JP2006038928A - 無反射周期構造体及びその製造方法 - Google Patents

無反射周期構造体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 大面積かつ周期性の良い無反射周期構造体を得ることを目的としている。
【解決手段】 無反射周期構造体は、入射光の波長よりも短い周期の構造を物質表面に形成したものであり、この物質表面における前記入射光の反射を抑制する。本発明は、上部から照射されたレーザー光を回折して格子状の干渉縞を形成する位相格子マスクを用いて、照射されたレーザー光を干渉させ、その干渉光を物質表面に塗布又は堆積したレジストに照射し、現像することによって、前記周期構造に対応するパターンを形成する。さらに、このパターン形成されたレジストをマスクとして用い、物質表面をエッチングすることによって、物質表面に無反射周期構造体を形成することができる。
【選択図】図6

Description

本技術は通称モスアイ構造(蛾の目構造)と呼ばれる無反射周期構造体、及びこの無反射周期構造体の製造方法に関する。
通常、光がある物質から他の物質に入射した場合、この2つの物質間に屈折率の差があると、フレネル反射によって、入射した光の一部が反射してしまう。また、この反射は2つの物質間の屈折率の差が大きいほど大きくなる。光学材料の表面における反射の抑制は、光通信、光メモリ、ディスプレイなどの幅広い分野において切望されており、この様なフレネル反射を抑制するための物質の表面加工手法として、入射光の波長よりも短い周期構造をもった構造体を材料表面に形成する手法が知られている。この周期構造はモスアイ構造(蛾の目構造)とも呼ばれ、1967年にC.G. Bernhardによって発見されたものである(非特許文献1及び非特許文献2参照)。例えば、空気側からある物質中に光が入射する際、物質表面に図1(a)に断面図、図1(b)に斜視図を示すような矩形の2次元周期構造体を形成すると、光は空気とこの物質との中間の屈折率を持つ物質が空気とこの物質との間に存在すると感じて、反射率が低下する。さらにこの矩形の構造体を、図2の断面図に示すように、先のとがった錐形(円錐、四角錘、多角錘など)にすることによって空気と物質間との屈折率が緩やかに変化するようにすると、反射率はさらに低下し、また、反射率の低い光の波長帯域の広帯域化、高視野角化が得られることが知られている。
一般に、可視光に対応する無反射周期構造体には100〜200nm程度の微細な周期性が要求される。この様な微細な周期構造の形成には、これに対応する微細周期パターンの形成技術が必要である。従来は、このパターンニングに、電子線描画(電子線リソグラフィー)や、2つのレーザー光を干渉させて照射し、その干渉縞を用いたリソグラフィーによる周期構造の形成方法(2光束干渉法)が用いられている。
電子線描画による手法では、まず、物質の表面に電子線描画用のレジスト(感光材)を塗布し、このレジストに電子線にて無反射周期構造に対応するパターンを描画し、それを現像後、このレジストをマスクとして、物質表面をエッチングにて加工することによって、所望の無反射周期構体を得る。
図3に、2光束干渉法によるパターン形成の模式図を示す。2光束干渉法では、1つの光源から発せられたレーザー光をハーフミラーなどによって2つの光に分割し、この分割された2つの光を、ある角度θで2方向から物質表面に照射し、物質表面に塗布されたレジスト上で干渉するように照射することによって、レジストに格子状の干渉縞を露光する。その後、物質を90度回転させて、再度、格子状のパターンを露光し、現像することによって、2次元周期構造パターンをレジストに付与する。その後、このレジストをマスクとして、物質表面をエッチング加工することによって、無反射周期構造体を得る。
一般に無反射周期構造体は、縦方向に高いアスペクト比を持たせることによって、より高い反射抑制効率や、広帯域化、高視野角化が得られる。高いアスペクト比を持つ無反射周期構造体の形成には、上述の物質表面のエッチング加工において、長時間又はハードな環境下でのエッチングが必要となる。この様なエッチングプロセスにおいては、上述のような、電子線描画用又は2光束干渉法用のレジストでは、十分な耐性を得られない、つまりエッチングプロセス中に、マスクとしていたレジストが同時にエッチングされてなくなってしまう場合がある。この様な場合には、図4に示すような加工プロセス手法を用いる。図示したように、レジスト塗布前の試料表面にエッチングプロセスに対して高い耐性を持つ材料を堆積しておき、その上にレジストを塗布し、レジストを加工後、このレジストをマスクとして、上記エッチング耐性の高い材料をエッチングにて加工し、その後、この加工された材料をマスクとして上記物質表面をエッチング加工する。
