JP2000256543A - 無機粒子含有ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる繊維 - Google Patents

無機粒子含有ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる繊維

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JP2000256543A
JP2000256543A JP6127699A JP6127699A JP2000256543A JP 2000256543 A JP2000256543 A JP 2000256543A JP 6127699 A JP6127699 A JP 6127699A JP 6127699 A JP6127699 A JP 6127699A JP 2000256543 A JP2000256543 A JP 2000256543A
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polyester resin
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fiber
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洋 山本
Seiji Tone
誠司 刀禰
Hideo Sakakura
秀夫 坂倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無機粒子を含有した工程通過性良好なポリエス
テル樹脂組成物に関し、該無機粒子含有ポリエステル樹
脂組成物から得られるレーヨン調の風合いとドライ感を
有し、張り腰感を失わずに落ち感がありシルエットが良
好となる繊維に関する。 【解決手段】ポリマーチップ破断面1cm当たりに存
在する5〜10μmの無機粒子の凝集粒子数が50〜4
00個であり、無機粒子の平均一次粒径の10倍以上の
凝集粒子が存在しないことを特徴とする無機粒子含有ポ
リエステル樹脂組成物、及び該ポリエステル樹脂組成物
を溶融紡糸して得られる繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機粒子を含有し
た工程通過性良好なポリエステル樹脂組成物に関し、該
無機粒子含有ポリエステル樹脂組成物から得られるレー
ヨン調の風合いとドライ感を有し、張り腰感を失わずに
落ち感がありシルエットが良好となる繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリエステルはその優れた物理
的、化学的特性を有するために繊維、フィルム、その他
成型品に広く利用されており、ポリエステル樹脂組成物
に無機粒子を含有させることにより成形品の滑り性、繊
維の風合いを改良することが広く行われている。しか
し、ポリエステル樹脂組成物中に無機粒子を添加した場
合、無機粒子が凝集して生じる粗大粒子により、濾過圧
の上昇、糸切れ等の工程通過性が問題となる。
【0003】このため、あらかじめ無機粒子を粉砕、分級し
粗大粒子を除いた後にスラリー状、溶液状として、ポリ
エステル樹脂の合成時に添加する方法として、例えば特
開昭63−105059号公報が示されているが、無機
粒子の粉砕、分級を行ってもポリエステルの重合段階で
無機粒子が再凝集し、工程通過制が問題となる。
【0004】また、無機粒子のポリエステル樹脂中への分散
性を良くするために単軸あるいは二軸押出機により混練
し、無機粒子に剪断応力を加え添加する方法として、例
えば特公平7−62076号公報も示されているが、こ
の方法では無機粒子中の粗大粒子を単軸あるいは二軸押
出機で完全に粉砕し、繊維や成形用途の工程通過性を充
分満足できる分散状態を得ることは非常に困難であり、
またポリエステル樹脂中に無機粒子を均一に分散させる
ために剪断応力をかけすぎると、ポリエステル樹脂の固
有粘度が著しく低下するなどの欠点があり、またポリエ
ステル樹脂の重合と無機粒子の添加が別工程となってい
るために生産性の面からも好ましい方法ではなかった。
【0005】また、ポリエステル繊維には、特有の平滑性と
軽さのためにぬめり感を持ち、衣服にしたときのドライ
感、落ち感、張り腰感、シルエットが天然繊維と比較し
て劣る面もあった。これらの欠点を解決するため布帛の
力学的特性の統計的解析がなされており(J. Textile M
ach. Soc. Jpn. 22(3), 67-73(1976))、布帛のシルエ
ットを決定する最も重要なパラメータは曲げ剛性と自重
