JP6292129B2 - 光学素子の製造方法及び反射防止構造体の作製方法 - Google Patents

光学素子の製造方法及び反射防止構造体の作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学素子の表面上に反射防止構造体を有する光学素子の製造方法及び当該反射防止構造体の作製方法に関する。
一般的に、カメラモジュールなどに用いられる光学レンズでは、表面反射によるゴーストやフレアーを低減させるために反射防止加工がされている。最も一般的な反射防止加工としては、反射防止膜と呼ばれる光学薄膜を設ける方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、別の反射防止加工法として、反射防止構造体を設ける方法がある。反射防止構造体は、レンズなどの光学素子の表面に光の波長スケールの凹凸形状や巨視的に見て密度の低い部分を作製したものであり反射を低減する。反射防止構造体の作製法には、成形を行う金型に反射防止構造のネガ型を作製しておき、成形時に反射防止構造を転写する方法がある(例えば、特許文献2参照)。また、反射防止構造体の作製法には、蒸着によって基板上に島状のパターンマスクを形成した後、エッチングを行う方法がある(例えば、特許文献3参照)。さらに、単粒子膜を基板上に移し取り、この単粒子膜をマスクとしてエッチングを行う方法がある(例えば、特許文献4参照)。
特許文献2の方法のように、構造体を作製する手法として金型を用いる場合、樹脂との接着面積が増加することによって離形不良や金型の劣化による光学素子の不均質さが生じる、金型作製が複雑になりコストが非常に高くなる、などの問題がある。
また、特許文献3の方法は、平坦面のマスク形成には向いているが、曲率の比較的大きな光学面では異なる面角度においてマスクが均一に形成されにくく、異なる面角度において島状のマスクを均一に形成することが難しい。そのため、例えば曲面全体に微細な凹凸構造を均一に作製することが難しい。また、特許文献4の方法では、単粒子膜を曲面に均一に塗布することが難しく、単粒子膜の移行工程にも手間がかかる。
なお、光学素子の製造に関連する技術として、フォトレジストをマスクとして用いることでレンズ面を形成する方法がある(例えば、特許文献5参照)。この方法は、レンズの光学面の曲面に応じて露光光を傾けて目的とする厚み分布を有するレジストマスクを形成し、ドライエッチングなどのエッチングにより反射防止構造体を形成する。これを応用して曲面上にマスクを形成することが考えられるが、露光光の入射角度が大きくなるにつれて光強度が低下するため、露光光の入射角度によってレジストの膜厚が異なり、均一にマスクを形成することが難しい。また、曲面に応じて光源を傾ける必要があり装置が複雑となる。また、マスク形成作業に手間がかかり、レンズ1つ1つを加工するとコストがかかる。その他、EB(Electron Beam)描画により基材の表面上に反射防止構造体を作製する方法も考えられるが、実現性やコストの点で問題がある。
特表2010−519881号公報 特開2005−31538号公報 特表2010−511079号公報 特開2009−034630号公報 特開2004−309794号公報
本発明は、非平坦面全体に反射防止構造体を均一にかつ容易に作製できる光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記反射防止構造体の作製方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る光学素子の製造方法は、巨視的な非平坦面を有する光学素子の製造方法であって、巨視的な非平坦面を複数領域に区分けし、区分けされた複数領域のうち第1の領域に対して島状のマスクを形成する第1マスク形成工程と、第1マスク形成工程により島状のマスクが形成された第1の領域をエッチングして、第1の領域に反射防止構造体を形成する第1エッチング工程と、第1エッチング工程後、複数の領域のうち第1の領域と異なる第2の領域に対して島状のマスクを形成する第2マスク形成工程と、第2マスク形成工程により島状のマスクが形成された第2の領域をエッチングして、第2の領域に反射防止構造体を形成する第2エッチング工程とを備え、第2マスク形成工程において、第1エッチング工程により第1の領域に形成された反射防止構造体を全体的に覆うようにマスクを形成し、かつ、第1の領域と異なる第2の領域に対して島状のマスクを形成する。ここで、巨視的な非平坦面とは、曲面(曲率が相対的に大きい面でもよい)、或いは面角度が大きい面を含む複合面等を意味する。また、第1及び第2の領域とは、1回のマスク形成工程やエッチング工程によって島状のマスク形成やエッチングが行われる領域を総称している。つまり、事実上複数の領域に分割されていても、1回のマスク形成工程やエッチング工程によって島状のマスク形成やエッチングが行われれば、1つの領域としてとらえる。また、第1の領域に形成された反射防止構造体を全体的に覆うとは、構造体を含む凹凸領域において、反射防止機能を有するような高さに関してのある閾値を基準として、その閾値を超える領域を概ね覆っている状態を意味する。
上記光学素子の製造方法によれば、巨視的な非平坦面上に反射防止構造体を比較的均一に作製することができる。そのため、巨視的な非平坦面における反射光が低減され、反射光で発生しうるゴーストを抑えることができる。指向性のある手法によってマスクを形成する場合、巨視的な非平坦面において面角度が比較的大きい部分と面角度が比較的小さい部分とでは、マスクの形成されやすさが異なる。しかし、巨視的な非平坦面を複数領域に区分けし、区分けした領域ごとに島状マスクを形成する工程とエッチングする工程とを設けることにより、巨視的な非平坦面に対しても反射防止構造体を比較的均一に作製することができるようになる。このように、均一な膜厚のマスクを非平坦面の全体にわたって形成する必要がないため、低コストかつ容易に非平坦面の全体に反射防止構造体を形成することができる。また、反射防止膜を設ける場合に比較して、反射防止構造体を設けることで高耐熱性を得ることができる。
また、本製造方法によれば、第2エッチング工程において、マスクで覆われた第1の領域に形成された反射防止構造体はほとんどエッチングされず、島状のマスクが形成された第2の領域が優先的にエッチングされる。これにより、非平坦面の全体にわたって、より均一な反射防止構造体を形成することが可能となる。
本発明の具体的な態様又は観点では、上記光学素子の製造方法において、第1の領域は、巨視的な非平坦面のうち光学素子の光軸に対して面角度が比較的小さい領域である。この場合、反射防止構造体を作製しやすい面角度が比較的小さい部分に予め反射防止構造体を形成するため、その後の第2マスク形成工程及び第2エッチング工程においてマスク形成のコントロールがしにくい面角度が比較的大きい部分を選択的に加工することができる。
本発明のさらに別の観点では、第1マスク形成工程で形成される第1マスクの平均膜厚と、第2マスク形成工程で形成される第2マスクの平均膜厚とが異なる。巨視的な非平坦面に対し、形成するマスクの厚みを変えることにより、島状のマスクが形成される領域を調整することが可能となる。つまり、第1マスク形成工程で形成される第1マスクの平均膜厚と、第2マスク形成工程で形成される第2マスクの平均膜厚とを異ならせることにより、第1の領域と異なる領域に島状のマスクを形成することが可能となる。
本発明のさらに別の観点では、第1マスク形成工程で形成される第1マスクの平均膜厚が、第2マスク形成工程で形成される第2マスクの平均膜厚よりも薄い。この場合、第1マスク形成工程で形成した島状のマスクを反射防止構造体の形成に利用でき、第2マスク形成工程で形成したマスクのうち島状のマスク部分を反射防止構造体の形成に利用できる。
本発明のさらに別の観点では、第1マスク形成工程で形成される第1マスクの平均膜厚が、第2マスク形成工程で形成される第2マスクの平均膜厚よりも厚い。この場合、第1マスク形成工程で形成したマスクのうち島状のマスク部分を反射防止構造体の形成に利用でき、第2マスク形成工程で形成した島状のマスクを反射防止構造体の形成に利用できる。
本発明のさらに別の観点では、第1エッチング工程と第2マスク形成工程との間に、巨視的な非平坦面に付着したマスクを除去するマスク除去工程を有する。
本発明のさらに別の観点では、第2エッチング工程後に、巨視的な非平坦面に付着したマスクを除去するマスク除去工程を有する。