また、パターン化されたエッチング耐性の高い材料を物質表面に形成する手法としては、リフトオフと呼ばれる手法が用いられることもある。この手法は、物質表面に所望のレジストパターンを形成し、その後、エッチング耐性の高い材料をその上から塗布又は堆積する。その後、レジストを溶媒等にて除去することによって、レジストパターンとはネガ・ポジ反転したパターンを持つ、エッチング耐性の高い材料を物質表面に形成できるというものである。このリフトオフ法を上記の電子線描画や2光束干渉を用いて形成したレジストパターンに用い、材料表面をエッチング加工する方法も知られている。
これらリソグラフィー以外の方法としては、溶液中に無反射周期構造を構成する大きさのナノ粒子を混ぜておき、この溶液を平板上にスピンコートし、その後、溶液を除去することによって、規則正しいナノ粒子配列を得て、大面積無反射周期構造体を得る方法も報告されている。
‘Structural and functionaladaptation in a visual system’, Endeavour, Vol. 26, pp. 79-84, 1967年 Optics Letters Vol. 24, No.20, p.1422, 1999年
従来用いられてきた電子線描画や2光束干渉法を用いたリソグラフィーでは、大面積の無反射周期構造の形成が非常に難しい。電子線描画法では、5mm角の面積の無反射周期構造を得る為のパターン描画に、現在最も高性能な装置を用いても、12時間も掛かってしまう。2光束干渉法では、1度の描画に要する時間は、数十秒程度であるが、この時形成される無反射周期構造の面積は、レーザー光のビーム径によって決定されてしまい、通常、数mm角と非常に小さい。その為、数cm角の面積を持つ無反射周期構造形成には、試料位置を変えて、数mm角のパターンを何度も繋ぎ合わせて描画しなければならない。その為、繋ぎ合わせ部分にパターンのミスマッチが生じ易い。また、2光束干渉法では、干渉縞によって形成される格子の周期が2つの光を入射する角度θに敏感で、この角度θのブレを抑制しなければならない。そのためには、図3に示した光学系を厳密に調整する必要があるが、この調整は一般に非常に煩雑である。2光束干渉法はこの角度θに敏感な性質を用いて様々な格子周期の無反射周期構造が形成できることから、実験室レベルでは頻繁に使用されているが、生産性の低さが指摘されており、工業的ではないことが知られている。
大面積な無反射周期構造体を得るには、ナノ粒子を混ぜた溶液をスピンコートする手法が優れていることが知られている。しかしながら、この手法では、ナノ粒子の自然配列を用いているため、上記のリソグラフィー手法と比べるとパターンの周期性が悪いため、反射抑制効果は低い。
本発明は、係る問題点を解決して、大面積かつ周期性の良い無反射周期構造体を得ることを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明の製造方法は、無反射周期構造体の製造において、上部から照射されたレーザー光を回折して格子状の干渉縞を形成する位相格子マスクを用いて、照射されたレーザー光を干渉させ、その干渉光を前記物質表面に塗布又は堆積したレジストに照射し、その後現像することによって前記周期構造に対応するパターンを形成することを特徴とする。
本手法によると、位相格子マスクは、長さ10cm以上、幅数cm程度の領域に一度に繋ぎ目の無い正確な格子形状を形成することが可能であることから、大面積且つ周期性の良い無反射周期構造体形成のためのパターンを形成することが出来る。また、位相格子マスクでは煩雑な光学系の調整が不要であることから、容易に無反射周期構造体を形成することができる。
また、本発明の製造方法は、前記周期構造に対応するパターンの形成は、前記レジストに一方向の格子状のパターンを露光した後に、前記位相格子マスクを前記物質に対して一定角度回転後、再度、格子状のパターンを露光し、その後、前記レジストを現像することによって行うことを特徴とする。
本手法によると、位相格子マスクは、長さ10cm以上、幅数cm程度の領域に一度に繋ぎ目の無い正確な格子形状を形成することが可能であることから、大面積且つ周期性の良い無反射周期構造体形成のためのパターンを形成することが出来る。また、位相格子マスクでは煩雑な光学系の調整が不要であることから、容易に無反射周期構造体を形成することができる。
