JP2014206657A - 光学素子の製造方法及び光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材の表面に所望の形状及び密度を有する微細凹凸構造を均一にかつ容易に作製できる光学素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】基材であるレンズ10の表面(例えば第1光学面11a)に島状のマスクMAを形成する際に、イオンビームIB等によってマスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理を行う。このように、マスク用の粒子にエネルギーを与えるため、マスク用の粒子がレンズ10の表面上で島成長しやすくなる。その後、エッチングを行うことにより、レンズ10の表面に所望の形状及び密度を有する微細凹凸構造である反射防止構造体51を均一に形成することができる。基材の種類や基材の表面の濡れ性にかかわらず、所期の光学特性を有するレンズ10を容易に製造することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、基材の表面上に反射防止構造体等の微細凹凸構造を有する光学素子の製造方法及び当該方法によって製造される光学素子に関する。
一般的に、カメラモジュール等に用いられる光学レンズでは、表面反射によるゴーストやフレアーを低減させるために反射防止加工がされている。最も一般的な反射防止加工としては、反射防止膜と呼ばれる光学薄膜を設ける方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、別の反射防止加工法として、反射防止構造体を設ける方法がある。反射防止構造体は、レンズ等の光学素子の表面に光の波長スケールの凹凸形状や巨視的に見て密度の低い部分を作製したものであり反射を低減する。反射防止構造体の作製法には、基板上に島状のパターンマスクを形成した後、エッチングを行う方法がある(例えば、特許文献2及び3参照)。また、反射防止構造体の作製法には、スパッタリングによってマスク形成とエッチングとを同時に行う方法がある(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献2及び3の方法では、基材の種類や濡れ性によって反射防止構造等の微細凹凸構造の形状や密度に大きな差が生じるため、所望の形状及び密度を有する凹凸構造を基材に対して安定して付与できず、所望の光学特性を有する光学素子を生産することが難しい。
また、特許文献4の方法では、スパッタリングを用いるため、比較的大きな面積での処理は難しく、生産性が悪くなる可能性がある。また、基材に凹凸が存在すると、プラズマ密度が形状に応じて変化するため、エッチングレートが変化してしまい、均一な凹凸構造を作製することが難しい。また、マスク形成とエッチングとを同時に行うため、工程進行時の制御パラメーターが増加し、構造形成の再現性が悪くなるという問題がある。
特開昭52−91451号公報 特開昭56−108879号公報 特表2010−511079号公報 特開2009−157150号公報
本発明は、基材の表面に所望の形状及び密度を有する微細凹凸構造を均一にかつ容易に作製できる光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記方法によって製造される光学素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る光学素子の製造方法は、基材の表面でマスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理を行いながら蒸着によって島状のマスクを形成するマスク形成工程と、マスク形成工程後、基材の表面をエッチングし微細凹凸構造を形成するエッチング工程と、を備える。
上記光学素子の製造方法によれば、基材の表面に島状のマスクを形成する際に、マスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理を行う。その後、エッチングを行うことにより、基材の表面に所望の形状及び密度を有する微細凹凸構造を均一に形成することができる。この際、マスク用の粒子の運動エネルギーの増加により、基材の種類や基材の表面の濡れ性にかかわらず、島状に分散したマスクを所望の程度に形成することができ、所期の光学特性を有する光学素子を容易に製造することができる。
本発明の具体的な態様又は観点では、上記光学素子の製造方法において、マスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理は、プラズマ及びイオンビームのいずれか一方を用いることによって行う。この場合、基材に負荷をかけたり、ダメージを与えたりすることなくマスク用の粒子のエネルギーを増加させることができる。また、比較的大きな面積を有する基材であっても表面全体でマスク用の粒子の運動エネルギーを増加させることができ、島状のマスクを均一に形成することができる。
本発明のさらに別の観点では、マスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理は、基材の表面を加熱することによって行う。この場合、基材の表面において、粒子のエネルギーを均一に増加させることができる。
