JP2000245453A - 酵素の活性化方法 - Google Patents
酵素の活性化方法Info
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Abstract
段階において、酵素の活性を高める方法を提供する。 【解決手段】酵素反応に使用される酵素を活性化する方
法であって、同酵素を電解生成水に溶解して活性化す
る。
Description
酸性プロテアーゼ、リパーゼ等、酵素反応に使用される
酵素を活性化する方法に関する。
ける酵素反応に関与する酵素には多くの種類があり、そ
の主要な酵素としては、α−アミラーゼ、酸性プロテア
ーゼ、リパーゼ等が知られている。α−アミラーゼは、
澱粉を分解してデキストリン、異性化糖、ブドウ糖、水
飴、マルトース、マルトオリゴ糖、シクロデキストリ
ン、カップリングシュガー等の製造に使用され、酸性プ
ロテアーゼは、醤油、味噌、麺つゆ、焼き肉のたれ、ド
レッシング等の製造に使用され、リパーゼは、脂肪酸、
石鹸、糖脂肪酸エステル等の界面活性剤、香料、メント
ール等の製造に使用される。これらの酵素の使用に際し
ては、酵素反応の前段階において、酵素の活性を高めて
おくことが有利である。
しては、酵素反応の前段階で、酵素を蒸留水、または反
応液のpHに合わせた緩衝液に溶解して酵素溶液にする
手段が採られている。これは、通常、酵素反応が最適な
範囲のpHで行われるため、酵素溶液を添加した際に反
応液が最適なpHの範囲から外れないようにするためで
ある。換言すれば、かかる手段は、酵素の活性を予め高
めるものではない。
に使用する場合、酵素反応の前段階において、酵素の活
性を高める方法を提供することにある。
用される酵素を活性化する方法であって、同酵素を電解
生成水に溶解して活性化することを特徴とするものであ
り、前記電解生成水としては、希釈食塩水を電気分解し
て得られる電解生成水を採用することが好ましい。
は、前記酵素としてα−アミラーゼを採用する場合には
前記電解生成水として電解生成アルカリ性水を採用する
こと、前記酵素として酸性プロテアーゼを採用する場合
には前記電解生成水として電解生成酸性水を採用するこ
と、前記酵素としてリパーゼを採用する場合には前記電
解生成水として電解生成酸性水を採用することができ
る。
よれば、図2、図4、図6に示すグラフを参照すれば明
らかなように、酵素を水道水等通常の水(pH約7)に
溶解する場合に比較して、酵素の活性が高くなってい
る。特に、酵素としてα−アミラーゼを採用する場合に
は、電解生成水として電解生成アルカリ性水を採用する
ことにより、酵素として酸性プロテアーゼを採用する場
合には、電解生成水として電解生成酸性水を採用するこ
とにより、また、酵素としてリパーゼを採用する場合に
は、電解生成水として電解生成酸性水を採用することに
より、酵素の活性を高めることができる。
るに際して電解生成水に溶解することにより酵素の活性
化を図ることができること、個々の酵素については、電
解生成水を使用する酵素に対応して適宜選択することに
よりその活性化を図ることを教示している。
かではないが、非電解生成水でpHのみを変化させた水
を溶解液として採用した比較例(図2、図4、図6に示
す1点鎖線グラフ)を参照すれば、電解生成水を溶解液
として採用した場合には、比較例に比して酵素の活性を
一層高めている。酵素の活性が溶解液のpHに依存する
ことは知られているが、電解生成水の場合には、pH以
外の機能が大きく寄与していることが認められる。
ついての具体的例を、α−アミラーゼ(実験例1)、酸
性プロテアーゼ(実験例2)、リパーゼ(実験例3)に
ついて説明する。
ーゼVIII−A(シグマ株式会社社製:大麦麦芽起源)を
採用するとともに、酵素を活性化するための供試水とし
て下記に示す電解モデル水(電解生成水)およびpHモ
デル水を採用して、図1のフローチャートに示す方法で
酵素の活性化実験を下記の条件で行った。
溶解して100mg/lの濃度の塩化ナトリウム水溶液
を調製して、この水溶液を原水として有隔膜電解して得
