JP2001046047A - グルコン酸を多量に含む清酒とその製造方法 - Google Patents

グルコン酸を多量に含む清酒とその製造方法

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亜希 藤本
Shuji Hirohata
修二 広畑
Toru Motoyoshi
徹 元吉
Akira Nishimura
顕 西村
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HAKUTSURU SAKE BREWING
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カタラーゼとグルコースオキシダーゼを用い
て、グルコン酸を多量に含む清酒の製造方法を開発し、
さわやかな酸味が特徴で健康維持に効果的な清酒を得
る。 【構成】 清酒の製造過程において、四段仕込みまたは
調味アルコールまたは上槽後清酒に、pHを一定にしな
がら酸素通気し、カタラーゼとグルコースオキシダーゼ
を反応させ、グルコン酸を多量に含む清酒を製造する方
法を開発した。この方法によって得られた清酒はさわや
かな酸味を持ち、香味とのバランスに優れたものであ
り、健康維持に効果があるとされるグルコン酸量を通常
の飲酒量で摂取できるものであった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、さわやかな酸味による
清酒の酒質改善と、飲用による腸内善玉菌の活性化によ
る健康維持を目的にしたグルコン酸を多量に含む清酒の
製造法に関わるものである
【0002】
【従来の技術】近年、食品市場は健康志向が強くなって
きた。例えば一万人を対象にしたアンケートでは、約二
割が健康食品の摂取を健康作りの方法と回答している。
また「健康食品」によって「健康」(30.8%)、
「便通が良くなった」 (53.8%)などの回答結果
が得られていることから、消費者はより明確に健康を感
じ取ることができる、結果の出やすい「健康食品」を求
めている。(タニタ(株)「‘96日本人の健康づくり・
一万人調査」より)。
【0003】また別の約1000人を対照にしたアンケ
ートでは、健康食品を、ビタミン剤など「栄養食品」、
オリゴ糖入りなど「機能性食品」、クロレラや高麗ニン
ジンなど「健康食品」、有機野菜など「自然食品」の4
つに分類した中では、最も多い8割の回答は自然食品に
関心を寄せたものであることから、消費者の健康志向
は、明確な結果を体感できるだけでなく、より自然であ
ることを求めている(1997年11月23日 埼玉新
聞)。
【0004】既に、健康を志向した清酒商品は市場にい
くつか見受けられるが、含まれる有効成分の効果が認知
されていなかったり、通常の飲酒で摂取できる成分量が
有効量に程遠いなど、その健康への効果に疑問を持つも
のが多い。また結果を体感することが期待できる商品で
も、添加物として有効成分を添加するなど、消費者の志
向する「より自然な」健康とは異なったものにすぎな
い。
【0005】人の腸内には多種多様な細菌が棲息し、食
物の消化、吸収、排泄を助けている。具体的にはビフィ
ズス菌などのいわゆる善玉菌が腸内を優占すると健康状
態を維持できる。しかし、ウエルシュ菌などの菌種によ
ってはヒトの吸収不良や便秘を引き起こしたりするの
で、このようないわゆる悪玉菌が腸内を優占すると健康
ではなくなってしまう。さらに腸内細菌のバランスは老
化や成人病との関係が注目されており、腸内の善玉菌を
優勢に保つことが健康維持に大変重要であるとされてい
る。(Mitsuoka T., J. Ind. Microbiol,6,263-267)
【0006】腸内の善玉菌を増殖させる因子としては、
グルコン酸をはじめフラクトオリゴ糖、イソマルトオリ
ゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ
糖等が知られており、グルコン酸を除く全ては非消化性
オリゴ糖類で甘味料として用いられる。清酒製造という
ことを考慮すると、これらの糖類は元来清酒にもある程
度多量に含まれていることから、健康に対するインパク
トに欠けるほか、添加物としての添加は酒税法上の制約
を受けるし、なによりこれらの糖類の増強に伴う甘味の
増加は清酒としての官能を損ないかねない。
【0007】グルコン酸は、1878年に乳酸醗酵に伴
う副成物として発見された有機酸で、グルコン酸、その
カルシウム塩、そのカリウム塩、グルコノデルタラクト