本発明のさらに別の観点では、マスク形成工程前に、基材の表面を改質する改質工程を行う。この場合、基材の表面の汚れを微細構造作製時のマスク形成の前に除去することができる。また、微細構造作製時における表面の濡れ性の変動を減少させることができる。
本発明のさらに別の観点では、基材の材料は、樹脂及び金属酸化物のいずれか一方である。基材の材料が樹脂の場合、樹脂のエッチングレートとマスクのエッチングレートとの差が大きいため、凹凸構造を作製しやすい。また、基材の材料が金属酸化物の場合、基材の強度が高くなるため、拭き耐性が高い。また、基材の材料は、樹脂に金属や金属酸化物を添加したものを用いることもできる。樹脂に金属や金属酸化物を添加したものを使用すれば、その組成に応じて必要な作製し易さ、拭き耐性を得ることが可能になる。
本発明のさらに別の観点では、エッチング工程において、プラズマ及びイオンビームのいずれか一方を用いることによってエッチングを行う。この場合、比較的大きな面積を有する基材であっても微細凹凸構造を均一に形成することができる。
上記課題を解決するために、本発明に係る光学素子は、上述の光学素子の製造方法を用いて製造する。
上記光学素子によれば、上記方法で光学素子を製造することにより、基材の表面に所望の形状及び密度を有する微細凹凸構造を均一に形成することができる。これにより、基材の種類や基材の表面の濡れ性にかかわらず、所望の光学特性を有する光学素子となる。
(A)は、第1実施形態の光学素子の平面図であり、(B)は、(A)に示す光学素子の側面図及び部分拡大図である。 図1(A)の光学素子の製造に用いる成形金型を説明する断面の概念図である。 図1(A)の光学素子の製造に用いる加工装置を説明する概念図である。 (A)〜(C)は、図1(A)の光学素子の成形工程を説明するための図である。 (A)は、図1(A)の光学素子の製造工程のうち改質工程を説明する概念図であり、(B)は、図1(A)の光学素子のマスク形成工程を説明する概念図であり、(C)及び(D)は、エッチング工程を説明する概念図である。 (A)及び(B)は、マスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理の効果を説明する図である。 (A)及び(B)は、図1(A)の光学素子の実施例1及び比較例1を説明する図である。 (A)及び(B)は、図1(A)の光学素子の実施例2及び比較例2を説明する図である。 実施例3の基材の表面の可視光平均反射率を説明する図である。 第2実施形態の光学素子の製造方法に用いる加工装置を説明する概念図である。
〔第1実施形態〕
図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る光学素子の製造方法及び光学素子について説明する。
本実施形態の光学素子であるレンズ10は、例えば撮像レンズとして用いられる。図1(A)に示すように、レンズ10は、光軸OA方向から見て略円形の輪郭を有する。レンズ10は、図1(A)及び1(B)に示すように、レンズ本体11とフランジ部12とを有する。レンズ本体11は、例えば非球面型のレンズ部であり、光学的な機能を有する部分として凸形状の第1光学面11aと凸形状の第2光学面11bとを有している。フランジ部12は、第1光学面11aの周囲に広がる平坦な第1フランジ面12aと、第2光学面11bの周囲に広がる平坦な第2フランジ面12bを有する。第1及び第2フランジ面12a,12bは、光軸OAに垂直なXY面に対して平行に配置されている。
図1(B)に拡大して示すように、レンズ10の第1光学面11a上には、反射防止構造体51が設けられている。なお、図1(B)において、第1光学面11aと反射防止構造体51との境界は、実際には明確に存在しないが便宜上点線で示されている。なお、第2光学面11b上にも、反射防止構造体51が設けられている。第2光学面11b上に設けられた反射防止構造体51の形状等は、第1光学面11a上に設けられた反射防止構造体51の形状等と同様であるため、以下、第1光学面11a側についてのみ説明する。
反射防止構造体51は、基材の表面である第1光学面11aの全面に略均一な密度で形成されている。反射防止構造体51は、第1光学面11a等に沿った面内において、ランダムに配置された微細な凹凸形状(微細凹凸構造)を有する。反射防止構造体51は、入射光側から光学素子中心側に向かうにつれて凹凸形状の体積密度が増加するような先細りの構造となっている。つまり、反射防止構造体51は、略錐体状の微細突起を集めたものとなっている。反射防止構造体51の粗さ(Rz:十点平均粗さ)は、10nm以上1000nm以下となっている。なお、反射防止構造体51の粗さRzは、50nm以上800nm以下が好ましく、さらに、250nm以上800nm以下がより好ましい。反射防止構造体51は、イオンビームやプラズマを用いることにより形成される。一般に、ある界面での反射率は、界面を挟む二空間の屈折率の差で決定され、その差が大きいほど表面反射率が増加する。反射防止構造体51は、第1光学面11a上に形成された使用波長レベル以下の凹凸形状であるため、反射防止構造体51と第1光学面11aとの間には、急激な屈折率変化がある界面が存在しない。これにより、反射防止構造体51における屈折率変化が緩やかなものとなり、表面反射率が低下する。この効果は、波長や入射角に依存するものではない。そのため、反射防止構造体51は、高低屈折率層等を有する従来型の構造体に比較して波長依存性と角度依存性とを抑えることができる。