また、本発明の製造方法は、前記周期構造に対応するパターンの形成は、前記レジストに一方向の格子状のパターンを露光して現像した後に、前記位相格子マスクを前記物質に対して一定角度回転後、再度、格子状のパターンを露光し現像することによって行うことを特徴とする。
本手法によると、位相格子マスクは、長さ10cm以上、幅数cm程度の領域に一度に繋ぎ目の無い正確な格子形状を形成することが可能であることから、大面積且つ周期性の良い無反射周期構造体形成のためのパターンを形成することが出来る。また、位相格子マスクでは煩雑な光学系の調整が不要であることから、容易に無反射周期構造体を形成することができる。
さらに、本発明の製造方法は、前記位相格子マスクを前記物質に対して前記一定角度回転させる回数は1回以上、前記露光する回数は2回以上であることを特徴とする。
本手法によると、露光回数の調整によって、格子形状を様々な方向に付与することができ、よって無反射周期構造体形成用パターンに自由度を与え、その結果、作製される無反射周期構造体の特性を向上することができる。
さらに、本発明の製造方法は、前記位相格子マスクを前記物質に対して回転させる角度が、180度を前記露光する回数で除した角度であることを特徴とする。
本手法によると、露光回数の調整によって、格子形状を様々な方向に付与する工程において、規則正しい無反射周期構造体形成用パターンが形成でき、その結果、作製される無反射周期構造体の特性を向上することができる。
さらに、本発明の製造方法は、前記パターン形成されたレジストをマスクとして用い、前記物質表面をエッチングすることによって、前記物質表面に無反射周期構造を形成することを特徴とする。
本手法によると、位相格子マスクを用いたことで、大面積且つ周期性の良いレジストパターンが形成されているため、大面積且つ周期性の良い無反射周期構造体を形成することができる。
さらに、本発明の製造方法は、前記物質表面にあらかじめ、エッチング加工耐性の高い材料を塗布又は堆積し、その物質表面に対して塗布又は堆積された前記レジストにパターン形成を行い、このパターン形成されたレジストをマスクとして、前記エッチング加工耐性の高い材料に、エッチングによって前記パターンを転写し、さらに、このエッチング加工耐性の高い材料をマスクとして用い、前記物質表面をエッチングすることによって、前記物質表面に無反射周期構造を形成することを特徴とする。
本手法によると、位相格子マスクを用いたことで、大面積且つ周期性の良いレジストパターンが形成されているため、大面積且つ周期性の良い無反射周期構造を形成することができる。
さらに、本発明の製造方法は、前記パターン形成されたレジストを用い、リフトオフ法にて前記物質表面にエッチング加工耐性の高い材料を塗布又は堆積後、このエッチング加工耐性の高い材料をマスクとして用い、前記物質表面をエッチングすることによって、前記物質表面に無反射周期構造を形成することを特徴とする。
本手法によると、位相格子マスクを用いたことで、大面積且つ周期性の良いレジストパターンが形成されているため、大面積且つ周期性の良い無反射周期構造を形成することができる。
また、本発明による無反射周期構造体は、上述のいずれかの形成手法にて形成された無反射周期構造体である。
本無反射周期構造体は、位相格子マスクを用いたことで、大面積且つ周期性の良いレジストパターンが形成されているため、大面積且つ周期性の良い無反射周期構造体となっている。
本発明によって、容易に大面積かつ周期性の良い無反射周期構造体を形成することができる。また、従来手法では難しかった、細い光ファイバの端面への無反射周期構造の形成なども可能となった。
以下、例示に基づき、本発明を具体化する無反射周期構造の形成をする例を説明する。図5は、位相格子マスクの動作原理を説明する図である。位相格子マスク(位相マスク、フェーズマスク、回折格子マスクとも呼ばれる)は、一般に図5に示すような形状をしており、上部から照射された光を回折して、格子状の干渉縞を形成するマスクである。この干渉縞は一般には+1次の回折光(図5中の黒矢印)と−1次の回折光(図5中の点線矢印)とが干渉して生じるものである。本実施例では、光ファイバ型ブラッググレーティング形成用に市販されている、合成石英ガラス製の位相格子マスクを用いた。本マスクは直径2.5cmの円盤状の合成石英ガラス板の中心部に1cm×1cmの領域に回折格子が形成されている。本位相格子マスクを介して、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)を照射すると、周期530nmの格子形状の干渉縞が形成される。
図6(a)は、位相格子マスクを用いてレジストに露光した格子パターンを上方から見た図、(b)は位相格子マスクを物質に対して90度回転させて、再度露光を行った後の、露光パターンを上方から見た図、(c)は、現像によって露光部分を除去した後のレジストパターンを上方から見た図、(d)は(c)の斜視図である。