ンとして広く食品添加物として用いられている物質であ
る。 グルコン酸は食品中ではローヤルゼリーに1.9
%、蜂蜜に0.3%、醸造酢に0.1〜0.3%含まれ
ている。 また米にも含まれ、広く天然に存在する安全
な物質である。アルコール飲料では貴腐ワイン中に約
0.5%含まれ、酸味付与の他に香味、旨味をうまく引
き出す重要な成分であることが知られている(Shigeo
M.,New Food Industry,37(1),17(1995))。しかし、市
販のグルコン酸定量分析キット(ベーリンガーマンハイ
ム山之内(株)製)を用いて食品中のグルコン酸を分析し
たところ、通常の清酒中には0.001%程度と微量し
か含まれていなかった。
【0008】
【表1】
【0009】グルコン酸は腸内善玉菌を増殖させること
ができる唯一の有機酸である。グルコン酸の善玉菌に対
する増殖効果は非消化性オリゴ糖類と同等で、成人の1
日あたりの最小有効摂取量は3g以下であると予想され
ている(浅野敏彦、ビフィズス、8,29-35,(1994))。
この最小有効摂取量を参考にして、清酒常用飲酒者の一
日の平均的な清酒の摂取量を2合(360ml)と仮定
すると、グルコン酸による健康維持を目的とした清酒に
求められるグルコン酸濃度は3g/360ml=0.8
3%となる。
【0010】グルコン酸の酸味の特徴は「おだやかで爽
快な酸味、丸みのあるやわらかな酸味」である。クエン
酸の酸味を100とした場合の、グルコン酸の酸味度は
30前後と低く、酢酸やリンゴ酸、乳酸など他の有機酸
と比較してもかなり穏やかな酸味料である(Shigeo M.,N
ew Food Industry,37(1),17(1995))。言い換えると、存
在するグルコン酸量を増やしたとしても、官能的な変化
は比較的起きにくいことを意味している。
【0011】清酒中に多量のグルコン酸を含ませる方法
はいくつか考えられる。最も簡単な方法は食品添加物と
してグルコン酸を添加する方法である。しかし、清酒製
造に関わる酒税法によれば、グルコン酸またはその塩類
やラクトンは、清酒醪や清酒に添加することが認められ
ていない物質なので、これらを食品添加物として添加し
たものは清酒とは認められない。また、添加物の利用は
消費者の志向する「より自然な」方法とはいえないこと
からも、添加物を用いて清酒中に多量のグルコン酸を含
ませることは得策ではない。
【0012】清酒の製造は、米、水を主原料に、麹によ
って澱粉を糖化、酵母によってアルコールを醗酵生産し
ている。醗酵末期の醪には四段仕込を行ったり、調味ア
ルコールを添加する場合もある。四段仕込とは酒質に甘
味を付加したり、味の幅を持たせることを目的とするも
ので、米を酵素剤または麹で液化、糖化したものを発酵
末期の醪に添加することである。また調味アルコールと
は増醸酒の製造に使用するもので、醸造アルコールに糖
類、酸類等の副原料を溶解し、発酵末期の醪に添加する
ものである。
【0013】醗酵を終了した醪は、酵母を含めた醪中の
固形分と液分を分離する上槽という操作を経て清酒を得
る。その後一定期間の貯蔵を経て、任意のアルコール濃
度に水で希釈し、製品となる。
【0014】食品中にグルコン酸を含ませる方法は、特
開平8−173109の液状食品素材およびその製造法
として、食品素材にカタラーゼを含むグルコースオキシ
ダーゼを作用させる例が示されている。主に果実、野菜
汁に酸素加圧下で固定化したカタラーゼとグルコースオ
キシダーゼを作用させるものである。しかし、この方法
では物性、化学的性質の異なる四段や調味アルコールや
清酒では、共存する高濃度のアルコールや特にグルコン
酸の生成に伴うpH低下によってグルコースオキシダー
ゼが失活したり、酸素の溶解性が異なることから、多量
のグルコン酸を含む清酒を得ることはできなかった。
【0015】グルコースオキシダーゼはグルコースを酸
化し、グルコン酸と過酸化水素を生成する反応(C6
126+H2O+O2→C6127+H22)を触媒す
る。従って、多量のグルコン酸生成には多量の酸素が必
要になる。なお、カタラーゼは(2H22→O2+2H2
O)を触媒し、グルコース酸化反応で副成する有害な過
酸化水素を除去するために必要である。
【0016】清酒製造における酸素の役割は、健全な醗
酵や良好な酒質を得る上で酵母増殖時である醗酵初期に
はわずかな酸素が必要とされている。しかしこの酸素は
脂肪酸やステロールなどの脂質を代替物質とすることが
できるので実際の製造では酸素は必要ではない。また醗
酵中期以降には、酸素は醪中の有機酸やアミノ酸を増加