レンズ10の材料には、樹脂や金属酸化物等が用いられる。樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、有機無機ハイブリッド材料等が用いられる。具体的には、光硬化性樹脂として、例えばアクリル樹脂、アリル樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂等がある。熱硬化性樹脂として、例えばフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等がある。熱可塑性樹脂として、例えばポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、環状オレフィンコポリマー等がある。有機無機ハイブリッド材料として、例えばポリイミド・チタニアハイブリッド等がある。また、金属酸化物として、例えばSiO、B、P、GeO、BeF、As、SiSe、GeS、TiO、TeO、Al、Bi、V、Sb、PbO、CuO、ZrF、AlF、InF、ZnCl、ZnBr等もしくはそれらを含むものが用いられる。
以上のレンズ10では、第1及び第2光学面11a,11bに比較的均一に反射防止構造体51が形成されている。そのため、第1及び第2光学面11a,11bにおける反射光が低減され、反射光で発生しうるゴーストを抑えることができる。また、反射防止構造体51が第1及び第2光学面11a,11bと同じ材質で形成されているため、膜剥がれやクラックといった不良が発生することを防ぐことができる。また、光線の入射角度にかかわらず均質な反射防止構造体51を有することにより、高精度な光学特性を有するレンズ10となる。
以下、図2及び図3を参照しつつ、図1(A)等に示すレンズ10を製造するためのレンズ製造装置の一例について説明する。レンズ製造装置は、図2に示す成形装置(成形金型40のみ図示)と、図3に示す加工装置60とを備える。
図2に示すように、成形金型40は、固定側の第1金型41と可動側の第2金型42とで構成される。図示を省略しているが、成形金型40は、射出成形機に組み込まれて使用されるものであり、第1金型41は、射出成形機の固定盤に固定され、第2金型42は、射出成形機の可動盤に固定される。両金型41,42は、可動盤に付随する不図示の駆動機構により、パーティングラインPLを境として相対的に開閉可能になっている。第1金型41と第2金型42とに挟まれた型空間CVは、レンズ10(図1(A)等参照)の形状に対応するものとなっている。型空間CVには、図示を省略する射出装置からの溶融樹脂が供給され適度の圧力で充填される。
成形金型40のうち第1金型41は、レンズ10の第1光学面11a及び第1フランジ面12aを成形するためのものである。第1金型41は、第2金型42に対向する端面41aに、レンズ10の第1光学面11a及び第1フランジ面12aに対応する第1転写面41bを有する。
第2金型42は、レンズ10の第2光学面11b及び第2フランジ面12bを成形するためのものである。第2金型42は、第1金型41に対向する端面42aに、レンズ10の第2光学面11b及び第2フランジ面12bに対応する第2転写面42bを有する。
以上の成形金型40を利用して成形されたレンズ10の光学面11a,11bは、比較的平滑な非球面の曲面(或いは球面)であり、これらの光学面11a,11b上には、図1(B)に示すような反射防止構造体51がまだ形成されていない。
図3に示すように、レンズ10に反射防止構造体51を形成するための加工装置60は、真空チャンバー61と、ステージ62と、イオンガン63と、中和ガン64と、蒸着装置65と、ガス供給部66,67と、ガス排出部68と、制御部69とを備える。
真空チャンバー61は、加工装置60内を気密に保つためのものである。真空チャンバー61内には、ステージ62と、イオンガン63と、中和ガン64と、蒸着装置65とが設けられている。また、真空チャンバー61は、ポート61aを介してガス供給部66,67と連通し、ポート61bを介してガス排出部68と連通している。
ステージ62は、真空チャンバー61の上部に設けられており、駆動部62dによって、X方向、Y方向、及びZ方向に3次元的に移動可能となっており、鉛直軸のまわりに回転させることもできる。ステージ62のイオンガン63等に対向するステージ面62a上には、レンズ10が載置され固定されている。ステージ62の位置調整により、レンズ10の位置調整がされる。また、ステージ62の回転により、レンズ10を真空チャンバー61の上部空間内で周回させることもできる。なお、図示を省略しているが、ステージ62は、反転機構を備え、ステージ面62a上に保持されたレンズ10の表裏を適当なタイミングで反転させることができる。
イオンガン63は、レンズ10の第1及び第2光学面11a,11b上に反射防止構造体51を形成するためのものである。イオンガン63は、プラズマ中のイオンを電圧印加等によって抽出し、イオンガン63の外部に放出する。具体的には、イオンガン63は、供給されたガスをイオン化し、イオンガン63の陽極63aと陰極63bとの間にビーム電圧を印加する。イオンガン63は、イオン化したガス(例えば、正イオン)を陰極63b側に接近、通過させ、イオンビームIBとして真空チャンバー61内に放出する。放出されたイオンビームIBは、ステージ62上のレンズ10の第1光学面11aと第2光学面11bとに照射される。これにより、後述するマスクMAを形成するマスク形成工程において、第1及び第2光学面11a,11bに対して活性化処理を行うことができるとともに、その後のエッチング工程において、第1及び第2光学面11a,11bのうち後述するマスクMAが形成されていない露出した樹脂部分をエッチングすることができる。