であることが報告されている。曲げ剛性を小さくして布
帛のドレープ性を向上させる方法として、繊維径を小さ
くしたりアルカリ減量率を増大する方法などがある。こ
れらの方法ではドレープ性が増大し布帛のシルエットは
良好となるが、張り腰感が不足する欠点があった。
【0006】一方、自重を大きくしてシルエットを向上させ
る方法として、従来よりポリエステル繊維中に高比重の
無機粒子を高濃度で含有させることが行われており、次
のような例をあげる事ができる。
【0007】特開平9−20215号公報で開示されている
繊維では芯部分に高比重無機粒子を12〜80wt%含
有したポリエステル組成物を用い、鞘部に熱可塑性ポリ
マーを用いて複合繊維としている。この方法では繊維を
高比重化できるが繊維表面に凹凸が十分に形成できない
ために衣服にしたときのドライ感、風合いは満足の得ら
れるものではなかった。
【0008】特公平4−9205号公報で開示されている繊
維ではポリエステル製造工程であらかじめ粉砕、分級な
どにより粗大粒子を除去した平均粒径が1μm以下の無
機微粒子をスラリー状にして高濃度でポリマーへ配合し
ている。このポリマーを溶融紡糸して得られた繊維で
は、比重の増加によるドレープ性やシルエットの改善に
は効果を示したが、凝集粒子による溶融ポリマーの濾過
圧力上昇速度が大きく、紡糸時にフィルター詰まりが生
じるなど生産性に問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来技術における問題点を解決するものであり、無機粒子
を含有した工程通過性良好なポリエステル樹脂組成物、
及び該ポリエステル樹脂組成物により、ポリエステル繊
維特有の平滑性、ぬめり感を改善し天然繊維に近い風合
いの繊維を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、ポリマ
ーチップの破断面1cm当たりに存在する5〜10μ
mの無機粒子の凝集粒子数が50〜400個であり、無
機粒子の平均一次粒径の10倍以上となる凝集粒子が存
在しないことを特徴とする無機粒子含有ポリエステル樹
脂組成物及び、該無機粒子含有ポリエステル樹脂組成物
から得られるポリエステル繊維で、繊維表面に無機粒子
による直径1μm以上の凸部が100平方μm当たり3
個から20個存在する繊維にある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について具体的に説明する。本発明の無機粒子含有ポリ
エステル樹脂組成物はポリマーチップの破断面1cm
当たりに存在する5〜10μmの無機粒子の凝集粒子数
が50〜400個であることが必要である。ポリマーチ
ップの破断面は、ポリマーチップを液体窒素にて十分に
冷却し衝撃を与え破断して得る。該破断面1cm当た
りに存在する、工程通過性で問題となる5〜10μmの
凝集粒子数を走査型電子顕微鏡により測定した。該凝集
粒子数が50個未満になると該ポリエステル樹脂組成物
から得られる繊維の表面凹凸が不足し目的とするドライ
感、落ち感が得られず、成型品の滑り性の向上も得られ
ない。凝集粒子数が400個を超えると無機粒子含有ポ
リエステル樹脂組成物が濾過工程を経る生産が困難とな
るばかりでなく、繊維あるいは成型品に加工した際に濾
過工程で充分に濾過精度を上げることができず紡糸時に
糸切れが生じたり製膜時にフィルム破れが生じる等、生
産性、品質で劣るものとなる。
【0012】更に、無機粒子含有ポリエステル樹脂組成物中
に添加無機粒子の平均一次粒径の10倍以上の凝集粒子
が存在しないことが必要である。添加無機粒子の平均一
次粒径の10倍以上となる凝集粒子が存在すると濾過圧
上昇速度が増加し、工程安定性が低下する。また、添加
無機粒子の平均一次粒径の10倍以上となる凝集粒子が
存在すると無機粒子含有ポリエステル樹脂組成物からな
る繊維を濃色に染色した時、凝集粒子による光散乱によ
って白ぼけが問題となる。
【0013】また、本発明の無機粒子含有ポリエステル樹脂
組成物の濾過圧上昇速度は0.2MPa/hr以下であ
り好ましくは0.1MPa/hr以下であることが望ま
しい。濾過圧上昇速度が0.2MPa/hrを超えると
工程安定性が低下しやすく、濾過圧の変動のないものが
望ましい。
【0014】濾過圧上昇速度は、以下の条件で測定した。単
軸スクリュータイプ押出機の溶融ポリマー出口側にポリ
マー定量供給装置を取り付け、更にその出口側に内径6
0mmφの織金網フィルター(フィルター9枚重ね メッ
シュ構成 50−120−325−600−325−6
00−325−120−50、フィルター規格 50メ