させ、清酒の酒質の悪影響を及ぼすことが知られている
(永井英雄ら、醗酵工学会誌、70,5,361-369)。また上
槽後には、酸素は清酒の異臭の一つであるムレ香の発生
に寄与する(西村 顕ら、生物工学会誌、73,213-223(199
5))など品質劣化の原因となるので、清酒製造には醗酵
中、上槽後ともに酸素の存在は禁忌されてきた。従っ
て、多量の酸素を要求するグルコースオキシダーゼを用
いて、清酒中にグルコン酸を多量に含ませた例は未だな
かった。
【0017】グルコースオキシダーゼを清酒に作用させ
た例は、特開平2-163068があるが、これはGluco
nobacter属細菌の菌体をそのまま清酒に添加し、菌体の
グルコースオキシダーゼを溶存酸素除去を目的に作用さ
せたもので、脱酸素による清酒の安定な保存を目的とし
ている。生成するグルコン酸量は微量な溶存酸素量に比
例するので、得られるグルコン酸も極めて微量である。
従って、その目的と結果は本発明とは全く異なるもので
ある。
【0018】
【本発明が改良しようとする課題】グルコン酸を多量に
含み、さわやかな酸味を特徴とし、香味のバランスのと
れた酒質の清酒とその製造方法を、健康を志向する市場
の要求に応えて、提供するものである。
【0019】
【問題を解決するための手段】上記課題を解決するため
鋭意研究を進めるうちに、清酒製造時の四段仕込、調味
アルコールまたは上槽後の清酒に、カタラーゼとグルコ
ースオキシダーゼを、酸素通気、pH制御下で反応させ
ることによって、少なくとも0.01%以上の任意の濃
度のグルコン酸を含む清酒の製造が可能であることを見
出した。本発明はこの知見によってなされたものであ
る。
【0020】四段仕込を用いる方法は、通常と同様に、
蒸した米またはα化米、水、アミラーゼ酵素を添加し、
50℃前後で反応させる。この仕込み時、または液化ま
たは糖化反応終了までの任意の時期に、カタラーゼとグ
ルコースオキシダーゼを加え、同時に酸素通気を行い、
任意の温度で反応を行う。 pHはグルコン酸の生成と
ともに速やかに低下し、酵素活性の低下を招くので、炭
酸カルシウム、アンモニアなどの酒税法で添加が認めら
れたアルカリを用いて任意のpHに調整する。なおpH
は4未満では酵素反応が遅延するので4.0以上が望ま
しい。希望するグルコン酸濃度となった時点で、酸素通
気停止によって反応を中止する。反応温度40℃では、
約20時間後に10〜25%のグルコン酸を含む四段を
調製することが可能である。
【0021】このようにして得られた高濃度のグルコン
酸を含む四段を、上槽前の醪に任意量加えることで、任
意の濃度のグルコン酸を含む清酒を製造することができ
る。
【0022】調味アルコールを用いる方法では、醸造ア
ルコールとブドウ糖、水飴、粉飴等の糖類を溶解後、さ
らにカタラーゼとグルコースオキシダーゼを加えて、常
圧下で酸素通気を行い任意の温度で反応を行う。 pH
はグルコン酸の生成とともに速やかに低下し始めるの
で、四段の場合と同様に任意のpHに保つ。反応温度4
0℃では、約20時間後に、10〜25%のグルコン酸
を含む調味アルコールを調製することが可能である
【0023】次に乳酸、コハク酸等の酸類、グルタミン
酸ナトリウムなどのアミノ酸類を任意に混合し、高濃度
のグルコン酸を含む調味アルコールとする。これを上槽
前の醪に加えることで、任意の濃度のグルコン酸を含む
清酒を製造することができる。
【0024】一方、上槽後に酵素剤を作用させる方法で
は、上槽前にカタラーゼとグルコースオキシダーゼを加
えて上槽する。その後、酸素通気し、前出のアルカリを
用いてpHを任意に保ち反応を進める。なお、温度は酵
素活性を維持できる50℃以下の任意で反応させること
ができるが、30℃以上の高い温度では酒質が劣化する
ことがあるので、20℃前後で反応させることが望まし
い。希望するグルコン酸濃度となった時点で、酸素通気
停止によって反応を終了させる。10時間以内に0.2
〜2%のグルコン酸を含む清酒原酒を容易に得ることが
できる。
【0025】ここで述べるカタラーゼとグルコースオキ
シダーゼは、それぞれの酵素活性を持つものならいかな
るものでもよい、市販の精製酵素または複合酵素のいず
れでも良く、起源や形態も問わない。ただし清酒中のエ
タノールによる失活または活性低下の影響を受け難く、
低温でも良く作用するものが望ましい。
【0026】また酵素剤でなくても、グルコースオキシ
ダーゼ活性を有する例えばAspergillus nigerやPenicil