中和ガン64は、イオンビームIB中のイオンを中和させて電解分布の影響を抑えるためのものである。中和ガン64には、不図示のガス導入源から電離用のガスが導入されており、導入されたガスが電離される。電離によって生成された電子を真空チャンバー61に放出させると、イオンガン63によってイオン化したガスが電子によって中和される。なお、中和ガン64の代わりに中和グリッドを用いてもよい。
蒸着装置65は、レンズ10の第1光学面11a上と第2光学面11b上とに後述するマスクMAを形成するためのものである。蒸着装置65は、例えばSiO、Al、MgF、ZrO、TiO、Ta、CeO、Cr、Al、Ag、及びこれらの混合物等の蒸着を行う。
ガス供給部66,67は、イオンビームIBを照射するための導入ガスをイオンガン63に供給するものである。導入ガスとして、不活性ガスと反応性ガスとが用いられる。不活性ガスとして、例えばアルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)、及びこれら混合ガスがある。また、反応性ガスとして、例えば酸素(O)、四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、トリフルオロメタン(CHF)がある。ここで、Ar、O、N、及びこれら混合ガスは、比較的安価であるため好ましい。その中でも、O及びこれを含んだ混合ガスは、第1及び第2光学面11a,11bのエッチングの際に反応性エッチングを同時に行うことができるため特に好ましい。
ガス排出部68は、真空チャンバー61内を排気するためのものである。ガス排出部68によって、真空チャンバー61内を所定の真空度まで排気する。
制御部69は、ステージ62、イオンガン63、中和ガン64、蒸着装置65、及びガス排出部68の動作を制御するためのものである。
以下、図4(A)〜4(C)及び図5(A)〜5(D)を参照しつつ、図1(A)等に示すレンズ10の製造工程について説明する。レンズ10の製造工程は、レンズ10を成形する成形工程と、レンズ10の表面を改質する改質工程と、第1及び第2光学面11a,11b上に反射防止構造体51を形成する構造体形成工程とで構成される。
〔成形工程〕
成形工程は、図2に示す第1及び第2金型41,42を組み込んだ射出成形機を用いて行われる。本工程により、レンズ10の本体部分が成形される。
まず、両金型41,42を成形に適する温度まで加熱する。次に、図4(A)に示すように、第1金型41と第2金型42とが接触する型当たり位置まで両金型41,42を相対的に近接させて型閉じを行うとともに、第1金型41を第2金型42とを必要な圧力で締め付ける型締めを行う。次に、図4(B)に示すように、型締めされた第1金型41と第2金型42との間の型空間CV中に、必要な圧力で溶融樹脂MPを注入する射出を行わせる。この際、第1金型41と第2金型42とが適度に加熱されており、型空間CV中の溶融樹脂MPが緩やかに冷却される。溶融樹脂MPが冷却されて十分硬化した段階で、図4(C)に示すように、第2金型42を後退させる型開きを行うことにより、第1金型41と第2金型42とが離間する。この結果、両金型41,42間から光学素子としてのレンズ10を取り出すことができる。レンズ10には、微視的にも比較的滑らかな曲面である第1及び第2光学面11a,11bが形成されている。
〔改質工程〕
改質工程は、後述するマスク形成工程前に、基材の表面、すなわちレンズ10の第1及び第2光学面11a,11bを改質するために行う。改質工程は、図3に示す加工装置60を用いて行う。具体的には、図5(A)に示すように、レンズ10の第1及び第2光学面11a,11bに対してイオンビームIBを10秒〜10分程度照射する。本工程により、第1及び第2光学面11a,11bの汚れを除去し、基材表面を活性化することができる。また、次工程の構造体形成工程における第1及び第2光学面11a,11bの濡れ性の変化を減少させることができる。改質工程において、イオンビームの出力及びイオンビーム形成用のガスは、マスク形成工程やエッチング工程と同様のものとすることができる。
〔構造体形成工程〕
構造体形成工程は、マスク形成工程と、エッチング工程とを有する。本工程により、基材の表面、すなわちレンズ10の第1及び第2光学面11a,11bに反射防止構造体51が形成される。なお、第1及び第2光学面11a,11bに対する処理工程は同様であるため、便宜上、第1光学面11aに反射防止構造体51を形成する場合についてのみ説明する。
A)マスク形成工程
本工程おけるマスク形成工程は、エッチング工程の前処理として行われる。マスク形成工程では、レンズ10の第1光学面11a上にマスクMAを形成する。マスク形成工程において、イオンビーム等の粒子の衝突エネルギーを用いることによってマスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理を行いながら蒸着によってマスクMAを形成する。マスクMAは、図5(B)に拡大して示すように、微細な島状のパターンとなっている。マスクMAは、ランダムに配置された複数の島IMを有している。マスク形成工程は、蒸着等の膜堆積によって行われる。薄膜の初期成長過程において、膜の成長核が島IMとなって成長する状態、すなわち島成長が起こる。薄膜成長の初期過程を利用することで、マスクMAを分散した島状に形成することができる。膜が層状になる前の島成長の状態では、島IMが存在している部分と第1光学面11aが露出している部分とが存在するため、微細な島状の遮蔽パターンを有するマスクとして機能する。