本発明のさらに別の観点では、第1マスク形成工程及び第2マスク形成工程において、蒸着、スパッター、及びCVDのいずれかでマスクを形成する。この場合、蒸着、スパッター、CVDなどの指向性のある手法によるマスク形成の特徴を活かして、反射防止構造体を形成するのに適した膜厚のマスクを形成することができる。
本発明のさらに別の観点では、第1エッチング工程及び第2エッチング工程において、イオンビーム及びプラズマのいずれかで巨視的な非平坦面をエッチングする。
本発明のさらに別の観点では、複数領域のうち第1及び第2の領域と異なる領域を1つ以上に区分けし、第1及び第2マスク形成工程の少なくともいずれかと同様のマスク形成工程と、第1及び第2エッチング工程の少なくともいずれかと同様のエッチング工程とを1回以上行う。この場合、巨視的な非平坦面を3つ以上の領域に区分して、各領域についてマスク形成工程と、エッチング工程とを行う。これにより、非平坦面に対して徐々に又は段階的に反射防止構造体を形成することができ、曲率が大きな面でもより均一な構造を作製することが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明に係る反射防止構造体の作製方法は、巨視的な非平坦面を有する光学素子に反射防止構造体を作製する反射防止構造体の作製方法であって、巨視的な非平坦面を複数領域に区分けし、区分けされた複数領域のうち第1の領域に対して島状のマスクを形成する第1マスク形成工程と、第1マスク形成工程により島状のマスクが形成された第1の領域をエッチングして、第1の領域に反射防止構造体を形成する第1エッチング工程と、第1エッチング工程後、複数の領域のうち第1の領域と異なる第2の領域に対して島状のマスクを形成する第2マスク形成工程と、第2マスク形成工程により島状のマスクが形成された第2の領域をエッチングして、第2の領域に反射防止構造体を形成する第2エッチング工程とを備え、第2マスク形成工程において、第1エッチング工程により第1の領域に形成された反射防止構造体を全体的に覆うようにマスクを形成し、かつ、第1の領域と異なる第2の領域に対して島状のマスクを形成する。

上記反射防止構造体の作製方法によれば、巨視的な非平坦面上に反射防止構造体を比較的均一に作製することができる。そのため、巨視的な非平坦面における反射光が低減され、反射光で発生しうるゴーストを抑えることができる。また、反射防止膜を設ける場合に比較して、反射防止構造体を設けることで高耐熱性を得ることができる。
図1Aは、第1実施形態の光学素子の平面図であり、図1Bは、図1Aに示す光学素子のAA矢視断面図であり、図1Cは、図1Aに示す光学素子を積層し、分離したレンズユニットの拡大断面図である。 図1Aの光学素子の反射防止構造体などについて説明する部分拡大図である。 図1Aの光学素子の製造に用いる成形金型を説明する断面の概念図である。 図1Aの光学素子の製造に用いる加工装置を説明する概念図である。 図5A〜5Cは、図1Aの光学素子の成形工程を説明するための図である。 図1Aの光学素子の製造工程を説明するフローチャートである。 図7Aは、図1Aの光学素子の製造工程のうち第1マスク形成工程を説明する概念図であり、図7B及び7Cは、第1エッチング工程を説明する概念図である。 図8Aは、図1Aの光学素子の製造工程のうち第1マスク形成工程を説明する概念図であり、図8Bは、第1エッチング工程を説明する概念図であり、図8Cは、第2マスク形成工程を説明する概念図であり、図8Dは、第2エッチング工程を説明する概念図である。 図9A及び9Bは、図1Aの光学素子の製造工程のうち第2マスク形成工程を説明する概念図であり、図9C及び9Dは、第2エッチング工程を説明する概念図である。 図1Cのレンズユニットの製造工程を説明するフローチャートである。 図11A及び11Bは、図1Aの光学素子の実施例及び比較例を説明する図である。 図12Aは、図1Aの光学素子の実施例を説明する図であり、図12Bは、比較例を説明する図である。 図13A及び13Bは、第2実施形態の光学素子を説明する図である。 図14A及び14Bは、第3実施形態の光学素子を説明する図である。 図15Aは、第4実施形態の光学素子の製造工程のうち第1マスク形成工程を説明する概念図であり、図15Bは、第1エッチング工程を説明する概念図であり、図15Cは、マスク除去工程を説明する概念図である。 図16Aは、第4実施形態の光学素子の製造工程のうち第2マスク形成工程を説明する概念図であり、図16Bは、第2エッチング工程を説明する概念図である。
〔第1実施形態〕
図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る光学素子の製造方法及び反射防止構造体の作製方法について説明する。
図1Cに示す光学素子であるレンズユニット200は、図1A及び1Bに示す光学要素アレイ100などを積層し切断することによって形成される。ここでは、まず光学要素アレイ100について説明する。なお、光学要素アレイ100自体を光学素子として用いることもできる。
光学要素アレイ
図1A及び1Bに示すように、光学要素アレイ100は、円盤状であり、基板101と、第1レンズアレイ層102と、第2レンズアレイ層103とを有する。光学要素アレイ100は、後述する複合レンズ10をマトリックス状に配列して一体化した構造を有する。説明の都合上、4つの複合レンズ10のみを図示しているが、実際の光学要素アレイ100は、多数の複合レンズ10を含むものとなっている。ここで、第1及び第2レンズアレイ層102,103は、軸AXに垂直なXY面内での並進及び軸AXのまわりの回転に関して相互にアライメントされて基板101に接合されている。
光学要素アレイ100のうち基板101は、XY面に沿って延びる円形の平板であり、光学要素アレイ100の形状を安定させる目的、及び成形を容易にする目的で用いられる。基板101は、樹脂、ガラス、フォトニック結晶、及びこれらに添加物を加えたものなどで形成されている。特に、光透過性に優れるガラスや透明樹脂、及びこれらに添加物を加えたものが好ましい。基板101の厚さは、基本的には光学的仕様によって決定される。基板101の片面又は両面には、洗浄や表面改質などの目的に応じて、プラズマ、イオンビーム、研磨、熱処理、ドライエッチング、ウェットエッチングなどの表面処理が施されていてもよい。また、基板101の片面又は両面には、保護膜、レジスト処理、光学薄膜の堆積などの処理が施されていてもよいし、切削、モールド、ダイシング、研磨、ブラストなどによって表面加工、形状加工が行われてもよい。例えば、黒い樹脂材料を用いたレジスト処理によって、レンズ絞りのパターニングなどを行うことができる。また、基板101の片面又は両面に赤外カットフィルター膜を設けることにより、撮像素子へのノイズを減少させることができる。
第1レンズアレイ層102は、樹脂製であり、基板101の一方の面101b上に形成されている。第1レンズアレイ層102は、成形の容易さを考慮して基板101の全面を覆うように形成されている。第1レンズアレイ層102は、平面視において円形の外形を有し、多数の第1レンズ素子11を有する。第1レンズ素子11は、第1レンズ本体11aと第1フランジ部11bとを一組としている。第1レンズ素子11は、XY面内で2次元的に互いに等間隔に配列している。これらの第1レンズ素子11は、平坦な連結部11cを介して一体に成形されている。各第1レンズ素子11の形状は略同一となっている。第1レンズ素子11と連結部11cとを合わせた表面は、転写によって一括成形される第1成形面102aとなっている。第1レンズ本体11aは、例えば非球面型のレンズ部であり、光学機能部として凸状の第1光学面11dを有している。つまり、第1光学面11dは、曲面を有し、第1フランジ面11gと異なって巨視的な非平坦面となっている。周囲の第1フランジ部11bは、第1光学面11dの周囲に広がる平坦な第1フランジ面11gを有し、第1フランジ部11bの外周は、連結部11cともなっている。第1フランジ面11gは、光軸OAに垂直なXY面に対して平行に配置されている。