ッシュ:平織 目開き330μm 開孔率41.9%、1
20メッシュ:平織目開き131μm 開孔率38.2
%、325メッシュ:平織 目開き42μm開孔率2
8.9%、600メッシュ:綾織 目開き52μm)を
装着し、溶融ポリマーの温度を285℃に調節して、ポ
リマー流量30cm/minの速度で連続的にチップ
を供給した。この時のフィルター入り口側の単位時間当
たりの濾過圧力の変動が一定になったときの圧力上昇値
を持って濾過圧上昇速度とした。無機粒子の平均一次粒
径は1〜5μm、好ましくは1〜3μmである。平均一
次粒径1μm未満の無機粒子は分散安定性が著しく低下
し、重合段階で再凝集してポリマーチップ破断面1cm
当たりに存在する5〜10μmの凝集粒子数が400
個を超え、10μm以上の凝集粒子も多数存在し、実質
的に濾過工程を経る生産が困難となりやすい。また、該
無機粒子含有ポリエステル樹脂組成物を繊維とした場合
に繊維表面の凸部が小さく、繊維のコナレ、曲げ剛性の
低下が不足し、ドライ感、ドレープ性が不十分なものと
なりやすい。
【0015】更に、無機粒子を高濃度で添加した繊維では、
濃色染色時に凝集無機粒子による光散乱によって白ぼけ
が問題となるが、平均一次粒径が1μm以下の無機粒子
を用いた場合に10μm以上の凝集粒子が多数存在する
ために、無機粒子含有ポリエステル樹脂組成からなる繊
維の濃色染色時に光散乱による白ぼけが目立ちやすくな
る。また、無機粒子の平均一次粒径が5μmを超えると
一次粒子でフィルター詰まりが発生しやすくなり、紡糸
の際にも糸切れの原因となり製糸性を阻害しやすい。
【0016】更に、無機粒子の添加量は3〜40wt%であ
り、好ましくは10〜20wt%である。3wt%未満
では繊維化した場合に高比重化による風合い改良の効果
が小さく、繊維表面に形成される凸部の個数も少なくド
ライ感、ドレープ性に欠けるものとなりやすい。布帛の
シルエットを良好ならしめるには高比重の無機粒子を高
濃度で添加することが好ましいが、40wt%を越える
と濾過工程での濾過圧力上昇速度が大きいために生産性
が低下し、無機粒子による各種ガイド類の磨耗も激しく
なりやすく、繊維の強度が低くなる等の問題も発生しや
すくなる。
【0017】また、本発明で無機粒子含有ポリエステル樹脂
組成物に添加される無機粒子は酸化珪素、カオリナイ
ト、酸化チタン、アルミナ、カーボンブラックなどの粒
子を例示することができるが、ポリマー中での粒子の分
散性、繊維を高比重化させるための添加効果、繊維の染
色性、風合い、後工程通過性などの面から硫酸バリウム
が好ましい。
【0018】本発明の製造方法の一例を次に示す。本発明の
ポリエステル樹脂組成物はジカルボン酸類又はそのエス
テル形成誘導体とジオール又はそのエステル形成誘導体
を原料として重縮合反応によって製造できる線状飽和ポ
リエステルであり、特にポリエチレンテレフタレートを
主体とするものが好ましい。このポリエチレンテレフタ
レートを主体とするポリエステルは、ホモポリエステル
であってもコポリエステルであってもよく、共重合成分
としてアジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル
酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ジフ
ェニルスルホンジカルボン酸、p―オキシエトキシ安息
香酸等のジカルボン酸類またはそのエステル形成誘導体
成分、およびテトラメチレングリコール、ヘキサンメチ
レングリコール、ジエチレングリコール、プロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシアルキ
レングリコール、p―キシレングリコール、1,4―シ
クロヘキサンジメタノール等のジオール又はそのエステ
ル形成誘導体成分を含んでいてもよい。これらの共重合
成分は互いに1種ずつ用いても良いし、2種以上用いる
こともできる。
【0019】更に、本発明におけるポリエステル樹脂組成物
にはポリエステルが実質上線状である範囲で、トリメリ
ット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、ピロメリ
ット酸、トリメリット酸モノカリウム塩等の多価カルボ
ン酸成分、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメ
チロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプ
ロピオン酸カリウム等の多価ヒドロキシ化合物を少量共
重合させても良い。
【0020】また、無機粒子の添加方法は特に限定される物