図3に示す成膜装置としての加工装置60内で主に蒸着装置65を利用してマスク形成工程を行う。マスクMAを構成する島IMの数密度や大きさは、膜の成長条件(表面へのエネルギー供給を含む)を調整することによって適宜変更することができる。堆積される島IMの平均膜厚は、例えば1nm以上20nm以下が好ましい。マスクMAの材料は、例えば低屈折透明材料、高屈折透明材料等がある。具体的には、低屈折透明材料として、SiO、Al、MgF、CaF、BaF、NaAlF、NaAl14、SiO等、乃至はそれらの混合物がある。また、高屈折透明材料として、ZrO、TiO、Ta、Nb、Ti、CeO、HfO等、乃至はそれらの混合物がある。特に、低屈折透明材料の場合、反射防止構造体51上に残留しても反射の要因になりくい。マスクMAのパターニングを施すことにより、第1光学面11aの面上の位置に応じてエッチング速度の違いが生じ、後述するエッチング工程において微細な凹凸形状を形成することができる。
既に説明したように、マスク形成工程の際にレンズ10の表面にイオンビーム等を照射しつつ蒸着を行う。つまり、加工装置60において蒸着装置65を動作させて膜蒸着を行う際に、レンズ10の第1光学面11aに向けられたイオンガン63を適宜動作させる。つまり、イオンガン63から放出されるイオンビームIBと、蒸着装置65から出射される蒸着粒子EBとが、レンズ10の目的とする面、すなわち第1光学面11aに並行して照射されるようになっている。
具体的な動作について説明すると、レンズ10をステージ62に固定した後、ガス排出部68によって真空チャンバー61内の気体を排気する。排気によって維持される背圧は、1×10−1Pa以下となっている。なお、背圧は、1×10−3Pa以下がより好ましい。また、背圧は、後述する導入ガスの1/10以下の圧力であることが望ましい。
次に、真空チャンバー61内に導入ガスを導入する。導入ガスは、例えばAr、O、N、He、Kr、Ne、CF、SF、CHF及びこれらの混合ガスのいずれかが用いられる。また、これらのガス流量は1sccm〜200sccmである。
以上の真空チャンバー61の状態でイオンビームIBを放出し、レンズ10の第1光学面11aにイオン照射を行う。この際、イオンビームの出力エネルギーは1W〜1kWである。また、かかるイオン照射は、既に説明したように蒸着装置65を用いて蒸着と並行して行われる。この結果、レンズ10の第1光学面11a上にイオンビームIBを一様かつ適度に当てつつ、第1光学面11a上にマスク材料の一様かつ微弱な蒸着粒子EBを入射させることができる。このように蒸着粒子EBの照射に際してイオンビームIBを存在させることで、蒸着粒子EBによって第1光学面11a上に付着するマスク材料粒子に適度なエネルギーが与えられて活性化される。この結果、通常の蒸着では島IMを形成することが難しく連続膜となってしまうような材料・膜厚であってもマスクMAとなるべき島IMの凝集が促進され、第1光学面11a上に適度に分散した多数の島IMを一様に形成することができる。
B)エッチング工程
本工程におけるエッチング工程は、図3に示すエッチング装置としての加工装置60を用いることで行われる。エッチング工程において、イオンガン63及び中和ガン64を利用して、イオンビームIBの照射、すなわち粒子の衝突エネルギーを用いる手法によってエッチングを行う。この際、イオンビームの出力及びイオンビーム形成用のガスは、エッチング工程とマスク形成工程とで異なるものとできる。
マスク形成工程の際に使用したガスと異なるガスを用いる場合、ガス排出部68によって真空チャンバー61内の気体を排気する。排気によって維持される背圧は、1×10−1Pa以下となっている。なお、背圧は、1×10−3Pa以下がより好ましい。また、背圧は、後述する導入ガスの1/10以下の圧力であることが望ましい。
次に、真空チャンバー61内に導入ガスを導入する。導入ガスは、例えばAr、O、N、He、Kr、Ne、CF、SF、CHF及びこれらの混合ガスのいずれかが用いられる。ここで、導入ガスに、不活性ガスと反応性ガスとを用いると、エッチングレートを簡単に調整することができる。導入ガスの圧力は、1Pa以下となっている。なお、導入ガスの圧力は、1×10−1Pa以下がより好ましい。より低いガス圧でエッチングを行うことにより、イオンの平均自由工程が長くなる。そのため、イオンの運動エネルギーが第1光学面11aに衝突するまでに失われにくくなり、エッチングレートが上昇する。よって、イオンの平均自由工程がレンズ10とイオンガン63との間の距離と同じ又は1/10程度になるように全圧を設定することにより、エッチングレートの上昇が見込まれる。エッチング工程において、第1光学面11aが配置されている部分での最大のエッチングレートと最小のエッチングレートとの差は、最大のエッチングレートの10%以内となっている。
以上の真空チャンバー61の状態でイオンビームIBを放出し、第1光学面11aにイオン照射を行う。この際、イオンの加速エネルギーは1W〜1kWである。