第1レンズアレイ層102に用いられる材料として、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、有機無機ハイブリッド材料などが用いられる。具体的には、光硬化性樹脂として、例えばアクリル樹脂、アリル樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂などがある。熱硬化性樹脂として、例えばフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂などがある。熱可塑性樹脂として、例えばポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、環状オレフィンコポリマーなどがある。有機無機ハイブリッド材料として、例えばポリイミド・チタニアハイブリッドなどがある。第1レンズアレイ層102に用いられる材料は、特に耐熱性と作業性の良さを考慮すると、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が好ましい。融点が200℃以上である樹脂や200℃以上の加熱時にクラックなどの劣化が起きにくい樹脂を用いることにより、成形後のリフロー工程において第1光学面11dの劣化や後述する反射防止構造体の形状、色などの変化を抑えることができる。
図2に拡大して示すように、第1レンズ素子11の第1光学面11d上には、反射防止構造体51が設けられている。なお、図2において、実際には、第1光学面11dと反射防止構造体51との境界が明確に存在しないが、便宜上点線で示している。
反射防止構造体51は、巨視的な平坦面である第1光学面11dの全面に略均一な密度で形成されている。第1光学面11dは、上述のとおり曲面を有しており、第1光学面11dを複数領域に区分けすると、第1の領域と、複数の領域のうち第1の領域と異なる第2の領域とに分けられる。具体的には、第1の領域として光軸OAに対して面角度が比較的小さい部分A1(第1光学面11dの頂点側)と、第2の領域として面角度が比較的大きい部分A2(第1光学面11dの外縁側)とに分けられる。反射防止構造体51は、一括して形成されたものではなく、少なくとも2回の作製工程で形成されている。具体的には、まず、面角度が比較的小さい部分A1に第1反射防止構造体51aが形成される。その後、面角度が比較的大きい部分A2に第2反射防止構造体51bが形成される。本実施形態の場合、反射防止構造体51のうち第2反射防止構造体51b上には反射防止構造体51の作製工程で形成された第2マスクMBがほとんど残留していないが、第1反射防止構造体51a上には、第2マスクMBが残留している。
反射防止構造体51は、第1光学面11dなどの面内において、ランダムに配置された微細な凹凸形状(すなわち微細な突起が密集した形状)を有する。反射防止構造体51は、入射光側から光学素子中心側に向かうにつれて凹凸形状の体積密度が増加するような先細りの構造となっている。つまり、反射防止構造体51は、略錐体状の微細突起を集めたものとなっている。反射防止構造体51の粗さ(Rz:十点平均粗さ)は、10nm以上1000nm以下となっている。なお、反射防止構造体51の粗さRzは、50nm以上800nm以下が好ましく、さらに、250nm以上800nm以下がより好ましい。反射防止構造体51は、イオンビームやプラズマを用いることにより形成される。一般に、ある界面での反射率は、界面を挟む二空間の屈折率の差で決定され、その差が大きいほど表面反射率が増加する。反射防止構造体51は、第1光学面11d上に形成された使用波長レベル以下の凹凸形状であるため、反射防止構造体51と第1光学面11dとの間には、急激な屈折率変化がある界面が存在しない。これにより、反射防止構造体51における屈折率変化が緩やかなものとなり、表面反射率が低下する。この効果は、波長や入射角に依存するものではない。そのため、反射防止構造体51は、低屈折率層などを有する従来型の構造体に比較して波長依存性と角度依存性とを抑えることができる。
図1Bに戻って、第2レンズアレイ層103も同様に、樹脂製であり、基板101の他方の面101c上に形成されている。第2レンズアレイ層103は、平面視において円形の外形を有し、第2レンズ本体12aと第2フランジ部12bとを一組とする多数の第2レンズ素子12をXY面内で2次元的に互いに等間隔に配列している。これらの第2レンズ素子12は、平坦な連結部12cを介して一体に成形されている。各第2レンズ素子12と連結部12cとを合わせた表面は、転写によって一括成形される第2成形面103aとなっている。第2レンズ本体12aは、例えば非球面型のレンズ部であり、光学機能部として凹状の第2光学面12dを有している。周囲の第2フランジ部12bは、第2光学面12dの周囲に広がる平坦な第2フランジ面12gを有し、第2フランジ部12bの外周は、連結部12cともなっている。第2フランジ面12gは、光軸OAに垂直なXY面に対して平行に配置されている。第2レンズ素子12の第1光学面12d上には、図2に拡大して示す反射防止構造体51が設けられている。反射防止構造体51は、第1レンズ素子11の第1光学面11dと同様に、第1反射防止構造体51aと第2反射防止構造体51bとで構成される。つまり、光軸OAに対して面角度が比較的小さい部分A1に第1反射防止構造体51aが形成され、面角度が比較的大きい部分A2に第2反射防止構造体51bが形成されている。第2レンズアレイ層103の形状、材料などは第1レンズアレイ層102と同様であるため、説明を省略する。
なお、光学要素アレイ100において、基板101と第1レンズアレイ層102との間、又は基板101と第2レンズアレイ層103との間に絞りを設けてもよい。この場合、絞りの開口部が各第1及び第2レンズ本体11a,12aにアライメントして配置される。
レンズユニット
以下、図1Cを参照しつつ、光学要素アレイ100から分離されたレンズユニット200について説明する。
レンズユニット200は、例えば撮像レンズとして用いられる。レンズユニット200は、第1複合レンズ10と第2複合レンズ110とを有する。レンズユニット200は、図1A及び1Bに示す光学要素アレイ100と別の光学要素アレイを積層、接合した後、ダイシングによって切り出すことによって得る。ここで、切り出す前の光学要素アレイ100を示している図1Aの点線は、格子点に配置された多数の複合レンズ10の外縁を示している。各複合レンズ10の境界線を挟んだ複合レンズ10の外側が連結部11c,12cとなる。
図1Cに示すように、複合レンズ10は、四角柱状の部材であり、光軸OA方向から見て四角形の輪郭を有する。複合レンズ10は、既に説明した第1レンズ素子11と、第2レンズ素子12と、これらの間に挟まれた平板部13とを備える。平板部13は、基板101を切り出した部分である。
第2複合レンズ110は、第1複合レンズ10の構成と略同様であり、第1レンズ素子111と、第2レンズ素子112と、平板部113とを備える。
なお、レンズユニット200は、例えば別途準備したホルダーに収納され、撮像レンズとして撮像回路基板に接着される。
以上のレンズユニット200によれば、第2マスクMBに覆われた下地の第1反射防止構造体51a外の領域に拡張するように第2反射防止構造体51bを形成しているので、巨視的な非平坦面である第1及び第2光学面11d,12dの全体に比較的均一に反射防止構造体51が形成されることになる。そのため、第1及び第2光学面11d,12dにおける反射光が低減され、反射光で発生しうるゴーストを抑えることができる。また、反射防止構造体51が第1及び第2光学面11d,12dと同じ材質で形成されているため、膜剥がれやクラックといった不良が発生することを防ぐことができる。また、均質な反射防止構造体51を有する光学要素アレイ100を用いることにより、高精度な光学特性を有するレンズユニット200となる。
光学要素アレイの製造方法
以下、図3及び図4を参照しつつ、図1Aなどに示す光学要素アレイ100を製造するためのレンズ製造装置の一例について説明する。レンズ製造装置は、図3に示す成形装置(成形金型40のみ図示)と、図4に示す加工装置60とを備える。
成形装置は、流動体状の樹脂を成形金型40に流し込み、固化させ光学要素アレイ100の成形を行うためのものである。図示は省略するが、成形装置は、主要な部材である成形金型40の他に、成形金型40に移動、開閉動作などを行わせるための金型昇降装置、樹脂を基板101に塗布するための樹脂塗布装置、樹脂を固化させるためのUV光発生装置、成形した光学要素アレイ100を取り出すための離型装置、これらの装置を駆動するための制御駆動装置などを備える。