本手法による無反射周期構造体の形成においては、無反射周期構造体を形成する物質の表面は、平面であることが望ましい。なぜなら、物質表面に大きな凹凸があったり、大きく湾曲したりしていると、位相格子マスクによる干渉縞で格子形状を付与することが難しくなってしまうからである。
ここで、無反射周期構造を形成する材料として、シリカガラス(SiO2ガラス)基板を用いた。その表面に厚さ約600nmのレジストをスピンコートによって塗布し、その上に、前記位相格子マスクを介してKrFエキシマレーザ光を照射した。この時には、レジスト内に図6(a)に示すようなパターンが露光される。次に、位相格子マスクを物質に対して90度回転し、さらに上記と同様のレーザー光照射を行った。この時の露光パターンは図6(b)のようになる。その後、レジストを現像液によって現像することによって、ガラス物質上に、図6(c)に示したような、2次元的に周期的なレジストの構造物を得ることができた。この時の、格子周期(図6中のL)は上述のように530nmである。また、この時に形成された無反射周期構造全体の大きさは1cm角であり、またこれを形成するために掛かった露光時間は10秒程度であった。この様に、容易に大面積な無反射周期構造が形成できることが分かる。さらに大きい面積を持つ位相格子マスクも市販されており、よって、更なる大面積化も容易に行える。但し、その場合、ビーム径より位相格子マスクの方が大きくなってしまい、一度に、位相格子マスク全体にレーザー光を照射することは難しい。よってその場合には、レーザー光をエキスパンダー等を用いて広げたり、レーザー光をマスク全体に対してスキャンするか、又は、マスクと試料とをレーザースポットに対して動かせばよい。レーザー光をマスク全体にスキャンしたり、マスクと試料をレーザースポットに対して動かす場合、本実施例で用いたKrFエキシマレーザは、パルス光源であるので、多少、照射領域にムラが出来てしまう恐れもある。よって、連続光源又は、パルス間隔の非常に短いパルス光源を用いることも効果的であると考えられる。
ところで、上述の手法では、2回露光後に現像を行ったが、現像は、各露光後に、それぞれ1回づつ行っても良い。また、上記実施例では、露光された部分が現像時に除去される、所謂ポジ型のレジストを用いたが、露光された部分が現像時に残るネガ型のレジストを用いても良い。また、上記で使用したレジストはポリマー製のものを用いたが、レジストは、感光性があり、感光部が現像によって除去できる(ポジ型)、又は、感光部以外が現像によって除去できる(ネガ型)、という性質を有していれば、どのような材料でも適応可能である。
上述のようにしてレジストに形成したパターンはそれ自体、無反射周期構造を成しているため、空気中からこのレジストの構造体に入射された光に対して反射率を低くする効果がある。この場合、この構造が無反射とする光の波長領域は800nmから900nm前後である。また、図6は形成された構造が周期的な四角柱が並んでいる形となっているが、レーザー光の照射条件、特に、位相格子マスクと物質との距離や、レーザーの照射量、現像条件、特に現像時間、によって、四角錘や円錐に近い形にもできる。しかしながら、レジストの屈折率(=1.5)とシリカガラスの屈折率(=1.46)とが異なることから、レジストとシリカガラスとの間で反射が生じてしまう。よって、レジストにパターンを形成しただけでは、ガラス物質表面自身を効率よい無反射構造とすることはできない。
ガラス表面自身を効率の良い無反射構造とするには、これまでに一般的に行われてきたように、上記レジストをマスクとして用い、エッチングによってこのパターンをガラス自身に転写すればよい。この作製プロセスを図7に示す。まず、試料にレジストを塗布した後、位相格子マスクを用いて2回露光及び現像を行い、レジストをパターニングする。そして、試料表面をエッチングした後、レジストを除去すると、ガラス表面に無反射周期構造が形成される。ここで、ガラス自身にレジストパターンを転写するエッチング方法には、従来行われているような溶液によるウエットエッチング、反応性イオンエッチングや高速原子線によるドライエッチングなどを用いればよい。