lium amagasakienaseなどの菌体そのものも利用するこ
とが可能である。しかし、菌体そのものの利用は、目的
酵素以外の酵素反応も進行するので、酒質への悪影響を
引き起こす可能性が高く望ましいものではない。
【0027】本発明によれば清酒中のグルコン酸濃度を
数%にもすることができる。単にグルコン酸の添加によ
って清酒中のグルコン酸濃度を高めた清酒は、その過度
の酸味によって飲用には適さないものになる。しかし本
発明では、グルコン酸による過剰な酸味はアルカリで中
和するので、グルコン酸濃度が高くても、酸味を適当に
抑え飲用に適した酒質を得ることができる。またその酸
味の強さは 添加するアルカリ量で容易に調節できるの
で、貴腐ワインと同様に酸味と香味、旨味とのバランス
をも同時に調整することが可能である。 また酒質が酸
っぱくなりすぎるので、飲用時のpHは4.0〜4.5
で最も好ましい評価を得ることができる。
【0028】従来の清酒製造では酸素の存在はタブーと
されてきた。具体的には、酸素は酵母の生理活性を変化
させたり、上槽後には不都合な残存酸化酵素反応を進行
させることで、酒質に悪影響を与えるからである。しか
し本発明では、酵母が存在しない四段仕込や調味アルコ
ール、または酵母を分離後の清酒に酸素を通気している
ので、酵母の生理活性変化による影響を受けない。また
上槽後の不都合な残存酸化酵素反応はグルコースオキシ
ダーゼ反応に対して反応速度が充分に遅く、10時間程
度の通気では酒質の劣化は起きなかった。また、通気終
了後の溶存酸素は、残存するグルコースオキシダーゼに
速やかに消費されるので、通常の清酒より明らかに低く
なり何ら酒質に悪影響を及ぼさないばかりか、むしろ良
好な貯蔵特性を示した。
【0029】以下に実施例を記す。
【0030】
【実施例1】精米歩合70%に精米した掛米を使用し
て、表2の仕込み配合にて品温15℃一定で総米20.
6kgの仕込みを行った。上槽前日に別のタンクで四段
仕込を行い、アミラーゼ酵素剤(天野製薬(株)製グル
ク100、0.8g)の添加と同時にカタラーゼを含む
グルコースオキシダーゼ酵素剤(ナガセ生化学工業(株)
製AN−1、15g)を添加し、酸素通気(1L/mi
n)をしながらグルコース酸化反応を進めた。この間、
アンモニア水溶液を用いてpH=5.0に、品温は45
℃に保った。20時間後、酸素通気を停止し反応を終了
した。四段仕込のグルコン酸濃度は11%にも達してお
り、全量を醪に加えて上槽した。
【0031】
【表2】
【0032】上槽後清酒の国税庁所定分析法に従った一
般分析値とグルコン酸、グルコース濃度を示す。なおグ
ルコン酸はベーリンガーマンハイム山之内(株)製F−K
itを用いて、グルコースは和光純薬(株)製グルコース
テストワコ−TA480を用いた酵素法での分析結果で
ある。
【0033】
【表3】
【0034】上槽した清酒は、アルコール14%に水で
希釈した。なお希釈後のグルコン酸濃度は0.76%で
ある。パネラー14人で官能検査した結果、さわやかな
酸味と香味のバランスの良さが高く評価された。
【0035】
【実施例2】実施例1と同様の仕込みを行った。ただし
四段仕込の調製はアルファアミラーゼ酵素剤(ナガセ生
化学工業(株)製スピターゼ CP−40、0.25g)
を添加後75℃に保温し、前もって液化反応を終了し
た。続いて品温を 45℃に下げてグルコアミラーゼ酵
素剤(ヤクルト(株)製ユニアーゼ60、0.3g)とカ
タラーゼを含むグルコースオキシダーゼ酵素剤(ナガセ
生化学工業(株)製AN−1、15g)を添加し、グルコ
ース酸化反応を進めた。なお酸素通気量、pH調整法は
実施例1と同様である。ただし15時間後にpH調整を
やめ、pHを低下させた。20時間後、グルコン酸濃度
は19.7%、pH= 3.6に達しており、全量を醪
に加えて上槽した。
【0036】実施例1と同様に、上槽後の清酒の国税庁
所定分析法に従った一般分析値とグルコン酸、グルコー
ス濃度を示す。
【0037】
【表4】
【0038】上槽した清酒は、アルコール8%に水で希
釈した。なお希釈後のグルコン酸濃度は0.81%であ
る。パネラー17人で官能検査した結果、低アルコール
濃度による味の薄さをさわやかな酸味で補うことができ
ており、多くのパネラーが高く評価した。
【0039】
【実施例3】精米歩合70%に精米した掛米を使用し
て、表5の仕込み配合にて品温 15℃一定で総米20
kgの仕込みを行った。上槽前日に、カタラーゼとグル
コースオキシダーゼ(ナガセ生化学工業(株)製AN−