た電解生成水(pH3,pH4,pH10,pH1
1)。pHモデル水:蒸留水に水酸化ナトリウムまたは
塩酸を添加して各種のpHの水溶液(pH3,pH4,
pH10,pH11)を調製し、この水溶液に塩化ナト
リウムを添加してNaイオン濃度を電解モデル水の原水
と一致させた水溶液(Naイオン濃度39.3mg/
l)。
トワコー(和光純薬工業株式会社製、発色酵素液キッ
ト、基質液キット、反応停止液キット)。活性測定:試
験管に酵素溶液0.01mlと発色酵素液キット1ml
を入れて反応開始液としてこれを37℃で5分間加温
し、次いでこれに基質液キット1mlを入れて37℃で
10分間反応させ、最後にこれに反応停止液キット2m
lを入れて反応を停止する。この反応液を分光光度計で
620nmの吸光度を測定し、この吸光度に基づいて酵
素量を算出する。
法にて実施する。先ず、α−アミラーゼ85mgに供試
水を加えて100mlの定容とした酵素溶液を調製し、
この酵素溶液0.01ml中に発色酵素液キット1ml
を添加して37℃で5分間加温し、次いで基質液キット
1mlを添加して反応開始液として酵素反応を開始す
る。酵素反応においては、37℃で10分間正確に加温
して行い、その後反応停止液キット2mlを添加して反
応を停止する。この反応液を分光光度計で620nmの
吸光度を測定する。
開始液の性質変化の状態を表1および表2に示すととも
に、各供試水に基づく酵素の活性状態を表3および表4
に示す。また、各供試水に基づくpHと酵素活性比との
関係を図2に示す。但し、図2に示す酵素活性比は、p
H7の原水における酵素活性を1とする各酵素活性の比
率を意味する。但し、酵素活性の値は5回測定した場合
の平均値である。
域では酵素活性が上昇して、かつ酸性域では酵素活性が
低下している。この傾向は電解モデル水、pHモデル水
ともに共通しているが、アルカリ性域での酵素活性の上
昇率および酸性域では酵素活性の低下率は、pHモデル
水に比較して電解モデル水が大きい。特に、両モデル水
がpH11である場合の酵素活性に着目すると、酵素活
性は、電解モデル水においては20%上昇しているのに
対して、pHモデル水においては7%であって、電解モ
デル水とpHモデル水との間では酵素に対する活性化の
作用に大きな差があることが認められる。
電解生成水が有効であること、酵素としてα−アミラー
ゼを採用する場合には、電解生成アルカリ性水が極めて
有効であることが判明した。電解生成アルカリ性水のこ
のような効果は、pHモデル水とを比較すればpHのみ
に起因するものではなく、また、表1および表2に示す
pHおよび酸化還元電位(ORP)の値が電解生成アル
カリ性水とpHモデル水との間で差がないことから、p
Hおよび酸化還元電位にのみに起因するものでないもの
と認められる。従って、電解生成水の酵素の活性化に及
ぼす作用は、pH、酸化還元電位、および、その他の潜
在する機能の総合によるものと判断される。
テアーゼXXIII(シグマ株式会社社製:Aspergillus ory
use起源)を採用するとともに、酵素を活性化するため
の供試水としては実験例1で使用した電解モデル水(電
解生成水)およびpHモデル水を採用して、図3のフロ
ーチャートに示す方法で酵素の活性化実験を下記の条件
で行った。
緩衝液:マッキルベイン緩衝液pH3(燐酸二ナトリウ
ム、クエン酸)。カゼイン溶液:カゼイン(発色用)2
gに10倍に薄めた乳酸5mlを加え、さらに蒸留水を
加えて完全に白濁状に溶解するまで掻き混ぜる。この白
濁液を一度沸騰させてから冷却し、これにpH3のマッ
キルベイン緩衝液20mlを加え、さらに蒸留水を加え
て100mlに定容。 チロシン標準溶液:L−チロシン10.0mgに1N塩
酸1mlを加えて全容を100mlとして、これを原液
(100mg/l)とする。検量線は原液を使用し、標
準液として0mg/l,25mg/l,75mg/l,
100mg/lのものを使用。
gに供試水を加えて25mlに定容し、室温(25℃)
で5分間放置したもの。酵素活性の表示:酸性プロテア