図3に示すように、成形金型40は、第1金型41と、第2金型42と、スペーサー43とを備える。第1レンズアレイ層102及び第2レンズアレイ層103は、基板101の両面101b,101cに順次成形され、離型の際に、第1金型41は基板101の上側となる一方の面101b側に第1レンズアレイ層102に密着して配置され、第2金型42は基板101の下側となる他方の面101c側に第2レンズアレイ層103に密着して配置された状態となる。
第1金型41は、光学要素アレイ100の第1成形面102aを成形するためのものである。第1金型41は、例えば光透過性のガラス製であり、肉厚の円板状の外形を有する。第1金型41は、基板101側の端面41aに、第1レンズアレイ層102の第1成形面102aに対応する第1転写面41bを有する。つまり、端面41aには複数の第1転写面41bが形成されている。第1転写面41bは、第1成形面102aのうち第1光学面11dを形成するための第1光学面転写面41cと、第1フランジ面11gを形成するための第1フランジ面転写面41dとを含む。
第2金型42は、光学要素アレイ100の第2成形面103aを成形するためのものである。第2金型42も、第1金型41と同様に、例えば光透過性のガラス製であり、肉厚の円板状の外形を有する。第2金型42は、基板101側の端面42aに、第2レンズアレイ層103の第2成形面103aに対応する第2転写面42bを有する。第2転写面42bは、第2成形面103aのうち第2光学面12dを形成するための第2光学面転写面42cと、第2フランジ面12gを形成するための第2フランジ面転写面42dとを含む。
スペーサー43は、光学要素アレイ100の側面100aを形成するとともに、第1及び第2レンズアレイ層102,103の厚みを規定するものである。スペーサー43は、第1金型41と第2金型42との間に挟まれており、環状の外形を有する。
図4に示すように、加工装置60は、真空チャンバー61と、ステージ62と、イオンガン63と、中和ガン64と、蒸着装置65と、ガス供給部66,67と、ガス排出部68と、制御部69とを備える。
真空チャンバー61は、加工装置60内を気密に保つためのものである。真空チャンバー61内には、ステージ62と、イオンガン63と、中和ガン64と、蒸着装置65とが設けられている。また、真空チャンバー61は、ポート61aを介してガス供給部66,67と連通し、ポート61bを介してガス排出部68と連通している。
ステージ62は、真空チャンバー61の上部に設けられており、X方向、Y方向、Z方向に移動可能となっている。ステージ62のイオンガン63などに対向するステージ面62a上には、光学要素アレイ100が載置、固定されている。ステージ62の位置調整により、光学要素アレイ100の位置調整がされる。
イオンガン63は、光学要素アレイ100の第1及び第2光学面11d,12d上に反射防止構造体51を形成するためのものである。イオンガン63は、プラズマ中のイオンを電圧印加などによって抽出し、イオンガン63の外部に放出する。具体的には、イオンガン63は、供給されたガスをイオン化し、イオンガン63の陽極63aと陰極63bとの間にビーム電圧を印加する。イオンガン63は、イオン化したガス(例えば、正イオン)を陰極63b側に接近、通過させ、イオンビームとして真空チャンバー61内に放出する。放出されたイオンビームは、ステージ62上の光学要素アレイ100の第1及び第2光学面11d,12dに照射される。これにより、第1及び第2光学面11d,12dのうち後述する第1マスクMAが形成されていない露出した樹脂部分がエッチングされる。
中和ガン64は、イオンビーム中のイオンを中和させて電解分布の影響を抑えるためのものである。中和ガン64には、不図示のガス導入源から電離用のガスが導入されており、導入されたガスが電離される。電離によって生成された電子を真空チャンバー61に放出させると、イオンガン63によってイオン化したガスが電子によって中和される。なお、中和ガン64の代わりに中和グリッドを用いてもよい。
蒸着装置65は、光学要素アレイ100上に後述する第1マスクMAを形成するためのものである。蒸着装置65は、例えばSiO、Al、MgF、ZrO、TiO、Ta、CeO、ZnO、ZnS、MgO、In、Si、Cr、Al、Agおよびこれらの混合物などの真空蒸着を行う。これにより、光学要素アレイ100の第1及び第2光学面11d,12dに面角度によって厚みが異なる第1マスクMAを形成することができる。なお、蒸着装置65の代わりに、スパッタリング装置やイオンビームスパッタリング装置を設ければ、スパッタリング、イオンビームスパッタリングなどを行うこともできる。また、蒸着装置65を用いずに、CVD装置を用いて第1マスクMAを形成してもよい。
ガス供給部66,67は、イオンビームを照射するための導入ガスを供給するものである。導入ガスとして、不活性ガスと反応性ガスとが用いられる。不活性ガスとして、例えばアルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)、及びこれら混合ガスがある。また、反応性ガスとして、例えば酸素(O)、四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、トリフルオロメタン(CHF)がある。ここで、Ar、O、N、及びこれら混合ガスは、比較的安価であるため好ましい。その中でも、O及びこれを含んだ混合ガスは、第1及び第2光学面11d,12dのエッチングの際に物理エッチングに加え反応性エッチングを同時に行うことができるため特に好ましい。
ガス排出部68は、真空チャンバー61内を排気するためのものである。ガス排出部68によって、真空チャンバー61内を所定の真空度まで排気する。
制御部69は、ステージ62、イオンガン63、中和ガン64、蒸着装置65、及びガス排出部68の動作を制御するためのものである。
以下、図5A〜5C及び6を参照しつつ、図1Aなどに示す光学要素アレイ100の製造工程について説明する。ウェハーレンズの100の製造工程は、大まかに、基板101に樹脂を塗布して成形する成形工程と、第1及び第2光学面11d,12d上に第1反射防止構造体51aを形成する第1構造体形成工程と、第1及び第2光学面11d,12d上に第2反射防止構造体51bを形成する第2構造体形成工程とで構成される。
〔成形工程〕
成形工程は、図3に示す第1及び第2金型41,42を用いつつ、不図示の金型昇降装置と、樹脂塗布装置と、UV光発生装置とを動作させることで行われる。
まず、基板101の一方の面101b上に第1レンズアレイ層102を成形する(ステップS11)。具体的には、図5Aに示すように、予め基板101の側面101aをスペーサー43で固定する。ここで、基板101は、ステージSS上に載置され、下方の面となる他方の面101cをステージSSの上面に密着させるので、基板101の反りが防止される。樹脂塗布装置を動作させ、ステージSS上に固定した基板101の上方の面となる一方の面101b上に樹脂を塗布する。金型昇降装置を動作させ、第1金型41をステージSSなどに対してアライメントさせた状態で、樹脂を塗布した基板101に向けて降下させる。スペーサー43の端面43aが基板101に当接し、スペーサー43の端面43aに垂直な端面43bが第1金型41の外縁部41eに当接した状態で、基板101と第1金型41との間の樹脂厚、すなわち第1レンズアレイ層102の連結部11c(第1フランジ部11b)の厚さが規定される。UV光発生装置を動作させ、第1金型41の上側からUV光を照射し、基板101の一方の面101bと第1金型41の端面41aとの間に挟まれた樹脂を固化させる。
次に、基板101の他方の面101c上に第2レンズアレイ層103を成形する。図5Bに示すように、金型昇降装置を動作させ、第1金型41と第1レンズアレイ層102とを一体化させた状態で反転させる。樹脂塗布装置を動作させ、固定した基板101の他方の面101c上に樹脂を塗布する。金型昇降装置を動作させ、第2金型42を第1金型41などに対してアライメントさせた状態で、基板101に向けて降下させる。スペーサー43の端面43aに垂直な端面43cが第2金型42の外縁部42eに当接した状態で、基板101と第2金型42との間の樹脂厚、すなわち第2レンズアレイ層103の連結部12c(第2フランジ部12b)の厚さが規定される。UV光発生装置を動作させ、第2金型42の上側からUV光を照射し、樹脂を固化させる。
最後に、第1及び第2レンズアレイ層102,103を形成する樹脂が固化した後、図5Cに示すように、第1及び第2金型41,42、スペーサー43から光学要素アレイ100を離型する(ステップS12)。