上記エッチングプロセスによって、ガラス自身を加工する際、加工された構造の高さ(図7中のh)をより高くすることによって、つまり、縦方向に高いアスペクト比を持たせることによって、より高い反射抑制効率や、広帯域化、高視野角化が得られる。この様なパターンを形成するためには、ハードなエッチングプロセスが要求されるため、レジスト自身がエッチングプロセス中になくなってしまうことを防ぐ必要がある。この様な場合には、従来技術で行われているように、レジスト塗布前の試料表面にエッチングプロセスに対して高い耐性を持つ材料、例えばアルミニウムやクロムやニッケルを数10nm堆積しておき、その上にレジストを塗布し、レジストを加工後、このレジストをマスクとして、上記アルミニウムやクロムやニッケルを、例えば、酸によるウエットエッチングなどでレジストパターンと同様のパターンに加工し、その後、この加工されたアルミニウムやクロムやニッケルをマスクとして上記ガラス表面を反応性イオンエッチングなどで加工すればよい(図4参照)。または、パターンニングしたレジストに対してリフトオフ法を用いて、パターンの開口部にエッチング耐性の高い材料を塗布又は堆積後、前記レジストを溶媒にて除去し、その後、このエッチング耐性の高い材料をマスクとして、ガラス表面をエッチング加工すれば良い。
今回、使用した位相格子マスクは、周期530nmの干渉縞を形成するように設計されて市販されているものであった。しかし、位相格子マスク自身の持つ格子周期をさらに小さくすることによって、形成される干渉縞の周期も小さくすることが可能である。この形成される周期を100〜200nmとすることによって、可視光領域での無反射化を行うことも可能である。
上記の実施例では、位相格子マスクを介して1回目のレーザ光照射による露光を行った後、位相格子マスクを試料に対して90度回転させて、再度露光を行った。しかしながら、この角度は必ずしも90度である必要は無い。図8に示すように、例えば、回転角度が60度の場合、ひし形の構造物(ひし形の底面を持つ柱、又はひし形の底面を持つ錘)が出来るが、これでも反射率低減の効果を得ることが出来る。但し、この場合、反射率低減の効果において、偏波依存性がでてしまう。
また、上記実施例では、位相格子マスクを試料に対して回転させたが、試料を位相格子マスクに対して回転させても、同様の効果を得られることは自明である。
上述の例では、2回の露光を行ったが、この回数はさらに多くても良い。例えば、3回の露光を行い、各露光間での試料と位相格子マスクとの回転角度を60度とすると、図9に示すように、六角形を六方最密配列に並べたパターンや、三角形を三角格子状に配したパターンを形成することも可能である。この時、位相格子マスクと試料との回転角度は180度を露光回数で除した角度が望ましい。なぜなら、この回転角度を用いることによって、対称性のよいパターンが形成できるからである。ただし、露光と回転のプロセスを5回以上行うと、露光条件によっては、レジストの殆ど全体が感光されてしまう恐れもあるので注意する必要がある。
さらに、上記の変形例として、例えば、光ファイバの端面に上述のような無反射周期構造を形成することも出来る。光ファイバをフェルールなどの支持具内に固定し、又は、複数本束ねて固定し、その端面を研磨する。その後、前記端面上にレジストを塗布し、上記のような位相格子マスクを介したレーザー露光、現像、エッチングを行うことによって、光ファイバの端面を無反射化することができる。
無反射周期構造体の(a)断面図、及び(b)斜視図である。 錐形の構造体を周期的に配列した無反射周期構造体の断面図である。 2光束干渉法によるパターン形成の模式図である。 エッチング耐性の高い材料を用いての無反射周期構造体の形成プロセスの説明図である。 位相格子マスクの動作原理を説明する図である。 (a) 位相格子マスクを用いてレジストに露光した格子パターンを上方から見た図。(b)位相格子マスクを物質に対して90度回転させて、再度露光を行った後の、露光パターンを上方から見た図。(c)現像によって露光部分を除去した後のレジストパターンを上方から見た図。(d)は(c)の斜視図。 エッチングによってガラス表面に無反射周期構造体を形成するプロセスの説明図である。 位相格子マスクをガラスに対して60度回転させて、露光した場合の露光パターンを説明する図である。 位相格子マスクを60度回転して3回露光を行った際に形成されるパターンを示す図である。

Claims (16)

  1. 入射光の波長よりも短い周期の構造を物質表面に形成して、この物質表面における反射を抑制する無反射周期構造体の製造方法において、
    上部から照射されたレーザー光を回折して格子状の干渉縞を形成する位相格子マスクを用いて、照射されたレーザー光を干渉させ、
    その干渉光を前記物質表面に塗布又は堆積したレジストに照射し、その後現像することによって前記周期構造に対応するパターンを形成することから成る無反射周期構造体の製造方法。