イオンビームIBの照射により、図5(C)に示すように、マスクMAの島IMとともに、レンズ10の樹脂が露出した部分がエッチングされる。これにより、図5(D)に示すように、第1光学面11aに入射光側から光学素子中心側に向かうにつれて凹凸形状の体積密度が増加するような構造を有する反射防止構造体51が形成される。なお、図5(C)のように反射防止構造体51上にマスクMAが残留している場合もある。上記のようなエッチング工程後、第1光学面11aに付着したマスクMAを除去するマスク除去工程を行ってもよい。この場合、例えばイオンビームIBの調整によりマスクMAの除去処理を行う。
以上により、図1(A)等に示すレンズ10の第1光学面11a上に反射防止構造体51を形成することができるが、レンズ10をステージ62上で反転させることにより、第2光学面11b上にも、同様の手法で反射防止構造体51を形成することができる。その場合再び真空に排気する必要が無いため、反射防止構造体の作製時間を短縮することが可能になる。結果的に、光学面11a,11bが反射防止構造体51で被覆されたレンズ10が完成する。
以上説明した光学素子の製造方法等によれば、基材であるレンズ10の表面(例えば第1光学面11a)に島状のマスクMAを形成する際に、イオンビームIBによってマスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理を行う。このように、マスク用の粒子にエネルギーを与えるため、粒子の表面拡散が促進されマスク用の粒子がレンズ10の表面上で島成長しやすくなる。その後、イオンビームIBを用いてエッチングを行うことにより、レンズ10の表面(第1及び第2光学面11a,11b)に所望の形状及び密度を有する微細凹凸構造である反射防止構造体51を均一に形成することができる。これにより、基材の種類や基材の表面の濡れ性にかかわらず、島状に分散したマスクMAを所望の程度に形成することができ、所期の光学特性を有するレンズ10を容易に製造することができる。
イオンビームIB等を照射しつつマスクMAを形成すると、基材の表面の濡れ性の影響を受けにくいため、異なる材料の基材(レンズ10の本体材料:具体的には射出成形等によって形成された光透過性の樹脂)に対しても同様の条件でエッチングを行うことができる。また、基材の表側(例えば第1光学面11a)と裏側(例えば第2光学面11b)とで同じ処理で同様の特性を得ることができる。また、部分的な濡れ性の変化が基材の表裏の表面にあっても外観不良が生じにくい。以上のことから、本実施形態の方法は、生産しやすく、材料の制限もなくレンズ10に反射防止構造体51を付与することができる。
本実施形態の方法で製造したレンズ10には、図6(A)に示すように、線状の外観不良は生じない。一方、マスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理を行わずに製造したレンズには、部分的に表面の濡れ性が異なるため、図6(B)に示すように、線状の外観不良が生じうる。そのため、図6(B)のような表面では、場所によって反射率に差が現われる、不良部分で光の散乱が起きる等の問題が発生する。
〔実施例1〕
以下、本実施形態のうち構造体形成工程の実施例を説明する。
反射防止構造体51の基材として、熱可塑性樹脂製(APEL(三井化学株式会社製))の基板を用いた。基板の直径は11mmであり、厚さは3mmである。構造体形成工程のマスク形成工程において、図3に示すイオンガン63等を用いて基材の表面にイオンビームIBを照射しつつ、図3に示す蒸着装置65を用いて無処理の基材上にTiOのマスクMAを成膜した。この際、イオンの加速エネルギーは、1W−1kWとした。本工程において、マスクMAの膜厚は、平均膜厚が1nm−10nm程度となるようにした。その後、エッチング工程において、図3に示すイオンガン63等を用いてマスクMAを形成した基材に対してArとOの混合ガスによってイオンビームエッチング処理を50分間行った。この際、イオンの加速エネルギーは、1W−1kWとした。これにより、基材の表面に反射防止構造体51が作製される。基材の両面に対して構造体形成工程を行い、最初に反射防止構造体51が形成された面を先行面とし、次に反射防止構造体51が形成された面を後行面とした。
図7(A)に実施例1の基材の表面の反射率を示す。図7(A)は、波長に対する可視光平均反射率を示すグラフである。図7(A)において、線aが実施例1の先行面の反射率を示し、線bが実施例1の後行面の反射率を示す。反射率は、顕微分光測定機(USPM−RUIII、オリンパス社製)を用いて測定した。反射率は、基材の表面に対して垂直に測定した。
図7(A)に示すように、先行面と後行面とにおいて、略同一の反射率を得ることができた。つまり、先行面の反射防止構造体51の形成によって後行面のマスクMAの形状が変化しないことがわかる。
〔比較例1〕
以下、構造体形成工程の比較例を説明する。
比較例1において、実施例1と同じ基材に対して構造体形成工程を行った。構造体形成工程は、マスク形成時にイオンビームを照射しない点を除き、上述した実施例1と同様である。
図7(B)に比較例1の基材の表面の反射率を示す。図7(B)は、波長に対する平均反射率を示すグラフである。図7(B)において、線cが比較例1の先行面の反射率を示し、線dが比較例1の後行面の反射率を示す。反射率の測定方法は上述の実施例1と同様である。
図7(B)に示すように、先行面と後行面において、反射率が大きく異なった。つまり、先行面の反射防止構造体の形成によって後行面のマスクMAの形状が変化したことがわかる。このように、先行面に反射防止構造体を作製する際に、エッチング工程において回り込んだイオンによって、後行面の濡れ性が変化してしまう。そのため、後行面に均一にマスクが形成されず、結果として後行面の反射率が異なるものとなった。