〔第1構造体形成工程〕
第1構造体形成工程は、第1マスク形成工程と、第1エッチング工程とを有する。本工程により、第1光学面11dのうち面角度が比較的小さい部分A1に第1反射防止構造体51aを形成する(ステップS13)。なお、第1及び第2光学面11d,12dに対する処理工程は同様であるため、便宜上、第1光学面11dに反射防止構造体51を形成する場合についてのみ説明する。
A)第1マスク形成工程
本工程おける第1マスク形成工程は、光学要素アレイ100にイオンビームを照射する前処理として行われ、第1光学面11d上に局所的に広がる第1マスクMAを形成する。第1マスクMAは、第1光学面11dのうちマスクが形成されやすくなっている面角度が比較的小さい部分A1(第1の領域)に優先して形成される。第1マスクMAは、図7A及び8Aに拡大して示すように、微細な島状のパターンとなっている。第1マスクMAは、ランダムに配置された複数の島IMを有している。第1マスク形成工程は、フォトレジストの塗布、膜堆積、電子線描画などの手法を用いて行われる。例えば、膜堆積の手法を用いる場合、薄膜成長の初期過程を利用する。薄膜の初期成長過程において、膜の成長核が島IMとなって成長する状態、すなわち島成長が起こる。膜が層状になる前の島成長の状態では、島IMが存在している部分と第1光学面11dが露出している部分とが存在するため、微細な島状の遮蔽パターンを有するマスクとして機能する。
膜堆積の手法を用いる場合、図4に示す成膜装置としての加工装置60内で第1マスク形成工程を行う。第1マスクMAの島IMの数密度や大きさは、膜の成長条件を調整することによって適宜変更することができる。堆積される島IMの平均高さは、例えば3nmが好ましい。第1マスクMAの材料は、例えば低屈折透明材料、高屈折透明材料などがある。具体的には、低屈折透明材料として、SiO、Al、MgFなどがある。また、高屈折透明材料として、ZrO、TiO、ZnO、MgO、Taなどがある。特に、低屈折透明材料の場合、反射防止構造体51上に残留しても反射の要因になりくい。第1マスクMAのパターニングを施すことにより、第1光学面11dの面上の位置に応じてエッチング速度の違いが生じ、後述する第1エッチング工程において微細な凹凸形状を形成することができる。
また、これらマスク材料を製膜する際にはIAD(イオンアシストデポジション;イオンビームと蒸着を同時に行う手法)を採用してもよい。IADを行うことで基板の種類によらず同様のマスクを作製することが可能となる。これはイオンビームにより蒸着粒子の表面拡散が促進され島状になりやすいためと考えられる。
なお、第1マスクMAを膜堆積で形成する場合、図4に示すように、加工装置60内に例えば蒸着装置65を配置することで第1エッチング工程を行う前に第1マスク形成工程を行うことができる。これにより、第1エッチング工程のための真空排気時間を省略することができる。
B)第1エッチング工程
本工程における第1エッチング工程は、図4に示すエッチング装置としての加工装置60を用いることで行われる。
まず、加工装置60のイオンガン63から放出されるイオンビームが光学要素アレイ100の目的とする面、すなわち第1光学面11dに照射されるように、光学要素アレイ100をステージ62上に配置する。
次に、ガス排出部68によって真空チャンバー61内の気体を排気する。排気によって維持される背圧は、1×10−1Pa以下となっている。なお、背圧は、1×10−3Pa以下がより好ましい。また、背圧は、後述する導入ガスの1/10以下の圧力である必要がある。
次に、真空チャンバー61内に導入ガスを導入する。導入ガスは、例えばAr、O、N、He、Kr、Ne、CF、SF、CHF及びこれらの混合ガスのいずれかが用いられる。ここで、導入ガスに、不活性ガスと反応性ガスとを用いると、エッチングレートを簡単に調整することができる。導入ガスの圧力は、10Pa以下となっている。なお、導入ガスの圧力は、1×10−1Pa以下がより好ましい。より低いガス圧でエッチングを行うことにより、イオンの平均自由工程が長くなる。そのため、イオンの運動エネルギーが第1光学面11dに衝突するまでに失われにくくなり、エッチングレートが上昇する。よって、イオンの平均自由工程が光学要素アレイ100とイオンガン63と間の距離と同じ又は1/10程度になるように全圧を設定することにより、エッチングレートの上昇が見込まれる。第1エッチング工程において、第1光学面11dが配置されている部分での最大のエッチングレートと最小のエッチングレートとの差は、最大のエッチングレートの10%以内となっている。
以上の真空チャンバー61の状態でイオンビームを放出し、第1光学面11dにイオン照射を行う。この際、イオンの加速エネルギーは1W〜100kWである。なお、イオンの加速エネルギーは、10W〜10kWが好ましく、10W〜500Wがより好ましい。
イオンビームの照射により、図7Bに示すように、第1マスクMAの島IMとともに、光学要素アレイ100の樹脂が露出した部分がエッチングされる。これにより、図7C及び8Bに示すように、第1光学面11dのうち、イオンビーム源および蒸着源に対して面角度が比較的小さい部分A1に入射光側から光学素子中心側または奥側に向かうにつれて凹凸形状の体積密度が増加するような構造を有する第1反射防止構造体51aが形成される。なお、図7Bのように第1反射防止構造体51a上に第1マスクMAが残留している場合もある。第1エッチング工程後、第1光学面11dに付着した第1マスクMAを除去するマスク除去工程を行ってもよい。この場合、例えばイオンビームの調整により第1マスクMAの除去処理を行う。
〔第2構造体形成工程〕
第2構造体形成工程は、第1構造体形成工程における第1マスク形成工程と第1エッチング工程と同様の方法で反射防止構造体51のうち第2反射防止構造体51bを形成する。つまり、本工程は、第2マスク形成工程と、第2エッチング工程とを有する。本工程により、第1光学面11dのうち面角度が比較的大きい部分A2(第2の領域)に第2反射防止構造体51bを形成する(ステップS14)。なお、第2マスク形成工程と第2エッチング工程とについては、第1マスク形成工程と第1エッチング工程とに共通する工程要素の説明を省略する。
A)第2マスク形成工程
本工程において、第1マスク形成工程と同様の手法で第1光学面11dに第2マスクMBを形成する。第2マスクMBの平均的膜厚は、第1マスクMAの平均的な膜厚よりも大きくなっている。この結果、図8Cに示すように、得られた第2マスクMBは、第1光学面11dのうち面角度が比較的小さい部分A1に形成される主マスクMB1と、面角度が比較的大きい部分A2に形成される補助マスクMB2とを有する。図8C及び9Aに示すように、本実施形態において、主マスクMB1は、第1反射防止構造体51aを全体的に覆うように形成されている。換言すれば、主マスクMB1は、第1光学面11d上に形成された構造体を含む凹凸領域において、反射防止機能を発揮するような突起の高さ又は凹凸の深さに関してのある閾値を基準として、その閾値を超える領域を概ね覆って下地とともに第3反射防止構造体52を形成している状態となっている。図8C及び9Bに示すように、本実施形態において、補助マスクMB2は、島状のマスク部分であり、第1光学面11dのうち反射防止構造体51が未だ形成されていない領域に形成されている。補助マスクMB2は、主マスクMB1よりも薄くなっている。主マスクMB1は、光軸OA中心付近で全体に略均一な膜となっており、最も厚い部分の膜厚は、5nm〜9nm程度である。つまり、第2構造体形成工程の第2マスク形成工程の主マスクMB1の厚みは、第1構造体形成工程の第1マスク形成工程の第1マスクMAの厚みよりも厚くなっている。補助マスクMB2は、第1マスクMAと同様に、微細な島状のパターン(島IM)となっている。つまり、面角度が比較的大きい部分A2には、島IMが存在している部分と第1光学面11dが露出している部分とが存在する。補助マスクMB2は、主マスクMB1よりも薄く微細な遮蔽パターンとして機能しうる。なお、主マスクMB1と補助マスクMB2との境界は厳密なものではなく、第2マスクMBは、蒸着源に対して最も面角度の小さい部分、(図では光軸OA上の頂点)から面角度の大きい外縁に向かって徐々に薄くなっている。つまり、主マスクMB1は、光軸OAから離れた第1反射防止構造体51aを完全に覆っていない場合もありうる。
B)第2エッチング工程