ーゼの活性は、40℃で60分間に1μgのチロシン相
当量の呈色を示す活性を1単位(1U)とする。酵素活
性(1U/ml)=生成チロシン量×6/1(反応液
量)×1/0.5(酵素液量)。
法にて実施する。先ず、カゼイン溶液1.5mlに緩衝
液1.0mlを加えて40℃で5分間加温し、このカゼ
イン溶液に予め調製した酵素溶液0.5mlを加えて反
応開始液として酵素反応を開始する。酵素反応において
は、40℃で60分間反応させた後、0.4Mトリクロ
ール酢酸溶液(TCA)3mlを加えて反応を停止し、
反応停止液中の沈殿を濾別する。得られた濾液1mlを
分取し、この濾液に0.4M炭酸ナトリウム溶液5ml
と0.4Nフェノール試薬1mlを加えて40℃で30
分間発色を行い、660nmの吸光度を測定する。
試水、酵素溶液、反応開始液の性質変化の状態を表5に
示すとともに、同供試水に基づく酵素の活性状態を表6
に示す。また、電解モデル水およびpHモデル水を供試
水とするpHと酵素活性比との関係を図4のグラフに示
す。但し、図4に示す酵素活性比は、pH7の原水にお
ける酵素活性を1とする各酵素活性の比率を意味する。
酵素活性が上昇し、かつアルカリ性域では酵素活性が低
下している。この傾向は電解モデル水、pHモデル水と
もに共通しているが、酸性性域での酵素活性の上昇率お
よびアルカリ性域では酵素活性の低下率は、pHモデル
水に比較して電解モデル水が大きい。電解モデル水がp
H3である場合には酵素活性が42%上昇し、電解モデ
ル水がpH4である場合には酵素活性が38%上昇して
いて、pHモデル水に比較して酵素活性化が高い。
電解生成水が有効であること、酵素として酸性プロテア
ーゼを採用する場合には、電解生成酸性水が極めて有効
であることが判明した。電解生成酸性水のこのような効
果は、pHモデル水とを比較すればpHのみに起因する
ものではなく、電解生成酸性水の電解機能の総合による
ものと認められる。
式会社製リパーゼ(Rhizopus delemar起源)を採用する
とともに、酵素を活性化するための供試水としては実験
例1で使用した電解モデル水(電解生成水)およびpH
モデル水を採用して、図5のフローチャートに示す方法
で酵素の活性化実験を下記の条件で行った。
pHが5.6の酢酸緩衝液。賦活剤:0.1MCaCl
2溶液。反応停止剤:エタノール。酵素溶液の調製:リ
パーゼ10mgに供試水を加えて10mlに定容し、室
温(25℃)で5分間放置したもの。
法にて実施する。先ず、トリオレン0.48mlに酢酸
緩衝液1.8mlおよび賦活剤であるCaCl2溶液
0.2mlを加えて30℃で10分間加温し、これに酵
素溶液0.2mlを加えて反応開始液として酵素反応を
開始する。酵素反応においては、30℃で30分間振と
うしつつ反応させた後、反応液にエタノール8mlを加
えて反応を停止し、反応停止させた反応液を酵素活性測
定に供する。
および蒸留水2.68mlを加えて、撹拌しつつ0.0
1N水酸化ナトリウムでpH9まで滴定し、下式により
酵素活性を算出する(0.01N水酸化ナトリウム1m
lに相当するオレイン酸量を1単位(U)とする。但
し、ブランクテストには、酵素溶液に代えて蒸留水を使
用)。
×n T:試料の水酸化ナトリウム滴下量、Tb:ブラ
ンクテストでの水酸化ナトリウム滴下量、n:希釈率。
試水、酵素溶液、反応開始液の性質変化の状態を表7に
示すとともに、同供試水に基づく酵素の活性状態を表8
に示す。また、電解モデル水およびpHモデル水を供試
水とするpHと酵素活性比の関係を図6のグラフに示
す。但し、図6に示す酵素活性比は、pH7の原水にお
ける酵素活性を1とする各酵素活性の比率を意味する。
酵素活性が上昇し、かつアルカリ性域では酵素活性が低
下している。この傾向は電解モデル水、pHモデル水と
もに共通しているが、酸性域での酵素活性の上昇率は電
解モデル水が大きく、アルカリ性域での低下率はpHモ
デル水が大きい。電解モデル水がpH3である場合には
酵素活性が18%上昇し、電解モデル水がpH4である
場合には酵素活性が16%上昇していて、pHモデル水