〔実施例2〕
以下、構造体形成工程の別の実施例について説明する。実施例2において、反射防止構造体51の基材として、熱可塑性樹脂(APEL(三井化学株式会社製)、EP5000(三菱ガス化学株式会社製)、ZEONEX(日本ゼオン株式会社製))の基板を用いた。基板の直径は11mmであり、厚さは3mmである。構造体形成工程は、上述した実施例1と同様である。
図8(A)に実施例2の基材の表面の反射率を示す。図8(A)は、波長に対する可視光平均反射率を示すグラフである。図8(A)において、線eが材料がAPELである基材の表面の反射率を示し、線fが材料がEP5000である基材の表面の反射率を示し、線gが材料がZEONEXである基材の表面の反射率を示す。反射率の測定方法は上述の実施例1と同様である。
図7(A)に示すように、いずれの材料を用いた基材でも略同一の反射率を得ることができた。つまり、基材の材料が異なっていても、構造体形成工程において同様の条件で所望の反射率を得ることができることがわかる。
〔比較例2〕
以下、構造体形成工程の別の比較例を説明する。
比較例2において、実施例2と同じ基材に対して構造体形成工程を行った。構造体形成工程は、マスク形成時にイオンビームを照射しない点を除き、上述した実施例1と同様である。
図8(B)に比較例2の基材の表面の反射率を示す。図8(B)は、波長に対する平均反射率を示すグラフである。図8(B)において、線hが材料がAPELである基材の表面の反射率を示し、線iが材料がEP5000である基材の表面の反射率を示し、線kが材料がZEONEXである基材の表面の反射率を示す。反射率の測定方法は上述の実施例1と同様である。
図8(B)に示すように、同様の条件で構造体形成工程を行っても、基材の材料が異なると反射率が大きく異なった。つまり、基材の材料に応じて構造体形成工程の条件を変更する必要があることがわかる。
〔実施例3〕
以下、構造体形成工程の別の実施例について説明する。実施例3において、反射防止構造体51の基材として、熱可塑性樹脂(APEL(三井化学株式会社製))のレンズ10を用いた。実施例3において、構造体形成工程の際に、エッチング処理にイオンビームを用いたサンプル1と、プラズマを用いた反射防止構造体51を形成したサンプル2とを得た。サンプル1、2共にマスク形成工程において、イオンビームを照射しつつTiOのマスクMAを成膜した。本工程において、マスクMAの膜厚は、平均膜厚が1nm−20nm程度となるようにした。その後、エッチング工程において、サンプル1に対しては、図3に示すイオンガン63等を用いてマスクMAを形成した基材に対してArとOの混合ガスによってイオンビームエッチング処理を50分間行った。この際、イオンの加速エネルギーは、1W〜1kWとした。一方、サンプル2に対しては、図示を省略するプラズマ装置を用いてプラズマエッチング処理を5分間行った。この際、プラズマエッチングは、プラズマ発生用の高周波電圧と基板バイアス用の低周波電圧を印加できるものを使用し、高周波電源10W−500W、低周波電源5W−200Wの極力低電源で実施した。また、プラズマエッチング用のガスにはOを使用した。
図9に実施例3の基材の表面の可視光平均反射率を示す。図9において、線mがイオンビームを用いて反射防止構造体51を形成した基材の表面の反射率を示し、線nがプラズマを用いて反射防止構造体51を形成した基材の表面の反射率を示す。反射率の測定方法は上述の実施例1と同様である。
図9に示すように、イオンビーム及びプラズマのいずれを用いてもレンズ10の表面の反射率は比較的低くなった。特に、イオンビームの方が低いレートでエッチング可能であるため熱ダメージが小さく、例えば波長450nmにおける散乱が若干が小さくなった。
〔実施例4〕
以下、構造体形成工程の別の実施例について説明する。実施例4において、図3に示す蒸着装置65を用いて、ガラス基板上に極力低いレートで膜を堆積させた。光学干渉表面粗さ計(Wyko(Veeco社製))を用いて成膜した膜の厚さを測定した。レートは測定した膜厚を作製時間で割って算出した。その結果、実施例4の最低堆積レートは0.01nm/secであった。
〔比較例3〕
以下、構造体形成工程の別の比較例について説明する。比較例3において、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いて、ガラス基板上に極力低いレートで膜を堆積させた。膜厚の測定方法は、実施例4と同様である。比較例3の最低堆積レートは10nm/secであった。
実施例4及び比較例3の結果からCVDに比べて蒸着の方が精密制御が容易であることがわかった。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る光学素子の製造方法等について説明する。なお、第2実施形態の光学素子の製造方法等は第1実施形態の光学素子の製造方法等を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