本工程において、第1エッチング工程と同様に、光学要素アレイ100の第1光学面11dにイオンビームを照射する。これにより、図8D及び9Cに示すように、第2マスクMBの補助マスクMB2の島IMとともに、第1光学面11dのうち露出した部分すなわち面角度が比較的大きい部分A2がエッチングされる。これにより、面角度が比較的大きい部分A2に第2反射防止構造体51bが形成され、その結果、第1光学面11dの全体に均一に入射光側から光学素子中心側に向かうにつれて凹凸形状の体積密度が増加するような構造を有する反射防止構造体51が形成される。
なお、第2エッチング工程後、図9Dに示すように、第1光学面11dに付着した第2マスクMBを除去するマスク除去工程を行ってもよい。この場合、例えばイオンビームの調整により第2マスクMBの除去処理を行う。なお、第1反射防止構造体51aを全体的に覆う主マスクMB1は、エッチング条件等を選択することにより略元のままに維持もしくは除去することが可能である。
以上により、図1Aなどに示す第1光学面11dに反射防止構造体51を有する光学要素アレイ100が完成する。
レンズユニットの製造方法
以下、図10を参照しつつ、レンズユニット200の製造方法について説明する。
まず、光学要素アレイ100を積層し、仮止めをする(ステップS21)。この際、光学要素アレイ100の一部に目印をつけておき、光学要素アレイ100とこれとは別の光学要素アレイとをアライメントして積層する。これらの光学要素アレイは積層した際に光学特性が表れるように設計されている。そのため、光学調整の必要がなく、コストを削減することができる。
次に、積層した光学要素アレイ100を切断する(ステップS22)。この切断工程は、レーザーによるもの、ダイサーによるものなどがある。
以上により、図1Cに示すレンズユニット200が完成する。
以上説明した光学素子の製造方法などによれば、巨視的な非平坦面である第1光学面11d上に反射防止構造体51を比較的均一に作製することができる。そのため、第1光学面11dにおける反射光が低減され、反射光で発生しうるゴーストを抑えることができる。蒸着などの指向性のある手法によってマスクを形成する場合、第1光学面11dにおいて面角度が比較的大きい部分A2と面角度が比較的小さい部分A1とでは、マスクの形成されやすさが異なる。しかし、第1光学面11dを複数領域に区分けし、区分けした領域ごとに島状マスクを形成する工程とエッチングする工程を設けることにより、巨視的な非平坦面である第1光学面11dに対しても反射防止構造体51を比較的均一に作製することができるようになる。このように、均一な膜厚のマスクを非平坦面の全体にわたって形成する必要がないため、低コストかつ容易に非平坦面の全体に反射防止構造体51を形成することができる。また、第1光学面11dに反射防止膜を設ける場合に比較して、反射防止構造体51を設けることで高耐熱性を得ることができる。
〔実施例〕
以下、本実施形態のうち第1構造体形成工程及び第2構造体形成工程の実施例を説明する。
反射防止構造体51の基材として、熱可塑性樹脂製の両面レンズを用いた。第1構造体形成工程の第1マスク形成工程において、図4に示す蒸着装置65を用いて無処理の基材上にTiOの第1マスクMAを成膜した。本工程において、第1マスクMAの膜厚は、最も厚い部分での平均膜厚が3nm程度となるようにした。この場合、第1マスクMAは、凸形状の第1光学面11dのうち面角度が比較的小さい部分A1(第1光学面11dの頂点付近)に島状のパターンとして形成される。その後、第1構造体形成工程の第1エッチング工程において、図4に示すイオンガン63などを用いて第1マスクMAを形成した基材に対してArとOの混合ガスによってイオンビームエッチング処理を50分間行った。これにより、第1光学面11dのうち面角度が比較的小さい部分A1に反射防止構造体51のうち第1反射防止構造体51aが作製される。
本実施例及び比較例において、平均膜厚は、蒸着装置65が備える水晶振動子を用いて測定することができる。具体的には、水晶振動子上に蒸着材料が堆積することによる質量の増加を水晶振動子の振動数の減少量から求め、蒸着材料の密度やインピーダンス等の情報を用いて、平均膜厚を計算することができる。また、構造体形成の対象である基材には、三井化学株式会社製のAPELを使用し、0°〜75°程度の面角度を有するように成形した。
その後、第2構造体形成工程の第2マスク形成工程において、図4に示す蒸着装置65を用いて基材上にSiOの第2マスクMBを成膜した。本工程において、第2マスクMBの膜厚は、最も厚い部分での平均膜厚が9nm程度となるようにした。この場合、第2マスクMBのうち主マスクMB1は、凸形状の第1光学面11dのうち面角度が比較的小さい部分A1(第1光学面11dの頂点付近)を全体的に覆う。他方、補助マスクMB2は、面角度が比較的大きい部分A2に島状のパターンとして形成される。その後、第2構造体形成工程の第2エッチング工程において、第2マスクMBを形成した基材に対してArとOの混合ガスによってイオンビームエッチング処理を80分間行った。これにより、第1光学面11dのうち面角度が比較的大きい部分A2に反射防止構造体51のうち第2反射防止構造体51bが作製される。
図11A、11B、及び12Aに本実施例の第1光学面11dの反射率を示す。図11Aは、面角度に対する可視光平均反射率であり、図11Aにおいて、線aが第1構造体形成工程後の反射率を示し、線cが第2構造体形成工程後の反射率を示す。また、図11Bは、第1構造体形成工程後の第1光学面11dの反射率であり、図12Aは、第2構造体形成工程後の第1光学面11dの反射率である。図11B及び12Aにおいて、線d、e、f、g、h、k、m、nは、それぞれ面角度0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°を示す。図中の面角度は、光軸OAに対する角度であり、第1光学面11dの頂点の面角度を0°としている。反射率は、顕微分光測定機(USPM−RUIII、オリンパス社製)を用いて測定した。各面角度の反射率は、各面角度の面に対して垂直に測定した。
図11A及び11Bに示すように、第1構造体形成工程後の第1光学面11dにおいて、面角度が比較的小さい部分A1に相当する面角度0°、20°では、反射率が比較的低く、面角度が比較的大きい部分A2に相当する面角度40°、60°では、反射率が比較的高くなった。他方、図12Aに示すように、第2構造体形成工程後の第1光学面11dにおいて、面角度が比較的大きい部分A2に相当する面角度40°、50°、60°、70°でも反射率が低くなった。
〔比較例〕
以下、第2構造体形成工程の比較例を説明する。
比較例において、第1マスク形成工程及び第1エッチング工程は上述した実施例と同様であり、第1マスクMAの膜厚は、最も厚い部分での平均膜厚が3nm程度となるようにした。
比較例の第2マスク形成工程において、図4に示す蒸着装置65を用いて基材上にSiOのマスクを成膜した。本工程において、マスクの膜厚は、最も厚い部分での平均膜厚が3nm程度となるようにした。この場合、マスクは、凸形状の第1光学面11dのうち面角度が比較的小さい部分A1に島状のパターンとして形成される。その後、比較例の第2エッチング工程において、図4に示すイオンガン63などを用いてマスクを形成した基材に対してArとOの混合ガスによってイオンビームエッチング処理を50分間行った。
図11A、11B、及び12Bに比較例の第1光学面11dの反射率を示す。図11Aは、面角度に対する平均反射率であり、図11Aにおいて、線aが第1エッチング工程後の反射率を示し、線bが第2エッチング工程後の反射率を示す。また、図11Bは、上記実施例と同様に第1エッチング工程後の第1光学面11dの反射率であり、図12Bは、比較例の第2エッチング工程後の第1光学面11dの反射率である。図11B及び12Bにおいて、線d、e、f、g、h、k、m、nは、それぞれ面角度0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°を示す。反射率の測定方法は上述の実施例と同様である。