1、15g)を添加し、翌日上槽した。上槽後、酸素通
気(3L/min)をしながら反応を進め、この間、ア
ンモニア水溶液を用いて pH=4.3に、品温は20
℃に保った。10時間後、清酒中のグルコン酸濃度は
0.69%に達した。
【0040】実施例1と同様に、酵素処理後の清酒の国
税庁所定分析法に従った一般分析値とグルコン酸、グル
コース濃度を表6に示す。この原酒をアルコール14%
に水で希釈した。なお希釈後のグルコン酸濃度は0.5
4%である。パネラー15人で官能検査した結果、グル
コン酸生成に消費されてグルコース濃度が低くなり辛い
酒質となったが、味のバランスは調和がとれたもので、
その酒質は冷酒に向いたものであった。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【実施例4】精米歩合70%に精米した掛米を使用し
て、表5の仕込み配合にて品温 15℃一定で総米20
kgの仕込みを行った。上槽前日に、表7の配合に従っ
て調味アルコールを調製した。さらに調味アルコールに
カタラーゼとグルコースオキシダーゼ(ナガセ生化学工
業(株)製AN−1、15g)を添加し、酸素通気(3L
/min)をしながら反応を進めた。この間、アンモニ
ア水溶液を用いて pH=4.0、品温は40℃に保っ
た。12時間後、調味アルコール中のグルコン酸濃度は
4.2%に達した。この全量を醪に添加して上槽した。
【0044】
【表7】
【0045】実施例1と同様に、上槽後の清酒の国税庁
所定分析法に従った一般分析値とグルコン酸、グルコー
ス濃度を表8に示す。
【0046】
【表8】
【0047】上槽した清酒は、アルコール10%に水で
希釈した。なお希釈後のグルコン酸濃度は1.0%であ
る。パネラー17人で官能検査した結果、多くのパネラ
ーがさわやかな酸味の効いた酒質を高く評価した。低ア
ルコール清酒は、一般に希釈によって味が薄くなりがち
であるが、この実施例によると、グルコン酸による酸味
などが味の薄さを補うことが可能であった。
【0048】
【実施例5】本発明による清酒のグルコン酸による整腸
効果を確認する目的で、飲酒実験を行った。被験者は健
康な20〜30才台のボランティア12人(女性4人)
で、実施例3で得られた清酒300mlを毎日連続で1
週間飲酒させ、体調変化を記録した。その結果、表9に
示すように約半数の被験者は便通が良くなったなどの好
評価を回答した。なお、下痢などの逆効果を訴えた被験
者はいなかった。
【0049】
【表9】
【0050】
【発明の効果】本発明により、通常清酒中には微量しか
含まれないグルコン酸を多量に含む清酒を製造すること
ができた。グルコン酸は健康維持に有効であるとされて
おり、本発明によって得られる清酒を飲用することで、
健康に必要なグルコン酸を通常の飲酒とともに摂取でき
た。またグルコン酸はさわやかな酸味によって、特に低
アルコール清酒の味の増強に有効なほか、香味、旨味を
うまく引き出すことができるので、本発明によって得ら
れる清酒は従来にない全く新しい酒質を得ることができ
た。それらは官能検査でも高い評価を得ることができ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 顕 神戸市東灘区住吉南町4丁目5番5号 白 鶴酒造株式会社研究開発室内 Fターム(参考) 4B015 GG05 GG14 GG16 GP01 GP02 GP04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 清酒の四段仕込に、酸素通気、pH制御
    下でカタラーゼとグルコースオキシダーゼを作用させ、
    グルコン酸を多量に含ませる。これによりグルコン酸を
    多量に含む清酒を製造する方法。
  2. 【請求項2】 清酒の調味アルコールに、酸素通気、p
    H制御下でカタラーゼとグルコースオキシダーゼを作用
    させ、グルコン酸を多量に含ませる。これによりグルコ
    ン酸を多量に含む清酒を製造する方法。
  3. 【請求項3】 清酒に酸素通気、pH制御下で、カタラー
    ゼとグルコースオキシダーゼを作用させ、グルコン酸を
    多量に含む清酒を製造する方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2または3によって得ら
    れるグルコン酸濃度が0.01%以上である清酒。
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