図10は、本実施形態用いる加工装置60を説明する図である。この場合、真空チャンバー61内において、ステージ62の下側に対向して熱エネルギー照射装置72が配置されている。熱エネルギー照射装置72は、例えば電子線、レーザー光、輻射熱等をステージ62方向に一様に照射させる装置であり、基材の表面、すなわちレンズ10の光学面11a,11bを加熱する。熱エネルギー照射装置72は、加工装置60において蒸着装置65を動作させて膜蒸着を行う際に動作させる。これにより、レンズ10の第1光学面11a上に電子線、レーザー光、輻射熱等を照射しつつ、第1光学面11a上にマスク材料の一様かつ微弱な蒸着粒子EBを入射させることができる。このように蒸着粒子EBの照射に際して光学面11aを加熱することで、蒸着粒子EBによって第1光学面11a上に付着するマスク材料粒子に適度なエネルギーが与えられる。この結果、マスクMAとなるべき島IMの凝集が適度に促進され、第1光学面11a上に適度に分散した多数の島IMを一様に形成することができる。
以上、本実施形態に係る光学素子の製造方法等について説明したが、本発明に係る光学素子の製造方法等は上記のものには限られない。例えば、上記実施形態において、第1及び第2光学面11a,11bの形状、大きさは、用途や機能に応じて適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、単一のレンズ10の反射防止加工について説明したが、互いに接合又は連結される複数のレンズを備える複合レンズの1つ以上の光学面に反射防止加工を施して反射防止構造体51を形成することができる。同様に、複数のレンズ要素を2次元的に配列したレンズアレイの表面に反射防止加工を施して反射防止構造体51を形成することができる。
また、上記実施形態において、レンズ10に形成した反射防止構造体51は、レンズ以外にも、ミラー、回折構造、照明部品、光伝送部品等の様々な光学製品の光学面上に形成することができる。
また、上記実施形態において、レンズ10を射出成形によって形成したが、レンズ10は、例えば光透過性の型間で光硬化させるといった各種モールド法を用いて成形することができる。また、レンズ10の作製には、モールドを用いた手法以外にも様々な手法を用いることができる。例えば、熱融着、熱処理、蒸着、塗布、堆積後のエッチング等を用いてレンズ10を作製してもよい。なお、レンズ10がガラス製の場合、例えば金型によるプレス成形によって成形される。
また、上記実施形態において、第1及び第2光学面11a,11bの双方に反射防止構造体51を形成する必要はなく、第1及び第2光学面11a,11bのいずれか一方の反射防止構造体51を省略し、或いは通常の干渉型の反射防止膜に置き換えることができる。第1及び第2光学面11a,11bのいずれか一方の反射防止構造体51を他の方法(例えば、フォトレジスト等をマスクとして用いてエッチング等により微細凹凸構造を形成するもの)によって形成した反射防止構造体に置き換えてもよい。
また、上記実施形態において、エッチング工程用のイオンガンとマスク形成工程用のイオンガンとを別物とすることができる。ガス供給部66,67は2つ設けられているが、1つでも3つ以上でもよい。
また、上記実施形態において、反射防止構造体51上に保護層が設けられていてもよい。この場合、図3に示す蒸着装置65を用いて保護層を形成することができる。
10…レンズ 、11…レンズ本体 、11a,11b…光学面 、12…フランジ部 、12a,12b…フランジ面 、40…成形金型 、41…第1金型 、42…第2金型 、51…反射防止構造体 、60…加工装置 、61…真空チャンバー 、62…ステージ 、63…イオンガン 、64…中和ガン 、65…蒸着装置 、72…熱エネルギー照射装置 、CV…型空間 、EB…蒸着粒子 、IB…イオンビーム 、IM…島 、MA…マスク 、MP…溶融樹脂 、OA…光軸 、PL…パーティングライン

Claims (7)

  1. 基材の表面でマスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理を行いながら蒸着によって島状のマスクを形成するマスク形成工程と、
    前記マスク形成工程後、前記基材の表面をエッチングし微細凹凸構造を形成するエッチング工程と、
    を備えることを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 前記マスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理は、プラズマ及びイオンビームのいずれか一方を用いることによって行うことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 前記マスク用の粒子の運動エネルギーを増加させる処理は、前記基材の表面を加熱することによって行うことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  4. 前記マスク形成工程前に、前記基材の表面を改質する改質工程を行うことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  5. 前記基材の材料は、樹脂及び金属酸化物のいずれか一方であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記エッチング工程において、プラズマ及びイオンビームのいずれか一方を用いることによってエッチングを行うことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  7. 請求項1から6までのいずれか一項に記載の光学素子の製造方法を用いて製造することを特徴とする光学素子。
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