図11A及び11Bに示すように、第1エッチング工程後の第1光学面11dにおいて、面角度が比較的小さい部分A1に相当する面角度0°、20°では、反射率が比較的低く、面角度が比較的大きい部分A2に相当する面角度40°、60°では、上述の実施例と同様に反射率が比較的高くなった。他方、図12Bに示すように、比較例の第2エッチング工程後の第1光学面11dにおいて、面角度が比較的大きい部分A2に相当する面角度40°、50°、60°、70°では反射率が高いままであり、面角度が比較的低いA1に相当する面角度0°、10°、20°の反射率が上がってしまっている。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る光学素子の製造方法などについて説明する。なお、第2実施形態の光学素子の製造方法などは第1実施形態の光学素子の製造方法などを変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
図13A及び13Bに示すように、第1光学面11dは、面角度が大きい面を含む複合面を有する。第1光学面11dは、全体として凸状の面であり、中心すなわち光軸OA付近が窪んでいる。第1光学面11dは、第1実施形態と同様に、複数の領域に区分けすると、第1の領域と、第2の領域とに分けられる。具体的には、第2の領域として、面角度が比較的大きい部分A2は、第1光学面11dの中心側と外縁側とに設けられている。また、第1の領域として、面角度が比較的小さい部分A1は、2つの面角度が比較的大きい部分A2の間と中心付近とに設けられている。
図13A及び13Bの第1光学面11dにおいて、第1構造体形成工程の第1マスク形成工程により、面角度が比較的小さい部分A1に第1マスクMAが形成される。また、第1構造体形成工程の第1エッチング工程により、面角度が比較的小さい部分A1に第1反射防止構造体51aが形成される。また、第2構造体形成工程の第2マスク形成工程により、面角度が比較的小さい部分A1に第2マスクMBのうち主マスクMB1が形成され、面角度が比較的大きい部分A2に補助マスクMB2が形成される。また、第2構造体形成工程の第2エッチング工程により、面角度が比較的大きい部分A2に反射防止構造体51のうち残りの第2反射防止構造体51bが形成される。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る光学素子の製造方法などについて説明する。なお、第3実施形態の光学素子の製造方法などは第1実施形態の光学素子の製造方法などを変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
本実施形態において、第1光学面11dの複数領域のうち第1及び第2の領域と異なる領域を1つ以上に区分けし、第2構造体形成工程後、第2マスク形成工程と同様のマスク形成工程と、第2エッチング工程と同様のエッチング工程とを区分けした領域数に応じて行う。つまり、第1光学面11dを第1及び第2の領域に限らず、3つ以上の領域に区分けして反射防止構造体51を形成する。
例えば、図14A及び14Bに概念的に示すように、第1光学面11dにおいて、第1及び第2の領域に対応する部分A1,A2に比較して面角度が最も大きい部分A3を第3の領域とし、マスク形成工程とエッチング工程とを少なくとも1回行い、第3の領域としての部分A3に第2反射防止構造体51b(図7C等参照)を形成する。ここで、第3の領域である部分A3のマスク形成工程において、第1の領域としての部分A1だけでなく第2の領域としての部分A2の第2反射防止構造体51bにも全体を覆うタイプの主マスクMB1が形成される。
この場合、第2の領域の第2反射防止構造体51b(図7C)や第1の領域の第3反射防止構造体52(図9A)の形成状態を考慮しつつ第2マスクMBの厚さを調整することで、第3の領域にも第2反射防止構造体51bを形成することができる。この際、第2の領域としての部分A2に形成するマスク部分は、全体を覆う厚い層状のものに限らず、極めて薄い層状のものであってよく、あるいは、島状パターンの密度が第3の領域としての部分A3よりも十分高いものであってもよい。これにより、面角度の大きさにより第1光学面11dを所定の範囲に分割して面角度が小さい部分から大きい部分へ徐々に第2反射防止構造体51bを形成することができる。
なお、第1光学面11dを3つ以上の領域に区分けし、第1構造体形成工程後、第1マスク工程と同様に離散的な島状マスクを形成するマスク形成工程と、第1エッチング工程と同様のエッチング工程とを行ってもよい。この場合、第3の領域は、例えば第1の領域よりも面角度が大きく、第2の領域よりも面角度が小さい部分となる。
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態に係る光学素子の製造方法などについて説明する。なお、第4実施形態の光学素子の製造方法などは第1実施形態の光学素子の製造方法などを変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
本実施形態において、第1光学面11dは、第1の領域として光軸OAに対して面角度が比較的大きい部分A2(第1光学面11dの外縁側)と、第2の領域として面角度が比較的小さい部分A1(第1光学面11dの頂点側)とに分けられる。本実施形態では、第1構造体形成工程において、第1光学面11dの面角度が比較的大きい部分A2に第2反射防止構造体51bを形成し、第2構造体形成工程において、面角度が比較的小さい部分A1に第1反射防止構造体51aを形成する。
〔第1構造体形成工程〕
本工程は、第1マスク形成工程と、第1エッチング工程と、マスク除去工程とを有する。
A)第1マスク形成工程
まず、図15Aに示すように、第1実施形態の第2マスク形成工程と同様に、第1光学面11d上に第2マスクMBを形成する。第2マスクMBは、第1光学面11dのうち面角度が比較的小さい部分A1に形成される主マスクMB1と、面角度が比較的大きい部分A2に形成される補助マスクMB2とを有する。主マスクMB1は、面角度が比較的小さい部分A1を全体的に覆うように形成されている。補助マスクMB2は、島状のマスク部分であり、面角度が比較的大きい部分A2に微細な島状のパターン(島IM)として形成される。
B)第1エッチング工程
次に、光学要素アレイ100の第1光学面11dにイオンビームを照射する。これにより、図15Bに示すように、第2マスクMBの補助マスクMB2の島IMとともに、第1光学面11dのうち露出した部分すなわち面角度が比較的大きい部分A2がエッチングされる。この際、主マスクMB1が覆われている面角度が比較的小さい部分A1はエッチングされない。これにより、面角度が比較的大きい部分A2のみに第2反射防止構造体51bが形成される。
C)マスク除去工程
次に、図15Cに示すように、第1光学面11dに付着した第2マスクMBを除去する。具体的には、例えばイオンビームもしくはプラズマによってマスクを除去したり、マスク除去液に浸してマスクを除去したりする。
〔第2構造体形成工程〕
本工程は、第2マスク形成工程と、第2エッチング工程とを有する。
A)第2マスク形成工程
まず、図16Aに示すように、第1実施形態の第1マスク形成工程と同様に、第1光学面11d上に第1マスクMAを形成する。第2マスクMBの平均的な膜厚は、第1マスクMAの平均的な膜厚よりも小さくなっている。この結果、第1マスクMAは、第1光学面11dのうち面角度が比較的小さい部分A1に微細な島状のパターン(島IM)として形成される。前工程のマスク除去工程において、面角度が比較的小さい部分A1に付着していた主マスクMB1が除去されているので、島IMが形成されていない部分は、第1光学面11dが露出している状態となっている。本実施形態において、第2構造体形成工程の第2マスク形成工程の第1マスクMAの厚みは、第1構造体形成工程の第1マスク形成工程の主マスクMB1の厚みよりも薄くなっている。結果的に、面角度が比較的大きい部分A2にはマスクがほとんど形成されない。
B)第2エッチング工程
次に、光学要素アレイ100の第1光学面11dにイオンビームを照射する。図16Bに示すように、第1マスクMAの島IMとともに、第1光学面11dのうち露出した部分すなわち面角度が比較的小さい部分A1がエッチングされる。これにより、面角度が比較小さい部分A1に第1反射防止構造体51aが形成される。その結果、第1光学面11dの全体に均一に反射防止構造体51が形成される。
なお、第2エッチング工程後、第1光学面11dに付着した第1マスクMAを除去してもよい。
以上、本実施形態に係る光学要素アレイの製造方法などについて説明したが、本発明に係る光学要素アレイの製造方法などは上記のものには限られない。例えば、上記実施形態において、第1及び第2光学面11d,12dの形状、大きさは、用途や機能に応じて適宜変更することができる。