ではなく、例えば平均一次粒径1〜5μmの硫酸バリウ
ムを添加する場合、無機粒子の添加は粉体のまま反応系
に添加してもよいが、好ましくは該ポリエステル樹脂組
成物の合成原料であるグリコールのスラリーとして添加
するのが好ましい。無機粒子のグリコールスラリーは通
常の超音波処理や攪拌分散処理を行うことが望ましい。
無機粒子の添加時期はエステル化反応前、もしくはエス
テル化反応終了後のどちらでも良いが、重合後のポリマ
ーの色調等の点からエステル化反応前に添加することが
好ましい。
【0021】本発明のポリエステル樹脂組成物に、更に抗酸
化剤、艶消剤、染顔料、難燃剤等通常用いられる添加剤
を添加することも可能である。
【0022】また、本発明の無機粒子含有ポリエステル組成
物を溶融紡糸するにあたっては、特別な方法を用いる必
要はなく、任意のポリエステル繊維の溶融紡糸方法を用
いることができる。かかるポリエステル繊維は、中空部
を有する繊維であってもよく、また、繊維の横断面にお
ける外径や中空部の形状は円形であっても異形であって
もよい。
【0023】無機粒子含有ポリエステル樹脂組成物より得ら
れるポリエステル繊維は、繊維表面に無機粒子による直
径1μm以上の凸部が100平方μm当たり3個から2
0個存在することを特徴とする。繊維表面に凸部を形成
した該ポリエステル繊維は、繊維間の摩擦が充分に低い
ために織物又は編み物にしたときの繊維のコナレがよ
く、曲げ剛性が適度に減少し、無機粒子の配合による高
比重化の効果と合わせ、衣服にしたときにレーヨン調の
独特の風合いとドライ感が得られ、張り腰感を失わずに
落ち感がありシルエットが良好となる。
【0024】この繊維のコナレと曲げ剛性が適度に減少する
ことから発現する特有の風合いは繊維表面に形成される
凸部の大きさと個数に大きく影響される。したがって無
機粒子は良好な工程通過性を有する範囲で粒径が大き
く、適当な濃度で添加されることが好ましい。更に詳し
くは工程通過性の面から、この凸部が100平方μm当
たり3〜10個の範囲がより好ましい。
【0025】繊維表面の無機粒子による凸部の直径が1μm
未満であると繊維間の摩擦低下、曲げ剛性の低下による
風合い改良の効果が得られにくくなる。また、該凸部の
個数が100平方μm当たり3個未満の場合も繊維間の
摩擦低下、曲げ剛性の低下による風合い改良の効果が得
られず、20個を超えて存在する場合は無機粒子による
ガイド類の磨耗が激しくなり、製糸安定性が低下しやす
い。
【0026】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を説明する。評
価方法は次に示す方法で行った。
【0027】<ポリマーチップの破断面中の凝集粒子の個数
>無機粒子含有ポリエステルを重合して得られたチップ
を、液体窒素にて十分に冷却し衝撃を与え破断した断面
を走査型電子顕微鏡により倍率70倍で撮影して、特定
範囲に存在する凝集粒子の粒径を測定し個数を数えた。
【0028】<製糸性、繊維表面凸部密度、風合い、白ボケ
>無機粒子含有ポリエステルを重合して得られたチップ
を常法により紡糸延伸し、83デシテックス36フィラ
メントの延伸糸を得た。得られた繊維を製編、製織した
サンプルを作成し、布の外観、風合い検査と共に走査型
電子顕微鏡による表面観察を行い特定範囲に存在する凸
部の個数を数えた。また、得られた延伸糸を製編した
後、分散染料(ダイヤニクスブラック:三菱化成ヘキス
ト(株)製)をサンプルに対して25%の量を用い、助
剤、中和剤を加え132℃、0.25Mpaの加圧下で
60分の時間をかけて染色したもので白ボケを評価し
た。 (実施例1〜3、比較例1〜4)表1に示す平均一次粒
子径の硫酸バリウム粒子をエチレングリコール(以下E
G)に30wt%割合で混合し、攪拌分散機により3時
間かけて混合粉砕し硫酸バリウムスラリーを調製した。
反応釜にジメチルテレフタル酸(以下DMT)と硫酸バ
リウムスラリーをポリマー中の硫酸バリウムが表1に示
す含有量となるように投入し、さらにEGを投入した。
このとき反応釜内のDMTとEGの仕込みモル比が1対
2.4となるようにEG投入量を調整した。これに酢酸
マグネシウムを900ppm(対酸成分)添加し240
℃まで昇温を行いエステル化反応を完結させた。更に三
酸化アンチモンを400ppm添加して、釜内の圧力を
0.15kPa以下まで減圧し釜内温度を290℃まで
昇温して所定の重合度まで重合を行った。重合を停止し
たポリマーを窒素加圧によりストランド状に水中に押し
出し切断してチップ化した後、120℃で12時間減圧
下で乾燥し各特性を評価した。
【0029】比較例1では、ポリマーチップ破断面1cm