  2. 前記周期構造に対応するパターンの形成は、前記レジストに一方向の格子状のパターンを露光した後に、前記位相格子マスクを前記物質に対して一定角度回転後、再度、格子状のパターンを露光し、その後、前記レジストを現像することによって行う請求項1に記載の無反射周期構造体の製造方法。
  3. 前記周期構造に対応するパターンの形成は、前記レジストに一方向の格子状のパターンを露光して現像した後に、前記位相格子マスクを前記物質に対して一定角度回転後、再度、格子状のパターンを露光し現像することによって行う請求項1に記載の無反射周期構造体の製造方法。
  4. 前記位相格子マスクを前記物質に対して前記一定角度回転させる回数は1回以上、前記露光する回数は2回以上である請求項2又は3に記載の無反射周期構造体の製造方法。
  5. 前記位相格子マスクを前記物質に対して回転させる角度は、180度を前記露光する回数で除した角度である請求項4に記載の無反射周期構造体の製造方法。
  6. 前記パターン形成されたレジストをマスクとして用い、前記物質表面をエッチングすることによって、前記物質表面に無反射周期構造を形成する請求項1に記載の無反射周期構造体の製造方法。
  7. 前記物質表面にあらかじめ、エッチング加工耐性の高い材料を塗布又は堆積し、その物質表面に対して塗布又は堆積された前記レジストにパターン形成を行い、このパターン形成されたレジストをマスクとして、前記エッチング加工耐性の高い材料に、エッチングによって前記パターンを転写し、さらに、このエッチング加工耐性の高い材料をマスクとして用い、前記物質表面をエッチングすることによって、前記物質表面に無反射周期構造を形成する請求項1に記載の無反射周期構造体の製造方法。
  8. 前記パターン形成されたレジストを用い、リフトオフ法にて前記物質表面にエッチング加工耐性の高い材料を塗布又は堆積後、このエッチング加工耐性の高い材料をマスクとして用い、前記物質表面をエッチングすることによって、前記物質表面に無反射周期構造を形成する請求項1に記載の無反射周期構造体の製造方法。
  9. 入射光の波長よりも短い周期の構造を物質表面に形成して、この物質表面における反射を抑制する無反射周期構造体において、
    上部から照射されたレーザー光を回折して格子状の干渉縞を形成する位相格子マスクを用いて、照射されたレーザー光を干渉させ、その干渉光を前記物質表面に塗布又は堆積したレジストに照射し、その後現像することにより形成された前記周期構造に対応するパターンを有することから成る無反射周期構造体。
  10. 前記周期構造に対応するパターンは、前記レジストに一方向の格子状のパターンを露光した後に、前記位相格子マスクを前記物質に対して一定角度回転後、再度、格子状のパターンを露光し、その後、前記レジストを現像することによって形成される請求項9に記載の無反射周期構造体。
  11. 前記周期構造に対応するパターンは、前記レジストに一方向の格子状のパターンを露光して現像した後に、前記位相格子マスクを前記物質に対して一定角度回転後、再度、格子状のパターンを露光し現像することによって形成される請求項9に記載の無反射周期構造体。
  12. 前記位相格子マスクを前記物質に対して前記一定角度回転させる回数は1回以上、前記露光する回数は2回以上である請求項10又は11に記載の無反射周期構造体。
  13. 前記位相格子マスクを前記物質に対して回転させる角度は、180度を前記露光する回数で除した角度である請求項12に記載の無反射周期構造体。
  14. 前記パターン形成されたレジストをマスクとして用い、前記物質表面をエッチングすることによって、前記物質表面に無反射周期構造を形成した請求項9に記載の無反射周期構造体。
  15. 前記物質表面にあらかじめ、エッチング加工耐性の高い材料を塗布又は堆積し、その物質表面に対して塗布又は堆積された前記レジストにパターン形成を行い、このパターン形成されたレジストをマスクとして、前記エッチング加工耐性の高い材料に、エッチングによって前記パターンを転写し、さらに、このエッチング加工耐性の高い材料をマスクとして用い、前記物質表面をエッチングすることによって、前記物質表面に無反射周期構造を形成した請求項9に記載の無反射周期構造体。
  16. 前記パターン形成されたレジストを用い、リフトオフ法にて前記物質表面にエッチング加工耐性の高い材料を塗布又は堆積後、このエッチング加工耐性の高い材料をマスクとして用い、前記物質表面をエッチングすることによって、前記物質表面に無反射周期構造を形成した請求項9に記載の無反射周期構造体。
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