また、上記実施形態において、個々の第1及び第2レンズ素子11,12は繋がっていなくてもよい。つまり、基板101の一部が露出していてもよい。また、基板101の片側のみに第1レンズアレイ層102又は第2レンズアレイ層103を設けてもよい。また、基板101を用いずに、樹脂のみで光学要素アレイを形成してもよい。この場合、第1及び第2レンズアレイ層102,103は一体的に成形される。
また、上記実施形態において、光学要素アレイ100は、レンズ以外にも、ミラー、回折構造、照明部品、光伝送部品などの様々な目的で用いられる。
また、上記実施形態において、光学要素アレイ100は、円盤状である必要はなく、楕円形などの各種輪郭を有するものとできる。例えば光学要素アレイ100を当初から四角板状に成形することで、切断工程を簡略化することができる。
また、上記実施形態において、光学要素アレイ100内に形成される第1及び第2レンズ素子11,12の数も、図示の4つに限らず、2つ以上の複数とすることができる。この際、第1及び第2レンズ素子11,12の配置は、ダイシングの都合から格子点上が望ましい。さらに、隣接する第1及び第2レンズ素子11,12の間隔も、図示のものに限らず、加工性などを考慮して適宜設定することができる。
また、上記実施形態において、基板101の一方の面101b及び他方の面101cに樹脂を塗布したが、第1及び第2金型41,42の第1及び第2転写面41b,42bに樹脂を塗布してもよい。
また、上記実施形態において、光学要素アレイ100の成形手法は、樹脂を成形金型40に流し込み、固化させるようなモールドを用いた手法以外にも様々な手法を用いることができる。例えば、熱融着、熱処理、蒸着、射出成形、塗布、堆積後のエッチングなどを用いて光学要素アレイ100を作製してもよい。なお、第1及び第2光学面11d,12dの形状精度と成形時間を考慮すると、射出成形やモールドを用いる手法が好ましい。
また、上記実施形態において、第1反射防止構造体51aは、第1構造体形成工程によらず、他の方法によって予め形成してもよい。例えば、第1反射防止構造体51aは、フォトレジスト、粒子などをマスクとして用いてエッチングなどにより形成することができる。
また、上記実施形態において、ガス供給部66,67は2つ設けられているが、1つでも3つ以上でもよい。
また、上記実施形態において、マスクMAの島IMはランダムに配置されていなくてもよい。
また、上記実施形態において、第1及び第2マスク形成工程において形成するマスクの厚みによって第1の領域や第2の領域の大きさを適宜変更することができる。
また、第3実施形態において、面角度の大きさにより第1光学面11dを所定の範囲に分割して面角度が小さい部分から大きい部分へ徐々に反射防止構造体51を形成したが、第4実施形態の製造方法を変形すれば、面角度が大きい部分から小さい部分へ徐々に反射防止構造体51を形成することもできる。
また、上記実施形態において、光学要素アレイ100の積層を行わなくてよい。また、光学要素アレイ100を切断せずにウェハー状のままとしてもよい。
また、上記実施形態において、光学要素アレイ100の製造工程の際に、第1及び第2レンズアレイ層102,103を先に成形してから離型したが、第1レンズアレイ層102の成形及び離型後に第2レンズアレイ層103の成形及び離型を行ってもよい。また、第1及び第2レンズアレイ層102,103に対して連続して各工程を行ってもよいし、第1レンズアレイ層102に対して各工程を行ってから第2レンズアレイ層103に対して各工程を行ってもよい。
また、上記実施形態において、反射防止構造体51上に保護層が設けられていてもよい。この場合、図4に示す蒸着装置65を用いて保護層を形成することができる。

Claims (11)

  1. 巨視的な非平坦面を有する光学素子の製造方法であって、
    前記巨視的な非平坦面を複数領域に区分けし、区分けされた前記複数領域のうち第1の領域に対して島状のマスクを形成する第1マスク形成工程と、
    前記第1マスク形成工程により島状のマスクが形成された前記第1の領域をエッチングして、前記第1の領域に反射防止構造体を形成する第1エッチング工程と、
    前記第1エッチング工程後、前記複数の領域のうち前記第1の領域と異なる第2の領域に対して島状のマスクを形成する第2マスク形成工程と、
    前記第2マスク形成工程により島状のマスクが形成された前記第2の領域をエッチングして、前記第2の領域に反射防止構造体を形成する第2エッチング工程とを備え
    前記第2マスク形成工程において、前記第1エッチング工程により前記第1の領域に形成された反射防止構造体を全体的に覆うようにマスクを形成し、かつ、前記第1の領域と異なる前記第2の領域に対して島状のマスクを形成する、光学素子の製造方法。
  2. 前記第1の領域は、前記巨視的な非平坦面のうち前記光学素子の光軸に対して面角度が比較的小さい領域である、請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 前記第1マスク形成工程で形成される第1マスクの平均膜厚と、前記第2マスク形成工程で形成される第2マスクの平均膜厚とが異なる、請求項1及び2のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  4. 前記第1マスク形成工程で形成される第1マスクの平均膜厚が、前記第2マスク形成工程で形成される第2マスクの平均膜厚よりも薄い、請求項に記載の光学素子の製造方法。
  5. 前記第1マスク形成工程で形成される第1マスクの平均膜厚が、前記第2マスク形成工程で形成される第2マスクの平均膜厚よりも厚い、請求項に記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記第1エッチング工程と前記第2マスク形成工程との間に、前記巨視的な非平坦面に付着したマスクを除去するマスク除去工程を有する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記第2エッチング工程後に、前記巨視的な非平坦面に付着したマスクを除去するマスク除去工程を有する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  8. 前記第1マスク形成工程及び前記第2マスク形成工程において、蒸着、スパッター、及びCVDのいずれかでマスクを形成する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  9. 前記第1エッチング工程及び前記第2エッチング工程において、イオンビーム及びプラズマのいずれかで前記巨視的な非平坦面をエッチングする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  10. 前記複数領域のうち前記第1及び第2の領域と異なる領域を1つ以上に区分けし、前記第1及び第2マスク形成工程の少なくともいずれかと同様のマスク形成工程と、前記第1及び第2エッチング工程の少なくともいずれかと同様のエッチング工程とを1回以上行う、請求項1からまでのいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  11. 巨視的な非平坦面を有する光学素子に反射防止構造体を作製する反射防止構造体の作製方法であって、
    前記巨視的な非平坦面を複数領域に区分けし、区分けされた前記複数領域のうち第1の領域に対して島状のマスクを形成する第1マスク形成工程と、
    前記第1マスク形成工程により島状のマスクが形成された前記第1の領域をエッチングして、前記第1の領域に反射防止構造体を形成する第1エッチング工程と、
    前記第1エッチング工程後、前記複数の領域のうち前記第1の領域と異なる第2の領域に対して島状のマスクを形成する第2マスク形成工程と、
    前記第2マスク形成工程により島状のマスクが形成された前記第2の領域をエッチングして、前記第2の領域に反射防止構造体を形成する第2エッチング工程とを備え
    前記第2マスク形成工程において、前記第1エッチング工程により前記第1の領域に形成された反射防止構造体を全体的に覆うようにマスクを形成し、かつ、前記第1の領域と異なる前記第2の領域に対して島状のマスクを形成する、反射防止構造体の作製方法。
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