当たりに存在する5〜10μmの無機粒子の凝集粒子数
が400個を超え、平均粒径の10倍以上に凝集した粒
子が大量に存在し、このため濾過圧上昇速度が大きく、
濾過工程を経る成形は困難で製糸不能であった。
【0030】比較例2では、ポリマーチップ破断面1cm
当たりに存在する5〜10μmの無機粒子の凝集粒子数
が400個を超え。平均粒径の10倍以上に凝集した粒
子も多量に存在し、濾過圧上昇速度も高く製糸性が悪く
なった。また凝集粒子の影響により布帛にしたときの白
ぼけの程度も大きくなった。
【0031】比較例3ではポリマーチップ破断面1cm
たりに存在する5〜10μmの無機粒子の凝集粒子数が
50個未満であり、該ポリマーを紡糸して得られた繊維
表面100平方μm当たりに形成される凸部が少なく布
帛にしたときのドライ感及びドレープ性が不足するもの
となった。
【0032】比較例4ではポリマーチップ破断面1cm
たりに存在する5〜10μmの無機粒子の凝集粒子数が
400個を超え、該ポリマーを紡糸して得られた繊維表
面100平方μm当たりに形成される凸部がガイド摩耗
も大きいため製糸性は悪かった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明は、ポリマーチップ破断面1cm
当たりに存在する5〜10μmの無機粒子の凝集粒子
数が50〜400個であり、無機粒子の平均一次粒径の
10倍以上となる凝集粒子が存在しないことを特徴とす
る無機粒子含有ポリエステル樹脂組成物により工程通過
性が改善され、該ポリマーを任意の方法で溶融紡糸して
得られる繊維は、繊維間の摩擦が充分に低いために織物
又は編み物にしたときの繊維のコナレがよく、布帛の曲
げ剛性が適度に減少し、また無機粒子の配合による高比
重化により、衣服にしたときにレーヨン調の独特の風合
いとドライ感を有し、張り腰感を失わずに落ち感があり
シルエットが良好となる特徴を有し、無機粒子を高濃度
で添加した繊維を濃色に染めた場合に問題となる白ボケ
も減少する事が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CF061 DA026 DE136 DE146 DG046 DJ016 DJ036 FD016 GK01 4L035 BB31 DD08 JJ07 KK01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリマーチップの破断面1cm当たりに
    存在する5〜10μmの無機粒子の凝集粒子数が50〜
    400個であり、無機粒子の平均一次粒径の10倍以上
    となる凝集粒子が存在しないことを特徴とする無機粒子
    含有ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】濾過圧上昇速度が0.2MPa/hr以下
    である請求項1に記載の無機粒子含有ポリエステル樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】無機粒子の平均一次粒径が1〜5μmであ
    る請求項1または2に記載の無機粒子含有ポリエステル
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】無機粒子の添加量が3〜40重量%(wt
    %)である請求項1〜3のいづれか1項に記載の無機粒
    子含有ポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】無機粒子が硫酸バリウムである請求項1〜
    4のいづれか1項に記載の無機粒子含有ポリエステル樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいづれか1項に記載の無機
    粒子含有ポリエステル樹脂組成物から得られるポリエス
    テル繊維で、繊維表面に無機粒子による直径1μm以上
    の凸部が100平方μm当たり3個から20個存在する
    繊維。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009126094A (ja) * 2007-11-26 2009-06-11 Teijin Dupont Films Japan Ltd 積層フィルム
CN104131360A (zh) * 2014-06-17 2014-11-05 福建百宏聚纤科技实业有限公司 一种微纳米改性大有光聚酯纤维及其制备方法

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