を有する露光装置により、基板上にデバイスパターンを
    転写する工程を有することを特徴とする半導体デバイス
    製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項10又は13の何れか又は両者
    を有する露光装置により、基板上にデバイスパターンを
    転写したことを特徴とする半導体デバイス。
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