に比較して酵素活性化が高い。
電解生成水が有効であること、酵素としてリパーゼを採
用する場合には、電解生成酸性水が極めて有効であるこ
とが判明した。電解生成酸性水のこのような効果は、p
Hモデル水とを比較すればpHのみに起因するものでな
いものではなく、電解生成酸性水の電解機能の総合によ
るものと認められる。
フローチャートである。
pHと酵素活性比との関係を示すグラフである。
のフローチャートである。
のpHと酵素活性比との関係を示すグラフである。
チャートである。
酵素活性比との関係を示すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】酵素反応に使用される酵素を活性化する方
法であり、同酵素を電解生成水に溶解して活性化するこ
とを特徴とする酵素の活性化方法。 - 【請求項2】請求項1に記載の酵素の活性化方法におい
て、前記電解生成水は希釈食塩水を電気分解して得られ
る電解生成水であることを特徴とする酵素の活性化方
法。 - 【請求項3】請求項1に記載の酵素の活性化方法におい
て、前記酵素としてα−アミラーゼを採用し、かつ、前
記電解生成水として電解生成アルカリ性水を採用するこ
とを特徴とする酵素の活性化方法。 - 【請求項4】請求項1に記載の酵素の活性化方法におい
て、前記酵素として酸性プロテアーゼを採用し、かつ、
前記電解生成水として電解生成酸性水を採用することを
特徴とする酵素の活性化方法。 - 【請求項5】請求項1に記載の酵素の活性化方法におい
て、前記酵素としてリパーゼを採用し、かつ、前記電解
生成水として電解生成酸性水を採用することを特徴とす
る酵素の活性化方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP05698599A JP4347940B2 (ja) | 1999-03-04 | 1999-03-04 | 酵素の活性化方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1669442A2 (en) | 2004-12-09 | 2006-06-14 | Kao Corporation | Method of activating alpha-amylase |
JP2007325553A (ja) * | 2006-06-08 | 2007-12-20 | Kao Corp | α−アミラーゼの活性化方法 |
JP2007325554A (ja) * | 2006-06-08 | 2007-12-20 | Kao Corp | α−アミラーゼの活性化方法 |
JP2021101639A (ja) * | 2019-12-25 | 2021-07-15 | 株式会社ミカサ | 動物の飼育方法、堆肥の製造方法、および酵素反応の制御方法 |
-
1999
- 1999-03-04 JP JP05698599A patent/JP4347940B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US7863235B2 (en) | 2004-12-09 | 2011-01-04 | Kao Corporation | Method of activating α-amylase with oxidizing agents |
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JP4628999B2 (ja) * | 2006-06-08 | 2011-02-09 | 花王株式会社 | α−アミラーゼの活性化方法 |
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JP2021101639A (ja) * | 2019-12-25 | 2021-07-15 | 株式会社ミカサ | 動物の飼育方法、堆肥の製造方法、および酵素反応の制御方法 |
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